平瀬 直也 (〒41 大阪府大阪市中央区北浜四丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 Osaka, 5410041, JP)
YAMAKAWA, Tomio (5-33, Kitahama 4-chome, Chuo-ku, Osaka-sh, Osaka 41, 5410041, JP)
住友金属工業株式会社 (〒41 大阪府大阪市中央区北浜四丁目5番33号 Osaka, 5410041, JP)
HIRASE, Naoya (5-33, Kitahama 4-chome, Chuo-ku, Osaka-sh, Osaka 41, 5410041, JP)
平瀬 直也 (〒41 大阪府大阪市中央区北浜四丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 Osaka, 5410041, JP)
| 質量%で、Crを20~30%、Niを30~50%、MoおよびWの1種以上をMo+0.5Wで1.5%以上含む高Cr-高Ni基合金鋼からなる被圧延素材を傾斜穿孔圧延して継目無鋼管を製造する方法であって、下記(1)式を満足する条件で被圧延素材を加熱した後、ロールゴージ周速が2.28m/sec以上の条件で傾斜穿孔圧延することを特徴とする高Cr-高Ni基合金製継目無鋼管の製造方法。 T≦1575-4.45×V f -104.7×{-ln(t h /r 0 )}・・・(1) ただし、(1)式中の記号の意味は下記の通りである。 T:被圧延素材の加熱温度(℃) V f :ロールゴージでのロール周速(m/sec) r 0 :入側素材ビレットの半径(mm) t h :穿孔後の素管肉厚(mm) |
| 被圧延素材の加熱温度が1180~1250℃の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の高Cr-高Ni基合金鋼からなる継目無鋼管の製造方法。 |
| ロールゴージ周速が2.28m/sec以上4.6m/sec以下の条件で傾斜穿孔圧延することを特徴とする請求項1または2に記載の高Cr-高Ni基合金鋼からなる継目無鋼管の製造方法。 |
| 穿孔比が3以下であることを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の高Cr-高Ni基合金鋼からなる継目無鋼管の製造方法。 |
| 被圧延素材の長さが7m以下であることを特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載の高Cr-高Ni基合金鋼からなる継目無鋼管の製造方法。 |
| 被圧延素材は、質量%で、C:0.04%以下、Si:0.5%以下、Mn:0.01~3.0%、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Ni:30~50%、Cr:20~30%、Cu:0.01~1.5%、Al:0.20%以下、N:0.0005~0.2%およびCa:0.01%以下と、Mo:10%以下およびW:20%以下の一種以上とを含有し、残部がFeおよび不純物からなることを特徴とする請求項1から5までのいずれかに記載の高Cr-高Ni基合金鋼からなる継目無鋼管の製造方法。 |
本発明は、傾斜穿孔圧延機を用いた高Cr- Ni基合金鋼ビレットの穿孔圧延方法に関す 。
継目無鋼管の製造に際しては、穿孔機を 用して円形断面の鋳片を穿孔圧延する、マ ネスマン・マンドレルミル方式、マンネス ン・プラグミル方式、マンネスマン・アッ ルミル方式などの方法が採用されている。 れらのマンネスマン方式による継目無管の 造方法は、加熱炉で所定の温度に加熱され ビレットを傾斜穿孔圧延機により穿孔圧延 た後、得られた中空素管をマンドレルミル プラグミルなどの延伸圧延機を用いて拡管 、肉厚を減少させた後、ストレッチレデュ サーやサイザーなどの絞り圧延機により外 を絞り、製品の鋼管に仕上げるものである
継目無鋼管の製造方法については、様々 発明が開示されている。
例えば、特許文献1には、クロムを9重量% 上含有する高Cr合金鋼の鋼片を、加熱炉で 熱した後、ピアサ・ミルで圧延穿孔して継 無鋼管用素管を製造するに際し、上記素管 金属組織にδフェライトを出現させないよう な条件で鋼片を圧延する発明が開示されてい る。特許文献1の実施例では、12%Cr鋼から継目 無鋼管を製造する例が示されている。
特許文献2には、質量%で、C:0.95~1.10%を含有 る高炭素鋼からなる継目無鋼管をビレット 熱に次いで穿孔圧延する際に、前記ビレッ 加熱温度を1200℃以下とし、かつ軸方向平均 み速度εAVを2.0sec -1 以下にする発明が開示されている。特許文献 2の実施例では、SUJ-2相当の鋼から継目無鋼管 を製造する例が示されている。
近年、油井管、ボイラー管等の使用環境が り過酷なものとなっている。このため、使 する継目無鋼管への要求特性が高度化して る。例えば、高深度化、高腐食性環境化が む油井に使用される油井管には、より高強 で、より優れた耐食性を有するものが求め れている。一方で、原子力発電設備、化学 ラント等で用いられる管には、高温の純水 Cl - を含む高温水中での耐食性、特に耐応力腐食 割れ性に優れるものが求められている。この ため、CrおよびNi、更にはMoを多量に含有した 高合金鋼からなる継目無鋼管が適用されつつ ある。
Moを含有する高Cr-高Ni基合金鋼の変形抵抗 は、炭素鋼に比べ約2.4倍程度、13%Cr鋼、BBS鋼 どと比べても変形抵抗は2倍近くあるため、 穿孔圧延における加工性が悪くなる。このた め、穿孔圧延に用いられるプラグ寿命が悪化 する。また、圧延トルクが増大するとともに 、加工発熱による温度上昇も大きく増加する 。穿孔圧延時の温度上昇により肉厚内部で粒 界溶融割れ(溶融状の内面かぶれ)が発生する いう問題がある。
このような問題点については、12%Cr鋼管 対象とする特許文献1およびSUJ-2相当の鋼管 対象とする特許文献2には、記載も示唆もさ ておらず、その他、Moを含有する高Cr-高Ni基 合金鋼からなる継目無鋼管に特有の問題につ いて言及した文献は見あたらない。また、そ のような継目無鋼管の問題を解決するべく、 ロール周速度と肉厚加工度との関係より適正 なビレット加熱温度を決定することについて 言及した文献もない。
そこで、本発明者らは、上記のMoを含有 る高Cr-高Ni基合金製継目無鋼管の製造過程に おける溶融状の内面かぶれの問題を解決する べく、加熱温度およびロール周速の関係につ いて詳細に検討したが、これらの関係を調整 するだけでは、Mo溶融状の内面かぶれの発生 完全に防止できなかった。一方で、圧延速 を低下させれば、加工発熱を抑制できるが 圧延時間が長くなること、さらには、被圧 材の変形抵抗の増加によってプラグ寿命が 端に低下するなどの問題が生じる。
本発明は、傾斜穿孔圧延機による穿孔後 素管内面の溶融状の内面かぶれを防止する ともに、プラグ寿命の延命化を達成するこ ができる高Cr-高Ni基合金製継目無鋼管の製 方法を提供することを目的とする。
本発明は、下記の高Cr-高Ni基合金製継目 鋼管の製造方法の製造方法を要旨とする。
(1)質量%で、Crを20~30%、Niを30~50%、MoおよびW
1種以上をMo+0.5Wで1.5%以上含む高Cr-高Ni基合金
鋼からなる被圧延素材を傾斜穿孔圧延して継
目無鋼管を製造する方法であって、下記(1)式
を満足する条件で被圧延素材を加熱した後、
ロールゴージ周速が2.28m/sec以上の条件で傾斜
穿孔圧延することを特徴とする高Cr-高Ni基合
製継目無鋼管の製造方法。
T≦1575-4.45×V f
-104.7×{-ln(t h
/r 0
)}・・・(1)
ただし、(1)式中の記号の意味は下記の通り
ある。
T:被圧延素材の加熱温度(℃)
V f
:ロールゴージでのロール周速(m/sec)
r 0
:入側素材ビレットの半径(mm)
t h
:穿孔後の素管肉厚(mm)
(2)被圧延素材の加熱温度が1180~1250℃の範 内である上記(1)に記載の高Cr-高Ni基合金鋼 らなる継目無鋼管の製造方法。
(3)ロールゴージ周速が2.28m/sec以上4.6m/sec 下の条件で傾斜穿孔圧延する上記(1)または(2 )に記載の高Cr-高Ni基合金鋼からなる継目無鋼 管の製造方法。
(4)穿孔比が3以下であることを特徴とする 上記(1)から(3)までのいずれかに記載の高Cr-高 Ni基合金鋼からなる継目無鋼管の製造方法。
(5)被圧延素材の長さが7m以下であること 特徴とする上記(1)から(4)までのいずれかに 載の高Cr-高Ni基合金鋼からなる継目無鋼管の 製造方法。
(6)被圧延素材は、質量%で、C:0.04%以下、Si :0.5%以下、Mn:0.01~3.0%、P:0.03%以下、S:0.03%以下 Ni:30~50%、Cr:20~30%、Cu:0.01~1.5%、Al:0.20%以下、N:0 .0005~0.2%およびCa:0.01%以下と、Mo:10%以下および W:20%以下の一種以上とを含有し、残部がFeお び不純物からなることを特徴とする請求上 (1)から(5)までのいずれかに記載の高Cr-高Ni基 合金鋼からなる継目無鋼管の製造方法。
本発明の継目無鋼管の製造方法によれば 変形能が劣悪でかつ、変形抵抗が非常に大 い、Moを含有する高Cr-高Ni基合金の傾斜穿孔 圧延において、粒界溶融起因の溶融状の内面 かぶれの発生を防止し、かつ、プラグ寿命を 向上させることができる。
1.ビレット
11、12、13、14.ロール
2.プラグ
31.入口面
32.出口面
4.素管
G.ロールゴージ
(a)被圧延素材の化学組成について
本発明の継目無鋼管の製造方法に供される
圧延素材は、Crを20~30%、Niを30~50%、MoおよびW
の1種以上をMo+0.5Wで1.5%以上含むものである。
Cr:20~30%
Crは、耐食性を向上させる元素であり、20%
上含有させる。含有量が30%を超えると、熱
加工性に悪影響を及ぼす。従って、Crの含有
量は、20~30%とした。
Ni:30~50%
Niは、耐食性の向上に有効な元素であり、Ni
を30%以上含有させる。一方、50%を超えても効
果は飽和する。従って、Niの含有量は、30~50%
した。
Mo+0.5W:1.5%以上
MoおよびWは、耐孔食性を改善する作用を有
る元素であり、いずれか一方または両方を
加することができる。しかし、その含有量
(Mo+0.5W)で1.5%未満では上記の効果が得られな
いので、Mo+0.5Wは1.5%以上とする。Mo+0.5Wの上限
は特に定めないが、あまりに増加させてもそ
の効果が飽和するだけである。従って、Mo+0.5
Wは、10%以下とするのが望ましい。
被圧延素材は、上記の合金元素の他、下 の合金元素を含んでも良い。以下、各元素 望ましい含有量の範囲とその限定理由を説 する。
C:0.04%以下
Cは、Cr、Mo、Feなどと炭化物を形成するが、
その量が増加すると延性値と靱性値が低下す
る。このため、Cは0.04%以下に制限するのが望
ましい。
Si:0.5%以下
Siは、シグマ相の生成を防止し、延性およ
靱性の低下を抑制するために、できるだけ
有量は少なくする方が良い。したがって、Si
の含有量は0.5%以下に制限するのが望ましい
Mn:0.01~3.0%
Mnは、熱間加工性の向上に寄与する。この
め、Mnを0.01%以上含有させるのが望ましいが
耐食性が劣化する場合があるので、3.0%以下
とするのが望ましい。従って、Mnを含有させ
場合には、その含有量を0.01~3.0%とするのが
い。特に、σ相の生成が問題となる場合に
、その含有量を0.01~1.0%とするのが望ましい
P:0.03%以下
Pは、通常は不純物として鋼中に含まれるが
、鋼の熱間加工性などに悪影響を及ぼす元素
である。このため、Pの含有量は0.03%以下に制
限するのが望ましい。
S:0.03%以下
Sも不純物として鋼中に含まれるが、鋼の靱
性などに悪影響を及ぼす元素である。このた
め、Sの含有量は0.03%以下に制限するのが望ま
しい。
Cu:0.01~1.5%
Cuは、クリープ破断強度を向上させるのに
効な元素であり、0.01%以上含有させるのが好
ましい。しかし、その含有量が1.5%を超える
、合金の延性が低下する場合がある。従っ
、Cuの含有量は0.01~1.5%に制限するのが望まし
い。
Al:0.20%以下
Alは、脱酸材として有効であるが、シグマ
等の金属間化合物の生成を助長する。この
め、Alの含有量は0.20%以下に制限するのが望
しい。
N:0.0005~0.2%
Nは、固溶強化元素であり、高強度化に寄与
するとともに、シグマ相等の金属間化合物の
生成を抑制して、靱性の向上に寄与する。こ
のため、Nは0.0005%以上含有させるのが好まし
。しかし、その含有量が0.2%を超えると、耐
孔食が劣化するおそれがある。このため、N
含有量は0.0005~0.2%とするのが望ましい。
Ca:0.005%以下
Caは、熱間加工性を阻害するSを硫化物として
固着するが、その含有量が過剰な場合、かえ
って熱間加工性を劣化させるので、Caの含有
は0.005%以下に制限するのが望ましい。
(b)傾斜穿孔圧延の条件について
1.加熱条件
本発明の高Cr-高Ni基合金製継目無鋼管の製
方法においては、下記(1)式を満足する条件
被圧延素材を加熱した後、ロールゴージ周
が2.28m/sec以上の条件で傾斜穿孔圧延する。
T≦1575-4.45×V f
-104.7×{-ln(t h
/r 0
)}・・・(1)
ただし、(1)式中の記号の意味は下記の通り
ある。
T:加熱温度(℃)
V f
:ロールゴージでのロール周速(m/sec)
r 0
:入側素材ビレットの半径(mm)
t h
:穿孔後の素管肉厚(mm)
これは、加熱炉の設定温度を傾斜穿孔圧延 おける肉厚加工対数ひずみ(-ln(t h /r 0 ))およびロール周速(V f )の関係式から導くこととしたものである。 ち、この(1)式を満たせば、加工度が比較的 さい場合には加熱温度を高くすることがで 、また、穿孔速度を上昇することが可能と り、ミル負荷の低減と能率向上、プラグ接 時間の短縮化が図られプラグ寿命が向上す 。
傾斜穿孔圧延前の加熱温度は、特に、1180 ~1250℃の範囲内であることが望ましい。加熱 度が上記(1)式を満たす場合でも、1180℃未満 の場合には変形抵抗が増大するので、穿孔負 荷が大きくなるおそれがある。このため、傾 斜穿孔圧延設備の設備能力の制限を受けるお それがある。一方、1250℃を超えると、粒界 融起因の溶融状の内面かぶれが発生しやす なる。
ロールゴージ周速を低下させると、穿孔 延時間が増加してプラグ寿命が低下すると もに、効率が悪くなる。従って、ロールゴ ジ周速は、2.28m/sec以上とする。ロールゴー 周速の上限には特に制限はないが、あまり 上昇させると、粒界溶融起因の溶融状の内 かぶれが発生しやすくなる。従って、ロー ゴージ周速は、4.6m/sec以下とするのが望ま い。
図1および2は、本発明の高Cr-高Ni基合金製 継目無鋼管の製造方法を実施するための装置 を例示した模式図であり、図1は、コーン型 ロールを用いた場合の例を、図2は、バレル のロールを用いた例をそれぞれ示している 図1および2に示すように、ビレット1は、図 左から右へと進行し、回転しているロール1 1、12(図2では、ロール13、14)に噛み込まれる 共に、プラグ2により穿孔されて素管4となる 。
ここで、ロールゴージとは、一対のロー 間隔が最も小さくなる位置のことを意味す 。例えば、図1に示すコーン型のロール11、1 2の場合、入口面31と出口面32とが交わる点を んだ位置Gがロールゴージであり、図2に示 バレル型のロールの場合、ロール径が最大 なる位置Gがロールゴージである。
上記傾斜穿孔圧延後の素管は、その長さ 7m以下であるのが望ましい。これは、プラ 寿命が被圧延材の変形抵抗および穿孔時間 密接な関係にあり、穿孔長が長くなるとプ グ負荷が大きくなり、プラグが傾斜穿孔圧 途中に溶損してプラグ詰まり等のミスロー が生じ、傾斜穿孔圧延が行えたとしてもプ グ先端部の摩耗やプラグ胴に傷が付き、次 圧延では使えない状態となるおそれがある らである。
本発明の効果を確認するべく、質量%で、 C:0.019%、Cr:26.0%、Ni:32.3%、Mo:3.2%およびP:0.028%を 含有し、残部がFeおよび不純物からなる高Cr-N i基合金からなる225mmφで、長さ2~4mのビレット を作製し、これを1180~1260℃に加熱した後、穿 孔比1.5~3.0、ロールゴージ周速2.28~5.31m/sで傾 穿孔圧延する実験を行った。種々の製造方 により得られた鋼管の内面の溶融かぶれを 価した結果を表1に示す。
表1に示すように、(1)式の関係を満たすNo. 1~4、7~10、13~16、19~22、25~27、31、32、37および38 の例では、いずれも溶融割れが生じなかった が、(1)式を満たさなかったその他の例では、 溶融割れが生じた。
さらに、質量%で、C:0.019%、Cr:26.0%、Ni:32.3% 、Mo:3.2%およびP:0.028%を含有し、残部がFeおよ 不純物からなる高Cr-Ni基合金からなる径が22 5mmφ、長さが5~10mのビレットを作製し、これ 1210℃に加熱した後、穿孔比1.7~2.3、ロールゴ ージ周速3.5m/sで傾斜穿孔圧延する実験を行っ た。それぞれの素管長さのものを圧延した際 に、プラグの先端部に溶損が生じ、次圧延で は使えない状態になるまでのパス数を調査し た。以下に示すように、プラグ寿命は、素管 長さが7mを超えると極端に悪化した。
素管長さ パス数
5m 4回
6m 4回
7m 3回
8m 1回
9m 0回
10m 0回
本発明の継目無鋼管の製造方法によれば、
形能が劣悪でかつ、変形抵抗が非常に大き
、Moを含有する高Cr-高Ni基合金の傾斜穿孔圧
延において、粒界溶融起因の溶融状の内面か
ぶれの発生を防止し、かつ、プラグ寿命を向
上させることができる。
Next Patent: MULTILAYER STRUCTURE AND METHOD FOR MANUFACTURING THE SAME
