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Patent Searching and Data


Title:
PROCESS FOR PRODUCTION OF CRYSTALLINE KLN FILM, PROCESS FOR PRODUCTION OF SEMICONDUCTOR DEVICE, AND SEMICONDUCTOR DEVICE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/072585
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed are: a novel production process for producing a crystalline KLN film; a novel film structure for process stabilization; and a process for producing a semiconductor device using the crystalline KLN film as a piezoelectric thin film. The process for producing a crystalline KLN film comprises the steps of: forming an amorphous potassium lithium niobate (KLN) film; forming a barrier layer comprising aluminum nitride (AIN) or silicon oxide (SiO2) on the KLN film; and annealing the KLN film having the barrier layer formed thereon.

Inventors:
ODAKA HIDEFUMI (JP)
KIHARA NAOTO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/072099
Publication Date:
June 11, 2009
Filing Date:
December 04, 2008
Export Citation:
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Assignee:
ASAHI GLASS CO LTD (JP)
ODAKA HIDEFUMI (JP)
KIHARA NAOTO (JP)
International Classes:
C23C14/08; C23C14/34; C23C14/58; H01L41/18; H01L41/22; H01L41/316; H01L41/332; H01L41/39; H01L41/43; H03H3/02; H03H9/17
Foreign References:
JP2002244168A2002-08-28
JP2002151658A2002-05-24
Attorney, Agent or Firm:
OGURI, Shohei et al. (7-13 Nishi-Shimbashi 1-chome,Minato-k, Tokyo 03, JP)
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Claims:
 アモルファスのPotassium Litium Niobate(KLN)膜を成膜する工程と、
 前記成膜されたKLN膜上に、バリア層を成膜する工程と、
 前記バリア層が成膜された前記KLN膜をアニールする工程とを含むことを特徴とする結晶質KLN膜の製造方法。
 前記バリア層は、窒化アルミニウム(AlN)若しくは酸化珪素(SiO 2 )を含むことを特徴とする請求項1に記載の結晶質KLN膜の製造方法。
 前記結晶質のKLN膜の膜厚は10~10000nmであることを特徴とする請求項1若しくは2に記載の結晶質KLN膜の製造方法。
 前記バリア層の厚さは0.1~100nmであることを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の結晶質KLN膜の製造方法。
 主表面を有するベース基板を準備する工程と、
 前記ベース基板の前記主表面上に、第1の導電膜を形成する工程と、
 前記第1の導電膜上に、アモルファスのPotassium Litium Niobate(KLN)膜を成膜する工程と、
 前記成膜されたKLN膜上に、バリア層を成膜する工程と、
 前記バリア層が形成された前記KLN膜をパターニングする工程と、
 前記パターニングされた前記KLN膜をアニールする工程と、
 前記アニールされた前記KLN膜上に、第2の導電膜を形成する工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
 前記バリア層は、窒化アルミニウム(AlN)若しくは酸化珪素(SiO 2 )を含むことを特徴とする請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
 前記バリア層の厚さは0.1~100nmであることを特徴とする請求項5若しくは6に記載の半導体装置の製造方法。
 ベース基板と、前記ベース基板上に形成される音響共振子とを備えた半導体装置であって、
 前記音響共振子は、
  下部電極と、
  前記下部電極上に形成される結晶質のPotassium Litium Niobate(KLN)膜と、
  前記結晶質のKLN膜上に形成され、窒化アルミニウム(AlN)若しくは酸化珪素(SiO 2 )を含むバリア層と、
  前記バリア層上に形成される上部電極とを備えたことを特徴とする半導体装置。
Description:
結晶質KLN膜の製造方法、半導体 置の製造方法、半導体装置

 本発明は、結晶質のPotassium Litium Niobate(K LN)膜の製造方法に関する。また、本発明は、 圧電体薄膜として該結晶質KLN膜を有する半導 体装置及び半導体装置の製造方法に関する。

 携帯電話に代表される無線通信機器の急 な普及により、小型で軽量な共振機器およ これを組み合わせたフィルタの需要が増大 ている。これまで、主に表面弾性波(Surface  Acoustic Wave:SAW)を用いたフィルタが使用され きたが、高周波数化や素子の薄膜化に有利 FBAR(Film Bulk Acoustic Resonator)が注目されつつ る。

 FBARの基本構成は、圧電体薄膜の上下を電 極で挟んだものである。上下の電極に電圧を 印加したときに圧電体薄膜内には共振により 弾性波が生じ、この弾性波が圧電体薄膜によ り電気信号に変換される。圧電体薄膜内に生 じた弾性波を損なわないために、下部電極の 下方には弾性波を反射する構造が設けられて いる。

 弾性波を反射する構造としては、具体的に 、例えば、第1の導電膜の下方となる位置に キャビティを設けた構造(Air-Gap型FBAR)、第1の 電膜の下方となる位置に音響インピーダン が異なる膜を交互に積層させることで弾性 を反射するミラーとして機能する構造(SMR型 FBAR:Solidly Mounted Resonator FBAR)、具体的には、 高インピーダンス膜(例えば、W膜)と、低イン ピーダンス膜(例えば、SiO 2 膜)と、を交互に積層させることで弾性波を 射するミラーとして機能する構造が挙げら る。

 FBARにおいて、圧電体薄膜の厚みをH t 、圧電体薄膜中のバルク波の音速をV b とすると、共振周波数F r はF t =V b /H t となる。このようにFBARの共振周波数、つま フィルタ周波数は圧電体薄膜の厚みによっ 制御することができる。
 一方、フィルタ帯域δはラダー型の場合、 電体薄膜の電気機械結合係数k 2 (%)の半分になると言われている。つまり、フ ィルタ周波数がF a のときδ=F a ×k 2 /100である。

 一般的に使用される圧電体薄膜としてはAlN ZnOがある。これらの電気機械結合係数k 2 は、それぞれ約6.5%、8.5%と小さいため、電気 械結合係数k 2 が大きな材料が求められている。

 電気機械結合係数k 2 の大きな材料としてはPZT(Lead Zirconium Titanate) が知られているが、Pbを含んでいるためRoHs指 令(Restriction of Hazardous Substances)の規制物質 あり、今後の使用は減少していくと考えら 、無鉛系で大きな電気機械結合係数k 2 を持った圧電体薄膜が必要とされている。

 KLNは、電気機械結合係数k 2 が25%と非常に大きく、圧電体薄膜の材料とし て注目されている。
 KLNではないが、圧電薄膜共振子を含む圧電 膜デバイスを構成する圧電体薄膜として、 オブ酸リチウムまたはニオブ酸カリウムの 結晶膜を使用することが特許文献1に開示さ れている。

 非特許文献1には、酸化物焼結KLNターゲット を用いてスパッタリングを行うことにより、 結晶質のKLN薄膜をサファイア基板上に成膜す ることが開示されており、非特許文献2には 酸化物焼結KLNターゲットを用いてスパッタ ングを行うことにより、結晶質のKLN薄膜をPt /Ti/SiO 2 /Si基板上に成膜することが開示されている。

 特許文献1には、圧電体薄膜として、ニオ ブ酸リチウムまたはニオブ酸カリウムの単結 晶薄膜を成膜する方法は開示されていないが 、非特許文献1,2のように、酸化物焼結ターゲ ットを用いてスパッタリングを行うことによ り、ニオブ酸リチウムまたはニオブ酸カリウ ムの単結晶薄膜を成膜するものと考えられる 。

 一方、インジウムスズ酸化(ITO)膜ではあ が、パターニングの際のエッチング時間を 縮するため、常温かつ水添加雰囲気でITO膜 成膜することにより、アモルファスのITO膜 成膜し、該アモルファスのITO膜をパターニ グした後、180℃程度以上、1時間程度以上の アニール処理を施すことにより、パターニ グされた多結晶のITO膜を得る方法が特許文 2に開示されている。

特開2007-228356号公報

特開2003-16858号公報 安達正利、JJAP、Vol.30、No.9B、1991、PP.2208- 2211 Sung-Kun PARK、Jpn.J.Appl.Phys.Vol.38(1999)Pt1、No. 11、PP.6483-6486

 しかしながら、いずれの文献も成膜したK LN膜が大気中の水分を吸収することにより、K LN膜が潮解し、結晶質のKLN膜が得られないと う問題点がある。

 本発明の第1形態の結晶質KLN膜の製造方法 は、アモルファスのKLN膜を成膜する工程と、 成膜されたKLN膜上に、バリア層を成膜する工 程と、バリア層が成膜されたKLN膜をアニール する工程とを含むことを特徴とする。

 本発明の半導体装置の製造方法は、主表 を有するベース基板を準備する工程と、ベ ス基板の主表面上に、第1の導電膜を形成す る工程と、第1の導電膜上に、アモルファス KLN膜を成膜する工程と、成膜されたKLN膜上 、バリア層を成膜する工程と、バリア層が 成されたKLN膜をパターニングする工程と、 ターニングされたKLN膜をアニールする工程 、アニールされたKLN膜上に、第2の導電膜を 成する工程とを含むことを特徴とする。

 本発明の半導体装置は、ベース基板と、ベ ス基板上に形成される音響共振子とを備え 音響共振子は、下部電極と、下部電極上に 成される結晶質のKLN膜と、結晶質のKLN膜上 形成され、窒化アルミニウム(AlN)若しくは 化珪素(SiO 2 )を含むバリア層と、バリア層上に形成され 上部電極とを備えたことを特徴とする。

 本発明の結晶質KLN膜の製造方法によれば 成膜したKLN膜が大気中の水分を吸収するこ を防ぎ、結晶質のKLN膜を得ることができる

図1は、KLNの三元状態図である。 図2は、本発明の半導体装置の構造を示 す図((a)は断面図、(b)は上面図)である。 図3は、本発明の半導体装置の製造方法 の工程を示すフローチャートである。 図4は、実施例で成膜したアモルファス KLN膜のXRDの結果を示す図である。 図5は、実施例で成膜したアモルファス KLN膜のIPC分析の結果を示す図である。 図6は、実施例におけるアニール処理の 温度プロファイルを示す図である。 図7は、実施例における2段階アニール 理後の膜のXRDの結果を示す図であり、バリ 層としてAlN膜(膜厚20nm)を形成した場合と、 リア層を形成しなかった場合の結果を示し いる。 図8は、実施例における2段階アニール処理後 膜のXRDの結果を示す図であり、バリア層と てSiO 2 膜(膜厚5nm)を形成した場合と、バリア層を形 しなかった場合の結果を示している。 図9は、実施例における2段階アニール 理後の膜のXRDの結果を示す図であり、バリ 層としてITO膜(膜厚20nm)を形成した場合と、 リア層を形成しなかった場合の結果を示し いる。 図10は、実施例における2段階アニール処理後 の膜のXRDの結果を示す図であり、バリア層と してCeO 2 膜(膜厚20nm)を形成した場合と、バリア層を形 成しなかった場合の結果を示している。 図11は、アニール処理時の温度プロフ イルである。 図12は、上述したアニール処理を施したアモ ファスのKLN膜及びSiO 2 膜が形成された基板のXRDの結果を示している 。 図13は、アモルファスのKLN膜上にSiO 2 膜が形成された部分のXRDの結果を示している 。

 以下、本発明の結晶質KLN膜の製造方法、お び、半導体装置の製造方法について説明す 。
 本発明の結晶質KLN膜の製造方法は、アモル ァスのKLN膜を成膜する工程と、成膜されたK LN膜上にバリア層を成膜する工程と、バリア が成膜されたKLN膜をアニールする工程と、 含むことを特徴とする。

[アモルファスのKLN膜の成膜工程]
 成膜するアモルファスのKLN膜は、膜組成が 終生成物である結晶質KLN膜の膜組成と同一 あるか、それに近いことが好ましい。
 図1は、KLNの三元状態図である。結晶質のKLN (K 3 Li 2 Nb 5 O 15 )の化学量論比はK:Li:Nb=3:2:5であり、図1中、黒 く塗りつぶした領域がこれに相当する。
 KLNは、タングステンブロンズ構造の結晶構 をなし、図1中、斜線で示した領域の組成(0. 3K 2 O-(0.7・x)Li 2 O-xNb 2 O 5  [x=0.515~0.55])では、結晶構造が安定であると われている。よって、最終生成物である結 質KLM膜は、その組成が図1中、黒く塗りつぶ した領域、または、斜線で示した領域であれ ばよいと考えられる。以下、本明細書におい て、結晶質KLN膜とは、図1中、黒く塗りつぶ た領域、または、斜線で示した領域の組成 結晶質KLN膜を指すものとする。

 したがって、成膜するアモルファスのKLN膜 組成は、図1中、黒く塗りつぶした領域、若 しくは、斜線で示した領域となる組成、また はこれらの領域に近い組成であればよい。
 アモルファスのKLN膜は、最終生成物である 晶質KLN膜の組成となるようにK、LiおよびNi 酸化物を調合して作成した酸化物焼結ター ットを用いて、不活性ガス雰囲気中、例え 、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガス 囲気中、若しくは窒素雰囲気中、または不 性ガスおよび酸素の混合ガス雰囲気中、常 でスパッタリングを行うことで成膜できる

 スパッタリング法は、アモルファスのKLN を成膜できる限り特に限定されず、イオン パッタリング法、RFマグネトロンスパッタ ング法、DCスパッタリング法、パルスDCスパ タリング法、ACスパッタリング法等の各種 パッタリング法を用いることができる。但 、スパッタリングに用いる酸化物焼結体タ ゲットが絶縁性であることから、RFマグネト ロンスパッタリング法を用いることが好まし い。

 また、アモルファスのKLN膜は、スパッタ ング法以外の方法、具体的には、例えばゾ ゲル法などの湿式法やパルスレーザデポジ ョン(PLD)法、有機金属気相成長(MOCVD)法、コ タクトエピタキシー法によっても成膜する とができる。

 RFマグネトロンスパッタリング法を用いて モルファスのKLN膜を成膜する場合、例えば 下記条件で実施すればよい。
ターゲット:酸化物焼結ターゲット(K、Li、Ni 有)
到達真空度:5.0×10 -7 Torr未満
雰囲気中酸素割合(O 2 /(Ar+O 2 ):0~50%
成膜圧力:1~20mTorr
RF出力:200~1000W(1.09~5.48W/cm 2 )
基板温度:常温
 成膜するアモルファスのKLN膜の膜厚は、最 生成物である結晶質KLN膜の膜厚に応じて適 選択する。なお、結晶質KLN膜の膜厚は、該K LN膜を形成する目的によって異なるが、例え 、FBARのような薄膜圧電デバイスの圧電体薄 膜として結晶質KLN膜を形成する場合、結晶化 のためのアニールが効率よく実行されるため には、その膜厚は10~10000nmであることが好ま く、100~3000nmであることがより好ましく、300~ 2500nmであることがより好ましく、500~2000nmで ることがさらに好ましい。
 また、成膜時にアモルファスのKLN膜を得る めには基板温度を低くしておく必要がある 500℃を越えると結晶となってしまうため、3 00℃以下望ましくは常温であるのが望ましい

[アモルファスKLN膜のパターニング]
 FBARのような薄膜圧電デバイスの圧電体薄膜 として結晶質KLN膜を形成する場合、該結晶質 KLN膜にはパターニングが施されている必要が ある。本発明の方法により製造される結晶質 KLN膜が、パターニングが施されていることが 必要である場合、最終生成物である結晶質KLN 膜にパターニングするのではなく、上記手順 で成膜されたアモルファスKLN膜をパターニン グする。

 結晶質のKLN膜はエッチング耐性が高く、 ターニングを施すことが困難と考えられる 、アモルファスのKLN膜ではエッチングレー が高くなるため、パターニングを施すこと 困難性が改善されると考えられる。

 アモルファスKLN膜のパターニングには、 ォトリソグラフィ法を用いることができる エッチング法としては、ウェットエッチン 法、ドライエッチング法のいずれも用いる とができる。なお、ドライエッチング法と ては、イオンビームエッチング、ガスクラ ターイオンビームエッチング、プラズマエ チング等の各種ドライエッチング法を用い ことができる。

[バリア層の形成]
 アモルファスKLN膜は、アルカリ金属であるK およびLiを含有するため、大気中の水分と反 することによって、または、パターニング 際に使用するエッチング液、レジスト、有 溶剤等の薬液と反応することによって潮解 るおそれがある。アモルファスKLN膜が潮解 ると、後述するアニール処理を行った際に 結晶質KLN膜を形成することができなくなる それがある。

 このため、アモルファスKLN膜にパターニン を施す場合、該アモルファスKLN膜上に、AlN よびSiO 2 の少なくとも一方を含むバリア層を形成して から、パターニングを施すことが好ましい。 バリア層を形成することで、大気中の水分と 反応を抑制できたり、または、パターニング の際に使用するエッチング液、レジスト、有 機溶剤等の薬液と反応を抑制できたりして、 バリア層がない場合に比べて、アモルファス KLN膜の潮解を防止できる。

 後述する実施例から明らかなように、AlNお びSiO 2 の少なくとも一方を含むバリア層は、透明導 電膜として広く用いられるITO膜や、透明導電 膜の下地膜として用いられるCeO 2 膜をバリア層として形成した場合にくらべて バリア性に優れている。
 また、バリア層としては、AlNおよびSiO 2 の少なくとも一方を含む膜に限定されること なく、AlおよびAl系酸化物(例えば、Al 2 O 3 )、Al系窒化物(例えば、AlN)、SiおよびSi系酸化 物(例えば、SiO 2 )、Si系窒化物(例えば、SiN)、VおよびV系酸化 (例えば、V 2 O 5 )、V系窒化物(例えば、VN)、CrおよびCr系酸化 (例えば、CrO 2 )、Cr系窒化物(例えば、CrN)など、金属などの 体膜、絶縁膜、あるいは複数の膜の積層膜 どでもよく、水分子の浸透を阻止し得る緻 な膜であることが望ましい。望ましくは、 気中の水分、エッチング液、レジスト、有 溶剤等の薬液の浸透を防ぐことができるよ な緻密な膜であることが望ましい。また、 リア層は、KLN膜のアニール後除去してもよ 。

 ここで、AlNおよびSiO 2 の少なくとも一方を含むバリア層は、バリア 性、すなわち、大気中の水分や、エッチング 液、レジスト、有機溶剤等の薬液がアモルフ ァスのKLN膜に接触するのを防止する効果を有 する。又、このバリア効果をより発揮させる ため、アモルファスの膜として形成すること が好ましい。なお、バリア層をアモルファス の膜として形成することは、結晶質の膜に比 べて、低温下で形成することができることか ら、バリア層の形成時にKLN膜に熱が加わるの を防止するためにも好ましい。

 AlNまたはSiO 2 を含むバリア層は、スパッタリングにより形 成することができる。アモルファスの膜とし て、AlNを含むバリア層を形成する場合、Alタ ゲットを用いて、窒素ガス雰囲気中、若し は、不活性ガスと窒素の混合ガス雰囲気中 常温でスパッタリングを行えばよい。一方 アモルファスの膜として、SiO 2 を含むバリア層を形成する場合、Siターゲッ を用いて、不活性ガスおよび酸素の混合ガ 雰囲気中、常温でスパッタリングを行えば い。

 スパッタリング法としては、イオンスパ タリング法、RFマグネトロンスパッタリン 法、DCスパッタリング法、パルスDCスパッタ ング法、ACスパッタリング法等の各種スパ タリング法を用いることができる。但し、 ーキングの理由からRFマグネトロンスパッタ リング法、DCパルススパッタリング法およびA Cスパッタリング法を用いることが好ましい

 また、AlNまたはSiO 2 を含むバリア層は、スパッタリング法以外の 方法、具体的には、例えばゾルゲル法などの 湿式法、PLD法、MOCVD法等によっても成膜する とができる。

 RFマグネトロンスパッタリング法を用いて AlNを含むバリア層をアモルファスの膜とし 形成する場合、例えば、下記条件で実施す ばよい。
ターゲット:AlN化合物ターゲット
到達真空度:5×10 -7 Torr未満
成膜圧力:1~20mTorr
RF出力:200~1000W(1.09~5.48W/cm 2 )
基板温度:常温

 RFマグネトロンスパッタリング法を用いて SiO 2 を含むバリア層をアモルファスの膜として形 成する場合、例えば、下記条件で実施すれば よい。
ターゲット:Siターゲット
到達真空度:5×10 -7 Torr未満
成膜圧力:1~20mTorr
RF出力:200~1000W(1.09~5.48W/cm 2 )
基板温度:常温

 アモルファスKLN膜上にバリア層を形成す 場合、バリア層の厚さは0.1~100nmであること 好ましく、1~50nmであることがより好ましく 5~20nmであることがさらに好ましい。バリア の厚さが0.1nm未満だと、バリア層に孔が発 してバリア性が損なわれるおそれがある。 方、バリア層の厚さが100nm超だと、最終生成 物である結晶質KLN膜の機能、例えば、圧電体 薄膜としての結晶質のKLN膜の機能が損なわれ るおそれがあり、また、コスト増、歩留まり の低下にもつながる。

 なお、バリア層はKLN膜のアニール後、除 するようにしてもよい。そのまま残す場合 は、バリア層の存在に起因する電圧降下が きくなるため、バリア効果のある最小限の さとするのが望ましい。このような観点か みて5~20nmであることが望ましい。

[アニール工程]
 アニール工程では、アモルファスのKLN膜を ニール処理して結晶化させることにより結 質KLN膜とする。アニールの温度は、KLN膜を 晶化させることが必要であることから、結 質KLN膜の融点をT m としたとき、T m /2以上とする。但し、T m 以上の温度でアニール処理するとKLN膜が溶融 してしまうので、アニールの温度はT m 未満とする。具体的には、アニールの温度は 、500~800℃であることがより好ましく、550~700 であることがさらに好ましく、600~650℃であ ることが特に好ましい。

 アニール工程において、アニール処理を う条件は、上述した温度範囲でアニール処 を行う点を除いて特に限定されず、大気雰 気中、上述した温度で所望の時間保持すれ よい。なお、結晶質KLN膜を形成するために 、大気雰囲気中、上述した温度で10分以上 持することが好ましく、20分以上保持するこ とがより好ましく、30分以上保持することが らに好ましい。

 アニール工程により形成される結晶質KLN の膜厚は、10~10000nmであることが好ましく、 100~3000nmであることがより好ましく、300~2500nm あることがより好ましく、500~2000nmであるこ とがさらに好ましい。

[半導体装置]
 本発明の半導体装置は、ベース基板と、ベ ス基板上に形成される音響共振子とを備え 音響共振子は、下部電極と、下部電極上に 成される結晶質のKLN膜と、結晶質のKLN膜上 形成され、AlN若しくはSiO 2 を含むバリア層と、バリア層上に形成される 上部電極と、を含むことを特徴とする。

 半導体装置としては、圧電体薄膜として結 質KLN膜を用いた薄膜圧電デバイスが例示さ る。結晶質KLN膜は電気機械結合係数k 2 が25%と非常に大きいため、薄膜圧電デバイス の圧電体薄膜として好適である。本発明の方 法により好ましく製造される薄膜圧電デバイ スの具体例としては、FBAR、トランスデュー 、質量センサ、加速度センサ、赤外センサ エナジーハーベスタ等が挙げられる。

 以下、図面を用いて説明する。図2(a)および (b)は、本発明の半導体装置の構造を示す断面 図および上面図である。本発明の半導体装置 200は、ベース基板210と、音響共振子220とを備 える。
(ベース基板210)
 主表面を有するベース基板としては、半導 装置を製造する際に使用される各種基板を いることができ、具体的には、アルミナ、 リリア、ホルステライト、ステアライト、 ルコン、マグネシアおよびスピネルのよう セラミック材料製の基板、石英ガラス、ホ ケイ酸ガラス、無アルカリガラス、パイレ クス(登録商標)等のガラス材料製の基板、 縁性Si等の金属材料製の基板が例示される。

 ここで、ベース基板を構成する材料は、 晶質KLN膜と熱膨張率が近い材料であること 好ましく、好ましくは結晶質KLN膜と熱膨張 が同一の材料が好ましい。結晶質KLN膜と熱 張率が近い材料とすれば、半導体装置の製 時において、熱膨張率の差に起因する反り 破損を抑制することができる。また、半導 装置の製造後において、熱膨張率の差に起 する特性変動や破損を抑制することができ 。

 ベース基板は、上記で例示した材料の中で 、パイレックス(登録商標)等のガラス材料 の基板、および絶縁性Si製の基板が、デバイ ス応用で基板に用いられる等の理由から好ま しい。
 ベース基板の形状および寸法、具体的には ベース基板の主表面の形状および寸法、な びに、ベース基板の厚さは、製造する半導 装置に応じて適宜選択することができる。

 ベース基板は、半導体装置の下部電極と る第1の導電膜を形成する主表面以外に、半 導体装置に要求される各種構造を有する。例 えば、半導体装置として、結晶質KLN膜を圧電 体薄膜とするFBARを製造する場合、圧電体薄 内に生じた弾性波を損なわないために、下 電極の下方となる位置、すなわち、第1の導 膜の下方となる位置に、弾性波を反射する 造が設けられている。弾性波を反射する構 としては、下部電極に下方にキャビティを けた構造、下部電極の下方に音響インピー ンスが異なる膜を交互に積層、具体的には 高インピーダンス膜と、低インピーダンス と、を交互に積層させることによって、弾 波を反射するミラーとして機能する構造が げられる。

 また、ベース基板は、RFスイッチ、ロー イズアンプ、ICチップ等の半導体装置に要求 される各種構造を有していてもよい。

(音響共振子220)
 音響共振子220は、図2(a)および(b)に示すよう に、第1の導電膜(下部電極)221と、結晶質KLN膜 222と、バリア層223と、第2の導電膜(上部電極) 224とを、基板221上に順次積層して構成されて いる。
 結晶質KLN膜222及びバリア層223は、上述した 法により製造される。
 第1の導電膜221および第2の導電膜224として 、半導体装置の下部電極および上部電極と て用いられる導電性材料から広く選択する とができる。具体的には、例えば、Al、Cu、P t、Au、Cr、Ni、Mo、W等の金属材料、ITO、ZnO、AZ O等の酸化物材料が例示される。これらの材 は、耐熱性に優れるので好ましい。
 第1の導電膜221および第2の導電膜224は、所 のターゲットを用いてスパッタリングを行 ことで成膜できる。スパッタリング法とし は、イオンスパッタリング法、RFマグネトロ ンスパッタリング法、DCスパッタリング法、 ルスDCスパッタリング法、ACスパッタリング 法等の各種スパッタリング法を用いることが できる。但し、電導性と成膜レートの理由か らACスパッタリング法を用いることが好まし 。また、第1および第2の導電膜は、スパッ リング法以外の方法、具体的には、例えば ルゲル法などの湿式法、PLD法、またはMOCVD法 によっても成膜することができる。

 第1の導電膜221および第2の導電膜224の膜厚 特に限定されないが、10~500nmであることが好 ましく、10~400nmであることがより好ましく、1 00~300nmであることがさらに好ましい。
 なお、本発明の半導体装置において、結晶 のKLN膜およびバリア層は、通常エッチング よりパターニングが施されており、該結晶 のKLN膜およびバリア層には、エッチングに り形成された同一平面である断面が形成さ ている。

[半導体装置の製造方法]
 以下、図面を用いて説明する。図3は、本発 明の半導体装置の製造方法の工程を示すフロ ーチャートである。本発明の半導体装置の製 造方法は、主表面を有するベース基板を準備 する工程310と、ベース基板の主表面上に、第 1の導電膜を形成する工程320と、第1の導電膜 に、アモルファスのKLN膜を成膜する工程330 、成膜されたKLN膜上に、バリア層を成膜す 工程340と、バリア層が形成されたKLN膜をパ ーニングする工程350と、パターニングされ KLN膜をアニールする工程360と、アニールさ たKLN膜上に、第2の導電膜を形成する工程370 と、を含むことを特徴とする。

 ここでKLN膜のパターニングに際しては、ア ルファスのKLN膜を形成しバリア層223として SiO 2 膜で被覆した後、パターニングし、パターニ ング後にアニールを行うことでKLN膜を結晶化 する。
 このように、パターニングにおいてエッチ グ液あるいはエッチング雰囲気にさらされ も、バリア層で被覆されているため、潮解 おそれもなく、高精度のパターンを維持す ことができる。
 このバリア層として用いたSiO 2 膜はこのまま残して、上部電極224を形成して もよいが、必要に応じて一部あるいは全部を 除去するようにしてもよい。
 このバリア層の膜厚については、電圧降下 無視しうる程度の膜厚とするのが望ましい
 さらには、バリア層としては、SiO 2 やALNに限定されることなく、前述したように 、金属などの導体あるいは積層膜など、大気 中の水分、エッチング液、レジスト、有機溶 剤等の薬液の浸透を防ぐことができるような 緻密な膜であればよい。また、バリア層は、 KLN膜のアニール後除去してもよい。

 以下、実施例により本発明をさらに詳細に 明する。
(実施例1)
(1)アモルファスのKLN膜の成膜
 RFマグネトロンスパッタリング装置を用い 、石英基板(50mm×50mm×1mm、AGCC社製)上にアモ ファスのKLN膜を成膜した。
 スパッタリングターゲットとしては、KLNの 学量論比(K:Li:Ni=3:2:5)となるようにK、Li、Ni 酸化物を調合した酸化物焼結ターゲットを い、成膜条件は下記条件で実施した。
到達真空度:5×10 -7 Torr未満
雰囲気:Ar、O 2 混合ガス
雰囲気中酸素割合(O 2 /(Ar+O 2 ):0%、10%、90%
基板温度:常温
成膜圧力:5mTorr
RF出力:600W(3.29W/cm 2 )
膜厚:300nm

 成膜されたKLN膜の結晶構造をX線回折(XRD) より評価し、KLN膜の組成をICP(誘導結合プラ ズマ原子分光)分析により評価した。XRDの結 を図4に示した。ICP分析の結果を表1および図 5に示した。

 図4から明らかなように、常温で成膜するこ とにより、雰囲気中の酸素割合にかかわらず 、アモルファスのKLN膜を成膜することができ た。図5から明らかなように、雰囲気中酸素 合0%、10%で成膜した場合、KLNの化学量論比(K: Li:Ni=3:2:5)に近い膜が得られたが、雰囲気中酸 素割合90%で成膜した場合、KLNの化学量論比に 比べてKの割合が低く、2段階アニール処理に り結晶質KLN膜を得るには不適な組成であっ 。KLN膜中のKの割合は雰囲気中酸素割合が低 いほど高くなっていた。
 KLN膜中のLiの割合は雰囲気中酸素割合にか わらずほぼ一定であった。

(2)アニール処理
 (1)の手順で得られたアモルファスKLN膜をデ ケン社製電気炉(KDF700GL)を用いて大気雰囲気 下でアニール処理した。図6はアニール処理 の温度プロファイルである。この温度プロ ァイルでは、室温から60分かけてY℃まで昇 し、Y℃で30分保持した後、Z℃まで30分かけ 昇温し、Z℃で30分保持した後、150分かけて 温まで炉冷する。

(3)バリア層の形成
 雰囲気中酸素割合10%で成膜したアモルファ のKLN膜上に、バリア層としてAlN、SiO 2 、ITOまたはCeO 2 のいずれかの膜を、RFマグネトロンスパッタ ング装置を用いて成膜した後、数日間(1~16 )空気中に放置し、その後図6に示す温度プロ ファイル(Y=400℃、Z=600℃)にしたがって2段階 ニール処理を行い、アニール処理後のKLN膜 結晶構造をXRDにより評価した。バリア層に る効果を確認するため、アモルファスのKLN 上にバリア層を形成せずに、2段階アニール 理を行ったものについても、アニール処理 のKLN膜の結晶構造をXRDにより評価した。
 なお、バリア層として成膜したAlN膜、SiO 2 膜、ITO膜およびCeO 2 膜の結晶状態がアモルファスであることをXRD により確認した。

 バリア層の成膜条件は以下の通り。
(AlN膜)
ターゲット:Alターゲット
到達真空度:5×10 -7 Torr未満
雰囲気:Ar、N 2 混合ガス
基板温度:常温
成膜圧力:3mTorr
RF出力:600W(3.29W/cm 2 )
膜厚:5、10、20nm

(SiO 2 膜)
ターゲット:Siターゲット
到達真空度:5×10 -7 Torr未満
雰囲気:Ar、O 2 混合ガス
雰囲気中酸素割合(O 2 /(Ar+O 2 ):50%
基板温度:常温
成膜圧力:3mTorr
RF出力:600W(3.29W/cm 2 )
膜厚:5、10、20nm

(ITO膜)
ターゲット:インジウムスズ合金ターゲット
到達真空度:5×10 -7 Torr未満
雰囲気:Ar、O 2 混合ガス
雰囲気中酸素割合(O 2 /(Ar+O 2 ):90%
基板温度:常温
成膜圧力:3mTorr
RF出力:600W(3.29W/cm 2 )
膜厚:5、10、20nm

(CeO 2 膜)
ターゲット:CeOターゲット
到達真空度:5×10 -7 Torr未満
雰囲気:O 2 ガス
雰囲気中酸素割合(O 2 ):100%
基板温度:常温
成膜圧力:3mTorr
RF出力:600W(3.29W/cm 2 )
膜厚:5、10、20nm

 図7は、バリア層としてAlN膜(膜厚20nm)を形 成した場合、およびバリア層を形成しなかっ た場合について、1日大気中に放置した後、2 階アニール処理後のXRDの結果を示している 図7に示すように、バリア層無しの場合、KLN の結晶ピーク以外のピークが存在しており、 KLN結晶相以外の結晶相が生じていることが確 認された。これは、アモルファスKLN膜中のア ルカリ(K、Li)が大気中の水分と反応して潮解 た結果、2段階アニール処理の際にKLN結晶相 以外の結晶相が生じたことによる。

 一方、バリア層としてAlN膜(膜厚20nm)を形 した場合、KLNの結晶ピーク以外のピークは 在せず、バリア層によりアモルファスのKLN の潮解が防止され、2段階のアニール処理に よって結晶質KLN膜のみが形成されていること が確認された。

 なお、バリア層として膜厚5nm、10nmのAlN膜 を形成した場合においても、バリア層により アモルファスKLN膜の潮解が防止され、2段階 アニール処理によって結晶質KLN膜のみが形 されていることが確認された。

 図8は、バリア層としてSiO 2 膜(膜厚5nm)を形成した場合、およびバリア層 形成しなかった場合について、16日間大気 に放置した後、2段階アニール処理後のXRDの 果を示している。図8に示すように、バリア 層無しの場合、KLNの結晶ピーク以外のピーク が存在しており、KLN結晶相以外の結晶相が生 じていることが確認された。
 一方、バリア層としてSiO 2 膜(膜厚5nm)を形成した場合、16日間大気中に 置したにもかかわらず、KLNの結晶ピーク以 のピークは存在せず、バリア層によりアモ ファスKLN膜の潮解が防止され、2段階のアニ ル処理によって結晶質KLN膜のみが形成され いることが確認された。

 なお、バリア層として膜厚10nm、20nmのAlN を形成した場合においても、バリア層によ アモルファスKLN膜の潮解が防止され、2段階 アニール処理によって結晶質KLN膜のみが形 されていることが確認された。

 図9は、バリア層としてITO膜(膜厚20nm)を形成 した場合、およびバリア層を形成しなかった 場合について、1日大気中に放置した後、2段 アニール処理後のXRDの結果を示している。 9に示すように、バリア層無しの場合、KLNの 結晶ピーク以外のピークが存在しており、KLN 結晶相以外の結晶相が生じていることが確認 された。
 バリア層としてITO膜(膜厚20nm)を形成した場 も、KLNの結晶ピーク以外のピークが存在し おり、KLN結晶相以外の結晶相が生じている とが確認された。これは、ITO膜にはバリア としての効果が十分ではなかったことを示 ている。

 図10は、バリア層としてCeO 2 膜(膜厚20nm)を形成した場合、およびバリア層 を形成しなかった場合について、1日大気中 放置した後、2段階アニール処理後のXRDの結 を示している。図10に示すように、バリア 無しの場合、KLNの結晶ピーク以外のピーク 存在しており、KLN結晶相以外の結晶相が生 ていることが確認された。

 バリア層としてCeO 2 膜(膜厚20nm)を形成した場合も、KLNの結晶ピー ク以外のピークが存在しており、KLN結晶相以 外の結晶相が生じていることが確認された。
これは、CeO 2 膜にはバリア層としての効果が十分ではなか ったことを示している。

 これらの結果から、アモルファスKLN膜上にA lNまたはSiO 2 を含むバリア層を形成することにより、該ア モルファスKLN膜を大気中に放置した際に、膜 中のアルカリ(K、Li)が大気中の水分と反応し アモルファスKLN膜が潮解することを防止で ることが確認された。成膜後のアモルファ KLN膜をチャンバーから取り出し、電気炉に し変える過程において、アモルファスKLN膜 、大気に曝される。この場合においても、 発明のバリア層を形成しておくことで、ア ルファスKLN膜は、潮解される可能性を低く ることができる。また、成膜後のアモルフ スKLN膜にパターニングする際には、該アモ ファスKLN膜がエッチング液等の薬液に曝さ るため、膜中のアルカリ(K、Li)が薬液と反 してアモルファスKLN膜が潮解するおそれが る。アモルファスKLN膜上にAlNまたはSiO 2 を含むバリア層を形成してから、該KLN膜をパ ターニングすることで、該KLN膜がエッチング 液と反応して潮解することを防止することが できる。

(実施例2)
 一つの基板を2つの領域に分け、2つの領域 アモルファスのKLN膜を成膜し、一方の領域 アモルファスのKLN膜上にSiO 2 膜を成膜した。アモルファスのKLN膜の成膜は 、上述した(1)と同じ方法で行った。バリア層 の形成は、上述した(2)と同じ方法で行った。

 この例では、アモルファスのKLN膜及びSiO 2 膜が形成された基板を1日~数日放置するので なく、成膜後、RFマグネトロンスパッタリ グ装置(チャンバー)から取り出し、そのまま 電気炉に入れた。基板は、チャンバーから電 気炉へ移し変える間に、大気に曝された。

 アモルファスのKLN膜及びSiO 2 膜が形成された基板をモトヤマ社製電気炉(SK M-3035F-SP、MS-1803)を用いて大気雰囲気下でアニ ール処理した。図11は、アニール処理時の温 プロファイルである。このアニール処理で 、常温から240分(T1:240分)かけて600℃(Z:600℃) で昇温し、600℃で60分(T2-T1:60分)保持した後 120分(T3-T2:120分)かけて常温まで炉冷した。

 図12は、上述したアニール処理を施したア ルファスのKLN膜及びSiO 2 膜が形成された基板のXRDの結果を示している 。図12(A)は、アモルファスのKLN膜上にSiO 2 膜が形成された領域のXRDの結果を示している 。図12(B)は、アモルファスのKLN膜上にSiO 2 膜が形成されていない領域のXRDの結果を示し ている。図12(A)に示されるように、アモルフ スのKLN膜上にバリア層(SiO 2 膜)が形成された領域のKLN膜には、KLNの結晶 ークが見られ、結晶質KLN膜のみが形成され いることが確認された。一方、図12(B)に示さ れるように、アモルファスのKLN膜上にバリア 層(SiO 2 膜)が形成されていない領域のKLN膜には、KLN 結晶ピーク以外のピークが見られ、KLN結晶 以外の結晶相が生じていることが確認され 。これは、アモルファスKLN膜中のアルカリ(K 、Li)が大気中の水分と反応して潮解した結果 、アニール処理の際にKLN結晶相以外の結晶相 が生じたことによる。
 以上のことから、アモルファスのKLN膜は、 ャンバーから電気炉に移し変えるという僅 な間においても潮解をしてしまい、バリア はその潮解を防ぐことができることがわか た。

(実施例3)
 この例では、例2とは異なり、アモルファス のKLN膜上にバリア層(SiO 2 膜)を備えた領域のみを有する基板を準備し 。この例においても、成膜後、RFマグネトロ ンスパッタリング装置(チャンバー)から取り し、そのまま電気炉に入れた。基板は、チ ンバーから電気炉へ移し変える間に、大気 曝された。
 アモルファスのKLN膜上にバリア層(SiO 2 膜)が形成された基板をモトヤマ社製電気炉(S KM-3035F-SP、MS-1803)を用いて大気雰囲気下でア ール処理した。アニール処理時の温度プロ ァイルは、上述した例2と同様に、図11であ 。例2と異なるのは、昇温時間及び保持時間 ある。このアニール処理では、常温から60 (T1:60分)かけて600℃(Z:240℃)まで昇温し、600℃ で30分(T2-T1:30分)保持した後、120分(T3-T2:120分) けて25℃まで炉冷した。

 図13は、上述したアニール処理を施したア ルファスのKLN膜上にバリア層(SiO 2 膜)が形成された基板のXRDの結果を示してい 。図13は、アモルファスのKLN膜上にSiO 2 膜が形成された部分のXRDの結果を示している 。図13に示されるように、アモルファスのKLN 上にバリア層(SiO 2 膜)が形成された部分のKLN膜には、KLNの結晶 ークが見られ、結晶質KLN膜のみが形成され いることが確認された。

 以上のことから、例2よりも短い時間で急 速昇温及び保持した場合であっても、バリア 層はその潮解を防ぐことができることがわか った。