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Title:
PROMOTION OF METHANE HYDRATE DECOMPOSITION AND METHANE GAS COLLECTING SYSTEM
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/016948
Kind Code:
A1
Abstract:
A collection technology that in the collection of methane gas from a methane hydrate layer, would achieve improvement in economical efficiency and technical hardship without relying upon fuel consumption as a heat source. Hot water is pumped up from an underground aquifer (300) lying 1000 to 1500 m under the seabed (500) by means of a pump (31), and the geothermal energy thereof is caused to flow through a water-permeable layer (104) under a methane hydrate layer (100). Accordingly, a decomposition boundary surface (105) of undecomposed zone (101) of the methane hydrate layer (100) is decomposed to thereby produce methane gas. The methane gas passes through peripheral zones (102,103) and a gas inlet screen (12) and is introduced in a production well (20). The methane gas goes up and is recovered on the sea.

Inventors:
NAKAMURA MASAHIRO (JP)
GOTO SABURO (JP)
NOZAWA TAKEYOSHI (JP)
ISHIDA KOZO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/062680
Publication Date:
February 05, 2009
Filing Date:
July 14, 2008
Export Citation:
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Assignee:
JAPAN DRILLING CO LTD (JP)
JAPAN OIL GAS & METALS JOGMEC (JP)
NAKAMURA MASAHIRO (JP)
GOTO SABURO (JP)
NOZAWA TAKEYOSHI (JP)
ISHIDA KOZO (JP)
International Classes:
E21B43/00; C10L3/06; E21C50/00
Domestic Patent References:
WO2006002325A22006-01-05
Foreign References:
JP2005213824A2005-08-11
JPH09158662A1997-06-17
JPH02236391A1990-09-19
Attorney, Agent or Firm:
KOSUGI, Yoshio et al. (3-3 Nishi-shimbashi 3-chome, Minato-k, Tokyo 03, JP)
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Claims:
 下記(a)~(d)からなることを特徴とするメタンハイドレートの分解促進およびメタンガス採取システム。
 (a)深部帯水層から熱媒体を汲み上げる加熱井
 (b)メタンガスを採取する生産井
 (c)熱交換を終えた熱媒体を深部帯水層に還流する還流井
 (d)メタンハイドレートの分解境界面に熱媒体を供給する手段
 前記生産井にメタンハイドレート層の圧力を減圧する手段を付加したことを特徴とする請求項1記載のメタンハイドレートの分解促進およびメタンガス採取システム。
 前記加熱井は前記生産井の下端を深部帯水層まで延設した坑井とし、深部帯水層から地熱エネルギー(熱媒体)を汲み上げる坑井であることを特徴とする請求項2記載のメタンハイドレートの分解促進およびメタンガス採取システム。
 前記還流井は前記生産井の下端を深部帯水層まで延設した坑井とし、熱交換を終えた熱媒体を深部帯水層に還流する坑井であることを特徴とする請求項2記載のメタンハイドレートの分解促進およびメタンガス採取システム。
Description:
メタンハイドレートの分解促進 よびメタンガス採取システム

 本発明はメタンハイドレートの採取シス ムに関する。

 最近の研究・調査結果から、日本の周辺 域には国内ガス消費量の100年分にも及ぶメ ンハイドレートが賦存する可能性があると 告されている。メタンハイドレートは深海 海底下に豊富に存在し、メタンおよび水が い圧力と低温状態で固体化して賦存する潜 資源である。

 現在の技術では生産性が低いため経済的 採取することが難しい。しかし、安価な生 手法の開発と生産挙動の最適化実現を前提 して、将来のエネルギー源としての活路を 出すことが期待されている。

 メタンハイドレートからメタンガスを採 する手段として、これまで減圧法と加熱法 提案され、また基本概念として双方を組合 た併用法も検討されている。

 減圧法はメタンハイドレート層の圧力を 圧し、メタンハイドレートが分解領域にな ように保ち、分解したメタンガスを採取す 技術である。(例えば特許文献1参照。)この 術は地層を減圧する手段とメタンガスを回 する手段から構成される。減圧法は人工的 熱源を必要としないため燃料を消費しない (地層間の自然伝熱は活用する。)また加熱 ための坑井も必要としないため、掘削費を 幅に削減することができる。しかし、単純 圧法の技術ではメタンハイドレートの気化 必要な潜熱の供給速度が遅いこと、出砂・ 水が大きいこと、生産流体の再ハイドレー 化や氷結リスクが存在すること、生産挙動 化が大きく生産設備の利用効率が劣ること 、商業化を実現する上で障害となる特徴が 多く存在する。

 また研究されている一般的な加熱法は海底 のメタンハイドレート層に熱水を圧入し、 タンハイドレートを分解してメタンガスを 取する方法である。(例えば特許文献2参照 )
 この技術は例えばプラットフォーム上に熱 製造装置を備えて海水を加熱し、圧入井を じて熱エネルギーをメタンハイドレート層 圧入する。しかしながら熱水製造の目的で 量の燃料を消費し、また圧入井を通じてメ ンハイドレート層に熱エネルギーを配給す ために多額の開発投資が必要になる。

 現時点で最も期待されているメタンガス 取方法は単純減圧法であるが、この手法に 以下のような解決すべき課題が存在する。

 (イ)減圧度の強化が唯一の生産促進手段 あり、強力な減圧が絶対要件になる。この め、海底面の沈下・亀裂・ガス漏洩のリス がある。

 (ロ)強減圧に伴う出砂・出水リスクが高 ため開発システム全体の経済的負荷が大き 。

 (ハ)潜熱の供給が不足するため、生産性 急激な低下や地質および生産流路の再ハイ レート化あるいは氷結といった深刻な生産 害の恐れがある。

 (ニ)強減圧条件下で過度に水を吸引する とによって、水処理コストが上昇し、且つ タンハイドレート層の圧密が促進され地層 浸透率が低下する。

 (ホ)生産挙動曲線の形状が悪く、メタン イドレート開発の過半を占めるサブシーコ トの膨張が不可避になる。

 (ヘ)減圧法特有の生産挙動曲線では回収率 改善が困難になる。

特開2006-45128号公報

特開2005-21324号公報

 メタンハイドレート開発の最大の課題は 済性の低さにある。経済性に関わる最大の 度因子は生産性とみられるが、現時点で有 な生産手法とされる単純減圧法では生産性 大幅な改善が困難である。

 減圧法において生産性の改善を妨げる主 な原因は潜熱供給能力の不足にある。相平 曲線における圧力と温度の関係から減圧法 のみ依存する手法では潜熱供給速度が遅い め、メタンハイドレート層の地層温度は低 する。このことから生産性の急激な低下と 産流体の再ハイドレート化や流路の氷結リ クが避けられない。

 一方、熱水圧入式の加熱法は大量の燃料 必要とすることと温水をメタンハイドレー 層に圧入する技術的困難性やコスト高の問 がある。

 本発明は上述した減圧法と加熱法の弱点 解消し、メタンハイドレート開発における 済的および技術的困難を克服しようとする のである。即ち、減圧法の特徴である高レ ルの出砂・出水を抑制し、生産性を平準化 、生産流路の再ハイドレート化や氷結を予 する等によって開発費を圧縮し、一方では 水圧入式の加熱法の特徴である多量の燃料 費を解消することによって経済性の大幅な 上を獲得しようとするものである。

 本発明では減圧法に起因する障害の多く 取り除くことができる。また無尽蔵の地熱 ネルギーを安価なコストで利用することが きる。

 本発明は、上記の障害や問題点を解決す ためになされるもので、下記(a)~(d)からなる ことを特徴とするメタンガスの採取システム である。

 (a)深部帯水層から熱媒体を汲み上げる加熱
 この加熱井は海底から下方に1,000~1,500m程度 り下げられ、深部帯水層の地熱により温度 昇した熱媒体、例えば温水または熱水を汲 上げることによって地熱エネルギーを採取 、これをメタンハイドレート層に供給する 井である。

 (b)メタンガスを採取する生産井
 この生産井は地熱エネルギーの供給を受け メタンハイドレートの分解によって生成し メタンガスを採取するものであり、坑内へ 砂の侵入を防止するために良質のスクリー をメタンハイドレート層上部の位置に装備 る。

 (c)熱交換を終えた熱媒体を深部帯水層に還 する還流井
 この還流井も加熱井と同様、海底から下方 1,000~1,500m程度掘り下げられる。その目的は 解境界面付近で熱交換を終えて冷やされた を採取し、これを深部帯水層に還流させる とにある。

 (d)メタンハイドレートの分解境界面に熱媒 を供給する手段
 この手段は上記温水または熱水などの熱媒 を深部帯水層から採取してその地熱エネル ーをメタンハイドレート層に供給する手段 あって、例えばポンプ装置、流量調整装置 からなり、各種計測器や制御装置を備える

 以上の本発明のメタンガス採取システム おいて、生産井に減圧法を併用すると生産 が促進される。減圧手段はセパレータ(ガス ・水・砂の分離装置)やブースタポンプ(減圧 促進するための装置)等の海底生産システム からなる。単純減圧法との比較では、熱エネ ルギーの供給速度が速まるため、減圧度を緩 和することができる。

 前記加熱井は前記生産井の下端を深部帯 層まで延設した坑井としてもよい。

 また前記還流井は前記生産井の下端を深 帯水層まで延設した坑井としてもよい。こ らによって坑井数が半減し、総開発費が著 く圧縮される。

 本発明は熱源として無尽蔵に存在する地 の地熱を利用する。このため、本発明では 別の燃料等を必要とすることなく、長期安 的にメタンハイドレート層に地熱エネルギ が供給される。十分な熱量を供給によって タンハイドレート分解境界面の拡大と分解 進を実現することができる。

 熱水圧入式の加熱法と比較すれば、本発 は熱水製造装置や膨大な燃料費が不要とな ばかりでなく洋上のプラットフォームから 坑井までの加熱ラインも不要になる。この め本発明はプラットフォームにおける熱水 造と坑井までの輸送に関わる多額の設備費 担から開放される。

 また本発明は減圧法と加熱法の部分的に 利な機能を併用し、且つ2系統の生産制御手 段を確保するようにする場合には、メタンハ イドレート下面の分解境界面で効果的に熱交 換を行い、広域で同時に分解を促進すること が可能となる。したがって生産挙動曲線の平 準化、回収率の向上、平均日産量の改善を図 ることができる。これらはいずれも経済性を 救済する効果が高い。

 この場合、加熱によってメタンハイドレ トの分解が促進されるため、併用する減圧 の減圧度を低減することが可能になる。

 減圧度の低減によって水の地層内残存率 高めるため、水処理コストが減少する。ま 地層の圧密現象も緩和され、浸透率の悪化 抑えることができる。出砂・出水は減圧度 関数であるが、減圧度の緩和によって出砂 出水に起因する生産装置への負荷を軽減し サブシーシステムの設計仕様を大幅に縮小 ることが可能となる。このため、施設建設 の著しい削減が期待できる。

 本発明では、深部帯水層から得た地熱エ ルギーをメタンハイドレート層に長期間連 的に供給することによってメタンハイドレ ト層、坑底および生産システムを通過する 産流体の温度低下を抑えることができ、再 イドレート化および氷結対策費の軽減も可 になる。

本発明の実施例のメタンガス生産シス ムの概念図である。 地層・流体温度条件の例を模式的に示 グラフである。 深度と地層温度との関係を示すグラフ ある。 加熱坑井と還流井との間の温水の循環 路を示す模式的平面図である。 相平衡曲線の関係を示すグラフである 実施例の相平衡曲腺の関係を示すグラ である。 日産量の経年変化を示すグラフである 層厚と生産性の関係を示すグラフであ 。

 水深1,000m、海底温度4℃、地温勾配を3~4℃ /100mとすれば、海底下1,000mの地温は34~44℃と 想される。ライザーレスによる掘削作業の 度限界は海底面下1,500m前後である。この付 までは通常地層圧が低いためライザーレス 低圧ローテーティングBOP使用が可能と考え れる。これ以深に掘り込む場合は安全対策 の理由から本格的なBOPとライザーが必要に るため、掘削コストは急激に上昇する。経 的に利用できる深部帯水層の限界深度は海 面下1,500m程度である。

 したがって利用すべき深部帯水層につい は海底面下1,000m~1,500mの範囲で比較検討を行 い、最も地熱エネルギー供給能力の高い砂層 を選択する。深度によって掘削費は変化する が、地温勾配と掘削費の深度勾配が相殺する ため、この間では経済性に与える差は僅かで ある。

 また深部帯水層の層厚は厚いほど熱媒体 流量確保が容易になり、熱量供給量も増大 る。利用できる熱媒体の水がめは基本的に きいことが望ましい。

 本発明は、このような深部帯水層の温水 加熱井に装着したポンプによって汲み上げ メタンハイドレート層下部の分解境界面付 に供給する。ポンプは安価な単相式ダウン ールポンプが利用できる。

 メタンハイドレート層の初期浸透率は低 が、固体のメタンハイドレート構造が消滅 た後は高浸透性になる。このため、メタン イドレート層の下部が分解条件域に達した の砂層を熱交換流路として活用すれば熱媒 を流動させる動力は軽減される。メタンハ ドレート層の下端は本来分解境界線の条件 にある。

 浸透率が絶対浸透率の水準まで改善され いなければ、減圧法により分解境界面のメ ンハイドレート分解を先行する。境界面の 解が始まり、浸透率が絶対浸透率の水準ま 変化すれば熱交換流路を確立することがで る。

 メタンハイドレート層下部の分解境界面 近に浸透性の高い砂層が存在することは、 証実験等によって予見されており、主な不 実性は断層と流動抵抗の不均一性にある。

 基礎試錐や在来型石油ガス開発に関わる 礎的知見によれば、メタンハイドレート層 部の分解境界面付近の絶対浸透率は水平方 で200md~1dとされる。泥層の絶対浸透率は数μ d~0.7mdである。メタンハイドレート層は砂泥 層であることが予想され、水は上層へ向っ 流れ難い。

 設定した圧力の範囲で熱媒体を循環させ ことが難しければ、固体のメタンハイドレ ト構造が完全に消滅し、境界面付近の透水 が確保されてからホンプを起動する。その めポンプにはデファレンシャルプレッシャ スイッチを装着するとよい。

 水深1,000mの場合を例にとると、減圧法を いれば海底面下300m付近のメタンハイドレー ト濃集層の温度は14℃前後で、減圧しなくて 凡そ16℃で分解領域に入る。熱交換を終え 熱媒体は還流井に装着したポンプによって 部砂層に還流させる。これによりメタンハ ドレート層に水のアキュムレーションを生 ることが回避され、潜在的なトラブル因子 ある地層の圧力上昇は回避される。

 加熱井と還流井の構造は後述のように単 化する。坑内に配管は設けない。挿入する 置類は、回収および修理がワイヤーライン 用いた一回の昇降作業(ワントリップ)で可 な構造とする。これによって高価な掘削リ の代わりにワークボートでの改修作業を実 する。

 メタンハイドレート層は分解によりフリ のメタンガスと水を生成する。最初はイマ ジョンが大勢を占めるが地質の不均質性、 イクロフラクチャー、小断層等の介在によ て時間経過と共に重力支配が促進される。 や砂を産出すると生産コストを著しく上昇 せるので、これを避けるために減圧法の減 度を抑制し、地層内および坑底におけるガ と水の重力分離を促進させることが効果的 ある。

 強減圧の条件下でガスのみを選択的に生 することは困難であるが、減圧度を弱める とによって、生産流体のガス水比は明らか 改善される。このため、出砂・出水量の大 な抑制を期待することができる。出砂・出 量の削減はサブシーコストを中心とする開 コストの圧縮に非常に効果がある。

 また分解境界面へ直接深部の地熱エネル ーを供給することによって分解境界面の拡 が早められ、生産性が時間的に平準化され 回収率の改善が可能となる。更に生産流体 温度が上昇するのでメタンハイドレート層 流路のハイドレート化あるいは氷結リスク 軽減される。

 一方、メタンハイドレートの分解によっ メタンハイドレート層の層圧が幾分高まる 予想される。熱水を圧入する加熱法では圧 水がメタンハイドレート層内に蓄積される め地層圧を更に著しく上昇させてしまう。 のためシール層の損傷リスクが増大する。 た減圧効果を阻害する。その上、生産水の が増大し、経済性を圧迫することになる。

 本発明のシステムは熱媒体の地層内循環 図り、メタンハイドレート下部の砂層を熱 換流路として利用するためシール層を損な リスクを最小化できる。

 分解ガスの流動には様々な条件が影響を えるが、生産流体のガス水比や水砂比を低 することは経済性の改善に直結する。それ 目的に生産ガス用のスクリーンはメタンハ ドレート層の上部に配置し、熱媒体の循環 ートは下部に配置する。生産コストの改善 実現する上で、ガスと水の分離が不十分な 間層(イマルジョン)の生産は好ましくない このため、メタンガスのインレットと熱媒 の循環ポートの位置は可能な範囲で上下に し、更に減圧度の抑制を図る。

 加熱と減圧の併用によるメタンハイドレ ト分解率の改善によって、生産井の平均日 量の増大と回収率の向上を実現することが きる。また生産性の平準化と出砂・出水量 軽減は生産システムの設計仕様の簡略化を 能にし、施設建設費を圧縮する上で極めて 果的である。本発明はこれらの相乗効果に り経済性の大幅な改善を期待することがで る。

 以下、本発明の実施の形態を図面に基づ て説明する。

 図1は本発明のメタンハイドレート開発に おけるメタンガス生産システムの概念図を示 している。メタンハイドレート層の頂部500の 下方にメタンハイドレート層100、メタンハイ ドレート不飽和層200、深部帯水層300が存在す る。

 図1の向かって右の坑井10は生産井20と加 井30とを上下に統合した坑井である。この坑 井は、メタンハイドレート層100の下方に存在 するメタンハイドレート不飽和層200を貫通し 、下方の深部帯水層300から熱媒体を汲み上げ る。生産井20と加熱井30を上下に統合するこ によって掘削費の膨張を防いでいる。この 井10は必要な部分の地層間隙にセメント注入 部11を形成し、安定化を図っている。

 生産井20は上部にガスインレットスクリ ン12を、中間にパッカー13を設置している。 スインレットスクリーン12はメタンハイド ート層100の上部に配置し、ドローダウンを 保してメタンハイドレート層100内の分解ガ を取り込み、坑井10内を上昇させて海上で回 収する。パッカー13は生産ガスと熱媒体の流 を隔離する。

 加熱井30は深部帯水層300から熱媒体を汲 上げ、メタンハイドレート層100の分解境界 105に連続的に供給する。このため加熱井30内 に汲み上げ用ポンプ31等を備えている。

 メタンハイドレート層内の未分解領域(固 相)101は、加熱により坑井の周辺部102、103か 順次分解が進み、メタンガスと水の分解相 なる。ここで重力によって徐々に水や砂が 離減少しメタンガスが主体となった生産流 は生産井の上部に設けられたガスインレッ スクリーンを通ってガスの回収ラインに導 される。

 地層内の熱媒体の流動は地層圧、地層勾 、温度、ドローダウン、重力、浸透率等に 配されるが、メタンハイドレート層の下部 透水層104中を矢印34で示すように流れ、未 解領域(固相)101の下方にあるメタンハイドレ ート分解境界面105を直接加熱する。

 図1の向かって左側に示す坑井10は上部に 産井20、その下部に還流井40を備えている。 生産井20の構造や機能は上述と同様である。 流井40は、メタンハイドレート層100の下端 ら深部帯水層300に到達するように設けられ メタンハイドレート分解境界面105付近を通 する過程で熱交換を終えた熱媒体を深部帯 層300に還流させる。ポンプ41の作動によって 、例えば還流井40の下端付近の地層圧は3MPa程 度上昇する。このため深部帯水層300に圧力勾 配が生じ、水は矢印33の方向に流動する。冷 された熱媒体は深部帯水層300を流動中に十 な地熱エネルギーを吸収し、再び元の地温 くまで温度が上昇する。

 深部帯水層300の流体圧力はほぼ固有の地 圧条件下にある。その後、ドローダウンの 生によって熱媒体は熱エネルギーを蓄えな ら加熱井30のサンプ35内に流入する。サンプ 35に貯められた熱媒体は上述のポンプ31によ て汲み上げられメタンハイドレート分解境 面105付近のポート36から吐出する。

 メタンハイドレート層下部の分解境界面1 05付近に吐出した熱媒体は、高い絶対浸透率 砂層104を通って流れる。この熱媒体はポン 31の昇圧力を主な動力源として矢印34で示す ように流動する。ポンプ31、41の昇圧力は条 に応じて異なるが例えば3MPa程度と予想され 。

 メタンハイドレート層100の下部の砂層104 流れる途中で熱媒体とメタンハイドレート の間で熱交換が行なわれる。熱エネルギー 放出した熱媒体は還流井40のポンプ41に吸引 される。したがってポンプ31、41間には6MPa程 のドローダウンを確保することができる。 ンプ31、41によって形成されるドローダウン を主要な動力として熱媒体の深部帯水層300と メタンハイドレート層100の間の循環が長期的 に継続される。

 本発明の上記実施例のメタンガス回収シ テムでは熱媒体を地中で循環させる循環ル プを基本とするため、メタンハイドレート 100と深部帯水層300との間の圧力差は拡大し い。

 熱水圧入式の加熱法のような強制的な温 圧入を行わないため、地層水のアキュムレ ションが回避できる。このため地層の圧力 昇を引き起こすリスクが小さく、シールが なわれる危険性は軽減される。これによっ 安全性が向上すると同時に海底面の沈下や ンパクション対策費の軽減が可能になる。

 本発明のメタンガス回収システムは概念 に減圧と加熱の併用が可能である。これに って従来の単独減圧法に比べて減圧度の軽 が可能となるため、出砂・出水リスクが減 する。メタンハイドレート未分解領域101は タンハイドレートの分解によって縮小する しかし、減圧による分解境界面の進行は未 解領域101の中央付近では進みにくい。分解 の進行が先行する部分は未分解領域101の上 と下方の周囲の領域102、103付近となる。上 部の領域102は潜熱の供給量が小さいため分 速度は遅い。

 従来の減圧法においてはメタンハイドレ ト分解促進に必要な潜熱供給能力が下部境 面105付近で不足する。本発明のメタンガス 収システムは、このような潜熱供給能力が 足する下部境界面105付近の砂層104に深部の 熱温水を人工的に循環し、地層間の高い温 差を利用して直接熱交換を行おうとするも である。

 図1の向かって右側の生産井20は左側の生 井20に比べ、減圧度を幾分弱めることによ てガス水比を低下させることが可能である またその坑井は地熱循環水の上流側に位置 るため熱エネルギーの供給量がより大きい 減圧度と熱交換の効果の大きさが相殺され ため、左右の坑井の生産性は近似すると解 される。

 本発明のメタンガス回収システムでは熱 体を地層内循環させることによって地熱エ ルギーを直接的にメタンハイドレートの分 境界面に供給しようとするものであり、そ 成否は多分に熱媒体の流量とその流動性に 存する。

 このためメタンハイドレートの分解に必 な熱媒体の循環量が確保できるか否かにつ て可能な範囲で検証を行なった。地質条件 均一と看做し、ダルシー則を適用した。

 円柱を用いた集油(集水)能力の計算式は 下を用いた。

 計算式:Q=2xPI()xkxhx100xδP/1.03323/μ/LN(r e /r w )
 ここで、PI():π、k:絶対浸透率=300mdrcy、h:レ バーの厚さ=17.6m、δP:差圧=3MPa、μ:粘性=1.00cp r e :レザバーラジアス=180m、r w :坑井ラジアス=17.8cmとした。この結果、ポン への集水能力は約1202m 3 /dと計算された。

 一方、特定した日産量を確保するために 要な熱量および流量の計算を行なった。

 その結果、坑井の生産性を4万m 3 /d、分解境界面付近における熱交換前と交換 の温度差を20℃、熱効率100%、加熱法への分 依存度を20%としたときに必要な熱媒体量は 254m 3 /day/wellと計算された。仮にシステム全体の熱 効率を30%と看做した場合、必要な熱媒体量は 約846m 3 /day/wellとなる。

 上述した計算および他の計算結果から生産 を維持するために必要な地熱エネルギーを 環することは十分に可能と解釈された。仮 坑井の生産性が4万m 3 /day以下であれば必要熱量は更に減少し、余 は増大する。

 加熱井に設置するポンプは透水性の良い 部帯水層が存在する限り、熱媒体量を確保 るための障害はない。熱源として複数の深 砂層を用いることも容易である。

 また最新のダウンホールポンプは熱媒体 地層内循環するために必要な昇圧力と吐出 を有し、いずれも100%前後の余力があると解 釈された。

 図2は深部地熱を利用した本発明のメタン ガス回収システムのメカニズムと地層・流体 温度条件の例を模式的に示したグラフである 。現段階では実証を行うことができないため 、このグラフは基礎的知見を基に作成したも のである。

 縦軸にメタンハイドレート層100、メタン イドレート不飽和層200、深部帯水層300の深 をとり、横軸に温度をとって、地温勾配線6 10、および本発明のメタンガス分解・回収シ テムの熱サイクル線図(601~608)を模式的に示 たものである。

 水深を1,000mとすると海底から深部帯水層3 00までの区間では地温勾配線610が予想される このため深部帯水層300付近では43℃程度の 温が期待される。(点601)深部帯水層から熱媒 体がポンプによって汲み上げられ、メタンハ イドレート層下部の分解境界面付近の砂層110 に吐き出されるプロセスは線602で示され、そ の終点603における熱媒体の温度は40℃程度と る。点603はメタンハイドレートの分解フロ ト付近に到達したときの熱媒体温度を示し おり、線604で示すように分解境界面付近を 過している間に温度が20℃程度まで低下し 熱媒体温度差20℃(40℃→20℃)程度の熱エネル ギーを放出し、終点605に至る。この20℃に降 した熱媒体は還流井に設置したポンプ等に って、線606のプロセスを経て深部帯水層に 流する。温度差20℃は絶対要件ではなく、 算上は30%の熱効率であっても分解に必要な 量を満たす。

 次いでこの熱媒体は深部帯水層300を流動 に線608で示すように地熱を吸収し、再び地 温度43℃(点601)程度まで回復する。地熱は場 所によって差がある。深部帯水層の300の厚さ が薄い場合、あるいは熱エネルギーを増量し たい場合にはやや深めの深部帯水層を利用す ることが好ましい。

 図2では模式的に熱媒体の一次元の流動を 示しているが、実際には放射状に流動するな ど2次元の流動になる。したがって熱交換の 間的変化は幾分複雑になる。

 曲線620は単純減圧法によって生産を継続 たとき地温変化を定性的に示したものであ 。潜熱供給速度が遅いため、分解に伴って 層温度は低下する。曲線630は本発明のメタ ガス回収システムによる生産中の地層流体 温度を予察したものであるが、分解に伴う 熱以上の地熱エネルギーをメタンハイドレ ト層に吸収させれば地温を幾分上昇させる とができる。生産性を左右する分解境界面 近の流体温度はポンプレートによって制御 能である。

 図3は南海沖で予想される深度と地層温度 の関係を示すグラフである。未だ調査が十分 とは言えず、場所によってはこれらの数値は 若干異なるが、広域での地温勾配は3℃~4℃/10 0mと推測される。

 深度と圧力の関係はほぼ直線状の関係に るとみられ、深度1,350m付近まで正常圧の地 条件下にあることを示している。

 南海沖ではロケーションによって差はあ ものの、水深1,000m付近では、1,100mまで泥層 その下にメタンハイドレート含有砂泥互層 存在し、メタンハイドレート濃集帯の下端 1,350m付近になると予想され、メタンハイド ート濃集層下端の地層温度は約14℃程度と られる。

 またメタンハイドレート平衡曲線からメ ンハイドレート濃集層下端の分解境界面温 は16℃程度と見られる。したがってメタン イドレート濃集層下端における地層温度と 界面温度の差は約2℃程度と推定される。こ ため燃料を用いることなく40℃程度の温水 供給し、分解境界面付近で効率的に熱交換 行なうことができれば極めて安価な併用法 成立すると解釈される。

 図3から40℃以上の温水は水深1,000mのとき、 底下1,000m以深の帯水層から比較的容易に確 できると解釈される。(海底温度4℃、地温 配4℃/100mの場合、海底下1,000mの帯水層の温 は計算上約44℃になる。)
 温水の強制圧入を継続すれば地層圧は高ま が、本発明の地層内循環方式を基本とする 産手段では高圧力の流体を強制注入する必 がないため、メタンハイドレート層におけ 圧力の蓄積を解消することができる。帯水 の浸透率が十分であれば、単相のダウンホ ルポンプによって緩やかな温水循環が期待 きる。

 図4は図1で示した加熱井30の頂部からメタ ンハイドレート層分解境界面付近を通って還 流井20の下底部に至る熱媒体の移動経路を模 的に平面図で示したものである。図4ではこ れらの坑井を平面的に均等に配置し、メタン ガスを回収するメタンハイドレート層の平面 積を便宜的に正方形で示している。熱媒体の 平面的な流動方向は坑井位置、温度勾配、異 方性、地層傾斜、地層の物理的圧力勾配、重 力、浸透率等に左右されるが、メタンハイド レート分解境界面付近の砂層に地熱エネルギ ーを伝達可能であればよい。これらの坑井を どのように配置しても、矢印で示すように熱 媒体は地層面に沿ってほぼ放射状に流動する と考えられる。

 図5は単純減圧法で予想されるメタンハイ ドレート層の深度・圧力・温度と相平衡曲線 の関係を示すグラフである。縦軸には深度を 対数目盛で示し、横軸に温度をとってメタン ハイドレートの相平衡曲線702を描いてある。

 曲線702の左下側の斜線を施した領域はメ ンハイドレートの固相域である。曲線702よ 右上側の領域はメタンガス領域であり、0℃ より低温側の領域ではメタンガスと水と氷の 混合領域、0℃より高温側の領域はメタンガ と水の混合領域である。尚、縦軸には深度 加え、圧力の目盛を付してある。

 例えば深度1,000mにおけるメタンハイドレ ト層の温度は14℃前後であり、3MPa程度まで 圧すると点710の状態となり、気体で回収す ことができるはずである。しかしながら潜 の供給速度が遅いため、良好な生産性を維 することができず温度降下を伴って点711に る。このため気化が妨げられ、生産性は著 く低下する。

 単純減圧法では初期の生産性が良好であ ものの時間の経過と共に潜熱供給量が低下 る。生産開始当初はメタンハイドレート上 およびメタンハイドレート層と互層をなす 層からも潜熱が供給されるものの、これら は再生産性がないため生産を継続する間に 熱不足が顕在化する。

 メタンハイドレート層の下部からの潜熱 給は生産を終えるまで維持されるが伝達速 が遅いため地層温度が低下し、分解境界面 温度圧力条件が相平衡曲線の境界線に近接 る。これによって生産性の急減は不可避と る。このため、生産挙動の形状が悪化し、 設の利用効率低下と建設費上昇の原因にな 。

 図6は本発明のメタンガス回収システムを 用いる場合の相平衡曲線に基づく挙動を示す グラフであり、図5と同様に目盛を設定して る。本発明ではポンプを利用して深部の地 エネルギーを採取し直接メタンハイドレー の分解境界面に供給することによって、7MPa 度までの減圧で生産を維持することができ 。十分な潜熱を連続的に供給することがで るため温度低下が起こらず、急激な生産性 低下を予防することができる。

 安定的な生産レベルの維持は地熱エネル ーの供給速度を調節することによって行な ことができ、減圧度を緩和することによっ ピーク生産量を抑制することができる。即 2系統の生産性調節手段を確保することによ って生産性の平準化を確立する。このため生 産施設の設計を著しく低減することが可能に なると同時に出産・出水量の削減を実現する 。

 図7は坑底圧一定の減圧法で予想される日 産量の経年変化801と深部地熱を利用した本生 産システムによって期待される日産量の経年 変化811を比較したものである。縦軸は坑井の 日産量、横軸は生産年数を示している。坑底 圧一定の単純減圧法では線801のように生産初 期には日産量が急増するが、坑底圧一定で強 減圧を続行しても急速に日産量が減少するこ ととなる。

 本発明のシステムでは減圧度を抑制する とによって生産ピークのレベルを低く抑え また熱量を制御しながら連続的に供給する とによって長期間の安定的な高原状(プラト ー)生産を維持することができる。

 即ち、減圧度の抑制と地熱エネルギーの 給量を制御することによって減圧法による 産挙動曲線を線811のように矯正することが きる。

 この例では減圧法の生産挙動曲線に依存 る装置の設計仕様線802は、本システムを採 することによって線812のように変化する。 の結果、サブシーシステムの設計仕様が削 され、一方で平均生産性は増加する。生産 動曲線801、811を入力した経済性モデルによ 自動計算結果では回収率も明らかに向上す 。

 このことは生産施設の建設費を大幅に圧 し、一方でガス販売収入を増やすことを意 しており、著しい経済効果が期待できる。

 図8は減圧法で予想されるメタンハイドレ ート層の層厚と生産性の関係、および生産性 の改善余地を示すグラフである。縦軸にメタ ンハイドレートの層厚をとり、横軸に坑井の 生産性を示した。曲線832は減圧法の生産性予 測値を示している。減圧法では潜熱の供給不 足が始まる厚さを超えると、層厚が厚くなっ ても生産性に寄与せず、未分解の領域割合の みが拡大する。即ち厚いメタンハイドレート に恵まれてもその利点を生産性改善に十分役 立てることができない。

 一方、深部地熱を利用した本発明のメタ ガス回収システムを用いると潜熱の供給が 進されるため、未分解の領域の拡大を防止 る。メタンハイドレート層の厚さが厚くな ばその利点を直接生産性の向上に役立てる とができる。線833は地熱エネルギーを供給 る本システムが期待する上限値を示してい 。線833と線832に挟まれた領域は、潜熱の供 量によって変化する期待領域を示すが、現 階では定量的な検証ができない。

 また線831は海洋における平均的な在来型 ス生産性の生産性を示している。

 在来型ガス開発では一般的に層厚が厚い ど生産性が向上し、その結果経済性も良化 る。本生産システムは基本的にメタンハイ レートの分解速度促進を目的に開発したも であり、同時に資源層の層厚の恩恵を在来 ガス開発と同様に獲得しようとするもので る。