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Title:
PROCESS FOR PRODUCTION OF REDUCED IRON
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/123115
Kind Code:
A1
Abstract:
A process for the production of reduced iron by drying compacts, which are obtained by compacting an iron oxide-based raw material containing a carbonaceous reducing material requisite to the reduction, and then charging the dried compacts into a reducing furnace to conduct reduction and thus obtain a reduced iron comprising both metallic iron and a mixture of slag components. In compacting the raw material, at least either of a CaO-base oxide-type modifier and an MgO-base oxide-type modifier is added to the raw material. Further, the total content of CaO, SiO2, MgO and Al2O3 in the compacts is adjusted to 8 to 20mass% of the total mass of the compacts exclusive of the carbonaceous reducing material, while the slag basicity, (CaO% + MgO%)/SiO2%, which is calculated by using the contents (mass%) of the slag components in the compacts, is adjusted to 0.9 to 3.0

Inventors:
SAWAI TAKASHI (JP)
KUWAUCHI YUKI (JP)
SATOH TAKANORI (JP)
NAGAI WATARU (JP)
FUKUDA KAZUHISA (JP)
OONUKI KAZUO (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/056499
Publication Date:
October 08, 2009
Filing Date:
March 30, 2009
Export Citation:
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Assignee:
NIPPON STEEL CORP (JP)
SAWAI TAKASHI (JP)
KUWAUCHI YUKI (JP)
SATOH TAKANORI (JP)
NAGAI WATARU (JP)
FUKUDA KAZUHISA (JP)
OONUKI KAZUO (JP)
International Classes:
C22B1/16; C21B13/10; C22B1/244
Foreign References:
JPS55122832A1980-09-20
JP2002241820A2002-08-28
JP2003073722A2003-03-12
Attorney, Agent or Firm:
SHIGA, Masatake et al. (JP)
Masatake Shiga (JP)
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Claims:
 還元に要する炭素質還元材が添加された酸化鉄を主成分とする原料を成型した成型体を乾燥した後、この成形体を還元炉に装入して還元することにより金属鉄分及びスラグ成分の混合物を含む還元鉄を製造する方法であって、
 前記成型体の成型に際して、前記原料に、CaOを主成分とする酸化物系改質材、又は、MgOを主成分とする酸化物系改質材の少なくとも何れか一方を添加し;
 前記成型体中のCaO、SiO 2 、MgO及びAl 2 O 3 の含有量の合計を、前記炭素質還元材を除いた前記成型体の全質量に対して、8~20質量%の範囲とし;
 前記成型体中の前記スラグ成分の質量%を用いて算出されるスラグ塩基度:(CaO%+MgO%)/SiO 2 %を、0.9~3.0の範囲とする;
ことを特徴とする還元鉄の製造方法。
 前記成型体の成型に際し、前記成型体中における、CaOの含有量とSiO 2 の含有量とMgOの含有量とAl 2 O 3 の含有量との合計に対し、Al 2 O 3 の含有量を5~19質量%の範囲とすることを特徴とする、請求項1に記載の還元鉄の製造方法。
 前記成型体の成型に際し、前記原料に添加する、CaOを主成分とする酸化物系改質材の粒子径、又は、MgOを主成分とする酸化物系改質材の粒子径を、篩下80%粒子径で2mm以下とすることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の還元鉄の製造方法。
Description:
還元鉄の製造方法

 本発明は、酸化鉄系粉原料と石炭等の還元 とを混合した成型体を用いて、還元鉄を溶 することなく高い操業性及び生産性をもっ 効率よく製造する還元鉄の製造方法に関す 。
 本出願は、特願2008-093344号と、特願2008-306789 号とを基礎出願とし、これらの内容をここに 取り込む。

 製銑・製鋼工程で発生する酸化鉄を多量 含有するダスト粉(粉状鉄原料)に、炭素質 還元材及び水分を配合・混合し、ペレット はブリケット状の成形体に成型し、さらに 記成型体を乾燥させてから還元炉内に装入 て加熱することで、還元鉄を製造する技術 知られている。

 また、近年、資源の枯渇に対する懸念か 、焼結工程や高炉での使用が困難な粉鉱石 有効に活用する手段が必要とされており、 原料として粉鉱石の酸化鉄を用いる還元鉄 造方法も知られている。

 これら従来技術に関連するものとして、 記特許文献1には、還元炉で成型体を高温に 加熱し、生成する金属鉄をスラグと分離しつ つ粒状に凝集させる方法が開示されている。 また、同特許文献1には、スラグ成分の塩基 を所定の範囲に制御することで、金属鉄中 硫黄含有濃度を低減させる技術も開示され いる。

 さらに、下記特許文献2には、還元炉におい て成型体を還元する際に、炉床上面への堆積 ・付着物量を低減するために、SiO 2 を含有する改質材を成型体に添加する方法が 開示されている。

 加えて、下記特許文献3には、キルン内での 使用を可能にするために、水熱硬化の際にシ リケートまたはヒドロシリケート結合を形成 させて強度の高い硬化ペレットを製造する方 法と、キルンを用いて生成した硬化ペレット から金属化ペレットを製造する方法とが開示 されている。

特開2004-285399号公報

特開2006-283136号公報

特開昭55-122832号公報

 しかしながら、金属鉄を浸炭溶解させるこ によって金属鉄とスラグ成分とに分離させ 上記特許文献1に記載の方法では、浸炭量に 応じて変化する金属鉄の融点以上の温度に還 元炉を加熱する必要がある。そのような高温 下では、炉内耐火物の損耗が著しいことや、 加熱に要するエネルギー原単位が高いことや 、さらには生産性が低くなる等の課題が残る 。
 また、金属鉄を溶融状態とするため、この 属鉄中に炭材由来の硫黄が含有される課題 発生する。この金属鉄中の硫黄含有濃度を 減させるためには、還元炉内の還元ポテン ャルCO/(CO+CO 2 )を高く保たなければならず、還元炉内に装 すべき炭材を還元・浸炭溶解に必要とされ 量以上に加える必要が生じる。このような 材の過剰な装入は、金属鉄の融点を著しく 下させるため、粒状金属鉄の相互溶解の可 性を高め、金属鉄が炉床を流動する虞があ 。その場合、粒状金属鉄の歩留りが低下す とともに、操業性が著しく低下する。
 金属鉄を溶解することなく製造することが きれば、金属鉄中に炭材由来の硫黄が溶解 ることを防ぐことができる。そのため、還 炉の還元ポテンシャルを高く保つ必要がな 、原料である炭材のコストを節約すること できる。同時に、粒状金属鉄の相互溶解に う金属鉄の炉床における流動を防ぐことが き、操業性を損なう虞がない。しかしなが 、上記特許文献1に記載の方法では、これを 達成し得ないのが現状である。

 また、上記特許文献2に記載の方法では、酸 化鉄とSiO 2 とにより安定した溶融化合物を容易に生成し てしまう。そのため、還元材による酸化鉄の 還元に時間を要するので、生産性が低下する という課題が残る。

 さらに、キルンを用いて金属化ペレット 製造する特許文献3に記載の方法では、移動 床式還元炉を用いた還元鉄の製造方法と異な り、その粉化を防ぐために高い強度の成形体 が必須となる。しかしながら、そのような理 想的な強度を全ての成形体に対して求めるこ とは容易いことではなく、強度のばらつきを 完全に回避することは現実的ではない。よっ て、還元される前にある程度粉化してしまう ものが生じるのは不可避であり、そのような 粉化の結果、スラグ成分が炉内に堆積しやす くなる。そのような堆積物は、所謂キルンリ ングと呼ばれる付着物として炉の内壁に沿っ て成長し、金属化ペレットの排出を妨げる虞 がある。その場合、金属化ペレットの生産性 が著しく低下する。

 本発明は、上記事情に鑑みてなされたも であって、酸化鉄系の主原料と炭素質の還 材とを混合した成型体を還元炉内で加熱し 、金属鉄とスラグ成分とから成る還元鉄を 造するに際し、主原料である酸化鉄の被還 性を損なうことなく、より高濃度の金属鉄 含有する還元鉄を高い操業性及び生産性を って効率よく製造する方法の提供を目的と る。

 本発明は、上述の問題を解決して係る目 を達成するために以下の手段を採用した。

(1)還元に要する炭素質還元材が添加された酸 化鉄を主成分とする原料を成型した成型体を 乾燥した後、この成形体を還元炉に装入して 還元することにより金属鉄分及びスラグ成分 の混合物を含む還元鉄を製造する方法であっ て、前記成型体の成型に際して、前記原料に 、CaOを主成分とする酸化物系改質材、又は、 MgOを主成分とする酸化物系改質材の少なくと も何れか一方を添加し;前記成型体中のCaO、Si O 2 、MgO及びAl 2 O 3 の含有量の合計を、前記炭素質還元材を除い た前記成型体の全質量に対して、8~20質量%の 囲とし;前記成型体中の前記スラグ成分の質 量%を用いて算出されるスラグ塩基度:(CaO%+MgO% )/SiO 2 %を、0.9~3.0の範囲とする。

(2)上記(1)に記載の還元鉄の製造方法では、前 記成型体の成型に際し、前記成型体中におけ る、CaOの含有量とSiO 2 の含有量とMgOの含有量とAl 2 O 3 の含有量との合計に対し、Al 2 O 3 の含有量を5~19質量%の範囲としてもよい。

(3)上記(1)または上記(2)に記載の還元鉄の製 造方法では、前記成型体の成型に際し、前記 原料に添加する、CaOを主成分とする酸化物系 改質材の粒子径、又は、MgOを主成分とする酸 化物系改質材の粒子径を、篩下80%粒子径で2mm 以下としてもよい。

 上記(1)に記載の還元鉄の製造方法によれ 、成型体の還元時に酸化鉄とスラグ成分と 反応によって被還元性を低下させる酸化鉄 化合物を形成することなく、所定時間の加 で到達する成型体中の金属鉄含有率を高位 安定化させると共に、還元炉の原燃料コス を低減し、高い操業性及び生産性をもって 効率に還元鉄を製造することが可能である

図1は、スラグ成分中の(CaO+MgO)/SiO 2 と金属化率との関係を示す図である。 図2は、本発明の還元鉄の製造方法の条 件を満たすようにスラグ塩基度を制御した場 合に得られた還元鉄断面の光学顕微鏡写真で ある。 図3は、本発明の還元鉄の製造方法の条 件を満たさないようにスラグ塩基度を制御し た場合に得られた還元鉄断面の光学顕微鏡写 真である。 図4は、図3に示した還元鉄断面の一部 詳細な電子顕微鏡写真である。 図5は、MgOの篩下80%粒子径と還元鉄の金 属化率との関係を示す図である。

 以下に添付図面を参照しながら、本発明 好適な実施形態について詳細に説明する。

 本発明は、上述の問題に鑑み、主原料と る酸化鉄の被還元性に対する含有スラグ成 の影響に着目して、種々の検討を加えた結 をもとに構築した技術である。この技術に り、酸化鉄系の主原料と炭素質の還元材と 混合した成型体を還元炉内で加熱して、金 鉄とスラグ成分とから成る還元鉄を製造す に際し、主原料である酸化鉄の被還元性を なうことなく、より高濃度の金属鉄を含有 る還元鉄を高い操業性及び生産性をもって 率よく製造する方法を提供する。

 まず、本発明の還元鉄の製造方法を説明 るに先立ち、本願発明者らが行った検討内 及び検討結果について、以下に詳細に説明 る。

 本発明の還元鉄を製造するために還元炉に 入する成型体の主原料となる酸化鉄は、ダ ト類(例えば、転炉ダスト、電炉ダスト、溶 解炉ダスト、高炉ダスト等)、あるいは、焼 工程や高炉で通気性を低下させて生産性を 害する粉鉱石類である。前者のダスト類は 溶解・還元・精錬工程での発生物であり、 錬スラグの主成分であるCaO、SiO 2 、Al 2 O 3 、MgO等の酸化物を含有している。また、後者 の粉鉱石類は、脈石成分として、主にSiO 2 、Al 2 O 3 等の酸化物を含有している。

 これらの酸化鉄は、資源リサイクルの観 から、鉄原料として活用することが望まれ いる。その方法として、石炭のような炭素 還元材を所定量混合し、ペレットやブリケ トなどの成型体とし、加熱炉の中で一定時 保持することにより還元鉄を製造する方法 広く知られている。

 成型体とする際に、強度を保つためのバ ンダーを所定量添加する。この種のバイン ーの代表としては、コーンスターチのよう 澱粉質の粉末である。

 造粒、成型の過程では、これらの原料に 分を所定量加え、乾燥させることで、得ら る成型体中の原料の組成が均一になり、微 子間の結合力を増大させて、成型体の強度 保つことができる。その結果、各工程間で 輸送運搬や炉内への装入時の成型体の機械 な破壊を防止できる。さらに、成型体を炉 へ装入した際に成型体中の水分の急激な蒸 に伴う爆裂粉化も防止できる。

 成型体を還元炉内で加熱して還元鉄を製 する過程において、加熱温度とスラグ成分 によっては、酸化鉄とスラグ成分とが反応 て低融点相を形成し、成型体の一部が溶融 る現象が起こる。この現象によって、酸化 の還元機構が固体の酸化物と炭素系還元材 ら発生する還元ガスとの間接反応から、溶 酸化物相と固体炭素系還元材との直接反応 移行し、還元速度が増大するという現象を いだした。さらに、その際のスラグ成分が 化鉄の還元に影響を及ぼすことも見いだし 。

 本発明は、以上の知見を参考にして、炭素 還元材を内装する成型体における酸化鉄の 元に適用した。プロセスの一例を挙げると ドーナツ状に配置した加熱炉の回転する床 に成型体を装入し、一定時間加熱の後に排 する回転炉床を用いた還元鉄の製造方法で る。このようなプロセスでは、生成する溶 スラグ量が多い場合、床上に堆積物が著し 成長し、加熱炉と干渉し、回転の障害とな て設備上の問題が発生することがある。そ ため、生成する炉床上の堆積物の被削性を 上させる必要がある。前述の特許文献2には 、SiO 2 を含有する酸化物系改質材を添加してスラグ の液相量を制御することにより、生産の障害 となる炉床上の堆積物の被削性を向上する方 法が開示されている。しかしながら、酸化鉄 とSiO 2 との反応によりFayalite(=2FeO・SiO 2 )と呼ばれる低融点の化合物が生成し、FeOの 還元性が低下するため、高金属化率を有す 還元鉄が製造し難い。

 本発明者らは、ダスト等の酸化鉄原料と炭 質還元材とから成る成型体における酸化鉄 還元を熱力学的観点から考察し、鋭意実験 重ねた結果、成型体中の酸化鉄の被還元性 、成型体を加熱することで生成する溶融ス グ中のFeOの活量と相関があることを見出し 。換言すると、溶融スラグ中のFeOの活量は 存在するFeOの濃度と他成分の相互作用とに って決まり、例えばSiO 2 等が存在する場合、FeOがより安定な状態にな り、被還元性が低下する。一方、CaOやMgOとい った塩基性成分が存在すると、FeOがより活性 な状態になり、被還元性が向上する。

 すなわち、溶融スラグ中のFeO濃度が同一 場合でも、FeOの活量が高い溶融スラグほど FeOの被還元性が向上する。成型体中の酸化 の還元を効率よく進めるために、本発明者 はスラグ量とスラグ組成とに着目し、鋭意 究を重ねた結果、成型体中の酸化鉄の被還 性を高める方法を見出した。なお、この考 方は、プロセスに関わらず、鉄鉱石やダス 等の酸化鉄およびスラグ成分からなる物質 還元を目的とする場合に、共通して適用可 である。

 以下、本発明の条件について詳細に説明す 。
 先述した通り、FeOの還元を効率的に起こす 件として還元実験を行い、その結果に基づ 、スラグ塩基度(CaO+MgO)/SiO 2 がFeOの還元に影響することを見出した。転炉 ダストと石炭および粒子径が2mm以下のCaO粉末 とMgO粉末とを所定量配合及び混練した後、30m mφ×17mmのサイズのタブレットに成型し、1250 のN 2 雰囲気に制御した炉内で15分間保持した後、 れを取り出して化学分析に供した。なお、 の場合のCaO、SiO 2 、MgO、Al 2 O 3 の質量合計は、炭素質還元材を除いた成型体 全質量に対する質量%で、8~20%の範囲内であっ た。

 得られた還元鉄の金属化率(=M.Fe%/T.Fe%)と(CaO% +MgO%)/SiO 2 %との関係を図1に示す。図1に示されるように 、還元鉄の金属化率とスラグ塩基度との間に は強い相関があり、還元鉄の金属化率は、ス ラグ塩基度が1.4~1.7程度で極大となった。こ 塩基度条件(スラグ塩基度が1.4~1.7程度)のと 、還元鉄の金属化率(極大値)は95%程度であっ た。

 得られた還元鉄の代表的な断面の光学顕微 写真を、図2及び図3に示す。これら図2及び 3の白い部分が金属鉄であり、灰色の部分が スラグである。図2に示すように、スラグ塩 度を1.28に制御した場合、還元鉄の金属化率 95%であった。この還元鉄の組織は、ネット ーク状に生成した金属鉄とその間隙に存在 るスラグとにより構成される。一方、図3に 示すように、スラグ塩基度を0.7に制御した場 合、還元鉄の金属化率は78%であった。この還 元鉄の組織は、粒状に点在する金属鉄とその 周囲に多く残留したスラグ相とにより構成さ れる。この断面を詳細に電子顕微鏡で観察し た結果を図4に示す。加えて、EDX(エネルギー 散型蛍光X線分析装置)で組織を分析した結 を同図4に示す。溶融スラグ中にFayalite(2FeO・ SiO 2 )が生成し、FeOと共に残留していることがわ った。

 これらの結果を整理し、(CaO+MgO)/SiO 2 の比を0.9~3.0の範囲に制御することで、還元 の金属化率が85%以上となることを見いだし 。得られる還元鉄の金属化率は、高いほど ましい。これは、その後の還元鉄を溶解し 溶鉄を製造する工程において、一部の残留 化鉄は、還元に伴う吸熱反応により溶解効 を低下させ、残りの残留酸化鉄は、スラグ して溶鉄歩留まりを低下させるためである 従って、溶解効率を損なうことなく溶鉄が 造可能な条件は、還元鉄の金属化率が85%以 、すなわち、(CaO+MgO)/SiO 2 が0.9~3.0の範囲である。

 この条件は、以下のようにして決定した。( CaO+MgO)/SiO 2 が0.9以下であると、前述したようにSiO 2 の影響によってFeOがより安定な状態となり、 被還元性が低下する。一方、(CaO+MgO)/SiO 2 が3.0を超える場合は、CaOやMgOは単体でスラグ 成分の融点を上昇させるため、溶融スラグ量 が低下する。そのため、溶融酸化鉄と固体還 元材との反応、すなわち溶融還元の効果が損 なわれると考えられる。特に、(CaO+MgO)/SiO 2 を1.4~2.2の範囲内に制御すれば、金属化率が90 %を超える還元鉄を得ることができ、極めて い溶解効率が期待できる。

 以上説明の酸化鉄とスラグとの相互作用を 現及び制御するためには、成型体中に所定 のスラグが必要である。このため、スラグ 成分であるCaO、SiO 2 、MgO、Al 2 O 3 の質量合計を、炭素質還元材を除いた成型体 全質量に対する質量%で8~20%の範囲に制御する 。スラグ量が7%未満では、FeOとの反応で溶融 るスラグ量が少ないため、その効果が低く る。また、スラグ量が20%を超えると還元鉄 の鉄分量が低くなり、その後の還元鉄を溶 して溶鉄を製造する工程において、スラグ 解に消費される余剰なエネルギーが必要に る。

 また、スラグ成分の一つであるAl 2 O 3 は、MgO含有酸化物と高融点で硬質な鉱物相で あるスピネル(MgO・Al 2 O 3 )を形成しやすいことが知られている。スピ ルの形成によりスラグ中のMgOが減少してス グの融点を高くするため、溶融スラグ量が 少し、FeOの還元効率を下げる。そのため、Al 2 O 3 は、含有量として、CaO、SiO 2 、MgO、Al 2 O 3 のそれぞれの含有量の合計に対し、5~19質量% 範囲内に制御することが望ましい。

 スラグ組成の制御は、例えば、原料をブ ケットやペレットのような成型体に成型す 際に、CaO源となる生石灰やMgO源となる軽焼 グネサイトやドロマイトを酸化鉄系原料と 素質還元材、必要に応じてバインダーと共 所定量配合、混合して、成型体中に均一に 散させる方法で行うと、より高い効果が得 れ望ましい。CaO、MgOの添加量は、成型体の 原料となる鉄鉱石、ダスト等の酸化鉄系主 料および炭素質の還元材について、成型前 予め化学分析を行い、その結果をもとに決 する。

 更に、それらの添加物は、加熱時の反応の 率性、均一性の点からは、粒子径がより微 である方が望ましく、塊状よりも粉末状で 加する方がより高い効果が得られる。具体 には、篩下80%粒子径は2mm以下であることが ましい。より望ましくは、1.5mm以下である 篩下80%粒子径とは、篩分けを行った場合に 篩を通過した粉体が全体の質量の80%となる の粒径を意味する。ここで、転炉ダストと 炭および粒子径の異なるMgOを所定量配合・ 練し、30mmφ×17mmのサイズのタブレットに成 した。そのタブレットを1250℃のN 2 雰囲気に制御した炉内で15分間保持した後、 り出して化学分析に供した。図5は、(CaO+MgO) /SiO 2 を1.56~1.58の範囲内に制御した場合のMgOの篩下 80%粒子径と還元鉄の金属化率との関係を示す 。図5に示すように、MgOの篩下80%粒子径が2mm 下のときに、還元鉄の金属化率が大きくな ことが解る。

 また、篩下80%粒子径を2mm以下とする方法 して、例えば、一般的に2mm以上の粗大な粒 径を持つ軽焼マグネサイトはロッドミルや ールミルで粉砕される。しかし、本発明に けるこれらの添加物の粉砕方法はその方法 限定されるものではない。

 加えて、還元炉の操業温度は、還元によ 生成した金属鉄と溶融スラグとに分離する めに必要とされる浸炭した金属鉄の溶融温 、例えば1400℃以下に制御することが好まし い。さらに言うと、還元温度は、より好まし くは1385℃以下、最も好ましくは1350℃以下と るのがよい。金属鉄が溶融すると炉床堆積 中への金属鉄の混入量が増加して岩盤化す ため、堆積物の切削性が著しく低下する。 の結果、還元炉の操業性および生産性が著 く低下する。

 なお、上述の説明では、CaOとMgOとの両方 添加してスラグ塩基度を制御する場合につ て説明した。しかし、本発明は上述の例の に限定されるわけではなく、CaOのみ、また 、MgOのみを添加してスラグ塩基度を制御し もよい。

 次に、本発明の実施例について説明する 、本実施例の条件は、本発明の実施可能性 び効果を確認するために採用した一条件例 あり、本発明は、この一条件例のみに限定 れるものではない。本発明は、本発明の要 を逸脱せず、本発明の目的を達成する限り おいて、種々の条件を採用し得る。

 (実施例)
 各種スラグ成分を含む各種ダストを配合し 原料に対し、各ダスト中の酸化鉄に含有さ る酸素と石炭に含有される炭素とがモル濃 で等量となるように石炭を配合し(mol%O/mol%C= 1)、篩下80%粒子径を120μmとした。さらに、生 灰(CaO)あるいは軽焼マグネサイト(MgO)の添加 量および粒子径を変えて混合し、異なるスラ グ量および組成のブリケットに成型した。こ れらのブリケットを乾燥した後、直径20mの回 転炉床に装入して操業を行った。炉内の温度 はLNGバーナーで1000~1350℃に制御され、これら のブリケットの炉内滞在時間は15分であった 装入したブリケット中のスラグ組成の化学 析値と得られた還元鉄の金属化率とを表1に 示す。表1に示すように、本実施例の条件で 、85%以上の高い金属化率を有する還元鉄が られていることが解る。
 一方、本発明の条件を満たさない比較例で 、酸化鉄の被還元性が低下するため、得ら た還元鉄の金属化率は、85%未満と満足でき い結果であった。

 以上、添付図面を参照しながら本発明の 適な実施形態について説明したが、本発明 かかる例のみに限定されない。当業者であ ば、特許請求の範囲に記載された範疇内に いて、各種の変更例または修正例に想到し ることは明らかであり、それらについても 然に本発明の技術的範囲に属するものと了 される。

 酸化鉄系の主原料と炭素質の還元材とを 合した成型体を還元炉内で加熱して、金属 及びスラグ成分から成る還元鉄を製造する 際し、主原料である酸化鉄の被還元性を損 うことなく、より高濃度の金属鉄を含有す 還元鉄を高い操業性・生産性をもって効率 く製造することが可能な、還元鉄の製造方 を提供することができる。




 
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