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Title:
PROCESS FOR PRODUCING PRE-REDUCED IRON
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/051172
Kind Code:
A1
Abstract:
A process for producing a pre-reduced iron which comprises: a drying step in which a raw iron oxide material selected from the group consisting of iron industry dust resulting from a steelmaking process and iron ore is dried to a given water content; a mixing step in which the raw iron oxide material which has undergone the drying step is mixed with a reducing material having a given water content to obtain a mixture; a pulverization step in which the mixture obtained in the mixing step is pulverized to 70-500 µm in terms of 80% cumulative particle diameter in sieving; a kneading step in which the water content of the mixture obtained by the pulverization step is regulated and then the mixture is kneaded; a briquetting step in which the mixture which has undergone the kneading step is briquetted to obtain briquettes; and a production step in which the briquettes obtained in the briquetting step are reduced with a rotary hearth furnace to produce a pre-reduced iron.

Inventors:
GOFUKU HIROKI (JP)
KUWAUCHI YUKI (JP)
NAGAI WATARU (JP)
FUKUDA KAZUHISA (JP)
SAWAI TAKASHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/068738
Publication Date:
April 23, 2009
Filing Date:
October 16, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NIPPON STEEL CORP (JP)
GOFUKU HIROKI (JP)
KUWAUCHI YUKI (JP)
NAGAI WATARU (JP)
FUKUDA KAZUHISA (JP)
SAWAI TAKASHI (JP)
International Classes:
C21B13/10; C22B1/16; C22B1/24; C22B7/02
Foreign References:
JP2002167624A2002-06-11
JP2001234256A2001-08-28
JP2003293019A2003-10-15
JP2007272552A2007-10-18
JP2002167624A2002-06-11
Other References:
See also references of EP 2204459A4
Attorney, Agent or Firm:
SHIGA, Masatake et al. (MarunouchiChiyoda-ku, Tokyo 20, JP)
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Claims:
 製鉄プロセスで発生する製鉄ダストおよび鉄鉱石からなる群より選択される酸化鉄原料を、所定の水分含有率まで乾燥させる乾燥工程と;
 この乾燥工程後の前記酸化鉄原料と、所定水分含有率の還元材とを混合して混合物を得る混合工程と;
 この混合工程で得られた前記混合物を、篩下80%粒径で70μm~500μmまで粉砕する粉砕工程と;
 この粉砕工程後の前記混合物の水分含有率を調整した後、この混合物を混練する混練工程と;
 この混練工程後の前記混合物を塊成化して塊成物とする塊成化工程と;
 この塊成化工程で得られた前記塊成物を回転炉床炉により還元し、予備還元鉄を生成する生成工程と;
を含むことを特徴とする予備還元鉄の製造方法。
 前記粉砕工程後の前記混合物の粒径が、篩下80%粒径で150μm~300μmの範囲内であることを特徴とする、請求項1に記載の予備還元鉄の製造方法。
 前記粉砕工程後の前記混合物の水分含有率が、1%~3%の範囲内であることを特徴とする、請求項1に記載の予備還元鉄の製造方法。
 前記混練工程で、粉砕後の前記混合物の水分含有率が6%~8%となるまで、加水を行うことを特徴とする、請求項1に記載の予備還元鉄の製造方法。
Description:
予備還元鉄の製造方法

 本発明は、予備還元鉄の製造方法に関する
 本出願は、日本国において出願された特願2 007-272552号を基礎出願とし、その内容をここ 取り込む。

 粒銑、型銑、製鉄所スクラップ等の固形 鉄冷材を原料とする転炉製鋼法が知られて る。このような転炉製鋼法では、溶解専用 炉及び精錬専用転炉で発生する、鉄分を主 分とするダストが再利用されている。

 かかるダストを原料として利用するため 、集塵したダストに還元材を混合した後に 練し、その後、塊成化処理を経て塊成物と 、さらにその後、前記塊成物を還元して予 還元鉄を製造することが行われている。予 還元鉄の性質は、塊成物の性質により左右 れるため、塊成物についての様々な研究が されている。

 例えば、下記特許文献1には、塊成物の原料 を振動ミル内で配合及び混練し、さらに塊成 物の原料の表面を水分で覆うことで、予備還 元炉である回転床炉の操業過程において割れ にくい塊成物を得る方法が開示されている。

特開2002-167624号公報

 特許文献1に記載の上記方法では、塊成物 の原料の表面を水分で覆うために、振動ミル 内で原料に対して加水を行って水分含有率を 調整する必要がある。しかしながら、振動ミ ルの破砕力が、水分含有率に左右されるため 、振動ミルの破砕力を保つために、水分含有 率の調整に対して注意を払う必要がある。

 そこで、本発明は、このような問題に鑑 てなされたもので、金属化率が高くて成品 率が向上した予備還元鉄を製造することが 能な、予備還元鉄の製造方法の提供を目的 する。

 本発明は、上記課題を解決して係る目的を 成するために、以下の手段を採用した。
(1)本発明の予備還元鉄の製造方法は、製鉄プ ロセスで発生する製鉄ダストおよび鉄鉱石か らなる群より選択される酸化鉄原料を、所定 の水分含有率まで乾燥させる乾燥工程と;こ 乾燥工程後の前記酸化鉄原料と、所定水分 有率の還元材とを混合して混合物を得る混 工程と;この混合工程で得られた前記混合物 、篩下80%粒径で70μm~500μmまで粉砕する粉砕 程と;この粉砕工程後の前記混合物の水分含 有率を調整した後、この混合物を混練する混 練工程と;この混練工程後の前記混合物を塊 化して塊成物とする塊成化工程と;この塊成 工程で得られた前記塊成物を回転炉床炉に り還元し、予備還元鉄を生成する生成工程 ;を含む。

 ここで、上記製鉄プロセスで発生する製 ダストとしては、例えば、転炉ダスト、高 ダスト、ミルスケール、電炉ダスト等を挙 ることができる。また、上記還元材として 、例えば、石炭、コークス、微粒カーボン を挙げることができる。

(2)上記(1)に記載の予備還元鉄の製造方法で は、前記粉砕工程後の前記混合物の粒径が、 篩下80%粒径で150μm~300μmの範囲内であっても い。

(3)上記(1)に記載の予備還元鉄の製造方法で は、前記粉砕工程後の前記混合物の水分含有 率が、1%~3%の範囲内であってもよい。

(4)上記(1)に記載の予備還元鉄の製造方法で は、前記混練工程で、粉砕後の前記混合物の 水分含有率が6%~8%となるまで、加水を行って よい。

 本発明によれば、金属化率が高くて成品 率が向上した予備還元鉄を製造することが 能である。

図1は、転炉製鋼の流れを説明するため の説明図である。 図2は、酸化鉄原料の粒径と予備還元鉄 の金属化率との関係を説明するグラフである 。 図3は、酸化鉄原料の粒径と還元前タブ レットの圧壊強度との関係を説明するグラフ である。 図4は、ボールミル処理速度と粉砕比と の関係を説明するグラフである。 図5は、酸化鉄原料の水分含有率とボー ルミル出側粒径との関係を説明するグラフで ある。 図6は、本発明の一実施形態に係る予備 還元鉄の製造方法を説明するフローチャート である。

符号の説明

 10  含鉄冷材溶解用転炉
 20  脱硫設備
 30  精錬用転炉
 40  湿式集塵装置
 50  フィルタープレス
 60  塊成化装置
 70  乾燥炉
 80  予備還元炉
 90  還元鉄溶解用転炉

 以下、添付図面を参照しながら、本発明 一実施形態について詳細に説明する。なお 本願の明細書及び図面において、実質的に 一の機能構成を有する構成要素については 同一の符号を付してその重複説明を省略す 。

 まず、図1を参照しながら、回転炉床炉によ り塊成化還元鉄を製造する方法の一例として 、転炉製鋼を用いた場合について詳細に説明 する。図1は、転炉製鋼の流れを説明するた の説明図である。
 なお、以下の説明では、酸化鉄原料として 製鉄ダストである転炉ダストを用いる場合 ついて説明するが、下記の例のみに限定さ るわけではない。例えば、鉄鉱石や、高炉 スト、ミルスケール、電炉ダスト等の他の 鉄ダストを、酸化鉄原料として利用しても い。

 図1に示すように、転炉製鋼は、第1溶解 転炉である含鉄冷材溶解用転炉10と、脱硫設 備20と、精錬用転炉30と、湿式集塵装置40と、 フィルタープレス50と、塊成化装置60と、乾 炉70と、予備還元炉80と、第2溶解用転炉であ る還元鉄溶解用転炉90と、を主に用いて実施 れる。

 含鉄冷材溶解用転炉10では、粒銑、型銑 製鉄所発生スクラップ等の固形含鉄冷材が 給され、例えば酸素上吹きランスから吹き まれた酸素と、底吹きノズルから窒素ガス がキャリアガスとして吹き込まれた石炭と 用いて、これらの固形含鉄冷材を溶解する 得られた溶銑は、取鍋等により、後述する 硫設備20へと搬送される。また、溶銑ととも に発生する転炉ダストは、後述する湿式集塵 装置40により集塵されて再利用される。

 脱硫設備20は、含鉄冷材溶解用転炉10や後 述する還元鉄溶解用転炉90で生成された溶銑 脱硫する。脱硫設備20としては、例えば、KR (Kanbara Reactor)やインジェクション等を用いる ことが可能である。脱硫された溶銑は、後述 する精錬用転炉30へと搬送される。

 精錬用転炉30は、例えば上底吹き転炉等 あり、供給された酸素を用いて脱硫された 銑の脱炭処理を行う。脱炭処理がなされた 銑は、粗溶鋼として利用される。また、精 用転炉30から発生する転炉ダストは、湿式集 塵装置40により集塵されて、再利用される。

 湿式集塵装置40は、例えばOG(Oxygen converter  Gas)方式を利用した集塵装置であり、含鉄冷 材溶解用転炉10、精錬用転炉30および還元鉄 解用転炉90から発生した転炉ダストを集塵す る。集塵された転炉ダストは、フィルタープ レス50へと搬送される。

 フィルタープレス50は、湿式集塵装置40で 集塵された転炉ダストに脱水処理を施す。湿 式集塵装置40で集塵された転炉ダストは、フ ルタープレス50により水分含有率が20%W.B.(Wet  Base)程度まで脱水される。脱水処理を施さ た転炉ダストは、塊成化装置60へと搬送され る。

 脱水処理が施された転炉ダストは、塊成 装置60まで搬送される間に、還元材として 炭等の炭材が添加され、そして塊成化装置60 に装入される。塊成化装置60は、還元材が添 された転炉ダストを塊成化して、例えばペ ットのような塊成物にする。ここで、塊成 とは、ペレット、ブリケット、押し出し成 して裁断した成形品、粒度調整された塊状 等の粒状物・塊状物をいう。塊成化装置60 は、後述する乾燥・加熱還元後、熱間にて 元鉄溶解用転炉90に装入する際、炉内上昇ガ ス流で飛散しない程度の粒径以上の大きさと なるように、転炉ダストを塊成化する。生成 された塊成物は、乾燥炉70へと装入される。

 乾燥炉70は、塊成物を乾燥させて、後述 る加熱還元工程に適した水分含有率(例えば 1%W.B.以下)となるようにする。所定の水分含 有率となった塊成物は、予備還元炉80へと搬 される。

 例えば回転床炉(RHF)のような予備還元炉80 では、装入された塊成物を、空気-LNGバーナ 加熱雰囲気で加熱還元し、予備還元鉄とす 。製造された予備還元鉄は、例えば高温ペ ットの状態で、還元鉄溶解用転炉90に装入さ れる。還元鉄溶解用転炉90への装入は、製造 た予備還元鉄を一括またはまとめて装入し その後に酸素、石炭等を装入してもよく、 素、石炭が供給されている還元鉄溶解用転 90に、逐次、装入してもよい。

 還元鉄溶解用転炉90は、例えば高温ペレ トの状態で供給される予備還元鉄を溶解し 、溶銑とする。生成された溶銑は、取鍋等 用いて前述の脱硫設備20へと搬送される。ま た、溶銑とともに発生する転炉ダストは、前 述の湿式集塵装置40で集塵され、再利用され 。

 本発明の一実施形態に係る予備還元鉄の 造方法は、湿式集塵装置40で集塵されてフ ルタープレス50で脱水処理が施された転炉ダ スト等の酸化鉄原料を用いて、前述の塊成化 装置60から予備還元炉80までの工程で行われ 処理に関する。

<酸化鉄原料について>
 続いて、図2~図4を参照しながら、前述の転 製鋼において発生する転炉ダストを含む酸 鉄原料について、詳細に検討する。以下の 明では、酸化鉄原料の粉砕に用いる粉砕機 して、振動ミルの一種であるボールミルを いる場合について説明するが、本発明に係 予備還元鉄の製造方法が、以下の場合のみ 限定されるわけではない。

 図2は、酸化鉄原料粒径と予備還元鉄の金 属化率との関係を説明するグラフである。図 3は、酸化鉄原料粒径と還元前タブレットの 壊強度との関係を説明するグラフである。 た、図4は、ボールミル処理速度と粉砕比と 関係を説明するグラフである。

(酸化鉄原料の粒径差による還元性の評価)
 酸化鉄原料の粒径差による還元性の評価を うために、実際にタブレットを製造し、電 炉にて還元を行った。得られた結果を図2に 示す。図2は、還元用の炭材を含む酸化鉄原 の粒径と、酸化鉄原料を加熱還元すること 得られた予備還元鉄(DRI:Direct Reduced Iron)の 属化率との関係を示している。還元用の炭 は、例えば、石炭、コークス、タイヤ乾留 の残渣として発生する微粒カーボン等であ 。図2を参照すると、予備還元鉄の金属化率 、酸化鉄原料の粒径が小さくなるほど向上 ていくが、150μm以下になると、金属化率は に悪化していくことがわかる。これは、粒 が小さくなるにつれて酸化鉄原料の反応界 積が増大して、還元速度が上昇するためで る。しかしながら、還元反応の進行に伴っ COガスが発生するため、粒径が極度に小さ なると、ガス発生時の内部圧力に耐えきれ に爆裂してしまう。そのため、還元性を表 金属化率が低下すると考えられる。種々の 証の結果、粒径が150μm未満となると、爆裂 危険性が高くなり、粒径が70μm以下となると 爆裂する可能性が極めて高くなることがわか った。

 この結果より、酸化鉄原料の粒径を例え 70μm~500μmにすることで、金属化率のばらつ が6%程度以下となる高金属化率の予備還元 を製造することができ、粒径の下限を70μmと することで、予備還元鉄の爆裂を抑制するこ とができることがわかった。また、酸化鉄原 料の粒径を例えば150μm~300μmとすることで、 属化率のばらつきが3%程度以下となる高金属 化率の予備還元鉄を製造することができ、粒 径の下限を150μmとすることで、予備還元鉄の 爆裂を回避することができることがわかった 。

 このように、酸化鉄原料の粒径を、例え 70μm~500μm、より好ましくは、150μm~300μmにす ることで、高金属化率でかつ金属化率のばら つきが6%程度内である予備還元鉄を製造する とができる。

(酸化鉄原料の粒径差による造粒性の評価)
 続いて、酸化鉄原料の粒径差による造粒性 ついて評価するために、実際にタブレット 製造し、圧壊強度を測定した。得られた結 を図3に示す。図3は、還元用炭材を含む酸 鉄原料の粒径と、この酸化鉄原料を用いて 造された還元前タブレットの圧壊強度との 係を示している。図3の縦軸は、還元前タブ ットの圧壊強度をkgf単位で示している。1kgf は、約9.8Nである。

 還元前タブレットの圧壊強度の測定は、以 の方法により行った。
 まず、所定の粒度に調整した酸化鉄原料と 元用炭材とを混合して、水分を7%に調整し 後に、プレスにて略円柱状のタブレットを 形した。成形したタブレットの大きさは、30 mmφ×15mmである。続いて、成形したタブレッ を圧壊強度試験機(プレス)に設置し、タブレ ット圧壊時のプレス荷重(すなわち、圧壊強 )を測定した。上記タブレットを、柱側面が 直方向を向くように圧壊強度試験機に載置( 換言すれば、柱側面の一部が圧壊強度試験機 と接するように載置)し、タブレットの上方 ら柱側面に対して延長方向下方向きの圧力 加えた。

 図3に示すように、実際に製造したタブレ ットの圧壊強度は、酸化鉄原料の粒径が200μm 近傍で最大値を取ることがわかる。この結果 は、転炉ダストの粒径が200μm前後の場合に、 転炉ダスト粒子間の結合力(造粒結合力)が最 となることを示している。この結果は、以 のように説明することが可能である。

 造粒は、酸化鉄原料の粒子間に入り込ん 水の凝集力及び表面張力により粒子間に結 力が働き、結合が維持されている。酸化鉄 料の粒子間に作用する凝集力及び表面張力 、酸化鉄原料の粒径に比例するため、粒径 大きくなるほど凝集力及び表面張力も大き なり、造粒物の圧壊強度は大きくなる。し しながら、粒径がある程度以上に大きくな と、粒子間に作用する凝集力及び表面張力 りも、粒子自体に作用する重力の影響が支 的となるため、結合力は低下していく。

 従って、図3に示した場合では、酸化鉄原 料の粒径が200μm近傍までは、凝集力及び表面 張力が支配的となっている領域であり、粒径 が200μm超過の領域は、重力が支配的となって いることがわかる。

 かかる結果から、酸化鉄原料の粒径を70μ m~500μm、より好ましくは150μm~300μmとすること で、タブレットの強度と強度のばらつきとを 好条件に保つことが可能となり、壊れにくい 塊成物を製造可能であることがわかる。

(酸化鉄原料の濡れ性について)
 また、造粒時においては、酸化鉄原料に加 を行って、水分含有率を、造粒の適正水分 ある6~8%にすることが好ましい。そのために は、酸化鉄原料の吸水性が問題となる。そこ で、蒸発皿に静置した20gの酸化鉄原料に、水 分含有率が6~8%となるように加水を行い、吸 時間を測定することで評価を行った。

 その結果、加水前の水分含有率が0%のと 、酸化鉄原料の粒径が200μm未満である場合 は、滴下した水分が球状になり、吸水速度 小さくなった。これは、実際の混練時に、 練に用いられるミックスマラー等の混練機 でダマが発生してしまい、混練を阻害する 能性があることを示唆している。他方、酸 鉄原料の粒径が200μm以上の場合には、吸水 がよく、問題も生じなかった。

 また、加水前の水分含有率が1%~3%のとき 酸化鉄原料の粒径が70μm未満である場合には 、滴下した水分が球状になり、吸水速度が小 さくなった。他方、酸化鉄原料の粒径が70μm 上の場合には、吸水性が良好であり、問題 生じなかった。

 これらの結果から、造粒性を左右する混 工程に際して、酸化鉄原料の粒径が微細で る場合や、酸化鉄原料が完全に乾燥されて る場合には、混練性が悪化し、良好な混練 を保持するためには、粒径を所定の大きさ 上にすることが好ましいことがわかった。

(ボールミルの粉砕能力について)
 次に、酸化鉄原料の粉砕に用いられる振動 ルの一種であるボールミルの粉砕能力につ て検討する。

 実際に行われている操業実績データを解 した結果、ボールミルの粉砕能力が、転炉 ストの水分含有率に影響されることが明ら となった。そこで、酸化鉄原料の水分含有 の効果を取り込んだボールミルの粉砕能力 算式を導出した。導出した計算式を、以下 式1に示す。

 ここで、上記式1において、
  Pw:ボールミル動力(kW)
  Wi:粉砕仕事指数
  P:ボールミル出側における篩下80%粒径(μm)
  F:ボールミル入側における篩下80%粒径(μm)
  C:ボールミルに応じた補正係数
であり、補正係数Cには、水分含有率に応じ 補正係数やボールミルの処理速度に関する 正係数が含まれる。

 例えば、Pwが350kWのボールミルで処理速度 を30(wet-t/h)とした場合のボールミル出側にお る酸化鉄原料の水分含有率と、ボールミル 側における篩下80%粒径との関係について、 記式1に基づいて算出すると、後述の図5中 示した曲線のようになる。図5から明らかな うに、ボールミル出側における水分含有率 低ければ低いほど、ボールミル出側におけ 粒径は小さくなることがわかる。従って、 ールミル出側における粒径を所望の値にし い場合には、酸化鉄原料の水分含有率を適 調整する必要があることがわかる。

 次に、上記式1に基づいて、ボールミルの 処理速度と粉砕比との関係を導出し、結果を 図4に示した。図4では、ボールミル出側の水 含有率が1%~7%の場合における理論曲線を実 で示している。また、図中のプロットは、 機試験における結果である。ここで、粉砕 は、(粉砕前粒径/粉砕後粒径)で定義される であり、粉砕比が大きいほど、ボールミル 粉砕能力が高いことを表す。

 図4の理論曲線を参照すると、同一のボー ルミル処理速度の場合には、ボールミル出側 の水分含有率が低いほど粉砕比も大きくなる ことがわかる。また、水分含有率が一定の場 合には、ボールミル処理速度が小さいほど、 粉砕比が大きくなることもわかる。また、図 4から明らかなように、理論曲線の挙動と、 機試験における結果とが良く一致している とがわかる。この図4からも、ボールミル出 における粒径を所望の値にしたい場合には 酸化鉄原料の水分含有率を適宜調整する必 があることがわかる。

 以上の検討結果より、混練性における条 では、酸化鉄原料の水分含有量を少なくと 1%~3%程度確保することが好ましく、造粒に ける条件では、粒径が70μm~500μm程度である とが好ましく、還元における条件では、爆 が生じる危険性を考慮して、粒径が150μm以 であることが好ましい。これらの条件をま めると、図5に示すようになる。図5は、Pwが3 50kWのボールミルで処理速度を30(wet-t/h)とした 場合の適正水分及び適正粒径を説明するグラ フである。図5には、実際の混練性評価結果 併せて、上記処理条件におけるボールミル 粉砕能力線も示されている。混練性におけ 条件、造粒における条件および還元におけ 条件に加えてボールミルの粉砕能力線も考 すると、図5から明らかなように、150μm~300μm 程度の粒度範囲において、転炉ダストの水分 を1%~3%程度(例えば、1.5%程度~3.5%程度)とする とで、良好な予備還元鉄を製造可能である とがわかる。

<本実施形態に係る予備還元鉄の製造方法&g t;
 続いて、図6を参照しながら、本実施形態に 係る予備還元鉄の製造方法について、詳細に 説明する。図6は、本実施形態に係る予備還 鉄の製造方法を説明する流れ図である。

 本実施形態に係る予備還元鉄の製造方法 は、まず、製鉄プロセスで発生する製鉄ダ ト(例えば、含鉄冷材溶解用転炉、精錬用転 炉及びダスト溶解用転炉で発生し、湿式集塵 装置にて集塵された転炉ダストや、高炉ダス トや、ミルスケールや、電炉ダストなど)お び鉄鉱石からなる群より選択される酸化鉄 料を、例えばロータリーキルン等の乾燥機 用いて乾燥させる(ステップS101)。乾燥機に 入される転炉ダストは、主に、粒径が3mm~4mm( 80%篩下粒径)程度であり、水分含有率が12%~18%W .B.程度である。この酸化鉄原料を、乾燥機に より、約6%程度の水分含有率まで乾燥させる

 乾燥が終了した酸化鉄原料は、還元材(例 えば、粉石炭等の石炭や、コークスや、微粒 カーボンなど)と混合され(ステップS103)、粉 機へと装入される。上記の粉石炭として、 えば、篩下80%粒径が5mm~10mm程度であり、水分 含有率が8~12%W.B.程度であるものを使用するこ とが可能である。酸化鉄原料と還元材との配 合比率は、後述する還元工程において良好な 予備還元鉄を得るために好適な条件を考慮し て調整されるが、酸化鉄原料と還元材との質 量比を、例えば90:10程度とすることが可能で る。この混合物が粉砕機へと装入される時 で、混合物は、例えば4mm程度の粒径を有し いる。

 酸化鉄原料と還元材との混合物は、続い 、粉砕機により70μm~500μmの粒径(篩下80%粒径 )となるまで、好ましくは150μm~300μmの粒径と るまで、更に好ましくは200μm前後となるま 粉砕される(ステップS105)。混合物を粉砕す 粉砕機として、例えば、ボールミルやロッ ミル等の振動ミルを使用することが可能で る。ボールミル等の振動ミルの出側におい 、混合物の粒径を上述の範囲とし、混合物 水分含有率を約2%以下とするために、例え 図4に示したグラフを用いて、振動ミルの処 速度を決定することが可能である。具体的 は、振動ミル(ボールミル)の出側での粒径 目標値と、振動ミル(ボールミル)入側におけ る粒径とから粉砕比を算出し、算出した粉砕 比と、振動ミル出側における水分含有率の目 標値における理論曲線とから、振動ミルの処 理速度を決定することが可能である。

 また、本実施形態における予備還元鉄の 造方法においては、混合前に酸化鉄原料を 燥することにより、粉砕機装入時における 合物の水分含有率を、振動ミルが適正な粉 性を示す値に保持することが可能となる。 のため、粉砕時の振動ミルの制御を絶えず 更する必要がなくなる。また、酸化鉄原料 水分含有率が、様々な要因により上下した しても、混合前の乾燥時に乾燥機の設定を 切に制御することにより、振動ミルの粉砕 を好適な値に維持することが可能となる。

 更に、本実施形態における予備還元鉄の 造方法においては、粉砕後の混合物の粒径 、造粒処理時に好適な圧壊強度を示す粒径 なっているため、この粉砕後の混合物を用 ることで、割れにくく、かつ、高金属化率 予備還元鉄を製造することが可能である。

 混合物の粉砕が終了すると、粉砕された 合物は、ミックスマラー等の混練機へと装 されて、水分含有率が混練に適正な値(例え ば、6~8%程度)となるように加水された後に混 される(ステップS107)。混合物の装入時にお て、混合物の水分含有率は、適正な濡れ性 示す値(すなわち、適正な吸水速度を示す値 )まで調整されているため、良好な混練性を なうことなく混練処理を行うことが可能で る。

 混練機による混練が終了すると、混合物 パンペレタイザー(皿型造粒機)、ダブルロ ル圧縮機(ブリケット製造機)、押し出し成形 機等の塊成化装置に装入されて造粒され(ス ップS109)、塊成物となる。

 生成された塊成物は、乾燥機により乾燥 理を施され、例えば1%以下の水分含有率と る(ステップS111)。乾燥が終了した塊成物は RHF等の予備還元炉へと装入され、還元処理 施される(ステップS113)。本実施形態にかか 塊成物は、良好な圧壊強度を示すため、還 工程においても予備還元炉内で塊成物が割 ることが少なく、塊成物を十分に還元する とができる。例えば、予備還元炉としてRHF 使用する場合には、例えば、炉内の温度を13 50℃程度に設定し、約15分で還元処理が完了 るように、回転床の速度を設定することが 能である。かかる還元処理を行うことで、 れにくく、かつ、高金属化率を有する予備 元鉄(DRI)を製造することが可能である。

 以上説明したように、本実施形態に係る 備還元鉄の製造方法によれば、割れにくく かつ、高金属化率を有する予備還元鉄(DRI) 製造することが可能であるため、還元鉄溶 用転炉の酸素原単位を向上させることが可 であり、さらには、溶銑の生産性を高位に 持することが可能となる。

 以下に、本発明に係る実施例と比較例と 示しながら、本発明に係る予備還元鉄の製 方法について、更に説明を行う。なお、以 に示す実施例は、本発明のあくまでも一具 例であって、本発明が以下に示す実施例の に規制されるわけではない。

 以下で説明する実施例および比較例では 図6に示した手順に従って、予備還元鉄の製 造を行った。なお、乾燥工程(ステップS101)で は、ロータリーキルン型乾燥機を使用し、粉 砕工程(ステップS105)では、ボールミル(3.5mφ× 5.4mL、Pw:520kW)を使用し、混練工程(ステップS10 7)では、ミックスマラーを使用した。また、 粒工程(ステップS109)では、ダブルロール圧 機を使用し、乾燥工程(ステップS111)では、 ンド乾燥機を使用した。さらに、還元工程( ステップS113)では、外径22m、内径14m、有効幅3 .5mの回転床炉を使用した。

 なお、回転床炉における還元工程では、 転炉の速度を15分/回転とし、炉内温度を1000 ℃~1350℃とした。また、液化天然ガス(LNG)を 料ガスとして使用した。

 本実施例および比較例で用いた原料の配 質量比と粒径(80%篩下粒径)とを、以下の表1 示す。表1に示した混合物を用いてボールミ ル入側における原料水分を変化させ、粉砕工 程後の粒径、造粒工程後のブリケット強度、 および、還元工程後の金属化率を測定した結 果を、表2に示す。なお、以下の表1および表2 に示す粒径は、目の大きさが異なる複数の篩 を用いて篩い分けを行い、篩下の質量が80%と なった篩い目の径である。

 なお、上記表2における造粒後落下強度は 、造粒工程によって得られた塊成物(ブリケ ト)を、450mmの高さからゴム板上に落下させ 作業を繰り返し、ブリケットが割れたとき 回数を強度として示した。

 上記表2を参照すると、本実施例では、ボ ールミル入側における水分含有量とボールミ ル出側における水分含有量とを制御すること で、粉砕物の粒径を良好に制御することが可 能であることがわかる。また、造粒後落下強 度が20回以上と、造粒物も良好な強度を保持 ていることがわかる。かかる造粒物を用い 予備還元鉄を製造することで、還元後金属 率が86%と、高金属化率を有する高品位の予 還元鉄を製造可能であることがわかった。

 また、原料水分の乾燥を十分に行った比 例1では、原料が乾燥しすぎたために、ボー ルミル出側における原料粒度が100μm未満とな ってしまい、かかる原料を用いて製造したブ リケットも、十分な強度を保つことができな かった。また、このようなブリケットを用い て製造した予備還元鉄は、金属化率が81%と、 本実施例に係る予備還元鉄よりも金属化率が 劣る結果となった。

 また、原料水分の乾燥を十分に行わなか た比較例2では、原料の乾燥が不十分であっ たために、ボールミル出側における原料粒度 が600μmを超えてしまった。かかる原料を用い て製造した予備還元鉄は、金属化率が79%と、 本実施例に係る予備還元鉄よりも金属化率が 劣る結果となった。

 以上、添付図面を参照しながら本発明の 適な実施形態について説明したが、本発明 かかる例のみに限定されないことは言うま もない。当業者であれば、請求の範囲に記 された範疇内において、各種の変更例また 修正例に想到し得ることは明らかであり、 れらについても当然に本発明の技術的範囲 属するものと了解される。

 本発明によれば、金属化率が高くて成品 率が向上した予備還元鉄を製造することが 能である。