国武 豊喜 (())
LI, Yuanzhi (())
李 遠志 (())
独立行政法人理化学研究所 (〒98 埼玉県和光市広沢2番1号 Saitama, 3510198, JP)
KUNITAKE, Toyoki (())
国武 豊喜 (())
LI, Yuanzhi (())
| 金属酸化物中の酸素原子と、-B(O) 3
-、-S(=O) 2
(O) 2
-、-P(=O)(O) 3
-、-C(=O)(O) 2
-および-N(O) 3
-の少なくとも1種の酸素酸由来の基とが酸素原子を介して結合したセラミック構造体(但し、金属酸化物中の酸素原子と酸素酸由来の基の酸素原子の一部は兼ねる構成である)を主成分とし、 酸素酸またはその前駆体と、金属酸化物前駆体とをゾルゲル反応させた後、加熱させてなるものであり、 前記酸素酸またはその前駆体は、ホウ酸、硫酸、リン酸、炭酸および硝酸、ならびにこれらの前駆体であり、 ゾルゲル反応をさせた後、100~600℃で加熱させてなるものである、 プロトン伝導膜。 |
| 前記金属酸化物前駆体は、金属アルコキシドである、請求の範囲第1項に記載のプロトン伝導膜。 |
| 前記金属酸化物前駆体は、金属成分の主成分として4価の金属イオンを含む、請求の範囲第1項または第2項に記載のプロトン伝導膜。 |
| 前記4価の金属イオンが、ハフニウムイオン、チタンイオン、ジルコニウムイオンおよびスズイオンから選択される少なくとも1種である、請求の範囲第3項に記載のプロトン伝導膜。 |
| 前記金属酸化物前駆体は、金属成分として、さらに、3価の金属イオンを含む、請求の範囲第3項または第4項に記載のプロトン伝導膜。 |
| 前記3価の金属イオンが、イットリウムイオン、アルミニウムイオン、インジウムイオン、スカンジウムイオン、および、ランタノイドイオン群(ランタンイオンを含む)から選択される少なくとも1種である、請求の範囲第5項に記載のプロトン伝導膜。 |
| 前記3価の金属イオンが、4価の金属イオン1モルに対し、0.03~0.20モルの割合で含まれる、請求の範囲第5項または第6項に記載のプロトン伝導膜。 |
| 前記プロトン伝導膜は、アモルファスである、請求の範囲第1項~第7項のいずれか1項に記載のプロトン伝導膜。 |
| 酸素酸またはその前駆体と、金属酸化物前駆体とをゾルゲル反応させた後、熱処理することを含み、 前記熱処理は、100~600℃の温度範囲で行う、 前記金属酸化物前駆体から生成された金属酸化物中の酸素原子と、-B(O) 3 -、-S(=O) 2 (O) 2 -、-P(=O)(O) 3 -、-C(=O)(O) 2 -および-N(O) 3 -の少なくとも1種の前記酸素酸由来の基とが酸素原子を介して結合したセラミック構造体(但し、金属酸化物中の酸素原子と酸素酸由来の基の酸素原子の一部は兼ねる構成である)を主成分とする、プロトン伝導膜の製造方法。 |
本発明はプロトン伝導膜およびプロトン 導膜の製造方法に関する。
従来から、固体酸を含むプロトン伝導材料
広く採用されている。例えば、非特許文献1
には固体酸である、C S
HSO 4
およびC S
H 2
PO 4
が230℃以上で良好なプロトン伝導体となるこ
とが記載されている。また、非特許文献2に
結晶性のSn 1-X
In X
P 2
O 7
が200℃付近で非常に高いプロトン伝導性を示
すと記載されている。しかしながら、これら
の物質は製膜性に劣るという問題がある。こ
こで、製膜性の良好な無機プロトン伝導材料
、すなわち、プロトン伝導膜があれば、用途
等に応じたプロトン伝導膜の選択の幅がより
広がる。
本願発明は、上記課題を解決することを 的としたものであって、従来とは、異なっ 材料を用いた、新たなプロトン伝導膜を提 することを目的とする。
上記課題のもと、金属酸化物前駆体と、酸
酸またはその前駆体を組み合わせたプロト
伝導膜の検討を試みた。その結果、金属酸
物前駆体と酸素酸またはその前駆体をゾル
ル反応させ、熱処理することにより得られ
セラミック構造体が、優れたプロトン伝導
を有することを見出し、本発明を完成する
至った。
(1)金属酸化物中の酸素原子と、-B(O) 3
-、-S(=O) 2
(O) 2
-、-P(=O)(O) 3
-、-C(=O)(O) 2
-および-N(O) 3
-の少なくとも1種の酸素酸由来の基とが酸素
子を介して結合したセラミック構造体(但し
、金属酸化物中の酸素原子と酸素酸由来の基
の酸素原子の一部は兼ねる構成である)を主
分とするプロトン伝導膜。
(2)酸素酸またはその前駆体と、金属酸化物前
駆体とをゾルゲル反応させた後、加熱させて
なる、プロトン伝導膜。
(3)前記酸素酸またはその前駆体は、ホウ酸、
硫酸、リン酸、炭酸および硝酸、ならびにこ
れらの前駆体である、(2)に記載のプロトン伝
導膜。
(4)ゾルゲル反応をさせた後、100~600℃で加熱
せてなる、(2)または(3)に記載のプロトン伝
膜。
(5)前記金属酸化物前駆体は、金属アルコキシ
ドである、(2)~(4)のいずれか1項に記載のプロ
ン伝導膜。
(6)前記金属酸化物前駆体は、金属成分の主成
分として4価の金属イオンを含む、(2)~(5)のい
れか1項に記載のプロトン伝導膜。
(7)前記4価の金属イオンが、ハフニウムイオ
、チタンイオン、ジルコニウムイオンおよ
スズイオンから選択される少なくとも1種で
る、(6)に記載のプロトン伝導膜。
(8)前記金属酸化物前駆体は、金属成分として
、さらに、3価の金属イオンを含む、(6)また
(7)に記載のプロトン伝導膜。
(9)前記3価の金属イオンが、イットリウムイ
ン、アルミニウムイオン、インジウムイオ
、スカンジウムイオン、および、ランタノ
ドイオン群(ランタンイオンを含む)から選択
される少なくとも1種である、(8)に記載のプ
トン伝導膜。
(10)前記3価の金属イオンが、4価の金属イオン
1モルに対し、0.03~0.20モルの割合で含まれる
(8)または(9)に記載のプロトン伝導膜。
(11)前記プロトン伝導膜は、アモルファスで
る、(1)~(10)のいずれか1項に記載のプロトン
導膜。
(12)酸素酸またはその前駆体と、金属酸化物
駆体とをゾルゲル反応させた後、熱処理す
ことを含む、プロトン伝導膜の製造方法。
(13)前記熱処理は、100~600℃の温度範囲で行う
(12)に記載のプロトン伝導膜の製造方法。
(14)前記プロトン伝導膜が、(1)~(11)のいずれか
1項に記載のプロトン伝導膜である、(12)また
(13)に記載のプロトン伝導膜の製造方法。
本発明の他の目的、特徴、および優れた は、以下に示す記載によって十分分かるで ろう。また、本発明の利点は、添付図面を 照した次の説明で明白になるであろう。
以下において、本発明の内容について詳 に説明する。尚、本願明細書において「~」 とはその前後に記載される数値を下限値及び 上限値として含む意味で使用される。
本発明におけるプロトン伝導膜は、例えば 金属酸化物中の酸素原子と、-B(O) 3 -、-S(=O) 2 (O) 2 -、-P(=O)(O) 3 -、-C(=O)(O) 2 -および-N(O) 3 -の少なくとも1種の酸素酸由来の基とが酸素 子を介して結合したセラミック構造体(但し 、金属酸化物中の酸素原子と酸素酸由来の基 の酸素原子の一部は兼ねる構成である)を主 分とし、通常、金属酸化物前駆体と、酸素 またはその前駆体とをゾルゲル反応させた 、加熱してなるものである。ここでの主成 とは、含量(重量比)が最も多い成分をいう。 また、本発明のプロトン伝導膜は、通常、ア モルファスである。
(酸素酸またはその前駆体)
本発明における酸素酸とは、特に定めるも
ではないが、ホウ酸、硫酸、リン酸、炭酸
よび硝酸が好ましく、リン酸が好ましい。
素酸およびその前駆体は、1種類のみを用い
てもよいし、2種類以上を用いてもよい。ま
、酸素酸の前駆体とは、ゾルゲル反応にお
て、実質的に酸素酸と同様の働きをするも
をいい、例えば、P 2
O 5
、ポリリン酸、SO 3
などが挙げられる。
(金属酸化物前駆体)
本発明における金属酸化物前駆体としては
ゾルゲル反応により、金属酸化物を生成し
る全ての化合物が挙げられる。具体的には
金属アルコキシド、イソシアネート金属化
物、ハロゲン化物、キレート錯体、有機金
錯体等が挙げられ、金属アルコキシドが好
しい。
本発明における金属酸化物前駆体の金属 分の主成分として、4価の金属イオンを含む ことが好ましく、ハフニウムイオン、チタン イオン、ジルコニウムイオンおよびスズイオ ンから選択される少なくとも1種を含むこと より好ましい。ここで、主成分とは、金属 分のうち、含量(モル%)が最も多い成分をい 。
さらに、本発明では、4価の金属イオンに 併せて、3価の金属イオンを含むことが好ま い。3価の金属イオンとしては、イットリウ イオン、アルミニウムイオン、インジウム オン、スカンジウムイオンおよびランタン オンを含むランタノイドイオン群から選択 れる少なくとも1種であることが好ましく、 イットリウムがより好ましい。このような3 の金属イオンは、4価の金属イオン1モルに対 し、0.03~0.20モルの割合で含まれることが好ま しく、金属イオン1モルに対し、0.03~0.10モル 割合で含まれることがより好ましい。この うに4価の金属イオン中に3価の金属イオンを 含ませることにより、プロトン伝導性をより 向上させる場合があり、好ましい。
金属酸化物前駆体として、金属アルコキシ を用いる場合、M(OR) n で表される金属アルコキシドがより好ましい 。ここで、Mは希土類金属原子、アルミニウ 、ジルコニウム、ニオブ、ハフニウム、タ タルまたは第一遷移金属原子であり、セリ ム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム ハフニウム、ニオブ、イットリウム、ニオ 、ランタン、またはタンタルであることが ましい。
Rは、アルキル基を含む基であり、炭素原 子数1~7のアルキル基、アルキルカルボニル基 、アルキルケトン基、アルキルジケトン基が 好ましい。
nは1~6の整数であることが好ましい。
M(OR) n の具体例として、Ce(OC 2 H 4 OCH 3 ) 3 、Hf(OC 4 H 9 ) 4 、Ta(OC 2 H 5 ) 5 、Zr(OC 4 H 9 ) 4 、Al(OCH(CH 3 ) 2 ) 3 、La(OC 2 H 4 OCH 3 ) 3 、Y(OC 2 H 4 OCH 3 )3、Nb(OC 2 H 5 ) 5 、TiO(C 4 H 9 ) 4 等が挙げられる。
金属酸化物前駆体は、1種類のみを用いて もよいし、2種類以上を用いてもよい。
本発明のプロトン伝導膜における、酸素 由来の基と、金属酸化物とのモル比は、10:1 ~1:10であることが好ましく、3:1~1:5であること がより好ましい。
(プロトン伝導膜の製造方法)
次に、本発明のプロトン伝導膜の製造方法
ついて説明する。本発明のプロトン伝導膜
、酸素酸またはその前駆体と、金属酸化物
駆体を、ゾルゲル反応させた後、熱処理さ
て製造する。通常は、金属酸化物前駆体と
素酸またはその前駆体を含む溶液(原料溶液
)を基板上に層状に塗布し、該状態のものを
ルゲル反応させた後、熱処理する方法が挙
られる。
基板上への塗布方法としては、スピンコ ティング法等の公知の方法を採用できる。 ピンコーティング法を採用することにより 塗布の回数が制御でき、膜厚を調整できる め好ましい。さらに、本発明では、薄層を 層した積層体であることが好ましい。この うな構成とすることにより、膜がより均一 作製され、より伝導性に優れた薄膜が得ら る。
このとき、原料溶液中の酸素酸またはそ 前駆体と、金属酸化物前駆体の比(モル比) 、5:1~1:5であることが好ましく、3:1~1:1である ことがより好ましい。
原料溶液の溶媒としては、本発明の趣旨 逸脱しない限り特に定めるものではないが 有機溶媒であり、メトキシエタノール、エ ノール、メタノール等が好ましい例として げられる。溶媒は、1種類のみを用いてもよ いし、2種類以上を併用してもよい。
ゾルゲル反応としては、原料溶液を展開 せた基板を水蒸気処理、水処理または空気 で加熱処理するのが好ましい。この場合の は、不純物等の混入を防止し、高純度の原 溶液からなる薄層を形成するために、イオ 交換水を用いることが好ましい。
加水分解後、必要により、窒素ガス等の 燥用ガスにより表面を乾燥させてもよい。 らに、酸や塩基などの触媒を用いることで これらの工程に必要な時間を大幅に短縮す ことも可能である。
加熱温度は、100~600℃であることが好まし く、120~500℃であることがより好ましく、200~4 50℃であることがさらに好ましい。本発明で 、このような温度で熱処理することにより 酸化物ネットワークが発達し安定な構造と るという利点がある。
尚、本発明の製造方法は、すべての工程 600℃以下、さらには、500℃以下で行うこと できるため、他の電池構成材料との反応に る性能劣化を抑止できるという点からも好 しい。
本発明のプロトン伝導膜の膜厚は特に定 るものではないが、例えば、0.005μm~1.0μm、 らには、100nm以下(好ましくは10nm以上)の、 には、50nm以下の厚さのプロトン伝導膜とす ことができる。
さらに、本発明のプロトン伝導膜は、例 ば、100nm以下の薄い膜としても、充分な強 を保つことができる。すなわち、本発明の ロトン伝導膜は、自己支持性を有する。
本発明のプロトン伝導膜のプロトン伝導度 、例えば、作動温度100~500℃、好ましくは作 動温度200~400℃において、1×10 -5 S・cm -1 以上であることが好ましく、1×10 -4 S・cm -1 以上であることがより好ましい。
燃料電池は、高い温度で作動させる方が 触媒活性が上がり電極過電圧が減少するた 望ましいとされているが、従来から燃料電 に用いられているプロトン伝導膜は水分が いと機能しないため、水分管理が可能な温 で作動させる必要があった。しかしながら 本発明ではドライ状態でプロトン伝導性が たれるので、燃料電池システムの簡素化が 現できるという利点がある。
さらに本発明のプロトン伝導膜は、面積抵 値を、10ωcm 2 以下とすることができ、さらには1ωcm 2 以下とすることができ、特には0.2ωcm 2 以下とすることができ、0.15ωcm 2 以下であるものが好ましく、この中でも、作 動温度100~500℃、好ましくは作動温度200~400℃ おいて、面積抵抗値が上記値であることが り好ましい。面積抵抗比がこのように小さ と、プロトン輸送効率が上昇し、例えば、 料電池としての性能が向上するという利点 ある。
本発明のプロトン伝導膜は、固体燃料電 の電解質膜として用いることができる。燃 電池として用いる際の膜電極接合体に使用 れる電極は、触媒金属の微粒子を担持した 電材により構成され、必要に応じて撥水剤 しくは結着剤又はその両方が含まれていて よい。また、触媒を担持していない導電材 、必要に応じて含まれる撥水剤および粘着 のうち少なくとも一方とからなる層を、触 層の外側に形成してもよい。
この電極に使用される触媒金属としては 水素の酸化反応および酸素の還元反応を促 する金属であればいずれでもよく、例えば 白金、金、銀、パラジウム、イリジウム、 ジウム、ルテニウム、鉄、コバルト、ニッ ル、クロム、タングステン、マンガン、バ ジウム、または、それらの合金が挙げられ 。
これらの触媒の中で、特に、白金が多くの 合用いられる。なお、触媒となる金属の粒 は、好ましくは1~30nmである。これらの触媒 カーボン等の担体に付着させた方が触媒の 用量が少なくコスト的に有利である。触媒 担持量は電極が成形された状態で0.01~10mg/cm 2 が好ましい。
導電材としては、電子伝導性物質であれ いずれのものでもよく、例えば、各種金属 炭素材料などが挙げられる。
炭素材料としては、例えば、ファーネス ラック、チャンネルブラック、およびアセ レンブラック等のカーボンブラック、炭素 維、カーボンナノチューブ、活性炭、黒鉛 が挙げられ、これらが単独または混合して 用される。
燃料用電池として用いる際のプロトン伝 膜と電極との接合法についても特に制限は く、公知の方法を適用することが可能であ 。膜電極接合体の製法として、例えば、カ ボンに担持させたPt触媒紛をカーボンペー に塗布、熱処理して触媒層を形成する。次 で、プロトン伝導膜と同一の組成のプロト 伝導膜溶液を触媒層に塗布し、プロトン伝 膜とホットプレスで一体化する方法がある
この他、プロトン伝導膜と同一の組成の ロトン伝導膜溶液を、予め、Pt触媒粉にコ ティングする方法、触媒ペーストをプロト 伝導膜の方に塗布する方法、プロトン伝導 に電極を無電解めっきする方法、プロトン 導膜に白金族の金属錯イオンを吸着させた 、還元する方法等がある。
セラミック膜燃料電池は、以上のように 成されたプロトン伝導膜と電極との接合体 両側に薄いカーボンペーパのパッキング材( 支持集電体)を密着させて、その両側から極 分離と電極へのガス供給通路の役割を兼ね 導電性のセパレータ(バイポーラプレート)を 配したものを単セルとし、この単セルの複数 個を、冷却板等を介して積層することにより 構成される。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具 的に説明する。以下の実施例に示す材料、 用量、割合、処理内容、処理手順等は、本 明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更す ことができる。従って、本発明の範囲は以 に示す具体例に限定されるものではない。
実施例1 ハフニウム-リン酸系薄膜の作製
(ITO基板の前処理)
ITO電極をコートしたガラス基板(Aldrich製、IT
Oの厚さ30nm、2.5×4cm)(ITO基板)は、エタノール
2分間超音波洗浄した後、窒素ガスに接触さ
て乾燥した。
(塗布溶液の調整)
20mlの2-メトキシエタノールに、0.50gのハフ
ウムテトラ n-ブトキシド(Gelest社製)を添加
、室温で5分間混合した。次に、30mlの2-メト
シエタノールに、0.21gの5酸化2リン(P 2
O 5
)を添加し溶液が透明になるまで超音波処理
行った。これらの溶液を混合し、室温で10分
間撹拌した。これに、水を添加して、最終的
に、金属酸化物前駆体濃度が、18mmol/Lとなる
うに、調整した。
(薄膜の作製)
上記塗布溶液をITO基板上に、3000rpm、20秒間
ピンコートしてゲル層を作製し、乾燥させ
。この作業を15回繰り返した後、400℃で1時
、焼成(anneal)した。さらに、ゲル層を作製
、乾燥させる工程を15回繰り返した後、1時
焼成(anneal)して、薄膜を得た。焼成温度は、
400℃、450℃、500℃としたものの、3種類を作
した。
(走査電子顕微鏡(SEM)観察)
上記により得られた薄膜の走査電子顕微鏡(
SEM)観察を行った。観察は、電界放出走査電
顕微鏡(日立製作所製、S-5200)を用いて行った
。
(X線光電子分光法(XPS)による測定)
上記により得られた薄膜の組成は、VGサイ
ンス社製、ESCALAB250を用いて測定した。
(フーリエ変換赤外線スペクトル(FTIR)の測定
)
薄膜の基材フィルムとして、プラチナでコ
ティングしたシリコンウェハを用い、この
に、上記と同様の方法で、薄膜を作製した
薄膜を、250℃で2時間真空に保ち、室温まで
冷却した後、ピリジン蒸気下に置き、ピリジ
ン吸収のFTIRスペクトルを測定した。
(インピーダンス分光法)
上記により得られた薄膜のプロトン伝導性
、ACインピーダンス法により測定した。具
的には、プラチナ電極(100nm厚、直径1mm)の上
、上記により得られた薄膜を設け、その上
、ITO電極を設けた。プラチナ電極およびITO
極に金属線を配線し、周波数10~10 7
Hz、20mVで、インピーダンス分光分析を行った
。
上記で作製した薄膜の焼成温度と、塗布 の組成比および図中における略号を下記に す。
(結果)
図1は、HfP 3
-400、HfP 3
-450およびHfP 3
-500のFTIRスペクトルを測定した結果を示す。
1から明らかなとおり、波長1272cm -1
にP-O-H由来のピークが、1003cm -1
にHf-O-P由来のピークが、753cm -1
にP-O-P由来のピークがそれぞれ認められた。
図2は、HfP 3 -400、HfP 3 -450およびHfP 3 -500のX線回折パターン(XRDパターン)を示した のである。これらの結果より、HfP 3 -400、HfP 3 -450およびHfP 3 -500は、非晶質であることを示している。
図3は、HfP 3 -400およびHfP 3 -500のSEM観察の結果を示したものである。図3 、図3の(a)はHfP 3 -400の上表面を、図3の(b)はHfP 3 -400の断面を、図3の(c)はHfP 3 -500の上表面を、図3の(d)はHfP 3 -500の断面をそれぞれ示している。いずれも 割れ等のない綺麗な薄膜が得られているこ が確認された。また、HfP 3 -500よりもHfP 3 -400の方がより良好な薄膜が得られているこ が確認された。膜厚は、HfP 3 -400が273nmであり、HfP 3 -500が251nmであった。
図4は、HfP 3
-500のインピーダンススペクトル分析の結果
示す。ここで、横軸は、インピーダンスの
数成分Z’(単位:ω)(電流と電圧の位相差が0の
成分)を、縦軸はインピーダンスの虚数成分-i
Z”(単位:ω)(電流と電圧の位相差がπ/2の成分)
をそれぞれ示している。また、図4のデータ
、各周波数(10 7
-10Hzの範囲)で測定したトータルインピーダン
スZをZ’に対する-i Z”として表したもので
る。ここで、
Z=(|Z’| 2
+|Z”| 2
) 1/2
で表される。
図5は、上記で得られた薄膜のプロトン伝 導度の温度依存性を示している。ここで、a cおよびeは乾燥条件下で測定したものであり 、b、dおよびfは20℃における飽和水蒸気状態 測定している。
e)HfP 3 -400(乾燥)においては、200℃~400℃の測定温度 すると電導度は、7.9×10 -8 ~1.8×10 -5 Scm -1 と高い値が得られた。また、この膜は、f)HfP 3 -400の結果から明らかなとおり、湿気下では 3.7倍のより高いプロトン伝導性が認められ 。
これらの結果より、本発明の薄膜は、比 的低い温度でも、また、乾燥下でも、高い ロトン伝導性を有することが認められた。
図6は、HfP 3 -500を乾燥条件下、300℃で58時間プロトン伝導 度を測定し続けたものである。図6の結果か 明らかなとおり、膜に損傷等は認められず プロトン伝導度も変化しなかった。これよ 、本発明の膜は、高い安定性を有すること 確認された。
実施例2 ジルコニウム-リン酸系薄膜の作製
、ジルコニウム-イットリウム-リン酸系薄膜
作製
(ITO基板の前処理)
実施例1と同様の手法で、ITO基板の前処理を
行った。
(塗布溶液の調整)
20mlの2-メトキシエタノールに、ジルコニウ
-n-テトラブトキシド(関東化学製)を添加し
溶液が透明になるまで超音波処理を行った
20mlの2-メトキシエタノールに、イットリウ
メトキシエトキシド(Gelest社製)を添加し、溶
液が透明になるまで超音波処理を行った。そ
れぞれの溶液に、30mlの2-メトキシエタノール
に溶解したP 2
O 5
を添加し、該溶液が透明になるまで、約6分
、超音波処理した。これらの溶液を混合し
室温で10分間撹拌し、最終的に得られた塗布
溶液の金属濃度が、20mmol/Lとなるように調整
た。尚、塗布液におけるジルコニア、イッ
リウム、リンのモル比が、下記表の値とな
ように、ジルコニウム-n-テトラブトキシド
イットリウムメトキシエトキシドおよびP 2
O 5
の添加量を調整した。
(薄膜の作製)
実施例1と同様の手法で、薄膜の作製を行っ
た。焼成温度は、120℃と、400℃とで行った。
(結果)
得られた薄膜について、以下の評価を行っ
。特に述べない限り、実施例1と同様の方法
で測定した。
図7は、ZrP 3 -400、Zr 0.95 Y 0.05 P 3 -400、Zr 0.90 Y 0.10 P 3 -400、ZrP 3 -120、Zr 0.95 Y 0.05 P 3 -120およびZr 0.90 Y 0.10 P 3 -120のFTIRスペクトルを測定した結果を示す。 7から明らかなとおり、波長1250cm -1 にP-O-H由来のピークが、953cm -1 にZr-O-P由来のピークが、733cm -1 にP-O-P由来のピークがそれぞれ認められた。
図8は、Zr 0.95 Y 0.05 P 3 -400の透過型電子顕微鏡(TEM)およびSEM観察の結 果を示している。図8中、図8の(a)および図8の (b)はTEM観察によって膜の表面を観察したもの であり、図8の(c)はSEM観察によって、膜の断 を観察したものである。割れ等のない綺麗 薄膜が得られていることが確認された。膜 厚さは、129nmであった。
図9は、Zr 0.95 Y 0.05 P 3 -400のインピーダンススペクトル分析の結果 示す。
図10は、実施例2で得られた薄膜のプロトン 導度の温度依存性を示す。ここで、a、b、c 乾燥条件下で測定したものであり、d、eは 湿気下で測定したものである。また、aはZrP 3 -400を、bおよびdはZr 0.95 Y 0.05 P 3 -400を、cはZr 0.90 Y 0.10 P 3 -40を、eはZr 0.95 Y 0.05 P 3 -120をそれぞれ示している。これらの結果よ 、本発明の薄膜は、低い温度でも、また、 燥下でも、湿気下でもナフィオン(登録商標) と同等の高いプロトン伝導性を示すことが確 認された。
図11は、Zr 0.95 Y 0.05 P 3 -400を乾燥条件下、340℃で80時間プロトン伝導 度を測定し続けたものである。図11の結果か 明らかなとおり、膜に損傷等は認められず プロトン伝導度も変化しなかった。これよ 、発明の膜は、高い安定性を有することが 認された。
実施例3 ジルコニウム-硫酸系薄膜の作製、
ジルコニウム-イットリウム-硫酸系薄膜の作
(ITO基板の前処理)
実施例1と同様の手法で、ITO基板の前処理を
行った。
(塗布溶液の調整)
20mlの2-メトキシエタノールに、ジルコニウ
-n-テトラブトキシド(関東化学製)を添加し
室温で1時間撹拌し、さらに、70℃で30分撹拌
した。20mlの2-メトキシエタノールに、イット
リウムメトキシエトキシド(Gelest社製)を添加
、室温で1時間撹拌し、さらに、70℃で30分
拌した。これらの溶液を室温まで冷やした
それぞれの溶液に、96%硫酸およびエチレン
アミンを添加し、該溶液が透明になるまで
約2分間、超音波処理した。これらの溶液を
合し、室温で10分間撹拌し、最終的に得ら
る塗布溶液の金属濃度が、20mmol/Lとなるよう
に調整した。
尚、塗布液におけるジルコニア、イット ウム、イオウのモル比が、下記表の値とな ように、ジルコニウム-n-テトラブトキシド イットリウムメトキシエトキシドおよび硫 の添加量を調整した。
(薄膜の作製)
実施例1と同様の手法で、薄膜の作製を行っ
た。焼成温度は、400℃とした。
(結果)
得られた薄膜について、以下の評価を行っ
。特に述べない限り、実施例1と同様の方法
で測定した。
図12は、Zr 0.95 Y 0.05 SO 4 0.1 のSEM観察の結果を示す。図12中、図12の(a)は の断面であり、図12の(b)は膜の上表面である 。割れ等のない綺麗な薄膜が得られているこ とが確認された。
図13は、Zr 0.95 Y 0.05 SO 4 0.1 のプロトン伝導度の温度依存性を示す。デー タは、いずれも、乾燥条件下で測定したもの である。この結果より、酸素酸として硫酸を 用いた系の薄膜でも、リン酸を用いた系より は劣るものの、良好なプロトン伝導性を有す ることが確認された。
また、ZrSO 4 およびZr 0.90 Y 0.10 SO 4 0.1 についても、Zr 0.95 Y 0.05 SO 4 0.1 よりは劣るものの、良好なプロトン伝導性を 有することが確認された。
実施例4 ジルコニウム-ホウ酸系薄膜の作製
、ジルコニウム-イットリウム-ホウ酸系薄膜
作製
(ITO基板の前処理)
実施例1と同様の手法で、ITO基板の前処理を
行った。
(塗布溶液の調整)
20mlの2-メトキシエタノールに、ジルコニウ
-n-テトラブトキシド(関東化学製)を添加し
室温で1時間撹拌し、さらに、70℃で30分撹拌
した。20mlの2-メトキシエタノールに、イット
リウムメトキシエトキシド(Gelest社製)を添加
、室温で1時間撹拌し、さらに、70℃で30分
拌した。これらの溶液を室温まで冷やした
これらの溶液を混合し、室温で10分間撹拌し
た。ホウ酸に、20mlの2-メトキシエタノールを
添加し、該溶液が透明になるまで、約15分間
超音波処理した。これらの溶液を混合し、
温で2分間撹拌し、最終的に得られる塗布溶
液の金属濃度が、20mmol/Lとなるように調整し
。
尚、ジルコニア、イットリウム、ホウ素 モル比が、下記表の値となるように、ジル ニウム-n-テトラブトキシド、イットリウム トキシエトキシドおよびホウ酸の添加量を 整した。
(薄膜の作製)
実施例1と同様の手法で、薄膜の作製を行っ
た。焼成温度は、400℃とした。
(結果)
得られた薄膜について、以下の評価を行っ
。特に述べない限り、実施例1と同様の方法
で測定した。
図14は、Zr 0.95 Y 0.05 B 0.3 のSEM観察の結果を示す。図14中、図14の(a)は の断面であり、図14の(b)は膜の上表面である 。割れ等のない綺麗な薄膜が得られているこ とが確認された。
図15は、プロトン伝導度の温度依存性を す。データは、いずれも、乾燥条件下で測 したものである。この結果より、酸素酸と てホウ酸を用いた系の薄膜でも、リン酸を いた系よりは劣るものの、良好なプロトン 導性を有することが確認された。
また、Zr 0.90 Y 0.10 B 0.3 およびZrBについても、Zr 0.95 Y 0.05 B 0.3 よりは劣るものの、良好なプロトン伝導性を 有することが確認された。
本発明により、優れたプロトン伝導性を するプロトン伝導膜の提供が可能になった また、本発明の方法では、優れた性能を有 るプロトン伝導膜を簡易に製造することが きる。
発明の詳細な説明の項においてなされた 体的な実施形態または実施例は、あくまで 、本発明の技術内容を明らかにするもので って、そのような具体例にのみ限定して狭 に解釈されるべきものではなく、本発明の 神と次に記載する請求の範囲内で、いろい と変更して実施することができるものであ 。
本発明により、ゾルゲル反応および熱処 という簡易な手段で、優れた性能を有する ロトン伝導膜を提供することが可能になっ 。そして得られるプロトン伝導膜は、プロ ン伝導性および膜の安定性に優れている。 らに、本発明のプロトン伝導膜は、200℃~400 ℃といった温度域で、プロトン伝導性を示す 点で、極めて実用的である。また、本発明の プロトン伝導膜は、組成を簡易なものとする ことができ、また、高湿度下で用いるナフィ オン膜と異なり水管理を必要としないので、 作動が極めて容易であるという利点がある。
