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Title:
PROCESS FOR PRODUCTION OF ETHYLENE-VINYL ALCOHOL COPOLYMER COMPOSITION, AND PROCESS FOR PRODUCTION OF ETHYLENE-VINYL ALCOHOL COPOLYMER PELLET
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/084509
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a process for producing an ethylene-vinyl alcohol copolymer (EVOH) composition containing less than 10 parts by weight of an alcohol and 20 to 100 parts by weight of water relative to 100 parts by weight of EVOH. The process comprises the steps of: supplying a solution of EVOH in an alcohol having 4 or less carbon atoms to a column-type apparatus, wherein the solution contains 300 parts by weight or more of the alcohol relative to 100 parts by weight of EVOH; contacting the solution with water; drawing a part of the alcohol out of the apparatus together with water, thereby producing a mixed solution of EVOH in water and the alcohol which contains 10 to 200 parts by weight of the alcohol and 50 to 200 parts by weight of water relative to 100 parts by weight of EVOH; contacting the solution with water while agitating the solution in an agitation vessel; and drawing a part or the whole of the alcohol out of the vessel together with water, thereby producing the EVOH composition. The process enables an alcohol contained in a solution of EVOH in the alcohol to be replaced by water efficiently to produce an EVOH composition having a low water content.

Inventors:
FUJIMURA KEISUKE (JP)
BENIYA YASUFUMI (JP)
HARAO AKIO (JP)
NAGAO YOSHIHARU (JP)
OKAMOTO SHINJI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/073330
Publication Date:
July 09, 2009
Filing Date:
December 22, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NIPPON SYNTHETIC CHEM IND (JP)
FUJIMURA KEISUKE (JP)
BENIYA YASUFUMI (JP)
HARAO AKIO (JP)
NAGAO YOSHIHARU (JP)
OKAMOTO SHINJI (JP)
International Classes:
C08L29/04; B29B9/12; C08J3/21; C08K3/32; C08K3/38; C08K5/09
Domestic Patent References:
WO2004009313A12004-01-29
WO2004009313A12004-01-29
Foreign References:
JPH1180253A1999-03-26
JPH11152307A1999-06-08
JP2001011191A2001-01-16
JP2001098080A2001-04-10
JP2002080606A2002-03-19
JP2002121290A2002-04-23
JP2002284811A2002-10-03
JP2005538243A2005-12-15
JP2007063428A2007-03-15
JP2002284811A2002-10-03
Other References:
See also references of EP 2228405A4
Attorney, Agent or Firm:
SAITOH, Yukihiko et al. (2-7 Minamimorimachi 2-chome,Kita-ku, Osaka-sh, Osaka 54, JP)
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Claims:
 エチレン-ビニルアルコール共重合体100重量部に対し、炭素数4以下のアルコールを300重量部以上含有するエチレン-ビニルアルコール共重合体のアルコール溶液を塔型装置に供給し、水と接触させて前記アルコールの一部を水とともに装置外に導出し、エチレン-ビニルアルコール共重合体100重量部に対し、アルコールを10~200重量部、水を50~200重量部含有するエチレンビニルアルコール共重合体の水/アルコール混合溶液を得、次いで、この溶液を攪拌容器内で攪拌しながら水と接触させてアルコールの一部または全部を水とともに容器外に導出し、エチレン-ビニルアルコール共重合体100重量部に対し、アルコールを10重量部未満、水を20~100重量部含有するエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物とすることを特徴とする、エチレン-ビニルアルコール共重合体組成物の製造方法。
 炭素数4以下のアルコールがメタノールであることを特徴とする請求項1記載のエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物の製造方法。
 塔型装置が棚段塔であることを特徴とする請求項1または2記載のエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物の製造方法。
 カルボン酸化合物、ホウ素化合物、リン酸化合物から選ばれる少なくとも一種の添加剤を攪拌容器内に存在させ、前記添加剤を含有するエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物を得ることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物の製造方法。
 請求項1~4のいずれか一項に記載の製造方法で得られたエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物を押出機内で溶融混練し、吐出後、切断することを特徴とするエチレン-ビニルアルコール共重合体ペレットの製造方法。
Description:
エチレン-ビニルアルコール共重 合体組成物の製造方法、およびエチレン-ビ ルアルコール共重合体ペレットの製造方法

 本発明は、エチレン-ビニルアルコール共重 合体(以下、EVOHと略記する。)組成物の製造方 法に関し、さらに詳しくは、EVOHの製造にお て、エチレンと脂肪酸ビニルエステルの共 合物をアルコール中でケン化して得られたEV OHアルコール溶液のアルコールの一部または 部を水に置換する工程に関するものである
 さらに、かくして得られたEVOH組成物を押出 機にて溶融混練し、吐出後、切断することに よるEVOHペレットの製造方法に関するもので る。

 EVOHは、透明性、酸素等のガスバリア性、保 香性、耐溶剤性、耐油性、機械強度などに優 れており、フィルム、シート、ボトルなどに 成形され、食品包装材料、医薬品包装材料、 工業薬品包装材料、農薬包装材料等の各種包 装材料として広く用いられている。
 EVOHは、通常、エチレンと酢酸ビニルなどの 脂肪酸ビニルエステルとの共重合によって得 られるエチレン-ビニルエステル共重合体を アルカリ触媒の存在下、メタノールなどの ルコールを溶媒として、高温高圧下でケン して製造される。

 従来、ケン化工程で得られた高温高圧下のE VOHアルコール溶液は、常圧で安定なEVOHの水/ ルコール混合溶液とされ、水を主体とする 温の凝固浴中に押出し、ストランド状に析 させてから切断、ペレット化後乾燥されて 品とされていた。
 しかしながら、かかるEVOHの製造法において は、EVOHの水/アルコール溶液を凝固浴中に押 出してストランド化する際に凝固浴にアル ールが流出し、さらにこれが空気中に揮散 、作業環境を悪化させる原因となるという 題点を有していた。

 そこで上記の問題を解決する方法として、E VOHアルコール溶液を装置に導入し、装置内で 水と接触させてアルコールと水を置換し、ア ルコール含有量が少ないEVOH組成物とする工 (工程1)、得られたEVOH組成物を押出機にて溶 混練してEVOH樹脂とする工程(工程2)、からな るEVOH樹脂の製造方法(例えば、特許文献1参照 。)や、EVOHのアルコール溶液を装置に導入し 装置内で水と接触させてアルコールと水を 換しEVOH組成物とする工程(工程1)、得られた EVOH組成物をペレット化する工程(工程2)、か るペレットを乾燥する工程(工程3)、含水率 低減されたペレットを押出機で溶融混練す 工程(工程4)、押出機から吐出されたEVOHを切 してペレットとする工程(工程5)、からなるE VOHペレットの製造方法(例えば、特許文献2参 。)が提案された。
 これらの製造方法によれば、EVOHのアルコー ル溶液から除去されたアルコールを開放状態 にさらすことなく回収することが可能である ため、作業環境を悪化させることがない。

特開2002-284811号公報

WO2004/009313号公報

 特許文献1に記載の製造方法の工程1で得 れるEVOH組成物の含水量は、EVOH100重量部に対 して10~1000重量部と規定されており、10重量部 未満では容器内での流動性が不足するとの記 載がある。さらに、工程1で用いられる装置 しては、アルコール-水の置換効率が良く、 続的に処理できて、生産性に優れる塔型装 が好ましいと記載されている。しかしなが 、かかる工程1において塔型装置を用いる場 合、充分な流動性がないと装置内の流動およ び装置からの導出が困難となるため、アルコ ールの含有量をEVOH100重量部に対して0~10重量 まで低減させた場合、その含水量を100重量 以下に低減させることは困難であった。例 ば、かかる特許文献1の実施例においても、 塔型装置を用いているため、得られたEVOH組 物の含水量は、EVOH100重量部に対して水が105 量部である。そのため、続く工程2の溶融混 練において、含水量が多いEVOH組成物を処理 なければならず、押出機への導入時に水分 分離して混練が不安定になったり、水分の 発量が多いため、押出機に複数のベントが 要となったり、L/Dを大きく、あるいは吐出 を小さくして押出機中の滞留時間を長くし 、充分に水分を除く必要があり、装置のコ ト高や生産量を上げることができないなど 問題があった。

 かかる問題点の改善が目的の一つである 許文献2に記載の発明は、特許文献1におけ 工程1と工程2との間に、工程1で得られた高 水率のEVOH組成物をペレット化して乾燥させ 工程を設け、含水率が低減されたEVOH組成物 を次工程で溶融混練するというものである。 しかしながら、特許文献2に記載の方法の場 、工程1で得られたEVOH組成物をペレット化す るための装置、およびかかるペレットを乾燥 するための装置が必要となるため、製造コス トの点で不利となる。

 また、乾燥工程において、EVOHに含まれる 多量の水分を除くために大きな熱量が必要と なるのみならず、乾燥機中に長期滞留したEVO Hペレットが熱劣化しやすく、これが製品中 混入することで異物の原因となる可能性が きいという問題点がある。

 すなわち本発明は、EVOHの製造におけるエ チレン-ビニルエステル共重合体をケン化し 得られるEVOHアルコール溶液中のアルコール 水に置換する工程において、かかるアルコ ルと水との置換および含水量の低減が効率 く行われ、加熱乾燥を行うことなく低含水 のEVOH組成物を得ることができる製造方法を 提供することを目的とする。

 本発明者らは、上記事情に鑑み、鋭意検 した結果、EVOH製造時のケン化工程で得られ たEVOH100重量部に対し、炭素数4以下のアルコ ルを300重量部以上含有するEVOH溶液を塔型装 置に供給し、水と接触させ、前記アルコール の一部を水とともに装置外に導出し、EVOH100 量部に対し、アルコールを10~200重量部、水 50~200重量部含有するEVOHの水/アルコール混合 溶液を得、次いで、この溶液を攪拌容器内で 攪拌しながら水と接触させ、残るアルコール の大半を容器外に導出して、EVOH100重量部に し、アルコールを10重量部未満、水を20~100重 量部含有するEVOH組成物とする製造方法によ て上述の目的が達成されることを見出し、 発明を完成した。

 すなわち本発明は、ケン化工程によって得 れるEVOHのアルコール溶液中のアルコールと 水との置換を、まず、塔型装置で行い、次い で攪拌しながら行うことで、効率的にアルコ ールが水と置換され、さらに効率的に含水量 が低減されることを特徴とするものである。
 特に、塔型装置においては、完全にアルコ ルを除かず、流動性を保った状態にとどめ ことによって、処理効率が低下することを 止し、次いで、攪拌容器において強制的に 拌しながら水と接触させることで、系が高 度、高粘度となっても効率よくアルコール- 水置換が進み、その結果、アルコールを含ん で膨潤状態であったEVOHが、アルコール含有 の低下とともに収縮し、樹脂中からアルコ ルとともに水が排出され、低含水量のEVOH組 物が得られたものである。

 なお、本発明で得られる低含水量かつ低 ルコール含有量のEVOH組成物を塔型装置のみ で得ることは、塔の後半でEVOH溶液の粘度が くなりすぎて流動性が低下し、置換効率が がるとともに装置から導出できなくなるた 、困難である。また、攪拌容器のみでEVOHの ルコール溶液中のアルコールの大半を水に 換しようとすると、当初の溶液粘度が低く 導入した水がEVOH溶液中に長く留まることが できないため置換効率が低く、工程に時間が かかり、多量の水が必要となるため、実用的 ではない。

 本発明の製造方法を用いれば、EVOHのアル コール溶液のアルコールを効率良く水に置換 でき、さらに効率よく低含水量のEVOH組成物 得ることができるため、かかるEVOH組成物を 出機にて溶融混練、ペレット化する場合に L/Dが大きいなどの特別な押出機を用いる必 がなく、事前に乾燥処理を行わなくても、 般的な押出機を使用することが可能である また、かかる低含水量のEVOH組成物を凝固浴 に押し出して凝固、ストランド化する場合に おいても、効率良く凝固が進むことから、処 理効率の向上が期待できる。

 以下に記載する構成要件の説明は、本発明 実施態様の一例(代表例)であり、これらの 容に特定されるものではない。
 以下、本発明について詳細に説明する。

 まず、本発明に用いられるEVOHについて説明 する。
 本発明に用いられるEVOHは、エチレン構造単 位とビニルアルコール構造単位を主成分とし 、ケン化度によって若干量のビニルエステル 構造単位を含むものであり、通常、酢酸ビニ ルなどの脂肪酸ビニルエステルとエチレンを 共重合して得られたエチレン-ビニルエステ 共重合体をケン化して得られるものである

 EVOH中のエチレン含有量としては、通常2~80 ル%のものが用いられる。
 特に、EVOHに溶融成形性を求める場合には、 通常10~60モル%のものが用いられ、さらには20~ 55モル%、特に25~50モル%のものが好ましく用い られる。かかるエチレン含有量が少なすぎる と熱分解温度と融点が近くなりすぎ、良好な 溶融成形が困難になる傾向にあり、逆に多す ぎるとガスバリヤー性が低下する傾向にある 。

 また、EVOHを水溶性樹脂として使用する場合 には、かかるエチレン含有量が通常2~20モル% ものが用いられ、さらには3~10モル%のもの 好ましく用いられる。かかるエチレン含有 が多すぎると水溶性が低下する傾向にある かかる低エチレン含有量のEVOHは、水溶液と 、ガスバリア性塗膜形成用のコート剤など して有用である。
 また、EVOH中の酢酸ビニル成分のケン化度は 通常80モル%以上であり、ガスバリア性が必要 とされる場合には高ケン化度のものが好まし く、通常は95モル%以上、好ましくは98モル%以 上である。かかるケン化度が小さすぎるとガ スバリア性や耐湿性が低下する傾向にある。

 また、EVOHの重合度は、その用途に応じて適 宜選択すればよいが、溶融成形して使用する 場合には、通常、そのメルトフローレート(MF R)(210℃、荷重2160g)値として0.5~100g/10分であり さらには1~50g/10分、特には3~35g/10分のものが 好ましく用いられる。かかるMFRが小さすぎる と、溶融成形時に押出機内が高トルク状態と なって押出加工が困難になることがあり、逆 に大きすぎると、溶融成形によってえられる シートやフィルムの厚み精度を上げることが 難しくなる。
 かかるEVOHは、通常、脂肪酸ビニルエステル 化合物とエチレンを共重合して得られたエチ レン-ビニルエステル共重合体をケン化して られ、かかるエチレン-ビニルエステル共重 体は、溶液重合、懸濁重合、乳化重合、バ ク重合などの公知の重合法によって得られ ものであり、中でも溶液重合が好ましく用 られる。

 かかる脂肪酸ビニルエステル系化合物とし はギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸 ニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イ 酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸 ニル、安息香酸ビニル、バーサチック酸ビ ル等が挙げられるが、中でも経済的にみて 酸ビニルが好ましく用いられる。
 また、共重合体中にエチレンを導入する方 としては通常のエチレン加圧重合を行えば く、その導入量はエチレンの圧力によって 御することが可能であり、所望するエチレ 含有量により一概にはいえないが、通常は2 5~80kg/cm 2 の範囲から選択される。

 また、エチレンと脂肪酸ビニルエステル 合物以外に、EVOHに要求される特性を阻害し ない範囲で共重合可能なエチレン性不飽和単 量体を共重合していてもよく、かかる単量体 としては、プロピレン、1-ブテン、イソブテ 等のオレフィン類、3-ブテン-1-オール、4-ペ ンテン-1-オール、5-ヘキセン-1-オール、3,4-ジ ヒドロキシ-1-ブテン、5-ヘキセン-1,2-ジオー 等のヒドロキシ基含有α-オレフィン類や、 のエステル化物などの誘導体、例えば、3,4- アセトキシ-1-ブテン、アクリル酸、メタク ル酸、クロトン酸、(無水)フタル酸、(無水) マレイン酸、(無水)イタコン酸等の不飽和酸 あるいはその塩あるいは炭素数1~18のモノま たはジアルキルエステル類、アクリルアミド 、炭素数1~18のN-アルキルアクリルアミド、N,N -ジメチルアクリルアミド、2-アクリルアミド プロパンスルホン酸あるいはその塩、アクリ ルアミドプロピルジメチルアミンあるいはそ の酸塩あるいはその4級塩等のアクリルアミ 類、メタクリルアミド、炭素数1~18のN-アル ルメタクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリ アミド、2-メタクリルアミドプロパンスル ン酸あるいはその塩、メタクリルアミドプ ピルジメチルアミンあるいはその酸塩ある はその4級塩等のメタクリルアミド類、N-ビ ルピロリドン、N-ビニルホルムアミド、N-ビ ルアセトアミド等のN-ビニルアミド類、ア リルニトリル、メタクリルニトリル等のシ ン化ビニル類、炭素数1~18のアルキルビニル ーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテ 、アルコキシアルキルビニルエーテル等の ニルエーテル類、塩化ビニル、塩化ビニリ ン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、臭 ビニル等のハロゲン化ビニル類、トリメト シビニルシラン等のビニルシラン類、酢酸 リル、塩化アリル、アリルアルコール、ジ チルアリルアルコール、トリメチル-(3-アク リルアミド-3-ジメチルプロピル)-アンモニウ クロリド、アクリルアミド-2-メチルプロパ スルホン酸、ビニルエチレンカーボネート グリセリンモノアリルエーテル等が挙げら る。

 溶液重合に使用される溶媒としては、エ レンと脂肪酸ビニルエステル化合物、およ その重合生成物であるエチレン-ビニルエス テル共重合体を溶解するものであることが必 要であり、通常は炭素数が4以下のアルコー が用いられ、具体的には、メタノール、エ ノール、n-プロピルアルコール、イソプロピ ルアルコール、t-ブチルアルコールなどが挙 られ、特にメタノールが好ましい。

 得られた共重合体は、次いでケン化される であるが、かかるケン化にあたっては、上 で得られた共重合体が炭素数4以下のアルコ ール又は含水アルコールに溶解された状態で 、アルカリ触媒又は酸触媒を用いて行われる 。炭素数4以下のアルコールとしては、メタ ール、エタノール、プロパノール、tert-ブタ ノール等が挙げられるが、重合時に用いた溶 媒と同じにすると、溶媒置換の必要がなくな り、回収再利用の処理も併せて行えることか ら効果的であり、重合溶媒と同様のメタノー ルが特に好ましく用いられる。
 ケン化に使用される触媒としては、水酸化 トリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメ ラート、ナトリウムエチラート、カリウム チラート、リチウムメチラート等のアルカ 金属の水酸化物やアルコラートの如きアル リ触媒、硫酸、塩酸、硝酸、メタスルフォ 酸、ゼオライト、カチオン交換樹脂等の酸 媒が挙げられるが、通常は水酸化ナトリウ を用いることが多い。

 かかるケン化反応は、公知の方法で行う とが可能であるが、ケン化時のアルカリ触 量が低減できることやケン化反応が高効率 進み易い等の理由より、塔型装置を用い加 加圧下で行わうことが好ましい。その結果 ケン化反応後のEVOHは高温高圧下のアルコー ル溶液として反応系から導出される。

 次に、本発明の製造方法である、EVOHのアル コール溶液中のアルコールを水に置換し、低 含水量のEVOH組成物を得る方法について詳細 説明する。
 かかる製造方法は、EVOHのアルコール溶液を 塔型装置に供給し、水と接触させ、前記アル コールの一部を水に置換し、EVOHの水/アルコ ル溶液とする工程と、これを攪拌容器内で と接触させ、残るアルコールの大半を水に 換する工程からなり、本発明においては、 かるアルコールの水への置換をこのように 段階に分けて行うことを最大の特徴とする のである。

 まず、前段階である塔型装置でのアルコー -水置換工程について述べる。
 本工程で用いられるEVOHのアルコール溶液は EVOH100重量部に対し、炭素数4以下のアルコー を通常300重量部以上含有するもので、特に4 00~900重量部含有するものを用いることが好ま しい。かかるアルコールの含有量が多すぎる と水との置換に長時間を要するため生産効率 が低下する傾向があり、逆に少なすぎると高 粘度となり、この場合も水との置換効率が低 下したり、塔内でゲル化しやすくなるため好 ましくない。かかるEVOHのアルコール溶液中 アルコール含有量は、ケン化工程で得られ EVOHのアルコール溶液をそのまま用いること 好ましいが、アルコールの含有量が上述の 囲から外れる場合には、アルコールの添加 あるいは加熱等によるアルコールの除去に って、適宜調製することが可能である。ま 、かかるEVOHのアルコール溶液には、この段 階で若干量の水が添加されていてもよく、水 を加える方法は公知の方法を用いることがで きる。

 本工程で用いられる塔型装置としては、 孔板塔、泡鐘塔などの棚段塔や充填塔を挙 ることができるが、高分子溶液のような粘 をもつ溶液の場合、処理効率の点で棚段塔 好ましく、中でも多孔板塔が好ましく用い れ、その段数は通常2~20段、特に5~15段のも が好ましく用いられる。また、棚段塔以外 場合もこれと等価あるいはこれ以上の効率 もつものが用いられる。

 かかる塔型装置にEVOHのアルコール溶液と 水とが導入され、両者が接触することによっ てアルコールの一部が水に置換され、EVOHの /アルコール溶液、および水とアルコールの 合物が塔型装置から導出される。かかるEVOH のアルコール溶液と水との接触は向流、並流 のいずれでも可能であるが、置換効率の点か ら向流で接触させることが好ましい。

 また、水としては熱水あるいは水蒸気で ることが好ましく、特に水蒸気として装置 に導入されることが好ましい。

 塔型装置へのEVOHのアルコール溶液、水の 導入位置、およびEVOHの水/アルコール混合溶 、水/アルコール混合物の導出位置は特に限 定されるものではないが、例えば、EVOHのア コール溶液を塔上部から導入し、水蒸気を 下部から導入して前記溶液と向流接触させ アルコール蒸気を水蒸気とともに塔上部か 導出し、EVOHの水/アルコール溶液を塔下部か ら導出する方法が好ましい。

 なお、棚段塔を用いる場合のEVOHアルコー ル溶液の供給位置は、通常塔頂部よりも2~4段 下であり、かかる供給位置よりも上の段には 水を供給したり、水蒸気の導出量を調整した りして棚上に水層を形成することが、塔上部 から導出される水とアルコールの混合蒸気中 へのEVOH等の飛沫の同伴を防ぎ、蒸気の移送 や凝縮器中の汚染を防止することができる め好ましい。また、水蒸気の供給位置は、 常、塔底部であるが、それよりも1~2段上で っても構わない。なお、かかる塔から導出 れたアルコールと水との混合蒸気は、凝縮 などを用いて液化し、分離精製して再使用 ることが可能である。

 本工程を経て、塔型装置から導出されるEVOH の水/アルコール溶液は、EVOH100重量部に対し アルコールを10~200重量部含有するものであ 、特に20~150重量部、さらには30~100重量部と ることが好ましい。また、水をEVOH100重量部 に対して50~200重量部含有するもので、特に50~ 150重量部、さらには60~100重量部とすることが 好ましい。
 かかるアルコールおよび水の含有量が多す ると、次いで行われる攪拌置換工程に負担 かかるため好ましくない。また、アルコー や水の含有量が少なすぎると粘度が高くな て、塔型装置後半の置換効率が低下したり 塔型装置からの導出が困難になる傾向があ 。

 かかる塔型装置から導出されるEVOHの水/ ルコール溶液中のアルコール、および水の 有量は、装置に導入されるEVOHのアルコール 液に対する水(水蒸気)の導入量、塔内の温 や圧力、などによって制御することが可能 あり、用いる塔型装置の仕様、例えば、棚 の数、断面積と塔長の比率、棚段の数、多 板の孔径や数、などによって一概に言えな が、例えば、以下に示す条件が好ましく用 られる。

 例えば、塔型装置に導入される水蒸気の 入量は、少なすぎるとアルコールとの置換 率が悪く、逆に多すぎるとコスト面で不利 なるので、EVOH溶液の導入量に対して通常0.0 1~30倍(重量比)であり、より好適には0.05~10倍 さらには0.07~5倍である。かかる水蒸気は前 の塔から導出されたアルコールと水の混合 気を精製したものを再使用したものであっ もよく、若干量のアルコールを含む混合蒸 であっても構わないが、その含有量は水蒸 100重量部に対して10重量部以下であり、水- ルコールの置換効率の観点からは、アルコ ルの含有量がより少なく、理想的には全く まないものが好ましい。

 塔型装置内の温度は、通常は40~160℃、よ 好適には60~150℃、さらには70~140℃である。 かる温度が低すぎると、装置内でのEVOH溶液 の粘度が高くなり、置換効率が低下する場合 があり、逆に温度が高すぎると、EVOHが劣化 る傾向がある。

 塔型装置内の圧力は、通常は0~1MPaGであり 、より好ましくは0~0.6MPaG、さらに好ましくは 0~0.3MPaGである。かかる圧力が低すぎると置換 効率が低下し、また、高すぎると装置内の温 度が上昇してEVOHが熱劣化しやすくなる。

 かくして得られたEVOHの水/アルコール溶 は、次の段階にて、攪拌容器中で攪拌しな ら水と接触させることにより、アルコール 水に置換され、アルコールの含有量が減少 るにしたがってEVOH中の水が排出され、低含 量のEVOH組成物が得られる。

 本工程にて用いられる容器としては、攪 装置を備えているものであれば、その形状 特に限定されないが、ジャケット等の温度 節手段を備えたものや、密閉して加圧状態 することが可能であるものが望ましい。

 攪拌装置における攪拌翼の形状としては 高粘度となるEVOH組成物を攪拌できるもので あれば、どのようなものであっても構わない が、例えば、パドル翼、ダブルヘリカルリボ ン翼、アンカー翼、プロペラ翼、マックスブ レンド翼などを挙げることができる。また、 攪拌は連続であっても、断続的におこなって も構わない。

 かかる容器への水の供給は、連続あるい 断続的に行われ、熱水であっても水蒸気で ってもよく、その導入量は、少なすぎると ルコールとの置換効率が悪く、逆に多すぎ と容器からの導出速度がおいつかず、非経 的なので、容器に供給されたEVOH100重量部に 対して通常20~300重量部/hr、特に40~200重量部/hr 、さらには50~100重量部/hrである。

 なお、かかる容器内に供給された水は、 脂中から排出されたアルコールとともに容 外に導出されるが、その機構としては、容 の上部からオーバーフローさせる方法、あ いは水とアルコールの混合蒸気として導出 る方法などが挙げられ、その両方を併せて うことが好ましい。

 容器内の温度は通常は40~140℃、より好適に 60~120℃、さらには80~100℃である。かかる温 が低すぎると、系の流動性が低下し、次工 への移送が困難になる場合があり、逆に高 ぎると、EVOHが劣化する場合があるので好ま しくない。
 容器内の圧力は通常は常圧で行われるが、 圧状態にしてもよく、通常は0~1MPaG、特に0~0 .6MPaG、さらには0~0.3MPaGの圧力が好ましく用い られる。かかる圧力が高すぎると容器内の温 度が上昇してEVOHが熱劣化しやすくなる傾向 ある。

 かかる工程から得られるEVOH組成物における 水の含有量は、EVOH100重量部に対して20~100重 部であり、好ましくは20~80重量部、さらには 30~50重量部である。また、除去しきれなかっ アルコールを含有していても構わないが、 の含有量は、EVOH100重量部に対して10重量部 満である。
 かかるEVOH組成物中の水、およびアルコール の含有量は、上述の攪拌容器でのアルコール -水置換の各種条件によって制御することが 能であるが、通常は、攪拌容器中のEVOH組成 中のアルコールの含有量をモニターし、こ がEVOH100重量部に対して10重量部未満となっ 時点を終点とすることが好ましい。

 なお、かかる容器内攪拌による置換は塔 装置から得られるEVOHの水/アルコール溶液 連続して供給する連続式であっても、一定 毎に供給するバッチ式であってもよく、バ チ式の場合には一段階でも充分可能である 、容器を直列に並べ、複数段で行うことに り、滞留時間の調整や、樹脂分の微調整が 能となり、さらには、後述の添加剤の配合 容器毎に行うことができる点などから有用 ある。

 本発明の製造方法においては、攪拌容器 で攪拌しながら水とアルコールを置換する 階において、一般的にEVOHに添加される添加 剤を添加し、これを含有させることが可能で ある。

 例えば、EVOHには、熱安定性などの品質を 向上させるために、カルボン酸化合物、ホウ 素化合物、リン酸化合物などの添加剤を添加 する場合がある。従来のEVOHペレットの製造 においては、EVOHをペレット化した後、これ 上記添加剤を含有する水溶液に浸漬し、そ 後、脱水乾燥することでEVOHペレット中に含 有させる方法が用いられることが多かった。 しかしながら、かかる方法の場合、別途、か かる添加剤の添加工程を設ける必要があると ともに、EVOH中の添加剤の含有量を制御する とが難しく、また、EVOH中に添加剤が偏在し すいという問題点があった。本発明の製造 においては、これら添加剤の添加を前述の 器内で行うことが可能であり、別途、添加 を添加する工程を設ける必要がなく、添加 を定量的にEVOH中に含有させることが可能で あるなど多くの利点がある。

 かかる添加剤を配合する方法としては、 工程で得られたEVOHの水/アルコール混合溶 に直接添加する方法や、これと接触する水 含有させ、水溶液の状態で系内に供給する 法が挙げられ、特に後者の方法が好ましく いられる。

 この場合の、水溶液中における各化合物 含有量は、後述する最終的なEVOH中の好まし い含有量となるように適宜調整すればよいが 、通常、カルボン酸化合物が10~500ppm、ホウ素 化合物が1~50ppm、リン酸化合物が10~50ppmの範囲 が好ましく用いられる。

 かかるカルボン酸化合物としては、通常は 素数が2~4のカルボン酸化合物が好ましく、 た、1価あるいは2価のものが好ましく用い れる。具体的には、シュウ酸、コハク酸、 息香酸、クエン酸、酢酸、プロピオン酸、 酸などが例示され、これらの中でも、コス 、入手の容易さなどの面から、酢酸および ロピオン酸が好ましく用いられる。
 本発明で得られるEVOHペレット中のカルボン 酸化合物の含有量は、少なすぎると溶融成形 時に着色が発生することがあり、また多すぎ ると溶融粘度が高くなることがあるので、通 常は10~5000ppmであり、特に30~1000ppm、さらに50~5 00ppmが好ましい範囲である。

 ホウ素化合物としては、ホウ酸、ホウ酸 ステル、ホウ酸塩などのホウ酸類、水素化 ウ素類などが挙げられ、これらに限定され ものではないが、特にホウ酸あるいはホウ 塩が好ましく用いられる。具体的には、ホ 酸類としては、オルトホウ酸、メタホウ酸 四ホウ酸などが挙げられ、ホウ酸エステル してはホウ酸トリエチル、ホウ酸トリメチ などが挙げられ、ホウ酸塩としては上記の 種ホウ酸類のアルカリ金属塩、アルカリ土 金属塩、ホウ砂などが挙げられる。これら 化合物の中でもオルトホウ酸(以下、単にホ ウ酸と記す。)が好ましい。本発明で得られ EVOHペレット中のホウ素化合物の含有量は、 常、ホウ素換算で10~2000ppmであり、特に50~100 0ppmが好ましい範囲として用いられる。かか ホウ素化合物の含有量が少なすぎると熱安 性の改善効果が少なく、また、多すぎると ル化の原因となったり、成形性不良となる 向がある。

 リン酸化合物としては、リン酸、亜リン などの各種の酸やその塩などが例示される リン酸塩としては第一リン酸塩、第二リン 塩、第三リン酸塩のいずれの形で含まれて てもよく、そのカチオン種も特に限定され ものではないが、アルカリ金属塩、アルカ 土類金属塩であることが好ましい。中でも ン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリ ム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素 カリウムの形でリン酸化合物を添加するこ が好ましい。本発明で得られるEVOHペレット 中のリン酸化合物の含有量は、通常、リン酸 根換算で1~1000ppmである。かかる範囲となるよ うに添加することで、成形物の着色およびゲ ルやフィッシュアイの発生を抑制することで き、かかる含有量が少なすぎると溶融成形時 が着色しやすくなる傾向が見られ、逆に多す ぎると成形物のゲルやフィッシュアイが発生 しやすくなる場合がある。

 かくして得られた、EVOH組成物は、従来法と 同様に凝固浴に押し出してストランド状に凝 固させ、これを切断してペレット化し、乾燥 後、製品とすることも可能であり、含水量が 少ないことから、効率的に処理できることが 期待される。
 しかしながら、本発明で得られたEVOH組成物 は、含水量が少ないという特徴を活かす方法 として、これを押出機に供給し、溶融混練し た後、該組成物を押出機から吐出し、切断し てペレット化することによって、容易にEVOH レットを得ることが好ましい実施態様であ 。

 かかる押出機としては単軸押出機や二軸 出機が挙げられるが、中でもスクリューの 転方向が同方向の二軸押出機が適度なせん により充分な混練が得られる点でより好ま い。かかる押出機のL/Dは、通常10~80であり 特に15~70、さらには15~60であるものが好まし 用いられる。かかるL/Dが小さすぎると、練 が不充分で吐出が不安定となる傾向があり 逆に大きすぎると過度のせん断を与えるこ により好ましくないせん断発熱を引き起こ 傾向がある。

 押出機のスクリュー回転数は、通常、10~4 00rpmであり、特に30~300rpm、さらには50~250rpmの 囲が好ましく用いられる。かかる回転数が さすぎると吐出が不安定となる傾向があり また、大きすぎると好ましくないせん断発 によって樹脂の劣化の原因と成る場合があ 。

 押出機内における樹脂温度は、通常は80~250 で行われる。特に、かかる押出工程におい 、EVOH組成物の含水率を極力低減させたい場 合には、120~250℃、好ましくは150~230℃の温度 囲で行われる。かかる樹脂温度が高すぎる EVOHが熱劣化しやすくなる傾向にあり、逆に 低すぎるとEVOHが充分に溶融状態とならず、 好な混練がなされないため、例えば、前工 で添加した添加剤の含有状態が均一になら かったり、押出が良好におこなわれなかっ り、あるいは含水率の低減が不充分となり 押出後のストランドあるいはペレット中に 分が残存することにより、発泡の原因とな 場合がある。
 また、EVOHの熱劣化を極力抑制するために、 含水量を維持しながら行いたい場合には、80~ 105℃、特に85~100℃、さらには90~100℃の樹脂温 度で行われる。
 かかる樹脂温度の調整方法は特に限定され いが、通常は、押出機内シリンダーの温度 適宜設定する方法が用いられる。

 かかる押出機での溶融混練においては、 水状態であるEVOHを溶融混練するため、押出 機の少なくとも一箇所から水あるいは水蒸気 を排出することが好ましい。かかる排出手段 としては、特に限定されるものではないが、 押出機のシリンダーに設けられた脱水孔、ベ ント口あるいは脱水スリットから排出する方 法が挙げられる。脱水スリットとしては、ウ ェッジワイヤー式脱水スリットやスクリーン メッシュ式脱水スリットが好適なものとして 挙げられ、ベント口としては、真空ベントや オープンベントが挙げられる。中でも、脱水 スリットは、水、水蒸気のいずれも排出する ことができ、樹脂の付着や漏出が少ないこと から好ましく用いられる。なお、かかる排出 手段は、複数用いてもよく、その場合には同 一の種類のものであっても、異なるものを組 み合わせて用いても良い。

 なお、前述の添加剤を押出機内で添加する とも可能である。かかる添加剤を添加する 合、押出機への添加位置は、EVOHが溶融状態 である位置であることが好ましく、1箇所ま は2箇所以上から押出機に添加することが好 しい。
 また、かかる添加剤の形態は特に限定され 、粉末状やペースト状、あるいは液体に分 させた状態や溶液として添加する方法を挙 ることができる。なかでも、溶液として添 する方法が、均一かつ定量的に添加できる めこのましく、かかる液体としては取扱い 容易で、安全であることから、水が好適で る。

 押出機から吐出されたEVOH樹脂をペレット 化する方法は特に限定されないが、前記樹脂 組成物をダイスからストランド状に押出し、 冷却の後、適切な長さにカットする方法が用 いられる。かかる冷却の方法としては、特に 限定されないが、押し出された樹脂の温度よ りも低温に保持された液体に接触させる方法 や、冷風を吹き付ける方法が好ましく用いら れ、前述の液体としては水が好ましく用いら れる。かかるペレットの形状は通常、円筒状 であり、その大きさは、後に成形材料として 用いる場合の利便性の観点から、ダイスの口 径は2~6mmφ、ストランドのカット長さは1~6mm程 度が好適に用いられる。なお、押出機から吐 出されたEVOHがまだ溶融状態である間に、大 中あるいは水中でカットする方法も好適に いられる。

 かかる押出機による溶融混練で得られた レットは、押出機内で充分に水分が除去さ たものであれば、そのまま製品とすること できるが、その水分除去が不充分である場 には、乾燥工程に供することで余分な水分 除くことができる。かかる乾燥方法として 特に限定されないが、静置乾燥法、流動乾 法などが好適な方法として挙げられ、異な 乾燥方法による多段階の乾燥工程で行うこ も可能であり、特に、一段階目に流動乾燥 、二段階目に静置乾燥法で乾燥する方法が 調の点で好適である。

 なお、かかる押出機での溶融混練において 、前工程で得られたEVOH組成物として、重合 度、エチレン含有量、ケン化度などが異なる 二種以上のEVOH組成物をブレンドして溶融成 することも可能である。また、他の各種可 剤、滑剤、安定剤、界面活性剤、色剤、紫 線吸収剤、帯電防止剤、乾燥剤、架橋剤、 属塩、充填剤、各種繊維などの補強剤など 適量添加して溶融混練することも可能であ 。
 このようにして得られたEVOHペレットは、押 出成形、射出成形などの溶融成形によって、 フィルム、シート、カップ、ボトルなどの成 形体に成形され、食品、医薬品、工業薬品、 農薬などの包装用途に用いられる。

 以下に、本発明を実施例を挙げて説明する 、本発明はその要旨を超えない限り、実施 の記載に限定されるものではない。
 尚、例中、「部」、「%」とあるのは、断り のない限り重量基準を意味する。

〔実施例1〕
 エチレン含有量29モル%、ケン化度99.5モル% EVOH100重量部に対し、メタノールを400重量部 むEVOHメタノール溶液を、10段の棚段塔の塔 から2段目の棚板に80重量部/hrで連続的に供 、水蒸気を最下段の棚板から60重量部/hrで 続的に供給し、EVOHメタノール溶液と水蒸気 を棚段塔内で向流で接触させた。塔内の温 は108℃、塔内の圧力は0.2MPaGであった。かか る棚段塔の塔頂部からメタノール蒸気と水蒸 気を留去し、これらは凝縮器で凝縮し、水/ タノール混合溶液として回収した。また、 段塔の塔底部からは、EVOH100重量部に対し、 タノールを75重量部、水を75重量部含有する EVOHの水/メタノール混合溶液を連続的に抜き した。

 次に、このEVOHの水/メタノール混合溶液 、パドル翼式の攪拌装置を備えた容器に80重 量部供給し、さらにホウ酸水溶液(3重量%)、 酸水溶液(10重量%)、リン酸水溶液(80重量%)、 ン酸カルシウム水溶液(1重量%)を、各々、EVO H100重量部に対して0.01重量部、0.05重量部、0.0 5重量部、0.003重量部となるように添加し、さ らに水蒸気をEVOH100重量部に対して60重量部/hr 供給し、攪拌しながらEVOHの水/メタノール溶 と水蒸気を接触させた。容器内の温度は100 、圧力は0.3MPaGであった。2時間後、モチ状 なったEVOH組成物(EVOH100重量部に対し、水43重 量部、メタノールを3重量部含有)を得た。

 得られたEVOH組成物を二軸押出機に連続的に 投入し、溶融混練を行った。EVOH組成物の単 時間あたりの投入量は4kg/hrであった。二軸 出機の仕様を以下に示す。
L/D      42
口径       30mmφ
スクリュー    同方向完全噛み合い型
回転数      90rpm
シリンダー温度  95℃
ダイス温度    95℃
ダイス口径    3.5mmφ
 かかる押出機から吐出されたEVOHをウォータ ーバスでストランド状に冷却後、切断してEVO Hペレットを得た。かかるペレットの含水率 18重量%であった。

〔比較例1〕
 実施例1において、塔型装置から導出された EVOHの水/メタノール混合溶液をそのまま押出 に投入したところ、押出機への投入部で多 の水分が分離するとともに、溶融混練が不 定となり、ストランドが切れたり、熱劣化 起因する異物の混入が認められた。

 本発明のEVOH組成物の製造方法は、EVOHの 造において、エチレンと脂肪酸ビニルエス ルの共重合物をアルコール溶媒中でケン化 て得られたEVOHのアルコール溶液から効率的 アルコールを除去することができると同時 、低含水量のEVOH組成物が得られることから 、次いでかかる組成物を押出機で溶融混練し てペレット化する際に、多量の水を除去する 必要がなく、大きい処理速度で行うことがで きることから、工業的に有用である。