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Title:
PROCESS FOR PRODUCTION OF THERMOPLASTIC COPOLYMER
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/107765
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a process for producing a thermoplastic copolymer, which involves the step of supplying a monomer mixture (a) to a loop reactor continuously to produce a copolymer (A), wherein the monomer mix (a) comprises an aromatic vinyl monomer (a1), a vinyl cyanide monomer (a2) and an N-substituted maleimide monomer (a3). The process enables the production of a thermoplastic copolymer which has an excellent balance among physical properties including heat resistance, color and fluidability, hardly causes bleeding that may cause the staining of a mold during molding processing and has excellent handleability and productivity.

Inventors:
YAMASHITA TARO (JP)
TAKAMURA HAJIME (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/053647
Publication Date:
September 03, 2009
Filing Date:
February 27, 2009
Export Citation:
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Assignee:
TORAY INDUSTRIES (JP)
YAMASHITA TARO (JP)
TAKAMURA HAJIME (JP)
International Classes:
C08F2/01; C08F2/38; C08F212/02
Foreign References:
JPH03205411A1991-09-06
JPH06263942A1994-09-20
JPH04318007A1992-11-09
JPS62250015A1987-10-30
JPS61162507A1986-07-23
JPS6250357A1987-03-05
JPS58162616A1983-09-27
JPS61276807A1986-12-06
Other References:
See also references of EP 2248834A4
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Claims:
 芳香族系ビニル単量体(a1)、シアン化ビニル単量体(a2)、N-置換マレイミド単量体(a3)を含む単量体混合物(a)を、連続的にループリアクターに供給し、共重合体(A)を重合させる工程を有する熱可塑性共重合体の製造方法。
 芳香族系ビニル単量体(a1)、シアン化ビニル単量体(a2)、N-置換マレイミド単量体(a3)を含む単量体混合物(a)をループリアクターに連続的に供給し、共重合体(A)を重合させた後、静的混合用構造部を有する1個以上の管状反応器で構成される押し出し流れ反応器に連続的に供給し、共重合体(A)の重合率が50~90重量%となるまで反応させる工程を有する請求項1記載の熱可塑性共重合体の製造方法。
 芳香族系ビニル単量体(a1)、シアン化ビニル単量体(a2)、N-置換マレイミド単量体(a3)からなる共重合体(A)を含む溶液を連続式脱揮装置に供給し、温度100℃以上300℃未満で、圧力が200Torr以下の減圧下において、連続的に脱揮し、未反応原料混合物と共重合体(A)を分離除去する工程を有する請求項1または2に記載の熱可塑性共重合体の製造方法。
 前記芳香族系ビニル単量体(a1)、シアン化ビニル単量体(a2)、N-置換マレイミド単量体(a3)を含む単量体混合物(a)をループリアクターに連続的に供給し、共重合体(A)を重合させる工程において、共重合体(A)の重合率が30~80重量%である請求項1~3のいずれかに記載の熱可塑性共重合体の製造方法。
 ループリアクターが、静的混合用構造部を内部に有する1個以上の管状反応器が存在する循環ラインからなる請求項1~4のいずれかに記載の熱可塑性共重合体の製造方法。
 静的混合用構造部を有する管状反応器が、複合湾曲管を持った構造部を有し、単位体積あたりの伝熱面積が50m 2 /m 3 以上である請求項1~5のいずれかに記載の熱可塑性共重合体の製造方法。
 共重合体(A)の重合率が50~90重量%となるまで反応させる工程において、共重合体(A)と未反応原料の混合物中のN-置換マレイミド単量体含量が1.0%以下である請求項2~6のいずれかに記載の熱可塑性共重合体の製造方法。
 単量体混合物(a)100重量部に対して、1~30重量部の極性溶媒を用いる請求項1~7のいずれかに記載の熱可塑性共重合体の製造方法。
 芳香族系ビニル単量体(a1)、シアン化ビニル単量体(a2)、N-置換マレイミド単量体(a3)を含む単量体混合物(a)を、ループリアクター供給し、共重合体(A)を重合させる工程において、連鎖移動剤の添加量が、単量体混合物(a)100重量部に対して0.05~0.30重量部である請求項1~8のいずれかに記載の熱可塑性共重合体の製造方法。
 共重合体(A)が、芳香族系ビニル単位20~80重量%、シアン化ビニル単位3~30重量%、N-置換マレイミド単位10~50重量%からなる請求項1~9のいずれかに記載の熱可塑性共重合体の製造方法。
 共重合体(A)の重合率が50~90重量%となるまで反応させる工程後の共重合体(A)の重量平均分子量が5~13万であり、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mnが2以下である請求項2~9のいずれかに記載の熱可塑性共重合体の製造方法。
Description:
熱可塑性共重合体の製造方法

 本発明は、耐熱性、色調などのバランス 優れ、且つ、成形加工性と生産性に優れた 可塑性共重合体の製造方法に関するもので る。

 ゴム強化スチレン系樹脂に代表されるス レン系樹脂は、優れた機械的性質、成形加 性および外観特性を有することから、家庭 電気機器、OA機器および一般雑貨等をはじ とする広範な分野で使用されている。さら 、このゴム強化スチレン系樹脂は、N-置換マ レイミド系単量体に代表されるN-フェニルマ イミドを適量共重合させることによって、 熱性を付与することができ、このようにし 得られた耐熱樹脂は、自動車内外装部品や 庭用電気機器に使用されている。

[規則91に基づく訂正 10.06.2009] 
 このような、N-置換マレイミドを共重合す 方法として、特許文献1に開示される方法が 案されているが、これらの方法では樹脂の 成分布を均一にすることができず、色調、 械的強度が劣り、耐熱性の向上効果も充分 発揮されない。

[規則91に基づく訂正 10.06.2009] 
 また、樹脂の組成分布が均一な前記共重合 を得る方法としては、特許文献2など種々の 提案がなされているが、ビニル系単量体の添 加方法を検討しただけであり、抜本的に重合 方法を見直すなどの改良は行われていない。 また、特許文献3などでは、連続溶液重合法 よる製造方法が記載されているが、この方 においては共重合体の組成分布は均一にな ものの、耐熱性が高く、かつ残存フェニル レイミドの少ない共重合体を得ることがで ないという欠点がある。耐熱性を向上する めに、多量のフェニルマレイミドを含んだ 量体を供給した場合、その全てが重合せず 存フェニルマレイミドとして残る。さらに 残存フェニルマレイミドは、揮発除去装置 でのオリゴマー発生やポリマーの組成分布 広がりの原因となる。熱可塑性樹脂の幅広 組成分布や残存フェニルマレイミドは、射 成形時のオイル状物質(ブリード)の原因とな る。ブリード量が多いと金型汚れが顕著とな り、連続射出成形化が進んでいる現在、ブリ ード物を取り除いたり、金型を清掃するため に自動生産を中止する必要があるため、能率 が低下する。残存フェニルマレイミド以外に も重合助剤である重合開始剤や連鎖移動剤の 残存物も上記同様、不均一な組成分布やブリ ード増加の原因となるため、最低限の使用量 に抑える必要があるが、その手法を開示した 文献は報告されていない。

 また、フェニルマレイミド単量体自体が 色を示しているため、製造ポリマーの着色 原因となるだけでなく、フェニルマレイミ が固体単量体であるために、製造プロセス の配管内でのスケーリング、固化と言った 業上のトラブル原因となる可能性がある。

[規則91に基づく訂正 10.06.2009] 
 残存フェニルマレイミドを低減する方法と ては、可能な限り重合を進行させて、ポリ ー鎖に取り込む必要があるが、高重合率の リマーは重合安定性が悪く、安定に且つ経 的に有利に生産できていない。

特開昭62-50357号公報

特開昭58-162616号公報

特開昭61-276807号公報

 本発明は、上述した従来技術における問 点の解決を課題として検討した結果達成さ たものである。本発明の目的は、N-置換マ イミドを共重合したスチレン系樹脂におい 、樹脂の耐熱性を兼ね備えつつ、優れた色 を保有するとともに、均一な組成分布、残 フェニルマレイミドを低減する事で金型汚 の原因となるブリード量を低減し、製造プ セス上のトラブルがなく、重合開始剤、連 移動剤の添加量を制限するとともに、生産 に優れた熱可塑性共重合体の製造方法を提 することにある。

 本発明者らは、上記の課題を解決する手 について鋭意検討した結果、芳香族系ビニ 単量体(a1)、シアン化ビニル単量体(a2)、N-置 換マレイミド単量体(a3)を含む単量体混合物(a )を、ループリアクターに供給し、共重合体(A )を重合させる工程を有する製造方法より、 来の知見では成し得ることができなかった 樹脂の耐熱性を兼ね備えつつ、優れた色調 均一な組成分布を持ち、操業性や生産性に れた熱可塑性共重合体の製造方法を見出し 。

 すなわち、本発明は、芳香族系ビニル単 体(a1)、シアン化ビニル単量体(a2)、N-置換マ レイミド単量体(a3)を含む単量体混合物(a)を 連続的にループリアクターに供給し、共重 体(A)を重合させる工程を有する熱可塑性共 合体の製造方法である。

 本発明により、例えば、耐衝撃性などの 性バランスに優れた熱可塑性共重合体を得 ことができる。また、本発明により樹脂中 単量体の組成分布を均一にすることができ 且つ残存フェニルマレイミド量を低減でき ため、樹脂の色調が改善し、ブリード量が 減した熱可塑性共重合体を得ることができ 。また、本発明によりフェニルマレイミド 特有のプロセス問題である配管内のスケー ングや固化といった操業上のトラブルを回 できるとともに、高重合率のポリマーを生 性よく工業的に有利に製造することが可能 ある。

 また、本発明の熱可塑性共重合体の製造 法で得られる熱可塑性共重合体は、AS樹脂 ABS樹脂とブレンド押出し、耐熱ABS樹脂組成 として利用されるが、該熱可塑性共重合体 より、耐熱ABS樹脂組成物の色調と耐熱性、 動性などの物性バランスを損なうことなく 成形加工時の汚れ物の原因となるブリード を削減でき、射出成形加工効率が向上する め、自動車内外装部品や家庭用電気機器に 広く利用される。

静的混合用構造部を内部に有する管状 応器を組み込んだ連続重合装置の連続重合 インの1例を示す工程図である。

符号の説明

(1):プラジャーポンプ
(2):静的混合用構造部を内部に有する管状反 器
(3):静的混合用構造部を内部に有する管状反 器
(4):ギアポンプ
(5):サイドライン
(6):静的混合用構造部を内部に有する管状反 器
(7):静的混合用構造部を内部に有する管状反 器
(8):予熱器
(9):脱揮装置
(10):ギアポンプ
(I):ループリアクター
(II):プラグフローリアクター

 以下、本発明の熱可塑性共重合体の製造 法について詳細に説明する。

 本発明は、芳香族系ビニル単量体(a1)、シ アン化ビニル単量体(a2)、N-置換マレイミド単 量体(a3)を含む単量体混合物(a)を、連続的に ープリアクターに供給し、共重合体(A)を重 させる工程を有する熱可塑性共重合体の製 方法である。

 本発明では、共重合体(A)は、芳香族系ビ ル単量体(a1)、シアン化ビニル単量体(a2)、N- 置換マレイミド単量体(a3)を含む単量体混合 (a)からなる共重合体である。

 単量体混合物(a)中の芳香族ビニル系単量 (a1)としては、スチレン、α-メチルスチレン 、p-メチルスチレン、ビニルトルエン、t-ブ ルスチレン、o-エチルスチレン、o-クロロス レン、o,p-ジクロロスチレンまたはこれら2 以上の混合物が挙げられるが、スチレンま はα-メチルスチレンが好ましく用いられる

 シアン化ビニル系単量体(a2)としては、ア クリロニトリル、メタアクリロニトリル、エ タクリロニトリルまたはこれら2種以上の混 物が挙げられるが、アクリロニトリルが好 しく用いられる。

 N-置換マレイミド単量体(a3)としては、N- チルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミ ド、N-フェニルマレイミドまたはこれら2種以 上の混合物が挙げられるが、N-フェニルマレ ミドが好ましく用いられる。

 本発明においては、単量体混合物(a)は、 香族系ビニル単量体(a1)、シアン化ビニル単 量体(a2)、N-置換マレイミド単量体(a3)の他に それら以外の他の単量体(a4)を含有してもよ 。他の単量体(a4)としては、アクリル酸、メ タアクリル酸等の不飽和カルボン酸、マレイ ン酸等の不飽和ジカルボン酸、無水マレイン 酸等の不飽和ジカルボン酸無水物、アクリル アミド等の不飽和アミドまたはこれら2種以 の混合物が挙げられる。

 本発明においては、単量体混合物(a)にお る各単量体成分の比率に特に制限はないが 共重合体(A)の耐熱性と耐衝撃性と剛性との 性バランスの点から、芳香族系ビニル単量 (a1)20~80重量%、シアン化ビニル単量体(a2)3~30 量%、N-置換マレイミド単量体(a3)10~50重量%で あることが好ましい。また、(a1)~(a3)に、これ らと共重合可能な他の単量体(a4)0~50重量%をさ らに加えることも好ましい。本発明において は、単量体混合物(a)は、より好ましくは、芳 香族系ビニル単量体(a1)30~70重量%、シアン化 ニル単量体(a2)3~20重量%、N-置換マレイミド単 量体(a3)20~45重量%、および、これらと共重合 能な他の単量体(a4)0~50重量%であり、さらに ましくは、芳香族系ビニル化合物単位(a1)40~6 0重量%、シアン化ビニル化合物単位(a2)8~15重 %、N-置換マレイミド単位(a3)30~45重量%である なお、上記単量体混合物(a)に他の単量体(a4) を配合してもよいが、その場合、他の単量体 (a4)を0~50重量%配合することが好ましい。

 本発明においては、前記単量体混合物(a) 、連続塊状重合または連続溶液重合せしめ プロセス中に添加することが好ましい。

 前記単量体混合物(a)の重合プロセスとし 連続溶液重合を選択する場合、上記単量体 ほかに、単量体混合物(a)100重量部に対して 好ましくは、1~50重量部、より好ましくは、 1~30重量部、さらに好ましくは、1~20重量部の 媒が使用される。使用する溶媒には飽和分 水が含まれていることも可能である。溶媒 使用する場合は、溶媒として、例えば、ト エン、エチルベンゼン、キシレンなどの炭 水素系溶媒、メチルエチルケトン、メチル ソブチルケトン、ブチルアルコール、テト ヒドロフランなどの極性溶媒などが挙げら るが、これらの中で極性溶媒が好ましく、 り好ましくは、メチルエチルケトンやメチ イソブチルケトンなどのケトン基を有する 媒であり、さらにより好ましくは、共重合 (A)の溶解性からメチルエチルケトンである

 本発明は、単量体混合物(a)を、連続的にル プリアクターに供給し、重合させることで 重合体(A)を得るが、ループリアクターは、 ましくは、静的混合用構造部を内部に有す 管状反応器が1個以上存在する循環ラインで ある。本発明の熱可塑性共重合体の製造方法 では、ループリアクターが内部に静的混合用 構造部を有する管状反応器を有することで、 内部熱交換表面積が広くなり、高い熱伝導が 達成される。また、静的混合用構造部を内部 に有する管状反応器を1個以上組み込んだル プリアクター中では該管状反応器による静 な混合を行いながら連続的に塊状重合また 溶液重合を行うことにより、これまで達成 ることのできなかった、高ポリマー濃度領 で連続重合が可能となる。これにより、ホ トスポットを形成するおそれなく、熱制御 にきわめて堅い発熱重合反応を行うことが 能となっている。より好ましくは、静力学 混合器は、複合湾曲管を持っている。管状 応器の単位体積あたりの伝熱面積は、好ま くは、10m 2 /m 3 以上、より好ましくは、30m 2 /m 3 以上、さらに好ましくは、50m 2 /m 3 以上である。

 また、静的混合用構造部を内部に有する 状反応器としては、有効反応容積を大きく るために、液状熱伝導媒体が静力学的混合 構造部の内部コイルを流動する反応器であ ことが好ましい。これらの反応器は、1基ま たは2基以上で使用され、また必要に応じて2 類以上の反応器類を組み合わせることもで る。

 静的混合用構造部を内部に有する管状反 器は、好ましくは、静的ミキシングエレメ トを内部に有する管状反応器である。ミキ ングエレメントとしては、例えば管内に流 した重合液の流れの分割と流れの方向を変 、分割と合流を繰り返すことにより、乱流 形成し重合液を混合するものが挙げられる

 静的ミキシングエレメントを内部に有す 管状反応器の具体例として、SMX型、SMR型の ルザー式の管状ミキサー、ケニックス式の タティクミキサー、東レ式の管状ミキサー どを内部に有する管状反応器が挙げられる 、SMX型、SMR型のスルザー式の管状ミキサー 内部に有する管状反応器が好ましい。

 本発明を実施する際には、ループリアク ー内を還流する混合溶液の流量を、F1(リッ ル/時間)とし、ループリアクターから流出 る混合溶液の流量F2(リットル/時間)とした場 合の還流比(R=F1/F2)は、5~30の範囲が好ましい 環流比が5~30の範囲では均一混合が可能とな 、均質な重合溶液が得られる。還流比が5未 満であれば、ループ状反応器内で重合度分布 が発生してしまい、ブリード物の原因となる 低分子ポリマーやオリゴマーを生成する可能 性がある。また、還流比が30を上回ると、ル プ状反応器内の滞留時間が長くなり、重合 走となる危険があるとともに、多量の重合 液を循環させるために、大規模な設備投資 必要となる。

 本発明では、管状反応器内部の圧力は、反 液の蒸気圧以上であることが好ましい。管 反応器内部を反応液の蒸気圧以上に維持す ことにより、反応液の発泡が抑えられ、発 による閉塞が防止できる。また、管状反応 内部の圧力上下限は、反応器の金属の材質 静的ミキシングエレメントの構造に由来す が、1~50kg/cm 2 Gが好ましい。

 本発明では、ループリアクター内を環流 る混合溶液の流量を調整するために、ルー リアクター内に循環ポンプを設けることが きる。ここで使用する循環ポンプは重合溶 の粘度が高いため、公知のギアポンプを用 て、重合溶液の流量を調整することが好ま い。

 ループリアクター内における共重合体(A) 重合溶液粘度は50~3000Poiseであることが好ま く、より好ましくは100~2000Poiseである。50Pois e未満であれば、循環用のポンプ送液安定性 低下するとともに、特に、SMX型、SMR型のス ザー式の管状ミキサーを用いた場合、完全 合流れ状態が維持できなくなる可能性があ 。3000Poiseを上回ると、反応器内の重合溶液 度が上昇し、完全混合流れ状態を維持する めの循環ポンプや供給ポンプの故障に繋が 可能性がある。

 本発明において、ループリアクター内の 合温度は、好ましくは70~120℃であり、より ましくは、90~115℃が望ましい。である。重 温度が70~120℃では、生産性がよく、単量体 合物(a)中の未反応N-置換マレイミド単量体(a 3)の低減が十分であり、製造の安定性がよい 本発明では、単量体混合物(a)の、ループリ クターの平均滞留時間は、目標とする重合 、重合温度、開始剤の種類・使用量によっ 決定されるが、0.5~4時間の範囲が好ましく より好ましくは、0.75~3時間である。ループ アクターの平均滞留時間を0.5~4時間とするこ とにより、重合制御が安定するとともに、組 成が均一化した脂組成物を製造することがで きる。

 本発明において、ループリアクターに使 する管状反応器の内壁温度は、好ましくは 70~120℃、より好ましくは、90~115℃である。 た、ループリアクターに使用する管状反応 は、全て同一の内壁温度にすることも、各 状反応器で内壁温度を変えることも可能で る。

 共重合体(A)の重合は、重合開始剤を使用 ずに熱重合することも、重合開始剤を用い 重合することも、さらに熱重合と開始剤重 を併用することも可能である。重合開始剤 しては、好ましくは、過酸化物またはアゾ 化合物などが用いられる。

 過酸化物の具体例としては、ベンゾイル ーオキサイド、クメンハイドロパーオキサ ド、ジクミルパーオキサイド、ジイソプロ ルベンゼンハイドロパーオキサイド、t-ブ ルハイドロパーオキサイド、t-ブチルクミル パーオキサイド、t-ブチルパーオキシアセテ ト、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ブ チルパーオキシイソプロピルカルボネート、 ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルパーオ テート、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)3、3、 5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチ ルパーオキシ)シクロヘキサン、t-ブチルパー オキシ-2-エチルヘキサノエートなどが挙げら れる。

 また、アゾ系化合物の具体例としては、 ゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,4ジ メチルバレロニトリル)、2-フェニルアゾ-2,4- メチル-4-メトキシバレロニトリル、2-シア -2-プロピルアゾホルムアミド、1,1″-アゾビ シクロヘキサン-1-カーボニトリル、アゾビ (4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、 メチル2,2″-アゾビスイソブチレート、1-t- チルアゾ-1-シアノシクロヘキサン、2-t-ブチ アゾ-2-シアノブタンおよび2-t-ブチルアゾ-2- シアノ-4-メトキシ-4-メチルペンタンなどが挙 げられる。

 なかでも、重合開始剤として10時間半減 温度が70~120℃であるものが好ましく、より ましくは80~100℃であり、過酸化物系の重合 始剤の1,1″-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロ ヘキサンが特に好ましく用いられる。 

 重合開始剤の添加量は、単量体混合物(a)1 00重量部に対して、通常、0~1重量部であるが 上記した液状熱伝導媒体が内部コイルを流 する静力学的混合反応器を用いることで、 合反応を重合開始剤ではなく、液状媒体の 度で制御できるため、開始剤の添加量を大 に低減することができる。好ましくは、残 開始剤を低減する目的で、添加する重合開 剤の量は、0~0.1重量部であり、より好まし は、0~0.05重量部はある。

 これらの重合開始剤を使用する場合、1種 または2種以上の重合開始剤を併用すること できる。2種以上を使用する場合は、10時間 減期温度が5℃以上離れているものを使用す ことが好ましい。これにより効率的に重合 進めることができる。

 また、本発明では、共重合体(A)の重合度 節を目的として、アルキルメルカプタン、 塩化炭素、四臭化炭素、ジメチルアセトア ド、ジメチルホルムアミド、トリエチルア ン等の連鎖移動剤を添加することが好まし 。本発明に使用される好ましいアルキルメ カプタンとしては、例えば、n-オクチルメ カプタン、t-ドデシルメルカプタン、n-ドデ ルメルカプタン、n-テトラデシルメルカプ ン、n-オクタデシルメルカプタン等が挙げら れ、なかでも、特に、n-オクチルメルカプタ 、t-ドデシルメルカプタンまたはn-ドデシル メルカプタンが連鎖移動剤として好ましく用 いられる。これらの連鎖移動剤を使用する場 合、1種または2種以上を併用することができ 。

 単量体混合物(a)を、連続的にループリア ターに供給し、共重合体(A)を重合させる工 では、連鎖移動剤を単量体混合物100重量部 対して、0.05~0.5重量部程度添加することが ましい。残存連鎖移動剤量を低減する目的 、添加する連鎖移動剤の量は、より好まし は、0.05~0.3重量%である。

 さらに、重合の際には、必要に応じて公 の可塑剤、熱安定剤、酸化防止剤、光安定 などを添加してもよい。

 本発明では、単量体混合物(a)を、連続的 ループリアクターに供給し、共重合体(A)を 合させる工程において、共重合体(A)の重合 が30~80重量%であることが好ましく、共重合 (A)の重合率は、40~75重量%がより好ましい。

 本発明は、好ましくは、単量体混合物(a) 、ループリアクターに連続的に供給し、共 合体(A)を重合させた後、前述の静的混合用 造部を有する1個以上の管状反応器で構成さ れる押し出し流れ反応器に連続的に供給し、 共重合体(A)の重合率が50~90重量%となるまで反 応させる。

 本発明では、押し出し流れ反応器として ラグフローリアクターが好ましい例として げられる。本発明では、プラグフローリア ターで重合を進めることにより、最終重合 含有率(重合率)を高くして、引き続いて行 揮発物除去工程へ導入するN-フェニルマレイ ミド量を低減することが可能となり、経済的 に有利な製造方法として工業的メリットが大 きい。

 プラグフローリアクターとしては、各種 管式・塔式・横型の反応器などが使用でき 。また、ニーダー式反応器、二軸押出機な を重合反応器として使用することもできる これら反応器は、1基または、2基以上で使 され、また必要に応じて2種類以上の反応器 組み合わせても使用される。なかでもプラ フローリアクターとして、静的混合用構造 を内部に有する管状反応器が1個以上で構成 される直列型のプラグフローリアクターを用 いることが好ましい。なお、押し出し流れ反 応器として好ましく使用される静的混合用構 造部を内部に有する管状反応器は、ループリ アクターで使用される管状反応器における仕 様が好ましく適用されるが、同一である必要 はない。

 本発明において、ループリアクターから 重合体(A)を抜き出して押し出し流れ反応器 送液する操作は、例えば、ポンプにより行 ことができる。ポンプは市販のギアポンプ 好ましい。ポンプにより反応液を抜き出す とにより、安定に次の工程に反応液を送液 ることができるとともに、続いて設置され 押し出し流れ反応器を反応液の蒸気圧以上 昇圧することができる。

 押し出し流れ反応器における共重合体(A) 粘度は50~5000Poiseであることが好ましく、よ 好ましくは300~4000Poiseである。粘度が50Poise 満であれば、特に、SMX型、SMR型のスルザー の管状ミキサーを用いた場合、管内に流入 た重合液の流れの分割と流れの方向を変え 分割と合流を繰り返すことによる、乱流を 成し重合液の混合が困難となる可能性があ 。また、粘度が5000Poiseを上回ると、反応器 の重合溶液粘度が上昇し、次工程へ重合溶 を送液できなくなり、管状ミキサーの故障 繋がる可能性がある。

 押し出し流れ反応器はループリアクター 対して直列に配置されることが好ましい。 た、該押し出し流れ反応器内の重合温度は 好ましくは、70~200℃、より好ましくは、90~1 80℃、さらに好ましくは、100~160℃である。重 合温度が、70~200℃であると、生産性がよく、 未反応N-置換マレイミド単量体(a3)の低減が十 分でき、重合体が静的混合用構造部にスケー ルとして付着することがない。

 押し出し流れ反応器から得られる重合溶 中の共重合体(A)含有率は、50~90重量%、より ましくは、60~90重量%、さらに好ましくは、6 0~85重量%とするのが好ましい。左記の含有率 することで、該押し出し流れ反応器から得 れる重合溶液中のN-置換マレイミド単量体(a 3)を1.0%以下、好ましくは0.5%以下、より好ま くは0.2%以下にすることができる。

 本発明では、好ましくは、押し出し流れ 応器で共重合体(A)の重合率が50~90重量%とな まで反応させる工程後の共重合体(A)の重量 均分子量(以下Mwとも言う)を、3万~15万、よ 好ましくは、5万~13万、さらに好ましくは、8 万~12万に制御する。尚、本発明でいう重量平 均分子量とは、多角度光散乱ゲルパーミエー ションクロマトグラフィー(GPC-MALLS)で測定し 絶対分子量での重量平均分子量を示す。共 合体(A)をABS樹脂と溶融ブレンドする観点と 流動性の観点から、Mwの上限としては15万で あることが好ましく、より好ましくは上限が 13万である。また、Mwの下限は、共重合体(A) 耐衝撃性と溶融滞留安定性の観点から3万で ることが好ましく、より好ましくは5万であ る。

 また本発明では、押し出し流れ反応器で 重合体(A)の重合率が50~90重量%となるまで反 させる工程において連続塊状重合法または 続溶液重合法を選択することにより、実質 に均一混合された状態で重合反応が進行し 比較的均質な分子量分布を有する共重合体 得ることができる。共重合体(A)の分子量分 (重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)としては 、好ましくは、2以下、より好ましい態様に いては、1.9以下の範囲である。重量平均分 量Mw/数平均分子量Mnが2以下の場合は、得ら る熱可塑性共重合体が成形加工性に優れる 向があり、好ましく使用することができる 尚、本発明でいう分子量分布(Mw/Mn)とは、多 度光散乱ゲルパーミエーションクロマトグ フィー(GPC-MALLS)で測定した絶対分子量での 量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)から 算出した数値を示す。

 本発明では、押し出し流れ反応器におけ 管状反応器の内壁温度は、好ましくは、70~2 00℃、より好ましくは、90~180℃、さらに好ま くは、100~160℃である。押し出し流れ反応器 に使用する管状反応器は全て同一の内壁温度 にすることも、各管状反応器で内壁温度を変 えることも可能である。

 本発明では、押し出し流れ反応器におけ 反応液の平均滞留時間を0.01~60分の範囲で行 うことが好ましく、より好ましくは0.1~45分で ある。管状反応器における反応液の平均滞留 時間を0.01~60分であると、重合率を十分に高 ることができ、最終的に得られる熱可塑性 重合体(A)の熱安定性が向上し、生産性も向 するため好ましい。

 本発明では、押し出し流れ反応器には、 段のループリアクターからの重合溶液の他 ビニル系単量体混合物(b)や各種有機溶媒、 合開始剤、連鎖移動剤、酸化防止剤、熱安 剤が供給されうる。押し出し流れ反応器へ 給するビニル系単量体混合物(b)を構成する 量体成分は、芳香族系ビニル化合物単位(b1) 、シアン化ビニル化合物単位(b2)、N-置換マレ イミド単位(b3)およびこれらと共重合可能な の単量体(b4)からなるビニル系単量体混合物 あることが好ましく、単量体混合物(a)と同 または異なる組成でもよい。ビニル系単量 混合物(b)の供給量は、単量体混合物(a)100重 %に対して0~30重量%、好ましくは、0~20重量% ある。

 押し出し流れ反応器へ供給する有機溶媒 、揮発分分離の容易性から、押し出し流れ 応器へ供給する有機溶媒と同等の有機溶媒 用いることが望ましい。静的混合用構造部 内部に有する1個以上の管状反応器を用いた 非循環ラインへ供給する有機溶媒の量は単量 体混合物(a)100重量部に対して0~30重量部、好 しくは0~20重量部である。

 押し出し流れ反応器へ供給する単量体混 物(b)や有機溶媒には、適時、重合開始剤や 鎖移動剤、酸化防止剤、熱安定剤を混合す ことができる。酸化防止剤としては、ヒン ードフェノール系、含硫黄有機化合物系お び含リン有機化合物系等であり、熱安定剤 しては、フェノール系やアクリレート系等 挙げられる。酸化防止剤、熱安定剤の供給 としては単量体混合物(a)に対して、0~2重量% が好ましい。その添加方法は、例えば、当該 押し出し流れ反応器の管状反応器入口に併設 したサイドラインより添加する方法や管状反 応器入口において、別に直列配置されたスタ ティックミキサーで予備混合し、当該管状反 応器に通す方法が好ましい。

 本発明の共重合体(A)の製造方法では、前 の通り得られた共重合体(A)を含む溶液を連 式脱揮装置に供給し、温度100℃以上300℃未 で、圧力が200Torr以下の減圧下において、連 続的に脱揮し、未反応原料混合物と共重合体 (A)を分離除去する工程を有することが好まし い。

 この脱揮工程における脱揮温度を100℃以 300℃未満で脱揮することにより、未反応単 体または重合溶媒である有機溶媒が除去さ 、結果として得られる熱可塑性共重合体(A) 熱安定性や製品品質が向上する。より好ま い脱揮温度は120以上280℃未満である。

 脱揮工程においては、圧力が200Torr以下の 減圧条件下であると効率よく未反応単量体ま たは未反応単量体と重合溶媒の混合物を分離 除去することができ、得られる熱可塑性共重 合体(A)の熱安定性や品質が低下しない。より 好ましい圧力は、100Torr以下、さらに好まし は50Torr以下である。なお、圧力の下限は、 ましくは、0.1Torrである。

 脱揮工程後の残留単量体の量は、少ない ど、熱安定性や製品品質の観点から好まし 。具体的な数字を挙げると、芳香族系ビニ 単量体は、1.0%以下が好ましく、より好まし くは、1000ppm以下であり、シアン化ビニル化 物単位は、500ppm以下が好ましく、より好ま くは、100ppm以下であり、N-置換マレイミド単 位は100ppm以下が好ましく、より好ましくは50p pm以下であり、有機溶媒は1000ppm以下が好まし く、より好ましくは500ppm以下である。

 脱揮を行う連続式脱揮装置としては、ベ トを有する一軸または二軸の押出機で加熱 常圧または減圧でベント口から揮発成分を 去する方法、遠心型などのプレートフィン 加熱器をドラムに内蔵する蒸発器で揮発成 を除去する方法、遠心型などの薄膜蒸発器 揮発成分を除去する方法、および多管式熱 換器を用いて予熱、発泡して真空槽へフラ シュして揮発成分を除去する方法などがあ 、いずれの方法も使用できる。脱揮を行う 続式脱揮装置は、特に、共重合体の熱分解 抑制可能であり、設備費用が安価である多 式熱交換器を用いて予熱、発泡して真空槽 フラッシュして揮発成分を除去する方法が ましい。連続式脱揮装置内の平均滞留時間 5~60分であり、より好ましくは10~45分である 上記連続式脱揮装置は、2機以上使用する事 も可能である。

 本発明では、単量体混合物(a)から共重合 (A)が生成する速度が10%/h以上であることが ましい。ポリマー生成速度が10%/h未満である と、生産性が低下し、連続重合のメリットが 低減する場合がある。なお、ポリマー生成速 度は20%/h以上であることがより好ましく、40%/ hであることがさらに好ましい。

 上記脱揮工程で除去した未反応単量体ま は、未反応単量体と有機溶媒の混合物を回 し、重合工程において全量リサイクルする とが好ましい。揮発成分は、脱揮工程にお て、減圧加熱状態で気化させられるため、 該揮発成分を回収する方法としては、コン ンサー付き蒸留機などの公知の冷却装置に じ、揮発成分を液体状として回収すること より、そのまま再度、重合工程において全 リサイクルすることができる。また、液体 に回収した揮発成分は、必要に応じて、公 の蒸留装置を用いて蒸留精製した後、重合 程でリサイクルすることも可能である。

 なお本発明においては、押し出し流れ反 器から得られる共重合体(A)溶液に含まれるN -置換マレイミド単量体(a3)が1.0%以下であるた め、揮発除去装置内でのオリゴマー発生や不 均一なポリマー組成分布を改善することがで きる。また、共重合体(A)の揮発成分を除去し た重合溶融体を押出して粒子化することによ り、共重合体(A)のペレットを得ることができ るが、得られた共重合体(A)は、脱揮工程以前 でN-置換マレイミド単量体(a3)がほぼ完全に消 費されているため、N-置換マレイミド単量体 来の黄色が改善し、ペレットYIが50以下とな り、より好ましくは40以下となる。

 本発明の熱可塑性共重合体の製造方法で られた共重合体(A)は、芳香族系ビニル単位2 0~80重量%、シアン化ビニル単位3~30重量%、N-置 換マレイミド単位10~50重量%であり、より好ま しくは芳香族系ビニル単位30~70重量%、シアン 化ビニル単位5~20重量%、N-置換マレイミド単 30~45重量%である。

 次に、上記連続重合ラインを用いた共重 体(A)の重合方法を、図1の工程図により具体 的に例示して、説明する。図1の工程図に記 のループリアクターは、本発明で用いるル プリアクターの一例である。また、図1の工 図では、静的混合用構造部を内部に有する1 個以上の管状反応器で構成される押し出し流 れ反応器として、プラグフローリアクターを 使用する。

 プランジャーポンプ(1)によって、原料モ マーとラジカル開始剤及び溶剤を静的混合 構造部を内部に有する管状反応器(2),(3)およ びとギアポンプ(4)とを有するループリアクタ ー(I)に送られる。ループリアクター内で、重 合液は循環しながら重合が進み、その一部の 重合液は、プラグフローリアクター(II)へ送 れる。ここで、ループリアクター内を循環 る重合液の流量と、プラグフローリアクタ へ流出する重合液の流量との比、還流比Rは プラグフローリアクター(II)に流出せずにル ープリアクター(I)内を還流する混合溶液の流 量をF1(リットル /時間)とし、ループリアク ー(I)からプラグフローリアクター(II)に流出 る混合溶液の流量F2(リットル/時間)とした 合、通常R=F1/F2が5~30の範囲であることが好ま しい。さらに、ループリアクターからプラグ フローリアクターに向かう接続部分の位置に あるサイドライン(5)からビニル系単量体混合 物(b)や各種有機溶媒、重合開始剤、連鎖移動 剤、酸化防止剤、熱安定剤を導入することが できる。

 次に、プラグフローリアクター(II)へ流出 した重合溶液は、静的混合用構造部を内部に 有する管状反応器管状反応器(6),(7)を経由す ことで、さらに重合が進行する。最終重合 含有率(重合率)を高くすることで、引き続い て行う揮発物除去工程へ導入するN-フェニル レイミド量を低減することが可能となる。

 次いで、予熱器(8)、脱揮装置(9)に送られ 減圧下にて未反応単量体および溶剤などを 去した後、ギアポンプ(10)から排出されペレ ット化することにより目的とする共重合体(A) が得られる。

 本発明で得られる熱可塑性共重合体は、A S樹脂やABS樹脂とブレンド押出し、耐熱ABS樹 組成物として利用される。ブレンドするAS樹 脂やABS樹脂、その他の添加剤やポリマーにつ いては特に制限はない。耐熱ABS樹脂は一般雑 貨以外にも自動車内外装部品や家庭用電気機 器など、種々の用途等に好適に用いられる。

 また、耐熱ABS樹脂組成物を成形品として 用する場合、その成形方法については特に 限はなく、具体例としては射出成形、押出 形、ブロー成形、カレンダ成形およびトラ スファ成形などがあり、生産性の観点から 出成形が好ましい。

 本発明の熱可塑性共重合体の製造方法を らに具体的に説明するため、以下に実施例 挙げて説明する。まず、熱可塑性共重合体 樹脂特性の分析方法を下記する。

 (1)重合率
 ガスクロマトグラフにより共重合体と残存 ニル単量体化合物(a)の重合溶液および仕込 原料溶液中の未反応単量体濃度(重量%)を定 し、下式より算出した。

       重合率=100×(1-M1/M0)。

 なお、各記号は下記の数値を示す。
M1=重合溶液中の未反応単量体濃度(重量%)
M0=仕込み原料溶液中の単量体濃度(重量%)。

 (2)N-置換マレイミド残存量
 脱揮工程に導入する前の共重合体各2gをア トン20gに溶解し、株式会社島津製作所製GC-14 Aガスクロマトグラフにより残存する未反応N- 置換マレイミド単量体を定量し、下式より含 有量を算出した。

       成分含有量(ppm)={α/P1}×1000000。

 なお、各記号は下記の数値を示す。
α =ガスクロマトグラフより定量した残存N- 換マレイミドの重量(g)
P1=サンプリングした重合溶液の重量(g)。

 (3)ポリマー生成速度
 反応系モノマー単量体(a)の供給量をX1(kg/h) 脱揮装置から排出される共重合体(A)の吐出 をX2(kg/h)とし、完全混合槽、管状反応器、脱 揮装置内の重合溶液のトータル滞留時間をτ( h)とし、下式より算出した。

       反応速度(%/h)=(X2/X1)/τ。

 (4)共重合体(A)の重量平均分子量・分子量分
 得られた共重合体(A)10mgをテトラヒドロフラ ン2gに溶解して、測定サンプルとした。テト ヒドロフランを溶媒として、DAWN-DSP型多角 光散乱光度計(Wyatt Technology社製)を備えたゲ パーミエーションクロマトグラフ(ポンプ:51 5型,Waters社製、カラム:TSK-gel-GMHXL,東ソー社製) を用いて、温度30℃、流速1.0mL/分の条件で重 平均分子量Mw(絶対分子量)、数平均分子量Mn( 絶対分子量)を測定した。分子量分布は、重 平均分子量(絶対分子量)/数平均分子量(絶対 子量)から算出した。

 (5)共重合体(A)の色調(YI値)
 JIS K7103(1977年版)に準拠して測定した。

 (6)ガラス転移温度(Tg)
 示差走査熱量計(Perkin Elmer社製DSC-7型)を用 、窒素雰囲気下、20℃/minの昇温速度で測定 た。

 (7)各成分組成分析
 重ジメチルスルフォキシド中、30℃で 1 H-NMRを測定し、各共重合単位の組成決定を行 た。

 (8)ブリード量
 得られた共重合体(A)ペレット15gを80℃で3時 乾燥させた後、下部に配置した270℃熱プレ トに平敷きとする。スペーサーを用い上部 レートの隙間を4mmに調整し、10分間加熱後 上部プレートを外す。上部プレートに付着 たブリード物を秤量し、試料15gに含まれる リード量(重量%)を求めた。

 [実施例1]
 図1に示す連続重合装置を用いて、下記処方 の単量体混合物を5.75kg/h(モノマー5.0kg/hとメ ルエチルケトン0.75kg/h)の速度で連続的にプ ンジャーポンプ(1)より供給した。ループリ クターは、内径2.5インチ管状反応器(スイス ゲブリューター・ズルツァー社製SMX型スタ ィックミキサー・静的ミキシングエレメン 30個内蔵、伝熱面積130m 2 /m 3 )(2)、(3)と混合溶液を循環させるためのギア ンプ(4)から構成されている。還流比(R=F1/F2) 20であった。ループリアクター(I)の重合温度 は110℃、反応器(2)、(3)の内壁温度は115℃、平 均滞留時間1時間で連続重合を行った。重合 は70重量%であった。

 プラグフローリアクター(II)は、内径2.5イ ンチ管状反応器(6)、(7)から構成されており、 管状反応器(6)、(7)の内壁温度は135℃、重合温 度は130℃、滞留時間30分間であった。管状反 器(7)出口の重合溶液の重合率は84重量%であ 、N-フェニルマレイミド残存量は、1500ppmで った。

 アクリロニトリル                    12.3重量%
 スチレン                        51.2重量%
 N-フェニルマレイミド                36.5重量%
 (以下、単量体混合物100重量部に対して)
 メチルエチルケトン                   15.0重量部
 1,1″-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキ ン 0.005重量部
 n-オクチルメルカプタン                 0.10重量部。

 続いて、重合溶液を260℃に加熱した熱交 器(8)と脱揮タンク(9)に供給し、30分間、圧 20Torrにて、脱揮反応を行い、ペレット状の 可塑性共重合体(A-1)を得た。得られたポリマ ーの量は4.2kg/hであり、トータル滞留時間は2 間、ポリマー生成速度は42%/hであった。こ 共重合体(A-1)のMwは120000、Mw/Mnは1.5であった

 [実施例2]
 1,1″-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキ ンをしなかった以外は実施例1と同様の処方 連続重合を行った。ループリアクター(I)で 重合率は65重量%、プラグフローリアクター( II)の内壁温度は140℃であり、重合温度は135℃ 、重合率は84重量%、N-フェニルマレイミド残 量は2000ppmであった。脱揮反応は実施例1と 様であった。得られたポリマーの量は4.2kg/h あり、ポリマー生成速度は42%/hであった。 の共重合体(A-2)のMwは115000、Mw/Mnは1.4であっ 。

 [実施例3]
 アクリロニトリル9重量部、スチレン55重量 、N-フェニルマレイミド36重量部とした以外 は実施例1と同様の処方で連続重合を行った ループリアクター(I)の重合率は65重量%であ 、プラグフローリアクター(II)の重合率は88 量%、N-フェニルマレイミド残存量は1000ppmで った。得られたポリマーの量は4.4kg/hであり 、ポリマー生成速度は44%/hであった。この共 合体(A-3)のMwは110000、Mw/Mnは1.5であった。

 [実施例4](ループリアクター)
 n-オクチルメルカプタン0.17重量部とした以 は実施例1と同様の処方で連続重合を行った 。得られたポリマーの量は4.2kg/hであり、ポ マー生成速度は42%/hであった。この共重合体 (A-4)のMwは85000、Mw/Mnは1.5であった。

 [実施例5]
 有機溶媒であるメチルエチルケトンと1,1″- ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサンを 用しなかった以外は、実施例1と同様の処方 連続重合を行った。単量体混合物を10kg/hの 度で連続供給した。ループリアクター(I)の 均滞留時間は35分であり、重合率は70重量% あった。プラグフローリアクター(II)の内壁 度は135℃であり、重合温度は130℃、平均滞 時間は17分、重合率85重量%であり、N-フェニ ルマレイミド残存量は700ppmであった。続いて 脱揮反応を行い、ペレット状の熱可塑性共重 合体(A-5)を得た。得られたポリマーの量は8.5k g/hであり、トータル滞留時間は1.37時間、ポ マー生成速度は62%/hであった。この共重合体 (A-5)のMwは120000、Mw/Mnは1.5であった。

 [実施例6]
 上記実施例1の条件のうち、重合溶液を260℃ に加熱した脱揮タンクに供給し、120分間、圧 力250Torrにて、脱揮反応を行なった以外は同 の条件で実施した。ポリマー生成速度24%/hで あり、得られたペレットは脱揮反応器で長時 間高温で滞留していたために黄色を呈してい た。この共重合体(A-6)のMwは170000、Mw/Mnは2.3で あった。 

 [実施例7]
 上記実施例1の条件のうち、MEK量50重量部と た以外は同様の条件で実施した。単量体混 物を7.5kg/hの速度で連続供給した(モノマー5. 0kg/hとメチルエチルケトン2.5kg/h)。ループリ クター(I)の平均滞留時間は45分であり、重合 率は30重量%であった。

 プラグフローリアクター(II)の重合温度は 130℃、平均滞留時間は23分であり、重合率40 量%であり、N-フェニルマレイミド残存量は15 000ppmであった。60分間脱揮反応を行い、ペレ ト状の熱可塑性共重合体(A-7)を得た。得ら たポリマーの量は2.0kg/hであり、得られたペ ットが黄色を呈していた。トータル滞留時 は2.1時間、ポリマー生成速度は19%/hであっ 。この共重合体(A-7)のMwは40000、Mw/Mnは2.2であ った。

 [比較例1](完全混合槽)
 容量が20リットルで、ダブルヘリカル型撹 翼を備えたステンレス製オートクレーブに 20L/分の窒素ガスで15分間バブリングした下 処方の単量体混合物を5kg/h(モノマー5.0kg/hと チルエチルケトン0.75kg/h)の速度で連続的に 給し、50rpmで撹拌し、内温が110℃に制御し 平均滞留時間2時間で、連続重合を行った。 合率は70重量%であり、N-フェニルマレイミ 残存量は30000ppmであった。

 アクリロニトリル                    12.3重量%
 スチレン                        51.2重量%
 N-フェニルマレイミド                36.5重量%
 (以下、単量体混合物100重量部に対して)
 メチルエチルケトン                  15.0重量部
 1,1″-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキ ン 0.01重量部
 n-オクチルメルカプタン                0.20重量部。

 続いて、重合溶液を260℃に加熱した脱揮 ンクに供給し、30分間、圧力20Torrにて、脱 反応を行い、ペレット状の熱可塑性共重合 (A-6)を得た。脱揮配管内に大量のN-フェニル レイミドが残留し、テスト開始後24時間で イン閉塞した。この共重合体(A-8)のMwは40000 Mw/Mnは1.5であった。得られたペレットは残存 イミドモノマにより黄色を呈していた。

 [比較例2](完全混合槽)
 容量が20リットルで、ダブルヘリカル型撹 翼を備えたステンレス製オートクレーブに 20L/分の窒素ガスで15分間バブリングした下 処方の単量体混合物を5.75kg/hの速度で連続的 に供給し、50rpmで撹拌し、内温を110℃に制御 、平均滞留時間2時間で、連続重合を行った 。重合率は70重量%であった。ダブルヘリカル 型撹拌翼を備えたステンレス製オートクレー ブは、完全混合型の反応器である。

 アクリロニトリル                    12.3重量%
 スチレン                        51.2重量%
 N-フェニルマレイミド                36.5重量%
 (以下、単量体混合物100重量部に対して)
 メチルエチルケトン                  15.0重量部
 1,1″-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキ ン 0.005重量部
 n-オクチルメルカプタン                0.20重量部。

 続いて、前重合工程で得られた重合溶液を 続的に抜き出し、ギアポンプを用い、内径2 .5インチ管状反応器(スイス国ゲブリューター ・ズルツァー社製SMX型スタティックミキサー ・静的ミキシングエレメント30個内蔵、伝熱 積130m 2 /m 3 )に連続的に供給し、重合反応を行った。こ 時の管型反応器の重合温度は130℃であり、 均滞留時間は30分であり、重合率84重量%であ り、N-フェニルマレイミド残存量は、1500ppmで あった。管状反応器は、ダブルヘリカル型撹 拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに 直列に配置されていた。

 続いて、重合溶液を260℃に加熱した脱揮 ンクに供給し、30分間、圧力20Torrにて、脱 反応を行い、ペレット状の熱可塑性共重合 (A-9)を得た。得られたポリマーの量は4.2kg/h あり、トータル滞留時間は3時間、ポリマー 成速度は28%/hであった。この共重合体(A-9)の Mwは、120000、Mw/Mnは1.5であった。

 上記の実施例1~7と比較例1および2の熱可 性共重合体の製造条件を表1に、また得られ 熱可塑性共重合体の特性等を表2にまとめて 示す。

 実施例1~7の結果から明らかなように、本 明の熱可塑性共重合体の製造方法で得られ 熱可塑性共重合体は、脱揮工程の配管が閉 することはなく、残存N-置換マレイミドが ない熱可塑性共重合体であった。特に、実 例1~5の熱可塑性共重合体の製造方法は、生 効率がよく、操業上の問題も解決されてお 、さらに得られた熱可塑性共重合体は分子 、分子量分布、色調(YI値)、成形機金型汚れ( ブリード量)、耐熱性(ガラス転移温度)の全て において比較例に対して優れていた。

 比較例1および2は、ループリアクターを していないため、本発明の製造方法と異な 。比較例1では残存N-置換マレイミドの影響 ら脱揮工程の配管が閉塞した。また、比較 2は同じ実施例1と同じ組成の熱可塑性共重合 体を製造するにあたって実施例1よりもポリ ー生成速度において劣り、本発明の熱可塑 共重合体の製造方法は生産性に優れること 示された。

 本発明の熱可塑性共重合体の製造方法で られる熱可塑性共重合体は、AS樹脂やABS樹 とブレンド押出し、耐熱ABS樹脂組成物とし 自動車内外装部品や家庭用電気機器等に幅 く利用される。