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Patent Searching and Data


Title:
PRODUCTION METHOD AND DEVICE OF SURFACE ROUGHENED COPPER PLATE, AND SURFACE ROUGHENED COPPER PLATE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/108341
Kind Code:
A1
Abstract:
[PROBLEMS] To provide a method for roughening the both sides of a copper plate by forming minute nodular protrusions on the both sides of the copper plate in which progress of deterioration of electrolytic copper plating liquid is retarded. [MEANS FOR SOLVING PROBLEMS] Electrodes (3, 3) of the same polarity are arranged oppositely in electrolytic copper plating liquid (2) and a copper plate (4) is arranged between. At first, anodization for generating fine copper particles on the both sides of the copper plate (4) by electrolysis using the copper plate (4) as a positive electrode and the electrodes (3, 3) as a negative electrode is carried out. Thereafter, cathode processing for fixing the fine copper particles to the surface of the copper plate (4) by electrolytic plating using the copper plate (4) as a negative electrode and the electrodes (3, 3) as a positive electrode is carried out. Minute nodular protrusions are formed by performing anodization and cathode processing one cycle or more.

Inventors:
WATANABE HAJIME (JP)
ISHIHAMA SADAO (JP)
YAMAMOTO KIYOTERU (JP)
IMAI TAKAHIRO (JP)
OYOSHI TOSHIHIRO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/053786
Publication Date:
September 12, 2008
Filing Date:
March 03, 2008
Export Citation:
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Assignee:
FURUKAWA ELECTRIC CO LTD (JP)
FURUKAWA AUTOMOTIVE SYS INC (JP)
WATANABE HAJIME (JP)
ISHIHAMA SADAO (JP)
YAMAMOTO KIYOTERU (JP)
IMAI TAKAHIRO (JP)
OYOSHI TOSHIHIRO (JP)
International Classes:
C25D5/48; C25D17/00; C25D21/12; H05K1/05
Foreign References:
JPS5558389A1980-05-01
JPH11298103A1999-10-29
JPS58164797A1983-09-29
JP2001210932A2001-08-03
JP2001011694A2001-01-16
JP2005008973A2005-01-13
Other References:
See also references of EP 2133448A4
Attorney, Agent or Firm:
ISHIDA, Yoshiki (Higashisakura 1-chome Higashi-k, Nagoya-shi Aichi 05, JP)
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Claims:
 銅板の表面に微細瘤状突起を形成して銅板の表面を粗化する表面粗化銅板の製造方法であって、
 電気銅めっき液中に、同極の電極を対向配置し、
 前記電極間に銅板を配置して、
 前記銅板を陽極、前記電極を陰極とする電気分解により銅板の両面に銅微粒子を生成させる陽極処理と、その陽極処理の後に、前記銅板を陰極、前記電極を陽極とする電気銅めっきにより前記銅微粒子を銅板の表面に定着させる陰極処理とを1サイクルとして、前記陽極処理と陰極処理とを1サイクル以上行う
 ことで、前記微細瘤状突起を形成することを特徴とする表面粗化銅板の製造方法。
 最初の陽極処理の前に、電気銅めっき液の中で、前記銅板を陰極、前記電極を陽極として銅めっき処理を行う
 ことを特徴とする請求項1記載の表面粗化銅板の製造方法。
 電気銅めっき液中に、1対の同極電極を対向配置し、
 前記同極電極の間に銅板を配置して、
 前記銅板を前記同極電極に対して移動させないまま前記陽極処理と陰極処理を1サイクル以上行う
 ことを特徴とする請求項1又は2記載の表面粗化銅板の製造方法。
 同じ電気銅めっき液中に、対向する1対の陽極電極と、対向する1対の陰極電極とを縦列配置し、
 前記陰極電極の間に銅板を配置して、
 銅板を陽極とする陽極処理を行った後、銅板を陽極電極の間に相対的に移動させ、そこで銅板を陰極とする陰極処理を行うことを1サイクルとして、前記陽極処理と陰極処理を1サイクル以上行う
 ことを特徴とする請求項1又は2記載の表面粗化銅板の製造方法。
 同じ電気銅めっき液中に、対向する1対又は複数対の陽極電極と、対向する1対又は複数対の陰極電極とを交互に縦列配置し、
 銅板を一端側の電極の間から他端側の電極の間へ順次相対的に移動させ、前記陽極処理と陰極処理を交互に行う
 ことを特徴とする請求項1又は2記載の表面粗化銅板の製造方法。
 2枚の銅板を重ね合わせて1枚状にした複合銅板に、請求項1乃至5の何れかに記載の方法で陽極処理と陰極処理を施し、
 複合銅板を1枚ずつの銅板に分離して片面が粗化された2枚の表面粗化銅板を得る
 ことを特徴とする表面粗化銅板の製造方法。
 陽極処理は1~8A/dm 2 の電流密度で3~10分間行い、陰極処理は1~8A/dm 2 の電流密度で3~10分間行う
 ことを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の表面粗化銅板の製造方法。
 電気銅めっき液の温度を18~32℃に保つ
 ことを特徴とする請求項7記載の表面粗化銅板の製造方法。
 陽極処理と陰極処理とを行う前に予め銅板の所定の位置に所定の穴を形成する
 ことを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の表面粗化銅板の製造方法。
 表面粗化銅板の製造装置であって、
 電気銅めっき液を収容する電解槽と、
 前記電解槽中に縦列配置され、対向する1対又は複数対の陽極電極と、
 前記電解槽中に縦列配置され、対向する1対又は複数対の陰極電極と、
 前記1対又は複数対の陽極電極の間の上方に水平に設置され、銅板を吊下げる陰極バスバーと、
 前記1対又は複数対の陰極電極の間の上方に水平に設置され、銅板を吊下げる陽極バスバーと、
 前記陰極バスバーと陽極バスバーとを連結する絶縁バーと
 を含むことを特徴とする表面粗化銅板の製造装置。
 表面粗化銅板の製造装置であって、
 電気銅めっき液を収容する電解槽と、
 前記電解槽中に交互に縦列配置され、対向する1対又は複数対の陽極電極及び対向する1対又は複数対の陰極電極と、
 各1対又は複数対の陽極電極の間の上方に水平に設置され、銅板を吊下げる陰極バスバーと、
 各1対又は複数対の陽極電極の間の上方に水平に設置され、銅板を吊下げる陽極バスバーと、
 隣り合う陰極バスバーと陽極バスバーとを連結する絶縁バーと
 を含むことを特徴とする表面粗化銅板の製造装置。
 所定の位置に所定の穴が形成された表面粗化銅板であって、
 銅板表面の微細瘤状突起の粒径が10μm以下であり、表面粗さRzが3μm~20μmである
 ことを特徴とする表面粗化銅板。
 穴の内面が粗化され、穴の内面の微細瘤状突起の高さが20μm以下である
 ことを特徴とする請求項12に記載の表面粗化銅板。
Description:
表面粗化銅板の製造方法及び装 、並びに表面粗化銅板

 本発明は、メタルコア回路基板のメタル ア等に使用される表面粗化銅板の製造方法 、それに用いる製造装置、さらには表面粗 銅板に関するものである。

 メタルコア回路基板は、絶縁基板の内部 熱伝導性に優れた金属板を埋め込んで、均 性及び放熱性を高めたものである。金属板 埋め込みにより基板の熱的特性が向上する とで、同じ回路パターンでも大電流を流す とができ、回路や周辺部品の小型化を図る とができる。

 図15はメタルコア回路基板の一例を示す 面図である。図において、11は絶縁基板(プ プレグを加圧加熱して硬化させたもの)、12 絶縁基板11内に埋め込まれた金属板、13は絶 基板11の表面に形成された回路パターン、14 はスルーホールめっき、15はソルダーレジス である。

 メタルコア回路基板のコアとなる金属板 しては、銅板、銅合金板、アルミ板又はア ミ合金板が使用されるが、熱伝導性の点で 板が好ましい。メタルコア回路基板が十分 均熱性、放熱性を発揮するためには、コア 銅板とした場合でも100~500μm程度の厚さが選 定される。

 メタルコア回路基板は、部品実装工程で リフロー炉等によるハンダ付けが行われる 、その際の加熱によってコア金属板12と絶 基板11の界面に剥離が生じないことが求めら れる。また、回路使用時に発生する熱に対し ても、コア金属板と絶縁基板が剥離しない十 分な接着性(密着性)、耐熱性が求められる。

 一般に、回路基板の回路導体として用い れている銅箔は、電解めっきにより片面が 化面、反対面が光沢面となっている電解銅 である。電解銅箔は通常、電解めっきによ 生成した粗化面に、さらに銅めっき等を施 て微細瘤状突起を成長させることにより製 される。図16に回路基板用電解銅箔の粗化 の電子顕微鏡写真を示す。電解めっきによ 製造できる銅箔の厚さは、35~70μm程度であり 、それより厚い銅箔はめっき時間が長くなり すぎて著しいコストとなるため、使用できな い。さらに、メタルコア回路基板のコアは両 面が粗化面となっている必要があり、電解銅 箔をコア金属板として使用するためには、光 沢面に対しても工程を追加して粗化処理を行 う必要が生じることから、さらにコスト高に なることは避けられない。

 また、メタルコア回路基板のコア金属板 は、両面の回路パターンを導通させるスル ホールを形成するための穴が多数あけられ ことが多い。穴のない銅板に両面粗化処理 行った後に、穴あけ加工を行うことは、穴 け加工時に粗化面を損傷させてしまう可能 が高く、かつ穴あけ加工時に加工油が付着 るため再洗浄しなければならない場合があ ことを考慮すると、コア用銅板にスルーホ ル用の穴を形成した後で、両面粗化処理を うことが望ましい。

 以上の理由から、メタルコア回路基板の ア金属板として電解銅箔を使用することは わめて困難である。

 メタルコア回路基板のコアに好適な厚さ1 00μm程度以上の銅板として、ロール圧延によ 比較的安価に製造できる圧延銅板を使用で れば、大幅なコスト低減が見込める。しか 、圧延銅板は両面が平滑であることから、 板を絶縁基板内に埋め込む場合には、絶縁 板材料(ガラスエポキシ基板)との接着性を めるため、両面に粗化処理を施す必要があ 。

 銅板の表面を粗化する手段としては、銅 表面をエッチングや化学処理によって粗化 る方法があり、代表的なものとしては、メ ク株式会社のCZ処理が挙げられる。CZ処理は 、2価銅化合物による酸化還元反応を利用し 、銅板表面に銅エッチング粒子と有機窒素 合物皮膜を形成する方法で、JIS-C6471のピー 強度で0.4~0.8kN/m以上の値が得られるとされて いる。この程度のピール強度があれば、絶縁 基板接着用の粗化処理として現行最低条件を 満たす。

 他に、プリント回路基板用銅箔のように 銅板の表面に高電流密度での銅めっき処理 より微細瘤状突起を形成する方法が公知で る(例えば特許文献1参照)。微細瘤状突起は ンカー効果があるため、エッチングや化学 理よりも、絶縁基板材料との接着性を高め のに極めて有効である。

特開2005-8973号公報

 しかしながら、圧延銅板の表面を粗化す 場合、エッチングや化学処理による方法で 電解銅箔に比べて非常に浅い粗化面しか得 ことができず、電解銅箔に比してピール強 が低く、耐熱性においても電解銅箔並みの 頼性を得ることができない。また、エッチ グによる方法は、処理回数に応じた多量の 液が生じ、コスト的にも環境問題からも好 しくない。

 また、特許文献1に記載された銅箔の表面 を銅めっき処理により粗化する方法は、高電 流密度で銅めっき処理を行うため、銅めっき 液の劣化が激しく、多量の銅めっき液を消費 することから、コスト高になるという難点が ある。

 また、電解銅箔は、回転するドラム電極 片面を接触させた状態でめっきを行うこと より製造されるため、銅箔の片面しか粗化 れておらず、さらに光沢面を銅めっき処理 より粗化する必要がある。このため銅箔の 面を銅めっき処理により粗化する方法は、 板の両面粗化に適用することは困難である

 本発明の目的は、電気銅めっき液が劣化 難く、スルーホール用の穴の有無に拘わら 銅板の両面を同時に粗化できる表面粗化銅 の製造方法及び装置を提供することにある

 本発明は、銅板の表面に微細瘤状突起を形 して銅板の表面を粗化した表面粗化銅板の 造方法であって、
 電気銅めっき液中に、同極の電極を対向配 し、その間に銅板を配置して、
 前記銅板を陽極、前記電極を陰極とする電 分解により銅板の両面に銅微粒子を生成さ る陽極処理を行い、その後、前記銅板を陰 、前記電極を陽極とする電気銅めっきによ 前記銅微粒子を銅板の表面に定着させる陰 処理を行うことを1サイクルとして、前記陽 極処理と陰極処理を1サイクル以上行うこと 、前記微細瘤状突起を形成することを特徴 するものである。

 本発明の製造方法においては、陽極処理 び陰極処理を行う電気銅めっき液の中で、 初の陽極処理の前に、前記銅板を陰極、前 電極を陽極として板厚調整を目的とした銅 っき処理を行ってもよい。この処理を行う 合、板厚調整銅めっき処理後の板厚に対し 粗化処理を行うことになる。

 本発明の製造方法においては、電気銅め き液中に、1対の同極電極を対向配置し、こ の1対の同極電極の間に銅板を配置して、前 銅板を前記同極電極に対して移動させない ま前記陽極処理と陰極処理を1サイクル以上 うことでも、表面粗化銅板を製造すること できる。

 本発明の製造方法においては、同じ電気 めっき液中に、対向する1対の陽極電極と、 対向する1対の陰極電極とを縦列配置し、陰 電極の間に銅板を配置して銅板を陽極とす 陽極処理を行った後、銅板を陽極電極の間 相対的に移動させ、そこで銅板を陰極とす 陰極処理を行うことを1サイクルとして、前 陽極処理と陰極処理を1サイクル以上行うこ とでも、表面粗化銅板を製造することができ る。

 本発明の製造方法においては、同じ電気 めっき液中に、対向する1対又は複数対の陽 極電極(群)と、対向する1対又は複数対の陰極 電極(群)とを交互に処理サイクルに応じた数 け縦列配置し、銅板を一端側の電極の間か 他端側の電極の間へ順次相対的に移動させ 前記陽極処理と陰極処理を交互に行うこと も、表面粗化銅板を製造することができる

 本発明の製造方法においては、2枚の銅板 を重ね合わせて1枚状にした複合銅板に、上 のいずれかの方法で陽極処理と陰極処理を した後、複合銅板を1枚ずつの銅板に分離す ば、片面が粗化された2枚の表面粗化銅板を 得ることもできる。

 本発明の製造方法において、陽極処理は1~8A /dm 2 の電流密度で3~10分間行い、陰極処理は1~8A/dm 2 の電流密度で3~10分間行うことが好ましい。

 本発明の製造方法において、電気銅めっき の温度は18~32℃に保つことが好ましい。さ に好ましい電気銅めっき液の温度は24~30℃で ある。
 本発明の製造方法においては、陽極処理と 極処理とを行う前に予め銅板の所定の位置 所定の穴を形成することが好ましい。

 本発明に係る表面粗化銅板の製造装置は 電気銅めっき液を収容する電解槽中に、対 する1対の陽極電極と、対向する1対の陰極 極とを縦列配置し、前記1対の陽極電極の間 上方に銅板を吊下げる陰極バスバーを水平 設置し、前記1対の陰極電極の間の上方に銅 板を吊下げる陽極バスバーを水平に設置し、 前記陰極バスバーと陽極バスバーを絶縁バー で連結した構成とすることが好ましい。

 また本発明に係る表面粗化銅板の製造装 は、電気銅めっき液を収容する電解槽中に 対向する1対又は複数対の陽極電極(群)と、 向する1対又は複数対の陰極電極(群)とを交 に処理サイクルに応じた数だけ縦列配置し 各1対の陽極電極の間の上方に銅板を吊下げ る陰極バスバーを水平に設置し、各1対の陽 電極の間の上方に銅板を吊下げる陽極バス ーを水平に設置し、隣り合う陰極バスバー 陽極バスバーを絶縁バーで連結した構成と ることがさらに好ましい。

 そして、本発明に係る表面粗化銅板は、 定の位置に所定の穴が形成された表面粗化 板であって、銅板表面の微細瘤状突起の粒 が10μm以下であり、表面粗さRzが3μm~20μmで ることを特徴とする。この場合、穴の内面 粗化され、穴の内面の微細瘤状突起の高さ 20μm以下であることが好ましい。

 本発明によれば、銅板を陽極、前記電極 陰極とする電気分解により銅板の両面に銅 粒子を生成させる陽極処理を行った後、前 銅板を陰極、前記電極を陽極とする銅めっ により前記銅微粒子を銅板の表面に定着さ る陰極処理を行うことで、銅板の両面に微 瘤状突起を形成して銅板の両面を粗化する とができる。そして、前記陽極処理と陰極 理は同じ電気銅めっき液中で行うため、陽 処理時に銅板より銅イオンが供給され、陰 処理時に液中の銅イオンが消費されること 、各処理時の電流値を近づけることで処理 中の銅イオン濃度変化がきわめて少なくな ことから、銅めっき液の劣化が進行し難く 銅めっき液を長時間にわたって使用するこ が可能となり、銅めっき液の使用量を少な し、コストを削減することができる。陽極 理時と陰極処理時の電流値は同じであるこ が望ましいが、差がある場合でも通常の銅 っきに比べて銅イオンの消費をきわめて低 抑えることができる。また、銅板の両面や ルーホール用の穴の内面を同時に粗化でき ため、メタルコア回路基板のメタルコアに 適な表面粗化銅板を容易に得ることができ 。

 また、最初の陽極処理の前に、銅板を陰 、電極を陽極として銅めっき処理を行うと 微細瘤状突起が形成しやすくなると共に、 板の厚さの調整を行える利点もある。

 また、2枚の銅板を合わせて1枚状にした 合銅板に、陽極処理と陰極処理を施した後 複合銅板を1枚ずつの銅板に分離すれば、片 が粗化された2枚の表面粗化銅板を得ること も可能である。このようにして得た片面粗化 銅板は、粗化面の裏面に粗化が回りこむこと がほとんどないので、裏面を平滑に保つこと ができる。

 なお、本発明に係る製造装置は、本発明 係るめっき法の基本原理を満たすならば、 発明以外のめっき処理形式、例えば水平ラ ン、バーチカルライン、プッシャーライン も応用することができる。

<実施形態1>
 図1は本発明の一実施形態を示す。図におい て、1は電解槽、2は電解槽1に収容された電気 銅めっき液、3、3は電気銅めっき液2中に対向 配置された1対の同極の電極、4は電極3、3の に配置された表面を粗化すべき銅板、5は銅 4を保持する枠体、6は吊下げ金具、7は吊下 金具6及び枠体5を介して銅板4を陽極又は陰 に保つバスバーである。電極3、3を銅板4と 対の極に保つ電気配線は図示を省略してあ 。

 電極3、3には銅板又は銅棒が用いられる 市販の不溶性電極(チタンを基材とした酸化 系不溶性電極や白金系不溶性電極等)を用い ることも可能である。電極は通常、粗化され る銅板片面と同じ対向面積のものが用いられ るが、状況に応じて面積の増減や複数枚への 分割を行っても差し支えない。電気銅めっき 液2は市販の電気銅めっき液である。銅めっ 液2の組成は例えば、硫酸銅40~250g/l、硫酸30~2 10g/l、塩酸10~80ppm、光沢剤等の添加剤をメー ーの指定量(2~10ml/l程度)、である。銅めっき 2は、電解槽1内の底部に設置されたエアー 拌手段(バブリング)あるいは槽1内の電極と 面を粗化すべき銅板との間に設置された噴 ノズル(図示省略)等により撹拌されている。

 上記のように構成された装置の中で、ま 、銅板4を陽極、電極3、3を陰極とする電気 解により銅板4の両面に微細瘤状突起を形成 するのに必要な量の銅微粒子を生成させる陽 極処理を行う。次に、極性を反転させて、銅 板4を陰極、電極3、3を陽極とする電気めっき により前記銅微粒子を銅板の表面に定着させ る陰極処理を行う。この陽極処理と陰極処理 により、従来の電解銅箔の表面の微細瘤状突 起と同様な、絶縁基板材料との接着性に優れ た微細瘤状突起を銅板の表面に形成すること ができる。陰極処理を終了した表面粗化銅板 は、電解槽1外に移動し、水洗、必要に応じ 洗浄、水洗、防錆などの後処理が施される この後処理は通常の電気銅めっきで行う後 理と同じである。

 陽極処理で生成する銅微粒子は、一般にア ードスライムといわれる銅電解時の邪魔物 あり、陽極処理によって銅板から銅イオン 析出する速度とめっき液中へのイオンの拡 速度の差によって、銅板表面に銅、酸化銅 銅イオン等が高濃度に滞留するために生じ ものと考えられる。本発明はこのアノード ライムを微細瘤状突起の形成に活用する。 成する銅微粒子は、量が多すぎると銅板表 から離脱してしまい、微細瘤状突起を形成 きない。また量が少なすぎても微細瘤状突 を形成できない。銅板表面に微細瘤状突起 形成するのに必要な量の銅微粒子を生成さ る陽極処理の条件は、電流密度、処理時間 液温などにより異なるので、実験的に求め れる。実験によれば陽極処理の好ましい条 は、電流密度1~8A/dm 2 、液温18~32℃、処理時間3~10分である。また、 生成された銅微粒子を銅板表面に定着させる 陰極処理の条件も、同様に、実験的に求めら れる。実験によれば陽極処理の好ましい条件 は、電流密度1~8A/dm 2 、液温18~32℃、処理時間3~10分である。これら の条件は通常の電気銅めっきの条件とほとん ど同じである。

 本発明で重要なことは、電解銅箔の表面 化処理のように高電流密度で電気銅めっき 行うのではなく、通常の電気銅めっき条件 銅微粒子の生成処理と定着処理を行うこと 、微細瘤状突起を形成できることを見いだ たということである。この方法は、同じ電 銅めっき液の中で陽極処理と陰極処理を行 ので、銅イオンの消費が少なく、したがっ 電気銅めっき液の劣化が少なく、めっき液 長時間使用できるため、めっき液の使用量 少なくできる。

 陽極処理と陰極処理は1サイクル行うだけ で銅板表面の粗化は可能であるが、より高い 耐熱性を求める場合は2サイクル以上行うこ が望ましい。また同じ装置で、最初の陽極 理を行う前に電気銅めっき処理を行っても い。この銅めっき処理は、微細瘤状突起を 成しやすくしたり、銅板の厚さを調整した するのに有効である。

 なお、上記と同じ方法で、2枚の銅板を重 ね合わせて1枚状にした複合銅板に、陽極処 と陰極処理を施した後、複合銅板を1枚ずつ 銅板に分離すれば、片面が粗化された2枚の 表面粗化銅板を得ることができる(以下の実 形態でも同じ)。このようにして得た片面粗 銅板は、粗化面の裏面に粗化が回りこむこ がほとんどないので、裏面を平滑に保つこ ができる。

<実施形態2>
 図2は本発明の他の実施形態を示す。図2に いて、図1と同一部分には同一符号を付して る。この実施形態が実施形態1と異なる点は 、電解槽1を長くして、電気銅めっき液2中に 対向する1対の陽極電極3a、3aと、対向する1 の陰極電極3c、3cとを縦列配置したことであ る。前記1対の陽極電極3a、3aの中間の上方に 陰極バスバー7cを水平に設置し、前記1対の 極電極3c、3cの中間の上方には陽極バスバー 7aを水平に設置してある。陰極バスバー7cと 極バスバー7aは絶縁バー8を介して直線状に 結されている。陰極電極3cには銅板又は銅棒 が用いられる。陽極電極3aには銅板又は銅棒 用いることもできるが、不溶性電極(チタン を基材とした酸化物系不溶性電極や白金系不 溶性電極等)を用いることが好ましい。陰極 極、陽極電極共に、通常、粗化される銅板 面と同じ対向面積のものが用いられるが、 況に応じて面積の増減や複数枚への分割を っても差し支えない。

 この装置で表面粗化銅板を製造するには まず、図2(A)、(B)のように、銅板4を陽極バ バー7aに吊下げて陰極電極3c、3cの間に配置 、銅板4を陽極とする陽極処理を行う。これ より、実施形態1と同様、銅板4の両面に微 瘤状突起を形成するのに必要な量の銅微粒 を生成させる。陽極処理が終えたら、吊下 金具6を陽極バスバー7aから絶縁バー8を越え 陰極バスバー7cまで移動させて、同図(C)、(D )のように、銅板4を陽極電極3a、3aの間に配置 し、この状態で銅板4を陰極とする陰極処理 行う。銅板の表面に生成された銅微粒子は の陰極処理(銅めっき)により銅板に定着し、 銅板の表面に微細瘤状突起が形成される。陰 極処理を終了した表面粗化銅板は、電解槽1 に移動し、水洗、必要に応じ酸洗浄、水洗 防錆などの後処理が施される。

 銅板の陽極処理と陰極処理は1サイクルで もよいが、2サイクル以上行うことが望まし 。2サイクル以上行う場合は、前のサイクル 陰極処理を終了した後、銅板を陰極電極3c 3cの間に戻して陽極処理を行う。2サイクル 上行う場合も最後は陰極処理で終了する。 た、最初の陽極処理を行う前に、銅板を陰 電極の間に配置して電気銅めっき処理を行 てもよい。

 また、陽極処理と陰極処理を1サイクルで 終了する場合は、陽極処理を終えた銅板を図 2(C)、(D)のように陽極電極3a、3aの間に移動さ て陰極処理を行うときに、空いた陰極電極3 c、3cの間に次に粗化すべき銅板を配置して、 陽極処理と陰極処理を同時に行うこともでき る。このようにすれば表面粗化銅板の生産効 率を、実施形態1の場合のほぼ2倍にすること できる。

<実施形態3>
 図3は本発明のさらに他の実施形態を示す。 図3において、図2と同一部分には同一符号を してある。この実施形態は、銅板の陽極処 と陰極処理を2サイクル行うために、電解槽 1の長さを図2の装置のほぼ2倍とし、電気銅め っき液2中に、対向する1対の陽極電極3a、3aと 、対向する1対の陰極電極3c、3cとを交互に縦 配置してある。1対の陽極電極3a、3aの中間 上方には陰極バスバー7cを水平に設置し、1 の陰極電極3c、3cの中間の上方には陽極バス ー7aを水平に設置してある。隣り合う陰極 スバー7cと陽極バスバー7aは絶縁バー8を介し て直線状に連結されている。

 この装置で表面粗化銅板を製造するには 銅板4を電解槽1の一端側(図で左側)の陰極電 極3c、3cの間から他端側の陽極電極3a、3aの間 順次移動させ、陽極処理と陰極処理を交互 行えばよい。他端側の陽極電極3a、3a間で陰 極処理を終了した表面粗化銅板は、電解槽1 に移動させ、水洗、必要に応じ酸洗浄 水洗 、防錆などの後処理が行われる。他端側の陽 極電極3a、3a間の銅板4を電解槽1外に移動させ た後は、残る3枚の銅板4を1ピッチだけ他端側 へ移動させ、空いた一端側の陰極電極3c、3c 間に次に粗化すべき銅板を配置して、全て 電極間で陽極処理と陰極処理を同時に行う このようにすれば、2サイクルの陽極処理と 極処理を連続的に行うことができる。

 陰極電極3cには銅板又は銅棒が用いられ 。陽極電極3aには銅板又は銅棒を用いること もできるが、不溶性電極(チタンを基材とし 酸化物系不溶性電極や白金系不溶性電極等) 用いることが好ましい。陰極電極、陽極電 共に、通常、粗化される銅板片面と同じ対 面積のものが用いられるが、状況に応じて 積の増減や複数枚への分割を行っても差し えない。

 なお、さらに多くの銅板を処理する場合 大量の処理を行う場合は、陰極処理部、陽 処理部を、対向する複数対の各電極と共に 数倍の長さ・数として、その倍数に応じた の銅板の同時処理を行い、その倍数に応じ 銅板の移動速度を増すことで、処理タクト 任意に上げることができる。この場合は、 要な陰極処理と陽極処理の回数、時間比に じて処理槽の長さ比を設定すればよい。こ ような装置とすることで、陰極処理や陽極 理に必要な時間以下のタクトで、粗化銅板 製造することができる。

 また、陽極処理と陰極処理は必要に応じ3 サイクル以上行ってもよい。3サイクル以上 う場合は、対向する1対の陽極電極3a、3aと、 対向する1対の陰極電極3c、3cとを3組以上交互 に縦列配置すればよい。

<陽極処理の条件>
 陽極処理の条件は実験により定められる。 験によれば、銅板の両面に微細瘤状突起を 成するのに必要な量の銅微粒子を生成させ には、通常の電気銅めっき液(硫酸銅40~250g/l 、硫酸30~210g/l、塩酸10~80ppm、光沢剤等の添加 をメーカーの指定量)中で、めっき液の温度 を18~32℃に保ち、1~8A/dm 2 の電流密度で、3~10分間行うとよい。

 液温及び電流密度が上記の範囲でも、陽 処理時間が3分より短いと、銅板の表面に生 成される銅微粒子の量が少なすぎて、微細瘤 状突起を形成することができない傾向がみら れる。また陽極処理の時間が10分を超えると 銅板の表面に生成される銅微粒子の量が多 ぎて、良好な微細瘤状突起を形成すること できない傾向がみられる。陽極処理の時間 好ましくは4~8分であり、さらに好ましくは4 ~6分である。

 また、液温及び処理時間が上記の範囲でも 電流密度が1A/dm 2 より低いと、銅板の表面に生成される銅微粒 子の量が少なすぎて、微細瘤状突起を形成す ることができない傾向がみられる。また電流 密度が8A/dm 2 を超えると、銅板の表面に生成される銅微粒 子の量が多すぎて端面などに剥離が生じ、良 好な微細瘤状突起を形成することができない 傾向がみられる。陽極処理の電流密度は好ま しくは1~8A/dm 2 であり、さらに好ましくは1~5A/dm 2 である。

 また、電流密度及び処理時間は上記の範 でも、液温が18℃より低いと、銅板の表面 生成される銅微粒子の量が少なすぎて、微 瘤状突起を形成することができない傾向が られる。また液温が32℃を超えると、銅板の 表面に生成される銅微粒子の量が多すぎて、 良好な微細瘤状突起を形成することができな い傾向がみられる。

<陰極処理の条件>
 陰極処理の条件も実験により定められる。 極処理は陽極処理と同じ銅めっき液中で行 れるため、液温は陽極処理の場合と同じで る。また処理時間も、陽極処理と陰極処理 同時に行うことを考えると、陽極処理の場 と同じであることが好ましい。陽極処理と なることがあるのは電流密度である。陰極 理は1~8A/dm 2 の電流密度で行うとよい。電流密度が1A/dm 2 より低いと、銅めっき量が少なすぎて、銅微 粒子を銅板表面に十分に定着させることがで きない傾向がみられる。また、電流密度が8A/ dm 2 を超えると、銅めっき量が多すぎて、微細瘤 状突起がめっき層により覆われてしまい、良 好な微細瘤状突起を形成することができない 傾向がみられる。陰極処理の電流密度は好ま しくは1~8A/dm 2 であり、さらに好ましくは1~5A/dm 2 である。

<微細瘤状突起について>
 瘤状突起とは、銅板下地と粒子、又は粒子 粒子との間にネッキング(くびれ)を持ちな ら互いに付着し合っているような析出形態 いう。このネッキングにより、絶縁基板の 脂との間でアンカー効果が発揮され、接着 度が向上することになる。なお、粒子同士 付着し合うことで、1~20μm程度のクラスター (ブドウの房状)の瘤になるものも含む。但 、突起の全てが瘤状である必要はなく、ネ キングのない突起と瘤状突起とが混在する のであっても、後述する粒径及び粒度を満 させるものであれば、瘤状突起に含まれる
 この瘤状突起の粒度は、10μm以下であるこ が好ましい。この範囲では突起と銅板の下 との密着性が良く、絶縁基板との接着強度 良好となるからで、さらには微細瘤状突起 粒度が0.5μm~3μmであると、均一さが増して突 起と下地との密着強度がより向上し、好まし い。
 また、マクロに測定できる粗さとしてはRz あるが、Rzは3μm~20μmであることが好ましい この範囲では突起と下地の密着性が良く、 縁基板との接着強度も良いからで、Rzが7μm ら16μmであるとさらに好ましく、均一さが増 して粒子と下地の密着強度が向上する。
 但し、穴の内面では粗さの測定は困難であ 。従って、穴内面では粗化されていれば良 、瘤が異常成長して穴径を規定より狭めた 、瘤が絶縁基板の積層時に剥離することが ければ良い。瘤の高さは(クラスター状の場 合は、クラスター全体の高さを瘤高さと考え る)、20μm以下であることが好ましく、この範 囲では穴径が狭まったり瘤が剥離したりする ことがない。

 なお、以上全ての処理において、粗化を う銅板の保持は必要に応じた任意の治具で えばよい。治具は銅又は銅合金、ステンレ 、チタン等の金属製が望ましい。処理に必 な電流値は、治具自体の金属表面において 処理電流が消費されるため、治具が処理液 に浸かっている金属表面積分を処理板の表 積に加え、処理に必要な電流値を設定する 要がある。

 本実施例に用いた銅板は、長さ500mm×幅380 mm×厚さ400μm及び200μmのタフピッチ圧延銅板 ある。厚さ400μmの銅板は内径1~2mmのスルーホ ール用の穴を、穴面積総計が板面積の10%とな る数の穴あけ加工(穴の位置は任意)を行った のを用いた。また、厚さ200μmの銅板は2枚重 ねで処理を行って片面粗化銅板とし、ピール 試験に用いた。

 処理に用いた電気めっき液の組成は、硫 銅90g/l、硫酸180g/l、塩酸60ppmである。助剤と して、一般に光沢銅めっきに用いられる光沢 剤及び抑制剤をメーカー指定量添加した。光 沢剤・抑制剤の市販品の例としては、Rohm and  Haas 社製の硫酸銅めっき光沢剤カパーグリ ムシリーズ、日本化学産業株式会社製のク ペライトシリーズ、ピロニッカシリーズ等 挙げられるが、これらの中からめっき槽方 、電極材質、製品の使用目的に応じて選択 ればよい。

<実施例1>
 400μm銅板及び200μm銅板に対し、液温28℃、 流密度4.5A/dm 2 で、5分間、陽極処理を行った後、同じ液温 電流密度1.4A/dm 2 で、5分間、陰極処理を行って、表面粗化銅 を製造した。この表面粗化銅板の表面状態(S EM3000倍)を図4に示す。主表面での微細瘤状突 の粒度は3μm以下で、当該微細瘤状突起で実 質的に全面が均一に覆われていることが分か る。クラスター状の瘤になっている部分も認 められるが、当該部分の粒度及び高さは10μm 下であった。
 また、表面粗さを、キーエンス社製、超深 カラー3D形状測定顕微鏡VK-9510によって測定 た。表面粗さRzは7.5μmであった。
 なお、微細瘤状突起の形状は400μm銅板と200 m銅板で違いが認められなかった。

 この表面粗化銅板に市販の10mm幅セロハン テープを貼り付け、引き剥がし試験を行った ところ、微細瘤状突起の剥離はなく、セロハ ンテープの接着剤とセロハン界面が剥離し、 テープの接着剤が表面粗化銅板上に残った。

 次に、200μm片面粗化銅板に、市販の0.1mm のFR-4ガラスエポキシプリプレグ(絶縁基板材 料)を10枚積層し、電解銅箔とFR-4プリプレグ ホットプレスする条件と同じ条件で加熱加 して一体化し、銅板と絶縁板の積層板を得 。この積層板からサンプルを切出し、現品 び260℃溶融はんだ60秒間浸漬後のサンプルに ついてJIS-C6471に規定されたピール強度試験を 行った。その結果を表1に示す。このピール 度は、メタルコア回路基板に要求されるメ ルコアと絶縁基板の接着強度(1kN/m以上)を十 満足するものである。

<実施例2>
 400μm銅板及び200μm銅板に対し、液温24℃、 流密度4.5A/dm2で、5分間、陽極処理を行った 、同じ液温、電流密度2A/dm 2 で、5分間、陰極処理行うことを1サイクルと 、これを2サイクル行って表面粗化銅板を製 造した。この表面粗化銅板の表面状態(SEM3000 )を図5に示す。主表面での微細瘤状突起の 度は3μm以下で、当該微細瘤状突起で実質的 全面が均一に覆われていることが分かる。 ラスター状の瘤になっている部分も認めら るが、当該部分の粒度及び高さは10μm以下 あった。
 また、表面粗さを、キーエンス社製、超深 カラー3D形状測定顕微鏡VK-9510によって測定 た。表面粗さRzは11.0μmであった。

 この表面粗化銅板に市販の10mm幅セロハン テープを貼り付け、引き剥がし試験を行った ところ、微細瘤状突起の剥離はなく、セロハ ンテープの接着剤とセロハン界面が剥離し、 テープの接着剤が表面粗化銅板上に残った。

 次に、200μm片面粗化銅板に、実施例1と同 様にプリプレグ積層し、加熱加圧して、銅板 と絶縁板の積層板を得た。この積層板につい て実施例1と同様にピール強度試験を行った その結果を表2に示す。このピール強度は、 タルコア回路基板に要求されるメタルコア 絶縁基板の接着強度(1kN/m以上)を十分満足す るものである。

<実施例3>
 400μm銅板及び200μm銅板に対し、液温32℃、 流密度2A/dm 2 で、5分間、陽極処理を行った後、同じ液温 同じ電流密度で、同じ時間、陰極処理行う とを1サイクルとし、これを2サイクル行って 表面粗化銅板を製造した。この表面粗化銅板 の表面状態(SEM3000倍)を図6に示す。主表面で 微細瘤状突起の粒度は3μm以下で、当該微細 状突起で実質的に全面が均一に覆われてい ことが分かる。クラスター状の瘤になって る部分も認められるが、当該部分の粒度及 高さは10μm以下であった。
 また、表面粗さを、キーエンス社製、超深 カラー3D形状測定顕微鏡VK-9510によって測定 た。表面粗さRzは15.0μmであった。

 この表面粗化銅板に市販の10mm幅セロハン テープを貼り付け、引き剥がし試験を行った ところ、微細瘤状突起の剥離はなく、セロハ ンテープの接着剤とセロハン界面が剥離し、 テープの接着剤が表面粗化銅板上に残った。

 次に、200μm片面粗化銅板に、実施例1と同 様にプリプレグ積層し、加熱加圧して、銅板 と絶縁板の積層板を得た。この積層板につい て実施例1と同様にピール強度試験を行った その結果、板全体の最小値が2.1kN/m、最大値 3.1kN/m、平均値が2.5kN/mであった。また、は だ耐熱後のピール強度は、板全体の最小値 1.9kN/m、最大値が2.8kN/m、平均値が2.4kN/mであ た。このピール強度は、メタルコア回路基 に要求されるメタルコアと絶縁基板の接着 度(1kN/m以上)を十分満足するものである。

<実施例4>
 400μm銅板及び200μm銅板に対し、液温22℃、 流密度2A/dm 2 で、5分間、陽極処理を行った後、同じ液温 同じ電流密度で、同じ時間、陰極処理行う とを1サイクルとし、これを2サイクル行って 表面粗化銅板を製造した。この表面粗化銅板 の表面状態(SEM3000倍)を図7に示す。主表面で 微細瘤状突起の粒度は5μm以下で、当該微細 状突起で実質的に全面が均一に覆われてい ことが分かる。クラスター状の瘤になって る部分も認められるが、当該部分の粒度及 高さは10μm以下であった。
 また、表面粗さを、キーエンス社製、超深 カラー3D形状測定顕微鏡VK-9510によって測定 た。表面粗さRzは4.0μmであった。

<実施例5~7>
 厚さ200~400μmのコア用銅板に、ドリルによっ て、スリーホール用の直径3mmから5mmの穴を複 数形成した。なお、基板の設計仕様によって は多数の穴が必要となるので、プレス機を用 いてパンチ金型で打ち抜いてもよい。
 その後、本発明の製造方法により穴の内面 含む表面に微細瘤状突起を形成した。後述 る比較例での製造方法で形成したものに比 、銅板の主表面だけでなく穴の内面も含め 微細瘤状突起が均一に形成された穴あき表 粗化銅板を得ることができた。図8~10は夫々 表面粗化銅板の表面状態を示すもので、Aが 表面のSEM3000倍、Bが穴内面のSEM3000倍、Cが穴 縁部分のSEM125倍である。

 実施例5では、主表面での微細瘤状突起の粒 度は3μm以下、クラスター状となった部分の 度及び高さは10μm以下であった。また、表面 粗さRzは8.0μmであった。さらに、穴内面も粗 され、穴内面の瘤状突起の高さは15μm以下 あった。
 実施例6では、主表面での微細瘤状突起の粒 度は3μm以下、クラスター状となった部分の 度及び高さは10μm以下であった。また、表面 粗さRzは7.0μmであった。さらに、穴内面も粗 され、穴内面の瘤状突起の高さは10μm以下 あった。
 実施例7では、主表面での微細瘤状突起の粒 度は3μm以下、クラスター状となった部分の 度及び高さは10μm以下であった。また、表面 粗さRzは11.0μmであった。さらに、穴内面も粗 化され、穴内面の瘤状突起の高さは5μm以下 あった。

 このようにして得た穴あき表面粗化銅板に ガラスエポキシプリプレグ(絶縁基板材料) 複数枚積層し、加熱加圧して一体化した。 らに、スルーホールの位置の絶縁基板材料 分を除去し、その周囲にメッキを行い、直 1mmのスルーホールのある回路基板を得た。
 この完成品に高電圧試験(1000V)を行った結果 、スルーホールとコア間の十分な絶縁性が保 たれ、優れた性能を発揮した。また、ハンダ 耐熱試験後も、スルーホールの回りでコアと 樹脂との剥離やクラックは生じず、コアと樹 脂との密着は良好であった。

<実施例8>
 実施例1~4と同様に表面粗化銅板を作製し、 表面に微細瘤状突起を形成した。その後、 板にスルーホール用の穴を加工形成した。 らに実施例5と同様に、絶縁基板を積層した 回路基板を得た。
 この実施例では、ドリル或いはパンチによ 穴あけ加工時に、穴の周囲で先に粗化した 分がつぶれたり、瘤状粒子が剥離し、見か が不均一になることもあった。また、穿孔 に加工油が付着し、再洗浄を必要とするこ もあった。さらに、穴の内面は粗化してい いので、穴の内面で樹脂との密着性が弱い とも考えられたが、主表面での密着が良好 あるので、絶縁性に問題なく使用できた。

<比較例1>
 前記銅板に対し、液温25℃、電流密度8.5A/dm 2 で、5分間、陽極処理を行った後、同じ液温 同じ電流密度で、同じ時間、陰極処理行っ 表面粗化銅板を製造した。この場合、板中 部は良好に粗化されるが、電流密度が高す るため板端部で電解による溶解が進みすぎ かつ、めっきが強くかかりすぎることで極 に白化して、板全面でムラが生じ、メタル アとして使用できないものであった。

<比較例2>
 前記銅板に対し、液温25℃、電流密度0.9A/dm 2 で、10分間、陽極処理を行った後、同じ液温 同じ電流密度で、同じ時間、陰極処理行っ 表面粗化銅板を製造した。この表面粗化銅 の表面状態(SEM3000倍)を図11に示す。この場 、全体に粗化が進まず、微細瘤状突起の形 が十分でなかった。主表面での表面粗さRzは 2.5μmであった。

<比較例3>
 前記銅板に対し、液温25℃、電流密度4.5A/dm 2 で、11分間、陽極処理を行った後、同じ液温 同じ電流密度で、同じ時間、陰極処理行っ 表面粗化銅板を製造した。この場合、板中 部は良好に粗化されるが、板端部やスルー ール用穴で電解による溶解が進みすぎ、か 、めっきが強くかかりすぎることで極度に 化して、板全面でムラが生じ、メタルコア して使用できないものであった。

<比較例4>
 前記銅板に対し、液温25℃、電流密度4.5A/dm 2 で、2.5分間、陽極処理を行った後、同じ液温 、電流密度2A/dm 2 で、同じ時間、陰極処理行って表面粗化銅板 を製造した。この表面粗化銅板の表面状態(SE M3000倍)を図12に示す。この場合、全体に粗化 進まず、微細瘤状突起の形成が十分でなか た。主表面での表面粗さRzは2.0μmであった

<比較例5>
 前記銅板に対し、液温35℃、電流密度4.5A/dm 2 で、5分間、陽極処理を行った後、同じ液温 電流密度1.4A/dm 2 で、同じ時間、陰極処理行って表面粗化銅板 を製造した。この場合、銅板表面に黒色の亜 酸化銅による焼けが発生した。この粗化銅板 に市販の10mm幅セロハンテープを貼り付け、 き剥がし試験を行ったところ、黒色部が隔 し、メタルコアとして使用できないもので った。

<比較例6>
 前記銅板に対し、液温17℃、電流密度4.5A/dm 2 で、10分間、陽極処理を行った後、同じ液温 同じ電流密度で、同じ時間、陰極処理行っ 表面粗化銅板を製造した。この表面粗化銅 の表面状態(SEM3000倍)を図13に示す。この場 、全体に粗化が進まず、微細瘤状突起が形 されていない。このためメタルコアとして 用できないものであった。主表面での表面 さRzは1.8μmであった。

<比較例7>
 厚さ200~400μmのコア用銅板に、ドリルによっ て、スルーホール用の直径3mmから5mmの穴を複 数形成した。その後、従来の電解メッキ法に より、穴の内面を含む表面に数μmの瘤状突起 を形成した。この銅板の表面状態を図14に示 。Aが主表面のSEM3000倍、Bが穴内面のSEM500倍 Cが穴内面のSEM125倍となっている。主表面で の微細瘤状突起の粒度は5μm以下、クラスタ 状となった部分の粒度及び高さは10μm以下で あった。また、表面粗さRzは10.0μmであった。
 但し、この銅板では、主表面に比べて穴内 の瘤状突起の大きさすなわち凹凸の差が20μ m以上となっている。電解メッキの条件調整 は、両者を含めて均一な微細瘤状突起を形 することができなかった。

 この原因は、従来の電解メッキ法では電流 度が大きいため、電極と向かい合った銅板 面の中でも、穴が貫通している場所では、 極からの大電流が総表面積の小さい穴内面 集中するためである。
 その後、実施例5と同様に、樹脂基板を密着 させ回路基板を作製したところ、高電圧試験 (1000V)でスルーホールとコア間の絶縁性が保 れない場合があった。
 分析すると、密着性に問題があることに加 、樹脂の絶縁基板積層時に銅微粒子突起が レス圧によって剥がれて樹脂中に侵入し、 とコアとの絶縁距離が十分取れていなかっ ため、絶縁性を悪化させたことがわかった すなわち、従来の電解メッキ法により、穴 あいた粗化銅板を作製すると、このような 題があることが明確となった。

 以上のように、特にスルーホール用の穴を つメタルコア銅板では、銅板に穴を形成し 後で、本発明の方法により表面に微細瘤状 起を形成することにより、表面及び穴の内 に均一な粗化処理が行え、最適であること 明らかとなった。

本発明の一実施形態を示す、(A)は平面 、(B)は(A)のB-B線断面図、(C)は(B)のC-C線断面 。 本発明の他の一実施形態を示す、(A)は 面図、(B)は(A)のB-B線断面図。 本発明のさらに他の一実施形態を示す (A)は平面図、(B)は(A)のB-B線断面図。 実施例1の表面粗化銅板の表面状態を示 す走査電子顕微鏡写真。 実施例2の表面粗化銅板の表面状態を示 す走査電子顕微鏡写真。 実施例3の表面粗化銅板の表面状態を示 す走査電子顕微鏡写真。 実施例4の表面粗化銅板の表面状態を示 す走査電子顕微鏡写真。 実施例5の表面粗化銅板の表面状態を す走査電子顕微鏡写真で、主表面を示す。 実施例5の表面粗化銅板の表面状態を す走査電子顕微鏡写真で、穴の内面を示す 実施例5の表面粗化銅板の表面状態を す走査電子顕微鏡写真で、穴の縁部分を示 。 実施例6の表面粗化銅板の表面状態を す走査電子顕微鏡写真で、主表面を示す。 実施例6の表面粗化銅板の表面状態を す走査電子顕微鏡写真で、穴の内面を示す 実施例6の表面粗化銅板の表面状態を す走査電子顕微鏡写真で、穴の縁部分を示 。 実施例7の表面粗化銅板の表面状態を す走査電子顕微鏡写真で、主表面を示す。 実施例7の表面粗化銅板の表面状態を す走査電子顕微鏡写真で、穴の内面を示す 実施例7の表面粗化銅板の表面状態を す走査電子顕微鏡写真で、穴の縁部分を示 。 比較例2の表面粗化銅板の表面状態を す走査電子顕微鏡写真。 比較例4の表面粗化銅板の表面状態を す走査電子顕微鏡写真。 比較例6の表面粗化銅板の表面状態を す走査電子顕微鏡写真。 比較例7の表面粗化銅板の表面状態を す走査電子顕微鏡写真で、主表面を示す。 比較例7の表面粗化銅板の表面状態を す走査電子顕微鏡写真で、穴の内面を示す 比較例7の表面粗化銅板の表面状態を す走査電子顕微鏡写真で、穴の縁部分を示 。 メタルコア回路基板の一例を示す断面 図。 一般的なプリント回路基板用の電解銅 箔の表面状態を示す走査電子顕微鏡写真。

符号の説明

1:電解槽
2:電気銅めっき液
3:電極
3a:陽極電極
3c:陰極電極
4:表面を粗化すべき銅板
5:枠体
6:吊下げ金具
7:バスバー
7a:陽極バスバー
7c:陰極バスバー
8:絶縁バー