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Patent Searching and Data


Title:
PROCESS FOR PRODUCING TETRAGLYCIDYLAMINO COMPOUND
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/140008
Kind Code:
A1
Abstract:
A diamine and an epihalohydrin are subjected to ring-opening addition in the presence of water to obtain a tetraglycidylamino compound (halohydrin form). Thereafter, the halohydrin form is reacted with an alkali metal hydroxide in the presence of a phase-transfer catalyst to conduct cyclization reaction. An alkali metal halide generated as a by-product of the cyclization reaction is dissolved in water and removed by liquid separation. The organic layer obtained is washed with water and recovered by liquid separation. The epihalohydrin remaining unreacted is then recovered by distillation to separate a crude tetraglycidylamino compound. This compound is dissolved in an organic solvent, and the solution is washed with water. After the water washing and liquid separation, the organic solvent is recovered by distillation with heating at a reduced pressure to separate a tetraglycidylamino compound as a product. An aqueous alkali metal hydroxide solution is added to the organic solvent recovered by distillation, and this mixture is heat-treated. The organic solvent thus purified is reused. Thus, a tetraglycidylamino compound product of stable quality can be efficiently produced at low cost which is reduced in the contents of the residual epihalohydrin and a hydrolyzable halogen therein.

Inventors:
KURASHIMA HIDEHARU (JP)
NUMOTO TSUTOMU (JP)
HISAE JYUNICHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/058527
Publication Date:
November 20, 2008
Filing Date:
May 08, 2008
Export Citation:
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Assignee:
MITSUBISHI GAS CHEMICAL CO (JP)
KURASHIMA HIDEHARU (JP)
NUMOTO TSUTOMU (JP)
HISAE JYUNICHI (JP)
International Classes:
C07D301/27; C07D303/36; C08G59/10
Foreign References:
JP8032697B
JPS59196314A1984-11-07
JPS59175482A1984-10-04
Other References:
See also references of EP 2143718A4
Attorney, Agent or Firm:
OHTANI, Tamotsu (BridgestoneToranomon Bldg. 6F., 25-2,Toranomon 3-chome, Minato-ku, Tokyo 01, JP)
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Claims:
一般式(1) で表わされるジアミンと一般式(2) で表わされるエピハロヒドリンとの開環付加反応によりテトラハロヒドリンアミノ化合物(以下、ハロヒドリン体と称す。)を得た後、ハロヒドリン体の閉環反応によって一般式(3) で表わされるテトラグリシジルアミノ化合物を製造する方法であって、
(A)一般式(1) で表わされるジアミンと、化学量論的に過剰の一般式(2) で表わされるエピハロヒドリンとを水の存在下に反応させてハロヒドリン体とする開環付加反応工程、
(B) 工程(A)で得られたハロヒドリン体を相間移動触媒の共存下にアルカリ金属水酸化物と反応させて一般式(3) で表わされるテトラグリシジルアミノ化合物含有溶液を得る閉環反応工程、
(C) 工程(B)で得られたテトラグリシジルアミノ化合物含有溶液に水を加えて閉環反応工程で副生したアルカリ金属ハロゲン化物を溶解させ、アルカリ金属ハロゲン化物を含む水層を分液除去してテトラグリシジルアミノ化合物と未反応のエピハロヒドリンを含む有機層(1)を得る工程、
(D) 工程(C)で得られた有機層(1)を水洗した後、分液してテトラグリシジルアミノ化合物と未反応のエピハロヒドリンを含む有機層(2)を得る工程、
(E) 工程(D)で得られた有機層(2)から未反応のエピハロヒドリンを留去回収して分離された粗テトラグリシジルアミノ化合物を有機溶媒に溶解して、更に水を加えて水洗した後、分液して、テトラグリシジルアミノ化合物を含む有機層(3)を得る工程、
(F) 工程(E)で得られた有機層(3)から有機溶媒を留去回収し、テトラグリシジルアミノ化合物を分離する工程、及び
(G) 工程(F)で留去回収した有機溶媒にアルカリ金属水酸化物水溶液を添加して加熱し精製処理する工程、
を有し、工程(G)により精製処理された有機溶媒を再利用することを特徴とするテトラグリシジルアミノ化合物の製造方法。
(上式中、Rはフェニレン基またはシクロヘキシレン基、R 1 は水素原子またはメチル基、Xは塩素原子または臭素原子を表わす。)
工程(G)において、 工程(F)で留去回収した有機溶媒にアルカリ金属水酸化物水溶液を添加して加熱処理を行った後、分液して精製処理された有機溶媒とアルカリ金属水酸化物含有水層に分離する請求項1に記載のテトラグリシジルアミノ化合物の製造方法。
工程(G)で精製処理された有機溶媒を更に濾過した後に再使用する請求項1に記載のテトラグリシジルアミノ化合物の製造方法。
工程(G)において、加熱処理を40~150℃で行う請求項1に記載のテトラグリシジルアミノ化合物の製造方法。
工程(G)において、工程(F)で留去回収した有機溶媒に更に相間移動触媒を添加して加熱処理を行う請求項1に記載のテトラグリシジルアミノ化合物の製造方法。
工程(E)における有機溶媒に溶解した後の水洗回数が一回のみである請求項1に記載のテトラグリシジルアミノ化合物の製造方法。
工程(D)において原料ジアミン1モルに対して0.5~5モルの水を用いて水洗後分液する請求項1に記載のテトラグリシジルアミノ化合物の製造方法。
有機溶媒が芳香族炭化水素または環状脂肪族炭化水素である請求項1に記載のテトラグリシジルアミノ化合物の製造方法。
有機溶媒がトルエンまたはメタキシレンである請求項8に記載のテトラグリシジルアミノ化合物の製造方法。
相間移動触媒が、オニウム塩化合物、大環状ポリエーテル化合物、直鎖状ポリエーテル化合物および非プロトン性極性化合物からなる群から選ばれる化合物である請求項1又は5に記載のテトラグリシジルアミノ化合物の製造方法。
工程(A)~工程(G)を回分式で行い、工程(G)により精製処理された有機溶媒の全量を次の回分操作における(E)工程の有機溶媒の少なくとも一部として再使用する請求項1に記載のテトラグリシジルアミノ化合物の製造方法。
Description:
テトラグリシジルアミノ化合物 製造方法

 本発明は、芳香族又は脂環式ジアミンと ピハロヒドリンとからテトラグリシジルア ノ化合物を製造する方法に関し、詳しくは 産効率の向上と生産コストの削減が達成さ 、安定した品質のテトラグリシジルアミノ 合物を効率的に製造する方法に関するもの ある。

 テトラグリシジルアミノ化合物は、低粘 であり、作業性にすぐれ、且つ耐熱性、接 性、剛性、機械的強さ等の諸物性に極めて ぐれた硬化物を与えるエポキシ樹脂として 用であり、これらの特徴を生かして注型用 材、炭素繊維コンポジット用バインダー、 空宇宙産業用機材、電気・電子部品用素材 スポーツ用品、重合体架橋剤等の各種用途 広い分野で使用されている。

 テトラグリシジルアミノ化合物の製造方 としては、芳香族又は脂環式ジアミンとエ ハロヒドリンとの開環付加反応により隣接 た炭素上にハロゲン基と水酸基を有するテ ラハロヒドリンアミノ化合物(以下、ハロヒ ドリン体と称す。)とした後、ハロヒドリン の閉環反応によりテトラグリシジルアミノ 合物を製造する方法が知られている。

 特公平8-32697号公報(特許文献1)には、芳香 族又は脂環式ジアミンとエピハロヒドリンと の反応によりハロヒドリン体とした後、相間 移動触媒の共存下にハロゲン除去反応剤(ア カリ金属水酸化物等)により、ハロヒドリン の閉環反応を二回行い、再閉環反応の前後 水洗する、テトラグリシジルアミノ化合物 製造方法が記載されている。この方法は主 電気・電子関連分野用の可能な限り加水分 性ハロゲンの含有量が低減されたテトラグ シジルアミノ化合物の製造方法である。

 しかし特許文献1の実施例では、ハロヒド リン体を得た後、相間移動触媒共存下でハロ ヒドリン体の閉環反応により得られた反応生 成物から、エピハロヒドリンを留去回収した 後のテトラグリシジルアミノ化合物を含む蒸 留残渣を有機溶媒に溶解し、複数回にもわた る水洗を行い、次いで有機溶媒中で相間移動 触媒の共存下に再度、ハロヒドリン体の閉環 反応を行い、更に複数回にもわたる水洗が行 われている。また、特許文献1の明細書には 「再閉環反応前の水洗は必須であり、最終 品の着色を防止し、保存安定性を向上させ かつ再閉環反応前の水洗は二回以上行うこ によって洗浄効果が向上する」との記載が る。

 このため特許文献1のテトラグリシジルア ミノ化合物の製造方法では、二回の閉環及び 度重なる水洗によって工程数が増加し、工程 時間が長くなり、分液等の操作が非常に煩雑 である。また、廃水量が多く、度重なる分液 操作によりテトラグリシジルアミノ化合物が 損失し、収率が低下するといった欠点があり 、生産効率の低下と生産コストの上昇を招い ている。

 また、特許文献1の方法では加水分解性ハロ ゲンの含有量が低減されたテトラグリシジル アミノ化合物が得られるが、水洗及び再閉環 で使用する有機溶媒の再利用について述べら れていない。
 この特許文献1の方法において、有機溶媒を 各バッチ毎に再利用せず使い捨てた場合、有 機溶媒の消費量が多くなるので製造コストが 増大し、経済的に不利である。また、有機溶 媒をそのまま再利用した場合、留去回収した 有機溶媒中にエピハロヒドリンが徐々に蓄積 していくため、製品中の残留エピハロヒドリ ン及び加水分解性ハロゲン含有量が徐々に増 大するという欠点を有する。
 さらに、特許文献1では、閉環反応で副生し たアルカリ金属ハロゲン化物を水に溶解させ 分液除去した後の水洗で、原料ジアミン1モ に対して15モルという大量の水を使用してお り、一部のエピハロヒドリン及びテトラグリ シジルアミノ化合物が水と共に排出されるの で、その損失量が無視できなくなる。

 本発明の目的は、従来技術における上記し ような課題を解決し、製品中の残留エピハ ヒドリン及び加水分解性ハロゲン含有量が ない安定した品質のテトラグリシジルアミ 化合物を効率的に製造する方法を提供する とにある。
 また本発明は、工程数削減、工程時間短縮 廃水量削減、収率向上と、エピハロヒドリ 及びテトラグリシジルアミノ化合物の損失 減がなされ、生産効率の向上と生産コスト 削減が達成されるテトラグリシジルアミノ 合物の製造方法を提供することを目的とす ものである。

 本発明者らは、上記の如き課題を有する トラグリシジルアミノ化合物の製造方法に いて鋭意検討した結果、ジアミンとエピハ ヒドリンとを水の存在下に開環付加反応さ てテトラハロヒドリンアミノ化合物(ハロヒ ドリン体)とした後、得られたハロヒドリン を相間移動触媒の共存下にアルカリ金属水 化物と反応させて閉環反応を行い、該閉環 応で副生したアルカリ金属ハロゲン化物は に溶解させて分液除去し、得られた有機層 水洗・分液した後、未反応のエピハロヒド ンを留去回収して分離される粗テトラグリ ジルアミノ化合物を有機溶媒に溶解して水 し、分液した後の有機層から有機溶媒を加 減圧下に留去回収して製品のテトラグリシ ルアミノ化合物を分離し、留去回収した有 溶媒にアルカリ金属水酸化物水溶液を添加 加熱処理を行って精製処理した有機溶媒を 利用することにより、上記の目的を達成で ることを見出し、本発明を完成するに至っ 。

 即ち、本発明は、以下のテトラグリシジル ミノ化合物の製造方法を提供するものであ 。
1.一般式(1) で表わされるジアミンと一般式(2 ) で表わされるエピハロヒドリンとの開環付 加反応によりテトラハロヒドリンアミノ化合 物(以下、ハロヒドリン体と称す。)を得た後 ハロヒドリン体の閉環反応によって一般式( 3) で表わされるテトラグリシジルアミノ化 物を製造する方法であって、
(A)一般式(1) で表わされるジアミンと、化学 論的に過剰の一般式(2) で表わされるエピ ロヒドリンとを水の存在下に反応させてハ ヒドリン体とする開環付加反応工程、
(B) 工程(A)で得られたハロヒドリン体を相間 動触媒の共存下にアルカリ金属水酸化物と 応させて一般式(3) で表わされるテトラグ シジルアミノ化合物含有溶液を得る閉環反 工程、
(C) 工程(B)で得られたテトラグリシジルアミ 化合物含有溶液に水を加えて閉環反応工程 副生したアルカリ金属ハロゲン化物を溶解 せ、アルカリ金属ハロゲン化物を含む水層 分液除去してテトラグリシジルアミノ化合 と未反応のエピハロヒドリンを含む有機層( 1)を得る工程、
(D) 工程(C)で得られた有機層(1)を水洗した後 分液してテトラグリシジルアミノ化合物と 反応のエピハロヒドリンを含む有機層(2)を る工程、
(E) 工程(D)で得られた有機層(2)から未反応の ピハロヒドリンを留去回収して分離された テトラグリシジルアミノ化合物を有機溶媒 溶解して、更に水を加えて水洗した後、分 して、テトラグリシジルアミノ化合物を含 有機層(3)を得る工程、
(F) 工程(E)で得られた有機層(3)から有機溶媒 留去回収し、テトラグリシジルアミノ化合 を分離する工程、及び
(G) 工程(F)で留去回収した有機溶媒にアルカ 金属水酸化物水溶液を添加して加熱し精製 理する工程、
を有し、工程(G)により精製処理された有機溶 媒を再利用することを特徴とするテトラグリ シジルアミノ化合物の製造方法。

(上式中、Rはフェニレン基またはシクロヘキ レン基、R 1 は水素原子またはメチル基、Xは塩素原子ま は臭素原子を表わす。)

2.工程(G)において、 工程(F)で留去回収した 機溶媒にアルカリ金属水酸化物水溶液を添 して加熱処理を行った後、分液して精製処 された有機溶媒とアルカリ金属水酸化物含 水層に分離する上記1のテトラグリシジルア ノ化合物の製造方法。
3.工程(G)で精製処理された有機溶媒を更に濾 した後に再使用する上記1のテトラグリシジ ルアミノ化合物の製造方法。
4.工程(G)において、加熱処理を40~150℃で行う 記1のテトラグリシジルアミノ化合物の製造 方法。
5.工程(G)において、工程(F)で留去回収した有 溶媒に更に相間移動触媒を添加して加熱処 を行う上記1のテトラグリシジルアミノ化合 物の製造方法。
6.工程(E)における有機溶媒に溶解した後の水 回数が一回のみである上記1のテトラグリシ ジルアミノ化合物の製造方法。
7.工程(D)において原料ジアミン1モルに対して 0.5~5モルの水を用いて水洗後分液する上記1の テトラグリシジルアミノ化合物の製造方法。
8.有機溶媒が芳香族炭化水素または環状脂肪 炭化水素である上記1のテトラグリシジルア ミノ化合物の製造方法。
9.有機溶媒がトルエンまたはメタキシレンで る上記8のテトラグリシジルアミノ化合物の 製造方法。
10.相間移動触媒が、オニウム塩化合物、大環 状ポリエーテル化合物、直鎖状ポリエーテル 化合物および非プロトン性極性化合物からな る群から選ばれる化合物である上記1又は5の トラグリシジルアミノ化合物の製造方法。
11.工程(A)~工程(G)を回分式で行い、工程(G)に り精製処理された有機溶媒の全量を次の回 操作における(E)工程の有機溶媒の少なくと 一部として再使用する上記1のテトラグリシ ルアミノ化合物の製造方法。

 本発明のテトラグリシジルアミノ化合物の 造方法では、製品中の残留エピハロヒドリ が100ppm以下、加水分解性ハロゲン含有量が6 00ppm以下の安定した品質のテトラグリシジル ミノ化合物が効率的に製造される。
 また、本発明のテトラグリシジルアミノ化 物の製造方法では、従来の製造方法と比べ 、工程数削減、工程時間短縮、廃水量削減 び収率向上と、エピハロヒドリン及びテト グリシジルアミノ化合物の損失削減がなさ 、生産効率の向上と生産コストの削減が達 される。

 以下、本発明のテトラグリシジルアミノ化 物の製造方法の各工程について詳細に説明 る。
工程(A)
 本発明のテトラグリシジルアミノ化合物の 造方法では、先ず、工程(A)において、一般 (1)で表されるジアミンに一般式(2)で表され エピハロヒドリンを開環付加反応させ、テ ラハロヒドリンアミノ化合物(ハロヒドリン 体)を生成させる。
 一般式(1)で示されるジアミンとして、メタ シリレンジアミン、パラキシリレンジアミ 、これらの混合物、1,3-ビス(アミノメチル) クロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シク ヘキサン及びこれらの混合物が一般に用い れ、好ましくはメタキシリレンジアミン及 1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンが用 られる。
 一般式(2)で表されるエピハロヒドリンとし は、エピクロロヒドリン、エピブロモヒド ン及びβ-メチルエピクロロヒドリンが挙げ れ、エピクロロヒドリンが好ましく用いら る。

 工程(A)においてハロヒドリン体を生成させ ので、化学量論的には原料ジアミン1モルに 対して4モルのエピハロヒドリンが必要であ 。
 しかし、工程(A)ではエピハロヒドリンが溶 としても作用するので、原料ジアミンに対 てエピハロヒドリンを化学量論的に過剰に い、ジアミン1モルに対して、通常5.5~15モル 、好ましくは6.5~10モルのエピハロヒドリンを 用いる。エピハロヒドリンの使用量を5.5モル 以上とすることにより、反応中、或いは反応 終了時の系の粘度の上昇を抑えて取扱いを容 易にでき、また、反応系の着色を防ぐことが できる。逆に15モル以下とすることにより、 応装置が大きくなることや、未反応のエピ ロヒドリンの回収コストが増大することが く、経済的に有利となる。

 工程(A)における水使用量は、通常、原料 アミン1モルに対して0.5~15モル、好ましくは 1~5モルの範囲である。水の使用量を0.5モル以 上とすることにより、付加反応が促進され、 ジアミンの添加中に結晶性物質が析出するこ とや、結晶性物質の溶解時の発熱によって温 度調節が困難になることがなくなり、逆に15 ル以下とすることにより、副反応が起こり 終的に得られるテトラグリシジルアミノ化 物の品質が悪化することや、エピハロヒド ンの損失が多くなることがなくなる。

 工程(A)の開環付加反応が発熱反応であると ろから、通常、エピハロヒドリンと水との 合系にジアミンを徐々に添加し、反応系の 度が60℃を超えることがないように制御し がら反応を行う。
 反応温度は、好ましくは20~40℃である。ジ ミン添加後の反応時間は通常1~5時間であり 好ましくは2~3時間である。
 工程(A)の開環付加反応が終了後、ハロヒド ン体が変質しないように、残留したエピハ ヒドリンを加熱減圧下に留去回収すること できる。

工程(B)
 工程(A)で得られたハロヒドリン体を、次い 、工程(B)において相間移動触媒の共存下に ルカリ金属水酸化物と反応させることで、 ロヒドリン体の閉環反応によりテトラグリ ジルアミノ化合物が生成する。
 工程(B)で使用されるアルカリ金属水酸化物 しては、通常、水酸化ナトリウムまたは水 化カリウムであり、好ましくは水酸化ナト ウムである。アルカリ金属水酸化物は、固 、水溶液のいずれも用いることができるが 取り扱いの容易さから水溶液が好ましく用 られる。水酸化ナトリウムの水溶液として 通常は、一般的に流通している20質量%、25 量%及び48質量%の水酸化ナトリウム水溶液が いられるが、特に48質量%の水酸化ナトリウ 水溶液を用いることが好ましい。

 工程(B)の閉環反応におけるアルカリ金属 酸化物の使用量は、工程(A)で用いる原料ジ ミン1モルに対して化学量論量である4モル り過剰の量であり、大幅に過剰に用いた場 には生成したエポキシ基が消費されたり、 ピハロヒドリンが変質するところから、原 ジアミン1モルに対して、通常、6モル以下、 好ましくは4.2~5モルの範囲である。

 工程(B)で使用される相間移動触媒としては 下記第1群~第4群の化合物が使用され、その の一種の化合物のみを使用すればよい。
 第1群:オニウム塩化合物
 第2群:大環状ポリエーテル化合物
 第3群:直鎖状ポリエーテル化合物
 第4群:非プロトン性極性化合物

 上記第1群のオニウム塩化合物としては、 具体的には、テトラメチルアンモニウムクロ リド、テトラエチルアンモニウムクロリド、 テトラブチルアンモニウムクロリド、トリラ ウリルメチルアンモニウムクロリド、ベンジ ルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジ ルトリエチルアンモニウムクロリド、メチル トリオクチルアンモニウムクロリド、N-ラウ ルピコリニウムクロリド、テトラブチルア モニウムブロミド、テトラプロピルアンモ ウムハイドロオキシド、テトラブチルアン ニウムハイドロオキシド等で例示される第 級アンモニウム塩;テトラメチルホスホニウ ムクロリド、テトラエチルホスホニウムクロ リド、テトラブチルホスホニウムブロミド、 トリベンジルエチルホスホニウムクロリド、 トリブチルエチルホスホニウムクロリド等で 例示される第四級ホスホニウム塩;トリメチ スルホニウムヨウデイド、ジベンジルメチ スルホニウムブロミド等で例示される第三 スルホニウム塩を挙げることができる。好 しくは第四級アンモニウム塩であり、特に ましくはベンジルトリメチルアンモニウム ロリド、ベンジルトリエチルアンモニウム ロリドである。

 上記第2群の大環状ポリエーテル化合物とし ては、具体的には、12-クラウン-4、15-クラウ -5、ベンゾ-155-クラウン-5、18-クラウン-6、 ベンゾ-18-クラウン-6、ジシクロヘキシル-18- ラウン-6、ジベンゾピリジノ-18-クラウン-6 ジベンゾ-24-クラウン-8等で例示されるクラ ンエーテル類及びジアザ-15-クラウン、ジア -18-クラウン、〔2,2,2〕-クリプタンド、〔2,2 ,1〕-クリプタンド、〔2,1,1〕-クリプタンド、 〔2,2,2〕-デシルクリプタンド、〔2,2,2〕-ベン ゾクリプタンド、クリプトフィックス222Bポ マー、クリプトフィックス221Bポリマー等で 示されるクリプタンド類を挙げることがで る。
 なお、「クリプトフィックス」はメルク社 販売するクリプタンド類の商品名である。 れらの中でクラウンエーテル類が好ましく 用され、18-クラウン-6が特に好ましくは使 される。

 上記第3群の直鎖状ポリエーテル化合物と しては、具体的には、ポリエチレングリコー ル、ポリエチレングリコールジメチルエーテ ル、ポリオキシプロピレングリコール、ポリ オキシプロピレングリコールジメチルエーテ ル等で例示されるポリアルキレンオキサイド とその末端アルキルエーテル化物及びトリス (3,6-ジオキサヘプチル)アミンで例示されるポ リエーテルアミン類を挙げることができる。 これらの中でポリアルキレンオキサイドとそ の末端アルキルエーテル化物が好ましく使用 され、ポリエチレングリコールが特に好まし く使用される。

 上記第4群の非プロトン性極性化合物として は、具体的にはヘキサメチルリン酸トリアミ ド、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルム アミド、ジメチルアセトアミド、アセトニト リル、N-メチルピロリドン等で代表されるい ゆる非プロトン性極性溶媒として知られる 合物を挙げることができる。これらの中で キサメチルリン酸トリアミドが好ましく使 される。
 上記第1群~第4群の中では、第1群中の第四級 アンモニウム塩が好ましく使用され、ベンジ ルトリメチルアンモニウムクロリドおよびベ ンジルトリエチルアンモニウムクロリドが特 に好ましく使用される。

 相間移動触媒の使用量は、工程(A)で用い ジアミン1モルに対して通常0.0001~0.05モルの 囲であり、0.001~0.02モルの範囲が好ましく、 0.004~0.01の範囲がさらに好ましい。相間移動 媒は、アルカリ金属水酸化物に作用してア カリ金属水酸化物を有機層に可溶化し、水 と有機層との間を移動することにより、閉 反応を促進する。相間移動触媒の使用量が0. 0001モル以上とすることにより閉環反応を促 する効果が得られ、逆に経済性の点から0.05 ル以下とする。

 閉環反応は開環付加反応ほどではないが 熱反応であるので、通常、開環付加反応を 了した工程(A)で得られたハロヒドリン体に 間移動触媒を添加した後、アルカリ金属水 化物を徐々に添加し、反応系の温度が60℃ 超えることがないように、好ましくは30~40℃ の範囲で制御しながら行う。アルカリ金属水 酸化物添加後の反応時間は、アルカリ金属水 酸化物の使用量、製品の加水分解性ハロゲン 含有量の仕様(上限値)により異なるが、通常 0.5~5時間の範囲であり、好ましくは1~3時間 ある。

工程(C)
 工程(C)では、工程(B)で得られたテトラグリ ジルアミノ化合物含有溶液に水を加えて閉 反応工程で副生したアルカリ金属ハロゲン 物を溶解させ、アルカリ金属ハロゲン化物 含む水層を分液除去してテトラグリシジル ミノ化合物と未反応のエピハロヒドリンを む有機層(1)が得られる。
 閉環反応工程で副生したアルカリ金属ハロ ン化物を溶解させるための使用水量は、工 (A)で用いるジアミン1モルに対して27~33モル とすることが好ましい。
 閉環反応工程で副生したアルカリ金属ハロ ン化物は、水に溶解し、静置することによ 、テトラグリシジルアミノ化合物と未反応 エピハロヒドリンを含み、アルカリ金属ハ ゲン化物が除去された有機層(1)と、閉環反 工程で副生したアルカリ金属ハロゲン化物 含有する水層とに分液する。

工程(D)
 工程(C)で得られた有機層(1)は、次の工程(D) おいて、水洗された後、分液され、テトラ リシジルアミノ化合物と未反応のエピハロ ドリンを含む有機層(2)となる。有機層(1)に 、少量のアルカリ金属水酸化物が残留して るため、この水洗及び分液を行わないで未 応のエピハロヒドリンを加熱下に留去回収 ると、エピハロヒドリンの重合物が生成し エピハロヒドリンの損失の原因となる。ま 、このエピハロヒドリンの重合物は水溶性 がらも反応器に付着するので、水洗を十分 行わないと反応器に付着することになり好 しくない。

 工程(D)においては、工程(A)で用いるジアミ 1モルに対して0.5~5モルの水を用いて水洗す ことが好ましく、1~3モルの水を用いること さらに好ましい。0.5モル以上の水を用いる とにより、エピハロヒドリンの重合物の生 を抑えることができ、5モル以下の水とする ことにより、エピハロヒドリン及びテトラグ リシジルアミノ化合物が水に溶解することに よる損失量を少なくすることができる。
 有機層(1)に上記量の水を用い攪拌すること より水洗され、これを静置することにより 機層(2)と水層に分液して分離を行う。

工程(E)
 工程(D)により得られた有機層(2)は、工程(E) おいて、蒸留により未反応のエピハロヒド ンが留去回収され、塔底より粗テトラグリ ジルアミノ化合物が分離される。この粗テ ラグリシジルアミノ化合物を有機溶媒に溶 し、更に水を加えて水洗した後、分液し、 トラグリシジルアミノ化合物を含む有機層( 3)が得られる。
 上記の未反応のエピハロヒドリンの留去回 は、加熱減圧下で行い、蒸留温度が100℃、 ましくは90℃を超えることがないように制 しながら行う。留去回収されたエピハロヒ リンは工程(A)で再利用することができる。

 工程(E)において有機溶媒は、粗テトラグリ ジルアミノ化合物を溶解して粘度を下げ、 洗効率を上げるために用いるものであり、 重が水より小さく、テトラグリシジルアミ 化合物に対して不活性かつテトラグリシジ アミノ化合物を溶解し、実質的に水と相溶 のないものが選ばれる。
 工程(E)の有機溶媒としては、芳香族炭化水 及び環状脂肪族炭化水素が用いられ、具体 には、トルエン、オルトキシレン、メタキ レン、パラキシレン、混合キシレン、ベン ン、エチルベンゼン、メシチレン、シクロ キサン、メチルシクロヘキサン等が挙げら る。これらの中でトルエンおよびメタキシ ン特に好ましく使用される。これらの有機 媒は二種以上を併用することも可能である
 有機溶媒の使用量は、工程(A)で用いる原料 アミン1モルに対して通常1~20モルであり、 ましくは3~7モルである。

 粗テトラグリシジルアミノ化合物を有機 媒に溶解した後、水洗および分液を行う。 の水洗における水使用量は、工程(A)で用い 原料ジアミン1モルに対して通常5~30モルで り、好ましくは10~20モルである。水洗の回数 は、工程数削減、工程時間短縮、廃水量削減 の点から一回のみで充分である。

工程(F)
 工程(F)では、工程(E)で得られた有機層(3)か 有機溶媒を留去回収してテトラグリシジル ミノ化合物を分離する。
 この有機溶媒の留去回収は、加熱減圧下で い、この場合、蒸留温度が110℃以下、好ま くは100℃以下に制御しながら行う。
 この工程(F)において留去回収した有機溶媒 には、工程(E)で完全に留去回収できなかっ ことに起因するエピハロヒドリンが含まれ 。この有機溶媒をそのまま再利用した場合 は、留去回収した有機溶媒中にエピハロヒ リンが徐々に蓄積し、製品中の残留エピハ ヒドリン及び加水分解性ハロゲン含有量が 々に増大する。このため、次の工程(G)によ 有機溶媒の精製処理を行う。

工程(G)
 工程(G)では、留去回収した有機溶媒にアル リ金属水酸化物水溶液を添加して加熱処理 行うことにより有機溶媒を精製する。
 この加熱処理によって留去回収した有機溶 中に含まれるエピハロヒドリンは、グリセ ンのような多価アルコール若しくはエピハ ヒドリンの重合物に変換される。この多価 ルコールは水溶性のため、アルカリ金属水 化物水溶液中に溶解して除去することがで る。
 エピハロヒドリンの重合物は粉状になるの 、製品の透明性が要求される際には加熱処 した有機溶媒を濾過することによって除去 ることが好ましい。
 なお、留去回収した有機溶媒には、工程(E) 完全に分液除去できないことが原因で、有 溶媒と共沸された水が含まれる場合がある この水は、工程(G)又は次バッチの工程(E)に いて精製処理する際に同時に除去されるこ になる。
 また、工程(G)では、エピハロヒドリンの多 アルコールへの変換および重合物の生成を 進するため、工程(B)で使用するものと同様 相間移動触媒を添加しても良い。

 工程(G)で使用するアルカリ金属水酸化物水 液としては、工程(B)の閉環反応で使用する のと同様のアルカリ金属水酸化物水溶液が 用され、水酸化ナトリウム水溶液が好まし 、20質量%の水酸化ナトリウム水溶液が特に ましく使用される。閉環反応で48質量%水酸 ナトリウム水溶液を用いる場合、この48質 %水酸化ナトリウム水溶液を適宜水で希釈し 工程(G)で使用することも可能である。
 工程(G)におけるアルカリ金属水酸化物水溶 の添加量は、留去回収した有機溶媒中に含 れるエピハロヒドリンに対してアルカリ金 水酸化物が過剰の量であればよいが、留去 収した有機溶媒中に含まれるエピハロヒド ン1モルに対して、アルカリ金属水酸化物が 、通常1~20モル、好ましくは2~10モル、特に好 しくは4~8モルである。

 アルカリ金属水酸化物水溶液を添加後の加 処理の温度は、使用される有機溶媒の種類 よっても異なるが、通常40~150℃、好ましく 60~100℃である。40℃以上とすることにより 留去回収した有機溶媒中に含まれるエピハ ヒドリンの多価アルコールや重合物への変 が進行する。また、150℃以下とすることに り、有機溶媒を再利用する際の冷却時間が くなることがなく、次バッチに使用できる で、経済的に有利である。
 加熱処理時の圧力は、特に規定はなく、加 で行っても問題はないが、加圧で行う場合 容器のコストが高くなり経済的に不利であ ため、通常は常圧である。
 加熱処理の時間は、有機溶媒の種類と、加 温度によって異なるが、通常は0.5~5時間、 ましくは1~3時間である。加熱処理を0.5時間 上とすることにより、留去回収した有機溶 中に含まれるエピハロヒドリンの多価アル ールや重合物への変換が進行する。また、5 間以下とすることで、回分式における次バ チに有機溶媒を再利用する際の冷却時間が 足して製造サイクルに支障をもたらすこと なく、経済的にも有利となる。

 加熱処理を行った後に含有するアルカリ金 水酸化物や多価アルコール等は、水に溶解 るので、精製処理された有機溶媒を工程(E) 再利用する際の同工程における水洗および 液により除去されることになるが、回収有 溶媒の加熱処理液を分液し、精製処理され 有機溶媒とアルカリ金属水酸化物含有水層 分離することが好ましい。
 このように精製処理された有機溶媒は再利 され、繰り返し使用することが可能である 一般に工程(A)~工程(G)は回分式で行われ、工 程(G)により精製処理された有機溶媒は、次の 回分操作における(E)工程の有機溶媒に再使用 される。
 工程(G)において上記の方法によるエピハロ ドリンの多価アルコールやエピハロヒドリ の重合物への変換と多価アルコールのアル リ金属水酸化物水溶液への溶解・分液除去 或いは、さらに濾過によるエピハロヒドリ の重合物の除去を行う精製処理により、留 回収し精製処理された有機溶媒の全量を再 用することができる。

 上記のように、工程(G)において、アルカ 金属水酸化物水溶液を添加して加熱処理を た後、アルカリ金属水酸化物含有廃水を分 して除去した精製有機溶媒を再利用するこ により、毎バッチ、残留エピハロヒドリン び加水分解性ハロゲン含有量が少なく、且 、これらの含有量がほぼ一定値であるテト グリシジルアミノ化合物が得られる。また アルカリ金属水酸化物水溶液を用いた加熱 理する工程(G)において、少量の有機溶媒が 失するが、その損失量は最初に使用した有 溶媒の1~5質量%程度であり、この有機溶媒の 損失分は次バッチ以降において有機溶媒を新 たに補充することで対応する。

 本発明において工程(F)で得られた精製テ ラグリシジルアミノ化合物は、残留エピハ ヒドリン及び加水分解性ハロゲンの含有量 安定して低く、ガードナー色数1以下の淡色 で、かつ1500~2500mPa・s(25℃)と低粘度で、保存 の粘度上昇も少ないテトラグリシジルアミ 化合物であり、注型用素材、炭素繊維コン ジット用バインダー、航空宇宙産業用機材 スポーツ用品、重合体架橋剤、接着剤等の 種用途に十分な仕様を持つものである。

 次に実施例及び比較例をもって本発明を具 的に説明する。しかし、本発明はこれらの によって限定されるものではない。
 なお、以下の実施例において得られたテト グリシジルアミノ化合物と、回収及び精製 機溶媒の評価方法は下記の通りである。

(1)加水分解性塩素
 テトラグリシジルアミノ化合物0.5gを精秤し 、20mlの1/10規定水酸化カリウム-メタノール溶 液に溶解した後、70℃において15分間に加水 解される塩素を1/250規定硝酸銀水溶液で電位 差滴定し、加水分解性塩素とした。
(2)粘度
 TV-20形粘度計コーンプレートタイプ(東機産 株式会社製)を用いて、25℃での粘度を測定 た。
(3)ガードナー色数
 JIS K 5600-2-1(1999)に従って測定した。
(4)保存性(増粘倍率)
 テトラグリシジルアミノ化合物を100℃で24 間加熱した場合の粘度を初期値と比較した 粘倍率を求め、保存性の評価に用いた。増 倍率が小さいほど保存性が良好である。
(5)製品および回収有機溶媒中の残留エピクロ ロヒドリンの濃度
 製品のテトラグリシジルアミノ化合物およ 回収有機溶媒をアセトンに溶解し、メタキ レンを内部標準物質に用いたガスクロマト ラフィーにて分析した。ガスクロマトグラ は島津製作所製GC-17Aを用い、そのキャピラ ーカラムは信和化工製HR-1(0.32mmφ×25m)を用い た。
(6)精製処理した有機溶媒の純度
 精製処理した有機溶媒をアセトンに溶解し メタキシレンを内部標準物質に用いたガス ロマトグラフィーにて分析した。ガスクロ トグラフは島津製作所製GC-17Aを用い、その ャピラリーカラムは信和化工製HR-1(0.32mmφ×2 5m)を用いた。

実施例1
  工程(A):冷却及び加熱装置、攪拌機を備え 2Lの反応器にエピクロロヒドリン740.2g(8モル )と水36.0g(2モル)を加え、系内に窒素を流しな がら反応液の温度を35℃に昇温した。メタキ リレンジアミン136.2g(1モル)を反応液の温度 35℃に保ちながら1時間で滴下した。さらに2 時間反応温度を35℃に保って付加反応を完結 せた。
 工程(B):次いで、50質量%ベンジルトリエチル アンモニウムクロリド水溶液3.64g(ベンジルト リエチルアンモニウムクロリドとして0.008モ )を添加した後、48%水酸化ナトリウム水溶液 400.0g(水酸化ナトリウムとして4.8モル)を反応 の温度を35℃に保ちながら30分で滴下した。 さらに2時間反応温度を35℃に保って閉環反応 を行った。
 工程(C):閉環反応終了後、水540.5g(30モル)を えて閉環反応により副生した塩化ナトリウ を溶解し、1時間静置し分液した。塩化ナト ウムを含んだ廃水を抜き出し有機層(1)を得 。
 工程(D):次いで、有機層(1)に水54.0g(3モル)を えて水洗後、分液し、有機層(2)を得た。

 工程(E):有機層(2)を0.67kPa(絶対圧)の減圧下で 蒸留し、85~90℃の温度で3時間かけて過剰のエ ピクロロヒドリンを留去回収し、粗テトラグ リシジルメタキシリレンジアミンを分離した 。
 得られた粗テトラグリシジルメタキシリレ ジアミンにトルエン645.0g(7モル)を添加・溶 し、水270.2g(15モル)を加えて水洗した後、1 間静置して分液し、水溶性の有機物等を含 だ水層を抜き出した後、テトラグリシジル タキシリレンジアミンを含む有機層(3)を得 。

 工程(F):有機層(3)を0.67kPa(絶対圧)の減圧下で 95~100℃の温度で3時間かけて蒸留し、約3質量% の水と0.6質量%のエピクロロヒドリンを含有 るトルエン664.0gを留去回収した。また、分 されたテトラグリシジルメタキシリレンジ ミンを冷却後、50メッシュのSUS金網を用いて 濾過し、目的の製品である精製テトラグリシ ジルメタキシリレンジアミンを353.2g(メタキ リレンジアミン基準収率98.0%)得た。
 1バッチ目の精製テトラグリシジルメタキシ リレンジアミンを分析した結果、残留エピク ロロヒドリン35ppm、加水分解性塩素410ppm、粘 1630mPa・s、ガードナー色数1、保存性(増粘倍 率)1.17であった。
 また、以上の1バッチ目の作業時間を含めた 全工程時間の合計は、19時間であった。

 工程(G):次いで、回収トルエンに20質量%水酸 化ナトリウム水溶液34.4g(回収トルエンに含有 されるエピクロロヒドリン1モルに対して4倍 水酸化ナトリウムを含む水溶液)を加えて、 90℃で1時間加熱処理を行った。35℃まで冷却 、水酸化ナトリウムを含む水層を分液した 、濾紙(ADVANTEC 5A)を用いて濾過を行い、精 処理したトルエン626.0g(純度99.0質量%)を回収 、次バッチの工程(E)に使用した。なお、ト エン損失量は25.3g(3.9%)であった。この精製 理したトルエン中にはエピクロロヒドリン 検出されなかった(検出限界10ppm)。
 2バッチ目以降は、工程(A)~工程(F)および工 (G)の回収トルエン加熱処理の操作条件を同 とし、工程(E)におけるトルエン仕込み量が7 ルとなるように損失分を補充しながら、テ ラグリシジルメタキシリレンジアミンの合 を繰り返した。
 1~20バッチにおける平均収率(メタキシリレ ジアミン基準)およびエピクロロヒドリンの 均回収率と、各バッチ毎の製品性状を第1表 に示す。
 第1表から明らかなように、20バッチまでの バッチでの残留エピクロロヒドリン及び加 分解性塩素量はほぼ一定値を示し、かつ、 度、ガードナー色数、保存性も1バッチ目の ものと変わらなかった。

実施例2~4
 回収トルエンの加熱処理条件を第1表に示す 条件とした以外は、実施例1と同様の操作を り返し、目的の製品とするテトラグリシジ メタキシリレンジアミンを製造した。
 1~20バッチにおける平均収率(メタキシリレ ジアミン基準)およびエピクロロヒドリンの 均回収率と、各バッチ毎の製品性状を第1表 に示す。

実施例5
 トルエンの代わりにメタキシレンを用い、 収メタキシレンの水酸化ナトリウム水溶液 用いた加熱処理の温度を100℃に変更した以 は、実施例1と同様の操作を繰り返し、目的 の製品とするテトラグリシジルメタキシリレ ンジアミンを製造した。
 1~20バッチにおける平均収率(メタキシリレ ジアミン基準)およびエピクロロヒドリンの 均回収率と、各バッチ毎の製品性状を第1表 に示す。

実施例6
  メタキシリレンジアミンを1,3-ビス(アミノ メチル)シクロヘキサンに変更した以外は、 施例1と同様の操作を繰り返し、目的の製品 するテトラグリシジル1,3-ビス(アミノメチ )シクロヘキサンを製造した。
 1~20バッチにおける平均収率(1,3-ビス(アミノ メチル)シクロヘキサン基準)およびエピクロ ヒドリンの平均回収率と、各バッチ毎の製 性状を第1表に示す。

実施例7~8
  工程(D)における水洗の水使用量を第1表に す数値に変更した以外は、実施例1と同様の 操作を繰り返し、テトラグリシジルメタキシ リレンジアミンを製造した。
 1~20バッチにおける平均収率(メタキシリレ ジアミン基準)およびエピクロロヒドリンの 均回収率と、各バッチ毎の製品性状を第1表 に示す。

比較例1
  特許文献1の実施例1に準じて、実験を行っ た。
  冷却及び加熱装置、攪拌機を備えた2Lの反 応器にエピクロロヒドリン740.2g(8モル)と水36. 0g(2モル)を加え、系内に窒素を流しながら反 液の温度を35℃に昇温した。メタキシリレ ジアミン136.2g(1モル)を反応液の温度を35℃に 保ちながら1時間で滴下した。さらに2時間反 温度を35℃に保って開環付加反応を完結さ た。次いで、50質量%ベンジルトリエチルア モニウムクロリド水溶液3.64g(ベンジルトリ チルアンモニウムクロリドとして0.008モル) 添加した後、48質量%水酸化ナトリウム水溶 400.0g(水酸化ナトリウムとして4.8モル)を反応 液の温度を35℃に保ちながら30分で滴下した さらに2時間反応温度を35℃に保って閉環反 を行った。

 閉環反応終了後、水540.5g(30モル)を加えて閉 環反応により副生した塩化ナトリウムを溶解 し、1時間静置し分液した。塩化ナトリウム 含んだ廃水を抜き出し有機層(1)を得た後、 54.0g(3モル)を有機層(1)に加えて水洗及び分液 (水洗1)し、有機層(2)を得た。
 次いで有機層(2)から過剰のエピクロロヒド ンを0.67kPa(絶対圧)の減圧下85~90℃の温度で3 間かけて留去回収し蒸留残渣(1)を得た。
 蒸留残渣(1)にトルエン645.0g(7モル)を添加、 解し水270.2g(15モル)を用いて二回水洗・分液 (水洗2-1、水洗2-2)した。二回の水洗・分液及 廃水の抜き出しには合計4時間を要し、操作 も非常に煩雑であった。水洗・分液後の有機 層に水酸化カリウム3.9g(0.07モル)、水15.6g(0.87 ル、水酸化カリウムが20質量%水溶液になる )、相間移動触媒としてヘキサメチルリン酸 トリアミド12.5g(0.07モル)及びポリエチレング コール2.8g(0.007モル)を添加し、2時間反応温 を35℃に保って再閉環反応を行った。水酸 カリウム及び相間移動触媒を含む水層を分 した後、有機層を水270.2g(15モル)を用いて二 水洗・分液(水洗3-1、水洗3-2)した。二回の 洗・分液及び廃水の抜き出しには合計4時間 要し、操作も非常に煩雑であった。有機層 らトルエンを0.67kPa(絶対圧)の減圧下95~100℃ 温度で3時間かけて留去回収し、水を約3質 %含む回収トルエンを646.0g得た。回収トルエ にはエピクロロヒドリンが0.5質量%含有され ていた。蒸留残渣として得られたテトラグリ シジルメタキシリレンジアミンを冷却後、50 ッシュのSUS金網を用いて濾過して夾雑物を り除き、目的の製品とする精製テトラグリ ジルメタキシリレンジアミンを331.6g(メタキ シリレンジアミン基準収率92.0%)得た。作業時 間を含めた全工程時間の合計は、28時間であ た。

 上記テトラグリシジルメタキシリレンジア ンを分析した結果、加水分解性塩素120ppm、 度1680mPa・s、ガードナー色数1、保存性(増粘 倍率)1.28であった。
  2バッチ目以降は、同様の合成条件で回収 ルエンをそのまま再利用し、かつトルエン 込み量が7モルとなるように損失分を補充し ながら、テトラグリシジルメタキシリレンジ アミンの合成を繰り返した。
 回収トルエン中にエピクロロヒドリンが蓄 していくため、第2表に示すようにバッチ数 を重ねる毎に製品中に残留エピクロロヒドリ ン及び加水分解性塩素が増加していった。
 1~20バッチにおける各バッチ毎の製品性状お よびエピクロロヒドリンの平均回収率を第2 に示す。
 エピクロロヒドリンの平均回収率は83.0%で り、実施例1(84.2%)と同程度である。 しかし 回収トルエン中にエピクロロヒドリンが蓄 するため、第2表に示すように、製品中に残 留エピクロロヒドリン及び加水分解性塩素が 、バッチ数を重ねる毎に増加している。

比較例2
  水洗1で用いる水を0.3モルにした以外は比 例1と同様の操作を繰り返し、目的の製品と するテトラグリシジルメタキシリレンジアミ ンを得た。
 1~20バッチにおける平均収率(メタキシリレ ジアミン基準)およびエピクロロヒドリンの 均回収率と、各バッチ毎の製品性状を第2表 に示す。
 水洗1で用いる水の量が不足しているため、 エピクロロヒドリン回収後にエピクロロヒド リンの重合物が生成し、反応器に付着した。 エピクロロヒドリンの重合物は合成を繰り返 すに従い、固化し除去し難くなっていった。 エピクロロヒドリンの重合物が生成するため 、エピクロロヒドリンの回収率は平均で78.4% なり、実施例1と比較して低くなった。

比較例3
 水洗1で用いる水を特許文献1の実施例1と同 に15モルにした以外は比較例1と同様の操作 繰り返し、目的の製品とするテトラグリシ ルメタキシリレンジアミンを得た。
 1~20バッチにおける平均収率(メタキシリレ ジアミン基準)およびエピクロロヒドリンの 均回収率と、各バッチ毎の製品性状を第2表 に示す。
 水洗1で用いる水の量が多大であるため、エ ピクロロヒドリンの損失が増大し、エピクロ ロヒドリンの回収率は平均で73.6%となり、実 例1と比較して低くなった。

比較例4
  メタキシリレンジアミンを1,3-ビス(アミノ メチル)シクロヘキサンに変更した以外は、 較例1と同様の操作を繰り返し、目的の製品 するテトラグリシジル1,3-ビス(アミノメチ )シクロヘキサンを得た。
 1~20バッチにおける平均収率(1,3-ビス(アミノ メチル)シクロヘキサン基準)およびエピクロ ヒドリンの平均回収率と、各バッチ毎の製 性状を第2表に示す。

 上記の第1表および第2表において、MXDAはメ キシリレンジアミン、1,3-BACは1,3-ビスアミ メチルシクロヘキサン、MXはメタキシレン、 TOLはトルエン、ECHはエピクロロヒドリンを示 す。
 有機溶媒の加熱処理におけるNaOH使用量(*)は 、回収有機溶媒に含有されるエピクロルヒド リン1モルに対するモル数を示す。製品収率 びECH平均回収率は1~20バッチの平均値である

 比較例1~4は特許文献1に記載の方法に準ずる 方法である。この特許文献1に記載の方法と 発明のテトラグリシジルアミノ化合物の製 方法との主な差異は次の通りである。
 本発明では、工程(G)の回収有機溶媒の精製 理工程が必要であるものの、特許文献1にお ける、大量の水を用いる水洗・分液工程が大 幅に簡素化され、処理廃水が大幅に削減され ている。例えば、実施例1では比較例1に対し 水使用量合計が約29%となり、本発明での洗 用水量及び廃水量が特許文献1に対して著し く削減される。
 また、相間移動触媒やアルカリ金属水酸化 を用いた再度の閉環反応が不要となるので 1バッチに処理する時間が特許文献1では28時 間であったのに対して本発明では19時間とな 、1バッチにつき9時間の作業時間が短縮さ る。なお、本発明では、工程(G)で3~5時間要 るが、工程(G)は、工程(A)~(D)と並行でき、ま 、回収有機溶媒を貯蔵した場合には工程(A)~ (F)と並行できるので、作業時間には加算され ない。

 製品性状の(1)残留エピクロロヒドリンに関 ては、特許文献1に準じた比較例では最初の バッチでは低いがバッチ回数が増加するにつ れて増加している。これに対して本発明の実 施例では残留エピクロロヒドリンがバッチ回 数が増加しても安定して低い濃度となってい る。
 製品性状の(2)加水分解性塩素についても、 許文献1に準じた比較例では最初のバッチで は低いがバッチ回数が増加するにつれて増加 している。これに対して本発明の実施例では 加水分解性塩素が比較例の初期のバッチのも のよりも高いものの、バッチ回数が増加して も安定して低い濃度となっている。
 本発明の方法においては、回収有機溶媒の 製処理によって回収有機溶媒中の残留エピ ロロヒドリンが除去されるので、バッチ回 が増加しても製品中の残留エピクロロヒド ンや加水分解性塩素が増加せず、安定した 質のテトラグリシジルアミノ化合物が得ら る。

 なお、比較例1は特許文献1の実施例1に準じ 実験を行ったものであるが、「水洗1」工程 での水使用量などが特許文献1の実施例1と必 しも厳密に一致しない。このため、比較例2 及び3では、水洗1での水使用量を大きく変え 場合のデータを示し、実施例7及び8でもD工 の水使用量を同様に変えた場合のデータを した。
 比較例2の水洗1及び実施例7のD工程での水使 用量は5.4g(原料ジアミン1モルに対して0.3モル )であり、比較例3の水洗1及び実施例8のD工程 の水使用量は270.2g(原料ジアミン1モルに対 て15モル)である。これらの水使用量はD工程 水使用量の好ましい範囲の原料ジアミン1モ ルに対して0.5~5モルから外れ、エピクロヒド ン(ECH)の損失量が大きくなり、ECH平均回収 が低下するが、実施例7及び8では製品性状の 残留ECH及び加水分解性塩素が低濃度で安定し ており、D工程の水使用量と製品性状には相 関係がなく、本発明の方法により優れた性 の製品が安定して得られることが分かる。
 なお、水使用量が実施例7では比較例2に対 約25%になり、実施例8では比較例3に対し約40% になって、各実施例で水使用量が削減してい る。

 以上のように、本発明の方法では、特許文 1に記載の方法と比較して、高品質のテトラ グリシジルアミノ化合物が安定して得られる のみならず、煩雑な水洗・分液処理が減少し 、作業時間が大幅に(約30%)削減されるので生 効率を高めることができる。
 また、本発明の方法では、水洗処理の使用 およびその廃水が大幅に削減されるので、 水および廃水処理費用が削減される。
 さらに、本発明の方法では、ハロヒドリン の閉環反応が1回のみで済むので、その反応 に用いる相間移動触媒やアルカリ金属水酸化 物の使用量が削減される。
 このように本発明の方法では、水洗・分液 同伴して損失するテトラグリシジルアミノ 合物やエピクロロヒドリンが削減される。
 また、有機溶媒の加熱精製処理により、有 溶媒の多数回の繰り返し使用が可能であり 製品のテトラグリシジルアミノ化合物中に 留エピクロロヒドリンや加水分解性塩素が 積することがなく、有機溶媒の消費量を大 に削減することができる。
 従って、本発明により、テトラグリシジル ミノ化合物を安定した品質で効率的に製造 き、工程数削減、工程時間短縮、廃水量削 及び収率向上により、生産効率が向上し、 産コストを低下できる。