三輪 典子 (〒81 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1-1 味の素株式会社内 Kanagawa, 〒2108681, JP)
味の素株式会社 (〒15 東京都中央区京橋1丁目15番1号 Tokyo, 〒1048315, JP)
AMANO ENZYME INC. (2-7 Nishiki 1-chome, Naka-ku Nagoya-sh, Aichi 30, 〒4608630, JP)
天野エンザイム株式会社 (〒30 愛知県名古屋市中区錦1丁目2番7号 Aichi, 〒4608630, JP)
| 乳原料にタンパク質脱アミド酵素を添加作用させて得られる脱アミド処理乳原料と、澱粉含有原料とを用いることを特徴とする加工食品の製造方法。 |
| 乳原料が牛乳又は粉乳である請求項1記載の方法。 |
| 澱粉含有原料が、小麦粉、コーン加工品又はじゃがいも加工品である請求項1又は2記載の方法。 |
| 加工食品が、パン、ピザ、マッシュポテト、ケーキ、カスタードクリーム、ソース、ルゥ、シチュー、スープよりなる群より選ばれるものである請求項1乃至3何れか記載の方法。 |
| タンパク質脱アミド酵素の添加量が、乳原料中の乳タンパク重量1gあたり0.1~50ユニットである請求項1乃至4何れか記載の方法。 |
| 請求項1乃至5何れか記載の方法により製造された加工食品。 |
[関連出願の記載]
本発明は、日本国特許出願:特願2008-160840号(
2008年 6月19日出願)の優先権主張に基づくも
であり、同出願の全記載内容は引用をもっ
本書に組み込み記載されているものとする
本発明は、乳原料にタンパク質脱アミド酵
を添加作用させて得られる脱アミド処理を
された乳原料と、澱粉原料とを用いること
特徴とする加工食品及びその製造方法に関
るものである。
現在の我が国では、食の多様化・簡便化や 女性の社会進出に伴い、スーパーやコンビニ エンスストアで売られている加工食品や半加 工食品へのニーズがますます高まっている。 また、レストランなどの外食産業においても 、時間短縮・コスト削減・提供食品の均一化 などのために半加工品や加工品を使用するこ とが多くなっており、加工食品への需要も日 々高まっている。しかし、小麦粉や馬鈴薯澱 粉等の澱粉含有原料を用いて製造された加工 食品は、調理後しばらく時間が経ってから喫 食されることが多く、消費者が購入するまで の間、消費者が喫食する場所へ持ち運ぶ間に 経時変化が起きる。また、消費者が解凍した り、再加熱したりすることにより、食品の「 美味しさ」を決定づける色・つや・食感が劣 化するという問題がある。例えば、本来白い ものが黄色くなってしまったり、つやがなく なったり、しっとりした食感がボソボソして しまったりするなどである。これらを防ぐた め、食品業界では澱粉原料を加工食品の製造 法を工夫したり、添加物の添加を検討したり する努力がなされている。
小麦粉、コーン、じゃがいものような澱 含有原料を用いて製造される加工食品では くの場合、冷蔵(チルド)食品、冷凍食品と われる形で、低温域にて保存、流通される このとき澱粉の老化による食味等の品質劣 が起こるが、更に、喫食に適した温度域に 加熱すると食品中の水分が蒸発する等によ 食味、食感、風味等の品質の劣化を一段と く傾向にある。こういった課題に対し、品 低下を抑制する方法として、澱粉の老化の 制のためα-アミラーゼ、β-アミラーゼ、グ コアミラーゼ等の酵素類を添加することが く行われてきた。中でも特許文献1に開示さ ている、α-グルコシダーゼ(トランスグルコ シダーゼ)を用いて澱粉含有食品の澱粉老化 起因する品質劣化を抑制する方法は優れて り、コンビニエンスストア向け米飯食品等 おいて実用化されている。またトレハロー 等の還元糖類を添加する方法(特許文献2)、 状及び分岐構造を有するグルカンを利用す 方法(特許文献3)、カシアガムを含有する食 用改良剤を用いる方法(特許文献4)のように 糖質、増粘多糖を用いた加工食品の改質技 についても報告されている。さらに、乳化 と油脂を添加する方法(特許文献5)など、数 の改善方法が提案されている。
しかしながら、特許文献1に記載されてい るα-グルコシダーゼを用いる方法を除き、こ れらの方法では、本来の加工食品の有する食 味や食感、風味等の品質の劣化を招くといっ た別の問題を引き起こすなど、改良の効果が 充分ではない。また、加工食品の製造工程で 酵素類を添加することは工程の変更が必要と なったり、或いは反応制御の課題がある等、 従来の技術では充分満足する方法にまで至っ ていないのが現状である。
タンパク質脱アミド酵素は、タンパク質 のアミド基に直接作用し、脱アミドする反 を触媒する酵素である。それによってタン ク質中のグルタミン残基はグルタミン酸残 に変換され、カルボキシル基が生じること ら、タンパク質の負電荷の増加、静電反発 の上昇、等電点の低下、水和力の増加等が こる。その結果、タンパク質の溶解性、水 散性の増加、乳化力、乳化安定性の向上な 様々な機能特性の向上をもたらすことが知 れている(非特許文献1、2、特許文献6~8)。
タンパク質脱アミド酵素を食品に用いる 法は、特許文献6、8、9に開示されているが これら先行文献の中には、本酵素を用いた 麦グルテン、乳タンパク質(主にホエータン パク質)の機能特性の改変に関する記述、或 はヨーグルトやチーズといった乳製品の食 改良に関する記述がみられる。しかしなが 、脱アミド処理された牛乳または牛乳から られる粉乳製品を、澱粉含有原料を原料と る加工食品に適量配合したときに、顕著な 感、品質改良効果、老化抑制効果、具体的 は色・つや・食感を向上する効果や、調理 の経時劣化、特に冷蔵保存時の経時劣化や 解凍時の老化劣化を抑制する効果を発揮す ことについては一切開示されていない。
以上の特許文献1~9及び非特許文献1~2の全開
内容は、本書に引用をもって繰り込み記載
れているものとする。
以下の分析は、本発明の観点から与えられ
。
本発明の目的は、前記のような従来技術に
み、色・つや・食感が良好で、調理後の経
劣化、冷解凍時の老化劣化の抑制された、
麦粉やコーン加工品、じゃがいも加工品等
澱粉原料を含有する加工食品、及びその製
方法を提供することである。
上記の目的を達成すべく本発明者らは、該
工食品の汎用原料である乳素材、中でも、
ゼインがミセルの形で存在している牛乳お
び牛乳から得られる粉乳製品に着目した。
ぜなら、それらが加工食品の製造において
最もよく使用される原料のひとつであるか
である。本発明者らは牛乳の改質手段につ
て鋭意研究を重ねた。その結果、タンパク
脱アミド酵素により脱アミド処理された牛
または粉乳を加工食品に原料として配合す
ことにより、顕著な色・つや・食感改良効
、および経時劣化抑制効果が発揮されるこ
を見出した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)乳原料にタンパク質脱アミド酵素を添加作
用させて得られる脱アミド処理乳原料と、澱
粉含有原料とを用いることを特徴とする加工
食品の製造方法。
(2)乳原料が牛乳又は粉乳である(1)記載の方法
。
(3)澱粉含有原料が、小麦粉、コーン加工品又
はじゃがいも加工品である(1)又は(2)記載の方
法。
(4)加工食品が、パン、ピザ、マッシュポテト
、ケーキ、カスタードクリーム、ソース、ル
ゥ、シチュー、スープよりなる群より選ばれ
るものである(1)乃至(3)何れか記載の方法。
(5)タンパク質脱アミド酵素の添加量が、乳原
料中の乳タンパク重量1gあたり0.1~50ユニット
ある(1)乃至(4)何れか記載の方法。
(6)請求項1乃至5何れか記載の方法により製造
れた加工食品。
本発明によれば、澱粉含有原料を用いる 合においても、色・つや・食感が良好で、 理後の経時劣化、冷解凍時の老化劣化の抑 された加工食品を得ることができる。
本発明における乳原料とは、ミセル構造 有しているカゼインを含む素材のことを意 し、牛乳、山羊乳等哺乳類の乳、それらの 脂乳、成分調製乳、加工乳、それらを濃縮 たもの、水で希釈したもの、乾燥させたも (粉乳)、乾燥させた粉乳を水に懸濁、溶解 たもの等が例示される。尚、本発明の乳原 は、乳タンパク質以外のタンパク質、無機 、糖類、脂肪等の成分が共存していても何 問題ない。
本発明におけるタンパク質脱アミド酵素 、タンパク質のアミド基に直接作用してペ チド結合の切断及びタンパク質の架橋を伴 ず脱アミドする作用を有する限りにおいて の種類は特に限定されるものではない。こ 様な酵素の例として、特開2000-50887号公報( 許文献6)、特開2001-21850号公報〈参考文献1〉 WO2006/075772(特許文献9)に開示された酵素があ るが、これらに特に限定されるものではない 。タンパク質脱アミド酵素は、タンパク質脱 アミド酵素を産生する微生物の培養液より調 製したものを用いることができる。タンパク 質脱アミド酵素の調製に用いられる微生物は 特に限定されないが、クリセオバクテリウム 属、フラボバクテリウム属、エンペドバクタ ー属の微生物が例示される。なお、参考文献 1の記載内容は、引用をもって本書に組み込 れる。
微生物の培養液からのタンパク質脱アミ 酵素の調製方法については、公知のタンパ 質分離、精製方法(遠心分離、UF濃縮、塩析 イオン交換樹脂等を用いた各種クロマトグ フィー等)を用いることができる。例えば、 培養液を遠心分離して菌体を除去し、その後 塩析、クロマトグラフィー等を組み合わせて 目的の酵素を得ることができる。菌体内から 酵素を回収する場合には、例えば菌体を加圧 処理、超音波処理などによって破砕した後、 上記と同様に分離、精製を行うことにより目 的の酵素を取得することができる。尚、ろ過 、遠心処理などによって予め培養液から菌体 を回収した後、上記一連の工程(菌体の破砕 分離、精製)を行ってもよい。酵素は凍結乾 、減圧乾燥等の乾燥法により粉末化しても いし、その際に適当な賦形剤、乾燥助剤を いてもよい。
本発明のタンパク質脱アミド酵素の活性は
下記の方法で測定した。
(1)30mM Z-Gln-Glyを含む0.2Mリン酸バッファー(pH6.
5)1mlにタンパク質脱アミド酵素を含む水溶液0
.1mlを添加して、37℃、10分間インキュベート
た後、0.4M TCA溶液を1ml加えて反応を停止さ
た。ブランクとして、30mM Z-Gln-Glyを含む0.2M
リン酸バッファー(pH6.5)1mlと0.4M TCA溶液を1ml
えたものに、タンパク質脱アミド酵素を含
水溶液0.1mlを添加したもの37℃で10分間イン
ュベートしたものを調製した。
(2)(1)の溶液についてアンモニアテストワコー
(和光純薬社製)を用いて反応により生じたア
モニア量の測定を行った。アンモニア標準
(塩化アンモニウム)を用いて作成したアン
ニア濃度と吸光度(630nm)の関係を表す検量線
り、反応液中のアンモニア濃度を求めた。
(3)タンパク質脱アミド酵素の活性は、1分間
1μmolのアンモニアを生成する酵素量を1単位
し、以下の式から算出した。
酵素活性(u/mL)=反応液中のアンモニア濃度(mg
/L)×(1/17.03)×(反応液量/酵素溶液量)×(1/10)×Df
(17.03:アンモニアの分子量2.1:酵素反応系の
量0.1:酵素溶液量10:反応時間Df:酵素溶液の希
倍数)
乳原料にタンパク質脱アミド酵素を添加 用させて、乳原料を脱アミド処理する方法 、溶液の状態の乳原料に、タンパク質脱ア ド酵素を酵素単独で、あるいは他の原料と もに添加、作用させればよい。タンパク質 アミド酵素の反応条件(酵素量、反応の時間 、温度、反応溶液のpHなど)は特に制限されな いが、酵素の添加量は乳タンパク質1g(乾物重 量)対して、0.1~50ユニットが好ましく、0.1~25 ニットがより好ましい。好ましい反応温度 、5~80℃、より好ましくは20~70℃である。好 しい反応溶液のpHは2~10、より好ましくは4~8 ある。好ましい反応時間は10秒~48時間、より 好ましくは10分~24時間である。本発明は、乳 料中のカゼインミセル構造が変化すること 大切であり、そのような状態にするための 件は、乳タンパク質含有量、酵素量に応じ 適宜調整すればよく、例えば酵素量が少な 場合は、反応時間を長くすればよい。
本発明における澱粉含有原料とは、澱粉 含有し、加工食品の製造に用いられるもの 指し、澱粉そのものも含まれる。澱粉を含 する限り特に制限はないが、馬鈴薯澱粉、 ーンスターチ等の澱粉、澱粉をリン酸、酢 等で処理した加工澱粉の他、成分として澱 を含有する植物の加工品、すなわち、じゃ いも、さつまいも等のイモ類、小麦、米等 穀類、野菜、根菜、果実類を磨砕処理、粉 処理、加熱処理、乾燥処理、濃縮処理等の 工処理を施して得られるものも含まれ、小 粉、米粉、ポテトパウダー、ボイルドポテ 、コーンパウダー、コーンペースト等が例 される。
本発明において対象となる加工食品とし は、澱粉含有原料を原料として製造される 工食品であればその種類は問わないが、例 ば、じゃがいも加工品を原料としたマッシ ポテト、ポテトサラダ、小麦粉を原料とし パン、ホットケーキ、ケーキ、ピザ、クッ ー等のベーカリー類、カスタードクリーム の菓子類、スープ、ホワイトソース、ルゥ シチューなどのルウ類、てんぷら粉、フラ 粉、バッターミックス等の加工品、コーン 工品を原料としたコーンスープ等が挙げら る。
本発明では、加工食品に含有させる脱ア ド処理乳原料の配合割合は、特に限定され 、製品ごとに適した量を配合すればよいが 一般的には1~99%が好ましく、5~95%がより好ま しい。例えば、パンやピザの場合、1.5~10%、 ッシュポテトの場合40~80%が、カスタードク ームの場合40~70%が、ホットケーキの場合20~50 %が、ホワイトソースの場合70~95%が、粉末ス プの場合5~60%が好ましい。
以下に実験例、実施例を挙げ、本発明を らに詳しく説明するが、本発明は、これら 施例により何ら限定されるものではない。
10%(w/w)脱脂粉乳(よつ葉ローヒートタイプ) に、クリセオバクテリウム由来のタンパク質 脱アミド酵素であるプロテイングルタミナー ゼ製剤(天野エンザイム社製、500u/g)を1kgあた 50u、100u、400u(それぞれ牛乳中のタンパク質1 gあたり1.5u、3u、12u)それぞれ加え、50℃で90分 間反応させた。その後、沸騰浴中で80℃に達 るまで加熱して酵素を失活させた後冷却し 。さらに粉末化するため、-80℃凍結後、フ ーズドライに供し、脱アミド処理脱脂粉乳 ウダーを調製した。酵素を添加しない以外 同様の方法で調製したものを未処理脱脂粉 パウダーとした。
市販牛乳(まごころ酪農3.6牛乳、タカナシ 乳業株式会社)に、クリセオバクテリウム由 のタンパク質脱アミド酵素であるプロテイ グルタミナーゼ製剤(天野エンザイム社製、5 00u/g)を牛乳1Lあたり600u(牛乳中のタンパク質1g あたり18u)それぞれ加え、50℃で90分間反応さ た。その後、沸騰浴中で10分間加熱して酵 を失活させた後冷却して脱アミド処理牛乳 調製した。酵素を添加しない以外は同様の 法で調製したものを未処理牛乳とした。さ に、上記の方法で得られた脱アミド処理牛 、未処理牛乳を粉末化するため、-80℃凍結 、フリーズドライに供し、脱アミド処理牛 パウダー、未処理牛乳パウダーを調製した
実験例1記載の方法で得られた脱アミド処 理脱脂粉乳パウダー(酵素50、100、400u/kg原料 の処理品、それぞれ牛乳中のタンパク質1gあ たり1.5u、3u、12u)および未処理脱脂粉乳パウ ーを用いてパンを作成した。表1に示した原 にてミキサー(クイジナート フードプロセ サーDLC-6 PROII)を用いて調製した。強力粉( 清製粉製「カメリア」)、砂糖、塩、脱脂粉 に予め5倍の温水で溶かしたドライイースト (日清製粉製)を添加し、水を加えながら1分40 ミキシングし、生地にショートニング(日清 製粉製)を練りこんで再び30秒ミキシングして 得られた生地を一次発酵(30℃、40分、湿度75~8 0%)後、約2分割しベンチタイム(室温20分)、成 、2次発酵(40℃、50~60分、湿度75~80%)後焼成(19 0℃、25分)し、食パンを製造した。焼成2時間( 室温まで放冷)後、2cmにスライスしてビニー 袋に密封し、常温1日保存後、及び冷蔵2日保 存後、熟練した5名のパネルで官能評価を行 た。評価は対照品を3点として同程度であれ 3点、それより程度が大きい(強い)ほど4点、 5点と高く、逆にそれより程度が小さい(弱い) ほど2点、1点と低く採点するという方法に従 、5名の平均を算出した。その結果を表2に す。表2に示したとおり、対照品に比べ、本 明品はやわらかさ、しっとり感、モチモチ が向上しており総合的な好ましさも向上し 。また冷蔵保存後もやわらかくしっとり感 維持していたことが確認された。
実験例1記載の方法で得られた脱アミド処 理脱脂粉乳パウダー(酵素400u/kg原料での処理 、牛乳中のタンパク質1gあたり12u)、未処理 脂粉乳パウダーを用いてピザ生地を調製し 。表3に示した原料にてミキサー(クイジナ ト フードプロセッサーDLC-6 PROII)を用いて 製した。強力粉(日清製粉製「カメリア」)、 砂糖、塩、脱脂粉乳に予め5倍の温水で溶か たドライイースト(日清製粉製)を添加し、水 を加えながら1分40秒ミキシングし、生地にシ ョートニング(日清製粉製)を練りこんで再び3 0秒ミキシングして得られた生地を発酵(30℃ 40分、湿度75~80%)後、約2分割しベンチタイム( 室温、20分)、を経て約24cmの円形に麺棒で伸 し、焼成(180℃、10分)し、白焼きのピザ生地 製造した。さらにピザソース(雪印(株)製)40g 、シュレッドチーズ(よつ葉乳業(株)製ミック スチーズ)50gをトッピングし、3日間冷蔵保存 、焼成(250℃5分)し、熟練した4名のパネルで 官能評価を行った。その結果、本発明品はサ クッと軽く、口どけの良い食感で総合的に好 ましい生地であった。
実験例2記載の方法で得られた脱アミド処 理牛乳、未処理牛乳を各々ビーカーに150mlず 入れて電子レンジで加温した。水を50ml加え 、マッシュポテトの素(カルビー製)50gを入れ よくかき混ぜ、マッシュポテトを調製した 2時間冷蔵庫で冷却した後、熟練した6名の ネルで官能評価を行った。評価は、対照品 3点として、同程度であれば3点、それより程 度が大きい(強い)ほど4点、5点と高く、逆に れより程度が小さい(弱い)ほど2点、1点と低 採点するという方法に従い、6名の平均を算 出した。その結果を表4に示す。表4に示した おり、対照品がボソボソした脆い食感であ たのに対し、本発明品では、それが顕著に 減されているだけでなく、キメが細かい、 わらかく、しっとりしている、全体がまと り易いといった効果が明瞭に確認できた。
実験例2記載の方法で得られた脱アミド処 理牛乳、未処理牛乳を用いてカスタードクリ ームを調製した。すなわち、電子レンジで加 温(700W、1分)した各乳原料100mlと、予め篩を通 しておいた薄力粉(日清製粉製「日清フラワ 」)8g、市販コーンスターチ(王子コーンスタ チ)9g、グラニュー糖20gとを合わせ加え、よ かき混ぜた。一方で、別の容器に卵黄2個分 を泡だて器でつぶしておき、それに各乳原料 、粉類を合わせたものを混ぜ加え、電子レン ジで加温(700W、1分)し、加熱後は、ダマにな ないよう20秒毎にレンジから取り出して手早 くかき混ぜた。このようにして得られた、脱 アミド処理牛乳使用および未処理牛乳使用カ スタードクリーム(それぞれ、本発明品、対 品)を2時間以上室温で放置した後、熟練した 6名のパネルで官能評価を行った。評価は、 照品を3点として、同程度であれば3点、それ より程度が大きい(強い)ほど4点、5点と高く 逆にそれより程度が小さい(弱い)ほど2点、1 と低く採点するという方法に従い、6名の平 均を算出した。その結果を表5に示す。表5に したとおり、対照品がボソボソした脆い食 であったのに対し、本発明品では、組織の メ細かさが向上し、ざらつきが抑えられ、 めらかな食感が向上した。また、かたさが しく低下し、粘性が大幅に増加し、クリー ー感がアップした。食感が著しく変化した か、卵の黄色身が鮮やかに出るといった外 上の変化が明瞭に確認できた。
市販牛乳(まごころ酪農3.6牛乳、タカナシ 乳業株式会社)に、タンパク質脱アミド酵素 あるプロテイングルタミナーゼ(天野エンザ ム(株)製)を牛乳1Lあたり500U(15U/g乳蛋白質)加 え、55℃で60分間反応させた。その後、沸騰 中95℃達温で加熱して酵素を失活させた後冷 却してPG処理牛乳を調製した。未処理の牛乳 対照とした。上記の方法で得られたPG処理 乳、未処理牛乳を用いて表6に示した原料に カスタードクリームを調製した。すなわち 各牛乳(25℃)と、予め篩を通しておいた薄力 粉(日清製粉製「日清フラワー」)、コーンス ーチ(川光物産(株)「玉三コーンスターチ」) とを合わせ加え、よくかき混ぜた。一方で、 別の容器に卵黄とグラニュー糖を泡だて器で よく混合しておき、それに各牛乳、粉類を合 わせたものを混ぜ加え、裏ごしして耐熱性の ボールに移し、電子レンジで加温(500W、2分10 )した。電子レンジ加熱は60秒、30秒、30秒、 10秒ごとにダマにならないようレンジから取 出して各10秒、15秒、40秒、10秒間手早くか 混ぜ、表面にラップをぴったり貼り付けて 冷した。このようにして得られた、PG処理牛 乳使用および未処理牛乳使用カスタードクリ ームをそれぞれ、本発明品、対照品とした。 比較として牛乳、粉類を合わせたものに糖転 移酵素であるα-グルコシダーゼ(AG:天野エン イム社製)を粉類あたり0.05%加え、25℃で60分 応させたものを用いて同様の方法でカスタ ドクリームを調製した。すなわち、α-グル シダーゼ処理牛乳使用カスタードクリーム 比較品とした。尚、α-グルコシダーゼは、W O2005/096839(特許文献1)に記載されているとおり 、澱粉老化抑制する酵素として知られている 。以上3品を放冷した後、熟練した5名のパネ で官能評価を行った。評価は、対照品を3点 として、同程度であれば3点、それより程度 やや大きい(強い)ほど4点、明らかに大きい( い)は5点、逆にそれより程度が小さい(弱い) ほど2点、1点と低く採点するという方法に従 、評価した。その結果を表7に示す。
表7に示したとおり、対照品、比較品に比 べ、本発明品では、組織のキメ細かさが向上 し、ざらつきが抑えられ、なめらかな食感が 向上した。また、かたさが低下し、クリーミ ー感がアップした。食感が著しく変化したほ か、卵の黄色身が鮮やかでつやがでるという 外観上の変化が明瞭に確認できた。
官能評価後、約半量ずつ試飲カップに分 ラップをかけて一方を冷凍(マイナス20℃)、 もう一方は冷蔵保存(5℃)した。冷蔵した3品 ついて、冷蔵5日目に冷蔵耐性について上記 様の方法で官能評価を行った。その結果を 8に示す。対照品は調製直後に比べ、ボソボ ソと脆い食感で硬さも増し、澱粉の老化傾向 が確認できた。それに対し、本発明品は調製 直後と同様に組織のキメ細かく、滑らかで、 クリーミーな食感であった。さらに、均一な 舌触りと口どけのよさを維持しており明瞭な 老化抑制傾向が確認された。
冷凍した3品については冷蔵庫において7 間以上解凍し、上記同様の方法で官能評価 おこなった。その結果を表8に示す。対照品 、冷凍・解凍したことにより、冷蔵品に比 更にボソボソして脆くざらついた食感とな ていた。それに対し本発明品は冷凍・解凍 、すなわち調製直後品と同様の組織のキメ かさ、滑らかさ、クリーミー感、均一な舌 り及び口溶けのよさを維持しており、顕著 老化抑制傾向が認められた。
以上のように、PG処理により脱アミドさ た牛乳を使用することで、それを原料とし 含む澱粉食品の老化、すなわち低温保存中 らびに冷解凍後の食感劣化を抑制すること 示され、その効果は、澱粉老化抑制酵素と られる、α-グルコシダーゼと比しても上回 ものであった。
実験例2記載の方法で得られた脱アミド処 理牛乳、未処理牛乳とホットケーキミックス (森永乳業製、原材料:小麦粉、砂糖、ぶどう 、植物油脂、小麦でん粉、食塩、水あめ、 ーキングパウダー、乳化剤、香料、カゼイ Na、着色料)を用いてホットケーキを調製し 。ボウルの中で各乳原料150mlと卵(Mサイズ)1 とすばやく混ぜ合せた。ホットケーキミッ ス200gを後から加え、軽く混ぜた。フライパ ンを強火で熱し表面3分、裏面2分焼き、未処 牛乳を用いて作ったホットケーキ(対照品) 脱アミド処理牛乳を用いて作ったホットケ キ(本発明品)を作成した。そして焼きたての ものと室温で3時間放置した後のものをそれ れ、熟練した7名のパネルで評価した。評価 、対照品を3点とし、本発明品がそれと同程 度であれば3点、それより程度が大きい(強い) ほど4点、5点と高く、逆にそれより程度が小 い(弱い)ほど2点、1点と低く採点した。7名 平均点を表9に示す。表9に示したとおり、対 照品に比べ、本発明品では、焼成後の黄色が より鮮やかで、ふんわり感、しっとり感、も ちもち感が明らかに向上しており、総合的な 好ましさも向上した。
実験例2記載の方法で得られた脱アミド処 理牛乳、未処理牛乳を用いてホワイトソース を調製した。バター(雪印社製)20gと薄力粉(「 日清フラワー」)15gを耐熱容器(ビーカー)に計 りとり、電子レンジ(600W)で1分加熱した。電 レンジから取り出し、ダマが出来ないよう 素早くかき混ぜ、各乳原料を100ml加えた。電 子レンジでさらに2分加熱し、再びかき混ぜ がら各乳原料を100ml更に加え、ダマがなくな るまでよくかき混ぜ、ホワイトソースを調製 した。調製後は60℃に保持し、1時間後に物性 測定(装置:HAAKE製 ロトビスコRV20 、測定フロ ー:ずり速度0-(5min)→100(1/s)-(5min)→0と連続的 変化、測定条件:測定温度60℃、測定頭M5、コ ーンプレートPK5)を行った。その結果を図1に す。図1に示したように、ひずみ速度-ひず 応力の関係は、対照品に比べ本発明品は、 一ひずみ速度に対するひずみ応力が小さか た。これは、本発明品で有意に粘度が低い とを示している。実際に本発明品では、調 後のボテつきが抑制されることが確認され 。
次に、対照品および本発明品について、 ワイトソース調製後、直ちに25℃の恒温水 に入れ、3時間放置している間の粘度変化に いて調べた(装置:ブルックフィールド粘度 DV-II、ローターNo.3、6rpm、30秒間回転後の粘 を測定)。その結果を表10に示す。表10に示し たとおり、対照品が、25℃インキュベート開 してから1時間後には粘度が著しく上昇した のに対し、本発明品では、経時的な粘度の増 加が抑制されていた。
これらの保存前後のホワイトソースにつ て官能評価を行った。その結果について表1 1に示す。表11に示したとおり、本発明品は、 対照品に比べて、牛乳臭さが低減されており 、組織のなめらかさが著しく向上し、口どけ も改善されていた。さらに本発明品では、つ や・白色度が強まるなど外観上の変化も観察 された。3週間の冷凍(-20℃)保存後のホワイト ソースを、常温で3時間ほど解凍させ、更に ンジ(500W、30秒)で加温して食したところ(n=2) 本発明品は、対照品および比較品に比べて ソボソとした食感が低減され、やわらかく つやのある滑らかな食感を維持していた。
実験例2記載の方法で得られた脱アミド処 理牛乳パウダー、未処理牛乳パウダーを用い て、表12の原料配合に従い、各原料を混合す ことにより、コーンスープ、トマトスープ そしてマッシュルームスープの粉末をそれ れ試作した。
各スープ粉末17gに対して、沸騰水150mlを ぎ、15秒間よく攪拌した。このように調製し たスープについて、色、物性そして食感の評 価を行った。6名の熟練したパネルによる官 評価では、脱アミド処理牛乳パウダーを使 したスープ(本発明品)はいずれも、粘度が高 く、濃厚な食感が付与されていた。さらに、 本発明品のスープの色は、コーン、トマト、 マッシュルームいずれも対照品や比較品に比 べ素材の色が一際鮮やかに感じられるもので あった。その結果について、トマトスープを 例に挙げて具体的に説明する。分光測色計(CM 3500d、コニカミノルタ製)による色彩測定結果 (図2)では、本発明品ではa*値が増加、b*値が 少した。これは、赤みが強まり、トマトの 合いがより濃くでたことを示すものである また、図3に示すように、本発明品の乳原料 用いたトマトスープの粘度(装置:HAAKE製 ロ ビスコRV20 、測定フロー:ずり速度0-(5min)→1 00(1/s)-(5min)→0と連続的に変化、測定条件:測 温度60℃、測定頭M5、コーンプレートPK5)は対 照品に比べ増加していた。これは濃厚な食感 が付与されたことの表れでもある。これらの 傾向は、コーンスープ、マッシュルームスー プについても同様であった。すなわち、コー ンでは黄色味が、マッシュルームでは茶色味 が強まり、いずれも濃厚な食感であった。
本発明によれば、澱粉原料を用いて加工食
を製造する場合において、色・つや・食感
良好で、調理後の経時劣化の抑制された加
食品を得ることができるので、本発明は食
分野において極めて有用である。
本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内
おいて、さらにその基本的技術思想に基づ
て、実施例ないし実施例の変更・調整が可
である。また、本発明の請求の範囲の枠内
おいて種々の開示要素の多様な組み合わせ
いし選択が可能である。すなわち、本発明
、請求の範囲を含む全開示、技術的思想に
たがって当業者であればなし得るであろう
種変形、修正を含むことは勿論である。
