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Title:
PROPHYLACTIC OR THERAPEUTIC AGENT FOR OPTIC NERVE DISORDERS COMPRISING 3',5-DI-2-PROPENYL-(1,1'-BIPHENYL)-2,4'-DIOL AS ACTIVE INGREDIENT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/110526
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a compound which is useful as a prophylactic or therapeutic agent for optical nerve disorders, an inhibitor of the cell death of retinal ganglion cells or an agent for recovering the expression level of a neurofilament light chain, particularly a compound which can exhibit the above-mentioned physiological activity when administered orally. Specifically disclosed is 3'-5-di-2-propenyl- (1,1'-biphenyl)-2,4'-diol, an ester thereof, or a salt of the compound or the ester. The compound, the ester or the salt can significantly prevent the reduction in the number of cells in a retinal ganglion cell layer in an NMDA-induced retinal disorder model rat when administered orally to the model rat and can recover the reduction in the expression level of a neurofilament light chain in a retina in the model rat when administered intravitreally to the model rat. Therefore, the compound, the ester or the salt is useful as a prophylactic or therapeutic agent for optical nerve disorders, an inhibitor of the cell death of retinal ganglion cells or an agent for recovering the expression level of a neurofilament light chain.

Inventors:
SASAOKA MASAAKI (JP)
SEIKE HISAYUKI (JP)
KAGEYAMA MASAAKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/054122
Publication Date:
September 11, 2009
Filing Date:
March 05, 2009
Export Citation:
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Assignee:
SANTEN PHARMACEUTICAL CO LTD (JP)
SASAOKA MASAAKI (JP)
SEIKE HISAYUKI (JP)
KAGEYAMA MASAAKI (JP)
International Classes:
A61K31/05; A61P9/10; A61P25/02; A61P27/02; A61P27/06; A61P43/00; C07C39/21
Other References:
EUROPEAN JOURNAL OF PHARMACOLOGY, vol. 537, 2006, pages 64 - 69
Attorney, Agent or Firm:
HIBI, Norihiko et al. (JP)
Norihiko Hibi (JP)
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Claims:
3’,5-ジ-2-プロペニル-(1,1’-ビフェニル)-2,4’-ジオール、そのエステル又はそれらの塩の少なくとも一つを有効成分として含有する視神経障害の予防又は治療剤。
視神経障害が緑内障性視神経障害である請求項1記載の予防又は治療剤。
緑内障性視神経障害が緑内障、緑内障性視野狭窄、緑内障性視神経萎縮又は緑内障性視神経症である請求項2記載の予防又は治療剤。
視神経障害が網膜神経節細胞の軸索流障害である請求項1記載の予防又は治療剤。
3’,5-ジ-2-プロペニル-(1,1’-ビフェニル)-2,4’-ジオール、そのエステル又はそれらの塩の少なくとも一つを有効成分として含有する網膜神経細胞死の抑制剤。
網膜神経細胞死が網膜神経節細胞死である請求項5記載の抑制剤。
3’,5-ジ-2-プロペニル-(1,1’-ビフェニル)-2,4’-ジオール、そのエステル又はそれらの塩の少なくとも一つを有効成分として含有するニューロフィラメント軽鎖の発現量回復剤。
経口投与により薬効を奏することを特徴とする請求項1~7記載の予防又は治療剤。
患者に、3’,5-ジ-2-プロペニル-(1,1’-ビフェニル)-2,4’-ジオール、そのエステル又はそれらの塩の少なくとも一つの治療上有効な量を投与することを含む視神経障害の予防又は治療方法。
視神経障害が緑内障性視神経障害である請求項9記載の予防又は治療方法。
緑内障性視神経障害が緑内障、緑内障性視野狭窄、緑内障性視神経萎縮又は緑内障性視神経症である請求項10記載の予防又は治療方法。
視神経障害が網膜神経節細胞の軸索流障害である請求項9記載の予防又は治療方法。
患者に、3’,5-ジ-2-プロペニル-(1,1’-ビフェニル)-2,4’-ジオール、そのエステル又はそれらの塩の少なくとも一つの治療上有効な量を投与することを含む網膜神経細胞死の抑制方法。
網膜神経細胞死が網膜神経節細胞死である請求項13記載の抑制方法。
患者に、3’,5-ジ-2-プロペニル-(1,1’-ビフェニル)-2,4’-ジオール、そのエステル又はそれらの塩の少なくとも一つの治療上有効な量を投与することを含むニューロフィラメント軽鎖の発現量回復方法。
投与を経口的に行う請求項9~15記載の方法。
視神経障害の予防又は治療のための3’,5-ジ-2-プロペニル-(1,1’-ビフェニル)-2,4’-ジオール、そのエステル又はそれらの塩の少なくとも一つ。
視神経障害が緑内障性視神経障害である請求項17記載の3’,5-ジ-2-プロペニル-(1,1’-ビフェニル)-2,4’-ジオール、そのエステル又はそれらの塩の少なくとも一つ。
緑内障性視神経障害が緑内障、緑内障性視野狭窄、緑内障性視神経萎縮又は緑内障性視神経症である請求項18記載の3’,5-ジ-2-プロペニル-(1,1’-ビフェニル)-2,4’-ジオール、そのエステル又はそれらの塩の少なくとも一つ。
視神経障害が網膜神経節細胞の軸索流障害である請求項17記載の3’,5-ジ-2-プロペニル-(1,1’-ビフェニル)-2,4’-ジオール、そのエステル又はそれらの塩の少なくとも一つ。
網膜神経細胞死の抑制のための3’,5-ジ-2-プロペニル-(1,1’-ビフェニル)-2,4’-ジオール、そのエステル又はそれらの塩の少なくとも一つ。
網膜神経細胞死が網膜神経節細胞死である請求項21記載の3’,5-ジ-2-プロペニル-(1,1’-ビフェニル)-2,4’-ジオール、そのエステル又はそれらの塩の少なくとも一つ。
ニューロフィラメント軽鎖の発現量回復のための3’,5-ジ-2-プロペニル-(1,1’-ビフェニル)-2,4’-ジオール、そのエステル又はそれらの塩の少なくとも一つ。
経口投与剤に製剤化される請求項17~23記載の3’,5-ジ-2-プロペニル-(1,1’-ビフェニル)-2,4’-ジオール、そのエステル又はそれらの塩の少なくとも一つ。
Description:
3’,5-ジ-2-プロペニル-(1,1’-ビフ ェニル)-2,4’-ジオールを有効成分として含有 する視神経障害の予防又は治療剤

3’,5-ジ-2-プロペニル-(1,1’-ビフェニル)-2,4 ’-ジオール、そのエステル又はそれらの塩 少なくとも一つを有効成分として含有する 視神経障害の予防又は治療剤、網膜神経細 死の抑制剤又はニューロフィラメント軽鎖 発現量回復剤に関する。

網膜は内境界膜、神経線維層、神経節細胞 層、内網状層、内顆粒層、外網状層、外顆粒 層、外境界膜、視細胞層および網膜色素上皮 層の10層から成る、厚さ0.1~0.5mmの組織であり その中には視細胞、双極細胞、神経節細胞 水平細胞およびアマクリン細胞という網膜 経細胞が存在する。

網膜神経細胞は光刺激を電気信号に変換し て、脳へ伝達するといった視覚情報の受容と 伝達において重要な役割を果たしている。

その伝達メカニズムについて詳述すると、 目から入った視覚情報は視細胞により電気信 号化されて、水平細胞、双極細胞および/又 アマクリン細胞を経由した後に神経節細胞 伝達される。次いで、その電気信号は神経 細胞の軸索を含む視神経線維の束である視 経を経由して脳に伝達される。

ところで、視神経が種々の原因により障害 を受けると視神経の恒常性が維持できなくな り、視覚情報の脳への伝達が妨げられて、失 明、視野狭窄等の視野障害を生じる。

視神経を障害する原因は種々考えられるが、 主な原因としては、1)眼圧上昇、2)網膜血流 環障害・網膜虚血、3)興奮性アミノ酸上昇等 が挙げられ、それらの病態に伴うグルタミン 酸シグナルカスケードの活性化や網膜神経節 細胞の軸索障害とそれらにつづく網膜神経細 胞のアポトーシスにより、視神経が障害され るものと考えられている。 
従って、グルタミン酸シグナルカスケードの 一部を遮断することで、網膜神経細胞のアポ トーシスを抑制して、網膜神経細胞を保護す る薬剤、すなわち、グルタミン酸神経毒性抑 制薬、N-メチル-D-アスパラギン酸(以下、「NMD A」ともいう)受容体遮断薬、一酸化窒素合成 害薬等の薬物が視神経障害およびそれに伴 眼疾患の予防又は治療剤として有用である 考えられ、現在、種々の検討がなされてい 。

例えば、特許文献1にはβ遮断薬の一つである ニプラジロールを有効成分として含む網膜神 経細胞保護剤が、特許文献2にはインターロ キン-1受容体アンタゴニストタンパクを有効 成分として含む視神経節細胞保護剤が、特許 文献3にはブナゾシン等のα 1 受容体遮断薬を有効成分として含む視神経節 細胞保護剤が、特許文献4には含フッ素プロ タグランジンF2α誘導体を有効成分とする網 神経細胞保護剤が、特許文献5にはインダゾ ール誘導体を有効成分として含む網膜神経細 胞保護剤が開示されている。

また、視神経障害を伴う代表的な眼疾患と して、緑内障、緑内障性視野狭窄、緑内障性 視神経萎縮、緑内障性視神経症、網膜中心動 脈閉塞症、網膜動脈分枝閉塞症、網膜中心静 脈閉塞症、網膜静脈分枝閉塞症、糖尿病性網 膜症、黄斑変性(萎縮型加齢黄斑変性、滲出 加齢黄斑変性等の加齢黄斑変性)、網膜色素 性症、未熟児網膜症、網膜剥離、網膜色素 皮剥離、レーベル病、虚血性視神経症等の 内障性疾患、網膜疾患、虚血性障害等が挙 られる。

一方、3’,5-ジ-2-プロペニル-[1,1’-ビフェ ル]-2,4’-ジオールは、生薬の厚朴[モクレン ホオノキ(Magnolia obovata)等の樹皮]に含有さ る成分であり、一般的にホノキオールとし 知られている。その薬理作用としては、鎮 作用、運動抑制作用、中枢性筋弛緩作用、 髄反射抑制等の持続性の中枢抑制作用が非 許文献1、非特許文献2又は非特許文献3に、 ルシウム流入阻害作用が非特許文献4又は非 許文献5に、抗胃潰瘍作用が非特許文献6に グラム陽性菌に対する抗菌作用が非特許文 7に、脳神経細胞保護作用が非特許文献8に開 示されている。

また、ホノキオールタイプ化合物の血管新 生抑制作用が特許文献6に、細胞増殖抑制作 が特許文献7に開示されている。

さらに、ホノキオールの構造異性体である マグノロール(生薬の厚朴に含有される一成 )が眼圧下降作用を有することが非特許文献9 に開示されている。

しかしながら、いずれの文献にも3’,5-ジ-2- ロペニル-(1,1’-ビフェニル)-2,4’-ジオール そのエステル体又はそれらの塩の視神経障 の予防又は治療効果に係る具体的な
記載はなされていない。

国際公開2001/056606号パンフレット

国際公開2003/004058号パンフレット

特開昭59-1418号公報

国際公開2006/106915号パンフレット

国際公開2006/112313号パンフレット Japan J. Pharmacol.,25,605(1975) Planta Med.,49,103(1983) J.Pharm.Dyn.,6,184(1983) 日本薬理学界誌,106,888(1986) Life Sci.,47,1153(1990) 和漢医薬誌,4,100(1987) 生薬誌,36,222(1982) Bioorg.Med.Chem.Lett.,12,1163(2002)

国際公開2002/076393号パンフレット

国際公開2006/107451号パンフレット Chinese Pharm.J.,58,115(2006)

視神経障害の予防又は治療剤、網膜神経細 胞死の抑制剤又はニューロフィラメント軽鎖 の発現量回復剤として有用な化合物を見出す ことは興味深い課題であり、特に経口投与に より該薬理効果を発現する化合物を見出すこ とは非常に興味深い課題である。

そこで、本発明者等は視神経障害の予防又は 治療剤、網膜神経細胞死の抑制剤又はニュー ロフィラメント軽鎖の発現量回復剤として有 用な化合物を見出すべく、膨大な数の化合物 について、NMDA誘発ラット網膜障害モデルに する効果を検討した。その結果、3’,5-ジ-2- ロペニル-(1,1’-ビフェニル)-2,4’-ジオール そのエステル又はそれらの塩が、1.NMDA誘発 ット網膜障害モデルにおける経口投与にお て、その網膜神経細胞層中の細胞数の減少 有意に抑制すること、
2.NMDA誘発ラット網膜障害モデルにおける硝子 体内投与において、網膜中のニューロフィラ メント軽鎖(視神経軸索の主構成成分の一つ あり、視神経軸索の形態維持に重要な成分) 発現量の減少を回復させること、
を見出し、本発明を完成させた。

本発明において、「3’,5-ジ-2-プロペニル-(1,1 ’-ビフェニル)-2,4’-ジオール」とは、以下 一般式(1)で示される化合物を意味し、

「そのエステル」とは、一般式(1)における 2つのヒドロキシ基の一方又はその両方がエ テル化された化合物を意味し、そのヒドロ シ基部位がエステル化された化合物であれ 特に制限はない。尚、エステルを形成する 合には、該ヒドロキシ基と、置換基を有し もよい低級アルキルカルボン酸、置換基を してもよい低級アルキルスルフィン酸、置 基を有してもよい低級アルキルスルホン酸 置換基を有してもよいアリールカルボン酸 置換基を有してもよいアリールスルフィン 又は置換基を有してもよいアリールスルホ 酸とから形成されるエステルが好ましく、 に該ヒドロキシ基と置換基を有してもよい 級アルキルカルボン酸とから形成されるエ テルが好ましい。

また、「それらの塩」とは、「3’,5-ジ-2- ロペニル-[1,1’-ビフェニル]-2,4’-ジオール はそのエステル」の医薬として許容される を意味し、医薬として許容される塩であれ 特に制限はない。尚、塩を形成する場合に 、リチウム、ナトリウム、カリウム等のア カリ金属と形成される塩が好ましい。

それらの化合物(以下、「本化合物」とも う)の少なくとも一つ、好ましくは、それら 化合物の一つ、を有効成分として含有する 神経障害の予防又は治療剤、網膜神経細胞 の抑制剤又はニューロフィラメント軽鎖の 現量回復剤が本発明である。

本発明における「視神経障害」とは、視神 経障害および/又は視神経障害を伴う眼疾患 意味する。

ここで「視神経障害を伴う眼疾患」とは、 視神経障害を伴う眼疾患であれば、特に制限 はないが、緑内障性疾患、網膜疾患、虚血性 障害等が例示され、具体的には、緑内障、緑 内障性視野狭窄、緑内障性視神経萎縮、緑内 障性視神経症、網膜中心動脈閉塞症、網膜動 脈分枝閉塞症、網膜中心静脈閉塞症、網膜静 脈分枝閉塞症、糖尿病性網膜症、黄斑変性( 縮型加齢黄斑変性、滲出型加齢黄斑変性等 加齢黄斑変性)、網膜色素変性症、未熟児網 症、網膜剥離、網膜色素上皮剥離、レーベ 病、虚血性視神経症等が挙げられる。

本発明における「緑内障性視神経障害」と は、緑内障に起因する視神経障害であれば特 に制限はないが、具体的には、緑内障および /又は緑内障に伴う眼疾患を意味し、より具 的には、緑内障および緑内障性視野狭窄、 内障性視神経萎縮、緑内障性視神経症等の 内障性眼疾患が挙げられる。

本発明における「網膜神経細胞」とは視覚 信号の脳への伝達に関与する神経細胞を意味 し、具体的には視細胞、水平細胞、双極細胞 、視神経節細胞、アマクリン細胞等を意味す る。

本発明における「網膜神経細胞死」とは、 網膜神経細胞のアポトーシスおよび/又はネ ローシスを意味する。

本発明における「ニューロフィラメント軽 鎖の発現量回復剤」とは、網膜中のニューロ フィラメント軽鎖の発現量の減少を抑制およ び/又は増加させる薬剤を意味する。尚、こ ニューロフィラメント軽鎖は、視神経軸索 主構成成分の一つであり、視神経軸索の形 維持に重要な成分である。

 本発明における「ハロゲン」とは、フッ 、塩素、臭素又はヨウ素を示す。

本発明における「低級アルキル」とは、炭 素原子数1~6個の直鎖又は分枝のアルキルを示 す。具体的には、メチル、エチル、n-プロピ 、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、イソ ロピル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチ 、イソペンチル基等が挙げられる。

本発明における「低級アルコキシ」とは、 ヒドロキシの水素原子が低級アルキルで置換 されたものを示す。具体的には、メトキシ、 エトキシ、n-プロポキシ、n-ブトキシ、n-ペン トキシ、n-ヘキシルオキシ、イソプロポキシ イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ イソペントキシ基等が挙げられる。

本発明における「アリール」とは、炭素原 子数6~10個のアリールを示す。具体的には、 ェニル、ナフチル等が挙げられる。

本発明における「アリールオキシ」とは、 ヒドロキシの水素原子がアリールで置換され たものを示す。具体的には、フェニルオキシ 、ナフチルオキシ等が挙げられる。

本発明における「置換基を有してもよい低 級アルキル」とは、ハロゲン、低級アルコキ シ、アリールおよびアリールオキシからなる 群より選択される1又は複数の置換基を有す アルキルを示す。

本発明における「置換基を有してもよいア リール」とは、ハロゲン、低級アルキル、低 級アルコキシ、アリールおよびアリールオキ シからなる群より選択される1又は複数の置 基を有するアリールを示す。

本発明における「複数」とは、夫々が同一 であっても異なるものであってもよく、その 個数は、2又は3個の場合が好ましく、特に2個 の場合が好ましい。

本化合物は水和物又は溶媒和物の形態をと っていてもよい。

また、本化合物に結晶多形が存在する場合 、該結晶多形も本発明の範囲に包含される。

本化合物は経口でも、非経口でも投与する ことができる。投与形態としては、経口投与 、眼局所投与(点眼投与、結膜嚢内投与、硝 体内投与、結膜下投与、テノン嚢下投与等) 静脈内投与、経皮投与等が挙げられ、必要 応じて医薬として許容される添加剤を適宜 択して使用し、投与形態に適した剤形に製 化することができる。

投与剤形としては、経口剤の場合、錠剤、 カプセル剤、顆粒剤、散剤等が挙げられ、非 経口剤としては、注射剤、点眼剤、眼軟膏、 貼布剤、ゲル、挿入剤等が挙げられる。

例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤 等の経口剤の場合、乳糖、ブドウ糖、D-マン トール、無水リン酸水素カルシウム、デン ン、ショ糖等の賦形剤;カルボキシメチルセ ルロース、カルボキシメチルセルロースカル シウム、クロスカルメロースナトリウム、ク ロスポピドン、デンプン、部分アルファー化 デンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセル ロース等の崩壊剤;ヒドロキシプロピルセル ース、エチルセルロース、アラビアゴム、 ンプン、部分アルファー化デンプン、ポリ ニルピロリドン、ポリビニルアルコール等 結合剤;ステアリン酸マグネシウム、ステア ン酸カルシウム、タルク、含水二酸化ケイ 、硬化油等の滑沢剤;精製白糖、ヒドロキシ プロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロ ピルセルロース、メチルセルロース、エチル セルロース、ポリビニルピロリドン等のコー ティング剤;クエン酸、アスパルテーム、ア コルビン酸、メントール等の矯味剤、等を 要に応じて適宜選択して使用し、製剤化す ことができる。

注射剤(水性、油性、懸濁性)は、塩化ナト ウム等の等張化剤;大豆油、マクロゴール等 の溶剤又は溶解補助剤;リン酸ナトリウム等 緩衝化剤;ポリソルベート80等の界面活性剤; ルメロースナトリウム、メチルセルロース の増粘剤等、ベンジルアルコール等の無痛 剤、等を必要に応じて適宜選択して使用し 製剤化することができ、そのpHは注射剤に 容される範囲内であれば特に問題はなく、 ましくはpH4~8の範囲が望ましい。

点眼剤(水性、油性、懸濁性)は、ヒマシ油 グリセロール、アルコール、ポリグリセロ ルとアルコールとのエーテル化合物等の溶 又は溶解補助剤、塩化ナトリウム、濃グリ リン等の等張化剤;リン酸塩、炭酸塩等の緩 衝化剤;ポリオキシエチレンソルビタンモノ レート、ステアリン酸ポリオキシル40、ポリ オキシエチレン硬化ヒマシ油等の界面活性剤 ;クエン酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム の安定化剤;塩化ベンザルコニウム、パラベ 等の防腐剤、懸濁性点眼剤においては、水 性高分子等の分散剤、塩化ナトリウム、濃 リセリン等の等張化剤;リン酸塩、炭酸塩等 の緩衝化剤;ポリソルベート80、ステアリン酸 ポリオキシル40、ポリオキシエチレン硬化ヒ シ油60等の界面活性剤;クエン酸ナトリウム エデト酸ナトリウム等の安定化剤;塩化ベン ザルコニウム、パラベン等の防腐剤、等を必 要に応じて適宜選択して使用し、製剤化する ことができ、そのpHは眼科用の点眼剤に許容 れる範囲内であれば特に問題はなく、好ま くはpH4~8の範囲が望ましい。

眼軟膏は、白色ワセリン、流動パラフィン 等の汎用される基剤を使用し、製剤化するこ とができる。

挿入剤は、ヒドロキシプロピルセルロース 、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カ ルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸等 の生体分解性ポリマーを使用して、製剤化す ることができ、必要に応じて、賦形剤、結合 剤、安定化剤、pH調整剤等を必要に応じて適 選択して使用することができる。

眼内インプラント用製剤は、ポリ乳酸、ポ リグリコール酸、乳酸・グリコール酸共重合 体、乳酸-カプロラクトン共重合体、ポリア ハイドライド、ポリオルソエステル、ポリ プシロンカプロラクトン等の生体分解性ポ マーを使用して製剤化することができ、必 に応じて、賦形剤、結合剤、安定化剤、pH調 整剤等を必要に応じて適宜選択して使用する ことができる。また、エチレンビニルアセテ ート共重合体等の生体非分解性ポリマーを使 用しても製剤化することができ、必要に応じ て、賦形剤、結合剤、安定化剤等を必要に応 じて適宜選択して使用することができる。

本化合物の投与量は、剤形、患者の症状、 年令、体重等に応じて適宜選択できる。例え ば、経口投与の場合、0.01~5000mg、好ましくは0 .1~2500mg、特に好ましくは0.5から1000mgのものを 1日あたり1~数回に分けて投与することができ る。注射剤の場合、0.00001~2000mg、好ましくは0 .0001~1500mg、特に好ましくは0.001から500mgのも を1日あたり1~数回に分けて投与することが きる。点眼剤の場合、0.00001~10%(w/v)、好まし は0.0001~5%(w/v)、特に好ましくは0.001~1%のもの を1日1~数回点眼することができる。眼軟膏剤 の場合、0.0001~2000mgを含有するものを塗布す ことができる。挿入剤又は眼内インプラン 用製剤の場合、0.0001~2000mgを含有するものを 入又はインプラントすることができる。

後述の薬理試験の項で詳細に説明するが、 本化合物は、NMDA誘発ラット網膜障害モデル おける経口投与試験において、その網膜神 細胞層中の細胞数の減少を有意に抑制した また、同モデルにおける硝子体内投与試験 おいて、網膜中のニューロフィラメント軽 の発現量の減少を回復させた。

以上より、本化合物は、視神経障害の予防 又は治療剤、網膜神経細胞死の抑制剤又はニ ューロフィラメント軽鎖の発現量回復剤とし て有用であり、特に緑内障性視神経障害の予 防又は治療剤、より具体的には緑内障、緑内 障性視野狭窄、緑内障性視神経萎縮、緑内障 性視神経症等の緑内障性眼疾患の予防又は治 療剤として有用である。

発明を実施するための形態

以下に本発明の薬理試験の結果および製剤 例を示す。尚、これらの例示は本発明をより よく理解するためのものであり、本発明の範 囲を限定するものではない。

[薬理試験]

1.NMDA誘発ラット網膜障害モデルを用いた試験
(被験化合物の経口投与による網膜切片評価)
視神経障害モデルとして汎用されるNMDA誘発 ット網膜障害モデル(Invest. Ophthalmol. Vis. Sci ., 2003;44:385-392)を用いて、本化合物の有用性( 網膜神経細胞死抑制効果)を評価した。

(NMDA誘発ラット網膜障害モデルの作製方法)
ラット[Slc:SD、雄性、約7週齢]に100%(V/V)酸素 0 .5L/分と100%(V/V)亜酸化窒素 1.5L/分の混合気体 2L/分で3%(V/V)ハロセンを気化させたガス又は 気 1~1.5L/分で3-4%(V/V)イソフルランを気化さ たガスを吸入させて全身導入麻酔し、1%(V/V) ハロセン又は2-3%(V/V)イソフルランの条件で維 持麻酔した。その後、2mmol/Lとなるように10%(V /V)ジメチルスルホキシド含有リン酸緩衝液( 下、「DMSO含有PBS」ともいう)に溶解したNMDA(S igma製、[カタログ番号:M3262])溶液 5μL(NMDAとし て10nmol)を硝子体内に投与した。

(網膜切片の作製・評価方法)
NMDA溶液の硝子体内投与7日後のラットに100mg/k gペントバルビタールナトリウム注射液を腹 内投与して全身麻酔し、眼球を摘出した。 出した眼球を25%(W/V)グルタルアルデヒド:10%(W /V)中性緩衝ホルマリン=1:9の混合液で固定し 。固定した眼球をパラフィンで包埋した後 、薄切を行い網膜切片(3μm厚)を作製し、ヘ トキシリン-エオジンで染色した。網膜切片 1眼につき視神経乳頭部が入るように45μm間 で8切片作製した。その8切片から任意に3切 を選択し、選択した切片について、視神経 頭から1~1.5mm間の網膜の写真撮影を行い、網 膜神経節細胞層中の細胞数を算出した(平均 )。尚、各群の例数は3匹(5-6眼)である。

(投与方法)
[PBS硝子体内投与群]
10%(V/V)DMSO含有PBS 5μLを硝子体内に投与した。

[NMDA硝子体内投与+基剤経口投与群]
10%(V/V)DMSO含有PBSに溶解したNMDA溶液 5μL(NMDAと して10nmol)を硝子体内に投与した。また、1%(W/ V)メチルセルロース水溶液を、NMDA硝子体内投 与日から6日後までの7日間、10mL/kgの投与液量 で1日1回反復経口投与した。尚、NMDA硝子体内 投与日はNMDA硝子体内投与30~60分前に1%(W/V)メ ルセルロース水溶液を経口投与した。

[NMDA硝子体内投与+被験化合物経口投与群]
10%(V/V)DMSO含有PBSに溶解したNMDA溶液 5μL(NMDAと して10nmol)を硝子体内に投与した。また、1%(W/ V)メチルセルロース液に懸濁させた被験化合 を10mg/kgの用量で、NMDA硝子体内投与日から6 後までの7日間、10mL/kgの投与液量で1日1回反 復経口投与した。なお、NMDA硝子体内投与日 NMDA投与30~60分前に1%(W/V)メチルセルロース液 懸濁させた被験化合物を10mg/kgの用量で、経 口投与した。

(試験結果)
被験化合物の1例として、3’,5-ジ-2-プロペニ -(1,1’-ビフェニル)-2,4’-ジオール(以下、「 ホノキオール」ともいう)を用いた場合の試 結果を表1に示す。表1から明らかなように、 ホノキオールはNMDA誘発ラット網膜障害モデ において生じる、網膜における神経節細胞 中の細胞数の減少を有意に抑制した。

(考察)
試験結果から、ホノキオールを含む本化合物 は経口投与等の全身暴露の投与形態において 、視神経障害の予防又は治療効果および網膜 神経細胞死の抑制効果を有する。特に緑内障 性視神経障害の予防又は治療効果を有する。

2.NMDA誘発ラット網膜障害モデルを用いた試験
(被験化合物の硝子体内投与による定量的Polym erase chain reaction(以下、PCRともいう)評価)
(定量的PCRでの評価方法)
NMDA誘発ラット網膜障害モデルにおいて、視 経軸索の主構成成分であり、軸索の形態維 に重要とされるニューロフィラメント軽鎖( 下、「NFL」ともいう)の網膜組織中での発現 量を指標に、被験化合物の有効性を評価した 。

(評価方法)
NMDAの硝子体内投与1日後のラットに100mg/kgペ トバルビタールナトリウム注射液を腹腔内 与して全身麻酔した後に眼球を摘出、網膜 単離した。単離した網膜をホモジナイズし QIAzol Lysis Reagent(QIAGEN製[カタログ番号:79306]) およびRNeasy 96 Kit (250)(QIAGEN製[カタログ番号 :74106])を用いてtotalRNAを抽出し、PrimeScript(登 商標) RT reagent Kit(TAKARA製[カタログ番号:RR03 7B])を用いてcDNAを合成した。QuantiTect Multiplex PCR Kit(1000)(QIAGEN製、[カタログ番号:204545])に 付されている説明書に従い、QuantiTect Multipl ex PCR Master Mix、合成したcDNA、NFLのプライマ ー・プローブ(Sigma製[オーダーメード])および グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナー (以下、「GAPDH」ともいう)のプライマー・プ ローブ(AppliedBiosystems製、[カタログ番号:4352338 E])を混合し、定量的PCR装置(AppliedBiosystems製[ タログ番号:7500-03])でPCR反応を実施し、NFLお びGAPDHの発現量を測定した。

得られたNFLおよびGAPDHの発現量から、式1に 従いNFLの発現量をハウスキーピング遺伝子で あるGAPDHの発現量で補正する事により、相対 NFL発現量を算出した。その後、式2に従い、 10%(V/V)DMSO含有PBS硝子体内投与を行った群を100 %、10nmolNMDA硝子体内投与を行った群を0%とし 場合の被験化合物のNMDAによるNFL減少に対す NFL回復率(%)を算出した。尚、各群の例数は2 ~3匹(4~6眼)である。

尚、本発明に用いたNFLのプライマー・プロー ブ配列は以下の通りである。

[式1]
相対的NFL発現量=(NFL発現量/GAPDH発現量)
[式2]
NFL回復率(%)=(E X -E 0 )/(E P -E 0 )×100
E P :10%(V/V)DMSO含有PBS硝子体内投与を行った群の 対的NFL発現量
E 0 :10nmolNMDA硝子体内投与を行った群の相対的NFL 現量
E X :10nmolNMDAに各化合物を混合し、硝子体内投与 薬物経口投与を行った群の相対的NFL発現量
(投与方法)
[10%(V/V)DMSO含有PBS硝子体内投与群]
10%(V/V)DMSO含有PBS 5μLを硝子体内に投与した。

[NMDA硝子体内投与群]
10%(V/V)DMSO含有PBSに溶解したNMDA溶液 5μL(NMDAと して10nmol)を硝子体内に投与した。

[各化合物硝子体内投与群]
10%(V/V)DMSO含有PBSに溶解したNMDAと被験化合物 混合溶液 5μL(NMDAとして10nmol、被験化合物と して0.025nmol)を硝子体内に投与した。

(結果)
被験化合物の1例として、ホノキオールとそ 構造異性体であるマグノロール(基本的にホ キオールと同様な作用を有することが知ら ている)を用いた場合の試験結果を表3に示 。表3から明らかなように、ホノキオールは NMDA誘発ラット網膜障害モデルにおいて生じ るNFLの発現量の減少を回復させるのに対して 、ホノキオールの構造異性体であるマグノロ ールは、ホノキオールと同濃度において、NFL の発現量の減少を回復させず、むしろ、増悪 傾向を示した。

(考察)
試験結果から、ホノキオールを含む本化合物 は局所投与の形態においても視神経障害の予 防又は治療効果予防又は治療効果を有し、ま た、NFLの発現量の回復効果も有する。

さらに、ホノキオールの構造異性体である マグノロールにおいては、NFLの発現量の減少 を回復させる作用が認められず、むしろ、増 悪傾向を示したことから、微細な化学構造の 相違が本作用の強度や発現に大きな影響を与 えているものと考えられる。

[製剤例]
本化合物の代表的な製剤例を以下に示す。

1)錠剤(150mg中)
本化合物                      10mg
乳糖                         90mg
トウモロコシデンプン                40mg
カルボキシメチルセルロースカルシウム  5. 5mg
ヒドロキシプロピルセルロース           4mg
ステアリン酸マグネシウム          0.5m g
上記処方の錠剤にコーティング剤(例えば、 ドロキシプロピルメチルセルロース、マ
クロゴール、タルク、酸化チタン、シリコー ン樹脂等のコーティング剤)3mgを用いてコー
ティングを施し、目的とする錠剤を得ること ができる。また、本化合物並びに添加物の種
類および/又は量を適宜変更することで、所 の錠剤を得ることもできる。

2)カプセル剤(150mg中)
本化合物                      50mg
乳糖                         90mg
カルボキシメチルセルロースカルシウム  4. 5mg
ヒドロキシプロピルセルロース           4mg
ステアリン酸マグネシウム          1.5m g
本発明化合物並びに添加剤の種類および又は 量を適宜変更することで、所望のカプセル剤 を得ることができる。

3)水溶性点眼液(100ml中)
本化合物                  100mg
1-O-n-ドデシル-3-O-メチル-2-O-2’,3’-ジヒドロ シプロピルグリセロール
                       7000mg
エタノール                    5mL
塩化ナトリウム               900mg
滅菌精製水                   適量
本化合物および添加物の種類および/又は量 適宜変更することで、所望の水性点眼剤を
ることができる。

4)油性点眼液 (100ml中)
本化合物                  100mg
ヒマシ油                     適量
本化合物および添加物の種類および/又は量 適宜変更することで、所望の油性点眼剤を
ることができる。

5)懸濁性点眼液(100ml中)
本化合物                   100mg
塩化ナトリウム                750mg
塩化ベンザルコニウム             5mg
ポリソルベート80                適
ヒドロキシプロピルメチルセルロース     量
エデト酸ナトリウム               適 量
リン酸水素ナトリウム             適
リン酸二水素ナトリウム            適 量
滅菌精製水                   適量
本化合物および添加物の種類および/又は量 適宜変更することで、所望の懸濁性点眼剤
得ることができる。

6)水性注射剤(100ml中)
本化合物                   100mg
塩化ナトリウム               750mg
マクロゴール400            1000mg
水酸化ナトリウム                適
塩酸                       適量
滅菌精製水                   適量
本化合物および添加物の種類および/又は量 適宜変更することで、所望の水性注射剤を
ることができる。

7)油性注射剤(100ml中)
本化合物                  100mg
大豆油                     適量
本化合物および添加物の種類および/又は量 適宜変更することで、所望の油性注射剤を
ることができる。

8)懸濁性注射剤(100ml中)
本化合物                  100mg
塩化ナトリウム               750mg
カルメロースナトリウム          750mg
ポリソルベート 80             40mg
ベンジルアルコール            40mg
水酸化ナトリウム              適量
塩酸                      適量
滅菌精製水                 適量
本化合物および添加物の種類および/又は量 適宜変更することで、所望の懸濁性注射剤
得ることができる。

本化合物は、視神経障害の予防又は治療剤 、網膜神経細胞死の抑制剤又はニューロフィ ラメント軽鎖の発現量回復剤として有用であ り、特に緑内障性視神経障害の予防又は治療 剤、より具体的には緑内障、緑内障性視野狭 窄、緑内障性視神経萎縮、緑内障性視神経症 等の緑内障性眼疾患の予防又は治療剤として 有用である。