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Title:
PROCESS FOR PRODUCING RAW FILM FOR RETARDATION FILM MADE OF POLYPROPYLENE RESIN
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/038132
Kind Code:
A1
Abstract:
A process for producing a raw film for a retardation film made of a polypropylene resin. From the raw film, a highly transparent film having almost no orientation can be obtained. The process for producing a raw film for a retardation film made of a polypropylene resin includes a step in which a melt sheet formed by extruding a molten polypropylene resin from a T-die (12) at 180-300°C is pressed between a cooling roll (16) having a surface temperature regulated to -5 to 30°C and a touch roll (14) having a surface temperature regulated to 80-150°C and is thereby cooled and solidified.

Inventors:
TAKAHATA HIROAKI (JP)
TAKAHASHI YOSHINORI (JP)
HINO KYOKO (JP)
ISHIGAMI YOSHIAKI (JP)
OZAKI SHUJI (JP)
FUJIOKA SHUJI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/066864
Publication Date:
March 26, 2009
Filing Date:
September 18, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SUMITOMO CHEMICAL CO (JP)
TAKAHATA HIROAKI (JP)
TAKAHASHI YOSHINORI (JP)
HINO KYOKO (JP)
ISHIGAMI YOSHIAKI (JP)
OZAKI SHUJI (JP)
FUJIOKA SHUJI (JP)
International Classes:
B29C48/08; B29C48/305; G02B5/30; G02F1/13363; B29K23/00; B29L7/00; B29L11/00
Foreign References:
JP2007010863A2007-01-18
JP2000229345A2000-08-22
JPH11156921A1999-06-15
Attorney, Agent or Firm:
HASEGAWA, Yoshiki et al. (Ginza First Bldg. 10-6, Ginza 1-chome, Chuo-k, Tokyo 61, JP)
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Claims:
 溶融されたポリプロピレン系樹脂をTダイから180℃以上且つ300℃以下で押し出すことで成形された溶融状シートを、表面温度が-5℃以上且つ30℃以下とされた冷却ロールと、表面温度が80℃以上且つ150℃以下とされた弾性変形可能な金属ロールとによって挟圧することで、冷却固化させる工程を備えるポリプロピレン系樹脂製位相差フィルム用原反フィルムの製造方法。
 前記金属ロール及び前記冷却ロールの内部には流路が設けられており、
 冷却固化させる前記工程では、前記流路内の液体が前記金属ロール及び前記冷却ロールに入る際の入口温度と、前記流路内の液体が前記金属ロール及び前記冷却ロールから出る際の出口温度との温度差を2℃以内とするように、前記流路内を流れる液体の流量を調整することを特徴とする請求項1に記載されたポリプロピレン系樹脂製位相差フィルム用原反フィルムの製造方法。
 冷却固化させる前記工程では、前記Tダイの吐出口から前記金属ロール及び前記冷却ロールによって前記溶融状シートが挟圧されるまでの間の長さを50mm以上且つ250mm以下に設定することを特徴とする請求項1又は2に記載されたポリプロピレン系樹脂製位相差フィルム用原反フィルムの製造方法。
Description:
ポリプロピレン系樹脂製位相差 ィルム用原反フィルムの製造方法

 本発明は、ポリプロピレン系樹脂製位相 フィルム用原反フィルムの製造方法に関す 。

 液晶表示装置(液晶パネル)の構成部材で る位相差フィルムや偏光子保護フィルム等 光学フィルムに対しては、コントラストや 野角の向上のために、高い光学的均質性が められている。

 ここで、位相差フィルムは、分子が同じ 向に且つ同じ程度に配向するように無配向 位相差フィルム用原反フィルムを延伸する とで製造される。つまり、配向軸と配向度 制御することにより、所望の位相差が均一 発現した位相差フィルムとなるわけである 従って、延伸前の位相差フィルム用原反フ ルムには、フィルムそのものにフィッシュ イやブツ、あるいはダイラインと呼ばれる ジ等の欠陥がないこと、高透明であること 厚み偏差が少ないこと、無配向であること 要求される。

 そこで、従来、溶融状態の環状オレフィン 脂(溶融樹脂)との剥離強度が75N以下となる 殊な材料でTダイの吐出口(リップ)をメッキ 、当該Tダイからフィルム状に吐出された溶 樹脂を、温度が(環状オレフィン樹脂のガラ ス転移温度Tg-30℃)以上且つ(環状オレフィン 脂のガラス転移温度Tg+30℃)以下となるよう 設定されたキャスティングロールと、温度 (キャスティングロールの温度-50℃)以上且つ キャスティングロールの温度以下となるよう に設定されたタッチロールとにより挟圧する ことで、冷却固化させる環状オレフィン系樹 脂フィルムの製造方法が知られている(例え 、特許文献1参照)。

特開2000-280315号公報

 しかしながら、引用文献1に記載された方 法では、溶融樹脂との接触時間が長いキャス ティングロールの表面温度の方が、溶融樹脂 との接触時間が極めて短いタッチロールの表 面温度よりも高くなっていた。そのため、特 にポリプロピレン系樹脂を用いた場合、製造 されたフィルムの透明性が損なわれてしまう という問題があった。

 そこで、本発明は、配向がほとんどなく つ透明性の高いフィルムを得ることが可能 ポリプロピレン系樹脂製位相差フィルム用 反フィルムの製造方法を提供することを目 とする。

 本発明に係るポリプロピレン系樹脂製位 差フィルム用原反フィルムの製造方法は、 融されたポリプロピレン系樹脂をTダイから 180℃以上且つ300℃以下で押し出すことで成形 された溶融状シートを、表面温度が-5℃以上 つ30℃以下とされた冷却ロールと、表面温 が80℃以上且つ150℃以下とされた弾性変形可 能な金属ロールとによって挟圧することで、 冷却固化させる工程を備える。

 本発明に係るポリプロピレン系樹脂製位 差フィルム用原反フィルムの製造方法では フィルム状に成形された溶融樹脂を、冷却 ールと、弾性変形可能な金属ロールとによ て挟圧している。そのため、フィルム状に 形された溶融樹脂の両面が冷却ロール(キャ スティングロール)及び弾性変形可能な金属 ール(タッチロール)によって冷却されるので 、溶融樹脂を素早く冷却固化することができ る。その結果、結晶が成長する前に溶融樹脂 を冷却固化することができるようになるので 、高い透明性を有するポリプロピレン系樹脂 製位相差フィルム用原反フィルムを製造する ことが可能となる。

 また、本発明に係るポリプロピレン系樹 製位相差フィルム用原反フィルムの製造方 では、冷却ロール及び弾性変形可能な金属 ールを用いている。そのため、フィルム状 成形された溶融樹脂を挟圧する際に、樹脂 まり(バンク)が極めて発生しにくくなって る。その結果、配向が発生しにくくなり、 相差が小さく、且つ、幅方向において位相 にムラがほとんどないポリプロピレン系樹 製位相差フィルム用原反フィルムを製造す ことが可能となる。

 また、本発明に係るポリプロピレン系樹 製位相差フィルム用原反フィルムの製造方 では、溶融状シートを、表面温度が-5℃以 且つ30℃以下とされた冷却ロールと、表面温 度が80℃以上且つ150℃以下とされた弾性変形 能な金属ロールとによって挟圧している。 なわち、弾性変形可能な金属ロールの表面 度が、冷却ロールの表面温度よりも高い温 に設定されている。そのため、溶融状シー が弾性変形可能な金属ロールからはがれや く、フィルムにしわ等の欠陥が入らず、鏡 状の良好なフィルムを得ることができる。 こで、冷却ロールの表面温度が-5℃よりも さい場合には、冷却ロールに空気中の水分 結露しやすくなるので、結露した水の痕が ィルムに転写され、表面状態が鏡面になら 、品質が不良になりやすい傾向にあり、冷 ロールの表面温度が30℃よりも大きい場合に は、得られるフィルムの透明性が低下する傾 向にあり、いずれの場合も好ましくない。ま た、弾性変形可能な金属ロールの表面温度が 80℃よりも小さい場合や150℃よりも大きい場 には、溶融状シートが弾性変形可能な金属 ールからはがれにくくなり、フィルムにし 等の欠陥が入りやすい傾向にあり、好まし ない。

 好ましくは、金属ロール及び冷却ロール 内部には流路が設けられており、冷却固化 せる工程では、流路内の液体が金属ロール び冷却ロールに入る際の入口温度と、流路 の液体が金属ロール及び冷却ロールから出 際の出口温度との温度差を2℃以内とするよ うに、前記流路内を流れる液体の流量を調整 する。このようにすると、厚み偏差が小さく 、全面にわたり均一な透明性を有するポリプ ロピレン系樹脂製位相差フィルム用原反フィ ルムを得ることが可能となる。

 好ましくは、冷却固化させる工程では、T ダイの吐出口から金属ロール及び冷却ロール によって溶融状シートが挟圧されるまでの間 の長さを50mm以上且つ250mm以下に設定する。T イの吐出口から金属ロール及び冷却ロール よって溶融状シートが挟圧されるまでの間( わゆる、エアギャップ)の長さHが250mmを超え ると、エアギャップにおいて配向が発生し、 ポリプロピレン系樹脂製位相差フィルム用原 反フィルム熱可塑性樹脂フィルムの位相差が 大きくなってしまう傾向にある。エアギャッ プの長さの下限に関しては、Tダイのサイズ 金属ロール及び冷却ロールの径などに依存 ることから、必然的に50mm程度となる。

 本発明によれば、配向がほとんどなく且 透明性の高いフィルムを得ることが可能な リプロピレン系樹脂製位相差フィルム用原 フィルムの製造方法を提供することができ 。

図1は、本実施形態に係るフィルム製造 システムの概略を示すブロック図である。 図2は、実施例1~6の各実施条件及びそれ らの評価結果を示す表である。 図3は、比較例1~3の各実施条件及びそれ らの評価結果を示す表である。

符号の説明

 1…フィルム製造システム、12…Tダイ、12a …吐出口、14…タッチロール(弾性変形可能な 金属ロール)、14a…金属内筒、14b…薄肉金属 筒、16,18…冷却ロール、F…ポリプロピレン 樹脂製位相差フィルム用原反フィルム、L… 体。

 本発明の好適な実施形態について、図面 参照して説明する。なお、説明において、 一要素又は同一機能を有する要素には同一 号を用いることとし、重複する説明は省略 る。

 (フィルム製造システムの構成)
 まず、図1を参照して、本実施形態に係るポ リプロピレン系樹脂製位相差フィルム用原反 フィルムの製造方法に用いられるフィルム製 造システム1の構成について説明する。フィ ム製造システム1は、押出機10、Tダイ12、タ チロール(弾性変形可能な金属ロール)14、冷 ロール16,18を備える。

 押出機10は、投入されたポリプロピレン 樹脂を溶融混練しつつ押し出して、溶融混 したポリプロピレン系樹脂(溶融樹脂)をTダ 12へと搬送するものである。

 Tダイ12は、押出機10と接続されており、 出機10から搬送された溶融樹脂を横方向に広 げるためのマニホールド(図示せず)をその内 に有している。また、Tダイ12には、マニホ ルドと連通すると共にマニホールドによっ 横方向に広げられた溶融樹脂を吐出する吐 口12aがその下部に設けられている。そのた 、Tダイ12の吐出口12aから吐出された溶融樹 は、フィルム状に成形されることとなる。

 Tダイ12としては、溶融樹脂の流路の壁面 微小な段差や傷のないものが好ましい。Tダ イ12の吐出口12a部分(リップ部分)は、溶融樹 (溶融した熱可塑性樹脂)との摩擦係数が小さ い材料であり、且つ、硬い材料でめっき、コ ーティング等(例えば、タングステンカーバ ド系、フッ素系の特殊めっき)がされている 、吐出口12aの先端部分の曲率半径を小さく ること(吐出口12aの先端部分をいわゆるシャ ープエッジと呼ばれる形状とすること)が可 であるため、好ましい。

 Tダイ12の吐出口12aの先端部分は、溶融樹 の流路の壁面の、吐出口12aにおける曲率半 が0.3mm以下とされたシャープエッジと呼ば る形状のものであると好ましい。このよう Tダイ12を用いることで、吐出口12aにおける やにの発生を抑制することができ、同時に イラインを抑制する効果も見られ、製造さ るポリプロピレン系樹脂製位相差フィルム 原反フィルムFの外観の均一性をより優れた のにできる。

 Tダイ12における溶融樹脂の吐出口12aから ッチロール14及び冷却ロール16によって溶融 樹脂が挟圧されるまでの間(いわゆる、エア ャップ)の長さHとしては、50mm~250mm程度であ と好ましく、50mm~180mm程度であるとより好ま い。エアギャップの長さHが250mmを超えると エアギャップにおいて配向が発生し、ポリ ロピレン系樹脂製位相差フィルム用原反フ ルムFの位相差が大きくなってしまう傾向に ある。エアギャップの長さHの下限に関して 、Tダイ12のサイズやタッチロール14及び冷却 ロール16,18の径などフィルム製造システム1に 依存することから、必然的に50mm程度となる

 タッチロール14は、例えば、特開平11-23574 7号公報に記載されている押さえロールと同 のものである。具体的には、タッチロール14 は、高剛性の金属内筒14aと、金属内筒14aの外 側に配置された薄肉金属外筒14bと、金属内筒 14aの内側に配置された流体軸筒14cと、金属内 筒14aと薄肉金属外筒14bとの間の空間及び流体 軸筒14c内を満たす液体Lと、液体Lの温度を調 するための温度調節手段(図示せず)とを有 る。

 金属内筒14a、薄肉金属外筒14b及び流体軸 14cは、同軸となるように配設されている。 属内筒14aには、その周方向に沿って複数の 通孔14dが設けられている。そのため、液体L は、流体軸筒14c、貫通孔14d、金属内筒14aと薄 肉金属外筒14bとの間の空間の順にタッチロー ル14の内部を循環するようになっている。

 薄肉金属外筒14bは、ステンレス鋼等によ て形成されており、その表面に継ぎ目が存 しておらず、可撓性を有している。薄肉金 外筒14bは、ゴム弾性に近い柔軟性と可撓性 復元性をもたせるために、弾性力学の薄肉 筒理論が適用できる範囲内で薄肉化が図ら ている。薄肉金属外筒14bとしては、その厚 が2000μm~5000μm程度で、その直径が200mm~500mm 度で、表面粗度が0.5S以下のものを用いるこ ができ、好ましくは表面粗度が0.2S以下であ る。薄肉金属外筒14bの厚みが2000μm未満であ と、タッチロール14と冷却ロール16とによっ 溶融樹脂を挟圧する際の圧力が不均一とな 傾向にあり、5000μmを超えると、薄肉金属外 筒14b(タッチロール14)の弾性が大きくなり、T イ12の吐出口12aから吐出された溶融樹脂の みの厚薄によっては当該溶融樹脂を挟圧す 際に樹脂溜まり(バンク)が発生してしまう傾 向にある。

 液体Lは、例えば水、エチレングリコール 、油を用いることができる。図示しない温度 調節手段によって液体Lの温度を調節するこ により、間接的に薄肉金属外筒14bの表面温 が調節されることとなる。

 冷却ロール16は、高剛性の金属外筒16aと 金属外筒16aの内側に配置された流体軸筒16b 、金属外筒16aと流体軸筒16bとの間の空間及 流体軸筒16b内を満たす液体Lと、液体Lの温度 を調節するための温度調節手段(図示せず)と 有する。冷却ロール18は、高剛性の金属外 18aと、金属外筒18aの内側に配置された流体 筒18bと、金属外筒18aと流体軸筒18bとの間の 間及び流体軸筒18b内を満たす液体Lと、液体L の温度を調節するための温度調節手段(図示 ず)とを有する。冷却ロール16,18としては、 の直径が200mm~800mm程度で、表面粗度が0.2S以 の鏡面のものを用いることができる。

 冷却ロール16,18においては、タッチロー 14と同様、図示しない温度調節手段によって 液体Lの温度を調節することにより、間接的 金属外筒16a,18aの表面温度が調節され、タッ ロール14と共にTダイ12の吐出口12aから吐出 れたフィルム状の溶融樹脂を冷却して固化 せる。なお、厚み偏差が小さく、全面にわ り均一な透明性を有するポリプロピレン系 脂製位相差フィルム用原反フィルムFを得る めに、タッチロール14及び冷却ロール16,18に おいては、液体Lが各ロール14,16,18に入る際の 入口温度と、液体Lが各ロール14,16,18から出る 際の出口温度との温度差が2℃以内であると ましい。このようにするために、液体Lの流 を選定する。一般的には、液体Lの流量が多 い方が、入口温度と出口温度との温度差が小 さくなる。また、流れ方向の厚み偏差の小さ いポリプロピレン系樹脂製位相差フィルム用 原反フィルムFを得るために、タッチロール14 及び冷却ロール16,18について遊星ローラ減速 又は遊星歯車減速機を用いることが好まし 。

 タッチロール14及び冷却ロール16,18によっ てフィルム状の溶融樹脂が固化すると、ポリ プロピレン系樹脂製位相差フィルム用原反フ ィルムFとなる。このポリプロピレン系樹脂 位相差フィルム用原反フィルムFは、その後 伸処理等が施されることにより、ポリプロ レン系樹脂製位相差フィルムとなる。

 なお、ポリプロピレン系樹脂製位相差フ ルム用原反フィルムFの加工速度は、溶融樹 脂を冷却して固化させる速度、すなわち、キ ャスティングロールである冷却ロール16の径 大きいほど速くなる。具体的には、冷却ロ ル16の直径が600mmである場合、ポリプロピレ ン系樹脂製位相差フィルム用原反フィルムF 加工速度を、最大で50m/min程度、通常30m/min程 度に設定することができる。

 タッチロール14及び冷却ロール16,18は、T イ12の下方において、一般的には一列に並ぶ ように配列されている。特に、タッチロール 14と冷却ロール16とは、所定間隔をもって配 されており、このタッチロール14と冷却ロー ル16との間隔や、各ロール14,16,18の回転速度 Tダイ12の吐出口12aから吐出される溶融樹脂 吐出量等によってポリプロピレン系樹脂製 相差フィルム用原反フィルムFの厚みが規定 れる。

 (ポリプロピレン系樹脂)
 ここで、本実施形態においてポリプロピレ 系樹脂製位相差フィルム用原反フィルムFを 製造するために用いられるポリプロピレン系 樹脂としては、プロピレンの単独重合体、エ チレンおよび炭素原子数4~20のα-オレフィン らなる群から選択される1種以上のモノマー プロピレンとの共重合体である。また、こ らの混合物であってもよい。

 上記のα-オレフィンとしては、具体的に 、1-ブテン、2-メチル-1-プロペン、1-ペンテ 、2-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、1- キセン、2-エチル-1-ブテン、2,3-ジメチル-1- テン、2-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペン テン、4-メチル-1-ペンテン、3,3-ジメチル-1-ブ テン、1-ヘプテン、2-メチル-1-ヘキセン、2,3- メチル-1-ペンテン、2-エチル-1-ペンテン、1- オクテン、2-エチル-1-ヘキセン、3,3-ジメチル -1-ヘキセン、2-プロピル-1-ヘプテン、2-メチ -3-エチル-1-ヘプテン、2,3,4-トリメチル-1-ペ テン、2-プロピル-1-ペンテン、2,3-ジエチル-1 -ブテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン 1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン 1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタ セン、1-オクタテセン、1-ノナデセンなどが げられ、炭素原子数4~12のα-オレフィンがよ り好ましく、例えば、1-ブテン、2-メチル-1- ロペン、1-ペンテン、2-メチル-1-ブテン、3- チル-1-ブテン、1-ヘキセン、2-エチル-1-ブテ 、2,3-ジメチル-1-ブテン、2-メチル-1-ペンテ 、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン 、3,3-ジメチル-1-ブテン、1-ヘプテン、2-メチ -1-ヘキセン、2,3-ジメチル-1-ペンテン、2-エ ル-1-ペンテン、1-オクテン、2-エチル-1-ヘキ セン、3,3-ジメチル-1-ヘキセン、2-プロピル-1- ヘプテン、2-メチル-3-エチル-1-ヘプテン、2,3, 4-トリメチル-1-ペンテン、2-プロピル-1-ペン ン、2,3-ジエチル-1-ブテン、1-ノネン、1-デセ ン、1-ウンデセン、1-ドデセン等が挙げられ 。特に共重合性の観点から、好ましくは、1- ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン であり、より好ましくは、1-ブテン、1-ヘキ ンである。

 本発明におけるプロピレン系重合体の例 しては、プロピレン-エチレン共重合体、プ ロピレン-α-オレフィン共重合体、プロピレ -エチレン-α-オレフィン共重合体等が挙げら れる。より具体的には、プロピレン-α-オレ ィン共重合体としては、例えば、プロピレ -1-ブテン共重合体、プロピレン-1-ペンテン 重合体、プロピレン-1-ヘキセン共重合体、 ロピレン-1-オクテン共重合体等が挙げられ プロピレン-エチレン-α-オレフィン共重合体 としては、例えば、プロピレン-エチレン-1- テン共重合体、プロピレン-エチレン-1-ヘキ ン共重合体、プロピレン-エチレン-1-オクテ ン共重合体等が挙げられる。本発明における プロピレン系重合体として、好ましくは、プ ロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-1- テン共重合体、プロピレン-1-ペンテン共重 体、プロピレン-1-ヘキセン共重合体、プロ レン-1-オクテン共重合体、プロピレン-エチ ン-1-ブテン共重合体、プロピレン-エチレン -1-ヘキセン共重合体であり、より好ましくは 、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレ -1-ブテン共重合体、プロピレン-1-ヘキセン 重合体、プロピレン-エチレン-1-ブテン共重 体、プロピレン-エチレン-1-ヘキセン共重合 体である。

 本発明で用いるプロピレン系重合体が共 合体である場合、該共重合体におけるコモ マー由来の構成単位の含量は、透明性と耐 性のバランスの観点から、0重量%を超え40重 量%以下が好ましい。また同じ観点で0重量%を 超え30重量%がより好ましい。なお、2種類以 のコモノマーとプロピレンとの共重合体で る場合には、該共重合体に含まれる全ての モノマー由来の構成単位の合計含量が、前 範囲であることが好ましい。

 本発明におけるプロピレン系重合体の製 方法としては、公知の重合用触媒を用いて ロピレンを単独重合する方法や、エチレン よび炭素原子数4~20のα-オレフィンからなる 群から選択される1種以上のモノマーとプロ レンとを共重合する方法が挙げられる。公 の重合触媒としては、例えば、(1)マグネシ ム、チタンおよびハロゲンを必須成分とす 固体触媒成分等からなるTi-Mg系触媒、(2)マグ ネシウム、チタンおよびハロゲンを必須成分 とする固体触媒成分に、有機アルミニウム化 合物と、必要に応じて電子供与性化合物等の 第3成分とを組み合わせた触媒系、(3)メタロ ン系触媒等が挙げられる。

 本発明におけるプロピレン系重合体の製 に用いる触媒系としては、これらの中で、 グネシウム、チタンおよびハロゲンを必須 分とする固体触媒成分に、有機アルミニウ 化合物と電子性供与性化合物とを組み合わ た触媒系が最も一般的に使用できる。より 体的には、有機アルミニウム化合物として 、好ましくはトリエチルアルミニウム、ト イソブチルアルミニウム、トリエチルアル ニウムとジエチルアルミニウムクロライド 混合物およびテトラエチルジアルモキサン 挙げられ、電子供与性化合物としては、好 しくはシクロヘキシルエチルジメトキシシ ン、tert-ブチル-n-プロピルジメトキシシラ 、tert-ブチルエチルジメトキシシラン、ジシ クロペンチルジメトキシシランが挙げられる 。マグネシウム、チタンおよびハロゲンを必 須成分とする固体触媒成分としては、例えば 、特開昭61-218606号公報、特開昭61-287904号公報 、特開平7-216017号公報等に記載された触媒系 挙げられる。メタロセン触媒としては例え 、特許第2587251号、特許第2627669号、特許第26 68732号に記載された触媒系が挙げられる。

 本発明におけるプロピレン系重合体の重 方法としては、ヘキサン、ヘプタン、オク ン、デカン、シクロヘキサン、メチルシク ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン の炭化水素化合物に代表される不活性溶剤 用いる溶剤重合法、液状のモノマーを溶剤 して用いる塊状重合法、気体のモノマー中 行う気相重合法等が挙げられ、好ましくは 処理等が容易な塊状重合法または気相重合 である。これらの重合法は、バッチ式であ てもよく、連続式であってもよい。

 本発明におけるプロピレン系重合体の立 規則性は、アイソタクチック、シンジオタ チック、アタクチックのどの形式であって よい。本発明で用いるプロピレン系重合体 、耐熱性の点からシンジオタクチック、あ いはアイソタクチックのプロピレン系重合 であることが好ましい。

 (添加剤)
 本実施形態において用いられるプロピレン 重合体には、本発明の効果を阻害しない範 で公知の添加剤を配合してもよい。

 添加剤としては、例えば、酸化防止剤、 外線吸収材、帯電防止剤、滑剤、造核剤、 曇剤、アンチブロッキング剤等が挙げられ これらのうち複数種を併用するものであっ もよい。

 上記の酸化防止剤としては、フェノール 酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸 防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤(HAL S)や、1分子中に例えばフェノール系とリン系 の酸化防止機構と有するユニットを有する複 合型の酸化防止剤などが挙げられる。

 上記の紫外線吸収剤としては、2-ヒドロ シベンゾフェノン系、ヒドロキシトリアゾ ル系などの紫外線吸収剤や、ベンゾエート など紫外線遮断剤などが挙げられる。

 上記の帯電防止剤としては、ポリマー型 オリゴマー型、モノマー型などが挙げられ 。

 上記の滑剤としては、エルカ酸アミド、 レイン酸アミドなどの高級脂肪酸アミドや ステアリン酸などの高級脂肪酸、及びその 属塩などが挙げられる。

 上記の造核剤としては、例えばソルビト ル系造核剤、有機リン酸塩系造核剤、ポリ ニルシクロアルカンなどの高分子系造核剤 が挙げられる。アンチブロッキング剤とし は球状、あるいはそれに近い形状の微粒子 無機系、有機系に関わらず使用できる。

 (分子量)
 本実施形態において用いられるプロピレン 重合体のメルトフローレート(MFR)は、JIS K  7210に準拠し、温度230℃、荷重21.18Nで測定さ る値で通常0.1g/10分~200g/10分程度であり、0.5g/ 10分~50g/10分程度であると好ましい。MFRがこの ような範囲のプロピレン系重合体を用いるこ とにより、押出機10に大きな負荷をかけるこ なく、均一なフィルムを成形することがで る。

 (分子量分布)
 本実施形態において用いられるプロピレン 重合体の分子量分布は、通常1~20である。分 子量分布は、溶媒に140℃のo-ジクロロベンゼ を用い、標準サンプルにポリスチレンを用 て測定及び計算される、MnとMwとの比(=Mw/Mn) ある。

 (ポリプロピレン系樹脂製位相差フィルム用 原反フィルムの製造方法)
 続いて、上記のフィルム製造システム1によ ってポリプロピレン系樹脂製位相差フィルム 用原反フィルムFを製造する方法について、 1を参照しつつ説明する。

 まず、ホッパー(図示せず)から押出機10に ポリプロピレン系樹脂を投入する(溶融工程) このとき、樹脂の劣化を抑制するために、 出機10にポリプロピレン系樹脂を供給する に、窒素中で40℃以上且つ(Tm-20℃)以下の温 にて1時間~10時間程度予備乾燥をすることが ましい(ただし、Tm[℃]は、JIS K 7121で規定 れる示差走査熱量測定における融解ピーク 度であり、具体的には、示差熱走査熱量計(D SC)などを用い、サンプルを一度融点以上に加 熱したのち、所定の速度で-30℃(PP(ポリプロ レン)の場合)程度まで冷却し、その後、所定 の速度で昇温しながら測定することで得られ るDSC曲線の屈曲点から求められる。)。また 押出機10内も、20℃~120℃の窒素ガス、アルゴ ンガスなどの不活性ガスでガス置換すること が好ましい。なお、より一定量の押出量が必 要な場合、ギアポンプの使用が効果的である 。また、不純物、異物などが問題となる場合 は、リーフディスクフィルターなどのフィル ターユニットを必要に応じて使用してもよい 。

 続いて、180℃以上且つ300℃以下に加熱さ た押出機10のシリンダー内においてスクリ ーにより熱可塑性樹脂が溶融混練されると Tダイ12の吐出口12aからフィルム状に成形さ た溶融樹脂が180℃以上且つ300℃以下で吐出 れる(成形工程)。この溶融樹脂の温度は、T イ12の吐出口12a部分において樹脂温度計を用 いて測定される。

 溶融樹脂の温度が180℃未満であると、樹 の延展性が十分でなく、エアギャップ内で 伸びの不均一により厚みムラが発生してし う傾向にある。溶融樹脂の温度が300℃を越 ると、樹脂が劣化し、分解ガスを生じるな の理由でリップ部分が汚れてしまい、ダイ イン等が発生し、フィルムの外観不良が生 てしまう傾向にある。これらの観点から、 融樹脂の温度は、220℃以上且つ280℃以下で ると好ましい。

 このとき、特に、流れ方向の厚み偏差の さいポリプロピレン系樹脂製位相差フィル 用原反フィルムFを得るため、Tダイ12の入口 の上流部分に樹脂圧力計P(図1参照)を設け、T イ12の入口の近傍を流れる溶融樹脂の圧力 変動が±0.1MPa以下(溶融樹脂の圧力の最大値 最小値との差が0.2MPa以下)となるようにする とが好ましい。

 続いて、このフィルム状の溶融樹脂をタッ ロール14と冷却ロール16とによって挟圧する と共に、タッチロール14及び冷却ロール16,18 よって冷却して固化させることで、ポリプ ピレン系樹脂製位相差フィルム用原反フィ ムFが得られることとなる(冷却工程)。ここ 、冷却ロール16の表面温度T1[℃]は、下記式(1 )によって示される条件を満たすように設定 れており、タッチロール14における薄肉金属 外筒14bの表面温度T2[℃]は、下記式(2)によっ 示される条件を満たすように設定されてい 。
    -5℃≦T1≦30℃・・・(1)
    80℃≦T2≦150℃・・・(2)

 T1が-5℃よりも小さい場合には、冷却ロール 16に空気中の水分が結露しやすくなるので、 露した水の痕がフィルムに転写され、表面 態が鏡面にならず、品質が不良になりやす 傾向にあり、T1が30℃よりも大きい場合には 、得られるフィルムの透明性が低下する傾向 にあり、いずれの場合も好ましくない。また 、T2が80℃よりも小さい場合や150℃よりも大 い場合には、溶融状シートがタッチロール14 (弾性変形可能な金属ロール)からはがれにく なり、フィルムにしわ等の欠陥が入りやす 傾向にある。なお、冷却ロール16の表面温 T1[℃]が下記式(3)によって示される条件を満 すように設定されており、タッチロール14 おける薄肉金属外筒14bの表面温度T2[℃]が下 式(4)によって示される条件を満たすように 定されていると、より好ましい。
    -5℃≦T1≦15℃・・・(3)
    100℃≦T2≦130℃・・・(4)

 挟圧する圧力(線圧)は、タッチロール14を 冷却ロール16に押し付ける圧力により決まる 、0.5N/mm~20N/mm程度であると好ましく、1N/mm~10 N/mm程度であるとより好ましい。線圧が0.5N/mm 満であると、溶融樹脂に対する線圧を均一 制御することが困難となる傾向にある。線 が20N/mmを超えると、溶融樹脂が強く挟圧さ すぎることとなるので、溶融樹脂が、挟圧( ニップ)された部分にたまりながら成形され バンク成形となり、大きな位相差が発現し しまう傾向にある。

 挟圧する圧力(線圧)を制御する方法とし は、(1)挟圧(ニップ)する部分にコッターと呼 ばれる三角形の楔形の「つめもの」を設置し 、このコッターを調整することによりロール 間隔を調整する方法、(2)タッチロール14及び 却ロール16の双方を、油圧、エア等を用い 所定の圧力で調整したコッターに当接する で押し付ける方法、が一般的である。その 、コッターを用いず、ねじの回転数を制御 、機械的に所定の位置まで無段階で圧着す 方法や油圧系にサーボモーターを用いる方 も挙げられる。

 その後、ポリプロピレン系樹脂製位相差 ィルム用原反フィルムFは、必要に応じて耳 部がスリット(切断)され、巻き取り機にて巻 取られる。なお、ポリプロピレン系樹脂製 相差フィルム用原反フィルムFの耳部をスリ ット(切断)する前、又はスリット(切断)した に、ポリプロピレン系樹脂製位相差フィル 用原反フィルムFの片面又は両面に保護フィ ムを積層してもよい。

 ポリプロピレン系樹脂製位相差フィルム 原反フィルムFの厚みとしては、本発明の効 果がもっとも良く発現するという観点から、 70μm~500μm程度とすると好ましいが、この範囲 は特に限定されない。つまり、ポリプロピレ ン系樹脂製位相差フィルム用原反フィルムF 厚みとして、種々の延伸条件で延伸され、 まざまな用途の位相差フィルムとなるため 必要な厚みを選択することが可能である。 伸方法としては、縦延伸、横延伸、逐次二 延伸、同時二軸延伸が挙げられる。逐次二 延伸の場合、縦延伸を先に行った後、横延 を行う方法と、横延伸を先に行った後、縦 伸を行う方法のどちらの方法で行ってもよ 。

 以上の工程を経て製造されるポリプロピ ン系樹脂製位相差フィルム用原反フィルムF は、上記のように延伸により位相差制御する ことで、テレビ、パソコン用モニター、カー ナビ、デジカメ、携帯電話などの大型液晶パ ネルから中小型液晶パネルまで幅広く用いる ことができる位相差フィルムとして利用可能 である。また、無配向、高透明であることか ら、偏光板保護フィルムとしても使用するこ とも可能であり、さらにその他さまざまな液 晶部材にも利用可能である。

 ところで、位相差フィルム用原反フィル は、無配向であることが要求される。ここ 、無配向とは、熱可塑性樹脂からなる材料 のポリマーの分子鎖がまったく配向せず、 秩序な状態にあることを意味する。配向の 度は、位相差値を求めることで評価するこ ができ、位相差値は、市販の位相差計を用 て測定することができる。位相差フィルム 原反フィルムの位相差値は、その厚みが100 mの時の値で0nm~50nm程度であると好ましい。 相差フィルム用原反フィルムの位相差値が の範囲外にある場合に、当該位相差フィル 用原反フィルムを延伸し、位相差フィルム すると、位相差フィルム用原反フィルムが 初から有する位相差のため、延伸条件を調 しても位相差を制御することが困難となり 結果として位相差ムラを生じやすく、液晶 ネルに組み込んだ際に表示の均一性が損な れてしまい、製品価値を下げてしまう。

 以上のような本実施形態においては、フ ルム状に成形された溶融樹脂を、金属製の 却ロール16と、タッチロール14とによって挟 圧している。そのため、フィルム状に成形さ れた溶融樹脂の両面がタッチロール14及び冷 ロール16(キャスティングロール)によって冷 却されるので、溶融樹脂を素早く冷却固化す ることができる。その結果、結晶性樹脂であ るポリプロピレン系樹脂であっても、結晶が 成長する前に溶融樹脂を冷却固化することが できるようになるので、高い透明性を有する ポリプロピレン系樹脂製位相差フィルム用原 反フィルムFを製造することが可能となる。

 また、本実施形態においては、金属製の 却ロール16及び弾性変形可能な薄肉金属外 14bを有するタッチロール14を用いている。そ のため、フィルム状に成形された溶融樹脂を 挟圧する際に、樹脂溜まり(バンク)が極めて 生しにくくなっている。その結果、配向が 生しにくくなり、位相差が小さく、且つ、 方向において位相差にムラがほとんどない リプロピレン系樹脂製位相差フィルム用原 フィルムFを製造することが可能となる。特 に、ポリプロピレン系樹脂は、環状オレフィ ン樹脂と比較して100倍程度の配向しやすさを 有しており、光学的均質性が損なわれやすい ので、本発明の効果が大きく発揮されること となる。

 また、本実施形態においては、タッチロ ル14の薄肉金属外筒14ba及び冷却ロール16が に金属によって形成されている。そのため 表面光沢に優れたポリプロピレン系樹脂製 相差フィルム用原反フィルムFを形成するこ が可能となる。

 以下、実施例1及び比較例1,2並びに図1~図3 に基づいて本発明をより具体的に説明するが 、本発明は以下の実施例に限定されるもので はない。

 (実施例1)
 エチレン-プロピレン系共重合体(エチレン 有量=5重量%)、Tm(融点)=134℃、MFR(メルトフロ レート)=8g/10分)を、250℃に加熱した90mmφ押 機10(スクリュー:L/D=32)にて溶融混練し、押出 機10から、押出機10に続いて設置されるアダ タ及びTダイ12(すべて250℃に設定)へとこの順 にフィードし、Tダイ12の吐出口(リップ口)12a ら溶融状体とされたエチレン-プロピレン系 共重合体の樹脂フィルム(溶融樹脂)を吐出し 。Tダイ12の吐出口12a部分における溶融樹脂 温度は250℃であった。そして、当該溶融樹 を、図1に示されるタッチロール14と、冷却 ール16とによって挟圧長さ5mm、線圧6N/mmで挟 圧すると共に、タッチロール14及び冷却ロー 16,18によって冷却して固化させることで、 みが130μmのポリプロピレン系樹脂製位相差 ィルム用原反フィルムFを得た。

 ここで、タッチロール14の薄肉金属外筒14 bは、その直径が300mm、その厚みが3000μm、そ 表面粗度が0.1S~0.2Sであった。冷却ロール16,18 は、その直径が350mm、その表面粗度が0.1Sであ り、表面が鏡面のものであった。また、タッ チロール14の回転速度を9.8m/min、冷却ロール16 ,18の回転速度を10.7m/min、エアギャップHを90mm 冷却ロール16の表面温度T1を20℃、タッチロ ル14の薄肉金属外筒14bの表面温度T2を130℃に それぞれ設定した。

 (実施例2)
 タッチロール14の薄肉金属外筒14bの表面温 T2を80℃に設定した以外は実施例1と同様にし て実施例2のポリプロピレン系樹脂位相差フ ルム用原反フィルムFを得た。

 (実施例3)
 タッチロール14の薄肉金属外筒14bの表面温 T2を100℃に設定し、タッチロール14の回転速 を15.9m/minに設定し、冷却ロール16,18の回転 度を共に17.4m/minに設定した以外は実施例1と 様にして実施例3のポリプロピレン系樹脂位 相差フィルム用原反フィルムF(厚みは80μm)を た。

 (実施例4)
 タッチロール14の回転速度を12.7m/minに設定 、冷却ロール16,18の回転速度を共に13.9m/minに 設定した以外は実施例1と同様にして実施例4 ポリプロピレン系樹脂位相差フィルム用原 フィルムF(厚みは100μm)を得た。

 (実施例5)
 タッチロール14の薄肉金属外筒14bの表面温 T2を140℃に設定し、タッチロール14の回転速 を9.1m/minに設定し、冷却ロール16,18の回転速 度を共に9.9m/minに設定した以外は実施例1と同 様にして実施例5のポリプロピレン系樹脂位 差フィルム用原反フィルムF(厚みは140μm)を た。

 (実施例6)
 ホモプロピレン系重合体(エチレン-プロピ ン共重合体、エチレン含有量=0.2重量%以下) 用いて、タッチロール14の薄肉金属外筒14bの 表面温度T2を100℃に設定し、タッチロール14 回転速度を12.7m/minに設定し、冷却ロール16,18 の回転速度を共に13.9m/minに設定した以外は実 施例1と同様にして実施例6のポリプロピレン 樹脂位相差フィルム用原反フィルムF(厚み 100μm)を得た。

 (比較例1)
 タッチロール14の薄肉金属外筒14bの表面温 T2を12℃に設定した以外は実施例1と同様にし て比較例1のポリプロピレン系樹脂製位相差 ィルム用原反フィルムFを得た。

 (比較例2)
 タッチロール14の薄肉金属外筒14bの表面温 T2を65℃に設定した以外は実施例1と同様にし て比較例2のポリプロピレン系樹脂製位相差 ィルム用原反フィルムFを得た。

 (比較例3)
 比較例3では、タッチロール14の薄肉金属外 14bの表面温度T2を180℃に設定した以外は実 例1と同様にした。

 (評価結果)
 実施例1~6においてポリプロピレン系樹脂製 相差フィルム用原反フィルムFを製造する際 、ポリプロピレン系樹脂製位相差フィルム用 原反フィルムFはタッチロール14からきれいに 剥離し、成形安定性は良好であった。実施例 1~6において得られたポリプロピレン系樹脂製 位相差フィルム用原反フィルムFを目視によ 観察したところ、ポリプロピレン系樹脂製 相差フィルム用原反フィルムFの表面にはし が存在しておらず、表面状態が良好であっ 。また、実施例1~6において得られたポリプ ピレン系樹脂製位相差フィルム用原反フィ ムFを40mm×40mmに切り出し、王子計測機器サ ビス株式会社製KOBRA-WPRにより位相差をそれ れ測定したところ、位相差は30nm、32nm、20nm 24nm、20nm、20nmであり、いずれも32nm以下とい 十分に小さい値であった。さらに、実施例1 ~6において得られたポリプロピレン系樹脂製 相差フィルム用原反フィルムFを50mm×50mmに り出し、スガ試験機株式会社製ヘーズメー を用いてJIS K 7136に従いHAZEをそれぞれ測定 たところ、0.6%、0.7%、0.4%、0.6%、0.6%、0.6%で り、いずれも0.7%以下となり透明性に優れて いた。なお、HAZEは、フィルムの透明性を示 指標であり、値が小さいほど透明であるこ を表す。以上より、実施例1~6において得ら たポリプロピレン系樹脂製位相差フィルム 原反フィルムFの品質の評価結果としては、 ずれも「○:良好」であった。

 一方、比較例1においてポリプロピレン系 樹脂製位相差フィルム用原反フィルムFを製 する際、ポリプロピレン系樹脂製位相差フ ルム用原反フィルムFはタッチロール14から フィルムの剥離性が悪く、成形安定性が不 であった。比較例1において得られたポリプ ピレン系樹脂製位相差フィルム用原反フィ ムFを目視により観察したところ、ポリプロ ピレン系樹脂製位相差フィルム用原反フィル ムFの表面にはしわが存在しており、表面状 が不良であった。また、比較例1において得 れたポリプロピレン系樹脂製位相差フィル 用原反フィルムFを40mm×40mmに切り出し、王 計測機器サービス株式会社製KOBRA-WPRにより 相差を測定したところ、位相差は35nmであり 実施例1~6と比較して大きな値であった。さ に、比較例1において得られたポリプロピレ ン系樹脂製位相差フィルム用原反フィルムF HAZEをJIS K 7136に従い測定したところ、3.0%で あり、実施例1~6と比較して透明性が劣ってい た。以上より、比較例1において得られたポ プロピレン系樹脂製位相差フィルム用原反 ィルムFの品質の評価結果としては、「×:不 」であった。

 また、比較例2においてポリプロピレン系 樹脂製位相差フィルム用原反フィルムFを製 する際、ポリプロピレン系樹脂製位相差フ ルム用原反フィルムFは比較例1以上にタッチ ロール14からのフィルムの剥離性が悪く、フ ルムに剥離痕が残り、成形安定性が極めて 良であった。比較例2において得られたポリ プロピレン系樹脂製位相差フィルム用原反フ ィルムFを目視により観察したところ、ポリ ロピレン系樹脂製位相差フィルム用原反フ ルムFの表面にはしわが存在しており、表面 態が不良であった。このフィルムの表面状 の不良性に起因して、比較例2において得ら れたポリプロピレン系樹脂製位相差フィルム 用原反フィルムFに厚みムラが発生しており フィルムの幅方向で130μm±5μmという大きな みムラとなっていた。また、比較例2におい 得られたポリプロピレン系樹脂製位相差フ ルム用原反フィルムFを40mm×40mmに切り出し 王子計測機器サービス株式会社製KOBRA-WPRに り位相差を測定したところ、位相差は35nmで り、実施例1~6と比較して大きな値であった さらに、比較例2において得られたポリプロ ピレン系樹脂製位相差フィルム用原反フィル ムFのHAZEをJIS K 7136に従い測定したところ、1 .0%であり、実施例1~6と比較して透明性が劣っ ていた。以上より、比較例2において得られ ポリプロピレン系樹脂製位相差フィルム用 反フィルムFの品質の評価結果としては、「 :不良」であった。

 さらに、比較例3においてポリプロピレン 系樹脂製位相差フィルム用原反フィルムFを 造しようとしたところ、成形中、タッチロ ル14に溶融樹脂が巻き付いてしまい、ポリプ ロピレン系樹脂製位相差フィルム用原反フィ ルムFを得ることができなかった。




 
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