NOK株式会社 (〒85 東京都港区芝大門1丁目12番15号 Tokyo, 1058585, JP)
| アクリル酸含量が20重量%以下のエチレン-アクリル酸共重合体(EAA)をデカリン、テトラリンまたはこれらの混合物中に加熱溶解させて得られる導電性粒子含有PTC(Positive Temperature Coefficient)インク組成物に、非極性ゴムを脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素またはこれらの混合物から選ばれる非極性溶媒で溶解した非極性ゴム溶液を添加し、さらに極性溶媒を添加することを特徴とするPTCインク組成物の製造方法。 |
| 前記非極性ゴムが、ブチルゴム(IIR)又はエチレンプロピレンゴム(EPDM)であることを特徴とする請求項1記載のPTCインク組成物の製造方法。 |
| 前記極性溶媒が、ケトン類、グリコールエーテル類、グリコールエステル類、エステル類から選ばれる少なくとも1種類の単体又は2種類以上の混合物であることを特徴とする請求項1又は2記載のPTCインク組成物の製造方法。 |
| 請求項1、2又は3記載の製造方法から得られることを特徴とするPTC組成物。 |
| 請求項4記載のPTCインク組成物を用い、厚さ1μm~100μmに形成してなることを特徴とするPTC材料。 |
| 請求項5記載のPTC材料からなることを特徴とする面状発熱体。 |
本発明は、PTCインク組成物の製造方法及 PTCインク組成物に関し、詳しくは良好な連 被膜を連続的に形成でき、生産効率に優れ 業化に適したPTCインク組成物の製造方法及 PTCインク組成物に関する。
PTCインク材料のマトリクスとしては、種 のものが提案されているが、広く一般に用 られているのは、エチレン-酢酸ビニル共重 合体である。この共重合体をインク化するた めに、溶剤に可溶の酢酸ビニル含量が多く、 結晶化度の低い共重合体が用いられているの が実情である。
しかしながら、結晶化度の低い共重合体 用いると、PTC特性が小さくなり、また過昇 止機能が小さくなる。
結晶化度の高いエチレン-アクリル酸共重 合体(EAA)、即ちアクリル酸含量の低いEAAと、 電性粒子からなるPTC材料は、特許文献1~4に 載のように、従来、熱プレスで成型して用 られており、過昇防止スイッチやPTCヒータ に用いられていた。
本出願人は、先に、特許文献5において、 アクリル酸含量の低いEAAと、導電性粒子から なるPTC材料をインク組成物に適用する技術を 提案した。
特許文献5のPTCインク組成物に関する発 により、インク化を実現し、機能面では薄 化が可能になり、品質面ではその安定性が れ、製造コストが抑えられるという効果を たらした。
しかしながら、インクで被膜を形成する に、その加工性が充分ではなく、種々の検 を重ね、特許文献6では、これに非極性ゴム を追加することで、改善することができた。
更に、特許文献7では、量産性を向上するた
めに非極性ゴムではなく極性ゴムを追加する
ことで、印刷加工性(加工性および量産性)を
上させることができた。
本発明者らは、その後研究を継続し、新 な課題を見出した。
つまり、量産性を向上させるためには非 性ゴム溶液ではなく、極性ゴム溶液を添加 ることが重要であるが(特許文献7)、極性ゴ 溶液を用いるとゴム部分の強度が増すため 、インク乾燥後の印刷物の変形(湾曲、そり 、カール等)度合いに改良すべき課題がある とを見出した。
本発明者らは、これを改善しようと鋭意 討した結果、本発明に至った。
そこで本発明の課題は、量産性を維持し がら、かつ印刷後のインク乾燥後の変形(湾 曲、そり、カール等)度合いをおさえること 可能とするPTCインク組成物の製造方法及びPT Cインク組成物を提供することにある。
本発明の他の課題は以下の記載によって らかとなる。
上記課題は以下の各発明によって解決さ る。
請求項1記載の発明は、アクリル酸含量が 20重量%以下のエチレン-アクリル酸共重合体(E AA)をデカリン、テトラリンまたはこれらの混 合物中に加熱溶解させて得られる導電性粒子 含有PTC(Positive Temperature Coefficient)インク組成 物に、非極性ゴムを脂肪族炭化水素、芳香族 炭化水素またはこれらの混合物から選ばれる 非極性溶媒で溶解した非極性ゴム溶液を添加 し、さらに極性溶媒を添加することを特徴と するPTCインク組成物の製造方法である。
請求項2記載の発明は、前記非極性ゴムが 、ブチルゴム(IIR)又はエチレンプロピレンゴ (EPDM)であることを特徴とする請求項1記載の PTCインク組成物の製造方法である。
請求項3記載の発明は、前記極性溶媒が、 ケトン類、グリコールエーテル類、グリコー ルエステル類、エステル類から選ばれる少な くとも1種類の単体又は2種類以上の混合物で ることを特徴とする請求項1又は2記載のPTC ンク組成物の製造方法である。
請求項4記載の発明は、請求項1、2又は3記 載の製造方法から得られることを特徴とする PTC組成物である。
請求項5記載の発明は、請求項4記載のPTC ンク組成物を用い、厚さ1μm~100μmに形成して なることを特徴とするPTC材料である。
請求項6記載の発明は、請求項5記載のPTC 料からなることを特徴とする面状発熱体で る。
本発明によれば、印刷時、インクがスム スに基材に転写し、印刷された被膜は連続 膜で得られ、印刷を一般の印刷と同様の速 で行うことができ、印刷を連続して行える うになり印刷加工性(量産性および加工性) 優れ、生産効率を上げることが可能となる 果がある。
また、本発明によれば、量産性に優れる とに加え、且つ印刷乾燥後の印刷物の変形( 湾曲、そり、カール等)度合いを小さくする とができる。このため、印刷の品質を向上 、印刷コストを抑えることができる。
さらに、本発明は、印刷加工性(量産性 よび加工性)に優れ、且つ印刷後のインク乾 燥後の変形度合いを抑えることができるため 、その後の工程でのハンドリング性を向上さ せることができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明において、マトリクスとして用い れるエチレン-アクリル酸共重合体(EAA)は、 クリル酸をエチレンに共重合させることで 晶化度は低下するが、顕著なPTC特性を得る めには、結晶化度が高い共重合体であるこ が好ましい。一方、接着強度や通電時の抵 変化に対しては、アクリル酸の共重合が必 となる。かかる観点から本発明におけるEAA 、アクリル酸含量が20重量%以下、好ましく 2~10重量%のものが用いられる。
EAAを溶解させる溶剤としては、デカリン テトラリンまたはこれらの混合物が用いら る。
EAAの溶解に際して、EAAと溶剤の混合割 は、EAA濃度が5~20重量%となるような割合で用 いられる。
このような濃度の溶液の調整は、約50~15 0℃、好ましくは70~140℃に加熱することによ て行われる。
得られたEAA溶液中には、更にカーボンブ ック、グラファイト、金属粒子等から選ば る導電性粒子が添加される。
カーボンブラックとしては、GPF、SRF、FT の比較的粒径が大きく、ストラクチャーの さなものが好んで用いられる。
金属粒子としては、銅、ニッケル、亜鉛 真鍮、金、銀などの単体粒子、あるいは銅 ニッケル、亜鉛、真鍮などの混合物、また これら金属を表面処理した粒子が挙げられ 。
本発明において、導電粒子は、カーボン ラック、グラファイト、金属粒子等の1種を 選択使用してもよいし、2種以上を組み合わ て使用することもできる。
導電粒子の添加量は、(導電粒子量)/(導電 粒子量+EAA量)×100の式によって算出される割 が、5~80重量%となる範囲が好ましい。
導電性粒子のEAA溶液中への分散は、三本 ール、ボールミル、ビーズミル、ジェット ル、ホモジナイザー、ディスパー、プラネ リーミキサー、アンカーミキサー等の湿式 散機を用いて行われる。
上記のようにして導電性粒子含有PTCイ ク組成物が得られる。本発明では、得られ 導電性粒子含有PTCインク組成物に非極性ゴ 溶液を添加する。
本発明において、導電性粒子含有PTCイ ク組成物に添加するゴム溶液は、非極性ゴ を、脂肪属炭化水素、芳香族炭化水素また これらの混合物で溶解した非極性ゴム溶液 あることを特徴としている。
非極性ゴムとしては、ブチルゴム(IIR)、 チレンプロピレンゴム(EPDM)等が挙げられる
ゴムを溶解する脂肪族炭化水素としては ヘキサン、ヘプタン、ゴム揮発油、ミネラ スピリットなどが挙げられ、芳香族炭化水 としては、シクロヘキサン、トルエン、キ レン、ソルベントナフタ、ジペンテンなど 挙げられる。
これら脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素 ら、単体または混合物を、印刷方法により 沸点、蒸気圧を考慮して用いられる。
本発明において、非極性ゴム溶液を添加 る際のゴムの濃度は、2~40重量%の範囲が好 しく、より好ましくは5~20重量%の範囲である 。ここで「ゴム濃度」というのは、ゴム重量 /(ゴム重量+EAA重量)/100の式によって求まる濃 である。
非極性ゴム溶液の添加後は、ディスパー バタフライミキサー、ゲートミキサー、プ ネタリーミキサーあるいはアンカーミキサ 等の攪拌機を用いて、上記導電性粒子含有P TCインク組成物(PTC分散物)と均一化する。
なお、非極性ゴム溶液の添加について 、上記のようにEAA溶液と導電性粒子を分散 た後に添加攪拌して均一化するだけでなく 分散前に添加してEAA溶液/導電性粒子/非極性 ゴム溶液を一度に分散しても良い。
本発明においては、導電性粒子含有PTCイ ク組成物に非極性ゴム溶液を添加した後、 らに極性溶媒を添加することを特徴として る。
極性溶媒としては、ケトン類、グリコー エーテル類、グリコールエステル類、エス ル類が挙げられ、これらの1種又は2種以上 混合使用でき、印刷方法により、沸点、蒸 圧を考慮して用いられ、ゴムを溶解した溶 に対し、98:2から70:30、好ましくは95:5から85:1 5の比率(重量比)で添加する。
ケトン類としては、例えばアセトン、メ ルエチルケトン、アセチルアセトン、アセ 酢酸エステルなどが挙げられ、グリコール ーテル類としては、例えばエチレングリコ ルモノメチルエーテル、エチレングリコー モノエチルエーテル、エチレングリコール ノブチルエーテル、ジエチレングリコール ノメチルエーテル、ジエチレングリコール ノエチルエーテルなどが挙げられ、グリコ ルエステル類としては、例えば、エチレン リコールモノメチルエーテルアセテート、 ロピレングリコールモノメチルエーテルア テート、ジエチレングリコールモノブチル ーテルアセテート、ジエチレングリコール ノエチルエーテルアセテートなどが挙げら 、エステル類としては、例えば酢酸メチル ステル、酢酸エチルエステルなどが挙げら る。
極性溶媒添加後はディスバー、バタフラ ミキサー、ゲートミキサー、プラネタリー キサー、アンカーミキサー等の攪拌機を用 て、PTC分散物に非極性ゴム溶液を添加して られた溶液と均一化する。
極性溶媒の添加は、慎重に行う必要があ 。添加速度が速すぎると、ソルベントショ クを起こし、分離、ゲル化を促進して、粘 の低下を招き、その結果、所望の粘度に至 ず、印刷加工性を悪くするためである。添 は、点滴のような治具を用いることが好ま い。また撹拌は、マイルドである程よく、 性溶媒と、PTC分散物に非極性ゴム溶液を添 して得られた溶液とが、見かけ上混合され 程度が良い。具体的には周速300m/minを上限 して、下限は30m/minが攪拌に適した範囲であ 。
このようにして得られたPTCインク組成物 、粘度が約1~1000Pa・sの範囲であることが好 しく、樹脂、金属、セラミックス、ガラス の基材上にスクリーン印刷法、メタルマス 印刷法、グラビアコーター、ナイフコータ を用いて塗設できる。
アクリル酸含量が20重量%以下のEAAをデカ ン、テトラリンまたはこれらの混合物中に 50~150℃の温度で加熱溶解させて得られる導 性粒子含有PTCインク組成物に、非極性ゴム 脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素またはこ らの混合物から得られる非極性溶媒で溶解 た非極性ゴム溶液を添加し、さらに極性溶 を添加することによって、極性ゴム溶液を 加しなくても量産性に優れ、且つ印刷乾燥 の印刷物の変形度合いを小さくすることが きる。
本発明では、上記PTCインク組成物を基材 に、好ましくは厚さ1μm~100μmの範囲、より ましくは厚さ10μm~70μmの範囲に塗膜を形成す ることにより、PTC材料として適用できる。
また、本発明では、上記PTC材料に、電極 配設することによって面状発熱体として提 できる。
以下に本発明の実施例を説明するが、本 明はかかる実施例によって限定されない。
実施例1
エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)
100重量部
(エクソンモービル化学社製「Escor5000;アク
ル酸含量6重量%」)
デカリン(関東化学社製)
600重量部
カーボンブラック(CB)
60重量部
(SRF:新日化カーボン社製「HTC#S」)
上記のEAAを液温80℃のデカリンを入れた 容器中で溶解し、次いで、冷却後、CBを添加 、3本ロールでCBを分散して、導電性粒子含 PTCインク組成物を作成した。
これにEPDMを芳香族炭化水素に溶解したゴ ム溶液を添加しディスパーにより攪拌し、さ らにグリコールエーテルを点滴添加し、ゲー トミキサーで攪拌してPTCインク組成物を得た 。
添加量に関しては表1に示した。
比較例1(特開2004-143354)
実施例1と同様に作成した導電性粒子含有PTC
インク組成物に、EPDMを芳香族炭化水素に溶
した非極性ゴム溶液を添加し、ディスパー
攪拌してPTCインク組成物を得た。
添加量に関しては表1に示した。
比較例2(特開2006-169367)
実施例1と同様に作成した導電性粒子含有PTC
インク組成物に、ACMをグリコールエーテルに
溶解した極性ゴム溶液を添加しディスパーで
攪拌してPTCインク組成物を得た。
添加量に関しては表1に示した。
〔評価〕
評価1
実施例1及び比較例1、2のPTCインク組成物を
いて、メタルマスク印刷での所定の印刷速
に対するインクと溶剤の分離、印刷対象物
の転写および連続被膜の形成を以下の評価
準に従い判定した。
得られた結果を表2に示した。
(評価基準)
インクと溶剤の分離
○:印刷周辺ににじみがない
△:にじみはあるが端部が明確である
×:にじんで端部が崩れている
印刷対象物への転写
○:転写した
△:一部転写しない
×:滑って転写しない
連続被膜の形成
○:連続被膜を形成できた
△:一部だけ連続被膜を形成できた
×:連続被膜を形成できない
表2より、実施例1、比較例1、比較例2共に 印刷特性は十分であることがわかる。
評価2
次に、印刷回数と、にじみ、端部の脱落、
ジの発生を確認した結果を表3に示した。表
中において、「○」は良好、「△」は少し発
生、「×」はかなり発生し不良を示す。
表3より、実施例1、比較例2で十分な連続 刷が可能であることがわかる。
また、比較例1では、連続印刷が困難であ ることがわかる。
評価3
次に、印刷物の変形について、変形の有無
、変形によって生じた端部の浮きを測定し
。端部の浮きは200mm×100mm試験片の短辺(100mm)
に対し、端部の浮き上がった高さを測定した
。得られた結果を表4に示した。
表4の印刷物の変形について、「○」は印 刷物に変形がない、「△」は印刷物に多少変 形が発生した、「×」は印刷物が激しく変形 たことを示す。
表4より、比較例2は、乾燥後、浮きとい 程度のものではないほどカールが激しく、 工程の効率が悪いことがわかる。
本発明は、連続印刷が可能で、且つ乾燥 のカールの問題が解消されるため、生産効 に優れ且つ後工程での効率が良い(結果的に 印刷コストを低減できる)ことがわかる。
Next Patent: MASS SPECTROMETRY UNIT
