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Title:
PROCESS FOR PRODUCING THERMOPLASTIC RESIN MOLDED PRODUCT AND THERMOPLASTIC RESIN PARTICLE COMPOSITION
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/123046
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a process for producing a thermoplastic resin molded product, comprising a placement step of placing a thermoplastic resin particle composition (6A) in a cavity (22) of a rubber mold (2) formed of a rubber material, a particle heating step of applying electromagnetic waves including a wavelength range of 0.78 to 2 μm to the thermoplastic resin particle composition (6A) within the cavity (22) through the rubber mold (2) to heat and melt the thermoplastic resin particle composition (6A), a filling step of filling a molten thermoplastic resin (6) into a space (220) left in the cavity (22), and a cooling step of cooling the thermoplastic resin (6) within the cavity (22) to obtain a thermoplastic resin molded product.

Inventors:
KURIHARA FUMIO (JP)
TAKAMI MASAMITSU (JP)
OOTA KAZUMASA (JP)
KUBOTA TETSUYA (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/056263
Publication Date:
October 08, 2009
Filing Date:
March 27, 2009
Export Citation:
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Assignee:
TECHNO POLYMER CO LTD (JP)
KURIHARA FUMIO (JP)
TAKAMI MASAMITSU (JP)
OOTA KAZUMASA (JP)
KUBOTA TETSUYA (JP)
International Classes:
B29C69/00; B29C33/40; B29C39/38; B29C45/73; C08J3/12; C08L55/02
Foreign References:
JP2004068004A2004-03-04
JP2007216447A2007-08-30
JP2007106881A2007-04-26
JP2004161791A2004-06-10
JP2007216447A2007-08-30
JP2000254930A2000-09-19
Other References:
See also references of EP 2272654A4
Attorney, Agent or Firm:
AICHI, Takahashi, Iwakura & Associates (JP)
Patent business corporation あいち international patent firm (JP)
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Claims:
 ゴム材料からなるゴム型のキャビティ内に、熱可塑性樹脂粒子組成物を配置する配置工程と、
 上記ゴム型を介して上記キャビティ内における上記熱可塑性樹脂粒子組成物に、0.78~2μmの波長領域を含む電磁波を照射し、該熱可塑性樹脂粒子組成物を加熱して溶融させる粒子加熱工程と、
 上記キャビティ内の熱可塑性樹脂を冷却して熱可塑性樹脂成形品を得る冷却工程とを含むことを特徴とする熱可塑性樹脂成形品の製造方法。
 請求項1において、上記粒子加熱工程を行った後、上記冷却工程を行う前には、上記キャビティにおいて残された空間に、溶融状態の熱可塑性樹脂を充填する充填工程を行うことを特徴とする熱可塑性樹脂成形品の製造方法。
 請求項2において、上記充填工程においては、上記溶融状態の熱可塑性樹脂を0.5~5MPaの射出圧力で、上記キャビティにおいて残された空間に充填することを特徴とする熱可塑性樹脂成形品の製造方法。
 請求項1~3のいずれか一項において、上記配置工程前から上記粒子加熱工程前までの少なくともいずれかのタイミングには、上記キャビティ又は該キャビティにおいて残された空間を真空状態にする真空工程を行うことを特徴とする熱可塑性樹脂成形品の製造方法。
 請求項1~4のいずれか一項において、上記熱可塑性樹脂粒子組成物は、嵩密度が0.4g/cm 3 以上であることを特徴とする熱可塑性樹脂成形品の製造方法。
 請求項1~4のいずれか一項において、上記熱可塑性樹脂粒子組成物は、粒子径が1~100μmの小形熱可塑性樹脂粒子を0.1~20質量%含有し、残部が該小形熱可塑性樹脂粒子よりも大きい大形熱可塑性樹脂粒子からなることを特徴とする熱可塑性樹脂成形品の製造方法。
 請求項1~4のいずれか一項において、上記熱可塑性樹脂粒子組成物は、熱可塑性樹脂粒子と、無機粉体及び滑剤の少なくとも一方である微小粒子とを含有し、上記熱可塑性樹脂粒子の数平均粒子径が200~3000μmであり、上記微小粒子の体積平均粒子径が0.5~50μmであり、上記微小粒子を、上記熱可塑性樹脂粒子100質量部に対して、0.1~10質量部含有することを特徴とする熱可塑性樹脂成形品の製造方法。
 請求項1~7のいずれか一項において、上記熱可塑性樹脂粒子組成物は、熱可塑性樹脂粒子100質量部に対して、赤外線吸収剤を0.0005~0.1質量部含有することを特徴とする熱可塑性樹脂成形品の製造方法。
 請求項1~8のいずれか一項において、上記熱可塑性樹脂粒子組成物は、ゴム強化スチレン系樹脂であることを特徴とする熱可塑性樹脂成形品の製造方法。
 請求項1~9のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂成形品の製造方法によって得られたことを特徴とする熱可塑性樹脂成形品。
 ゴム材料からなるゴム型のキャビティ内に充填し、該ゴム型を介して0.78~2μmの波長領域を含む電磁波を照射して加熱溶融させるための熱可塑性樹脂粒子組成物であって、
 嵩密度が0.4g/cm 3 以上であることを特徴とする熱可塑性樹脂粒子組成物。
 ゴム材料からなるゴム型のキャビティ内に充填し、該ゴム型を介して0.78~2μmの波長領域を含む電磁波を照射して加熱溶融させるための熱可塑性樹脂粒子組成物であって、
 粒子径が1~100μmの小形熱可塑性樹脂粒子を0.1~20質量%含有し、残部が該小形熱可塑性樹脂粒子よりも大きい大形熱可塑性樹脂粒子からなることを特徴とする熱可塑性樹脂粒子組成物。
 ゴム材料からなるゴム型のキャビティ内に充填し、該ゴム型を介して0.78~2μmの波長領域を含む電磁波を照射して加熱溶融させるための熱可塑性樹脂粒子組成物であって、
 熱可塑性樹脂粒子と、無機粉体及び滑剤の少なくとも一方である微小粒子とを含有し、
 上記熱可塑性樹脂粒子の数平均粒子径は200~3000μmであり、上記微小粒子の体積平均粒子径は0.5~50μmであり、
 上記微小粒子を、上記熱可塑性樹脂粒子100質量部に対して、0.1~10質量部含有することを特徴とする熱可塑性樹脂粒子組成物。
 ゴム材料からなるゴム型のキャビティ内に充填し、該ゴム型を介して0.78~2μmの波長領域を含む電磁波を照射して加熱溶融させるための熱可塑性樹脂粒子組成物であって、
 上記熱可塑性樹脂粒子100質量部に対して、赤外線吸収剤を0.0005~0.1質量部含有することを特徴とする熱可塑性樹脂粒子組成物。
Description:
熱可塑性樹脂成形品の製造方法 び熱可塑性樹脂粒子組成物

 本発明は、ゴム型のキャビティ内に熱可 性樹脂粒子組成物を充填して熱可塑性樹脂 形品を得る熱可塑性樹脂成形品の製造方法 び熱可塑性樹脂粒子組成物に関する。

 熱可塑性樹脂を用いて所定形状の樹脂成形 を得る方法としては、一般的には、射出成 、ブロー成形、押出成形、プレス成形等の 々の成形方法がある。
 これに対し、特に特許文献1においては、ゴ ム製の成形型を用いて、熱可塑性樹脂からな る樹脂成形品を真空注型法により成形する際 に、成形型に対して熱可塑性樹脂を選択的に 加熱することができる樹脂成形方法が開示さ れている。この樹脂成形方法においては、成 形型のキャビティ内に溶融状態の熱可塑性樹 脂を充填する際に、0.78~2μmの波長領域を含む 電磁波を、成形型を介して熱可塑性樹脂に照 射し、成形型を構成するゴムと熱可塑性樹脂 との物性の違いにより、ゴム製の成形型に比 べて、熱可塑性樹脂を積極的に加熱すること ができる。

 しかしながら、ゴム製の成形型を用いて 可塑性樹脂の成形を行う際に、樹脂成形品 形状、表面精度等の品質を向上させるため は更なる工夫が必要とされる場合がある。 に、成形する樹脂成形品が大型、薄肉等の 状である場合、又は成形に用いる熱可塑性 脂材料の粘度が高い場合等には、成形型の ャビティへの充填がより難しくなり、上記 質を向上させるための工夫がより必要とさ ることがある。

 また、例えば、特許文献2においては、金 型の型面に粉末状のパウダースラッシュ材料 を所望の厚さで付着溶融させ、その後、この 材料を冷却させて型面に樹脂成形品を付着成 形するパウダースラッシュ成形法が開示され ている。しかしながら、特許文献2において 、本願の課題とする、ゴム製の成形型に対 て熱可塑性樹脂を充填する場合に樹脂の充 圧力を高くできないという問題点がなく、 記品質を向上させるための工夫は何らなさ ていない。

特開2007-216447号公報

特開2000-254930号公報

 本発明は、かかる従来の問題点に鑑みて されたもので、ゴム型を用いて熱可塑性樹 の成形を行う場合に、熱可塑性樹脂成形品 形状、表面精度等の品質を効果的に向上さ ることができる熱可塑性樹脂成形品の製造 法及び熱可塑性樹脂粒子組成物を提供しよ とするものである。

 本発明の第1の側面は、ゴム材料からなるゴ ム型のキャビティ内に、熱可塑性樹脂粒子組 成物を配置する配置工程と、
 上記ゴム型を介して上記キャビティ内にお る上記熱可塑性樹脂粒子組成物に、0.78~2μm 波長領域を含む電磁波を照射し、該熱可塑 樹脂粒子組成物を加熱して溶融させる粒子 熱工程と、
 上記キャビティ内の熱可塑性樹脂を冷却し 熱可塑性樹脂成形品を得る冷却工程とを含 ことを特徴とする熱可塑性樹脂成形品の製 方法にある。

 本発明の熱可塑性樹脂成形品の製造方法に いては、ゴム型に熱可塑性樹脂を充填して 可塑性樹脂成形品を成形するに当たり、熱 塑性樹脂粒子組成物を用いる。
 具体的には、まず、配置工程として、ゴム のキャビティ内に、熱可塑性樹脂粒子組成 を配置する。このとき、熱可塑性樹脂粒子 成物は、キャビティのほぼ全体に充填する とができ、またキャビティの一部に充填す こともできる。

 次いで、粒子加熱工程として、ゴム型を してキャビティ内における熱可塑性樹脂粒 組成物に、0.78~2μmの波長領域を含む電磁波 照射する。このとき、ゴム型を構成するゴ 材料と粉末状態の熱可塑性樹脂粒子組成物 の物性の違いにより、ゴム型に比べて、熱 塑性樹脂粒子組成物を選択的に加熱するこ ができる(熱可塑性樹脂粒子組成物の加熱量 を多くすることができる)。これにより、ゴ 型の温度上昇を抑制して、熱可塑性樹脂粒 組成物を溶融させることができる。

 また、充填圧力をあまり高くすることな キャビティの全体へ熱可塑性樹脂を充填す ことができ、ゴム型の変形及び開きを効果 に抑制することができる。そのため、ゴム における分割面(パーティング面)からの樹 漏れを防止することができ、冷却工程によ て熱可塑性樹脂成形品を得たときには、こ 熱可塑性樹脂成形品の形状、表面精度等の 質を効果的に向上させることができる。

 それ故、本発明の熱可塑性樹脂成形品の 造方法によれば、ゴム型を用いて熱可塑性 脂の成形を行う場合に、熱可塑性樹脂成形 の形状、表面精度等の品質を効果的に向上 せることができる。また、本発明による効 は、成形する熱可塑性樹脂成形品が大型、 肉等の形状である場合、又は成形に用いる 可塑性樹脂の粘度が高い場合等に特に顕著 発揮することができる。

 本発明の第2の側面は、上記熱可塑性樹脂 成形品の製造方法によって得られたことを特 徴とする熱可塑性樹脂成形品にある。

 本発明の熱可塑性樹脂成形品は、上記第1の 発明に記載した熱可塑性樹脂粒子組成物を用 いて製造(成形)したものである。
 それ故、本発明の熱可塑性樹脂成形品によ ば、その形状、表面精度等の品質を効果的 向上させることができる。

 本発明の第3の側面は、ゴム材料からなるゴ ム型のキャビティ内に充填し、該ゴム型を介 して0.78~2μmの波長領域を含む電磁波を照射し て加熱溶融させるための熱可塑性樹脂粒子組 成物であって、
 嵩密度が0.4g/cm 3 以上であることを特徴とする熱可塑性樹脂粒 子組成物にある。

 本発明の熱可塑性樹脂粒子組成物によれば 上記0.78~2μmの波長領域を含む電磁波によっ 加熱する際に、この加熱速度が大きくなり ぎて、焦げ付き等の不具合が生じることを 止することができる。
 それ故、本発明の熱可塑性樹脂粒子組成物 よれば、形状、表面精度等の品質に優れた 可塑性樹脂成形品を得ることができる。

 また、熱可塑性樹脂粒子組成物の粒径が小 いときには、嵩密度が小さくなると考えら る。そして、嵩密度が0.4g/cm 3 未満になるほど熱可塑性樹脂粒子組成物の粒 径が小さいときには、上記焦げ付き等の不具 合が生じるおそれがある。
 また、熱可塑性樹脂粒子組成物は、粒径が ぼ揃ったものとすることができ、平均粒径 は粒度分級の異なる複数種類の粒子を混合 たものとすることもできる。
 また、熱可塑性樹脂粒子組成物は、嵩密度 大きくするために球形状に近いものを用い ことが好ましい。

 また、熱可塑性樹脂粒子組成物の嵩密度と 上記電磁波を照射したときの熱可塑性樹脂 温度上昇速度との間には、反比例する関係 あると考える。そして、嵩密度が小さくな と温度上昇速度が大きくなる一方で、嵩密 が大きくなると温度上昇速度が小さくなる 考える。そのため、嵩密度が0.4g/cm 3 未満になると、温度上昇速度が大きくなって 熱可塑性樹脂粒子組成物に焦げ付き等の不具 合が生じるおそれがある。具体的には、熱可 塑性樹脂粒子組成物における電磁波の照射側 に焦げ付きが生じる場合がある。一方、温度 上昇速度が小さくなりすぎると、上記電磁波 の照射時間を長くする必要が生じてゴム型に 焦げ付き等の不具合が生じるおそれがある。 そのため、熱可塑性樹脂粒子組成物の嵩密度 は0.8g/cm 3 以下とすることができる。

 本発明の第4の側面は、ゴム材料からなるゴ ム型のキャビティ内に充填し、該ゴム型を介 して0.78~2μmの波長領域を含む電磁波を照射し て加熱溶融させるための熱可塑性樹脂粒子組 成物であって、
 粒子径が1~100μmの小形熱可塑性樹脂粒子を0. 1~20質量%含有し、残部が該小形熱可塑性樹脂 子よりも大きい大形熱可塑性樹脂粒子から ることを特徴とする熱可塑性樹脂粒子組成 にある。

 本発明の熱可塑性樹脂粒子組成物は、ゴム を介して電磁波を照射して熱可塑性樹脂成 品を製造する電磁波照射成形に優れた効果 発揮する粒子組成物である。
 具体的には、本発明の熱可塑性樹脂粒子組 物は、粒子径が1~100μmの小形熱可塑性樹脂 子と、それよりも大きい大形熱可塑性樹脂 子とを含有してなる。これにより、熱可塑 樹脂粒子をゴム型のキャビティ内に充填す 際には、小形熱可塑性樹脂粒子がキャビテ の内壁面に付着し、大形熱可塑性樹脂粒子 、キャビティ内における小形熱可塑性樹脂 子の内側を通過させることができる。その め、キャビティ内への熱可塑性樹脂粒子の 填を円滑に行うことができる。
 ここで、本発明のゴム型はゴム材料から形 されており、小形熱可塑性樹脂粒子は、そ 粒子径が1~100μmの範囲内であることによっ 、ゴム材料からなるキャビティの内壁面に 着させることができる。

 そして、小形熱可塑性樹脂粒子と大形熱可 性樹脂粒子との含有比率は、前者が0.1~20質 %であり、後者が80~99.9質量%である。これに り、大形熱可塑性樹脂粒子の比率を多くし ゴム型を介して上記電磁波を照射して熱可 性樹脂粒子組成物を加熱溶融させる際に、 の熱可塑性樹脂粒子組成物に焼け等の不具 が生じることを防止することができる。
 また、キャビティ内に充填した熱可塑性樹 粒子組成物は、ゴム型を介して上記電磁波 照射して加熱溶融させ、その後、キャビテ 内の熱可塑性樹脂を冷却して、熱可塑性樹 成形品を得ることができる。なお、キャビ ィ内の熱可塑性樹脂粒子組成物を加熱溶融 せた後には、必要に応じて、加熱溶融によ てキャビティ内に残された空間に、溶融状 の熱可塑性樹脂を充填(補充)することもで る。

 それ故、本発明の熱可塑性樹脂粒子組成 によれば、電磁波照射成形を行う際に、熱 塑性樹脂粒子のキャビティへの円滑な充填 行うと共に、焼け等の不具合の発生を防止 ることができ、外観、形状、表面精度等の 質及び機械的強度に優れる熱可塑性樹脂成 品を製造することができる。また、本発明 よる効果は、成形する熱可塑性樹脂成形品 大型、薄肉等の形状である場合、又は成形 用いる熱可塑性樹脂粒子の粘度が高い場合 に特に顕著に発揮することができる。

 また、上記小形熱可塑性樹脂粒子の粒子 を1μm未満とすることは製造上困難であり、 小形熱可塑性樹脂粒子の粒子径が1μm未満で る場合には、熱可塑性樹脂成形品の成形時 おける取り扱いが困難になる。一方、上記 形熱可塑性樹脂粒子の粒子径が100μm超過で る場合には、小形熱可塑性樹脂粒子をキャ ティの内壁面に付着させる作用を発揮する とが困難になる。

 また、上記小形熱可塑性樹脂粒子の含有 率が0.1質量%未満である場合には、キャビテ ィの内壁面に付着させる小形熱可塑性樹脂粒 子の量が少なくて、キャビティ内における小 形熱可塑性樹脂粒子の内側を大形熱可塑性樹 脂粒子を通過させる作用を発揮することが困 難になる。一方、上記小形熱可塑性樹脂粒子 の含有比率が20質量%超過である場合には、熱 可塑性樹脂粒子組成物を加熱溶融させる際に 、キャビティの内壁面に付着した小形熱可塑 性樹脂粒子に焼け等の不具合が生じるおそれ がある。

 また、小形熱可塑性樹脂粒子の粒子径は、3 ~90μmとすることがより好ましい。また、上記 大形熱可塑性樹脂粒子の粒子径は、例えば200 ~3000μmの範囲内とすることができる。この大 熱可塑性樹脂粒子の粒子径は、300~2000μmと ることがより好ましく、350~1500μmとすること がさらに好ましい。
 また、熱可塑性樹脂粒子組成物における小 熱可塑性樹脂粒子の含有比率は、10質量%以 とすることが好ましく、7質量%以下とする とがより好ましい。
 また、小形熱可塑性樹脂粒子及び大形熱可 性樹脂粒子に用いる熱可塑性樹脂のメルト ローレート(220℃、10kg荷重)は、1~100g/10minと ることが好ましく、5~80g/10minとすることが り好ましく、15~65g/10minとすることがさらに ましい。

 また、大形熱可塑性樹脂粒子と小形熱可 性樹脂粒子とは、同じ組成を有する熱可塑 樹脂から構成することができる。また、大 熱可塑性樹脂粒子と小形熱可塑性樹脂粒子 は、互いに異なる組成を有する熱可塑性樹 から構成することができる。ただし、この 合には、機械的強度を高くするため、相溶 の高い熱可塑性樹脂を用いることが好まし 。

 本発明の第5の側面は、ゴム材料からなるゴ ム型のキャビティ内に充填し、該ゴム型を介 して0.78~2μmの波長領域を含む電磁波を照射し て加熱溶融させるための熱可塑性樹脂粒子組 成物であって、
 熱可塑性樹脂粒子と、無機粉体及び滑剤の なくとも一方である微小粒子とを含有し、
 上記熱可塑性樹脂粒子の数平均粒子径は200~ 3000μmであり、上記微小粒子の体積平均粒子 は0.5~50μmであり、
 上記微小粒子を、上記熱可塑性樹脂粒子100 量部に対して、0.1~10質量部含有することを 徴とする熱可塑性樹脂粒子組成物にある。

 本発明の熱可塑性樹脂粒子組成物は、ゴム を介して電磁波を照射して熱可塑性樹脂成 品を製造する電磁波照射成形に優れた効果 発揮する粒子組成物である。
 具体的には、本発明の熱可塑性樹脂粒子組 物は、数平均粒子径が200~3000μmである熱可 性樹脂粒子と、体積平均粒子径が0.5~50μmで る微小粒子(無機粉体及び滑剤の少なくとも 方)とを含有してなる。これにより、熱可塑 性樹脂粒子をゴム型のキャビティ内に充填す る際には、微小粒子がキャビティの内壁面に 付着し、熱可塑性樹脂粒子は、キャビティ内 における微小粒子の内側を通過させることが できる。そのため、キャビティ内への熱可塑 性樹脂粒子の充填を円滑に行うことができる 。
 ここで、本発明のゴム型はゴム材料から形 されており、微小粒子は、その体積平均粒 径が0.5~50μmであることによって、ゴム材料 らなるキャビティの内壁面に付着させるこ ができる。

 そして、熱可塑性樹脂粒子と微小粒子との 有比率は、前者を100質量部に対して、後者 0.1~10質量部である。これにより、熱可塑性 脂粒子の比率を多くし、ゴム型を介して上 電磁波を照射して熱可塑性樹脂粒子組成物 加熱溶融させる際に、この熱可塑性樹脂粒 組成物に焼け等の不具合が生じることを防 することができる。
 また、キャビティ内に充填した熱可塑性樹 粒子組成物は、ゴム型を介して上記電磁波 照射して加熱溶融させ、その後、キャビテ 内の熱可塑性樹脂を冷却して、熱可塑性樹 成形品を得ることができる。なお、キャビ ィ内の熱可塑性樹脂粒子組成物を加熱溶融 せた後には、必要に応じて、加熱溶融によ てキャビティ内に残された空間に、溶融状 の熱可塑性樹脂を充填(補充)することもで る。

 それ故、本発明の熱可塑性樹脂粒子組成 によっても、電磁波照射成形を行う際に、 可塑性樹脂粒子のキャビティへの円滑な充 を行うと共に、焼け等の不具合の発生を防 することができ、外観、形状、表面精度等 品質及び機械的強度に優れる熱可塑性樹脂 形品を製造することができる。また、本発 による効果は、成形する熱可塑性樹脂成形 が大型、薄肉等の形状である場合、又は成 に用いる熱可塑性樹脂粒子の粘度が高い場 等に特に顕著に発揮することができる。

 また、上記微小粒子の体積平均粒子径とは レーザー回折法等により測定された体積累 粒径の中心粒径、即ち、50%平均粒子径(「D 50 」ともいう。)のことをいう。
 上記微小粒子の含有量は、上記熱可塑性樹 粒子100質量部に対して、0.2~8質量部とする とがより好ましく、0.5~5質量部とすることが さらに好ましい。また、微小粒子の含有量は 、3質量部以下とすることがさらに好ましい
 上記微小粒子を上記無機粉体のみから構成 た場合には、この無機粉体は、上記熱可塑 樹脂粒子100質量部に対して、0.2~8質量部と ることがより好ましく、0.5~5質量部とするこ とがさらに好ましい。また、上記微小粒子を 上記滑剤のみから構成した場合には、この滑 剤は、上記熱可塑性樹脂粒子100質量部に対し て、0.2~8質量部とすることがより好ましく、0 .5~5質量部とすることがさらに好ましい。

 本発明の第6の側面は、ゴム材料からなるゴ ム型のキャビティ内に充填し、該ゴム型を介 して0.78~2μmの波長領域を含む電磁波を照射し て加熱溶融させるための熱可塑性樹脂粒子組 成物であって、
 上記熱可塑性樹脂粒子100質量部に対して、 外線吸収剤を0.0005~0.1質量部含有することを 特徴とする熱可塑性樹脂粒子組成物にある。

 本発明の熱可塑性樹脂組成物は、電磁波照 成形(ゴム型を介して熱可塑性樹脂に電磁波 を照射して成形する方法)に優れた効果を発 する組成物である。
 具体的には、本発明の熱可塑性樹脂組成物 、熱可塑性樹脂100質量部に対して、赤外線 収剤を0.0005~0.1質量部含有してなる。そして 、この熱可塑性樹脂組成物をゴム型のキャビ ティ内に充填し、この熱可塑性樹脂組成物に ゴム型を介して0.78~2μmの波長領域を含む電磁 波を照射する際には、赤外線吸収剤が効果的 に電磁波を吸収することができる。

 これにより、熱可塑性樹脂として透明、白 又は所定の着色を行った熱可塑性樹脂を用 ていても、上記電磁波を効果的に吸収させ ことができ、熱可塑性樹脂組成物を迅速に 熱溶融させることができる。また、成形型 してのゴム型の製造が容易であり、種々の 状の熱可塑性樹脂成形品を安価に成形する とができる。
 それ故、本発明の熱可塑性樹脂粒子組成物 よれば、形状、表面精度等の品質に優れた 可塑性樹脂成形品を得ることができる。

 上記赤外線吸収剤の配合量は、熱可塑性 脂100質量部当たり、好ましくは0.001~0.08重量 部、さらに好ましくは0.005~0.06重量部である 配合量を0.0005重量部以上とすることにより 電磁波を照射して熱可塑性樹脂組成物の加 溶融に要する時間をさらに短縮することが きる。赤外線吸収剤は、1種でも使用可能で るが、2種以上併用することもできる。

 上記赤外線吸収剤を用いる場合には、曇価( ヘイズ)が20%以下である熱可塑性樹脂成形品 成形することが容易になる。
 この曇価(ヘイズ)の値は、厚みが2.5mmの試験 片を用い、JIS K7136に準拠して求めた値とす 。この曇価は、値が小さいほど透明に近い とを意味する。上記熱可塑性樹脂組成物を 可塑性樹脂成形品としたときの曇価の値は 好ましくは15%以下、さらに好ましくは10%以 、特に好ましくは8%以下である。この曇価の 下限値は、上記赤外線吸収剤の配合量を少な くして、0%に近い値とすることができる。

 上記赤外線吸収剤を用いる場合には、白色 が30%以上である熱可塑性樹脂成形品を成形 ることが容易になる。
 この白色度の値W(%)は、次式から求めた値と する。
 W(%)=100-{(100-L) 2 +a 2 +b 2 } 1/2
 ここで、Lは明度を示し、aは赤色度を示し bは黄色度を示し、ハンター式測定色差計に って求める値である。この白色度は、値が きいほど白色に近いことを意味する。

 上記熱可塑性樹脂組成物を熱可塑性樹脂成 品としたときの白色度の値は、好ましくは4 0%以上、さらに好ましくは50%以上、特に好ま くは70%以上である。この白色度の上限値は 可能な限り100%に近い値とすることができる 。
 上記白色度は、熱可塑性樹脂の種類及びそ 含有量、赤外線吸収剤の種類及びその含有 、並びに着色剤の種類及びその含有量を、 宜選択することにより調整することができ 。

 上記熱可塑性樹脂100質量部に対する赤外 吸収剤の含有量が0.0005質量部未満である場 には、赤外線吸収剤が少な過ぎて、上記熱 塑性樹脂組成物が電磁波を吸収する効果が 分に発揮されない。一方、上記熱可塑性樹 100質量部に対する赤外線吸収剤の含有量が0 .1質量部超過である場合には、赤外線吸収剤 多過ぎて、成形した熱可塑性樹脂成形品の 色度を30%以上に保つことが困難になる。

実施例1における、熱可塑性樹脂成形品 の製造方法における配置工程を行った状態を 示す説明図。 実施例1における、熱可塑性樹脂成形品 の製造方法における粒子加熱工程及び真空工 程を行う状態を示す説明図。 実施例1における、熱可塑性樹脂成形品 の製造方法における充填工程を行った状態を 示す説明図。 実施例1において、横軸に波長(nm)をと 、縦軸に光の透過率(%)をとって、透明のシ コーンゴムと半透明のシリコーンゴムにつ ての光の透過率を示すグラフ。 実施例1において、粒子のサンプルについて 嵩密度(g/cm 3 )及び安息角(°)を測定した結果を示すグラフ 実施例1において、粒子のサンプルについて 測定した嵩密度(g/cm 3 )と昇温速度(℃/sec)との関係を示すグラフ。 実施例2において、小形熱可塑性樹脂粒 子と大形熱可塑性樹脂粒子とをゴム型のキャ ビティ内に充填する状態を示す説明図。 実施例2において、大形熱可塑性樹脂粒 子のみをゴム型のキャビティ内に充填する状 態を示す説明図。 実施例4において、横軸に波長(nm)をと 、縦軸に光の吸収率(%)をとって、赤外線吸 剤を含有しない熱可塑性樹脂と、熱可塑性 脂に赤外線吸収剤を含有させた熱可塑性樹 組成物とについての光の吸収率(%)を示すグ フ。 実施例5において、横軸に波長(nm)をと 、縦軸に光の吸収率(%)をとって、赤外線吸 剤を含有しない熱可塑性樹脂と、熱可塑性 脂に赤外線吸収剤を含有させた熱可塑性樹 組成物とについての光の吸収率(%)を示すグ フ。

発明を実施するための形態

 上述した本発明における好ましい実施の形 につき説明する。
 本発明の第1~第6の側面において、上記熱可 性樹脂粒子組成物とは、例えば、平均粒径 数百μm程度の微粒子(粉体)から、平均粒径 数mm程度の粒子まで、広く粒子状態のものを いう。
 また、上記0.78~2μmの波長領域を含む電磁波 より、ゴム型に比べて、熱可塑性樹脂を選 的に加熱することができる理由としては、 下のように考える。
 すなわち、ゴム型の表面に照射された0.78~2 mの波長領域を含む電磁波は、ゴム型に吸収 れる割合に比べて、ゴム型を透過して熱可 性樹脂に吸収される割合が多いと考える。 のため、0.78~2μmの波長領域を含む電磁波に る光のエネルギーが熱可塑性樹脂に優先的 吸収されて、熱可塑性樹脂を選択的に加熱 ることができると考える。

 また、上記ゴム型を介して上記熱可塑性樹 に照射する電磁波としては、波長が0.78~2μm 領域の電磁波だけでなく、これ以外の領域 電磁波も含まれていてもよい。この場合に いて、ゴム型を介して熱可塑性樹脂に照射 る電磁波又は透過電磁波は、波長が0.78~2μm 領域の電磁波を、これ以外の領域の電磁波 りも多く含むことが好ましい。
 また、上記熱可塑性樹脂の加熱に、波長が0 .78~2μmの領域の電磁波を用いる理由は、この 長の領域の電磁波は、ゴム型を透過し易い 質を有する一方、熱可塑性樹脂に吸収され い性質を有するためである。

 また、上記電磁波は、0.78~2μmの波長領域 強度のピークを有していることが好ましい この場合には、電磁波発生手段等の電磁波 生源として、出射する電磁波の波長に所定 分布特性を有するハロゲンヒータ、赤外線 ンプ等を用いることができる。

 上記ゴム型は、ゴム材料としての透明又 半透明のシリコーンゴムから形成すること できる。このシリコーンゴムの硬度は、JIS- A規格測定において25~80とすることができる。

 上記熱可塑性樹脂粒子(上記大形熱可塑性樹 脂粒子及び上記小形熱可塑性樹脂粒子も含む 。)は、機械的粉砕法(常温、冷凍粉砕、湿式 砕、ジェット粉砕)、噴霧法(乾燥、凝固)、 制乳化法(溶融乳化、溶液乳化)、懸濁重合 、乳化重合法等の種々の方法によって作り すことができる。
 例えば、上記熱可塑性樹脂粒子としては、 出機によって得た熱可塑性樹脂のペレット 冷凍粉砕して作り出したものを用いること できる。冷凍粉砕によれば、種々の粒径の 可塑性樹脂粒子を作り出すことができる。 た、熱可塑性樹脂粒子としては、押出機の 端に細口径のダイスを取り付けて、いわゆ 水中カット方式で作り出したものを用いる ともできる。この押出水中カット方式によ ば、0.5mm程度の粒子(熱可塑性樹脂粒子)を簡 単かつ安価に作り出すことができる。
 また、熱可塑性樹脂粒子は、必要に応じて 分級、ふるい分け等を行って得ることもで る。

 上記熱可塑性樹脂粒子組成物に用いる熱可 性樹脂としては、0.78~2μmの波長領域の電磁 を吸収し、加熱が促進されるものを用いる とができる。
 上記熱可塑性樹脂粒子組成物に用いる熱可 性樹脂は、熱可塑性を有する重合体を含む のであれば、特に限定されず、ABS樹脂(アク リロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂) ASA樹脂(アクリレート・スチレン・アクリロ トリル樹脂)、AES樹脂(アクリロニトリル・ チレン-プロピレン-ジエン・スチレン樹脂) のゴム強化スチレン系樹脂、ポリスチレン スチレン・アクリロニトリル共重合体、ス レン・無水マレイン酸共重合体、(メタ)アク リル酸エステル・スチレン共重合体等のスチ レン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン 等のオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポ リカーボネート樹脂、ポリエステル系樹脂、 ポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリ アリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリ フェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンサ ルファイド樹脂、フッ素樹脂、イミド系樹脂 、ケトン系樹脂、スルホン系樹脂、ウレタン 系樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレンオキ シド、ポリビニルアルコール、ポリビニルエ ーテル、ポリビニルブチラール、フェノキシ 樹脂、感光性樹脂、液晶ポリマー、生分解性 プラスチック等が挙げられる。これらは、1 単独であるいは2種以上を組み合わせて用い ことができる。

 上記熱可塑性樹脂のうち、成形品の成形 好適なものとして、ゴム強化スチレン系樹 、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポ エステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ ステル系樹脂及びポリカーボネート樹脂の ロイ、ゴム強化スチレン系樹脂及びポリカ ボネート樹脂のアロイ、ゴム強化スチレン 樹脂及びポリエステル系樹脂のアロイ等が げられる。

 上記熱可塑性樹脂粒子組成物は、ゴム強化 チレン系樹脂とすることが好ましい。
 この場合には、熱可塑性樹脂成形品の形状 表面精度等の品質を向上させることができ 効果をより顕著に得ることができる。

 上記ゴム強化スチレン系樹脂は、ゴム質 合体(a1)の存在下に、芳香族モノビニル化合 物を含むビニル系単量体(a2)を重合して得ら たゴム強化スチレン系樹脂(A1)、又は該ゴム 化スチレン系樹脂(A1)と、ビニル系単量体に 由来する構造単位を含む(共)重合体(A2)とを混 合してなる混合物とすることができる。

 上記ゴム質重合体(a1)は、室温でゴム質で あれば、単独重合体であってもよいし、共重 合体であってもよいが、ジエン系重合体(ジ ン系ゴム質重合体)及び非ジエン系重合体(非 ジエン系ゴム質重合体)が好ましい。更に、 記ゴム質重合体(a1)は、架橋重合体であって よいし、非架橋重合体であってもよい。こ らは、1種単独であるいは2種以上を組み合 せて用いることができる。

 上記ジエン系重合体としては、ポリブタ エン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン の単独重合体、スチレン・ブタジエン共重 体、スチレン・ブタジエン・スチレン共重 体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合 、アクリロニトリル・スチレン・ブタジエ 共重合体等のスチレン・ブタジエン系共重 体ゴム、スチレン・イソプレン共重合体、 チレン・イソプレン・スチレン共重合体、 クリロニトリル・スチレン・イソプレン共 合体等のスチレン・イソプレン系共重合体 ム、天然ゴム等が挙げられる。これらの共 合体は、ブロック共重合体でもよいし、ラ ダム共重合体でもよい。また、これらの共 合体は水素添加(但し、水素添加率は50%未満 。)されたものであってもよい。上記ジエン 重合体は、1種単独であるいは2種以上を組み 合わせて用いることができる。

 また、上記非ジエン系重合体としては、 チレン単位と、炭素数3以上のα-オレフィン からなる単位を含むエチレン・α-オレフィン 系共重合体ゴム、ウレタン系ゴム、アクリル 系ゴム、シリコーンゴム、シリコーン・アク リル系IPNゴム、共役ジエン系化合物よりなる 単位を含む(共)重合体を水素添加してなる重 体等が挙げられる。これらの共重合体は、 ロック共重合体であってもよいし、ランダ 共重合体であってもよい。また、これらの 重合体は水素添加(但し、水素添加率は50%以 上。)されたものであってもよい。上記非ジ ン系重合体は、1種単独であるいは2種以上を 組み合わせて用いることができる。

 上記ゴム質重合体(a1)として、ジエン系重 合体を用いた場合に得られるゴム強化スチレ ン系樹脂(A1)を含む樹脂は、一般に、「ABS樹 」といわれている。また、上記ゴム質重合 (a1)として、エチレン・α-オレフィンとエチ ン・α-オレフィン・非共役ジエン共重合体 の少なくとも一方を用いた場合に得られる ム強化スチレン系樹脂(A1)を含む樹脂は、一 般に、「AES樹脂」といわれている。更に、上 記ゴム質重合体(a1)として、アクリル系ゴム 用いた場合に得られるゴム強化スチレン系 脂(A1)を含む樹脂は、一般に、「ASA樹脂」と われている。

 上記ゴム強化スチレン系樹脂(A1)の形成に用 いられるビニル系単量体(a2)は、芳香族ビニ 化合物のみでもよいし、この芳香族ビニル 合物と、例えば、シアン化ビニル化合物、( タ)アクリル酸エステル化合物、マレイミド 系化合物、酸無水物等の、芳香族ビニル化合 物と共重合可能な化合物とを、それぞれ、1 単独であるいは2種以上を組み合わせて用い ことができる。
 従って、上記ビニル系単量体(a2)としては、 芳香族ビニル化合物の1種以上、あるいは、 香族ビニル化合物の1種以上と、該芳香族ビ ル化合物と共重合可能な化合物の1種以上と を組み合わせた単量体を用いることができる 。

 上記芳香族ビニル化合物としては、少な とも1つのビニル結合と、少なくとも1つの 香族環とを有する化合物であれば、特に限 されることなく用いることができる。その としては、スチレン、α-メチルスチレン、o- メチルスチレン、p-メチルスチレン、ビニル ルエン、β-メチルスチレン、エチルスチレ 、p-tert-ブチルスチレン、ビニルキシレン、 ビニルナフタレン、モノクロロスチレン、ジ クロロスチレン、モノブロモスチレン、ジブ ロモスチレン、フルオロスチレン等が挙げら れる。これらは、1種単独であるいは2種以上 組み合わせて用いることができる。また、 れらのうち、スチレン及びα-メチルスチレ が好ましい。

 上記シアン化ビニル化合物としては、アク ロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げ れる。これらのうち、アクリロニトリルが ましい。また、これらは、1種単独であるい は2種以上を組み合わせて用いることができ 。
 上記(メタ)アクリル酸エステル化合物とし は、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エ ル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸 イソプロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタ リル酸イソブチル、メタクリル酸tert-ブチ 、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、 クリル酸n-プロピル、アクリル酸イソプロピ ル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブ ル、アクリル酸tert-ブチル等が挙げられる これらは、1種単独であるいは2種以上を組み 合わせて用いることができる。

 上記マレイミド系化合物としては、マレイ ド、N-メチルマレイミド、N-ブチルマレイミ ド、N-フェニルマレイミド、N-(2-メチルフェ ル)マレイミド、N-(4-ヒドロキシフェニル)マ イミド、N-シクロヘキシルマレイミド等が げられる。これらは、1種単独であるいは2種 以上を組み合わせて用いることができる。な お、マレイミド系化合物からなる単位を導入 する他の方法としては、例えば、無水マレイ ン酸を共重合し、その後イミド化する方法で もよい。
 上記酸無水物としては、無水マレイン酸、 水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げ れる。これらは、1種単独であるいは2種以 を組み合わせて用いることができる。

 また、上記化合物以外に、必要に応じて ヒドロキシル基、アミノ基、エポキシ基、 ミド基、カルボキシル基、オキサゾリン基 の官能基を有するビニル系化合物を用いる とができる。例えば、メタクリル酸2-ヒド キシエチル、アクリル酸2-ヒドロキシエチル 、ヒドロキシスチレン、メタクリル酸N,N-ジ チルアミノメチル、アクリル酸N,N-ジメチル ミノメチル、N,N-ジエチル-p-アミノメチルス チレン、メタクリル酸グリシジル、アクリル 酸グリシジル、メタクリル酸3,4-オキシシク ヘキシル、アクリル酸3,4-オキシシクロヘキ ル、ビニルグリシジルエーテル、メタリル リシジルエーテル、アリルグリシジルエー ル、メタクリルアミド、アクリルアミド、 タクリル酸、アクリル酸、ビニルオキサゾ ン等が挙げられる。これらは、1種単独であ るいは2種以上を組み合わせて用いることが きる。

 また、上述したように、熱可塑性樹脂に ム強化スチレン系樹脂を用いる場合には、 ム強化スチレン系樹脂は、ゴム強化スチレ 系樹脂(A1)のみから構成してもよく、ゴム強 化スチレン系樹脂(A1)と、ビニル系単量体の 合によって得られた(共)重合体(A2)とを混合 た混合物から構成してもよい。このビニル 単量体としては、上記ゴム強化スチレン系 脂(A1)の形成に用いた化合物、即ち、芳香族 ニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ )アクリル酸エステル化合物、マレイミド系 合物、酸無水物及び官能基を有する化合物 ら選ばれる1種以上を用いることができる。 って、上記(共)重合体(A2)は、上記ゴム強化 チレン系樹脂(A1)の形成に用いたビニル系単 量体(a2)と全く同じ組成の成分を重合して得 れる重合体であってもよいし、異なる組成 同じ種類の単量体を重合して得られる重合 であってもよいし、更には、異なる組成で なる種類の単量体を重合して得られる重合 であってもよい。これらの各重合体が2種以 含まれるものであってもよい。

 上記ゴム強化スチレン系樹脂(A1)のグラフト 率は、好ましくは30~150質量%、より好ましく 50~120質量%である。上記ゴム強化スチレン系 脂(A1)のグラフト率が小さすぎると、熱可塑 性樹脂成形品の表面外観性及び耐衝撃性が低 下することがある。また、グラフト率が大き すぎると、成形加工性が劣る。
 ここで、グラフト率とは、上記ゴム強化ス レン系樹脂(A1)1グラム中のゴム成分をxグラ 、上記ゴム強化スチレン系樹脂(A1)1グラム アセトン(但し、ゴム質重合体(a1)がアクリル 系ゴムである場合には、アセトニトリルを使 用。)に溶解させた際の不溶分をyグラムとし ときに、次式により求められる値である。
 グラフト率(質量%)={(y-x)/x}×100

 また、上記ゴム強化スチレン系樹脂(A1)のア セトン(但し、ゴム質重合体(a1)がアクリル系 ムである場合には、アセトニトリルを使用 )による可溶成分の極限粘度[η](メチルエチ ケトン中、30℃で測定)は、好ましくは0.2~1dl /g、より好ましくは0.3~0.8dl/gである。この範 とすることにより、熱可塑性樹脂成形品の 形加工性に優れ、得られる成形品の耐衝撃 にも優れる。
 なお、上記グラフト率及び極限粘度[η]は、 上記ゴム強化スチレン系樹脂(A1)を製造する きの、重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤、 剤等の種類や量、更には重合時間、重合温 等を変えることにより、容易に制御するこ ができる。

 上記(共)重合体(A2)としては、下記(1)~(6)に例 示される。なお、各単量体は、上記ゴム強化 スチレン系樹脂(A1)の形成に用いられる化合 を適用でき、好ましい化合物も同様である
(1)芳香族ビニル化合物のみを重合して得られ た(共)重合体の1種以上。(2)(メタ)アクリル酸 ステル化合物のみを重合して得られた(共) 合体の1種以上。(3)芳香族ビニル化合物及び アン化ビニル化合物を重合して得られた共 合体の1種以上。(4)芳香族ビニル化合物及び (メタ)アクリル酸エステル化合物を重合して られた共重合体の1種以上。(5)芳香族ビニル 化合物、シアン化ビニル化合物及び他の化合 物を重合して得られた共重合体の1種以上。(6 )芳香族ビニル化合物と、シアン化ビニル化 物を除く他の化合物とを重合して得られた 重合体の1種以上。
 これらは、1種単独であるいは2種以上を組 合わせて用いることができる。

 従って、上記(共)重合体(A2)の具体例とし は、アクリロニトリル・スチレン共重合体 アクリロニトリル・α-メチルスチレン共重 体、アクリロニトリル・スチレン・メタク ル酸メチル共重合体、スチレン・メタクリ 酸メチル共重合体、アクリロニトリル・ス レン・N-フェニルマレイミド共重合体等が げられる。

 上記(共)重合体(A2)の極限粘度[η](メチル チルケトン中、30℃で測定)は、好ましくは0. 2~0.8dl/gである。極限粘度[η]が上記範囲内で ると、成形加工性及び耐衝撃性の物性バラ スに優れる。なお、この(共)重合体(A2)の極 粘度[η]は、上記ゴム強化スチレン系樹脂(A1) の場合と同様、製造条件を調整することによ り制御することができる。

 上記ゴム強化樹脂のアセトン(但し、ゴム質 重合体(a1)がアクリル系ゴムである場合には アセトニトリルを使用。)による可溶成分の 限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃で測 定)は、好ましくは0.2~0.8dl/gである。極限粘度 [η]が上記範囲内であると、成形加工性と耐 撃性との物性バランスに優れる。
 上記スチレン系樹脂としては、前述の(共) 合体(A2)において芳香族ビニル化合物のみを 合して得られた重合体、或いは芳香族ビニ 化合物と他の共重合可能な化合物を共重合 て得られた重合体が挙げられる。

 上記オレフィン系樹脂は、炭素数が2以上 のα-オレフィンからなる単量体単位を含む重 合体であれば、特に限定されない。好ましい オレフィン系樹脂は、炭素数2~10のα-オレフ ンからなる単量体単位を含む重合体である 従って、炭素数2~10のα-オレフィンからなる 量体単位の1種以上を主として含む(共)重合 、炭素数2~10のα-オレフィンからなる単量体 単位の1種以上と、このα-オレフィンと共重 可能な化合物からなる単量体単位の1種以上 を主として含む共重合体等が挙げられる。 れらは、1種単独であるいは2種以上を組み わせて用いることができる。

 上記オレフィン系樹脂としては、ポリエ レン、ポリプロピレン、エチレン・プロピ ン共重合体、ポリブテン-1、エチレン・ブ ン-1共重合体等が挙げられる。これらのうち 、ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレ ン・エチレン共重合体が好ましく、プロピレ ン単位を全単量体単位に対して、50質量%以上 含む重合体、即ち、ポリプロピレン、エチレ ン・プロピレン共重合体がより好ましい。な お、上記エチレン・プロピレン共重合体とし ては、ランダム共重合体、ブロック共重合体 等があるが、いずれの共重合体を用いてもよ い。

 上記オレフィン系樹脂は、結晶性であって よいし、非晶性であってもよい。好ましく 、室温下、X線回折により、20%以上の結晶化 度を有するものである。
 上記オレフィン系樹脂の融点(JIS K7121に準 )は、好ましくは40℃以上である。
 また、上記オレフィン系樹脂の分子量は特 限定されないが、成形性の観点から好まし は、ポリプロピレン系樹脂においては、JISK 7210:1999(230℃、荷重2.16kg)に準拠して測定した ルトフローレートは、通常0.01~500g/10分、よ 好ましくは0.04、更に好ましくは0.05~100g/10分 であり、ポリエチレン系樹脂では、JISK6922-2(1 90℃、荷重2.16kg)に準拠して測定したメルトフ ローレートは、通常0.01~500g/10分、より好まし くは0.05~100g/10分である。
 上記オレフィン系樹脂としては、アイオノ ー、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチ ン・ビニルアルコール共重合体、環状オレ ィン共重合体、塩素化ポリエチレン等を用 ることもできる。

 上記アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル エステル化合物を単独で重合して、あるい 共重合可能なビニル単量体と共重合して得 ことができる。具体的には、アクリル系樹 としては、メタクリル酸メチルの単独重合 、メタクリル酸メチルとアクリル酸メチル (メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸 ロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、2-エチル ヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メ タ)アクリル酸エステル、あるいは、スチレ 、α-メチルスチレン、ビニルトルエン等の 香族ビニル単量体との共重合体などが挙げ れる。ここで「(メタ)アクリル酸エステル」 とは、アクリル酸エステル及び/またはメタ リル酸エステルを意味する。

 上記アクリル系樹脂の重量平均分子量は、 媒としてテトラヒドロフランを用いGPC法に って測定した値が、好ましくは50,000~400,000 ある。重量平均分子量が上記範囲にあると 成形加工性に優れ、得られる透明の熱可塑 樹脂成形品の耐衝撃性、靭性に優れる。
 上記アクリル系樹脂は、全体としての重量 均分子量が上記範囲に入るものであれば、 なる重量平均分子量を有するアクリル系樹 の2種以上を混合して用いてもよい。アクリ ル系樹脂は、公知の重合方法、例えば、ラジ カル重合、チャージトランスファーラジカル 重合、アニオン重合、グループトランスファ ー重合、配位アニオン重合で製造することが できる。

 上記ポリカーボネート樹脂は、主鎖にカ ボネート結合を有するものであれば、特に 定されず、芳香族ポリカーボネートでよい 、脂肪族ポリカーボネートでもよい。また これらを組み合わせて用いてもよい。本発 においては、耐衝撃性、耐熱性等の観点か 、芳香族ポリカーボネートが好ましい。な 、このポリカーボネート樹脂は、末端が、R -CO-基、R’-O-CO-基(R及びR’は、いずれも有機 を示す。)に変性されたものであってもよい 。このポリカーボネート樹脂は、1種単独で るいは2種以上を組み合わせて用いることが きる。

 上記ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子 は、溶媒として塩化メチレンを用い、温度2 0℃で測定された溶液粘度より換算した場合 好ましくは12,000~40,000である。この粘度平均 子量が上記範囲にあると、成形加工性に優 、得られる成形品の耐衝撃性、靭性及び耐 品性に優れる。
 上記ポリカーボネート樹脂は、全体として 粘度平均分子量が上記範囲に入るものであ ば、異なる粘度平均分子量を有するポリカ ボネート樹脂の2種以上を混合して用いても よい。
 上記ポリカーボネート樹脂は、上述のよう 、ポリエステル系樹脂と、あるいは、ゴム 化樹脂及びポリエステル系樹脂と組み合わ て、アロイとして用いることもできる。

 上記ポリエステル系樹脂としては、(1)炭素 2~20のジカルボン酸、及び/またはそのエス ル形成誘導体と(2)ジオール成分から得られ 重合体、2官能オキシカルボン酸化合物から られる重合体、カプロラクトン化合物から られる重合体、上記(1)、(2)、2官能オキシカ ルボン酸化合物、ラクトン化合物の群から選 ばれた化合物から成る共重合体などがあり、 共重合体としては、上記(1)、(2)、2官能オキ カルボン酸化合物から成る共重合体が好ま い。ここで、炭素数とは、カルボキシル基 炭素数およびカルボキシル基の炭素に直結 る鎖や環を構成する炭素数の総数をいう。
 このポリエステル系樹脂は、分子の主鎖中 エステル結合を有する樹脂であれば、特に 定されず、飽和ポリエステル樹脂であって いし、不飽和ポリエステル樹脂であっても い。これらのうち、飽和ポリエステル樹脂 好ましい。また、単独重合ポリエステルで ってよいし、共重合ポリエステルであって よい。更に、結晶性樹脂であってよいし、 晶性樹脂であってもよい。

 上記ポリエステル系樹脂としては、ポリ チレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレ テレフタレート(PPT)、ポリブチレンテレフタ レート(PBT)、ポリヘキサメチレンテレフタレ ト、ポリシクロヘキサン-1,4-ジメチルテレ タレート、ポリネオペンチルテレフタレー 等のポリアルキレンテレフタレート、ポリ チレンイソフタレート、ポリエチレンナフ レート、ポリブチレンナフタレート、ポリ キサメチレンナフタレート等のポリアルキ ンナフタレート等の単独重合ポリエステル アルキレンテレフタレート単位とアルキレ ナフタレート単位との少なくとも一方を主 して含有する共重合ポリエステル、液晶ポ エステル等が挙げられる。これらのうち、 リブチレンテレフタレートが好ましい。ま 、これらは、1種単独であるいは2種以上を組 み合わせて用いることができる。

 上記ポリエステル樹脂のうち、ポリブチレ テレフタレートの溶液粘度は、耐衝撃性か 、O-クロロフェノールを溶媒とし、25℃で測 定した極限粘度〔η〕(dl/g)として、通常0.5~2.0 である。また、ポリエチレンテレフタレート の場合、テトラクロロメタン/フェノールの 量混合溶媒中、25℃で測定した極限粘度〔η (dl/g)として、通常0.5~2.0、好ましくは0.5~1.5 ある。
 また、脂肪族ポリエステル系樹脂の数平均 子量(Mn)は、通常1万~2万、好ましくは3万~20 、また、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量( Mn)の比、Mw/Mnは、通常3以上、好ましくは4以 である。

 上記ポリアミド系樹脂は、主鎖に酸アミド 合(-CO-NH-)を有する樹脂であれば、特に限定 れない。具体的には、ナイロン4、6、7、8、 11、12、6.6、6.9、6.10、6.11、6.12、6T、6/6.6、6/12 、6/6T、6T/6I等が挙げられる。
 なお、ポリアミド系樹脂の末端は、カルボ 酸、アミン等で封止されていてもよい。カ ボン酸としては、カプロン酸、カプリル酸 カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、 ルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸等 脂肪族モノカルボン酸が挙げられる。また アミンとしては、ヘキシルアミン、オクチ アミン、デシルアミン、ラウリルアミン、 リスチルアミン、パルミチルアミン、ステ リルアミン、ベヘニルアミン等の脂肪族第1 級アミン等が挙げられる。

 上記ポリアミド系樹脂は、1種単独であるい は2種以上を組み合わせて用いることができ 。
 ポリアミド系樹脂の重合度は、特に制限さ ないが、相対粘度として、耐衝撃性の面か 、通常1.6~6.0、好ましくは2.0~5.0である。上 相対粘度は、ポリマー2gを蟻酸100ml(純度90質 %)に溶解し、30℃で測定した値である。

 上記塩化ビニル系樹脂としては、ポリ塩化 ニル樹脂の他、塩化ビニルと他の共重合可 な他のビニル単量体との共重合体、アクリ ニトリル・ブタジエン共重合体とのブレン 物、ポリ塩化ビニルを塩素化した塩素化ポ 塩化ビニル樹脂などが包含される。
 上記の共重合可能な他のビニル単量体とし は、エチレン、プロピレン、マレイン酸エ テル、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸、(メ )アクリル酸エステル等が挙がられる。塩化 ビニル系樹脂の平均重合度は、通常700~1800、 ましくは1000~1500である。

 本発明の第1の側面において、上記熱可塑性 樹脂成形品の製造方法において、上記粒子加 熱工程を行った後、上記冷却工程を行う前に は、上記キャビティにおいて残された空間に 、溶融状態の熱可塑性樹脂を充填する充填工 程を行うことが好ましい。
 この場合には、粒子加熱工程を行った後に 熱可塑性樹脂粒子組成物が溶融することに ってキャビティ内に残された空間には、充 工程として、溶融状態の熱可塑性樹脂を充 する。このとき、粒子加熱工程の前にゴム のキャビティ内において熱可塑性樹脂粒子 成物が存在していた部分、ゴム型のキャビ ィ内の鉛直方向下側に位置する部分、ある はゴム型のキャビティの表面等には、上記 可塑性樹脂粒子組成物を溶融させた熱可塑 樹脂が充填されており、新たに充填する溶 状態の熱可塑性樹脂の充填量を少なくする とができる。

 これにより、充填圧力をあまり高くする となくキャビティの全体へ熱可塑性樹脂を 填することができ、ゴム型の変形及び開き 効果的に抑制することができる。そのため ゴム型における分割面(パーティング面)か の樹脂漏れを防止することができ、冷却工 によって熱可塑性樹脂成形品を得たときに 、この熱可塑性樹脂成形品の外観、形状、 面精度等の品質及び機械的強度を効果的に 上させることができる。

 また、上記熱可塑性樹脂粒子組成物と上記 融状態の熱可塑性樹脂とには、同じ組成を するものを用いることができる。
 この場合には、冷却工程において、キャビ ィ内に充填した熱可塑性樹脂を冷却して熱 塑性樹脂成形品を成形したときには、成形 の熱可塑性樹脂成形品において、熱可塑性 脂粒子組成物と溶融状態の熱可塑性樹脂と 用いて成形したことによる境界面が形成さ ることを防止することができる。
 なお、上記熱可塑性樹脂粒子組成物と上記 融状態の熱可塑性樹脂とには、意図的に異 る組成、配色を有するものを用いることも きる。この場合には、上記品質を効果的に 上させて、2色成形品としての熱可塑性樹脂 成形品を成形することができる。

 また、上記充填工程においては、上記溶融 態の熱可塑性樹脂を0.5~5MPaの射出圧力で、 記キャビティにおいて残された空間に充填 ることが好ましい。
 この場合には、射出圧力が適切であり、上 所定の射出圧力でキャビティ内へ熱可塑性 脂の充填を行う際においても、ゴム型の変 及び開きを効果的に抑制して、形状、表面 度等の品質を向上させた熱可塑性樹脂成形 を得ることができる。なお、ゴム型のキャ ティの全体にほぼ均一に熱可塑性樹脂を充 するためには、射出圧力が0.5MPa以上である とが好ましく、ゴム型の変形及びゴム型の ャビティからの樹脂漏れを防ぐためには、 出圧力は5MPa以下であることが好ましい。

 また、上記配置工程前から上記粒子加熱工 前までの少なくともいずれかのタイミング は、上記キャビティ又は該キャビティにお て残された空間を真空状態にする真空工程 行うことが好ましい。
 この場合には、真空工程を行うことによっ 、キャビティ内への溶融状態の熱可塑性樹 の充填を一層容易に行うことができると共 、気泡のない外観に優れた熱可塑性樹脂成 品を容易に得ることができる。
 なお、真空工程は、配置工程中、配置工程 前後、粒子加熱工程中、粒子加熱工程の前 、上記充填工程中、又は充填工程の前の少 くともいずれかのタイミングで行うことが きる。
 また、真空状態とは、絶対真空の状態のみ 意味するのではなく、大気圧状態に対する 圧状態のこともいう。

 また、上記充填工程においては、上記ゴム を介して上記キャビティ内の熱可塑性樹脂 、0.78~2μmの波長領域を含む電磁波を照射し 、該熱可塑性樹脂を加熱することが好まし 。
 この場合には、充填工程において、キャビ ィ内に溶融状態の熱可塑性樹脂を充填する に、ゴム型に比べて熱可塑性樹脂を選択的 加熱することができ、熱可塑性樹脂の粘度 低く維持することができる。これにより、 可塑性樹脂成形品の形状、表面精度等の品 をより効果的に向上させることができる。

 また、上記粒子加熱工程及び上記充填工 においては、0.78~4μmの波長領域を含む電磁 を出射する電磁波発生手段と、波長が2μmを 超える電磁波の透過量を減少させるフィルタ ーとを用い、上記電磁波発生手段から出射さ せた上記電磁波を上記フィルターを透過させ 、該フィルターを透過させた後の透過電磁波 を、上記ゴム型を介して上記キャビティ内に おける上記熱可塑性樹脂に照射して、該熱可 塑性樹脂を加熱することができる。

 この場合には、粒子加熱工程及び充填工 においては、電磁波発生手段から0.78~4μmの 長領域を含む電磁波を出射し、フィルター 透過させた後の透過電磁波を、ゴム型を介 て熱可塑性樹脂に照射することができる。 して、電磁波発生手段から出射された電磁 の中には、波長が2μmを超える電磁波も含ま れているが、フィルターを用いたことにより 、波長が2μmを超える電磁波は、ゴム型にで るだけ照射させないようにすることができ 。これにより、ゴム型のキャビティ内に充 された熱可塑性樹脂には、波長が2μm以下の 赤外線(電磁波)を効果的に照射させること できる。そのため、波長が2μm以下の近赤外 により、ゴム型をあまり加熱することなく 熱可塑性樹脂を効果的に加熱することがで る。

 また、フィルターは、石英ガラス等のガ スから構成することができ、容器又は通路 に充填した水によって構成することもでき 。水によってフィルターを構成する場合に 、この水を循環又は入替可能にすることが き、電磁波の照射によって温度が上昇した を適宜入れ替えて、フィルターの温度上昇 効果的に抑制することができる。

 また、上記熱可塑性樹脂粒子組成物を構成 る熱可塑性樹脂は、非晶性樹脂とすること できる。
 ところで、熱可塑性樹脂の冷却速度は、ゴ 型がゴム材料からなるため、金型の場合に べて遅くなる。そのため、冷却中に熱可塑 樹脂の結晶性が高くなることがあり、これ よって、樹脂成形品の寸法精度が低下した 、樹脂成形品の耐衝撃性が低下したりする とがある。これに対し、熱可塑性樹脂を非 性にしたことにより、熱可塑性樹脂成形品 寸法精度の低下及び耐衝撃性の低下等を防 することができる。

 非晶性樹脂としては、例えば、上記ゴム 化スチレン系樹脂、上記スチレン系樹脂、 記アクリル系樹脂、上記ポリカーボネート 脂、上記ゴム強化スチレン系樹脂とポリカ ボネート樹脂のアロイ等を用いることがで る。中でも、特にゴム強化スチレン系樹脂 用いることが好ましい。

 また、上記熱可塑性樹脂粒子組成物として 、嵩密度が0.4g/cm 3 以上であるものを用いることが好ましい。
 この場合には、上記本発明の第3の側面にお いて述べた内容と同様の作用効果を得ること ができる。

 また、上記熱可塑性樹脂粒子組成物として 、粒子径が1~100μmの小形熱可塑性樹脂粒子 0.1~20質量%含有し、残部が該小形熱可塑性樹 粒子よりも大きい大形熱可塑性樹脂粒子か なるものを用いることもできる。
 この場合には、上記本発明の第4の側面にお いて述べた内容と同様の作用効果を得ること ができる。

 また、上記配置工程においては、上記小形 可塑性樹脂粒子を、開いた状態又は閉じた 態の上記ゴム型のキャビティに先に配置し 後、上記大形熱可塑性樹脂粒子を上記ゴム のキャビティ内に投入することが好ましい
 この場合には、配置工程において、キャビ ィの内壁面に小形熱可塑性樹脂粒子を効果 に付着させた後、キャビティ内における小 熱可塑性樹脂粒子の内側に大形熱可塑性樹 粒子を通過させることができる。そのため キャビティ内への熱可塑性樹脂粒子の充填 より円滑に行うことができる。
 また、小形熱可塑性樹脂粒子は、開いた状 のゴム型のキャビティの表面にまぶす(振り 掛ける)ことによって容易に配置することが きる。
 上記大形熱可塑性樹脂粒子の嵩密度は0.4g/cm 3 以上であるものを用いることが好ましい。

 また、上記大形熱可塑性樹脂粒子の最大粒 径は、上記キャビティにおける最小幅寸法 対して、0.8倍以下となるよう選定すること 好ましい。
 この場合には、大形熱可塑性樹脂粒子がキ ビティ内に充填され難くなることを防止す ことができる。
 また、大形熱可塑性樹脂粒子の粒子径は、 ャビティにおける最小幅寸法に対して、0.7 以下となるよう選定することがより好まし 。
 また、上記大形熱可塑性樹脂粒子と上記小 熱可塑性樹脂粒子とは、前述の熱可塑性樹 から構成することができる。

 また、上記熱可塑性樹脂粒子組成物として 、熱可塑性樹脂粒子と、無機粉体及び滑剤 少なくとも一方である微小粒子とを含有し 上記熱可塑性樹脂粒子の数平均粒子径が200~ 3000μmであり、上記微小粒子の体積平均粒子 が0.5~50μmであり、上記微小粒子を、上記熱 塑性樹脂粒子100質量部に対して、0.1~10質量 含有するものを用いることもできる。
 この場合には、上記本発明の第5の側面にお いて述べた内容と同様の作用効果を得ること ができる。

 また、上記配置工程においては、上記微小 子を、開いた状態又は閉じた状態の上記ゴ 型のキャビティに先に配置した後、上記熱 塑性樹脂粒子を上記ゴム型のキャビティ内 投入することが好ましい。
 この場合には、配置工程において、キャビ ィの内壁面に微小粒子を効果的に付着させ 後、キャビティ内における微小粒子の内側 熱可塑性樹脂粒子を通過させることができ 。そのため、キャビティ内への熱可塑性樹 粒子の充填をより円滑に行うことができる
 また、微小粒子は、開いた状態のゴム型の ャビティの表面にまぶす(振り掛ける)こと よって容易に配置することができる。

 また、上記熱可塑性樹脂粒子の数平均粒子 は、上記キャビティにおける最小幅寸法に して、0.8倍以下となるよう選定することが ましい。
 この場合には、熱可塑性樹脂粒子がキャビ ィ内に充填され難くなることを防止するこ ができる。
 また、熱可塑性樹脂粒子の数平均粒子径は キャビティにおける最小幅寸法に対して、0 .7倍以下となるよう選定することがより好ま い。

 また、上記無機粉体としては、例えば、 ルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム マイカ、カオリン、硫酸カルシウム、硫酸 リウム、チタンホワイト、ホワイトカーボ 、カーボンブラック、水酸化アルミニウム 水酸化マグネシウム、ガラス繊維、ガラス 維のミルドファイバー、ガラスビーズ、中 ガラス、ガラスフレーク、カーボン繊維、 ーボン繊維のミルドファイバー、ワラスト イト、アタパルジャイト及び、炭化ケイ素 ィスカー、酸化亜鉛ウィスカー、ホウ酸ア ミニウムウィスカー、チタン酸カリウムウ スカー、塩基性硫酸マグネシウムウィスカ 等のウィスカーなどが挙げられ、これらは 独または2種類以上を混合して用いることが できる。これらの中でも、タルク、酸化亜鉛 ウィスカー、及び塩基性硫酸マグネシウムウ ィスカーが好ましい。

 また、上記無機粉体は、タルクであること 好ましい。
 タルクは、滑石と呼ばれる鉱物を粉砕した 末であり、含水ケイ酸マグネシウム(4SiO 2 ・3MgO・H 2 O)から構成される。また、タルクは、約60質 %のSiO 2 と、約30質量%のMgOとを主成分として構成され る。本発明におけるタルクは、体積平均粒子 径が0.5~50μmである微粒子として用いる。なお 、タルクは、シランカップリング剤等を用い て表面処理されてなるものを用いてもよい。
 上記タルクの体積平均粒子径(50%平均粒子径 )は、1~30μmとすることがより好ましく、3~15μm とすることがさらに好ましい。

 また、上記滑剤としては、公知の滑剤を 用することができる。具体的には、長鎖の ルキル基と官能基とを有する化合物、エチ ン、プロピレンなどのα-オレフィン(共)重 体、ジメチルポリシロキサンなどのシリコ 含有重合体、α-オレフィンと官能基含有不 和化合物との共重合体、エチレン系共重合 、プロピレン系共重合体、エチレン-プロピ ン共重合体、シリコン含有重合体などの重 体に官能基含有不飽和化合物を付加した重 体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチ ン-プロピレン共重合体などを酸化し、カル ボキシル基などを付加する方法によって得ら れる重合体などが挙げられる。

 ここで、上記官能基としては、カルボキシ 基またはその金属塩、水酸基、オキサゾリ 基、酸無水物基、エステル基、アミノ基、 ミド基、エポキシ基、イソシアネート基、 レタン基、ユリア基などが挙げられる。好 しい官能基としては、カルボキシル基また その2価の金属塩、エステル基、アミド基で ある。カルボキシル基の塩としては、ナトリ ウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マ グネシウム、アルミニウム、亜鉛、バリウム 、カドミウム、マンガン、コバルト、鉛、ス ズなどの金属塩が挙げられる。上記官能基含 有不飽和化合物としては、上述した官能基を 含有する不飽和化合物を使用可能である。好 ましくは、長鎖のアルキル基と官能基とを有 する化合物、エチレン系共重合体である。
 上記滑剤の体積平均粒子径(50%平均粒子径) 、1~30μmとすることがより好ましく、3~15μmと することがさらに好ましい。

 上記熱可塑性樹脂粒子の粒子径は、200~2000μ mとすることがより好ましく、350~1500μmとする ことがさらに好ましい。また、上記熱可塑性 樹脂粒子の嵩密度は0.4g/cm 3 以上であるものを用いることが好ましい。
 また、熱可塑性樹脂粒子に用いる熱可塑性 脂のメルトフローレート(220℃、10kg荷重)は 1~100g/10minとすることが好ましく、5~80g/10min することがより好ましく、15~65g/10minとする とがさらに好ましい。

 また、上記熱可塑性樹脂粒子組成物として 、熱可塑性樹脂粒子100質量部に対して、赤 線吸収剤を0.0005~0.1質量部含有するものを用 いることもできる。
 この場合には、上記本発明の第6の側面にお いて述べた内容と同様の作用効果を得ること ができる。

 また、上記赤外線吸収剤としては、0.78~2μm 近赤外線の波長領域を含む電磁波を吸収す 種々のものを用いることができる。
 赤外線吸収剤としては、無機系赤外線吸収 又は有機系赤外線吸収剤のいずれを用いる ともできる。無機系赤外線吸収剤としては 酸化錫、酸化亜鉛、酸化銅等の金属酸化物 アンチモンドープ酸化錫、インジウムドー 酸化錫、In、Ga、Al及びSbよりなる群から選 れた少なくとも1種の元素を含有する酸化亜 等の金属錯体化合物などが挙げられる。
 有機系赤外線吸収剤としては、アントラキ ン系色素、シアニン系色素、ポリメチン系 素、アゾメチン系色素、アゾ系色素、ポリ ゾ系色素、ジイモニウム系色素、アミニウ 系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロ アニン系色素、インドシアニン系色素、ナ トキノン系色素、インドールフェノール系 素、トリアリルメタン系色素、金属錯体系 素、ジチオールニッケル錯体系色素、アゾ バルト錯体系色素、スクワリリウム系色素 どが挙げられる。

 また、上記熱可塑性樹脂組成物は、上記熱 塑性樹脂100質量部に対して、着色剤を0.05~30 質量部含有させることができる。
 この場合には、白色度が30%以上である適宜 色を行った熱可塑性樹脂成形品を成形する とができる。

 上記着色剤の含有量は、上記熱可塑性樹脂1 00質量部に対して、より好ましくは0.1~15質量 、更に好ましくは0.1~10質量部である。
 上記着色剤としては、染料、無機顔料及び 機顔料のいずれを用いてもよい。また、こ らを組み合わせて用いてもよい。また、着 剤の色は、特に限定されず、白色系や、赤 系、黄色系、青色系、緑色系等の有彩色と ることができる。
 上記染料としては、ニトロソ染料、ニトロ 料、アゾ染料、スチルベンアゾ染料、ケト ミン染料、トリフェニルメタン染料、キサ テン染料、アクリジン染料、キノリン染料 メチン/ポリメチン染料、チアゾール染料、 インダミン/インドフェノール染料、アジン 料、オキサジン染料、チアジン染料、硫化 料、アミノケトン/オキシケトン染料、アン ラキノン染料、インジゴイド染料、フタロ アニン染料等が挙げられる。

 上記無機顔料としては、白色系無機顔料、 色系無機顔料、黄色系無機顔料、緑色系無 顔料、青色系無機顔料等が挙げられ、これ は、1種単独であるいは2種以上を組み合わ て用いることができる。
 上記白色系無機顔料としては、TiO 2 、Al 2 O 3 ・nH 2 O、〔ZnS+BaSO 4 〕、CaSO 4 ・2H 2 O、BaSO 4 、CaCO 3 、2PbCO 3 ・Pb(OH) 2 等が挙げられる。

 上記赤色系無機顔料としては、CdS・nCdSe、Pb CrO 4 ・mPbMoO 4 ・nPbSO 4 、TiO 2 ・Sb 2 O 3 ・NiO、Zn-Fe系複合酸化物(ZnO・Fe 2 O 3 等)、Zn-Fe-Cr系複合酸化物(ZnO・Fe 2 O 3 ・Cr 2 O 3 等)等が挙げられる。
 上記黄色系無機顔料としては、TiO 2 ・BaO・NiO、TiO 2 ・NiO・Sb 2 O 3 、Fe 2 O 3 ・H 2 O、PbCrO 4 、Pb(SbO 3 ) 2 、Pb 2 (SbO 2 ) 2 、Ti-Sb-Ni系複合酸化物、Ti-Sb-Cr系複合酸化物 が挙げられる。
 上記緑色系無機顔料としては、Cu(C 2 H 3 O 2 ) 3 、Cu(AsO 2 ) 2 、CoO・nZnO、BaMnO 2 、Cu 2 (OH) 2 (CO 3 )、Ti-Co-Ni-Zn系複合酸化物等が挙げられる。
 上記青色系無機顔料としては、CoO・nAl 2 O 3 、CoO・nSnO・mMgO、Na 6 Al 6 (SiO 4 ) 6 ・2Na 3 SO 4 等が挙げられる。

 また、上記有機顔料としては、アゾレーキ 料、ベンゾイミダゾロン顔料、ジアリリド 料、縮合アゾ系顔料等のアゾ系顔料、フタ シアニンブルー、フタロシアニングリーン のフタロシアニン系顔料、イソインドリノ 顔料、キノフタロン顔料、キナクリドン顔 、ペリレン顔料、アントラキノン顔料、ペ ノン顔料、ジオキサジンバイオレット等の 合多環系顔料等が挙げられる。
 上記有彩色着色剤が、単独で濃色系着色剤 ある場合には、目標の白色度とする等のた に、白色系着色剤により淡色化させて用い ことができる。

上記赤外線吸収剤を配合した熱可塑性樹脂 から、曇価が20%以下の透明の熱可塑性樹脂成 形品を成形する場合、用いられる熱可塑性樹 脂としては、上記熱可塑性樹脂を厚み2.5mmの 形品としたときのJIS K7136に記載の曇価が20% 以下となるものであれば、種々の透明(半透 含む。)の熱可塑性樹脂を用いることができ 。 具体的には、上記スチレン系樹脂のう AS樹脂、MS樹脂等、上記ゴム強化スチレン系 脂のうち透明ABS樹脂、上記アクリル系樹脂 上記ポリカーボネート樹脂、上記ポリエス ル系樹脂のうちPET樹脂、PEN樹脂、上記塩化 ニル樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリ チルペンテン樹脂、ポリアリレート樹脂等 用いることができる。これらの中でも、成 性、耐衝撃性に優れるため、透明ABS樹脂、 クリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂を用 ることが好ましい。

 上記透明ABSは、ゴム質重合体の存在下に、( メタ)アクリル酸エステル化合物を50質量%以 含む単量体成分を重合して得られたゴム強 ビニル系樹脂、又は該ゴム強化ビニル系樹 と、ビニル系単量体に由来する構造単位を む(共)重合体とを混合してなる混合物とする ことが好ましい
 上記透明ABS樹脂に用いられる(メタ)アクリ 酸エステル化合物としては、前述の(メタ)ア クリル酸エステル化合物を用いることができ る。これらの中でも、アクリル酸メチル、ア クリル酸ブチル、メタクリル酸メチルが好ま しい。

 上記透明ABS樹脂に用いられるゴム質重合 としては、前述のゴム質重合体(a1)を用いる ことができる。これらの中でも、共役ジエン 系ゴム、オレフィン系ゴム、アクリル系ゴム が好ましい。これらは1種単独で、又は2種以 を併用して使用することができる。

 透明ABS樹脂のグラフト率は、好ましくは1 0~100%、さらに好ましくは15~90%、特に好ましく は20~70%である。グラフト率が10%未満である場 合には、得られる透明の熱可塑性樹脂成形品 の外観不良、耐衝撃強度の低下が生じるおそ れがあり、一方、100%を超えると、成形加工 が悪化するおそれがある。

 また、透明ABS樹脂のマトリックス成分で るメチルエチルケトン可溶分の極限粘度〔 〕(30℃、メチルエチルケトン中で測定)は、 ましくは0.1~1.0dl/g、さらに好ましくは0.2~0.9d l/g、特に好ましくは0.3~0.7dl/gである。極限粘 〔η〕が上記範囲内であると、耐衝撃性、 形加工性(流動性)に優れた透明の熱可塑性樹 脂成形品が得られる。なお、上記グラフト率 (%)、極限粘度〔η〕は、重合開始剤、連鎖移 剤、乳化剤、溶剤などの種類や量、さらに 合時間、重合温度などを変えることにより 容易に制御することができる。

 また、透明ABS樹脂のゴム質重合体(ゴム成 分)の屈折率とマトリックス樹脂の屈折率と 差は、好ましくは0.05以下、さらに好ましく 0.02以下、特に好ましくは0.01以下である。 記屈折率の差が上記範囲内であると、透明 の良好な熱可塑性樹脂成形品を得ることが きる。

 上記赤外線吸収剤を配合した熱可塑性樹 から、白色度が30%以上の熱可塑性樹脂成形 を成形する場合には、熱可塑性樹脂として 、上記熱可塑性樹脂を使用することが出来 。好ましくは、ゴム強化スチレン系樹脂、 レフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエ テル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエス ル系樹脂及びポリカーボネート樹脂のアロ 、ゴム強化スチレン系樹脂及びポリカーボ ート樹脂のアロイ、ゴム強化スチレン系樹 及びポリエステル系樹脂のアロイ等が挙げ れる。

 上記熱可塑性樹脂粒子組成物は、目的、 途等に応じて、添加剤を含有したものとす ことができる。この添加剤としては、充填 、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、 化防止剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、難 剤、抗菌剤、着色剤、蛍光増白剤、蓄光顔 、蛍光染料、光拡散剤、結晶核剤、流動改 剤、衝撃改質剤、赤外線吸収剤、フォトク ミック剤、光触媒系防汚剤、重合開始剤等 挙げられる。

 上記充填剤としては、タルク、クレー、ワ ストナイト、炭酸カルシウム、ガラス繊維 ガラスビーズ、ガラスバルーン、ミルドフ イバー、ガラスフレーク、炭素繊維、炭素 レーク、カーボンビーズ、カーボンミルド ァイバー、金属フレーク、金属繊維、金属 ートガラス繊維、金属コート炭素繊維、金 コートガラスフレーク、シリカ、セラミッ 粒子、セラミック繊維、アラミド粒子、ア ミド繊維、ポリアリレート繊維、グラファ ト、導電性カーボンブラック、各種ウィス ー等が挙げられる。これらは、1種単独であ るいは2種以上を組み合わせて用いることが きる。
 上記充填剤の含有量は、上記熱可塑性樹脂 子組成物の量を100質量部とした場合に、通 、0.1~5質量部である。

 上記熱安定剤としては、ホスファイト類、 ンダードフェノール類、チオエーテル類等 挙げられる。これらは、1種単独であるいは 2種以上を組み合わせて用いることができる
 上記熱安定剤の含有量は、上記熱可塑性樹 粒子組成物の量を100質量部とした場合に、 常、0.01~2質量部である。

 上記酸化防止剤としては、ヒンダードアミ 類、ハイドロキノン類、ヒンダードフェノ ル類、硫黄含有化合物等が挙げられる。こ らは、1種単独であるいは2種以上を組み合 せて用いることができる。
 上記酸化防止剤の含有量は、上記熱可塑性 脂粒子組成物の量を100質量部とした場合に 通常、0.01~2質量部である。

 上記紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノ 類、ベンゾトリアゾール類、サリチル酸エ テル類、金属錯塩類等が挙げられる。これ は、1種単独であるいは2種以上を組み合わ て用いることができる。また、ヒンダード ミン類と併用すると好ましい場合がある。
 上記紫外線吸収剤の含有量は、上記熱可塑 樹脂粒子組成物の量を100質量部とした場合 、通常、0.05~2質量部である。

 上記老化防止剤の含有量は、上記熱可塑性 脂粒子組成物の量を100質量部とした場合に 通常、0.01~2質量部である。
 上記帯電防止剤の含有量は、上記熱可塑性 脂粒子組成物の量を100質量部とした場合に 通常、0.1~5質量部である。
 上記可塑剤の含有量は、上記熱可塑性樹脂 子組成物の量を100質量部とした場合に、通 、0.5~5質量部である。

 上記滑剤としては、脂肪酸エステル、炭化 素樹脂、パラフィン、高級脂肪酸、オキシ 肪酸、脂肪酸アミド、アルキレンビス脂肪 アミド、脂肪族ケトン、脂肪酸低級アルコ ルエステル、脂肪酸多価アルコールエステ 、脂肪酸ポリグリコールエステル、脂肪族 ルコール、多価アルコール、ポリグリコー 、ポリグリセロール、金属石鹸、シリコー 、変性シリコーン等が挙げられる。これら 、1種単独であるいは2種以上を組み合わせ 用いることができる。
 上記滑剤の含有量は、上記熱可塑性樹脂粒 組成物の量を100質量部とした場合に、通常 0.5~5質量部である。

 上記難燃剤としては、有機系難燃剤、無機 難燃剤、反応系難燃剤等が挙げられる。こ らは、1種単独であるいは2種以上を組み合 せて用いることができる。
 上記難燃剤の含有量は、上記熱可塑性樹脂 子組成物の量を100質量部とした場合に、通 、0.5~30質量部である。
 なお、本発明の熱可塑性樹脂粒子組成物に 燃剤を含有させる場合には、難燃助剤を用 ることが好ましい。この難燃助剤としては 三酸化二アンチモン、四酸化二アンチモン 五酸化二アンチモン、アンチモン酸ナトリ ム、酒石酸アンチモン等のアンチモン化合 や、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、水 アルミナ、酸化ジルコニウム、ポリリン酸 ンモニウム、酸化スズ、酸化鉄等が挙げら る。これらは、1種単独であるいは2種以上 組み合わせて用いることができる。

 上記抗菌剤の含有量は、上記熱可塑性樹脂 子組成物の量を100質量部とした場合に、通 、0.1~5質量部である。
 上記着色剤としては、無機顔料、有機顔料 び染料のいずれを用いてもよい。また、こ らを組み合わせて用いてもよい。
 無機顔料としては、亜鉛華、二酸化チタン べんがら、酸化クロム、鉄黒等の酸化物、 ドミウムイエロー、カドミウムオレンジ、 ドミウムレッド等の硫化物、黄鉛、亜鉛黄 クロムバーミリオン等のクロム酸塩、紺青 のフェロシアン化物、群青等の珪酸塩、カ ボンブラック、金属粉等の無機系色剤が挙 られる。
 有機顔料としては、フタロシアニン系顔料 縮合アゾ系顔料、アゾレーキ系顔料、キナ リドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソ ンドリノン系顔料、縮合多環系顔料等が挙 られる。

 上記染料としては、アントラキノン系染料 ペリレン系染料、ペリノン系染料、キノリ 系染料、ニトロ系染料、ニトロソ系染料、 ゾ系染料、トリフェニル系染料、チアゾー 系染料、メチン系染料、オキサジン系染料 インドフェノール系染料、ケトン系染料、 アジン系染料、インジゴ系染料等が挙げら る。
 上記着色剤の含有量は、上記熱可塑性樹脂 子組成物の量を100質量部とした場合に、通 、10質量部以下、好ましくは0.0005~5質量部、 より好ましくは0.001~2質量部である。

 上記光拡散剤としては、アクリル架橋粒子 シリコーン架橋粒子、極薄ガラスフレーク 炭酸カルシウム粒子等が挙げられる。
 上記光触媒系防汚剤としては、微粒子酸化 タン、微粒子酸化亜鉛等が挙げられる。
 上記衝撃改質剤としては、グラフトゴム等 挙げられる。

 以下に、本発明の熱可塑性樹脂成形品の製 方法及び熱可塑性樹脂粒子組成物にかかる 施例につき、図面を参照して説明する。
(実施例1)
 本例の熱可塑性樹脂成形品60の製造方法は 図1に示すごとく、ゴム材料からなるゴム型2 のキャビティ22内に、粒子状態の熱可塑性樹 (熱可塑性樹脂粒子組成物)6Aを投入する配置 工程と、図2に示すごとく、ゴム型2を介して ャビティ22内における粒子状態の熱可塑性 脂6Aに、0.78~2μmの波長領域を含む電磁波を照 射し、この粒子状態(パウダー状)の熱可塑性 脂6を加熱して溶融させる粒子加熱工程と、 図2、図3に示すごとく、キャビティ22におい 残された空間220に、溶融状態の熱可塑性樹 6Bを充填する充填工程と、キャビティ22内の 可塑性樹脂6を冷却して熱可塑性樹脂成形品 60を得る冷却工程とを含む方法である。

 以下に、本例の熱可塑性樹脂成形品60を製 する方法につき、図1~図6を参照して詳説す 。
 本例においては、熱可塑性樹脂6として、非 晶性樹脂であると共にゴム強化スチレン系樹 脂であるABS樹脂を用いる。
 また、本例のゴム型2は、透明又は半透明の シリコーンゴムからなる。このゴム型2は、 形する熱可塑性樹脂成形品60のマスターモデ ル(手作りの現物等)を液状のシリコーンゴム に配置し、このシリコーンゴムを硬化させ 硬化後のシリコーンゴムを切り開いて、こ シリコーンゴムからマスターモデルを取り すことによって作製することができる。
 また、図1に示すごとく、本例のゴム型2は 1つの分割面20を形成して2つの分割型部21を み合わせて形成した。これに対し、ゴム型2 、成形する熱可塑性樹脂成形品60の形状が 雑な場合は、3つ以上の分割型部21を組み合 せて形成することもできる。なお、成形時 おいては、複数の分割型部21は、型開きを防 止する手段によって、組み合わせた状態を保 持する。また、分割面20は、不規則な波形状 に形成することにより、分割型部21同士の 置合わせを容易に行うことができる。

 本例の熱可塑性樹脂成形品60の製造方法に いては、成形装置1を用いて、ゴム型2への熱 可塑性樹脂6の射出成形を行う。図1~図3に示 ごとく、成形装置1は、以下の圧力容器3、真 空ポンプ31、注入シリンダー52、射出シリン ー53、電磁波発生手段4、フィルター43を有し ている。
 圧力容器3は、ゴム型2を収容するよう構成 てあり、この圧力容器3に接続した真空ポン 31によって真空状態を形成するよう構成し ある。注入シリンダー52は、ゴム型2に形成 た注入部23を介してキャビティ22内へ、粒子 態の熱可塑性樹脂6Aを注入するよう構成し ある。射出シリンダー53は、ゴム型2に形成 た注入部23を介してキャビティ22内へ、溶融 態の熱可塑性樹脂6Bを所定の圧力で射出す よう構成してある。本例においては、射出 リンダー53からゴム型2内へ射出する溶融状 の熱可塑性樹脂6Bの圧力は、0.5~5MPaとする。

 電磁波発生手段4は、電磁波(光)の発生源41 、この発生源41による電磁波をゴム型2の方 へ導くリフレクタ(反射板)42とを有している 本例の電磁波発生手段4としては、近赤外線 領域内の約1.2μmの付近に光強度のピークを有 する近赤外線ハロゲンヒータを用いる。この 近赤外線ハロゲンヒータは、0.78~4μmの波長領 域を含む電磁波を出射するよう構成されてい る。本例のフィルター43は、波長が2μmを超え る電磁波の透過量を減少させる石英ガラスで ある。
 なお、図2、図3において、電磁波発生手段4 ら出射する電磁波を矢印Xで示す。

 また、0.78~2μmの波長領域を含む電磁波(光 )に対する吸光度(特定の波長の光に対する吸 強度を示す尺度)は、熱可塑性樹脂6として いるABS樹脂の方が、ゴム製のゴム型2として いるシリコーンゴムよりも大きくなってい 。なお、吸光度は、例えば、島津製作所製U V3100を用いて測定することができる。

 図4は、透明のシリコーンゴムと半透明の シリコーンゴムについて、横軸に波長(nm)を り、縦軸に光の透過率(%)をとって、各シリ ーンゴムにおける光の透過率を示すグラフ ある。同図において、各シリコーンゴムは 200~2200(nm)の間の波長の光を透過させること わかる。そのため、この波長の領域である 赤外線(0.78~2μmの波長領域の光)をシリコーン ゴム製のゴム型2の表面に照射すると、当該 赤外線の多くを、ゴム型2を透過させて熱可 性樹脂6に吸収させることができる。そして 、ゴム型2に比べて熱可塑性樹脂6を選択的に 熱できることがわかる。

 次に、上記成形装置1を用いて熱可塑性樹脂 成形品60を製造する方法につき説明する。
 本例の製造方法においては、ゴム型2に熱可 塑性樹脂6を充填して熱可塑性樹脂成形品60を 成形するに当たり、粒子状態の熱可塑性樹脂 6Aと溶融状態の熱可塑性樹脂6Bとを用いる。 例においては、粒子状態の熱可塑性樹脂6Aと 溶融状態の熱可塑性樹脂6Bとには、同じ組成 有するABS樹脂を用いる。

 熱可塑性樹脂成形品60を成形するに当た ては、まず、図1に示すごとく、配置工程と て、注入シリンダー52を成形型の注入部23に セットし、ゴム型2のキャビティ22のほぼ全体 に、粒子状態の熱可塑性樹脂6Aを投入する。 お、この粒子状態の熱可塑性樹脂6Aは、そ 自重によって充填する以外にも、振動又は 流を加えて充填することもできる。次いで 図2に示すごとく、真空工程として、真空ポ プ31によって圧力容器3内の真空引きを行い ゴム型2のキャビティ22において残された空 220を真空状態にする。

 次いで、同図に示すごとく、粒子加熱工 として、電磁波発生手段4から出射させた0.7 8~4μmの波長領域を含む電磁波をフィルター43 透過させ、フィルター43を透過させた後の 過電磁波を、ゴム型2を介してキャビティ22 における熱可塑性樹脂6に照射する。このと 、ゴム型2を構成するゴム材料と粉末状態の 熱可塑性樹脂6との物性の違いにより、ゴム 2に比べて、粒子状態の熱可塑性樹脂6Aを選 的に加熱することができる(熱可塑性樹脂6の 加熱量を多くすることができる)。これによ 、ゴム型2の温度上昇を抑制して、粒子状態 熱可塑性樹脂6Aを溶融させることができる そして、キャビティ22内には、粒子状態の熱 可塑性樹脂6Aが溶融することによって、新た 熱可塑性樹脂6を充填するための空間220が形 成される。

 次いで、図3に示すごとく、充填工程として 、射出シリンダー53を成形型の注入部23にセ トし、キャビティ22において残された空間220 に、溶融状態の熱可塑性樹脂6Bを0.5~5MPaの射 圧力で充填する。また、本例の充填工程に いては、ゴム型2を介する熱可塑性樹脂6への 上記透過電磁波の照射を継続し、キャビティ 22内の熱可塑性樹脂6を加熱する。
 上記溶融状態の熱可塑性樹脂6Bを充填する き、ゴム型2のキャビティ22内の鉛直方向下 に位置する部分には、上記粒子状態の熱可 性樹脂6Aを溶融させた熱可塑性樹脂6が充填 れており、新たに充填する溶融状態の熱可 性樹脂6Bの充填量を少なくすることができる 。

 これにより、充填圧力(射出圧力)をあまり くすることなくキャビティ22の全体へ熱可塑 性樹脂6を充填することができ、ゴム型2の変 及び開きを効果的に抑制することができる そのため、ゴム型2における分割面(パーテ ング面)20からの樹脂漏れを防止することが き、冷却工程によって熱可塑性樹脂成形品60 を得たときには、この熱可塑性樹脂成形品60 形状、表面精度等の品質を効果的に向上さ ることができる。
 また、粒子状態の熱可塑性樹脂6Aと溶融状 の熱可塑性樹脂6Bとには、同じ組成の熱可塑 性樹脂6を用いているため、成形後の熱可塑 樹脂成形品60において樹脂の境界面が形成さ れることを防止することができる。

 それ故、本例の熱可塑性樹脂成形品60の 造方法によれば、ゴム型2を用いて熱可塑性 脂6の成形を行う場合に、熱可塑性樹脂成形 品60の形状、表面精度等の品質を効果的に向 させることができる。また、本例による効 は、成形する熱可塑性樹脂成形品60が大型 薄肉等の形状である場合、又は成形に用い 熱可塑性樹脂6の粘度が高い場合等に特に顕 に発揮することができる。

(確認試験1)
 本確認試験においては、複数種類の粒径の 子状態の熱可塑性樹脂6A(以下、粒子という )を用い、この粒径の違いにより、電磁波発 生手段4(近赤外線ハロゲンヒータ)によって加 熱した際の昇温速度の違いを測定した。本確 認試験において用いる粒子は、数種類の篩い によって分けたものとし、サンプルAは、目 き710μmの篩いの上に残ったもの、サンプルB 、目開き710μmの篩いを通過して目開き250μm 篩いの上に残ったもの、サンプルCは、目開 き250μmの篩いを通過したもの、サンプルDは 体積平均粒径が55μmのものとした。また、サ ンプルEは、サンプルAとサンプルCとを等量(1: 1)の割合で混合したもの、サンプルFは、サン プルAとサンプルDとを等量(1:1)の割合で混合 たものとした。

 昇温速度の測定においては、シリコーン ムの台の上にOリングを載置し、このOリン 内に粒子を充填すると共に、Oリングの上に ィルターとしての石英ガラスを配置した。 して、近赤外線ハロゲンヒータ(電圧:80V)か フィルターを介して粒子に、0.78~2μmの波長 域を含む電磁波を照射し、熱電対によって 子の温度を測定した。なお、電磁波の照射 、各サンプルA~Fの温度が250℃になるまで行 、近赤外線ハロゲンヒータとフィルターと 距離は200mmとし、石英ガラスの厚みは5mmと 、Oリングは内径が30.4mmのものを用いた。

 表1には、各サンプルA~Fについて、嵩密度(g/ cm 3 )、安息角(°)、昇温速度(℃/sec)、質量(g)の測 を行った結果を示す。そして、図5は、各サ ンプルA~Fについて、嵩密度及び安息角をグラ フにして示し、図6は、各サンプルA~Fについ 、嵩密度と昇温速度との関係を示す。なお 図5において、棒グラフは、嵩密度Gを示し、 折れ線グラフは、安息角Hを示す。
 図5においては、サンプルの粒径が小さくな るほど嵩密度が小さくなることがわかる。一 方、安息角については、一概には言えないが サンプルの粒径が小さいほど安息角は大きく なる傾向があると考えられる。

 図6においては、サンプルの粒径(嵩密度)が さくなるほど昇温速度が大きくなることが かる。そして、粒子の粒径が小さいサンプ C、Dについては、昇温速度が速くなり過ぎ 粒子における電磁波の照射側とその反対側 の温度差が大きくなり、この粒子に焦げ付 の不具合が発生した。この結果より、粒子( 子状態の熱可塑性樹脂6A)の嵩密度は、0.4g/cm 3 以上とすることが好ましいことがわかった。
 これに対し、粒子の粒径が大きくなって嵩 度が大きくなると、昇温速度が低下するた 、粒子を加熱するための電磁波の照射時間 長くする必要が生じ、ゴム型2に焦げ付き等 の不具合が生ずるおそれがある。この理由よ り、粒子(粒子状態の熱可塑性樹脂6A)の嵩密 は0.8g/cm 3 以下とすることができ、より好ましくは0.7g/c m 3 以下とすることができる。

 また、粒子の粒径は、サンプルA、Bの昇温 度が良好であることから、250μmよりも大き することが好ましいことがわかった。また サンプルE、Fの昇温速度も良好であるため、 粒径が250μmよりも大きい粒子と、粒径が250μm 以下の粒子とを混合させた粒子を用いること もできることがわかった。
 そして、粒子の平均粒径は、例えば、300~200 0μmとすることができ、より好ましくは、350~1 500μmとすることができる。また、粒子の安息 角は、48°以下とすることができ、より好ま くは46°以下とすることができる。

(実施例2)
 本例の熱可塑性樹脂粒子組成物6Aは、ゴム 料からなるゴム型2のキャビティ22内に充填 、ゴム型2を介して0.78~2μmの波長領域を含む 磁波を照射して加熱溶融させる用途に用い 。この熱可塑性樹脂粒子組成物6Aは、粒子 が1~100μmの範囲内の小形熱可塑性樹脂粒子62 0.1~20質量%含有し、残部が粒子径が200~3000μm 範囲内の大形熱可塑性樹脂粒子61からなる
 本例において用いる熱可塑性樹脂6(大形熱 塑性樹脂粒子61、小形熱可塑性樹脂粒子62、 融状態の熱可塑性樹脂粒子6B)は、非晶性を するゴム強化スチレン系樹脂であるABS樹脂 する。

 次に、上記成形装置1を用いて熱可塑性樹脂 成形品60を製造する方法につき、図1~図3を参 して詳説する。
 本例の熱可塑性樹脂成形品60の製造方法に いては、ゴム型2に熱可塑性樹脂6を充填して 熱可塑性樹脂成形品60を成形するに当たり、 可塑性樹脂粒子組成物6Aと溶融状態の熱可 性樹脂6Bとを用いる。本例においては、熱可 塑性樹脂粒子組成物6Aと溶融状態の熱可塑性 脂6Bとには、同じ組成を有するABS樹脂を用 る。

 熱可塑性樹脂成形品60を成形するに当た ては、まず、図1に示すごとく、配置工程と て、開いた状態のゴム型2に対し、分割型部 21におけるキャビティ22の表面に、粒子径が1~ 100μmの小形熱可塑性樹脂粒子62を振り掛けて 置する。次いで、注入シリンダー52を閉じ 状態のゴム型2の注入部23にセットし、ゴム 2のキャビティ22内に、粒子径が200~3000μmの大 形熱可塑性樹脂粒子61を投入する。このとき キャビティ22内に投入する熱可塑性樹脂粒 組成物6Aの含有比率は、大形熱可塑性樹脂粒 子61が80~99.9質量%となり、小形熱可塑性樹脂 子62が0.1~20質量%となるようにする。そして キャビティ22のほぼ全体に、熱可塑性樹脂粒 子組成物6Aを配置(充填)する。

 小形熱可塑性樹脂粒子62をキャビティ22の 表面に振り掛けたときには、この小形熱可塑 性樹脂粒子62のほとんどは、キャビティ22の 壁面221に付着する。ここで、本例のゴム型2 シリコーンゴムから形成されており、小形 可塑性樹脂粒子62は、その粒子径が1~100μmで あることによって、シリコーンゴムからなる キャビティ22の内壁面221に効果的に付着させ ことができる。

 また、大形熱可塑性樹脂粒子61をキャビ ィ22内に投入するときには、キャビティ22の 壁面221には小形熱可塑性樹脂粒子62が付着 た状態にある。これにより、大形熱可塑性 脂粒子61は、キャビティ22内における小形熱 塑性樹脂粒子62の内側を通過(落下)させるこ とができる。そのため、キャビティ22内への 可塑性樹脂粒子61、62の充填を円滑に行うこ とができる。なお、小形熱可塑性樹脂粒子62 び大形熱可塑性樹脂粒子61は、その自重に って充填する以外にも、振動又は気流を加 て充填することもできる。

 次いで、図2に示すごとく、真空工程として 、真空ポンプ31によって圧力容器3内の真空引 きを行い、ゴム型2のキャビティ22において残 された空間220を真空状態にする。
 次いで、同図に示すごとく、粒子加熱工程 して、電磁波発生手段4から出射させた0.78~4 μmの波長領域を含む電磁波をフィルター43を 過させ、フィルター43を透過させた後の透 電磁波を、ゴム型2を介してキャビティ22内 おける熱可塑性樹脂粒子組成物6Aに照射する 。このとき、ゴム型2を構成するゴム材料と 可塑性樹脂粒子組成物6Aとの物性の違いによ り、ゴム型2に比べて、熱可塑性樹脂粒子組 物6Aを選択的に加熱することができる(熱可 性樹脂粒子組成物6Aの加熱量を多くすること ができる)。これにより、ゴム型2の温度上昇 抑制して、熱可塑性樹脂粒子組成物6Aを溶 させることができる。そして、キャビティ22 内には、熱可塑性樹脂粒子組成物6Aが溶融す ことによって、新たに熱可塑性樹脂6を充填 するための空間220が形成される。

 なお、上記粒子加熱工程を行った後のキ ビティ22の状態は、成形の条件によって様 な状態となる。例えば、熱可塑性樹脂6の流 性が悪い場合には、溶融した熱可塑性樹脂6 がキャビティ22の下方へ沈下し難く、キャビ ィ22の真中付近に多数の気泡ができた泡お し状態になっていると考えられる。また、 可塑性樹脂6の流動性が良い場合には、溶融 た熱可塑性樹脂6がキャビティ22の下方へ沈 した状態になっていると考えられる。また 本例のように、上記真空工程を行った場合 は、ゴム型2が変形し、キャビティ22内の隙 (空間220)が潰れ、キャビティ22の表面に熱可 塑性樹脂6が存在すると考えられる。

 次いで、図3に示すごとく、充填工程とし て、射出シリンダー53をゴム型2の注入部23に ットし、キャビティ22において残された空 220に、溶融状態の熱可塑性樹脂6Bを0.1~5MPaの 出圧力で充填する。また、本例の充填工程 おいては、ゴム型2を介する熱可塑性樹脂6 の上記透過電磁波の照射を継続し、キャビ ィ22内の熱可塑性樹脂6を加熱する。

 上記溶融状態の熱可塑性樹脂6Bを充填する き、ゴム型2のキャビティ22の表面(ゴムの表 )に位置する部分には、上記熱可塑性樹脂粒 子組成物6Aを溶融させた熱可塑性樹脂6が充填 されており、新たに充填する溶融状態の熱可 塑性樹脂6Bの充填量を少なくすることができ 。
 これにより、充填圧力(射出圧力)をあまり くすることなくキャビティ22の全体へ熱可塑 性樹脂6を充填することができ、ゴム型2の変 及び開きを効果的に抑制することができる そのため、ゴム型2における分割面(パーテ ング面)20からの樹脂漏れを防止することが き、冷却工程を行って熱可塑性樹脂成形品60 を得たときには、この熱可塑性樹脂成形品60 外観、形状、表面精度等の品質及び機械的 度を効果的に向上させることができる。
 また、熱可塑性樹脂粒子組成物6Aと溶融状 の熱可塑性樹脂6Bとには、同じ組成の熱可塑 性樹脂6を用いているため、成形後の熱可塑 樹脂成形品60において樹脂の境界面が形成さ れることを防止することができる。

 それ故、本例の熱可塑性樹脂成形品60の 造方法によれば、ゴム型2を用いて熱可塑性 脂6の成形を行う場合に、熱可塑性樹脂成形 品60の外観、形状、表面精度等の品質及び機 的強度を効果的に向上させることができる また、本例による効果は、成形する熱可塑 樹脂成形品60が大型、薄肉等の形状である 合、又は成形に用いる熱可塑性樹脂6の粘度 高い場合等に特に顕著に発揮することがで る。

(効果のシミュレーション)
 図7、図8には、ゴム型2のキャビティ22内に 可塑性樹脂粒子61、62を充填する状態を拡大 て示す。図7は、上記大形熱可塑性樹脂粒子 61及び小形熱可塑性樹脂粒子62をキャビティ22 内に充填する場合を示し、図8は、大形熱可 性樹脂粒子61のみをキャビティ22内に充填す 場合を示す。
 図8に示すごとく、キャビティ22内に大形熱 塑性樹脂粒子61のみを充填しようとすると 大形熱可塑性樹脂粒子61がキャビティ22の内 面221に付着し、大形熱可塑性樹脂粒子61の 側をさらに別の大形熱可塑性樹脂粒子61が通 過(落下)(矢印Tで示す。)することが困難であ と考えられる。

 これに対し、図7に示すごとく、キャビテ ィ22内に小形熱可塑性樹脂粒子62を充填した に、大形熱可塑性樹脂粒子61を充填する場合 には、小形熱可塑性樹脂粒子62が効果的にキ ビティ22の内壁面221に付着し、大形熱可塑 樹脂粒子61が、キャビティ22の内壁面221にほ んど付着することなく、小形熱可塑性樹脂 子62の内側を通過(落下)(矢印Tで示す。)する と考える。これにより、上記熱可塑性樹脂粒 子組成物6Aによれば、キャビティ22のほぼ全 を効果的に充填することができると考える

(確認試験2)
 本確認試験においては、上記実施例2に示し た熱可塑性樹脂粒子組成物6Aを用いて熱可塑 成形品を成形することによる品質(表面外観 )、機械的強度(耐衝撃性)を向上させる効果に ついて確認を行った。
 本確認試験においては、5種類の熱可塑性樹 脂粒子(粒子A、B、C、D、E)を準備した。

(粒子A) ABS樹脂(テクノポリマー社製「テクノ ABS330」、MFR42(g/10min))100質量部と、カーボンブ ラック0.5質量部とを、一軸スクリュータイプ 押出機(40mmφ、シリンダー温度220℃)で押し出 て、黒色の熱可塑性樹脂粒子を得た。そし 、この黒色の熱可塑性樹脂粒子を原料とし 、GALA社製ストランドカット設備(マイクロ レット用)付き押出機を用いて、数平均粒子 が700μmの粒子Aを得た。粒子Aは、JIS K7365に 拠して測定した嵩密度が0.63g/cm 3 であった。

(粒子B) 上記黒色の熱可塑性樹脂粒子を原料 し、冷凍粉砕機(井元製作所社製)を用いて 平均粒子径55μmの粒子Bを得た。粒子Bは、JIS K7365に準拠して測定した嵩密度が0.33g/cm 3 であった。なお、粒子Bの粒子径は、1~100μmの 範囲内にある。
(粒子C) 上記黒色の熱可塑性樹脂粒子をその ま用いて数平均粒子径3500μmの粒子Cを得た 粒子Cは、JIS K7365に準拠して測定した嵩密度 が0.65g/cm 3 であった。

(粒子D) 上記黒色の熱可塑性樹脂粒子を原料 し、上記冷凍粉砕機(井元製作所製)を用い 冷凍粉砕した後、ふるい分けを行って数平 粒子径1300μmの粒子Dを得た。粒子Dは、JIS K73 65に準拠して測定した嵩密度が0.59g/cm 3 であった。
(粒子E) 上記黒色の熱可塑性樹脂粒子を原料 し、上記冷凍粉砕機(井元製作所製)を用い 冷凍粉砕した後、ふるい分けを行って数平 粒子径460μmの粒子Eを得た。粒子Eは、JIS K736 5に準拠して測定した嵩密度が0.51g/cm 3 であった。
 なお、粒子A、C、D、Eは、100μm以下の粒子径 の熱可塑性樹脂粒子を含んでいない。

 また、数平均粒子径は、画像解析ソフト(Med ia Cybernetics社製「Image Pro Plus」)を使用し、 微鏡写真を画像解析することにより求めた 画像処理するサンプル数は100個以上とした
 本確認試験においては、シリコーンゴムに って、125mm×12.5mm×3.2mmのサイズの直方形状 キャビティ22を形成した。キャビティ22の最 幅寸法は3.2mmとした。そして、上記実施例1 示した成形装置1によって、キャビティ22内 上記各粒子A、B、C、D、Eを充填し、加熱溶 を行い、溶融状態の熱可塑性樹脂を追加充 し、その後冷却して、熱可塑性樹脂成形品 サンプルを得た。

 表2には、粒子A、B、C、D、Eのいずれかを いて構成した熱可塑性樹脂粒子組成物6Aか 成形した成形品である発明品1~5、及び粒子A B、Cのいずれかを用いて構成した熱可塑性 脂粒子から成形した成形品である比較品1~3 ついて、表面外観の観察及び耐衝撃性の測 を行った結果を示す。

 ここで、品質(表面外観)については、得ら た熱可塑性樹脂成形品の表面外観を目視観 し、歪みや焼けのない良好な成形品が得ら た場合を○、表面の一部に歪みのある熱可 性樹脂成形品が得られた場合を△、歪み、 損のある熱可塑性樹脂成形品が得られた場 を×、評価不能の場合を-として、評価した
 また、機械的強度(耐衝撃性)については、 ャルピー衝撃強度を、ISO179に準じて測定し (ノッチ付き、厚み3.2mm)。

 表面外観を目視して評価したところ、発明 1~5についてはいずれも○となり、表面外観 び耐衝撃性ともに優れることがわかった。 方、比較品2については、焼け(焦げ付き)が じ、表面外観及び耐衝撃性ともに悪い結果 なった。この理由は、粒子Bの混合比率が25 量%と大きいためであると考える。また、比 較品1、3については、成形ができず、表面外 及び耐衝撃性ともに評価ができなかった。
 この結果より、上記実施例2に示した大形熱 可塑性樹脂粒子61及び小形熱可塑性樹脂粒子6 2を含有する熱可塑性樹脂粒子組成物6Aを用い ることにより、品質及び機械的強度に優れた 熱可塑性樹脂成形品60を成形できることがわ った。

(実施例3)
 本例の熱可塑性樹脂粒子組成物6Aは、ゴム 料からなるゴム型2のキャビティ22内に充填 、ゴム型2を介して0.78~2μmの波長領域を含む 磁波を照射して加熱溶融させる用途に用い 。この熱可塑性樹脂粒子組成物6Aは、熱可 性樹脂粒子61と、無機粉体及び滑剤の少なく とも一方である微小粒子62とを含有してなる 熱可塑性樹脂粒子61の数平均粒子径は200~3000 μmであり、微小粒子62の数平均粒子径は0.5~50 mである。そして、本例の熱可塑性樹脂粒子 成物6Aは、熱可塑性樹脂粒子61が100質量部に 対して、微小粒子62を0.1~10質量部含有してな 。
 本例において用いる熱可塑性樹脂は、非晶 を有するゴム強化スチレン系樹脂であるABS 脂とする。

 次に、上記成形装置1を用いて熱可塑性樹脂 成形品60を製造する方法につき、図1~図3を参 して詳説する。
 本例の熱可塑性樹脂成形品60の製造方法に いては、ゴム型2に熱可塑性樹脂6を充填して 熱可塑性樹脂成形品60を成形するに当たり、 可塑性樹脂粒子組成物6Aと溶融状態の熱可 性樹脂6Bとを用いる。本例においては、熱可 塑性樹脂粒子組成物6Aと溶融状態の熱可塑性 脂6Bとには、同じ組成を有するABS樹脂を用 る。

 熱可塑性樹脂成形品60を成形するに当た ては、まず、図1に示すごとく、配置工程と て、開いた状態のゴム型2に対し、分割型部 21におけるキャビティ22の表面に、体積平均 子径が0.5~50μmの微小粒子62を振り掛けて配置 する。次いで、注入シリンダー52を成形型の 入部23にセットし、ゴム型2のキャビティ22 に、数平均粒子径が200~3000μmの熱可塑性樹脂 粒子61を投入する。このとき、キャビティ22 に投入する熱可塑性樹脂粒子組成物6Aの含有 比率は、熱可塑性樹脂粒子61が100質量部に対 、微小粒子62を0.1~10質量部となるようにす 。そして、キャビティ22のほぼ全体に、熱可 塑性樹脂粒子組成物6Aを投入する。

 微小粒子62をキャビティ22の表面に振り掛 けたときには、この微小粒子62のほとんどは キャビティ22の内壁面221に付着する。ここ 、本例のゴム型2はシリコーンゴムから形成 れており、微小粒子62は、その体積平均粒 径が0.5~50μmであることによって、シリコー ゴムからなるキャビティ22の内壁面221に効果 的に付着させることができる。

 また、熱可塑性樹脂粒子61をキャビティ22 内に投入するときには、キャビティ22の内壁 221には微小粒子62が付着した状態にある。 れにより、熱可塑性樹脂粒子61は、キャビテ ィ22内における微小粒子62の内側を通過(落下) させることができる。そのため、キャビティ 22内への熱可塑性樹脂粒子61の充填を円滑に うことができる。なお、微小粒子62及び熱可 塑性樹脂粒子61は、その自重によって充填す 以外にも、振動又は気流を加えて充填する ともできる。

 次いで、本例においても、上記実施例2と同 様に、真空工程、粒子加熱工程(図2参照)、及 び充填工程(図3参照)を行い、外観、形状、表 面精度等の品質及び機械的強度に優れた熱可 塑性樹脂成形品60を得ることができる。
 その他、本例において用いる成形装置1の構 成は上記実施例1と同様であり、本例の製造 法の構成及び作用効果は上記実施例2と同様 ある。

(効果のシミュレーション)
 本例の熱可塑性樹脂粒子61及び微小粒子62を 用いた効果のシミュレーションについては、 図7において、上記実施例2の大形熱可塑性樹 粒子61を熱可塑性樹脂粒子61に置き換えると 共に、上記実施例2の小形熱可塑性樹脂粒子62 を微小粒子62に置き換え、さらに、図8におい て、上記実施例2の大形熱可塑性樹脂粒子61を 熱可塑性樹脂粒子61に置き換えて示すことが きる。そして、本例においても、上記実施 2の場合と同様の作用効果を得ることができ る。

(確認試験3)
 本確認試験においては、上記実施例3に示し た熱可塑性樹脂粒子組成物6Aを用いて熱可塑 成形品を成形することによる品質(表面外観 )、機械的強度(耐衝撃性)を向上させる効果に ついて確認を行った。
 本確認試験において用いる5種類の熱可塑性 樹脂粒子(粒子A、B、C、D、E)については、上 実施例2と同様にした。また、本確認試験に いては、2種類のタルク(タルクA、B)、滑剤 準備した。

(タルクA) 日本タルク社製の微粉タルク「MICR O ACE K-1」(商品名)を用いた。レーザー回折 による体積平均粒子径(D 50 )は8μmである。
(タルクB) 日本タルク社製の汎用タルク「MS (商品名)を用いた。レーザー回折法による体 積平均粒子径(D 50 )は14μmである。
(滑剤) 堺化学工業社製のステアリン酸マグ シウム「SM-1000」を用いた。レーザー回折法 よる体積平均粒子径(D 50 )は9μmである。

 また、数平均粒子径は、画像解析ソフト(Med ia Cybernetics社製「Image Pro Plus」)を使用し、 微鏡写真を画像解析することにより求めた 画像処理するサンプル数は100個以上とした
 本確認試験においては、シリコーンゴムに って、125mm×12.5mm×3.2mmのサイズの直方形状 キャビティ22を形成した。キャビティ22の最 幅寸法は3.2mmとした。そして、上記実施例1 示した成形装置1によって、キャビティ22内 上記各粒子A、B、C、D、Eを充填し、加熱溶 を行い、溶融状態の熱可塑性樹脂を追加充 し、その後冷却して、熱可塑性樹脂成形品 サンプルを得た。

 表3には、粒子A、D、Eと、タルク又は滑剤 とを用いて構成した熱可塑性樹脂粒子組成物 6Aから成形した成形品である発明品1~6、及び 子Aのみから構成、又は粒子B、Cのいずれか 用いて構成した熱可塑性樹脂粒子から成形 た成形品である比較品1~3について、表面外 の観察及び耐衝撃性の測定を行った結果を す。

 ここで、品質(表面外観)については、得ら た熱可塑性樹脂成形品の表面外観を目視観 し、歪みや焼けのない良好な成形品が得ら た場合を○、表面の一部に歪みのある熱可 性樹脂成形品が得られた場合を△、歪み、 損のある熱可塑性樹脂成形品が得られた場 を×、評価不能の場合を-として、評価した
 また、機械的強度(耐衝撃性)については、 ャルピー衝撃強度を、ISO179に準じて測定し (ノッチ付き、厚み3.2mm)。

 表面外観を目視して評価したところ、発明 1~6についてはいずれも○となり、表面外観 び耐衝撃性ともに優れることがわかった。 方、比較品2については、焼け(焦げ付き)が じ、表面外観及び耐衝撃性ともに悪い結果 なった。この理由は、粒子Bの数平均粒子径 が55μmと小さいためであると考える。また、 較品1、3については、成形ができず、表面 観及び耐衝撃性ともに評価ができなかった
 この結果より、上記実施例3に示した熱可塑 性樹脂粒子61及び微小粒子62を含有する熱可 性樹脂粒子組成物6Aを用いることにより、品 質及び機械的強度に優れた熱可塑性樹脂成形 品60を成形できることがわかった。

(実施例4)
 本例の熱可塑性樹脂組成物6Aは、ゴム材料 らなるゴム型2のキャビティ22内に充填し、 ム型2を介して0.78~2μmの波長領域を含む電磁 を照射して加熱溶融させるためのものであ 。熱可塑性樹脂組成物6Aは、熱可塑性樹脂 形品60としたときの曇価が20%以下となるよう 、熱可塑性樹脂100質量部に対して、赤外線吸 収剤を0.0005~0.1質量部含有してなる。
 本例において用いる熱可塑性樹脂は、非晶 を有するゴム強化スチレン系樹脂である透 のABS樹脂とする。

 図9は、赤外線吸収剤を含有しない熱可塑 性樹脂(破線で示す。)と、熱可塑性樹脂に赤 線吸収剤を含有させた熱可塑性樹脂組成物( 実線で示す。)とについて、横軸に波長(nm)を り、縦軸に光の吸収率(%)をとって、光の吸 率の違いを示すグラフである。同図におい 、赤外線吸収剤を含有しない熱可塑性樹脂 比べて、熱可塑性樹脂に赤外線吸収剤を含 させた熱可塑性樹脂組成物によれば、0.78~2 mの波長領域を含む近赤外線の吸収率を増加 せることができることがわかる。なお、赤 線吸収剤を含有しない熱可塑性樹脂は、後 する確認試験4における比較品1の結果を示 、熱可塑性樹脂に赤外線吸収剤を含有させ 熱可塑性樹脂組成物は、後述する確認試験4 おける発明品2の結果を示す。

 本例の熱可塑性樹脂成形品60の製造方法 おいては、ゴム型2に熱可塑性樹脂6を充填し て熱可塑性樹脂成形品60を成形するに当たり 熱可塑性樹脂組成物6Aと溶融状態の熱可塑 樹脂6Bとを用いる。本例においては、熱可塑 性樹脂組成物6Aにおける熱可塑性樹脂と溶融 態の熱可塑性樹脂6Bとには、同じ組成を有 るABS樹脂を用いる。また、熱可塑性樹脂組 物6Aとして用いる大形熱可塑性樹脂粒子61と 形熱可塑性樹脂粒子62とには、同じ配合率 赤外線吸収剤が配合されている。

 熱可塑性樹脂成形品60を成形するに当たっ は、まず、図1に示すごとく、配置工程とし 、開いた状態のゴム型2の分割型部21におけ キャビティ22の内壁面221に、粒子径が1~100μm の小形熱可塑性樹脂粒子62を振り掛けて配置 る。
 次いで、注入シリンダー52を閉じた状態の ム型2の注入部23にセットし、ゴム型2のキャ ティ22内に、粒子径が100μmよりも大きく3000 m以下である大形熱可塑性樹脂粒子61を投入 る。このとき、キャビティ22内に投入する熱 可塑性樹脂組成物6Aにおける熱可塑性樹脂粒 61、62の含有比率は、大形熱可塑性樹脂粒子 61が80~99.9質量%となり、小形熱可塑性樹脂粒 62が0.1~20質量%となるようにする。そして、 ャビティ22のほぼ全体に、熱可塑性樹脂組成 物6Aを充填する。

 次いで、本例においても、上記実施例2と同 様に、真空工程、粒子加熱工程(図2参照)、及 び充填工程(図3参照)を行い、外観、形状、表 面精度等の品質及び機械的強度に優れた熱可 塑性樹脂成形品60を得ることができる。
 また、本例においては、粒子加熱工程にお て、大形熱可塑性樹脂粒子61に赤外線吸収 が配合してあることにより、熱可塑性樹脂 して透明熱可塑性樹脂を用いていても、上 電磁波を効果的に吸収させることができ、 可塑性樹脂組成物6Aを迅速に加熱溶融させる ことができる。

 それ故、本例の熱可塑性樹脂成形品60の 造方法によれば、赤外線吸収剤の配合によ て、樹脂の透明度を表す曇価が20%以下であ 透明の熱可塑性樹脂成形品60を、電磁波照射 成形によって迅速に成形することができる。 また、成形型としてのゴム型2の製造が容易 あり、種々の形状の透明の熱可塑性樹脂成 品60を安価に成形することができる。

 さらに、ゴム型2を用いて熱可塑性樹脂6の 形を行う場合に、透明の熱可塑性樹脂成形 60の外観、形状、表面精度等の品質及び機械 的強度を効果的に向上させることができる。 また、本例による効果は、成形する透明の熱 可塑性樹脂成形品60が大型、薄肉等の形状で る場合、又は成形に用いる熱可塑性樹脂6の 粘度が高い場合等に特に顕著に発揮すること ができる。
 その他、本例において用いる成形装置1の構 成は上記実施例1と同様であり、本例の製造 法の構成及び作用効果は上記実施例2と同様 ある。

(確認試験4)
 本確認試験においては、赤外線吸収剤の配 により熱可塑性樹脂組成物6Aが溶融するま に要する時間を短縮できるかを確認した。
 具体的には、赤外線吸収剤を配合していな 熱可塑性樹脂としての樹脂1~3を比較品1~3と 、樹脂1~3に対して赤外線吸収剤を配合して る熱可塑性樹脂組成物6Aを発明品1~8として 発明品1~8及び比較品1~3について溶融するま に要した時間(本確認試験では260℃に到達し 時間)(分)と、成形品の曇価(%)とを測定した また、成形品を得るための温度と時間は適 調整した。

 本確認試験において上記測定を行った熱可 性樹脂は、次の樹脂1~3とした。
 (樹脂1) 透明ABS樹脂(テクノポリマー社製「 クノABS830」、MFR30g/10min(220℃、98N))で、厚み2 .5mmの試験片による曇価が4%である。
 (樹脂2) アクリル系樹脂(三菱レイヨン社製 アクリペットVH001」、MFR2g/10min(230℃、37.3N)) 、厚み2.5mmの試験片による曇価が0.2%である
 (樹脂3) ポリカーボネート樹脂(三菱エンジ アリングプラスチックス社製「ノバレック 7020A」、MFR30g/10min(300℃、11.8N))で、厚み2.5mm 試験片による曇価が0.4%である。
 また、赤外線吸収剤としては、BASF社製「Lum ogen IR1050」を用いた。
 発明品1~8及び比較品1~3の組成、及びこれら ついて溶融時間(分)及び曇価(%)を測定した 果を表4に示す。

 発明品1~8は、樹脂1~3に対して、表4に示す配 合率で赤外線吸収剤を配合し、一軸スクリュ ータイプ押出機(40mmφ、シリンダー温度220~260 )で押し出して、透明の熱可塑性樹脂粒子と し、この透明の熱可塑性樹脂粒子を原料とし て、GALA社製ストランドカット設備(マイクロ レット用)付き押出機を用いて、数平均粒子 径が700μmの熱可塑性樹脂粒子として製造した 。この熱可塑性樹脂粒子は、JIS K7365に準拠 て測定した嵩密度が0.63g/cm 3 であった。
 また、比較品1~3は、赤外線吸収剤を配合し い樹脂1~3に対して、上記と同様に、数平均 子径が700μmの熱可塑性樹脂粒子として製造 た。

 また、シリコーンゴムからなるゴム型2のキ ャビティ22を、長さ80mm×幅55cm×厚み2.5mmの大 さの直方形状に形成し、ハロゲンヒータに って加熱して、常温から260℃になるまでに した時間(溶融時間)を測定した。
 本確認試験における曇価(ヘイズ)は、長さ80 mm×幅55cm×厚み2.5mmの大きさに成形した試験片 (成形品)、及び測定器(ガードナー社製ヘイズ ガードプラス)を用いて、JIS K7136に準じて測 した。この曇価は、値が小さいほど透明に いことを意味する。

 表4より、赤外線吸収剤を配合した熱可塑性 樹脂組成物6Aは、赤外線吸収剤を配合してい い熱可塑性樹脂よりも曇価の値が大きくな ていることがわかる。一方で、赤外線吸収 を配合した場合(発明品1~8)については、赤 線吸収剤を配合していない場合(比較品1~3)に 比べて、溶融時間が大幅に短縮されているこ とがわかる。また、赤外線吸収剤の配合率を 増やせば、溶融時間がさらに短縮されること がわかる。ただし、赤外線吸収剤の配合率が 増えると曇価が大きくなって、透明度が低く なることがわかる。
 以上の結果より、赤外線吸収剤を熱可塑性 脂に含有させることにより、熱可塑性樹脂 溶融するまでに要する時間を短縮すること でき、曇価が20%以下である熱可塑性樹脂成 品60を短時間で成形できることがわかる。

(実施例5)
 本例の熱可塑性樹脂組成物6Aは、ゴム材料 らなるゴム型2のキャビティ22内に充填し、 ム型2を介して0.78~2μmの波長領域を含む電磁 を照射して加熱溶融させるためのものであ 。熱可塑性樹脂組成物6Aは、熱可塑性樹脂 形品60としたときの白色度が30%以上となるよ う、熱可塑性樹脂100質量部に対して、赤外線 吸収剤を0.0005~0.1質量部、着色剤を0.05~30質量 含有してなる。
 本例において用いる熱可塑性樹脂は、非晶 を有するゴム強化スチレン系樹脂であるABS 脂とする。

 図10は、赤外線吸収剤を含有しない熱可 性樹脂(破線で示す。)と、熱可塑性樹脂に赤 外線吸収剤を含有させた熱可塑性樹脂組成物 (実線、一点鎖線で示す。)とについて、横軸 波長(nm)をとり、縦軸に光の吸収率(%)をとっ て、光の吸収率の違いを示すグラフである。 同図において、赤外線吸収剤を含有しない熱 可塑性樹脂と比べて、熱可塑性樹脂に赤外線 吸収剤を含有させた熱可塑性樹脂組成物によ れば、0.78~2μmの波長領域を含む近赤外線の吸 収率を増加させることができることがわかる 。なお、赤外線吸収剤を含有しない熱可塑性 樹脂は、後述する確認試験5における比較品1 結果を示し、熱可塑性樹脂に赤外線吸収剤 含有させた熱可塑性樹脂組成物は、後述す 確認試験5における発明品1(赤外線吸収剤が 量の場合)、発明品2(赤外線吸収剤が多量の 合)の結果を示す。

 本例の熱可塑性樹脂成形品60の製造方法に いては、上記実施例4と同様に、真空工程、 子加熱工程(図2参照)、及び充填工程(図3参 )を行い、外観、形状、表面精度等の品質及 機械的強度に優れた熱可塑性樹脂成形品60 得ることができる。
 また、本例の製造方法においては、熱可塑 樹脂組成物6Aとして用いる大形熱可塑性樹 粒子61と小形熱可塑性樹脂粒子62とには、同 配合率で赤外線吸収剤及び着色剤を配合し おく。着色剤の配合率は、大形熱可塑性樹 粒子61及び小形熱可塑性樹脂粒子62と、溶融 状態の熱可塑性樹脂6Bとに対して、いずれも 可塑性樹脂6Bが100質量部に対して0.05~30質量 とした。

 それ故、本例の熱可塑性樹脂成形品60の製 方法によれば、赤外線吸収剤及び着色剤の 合によって、白色度が30%以上である熱可塑 樹脂成形品60を、電磁波照射成形によって迅 速に成形することができる。また、成形型と してのゴム型2の製造が容易であり、種々の 状の熱可塑性樹脂成形品60を安価に成形する ことができる。
 その他、本例において用いる成形装置1の構 成は上記実施例1と同様であり、本例の製造 法の構成及び作用効果は上記実施例4と同様 ある。

(確認試験5)
 本確認試験においては、赤外線吸収剤の配 により熱可塑性樹脂組成物6Aが溶融するま に要する時間を短縮できるかを確認した。
 具体的には、赤外線吸収剤を配合していな 熱可塑性樹脂としての樹脂1、2を比較品1~3 し、樹脂1、2に対して赤外線吸収剤を配合し てなる熱可塑性樹脂組成物6Aを発明品1~4とし 、発明品1~4及び比較品1~3について溶融する でに要した時間(本確認試験では260℃に到達 した時間)(分)と、成形品の白色度(%)とを測定 した。

 本確認試験において上記測定を行った熱可 性樹脂は、次の樹脂1、2とした。
 (樹脂1) 透明ABS樹脂(テクノポリマー社製「 クノABS830」、MFR30g/10min(220℃、98N))で、厚み2 .5mmの試験片による白色度が97%である。
 (樹脂2) ABS樹脂(テクノポリマー社製「テク ABS330」、MFR42g/10min(220℃、98N))で、厚み2.5mm 試験片による白色度が34%である。
 また、赤外線吸収剤としては、BASF社製「Lum ogen IR1050」を用いた。

 本確認試験において用いた着色剤は、次の 色剤1~3とした。
 (着色剤1) 白色、酸化チタン(石原産業社製 タイペークCR-6-2」)。
 (着色剤2) 緑色、川村化学社製「AM110グリー ン」)。
 (着色剤3) 黒色、越谷化成工業社製「MB-9705B lack」)。
 発明品1~4及び比較品1~3の組成、及びこれら ついて溶融時間(分)及び白色度(%)を測定し 結果を表5に示す。

 発明品1~4は、樹脂1、2に対して、表5に示す 合率で赤外線吸収剤及び着色剤を配合し、 軸スクリュータイプ押出機(40mmφ、シリンダ ー温度220~260℃)で押し出して、着色した熱可 性樹脂粒子とし、この着色した熱可塑性樹 粒子を原料として、GALA社製ストランドカッ ト設備(マイクロペレット用)付き押出機を用 て、数平均粒子径が700μmの熱可塑性樹脂粒 として製造した。この熱可塑性樹脂粒子は JIS K7365に準拠して測定した嵩密度が0.63g/cm 3 であった。
 また、比較品1~3は、樹脂1、2に対して、表5 示す配合率で着色剤を混合して、上記と同 に、数平均粒子径が700μmの熱可塑性樹脂粒 として製造した。

 また、シリコーンゴムからなるゴム型2のキ ャビティ22を、長さ80mm×幅55mm×厚み2.5mmの大 さの直方形状に形成し、ハロゲンヒータに って加熱して、常温から260℃になるまでに した時間(溶融時間)を測定した。
 本確認試験における白色度は、長さ80mm×幅5 5cm×厚み2.5mmの大きさに成形した試験片(成形 )に対して、ハンター式測定色差計によりL a、bを測定し、白色度W(%)=100-{(100-L) 2 +a 2 +b 2 } 1/2 (L;明度、a;赤色度、b;黄色度)の式から求めた この白色度は、値が大きいほど白色に近い とを意味する。

 表5より、赤外線吸収剤を配合した熱可塑性 樹脂組成物6Aは、赤外線吸収剤を配合してい い熱可塑性樹脂よりも白色度の値が小さく っていることがわかる。一方で、赤外線吸 剤を配合した場合(発明品1~4)については、 外線吸収剤を配合していない場合(比較品1~3) に比べて、溶融時間が大幅に短縮されている ことがわかる。また、赤外線吸収剤の配合率 を増やせば、溶融時間がさらに短縮されるこ とがわかる。ただし、赤外線吸収剤の配合率 が増えると白色度が小さくなる(低くなる)こ がわかる。
 以上の結果より、赤外線吸収剤を熱可塑性 脂に含有させることにより、熱可塑性樹脂 溶融するまでに要する時間を短縮すること でき、白色度が30%以上である熱可塑性樹脂 形品60を短時間で成形できることがわかる




 
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