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Patent Searching and Data


Title:
PROCESS FOR PRODUCTION OF 2-PROPANOL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/104597
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a process for producing high-purity 2-propanol, which can produce 2-propanol at a higher purity than that in conventional processes and can prevent the production of any impurity as a by-product. Specifically disclosed is a process for producing 2-propanol, which comprises reacting acetone with hydrogen in the presence of a hydrogenation catalyst to produce 2-propanol, wherein the reaction is achieved by reacting a raw material mixture comprising water and acetone with hydrogen in the presence of the hydrogenation catalyst, and wherein the raw material mixture contains water in an amount of 1.2 to 4.0 wt% relative to the total amount (100 wt%) of water and acetone.

Inventors:
MORIZANE KUNIHIKO (JP)
SHIRAHATA TATSUO (JP)
HIGASHI KATSUNARI (JP)
SENOO SHINJI (JP)
DOI KENJI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/052683
Publication Date:
August 27, 2009
Filing Date:
February 17, 2009
Export Citation:
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Assignee:
MITSUI CHEMICALS INC (JP)
MORIZANE KUNIHIKO (JP)
SHIRAHATA TATSUO (JP)
HIGASHI KATSUNARI (JP)
SENOO SHINJI (JP)
DOI KENJI (JP)
International Classes:
C07C29/145; C07C31/10; B01J23/80; B01J25/02; C07B61/00
Foreign References:
JPS6212729A1987-01-21
JPH03133941A1991-06-07
JP2001039910A2001-02-13
JPS6212729A1987-01-21
JP2001039910A2001-02-13
JP2834495B21998-12-09
Other References:
KOGYO KAGAKU ZASSHI, vol. 54, 1951, pages 27
See also references of EP 2243762A4
Attorney, Agent or Firm:
SUZUKI, Shunichiro (Gotanda Yamazaki Bldg. 6F 13-6, Nishigotanda 7-chome, Shinagawa-k, Tokyo 31, JP)
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Claims:
 アセトンを水素化触媒の存在下で水素と反応させて、2-プロパノールを製造する方法であって、
 前記反応が、水とアセトンとを含む原料混合物を、水素化触媒の存在下で水素と反応させることにより行われ、
 前記原料混合物が水とアセトンとの合計100重量%あたり、水を1.2~4.0重量%含有することを特徴とする2-プロパノールの製造方法。
 前記水素化触媒がラネー触媒であることを特徴とする請求項1に記載の2-プロパノールの製造方法。
 前記ラネー触媒が、ラネーニッケルおよびラネーコバルトからなる群から選択させる少なくとも1種のラネー触媒であることを特徴とする請求項2に記載の2-プロパノールの製造方法。
 前記原料混合物が水とアセトンとの合計100重量%あたり、水を1.2~2.5重量%含有することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の2-プロパノールの製造方法。
 前記反応により生成される2-プロパノール中に含有される、4-メチル-2-ペンタノールの含有量が10ppm以下であり、2-メチルペンタン-2,4-ジオールの含有量が100ppm以下であることを特徴とする請求項2または3に記載の2-プロパノールの製造方法。
 前記反応により生成される2-プロパノール中に含有される、未反応のアセトン量が0.5重量%未満になる条件で反応を行うことを特徴とする請求項2、3または5に記載の2-プロパノールの製造方法。
 前記水素化触媒が酸化銅-酸化亜鉛を含む固体触媒であることを特徴とする請求項1に記載の2-プロパノールの製造方法。
Description:
2-プロパノールの製造方法

 本発明は2-プロパノールの製造方法に関 、詳しくは、アセトンと水素とを反応させ 、2-プロパノールを製造する際の、不純物の 副生を抑制した高純度2-プロパノールの製造 法に関する。

 2-プロパノールは有機合成の重要な中間 であり、また工業上重要な溶媒として使用 れている。2-プロパノールの用途は幅広く、 用途によっては高純度の2-プロパノールが必 とされる。

 2-プロパノールの製造方法の一つとして アセトンを水素と反応させる方法がある。 般に高純度の2-プロパノールを製造する方法 においては、前記反応により得られた2-プロ ノールを精製するための蒸留操作を行うが 蒸留操作には多くのエネルギーを必要とす 。

 また用途によって許容される不純物の種 や量は異なり、用途によっては、蒸留操作 得られる精製された2-プロパノールであっ も、不純物の低減が不充分であった。

 このため、高純度の2-プロパノールを得 ためには、2-プロパノールを製造する際の反 応工程において副生される不純物を低減する ことが有効な方法の一つである。

 アセトンを水素で還元して2-プロパノー を得る従来の方法としては、例えば工業化 雑誌、第54巻、第1冊、第27頁(昭和26年)(非特 文献1)に、触媒としてNi‐Al(1:1)合金から常 により調製したラネーニッケルを用いてア トンを水素添加して2-プロパノールを得る方 法が記載されている。

 しかし、前記非特許文献1に示された2-プ パノールの収率は93.3%であり、2-プロパノー ル製造の工業化を考える場合、更に該収率を 高めることが必要である。

 しかし従来知られている方法においては 2-プロパノールの収率を高くしようとして セトンの転化率を高めると、通常はジイソ ロピルエーテル、プロパン、エタン、メタ 等の副生物の量が増し、反応混合物から2-プ ロパノールを分離する場合に問題となる。

 また前記非特許文献1には2-プロパノールの 率を高める方法として、水を添加すると該 率が98.7%と高く水素添加が促進されること 記されている。該方法をアセトンの水素添 による2-プロパノールの工業的製造法に採用 することは、前記2-プロパノールの収率を高 る方法は水が30%添加されており、反応混合 から2-プロパノールを分離するために多く エネルギーを要し、コストが高くつくため 経済的ではない。
 特開昭62-012729号公報(特許文献1)には、アセ ンに水を添加して反応することにより不純 が減少する旨が記載されている。しかし、 の添加量は、反応系の水分含有率として定 されており、その実施例、比較例から実質 に開示されているのは、反応系の水分含有 が、0.3重量%の場合のみである。また、特許 文献1に記載の方法では、未反応のアセトン を0.5重量%以上とする必要があり、反応効率 観点からも改善が望まれていた。

 特開2001-039910号公報(特許文献2)には、アセ ンに水を添加することにより不純物が減少 る旨が記載されている。特許文献2は、極め 僅かな含水量を有するアセトンの水素化が 能である旨が開示されており、具体的には アセトンは1.0質量%以下の含水量でイソプロ パノールに水素化することができると開示さ れている。また、特許文献2の実施例では何 含水量について開示されていない。

特開昭62-012729号公報

特開2001-039910号公報 工業化学雑誌、第54巻、第1冊、第27頁(昭 和26年)

 上述したように水存在下で、アセトンを 素化し、2-プロパノールを製造する方法は 従来から提案されているが、前記方法の水 含有率では不純物の低減が未だ充分ではな った。

 本発明は前記従来技術の課題を鑑みてな れたものであり、2-プロパノールを従来よ も高純度で得ることができる、不純物の副 を抑制した高純度2-プロパノールの製造方法 を提供することを目的とする。

 本発明者等は前記課題を解決するために 意研究を重ねた結果、特定量の水を含有す 原料混合物を用いて反応を行うことにより 前記課題を解決できることを見出し、本発 を完成させた。

 すなわち、本発明は、例えば以下の(1)~(7) に関する。

 (1):アセトンを水素化触媒の存在下で水素 と反応させて、2-プロパノールを製造する方 であって、前記反応が、水とアセトンとを む原料混合物を、水素化触媒の存在下で水 と反応させることにより行われ、前記原料 合物が水とアセトンとの合計100重量%あたり 、水を1.2~4.0重量%含有することを特徴とする2 -プロパノールの製造方法。

 (2):前記水素化触媒がラネー触媒であるこ とを特徴とする(1)に記載の2-プロパノールの 造方法。

 (3):前記ラネー触媒が、ラネーニッケルお よびラネーコバルトからなる群から選択させ る少なくとも1種のラネー触媒であることを 徴とする(2)に記載の2-プロパノールの製造方 法。

 (4):前記原料混合物が水とアセトンとの合 計100重量%あたり、水を1.2~2.5重量%含有するこ とを特徴とする(1)~(3)のいずれかに記載の2-プ ロパノールの製造方法。

 (5):前記反応により生成される2-プロパノ ル中に含有される、4-メチル-2-ペンタノー の含有量が10ppm以下であり、2-メチルペンタ -2,4-ジオールの含有量が100ppm以下であるこ を特徴とする(2)または(3)に記載の2-プロパノ ールの製造方法。

 (6):前記反応により生成される2-プロパノ ル中に含有される、未反応のアセトン量が0 .5重量%未満になる条件で反応を行うことを特 徴とする(2)、(3)または(5)に記載の2-プロパノ ルの製造方法。

 (7):前記水素化触媒が酸化銅-酸化亜鉛を む固体触媒であることを特徴とする(1)に記 の2-プロパノールの製造方法。

 本発明の2-プロパノールの製造方法は、 素化触媒の存在下、アセトンと水素とを反 させる際に、特定量の水をアセトンと共存 せることにより、不純物の副生を抑制する とができる。このため、本発明の製造方法 よって得られる2-プロパノールは、4-メチル- 2-ペンタノール、2-メチルペンタン-2,4-ジオー ル等の不純物の含有量が少ない、高純度な2- ロパノールである。

本発明に用いる製造装置の一実施態様 示すフローチャートである。

符号の説明

1・・・反応器
2・・・固定触媒層
3・・・原料混合物の供給経路
4・・・供給ポンプ
5・・・気液分離器
6・・・送液ポンプ
7・・・循環経路
8・・・水素の供給経路
9、10、14、19、22、25・・・経路
11・・・反応器1の入口
12・・・反応器1の入口
13・・・反応器1の出口
15、17、21・・・熱交換器
16、24・・・調節弁
18・・・脱気槽、
20・・・フィルター、
23・・・水素循環器
26・・・廃ガス量調節弁
27・・・圧力調節弁
28・・・水素

 以下に本発明を詳細に説明する。

 本発明の2-プロパノールの製造方法は、 セトンを水素化触媒の存在下で水素と反応 せて、2-プロパノールを製造する方法であっ て、前記反応が、水とアセトンとを含む原料 混合物を、水素化触媒の存在下で水素と反応 させることにより行われ、前記原料混合物が 水とアセトンとの合計100重量%あたり、水を1. 2~4.0重量%含有することを特徴とする。

 本発明においては、前記反応は、通常前 水素化触媒が設置された反応器内で行われ 前記反応で得られる生成物である2-プロパ ールは、副成分として後述する副生成物や 未反応のアセトンを含んでおり、前記生成 を以下、液状の反応混合物とも記す。なお 反応器から取り出される際には、未反応の 素を主成分とするガス状の反応混合物と、 記液状の反応混合物とが取り出され、液状 反応混合物とガス状の反応混合物とを総称 て、反応混合物とも記す。

 本発明に用いる水素化触媒としては特に 定はないが、Ba、Co、Cr、Cu、Fe、Mn、Ni、Pd、 Pt、Zn、Zr、Ru、Rh等の金属元素を含む固体触 が通常は用いられる。前記金属元素として 、金属単体、合金、金属酸化物、金属塩化 等の形態で用いることができる。また、水 化触媒としては、他の触媒を用いてもよく ラネー触媒を用いることが好ましい。本発 に用いる水素化触媒としては、一種単独で 、二種以上を用いてもよい。

 水素化触媒として金属単体を用いる場合 は、Ni、Co、Cu、Fe、Pd、Pt、Ru、Rh等を用いる ことが好ましい。

 水素化触媒として金属酸化物を用いる場 には、CoO等を用いることが、反応収率の観 から好ましい。

 また、本発明に用いる水素化触媒として 、金属単体の混合物、金属単体と金属酸化 との混合物、金属酸化物の混合物、混合金 酸化物であってもよい。

 本発明に用いることが可能な水素化触媒の としては、CuO-Cr 2 O 3 -BaO、CuO-Cr 2 O 3 -BaO-MnO等の銅-クロム系触媒、CuO-ZnO等の銅-亜 系触媒、ZnO-Cr 2 O 3 等の亜鉛-クロム系触媒、Pd-Cr 2 O 3 等のパラジウム-クロム系触媒、CoO-ZrO 2 等のコバルト-ジルコニウム系触媒、Ni-ZrO 2 等のニッケル-ジルコニウム系触媒、Ni-MgO等 ニッケル-マグネシウム系触媒等が挙げられ 反応収率の観点から、銅-クロム系触媒、銅 -亜鉛系触媒、コバルト-ジルコニウム系触媒 ニッケル-ジルコニウム系触媒が好ましい。 前記銅-亜鉛系触媒としては、CuO-ZnO、すなわ 、酸化銅-酸化亜鉛であることが好ましい。 本発明に用いる水素化触媒が、酸化銅-酸化 鉛を含む固体触媒であると、反応温度140℃ 上での選択性、経済的な熱回収の観点から ましい。

 また、本発明に用いる水素化触媒は、活性 、SiO 2 、Al 2 O 3 、BaSO 4 、TiO 2 、ZrO 2 、MgO、ThO 2 、珪藻土等の担体で担持して用いてもよい。 前記担体としては、経済的観点から、再利用 可能な担体を使用することが好ましい。

 前記反応に使用する水素化触媒としては 反応収率の観点から、ラネー触媒を用いる とが特に好ましい。

 本発明に用いるラネー触媒とは、ニッケ 、コバルト、銅、鉄等のアルカリまたは酸 不溶(難溶)な金属と、アルミニウム、シリ ン、亜鉛、マグネシウム等のアルカリまた 酸に可溶な金属との合金を製造した後、該 金からアルカリまたは酸に可溶な金属を溶 して得られる金属触媒である。

 本発明に用いられるラネー触媒としては 例えばラネーニッケル、ラネーコバルト、 ネー銅、ラネー鉄等が挙げられるが、反応 率の点でラネーニッケルおよびラネーコバ トからなる群から選択させる少なくとも1種 のラネー触媒を用いることが好ましい。

 なお、ラネーニッケル、ラネーコバルト ラネー銅、およびラネー鉄とは、前記合金 おける、アルカリまたは酸に不溶(難溶)な 属組成の主体がそれぞれニッケル、コバル 、銅および鉄であるラネー触媒である。

 本発明では、水とアセトンとを含む原料 合物を、ラネー触媒等の水素化触媒の存在 で水素と反応させることにより2-プロパノ ルを製造するが、本発明に用いる原料混合 は、水とアセトンとからなるものであって よく、さらに溶媒を含んでいてもよい。

 溶媒としては、メタノール、エタノール 2-プロパノール等のアルコール類;エチレン リコール、プロピレングリコール、ジエチ ングリコール等のグリコール類;ジイソプロ ピルエーテル、ジブチルエーテル、エチレン グリコールジメチルエーテル、ジグライム、 トリグライム等のエーテル類;ジメチルホル アミド、ジメチルアセトアミド、アセトニ リル、ジメチルスルホキシド等の非プロト 性極性溶媒;ヘキサン、ヘプタン、シクロヘ サン、シクロペンタン等の炭化水素類等が げられる。本発明に用いる原料混合物が溶 を含む場合には、これらの中でも、液状の 応混合物からの除去を必要としない2-プロ ノールが好ましい。

 なお、本発明の製造方法において、原料 合物100重量部あたり、アセトンおよび水の 計が、通常は95~100重量部、好ましくは97~100 量部である。

 本発明において、前記原料混合物が水と セトンとの合計100重量%あたり、水を1.2~4.0 量%含有し、好ましくは1.2~2.5重量%含有し、 り好ましくは1.3~2.3重量%含有する。以下、原 料混合物中における、水とアセトンとの合計 100重量%あたりの水の量を、水分含有率とも す。

 水分含有率が前記範囲を上回ると、本発 の製造方法で得られる2-プロパノールを含 液状の反応混合物を精製し、水を含まない 高純度の2-プロパノールを得るために多くの エネルギーを要しコストが高くつく傾向があ り好ましくない。

 また、水分含有率が、前記範囲を下回る 、4-メチル-2-ペンタノール(MIBC)、2-メチルペ ンタン-2,4-ジオール(HG)等の不純物の生成量が 増大する傾向があり、望ましくない。

 なお、通常のアセトンには、不純物とし 水が含まれていることが多いが、本発明に いては、あらかじめ不純物として含まれて る水の量を測定しておき、該水の量および たに追加する水の量の合計を、水とアセト との合計100重量%あたりの水の量とする。

 なお、本発明に用いる原料混合物は、予 アセトンと水とを混合した後に、水素化触 の存在する反応器へ供給してもよいが、ア トンと、水とが別々に反応器に供給し、反 器中で混合されてもよい。

 本発明ではアセトンと水素との反応は、 応温度が、通常40~200℃で行われる。

 前記水添触媒として、ラネー触媒を用い 場合には、アセトンと水素との反応は、反 温度が、通常は40~160℃、好ましくは50~150℃ さらに好ましくは65~130℃で行われる。

 また、前記水添触媒として、酸化銅―酸 亜鉛を含む固体触媒を用いる場合には、ア トンと水との反応は、反応温度が、好まし は100~160℃で行われる。

 反応温度が上記範囲内であると、ジイソ ロピルエーテル、プロパン、エタン、メタ 等の副生物の生成量が少ないため好ましい

 また、反応温度が上記範囲内を下回る場 には、反応速度が低下し、2-プロパノール 収率を高くするためには反応時間を著しく くしなければならない場合があり好ましく い。

 本発明ではアセトンと水素との反応にお る反応圧力は、2-プロパノール収率向上及 反応器保護の観点から、通常は0.5~4.0MPaG、好 ましくは0.7~3.0MPaG、さらに好ましくは0.8~2.5MPa Gで行われる。

 本発明では、アセトンと水素との反応は 分式、あるいは流通法等で行うことができ 。流通法の場合には未反応のアセトンを反 系にリサイクルして反応を行うことができ 。

 本発明の製造方法において、前記水素化 媒として、ラネー触媒を用いる場合には、2 -プロパノールを含む液状の反応混合物中に まれる、4-メチル-2-ペンタノールの含有量が 10ppm以下であり、2-メチルペンタン-2,4-ジオー ルの含有量が100ppm以下であることが好ましく 、4-メチル-2-ペンタノールの含有量が8ppm以下 であり、2-メチルペンタン-2,4-ジオールの含 量が70ppm以下であることがより好ましい。

 また、本発明において前記水素化触媒と て、ラネー触媒を用いる場合には、アセト と水素の反応は、前記反応において、未反 のアセトン量が0.5重量%未満になる条件で反 応を行うことが好ましい。

 本発明において、未反応のアセトン量と ては、少ない程好ましく、その下限として 特に限定はないが、通常は未反応のアセト 量が0.1重量%以上である。

 なお、未反応のアセトン量とは、反応器 出てきた、2-プロパノールを含む液状の反 混合物100重量%あたりのアセトン含有量であ 。未反応のアセトン量を前記範囲にするた には、反応温度・反応圧力を前記範囲にし 上で、例えば反応時間などを適宜選ぶこと よって行うことができる。

 反応時間としては回分法を用いた液相法 場合には通常10分~2時間程度である。

 未反応のアセトン量が0.5重量%以上と大き く、アセトンの転化率が低い場合には、液状 の反応混合物からアセトンを含まない高純度 の2-プロパノールを分離するために多くのエ ルギーを要しコストが高くつく傾向があり ましくない。

 本発明ではアセトン、水素および水素化 媒の使用量は、回分法を用いた場合には、 素化触媒はアセトン100重量部に対して、通 は1~30重量部であり、水素の使用量はアセト ン1molに対して、通常は0.8~10molである。

 本発明の製造方法において、アセトンと 素との反応を流通法で行う場合には、本願 原料混合物中に前記水分含有率で水を含む と、水素化触媒を用いて反応を行うことを 須の条件とすること以外の各反応条件とし は、特許第2834495号公報記載の方法が挙げら れる。

 以下、その実施形態を、製造装置の一実 形態を示すフローチャート(図1)に基づいて 明する。

 図1において、1は反応器、2は反応器1の内 部に設けられた、水素化触媒から形成される 固定触媒層、3はアセトンおよび水を含む原 混合物の供給経路、4は原料混合物の供給ポ プ、5は反応混合物を気体と液体とに分離す る、気液分離器、6は送液ポンプ、7は気液分 器5によって分離された液状の反応混合物の 一部を反応器へ循環させるための循環経路を 示す。

 この装置において、アセトンおよび水を む原料混合物は、供給ポンプ4によって供給 経路3を通って、気液分離器5から循環経路7を 通って反応器1に循環される液状の反応混合 と合流して、反応器1の入口11から反応器1内 供給される。

 また、水素は、水素の供給経路8を通って 、反応器1の入口12から反応器1内へ供給され 。

 反応器1内に供給された水素と原料混合物 、並びに気液分離器5から循環された液状の 応混合物は、反応器1内を流通し、固定触媒 2において、アセトンと水素とが反応して2- ロパノールが生成される。生成した2-プロ ノールを含む反応混合物は、反応器1の出口1 3から排出され、経路9を通って気液分離器5に 導入される。

 気液分離器5において、反応混合物は、液 状の反応混合物と、水素を主成分とするガス 状の反応混合物とに分離される。得られた液 状の反応混合物から一部を抜き出し、抜き出 された液状の反応混合物は、送液ポンプ6に って、熱交換器15において冷却されて循環経 路7を通って、反応器1へ循環される。

 このとき、液状の反応混合物の抜き出し は、調節弁16によって調節される。残りの 状の反応混合物は、経路10を通る熱交換器17 冷却された後、脱気槽18において脱気され 経路19を通り、フィルター20で精製されて反 生成物として回収される。また、気液分離 5において分離されたガス状の反応混合物は 経路14を通って熱交換器21に導かれここで冷 されて、ガス状の反応混合物に含まれる液 の反応混合物が回収される。回収された液 の反応混合物は調節弁24を通って脱気槽18へ られ、経路10を通って送られてきた液状の 応混合物と混合されて脱気される。

 熱交換器21において液状の反応混合物を 去されたガス状の反応混合物の一部は循環 素ガスとして経路22を通って水素循環器23へ かれ、水素供給経路8へ返送される。さらに 、ここで反応によって消費された水素に見合 う新鮮な水素28と混合されて再び反応器1の入 口12を経て反応器内へ供給される。

 一方、熱交換器21を出たガス状の反応混 物は、その一部を圧力調節弁27を通して脱気 槽18へ抜き出す。

 脱気槽18では経路10を通って送られてきた 液状の反応混合物および熱交換器21で凝縮し 調節弁24を経て送られてきた液状の反応混 物のそれぞれから脱気放出されたガス状混 物ならびに前記圧力調節弁27を通して抜き出 したガス状混合物を一緒にして経路25を通っ 廃ガス量調節弁26を経て反応系外へ抜き出 。

 廃ガス量調節弁26から抜き出す廃ガス量 、循環水素ガス中に水素以外の不純物ガス 蓄積しないように適宜に調節される。前記 環水素ガスの水素純度は、特に制限はない 90モル%以上が好ましい。また、この水素純 を保つためには、水素28として供給される原 料水素ガスの水素純度は99.5モル%以上が好ま い。原料水素ガスの水素純度が余りに低い 、循環水素ガスの水素純度を90モル%以上に つために、廃ガス量調節弁26から抜き出す ガス量が多くなり、経済的に好ましくない らである。

 また、27は、循環水素ガスの一部を抜き出 圧力を調節するための圧力調節弁である。
反応器1の形式は、槽型、管型、塔型のいず でもよく、特に制限されない。
気液分離器5は、この種の装置に通常、用い れるものでよく、特に制限されない。
供給ポンプ4、送液ポンプ6、熱交換器15、17お よび21、並びに脱気槽18についても特に制限 れない。

 本発明の装置は、図1に示す装置に限定さ れず、種々の変形が可能である。例えば、図 1に示す装置においては、アセトンを含む原 混合物と、気液分離器から抜き出されて反 器に循環される液状の反応混合物の一部と 、合流して反応器の入口11から反応器内へ供 給されるが、原料混合物と、循環される液状 の反応混合物とが別個に反応器内へ供給され るようにしてもよい。

 また、反応器に循環される液状の反応混 物と水素ガスを混合し、これを反応器に供 するようにしてもよいし、反応器から排出 れる気液混合物の一部を除熱後、そのまま 応器へ循環させるようにしてもよい。

 本発明では、反応終了後、前記液状の反 混合物や反応生成物を通常知られている蒸 方法、および必要に応じて脱水操作を施す とによって高純度の2-プロパノールが得ら る。

 以下、実施例および比較例により本発明 具体的に説明する。

 〔実施例1〕
 <水素化触媒の調整>
 内径50mm、長さ100mmのステンレス製反応器の 程に、塊状のニッケルアルミニウム合金(日 興リカ製、R-20L、粒径;4~5mm、Ni/Alの重量比:50/5 0)200g(100ml)を充填して固定触媒層を形成し、 応器内に水を満たした。

 次に、容量3000mlの水槽と反応器下部とを 液ポンプを介して接続した。反応器内を通 した液が反応器上部から水槽へ戻る経路を けた。次に、送液ポンプを駆動させて、反 器内に、0.25L/分の流速で水を循環させなが 、別に調製しておいた40%水酸化ナトリウム 溶液を水槽へ滴下し、アルカリ性水溶液が 応系内を循環するようにした。アルカリ性 溶液の循環によって、前記ニッケルアルミ ウム合金がラネーニッケル触媒へ展開され 。

 このとき、水素化触媒の展開に伴い、反 熱が発生し、反応器内温が上昇するため、 温が50℃を超えないように、水酸化ナトリ ム水溶液の滴下流速を調節した。

 水酸化ナトリウム水溶液は、全量で水酸 ナトリウム270gに相当する量を滴下した。滴 下終了後もアルカリ性水溶液の循環を継続し 、全体で20時間展開処理を行った。

 展開処理の終了後、反応器内に洗浄液と て純水を流し、固定触媒層の洗浄を行った 洗浄は排出される洗浄液のpHが11以下となる まで続けた。

 その後、アルカリ性水溶液および洗浄液 全て集め、この中に溶出しているアルミニ ム量をキレート滴定法で測定し、下記式に って、得られたラネーニッケル触媒の展開 を求めた。

 その結果、展開率58%のラネーニッケル触 からなる固定触媒層が調製されたことがわ った。

 <反応器の組み替え>
 反応器下部に、1つのガス排出口および2つ 液抜出し口を有する気液分離器を接続し、 方の液抜出し口を耐圧性の反応混合物循環 ンプの吸入側と連結した。このポンプの吐 側を反応器上部の原料混合物供給口に接続 て、気液分離器から抜き出した液状の反応 合物が反応器上部へ循環する経路を設けた この循環経路の途中に、原料混合物供給ラ ンを接続し、循環される液状の反応混合物 原料混合物とが混合されるようにした。気 分離器の他の液抜出し口には、得られる液 の反応混合物の一部を反応生成物として系 へ取り出すため、調圧弁を介してガラス製 器を連結させた。また、気液分離器のガス 出口は、調圧弁に接続し、余剰の水素を排 スとして系外へ抜き出せるようにした。

 <アセトンの水添>
 原料混合物供給ラインから、2-プロパノー を反応器に供給し、反応器内の水を2-プロパ ノールに置換した。次に、反応混合物循環ポ ンプを作動させて循環量1600ml/hrで2-プロパノ ルを循環させた。

 ジャケットにより、反応器の加熱を開始 、反応器内温が100℃になったところで、反 器上部から、アセトン(アセトン中の水含量 0.3重量%)98重量%に水を2重量%添加したものを 料混合物として、79g/hr(100ml/hr)の流量で、同 に原料混合物供給ラインから水素を66.6NL/hr 流量で、それぞれ供給を開始した。

 なお、アセトンおよび水からなる原料混 物の水分含有率は2.3重量%(アセトン使用量× アセトン中の水含量+水の添加量=(98×0.003+2)重 量%=2.29重量%)であった。なお、水分含有率は 小数点第2位を四捨五入し、小数点第1位ま 求めた。

 反応器内圧力2.0MPaG、反応器内温度100℃で 反応を連続的に行った。得られた液状の反応 混合物をガスクロマトグラフィーで分析した 。

 このときの液状の反応混合物の組成は、 セトン0.2重量%、2-プロパノール97.5重量%で った。

 〔実施例2~4〕
 原料混合物の水分含有率を表1に示す量に変 更した以外は実施例1と同様にしてアセトン 水添反応を行った。

 〔比較例1〕
 原料混合物の水分含有率を1.1重量%に変更し た以外は実施例1と同様にしてアセトンの水 反応を行った。

 〔比較例2〕
 原料混合物の水分含有率を0.3重量%に変更し た以外は実施例1と同様にしてアセトンの水 反応を行った。

 実施例1~4の結果を表1に、比較例1、2の結 を表2に示す。

 〔実施例5〕
 <水素化触媒の還元処理>
 内径38.4mm、長さ4800mmのステンレス製反応器 中程に、円柱状のCuO-ZnO触媒(ズードケミー 媒製、粒径;3.2mm、高さ;3.2mm)3765g(2895ml)を充填 して固定触媒層を形成し、反応器内を窒素に より置換した。

 次に、中間ドラムに2-プロパノール(水分含 2.0重量%)を仕込み、中間ドラムからポンプ 介し2-プロパノール10l/hrを反応器上部から流 通させた。2-プロパノールの流通開始2時間後 から2-プロパノールの流通を維持しつつ水素2 Nm 3 /hrを流通させ、反応器の圧力を3.0MPaGに調整 た。

 反応器圧力が3.0MPaGに到達した後、2-プロ ノール流と水素流を維持しつつ反応器入口 設置した2重管熱交換器により反応器上部の 温度を100℃に調整した。反応器の温度が100℃ に到達してから3時間、反応器内圧力、反応 温度、2-プロパノール流、水素流を維持し、 触媒の還元処理を行った。

 <アセトンの水添>
 還元処理の終了後、2-プロパノールの流量 25.6l/hr、水素の流量を0.51Nm 3 /hr、反応器内圧力を2.0MPaGに調整した。2重管 交換器により反応器上部の温度を140℃に調 した。

 反応器上部の温度が140℃になったところ 、アセトンと水とからなる原料混合物(水分 含有率2.0重量%)を1.64l/hrの流量で供給を開始 た。反応器下部の温度は反応熱により160℃ で上昇した。

 反応器内圧力2.0MPaG、反応器上部温度140℃ で反応を連続的に行った。得られた液状の反 応混合物をガスクロマトグラフィーで分析し た。

 このときの液状のアセトン転化率は98.5% 2-プロパノールの選択率(重量%)は98.6%であっ 。

 〔比較例3〕
 アセトンと水とからなる原料混合物の水分 有率を0.3重量%、2-プロパノールの水分含有 を0.3重量%に変更した以外は実施例5と同様 してアセトンの水添反応を行った。

 実施例5の結果を表3に、比較例3の結果を 4に示す。




 
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