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Patent Searching and Data


Title:
PROCESS FOR PRODUCING PURIFIED TEA EXTRACT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/084215
Kind Code:
A1
Abstract:
A purified tea extract with suppressed bitterness and astringency is produced economically in high yield and high efficiency by dramatically accelerating an enzymatic reaction with a less addition amount of tannase. A process for producing a purified tea extract of the invention is characterized by comprising a first step of removing a water-insoluble solid material in a first tea extract such that a turbidity at the time of adjusting the concentration of non-polymerized catechins to 0.7% by mass is 0.1 NTU to 100 NTU to obtain a second tea extract; and a second step of treating the second tea extract containing non-polymerized catechins at a concentration of 0.05 to 4.0% by mass with tannase.

Inventors:
SHIKATA KENICHI (JP)
SATO HITOSHI (JP)
SHIBATA KEIJI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/003990
Publication Date:
July 09, 2009
Filing Date:
December 26, 2008
Export Citation:
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Assignee:
KAO CORP (JP)
SHIKATA KENICHI (JP)
SATO HITOSHI (JP)
SHIBATA KEIJI (JP)
International Classes:
A23F3/16
Foreign References:
JP2007089561A2007-04-12
JP2007135579A2007-06-07
JP2007274920A2007-10-25
JP2004321105A2004-11-18
JP2007061083A2007-03-15
JP2007295891A2007-11-15
JPH02128650A1990-05-17
JPS59219384A1984-12-10
JPH0420589A1992-01-24
JPH05260907A1993-10-12
JPH05306279A1993-11-19
Other References:
See also references of EP 2225952A4
Attorney, Agent or Firm:
THE PATENT CORPORATE BODY ARUGA PATENT OFFICE (3-6 Nihonbashiningyocho 1-chom, Chuo-ku Tokyo, JP)
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Claims:
 非重合体カテキン類濃度を0.7質量%に調整したときの濁度が0.1NTU~100NTUになるように、第1の茶抽出物中の水不溶性固形分を除去して第2の茶抽出物を得る第1の工程と、
 非重合体カテキン類濃度が0.05~4.0質量%の第2の茶抽出物をタンナーゼ処理する第2の工程
を含む、精製茶抽出物の製造方法。
 水不溶性固形分を15℃よりも高い温度で除去する、請求項1記載の製造方法。
 水不溶性固形分を、膜処理、濾過及び遠心分離から選ばれる少なくとも1種の固液分離手段により除去する、請求項1又は2記載の製造方法。
 膜処理に使用する膜の孔径が0.01~1μmである、請求項3記載の製造方法。
 非重合体カテキン類中のガレート体率が0.1~50質量%になるようにタンナーゼ処理する、請求項1~4のいずれか1項に記載の製造方法。
 タンナーゼ処理を5~45℃で行う、請求項1~5のいずれか1項に記載の製造方法。
 タンナーゼを、非重合体カテキン類濃度が0.67質量%の第2の茶抽出物1gに対して0.02~0.75Unit添加する、請求項1~6のいずれか1項に記載の製造方法。
 請求項1~7のいずれか1項に記載の製造方法により得られた精製茶抽出物。
Description:
精製茶抽出物の製造方法

 本発明は精製茶抽出物の製造方法に関す 。

 緑茶抽出液の風味を改善する方法として、 茶抽出液をタンナーゼ処理する方法が知ら ている(特許文献1)。また、高品質な精製緑 抽出物を製造することを意図して、緑茶抽 物をタンナーゼ処理して得られた緑茶抽出 水溶液を、膜孔径0.05~0.8μmの特定の高分子 に通過させる方法が提案されている(特許文 2)。さらに、風味及び外観に優れた茶抽出 の製造を意図して、茶抽出液を15℃以下、好 ましくは10℃以下に冷却し不溶性固形分を除 した後、タンナーゼ処理する方法も提案さ ている(特許文献3)。
 一方、タンナーゼの反応速度向上を目的と て、タンナーゼが固定された濾過膜に茶抽 物を透過させる方法も知られている(特許文 献4)。

特開2004-321105号公報

特開2007-61083号公報

特開2007-295891号公報

特開平2-128650号公報

 本発明は、非重合体カテキン類濃度を0.7質 %に調整したときの濁度が0.1NTU~100NTUになる うに、第1の茶抽出物中の水不溶性固形分を 去して第2の茶抽出物を得る第1の工程と、
 非重合体カテキン類の濃度が0.05~4.0質量%の 2の茶抽出物をタンナーゼ処理する第2の工
を含む、精製茶抽出物の製造方法を提供する ものである。
 本発明はまた、上記製造方法により得られ 精製茶抽出物を提供するものである。

発明の実施の形態

 上記従来の方法においては、次のような 題がある。すなわち、特許文献1に記載の方 法によれば、ガレート体率が制御された風味 の良好な緑茶抽出物が得られるが、緑茶抽出 液に対するタンナーゼの使用量が多く、しか も処理時間が長いために非効率的であるだけ なく、緑茶抽出物を所望の組成に調整するこ とが難しい。また、特許文献2に記載の方法 、色相及び安定性に優れる精製緑茶抽出物 効率よく得られるものの、上記と同様にタ ナーゼの使用量及び処理時間の点で改善の 地がある。さらに、特許文献3に記載の方法 は、冷却時に非重合体カテキン類がカフェ ン等と複合体を形成して不溶化し沈殿や濁 を生じるクリームダウンと呼ばれる現象に り、非重合体カテキン類の収率が大きく低 してしまう。一方、特許文献4に記載の方法 は、タンナーゼの濾過膜への固定化率が低く 、多量の酵素を要するという問題があり、し かも茶抽出物を濾過膜に透過させた後、当該 濾過膜を洗浄、殺菌等する必要があることか ら、効率的な方法とは言い難い。

 本発明者らは、上記問題点に鑑みて検討 た結果、タンナーゼ処理すべき茶抽出物の 度及び非重合体カテキン類濃度を特定範囲 に制御することで、より少ないタンナーゼ 添加量で酵素反応を飛躍的に促進させて苦 及び渋味が抑制された精製茶抽出物を効率 く且つ経済的に製造できることを見出した

 本発明によれば、所定の濁度になるよう 水不溶性固形分を除去し、次いで非重合体 テキン類を所定の濃度に調整した茶抽出物 タンナーゼ処理することで、より少ない酵 量で酵素反応を飛躍的に促進できるため、 味及び渋味が抑制された精製茶抽出物を効 よく且つ経済的に製造することができる。 たがって、本発明の製造方法は、製造に要 る労力(時間等)及びコストを大幅に軽減す ことができるため、工業的規模での精製茶 出物の生産に有効である。

 本発明において「非重合体カテキン類」 は、カテキン、ガロカテキン、カテキンガ ート、ガロカテキンガレート等の非エピ体 テキン類、及びエピカテキン、エピガロカ キン、エピカテキンガレート、エピガロカ キンガレート等のエピ体カテキン類をあわ ての総称である。非重合体カテキン類濃度 、上記8種の合計量に基づいて定義される。

 本発明における「非重合体カテキン類の レート体」とは、カテキンガレート、ガロ テキンガレート、エピカテキンガレート及 エピガロカテキンガレートの4種をあわせて の総称であり、「非重合体カテキン類中のガ レート体率」とは、上記8種の非重合体カテ ン類の質量和に対する非重合体カテキンガ ート体4種の質量和の100分率の値である。

 本発明の精製茶抽出物の製造方法は、第1の 工程と、第2の工程を含むことを特徴とする 以下、各工程について詳細に説明する。
(第1の工程)
 本発明に係る第1の工程は、非重合体カテキ ン類濃度を0.7質量%に調整したときの濁度が0. 1~100NTUになるように、第1の茶抽出物中の水不 溶性固形分を除去して第2の茶抽出物を得る 程である。

 第1の茶抽出物としては、例えば、茶葉から 得られた抽出物が挙げられ、この抽出物は濃 縮や精製操作が行われていないものである。 すなわち、第1の茶抽出物は、茶抽出液を包 する概念であり、非重合体カテキンを1種以 含有するものである。
 抽出に使用する茶葉としては、発酵度合い り、不発酵茶、半発酵茶又は発酵茶が挙げ れる。不発酵茶としては、Camellia属、例え C.sinensis及びC.assamica、やぶきた種又はそれら の雑種等から得られる茶葉から製茶された、 煎茶、番茶、玉露、てん茶、釜炒り茶等の緑 茶類が挙げられる。半発酵茶又は発酵茶とし ては、Camellia属、例えばC.sinensis及びC.assamica やぶきた種、若しくはそれらの雑種から得 れる茶から半発酵又は発酵工程を経て製茶 れた、紅茶、烏龍茶、黒茶等が挙げられる 中でも、非重合体カテキン類の含有割合の い不発酵茶が好ましく、第1の茶抽出物とし は緑茶抽出物が特に好ましい。
 第1の茶抽出物中の非重合体カテキン類濃度 は、0.5~4.0質量%であることが好ましく、0.5~2.0 質量%であることが特に好ましい。

 茶葉からの抽出は、抽出溶媒として水を 用し、ニーダー抽出、攪拌抽出(バッチ抽出 )、向流抽出(ドリップ抽出)、カラム抽出等の 公知の方法により行うことができる。抽出の 際、水にあらかじめアスコルビン酸又はその ナトリウム塩等の有機酸又はその塩類を添加 してもよい。また、煮沸脱気や窒素ガス等の 不活性ガスを通気して溶存酸素を除去しつつ 、いわゆる非酸化的雰囲気下で抽出する方法 を併用してもよい。

 本工程においては、第1の茶抽出物として 茶葉から抽出した抽出物を使用する代わりに 、茶抽出物の濃縮物又は乾燥物を水に希釈又 は溶解したものを用いてもよく、また茶葉か らの抽出物と、茶抽出物の濃縮物又は乾燥物 の希釈液又は溶解液とを併用してもよい。こ こで、茶抽出物の濃縮物又は乾燥物とは、茶 葉から熱水又は水溶性有機溶媒により抽出さ れた抽出物を濃縮又は乾燥したものであり、 例えば、特開昭59-219384号公報、特開平4-20589 公報、特開平5-260907号公報、特開平5-306279号 報等に記載の方法により調製することがで る。茶抽出物の濃縮物又は乾燥物として市 品を使用してよく、例えば、三井農林社製 ポリフェノン」、伊藤園社製「テアフラン 、太陽化学社製「サンフェノン」等が挙げ れる。なお、茶抽出物の濃縮物の形態とし は、例えば、液体、スラリー、半固体、固 が挙げられる。

 本工程においては、非重合体カテキン類 度を0.7質量%に調整したときの濁度が0.1~100NT Uになるように、第1の抽出物中の水不溶性固 分を除去するが、水不溶性固形分の除去方 としては、膜処理、濾過及び遠心分離から ばれる少なくとも1種の固液分離手段を採用 することができる。中でも、膜処理、特に精 密濾過(MF)が水不溶性固形分をより確実に除 して所望の濁度に調整しやすい点で好まし 。本工程においては、これらの固液分離手 を組み合わせて行うことが特に好ましく、 えば、茶抽出物を濾過及び/又は遠心分離処 により固形分と水溶性部分とに固液分離し 後、水溶性部分を膜処理する方法が挙げら る。これにより、従来に比してより一層少 い酵素量で酵素反応を促進させ、ガレート 率を短時間で低減できる。ここで、「水不 性固形分」とは、茶抽出物由来の水に不溶 固形物であり、例えば、多糖類、タンパク 、又はこれらの複合体等の水不溶の固形物 挙げられる。

 茶抽出物を冷却すると、茶抽出物中のポリ ェノールは、例えばカフェインと水に不溶 複合体を形成してクリームダウンを生じる 、15℃以下、特に10℃以下の温度に冷却する と、複合体の析出量が顕著に増加し、非重合 体カテキン類の収率が大きく低下する。その ため、本工程においては、クリームダウンの 発生による非重合体カテキン類の収率低下を 防止すべく、水不溶性固形分の除去操作中に クリームダウンを生じない温度で水不溶性固 形分を除去することが好ましい。ここで、「 クリームダウンを生じない温度」とは、水不 溶性固形分除去後の非重合体カテキン類の収 率が90%以上となる温度をいう。
 水不溶性固形分を除去する際の温度は、具 的には、15℃超、16℃以上、更に20℃以上、 に25℃以上であることが好ましい。なお、 かる温度の上限は、茶抽出物の風味維持の 点から、50℃、特に40℃であることが好まし 。

 水不溶性固形分を膜処理により除去する 合、圧力は、例えば、30~400kPa、更に50~400kPa 特に50~350kPaであることが好ましい。膜孔径 しては、濁度を簡便に調整できる点から、0 .01~1μm、更に0.05~0.45μm、特に0.1~0.25μmが好ま い。なお、膜孔径の測定方法としては、水 圧入法、バブルポイント試験、細菌ろ過法 どを用いた一般的な測定方法が挙げられる 、バブルポイント試験で求めた値を用いる とが好ましい。

 また、本発明で使用できる膜としては、例 ば、炭化水素系、フッ素化炭化水素系又は ルホン系の高分子膜、セラミック膜が挙げ れる。炭化水素系高分子膜としては、例え 、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリ レフィン系高分子膜が挙げられる。フッ素 炭化水素系高分子膜としては、例えば、ポ テトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニリ ンジフルオライド(PVDF)等のフッ素化ポリオ フィン系高分子膜が挙げられる。スルホン 高分子膜としては、例えば、ポリスルフォ (PSU)、ポリエーテルスルフォン(PES)等が挙げ られる。セラミック膜としては、例えば、α- Al 2 O 3 等が挙げられる。中でも、ポリオレフィン系 高分子膜、フッ素化ポリオレフィン系高分子 膜、セラミック膜が洗浄性、膜負荷の点で好 ましい。また、高温での膜洗浄、殺菌の観点 から、セラミック膜が好ましく、濾過性の観 点から、ポリオレフィン系高分子膜、フッ素 化ポリオレフィン系高分子膜が好ましい。な お、膜の種類としては、平膜、スパイラル膜 、中空糸膜等が挙げられる。中でも、スパイ ラル膜や中空糸膜等の連続処理型のものが、 より一層効率的に処理できる点で好ましい。

 また、遠心分離は、分離板型、円筒型、 カンター型などの一般的な機器を使用する とができる。遠心分離条件は所望の濁度に るように適宜決定することができるが、回 数と時間は、例えば、分離板型の場合、3000 ~10000rpm、更に5000~10000rpm、特に6000~10000rpmで、0 .2~30分、更に0.2~20分、特に0.2~15分であること 好ましい。

 濾過は、通常、粗濾過を目的として他の 液分離手段と組み合わせて行われるが、例 ば、ろ紙、ステンレス等の金属製フィルタ を使用することができる。金属フィルター メッシュサイズは、18~300メッシュであるこ が好ましい。

 このようにして得られた第2の茶抽出物の 濁度は、非重合体カテキン類濃度が0.7質量% おいて0.1~100NTUであるが、苦味渋味の抑制及 タンナーゼの反応速度向上の観点から、0.1~ 50NTUが好ましく、更に0.1~35NTU、更に0.1~30NTU、 に0.1~20NTUが好ましい。濁度がこのような範 であると、タンナーゼの反応速度を飛躍的 向上させることが可能であり、また茶抽出 の安定性に優れ、苦味及び渋味を十分抑制 ることができる。ここで、本発明において 濁度」とは、第2の茶抽出物を非重合体カテ キン類濃度が0.7質量%なるようにイオン交換 で希釈し、波長範囲850nm、90°透過散乱比較 式にて測定したものをいう。

(第2の工程)
 本発明に係る第2の工程は、非重合体カテキ ン類の濃度が0.05~4.0質量%の第2の茶抽出物を ンナーゼ処理する工程である。これにより 苦味及び渋味が顕著に低減された精製茶抽 物が得られる。
 第2の茶抽出物中の非重合体カテキン類濃度 が0.05~4.0質量%の範囲内にない場合には、タン ナーゼ処理を行う前に、第2の茶抽出物に水 添加して希釈するか、又は第2の茶抽出物を 縮することにより、非重合体カテキン類濃 を上記範囲内に調整することができる。
 タンナーゼ処理する際の第2の茶抽出物は、 非重合体カテキン類濃度が0.05~4.0質量%である が、0.1~1.0質量%、更に0.1~0.9質量%、更に0.2~0.8 量%、特に0.25~0.75質量%であることが、処理 率向上の点で好ましい。非重合体カテキン 濃度が4.0質量%を超えると、反応速度が低下 、必要な酵素量が増加することから好まし ない。他方、0.05質量%未満であると、液量 加にともなう酵素失活時における熱量負荷 増加することから好ましくない。
 ここで、「非重合体カテキン類のガレート の濃度」は「非重合体カテキン類濃度」と 非重合体カテキン類中のガレート体率」と 積で表すことができるが、例えばガレート 率が50質量%の場合、非重合体カテキン類濃 が0.05~4.0質量%、0.1~1.0質量%、0.2~0.8質量%、0.2 5~0.75質量%である茶抽出物の「非重合体カテ ン類のガレート体の濃度」は、それぞれ0.03~ 2.0質量%、0.05~0.5質量%、0.1~0.4質量%、0.13~0.38質 量%に相当する。
 本工程で使用するタンナーゼは、非重合体 テキン類を加水分解する活性を有するもの あればよい。具体的には、アスペルギルス 、ペニシリウム属、リゾプス属等のタンナ ゼ生産菌を培養して得られるタンナーゼを 用できる。このうち、アスペルギルス オ ーゼ由来のものが特に好ましい。タンナー は、粉末状でも、溶液状の形態であっても い。

 タンナーゼの添加量は、非重合体カテキン 濃度が0.67質量%の茶抽出物1gに対して0.02~0.75 Unitであることが好ましく、添加量の低減及 酵素反応の制御性から、0.04~0.45Unit、特に0.06 ~0.30Unitであることが好ましい。ここで1Unitは 30℃の水中においてタンニン酸に含まれる ステル結合を1マイクロモル加水分解する酵 量で定義される。
 タンナーゼ添加後、非重合体カテキン類中 ガレート体率が、好ましくは0.1~50質量%、更 に好ましくは1~40質量%、特に好ましくは10~30 量%に達するまで、好ましくは5~45℃、更に好 ましくは15~40℃に反応温度を保持することが ましい。

 タンナーゼ処理によるガレート体率の制 は処理時の茶抽出物のpH挙動によって反応 終点を決定することが好ましい。当該pHは3~6 、特に3.5~5.5であることが好ましい。これに り、所望のガレート体率を有する精製茶抽 物を簡便に調製することができる。

 タンナーゼ処理における平均反応時間と ては、風味の維持の観点から、反応時間の 限を300分とすることが好ましい。また、ガ ート率の制御の観点から、反応時間の下限 1分とすることが好ましい。すなわち、タン ナーゼの処理における平均反応時間としては 、1~300分が好ましく、更に10~120分、特に20~90 であることが好ましい。

 その後、できるだけ速やかに45~95℃、好 しくは75~95℃まで昇温し、タンナーゼを失活 させることにより反応を停止する。タンナー ゼの失活処理時間としては90℃以上であれば2 分以上、80℃以上であれば5分以上とすること が望ましい。酵素反応の失活方法としては、 バッチ式で加熱する方法、又はプレート型熱 交換機、ホールディングチューブ等を使用し た連続保持式で加熱を行う方法などが挙げら れる。タンナーゼの失活処理により、その後 のガレート体率の低下を防止でき、目的とす るガレート体率の茶抽出物を得やすくなる。

 このようにして得られた本発明の精製茶抽 物は、そのまま飲料等に配合することがで る。また、水分を留去した濃縮物又は乾燥 た固形物、粉末、造粒物のように、精製茶 出物を高濃度化してもよい。
 濃縮又は乾燥による高濃度化方法としては 例えば、減圧濃縮、逆浸透膜濃縮、噴霧乾 、凍結乾燥法、スプレードライ法が挙げら る。精製された茶抽出物は、減圧濃縮又は 霧乾燥法での熱負荷や、逆浸透膜濃縮法で 膜の閉塞が従来に比べ低減されるため、飲 配合時において安定性の優れた高濃度非重 体カテキン類含有精製茶抽出物を効率よく られる。効率的な高濃度化方法として、例 ば、まず減圧濃縮又は逆浸透膜濃縮法によ 、固形分濃度5~60質量%まで一次濃縮を行い その後用途に応じて、噴霧乾燥又は凍結乾 法により、粉末化する方法が好ましく採用 れる。

 本発明の精製茶抽出物は、上記工程によ 、高分子又は脂質等の夾雑物が除去され、 時安定性が改善されるが、更にこれを有機 媒及び水の混合溶液中に分散し、次いで活 炭と、酸性白土又は活性白土とで接触処理 ることができる。これにより、非重合体カ キン類を高濃度に含有していながら、より 層経時安定性に優れた、高品質な低カフェ ン含量の精製茶抽出物が得られる。

 有機溶媒と水との含有質量比は、60/40~97/3 が好ましく、更に60/40~95/5、特に85/15~95/5とす のが、非重合体カテキン類の抽出効率、茶 出物の精製、長期間の飲用性及び有機溶媒 回収効率等の点で好ましい。

 有機溶媒としては、エタノール、メタノ ル等のアルコール、アセトン等のケトン、 酸エチル等のエステル等が挙げられる。こ らのうち、アルコール、ケトンの親水性有 溶媒が好ましく、特に食品への使用を考慮 ると、アルコール、特にエタノールが好ま い。水としては、イオン交換水、水道水、 然水等が挙げられる。

 精製茶抽出物の使用量(乾燥質量換算)は 有機溶媒と水の混合溶液100質量部に対して 10~40質量部、更に10~30質量部、特に15~30質量 であるのが、精製茶抽出物を効率よく処理 きる点で好ましい。

 有機溶媒と水の混合溶液に添加した後、1 0~180分程度の熟成時間を設けると更に好まし 。これらの処理は、10~60℃、更に10~50℃、特 に10~40℃で行うことが好ましい。

 活性炭は、有機溶媒と水の混合溶液100質 部に対して0.5~8質量部、特に0.5~3質量部添加 することが、カフェイン除去効率、ろ過工程 におけるケーク抵抗低減の点で好ましい。ま た、活性炭と、酸性白土又は活性白土との配 合割合(質量比)は、活性炭:酸性白土又は活性 白土=1:1~10、特に1:1~6であることが好ましい。

 このようにして製造された精製茶抽出物 の非重合体カテキン類(A)とカフェイン(B)と 含有質量比[(A)/(B)]は4~200、更に5~200、また更 に15~200、特に30~200であることが好ましい。

 本発明の精製茶抽出物中には、非重合体 テキン類を5~90質量%、更に10~90質量%含有す ことが好ましい。また、本発明の精製茶抽 物は、固形分中に非重合体カテキン類を25~90 質量%、更に30~90質量%含有することが好まし 。

 本発明の精製茶抽出物は、苦味及び渋味 著しく低減されているにも拘らず、高い非 合体カテキン類濃度を維持しており、かつ 相がよい。したがって、本発明の精製緑茶 出物は容器詰飲料へ利用する上で有用であ 、特に緑茶、烏龍茶、ブレンド茶、紅茶、 茶等の茶系飲料、スポーツ飲料、アイソト ック飲料、ニアウォーター等の非茶系飲料 して有用である。

 容器詰飲料中には、水に溶解状態にある 重合体カテキン類を0.03~1.0質量%含有するこ が好ましく、より好ましくは0.04~0.5質量%、 り一層好ましくは0.06~0.4質量%、更に好まし は0.08~0.3質量%、特に好ましくは0.1~0.3質量% ある。非重合体カテキン類の含有量がこの 囲にあると、多量の非重合体カテキン類を 易に摂取しやすく、飲料調製直後の色調の からも好ましい。非重合体カテキン類の濃 は、タンナーゼ処理された精製茶抽出物の 合量によって調整することができる。

 本発明の容器詰飲料としては、非重合体 テキン類中のガレート体率が0~63質量%、更 5~56質量%、特に5~48質量%であることが好まし 。

 容器詰飲料のpH(25℃)は2~7、更に2~6.5、特 3~4.5に調整することが非重合体カテキン類の 安定性の点で望ましい。

 容器詰飲料は、苦渋味抑制剤を配合する 飲用しやすくなり好ましい。苦渋味抑制剤 しては特に限定されるものではないが、サ クロデキストリンが好ましい。サイクロデ ストリンとしては、α-、β-、γ-サイクロデ ストリン及び分岐サイクロデキストリンを 用できる。また、容器詰飲料には、酸化防 剤、香料、各種エステル類、有機酸類、有 酸塩類、無機酸類、無機酸塩類、無機塩類 色素類、乳化剤、保存料、調味料、酸味料 ガム、乳化剤、油、ビタミン、アミノ酸、 汁エキス類、野菜エキス類、花蜜エキス類 pH調整剤、品質安定剤等の添加剤を単独、 るいは併用して配合できる。

 容器詰飲料に使用される容器としては、 般の飲料と同様にポリエチレンテレフタレ トを主成分とする成形容器(いわゆるPETボト ル)、金属缶、金属箔やプラスチックフィル と複合された紙容器、瓶等の通常の包装容 が挙げられる。

 容器詰飲料は、例えば、金属缶のように 器に充填後、加熱殺菌できる場合にあって 適用される法規(日本にあっては食品衛生法 )に定められた殺菌条件で製造されるが、PET トル、紙容器のようにレトルト殺菌できな ものについては、あらかじめ上記と同等の 菌条件、例えばプレート式熱交換器等で高 短時間殺菌後、一定の温度迄冷却して容器 充填する等の方法が採用される。また無菌 で、充填された容器に別の成分を配合して 填してもよい。更に、酸性下で加熱殺菌後 無菌下でpHを中性に戻すことや、中性下で加 熱殺菌後、無菌下でpHを酸性に戻す等の操作 可能である。

非重合体カテキン類の測定
 茶抽出物を蒸留水で希釈し、フィルター(0.8 μm)でろ過した試料を、高速液体クロマトグ フ(型式SCL-10AVP、島津製作所社製)を用い、オ クタデシル基導入液体クロマトグラフ用パッ クドカラム(L-カラムTM ODS、4.6mmφ×250mm:財団 人 化学物質評価研究機構製)を装着し、カ ム温度35℃で、A液及びB液を用いたグラジエ ト法により行った。移動相A液は酢酸を0.1mol /L含有する蒸留水溶液、B液は酢酸を0.1mol/L含 するアセトニトリル溶液とし、試料注入量 20μL、UV検出器波長は280nmの条件で行った。

濁度の測定
 各茶抽出物を非重合体カテキン類濃度が0.7 量%になるようにイオン交換水で希釈し、そ れを試料として下記の分析機器及び条件で測 定を行った。

(分析機器)
  濁度計:Turbidimeter/TN-100 EUTECH INSTRUMENTS社製
  波長範囲:850nm
  方式:90°透過散乱比較方式

風味の評価
 各精製茶抽出物を、非重合体カテキン類濃 が0.175質量%になるようにイオン交換水で希 し、パネラー5名で協議して、風味(苦味、 味)を下記の基準で評価した。

(風味の評価基準)
 A:苦味及び渋味が少ない。
 B:苦味及び渋味をやや感じる。
 C:苦味及び渋味が多い。

総合評価
 総合評価は、風味評価と固液分離時の非重 体カテキン類の収率を考慮し、協議により 記の基準で行った。

(総合評価基準)
 A:精製茶抽出物の製造条件として最もよい
 B:精製茶抽出物の製造条件としてややよい
 C:精製茶抽出物の製造条件としてよい。
 D:精製茶抽出物の製造条件としてやや劣る
 E:精製茶抽出物の製造条件として劣る。

実施例1
 乾燥茶葉75gを、温度90℃のイオン交換水0.75L で30分間抽出し、80mesh、200meshのステンレスフ ィルターで粗ろ過して茶抽出物(1)を得た。次 いで、粗濾過して回収した茶葉を、再度、温 度90℃のイオン交換水0.75Lで30分間抽出し、80m esh、200meshのステンレスフィルターで粗ろ過 て茶抽出物(2)を得た。茶抽出物(1)と、茶抽 物(2)とを混合し、第1の茶抽出物を得た。次 で、第1の茶抽出物を膜孔径0.2μmのセラミッ クフィルターに温度40℃、圧力100kPaにて透過 せ、濁度を3.10NTUに低減した第2の茶抽出物 得た。その後、第2の茶抽出物に非重合体カ キン類濃度が0.67%質量になるように加水し (pH5.4)。次いで、加水後の第2の茶抽出物1gに してタンナーゼ(キッコーマン社製:タンナ ゼKTFH)を0.25Unit添加し、40℃においてタンナ ゼ処理を30分間行った。次いで、ガレート体 率が25質量%になったところで(pH4.8)、90℃で2 間加熱して酵素を失活させ、反応を止めて 却した。次いで、反応液を、逆浸透膜を用 て固形分濃度17質量%まで濃縮処理を行い、 霧乾燥を行って粉末状の精製茶抽出物を得 。精製茶抽出物の製造条件及び評価結果を 1に示す。

実施例2
 実施例1で得た第1の茶抽出物を、0.1μmのポ オレフィン膜(旭化成ケミカルズ株式会社:PSP -003)に透過させたこと以外は、実施例1と同様 の方法で粉末状の精製茶抽出物を得た。精製 茶抽出物の製造条件及び評価結果を表1に示 。

比較例1
 実施例1で得た第1の茶抽出物を膜処理せず タンナーゼを0.25Unit添加して60分間処理し、 レート体率を25質量%に調整したこと以外は 実施例1と同様の方法で粉末状の精製茶抽出 物を得た。精製茶抽出物の製造条件及び評価 結果を表2に示す。

比較例2
 実施例1で得た第1の茶抽出物を、非重合体 テキン類濃度が0.63%質量になるように加水し 、加水後の第1の茶抽出物1gに対してタンナー ゼ(キッコーマン社製:タンナーゼKTFH)を0.25Unit 添加し、40℃においてタンナーゼ処理を60分 行った(pH4.8)。次いで、ガレート体率が25質 %になったところで、90℃で2分間加熱して酵 を失活させ、反応を止めて冷却した。次い 、タンナーゼ処理した茶抽出物を膜孔径0.2 mのセラミックフィルターに透過させ、濁度 3.0NTUに低減した。次いで、得られた茶抽出 を、逆浸透膜を用いて固形分濃度17%質量ま 濃縮処理を行い、噴霧乾燥を行って粉末状 精製茶抽出物を得た。精製茶抽出物の製造 件及び評価結果を表2に示す。

比較例3
 タンナーゼ処理を行わなかったこと以外は 比較例1と同様の方法で粉末状の茶抽出物を 得た。精製茶抽出物の製造条件及び評価結果 を表2に示す。

比較例4
 乾燥茶葉50gを、温度90℃のイオン交換水0.75L で30分間抽出し、80mesh、200meshのステンレスフ ィルターで粗ろ過して茶抽出物を得た。得ら れた茶抽出物は非重合体カテキン類濃度が0.9 4%質量であり、濁度は676NTUであった。この茶 出物1gに対してタンナーゼ(キッコーマン社 :タンナーゼKTFH)を0.25Unit添加し、25℃におい てタンナーゼ処理を60分間行った(pH4.8)。次い で、90℃で2分間加熱して酵素を失活させ、反 応を止めて冷却した。得られた精製茶抽出物 のガレート体率は17質量%であった。精製茶抽 出物の製造条件及び評価結果を表2に示す。

比較例5
 乾燥茶葉50gを、温度90℃のイオン交換水0.75L で30分間抽出し、6000rpmにて10分間遠心分離を った。得られた茶抽出物は非重合体カテキ 類の濃度が0.93%質量であり、濁度は247NTUで った。この茶抽出物1gに対してタンナーゼ( ッコーマン社製:タンナーゼKTFH)を0.25Unit添加 し、25℃においてタンナーゼ処理を60分間行 た。次いで、溶液のpH4.8で反応を止め、90℃ 2分間加熱して酵素を失活させ、反応を止め て冷却した。得られた精製茶抽出物のガレー ト体率は16質量%であった。精製茶抽出物の製 造条件及び評価結果を表2に示す。

実施例3
 セラミック膜に代えてPTFE膜を使用し、不溶 性固形分の固液分離を25℃で行ったこと以外 、実施例1と同様の方法により粉末状の精製 茶抽出物を得た。精製茶抽出物の製造条件及 び評価結果を表1に示す。

実施例4
 不溶性固形分の固液分離を20℃で行ったこ 以外は、実施例3と同様の方法により粉末状 精製茶抽出物を得た。精製茶抽出物の製造 件及び評価結果を表1に示す。

実施例5
 不溶性固形分の固液分離を10℃で行ったこ 以外は、実施例3と同様の方法により粉末状 精製茶抽出物を得た。精製茶抽出物の製造 件及び評価結果を表1に示す。

比較例6
 実施例1で得られた第2の茶抽出物を非重合 カテキン類の濃度が8.50質量%になるように濃 縮を行い、濃縮後の第2の茶抽出物1gに対して タンナーゼ(キッコーマン社製:タンナーゼKTFH )を3.17Unit添加し、40℃においてタンナーゼ処 を30分間行った。それ以外は、実施例1と同 の方法で粉末状の精製茶抽出物を得た。精 茶抽出物の製造条件及び評価結果を表2に示 す。

 比較例1は茶抽出物の濁度を調整すること なくタンナーゼ処理した例であるが、ガレー ト体率を約25質量%に制御した際の反応時間を 実施例1と比較すると、実施例1の反応時間は 較例1に対して半減することが確認された。 また、比較例2は茶抽出物をタンナーゼ処理 た後に所定の濁度になるように水不溶性固 分を除去した例であるが、比較例1と同様に 素反応の促進効果が不十分となる結果が得 れた。これらの結果から、所定の濁度にな ように茶抽出物中の水不溶性固形分を除去 た後、タンナーゼ処理することの意義が明 かとなった。また、風味評価の結果から、 ンナーゼ処理工程が短時間ですむと、茶抽 物の経時劣化による風味悪化を合わせて抑 できることが判明した。

 実施例1~3における固液分離後の非重合体 テキン類の収率は98%以上と高収率であった 、実施例5では所定の濁度に調整したにも拘 らず固液分離後の非重合体カテキン類の収率 が89%に低下した。実施例3と実施例5との比較 行うと、固液分離時の温度のみが相違する とから、実施例5において固液分離後の非重 合体カテキン類の収率が低下した要因は、固 液分離を10℃という低温で実施したことに起 してクリームダウンが発生したことによる のと推察される。

 また、実施例4は、実施例3の不溶性固形 の固液分離を温度20℃で行った例であるが、 固液分離後の非重合体カテキン類の収率は94% であり、実施例5の89%に比べて高い結果が得 れた。また、タンナーゼの反応速度におい 、その指標であるガレート率の減少値が実 例4は実施例3とほぼ同等であることから、不 溶性固形分の分離の温度としては15℃よりも く且つ40℃以下が好ましいと考えられる。

 比較例6は、実施例1のタンナーゼの処理 件が異なる例である。すなわち、比較例6は 実施例1と非重合体カテキン類あたりのタン ナーゼ量はほぼ同じであるが、非重合体カテ キン類濃度を8.50質量%で反応を行った例であ 。反応温度、反応時間は実施例1と同等であ るが、反応速度が非常に遅く反応後のガレー ト率は50質量%にまでしか低減できなかった。 この結果から、第2の工程におけるタンナー 処理条件としては、第2の茶抽出物の非重合 カテキン類濃度を0.05~4.0質量%にすることが 効であると考えられる。また、得られた精 茶抽出物は苦味及び渋味が強く感じられる とが確認された。

 一方、比較例4は比較例1と同様に茶抽出 の濁度を調整することなくタンナーゼ処理 た例であり、また比較例5は水不溶性固形分 十分に除去しなかった例であるが、得られ 精製茶抽出物は茶から単に抽出したに過ぎ い比較例3と同様に苦味及び渋味が強く感じ られることが確認された。

 これらの結果から、所定の濁度になるよ に固液分離時にクリームダウンを生じない 度で水不溶性固形分を除去した茶抽出物を ンナーゼ処理すれば、より少ない酵素量で 素反応を飛躍的に促進させて、非重合体カ キン類の収率を低下させることなく短時間 ガレート体率を大幅に低減できることが確 された。さらに、本実施例により得られた 製茶抽出物は、苦味及び渋味が顕著に抑制 れており、しかも目視による外観観察で色 が改善されていることが確認された。