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Title:
PROMOTER FOR SECRETION OF INSULIN-LIKE GROWTH FACTOR-1, AND FOOD OR BEVERAGE CONTAINING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/110495
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a promoter for the secretion of insulin-like growth factor-1, which is safe, can be ingested on a daily basis, and comprises a polyphenol as an active ingredient. Also disclosed is a food or beverage containing the promoter. Further disclosed is a method for promoting the secretion of insulin-like growth factor-1 in the blood or an organ in a mammal, which comprises administering an effective amount of a polyphenol to the mammal.

Inventors:
OSAKABE NAOMI (JP)
NATSUME MIDORI (JP)
SASAKI KAZUE (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/054039
Publication Date:
September 11, 2009
Filing Date:
March 04, 2009
Export Citation:
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Assignee:
MEIJI SEIKA KAISHA (JP)
OSAKABE NAOMI (JP)
NATSUME MIDORI (JP)
SASAKI KAZUE (JP)
International Classes:
A61K31/353; A23L1/30; A61K36/00; A61K36/18; A61K36/73; A61P1/02; A61P1/12; A61P1/16; A61P3/06; A61P3/08; A61P3/10; A61P5/50; A61P7/02; A61P17/00; A61P19/02; A61P31/04; A61P31/12; A61P35/00; A61P37/08; A61P39/06; A61P43/00
Foreign References:
JP2003252745A2003-09-10
JP2006507357A2006-03-02
JPH06183958A1994-07-05
JP2004123707A2004-04-22
Other References:
TAKAHASHI, T. ET AL.: "Procyanidin oligomers selectively and intensively promote proliferation of mouse hair epithelial cells in vitro and activate hair follicle growth in vivo", J INVEST DERMATOL, vol. 112, no. 3, 1999, pages 310 - 316
WILLIAMSON, G. ET AL.: "Bioavailability and bioefficacy of polyphenols in humans. II. Review of 93 intervention studies", AM J CLIN NUTR, vol. 81, no. 1, 2005, pages 243S - 255S
Attorney, Agent or Firm:
YOSHITAKE, Kenji et al. (JP)
Kenji Yoshitake (JP)
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Claims:
 ポリフェノールを有効成分として含んでなることを特徴とする、インスリン様成長因子-1分泌促進剤。
 ポリフェノールがプロシアニジン類である、請求項1に記載のインスリン様成長因子-1分泌促進剤。
 プロシアニジン類が、カカオ、ぶどう、リンゴ、松の樹皮のうちのいずれか1種または2種以上に由来する、請求項2に記載のインスリン様成長因子-1分泌促進剤。
 プロシアニジン類が、プロシアニジンB2、プロシアニジンB5、プロシアニジンC1、シンナムタンニンA2から選択される1種または2種以上である、請求項2または3に記載のインスリン様成長因子-1分泌促進剤。
 請求項1~4のいずれか一項に記載のインスリン様成長因子-1分泌促進剤を含んでなる、飲食品。
 プロシアニジン類の含有量が0.01~20重量%である、請求項5に記載の飲食品。
 ポリフェノールの有効量を、哺乳動物に摂取させることを含んでなる、哺乳動物の血中または臓器中におけるインスリン様成長因子-1分泌を促進する方法。
 ポリフェノールの摂取を経口摂取により行う、請求項7に記載の方法。
 ポリフェノールの摂取を、ポリフェノールを含有する飲食品を摂取することにより行う、請求項8に記載の方法。
 ポリフェノールがプロシアニジン類である、請求項7~9のいずれか一項に記載の方法。
 プロシアニジン類が、カカオ、ぶどう、リンゴ、松の樹皮のうちのいずれか1種または2種以上に由来する、請求項10に記載の方法。
 プロシアニジン類が、プロシアニジンB2、プロシアニジンB5、プロシアニジンC1、シンナムタンニンA2から選択される1種または2種以上である、請求項10または11に記載の方法。
 インスリン様成長因子-1分泌促進剤を製造するための、ポリフェノールの使用。
 インスリン様成長因子-1分泌促進作用を有する飲食品を製造するための、ポリフェノールの使用。
 ポリフェノールがプロシアニジン類である、請求項13または14に記載の使用。
 プロシアニジン類が、カカオ、ぶどう、リンゴ、松の樹皮のうちのいずれか1種または2種以上に由来する、請求項15に記載の使用。
 プロシアニジン類が、プロシアニジンB2、プロシアニジンB5、プロシアニジンC1、シンナムタンニンA2から選択される1種または2種以上である、請求項15または16に記載の使用。
Description:
インスリン様成長因子-1分泌促 剤およびそれを含む飲食品 関連出願の参照

 本願は、先行する日本国特許出願である 願2008-54044号(出願日:2008年3月4日)および特願 2008-238859号(出願日:2008年9月18日)に基づくもの であって、それらの優先権の利益を主張する ものであり、それらの開示内容全体は参照す ることによりここに組み込まれる。

発明の背景

発明の分野
 本発明は、ポリフェノールを有効成分とし 含んでなることを特徴とするインスリン様 長因子-1分泌促進剤、およびそれを含む飲 品に関する。

背景技術
 ポリフェノールは、抗菌、抗ウイルス、抗 化、抗突然変異、抗癌、血小板凝集抑制、 糖上昇抑制、血中コレステロール低下、抗 蝕、抗アレルギー、腸内フローラ改善、消 など非常に広範な生理作用を有することが られている。中でも、カカオポリフェノー の機能については種々の作用が確認されて る。

 抗酸化能に基づく作用としては、油脂の 敗抑制、ミクロゾームや赤血球膜といった 体成分の酸化抑制、スーパーオキシドディ ムターゼ様作用やヒドロキシラジカル消去 用などのインビトロでの作用、胃潰瘍予防 用、低密度リポ蛋白酸化抵抗性増強作用な が知られている。

 また、抗酸化作用以外の作用としては、 テロサイクリックアミンに対する抗変異原 作用、血小板凝集能低下作用、血圧低下作 、および低密度リポ蛋白低下作用が知られ いる(文献1(チョコレート・ココアの科学と 能、第二部チョコレート・ココアの生理機 、福場博保、木村修一・板倉広重・大澤俊 編、pp.56-179、アイ・ケイコーポレーション) )。

 インスリン様成長因子-1(Insulin-like Growth  Factor-1)(以下において、「IGF-1」と略すことが ある)は、インスリンに非常に似た構造およ 作用を持つ分子量約7500のペプチドホルモン ある(文献2(グッドマン・ギルマン薬理書[下 ] 薬物治療の基礎と臨床第10版;第61章 イン リン、経口血糖降下薬と膵臓内分泌の薬理  2003、p2144 監訳:高折 修二、福田 英臣、 池 昭紀 東京廣川書店発行))。IGF-1は細胞の 分化を促し、細胞の増殖を助ける等、積極的 に細胞を健康な状態に維持し(文献3(コーン・ ケー・ジェイ(Conn K J)外6名,ザ・ジャーナル オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J. Bi ol. Chem.)1996年、第271巻、第46号、p.28853-28860) 文献4(ブラハム・シー(Braham C)外4名,デルマ ロジー(Dermatology)、2002年、第20巻、第4号、p.3 25-329))、老化の進行を阻止することが知られ いる(文献5(ローベノッフ・アール(Roubenoff R )外8名,ザ・アメリカン・ジャーナル・オブ・ メディシン(Am. J. Med.)、2003年、第115巻、第6 、p.501-502))。

 IGF-1は成長ホルモン分泌刺激によって主 肝臓で生成されることが知られているポリ プチドであり、血中ではIGF結合タンパクと 合し高分子複合体として存在している。IGF-1 の代謝、IGF-1の受容体への親和性は、このIGF 合タンパクによって調節されており、IGF結 タンパクの発現は成長ホルモンによって制 されることが知られている。最近では、全 に分布している知覚神経に存在するバニロ ド受容体の活性化によって、カルシトニン 伝子ペプチド(以下、「CGRP」と略すことが る)が放出され、種々の臓器の幼若細胞から IGF-1産生を促すことが報告されている。(文 6(岡嶋研二ら、「マイクロバブル・ナノバ ルの最新技術」, pp.131-149,(2007)))。

 実験的にはリコンビナントIGF-1の投与に ってインスリン抵抗性が改善されることが 告されている(文献7(Acerini CL. et al. Randomise d placebo-controlled trial of human recombinant insuli n-like growth factor I plus intensive insulin therapy  in adolescents with insulin-dependent diabetes mellit us. Lancet 350, 1199-204 (1997)))。臨床の現場で リコンビナント成長ホルモンを投与し、そ 結果としてIGF-1を上昇させる治療法が普及し ている。しかしながら、リコンビナント成長 ホルモンには、関節痛、過敏症、肝機能障害 、皮膚の硬化、甲状腺ホルモンの低下、およ び頭痛などの副作用が生じることが知られて おり、また、その投与方法は皮下注射など侵 襲を伴う方法に限られるため、治療費用が非 常に高価となる。

 リコンビナント成長ホルモン以外では、 選択性β遮断薬であるカルベジロールを静 内投与することでIGF-1の分泌が促進されるこ とが報告されている(文献8(Okajima K, et al. J.  Pharmacol Exp. Ther. 2004; 309: 684-691))。しかし ながら、本薬品も侵襲を伴う方法により投与 されなければならないので、その治療費用は 安くはないことに加え、日常的に気軽に摂取 し難かった。

 そこで、より安全かつ安価にIGF-1の分泌 促進する手段として、食品成分に注目が集 っている。これまで唐辛子に含まれるカプ イシンが、IGF-1の分泌促進に有効であること が報告されている(特開2006-151971号公報、およ び文献9(Okajima K. et al Effect of capsaicin on p lasma and tissue levels of insulin-like growth factor -I in spontaneously hypertensive rats.Growth Horm IGF Res. 18、75-81(2008)))。しかしながら、カプサ シンは唐辛子の辛味成分であるため、食品 分においては、その添加量は少なくならざ を得なかった。

発明の概要

 本発明者らは今般、ポリフェノールを含有 る食品を摂取したマウスにおいて、血中お び種々の臓器中のIGF-1が顕著に増加するこ を見出した。また、ポリフェノールを含有 る食品を摂取したマウスにおいて、記憶や 知力が高まることを見出した。
 さらに、本発明者らは、IGF-1産生機序につ てさらに検討を進めたところ、カプサイシ と同様に、プロシアニジン類が、バニロイ 受容体を備えるマウス脊髄後根神経節細胞( 下、「DRG」と略すことがある)を刺激し、カ ルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)の放出を 促進することを見出した。
 本発明はこれら知見に基づくものである。

 よって本発明は、安全で日常的に摂取し すいIGF-1分泌促進剤、およびそれを含む飲 品を提供することを目的とする。また本発 の他の目的は、IGF-1分泌を促進する方法、お よび、IGF-1分泌促進作用を有する飲食品を製 するためのポリフェノールの使用の提供に る。

 本発明によるインスリン様成長因子-1分 促進剤は、ポリフェノールを有効成分とし 含んでなることを特徴とする。

 本発明による飲食品は、本発明によるイ スリン様成長因子-1分泌促進剤を含んでな 。好ましくはここで、プロシアニジン類の 有量は0.01~20重量%である。

 本発明の別の態様によれば、ポリフェノ ルの有効量を、哺乳動物に摂取させること 含んでなる、哺乳動物の血中または臓器中 おけるインスリン様成長因子-1分泌を促進 る方法が提供される。好ましくは、ここで ポリフェノールの摂取を経口摂取により行 。より好ましくは、ここで、ポリフェノー の摂取を、ポリフェノールを含有する飲食 を摂取することにより行う。

 本発明のさらに別の態様によれば、イン リン様成長因子-1分泌促進剤を製造するた の、ポリフェノールの使用が提供される。 るいは、本発明のさらに別の態様によれば インスリン様成長因子-1分泌促進作用を有す る飲食品を製造するための、ポリフェノール の使用が提供される。

 本発明の一つの好ましい態様において、 発明において使用されるポリフェノールは ロシアニジン類である。

 本発明の一つのより好ましい態様におい 、プロシアニジン類は、カカオ、ぶどう、 ンゴ、松の樹皮のうちのいずれか1種または 2種以上に由来するものである。

 本発明の一つのさらに好ましい態様にお て、プロシアニジン類は、プロシアニジンB 2、プロシアニジンB5、プロシアニジンC1、シ ナムタンニンA2から選択される1種または2種 以上である。

 本発明によるIGF-1分泌促進剤およびそれ 含む飲食品は、血中および臓器においてIGF-1 の分泌を促進することができる。また、本発 明によるIGF-1分泌促進剤およびそれを含む飲 品は、記憶や認知力を高めることができる さらに、本発明によるIGF-1分泌促進剤は、 プサイシンと同様に、バニロイド受容体を えるマウス脊髄後根神経節細胞(DRG)を刺激し カルシトニン遺伝子関連ペプチドの放出を促 進することができる。

 本発明によるIGF-1分泌促進剤における有 成分は、天然の植物由来とすることができ から、安全性に優れ、長期に摂取しても副 用がほとんどない。したがって、本発明のIG F-1分泌促進剤およびそれを含む飲食品は、日 常的にかつ継続的に摂取しうるものとして非 常に有用である。

 このように本発明によれば、血中および 器においてIGF-1の分泌を促進することがで 、これによって、体内におけるIGF-1を増加さ せることができる。IGF-1の増加は、例えば、 膚中でのコラーゲン、エラスチンおよびヒ ルロン酸を増加させ、皮膚の弾力性や皮膚 張り、肌の潤いを維持することが可能とな 。また、IGF-1の増加は、皮膚の弾力性を回 し、しわを伸ばし、たるみを改善し得る。 らにIGF-1の増加は、線維芽細胞の分化、増殖 および/または機能を促進するので、例えば 傷や手術後の創傷治癒を早め得る。またIGF-1 の増加により、毛母、毛乳頭等毛根部の細胞 が活性化され、育毛や発毛効果が期待できる 。さらにIGF-1の増加により、骨密度増加、血 低下効果、およびアルツハイマー病の発症 延効果が得られ得る。

実施例2のCLPrをHPLCを用いて分析したク マトグラムである。 プロシアニジン類のCGRP放出効果測定結 果を示す図である。 カカオポリフェノール摂取の、臓器お び血液中のIGF-1濃度に対する影響を表すグ フである。 カカオポリフェノール摂取の空間認知 能への影響を表すグラフである。図におい 、上のグラフが野生型C57BL/6マウスの場合(Wi ld-typeと標記)を示し、下のグラフがCGRPの放出 能を欠損したCGRPノックアウト(-/-)マウスの場 合(CGRPKOと標記)を示す。

発明の具体的説明

有効成分
  ポリフェノール
 本発明において「ポリフェノール」とは、 ンゼン環に2つ以上のヒドロキシル基がつい ている構造を示す化合物をいう。ポリフェノ ールは、シンプルフェノール類、フラボノイ ド類、加水分解型タンニン類、縮合型タンニ ン類(プロアントシアニジン類)に分けられる シンプルフェノール類の具体例としては、 ヒドロキシル酸、ヒドロキシルカフェ酸誘 体類等が挙げられる。フラボノイド類の具 例としては、フラボン類、フラボノール類 イソフラボン類、フラバン類、フラバノー (カテキン)類、フラバノン類、フラバノノ ル類、カルコン類、アントシアニジン類等 挙げられる。また、カテキン類の具体例と ては、カテキン、エピカテキンなどが挙げ れる。加水分解型タンニン類はシンプルフ ノールの重合物であり、縮合型タンニン類( ロアントシアニジン類)はフラボノイド類の 重合物である。

 本発明の好ましい態様において、ポリフ ノールは、カカオポリフェノール、ぶどう リフェノール、リンゴポリフェノール、松 樹皮ポリフェノールである。

 本発明のより好ましい態様において、ポ フェノールはカカオポリフェノールであり より好ましくはポリフェノールはプロシア ジン類である。

 本発明において使用するポリフェノール 、その入手方法や調製方法については特に 定はされない。例えば、該ポリフェノール 、ポリフェノールを含有する植物体から溶 抽出等によって抽出し、さらに必要に応じ イオン交換樹脂等を使用して純度を高める とによって得ることができる。

  プロシアニジン類
 本発明において「プロシアニジン類」とは 例えば、下記の式(1)~(9)(式中、n=0~1)で示さ る、フラボノイド類の基本骨格が重合した 造を持つ物質であり、4位→6位、4位→8位、2 位→5位および4位→6位の2箇所、2位→7位およ び4位→8位の2箇所で結合する構造が認められ ている。

 プロシアニジン類は、カカオ以外にも、 どう種子・皮、リンゴ、松の樹皮などに含 れる。したがって、本発明の好ましい態様 よれば、プロシアニジン類は、カカオ、ぶ う、リンゴ、松の樹皮のうちのいずれか1種 または2種以上に由来するものであることが きる。

 本発明におけるプロシアニジン類の代表 としては、プロシアニジンB2(下記式(1)の化 物)、プロシアニジンB5(下記式(2)の化合物) プロシアニジンC1(下記式(3)の化合物)、シン ムタンニンA2(下記式(4)の化合物)が挙げられ る。これらは、本発明におけるプロシアニジ ン類の好ましい例であることができる。

 ・ プロシアニジンB2:

 ・ プロシアニジンB5:

 ・ プロシアニジンC1:

 ・ シンナムタンニンA2:

 ・ 他のプロシアニジン類:

用途
 前記したように、本発明によるIGF-1分泌促 剤は、ポリフェノールを有効成分として含 でなるものである。
 本発明者等は後述する実施例に示したよう 、ポリフェノール類の例としてカカオポリ ェノールを分析したところ、ここにプロシ ニジン類が含まれていることを確認して、 離している(実施例1~3)。そしてプロシアニ ン類がカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP )の放出を促進する作用を有していることを 認している(試験例1)。またポリフェノール 、血中および臓器中でのIGF-1の分泌を促進す る作用があることを確認している(試験例2)。 さらにインビボにおいてマウスを用いたポリ フェノール摂取試験を行った結果、CGRP放出 欠損マウスに比べて、正常マウスは、空間 知機能が向上した(試験例3)。

 よって、本発明のIGF-1分泌促進剤によれ 、血中および臓器においてIGF-1の分泌を促進 することができ、体内におけるIGF-1を増加さ ることができる。

 また、本発明のIGF-1分泌促進剤は、記憶 認知力を高めることができる。よって、本 明によれば、本発明によるIGF-1分泌促進剤を 含む、記憶および認知力の向上用組成物が提 供され得る。

 さらに、本発明のIGF-1分泌促進剤は、バ ロイド受容体を備えるマウス脊髄後根神経 細胞(DRG)を刺激し、カルシトニン遺伝子関連 ペプチドの放出を促進することができる。

 IGF-1は、皮膚中の線維芽細胞を活性化し、 細胞の分化、増殖および/または機能を促進 ることが報告されている(Br J Dermatol 2006,  154, pp. 401-410)。線維芽細胞は、コラーゲン エラスチンおよびヒアルロン酸等の体内の 質物質の産生を促進する。コラーゲンは結 組織を構成する主要タンパク質で、皮膚の ラーゲンは、皮膚の質感または弾力等の皮 の形状形成に関与している。エラスチンは ラーゲンと同様に皮膚の結合組織に存在す 繊維状のタンパク質で、コラーゲン繊維を ね、バネのように支えて、皮膚の弾力性と リを保つ機能を有する。ヒアルロン酸はグ コサミノグルカンの一種で、哺乳動物の結 組織に多量に分布し、肌に潤いを与え、ク ションの役割を担っている。
 このため、本発明のIGF-1分泌促進剤によれ 、皮膚中のIGF-1を増加させ、終局的には皮膚 中でのコラーゲン、エラスチンおよびヒアル ロン酸を増加させ得るので、皮膚の弾力性や 皮膚の張り、肌の潤いを維持することができ るといえる。よって、本発明によれば、本発 明によるIGF-1分泌促進剤を含む、皮膚の弾力 や皮膚の張り、肌の潤いを維持できる、皮 ケア用組成物が提供され得る。

 また、本発明のIGF-1分泌促進剤が、弾力 の低下した皮膚またはしわやたるみのある 膚に適用されると、適用部位で、IGF-1の分泌 が促進されるので、該部位の皮膚の弾力性が 回復し、しわが伸び、たるみが改善されうる 。よって、本発明によれば、本発明によるIGF -1分泌促進剤を含む、皮膚の弾力性を回復し しわを伸し、たるみを改善できる、皮膚ケ 組成物またはシワ防止用組成物が提供され る。

 本発明のIGF-1分泌促進剤は、皮膚中のIGF-1 を増加させ、線維芽細胞の分化、増殖および /または機能を促進する。このため、例えば 傷や手術後の創傷治癒を早め得る。よって 本発明によれば、本発明によるIGF-1分泌促進 剤を含む、創傷治癒用組成物が提供され得る 。

 また、IGF-1は、毛母、毛乳頭等毛根部の 胞を活性化することから(Dermatol online J 1999 ; 5: 1)、本発明のIGF-1分泌促進剤は、育毛や 毛を目的に頭皮に適用し得る。すなわち、 発明によれば、本発明によるIGF-1分泌促進 を含む、育毛もしくは発毛用組成物が提供 れ得る。

 高齢者などでは、骨組織内IGF-1量、血中IG F-1濃度、および作用が低下し、骨量も低下す ることが知られている(Lancet Volume 355, Issue  9207, 11 March 2000, Pages 898-899; 成長科学協会 指定課題研究報告 平成18年度「成長ホルモ およびIGF-1測定の標準化に関する研究」 島 章(国立病院機構京都医療センター臨床研究 センターなど)。このため、本発明のIGF-1分泌 促進剤は骨密度増加に寄与しうる。すなわち 、本発明によれば、本発明によるIGF-1分泌促 剤を含む、骨密度増加用または骨密度の減 抑制用組成物が提供され得る。

 IGF-1が作用すると血管が拡張し血圧低下 効果が得られることが報告されている(Clin E ndocrinol 2005; 63: 470-476)。このため、本発明 IGF-1分泌促進剤によって血圧低下効果が得ら れるといえる。よって、本発明によれば、本 発明によるIGF-1分泌促進剤を含む、血圧降下 組成物が提供され得る。

 IGF-1は、アルツハイマー病においてβアミ ロイド原線維を分解し解毒(無毒化)するHSF-1 調整することが報告されている(J Biol Chem 2 007; 82: 10203-9)。このため、本発明のIGF-1分泌 促進剤は、アルツハイマー病の発症を遅延さ せることができるといえる。よって、本発明 によれば、本発明によるIGF-1分泌促進剤を含 、アルツハイマー病の発症遅延用組成物が 供され得る。

IGF-1分泌促進剤
 本発明によるIGF-1分泌促進剤は、ポリフェ ールを有効成分として含んでなる。ここで 有効成分として含んでなる」とは、本発明 よる促進剤が、所望のIGF-1分泌促進効果を発 揮するのに充分な量(すなわち、有効量)の有 成分を含有することをいう。したがって、 発明のIGF-1分泌促進剤におけるポリフェノ ルの濃度は、IGF-1の分泌が促進される濃度で あれば特に制限されない。

 よって、ポリフェノール自体を、そのままI GF-1分泌促進剤として用いてもよいが、この うな有効量で有効成分を含み、かつIGF-1分泌 促進効果を損なわない限りにおいて、本発明 による促進剤は、所望する製品形態に応じた 生理学的に許容されうる担体や、他の添加剤 を含んでなることができる。このような担体 、および添加剤としては、例えば、賦形剤、 結合剤、崩壊剤、滑沢剤、コーティング剤、 保存剤、安定剤、香料、緩衝剤、増粘剤、着 色剤、乳化剤、分散剤、懸濁化剤、防腐剤等 が挙げられる。本発明のIGF-1分泌促進剤は、 口または非経口投与のいずれかの投与経路 、ヒトやヒト以外の動物に投与または摂取 せ、IGF-1の分泌を促進することができる。
 経口投与する場合には、例えば、乳糖、結 セルロース、デンプン、リン酸カルシウム の賦形剤;例えば、デンプン、カルメロース ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース 等の結合剤;例えば、カルメロースカルシウ 、炭酸カルシウム等の崩壊剤;例えば、ステ リン酸マグネシウム、タルク等の滑沢剤;コ ーティング剤、保存剤、安定剤などを用いる ことにより、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、シ ロップ剤、ドライシロップ剤、散剤、丸剤、 細粒剤、トローチ錠、乳濁剤や、または常法 によるシロップを含む各種液剤、ドリンク剤 等の形態に処方できる。そして、これらの各 種製剤は、長時間にわたって作用が持続する 徐放性製剤とすることもできる。

 非経口投与用の形態としては、例えば、 貼付剤、軟膏、クリーム剤、ローション剤 更にシャンプー、リンス、ボディーソープ 石鹸、洗顔料、整髪料、乳液、パック、入 剤などの形態が挙げられる。これらは、当 技術分野で通常行われている手法により、 要に応じて担体や添加剤と共に、製剤化も くは製品化することができる。

 本発明において、所望のIGF-1分泌促進効 を得るためには、本発明による有効成分を 有効成分であるポリフェノール量換算で、 人一人の体重1kg当たり、1日に0.5~300mg投与も くは摂取することが望ましく、好ましくは 投与量もしくは摂取量は2~200mgであり、より 好ましくは5~100mgである。本発明においては この量の有効成分を1日1回ないし数回に分け て、促進剤そのままの形態で、または、医薬 、飲食品等の所望の形態とした上で、投与も しくは摂取すればよい。

 本発明によるIGF-1分泌促進剤は、それ単 でも使用することができるが、医薬、飲食 などの種々の組成物に添加剤として含有さ ることができ、IGF-1分泌促進効果を有する組 成物を得ることができる。

 本発明によるIGF-1分泌促進剤は、天然の 物由来とすることができるため、飲食品と て用いることができる。よって本発明の別 態様によれば、本発明によるインスリン様 長因子-1分泌促進剤を含んでなる飲食品が提 供される。

 本発明において、「飲食品」は、医薬以 のものであって、哺乳動物が経口摂取可能 形態のものであれば特に制限はなく、その 態も液状物(溶液、懸濁液、乳濁液など)、 液体状物、粉末、または固体成形物のいず のものであってもよい。このため飲食品は 例えば飲料の形態であってもよく、また、 プリメントのような栄養補助食品の錠剤形 であってもよい。

 好ましくは、該飲食品は、インスリン様成 因子-1分泌促進剤の有効成分を有効量含ん なる。
 ここで、「有効成分を有効量含んでなる」 は、個々の飲食品を通常喫食される量摂取 た結果、有効成分としての効果を発揮しう ような量で有効成分を含有することをいう 本発明による飲食品には、本発明による有 成分をそのまままたは上記のような促進剤 形態で、飲食品に配合してもよい。また、 発明による飲食品は、本発明による有効成 に安定剤等の慣用の添加成分を加えて飲食 として調製したもの、各種タンパク質、糖 、脂肪、微量元素、ビタミン類等を、それ にさらに配合して調製したもの、液状、半 体状若しくは固体状にしたもの、ペースト にしたもの、または、一般の飲食品へ有効 分を添加したものであってもよい。

 本発明による飲食品としては、チョコレ トやココアのようにカカオ豆を主原料とす 飲食品はもちろんのこと、パン、ビスケッ 、麺類をはじめとする澱粉系食品、あるい キャンデー、飲料、ヨーグルトなど広範な 食品に用いることができる。使用態様とし は各飲食品の特性、目的に応じ、適当な製 工程で適宜添加すればよく、例えば、チョ レート、キャンデー、パン、ココア飲料、 ッキー等の飲食品には重量割合で約0.01%~20% 加するのが、これらの飲食品の味や物性を かす上で好ましい。

 本発明において「飲食品」には、健康食 、機能性食品、特定保健用食品、栄養補助 品、疾病リスク低減表示が付された食品、 病リスク低減しうる食品、または、病者用 品のような分類のものも包含される。さら 「飲食品」という用語は、ヒト以外の哺乳 物を対象として使用される場合には、飼料 含む意味でここで用いてもよい。ここでい 特定保健用食品とは、体内におけるIGF-1を 加させること等を目的として食品の製造ま は販売等を行う場合に、保健上の観点から 各国(例えば我が国)において法上の何らかの 制限を受けることがある食品をいう。このよ うな食品は、食品が疾病リスクを低減する可 能性があること表示した食品、すなわち、疾 病リスク低減表示を付した食品であることも できる。ここで、疾病リスク低減表示とは、 疾病リスクを低減する可能性のある食品の表 示であって、FAO/WHO合同食品規格委員会(コー ックス委員会)の定める規格に基づいて、ま たはその規格を参考にして、定められた表示 または認められた表示であることができる。

 本発明の飲食品においては、前記有効成 に加えて、他の機能を有する成分をさらに 加してもよい。また例えば、日常生活で摂 する食品、健康食品、機能性食品、サプリ ント(例えば、カルシウム、マグネシウム等 のミネラル類、ビタミンK等のビタミン類を1 以上含有する食品)に本発明の有効成分を配 合することにより、本発明による効果に加え て、他の成分に基づく機能を併せ持つ飲食品 を提供することができる。

 なお本明細書において、「約」および「 度」を用いた値の表現は、その値を設定す ことによる目的を達成する上で、当業者で れば許容することができる値の変動を含む 味である。

 以下の例に基づいて本発明を具体的に説 するが、本発明はこれらの例に限定される のではない。

測定法法
 ・ ポリフェノール総量の定量方法
 ポリフェノール総量は、プルシアンブルー により測定した。具体的には、Martin L. Pric e and Larry G. Butler, J. Agric Food Chem., Vol. 2 5 No.6, 1268-1273,1977に記載の方法に従い、市販 のエピカテキンを標準物質として算出した値 を用いた。

 ・ ポリフェノールの個別成分の定量 方法
 ポリフェノールにおける個別成分の定量は 下記条件の逆相HPLCを行なうことによって求 めた。
 (逆相HPLC条件)
 ・分離用カラム: Deverosil ODS HG-5(野村化学 式会社製、φ4.6mm×250mm、粒子径5μm)
 ・溶離液: 下記の2液によるグラジェント:
      A)0.1%トリフルオロ酢酸水溶液と、
      B)0.1%トリフルオロ酢酸アセトニトリ ル溶液
 ・グラジェント条件: 0分:A90%、5分:A90%、35 :A75%、40分:A0%、45分:A0%(溶離液の組成変化は ニアグラジェント)。
 ・溶離液の流速: 0.8ml/min
 ・検出: UV280nm
 ・標準物質: エピカテキン

実施例1
 ココアパウダーHPA12(明治製菓株式会社製、 分12重量%)250Kgを、50%エタノール水溶液1250Kg 、攪拌しながらゆっくりと添加した。温度 50℃にまで上げ30分間引き続き攪拌して抽出 を行った。デカンターで分離後、さらに3000G 遠心分離を行い、エキスとスラッジに分離 た。

 エキスの収量は1003.6Kgであった。さらにエ スをウルトラフィルターHタイプ(ミウラ化学 装置株式会社製)で精密ろ過し、清澄ろ過液98 2.8Kgを得た。続いて、エキスにデキストリン4 .4Kgを加えてよく攪拌した後、エバポレータ で濃縮をおこない、一次濃縮液234Kgを得た。 アルコールが若干残存していたため、水を240 Kg加えて再度よく攪拌した後、再度エバポレ ターで濃縮した。濃縮液は235.4Kgであった。
 この濃縮液を加熱殺菌処理後、スプレード イを行い、粉末39.2kgを得た。得られた粉末 、以下カカオポリフェノール濃縮粉末と呼 。

 カカオポリフェノール濃縮粉末の分析結 は表1に示されるとおりであった。

実施例2
 ココアパウダーHPA12(明治製菓株式会社製、 分12重量%)1.0kgにn-ヘキサン5Lを加え、脱脂し た。脱脂カカオ775gに70%アセトン6Lを加え抽出 した。次にエバポレーターで抽出液中のアセ トンを除いた。続いて抽出液に9倍量の水飽 ブタノールを加え攪拌した後、静置しブタ ール層を回収し濃縮した。
 濃縮液を合成吸着剤(ダイヤオン(商標) HP2MG )(三菱化学株式会社製、15cm×内径10cm)に吸着 せた。吸着後、15%エタノール溶出で不要成 を除き、次いで80%エタノール水溶液で溶出 、その80%エタノール画分を濃縮してカカオ ロシアニジン画分(CLPr)を得た。
 このサンプルを、前記方法に従って分析し 結果、プロシアニジンB2(3.9%)、プロシアニ ンB5(1.3%)、プロシアニジンC1(2.6%)、シンナム ンニンA2(3.2%)が含まれていた。

実施例3
(成分の精製・単離)
 実施例2で得られたカカオプロシアニジン画 分(CLPr)284mgを、メタノール2.84mlに溶解し、LC-S iカラム(Supelcosil、25cm×φ20mm、粒子径5μm)(スペ ルコ社製)で分離した。
 溶離液は、A)n-ヘキサン:メタノール:酢酸エ ル=8:3:1と、B)n-ヘキサン:メタノール:酢酸エ ル=2:3:1の2液のグラジェントで溶出した。グ ラジェント条件は、0分A100%、20分A100%、50分A0% であった(溶離液の組成変化はリニアグラジ ント)。溶離液の流速は20ml/min、検出は、UV280 nmで行った。

 結果は、図1に示される通りであった。

 図1に示すようにプロシアニジン類が分子量 毎に溶出され、それぞれピーク2から23.1mg、 ーク3から23.3mg、ピーク4から24.3mgのIGF-1分泌 進剤が得られた。
 ピーク2から得られたIGF-1分泌促進剤23.1mgを5 0%メタノール2.31mlに溶解して、次の条件で、 ロシアニジンB2ならびにプロシアニジンB5の 精製・単離を行った。

 (精製・単離の条件)
 ・分離用カラム: Deverosil ODS HG-5(野村化学 式会社製、φ4.6mm×250mm、粒子径5μm)
 ・溶離液: 下記の2液によるグラジェント:
      A)0.1%トリフルオロ酢酸水溶液と、
      B)0.1%トリフルオロ酢酸アセトニトリ ル溶液
 ・グラジェント条件: 0分:A90%、5分:A90%、35 :A75%、40分:A0%、45分:A0%(溶離液の組成変化は ニアグラジェント)。
 ・溶離液の流速: 0.8ml/min
 ・検出: UV280nm
 ・標準物質: エピカテキン

 同様にして、ピーク3から得られたIGF-1分 促進剤からプロシアニジンC1を、ピーク4か 得られたIGF-1分泌促進剤からシンナムタン ンA2を、それぞれ精製・単離した。

実施例4: 製造例(チョコレート)
 以下の配合のミルクチョコレートを定法に って製造した。本チョコレートは50gあたり ロシアニジン類を112.9mg含むミルクチョコレ ートであった。

実施例5: 製造例(錠菓)
 以下の配合の錠菓を定法に従って製造した 本品は20gあたりプロシアニジン類を27.7mg含 錠菓であった。

実施例6: 製造例(ゼリードリンク)
 以下の配合のゼリードリンクを定法に従っ 製造した。本品は100gあたりプロシアニジン 類を42.6mg含むゼリードリンクであった。

実施例7: 製造例(チューイングガ )
 以下の配合のチューイングガムを定法に従 て製造した。本品は10gあたりプロシアニジ 類を14.9mg含むチューイングガムであった。

実施例8: 製造例(飲料)
 以下の配合の飲料を定法に従って製造した 本品は100gあたりプロシアニジン類を12.8mg含 む飲料であった。

実施例9: 製造例(ハードキャンデ )
 以下の配合のハードキャンデーを定法に従 て製造した。本品は20gあたりプロシアニジ 類を12.8mg含むハードキャンデーであった。

実施例10: 製造例(調整ココア)
 以下の配合の調整ココアを定法に従って製 した。本品は30gあたりプロシアニジン類を3 2.0mg含む調整ココアであった。

評価試験
試験例1: プロシアニジン類によ CGRP放出作用の確認
 6~8週齢のC57BL/6マウス(雄)(日本クレア株式会 社より入手可)からマウス脊髄後根神経節細 (DRG)を採取し、以下の条件で7日間培養した

(培養条件)
 ・培養液: 下記成分を含有するD-MEM/F12培養 (インビトロジェン株式会社製)
   <培養液の成分組成>
    10% ウシ胎児血清
    10 U/ml ペニシリン
    0.1 mg/ml ストレプトマイシン
    0.25 μg/ml アンフォテリシンB
    10 ng/ml 神経成長因子(シグマ社製)
 ・培養環境: 37℃のCO2インキュベーター内 培養した。

(作用確認方法)
 培養上清中に、実施例3によって得られたプ ロシアニジンB2(procyanidin B2)、プロシアニジ B5(procyanidin B5)、プロシアニジンC1(procyanidin  C1)、およびシンナムタンニンA2(cinnamtannin A2) 、それぞれ1または10μM加えて、30分後に培 上清を採取し、それに含まれるカルシトニ 遺伝子関連ペプチド(CGRP)濃度を測定した。 れによって、CGRP放出に対する効果を検討し 。
 CGRP濃度は、ELISAキット(SPI-BIO, Massey Cedex, F rance)を用いて測定した。陽性コントロールと して、カプサイシン(capsaicin)を用いた。

 結果は、図2に示される通りであった。

 結果から、プロシアニジンB2、プロシア ジンB5、プロシアニジンC1、シンナムタンニ A2をそれぞれ添加したいずれのケースにお ても、CGRP放出が見られた。中でもシンナム ンニンA2は、陽性コントロールであるカプ イシンと同等の結果が得られた。

試験例2: カカオポリフェノール IGF-1分泌作用の確認
 カカオポリフェノール(実施例2のCLPr)0.5%含 粉餌(組成は下記のとおり)をマウスに4週間 与して、全身の臓器を採取した。得られた 器を、1Nの酢酸溶液につけてホモジネートし 、遠心分離後上清中のIGF-1濃度をenzyme immunoas say(EIA) kit(Diagnostic Systems Laboratories Inc., Webs ter, TX)を用いて測定した。
 また、腹部大動脈から採血し血漿中のIGF-1 度も測定した。

 結果は図3に示される通りであった。
 結果に示されるように、0.5%カカオポリフェ ノール含有粉餌の投与によって、各臓器およ び血液中のIGF-1濃度が増加した。

 <0.5%カカオポリフェノール含有粉餌配合&g t;
 粉餌(CLEA Rod ent Diet CE-2;日本クレア株式会 社製) 99.5重量%
 カカオポリフェノール(実施例2のCLPr)          0.5重量%

試験例3: カカオポリフェノール 取の空間認知機能への影響
 試験例2と同様にして0.5%カカオポリフェノ ル含有粉餌を投与したマウスを用いて、モ リス水迷路試験を行った。
 具体的には、直径120cmのプールに、直径10cm 高さ11cmの透明なアクリル板のプラットホー ムを設置し、その1cm上まで水を満たし、プラ ットホームを隠した。1日1回、固定したスタ ト地点からプラットホームに到着するまで 時間を計測し、これを5日間繰り返した。比 較としてCGRPの放出能を欠損したマウス(Neuroph armacology; Haradaら、52(2007) 1303-1311の方法に従 て作成)を用いた場合も実施した。

 結果は図4に示される通りであった。

 0.5%カカオポリフェノール含有粉餌をマウ スに投与することによって、スタート地点か らプラットホームに到着するまでの所要時間 は有意に減少した。一方、CGRP放出能欠損マ スの実験では0.5%カカオポリフェノール含有 餌の投与による効果はみられなかった。こ ことから、0.5%カカオポリフェノール含有粉 餌の投与による効果は、CGRPを介する作用で ることが確認された。