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Title:
PROCESS FOR RECOVERY OF VALUABLE METALS FROM SCRAP IZO
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/110149
Kind Code:
A1
Abstract:
A process for the recovery of valuable metals from scrap IZO, characterized by conducting electrolysis by using an insoluble electrode as the anode and scrap IZO as the cathode to recover metallic indium and zinc or suboxides of both. The invention provides a process for recovering indium and zinc efficiently from scrap IZO such as indium zinc oxide (IZO) sputtering targets or IZO remnants generated in the production.

Inventors:
SHINDO YUICHIRO (JP)
TAKEMOTO KOUICHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/072297
Publication Date:
September 11, 2009
Filing Date:
December 09, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NIPPON MINING CO (JP)
SHINDO YUICHIRO (JP)
TAKEMOTO KOUICHI (JP)
International Classes:
C25C1/16; C22B3/44; C22B5/12; C22B7/00; C22B19/30; C22B58/00; C25C1/22
Foreign References:
JP2003247089A2003-09-05
JPH0860264A1996-03-05
JPH01219186A1989-09-01
JP2007131953A2007-05-31
JPS62290900A1987-12-17
JPH0841560A1996-02-13
JPH0382720A1991-04-08
JP2000169991A2000-06-20
JP2002069684A2002-03-08
JP2002069544A2002-03-08
JP2002241865A2002-08-28
Other References:
See also references of EP 2248930A4
Attorney, Agent or Firm:
OGOSHI, Isamu (JP)
Isamu Ogoshi (JP)
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Claims:
 アノードに不溶性電極を使用すると共に、カソードにIZOスクラップを使用して電解することにより、IZOスクラップをインジウム及び亜鉛のメタル又は亜酸化物として回収することを特徴とするIZOスクラップからの有価金属の回収方法。
 電解時にカソードに発生する水素によりIZOスクラップをメタル又は亜酸化物に還元することを特徴とする請求項1記載のIZOスクラップからの有価金属の回収方法。
 カソードに生成したメタル又は亜酸化物を酸で溶解し、溶解液として回収することを特徴とする請求項1又は2記載のIZOスクラップからの有価金属の回収方法。
 カソードに生成したメタル又は亜酸化物を酸又はアルカリで溶解し、その溶解液から亜鉛を除去し、除去後の溶液から電解採取によりインジウムを回収することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のIZOスクラップからの有価金属の回収方法。
 回収したメタル又は亜酸化物の溶解液から水酸化物として回収することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のIZOスクラップからの有価金属の回収方法。
 回収したメタルの溶解液を電解により、インジウム亜鉛合金として回収することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のIZOスクラップからの有価金属の回収方法。
 インジウム及び又は亜鉛の水酸化物又は亜酸化物を焙焼し、これらの酸化物として回収することを特徴とする請求項5記載のIZOスクラップからの有価金属の回収方法。
Description:
IZOスクラップからの有価金属の 収方法

 この発明は、使用済みインジウム-亜鉛酸 化物(IZO)スパッタリングターゲット又は製造 に発生するIZOスクラップ(本願明細書におい ては、これらを「IZOスクラップ」と総称する )からの有価金属の回収方法に関する。なお 本願明細書で記載する「有価金属の回収」 、有価金属を構成要素とするメタル、メタ を含有する溶解液、合金、水酸化物、酸化 、亜酸化物を含むものとする。

 近年、インジウム-亜鉛酸化物(In 2 O 3 -ZnO:一般にIZOと称呼されている)スパッタリン グターゲットは液晶表示装置の透明導電性薄 膜やガスセンサーなど多数の電子部品に広く 使用されているが、多くの場合スパッタリン グ法による薄膜形成手段を用いて形成されて いる。IZOは導電性のある代表的な酸化物であ る。

 このスパッタリング法による薄膜形成手段 優れた方法であるが、スパッタリングター ットを用いて、例えば透明導電性薄膜を形 していくと、該ターゲットは均一に消耗し いく訳ではない。このターゲットの一部の 耗が激しい部分を一般にエロージョン部と んでいるが、このエロージョン部の消耗が 行し、ターゲットを支持するバッキングプ ートが剥き出しになる直前までスパッタリ グ操作を続行する。そして、その後は新し ターゲットと交換している。
 したがって、使用済みのスパッタリングタ ゲットには多くの非エロージョン部、すな ち未使用のターゲット部分が残存すること なり、これらのIZOは全てスクラップとなる また、スパッタリングターゲットの製造時 おいても、研磨粉や切削粉からスクラップ( 端材)が発生する。

 IZOスパッタリングターゲット材料に使用さ るインジウムは価格が高いので、一般にこ ようなスクラップ材からインジウムを回収 ることが、そしてまた、必要に応じて亜鉛 回収することも行われている。このインジ ム回収方法として、従来酸溶解法、イオン 換法、溶媒抽出法などの湿式精製を組合せ 方法が用いられている。
 例えば、IZOスクラップを洗浄及び粉砕後、 酸に溶解し、溶解液に硫化水素を通して、 鉛、錫、鉛、銅などの不純物を硫化物とし 沈殿除去した後、これにアルカリを加えて 和し、水酸化インジウムとして回収する方 である。
 しかし、この方法によって得られた水酸化 ンジウムは、ろ過性が悪く操作に長時間を し、Si、Al等の不純物が多く、また生成する 水酸化インジウムはその中和条件及び熟成条 件等により、粒径や粒度分布が変動するため 、その後IZOターゲットを製造する際に、IZOタ ーゲットの特性を安定して維持できないとい う問題があった。

 以下に、従来技術とその利害得失を紹介す 。
 その一つとして、基板上に被着されたITO膜 電解液中で電気化学的反応により還元させ さらにこの還元された透明導電膜を電解液 溶解させる透明導電膜のエッチング方法が る(特許文献1参照)。但し、目的がマスクパ ーンを高精度で得る方法であり、回収方法 は異なる技術である。材料も基本的に異な 。
 ITOからの有価金属を回収するための事前処 として、バッキングプレートとの接合に用 ていたIn系のロウ材に含まれる不純物を電 液中で分離する技術がある(特許文献2参照) しかし、これはITOから有価金属を回収する 接的な技術に関するものではない。この技 は、IZOでなく、材料が基本的に異なる。

 亜鉛精錬工程の副産物として得られる中間 又はITOスクラップからインジウムを回収す 際に、錫をハロゲン化錫酸塩として分離し 後、塩酸又は硝酸水溶液で還元処理し、次 でこの水溶液のpHを2~5に調整して、鉄、亜 、銅、タリウム等の金属イオンを還元し沈 しにくい物質とし、水溶液中のインジウム 分を分離する技術が開示されている(特許文 3参照)。この技術は精製工程が複雑で、精 効果もそれほど期待できない問題がある。
 また、高純度インジウムの回収方法として ITOを塩酸で溶解し、これにアルカリを加え pHが0.5~4となるようにし、錫を水酸化物とし て除去し、次に硫化水素ガスを吹き込み銅、 鉛等の有害物を硫化物として除去し、次いで この溶解液を用いて電解によりインジウムメ タルを電解採取する技術が開示されている( 許文献4参照)。この技術も精製工程が複雑で あるという問題がある。材料も基本的に異な る。

 ITOインジウム含有スクラップを塩酸で溶 して塩化インジウム溶液とし、この溶液に 酸化ナトリウム水溶液を添加して錫を水酸 錫として除去し、除去後さらに水酸化ナト ウム水溶液を添加して水酸化インジウムと て、これをろ過し、ろ過後の水酸化インジ ムを硫酸インジウムとし、これを用いて電 採取によりインジウムとする方法がある(特 許文献5参照)。これは精製効果が大きく有効 方法であるが、工程が複雑であるという不 な点がある。

 ITOインジウム含有スクラップを塩酸で溶 して塩化インジウム溶液とする工程、該塩 インジウム溶液に水酸化ナトリウム水溶液 添加してスクラップ中に含有する錫を水酸 錫として除去する工程、該水酸化錫を除去 た後液から亜鉛によりインジウムを置換、 収する工程からなるインジウムの回収方法 ある(特許文献6参照)。この方法も、精製効 が大きく有効な方法であるが、工程が複雑 あるという不利な点がある。この技術は、I ZOでなく、材料も本願発明とは、基本的に異 る。

 溶融金属インジウムの上に浮上する亜酸化 含有鋳造スクラップを取り出して雰囲気炉 挿入し、一度炉を真空にした後、アルゴン スを導入し、所定温度に加熱して亜酸化物 有鋳造スクラップを還元する金属インジウ の回収方法を開示する(特許文献7参照)。
 これ自体は有効な方法であるが、IZOのスク ップの基本的な回収方法ではないという欠 がある。また、この技術はIZOでなく、材料 本願発明とは、基本的に異なる。
 以上から、効率的かつ回収工程に汎用性が る方法が求められている。

特開昭62-290900号公報

特開平8-41560号公報

特開平3-82720号公報

特開2000-169991号公報

特開2002-69684号公報

特開2002-69544号公報

特開2002-241865号公報

 本発明は、上記の問題を解決するために IZOスクラップ又はターゲットの製造時等に 生するIZO端材等のスクラップから、有価金 を効率良く回収する方法を提供することに る。

 本発明は、アノードに不溶性電極を使用し カソードにIZOスクラップを使用して電解す ことにより、当該カソードのスクラップを タル又は亜酸化物に還元するIZOスクラップ らの有価金属の回収方法を提供する。「有 金属の回収」は、有価金属を構成要素とす メタル、メタルを含有する溶解液、合金、 酸化物、酸化物、亜酸化物を含むものであ 。
 一般に、例えばIZO等のスクラップは酸化物 セラミックスであるから、本来電解法で有 金属を回収することを予想することはでき い。しかし、このIZO自体が酸化物系セラミ クスであるにもかかわらず導電性を有する 本願発明はここに着目し、電解による有価 属(例えば、IZOの場合は、インジウム又は亜 鉛及びこれらの化合物)の回収を試み、それ 可能としたものである。
 このことが本願発明の大きな特徴の一つで る。従来は、回収すべき原材料である金属 クラップをアノードにすることが常であり 本願発明のように逆転した発想の技術は存 せず、またこの方法を示唆するような一切 文献も存在していない。
 したがって、本願発明の導電性のある酸化 を含有するスクラップからの有価金属の回 方法は基本発明となるものである。

 IZOは、それ自体が導電性を備えているこ は既に知られていることであるが、これは 結体である酸化物の酸素欠損によるものと えられている。本願発明は、この酸化物そ 自体の導電性を利用するものであるが、酸 物自体に備わる導電性が、電解による有価 属の回収が可能であるという知見と判断さ には多くの実験を行わなければ実現できな ものであることは理解されるべきものであ 。

 従来のIZOスクラップの回収を行なう場合に 、IZOスクラップを粉砕し、これを強酸で溶 し、還元、置換、硫化、析出、中和、濾過 溶媒抽出、イオン交換、鋳造等の複数の工 を、適宜組合せる工程を経て製造されてい 。
 これらの工程において問題となるのは、IZO クラップの粉砕工程で不純物が混入するこ であり、その後の工程で、粉砕工程で混入 た不純物を、さらに除去する必要があるの 、工程がより煩雑になるということである
 したがって、IZOスクラップから電解により 接有価金属を回収できることは、極めて大 な利点を持つことが理解できるであろう。

 また、本発明は電解時にカソードに発生す 水素によりIZOスクラップをインジウム及び 鉛のメタル又は亜酸化物に還元する前記IZO クラップからの有価金属の回収方法及びカ ードに生成したメタル又は亜酸化物を酸で 解し、溶解液として回収する前記IZOスクラ プからの有価金属の回収方法を提供する。
 また、本発明は、カソードに生成したメタ 又は亜酸化物を酸又はアルカリで溶解し、 の溶解液から亜鉛を除去し、除去後の溶液 ら電解採取によりインジウムメタルを回収 る前記IZOスクラップからの有価金属の回収 法、回収したメタル溶解液から水酸化物と て回収する前記IZOスクラップからの有価金 の回収方法、及び回収したメタルの溶解液 電解により、メタル又は合金として回収す 前記IZOスクラップからの有価金属の回収方 を提供する。

 さらに、インジウム及び又は亜鉛の水酸化 若しくは亜酸化物若しくはこれらの混合物 焙焼して、これらの酸化物又は複合酸化物 しくは酸化物の混合物として回収する前記I ZOスクラップからの有価金属の回収方法を提 する。
 IZOスクラップからの有価金属の回収に際し は、電解液のpHを酸性領域に調整して電解 、カソードのIZOスクラップをメタルに還元 ることができる。上記で回収したメタル溶 液は、その構成メタルの一部(亜鉛)を、中和 法、溶媒抽出法等により除去し、さらにその 溶液から電解採取によりインジウムの有価金 属を回収することが可能となる。

 また、上記に回収した溶解液は、該溶液 pHを3~11に調整して、水酸化物又は2種の水酸 化物の混合物として回収することができる。 このようにして回収したインジウム又は亜鉛 の水酸化物とインジウム及び亜鉛の水酸化物 の混合物は、さらに焙焼して、これらの酸化 物とし又は酸化物の混合物として回収するこ とができる。

 上記の通り、本願発明のIZOスクラップか の有価金属の回収は、電解に供するIZOスク ップ自体が高純度の材料からなるスクラッ であれば、その純度はそのまま維持でき、 純度の有価金属を構成要素とするインジウ 及び又は亜鉛のメタル、これらのメタルを 有する溶解液、高純度の合金、高純度のイ ジウム及び又は亜鉛の水酸化物又はこれら 水酸化物の混合物、高純度のインジウム及 又は亜鉛の酸化物又は亜酸化物若しくはこ らの混合物として回収することが可能であ 。

 これは、本願発明の著しい利点であること 言うまでもない。従来の煩雑な工程及び製 途中で混入する不純物を除去する工程を必 とせず、生産効率を上昇させ、高純度の有 金属の回収が可能となるという優れたメリ トを有するものである。
 また、電流密度等の電解条件は、端材等の クラップであるために一義的に決められる のではなく、電流密度はその端材の量や材 の性質に応じて適宜選択して実施する。電 質溶液の液温は、通常0~100°Cの範囲とする 、室温(15~30°C)で十分である。

 インジウム-亜鉛酸化物(IZO)等のスパッタ ングターゲット又は製造時に発生するIZOス ラップを使用し、アノードに不溶性電極及 IZOスクラップをカソードとして電解するだ なので、極めて簡便にインジウム及び又は 鉛のメタル、これらのメタルを含有する溶 液、インジウム及び亜鉛の合金、インジウ 及び又は亜鉛の水酸化物又は水酸化物の混 物、インジウム及び又は亜鉛の酸化物若し は亜酸化物又はこれらの混合物として効率 く回収することができるという優れた方法 ある。

 さらに、本願発明のIZOスクラップからの 価金属の回収は、電解に供するIZOスクラッ 自体が高純度の材料からなるスクラップで れば、その純度はそのまま維持でき、上記 材料を回収することができる。これは、本 発明の著しい利点である。従来の煩雑な工 及び製造途中で混入する不純物を除去する 程を必要とせず、生産効率を上昇させ、高 度の有価金属の回収が可能となるという優 たメリットを有する。

 本発明は、IZOターゲット等の有価金属を含 するスクラップを、電解により、簡便にイ ジウム及び又は亜鉛のメタル、これらのメ ルを含有する溶解液、インジウム及亜鉛の 金、インジウム及び又は亜鉛の水酸化物、 酸化物の混合物として効率良く回収するこ ができる。さらに得られた水酸化物又は水 化物の混合物を焙焼することにより、イン ウム及び又は亜鉛の酸化物又は酸化物の混 物として効率良く回収することができる。
 焙焼温度としては、100~1000°Cとする。好ま くは100~500°Cとするのが良い。100°C未満では 分が残り、1000°Cを超えると焼結してしまう ので、上記の範囲とする。但し、材料によっ ては、この範囲を超えることがあることは言 うまでもない。一般的な焙焼条件の目安とし て提案したものである。

 電解液としては、上記の通り、硫酸ナト ウム、塩化ナトリウム、硝酸ナトリウム、 酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸 ンモニウム、塩化カリウム、硝酸カリウム 硫酸カリウムなどの溶液を任意に選択して 用することができる。なお、陽イオンがア モニア系の場合は、アンモニアガスの発生 排水処理での窒素負荷があるので、その処 に注意を要する。また、陰イオンが塩素系 場合は、塩素ガスの発生があり、また硝酸 の場合はNOxガスの発生と排水の窒素負荷が るので、その処理に注意を要する。

 硫酸系ではこれらの問題は殆んどないので 硫酸系は好適な材料と言える。しかし、そ 他の電解液の使用も、上記の問題を解決で れば、使用を妨げる理由は存在しない。
 この他に、電流効率を上げるために、一般 知られている公知の添加材を使用すること 可能である。このように、再生した2種以上 の酸化物が同時に回収でき、再生製品に近い ものであれば、再生効率が高くなることは容 易に理解されるであろう。

 電解装置として特別なものは必要としない 例えば電解するIZOスクラップをカソードと 、アノードとしてはカーボン、貴金属等か なる不溶性の電極を用いて電解すれば良い これによって、IZOスクラップに含有されて る以上の不純物の増加又は混入を避けるこ ができる。
 また、電解液のpHを7以下に調整して電解す ことが望ましい。これは還元する好適な条 であり、それはカソードより水素ガスを発 させて酸化物をメタルに還元させるという 由による。なお、好ましいpHは例示したも であって、スクラップ材料の相異により替 得るものであることは、容易に理解される きものである。
 電解条件は原料の種類により、適宜に調整 ることが望ましい。この場合に調整する要 は、生産効率のみである。一般に、大電流 高電圧で電解する方が、生産性が良いと言 る。しかし、これらの条件に限定される必 はなく、その選択は任意である。

 また、電解温度も特に制限はないが、0~100° Cに調整して電解することが望ましい。室温 十分電解することができる。端材となった クラップは、それぞれカソードボックス(籠) に入れて電解すれば良い。スクラップ自体が 所定の大きさ(電極として使用できるサイズ) 有するものは、そのまま電極板として使用 ることができる。
 不溶性の電極からなるアノード及びIZOスク ップからなるカソードに通電し、電解を開 すると、アノードでは酸素ガスが発生する 、特に問題となるものではない。

 他方、IZOスクラップのカソードでは、通電 始と共に水素ガスが発生し、IZOスクラップ 水素還元され、メタルとなる(IZO+H 2 →In-Znメタル)。水素の発生は水の電気分解に よる(H 2 O→1/2H 2 +OH - )。
 しかし、通電時間が長くなると、IZOスクラ プのカソードの表面に若干の厚みのメタル( In、Sn)が蓄積し、このメタル表層の下に、ス ンジ状のメタルの亜酸化物が形成され、そ 以上の還元が抑制されるので、電解を中止 るなどして、生成したメタル及び当該メタ の亜酸化物を、酸を用いて溶解させ、新し IZO表面を露出させることが望ましい。これ よって、新生面が現れさらに還元が進行す 。

 上記に回収したメタル溶解液は、中和法 置換法、加水分解法等により亜鉛を除去し さらに亜鉛除去後の溶液から電解採取によ 、インジウムを回収することが可能となる 中和法では、水酸化ナトリウム、水酸化カ ウム、アンモニア等のアルカリ性の液で中 し、pH3~5で水酸化インジウム沈殿させ、亜 を溶液中に残存させて分離する。

 また、pH5以上では、インジウムと亜鉛の 酸化物の混合物として回収することもでき 。このようにして回収した水酸化物は、さ に100~1000°Cで焙焼して酸化物として回収す ことができる。

 このようにして得た酸化物を、そのまま製 の原料として使用することができる。また 必要に応じ、さらに酸化物を補充又は添加 て、その成分量を替え、あるいは他の元素 は化合物を添加して、焼結し再生ターゲッ とすることも容易になし得るものである。 願発明はこれらを全て包含する。
 一方、上記に回収したインジウム及び亜鉛 メタル溶解液を電解することにより、合金 して回収することもできる。

 いずれも、アノードに不溶性電極を使用し カソードのIZOスクラップをメタルに還元し このメタルを、さらに酸で溶解して得たメ ル溶解液を使用することを前提としたもの ある。
 このメタル溶解液から、さらに必要とする 態、すなわちインジウム及び亜鉛のメタル これらの合金、インジウム及び又は亜鉛の タルの溶解液、インジウム及び又は亜鉛の 酸化物、インジウム及び又は亜鉛の酸化物 して回収することが可能となる。

 次に、実施例について説明する。なお、本 施例は発明の一例を示すためのものであり 本発明はこれらの実施例に制限されるもの はない。すなわち、本発明の技術思想に含 れる他の態様及び変形を含むものである。
 (実施例1)
 IZO(酸化インジウム-酸化亜鉛)の板状端材(ス クラップ)290gを原料とした。この原料中の成 は酸化亜鉛(ZnO)が10.7wt%、残部酸化インジウ (In 2 O 3 )であった。
 この原料をカソードとし、アノードには、 溶性電極であるカーボンを使用した。硫酸 トリウム70g/Lを含有する電解液1Lを使用し、 pH:2.0、電解温度:30°Cとして電解を行った。電 圧は10V(定電圧)で実施した。
 この結果、IZO端材の表面はIn及びZnメタルと 、内部は亜酸化物のスポンジ状となっていた 。

(実施例2)
 電解することにより得たIn及びZnメタル及び 亜酸化物を硫酸で酸浸出してインジウムと亜 鉛の溶液とし、この溶液をpH4.0に調整してイ ジウムを水酸化インジウムとして得た。さ に、この水酸化インジウムを硫酸で溶解し 電解温度30°C、電流密度2A/dm 2 で電解採取した。
 以上により、IZOスクラップから約20gのInの 価金属を回収することができた。

(実施例3)
 実施例1のIZO端材をカソードに、アノードに Ptを用い、硝酸ナトリウム100g/Lの液を用いて pH:1.0、電解温度:30°Cとして電解を行った。 圧は10V(定電圧)で実施した。
 この結果、実施例1と同様に、IZO端材の表面 はIn及びZnメタルであり、内部は亜酸化物の ポンジ状となっており、インジウム、亜鉛 びこれらの亜酸化物が得られた。電解によ 合計量は、インジウムと亜鉛のメタル換算 約24gであった。

(実施例4)
 電圧を5Vで一定とし、他の条件は実施例1と 様の条件で電解した。積算電流量も同じと た。この結果、実施例1と同様に、IZO端材の 表面はIn及びZnメタルであり、内部は亜酸化 のスポンジ状となっていた。インジウム、 鉛及びこれらの亜酸化物が得られ、電解に る合計量はインジウムと亜鉛のメタル換算 約15gであった。

(実施例5)
 電圧を2Vで一定とし、他の条件は実施例1と 様の条件で電解した。積算電流量も同じと た。この結果、実施例1と同様に、IZO端材の 表面はIn及びZnメタルであり、内部は亜酸化 のスポンジ状となっていた。インジウム、 鉛及びこれらの亜酸化物が得られ、電解に る合計量はインジウムと亜鉛のメタル換算 約10gであった。

(実施例6)
 電圧を20Vで一定とし、他の条件は実施例1と 同様の条件で電解した。積算電流量も同じと した。この結果、実施例1と同様に、IZO端材 表面はIn及びZnメタルであり、内部は亜酸化 のスポンジ状となっていた。インジウム、 鉛及びこれらの亜酸化物が得られ、電解に る合計量はインジウムと亜鉛のメタル換算 約22gであった。

(実施例7)
 板状端材(スクラップ)をカソードボックス 10kg入れ原料とした。この原料中の成分は酸 亜鉛(ZnO)が10.7wt%、残部酸化インジウム(In 2 O 3 )であった。
 この原料をカソードとし、アノードにはPt 使用した。塩化ナトリウム100g/Lを含有する 解液1Lを使用し、pH:3.0、電解温度:30°Cとして 電解を行った。電圧10V(定電圧)で実施した。 の結果、インジウム、亜鉛及びこれらの亜 化物が得られ、電解による合計量はインジ ムと亜鉛のメタル換算で約2.5kgであった。 の混合物の純度は、実施例1と同程度であっ 。

(比較例1)
 実施例1と同様のIZO(酸化インジウム-酸化亜 )スクラップ2kgを原料とした。この原料中の 成分は酸化亜鉛(ZnO 2 )が10.7wt%、残部酸化インジウム(In 2 O 3 )であった。これをカソードとし、アノード 不溶性カーボンを用いた。電解条件としてpH 12で電解した。
 この結果、カソードには何らの変化も現れ 、インジウム、亜鉛及びこれらの亜酸化物 回収はできなかった。

 上記の実施例においては、いずれも酸化亜 (ZnO)が9.7wt%、残部酸化インジウム(In 2 O 3 )であるIZO(酸化インジウム-酸化亜鉛)端材又 スクラップを使用したが、In 2 O 3 及びZnOの成分量に応じて、電流密度、pH等の 解条件を任意に変えることが可能であり、 の原料の成分量に特に制限される必要がな ことは言うまでもない。特に、IZOは酸化亜 (ZnO)の含有量を5wt%~30wt%まで、変化させるこ があるが、このような場合でも、本発明は 分に適用できる。
 また、IZOにさらに少量の副成分を添加した のもあるが、基本的にIZOが基本成分であれ 、本願発明は、これらにも適用できること 言うまでもない。

 本願発明は、アノードに不溶性電極を使 すると共にカソードにIZOスクラップを使用 、これを電解することにより、カソード上 インジウム-亜鉛のメタルを形成し、これを さらに硫酸により溶解させて、その後に使用 する有価金属を構成要素とするインジウム又 は亜鉛のメタル、これらのメタルを含有する 溶解液、高純度のインジウム-亜鉛合金、高 度の水酸化インジウムと水酸化亜鉛又はメ 亜鉛酸の混合物、高純度の酸化インジウム び酸化亜鉛の混合物として回収することが 能であり、IZOスクラップから有価金属を効 良く回収できることが分る。

 本発明は、インジウム-亜鉛酸化物(IZO)のス ッタリングターゲット又は製造時に発生す ターゲット端材等のIZOスクラップを使用し アノードに不溶性電極及びカソードにIZOス ラップを使用して電解するだけなので、極 て簡便に有価金属を構成要素とするインジ ム及び又は亜鉛のメタル、これらのメタル 含有する溶解液、インジウム及び亜鉛の合 、インジウム及び又は亜鉛の水酸化物、イ ジウム及び又は亜鉛の酸化物、インジウム び又は亜鉛の亜酸化物、又はこれらの混合 として効率良く回収することができる。
 さらに、本願発明のIZOスクラップからの有 金属の回収はIZOの純度は、電解に供するそ まま維持できる。これは、本願発明の著し 利点である。従来の煩雑な工程及び製造途 で混入する不純物を除去する工程を必要と ず、生産効率を上昇させ、高純度の有価金 の回収が可能となるという優れたメリット 有し、IZOスクラップからの有価金属の回収 法として極めて有用である。