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Title:
PROCESSED FOOD COMPOSITION CONTAINING DEXTRIN
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/004711
Kind Code:
A1
Abstract:
A processed food composition characterized by containing a dextrin having the following characteristic (a), preferably a dextrin having the following characteristics (a), (b) and (c) and more preferably a dextrin having the following characteristics (a), (b), (c) and (d): (a) having a blue value within the range of 0.4 to 1.2; (b) after allowing to stand for 24 hours at 5oC, a 30% by weight aqueous dextrin solution prepared by using distilled water at 80oC showing a jelly strength of 4 N/cm2 or more; (c) after allowing to stand for 5 minutes at 25oC, a 30% by weight aqueous dextrin solution prepared by using distilled water at 25oC showing a viscosity at 25oC of 100 mPa•S or less; and (d) the ratio of the jelly strength A to the jelly strength B (A/B) as defined below being 2 or less: A: after allowing to stand for 24 hours at 5oC, the jelly strength (N/cm2) of a 30% by weight aqueous dextrin solution prepared by using distilled water at 80oC; and B: after allowing to stand for 24 hours at 5oC, the jelly strength (N/cm2) of a 30% by weight aqueous dextrin solution prepared by using distilled water at 25oC. Examples of the processed food composition as described above include a low-fat emulsified food, a fat tissue substitute, a processed meat food prepared by using this fat tissue substitute as a substitute for fat, an emulsion-like food, a cheese-like food and a processed food prepared by using this cheese-like food as a substitute for cheese.

Inventors:
HOSOMI TOMOHIRO (JP)
MITSUNAGA KENSHI (JP)
IWAI KAZUMI (JP)
TOMITA CHIHIRO (JP)
ITO DAISAKU (JP)
KONDA TAKASHI (JP)
MURAMORI KYOKO (JP)
OSHITA JURI (JP)
HIRAI CHIHARU (JP)
NAGAYASU KEIKO (JP)
WADA SATORU (JP)
TOYOIZUMI SATOSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/063257
Publication Date:
January 08, 2009
Filing Date:
July 02, 2007
Export Citation:
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Assignee:
SAN EI GEN FFI INC (JP)
HOSOMI TOMOHIRO (JP)
MITSUNAGA KENSHI (JP)
IWAI KAZUMI (JP)
TOMITA CHIHIRO (JP)
ITO DAISAKU (JP)
KONDA TAKASHI (JP)
MURAMORI KYOKO (JP)
OSHITA JURI (JP)
HIRAI CHIHARU (JP)
NAGAYASU KEIKO (JP)
WADA SATORU (JP)
TOYOIZUMI SATOSHI (JP)
International Classes:
A23L13/00; A23L27/60; A23L29/00; A23L29/20; A23L29/256; A23L29/262; A23L33/20; A23C20/00; A23D7/00
Domestic Patent References:
WO1994010859A11994-05-26
WO1997025875A11997-07-24
Foreign References:
US4510166A1985-04-09
JP2001275585A2001-10-09
EP0670368A21995-09-06
Other References:
YOSHIYA M.: "Shibo Daigaehin no Tokusei to Oyo", FOODS & FOOD INGREDIENTS JOURNAL, no. 154, 1992, pages 26 - 31, XP003024126
MOHSEN N.F. ET AL.: "Purification and characterization of an extracellular alpha-amylase from Bacillus subtilis AX20", PROTEIN EXPRESSION AND PURIFICATION, vol. 41, no. 2, 2005, pages 349 - 354, XP004875124
NAGASHIMA T.: "Yamanoimo (Deoscorea) Denpun no Shoseijo ni Tsuite", NIPPON SHOKUHIN KOGYO GAKKAISHI, vol. 37, no. 2, 1990, pages 124 - 129, XP003024127
Attorney, Agent or Firm:
SAEGUSA, Eiji et al. (1-7-1 Doshomachi, Chuo-kuOsaka-sh, Osaka 45, JP)
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Claims:
 下記の性質(a)を有するデキストリンを含有することを特徴とする加工食品組成物;
(a)下記条件で測定された青価が0.4~1.2の範囲である:
(a-1)80℃の蒸留水でデキストリン1w/v%水溶液を調製して、これを25℃に冷却する、
(a-2)上記デキストリン1w/v%水溶液(25℃)10mlを、ヨウ素20mgおよびヨウ化カリウム200mgを含む水溶液10mlと混合して、蒸留水で100mlとなるように調整する、
(a-3)上記調製液を遮光した状態で、25℃で30分間振盪した後、25℃条件下で、反応液の680nmにおける吸光度を、分光光度計を用いて測定し、これを青価とする。
 デキストリンがさらに下記の性質(b)及び(c)を有するものである、請求項1に記載する加工食品組成物;
(b)80℃の蒸留水で調製したデキストリン30重量%水溶液を、5℃で24時間静置した時のゼリー強度が4N/cm 2 以上である。
(c)25℃の蒸留水で調製したデキストリン30重量%水溶液を、25℃で5分間静置した時の粘度が100mPa・s以下である。
 デキストリンがさらに下記の性質(d)を有するものである、請求項2に記載する加工食品組成物;
(d)下記に示すゼリー強度AとBの比(A/B)が2以下である:
 A:80℃の蒸留水で調製したデキストリン30重量%水溶液を、5℃で24時間静置した時のゼリー強度(N/cm 2 )、
 B:25℃の蒸留水で調製したデキストリン30重量%水溶液を、5℃で24時間静置した時のゼリー強度(N/cm 2 )。
 脂肪組織代替物である請求項1に記載する加工食品組成物。
 上記脂肪組織代替物が上記デキストリンを20~40重量%の割合で含有するものである、請求項4に記載する加工食品組成物。
 上記脂肪組織代替物がデキストリンに加えてカラギナンを含有するものである、請求項4に記載する加工食品組成物。
 上記カラギナンが下記の(1)~(3)の少なくとも一つの性質を有するものである、
請求項6に記載する脂肪組織代替物:
(1)50℃以下の水に溶解する、
(2)その1.5重量%水溶液が25℃条件下でゲル化しない、
(3)カルシウムイオンを0より多く0.1重量%以下の割合で含有する。
 デキストリン100重量部に対するカラギナンの含有割合が1~10重量部である、請求項6に記載する加工食品組成物。
 下記性質(a)を有するデキストリン、下記性質(a)~(c)を有するデキストリン、または下記性質(a)~(d)を有するデキストリンのいずれかを含有する水溶液を冷却固化する工程を有する、請求項4に記載する脂肪組織代替物を調製する方法;
(a)下記条件で測定された青価が0.4~1.2の範囲である:
(a-1)80℃の蒸留水でデキストリン1w/v%水溶液を調製して、これを25℃に冷却する、
(a-2)上記デキストリン1w/v%水溶液(25℃)10mlを、ヨウ素20mgおよびヨウ化カリウム200mgを含む水溶液10mlと混合して、蒸留水で100mlとなるように調整する、
(a-3)上記調製液を遮光した状態で、25℃で30分間振盪した後、25℃条件下で、反応液の680nmにおける吸光度を、分光光度計を用いて測定し、これを青価とする、
(b)80℃の蒸留水で調製したデキストリン30重量%水溶液を、5℃で24時間静置した時のゼリー強度が4N/cm 2 以上である、
(c)25℃の蒸留水で調製したデキストリン30重量%水溶液を、25℃で5分間静置した時の粘度が100mPa・s以下である、
(d)下記に示すゼリー強度AとBの比(A/B)が2以下である:
A:80℃の蒸留水で調製したデキストリン30重量%水溶液を、5℃で24時間静置した時のゼリー強度(N/cm 2 )、
B:25℃の蒸留水で調製したデキストリン30重量%水溶液を、5℃で24時間静置した時のゼリー強度(N/cm 2 )。
 請求項4~8のいずれかに記載する脂肪組織代替物を、食肉脂身の一部またはすべてに代えて含有する加工食品。
 ソーセージ、ハム、ベーコン、サラミ、ミートローフ、ハンバーグステーキ、パテ、ミンチカツ、コロッケ、ミートボール、つくね、ギョウザ、シュウマイおよび肉まん(包子)から選択されるいずれかの食肉加工食品である、請求項10に記載する加工食品。
 乳化様食品である請求項1に記載する加工食品組成物。
 上記乳化様食品が、デキストリンに加えて、キサンタンガム、グァーガム、ローカストビーンガム、タラガム、タマリンドシードガム、及びネイティブ型ジェランガムからなる群から選ばれる少なくとも1種の多糖類、並びに水を含有する非乳化食品である、請求項12に記載する加工食品組成物。
 上記乳化様食品が、デキストリンを5~30重量%、キサンタンガム、グァーガム、ローカストビーンガム、タラガム、タマリンドシードガム、及びネイティブ型ジェランガムからなる群から選ばれる少なくとも1種の多糖類を総量で0.01~0.5重量%、および水を40~90重量%の割合で含有する非乳化食品である、請求項13に記載する加工食品組成物。
 乳化様食品が、更にガティガム及びアラビアガムからなる群から選ばれる少なくとも1種の多糖類を含有する非乳化食品である、請求項13に記載する加工食品組成物。
 上記乳化様食品が、ガティガム及びアラビアガムからなる群から選ばれる少なくとも1種の多糖類を総量で0.05~5重量%の割合で含有する非乳化食品である、請求項15に記載する加工食品組成物。
 上記乳化様食品が、油脂を含まない非乳化食品であって、油脂を乳化させて調製されるマヨネーズ、ドレッシング、ソース、フラワーペースト、マーガリン、ファットスプレッドまたはバタークリーム、のいずれかに外観および食感が類似することを特徴とする、請求項12に記載する加工食品組成物。
 下記性質(a)を有するデキストリン、性質(a)~(c)を有するデキストリン、または性質(a)~(d)を有するデキストリンのいずれかを含有する非乳化の水溶液を冷却する工程を有する、請求項12に記載する乳化様食品の調製方法;
(a)下記条件で測定された青価が0.4~1.2の範囲である:
(a-1)80℃の蒸留水でデキストリン1w/v%水溶液を調製して、これを25℃に冷却する、
(a-2)上記デキストリン1w/v%水溶液(25℃)10mlを、ヨウ素20mgおよびヨウ化カリウム200mgを含む水溶液10mlと混合して、蒸留水で100mlとなるように調整する、
(a-3)上記調製液を遮光した状態で、25℃で30分間振盪した後、25℃条件下で、反応液の680nmにおける吸光度を、分光光度計を用いて測定し、これを青価とする、
(b)80℃の蒸留水で調製したデキストリン30重量%水溶液を、5℃で24時間静置した時のゼリー強度が4N/cm 2 以上である、
(c)25℃の蒸留水で調製したデキストリン30重量%水溶液を、25℃で5分間静置した時の粘度が100mPa・s以下である、
(d)下記に示すゼリー強度AとBの比(A/B)が2以下である:
A:80℃の蒸留水で調製したデキストリン30重量%水溶液を、5℃で24時間静置した時のゼリー強度(N/cm 2 )、
B:25℃の蒸留水で調製したデキストリン30重量%水溶液を、5℃で24時間静置した時のゼリー強度(N/cm 2 )。
 油脂を0.01~50重量%の割合で含有する乳化調味料である請求項1に記載する加工食品組成物。
 上記乳化調味料が上記デキストリンを2~30重量%の割合で含有するものである、請求項19に記載する加工食品組成物。
 上記乳化調味料が、デキストリンに加えて、キサンタンガム、グァーガム、ローカストビーンガム、タラガム、タマリンドシードガム、及びネイティブ型ジェランガムからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有するものである、請求項19に記載する加工食品組成物。
 チーズ様食品である請求項1に記載する加工食品組成物。
 上記チーズ様食品が上記デキストリンを10~50重量%の割合で含有するものである、請求項22に記載する加工食品組成物。
 上記チーズ様食品が、デキストリンに加えて、乳清タンパク質、メチルセルロース、カードラン、及び脱アシル型ジェランガムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有するものである、請求項22に記載する加工食品組成物。
 上記チーズ様食品が、乳清タンパク質、メチルセルロース、カードラン、及び脱アシル型ジェランガムからなる群より選ばれる少なくとも1種を、総量で0.01~10重量%の割合で含有するものである、請求項24に記載する加工食品組成物。
 上記チーズ様食品が、デキストリンに加えて、カラギナン、キサンタンガム、及びネイティブ型ジェランガムからなる群より選ばれる少なくとも1種の多糖類を含有する、請求項22に記載する加工食品組成物。
 上記カラギナンが下記の(1)~(3)の少なくとも一つの性質を有するものである、
請求項26に記載する加工食品組成物:
(1)50℃以下の水に溶解する、
(2)その1.5重量%水溶液が25℃条件下でゲル化しない、
(3)カルシウムイオンを0より多く0.1重量%以下の割合で含有する。
 カラギナン、キサンタンガム、及びネイティブ型ジェランガムからなる群より選ばれる少なくとも1種の多糖類の含有割合が0.01~5重量%である、請求項26に記載する加工食品組成物。
 上記チーズ様食品が、乳脂肪を含まないかまたは乳脂肪を20重量%以下の割合で含む加工食品であって、乳脂肪を20重量%より多く含有するチーズと外観、風味および食感が類似するものである、請求項22に記載する加工食品組成物。
 下記の性質(a)を有するデキストリン、性質(a)~(c)を有するデキストリン、または性質(a)~(d)を有するデキストリンのいずれかを含有する水溶液を冷却固化する工程を有する、請求項22に記載するチーズ様食品を調製する方法;
(a)下記条件で測定された青価が0.4~1.2の範囲である:
(a-1)80℃の蒸留水でデキストリン1w/v%水溶液を調製して、これを25℃に冷却する、
(a-2)上記デキストリン1w/v%水溶液(25℃)10mlを、ヨウ素20mgおよびヨウ化カリウム200mgを含む水溶液10mlと混合して、蒸留水で100mlとなるように調整する、
(a-3)上記調製液を遮光した状態で、25℃で30分間振盪した後、25℃条件下で、反応液の680nmにおける吸光度を、分光光度計を用いて測定し、これを青価とする、
(b)80℃の蒸留水で調製したデキストリン30重量%水溶液を、5℃で24時間静置した時のゼリー強度が4N/cm 2 以上である、
(c)25℃の蒸留水で調製したデキストリン30重量%水溶液を、25℃で5分間静置した時の粘度が100mPa・s以下である、
(d)下記に示すゼリー強度AとBの比(A/B)が2以下である:
 A:80℃の蒸留水で調製したデキストリン30重量%水溶液を、5℃で24時間静置した時のゼリー強度(N/cm 2 )、
 B:25℃の蒸留水で調製したデキストリン30重量%水溶液を、5℃で24時間静置した時のゼリー強度(N/cm 2 )。
 請求項22~29のいずれかに記載するチーズ様食品を、チーズの一部またはすべてに代えて含有する加工食品。
 パン、ケーキ、ムース、ピザ、パイ、グラタン、ラザニア、ドリア、リゾット、ソース、スープ、チーズフォンデュ、ハンバーグ、サラダおよびスプレッドから選択されるいずれかである、請求項31に記載する加工食品。
Description:
デキストリンを含有する加工食 組成物

 本発明は、特定の性質を有するデキスト ンを含有することを特徴とする加工食品組 物に関する。本発明が対象とする加工食品 成物には、低脂肪乳化食品、脂肪組織代替 、および脂身に代えて当該脂肪組織代替物 用いて調製される食肉加工食品、乳化様食 、チーズ様食品およびチーズに代えて当該 ーズ様食品を用いて調製される加工食品が まれる。

 従来より、健康志向及び成人病予防の観 から、脂肪含有量を低減させた低カロリー 品が求められている。

 例えばソーセージ、ハム、ベーコン、サ ミ、ミートローフ、ハンバーグステーキ、 よびパテなどの脂肪肉を使用した食肉加工 品において、従来より脂肪含量およびコレ テロール含量を低減させる試みが行われて る。

 かかる食肉加工食品の一例として、特許 献1には、肉相とゲル化したミクロ相からな る水性相とが、別個の相または連続相として 存在する食肉加工食品が記載されている。こ こで水性相は、40℃以上で150℃より低いゲル 解温度を有する少なくとも2つのゲル化剤か ら調製され、そのゲル化剤の一つとして、ペ クチン、アルギン酸塩、カラギナン、または 加水分解澱粉などの炭化水素ゲル化剤が、も う一つのゲル化剤として、化工澱粉、架橋澱 粉、加水分解澱粉、セルロース、セルロース 誘導体、またはDE5未満の脱分枝デキストリン (例えば、Paselli SA2、N-oilなど)が挙げられて る。ここに記載されている脱分枝デキスト ン(Paselli SA2、N-oil)は、後述する実施例1で示 すように(市販品1と2参照)、いずれも青価(a) 1.2を超え、また25℃の蒸留水で調製した30重 %水溶液の5分後の粘度(25℃)が100mPa・sを大き く超えるものである。かかるデキストリンを 用いて食肉加工食品を調製すると、デキスト リンの溶解時に必要以上に粘性が生じて調製 が困難になったり、加熱して喫食する際に溶 解したデキストリンが糊感となって自然なジ ューシー感を得ることができないという問題 がある。

 また、油脂が水に乳化した乳化食品とし 、マヨネーズやドレッシングなどが知られ いる。かかる乳化食品は、独自の滑らかさ コク、クリーミーさ、およびつや感を持ち また外観が白濁していることを特徴とする

 かかる乳化食品についても、従来より脂 含量を低減させる試みが行われている。例 ば、特許文献2には、40~70%の高アミロース含 量を有する澱粉を用いてバター、マーガリン 、その他、類似する脂肪スプレッドの代用品 (脂肪分0~30重量%)を調製することが記載され いる。ここに記載されている澱粉は、その ミロース含量(40~70重量%)を青価(a)に換算する と1.2を超え、この点で本発明で用いるデキス トリンと相違するものである。かかる澱粉を 用いては油脂特有のコクや滑らかさが得られ ず、またかかる澱粉を使用して乳化食品を調 製すると食感がざらつくなど、脂肪スプレッ ド等の乳化食品とは異なる食感になるといっ た問題があった。

 特許文献3および4には、脂肪分の全部ま は一部に代えてデキストリン(タピオカデキ トリン)や酸転化澱粉または酵素転化澱粉を 用いて、マヨネーズ、ドレッシング、マーガ リンおよびアイスクリームなどの乳化食品を 調製することが記載されている。しかし、こ れらの文献には、これらのデキストリンや澱 粉を用いて、油脂を使用せずに乳化食品と同 様の外観および食感を有する非乳化食品を調 製することについては記載されていない。

 特許文献5~8には、分岐デキストリンと各 の多糖類を用いて、低カロリーのマヨネー 、ドレッシング、マーガリンおよびアイス リームなどの乳化食品を調製することが記 されている。しかしながら、これらの文献 はいずれも本発明の特定の性質を有するデ ストリンは記載されていない。

 特許文献5および6で使用されている分岐 キストリンは、その製法や特徴から、パイ デックスNo.100(松谷化学工業(株)製)と同等の キストリンと認められる。後述する実験例8 や14に示すとおり、当該分岐デキストリンは 脂肪のマヨネーズや低脂肪のマヨネーズの 製に適していない。

 特許文献7で使用される分岐デキストリン は、デキストリンにアルケニルコハク酸をエ ステル結合させたものであり、本発明のデキ ストリンとは構造が異なる。この文献7に記 されている分岐デキストリンを用いて無脂 のマヨネーズを調製すると、十分な保形性 よび脂肪感が得られずマヨネーズの態様を さない。また低脂肪のマヨネーズを調製し 場合、油脂含量を50重量%以下、更には15重量 %以下まで低減すると十分な保形性および脂 感が得られずマヨネーズの態様を呈さない

 特許文献8記載のデキストリンでは、本発 明のデキストリンよりも脂肪感が低く、また ザラついた食感になったり糊っぽい食感とな る。

 また、通常マヨネーズは食用油脂が全重 の約65~80重量%と高濃度配合されている。こ ように油分を高濃度含有した乳化物は、油 が隣接する油滴同士で接触した状態、つま 最密充填状態となっているため、澱粉やガ 質等の増粘剤を含有させなくとも粘度が5000 0mPa・s以上と高粘度を有している。一方、従 より脂肪低減を目的として低脂肪マヨネー 様調味料が各種検討されてきたが、係る低 肪マヨネーズ様調味料は、油滴が最密充填 態とならないため、粘度が低下し、液状の 化物となりマヨネーズ独特の粘度や食感、 肪感を得ることができないという問題があ た。また、マヨネーズ特有の粘度や食感を 与するために、増粘剤の添加量を増加させ と、口どけが悪くなる、ぬめりや曳糸性が くなるなど、マヨネーズと異なる食品にな といった問題を抱えていた。

 またチーズに関しても、低脂肪化したチ ズが求められるようになっており、低脂肪 無脂肪または低カロリーのチーズ様食品の 発が進められている。

 例えば、特許文献9には、チーズ中に存在 するカゼイネート100重量%までが、少なくと 40%重量のアミロース含量を有する予備糊化 れた高アミロース澱粉、その誘導体、その 化生成物、その転化誘導体化生成物、また その架橋生成物などによって置換されたイ テーションチーズ製品が開示されている。 こで高アミロース転化澱粉生成物として約50 以下の塩化カルシウム水流動性を有するデキ ストリンが、また予備糊化された高アミロー ス澱粉として、4より大きなABF値を有するデ ストリンが挙げられている。しかしながら 特許文献9に記載の澱粉を用いてチーズ様食 を調製しようとすると、チーズ特有の保型 を得ることができない、チーズ独特のボデ 感を得ることができない、また、澱粉特有 糊っぽい食感またはざらついてなめらかさ 欠ける食感になるといった問題があった。

 また、特許文献10には、0.25~1.0重量%のマ トデキストリンを食品に配合することでチ ズ特有の風味および食感と溶融性を付与で ることが記載されている。しかし、当該食 は42~48%の脱脂乳チーズを併用することを特 とするものである。また、ここで使用され いるデキストリンはPaselli SA2であり、前述 るように、青価(a)が1.2を超え、また25℃の蒸 留水で調製した30重量%水溶液の5分後の粘度(2 5℃)が100mPa・sを大きく超えるものである点で 、本発明で使用するデキストリンと相違する 。このため、かかるデキストリンを用いて調 製したチーズ様食品は、脂肪の旨味が少なく 、チーズ特有のコクを得ることができなかっ た。

 また、デキストリンを添加したチーズと ては、デキストリン2~15%を含んでなる軟質 ーズ類(特許文献11)や、サイクロデキストリ を加えたチーズ(特許文献12)、およびタピオ カデキストリンを含むチーズが提案されてい る(特許文献13)。しかし、特許文献11に記載さ れるデキストリンはDEが5~30であり、本発明で 使用する好適なデキストリン(DE:3.5~4.5)と相違 する。

 また特許文献12に記載されるデキストリ は、本発明のデキストリンとは構造が異な サイクロデキストリンであるため、チーズ 食品にふさわしい脂肪感のあるゲルを形成 ることができない。さらに特許文献13に記載 されるデキストリンは、自然界には元来存在 しない遺伝子修飾により得られる澱粉から調 製されるものである点で、本発明で使用する デキストリンと相違する。

 このため、これらのデキストリンを用い チーズ様食品を調製しようとすると、ペー ト状となり、チーズ特有の保型性を得るこ ができないという問題、また保型性を付与 せるためにデキストリンを多量添加すると 感がざらついてチーズ様の食感が得られな という問題がある。また固形状のチーズを 製すると、硬くガム様の食感を有し、また 間経過と共にその硬さがより進行してしま といった問題があった。

 一般にチーズは加熱により溶融する性質を し、この性質がグラタン、ピザ等の調理に 用されているが、特許文献10~13に記載のデ ストリンまたは澱粉を用いた場合は、調製 たチーズ様食品を加熱すると、チーズ様食 が溶け出して液状となってしまいチーズ特 の加熱溶融の状態(溶融感、糸引き感)を再現 することができない、という問題があった。

特表平8-502894号公報

特表2000-503208号公報

特公平5-37007号公報

特開平6-105652号公報

特開平5-276898号公報

特開2001-252042号公報

国際公開第2004/045311号パンフレット

特表平10-507356号公報

特公昭61-57号公報

特開平6-217691号公報

特開昭62-14742号公報

特開昭56-75060号公報

特表2003-530127号公報

 本発明は特定の性質を有するデキストリ の食品への応用、具体的には当該デキスト ンを用いて調製される各種の加工食品組成 を提供することを目的とする。

 より具体的には、本発明は、上記の加工 品組成物として、牛脂や豚脂などの食肉の 身に特有な食感(歯ごたえ感)とジューシー を有する脂肪組織代替物、および脂身に代 て当該脂肪組織代替物を含有する食肉加工 品を提供することを目的とする。

 また本発明は、上記の加工食品組成物と て、マヨネーズやマーガリンなどのように 脂を乳化して調製される乳化食品と外観と 感が類似する乳化様食品を提供することを 的とする。より詳細には、本発明は、油脂 含有しない非乳化食品であるにも関わらず 油脂の滑らかさやコク、ならびに乳化食品 有の白濁感や表面のつや感を有する乳化様 品を提供することを目的とする。

 さらに本発明は、上記の加工食品組成物 して、通常の油脂量(65~80重量%)よりも少な 油脂量(0.01~50重量%)でマヨネーズと外観と食 が類似する乳化調味料を提供することを目 とする。

 さらにまた本発明は、上記の加工食品組 物として、チーズ様食品、特に、乳脂肪を 減若しくは乳脂肪を全く含有しなくても、 ーズ特有のボディ感、口あたりおよび風味 有するチーズ様食品、およびチーズに代え 当該チーズ様食品を含有する加工食品を提 することを目的とする。チーズ様食品とし より好ましくは、上記するチーズ特有のボ ィ感、口あたりおよび風味に加えて、良好 保型性および加熱溶融性を有するものであ 。

 本発明者らは、上記課題解決を目指して 意研究を重ねていたところ、下記の性質(a) 有するデキストリン、好ましくは下記性質( a)、(b)および(c)を有するデキストリン、特に より好ましくは下記性質(a)、(b)、(c)および( d)を有するデキストリンを用いることにより 前述する各種の目的に適った加工食品組成 が調製できることを見出した。

 (a)青価が0.4~1.2の範囲である。
(b)80℃の蒸留水で調製したデキストリン30重 %水溶液を、5℃で24時間静置した時のゼリー 度が4N/cm 2 以上である。
(c)25℃の蒸留水で調製したデキストリン30重 %水溶液を、25℃で5分間静置した時の粘度が 25℃条件下で100mPa・s以下である。
(d)下記に示すゼリー強度AとBの比(A/B)が2以下 ある:
A:80℃の蒸留水で調製したデキストリン30重量 %水溶液を、5℃で24時間静置した時のゼリー 度(N/cm 2 )、
B:25℃の蒸留水で調製したデキストリン30重量 %水溶液を、5℃で24時間静置した時のゼリー 度(N/cm 2 )。

 本発明は、かかる知見に基づいて完成した のであり、下記の実施態様を包含する:
(I)加工食品組成物
 (I-1)下記の性質(a)を有するデキストリンを 有することを特徴とする加工食品組成物;
(a)下記条件で測定された青価が0.4~1.2の範囲 ある:
(a-1)80℃の蒸留水でデキストリン1w/v%水溶液を 調製して、これを25℃に冷却する、
(a-2)上記デキストリン1w/v%水溶液(25℃)10mlを、 ヨウ素20mgおよびヨウ化カリウム200mgを含む水 溶液10mlと混合して、蒸留水で100mlとなるよう に調整する、
(a-3)上記調製液を遮光した状態で、25℃で30分 間振盪した後、25℃条件下で、反応液の680nm おける吸光度を、分光光度計を用いて測定 、これを青価とする。

 (I-2)デキストリンがさらに下記の性質(b)及 (c)を有するものである、(I-1)に記載する加工 食品組成物;
(b)80℃の蒸留水で調製したデキストリン30重 %水溶液を、5℃で24時間静置した時のゼリー 度が4N/cm 2 以上である、
(c)25℃の蒸留水で調製したデキストリン30重 %水溶液を、25℃で5分間静置した時の粘度が1 00mPa・s以下である。

 (I-3)デキストリンがさらに下記の性質(d)を するものである、(I-2)に記載する加工食品組 成物;
(d)下記に示すゼリー強度AとBの比(A/B)が2以下 ある:
 A:80℃の蒸留水で調製したデキストリン30重 %水溶液を、5℃で24時間静置した時のゼリー 強度(N/cm 2 )、
 B:25℃の蒸留水で調製したデキストリン30重 %水溶液を、5℃で24時間静置した時のゼリー 強度(N/cm 2 )。

  (II)脂肪組織代替物およびその調 方法
 (II-1)脂肪組織代替物である(I-1)乃至(I-3)のい ずれかに記載する加工食品組成物。

 (II-2)上記脂肪組織代替物がデキストリン 20~40重量%の割合で含有するものである、(II- 1)に記載する加工食品組成物。

 (II-3)上記脂肪組織代替物がデキストリン 加えてカラギナンを含有するものである、( II-1)または(II-2)に記載する加工食品組成物。

 (II-4)上記カラギナンが下記の(1)~(3)の少なく とも一つの性質を有するものである、(II-3)に 記載する加工食品組成物:
(1)50℃以下の水に溶解する、
(2)その1.5重量%水溶液が25℃条件下でゲル化し ない、
(3)カルシウムイオンを0より多く0.1重量%以下 割合で含有する。

 (II-5)デキストリン100重量部に対するカラ ナンの含有割合が1~10重量部である、(II-3)ま たは(II-4)に記載する加工食品組成物。

 (II-6)下記性質(a)を有するデキストリン、下 性質(a)~(c)を有するデキストリン、または下 記性質(a)~(d)を有するデキストリンのいずれ を含有する水溶液を冷却固化する工程を有 る、脂肪組織代替物の調製方法:
(a)下記条件で測定された青価が0.4~1.2の範囲 ある:
(a-1)80℃の蒸留水でデキストリン1w/v%水溶液を 調製して、これを25℃に冷却する、
(a-2)上記デキストリン1w/v%水溶液(25℃)10mlを、 ヨウ素20mgおよびヨウ化カリウム200mgを含む水 溶液10mlと混合して、蒸留水で100mlとなるよう に調整する、
(a-3)上記調製液を遮光した状態で、25℃で30分 間振盪した後、25℃条件下で、反応液の680nm おける吸光度を、分光光度計を用いて測定 、これを青価とする、
(b)80℃の蒸留水で調製したデキストリン30重 %水溶液を、5℃で24時間静置した時のゼリー 度が4N/cm 2 以上である、
(c)25℃の蒸留水で調製したデキストリン30重 %水溶液を、25℃で5分間静置した時の粘度が1 00mPa・s以下である、
(d)下記に示すゼリー強度AとBの比(A/B)が2以下 ある:
 A:80℃の蒸留水で調製したデキストリン30重 %水溶液を、5℃で24時間静置した時のゼリー 強度(N/cm 2 )、
 B:25℃の蒸留水で調製したデキストリン30重 %水溶液を、5℃で24時間静置した時のゼリー 強度(N/cm 2 )。

 (II-7)上記水溶液がデキストリンを20~40重 %の割合で含有する水溶液である、(II-6)に記 する脂肪組織代替物の調製方法。

 (II-8)上記水溶液が、さらにカラギナンを 有する水溶液である、(II-6)または(II-7)に記 する脂肪組織代替物の調製方法。

 (II-9)上記カラギナンが下記の(1)~(3)の少なく とも一つの性質を有するものである、(II-8)に 記載する脂肪組織代替物の調製方法:
(1)50℃以下の水に溶解する、
(2)その1.5重量%水溶液が25℃条件下でゲル化し ない、
(3)カルシウムイオンを0より多く0.1重量%以下 割合で含有する。

 (II-10)デキストリン100重量部に対するカラ ギナンの含有割合が1~10重量部である、(II-8) たは(II-9)に記載する脂肪組織代替物の調製 法。

  (III)脂肪組織代替物を含有する加 食品
 (III-1)(II-1)乃至(II-5)のいずれかに記載する脂 肪組織代替物を、食肉脂身の一部またはすべ てに代えて含有する加工食品。

 (III-2)ソーセージ、ハム、ベーコン、サラ ミ、ミートローフ、ハンバーグステーキ、ハ ンバーグパティ、ミンチカツ、コロッケ、ミ ートボール、つくね、ギョウザ、シュウマイ および肉まん(包子)から選択されるいずれか 食肉加工食品である、(III-1)に記載する加工 食品。

  (IV)乳化様食品およびその調製方
 (IV-1)乳化様食品である(I-1)乃至(I-3)のいずれ かに記載する加工食品組成物。

 (IV-2)上記乳化様食品が、デキストリンに えて、キサンタンガム、グァーガム、ロー ストビーンガム、タラガム、タマリンドシ ドガム、及びネイティブ型ジェランガムか なる群から選ばれる少なくとも1種の多糖類 、並びに水を含有する非乳化食品である、(IV -1)に記載する加工食品組成物。

 (IV-3)上記乳化様食品が、デキストリンを5 ~30重量%、キサンタンガム、グァーガム、ロ カストビーンガム、タラガム、タマリンド ードガム、及びネイティブ型ジェランガム らなる群から選ばれる少なくとも1種の多糖 を総量で0.01~0.5重量%、および水を40~90重量% 割合で含有する非乳化食品である、(IV-2)に 載する加工食品組成物。

 (IV-4)乳化様食品が、更にガティガム及び ラビアガムからなる群から選ばれる少なく も1種の多糖類を含有する非乳化食品である 、(IV-1)乃至(IV-3)のいずれかに記載する加工食 品組成物。

 (IV-5)上記乳化様食品が、ガティガム及び ラビアガムからなる群から選ばれる少なく も1種の多糖類を総量で0.05~5重量%の割合で 有する非乳化食品である、(IV-4)に記載する 工食品組成物。

 (IV-6)上記乳化様食品が、油脂を含まない 乳化食品であって、油脂を乳化させて調製 れるマヨネーズ、ドレッシング、ソース、 ラワーペースト、マーガリン、ファットス レッドまたはバタークリーム、のいずれか 外観および食感が類似することを特徴とす 、(IV-1)乃至(IV-5)のいずれかに記載する加工 品組成物。

 (IV-7)下記性質(a)を有するデキストリン、性 (a)~(c)を有するデキストリン、または性質(a) ~(d)を有するデキストリンのいずれかを含有 る非乳化の水溶液を冷却する工程を有する 乳化様食品の調製方法:
(a)下記条件で測定された青価が0.4~1.2の範囲 ある:
(a-1)80℃の蒸留水でデキストリン1w/v%水溶液を 調製して、これを25℃に冷却する、
(a-2)上記デキストリン1w/v%水溶液(25℃)10mlを、 ヨウ素20mgおよびヨウ化カリウム200mgを含む水 溶液10mlと混合して、蒸留水で100mlとなるよう に調整する、
(a-3)上記調製液を遮光した状態で、25℃で30分 間振盪した後、25℃条件下で、反応液の680nm おける吸光度を、分光光度計を用いて測定 、これを青価とする、
(b)80℃の蒸留水で調製したデキストリン30重 %水溶液を、5℃で24時間静置した時のゼリー 度が4N/cm 2 以上である、
(c)25℃の蒸留水で調製したデキストリン30重 %水溶液を、25℃で5分間静置した時の粘度が1 00mPa・s以下である、
(d)下記に示すゼリー強度AとBの比(A/B)が2以下 ある:
 A:80℃の蒸留水で調製したデキストリン30重 %水溶液を、5℃で24時間静置した時のゼリー 強度(N/cm 2 )、
 B:25℃の蒸留水で調製したデキストリン30重 %水溶液を、5℃で24時間静置した時のゼリー 強度(N/cm 2 )。

 (IV-8)上記水溶液が、さらにキサンタンガ 、グァーガム、ローカストビーンガム、タ ガム、タマリンドシードガム、及びネイテ ブ型ジェランガムからなる群から選ばれる なくとも1種の多糖類を含有する水溶液であ る、(IV-7)に記載する調製方法。

 (IV-9)上記水溶液が、デキストリンを5~30重 量%、キサンタンガム、グァーガム、ローカ トビーンガム、タラガム、タマリンドシー ガム、及びネイティブ型ジェランガムから る群から選ばれる少なくとも1種の多糖類を 量で0.01~0.5重量%、および水を40~90重量%の割 で含有する非乳化水溶液である、(IV-8)に記 する調製方法。

 (IV-10)上記水溶液が、更にガティガム及び アラビアガムからなる群から選ばれる少なく とも1種の多糖類を含有する非乳化水溶液で る、(IV-7)乃至(IV-9)のいずれかに記載する調 方法。

 (IV-11)上記水溶液が、ガティガム及びアラ ビアガムからなる群から選ばれる少なくとも 1種の多糖類を総量で0.05~5重量%の割合で含有 る非乳化水溶液である、(IV-10)に記載する調 製方法。

 (IV-12)油脂を含まない非乳化食品であって 、油脂を乳化させて調製されるマヨネーズ、 ドレッシング、ソース、フラワーペースト、 マーガリン、ファットスプレッドまたはバタ ークリームのいずれかに外観および食感が類 似する乳化様食品の調製方法である、(IV-7)乃 至(IV-11)のいずれかに記載する調製方法。

  (V)低脂肪乳化食品
 (V-1)油脂を0.01~50重量%の割合で含有する乳化 調味料である(I-1)乃至(I-3)のいずれかに記載 る加工食品組成物。

 (V-2)上記乳化調味料がデキストリンを2~30 量%の割合で含有するものである、(V-1)に記 する加工食品組成物。

 (V-3)上記乳化調味料が、デキストリンに えて、キサンタンガム、グァーガム、ロー ストビーンガム、タラガム、タマリンドシ ドガム、及びネイティブ型ジェランガムか なる群から選ばれる少なくとも1種を含有す ものである、(V-1)または(V-2)に記載する加工 食品組成物。

 (V-4)キサンタンガム、グァーガム、ロー ストビーンガム、タラガム、タマリンドシ ドガム、及びネイティブ型ジェランガムか なる群から選ばれる少なくとも1種の多糖類 総量で0.01~5重量%含有する、(V-3)に記載する 工食品組成物。

 (V-5)マヨネーズ様の乳化調味料である(V-1) 乃至(V-4)のいずれかに記載する加工食品組成 。

  (VI)チーズ様食品およびその調製 法
 (VI-1)チーズ様食品である(I-1)乃至(I-3)のいず れかに記載する加工食品組成物。

 (VI-2)上記チーズ様食品がデキストリンを1 0~50重量%の割合で含有するものである、(V-1) 記載する加工食品組成物。

 (VI-3)上記チーズ様食品が、デキストリン 加えて、乳清タンパク質、メチルセルロー 、カードラン、及び脱アシル型ジェランガ からなる群より選ばれる少なくとも1種を含 有するものである、(VI-1)または(VI-2)に記載す る加工食品組成物。

 (VI-4)上記チーズ様食品が、乳清タンパク 、メチルセルロース、カードラン、及び脱 シル型ジェランガムからなる群より選ばれ 少なくとも1種を、総量で0.01~10重量%の割合 含有するものである、(VI-3)に記載する加工 品組成物。

 (VI-5)上記チーズ様食品が、デキストリン 加えて、さらにカラギナン、キサンタンガ 、及びネイティブ型ジェランガムからなる より選ばれる少なくとも1種の多糖類を含有 する、(VI-1)~(VI-4)のいずれかに記載する加工 品組成物。

 (VI-6)上記カラギナンが下記の(1)~(3)の少なく とも一つの性質を有するものである、(VI-5)に 記載する加工食品組成物:
(1)50℃以下の水に溶解する、
(2)その1.5重量%水溶液が25℃条件下でゲル化し ない、
(3)カルシウムイオンを0より多く0.1重量%以下 割合で含有する。

 (VI-7)カラギナン、キサンタンガム、及び イティブ型ジェランガムからなる群より選 れる少なくとも1種の多糖類の含有割合が0.0 1~5重量%である、(V-5)または(V-6)に記載する加 食品組成物。

 (VI-8)上記チーズ様食品が、乳脂肪を含ま いかまたは乳脂肪を20重量%以下の割合で含 加工食品であって、乳脂肪を20重量%より多 含有するチーズと外観、風味および食感が 似するものである、(VI-1)乃至(VI-8)のいずれ に記載する加工食品組成物。

 (VI-9)下記性質(a)を有するデキストリン、下 性質(a)~(c)を有するデキストリン、または性 質(a)~(d)を有するデキストリンのいずれかを 有する水溶液を冷却固化する工程を有する (VI-1)乃至(VI-8)のいずれかに記載するチーズ 食品の調製方法:
(a)下記条件で測定された青価が0.4~1.2の範囲 ある:
(a-1)80℃の蒸留水でデキストリン1w/v%水溶液を 調製して、これを25℃に冷却する、
(a-2)上記デキストリン1w/v%水溶液(25℃)10mlを、 ヨウ素20mgおよびヨウ化カリウム200mgを含む水 溶液10mlと混合して、蒸留水で100mlとなるよう に調整する、
(a-3)上記調製液を遮光した状態で、25℃で30分 間振盪した後、25℃条件下で、反応液の680nm おける吸光度を、分光光度計を用いて測定 、これを青価とする、
(b)80℃の蒸留水で調製したデキストリン30重 %水溶液を、5℃で24時間静置した時のゼリー 度が4N/cm 2 以上である、
(c)25℃の蒸留水で調製したデキストリン30重 %水溶液を、25℃で5分間静置した時の粘度が1 00mPa・s以下である、
(d)下記に示すゼリー強度AとBの比(A/B)が2以下 ある:
 A:80℃の蒸留水で調製したデキストリン30重 %水溶液を、5℃で24時間静置した時のゼリー 強度(N/cm 2 )、
 B:25℃の蒸留水で調製したデキストリン30重 %水溶液を、5℃で24時間静置した時のゼリー 強度(N/cm 2 )。

 (VI-10)上記水溶液がデキストリンを10~50重 %の割合で含有するものである、(VI-9)に記載 する調製方法。

 (VI-11)上記水溶液が、デキストリンに加え て、乳清タンパク質、メチルセルロース、カ ードラン、及び脱アシル型ジェランガムから なる群より選ばれる少なくとも1種を含有す ものである、(VI-9)または(VI-10)に記載する調 方法。

 (VI-12)上記水溶液が、乳清タンパク質、メ チルセルロース、カードラン、及び脱アシル 型ジェランガムからなる群より選ばれる少な くとも1種を、総量で0.01~10重量%の割合で含有 するものである、(VI-11)に記載する調製方法

 (VI-13)上記水溶液が、デキストリンに加え て、さらにカラギナン、キサンタンガム、及 びネイティブ型ジェランガムからなる群より 選ばれる少なくとも1種の多糖類を含有する (VI-9)乃至(VI-12)のいずれかに記載する調製方 。

 (VI-14)上記カラギナンが下記の(1)~(3)の少な とも一つの性質を有するものである、(VI-13) 記載する加工食品組成物:
(1)50℃以下の水に溶解する、
(2)その1.5重量%水溶液が25℃条件下でゲル化し ない、
(3)カルシウムイオンを0より多く0.1重量%以下 割合で含有する。

 (VI-15)カラギナン、キサンタンガム、及び ネイティブ型ジェランガムからなる群より選 ばれる少なくとも1種の多糖類の含有割合が0. 01~5重量%である、(VI-13)または(VI-14)に記載す 調製方法。

 (VI-16)乳脂肪を含まないかまたは乳脂肪を 20重量%以下の割合で含む加工食品であって、 乳脂肪を20重量%より多く含有するチーズと外 観、風味および食感が類似するチーズ様食品 の調製方法である、(VI-9)乃至(VI-15)のいずれ に記載する調製方法。

  (VII)チーズ様食品をチーズ代替物 して含有する加工食品
 (VII-1)(VI-1)乃至(VI-8)のいずれかに記載するチ ーズ様食品を、チーズの一部またはすべてに 代えて含有する加工食品。

 (VII-2)パン、ケーキ、ムース、ピザ、パイ 、グラタン、ラザニア、ドリア、リゾット、 ソース、スープ、チーズフォンデュ、ハンバ ーグ、サラダおよびスプレッドから選択され るいずれかである、(VII-1)に記載する加工食 。

 本発明によれば、脂肪の存在感が重視さ る加工食品、特に食肉加工食品を調製する に有用な脂肪組織代替物を提供することが きる。本発明の脂肪組織代替物によれば、 肉加工食品に、低カロリーで低脂肪であり がらも、脂身特有の食感やジューシー感を 分に付与することができる。すなわち、本 明の脂肪組織代替物を食肉脂身の一部また すべてに代えて含有する食肉加工食品は、 カロリーで低脂肪でありながらも、脂身特 の食感やジューシー感を備えることができ 。

 本発明によれば、油脂を含有せずとも、 たホモジナイズなどの均質化処理をせずと 、油脂を乳化して調製される乳化食品に類 した外観(乳化物特有の白濁感や表面のつや 感)、食感(滑らかさやコク)、および使用感を 有する、乳化様食品を提供することができる 。当該本発明の乳化様食品は、油脂を含有し ないため、低カロリーであることを特徴とす る。

 本発明によれば、50%以下に油脂含量を低 した場合でも、油脂を65~80%の割合で含有す 通常のマヨネーズと同様の粘度や脂肪感、 らかさを有する乳化調味料を提供すること できる。当該本発明の乳化調味料は、油脂 量が少ないにも関わらず、マヨネーズに類 した外観(マヨネーズ特有の白濁感や表面の つや感)、および食感(滑らかさやコク)を有す ること、および油脂を含有しないためマヨネ ーズに比して低カロリーであることを特徴と する。

 本発明によれば、乳脂肪含量を低減した 合でも、通常のチーズと同様の食感や風味 有するチーズ様食品を提供することができ 。当該本発明のチーズ様食品は、乳脂肪含 が少ないにも関わらず、チーズ特有の風味 食感を有する一方で、乳脂肪分が少ないた 通常のチーズに比して低カロリーである。

I.デキストリン
 本発明で用いるデキストリンは、下記の性 (a)を有することを特徴とする:
(a)青価(Blue Value)(680nmの吸光度)が0.4~1.2の範囲 である。

 青価は、一般に、澱粉のヨウ素反応、具 的には澱粉に含まれるアミロースとヨウ素 が反応して青色を呈することを利用して、 粉ヨウ素反応液の680nmにおける吸光度とし 求められる値である。通常、青価は澱粉中 アミロース含量を評価するために用いられ が、本発明では、デキストリン中のアミロ ス含量を示す指標として用いられる。

 本発明においてデキストリンの青価は次の 法に従って算出することができる。
(1)80℃の蒸留水でデキストリン1w/v%水溶液を 製して、これを25℃に冷却する。
(2)上記デキストリン1w/v%水溶液(25℃)10mlを、 ウ素20mgおよびヨウ化カリウム200mgを含む水 液10mlと混合して、蒸留水で100mlとなるよう 調整する。
(3)上記調製液を遮光した状態で、25℃で30分 振盪した後、25℃条件下で、反応液の680nmに ける吸光度を、分光光度計を用いて測定す 。

 本発明で使用するデキストリンは、前述 るように、青価が0.4~1.2の範囲であることを 特徴とする。好ましくは0.5~0.9の範囲、より ましくは0.6~0.8の範囲である。

 従来公知のデキストリンの青価は、0.4未 〔例えば、「パインデックス#100」(松谷化 工業(株)製):0.32、「デキストリンNSD-C」((株) ッシ製):0.11、(実験例1参照)〕、または1.2よ 大きく〔例えば、「PASELLI SA2」(AVEBE製):1.43 「インスタント エヌオイルII」(日本エヌ スシー(株)製):1.74、「C☆DELIGHT MD01970」((株) ーギルジャパン製):1.54、(実験例1参照)〕、 の点において本発明で用いるデキストリン 相違する。

 本発明で用いるデキストリンは、好ましく さらに下記の性質(b)および(c)を有すること 好ましい:
(b)80℃の蒸留水で調製したデキストリンの30 量%水溶液を、5℃で24時間静置した時のゼリ 強度が4N/cm 2 以上である、
(c)25℃の蒸留水で調製したデキストリン30重 %水溶液を、25℃で5分間静置した時の粘度が1 00mPa・s以下である。

 ゼリー強度(b)は、80℃の蒸留水で調製した キストリンの30重量%水溶液を5℃で24時間静 して得られたゼリー状物(測定対象物)を、5 条件下で、直径3mmのプランジャーを用いて プランジャー速度60mm/minで荷重をかけ、ゼリ ー状物がプランジャーの力で破断した時の荷 重(N/cm 2 )を測定することによって求めることができ 。当該ゼリー強度の測定は、通常レオメー ーを用いて行なわれる。なお、測定対象物 あるゼリー状物の厚みは、得られるゼリー 度に影響しないため、特に制限されない。

 当該ゼリー強度の上限は、制限されないが 通常20N/cm 2 を挙げることができる。ゼリー強度(b)として 、好ましくは5~20N/cm 2 、より好ましくは6~10N/cm 2 である。

 粘度(c)は、25℃の蒸留水で調製したデキ トリンの30重量%水溶液を25℃で5分間静置し 後、25℃条件下で、BL型回転粘度計(ローター No.2)を用いて回転数12rpmで1分間測定すること よって求めることができる。

 当該粘度の下限は、制限されないが、通 20mPa・sを挙げることができる。粘度(c)とし 、好ましくは20~70mPa・s、より好ましくは30~6 5mPa・sである。

 本発明で使用するデキストリンは、前述す ように、ゼリー強度(b)が4N/cm 2 以上で、粘度(c)が100mPa・s以下であることが ましい。従来公知のデキストリンは、ゼリ 強度(b)が4N/cm 2 以上であっても、粘度(c)が100mPa・sより大き か〔例えば、「PASELLI SA2」(AVEBE製):(b)4.8、(c) 235、「インスタント エヌオイルII」(日本エ エスシー(株)製):(b)4.8、(c)48000、「C☆DELIGHT  MD01970」((株)カーギルジャパン製):(b)6.9、(c)220 、(実験例1参照)〕、または上記(b)の条件で調 製しても液状を呈してゼリー状とならないも の〔例えば、「パインデックス#100」(松谷化 工業(株)製)、「デキストリンNSD-C」((株)ニ シ製)、(実験例1参照)〕である点で、本発明 用いるデキストリンと相違する。

 さらに本発明で用いるデキストリンは、上 の性質(a)、(b)および(c)に加えて、下記の性 (d)を有するものであることが好ましい;
(d)下記に示すゼリー強度AとBの比(A/B)が2以下 ある:
A:80℃の蒸留水で調製したデキストリン30重量 %水溶液を、5℃で24時間静置した時のゼリー 度(N/cm 2 )、
B:25℃の蒸留水で調製したデキストリン30重量 %水溶液を、5℃で24時間静置した時のゼリー 度(N/cm 2 )。

 ゼリー強度AおよびBは、それぞれ80℃および 25℃の蒸留水で調製したデキストリンの30重 %水溶液を5℃で24時間静置し、次いで得られ ゼリー状物(測定対象物)を5℃条件下で、直 3mmのプランジャーを用いて、プランジャー 度60mm/minで荷重をかけ、ゼリー状物がプラ ジャーの力で破断した時の荷重(N/cm 2 )を測定することによって求めることができ 。

 斯くして得られるゼリー強度の比(A/B)の 限は、制限されないが、通常1を挙げること できる。ゼリー強度の比(A/B)として好まし は1~2、より好ましくは1~1.6、更に好ましくは 1.3~1.6である。

 本発明で用いられるデキストリンは、上 性質を有するものであれば、由来する澱粉 種類、DE値(dextrose equivalent:デキストロース 量)、および分子量などは特に限定されない 。

 例えば、デキストリンの原料となる澱粉 しては、馬鈴薯、とうもろこし、甘藷、小 、米、サゴ、およびタピオカなどの各種澱 を挙げることができる。好ましくは馬鈴薯 粉である。

 DE値とは、一般には澱粉の分解程度を示 指標であり、澱粉を加水分解したときに生 するデキストリンおよびぶどう糖や麦芽糖 の還元糖の割合を示すものである。全ての 元糖をぶどう糖(dextrose)の量に換算し、その 合を全体の乾燥固形分に対する重量%で表わ したものである。このDE値が大きい程、還元 の含有量が多くデキストリンが少なく、逆 DE値が小さい程、還元糖の含有量が少なく キストリンが多いことを意味する。制限は いが、本発明ではDE値が通常2~5、好ましくは 3~5、より好ましくは3.5~4.5のデキストリンが 用される。

 このような性質を備えるデキストリンは 原料となる澱粉を加水分解することによっ 調製することができる。澱粉の分解方法は 特に制限なく、例えば酵素処理による分解 および酸処理による分解などを挙げること できるが、好ましくは酵素処理による分解( 酵素分解)である。

 デキストリンの調製方法として、具体的に 、澱粉、好ましくは馬鈴薯澱粉をアミラー で常法に従って処理し、その分解の進行度 、前述する青価(680nmの吸光度)を指標として 追跡し、青価が所望の0.4~1.2の範囲、好まし は0.5~0.9の範囲になったときに酵素処理を終 する方法を挙げることができる。また、か る範囲の青価を有するデキストリンについ 、ゼリー強度(b)が4N/cm 2 以上、粘度(c)が100mPa・s以下であるかどうか またゼリー強度の比(A/B)が2以下であるかど かは、いずれも前述する方法に従って30重量 %水溶液を調製して、測定することができる

  II.加工食品組成物
 本発明が対象とする加工食品組成物は、前 する特定の性質を備えたデキストリンを用 て調製される食品である。かかる食品には 後述する、脂肪組織代替物および当該脂肪 織代替物を用いて調製される食肉加工食品 非乳化食品でありながらも乳化食品と同様 外観、食感および使用感を有する乳化様食 、低脂肪乳化食品、ならびに乳脂肪を含ま いか、または乳脂肪量が少ないにも拘わら 、チーズと同様の外観および食感および使 感を有するチーズ様食品および当該チーズ 食品を用いて調製される加工食品が含まれ 。

 以下、これらの加工食品について詳細に 明するが、ここでいうデキストリンは、特 言及しないかぎり、いずれも前述する特定 性質を有するデキストリンを意味する。

  (II-1)脂肪組織代替物
 本発明でいう脂肪組織とは、豚肉、牛肉、 肉、馬肉、羊肉および鯨肉などの食肉の脂 (豚脂、牛脂、鶏脂、馬脂、羊脂、鯨脂)で る。かかる脂身は、通常、常温(25℃)でも、 の塊状が溶解せずに保形性を備えている点 、当該温度で液状(流動状)または半流動状 呈する油脂とは相違する。この意味で油脂 、本発明でいう脂肪組織には含まれない。

 本発明の脂肪組織代替物は、前述するデ ストリンを用いて調製されるものであって 上記食肉の脂身と同様に、常温(25℃)で固形 状態である(すなわち、塊が溶解せずに保形 を備えている)ものの、加熱、特に50℃以上 加熱すると半流動状または液状(流動状)にな る特徴を備えている。

 これに対して、デキストリンが0.4未満の 価を有するものである場合、脂身に類似し 弾力のある食感を得ることができない、脂 特有のコクのある風味を得ることができな という不具合が生じる。また、デキストリ が1.2よりも大きい青価を有するものである 合、ざらつき、澱粉由来の臭いによる風味 劣化、ぼろぼろと崩れて、脂身に類似した 力のある食感を得ることができないという 具合が生じる。

 また、デキストリンが4N/cm 2 未満のゼリー強度(a)を有するものである場合 は、脂身に類似した弾力のある食感が得られ 難い場合があり、またミンチにするために脂 肪組織代替物をミキサーにかけると微細化し てペースト状となり、結果として前述するよ うな脂身に類似した弾力のある食感が得られ 難い場合がある。また粘度(b)が100mPa・sを超 るデキストリンを用いる場合は、不快な糊 を呈して脂身に類似した食感が得られ難い 合がある。さらに粘度(b)が20mPa・s未満のデ ストリンを用いる場合は、脂身特有のコク ある風味が得られ難い場合がある。

 本発明の脂肪組織代替物は、前述(I)のデ ストリンを含有する水溶液を調製し、次い これを冷却固化することによって調製する とができる。当該デキストリンは少なくと 1~100℃の水中で、好ましくは攪拌すること よって溶解するため、上記水溶液はかかる 度で調製することができる。また当該水溶 は、約40℃以下、好ましくは25℃以下、さら 好ましくは10℃以下の条件で静置しておく 固化する性質を有している。溶液が凍結し い範囲内で温度が低いほど固化する際の速 が速くなる。

 この場合に使用するデキストリンの量と ては、最終脂肪組織代替物100重量%あたり、 20~40重量%、好ましくは25~35重量%を挙げること ができる。

 なお、本発明の脂肪組織代替物は、上記 キストリンに加えて、カラギナンを用いる とによっても調製することができる。

 カラギナンとしては、カッパタイプ、ラ ダタイプ、およびイオタタイプのカラギナ が知られている。本発明では、これらのい れのカラギナンを使用してもよいが、中で イオタタイプのカラギナンを使用すること 好ましい。また本発明で使用するカラギナ は、水と混合し、必要により攪拌すること より、水に完全に溶解する性質を有する水 性のものが好ましい。

 水溶性のカラギナンとしては、好適には 記(1)~(3)の少なくとも一つの性質を有するも のを挙げることができる。より好ましくは下 記(1)~(3)の少なくとも二つの性質を有するも 、特に好ましくは(1)~(3)の全ての性質を有す 水溶性のカラギナンである。

 (1)50℃以下の水に溶解する。

 本発明で使用する好適なカラギナンは、5 0℃以下の水に完全に溶解する水溶性のカラ ナンである。より好ましくは5~40℃、さらに ましくは5~30℃の水に溶解するカラギナンで ある。従来公知の汎用カラギナンは、通常60 以上に加温しなければ水に溶解しないもの ある点で、上記のカラギナンと相違する。 への溶解方法は特に制限されないが、必要 より泡立て器などの任意の攪拌手段を用い 攪拌することによって、水に溶解させても い。

 (2)その1.5重量%水溶液が25℃条件下でゲル しない。

 本発明で使用する好適なカラギナンは、 の1.5重量%水溶液が25℃条件下でゲル化しな 水溶性のカラギナンである。より好ましく 、その1.8重量%水溶液が25℃条件下でゲル化 ない水溶性カラギナンであり、さらに好ま くはその2.5重量%水溶液が25℃条件下でゲル しない水溶性カラギナンである。従来公知 汎用カラギナンは、その1.5重量%水溶液が25 条件下でゲル化する特性を有している点で 上記のカラギナンと相違する。

 ここでゲル化の有無は、25℃における粘 を測定することによって評価することがで る。具体的には、測定対象物(カラギナンの1 .5~2.5重量%水溶液)の粘度を、25℃条件下でBL型 回転粘度計(ローターNo.2)((株)トキメック製) 用いて回転数12rpmで1分間測定した場合、粘 が4000mPa・s以下であるか否かで判断すること ができる。この場合、粘度が4000mPa・s以下で る場合はゲル化していないと判断すること でき、粘度がこれより大きい場合にはゲル していると判断される。好ましい水溶性カ ギナンは、上記条件で測定したときの粘度 1500mPa・s以下のものである。

 (3)カルシウムイオンを含み、その割合が0 .1重量%以下である。

 本発明で使用する好適なカラギナンは、 ルシウムイオンを含んでおり、その割合が0 .1重量%以下の水溶性カラギナンである。より 好ましくは0.05重量%以下の割合でカルシウム オンを含む水溶性カラギナンである。

 なお、上記(1)~(3)の性質を有する水溶性の イオタカラギナンは、商業的に入手できるも のであり、例えば三栄源エフ・エフ・アイ株 式会社製のゲルリッチ[商標]No.3を挙げること ができる。

 カラギナンは、デキストリン100重量部に して1~10重量部、より好ましくは3~6重量部の 割合で用いることが好ましい。ここで、カラ ギナンがデキストリン100重量部に対して10重 部より極端に多くなると、脂肪組織代替物 調製する際の水溶液の粘度が高くなりすぎ 泡を多く含んでしまうなど、脂肪組織代替 を調製する際の作業性が悪くなる場合があ 。

 脂肪組織代替物中の、デキストリン及び ラギナンの配合量としては、脂肪組織代替 100重量%あたり、デキストリン20~40重量%、好 ましくは25~35重量%;カラギナン0.1~4重量%、好 しくは0.5~2重量%を例示することができる。

 デキストリンとカラギナンを組み合わせ 用いる場合、本発明における脂肪組織代替 は、デキストリンとカラギナンを上記の割 で含有する水溶液を調製し、次いでこれを 却固化することにより調製することができ 。ここで水溶液は、特に制限されないが、 ラギナンは、通常5~100℃の水中で、好まし は攪拌することによって溶解するため、か る温度で調製することができる。また当該 溶液は40℃以下、好ましくは25℃以下、より ましくは10℃以下の温度条件で静置するこ によって固化する性質を有している。

 デキストリンとカラギナンを含有する水溶 は、特に制限されないが、例えば下記の方 によって調製することができる:
(1)あらかじめカラギナンとデキストリンを粉 末混合したものを水に溶解する方法、
(2)デキストリンを溶解した水溶液に、カラギ ナンを加えて攪拌および混合して溶解する方 法、
(3)カラギナンを溶解した水溶液に、デキスト リンを加えて攪拌および混合して溶解する方 法、および
(4)デキストリンおよびカラギナンのそれぞれ の水溶液を別途調製した後に、各水溶液を混 合する方法。

 なかでも好適な方法は(1)の方法であり、 かる方法を用いることにより、作業性よく しかもより滑らかな脂肪組織代替物を調製 ることができる。

 本発明の脂肪組織代替物には、本発明の 果を妨げない範囲で各種増粘剤、ゲル化剤 乳化剤、香料、甘味料、色素等を適宜添加 ることができる。

 本発明の脂肪組織代替物は、使用に際し 各種任意の形状に加工することができる。 体的には、手動または機械(例えば、フード カッター、サイレントカッターおよびミンサ ーなど)を用いて脂肪組織代替物を任意の形 にカット、せん断、ミンチまたはらい潰(す 潰し)してもよい。特に制限されないが、脂 肪組織代替物をミンチにする場合は、直径が 0.5~10mm、より好ましくは、3~5mm程度の大きさ 調製することが好ましい。かかる大きさに ンチした脂肪組織代替物を、特に粗挽きソ セージやハンバーグなどの食肉加工食品の 製に用いることによって、脂身特有の食感 ジューシー感、および油脂感を付与するこ ができる。

 機械を用いてせん断またはミンチ状に加 する場合は、脂肪組織代替物の調製にデキ トリンとカラギナンを用いることが好まし 。この場合、処理物が完全にペースト状に らず、裁断された固形状の脂肪組織代替物 混在した状態で得られるため、粗挽きソー ージやハンバーグなどの食肉加工食品に豚 や牛脂などの脂肪組織(脂身)特有の食感を 与することができる。

 斯くして調製される脂肪組織代替物は、 述するように、食肉の脂身と同様に、常温( 25℃)で固形状態であるものの、加熱、特に50 以上で加熱すると半流動状または液状(流動 状)になる性質を有する。しかも、これを再 常温(25℃)程度まで冷却すると固化して固形 態に戻る。このため、本発明の脂肪組織代 物は、食肉加工食品に豚脂や牛脂などの脂 の代替物として配合した場合、脂身と同様 ジューシー感(肉汁感)や脂身特有の濃厚感 歯触り(食感)を付与することができる。

 また、本発明の脂肪組織代替物は、室温 下の温度で調製でき、当該温度で容易に取 扱うことができる。これは、低温で製造さ 低温で管理される食肉加工食品の原料とし 使用するうえで大きな利点となる。すなわ 、ハムやソーセージなどといった、加熱調 前は、品温が10℃以下の低温で製造され管 される食肉加工品の加工現場には加熱装置 ない場合が少なくないが、本発明の脂肪組 代替物は、当該加工現場に加熱装置を新た 設けることなく、従前の設備を用いて製造 ることができ、そのまま食肉加工食品の製 原料として使用することができる。

  (II-2)脂肪組織代替物を用いて調製 される加工食品
 本発明が対象とする加工食品は、本来配合 れる食肉の脂身の一部または全部が、前記 肪組織代替物に代替された加工食品である

 具体的には、ソーセージ、ハム、ベーコ 、サラミ、ミートローフ、ハンバーグステ キ、ハンバーグパティ、ミンチカツ、コロ ケ、ミートボール、つくね、ギョウザ、シ ウマイおよび肉まん(包子)といった食肉加 食品を挙げることができる。なかでも好適 食肉加工食品としては、脂身の存在感(食感) やジューシー感が特に重視されるソーセージ 、特に粗挽きソーセージを挙げることができ る。ここで、本発明が意図する粗挽きソーセ ージは、食肉の脂身が固まりとなってソーセ ージ中に存在するソーセージ一般を指し、使 用畜肉の種類やその製法に特に限定はない。

 本発明の加工食品は、脂身の代わりに前 する脂肪組織代替物を用いる以外は、通常 材料と通常の手法を用いて調製することが きる。例えば、ハンバーグやミートボール どは、挽肉と各種材料を混合する際に予め 製しておいた本発明の脂肪組織代替物を挽 と同様にミンチ状にして添加する方法によ て調製することができる。またソーセージ 、豚脂などの脂身を入れる段階で、当該脂 の一部またはすべてに代えて本発明の脂肪 織代替物を添加する方法によって調製する とができる。さらにハムは、ピックル液の に本発明の脂肪組織代替物を溶解し、これ 原料肉に注入するなどといった方法によっ 調製することができる。

 さらにまた粗挽きソーセージも、脂身の代 りに前述する脂肪組織代替物を用いる以外 、通常の材料と通常の手法を用いて調製す ことができる。調製方法は特に制限されな が、例えば、下記の方法によって調製する とができる:
(1)まず、畜肉と本発明の脂肪組織代替物に、 食塩、亜硝酸ナトリウム、アスコルビン酸ナ トリウム、重合リン酸塩などの塩漬剤を添加 混合し、一晩冷蔵庫で静置させる。
(2)その後、当該混合物に氷水、カゼインナト リウム、砂糖、ソルビン酸カリウム、香味料 といった各調味料を添加し、ミキシングし、 ソーセージ用のケーシングに充填し、加熱処 理する。

 使用する畜肉としては、牛肉、豚肉、鶏 、鴨肉、羊肉または馬肉など、食用に適し 畜肉(食肉)であれば特には限定されないが 通常、牛肉や豚肉が用いられる。

 このように、その食肉加工品の種類に応じ 、通常使用する脂身(一部または全部)に代 て、本発明の脂肪組織代替物を用いること より、脂身が本発明の脂肪組織代替物で代 された加工食品を調製することができる
 本発明の加工食品中における脂肪組織代替 の割合は、各加工食品の種類およびそれに 来配合される脂身の量に応じて適宜調節す ことができる。例えば、加工食品100重量%あ たりの脂肪組織代替物の割合として、好まし くは1~50重量%、より好ましくは5~20重量%の割 を挙げることができる。粗挽きソーセージ 場合も同様に、粗挽きソーセージ100重量%あ りの脂肪組織代替物の割合として、好まし は1~50重量%、より好ましくは5~20重量%の割合 を挙げることができる。

 上記割合で本発明の脂肪組織代替物を用 ることによって、例えば粗挽きソーセージ どの食肉加工食品に、食肉加工食品特有の ューシー感と濃厚感を付与することができ 。また本発明の脂肪組織代替物は、前述す ように、基本的にデキストリン、またはデ ストリンとカラギナンからなるため、脂身 代えて本発明の脂肪組織代替物を使用した 肉加工食品は、上記食肉加工食品特有のジ ーシー感と濃厚感を有しながらも、低カロ ーで低脂肪量であるという特徴を備えてい 。

 なお、本発明の加工食品には、本発明の 果を妨げない範囲で各種の増粘剤、ゲル化 、乳化剤、香料、甘味料、または色素等を 宜添加することができる。

  (II-3)乳化様食品
 本発明が対象とする乳化様食品は、前述す デキストリンを用いて調製されるものであ て、油脂を含有しないにも関わらず、油脂 乳化して調製される乳化食品に類似した外 、食感および使用感を有する、非乳化の加 食品である。

 なお、上記でいう乳化食品には、ドレッ ング、マヨネーズ、ソース、フラワーペー ト、およびスプレッド(バター、マーガリン 、ファットスプレッド、およびバタークリー ム)が含まれる。また上記でいう使用感には スプレッドなどをナイフにとる感触やそれ パン等に塗布する際の感触(塗布感)が含まれ る。

 なお、上記のドレッシング、マヨネーズ フラワーペースト、バター、マーガリン、 よびファットスプレッドには、表1に記載す る日本農林規格(JAS)規定のものが含まれる。

 本発明の乳化様食品は、前述(I)するよう 、特定の性質を有するデキストリンを用い ことによって調製される。ここでデキスト ンの配合量としては、通常5~30重量%、好ま くは8~20重量%、より好ましくは10~16重量%を挙 げることができる。

 これに対して、デキストリンが0.4未満の青 を有するものである場合、乳化食品特有の 濁感や脂肪感を得ることができず、みずっ いものとなる。また、1.2を超える青価を有 るデキストリンを用いた場合、ざらつき感 生じたり、澱粉由来の臭いが強くて風味の い乳化様食品となる。またデキストリンが4 N/cm 2 未満のゼリー強度(b)を有するものである場合 、乳化様食品の調製に多量のデキストリンが 必要になるため、ざらついた食感となりやす く、また使用感に影響を与える可能性も高く なる。またデキストリンが100mPa・sを大きく える粘度(c)を有するものである場合、調製 れた乳化様食品の食感や使用感の滑らかさ 低下し、不快な糊感を呈する場合がある。 らに当該粘度(c)が20mPa・sを大きく下回る場 は、乳化食品固有のコクや油脂感が得られ い場合がある。

 本発明の乳化様食品は、好ましくはデキ トリンに加えて、キサンタンガム、グァー ム、ローカストビーンガム、タラガム、タ リンドシードガム、及びネイティブ型ジェ ンガムから選ばれる少なくとも1種の多糖類 を用いて調製される。より具体的には、本発 明の乳化様食品は、デキストリンと上記多糖 類の少なくとも1種を含有する水溶液を調製 、これを冷却することによって調製するこ ができる。多糖類として、好ましくはキサ タンガムである。

 ここでキサンタンガムは、微生物Xanthomona su campestrisが産生する発酵多糖類であり、β-1 ,4-D-グルカンの主鎖骨格に、D-マンノース、D- グルクロン酸、D-マンノースからなる側鎖が 合したアニオン性の多糖類である。主鎖に 合したD-マンノースのC6位はアセチル化され 、末端のD-マンノースはピルビン酸とアセタ ルで結合している。かかるキサンタンガム 、商業的に入手可能であり、具体的には三 源エフ・エフ・アイ(株)製のサンエース[商 ](標準品)、サンエース[商標]S(微粒品)、サ エース[商標]E-S(顆粒品)、サンエース[商標]C( 透明品)などを挙げることができる。

 なかでも、アセチル基含量が1%以下のキ ンタンガムを使用することが好ましい。か るキサンタンガムを使用することにより、 にマヨネーズやドレッシングなどの酸性の 化食品に類似した乳化様食品を調製した場 でも、アセチル基含量が2~6%程度のキサンタ ガムを用いる場合に比べて、経時的な離水 経時的な粘度変化が抑制されて保存安定性 高い乳化様食品を得ることができる。

 かかるキサンタンガムも、商業的に入手 ることができ、例えば、三栄源エフ・エフ アイ株式会社製のサンエース[商標]NXG-C、サ ンエース[商標]NXG-S等を挙げることができる

 本発明の乳化様食品の調製に用いるデキ トリンおよび上記多糖類の割合は、調製し うとする乳化様食品の種類に応じて適宜調 することができる。制限はされないが、具 的には、乳化様食品100重量%中、デキストリ ンの割合として5~30重量%、好ましくは10~20重 %を、また多糖類の割合(総量)として0.01~0.5重 量%、好ましくは0.05~0.2重量%を例示すること できる。また乳化様食品100重量%に含まれる の割合として、例えば40~90重量%、より好ま くは60~80重量%を例示することができる。

 本発明の乳化様食品は、基本的にデキスト ンと水、好ましくはデキストリン、上記い れかの多糖類および水を含有するものであ ばよく、その製法は特に制限されない。通 、前述するデキストリンとその他の食品原 、または前述するデキストリン、上記いず かの多糖類およびその他の食品原料を、水 溶解し、冷却することにより調製すること できる。デキストリンと上記いずれかの多 類を含有する水溶液は、特に制限されない 、例えば下記の方法によって調製すること できる:
(1)あらかじめ多糖類とデキストリンを粉末混 合したものを水に溶解する方法、
(2)デキストリンを溶解した水溶液に、多糖類 を加えて攪拌および混合して溶解する方法、
(3)多糖類を溶解した水溶液に、デキストリン を加えて攪拌および混合して溶解する方法、 および
(4)デキストリンおよび多糖類のそれぞれの水 溶液を別途調製した後に、各水溶液を混合す る方法。

 なかでも好適な方法は(1)の方法である。 れらの方法で調製した水溶液を冷蔵庫(例え ば5℃程度)で冷却することにより、油脂を含 せずとも、また均質化処理を行うことなく 油脂特有の滑らかさやコクのある食感、更 は乳化物特有の白濁感や表面のつや感を備 た乳化様食品を得ることができる。

 なお、水溶液の調製に使用する水は、水 水、蒸留水、イオン交換水(純水)、ミネラ を含有するミネラル水などの別を問わず、 種の水を用いることができる。

 本発明の乳化様食品には、上記デキスト ンおよび多糖類に加えて、さらにガティガ 及びアラビアガムからなる群から選択され 少なくとも1種を配合してもよい。ガティガ ム及び/又はアラビアガムを用いることによ 、乳化様食品に流動性を付与して、乳化様 品がゲル状になるのを抑制することができ その結果、十分な滑らかさやクリーミーさ 兼ね備えた乳化様食品を調製することがで る。

 ガティガムは、シクンシ科ガティノキ(Ano geissus Latifolia WALL.)の幹の分泌液を乾燥して られる、多糖類を主成分とするガム質であ 、増粘安定剤(食品添加物)として汎用され いる。通常、常温~加温条件下で、30重量%程 まで水に溶解する水溶性ガム質である。か るガティガムは、商業的に入手することが き、例えば、三栄源エフ・エフ・アイ株式 社製のガティフォーリアSDを挙げることが きる。

 アラビアガムは、マメ科アカシア属植物 樹液に含まれる水溶性のヘテロ多糖である アラビアガムの分子構造は明らかにされて いないが、ガラクトース、アラビノース、 ムノース、及びグルクロン酸を構成糖とす ことが知られており、少量のタンパク質が まれる。また、平均分子量は200,000~580,000で ると報告されている。食品工業の分野にお て使用されるアラビアガムとしては、例え アカシア・セネガル(Acacia senegal)やアカシ ・セイアル(Acacia seyal)を起源とするものを げることができるが、特にこれらに限定さ るものではない。商業的に入手可能な製品 しては、例えば、三栄源エフ・エフ・アイ 式会社製のガムアラビックSDを挙げることが できる。

 本発明の乳化様食品へのガティム及び/又 はアラビアガムの配合量は、調製する乳化様 食品の種類や共に用いる原料によって適宜調 節することが可能である。通常、乳化様食品 100重量%あたり、ガティガムとアラビアガム 総量が0.05~5重量%、より好ましくは0.1~1重量% なるような割合で使用することができる。

 本発明の乳化様食品は、更に界面活性剤 用いることにより、長期保存によって生じ るデキスリンの結晶化を有意に抑制するこ ができ、その結果、長期間に渡って滑らか 食感と使用感を維持することができる。こ で界面活性剤としては、通常食用の乳化剤 して使用されるものであれば特に限定はな 、例えば、クエン酸、コハク酸または乳酸 の有機酸のモノグリセリド類、有機酸ポリ リセリド類、グリセリン脂肪酸エステル類 ポリグリセリン脂肪酸エステル類、ショ糖 肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステ 類、プロピレングリコール脂肪酸エステル 、レシチン等などを挙げることができる。 ましくはグリセリン脂肪酸エステル、クエ 酸モノグリセリド、およびコハク酸モノグ セリドからなる群から選択される少なくと 1種であり、より好ましくはクエン酸モノグ リセリド及びコハク酸モノグリセリドからな る群から選択される少なくとも1種である。 た、界面活性剤の添加量としては、乳化様 品100重量%あたり、好ましくは0.01~0.5重量%、 り好ましくは0.05~0.2重量%を例示することが きる。

 更に、本発明の乳化様食品には、本発明 効果を妨げない範囲で、増粘剤、ゲル化剤 香料、甘味料、色素等を適宜添加すること できる。

 本発明が対象とする乳化様食品には、油 を含まず、またホモジナイズなどの均質化 理を必須工程とすることなく調製される非 化食品が含まれる。当該乳化様食品は、油 を乳化して調製される乳化食品〔マヨネー 、ドレッシング、ソース、フラワーペース 、スプレッド(バター、マーガリン、ファッ トスプレッド、バタークリームなど)など〕 類似した外観(乳化物特有の白濁感や表面の や感)、食感(油脂の滑らかさやコク)および 用感を有することを特徴とする。また当該 化様食品は、油脂を含有しないため、低カ リーであることを特徴とする。更に本発明 乳化様食品は、pHが4~2.8といった、低pHの領 であっても良好な安定性を備えていること 特徴とする。

 当該乳化様食品には、マヨネーズに類似 た外観、食感および使用感を有する「マヨ ーズ様調味料」が含まれる。当該「マヨネ ズ様調味料」は下記の方法によって調製す ことができる。

 (1)まず、水にデキストリン、必要に応じて キサンタンガム、グァーガム、ローカスト ーンガム、タラガム、タマリンドシードガ 、及びネイティブ型ジェランガムから選ば る少なくとも1種の多糖類、砂糖、ガティガ ム及び/又はアラビアガム、並びに乳化剤を 宜加え、70~90℃で5~30分間程度加熱しながら 解する。
(2)得られた混合物に、酢、果汁、塩類などの 調味料を適宜添加し、温度を保った状態で容 器に充填して密封し(ホットパック充填)、こ を冷蔵庫において冷却する。

 本発明の乳化様食品には、マーガリンや ァットスプレッドなどのマーガリン類に類 した外観、食感および使用感を有する「マ ガリン類様食品」が含まれる。当該「マー リン類様食品」は、下記の方法によって調 することができる。

 まず水にデキストリン、必要に応じて、 サンタンガム、グァーガム、ローカストビ ンガム、タラガム、タマリンドシードガム 及びネイティブ型ジェランガムから選ばれ 少なくとも1種の多糖類、および食塩を適宜 加え、70~90℃で5~30分間程度加熱しながら溶解 し、全量が100重量%になるように水を添加し 調整する。そして調製した水溶液を容器に ットパック充填し、室温まで冷却後、冷蔵 (5℃)にて3日間冷却する。

 また本発明の乳化様食品には、フラワー ーストに類似した外観、食感および使用感 有する「フラワーペースト様食品」が含ま る。当該「フラワーペースト様食品」は、 にデキストリン、必要に応じて、キサンタ ガム、グァーガム、ローカストビーンガム タラガム、タマリンドシードガム、及びネ ティブ型ジェランガムから選ばれる少なく も1種の多糖類、ガティガム及び/又はアラ アガム、並びに乳化剤などを加え、これに 粉、小麦粉、糖質、蛋白性原料などの成分 加えて加熱攪拌し、小麦粉や澱粉を糊化膨 させることにより調製することができる。

 なお、本発明が提供する乳化様食品の技 は、化粧料などの、食品以外の組成物にも 用することができる。すなわち、デキスト ン、好ましくはデキストリンに加えて、キ ンタンガム、グァーガム、ローカストビー ガム、タラガム、タマリンドシードガム、 びネイティブ型ジェランガムから選ばれる なくとも1種の多糖類を用いることによって 、油脂を用いなくても(また均質化処理を必 工程としなくても)、油脂特有の滑らかさや 乳化物特有の白濁感や表面のつや感を備え 、乳化物に類似した非乳化の組成物を調製 ることができる。

 具体的には、例えば乳液に類似した外観 よび性状を有する非乳化の化粧料は、水に キストリン、必要に応じて、キサンタンガ 、グァーガム、ローカストビーンガム、タ ガム、タマリンドシードガム、及びネイテ ブ型ジェランガムから選ばれる少なくとも1 種の多糖類、ガティガム及び/又はアラビア ム、並びに乳化剤などを加えて、70~90℃で5~3 0分間加熱しながら溶解し、次いで、これに 存料や色素などの他成分を適宜配合し、脱 処理、濾過処理、冷却処理などを行って、 器に充填することによって調製することが きる。

  (II-4)低脂肪乳化食品
 本発明は、前述(I)するデキストリンを用い 調製される乳化食品を提供する。本発明が 象とする乳化食品には、プリン、アイスク ーム、チーズ入りデザート、ホイップクリ ム、フラワーペースト、カスタードクリー 、ミルクチョコレート等の乳製品;マヨネー ズ様調味料、ドレッシング、ソース、スプレ ッド(マーガリン、ファットスプレッド、チ ズスプレッド、バタークリームなど)などが まれる。

 前述(I)するデキストリンは、上記各種の 化食品に通常配合される脂肪分(油脂、乳脂 肪)に代替することができる。従って、前述 るデキストリンを用いることによって、通 配合される脂肪分(油脂、乳脂肪)よりも少な い量で上記各種の乳化食品を調製することが でき、その結果、低カロリーで低脂肪の乳化 食品を提供することができる。例えば、本発 明が対象とするマヨネーズ様の乳化調味料や スプレッド(マーガリン、ファットスプレッ 、チーズスプレッド、バタークリームなど) 、日本農林規格で規定されている通常のマ ネーズやスプレッドよりも少ない量の油脂 用いながらも、通常のマヨネーズやスプレ ドと同様の滑らかさやコクを備えた、低カ リーで低脂肪の乳化食品である。

 これに対して、使用するデキストリンが0.4 満の青価を有するものである場合、低脂肪 化食品特有の脂肪感を得ることができず、 ずっぽいものとなる。また、1.2を超える青 を有するデキストリンを用いた場合、ざら き感が生じたり、澱粉由来の臭いが強くて 味の悪い低脂肪乳化食品となる。またデキ トリンが4N/cm 2 未満のゼリー強度(b)を有するものである場合 、低脂肪乳化食品の調製に多量のデキストリ ンが必要になるため、ざらついた食感となり やすく、また使用感に影響を与える可能性が 高くなる。またデキストリンが100mPa・sを大 く超える粘度(c)を有するものである場合、 製された低脂肪乳化食品の食感や使用感の らかさが低下し、不快な糊感を呈しやすく る。さらに当該粘度(c)が20mPa・sを大きく下 る場合は、低脂肪乳化食品固有のコクや油 感が得られ難い場合がある。

  (II-4-1)低脂肪乳化調味料
 通常、マヨネーズ(日本農林規格)は油脂を65 ~80重量%の割合で含有しているが、本発明の 脂肪乳化様調味料は、油脂含量が50重量%以 、好ましくは40重量%以下、より好ましくは15 重量%以下であることを特徴とする。なお、 脂含量の下限は特に制限されないが、0.01重 %を例示することができる。当該本発明の低 脂肪乳化調味料は、前述するように、油脂含 量が少ないにもかかわらず、前述(I)のデキス トリンを用いることによって、通常のマヨネ ーズと同様の外観(白濁感や表面のつや感)、 感(滑らかさや口溶け性を含む)、コク(脂肪 )および粘度を備えている。

 ここで粘度は、25℃条件下で、ブルック ィールド粘度計を用いて回転数5rpmで1分間測 定した場合の粘度を意味する。この条件で、 油脂を65~80重量%の割合で含有する通常のマヨ ネーズは80000~180000mPa・sの粘度を有しており 本発明の乳化調味料は、これと同様の粘度 なるように調製することができる。

 上記特徴を備えた本発明の乳化調味料の 製に用いるデキストリンの割合は、通常2~30 重量%、好ましくは5~20重量%、更に好ましくは 10~18重量%の範囲で、乳化調味料中の油脂量に 応じて適宜調整することができる。乳化調味 料中に配合する油脂量が多ければ、使用する デキストリン量は少なくてもマヨネーズに類 似した調味料を調製することができる。

 一方、乳化調味料中に配合する油脂量が なくなるほど、デキストリン量を多く配合 ることが好ましい。またこの場合、上記デ ストリンに加えて、キサンタンガム、グァ ガム、ローカストビーンガム、タラガム、 マリンドシードガム、及びネイティブ型ジ ランガムから選ばれる少なくとも1種の多糖 類を用いて調製される。より具体的には、本 発明の乳化調味料は、デキストリンと上記多 糖類の少なくとも1種を含有する水溶液を調 し、これを冷却することによって調製する とができる。

 これら多糖類の乳化調味料に対する添加 は特に限定されず、乳化調味料のデキスト ンや油脂含量に応じて適宜調節することが 能である。好適な添加量として、乳化調味 に対し、上記多糖類の総量として0.01~5重量% 、好ましくは0.03~3重量%、更に好ましくは0.05~ 1.5重量%が挙げられる。

 多糖類として、好ましくはキサンタンガ を挙げることができる。なかでも、アセチ 基含量が1%以下のキサンタンガムを使用す ことが好ましい。かかるキサンタンガムを 用することにより、pHが2.8~3.4といった特にpH の低い乳化調味料を調製した場合でも、アセ チル基含量が2~6%程度のキサンタンガムを用 る場合に比べて、経時的な離水や経時的な 度変化が抑制されて保存安定性の高い乳化 味料を得ることができる。なお、ここで使 するキサンタンガムは、前述(II-3)のキサン ンガムを同様に用いることができる。

 さらに、本発明の乳化調味料は、ガティ ム及び/又はアラビアガムを配合してもよい 。ガティガム及び/又はアラビアガムを用い ことにより、乳化調味料に流動性を付与し ゲル状になるのを抑制することができ、そ 結果、十分な滑らかさやクリーミーさを兼 備えた乳化調味料を調製することができる ここで使用するガティガム及びアラビアガ は、前述(II-3)のガティガム及びアラビアガ を同様に用いることができる。

 本発明の乳化調味料へのガティガム及び/ 又はアラビアガムの配合量は、乳化調味料の 調製に用いる原料によって適宜調節すること が可能である。通常、乳化調味料100重量%あ り、ガティガムとアラビアガムの総量が0.05~ 5重量%、より好ましくは0.1~1重量%となるよう 割合で使用することができる。

 本発明の乳化調味料は、更に乳化剤を用 ることにより、長期保存によって生じ得る キスリンの結晶化を有意に抑制することが き、その結果、長期間に渡って滑らかな食 と使用感を維持することができる。ここで 化剤としては、通常食用の乳化剤として使 されるものであれば特に限定はなく、例え 、クエン酸、コハク酸または乳酸等の有機 のモノグリセリド類、有機酸ポリグリセリ 類、グリセリン脂肪酸エステル類、ポリグ セリン脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸エ テル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、プ ピレングリコール脂肪酸エステル類、レシ ン等などを挙げることができる。好ましく グリセリン脂肪酸エステル、クエン酸モノ リセリド、およびコハク酸モノグリセリド らなる群から選択される少なくとも1種であ り、より好ましくはクエン酸モノグリセリド 、およびコハク酸モノグリセリドからなる群 から選択される少なくとも1種である。また 乳化剤の添加量としては、マヨネーズ様調 料100重量%あたり、好ましくは0.01~0.5重量%、 り好ましくは0.05~0.2重量%を例示することが きる。

 更に、本発明の乳化調味料には、本発明 効果を妨げない範囲で、増粘剤、ゲル化剤 香料、甘味料、色素等を適宜添加すること できる。

 本発明の乳化調味料は、前述するように 観、食感、濃厚感(油脂感)および粘度にお て通常のマヨネーズと類似することに加え 、通常のマヨネーズと同等またはそれより 良好な保形性を備えていることを特徴とす 。このため、本発明の乳化調味料によれば 容器から絞り出したときの形状を長時間維 することができる(保形性、造形性)。

 かかる本発明の低脂肪乳化調味料は、制限 されないが、下記の方法によって調製する とができる:
水に、デキストリンおよび砂糖、また必要に 応じてさらに多糖類を添加し攪拌した後、25 まで冷却し、卵黄を混合し、食塩、砂糖、L -グルタミン酸ナトリウム、および醸造酢を 加して混合する。これに植物油脂を少量ず 加えて撹拌し、さらにコロイドミルにて乳 する。得られた乳化物を3日間、5℃で冷蔵す る。

  (II-4-2)低脂肪スプレッド
 通常、バターは油脂を80重量%以上の割合で またマーガリン(日本農林規格)は油脂を80重 量%以上の割合で含有している。本発明の低 肪スプレッドは、油脂含量がこれらのスプ ッドよりも少なく、60重量%以下、好ましく 40重量%以下、より好ましくは20重量%以下で ることを特徴とする。なお、油脂含量の下 は特に制限されないが、10重量%を例示する とができる。当該本発明の低脂肪スプレッ は、前述するように、油脂含量が少ないに かかわらず、前述(I)のデキストリンを用い ことによって、通常のマーガリンと同様の 観(白濁感や表面のつや感)、食感(滑らかさ 口溶け性を含む)、および濃厚感(油脂感)を えている。

 低脂肪スプレッドの調製に用いるデキス リンの割合は、通常5~30重量%の範囲で、低 肪スプレッド中の油脂量に応じて適宜調整 ることができる。低脂肪スプレッド中に配 する油脂量が多ければ、使用するデキスト ン量は少なくてもマーガリンに類似したス レッドを調製することができる。

 一方、低脂肪スプレッド中に配合する油 量が少なくなるほど、デキストリン量を多 配合することが好ましい。またこの場合、 記デキストリンに加えて、さらに、キサン ンガム、グァーガム、ローカストビーンガ 、タラガム、タマリンドシードガム、及び イティブ型ジェランガムから選ばれる少な とも1種の多糖類を配合してもよい。多糖類 として、好ましくはキサンタンガム、グァー ガム、ローカストビーンガムからなる群から 選択される少なくとも1種、特に好ましくは サンタンガムである。ここで使用する多糖 は、前述(II-3)の多糖類を同様に用いること できる。

 本発明の低脂肪スプレッドの調製に用い デキストリンおよび上記多糖類の割合は、 製しようとする低脂肪スプレッドの種類に じて適宜調節することができる。制限はさ ないが、具体的には、低脂肪スプレッド100 量%中、デキストリンの割合として5~30重量% 好ましくは10~20重量%を、また多糖類の割合( 総量)として0.01~5重量%、好ましくは0.05~2重量% を例示することができる。

 本発明の低脂肪スプレッドは、更に乳化 を用いることにより、長期保存によって生 得るデキスリンの結晶化を有意に抑制する とができ、その結果、長期間に渡って滑ら な食感と使用感を維持することができる。 こで乳化剤としては、通常食用の乳化剤と て使用されるものであれば特に限定はなく 例えば、クエン酸、コハク酸または乳酸等 有機酸のモノグリセリド類、有機酸ポリグ セリド類、グリセリン脂肪酸エステル類、 リグリセリン脂肪酸エステル類、ショ糖脂 酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル 、プロピレングリコール脂肪酸エステル類 レシチン等などを挙げることができる。好 しくはグリセリン脂肪酸エステル、クエン モノグリセリド、およびコハク酸モノグリ リドからなる群から選択される少なくとも1 種であり、より好ましくはクエン酸モノグリ セリド、およびコハク酸モノグリセリドから なる群から選択される少なくとも1種である また、乳化剤の添加量としては、低脂肪ス レッド100重量%あたり、好ましくは0.01~0.5重 %、より好ましくは0.05~0.2重量%を例示するこ ができる。

 更に、本発明の低脂肪スプレッドには、 発明の効果を妨げない範囲で、増粘剤、ゲ 化剤、香料、甘味料、色素等を適宜添加す ことができる。

 本発明の低脂肪スプレッドの調製方法は、 限はされないが、一例を挙げると下記の通 である:
植物油脂に乳化剤、レシチンを溶解したもの に、多糖類、本発明のデキストリン、食塩お よび色素を添加し攪拌溶解した水溶液を加え 、撹拌混合する。これをホモミキサーにて乳 化後、冷却しながら混合し、低脂肪スプレッ ドを得る。また、本発明の低脂肪スプレッド は、多糖類、本発明のデキストリン、食塩お よび色素を添加し攪拌溶解した水溶液を冷却 することで得られる油脂を含有しないスプレ ッドを、通常のマーガリンと混合することに よっても調製することができる。

  (III-5)チーズ様食品
 本発明が対象とするチーズ様食品は、前述( I)するデキストリンを用いて調製されるもの あり、乳脂肪を含有しないか、または20重 %以下の乳脂肪しか含有しないにも関わらず 通常、乳脂肪が20重量%より多いチーズに類 した外観、風味および食感(ボディ感および 口あたり)を有する食品を意味する。本発明 意図するチーズには、ナチュラルチーズ(非 成チーズ、熟成チーズ)、プロセスチーズ、 およびチーズスプレッドが含まれる。

 ここで、非熟成チーズとは、一般に熟成 程を経ないで製造されるナチュラルチーズ あり、クリーム(通常33重量%)、モザレラ(通 44重量%)等が挙げられる(なお、括弧内は規 の乳脂肪量を意味する。以下同じ)。熟成チ ズとは、一般に熟成工程を経て製造される チュラルチーズであり、チェダー(通常33.8 量%)、ゴーダ(通常29重量%)、エダム(通常25重 %)、エメンタール(通常33.6重量%)、カマンベ ル(通常24.7重量%)等が挙げられる。

 プロセスチーズとは、一般に一種又はそ 以上のナチュラルチーズに溶融塩などの添 物、香辛料、調味料、食品を添加するか又 添加せずに混合、加熱、溶解、混練して製 され、日本では一般的に食されてきたもの ある。チーズスプレッドとは、一般に一種 はそれ以上のナチュラルチーズに、水、油 、味付け素材、溶融塩などの添加物を添加 るか又は添加せずに混合、加熱、溶解、混 して製造されるものであり、パン等に塗り いような硬さに調整されたものである。

 本発明のチーズ様食品は、前述(I)する性 を備えたデキストリンを用いて調製するこ ができる。これに対して青価が0.4未満のデ ストリンを用いた場合、硬さが不十分でチ ズ特有の食感を得ることができない、コク ある風味を得ることができないという不具 がある。また青価が1.2を超えるデキストリ を用いた場合、ざらついたり、澱粉由来の いが強くて風味が悪くなる、ぼろぼろと崩 て結果としてチーズに類似した食感が得ら ないという不具合がある。

 また、用いるデキストリンが4N/cm 2 未満のゼリー強度(a)を有するものである場合 は、チーズ特有の食感が得られ難い場合があ る。粘度(b)が100mPa・sを大きく超えるデキス リンを用いる場合は、極めて高粘度となっ チーズに類似した食感が得られ難い場合が る。さらに粘度(b)が20mPa・sを大きく下回る キストリンを用いる場合は、硬さが不十分 、チーズ特有の食感が得られ難い場合があ 。

 本発明のチーズ様食品は、前述(I)するデ ストリンを含有する水溶液を調製し、次い これを冷却固化することによって調製する とができる。上記デキストリンは1~100℃の 中で、好ましくは攪拌することによって溶 するため、上記水溶液はかかる温度で調製 ることができる。また当該水溶液は約40℃以 下、好ましくは25℃以下、より好ましくは10 以下の温度条件で静置することによって固 する性質を有している。

 使用するデキストリンの量としては、最 チーズ様食品100重量%あたり、10~50重量%、好 ましくは15~40重量%、より好ましくは20~35重量% を挙げることができる。

 本発明のチーズ様食品は、好ましくはデ ストリンに加えて、乳清タンパク質、メチ セルロース、カードラン、及び脱アシル型 ェランガムからなる群より選ばれる少なく も1種を含有することが好ましい。好ましく はデキストリンに加えて、乳清タンパク質お よびカードランより選ばれる少なくとも1種 含有するものであり、より好ましくはデキ トリンに加えて乳清タンパク質を含有する のである。これらの成分の少なくとも1種を 有することにより、室温などの非加熱状態 は良好な保型性を有すると共に、オーブン どで熱を加えた際に、チーズ特有の加熱溶 性を示すチーズ様食品を調製することがで る。

 チーズ様食品に配合される乳清タンパク 、メチルセルロース、カードラン、または アシル型ジェランガムの配合量は、用いる 材によって適宜調節することが可能である 、通常、最終チーズ様食品100重量%あたりの これらの総量として0.01~10重量%、好ましくは0 .05~5重量%、より好ましくは0.1~3重量%を挙げる ことができる。具体的には、最終チーズ様食 品100重量%あたり、乳清タンパク質の場合は0. 5~5重量%、好ましくは1~4重量%、より好ましく 2~3重量%;カードランの場合は0.1~5重量%、好 しくは0.5~3重量%、より好ましくは1~2重量%;メ チルセルロースの場合は0.01~3重量%、好まし は0.02~2重量%、より好ましくは0.1~1重量%;脱ア シル型ジェランガムの場合は0.01~2重量%、好 しくは0.02~1重量%、より好ましくは0.03~0.5重 %を挙げることができる。

 ここで乳清タンパク質は、各種乳清タンパ 質を用いることができるが、牛乳由来の乳 を原料としたものが好ましい。より好まし は、乾物換算で蛋白質含有量が80重量%以上 乳清タンパク質である。かかる乳清タンパ 質として、例えば、乳清タンパク質濃縮物( WPC)、および乳清タンパク質単離物(WPI)を挙げ ることができる。なかでもゲル化力の高い乳 清タンパク質を用いることが好ましい。かか る乳清タンパク質としては、具体的には、乳 清タンパク質15重量%水溶液を80℃に加熱した 、4℃に冷却した後のゲル強度が、カード値 で10N/cm 2 以上、より好ましくは12N/cm 2 以上のものを挙げることができる。かかるゲ ル強度の上限は、制限されないが、通常カー ド値で50N/cm 2 、より好ましくは20N/cm 2 である。

 なお、当該性質を有する乳清タンパク質 、商業的に入手することができ、例えば、 栄源エフ・エフ・アイ株式会社製のミルプ 142を挙げることができる。

 また、メチルセルロースは、セルロース 骨格中の水酸基をメトキシル基で置換した のである。かかるメチルセルロースは、セ ロースを水酸化ナトリウムでアルカリセル ースにし、次いで塩化メチルと反応させる とにより調製することができる。市販され いるメチルセルロースのメトキシル基によ 置換度(DS)は通常1.4-2であり、かかるメチル ルロースは10℃程度の冷水に溶解する特性 有している。本発明では、なかでも2%水溶液 の粘度が40~10000mPa・s、好ましくは80~4000mPa・s より好ましくは300~2000mPa・sのメチルセルロ スを用いることが好ましい(20℃、B型回転粘 度計、60rpmで測定)。当該性質を有するメチル セルロースは、商業的に入手することができ 、例えば、信越化学株式会社製のSM-400および SM-1500を挙げることができる。

 カードランは、土壌菌によって産生され 微生物多糖類で、加熱すると固まるという 質を有するものである。本多糖類はグルコ スがβ―1,3-グルコシド結合した直鎖状のグ カンである。

 脱アシル型ジェランガムは、Sphingomonaselod eaが産出する発酵多糖類であり、1-3結合した ルコース、1-4結合したグルクロン酸、1-4結 したグルコース及び1-4結合したラムノース 4分子を構成単位とする直鎖状の高分子多糖 類である。1構成単位辺りカルボキシル基1残 を有する。

 本発明におけるチーズ様食品は、基本的 デキストリン、好ましくはデキストリンと 清タンパク質、メチルセルロース、カード ン、および脱アシル型ジェランガムからな 群から選択される少なくとも1種を含有する ものであればよく、その製法は特に制限され ない。例えば、水に、デキストリン、および 必要に応じて乳清タンパク質、メチルセルロ ース、カードラン、及び脱アシル型ジェラン ガムからなる群より選ばれる少なくとも1種 並びに他成分を溶解し、冷却することによ 調製することができる。なお、食品衛生上 た保存安定のため、冷却前に殺菌処理する とが好ましい。

 なお、本発明のチーズ様食品は、デキス リンを用いることにより、殺菌工程以外、 熱処理することなくチーズ様食品を調製す ことができるため、加熱による風味や香味 低下を防止することができる。また加熱工 が不要であるため、本発明のチーズ様食品 簡易でかつ経済的な製造ラインにて製造す ことができる。

 また、本発明のチーズ様食品には、前述 るデキストリンに加え、カラギナン、キサ タンガム、ネイティブ型ジェランガム、グ ーガム、タラガム、タマリンドシードガム 大豆多糖類、寒天、ローカストビーンガム ペクチン、アルギン酸、アルギン酸塩類、 ルコマンナン、カシアガム、サイリウムシ ドガム、トラガントガム、カラヤガム、ア ビアガム、ガティガム、ラムザンガム、ウ ランガム、マクロホモプシスガム、プルラ 、微結晶セルロース、微小繊維状セルロー 、発酵セルロース、ヒドロキシプロピルセ ロース、カルボキシメチルセルロース、ヒ ロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロ シエチルセルロース及び水溶性ヘミセルロ スからなる群より選ばれる少なくとも1種の 多糖類を配合することもできる。好ましい多 糖類は、カラギナン、キサンタンガム、ネイ ティブ型ジェランガム、グァーガム、タラガ ム、ローカストビーンガム及びタマリンドシ ードガムからなる群より選ばれる少なくとも 1種、より好ましくはカラギナン、キサンタ ガム及びネイティブ型ジェランガムからな 群より選ばれる少なくとも1種である。これ の多糖類を配合することによって、硬さや 力等の食感が経時的に変化せず、保存安定 が高まるという利点がある。

 チーズ様食品に対するこれらの多糖類の 合量は、用いる多糖類の種類によって適宜 節することが可能であるが、チーズ様食品1 00重量%あたり通常0.01~5重量%、好ましくは0.05~ 3重量%、より好ましくは0.1~1.5重量%である。

 なお、上記カラギナンとしては、カッパ イプ、ラムダタイプ、およびイオタタイプ いずれのカラギナンを使用してもよいが、 でもイオタタイプのカラギナンを使用する とが好ましい。また本発明で使用するカラ ナンは、水と混合し、必要により攪拌する とにより、水に完全に溶解する性質を有す 水溶性のものが好ましい。

 水溶性のカラギナンとしては、好適には 記(1)~(3)の少なくとも一つの性質を有するも のを挙げることができる。より好ましくは下 記(1)~(3)の少なくとも二つの性質を有するも 、特に好ましくは(1)~(3)の全ての性質を有す 水溶性のカラギナンである。

 (1)50℃以下の水に溶解する。

 本発明で使用する好適なカラギナンは、5 0℃以下の水に完全に溶解する水溶性のカラ ナンである。より好ましくは5~40℃、さらに ましくは5~30℃の水に溶解するカラギナンで ある。従来公知の汎用カラギナンは、通常60 以上に加温しなければ水に溶解しないもの ある点で、上記のカラギナンと相違する。 への溶解方法は特に制限されないが、必要 より泡立て器などの任意の攪拌手段を用い 攪拌することによって、水に溶解させても い。

 (2)その1.5重量%水溶液が25℃条件下でゲル しない。

 本発明で使用する好適なカラギナンは、 の1.5重量%水溶液が25℃条件下でゲル化しな 水溶性のカラギナンである。より好ましく 、その1.8重量%水溶液が25℃条件下でゲル化 ない水溶性カラギナンであり、さらに好ま くはその2.5重量%水溶液が25℃条件下でゲル しない水溶性カラギナンである。従来公知 汎用カラギナンは、その1.5重量%水溶液が25 条件下でゲル化する特性を有している点で 上記のカラギナンと相違する。

 ここでゲル化の有無は、25℃における粘 を測定することによって評価することがで る。具体的には、測定対象物(カラギナンの1 .5~2.5重量%水溶液)の粘度を、25℃条件下でBL型 回転粘度計(ローターNo.2)((株)トキメック製) 用いて回転数12rpmで1分間測定した場合、粘 が4000mPa・s以下であるか否かで判断すること ができる。この場合、粘度が4000mPa・s以下で る場合にゲル化していないと判断すること でき、粘度がこれより大きい場合にはゲル していると判断される。好ましい水溶性カ ギナンは、上記条件で測定したときの粘度 1500mPa・s以下のものである。

 (3)カルシウムイオンを含み、その割合が0 .1重量%以下である。

 本発明で使用する好適なカラギナンは、 ルシウムイオンを含んでおり、その割合が0 .1重量%以下の水溶性カラギナンである。より 好ましくは0.05重量%以下の割合でカルシウム オンを含む水溶性カラギナンである。

 なお、上記(1)~(3)の性質を有する水可溶性 のイオタカラギナンとしては、例えば三栄源 エフ・エフ・アイ株式会社製のゲルリッチ[ 標]No.3を挙げることができる。

 キサンタンガムは、微生物Xanthomonasu campe strisが産生する発酵多糖類であり、β-1,4-D-グ カンの主鎖骨格に、D-マンノース、D-グルク ロン酸、D-マンノースからなる側鎖が結合し アニオン性の多糖類である。主鎖に結合し D-マンノースのC6位はアセチル化され、末端 のD-マンノースはピルビン酸とアセタールで 合している。かかるキサンタンガムは、商 的に入手可能であり、具体的には三栄源エ ・エフ・アイ(株)製のサンエース[商標](標 品)、サンエース[商標]S(微粒品)、サンエー [商標]E-S(顆粒品)、サンエース[商標]C(透明品 )などを挙げることができる。

 なかでも、アセチル基含量が1%以下のキ ンタンガムを使用することが好ましい。か るキサンタンガムを用いてチーズ様食品を 製することにより、アセチル基含量が2~6%程 のキサンタンガムを用いる場合に比べて、 さや弾力等の食感が経時的に変化しにくく 保存安定性の高いチーズ様食品を得ること できる。

 かかるキサンタンガムも、商業的に入手 ることができ、例えば、三栄源エフ・エフ アイ株式会社製のサンエース[商標]NXG-C、サ ンエース[商標]NXG-S等を挙げることができる

 本発明によれば、前述するデキストリン 用いることにより、乳脂肪分を配合しなく も、また規定量以下の乳脂肪分であっても チーズ特有のボディ感や口あたりを有する ーズ様食品を調製することができる。すな ち、本発明が対象とするチーズ様食品には 脂肪分を全く含有しない食品であって、チ ズ特有のボディ感や口あたりを有している 品、並びに固形分の脂肪率が20重量%以下、 には5重量%以下と通常のチーズよりも脂肪 量が少ない食品でありながらもチーズ特有 ボディ感や口あたりを有している食品が含 れる。このため、本発明のチーズ様食品は チーズを代替することができ、チーズに代 て本発明のチーズ様食品を用いることによ 低カロリーで無脂肪または低脂肪の加工食 を提供することができる。

 また、本発明のチーズ様食品には、本発 の効果を妨げない範囲で、各種増粘剤、ゲ 化剤、乳化剤、香料、甘味料、色素、およ 油脂等を適宜添加することができる。

 乳化剤としては、前述する乳化剤を同様 用いることができる。

 油脂としては、調製されるチーズ様食品 よって適宜選択することが可能であるが、 豆油、菜種油、綿実油、コーン油、ヤシ油 パーム油等の植物性油脂、牛脂、ラード等 動物性油脂、これらの分別脂、これらのエ テル交換脂等を挙げらることができる。こ らは単独または二種以上を組み合わせて用 ることができる。また、風味付けの目的で 本発明のチーズ様食品には、牛乳、脱脂乳 脱脂濃縮乳、クリーム、ヨーグルト、練乳 加糖練乳、脱脂粉乳、全脂粉乳、バターミ ク、チーズなどを配合することもできる。

 本発明のチーズ様食品には、その形状を に問わず、固形状、粉末状、およびペース 状のいずれの形状を有するものが含まれる

  (II-5)チーズ様食品を用いて調製さ れる加工食品
 本発明が対象とする加工食品は、チーズ含 食品に本来配合されるべきチーズの一部ま は全部が、前述のチーズ様食品に代替され なる加工食品である。

 上記チーズ含有食品は、チーズを含むか ーズを原料として調製される加工食品であ 、例えば、パン、ケーキ、ムース、ピザ、 ラタン、ラザニア、ドリア、リゾット、ソ ス、スープ、チーズフォンデュ、ハンバー 、サラダ、およびスプレッドなどの加工食 が含まれる。

 本発明の加工食品は、チーズの代わりに 述するチーズ様食品を用いる以外は、通常 材料と通常の手法を用いて調製することが きる。例えば、レアチーズケーキなどは、 種材料を混合する際に、通常のクリームチ ズ(乳脂肪量:33重量%)に代えて、チーズ様食 (クリームチーズ様食品)を用いることによ て調製することができる。その一例として 脂肪0%のクリームチーズ様食品の調製方法を 挙げると下記の通りである:

 85℃の水を攪拌しながら、デキストリン 必要に応じて多糖類を添加して溶解する。 いで、これに食塩を加えて溶解し、クエン にてpHを3.8に調整し、色素と香料を添加し、 水で全量が100%になるように調整する。そし 調製した溶液を容器に充填後85℃まで加熱殺 菌し、室温まで冷却する。

 次いで斯くして調製した本発明のクリー チーズ様食品100gを、室温(25℃)に戻してや らかくし、生クリーム100g、砂糖25g、レモン 汁7.5%を順次加え混合する。さらに予め25gの 水に3.5gのゼラチンを溶解したものを添加、 合しケーキ型に流し込み3時間以上冷却する とによって得られる。

 このように、その加工食品の種類に応じ 、通常のチーズに代えて、本発明のチーズ 食品を用いることにより、チーズが本発明 チーズ様食品で代替された加工食品を調製 ることができる。斯くして得られる加工食 は、本物のチーズを用いているのと同様の 味、ボディー感、および口当たり(食感)を している。

 本発明の加工食品中におけるチーズ様食 の割合は、各加工食品の種類およびそれに 来配合されるチーズの量に応じて適宜調節 ることができる。例えば、加工食品100重量% あたりのチーズ様食品の割合として、好まし くは1~50重量%、より好ましくは5~20重量%の割 を挙げることができる。

 本発明のチーズ様食品は、前述するよう 、基本的にデキストリン、またはデキスト ンとカラギナン、キサンタンガム、ネイテ ブ型ジェランガム、グァーガム、タラガム タマリンドシードガム、大豆多糖類、寒天 ローカストビーンガム、ペクチン、アルギ 酸、アルギン酸塩類、グルコマンナン、カ アガム、サイリウムシードガム、トラガン ガム、カラヤガム、アラビアガム、ガティ ム、ラムザンガム、ウェランガム、マクロ モプシスガム、プルラン、微結晶セルロー 、微小繊維状セルロース、発酵セルロース ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキ メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメ ルセルロース、ヒドロキシエチルセルロー 及び水溶性ヘミセルロースからなる群より ばれる少なくとも1種の多糖類からなり脂肪 分を有していないため、チーズに代えて本発 明のチーズ様食品を使用した加工食品は、上 記チーズ特有の風味、ボディー感および口当 たり(食感)を有しながらも、低カロリーで低 肪量であるという特徴を備えている。

 なお、本発明の加工食品には、本発明の 果を妨げない範囲で各種の増粘剤、ゲル化 、乳化剤、香料、甘味料、または色素等を 宜添加することができる。

 以下、本発明の内容を以下の実施例、比較 を用いて具体的に説明する。但し、本発明 これらに何ら限定されるものではない。ま 、特に記載のない限り「部」とは「重量部 、「%」は「重量%」を意味するものとする 文中「 * 」印の製品は、三栄源エフ・エフ・アイ株式 会社の製品であること、文中「 」印は、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の 登録商標であることを示す。

  調製例1~3  デキストリンの調製
 馬鈴薯澱粉を70℃の水に投入し撹拌して懸 液とした。これにアミラーゼを添加して、 合後、70℃で反応させ、青価(680nmの吸光度) 指標として分解程度を評価した。

 なお青価は次の方法に従って求めた。
(1)濃度が1w/v%となるようにデキストリン含有 溶液を調製して、これを25℃に冷却する。
(2)上記デキストリン1w/v%水溶液(25℃)10mlを、 ウ素20mgおよびヨウ化カリウム200mgを含む水 液10mlと混合して、蒸留水で100mlとなるよう 調整する。
(3)上記調製液を遮光した状態で、25℃で30分 振盪した後、25℃条件下で、反応液の680nmに ける吸光度を、分光光度計を用いて測定す 。

 このとき、かかる青価(680nmの吸光度)が所 望の0.4~1.2の範囲、好ましくは0.5~0.9の範囲に ったときに酸を添加し、これを90℃まで加 することにより酵素(アミラーゼ)を失活させ て上記反応を停止する。

 斯くして、青価が0.66(調製例1)、0.60(調製 2)、および0.83(調製例3)であるデキストリン 各々調製した。これらの各デキストリンは 上記酵素反応後、スプレードライを行って 末化して、以下の実験に使用した。

  実験例1  各種デキストリンの性質
 調製例1~3で調製したデキストリンについて 下記の性質(a)~(d)を測定した。また比較のた め市販されているデキストリン〔市販品1:「P ASELLI SA2」(AVEBE社製)、市販品2:「インスタン  エヌオイルII」(日本エヌエスシー(株)製) 市販品3:パインデックス#100」(松谷化学工業( 株)製)、市販品4:「C☆DELIGHT MD01970」((株)カー ギルジャパン製)、市販品5:「デキストリンNSD -C」((株)ニッシ製)〕についても同様にして性 質(a)~(d)を測定した。

  (a)青価(Blue Value) :
 下記の方法で、反応液の吸光度(680nm)を測定 する
(1)80℃の蒸留水を用いてデキストリン1w/v%水 液を調製し、これを25℃まで冷却する。
(2)上記水溶液10mlに、20mgのヨウ素と200mgのヨ 化カリウムを含む水溶液10ml(0.2w/v%のヨウ素 2w/v%のヨウ化カリウム)を添加して、蒸留水 加えて100mlに調整する。
(3)上記水溶液を遮光条件下で25℃30分間振盪 た後、25℃で、波長680nmにおける吸光度を測 する。

  (b)ゼリー強度(N/cm 2 ) :
 80℃の蒸留水でデキストリン30重量%水溶液 調製し、これを5℃で24時間静置した時のゼ ー強度(N/cm 2 )を、下記の方法に従って測定する。

 5℃条件下で、直径3mmのプランジャーを用い て、プランジャー速度60mm/minで荷重をかけ、 定対象物が破断した時の荷重(N/cm 2 )を測定する。

  (c)粘度(mPa・s) :
 25℃の蒸留水でデキストリン30重量%水溶液 調製し、これを25℃で5分間静置した時の粘 (mPa・s)を、25℃条件下で、BL型回転粘度計(ロ ーターNo.1~4)を用いて回転数12rpmで1分間測定 ることによって測定する。なお、この条件 測定できる粘度範囲は、ローターNo.1:0~500mPa s、ローターNo.2:0~2500mPa・s、ローターNo.3:0~10 000mPa・s、ローターNo.4:0~50000mPa・sである。

  (d)ゼリー強度の比(A/B)
 下記の条件で測定したゼリー強度AとBとの (A/B)を求める。なお、ゼリー強度は上記(b)に 記載する方法に従って測定する。
A:80℃の蒸留水でデキストリン30重量%水溶液 調製し、これを5℃で24時間静置した時のゼ ー強度(N/cm 2 )を測定する
B:25℃の蒸留水でデキストリン30重量%水溶液 調製し、これを5℃で24時間静置した時のゼ ー強度(N/cm 2 )を測定する。

 結果を表2に示す。

  実験例1  脂肪組織代替物の調製(1)
 表2に示す各種のデキストリン(調製例1、市 品1~5)を用いて脂肪組織代替物を調製した。

 詳細には、表2に示す調製例1または市販 1~5のデキストリンを、それぞれ70℃の水に添 加し、攪拌溶解して35%のデキストリン含有水 溶液を調製した。そして、調製したデキスト リン含有水溶液を容器に入れて、冷蔵庫(5℃) にて24時間冷却することにより脂肪組織代替 を調製した。

 調製例1のデキストリンを使用して調製し た脂肪組織代替物(実施例1)は、脂肪組織(脂 )様の白色の外見を有し、室温(25℃)で液状ま たは半液状とならずに適度な固さを有してお り、またミンチなど、機械を用いて加工した 際の作業性にも優れていた。また、デキスト リン特有の澱粉臭や不快な味もなく、食用に 適していた。

 一方、市販品3、5のデキストリンを使用 て調製した脂肪組織代替物は、1℃まで冷却 ても液状であり、脂肪組織(脂身)の代替物 することができなかった。また、市販品1ま は2、4のデキストリンを使用して調製した 肪組織代替物は、室温(25℃)で固形状を有し いるものの、(i)調製時には粘性が高く作業 が劣る、またざらつきがあって、滑らかな 感とならない、(ii)外観がうす茶色となり脂 肪組織(脂身)様の外観とならない、(iii)機械 作業によってミンチをした場合に形状が崩 てぼろぼろになるなど、脂肪組織代替物と て適したものではなかった。また、市販品1~ 3のデキストリンを使用して調製した脂肪組 代替物は、澱粉特有の臭いが強く食用とし 適したものではなかった。

  実験例2  脂肪組織代替物の調製(2)
 調製例1または市販品1~5のデキストリンに、 カラギナンを併用して脂肪組織代替物を調製 した。詳細には、まず、デキストリン33部と ラギナン1.7部を粉体混合し、全量が100部と るように50℃の水に添加し、10分間攪拌して デキストリン及びカラギナンを含有する水溶 液を調製した。そして、調製した水溶液を容 器に入れて、冷蔵庫(5℃)にて24時間冷却して 肪組織代替物を調製した。なお、比較対照 して、デキストリンを使用せず、その代わ にブドウ糖を使用して、同様にして脂肪組 代替物を調製した。

 なお、上記カラギナンとして、下記の(1)~(3) の性質を満たすカラギナン(ゲルリッチ No.3 * )を用いた:
(1)50℃以下の水に溶解する、
(2)1.5重量%水溶液が25℃条件下でゲル化しない 、
(3)カルシウムイオンを0より多く0.1%以下の割 で含有する。

 得られた各脂肪組織代替物について、(i) 肪感・濃厚感、(ii)ミンチの作業性、(iii)風 および(iv)総合評価を評価した。なお、(i)脂 肪感・濃厚感、および(ii)ミンチの作業性は 記の基準に従って評価した。

  (1) 脂肪感・濃厚感
 食した際、脂身を使用した場合の食感に近 場合を10、それとの違いが大きい場合を1と て、10段階で評価。

  (2)ミンチの作業性
 ミンチを行った際、均一にきれいな粒状に 工できた場合を10、ボロボロと崩れたり装 への付着が多く不均一になった場合を1とし 10段階で評価。

 結果を表3に示す。

 調製例1のデキストリンに、カラギナンを 併用して調製した脂肪組織代替物(実施例2)は 、白色で脂肪組織(脂身)様の外観を有すると に、室温(25℃)で液状または半液状とならず に適度な固さを有しており、またミンチなど 、機械を用いて加工した際の作業性にも優れ ていた。また、デキストリン特有の澱粉臭も なく、食用に適していた。

  実験例3   脂肪が代替された粗挽きソーセージ
 豚脂に代えて実験例2で調製された脂肪組織 代替物(実施例2)を用いて、粗挽きソーセージ を調製した。具体的には、表4に示す処方に って、脂肪組織代替物(実施例2)と豚肉に食 、重合リン酸塩、亜硝酸ナトリウム、およ L-アスコルビン酸ナトリウムを加えて混合し 、一晩冷蔵庫下(5℃)で静置した。次にこの混 合物に氷水、カゼインナトリウム、香辛料、 砂糖およびソルビン酸カリウムを加えてミキ シングした後、常法に従って調製物を羊の腸 皮に充填し加熱することにより粗挽きソーセ ージを調製した(実施例3)。

 比較のため、上記脂肪組織代替物(実施例 2)10kgに代えて、豚脂10kgを用いて同様にして 挽きソーセージを調製した(比較品)。調製し た粗挽きソーセージ(実施例3、比較品)を、80 のお湯で5分間ゆでた後に食した。実施例3 粗挽きソーセージを食べたところ口の中で 肪組織代替物が溶け出し、当該粗挽きソー ージが、常法に従って豚脂を用いて調製し 比較の粗挽きソーセージと遜色なく、粗挽 ソーセージ特有の脂身の濃厚感およびジュ シー感を有していることが確認された。

  実験例4   脂肪が代替されたコーン味チキンソーセ ジの調製
 (1)スイートコーン味脂肪組織代替物(実施例 4)の調製
 表5に示す処方に従ってスイートコーン味脂 肪組織代替物(実施例4)を調製した。詳細には 、調製例1のデキストリンおよびカラギナン( ルリッチ No.3 * )の混合物を水に加え、攪拌溶解した後に、 乳パウダー、スーパースイートコーンパウ ー(クノールトレーディング(株)製)、スイー コーンフレーバー(香料)、および色素を加 て攪拌しながら溶解した。得られた水溶液 容器に入れて、冷蔵庫(5℃)で冷却し、スイ トコーン味の脂肪組織代替物を得た。

 (2)脂肪が代替されたコーン味チキンソーセ ジ(実施例5)の調製
 上記で得られたスイートコーン味脂肪組織 替物(実施例4)を用いて表6の処方に従ってコ ーン味チキンソーセージ(実施例5)を調製した 。詳細には、鶏ムネ肉、氷水、食塩、重合リ ン酸塩、亜硝酸ナトリウム、L-アスコルビン ナトリウム、砂糖、および香辛料を順次加 、カッティングし、次いで(1)で調製したス ートコーン味脂肪組織代替物を加え、さら 軽くカッティングした。これに表6記載の処 方からなるホイップ組成物を加え、次いで軽 くカッティングし、練り上げた。これを常法 に従って羊腸に充填し、加熱して、コーン味 チキンソーセージを調製した。なお、ホイッ プ組成物は、水に乳清タンパク質とカラギナ ンの混合物を加え、ハンドミキサーにてホイ ップしたものに、加工澱粉を加え、再度ホイ ップすることによって調製した。
 
 
 
 
 
 
 
 

 

 比較のため、上記スイートコーン味脂肪 織代替物(実施例4)15kgに代えて、下記処方か らなる組成物を常温で混合して調製した脂肪 加工品15kgを用いて同様にしてコーン味チキ ソーセージを調製した(比較品)。

 <脂肪加工品(kg)>
豚脂(5mmミンチ)       94.65(%)
豆乳パウダー            2.0
スーパースイートコーンパウダー   3.0
スイートコーンフレーバー      0.3
色素                0.05    
合 計             100.00 %

 調製したコーン味チキンソーセージ(実施 例5)をボイルして食べたところ、口の中で脂 組織代替物(実施例4)が溶け出し、当該ソー ージが、豚脂を用いて調製した比較のコー 味チキンソーセージと遜色なく、脂肪の濃 感やジューシー感を有したコーン味チキン ーセージであることが確認された。更に、 肪組織代替物として、スイートコーン味を めつけておいたものを用いることで、コー 味の調味料をソーセージ中に単に混合した 合と比較して、コーンの味が濃厚に付与さ たソーセージが調製できた。

  実験例5  乳化様組成物の調製
 調製例1または市販品1~5のデキストリンを用 いて乳化様組成物を調製した。詳細には、各 デキストリン15%を80℃の水に添加し、撹拌し デキストリン含有水溶液を調製し、全量補 後調製した水溶液を容器に入れ、冷蔵庫(5 )にて3日間冷却することにより、白濁した液 状の組成物(非乳化組成物)を調製した。調製 た乳化様組成物について、外観及び食感を 価し、更に各々の粒度分布を測定し、そこ ら結晶粒子径(メディアン径、平均粒子径) び標準偏差を求めた。結果を表7に示す。

 なお、粒度分布はレーザー回折式粒度分 測定装置(島津(株)製SALD-2100使用、測定吸光 範囲0.01~0.2、屈折率1.70-0.20i)。一方、比較の ため、マヨネーズ(☆キユーピー社製)の粒子 及び粒度分布を比較例として測定した。

 調製例1のデキストリンを用いて調製した 乳化様組成物(実施例6)は、油脂を含有しない にも関わらず乳化食品特有の白濁感を有し、 その食感も滑らかであった。また、その結晶 粒子もメジアン径、平均粒子径共に2~3μm前後 であった。これは、油脂を含み滑らかな食感 を呈するマヨネーズの乳化粒子に近似した粒 径であり、係る粒子径の結晶粒子が加工食品 組成物に滑らかな食感と油脂感を付与してい るものと考えられる。更には、調製例1のデ ストリンを用いて調製した実施例6の乳化様 成物は、その結晶粒子の標準偏差も0.30と小 さかった。

 一方、市販品1及び2のデキストリンを用 て調製した乳化様組成物は、メジアン径、 均粒子径共に200~400μm程度と大きく、ざらつ のある乳化様組成物となってしまった。更 は、その標準偏差も0.47及び0.63と大きかっ 。市販品4のデキストリンを用いて調製した 化様組成物は、メジアン径や平均粒子径は3 ~4μm程度と小さかったものの、その標準偏差 0.70と結晶粒子の分布が広く、ざらつきを生 じさせる大きい結晶粒子や、一方で油脂感を 付与できないほどの小さい結晶粒子が混在し ており、最終組成物である乳化様組成物に十 分な滑らかさや油脂感を付与することができ なかった。また、市販品3及び5のデキストリ を用いた乳化様組成物は、3日間冷却後も組 成物自体が半透明のままで、粒子径を測定す ること自体できなかった。

  実験例6  乳化様組成物の調製(2)
 調製例1または市販品1~3のデキストリンに、 キサンタンガムを併用して乳化様組成物を調 製した。詳細には、まず各デキストリン15%と キサンタンガム(サンエース NXG-S * )0.1%を80℃の水に添加し、攪拌してデキスト ンとキサンタンガムを含有する水溶液を調 した。そして、調製した水溶液を容器に入 て、冷蔵庫(5℃)にて冷却することにより白 した液状の組成物(非乳化組成物)を調製した 。また比較のため、乳化剤0.2%、キサンタン ム(サンエース NXG-S * )0.4%および水64.4%を混合した後、攪拌しなが 少量ずつサラダ油35%を添加したものをコロ ドミルにて均質化して白濁した液状の乳化 成物を調製した(比較対象品、デキストリン 使用)。

 これらの調製例1または市販品1~3のデキス トリンを用いて調製した組成物(非乳化組成 )およびデキストリンを用いないで調製した 化組成物について、(1)滑らかさ、(2)濃厚感 油脂感、(3)白濁感、(4)つや感、(5)食味を評 した。なお、これらの評価は、比較対照品 10として、評価の高い順に10、9、8・・・1の 10段階で評価を行った。

 結果を表8に示す。

 この結果、調製例1のデキストリンを用い て調製した組成物(実施例7)は、乳化物特有の 滑らかさ、濃厚感や油脂感、白濁感、および つや感を、比較の乳化組成物と遜色なく備え ており、油脂を含まない非乳化組成物であり ながらも、乳化組成物と類似した性状を備え ていた(乳化様組成物)。更に味や匂いについ も、デキストリン特有の澱粉臭がなく良好 あり、食品に適用できることが確認された これに対して、市販品3のデキストリンを使 用して調製した組成物は透明であり、乳化物 特有の白濁感を有していなかった。また、市 販品1~3のデキストリンを使用して調製した組 成物は、油脂を用いて調製する乳化物特有の 濃厚感やつや感がなく、その他、食感がざら ついている(市販品1~3)、デキストリン特有の 粉臭が強い(市販品1)などといった問題があ 、市販品のデキストリンでは乳化組成物と 似した性状を備えた乳化様組成物を調製す ことはできなかった。

  実験例7  非乳化マヨネーズ様調味料の調製(1)
 調製例1のデキストリンを用いて調味料を調 製した(実施例8~10)。詳細には、表9に示す各 分を80℃の水に添加し、10分間加熱溶解した 次いで、これに、酢(酸度10%の醸造酢換算で )3.5%、レモンストレート果汁2%、食塩2.5%、お びL-グルタミン酸ナトリウム0.3%を加えて2分 間攪拌した後、全量を100%となるように水を 合して容量を調整した。そして調製した水 液を容器にホットパック充填し、室温まで 却した後、冷蔵庫(5℃)にて冷却した。

 一方、比較のために、調製例1のデキスト リンの代わりに、市販品3のデキストリン(パ ンデックス♯100(松谷化学工業(株)製))を使 して、他は同様にして調味料を調製した(比 例)。

 調製例1のデキストリンを用いることによ り、白濁感、滑らかさ、油脂感、そして食品 に塗布した際の付着性を全て兼ね備えた、マ ヨネーズ様の調味料を調製することができた (実施例8~10)。また、調製例1のデキストリン 加えて、キサンタンガムおよびガティガム 用いることにより(実施例9)、更に滑らかな 感となった。さらにこれに乳化剤(コハク酸 ノグリセリド)を用いることにより(実施例10 )、長期間の保存によっても固化や粘度の上 が見られず、長期間にわたって滑らかな食 を有する保存安定性に優れたマヨネーズ様 調味料となった。これらの調味料(実施例8~10 )は、油脂や卵黄を含まないにも関わらず、 味も匂いも共にマヨネーズに類似したマヨ ーズ様の調味料であった。この結果は、調 例1のデキストリンを用いることにより、油 や卵黄を使用しないでマヨネーズと外観、 味および食感が類似したマヨネーズ様調味 が調製できることを意味する。すなわち本 明によれば、卵などのアレルギー源を含ま いアレルギーフリーで、しかも低カロリー 低脂肪のマヨネーズ様調味料を提供するこ ができる。

 一方、調製例1のデキストリンに代えて市 販品3のデキストリンを用いた場合には、マ ネーズ特有の白濁した溶液を得ることがで ず、マヨネーズ様の調味料を調製すること できなかった。

  実験例8  非乳化マヨネーズ様調味料の調製(2)
 調製例1または市販品1~5のデキストリンを用 いて、下記処方に従ってノンオイルの非乳化 調味料を調製した。また比較のため、デキス トリン14%に代えてブドウ糖を14%用いて同様に して非乳化調味料を調製した(デキストリン 使用)。

 <ノンオイル調味料> 
デキストリン         14.0(%)
砂糖              7.0
リンゴ酢            7.0
醸造酢             4.5
レモン果汁           2.0
食塩              4.0
ガディガム           0.3
キサンタンガム         0.1
L-グルタミン酸ナトリウム   0.2
カロチン色素          0.1
水               残 部  
合 計           100.0 %

 詳細には、水を攪拌しながら、砂糖、キサ タンガム(サンエース NXG-S * )、ガディガム(ガティガムSD * )およびデキストリンを添加し、これを80℃で 10分間加熱しながら攪拌し溶解した。次いで これに、リンゴ酢、醸造酢、レモン果汁、 塩、およびL-グルタミン酸ナトリウムおよ カロチン色素を添加し、水で全量が100%にな ように調整した。そして調製した溶液を容 にホットパック充填し、室温まで冷却した 、冷蔵庫(5℃)にて冷却した。

 得られた各調味料について、(1)濃厚感・油 感、(2)外観、(3)食感、(4)風味、および(5)総 評価を評価した。なお、(1)濃厚感・油脂感 (5)総合評価は、それぞれ10段階で評価し、(1 )濃厚感・油脂感は値が大きいほど濃厚なペ ストで濃厚感・油脂感が高いことを、(5)総 評価は値が大きいほどマヨネーズに近いこ を示す。
結果を表10に示す。

 また外観を図1に示す。図1中、(1)調製例1 (3)市販品1、(4)市販品2、(5)市販品3、(6)市販 4、(7)市販品5のデキストリンを使用して調 した調味料を、また(2)デキストリン未使用 調製した調味料を示す。

 これからわかるように、調製例1のデキス トリンを用いて調製したノンオイル調味料( 施例11)は、均一に白濁してマヨネーズと類 した外観を有するだけでなく、滑らかなマ ネーズ様の食感を有しており、マヨネーズ の調味料であった(非乳化マヨネーズ様調味 )。一方、その他のデキストリンを用いた場 合は、外観が白濁しないか、凝集および分離 し、少なくとも外観においてマヨネーズとは 相違しており、マヨネーズ様調味料を調製す ることはできなかった。

  実験例9   乳化様ドレッシングの調製(1)
 調製例1のデキストリンを用いてノンオイル ドレッシングを調製した(実施例12)。詳細に 、まず調製例1のデキストリン10%、キサンタ ガム(サンエース NXG-S * )0.12%、および砂糖3%を80℃の水に添加し、10分 間加熱溶解した。次に、これに、酢(酸度10% 醸造酢換算で)10%、および食塩2.5%を加え2分 攪拌した後、全量が100%になるように水を添 して調整した。そして調製した溶液を容器 ホットパック充填し、室温まで冷却した後 冷蔵庫(5℃)にて3日間冷却した。

 得られたドレッシングは、油脂を含んで ないにもかかわらず、乳化タイプのドレッ ングと、濃厚感・油脂感、白濁感、および や感においていずれも類似した乳化様ドレ シングであった。

  実験例10  乳化様ドレッシングの調製(2) 
 調製例1または市販品1~5のデキストリンを用 いて、下記処方に従ってノンオイルドレッシ ングを調製した(実施例13)。また比較のため デキストリン8%に代えてブドウ糖8%を用いて 様にしてノンオイルドレッシングを調製し (デキストリン未使用)。

 <ノンオイルドレッシング> 
デキストリン          8.0(%)
砂糖              6.0
醸造酢            10.0
食塩              3.0
キサンタンガム         0.1
L-グルタミン酸ナトリウム   0.5
サンアーティスト PX      0.8
香料              0.1
水               残 部  
合 計           100.0 %

 詳細には、水を攪拌しながら、砂糖、サン ーティスト PX * (発酵セルロース含有製剤)、キサンタンガム( サンエース NXG-S * )およびデキストリン(ビストップ D-2600 * )を添加し、これを室温で10分間攪拌しながら 溶解した。次いで、これに、醸造酢、食塩、 L-グルタミン酸ナトリウムおよび香料を添加 、水で全量が100%になるように調整した。そ して調製した溶液を90℃まで加熱した後、容 にホットパック充填し、室温まで冷却した 、冷蔵庫(5℃)にて冷却した。

 得られた各ドレッシングについて、(1)濃厚 ・油脂感、(2)外観、(3)食感、(4)風味、およ (5)総合評価を、実験例8と同じ基準に従って 評価した。
結果を表11に示す。

  実験例11  ファットスプレッド様食品の調製(1)
 調製例1のデキストリンを用いてファットス プレッド様食品を調製した(実施例14)。詳細 は、まず調製例1のデキストリン20%、グァー ム0.5%、および食塩4%を80℃の水に添加し、10 分間加熱溶解して、全量が100%になるように を添加して調整した。そして調製した水溶 を容器にホットパック充填し、室温まで冷 後、冷蔵庫(5℃)にて3日間冷却した。斯くし 調製された食品は、油脂を含有しない非乳 食品であるにも拘わらず、濃厚感・油脂感 白濁感、およびつや感において、油脂を50% 割合で含有するファットスプレッドに類似 たファットスプレッド様食品であった。

  実験例12  ファットスプレッド様食品の調製(2)
 調製例1または市販品1~5のデキストリンを用 いて、下記処方に従ってファットスプレッド 様食品を調製した(実施例15)。また比較のた 、デキストリン20%に代えてブドウ糖を20%用 て同様にして食品を調製した(デキストリン 使用)。

 <ファットスプレッド様食品> 
デキストリン         20.0(%)
食塩              4.0
グァーガム           0.5
カロチン色素          0.1
香料              0.1
水               残 部 
合 計           100.0 %

 詳細には、水を攪拌しながら、砂糖、グ ーガムおよびデキストリンを添加し、これ 80℃で10分間攪拌しながら溶解した。次いで 、これに、食塩、カロチン色素および香料を 添加し、水で全量が100%になるように調整し 。そして調製した溶液を90℃まで加熱後、容 器にホットパック充填し、室温まで冷却した 。

 得られた各食品について、(1)濃厚感・油脂 、(2)外観、(3)食感、(4)風味、および(5)総合 価を実験例8に記載する基準に従って評価し た。
結果を表12に示す。

 調製例1のデキストリンを用いて調製され たファットスプレッドは、油脂を含有しない 非乳化食品であるにも拘わらず、濃厚感・油 脂感、白濁感、およびつや感において、油脂 を含有する乳化食品であるファットスプレッ ドに類似していた。一方、市販品のデキスト リンを用いて調製された食品は、ファットス プレッド様の保形性すら再現することができ ず(市販品2、4)、また調製例1のデキストリン 用いた場合に比べその油脂感を付与するこ はできなかった(市販品1~5)。更には、市販 のデキストリンを用いて調製された食品は 脂感が付与できないにも関わらず、糊っぽ 、口溶けが悪いなど重い食感の食品であっ 。

  実験例13  低脂肪マヨネーズ様調味料
 調製例1のデキストリンを用いて、下記処方 に従って低脂肪マヨネーズ様調味料を調製し た(実施例16~19)。また比較のため、デキスト ンを用いないで、下記の処方に従って同様 して調味料を調製した(比較例1~7)(以上、表13 参照)。また、比較のため、調製例1のデキス リンに代えて、実験例1に記載する市販品1(P ASELLI SA2、AVEBE社製)または市販品3(パインデ クス#100、松谷化学工業(株)製)のデキストリ を用いて同様にして調味料を調製した(比較 例8~16)(以上、表14参照)

 <調製方法>
1)水に、デキストリンおよび砂糖を添加し、8 0℃で10分間攪拌して溶解する。
2)これを25℃まで冷却し、卵黄を混合した後 食塩、砂糖、L-グルタミン酸ナトリウム、お よび醸造酢を添加して混合する。
3)これに植物油脂を少量ずつ加えて撹拌する
4)これをコロイドミルにて乳化する。
5)上記で調製した乳化物を3日間、5℃で冷蔵 る。

 得られた各乳化調味料について、(1)濃厚 ・油脂感、(2)風味、(3)造形性、および(4)粘 を評価した。なお、(1) 濃厚感・油脂感お び(3)造形性は、油脂含量が75%の比較例1の調 料(通常のマヨネーズ)を基準(10)として、10 階で評価した。(4)粘度は、ブルックフィー ド粘度計を用いて25℃条件下で、5rpmで1分間 定した。結果を表15に示す。

  実験例14  チーズ様食品の調製(1)
 調製例1または市販品1~3のデキストリンを用 いて、表16の処方に従って食品を調製した。 細には、表15の処方のうち、脱脂粉乳を水 溶解した脱脂粉乳含有水溶液に、各デキス リン(調製例1、市販品1~3)を添加して溶解し 。次いで、これにチーズパウダー、食塩、 素、香料を添加し混合して容器に充填し、85 ℃で1時間殺菌したのち、冷却して食品を調 した。

 調製例1のデキストリンを用いて調製した 食品(実施例20)は、脂肪分を含有していない も関わらず、チーズ特有のボディ感や油脂 、および口あたりを有しており、またチー 特有の風味を備えており、チーズに類似し チーズ様食品として調製することができた これに対して、市販品のデキストリンを用 て調製した食品は、デキストリン特有の澱 臭が強くてチーズの風味が著しく損なわれ いたり、食感がざらついてチーズ様の食感 呈していないといった不具合(市販品1のデキ ストリン使用)、デキストリンの粘度が高く ーズ様の食感を有する食品を調製すること できないといった不具合(市販品2のデキスト リン使用)、ペースト状となりチーズ特有の 型性を備えていない、およびチーズ特有の 脂感や口あたりを有していないといった不 合(市販品3のデキストリン使用)があり、チ ズに類似した食品にはならなかった。

  実験例15  チーズ様食品の調製(2)
 下記表17に従って食品を調製した。詳細に 、表17の処方のうち、脱脂粉乳を水に溶解し て調製した脱脂粉乳含有水溶液に、調製例1 デキストリン、および乳清タンパク質(ミル ロ NO.142 * )を添加して溶解した。これに、チーズパウ ー、食塩、色素、香料、スクラロース含有 剤、および調味料を添加して混合し、容器 充填した後、85℃で1時間殺菌したのち、冷 し、5℃にて72時間静置して食品を調製した( 施例21)。

 調製された食品(実施例21)は、脂肪を含有 せず、またチーズ含有量が5%と少ないにも関 らず、チーズ特有のボディ感および良好な あたりを有する、チーズに類似した食品(チ ーズ様食品)であった。また当該チーズ様食 は、常温では良好なチーズ特有の保型性を しつつも、オーブントースターにて3分間加 を行うことによりとろけて、チーズ特有の 融感や糸引き感を兼ね備えていた。

  実験例16 :チーズ様食品の調製(3)
 表18に従って食品を調製した。詳細には、 18の処方のうち、水に、調製例1のデキスト ン、メチルセルロース、キサンタンガム、 よびカラギナンを添加し、溶解した。更に れに、食塩、色素、香料、スクラロース含 製剤、調味料を添加、混合して容器に充填 た後、85℃で1時間殺菌したのち、冷却して 品を調製した(実施例22)。

 調製された食品は、チーズ及び脂肪を含 しないにも関わらず、チーズ特有のボディ および良好な口あたり、更には良好なチー の風味を有するソフトタイプのチーズ様食 となった。更に、調製したチーズ様食品を 3ヶ月冷蔵で保存した後、食したところ、チ ーズ特有の風味や滑らかな口あたりを維持し ていた。

  実験例17 :チーズ様食品の調製(4)
 調製例1または市販品1~5のデキストリンを用 いて、下記処方に従ってイミテーションチー ズを調製した(実施例23)。また比較のため、 キストリン30%に代えてブドウ糖を30%用いて 様にして食品を調製した(デキストリン未使 )。

 <イミテーションチーズ> 
デキストリン         30.0(%)
脱脂粉乳            5.0
チーズパウダー         5.0
食塩              1.3
カロチン色素          0.1
香料              0.2
水              58.4   
合 計           100.0 %

 詳細には、水を攪拌しながら、脱脂粉乳 添加して溶解した。次いで、これにデキス リンを加えて溶解し、次いで、チーズパウ ー、食塩、カロチン色素および香料を添加 、水で全量が100%になるように調整した。そ して調製した溶液を容器に充填後、85℃で1時 間加熱殺菌した後、室温まで冷却した。

 得られた各食品について、(1)濃厚感・油脂 、(2)外観、(3)食感、(4)風味、および(5)総合 価を実験例8に記載する基準に従って評価し た。
結果を表19に示す。

  実験例18 :クリームチーズ様食品
 下記表20に従ってチーズ様食品を調製した 詳細には、表20の処方のうち、85℃の水にデ ストリン、キサンタンガム、ネイティブ型 ェランガム、脱アシル型ジェランガムおよ クエン酸三ナトリウムを添加、溶解した。 に、これに食塩を添加した後、クエン酸に pHを3.8に調整し、色素および香料を添加し 合した。これを容器に充填した後、85℃で1 間殺菌したのち冷却して、クリームチーズ 食品を調製した(実施例24)。

 調製されたクリームチーズ様食品は、チ ズ及び脂肪分を含有しないにも関わらず、 リームチーズ特有のボディ感および良好な 溶けと風味、ならびにスプレッド性を有し いた。またこのクリームチーズ様食品は、3 ヶ月冷蔵保存した後もチーズ特有の風味や滑 らかな口あたりを維持していた。当該クリー ムチーズ様食品は、レアチーズケーキやデザ ート用のクリームチーズソースの材料として 、クリームチーズに代えて用いることができ る。

  実験例19 :チーズ様食品を含有する加工食品(レアチー ケーキ様食品)
 実験例18で調製したクリームチーズ様食品( 施例24)を用いて、表21に示す処方に従って アチーズケーキ様食品を調製した。なお、 21に示す処方のうち、ゼラチンは、あらかじ め水に入れ電子レンジを用いて溶解したもの を用意しておいた。次に、クリームチーズ様 食品(実施例24)を室温下に2時間静置して柔ら くし、これにグラニュー糖、生クリーム、 モン果汁、および上記ゼラチンの溶解液を 次添加し混合した。次いで、これを容器に 填して冷蔵庫にて3時間冷却して、レアチー ズケーキ様食品を調製した(実施例25)。

 調製されたレアチーズケーキ様食品(実施 例25)は、チーズを含有せず、さらに脂肪の含 有量が少ないにも関わらず、レアチーズケー キの風味、コク、滑らかな食感を有していた 。また、実験例17で調製したクリームチーズ 食品(実施例24)は、室温に戻すと、クリーム チーズと同様に組織が柔らかくなり、攪拌・ 混合といった作業性も良好で、取り扱いが容 易であった。更には、ここで調製したレアチ ーズケーキ様食品は、通常のクリームチーズ (脂質33%、たん白8.2%、炭水化物2.3%、灰分1%、 分55.5%、カロリー346kcal)を用いて調製したレ アチーズケーキと比べて、約30%のカロリーと 約45%のコレステロールを低減させることがで きた。

  実験例20 :クリームチーズ様食品の調製(5)
 調製例1または市販品1~5のデキストリンを用 いて、下記処方に従ってイミテーションチー ズ(クリームチーズタイプ)を調製した(実施例 26)。また比較のため、デキストリン25%に代え てブドウ糖を25%用いて同様にして加工食品を 調製した(デキストリン未使用)。

 <イミテーションチーズ> 
デキストリン         25.0(%)
ネイティブ型ジェランガム    0.1
キサンタンガム         0.1
脱アシル型ジェランガム     0.04
食塩              0.7
クエン酸三ナトリウム      0.01
クエン酸            適 量
カロチン色素          0.05
香料              0.2
水               残 部    
合 計           100.0 %

 詳細には、85℃の水を攪拌しながら、デ ストリン、ネイティブ型ジェランガム、キ ンタンガム、脱アシル型ジェランガム、お びクエン酸三ナトリウムを添加して溶解し 。次いで、これに食品を加えて溶解し、ク ン酸にてpHを3.8に調整し。色素と香料を添加 し、水で全量が100%になるように調整した。 して調製した溶液を容器に充填後85℃で30分 加熱殺菌し、室温まで冷却した。

 得られた各食品について、(1)濃厚感・油 感、(2)外観、(3)食感、(4)風味、および(5)総 評価を実験例8に記載する基準に従って評価 した。結果を表22に示す。

  実験例21 :チョコレートプリン(中性デザート)の調製 
 調製例1または市販品1~5のデキストリンを用 いて、下記処方に従ってチョコレートプリン を調製した(実施例27)。また比較のため、デ ストリン4%に代えてブドウ糖を4%用いて同様 してチョコレートプリンを調製した(デキス トリン未使用)。

 <チョコレートプリン> 
デキストリン           4.0(%)
生クリーム           15.0
砂糖              12.0
チョコレート          10.0
脱脂粉乳             3.0
ココアパウダー          1.0
ゲル化剤(ゲルアップ PI-2069 * )  4.0
乳化剤(ホモゲン DM * )            0.1
香料               0.1
水                残 部    
合 計            100.0 %

 詳細には、水に生クリームとチョコレート 攪拌しながら、香料以外の成分を添加し、8 0℃に加熱し10分間攪拌しながら溶解した。香 料を添加後、水で全量が100%になるように調 した。これを均質機にかけてホモジナイズ(1 50kgf/cm 2 )し、容器に充填した後冷却した。なお、上 成分のうち、ゲル化剤(ゲルアップ PI-2069 * )はローカストビーンガム、ペクチン、寒天 よびメタリン酸ナトリウムの混合物(以下、 じ)であり、乳化剤(ホモゲン DM * )はグリセリン脂肪酸エステルである。

 得られた各チョコレートプリンについて、( 1)濃厚感・油脂感、(2)食感、(3)風味、および( 5)総合評価を実験例8に記載する基準に従って 評価した。
結果を表23に示す。

  実験例22 :焼きプリン(中性デザート)の調製 
 調製例1または市販品1~5のデキストリンを用 いて、下記処方に従って焼きプリンを調製し た(実施例28)。また比較のため、デキストリ 2%に代えてブドウ糖を2%用いて同様にして焼 プリンを調製した(デキストリン未使用)。

 <焼きプリン> 
デキストリン         2.0(%)
牛乳            30.0
生クリーム          5.0
砂糖            10.0
全脂粉乳           2.0
加糖凍結全卵        12.0
加糖凍結卵黄        12.0
水             残 部   
合 計          100.0 %

 詳細には、水、牛乳、および生クリームを 拌しながら、砂糖、全脂粉乳およびデキス リンを添加し、80℃に加熱して攪拌しなが 溶解した。これを50℃まで冷却し、次いで加 糖凍結全卵と加糖凍結卵黄を加えて十分に混 合する。次いで、これを均質機にかけてホモ ジナイズ(150kgf/cm 2 )し、これを容器に充填した後、155℃のオー ンで50分間焼成した。

 得られた各焼成プリンについて、(1)濃厚感 (2)食感、(3)風味、および(4)総合評価を実験 8に記載する基準に従って評価した。
結果を表24に示す。

  実験例23 :チーズデザート(酸性デザート)の調製 
 調製例1または市販品1~5のデキストリンを用 いて、下記処方に従ってチーズデザートを調 製した(実施例29)。また比較のため、デキス リン4.5%に代えてブドウ糖を4.5%用いて同様に してチーズデザートを調製した(デキストリ 未使用)。なお、処方中、「シンプレス100」 、乳清タンパク質を部分的に熱変性した微 子状のタンパク質である。乳清タンパク質 、高剪断をかけながらタンパク質の変性温 以上に加熱することによって得ることがで る。

 <チーズデザート(酸性デザート)> 
デキストリン          4.5(%)
クリームチーズ        10.0
シンプレス100        8.0
砂糖              6.0
植物油脂            2.0
ゲル化剤(ゲルアップ PI-2069 * )0.6
乳化剤(ホモゲン DM * )           0.1
クエン酸            0.3
スクラロース          0.005
香料              0.1
水               残 部    
合 計           100.0 %

 詳細には、水を攪拌しながら、砂糖、ゲル 剤、乳化剤、デキストリンおよびスクラロ スを添加し、さらにクリームチーズ、シン レス100 * および植物油脂を加えて、40℃に加熱して10 間攪拌しながら溶解した。これにクエン酸 添加して、90℃で10分間加熱した後、香料を 加し、水で全量を100%に調整した。次いで、 これを均質機にかけてホモジナイズ(150kgf/cm 2 )し、これを容器に充填した後、冷却した。

 得られた各焼成プリンについて、(1)濃厚感 油脂感、(2)食感、(3)風味、および(4)総合評 を実験例8に記載する基準に従って評価した 。
結果を表25に示す。

  実験例24 :冷菓の調製 
 調製例1または市販品1~5のデキストリンを用 いて、下記処方に従ってラクトアイスを調製 した(実施例30)。また比較のため、デキスト ン5%に代えてブドウ糖を5%用いて同様にして クトアイスを調製した(デキストリン未使用 )。

 <ラクトアイス> 
デキストリン         5.0  (%)
脱脂粉乳           8.0
砂糖             8.0
果糖ブドウ糖液糖       7.0
精製ヤシ油           5.0
安定剤(サンベスト NN-303 * )    0.2
乳化剤(ホモゲン DM * )   0.2
ワニラフレーバーNO.93-I     0.1
水               残 部    
合 計          100.0 %

 詳細には、水を攪拌しながら、果糖ブドウ 液糖、脱脂粉乳、砂糖、安定剤、乳化剤、 よびデキストリンを加えて加熱して攪拌し 。80℃になった後、精製やし油を添加し、 のまま80℃で10分間加熱攪拌溶解し、水で全 を100%に調整した。次いで、これを均質機に かけてホモジナイズ(150kgf/cm 2 )した後、5℃まで冷却し、一晩エージングを った。エージング後、フリージングし容器 充填、冷却することによりラクトアイスを 製した。なお、安定剤(サンベスト NN-303 * )は、グァーガム、タマリンド種子多糖類、 ーカストビーンガム、およびカラギナンの 合物である。

 得られたラクトアイスについて、(1)組織( 荒い1→10滑らか)、(2)ボディ感(弱い1→10強い) 、(3)口溶け(悪1→10良)、(4)風味(悪1→10良)、 よび(5)総合評価(悪1→10良)を、10段階で評価 た。

 結果を表26に示す。

  実験例25 :ホイップクリームの調製
 調製例1または市販品1~5のデキストリンを用 いて、下記処方に従ってホイップクリームを 調製した(実施例31)。また比較のため、デキ トリン5%に代えてブドウ糖を5%用いて同様に てホイップクリームを調製した(デキストリ ン未使用)。

 <ホイップクリーム> 
デキストリン          5.0(%)
ヤシ油            30.0
脱脂粉乳            4.0
砂糖              8.0
グリシン            1.0
乳化安定剤           1.0
水               残 部    
合 計           100.0 %

 詳細には、水を攪拌しながら、ヤシ油以外 成分を添加し、80℃まで加熱して10分間攪拌 しながら溶解した。これにヤシ油をゆっくり 添加して、80℃まで再加熱し5分間攪拌した。 水で全量を100%に調整し、これを均質機にか てホモジナイズ(150kgf/cm 2 )し、これを93℃で殺菌した。これを一晩エー ジングして、冷蔵状態でコシがでるまでホイ ップした。次いでこれを絞り袋に充填し、冷 凍した後、自然解凍(室温で1時間)させた。

 得られたホイップクリーム(冷凍後解凍) ついて、(1)濃厚感・油脂感、(2)食感、(3)風 、(4)冷凍解凍時の離水抑制効果および(5)総 評価を評価した。なお、冷凍解凍時の離水 制効果は、解凍後に花形に絞り出して、一 時間放置した後の離水の有無を、10段階で評 価した(1悪→良10)。結果を表27に示す。

  実験例26 :フラワーペーストの調製 
 調製例1または市販品1~5のデキストリンを用 いて、下記処方に従ってフラワーペーストを 調製した(実施例32)。また比較のため、デキ トリン5%を使用しない代わりに生クリームを 5%増やしたものと(比較品1)、デキストリン5% 使用しない代わりに水を5%増やしたものとを (比較品2)、同様にしてフラワーペースト(デ ストリン未使用)を調製した。

 <フラワーペースト> 
デキストリン              5.0(%)
生クリーム              10.0
脱脂粉乳                3.0
砂糖                 20.0
加工澱粉(ファリネックスVA-70C) 4)    1.0
薄力粉                 1.0
20%加糖凍結卵黄           1.5
ゲル化剤(ゲルアップ PI * )       0.2
ゲル化剤(ゲルアップ K-S * )       0.1
乳清タンパク質(ミルプロ L-1 * )      1.0
グリシン                2.0
香料                  0.1
色素                  0.1
水                   残 部   
合 計               100.0 %
4) 松谷化学工業(株)製

 詳細には、水、生クリームおよび加糖凍 卵黄の混合物を攪拌しながら、香料と色素 外の成分を加え、8000rpmで5分間ホモジナイ 処理を行った。これを90℃で10分間加熱しな ら攪拌して溶解し、香料と色素を添加した 水で全量を100%に調整し、容器に充填して冷 却した。

 得られたフラワーペーストについて、(1) 厚感・油脂感(1無→有10)、(2)食感、(3)風味 (4)離水の有無、および(5)総合評価を評価し 。結果を表28に示す。

  実験例27 :フォアグラ風味食品の調製 
 調製例1または市販品1~5のデキストリンを用 いて、下記処方に従ってフォアグラの風味を つけた食品を調製した(実施例33)。また比較 ため、デキストリン20%を使用しない代わり 水を20%増やしたものを、同様にしてフォア ラの風味をつけた食品を調製した。

 <フォアグラ風味食品> 
デキストリン              20.0(%)
鶏レバーペースト             5.0
コーンサラダ油             25.0
乳清タンパク質(ミルプロ LG * )       4.0
チーズパウダー              1.8
チキンパウダー              0.5
食塩                   0.7
砂糖                   0.3
洋酒                   0.5
調味料(アミノベースNAG * )         0.1
甘味料(ソーマチン:ネオサンマルク AG * )0.1
香辛料                     0.1
水                         残 部   
合 計                   100.0 %

 詳細には、まず、水、レバーペーストお び洋酒を混合攪拌し、ストレーナーに通し これにその他の原料を加えて、6000rpmで5分 ホモジナイズ処理を行った。これを容器に 填して121℃で20分間レトルト殺菌を行った。

 得られた食品について、(1)食感、(2)離水 有無、(3)レトルト殺菌による褐変の有無、 よび(4)総合評価を評価した。結果を表29に す。

  実験例28 :生チョコレート様食品の調製
 調製例1のデキストリンを用いて、下記処方 に従って生チョコレートの食感を有する食品 を調製した(実施例34)。

 <生チョコレート様食品> 
脱脂ココアパウダー          15.0(%)
デキストリン(調製例1)       12.0
ゼラチン                0.2
ローカストビーンガム           0.2
スクラロース              0.003
香料                  0.1
水                   残 部   
合 計               100.0 %

 詳細には、まず、水に脱脂ココアパウダ 以外の成分を添加し、加熱攪拌溶解し、こ に脱脂ココアパウダーを添加混合して攪拌 た。これを容器に充填して121℃で20分間レ ルト殺菌を行った。斯くして得られた食品 、脂質含量0%でありながらも、生チョコレー トと同様の食感と風味を有していた。

  実験例29 :グミキャンディーの調製
 調製例1のデキストリンを用いて、下記処方 に従ってグミキャンディーを調製した(実施 35)。

 <処方1> 
砂糖                31.0(部)
水飴                26.0
ソルビトール             7.4
デキストリン(調製例1)      20.0
水                 30.0  

 <処方2> 
マンゴピューレ            2.0 (%)
クエン酸(無水)           1.0
スクラロース(20%水溶液)     0.2
色素                 0.05
香料                 0.2
水                  0.55    

 詳細には、まず、処方1に従って、各材料 を計量して手鍋に入れ、加熱して沸騰させな がら、全量が最終グミキャンディー100%中96% なるまで煮詰めた。これに処方2に従ってマ ゴピューレ等の成分をすべていれて混合し( 全量100%)、これを型容器に充填して冷却した 斯くして得られた食品は、滑らかで口溶け よいグミ様の食感を有していた(グミキャン ディー)。

  実験例30 :アンチョビペーストの調製
 調製例1のデキストリンを用いて、下記処方 に従ってアンチョビペーストを調製した(実 例36)。

 <アンチョビペースト> 
アンチョビソース(塩分15-20%)  70.0(部)
デキストリン(調製例1)      30. 0   

 詳細には、まず、アンチョビソースを攪 しながら70℃まで加熱し、これにデキスト ンをいれて加熱攪拌溶解した。これを容器 充填して一晩冷蔵した。斯くして塩分濃度 高い液体食品であるアンチョビソースを、 ースト状の食品にすることができた。

  実験例31 :和風めんつゆ
 調製例1のデキストリンを用いて、下記処方 に従って和風めんつゆを調製した(実施例37)
<和風めんつゆ> 
和風めんつゆ3倍濃縮品       33.0(%)
デキストリン(調製例1)      15.0
水                 52.0     
合計               100.0

 詳細には、まず、80℃のお湯にデキスト ンを添加して10分間撹拌溶解した。次に市販 の和風めんつゆ3倍濃縮品を加えて更に5分撹 し、5℃で冷却して3日間保存した。また比 のため、デキストリン15%に代えてゼラチン 15%用いて同様にして和風めんつゆを調製し (比較例)。

 調製された和風めんつゆはいずれも冷蔵 態、すなわち温度1~15℃でゲル状であり、チ ルド輸送でゲル状のまま簡便に輸送すること が可能である。また、当該和風めんつゆは、 喫食時に電子レンジで加熱することにより容 易に液状になる。かかる和風めんつゆを喫食 したところ、ゼラチンを使用して調製した和 風めんつゆ(比較例)は、加熱した場合の食感 もったりしており、また香り立ちも弱かっ 。一方、調製例1のデキストリンを使用して 調製した和風めんつゆ(実施例37)はもったり がなく、また香り立ちも良かった。

  実験例32 :うどんスープ
 調製例1のデキストリンを用いて、下記処方 に従ってうどんスープを調製した(実施例38)
<うどんスープ> 
うどんスープ3倍濃縮品       33.0(%)
デキストリン(調製例1)      15.0 
水                52.0   
合計              100.0

 詳細には、まず、80℃のお湯にデキスト ンを添加して10分間撹拌溶解した。次に市販 のうどんスープ3倍濃縮品を加えて更に5分撹 し、5℃で冷却して3日間保存した。また比 のため、デキストリン15%に代えてゼラチン 15%用いて同様にしてうどんスープを調製し (比較例)。

 調製されたうどんスープは、いずれも冷 した0~15℃でゲル状であり、チルド輸送でゲ ル状のまま簡便に輸送することが可能である 。また、喫食時に電子レンジで加熱すること により、容易に液状のうどんスープとなる。 かかるうどんスープを喫食したところ、比較 例のうどんスープは食感がもったりしていて 香り立ちが弱いのに対し、調製例1のデキス リンを使用して調製したうどんスープ(実施 38)はもったり感がなく、また香り立ちも良 った。

  実験例33 :味噌汁
 調製例1のデキストリンを用いて、下記処方 に従って味噌汁を調製した(実施例39)。
<味噌汁> 
みそ                11.0(%)
デキストリン(調製例1)      15.0 
水                 74.0  
合計               100.0

 詳細には、まず、80℃のお湯にデキスト ンを添加して10分間撹拌溶解した。次にみそ を溶いて更に5分撹拌し、5℃で冷却して3日間 保存した。また比較のため、デキストリン15% に代えてゼラチンを15%用いて同様にして味噌 汁を調製した(比較例)。

 斯くして調製した味噌汁は、いずれもチ ド輸送時にゲル状で、喫食時に加熱するこ によって液状になるという特長を有してい 。また調製された調製例1のデキストリンを 用いて調製した味噌汁(実施例39)はゼラチン 使用して調製した味噌汁(比較例)に比べ、そ の食感も香り立ちも良好であった。

 本発明によれば低カロリーで低脂肪であ ながらも、脂肪特有のジューシー感を十分 付与することのできる、製造上の取り扱い 容易な脂肪組織代替物、及び脂肪を代替し 加工食品を提供することができる。特には 脂肪の形態や食感が重視されるソーセージ どの加工食品に関しても、脂肪特有の自然 好ましい存在感、ジューシー感を十分に付 することのできる脂肪組織代替物、及び脂 組織代替物によって脂肪が代替された加工 品を提供できるホモジナイズなどの均質化 程を経ることなく、簡便な製造方法によっ 、油脂を含有せずとも油脂の滑らかさやコ 、更には乳化物特有の白濁感や表面のつや が付与された乳化様組成物を提供すること できる。更には、油脂が低減もしくは全代 されたマヨネーズ様調味料やドレッシング どの乳化様食品を提供できる。

 チーズ様食品中の脂肪を低減、若しくは 肪を全く含有させない場合であっても、チ ズ特有のボディ感および口あたりを有する ーズ様食品を提供できる。更には良好な加 溶融性や保型性を有し、製造上の取り扱い 容易であり、風味に優れたチーズ様食品を 供できる。

実験例8で調製した非乳化マヨネーズ様 調味料の外観を示す図である。図1中、(1)調 例1、(3)市販品1、(4)市販品2、(5)市販品3、(6) 販品4、(7)市販品5のデキストリンを使用し 調製した調味料を、また(2)デキストリン未 用で調製した調味料を示す。