杉谷徹 (〒80 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号日東電工株式会社内 Osaka, 56786, JP)
NISHII, Hiroyuki (1-2 Shimohozumi 1-chome, Ibaraki-sh, Osaka 80, 56786, JP)
西井弘行 (〒80 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号日東電工株式会社内 Osaka, 56786, JP)
日東電工株式会社 (〒80 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 Osaka, 56786, JP)
SUGITANI, Tooru (1-2 Shimohozumi 1-chome, Ibaraki-sh, Osaka 80, 56786, JP)
杉谷徹 (〒80 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号日東電工株式会社内 Osaka, 56786, JP)
NISHII, Hiroyuki (1-2 Shimohozumi 1-chome, Ibaraki-sh, Osaka 80, 56786, JP)
| ポリビニルアルコール(PVA)と、プロトン伝導基を有する水溶性高分子電解質とを含み、前記PVAと前記水溶性高分子電解質とを除く水溶性ポリマーの含有量が、前記PVAに対する重量比にして0.1未満である前駆体膜を熱処理して、前記PVAの結晶化を進め、 前記熱処理した前駆体膜を、前記PVAと反応する架橋剤により化学的に架橋することによって、架橋PVAを基材とし、前記基材に保持された前記電解質を介してプロトンが伝導される高分子電解質膜を形成する、プロトン伝導性高分子電解質膜の製造方法。 |
| 前記プロトン伝導基が、スルホン酸基またはリン酸基である請求項1に記載のプロトン伝導性高分子電解質膜の製造方法。 |
| 前記水溶性高分子電解質が、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリ-2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、およびスルホン化ポリエーテルスルホンから選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載のプロトン伝導性高分子電解質膜の製造方法。 |
| 前記前駆体膜における前記水溶性高分子電解質の含有量が、前記PVAに対する重量比にして0.05~1である請求項1に記載のプロトン伝導性高分子電解質膜の製造方法。 |
| 請求項1に記載の製造方法により得たプロトン伝導性高分子電解質膜。 |
| 架橋したポリビニルアルコール(PVA)からなる基材と、前記基材に保持された、プロトン伝導性を有する水溶性高分子電解質とを含み、 前記PVAと前記水溶性高分子電解質とを除く水溶性ポリマーの含有量が、前記PVAに対する重量比にして0.1未満であるプロトン伝導性高分子電解質膜。 |
| 高分子電解質膜と、前記電解質膜を狭持するように配置された一対の電極とを備え、 前記電解質膜が、請求項5に記載のプロトン伝導性高分子電解質膜である膜-電極接合体。 |
| 高分子電解質膜と、前記電解質膜を狭持するように配置された一対の電極とを備え、 前記電解質膜が、請求項6に記載のプロトン伝導性高分子電解質膜である膜-電極接合体。 |
| 高分子電解質膜と、 前記電解質膜を狭持するように配置された一対の電極と、 前記一対の電極を狭持するように配置された一対のセパレータと、を備え、 前記電解質膜が、請求項5に記載のプロトン伝導性高分子電解質膜である高分子電解質型燃料電池。 |
| 高分子電解質膜と、 前記電解質膜を狭持するように配置された一対の電極と、 前記一対の電極を狭持するように配置された一対のセパレータと、を備え、 前記電解質膜が、請求項6に記載のプロトン伝導性高分子電解質膜である高分子電解質型燃料電池。 |
| ダイレクトメタノール型である請求項9に記載の高分子電解質型燃料電池。 |
| ダイレクトメタノール型である請求項10に記載の高分子電解質型燃料電池。 |
本発明は、プロトン伝導性高分子電解質 とその製造方法に関する。また本発明は、 ロトン伝導性高分子電解質膜を用いた膜-電 極接合体および高分子電解質型燃料電池に関 する。
近年、次世代のエネルギー源として燃料 池が脚光を浴びている。特に、プロトン伝 性を有する高分子膜を電解質に使用した高 子電解質型燃料電池(PEFC)は、エネルギー密 が高く、家庭用コージェネレーションシス ム、携帯機器用電源、自動車用電源などの 広い分野での使用が期待される。PEFCの電解 質膜には、燃料極-酸化極間でプロトンを伝 する電解質として機能するとともに、燃料 に供給される燃料と、酸化極に供給される 化剤とを分離する隔壁となることが求めら 、電解質および隔壁のいずれか一方として 機能が不十分であると燃料電池の発電効率 低下する。このため、プロトン伝導性、電 化学的安定性および機械的強度に優れ、燃 および酸化剤の透過性が低い高分子電解質 が望まれる。
現在、PEFCの電解質膜には、プロトン伝導 基としてスルホン酸基を有するパーフルオロ カーボンスルホン酸(例えば、デュポン社製 ナフィオン(登録商標)」)が広く用いられて る。パーフルオロカーボンスルホン酸膜は 気化学的な安定性に優れるものの、原料と るフッ素樹脂は汎用品ではなく、その合成 程も複雑であることから非常に高価である 電解質膜が高価であることは、PEFCの実用化 対する大きな障害となる。また、パーフル ロカーボンスルホン酸膜はメタノールを透 しやすく(即ち、メタノール遮断特性に劣り )、PEFCの1種であり、メタノールを含む溶液が 燃料極に供給されるダイレクトメタノール型 燃料電池(DMFC)の電解質膜にパーフルオロカー ボンスルホン酸膜を用いることは難しい。
このため、パーフルオロカーボンスルホ 酸膜の代替として、低コストかつメタノー の透過が抑制された炭化水素系高分子電解 膜の開発が進められている。例えば、特開 6-93114号公報、特開平10-45913号公報、特開平9 -245818号公報、特表2000-510511号公報には、スル ホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホ ン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリ スルホン、スルホン化ポリイミドからなる電 解質膜が、それぞれ提案されている。これら 炭化水素系電解質膜の原料となる樹脂はフッ 素系樹脂に比べて安価であり、上記電解質膜 の使用により、PEFCの低コスト化が図れると れる。しかし、電解質および隔壁としての 能の両立が要求される燃料電池用の電解質 としては、上記各公報に提案されている炭 水素系電解質膜の特性は必ずしも十分では く、当該膜を用いたPEFCの実用化には未だ至 ていない。
これとは別に特開2006-156041号公報には、 ロトン伝導基である酸性基を有する水溶性 分子電解質と、ポリビニルアルコール(PVA)と 、第3成分であるポリエチレングリコール(PEG) などの水溶性ポリマーとを含む混合物からな る電解質膜が開示されており(請求項1)、当該 膜を物理的または化学的に架橋してもよいこ とが示されている(請求項4、段落番号[0006]お び実施例など)。この電解質膜は、PVAを基材 とすることにより、低コストで製造できる。 しかし、特開2006-156041号公報に開示されてい 電解質膜のプロトン伝導性はパーフルオロ ーボンスルホン酸膜に比べて大きく劣り、P EFCの電解質膜、特にメタノールを含む溶液が 燃料極に供給されるDMFCの電解質膜、として 使用は現実的ではない。
本発明は、PVAを基材とするプロトン伝導 高分子電解質膜であって、優れたプロトン 導性およびメタノール遮断特性を有する電 質膜とその製造方法との提供を目的とする
本発明のプロトン伝導性高分子電解質膜 製造方法では、PVAと、プロトン伝導基を有 る水溶性高分子電解質とを含み、前記PVAと 記水溶性高分子電解質とを除く水溶性ポリ ーの含有量が前記PVAに対する重量比にして0 .1未満である前駆体膜を熱処理して、前記PVA 結晶化を進め、前記熱処理した前駆体膜を 記PVAと反応する架橋剤により化学的に架橋 ることによって、架橋PVAを基材とし、前記 材に保持された前記電解質を介してプロト が伝導される高分子電解質膜を形成する。
本発明のプロトン伝導性高分子電解質膜 、上記本発明の製造方法により得た電解質 である。
別の側面から見た本発明のプロトン伝導 高分子電解質膜は、架橋したPVAからなる基 と、前記基材に保持された、プロトン伝導 を有する水溶性高分子電解質とを含み、当 電解質膜における、前記PVAと前記水溶性高 子電解質とを除く水溶性ポリマーの含有量 、前記PVAに対する重量比にして0.1未満であ 。
本発明の膜-電極接合体は、高分子電解質 膜と、前記電解質膜を狭持するように配置さ れた一対の電極とを備え、前記電解質膜が上 記本発明のプロトン伝導性高分子電解質膜で ある。
本発明の高分子電解質型燃料電池は、高 子電解質膜と、前記電解質膜を狭持するよ に配置された一対のセパレータとを備え、 記電解質膜が上記本発明のプロトン伝導性 分子電解質膜である。
本発明の製造方法によれば、プロトン伝 性およびメタノール遮断特性が改善した電 質膜を製造できる。ナフィオンなどのパー ルオロカーボンスルホン酸からなる電解質 と同等の高いプロトン伝導性と、当該電解 膜に比べて大きく向上したメタノール遮断 性とを有する電解質膜を製造することも可 である。
PVAは基本的に水溶性であるため、これを 解質膜として用いるためには、その耐水性 向上させる必要がある。特開2006-156041号公 では、「PVAとの水素結合などを通して膜に 械的強度を与える」([0017]参照)作用を有する PEGなどの水溶性ポリマー(第3成分)を添加し、 さらにこのPVAを物理的または化学的にさらに 架橋することにより、PVAの耐水性を向上させ 、基材としての自立を図っている。しかし、 本発明者らの検討によれば、この電解質膜で は、PVAに対する重量比で「1:0.1~2.0の範囲」([0 017]参照)で添加される第3成分がPVAの結晶化を 阻害するために、架橋後のPVAの耐水性が十分 に向上せず、その結果、当該膜のプロトン伝 導性およびメタノール遮断特性が低下する。
一方、本発明の製造方法では、前駆体膜 おける上記水溶性ポリマーの含有量をPVAに する重量比にして0.1未満とし、この前駆体 に対して熱処理工程(I)および架橋工程(II)を この順に実施する。この方法によれば、PVAの 結晶性が確実に向上し、化学的架橋によりPVA の耐水性が十分に向上する。このため、プロ トン伝導性およびメタノール遮断特性に優れ た電解質膜が得られる。なお、後述の実施例 に示すように、(I)熱処理工程と(II)架橋工程 の実施順序を逆にした場合には、特性に優 る電解質膜が得られない。これは、先にPVA 架橋が進むことで、後の熱処理によるPVAの 晶化が困難になるため、と考えられる。
(プロトン伝導性高分子電解質膜の製造方法
)
[前駆体膜]
本発明の製造方法に用いる前駆体膜はPVAと
ロトン伝導基を有する水溶性高分子電解質
を含み、前駆体膜における、PVAと水溶性高
子電解質とを除く水溶性ポリマーの含有量
、PVAに対する重量比にして0.1未満である。
駆体膜は、熱処理およびその後の化学的架
によって、架橋PVAを基材とし、当該基材中
水溶性高分子電解質が含まれるプロトン伝
性高分子電解質膜となる。
前駆体膜は、上記水溶性ポリマーを実質 に含まなくてもよい。本発明の製造方法で 、前駆体膜が上記水溶性ポリマーを含むこ なく電解質膜を形成できる(即ち、前駆体膜 は、上記水溶性ポリマーを実質的に含まない か、含む場合においても、上記水溶性ポリマ ーの含有量がPVAに対する重量比にして0.1未満 である)。なお、「実質的に含まない」とは 前駆体膜を形成する際に用いた原料に混入 る不純物など、少量(例えば、PVAに対する重 比にして0.01未満)の水溶性ポリマーが含ま ていてもよいことを意味する。
PVAの分子量は特に限定されないが、粘度 均分子量が10000~1000000の範囲にあるPVAを用い ることにより、電解質膜として好適な基材を 形成できる。機械的強度など、電解質膜の機 械的特性を考慮した場合、PVAの粘度平均分子 量は50000~200000が好ましい。
水溶性高分子電解質の種類は、プロトン 導基を有する限り特に限定されない。
プロトン伝導基は、例えばスルホン酸基 たはリン酸基であり、電解質膜中の含有量 少ない場合においても高いプロトン伝導性 得られることから、スルホン酸基が好まし 。なお、スルホン酸基およびリン酸基は、 トリウム塩、アンモニウム塩などの塩の状 にある基(例えばスルホン酸ナトリウム基) 含む。ただし、スルホン酸基およびリン酸 が塩の状態にある場合、最終的に電解質膜 する前に、後述する酸処理工程によって当 基をプロトン型に変化させることが好まし 。
水溶性高分子電解質は、例えば、ポリス レンスルホン酸(PSS)、ポリビニルスルホン 、ポリ-2-アクリルアミド-2-メチルプロパン ルホン酸、スルホン化ポリエーテルエーテ ケトン、およびスルホン化ポリエーテルス ホンから選ばれる少なくとも1種である。こ らの電解質は、プロトン伝導基としてスル ン酸基を有する。水溶性高分子電解質は、 ルホン化ポリエーテルエーテルケトンおよ スルホン化ポリエーテルスルホン以外のス ホン化ポリアリーレン樹脂であってもよい
前駆体膜における水溶性高分子電解質の 有量は特に限定されないが、通常、PVAに対 る重量比(水溶性高分子電解質の重量/PVAの 量)にして0.05~1である。上記重量比が過大に ると、PVA基材に対する水溶性高分子電解質 含有量が大きくなるために電解質膜のプロ ン伝導性が向上するが、機械的特性および タノール遮断特性が低下して、PEFCへの使用 に(特にDMFCへの使用に)適さなくなる。一方、 上記重量比が過小になると、電解質膜として 十分なプロトン伝導性が得られない。上述し た重量比の範囲は、「PVA:水溶性高分子電解 」で表示して、95:5~50:50に相当する。
上記重量比は0.18~0.54が好ましく、0.25~0.54 より好ましい。プロトン伝導性およびメタ ール遮断特性のバランスがとれた電解質膜 得られるためである。上述した重量比の範 は、それぞれ「PVA:水溶性高分子電解質」で 表示して、85:15~65:35および80:20~65:35に相当す 。
前駆体膜は、例えば、PVA水溶液と水溶性 分子電解質の水溶液との混合液を基板上に ャストして形成できる。
混合液(キャスト溶液)の濃度は特に限定 れないが、通常、1~50重量%であり、得られる 前駆体膜の均一性を考慮すると、3~20重量%程 が好ましい。
混合液のキャストには、ガラス、ポリテ ラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂、あ いはポリイミドなどのエンジニアリング樹 からなる基板を用いることができる。
キャスト厚は、例えば10~2000μm程度であり 、得たい電解質膜の厚さに応じて調整できる 。キャスト厚が過小になると、電解質膜とし ての機械的強度が低下する。一方、キャスト 厚が過大になると均一な乾燥が難しくなって 、構造が不均一な膜が形成されやすくなる。
電解質膜の厚さは、その用途にもよるが 一般的なPEFCに用いる場合には10~200μmが好ま しく、機械的強度とプロトン伝導性とのバラ ンスを考慮すると、20~100μmが好ましい。電解 質膜の厚さが過小になると、プロトン伝導性 は向上するものの、それ以上に機械的強度お よびメタノール遮断特性の低下が大きくなる ことで電解質膜としての実用性が低下する。 一方、上記厚さが過大になると、機械的強度 およびメタノール遮断特性は向上するものの プロトン伝導性が低下して、PEFCへの使用が 難となる。
その他、キャストにより前駆体膜を形成 る方法の詳細は、公知の手法に従えばよい
なお、PVAおよび水溶性高分子電解質の双 が水溶性であるために、前駆体膜は水を媒 として形成できる。水を媒体とすることに り、製造時の環境負荷を低減できる。
[(I)熱処理工程]
熱処理温度は、前駆体膜が融解または分解
る温度未満であれば特に限定されないが、
常、PVAの結晶化が進行する温度である100~180
℃であり、PVAの結晶化が最も進行する温度で
ある120~140℃が好ましい。熱処理温度が過小
なると、PVAの結晶化が十分に進行せず、プ
トン伝導性およびメタノール遮断特性に優
る電解質膜が得られない。一方、熱処理温
が過大になるとPVAが劣化する。
熱処理の時間は、熱処理温度にもよるが PVAが比較的速やかに結晶化するため、数分 ら1時間程度である。
熱処理は大気下で行うことができ、必要 応じて加圧雰囲気下で行ってもよい。
その他、前駆体膜を熱処理する方法の詳 は、公知の手法に従えばよい。
[(II)架橋工程]
架橋剤には、PVAと反応する官能基(典型的に
はPVAの水酸基と反応する官能基)を有する2官
以上の多官能架橋剤を用いればよい。この
うな架橋剤は、例えば、グルタルアルデヒ
、テレフタルアルデヒドおよびスベロイル
ロライドである。
具体的な架橋工程は公知の手法に従えば く、例えば、適当な溶媒に架橋剤を溶解さ て得た架橋溶液に前駆体膜を浸漬すればよ 。
架橋溶液の濃度および架橋時間は、前駆 膜の組成および架橋剤の種類などに応じて 宜設定すればよいが、一例として、架橋溶 の濃度が1~20重量%、架橋時間が0.1~48時間で る。
本発明の製造方法では、必要に応じて、 処理工程および架橋工程以外の任意の工程 実施できる。例えば、プロトン伝導基がス ホン酸基であり、当該基がナトリウム塩あ いはアンモニウム塩などの塩の状態にある 溶性高分子電解質を用いた場合、当該基を ロトン型とするための酸処理工程を実施し もよい。酸処理工程の具体的な方法は特に 定されないが、例えば、架橋工程を経た前 体膜を、濃度0.5~2N程度の塩酸水溶液または 酸水溶液に、1~24時間程度浸漬すればよい。
(プロトン伝導性高分子電解質膜)
本発明の電解質膜は、上述した本発明の製
方法により得た電解質膜である。
本発明の製造方法において、前駆体膜に ける上記水溶性ポリマーの含有量がPVAに対 る重量比にして0.1未満であることに着目す と、本発明の電解質膜は、架橋PVAからなる 材と、基材に保持されたプロトン伝導性を する水溶性高分子電解質とを含み、上記水 性ポリマーの含有量がPVAに対する重量比に て0.1未満である電解質膜であるともいえる
本発明の電解質膜は、上記水溶性ポリマ を実質的に含まなくてもよい。
本発明の電解質膜における水溶性高分子 解質は、例えば、プロトン型のスルホン酸 またはリン酸基をプロトン伝導基として含 。
本発明の電解質膜における水溶性高分子 解質の含有量は、PVAに対する重量比にして 通常0.05~1であり、0.18~0.54が好ましく、0.25~0. 54がより好ましい。
本発明の電解質膜は、PVAを基材としなが もプロトン伝導性およびメタノール遮断特 に優れる。また、その構成によっては、ナ ィオンなどのパーフルオロカーボンスルホ 酸からなる電解質膜と同等のプロトン伝導 と、当該電解質膜に比べて大きく向上した タノール遮断特性とを有する。
本発明の電解質膜の用途は特に限定され いが、PEFCの高分子電解質膜(PEM)としての用 、特に燃料にメタノールを含む溶液を用い DMFCのPEMとしての用途、に好適である。
(膜-電極接合体)
本発明の膜-電極接合体(MEA)の一例を、図1に
示す。
図1に示すMEA1は、電解質膜2と、電解質膜2 を狭持するように配置された一対の電極(ア ード電極3、カソード電極4)とを備え、電解 膜2と電極3,4とは互いに接合されている。こ で、電解質膜2は上述した本発明の電解質膜 であり、MEA1をPEFCに組み込むことにより、PEFC の発電特性、特に燃料にメタノールを含む溶 液を用いるDMFCとしたときの発電特性、を向 できる。
アノード電極(燃料極)3およびカソード電 (酸化極)4の構成は、それぞれ、一般的なMEA アノード電極、カソード電極と同様であれ よい。
MEA1は、電解質膜2と電極3,4とを熱プレス るなど、公知の手法により形成できる。
(高分子電解質型燃料電池)
本発明の高分子電解質型燃料電池(PEFC)の一
を、図2に示す。
図2に示す燃料電池11は、電解質膜2と、電 解質膜2を狭持するように配置された一対の 極(アノード電極3、カソード電極4)と、上記 対の電極を狭持するように配置された一対 セパレータ(アノードセパレータ5、カソー セパレータ6)とを備え、各部材は、当該部材 の主面に垂直な方向に圧力が印加された状態 で接合されている。電解質膜2と電極3,4とは MEA1を構成している。ここで、電解質膜2は上 述した本発明の電解質膜であり、発電特性に 優れる(特に燃料にメタノールを含む溶液を いるDMFCとしたときの発電特性に優れる)燃料 電池11とすることができる。
アノード電極(燃料極)3、カソード電極(酸 化極)4、アノードセパレータ5およびカソード セパレータ6の構成は、それぞれ、一般的なPE FCにおける各部材と同様であればよい。
本発明の燃料電池は、必要に応じて、図2 に示す部材以外の部材を備えていてもよい。 また、図2に示すPEFC11はいわゆる単セルであ が、本発明の燃料電池は、このような単セ を複数積層したスタックであってもよい。
以下、実施例により、本発明をより詳細 説明する。本発明は、以下に示す実施例に 定されない。
最初に、本実施例において作製した電解 膜の評価方法を示す。
(イオン交換容量:IEC)
作製した電解質膜を濃度3モル/Lの塩化ナト
ウム水溶液に浸漬し、ウォーターバスによ
水溶液を60℃に昇温して3時間保持した。次
、水溶液を室温まで冷却した後、電解質膜
水溶液から取り出してイオン交換水で十分
洗浄した。洗浄に用いたイオン交換水は全
、電解質膜を取り出した後の水溶液に加え
。次に、電解質膜を取り出した後の水溶液
含まれるプロトン(水素イオン)量を、電位
自動滴定装置(京都電子工業株式会社製、AT-5
10)を用いて、濃度0.05Nの水酸化ナトリウム水
液で滴定して求め、求めたプロトン量と、
化ナトリウム水溶液に浸漬する前に予め測
しておいた電解質膜の重量とから、作製し
電解質膜のイオン交換容量(meq/g)を求めた。
なお、電解質膜のイオン交換容量が大き ほど、当該電解質膜がより多くのプロトン 導基を有するといえる。
(プロトン伝導率:σ)
作製した電解質膜を温度25℃のイオン交換
に浸漬して1時間以上保持した後、浸漬によ
て膨潤した電解質膜を一対の白金箔(矩形状
)で挟み込んで、プロトン伝導度評価用のサ
プルとした。白金泊により電解質膜を挟み
む際には、上記一対の白金箔を、各々の長
方向の辺が互いに平行に近接し、かつ電解
膜の面に垂直な方向から見て当該辺が互い
10mm離間するように配置した。この離間距離
、サンプルにおける電極間距離d(=1cm)とした
。次に、上記一対の白金泊を測定電極として
、LCRメータ(HIOKI社製、LCRメータ3532-80)を用い
サンプルの複素インピーダンス測定(測定周
波数:10kHz~1MHz)を行った。次に、測定によって
得られたインピーダンスの実数部分を横軸に
、虚数部分を縦軸にしてプロットを描き、極
小値の実数部分の値をサンプルの膜抵抗R(ω)
した。これとは別に、浸漬により膨潤した
解質膜の厚さt1(μm)を測定し、以下の式(1)に
より、サンプルのプロトン伝導率σ(S/cm)を求
た。
σ(S/cm)=(1×10 -4
)/(R×t1×h) ・・・(1)
なお、式(1)におけるhは、電解質膜を狭持 する白金泊の長軸方向の辺の長さ(cm)である
(メタノール透過率:MCO)
作製した電解質膜を隔壁として、同一形状
一対のガラス容器を、その開口部において
いに連結した。次に、一方のガラス容器に
当該容器における上記とは別の開口部から
度3モル/Lのメタノール水溶液(温度60℃)を、
他方のガラス容器に、当該容器における上記
とは別の開口部から蒸留水(温度60℃)を注ぎ
れた後、電解質膜を介して蒸留水側に透過
たメタノールの量を、容器全体をウォータ
バスにより60℃に保持した状態で一定時間ご
とに定量した。メタノールの定量はガスクロ
マトグラフィ(GC)により行い、定量には、所
の濃度のメタノール水溶液に対するGC測定か
ら作成した検量線を使用した。定量したメタ
ノール量を経過時間に対してプロットし、当
該プロットの傾きから、以下の式(2)により電
解質膜のメタノール透過率(mmol/hr/cm)を求めた
。
メタノール透過率=プロットの傾き(mmol/hr)/S
t2 ・・・(2)
なお、式(2)におけるS、t2は、それぞれ、 解質膜における隔壁部分の面積、およびMCO 評価した直後に測定した、膨潤した電解質 の厚さである。
(実施例1)
PVA(重合度3500)の水溶液(濃度5重量%)と、ポリ
スチレンスルホン酸ナトリウム(PSSNa、重量平
均分子量1000000)の水溶液(濃度5重量%)とを、ポ
リマー重量比でPVA:PSSNa=90:10となるように混合
し、全体が均一になるまで混合液を攪拌し、
前駆体膜を作製するためのキャスト溶液とし
た。
次に、上記のように得たキャスト溶液を 表面がテフロン(登録商標)加工された平坦 基板上にキャスト厚1500μmで塗布し、塗布膜 室温で2日間乾燥させた後、さらに60℃で2時 間乾燥させて前駆体膜を得た。
次に、得られた前駆体膜を熱処理(120℃、 30分)した後、熱処理後の膜を濃度10重量%のグ ルタルアルデヒド溶液(溶媒はアセトン、濃 0.1重量%の硫酸を含む)に室温で8時間浸漬し 、架橋処理した。次に、架橋処理後の膜を オン交換水により洗浄してグルタルアルデ ド溶液を除去した後、濃度0.5モル/Lの硫酸水 溶液中に室温で12時間浸漬して、膜中のPSSNa プロトン型であるポリスチレンスルホン酸(P SS)とした。最後に、硫酸水溶液に浸漬した後 の膜をイオン交換水で洗浄して硫酸を除去し た後、室温で12時間真空乾燥して、架橋PVAを 材とし、水溶性高分子電解質としてPSSを含 電解質膜を得た。
(実施例2)
PVAの水溶液とPSSNaの水溶液とを、ポリマー
量比でPVA:PSSNa=80:20となるように混合した以
は実施例1と同様にして、架橋PVAを基材とし
水溶性高分子電解質としてPSSを含む電解質
を得た。
(実施例3)
PVAの水溶液とPSSNaの水溶液とを、ポリマー
量比でPVA:PSSNa=70:30となるように混合した以
は実施例1と同様にして、架橋PVAを基材とし
水溶性高分子電解質としてPSSを含む電解質
を得た。
(比較例1)
実施例1と同様にして得た前駆体膜を熱処理
(120℃、30分)した後、熱処理後の膜を濃度0.5
ル/Lの硫酸水溶液中に室温で12時間浸漬して
膜中のPSSNaをプロトン型であるPSSとした。
に、硫酸水溶液に浸漬した後の膜をイオン
換水で洗浄して硫酸を除去した後、室温で12
時間真空乾燥して、PVAを基材とし、水溶性高
分子電解質としてPSSを含む電解質膜を得た。
(比較例2)
PVAの水溶液とPSSNaの水溶液とを、ポリマー
量比でPVA:PSSNa=80:20となるように混合した以
は比較例1と同様にして、PVAを基材とし、水
性高分子電解質としてPSSを含む電解質膜を
た。
(比較例3)
PVAの水溶液とPSSNaの水溶液とを、ポリマー
量比でPVA:PSSNa=70:30となるように混合した以
は比較例1と同様にして、PVAを基材とし、水
性高分子電解質としてPSSを含む電解質膜を
た。
(比較例4)
PVA(重合度3500)の水溶液(濃度5重量%)と、ポリ
スチレンスルホン酸ナトリウム(PSSNa、重量平
均分子量1000000)の水溶液(濃度5重量%)と、PEG(
量平均分子量400)の水溶液(濃度7.5重量%)とを
ポリマー重量比でPVA:PSSNa:PEG=40:40:20となるよ
うに混合し、全体が均一になるまで混合液を
攪拌し、前駆体膜を作製するためのキャスト
溶液とした。
次に、上記のように得たキャスト溶液を 表面がテフロン(登録商標)加工された平坦 基板上にキャスト厚1500μmで塗布し、塗布膜 室温で2日間乾燥させた後、さらに60℃で2時 間乾燥させて前駆体膜を得た。
次に、得られた前駆体膜を熱処理(120℃、 30分)した後、熱処理後の膜を濃度10重量%のグ ルタルアルデヒド溶液(溶媒はアセトン、濃 0.1重量%の硫酸を含む)に室温で8時間浸漬し 、架橋処理した。次に、架橋処理後の膜を オン交換水により洗浄してグルタルアルデ ド溶液を除去した後、濃度0.5モル/Lの硫酸水 溶液中に室温で12時間浸漬して、膜中のPSSNa プロトン型であるPSSとした。最後に、硫酸 溶液に浸漬した後の膜をイオン交換水で洗 して硫酸を除去した後、室温で12時間真空乾 燥して、PVAを基材とし、水溶性高分子電解質 としてPSSを含む電解質膜を得た。
(比較例5)
比較例4と同様にして得た前駆体膜を、濃度
10重量%のグルタルアルデヒド溶液(溶媒はア
トン、濃度0.01重量%の硫酸を含む)に室温で8
間浸漬して、熱処理を行うことなく架橋処
した。次に、架橋処理後の膜をイオン交換
により洗浄してグルタルアルデヒド溶液を
去した後、濃度0.5モル/Lの硫酸水溶液中に
温で12時間浸漬して、膜中のPSSNaをプロトン
であるPSSとした。最後に、硫酸水溶液に浸
した後の膜をイオン交換水で洗浄して硫酸
除去した後、室温で12時間真空乾燥して、PV
Aを基材とし、水溶性高分子電解質としてPSS
含む電解質膜を得た。
実施例1~3、比較例1~5に対してイオン交換 量、プロトン伝導度およびメタノール透過 を評価した結果を以下の表1に示す。また、 表1には、パーフルオロカーボンスルホン酸 あるナフィオン115(デュポン社製)からなる電 解質膜(形状は、実施例および比較例の各電 質膜と同一)に対して、実施例および比較例 各サンプルと同様に上記各特性を評価した 果を併せて示す。
なお、表1では、比較例1~5についてメタノ ール透過率が未測定であるが、比較例1~5は、 メタノール水溶液に対する膨潤度が非架橋の PVA単体膜と同程度であったため、PVA単体膜と 同様の非常に大きいメタノール透過率を有す ると考えられる。
表1に示すように、実施例1~3は、比較例1~5 に比べて大きなイオン交換容量を有し、高い プロトン伝導度を示した。特に、実施例3は ナフィオン115からなる電解質膜と同等の高 プロトン伝導度を示した。
また、実施例1~3では、非架橋のPVA単体膜 同様の非常に大きなメタノール透過率を示 と考えられる比較例1~5に比べて、メタノー 遮断特性が改善した。特に、実施例2、3は ナフィオン115からなる電解質膜と比べても さらに優れるメタノール遮断特性を示した
(比較例6)
前駆体膜に対して熱処理および架橋処理を
施する順序を入れ替えた以外は実施例1と同
様にして、電解質膜を作製した。
作製した電解質膜に対して、そのイオン 換容量、プロトン伝導度およびメタノール 過率を評価しようとしたが、得られた膜の 度が著しく低く、評価を実施することがで なかった。架橋処理の際に形成された架橋 によってPVAの結晶化が阻害されたため、PVA 耐水性の向上が十分になされなかったこと 原因と考えられる。また、PVAと水溶性高分 電解質とがマクロ相分離しており、この相 離による膜構造の不均一性の増大も、得ら た膜の強度が著しく低くなった原因と考え れる。
(比較例7)
前駆耐膜に対して熱処理を実施しなかった
外は実施例1と同様にして、電解質膜を作製
した。
作製した電解質膜に対して、そのイオン 換容量、プロトン伝導度およびメタノール 過率を評価しようとしたが、得られた膜の 度が著しく低く、評価を実施することがで なかった。
(実施例4)
実施例1の電解質膜を用いて燃料電池を作製
し、その発電特性を評価した。
実施例1の電解質膜(厚さ60μm)を45mm×45mmのサ ズに切り出し、温度70℃、相対湿度100%の雰 気下に、当該雰囲気と平衡状態になるまで 置した。次に、放置後の電解質膜を、矩形 の窓部(23mm×23mm)を有する一対のガスケット( 圧力の印加による厚さの変化量が少ない材料 であるPTFEからなり、形状は互いに同一)によ 狭持した後、一方の窓部にアノード電極を 他方の窓部にカソード電極を、各電極が電 質膜に接するように嵌め込んだ。両電極に 、カーボンペーパー(東レ製、TGP-H-060)上に 白金担持触媒(田中貴金属製、アノードがTEC6 6E50、カソードがTEC10E50E、白金担持量はどち も4.0mg/cm 2 )とパーフルオロカーボンスルホン酸(デュポ 製、ナフィオンDE-520)との混合物からなる触 媒層が形成されたガス拡散電極を用いた。次 に、電解質膜、電極、ガスケットの積層体を 、燃料または酸化剤の流路となる溝が表面に 形成された一対のカーボンセパレータにより 狭持し、ボルトにより各部材の積層方向に圧 力を印加して、発電特性の評価用セルとした 。セル面積は、ガスケットの窓部の面積と同 じ5.3cm 2 である。なお、積層体をカーボンセパレータ により狭持する際には、セパレータの溝が電 極と接するようにした。また、印加する圧力 は、セパレータとガスケットとの間から燃料 が漏れ出ない程度とした。
このように作製した評価用セルに対し、 料と酸化剤とを供給し、そのI-V特性(電流- 圧特性)を公知の手法により評価した。評価 果を図3に示す。なお、I-V特性の評価条件は 以下のとおりである。セル温:70℃。燃料:純 素、露点70℃、流量100mL/分。酸化剤:空気、 点70℃、流量250mL/分。
図3に示すように、上記作製した評価セルで は、開回路電圧(OCV)が978mV、最大出力密度W MAX が256.5mW/cm 2 (電流密度が427mA/cm 2 のとき)を実現できた。
これとは別に上記作製した評価用セルに し、燃料としてメタノール水溶液を供給し そのI-V特性を評価した。評価結果を図4に示 す。なお、I-V特性の評価条件は以下のとおり である。セル温:70℃、燃料:メタノール水溶 (濃度1モル/L)、流量1.5mL/分。酸化剤:乾燥空 、流量250mL/分。
図4に示すように、燃料にメタノール水溶液 を供給した場合、OCVが753mV、最大出力密度W MAX が55.0mW/cm 2 (電流密度が183mA/cm 2 のとき)を実現できた。
なお、Qiaoらの論文(Jinli Qiao et al., "Life te st of DMFC using poly(ethylene glycol)bis(carboxymethyl )ether plasticized PVA/PAMPS proton-conducting semi-IPNs ", Electrochemistry Communications, Vol. 9, Issue 8, August 2007, pp.1945-1950)によれば、電解質膜と 極との間にプロトン伝導性アイオノマーか なる接着層を配置したときに最大出力密度51 mW/cm 2 が得られている(燃料はメタノール水溶液で る)。セルの構成および発電条件が異なるた に純粋な対比はできないが、実施例1の電解 質膜では、発電特性を向上させる作用を有す るこのような接着層なしに、上記論文に開示 の電解質膜と同等以上の発電特性が得られる ことがわかった。
本発明は、その意図および本質的な特徴 ら逸脱しない限り、他の実施形態に適用し る。この明細書に開示されている実施形態 、あらゆる点で説明的なものであってこれ 限定されない。本発明の範囲は、上記説明 はなく添付したクレームによって示されて り、クレームと均等な意味および範囲にあ すべての変更はそれに含まれる。
本発明の方法により製造された電解質膜 、PEFC(特にメタノールを含む溶液を燃料と るDMFC)に好適に用いることができ、PEFCの発 効率を向上できる他、PVAを電解質膜の基材 することにより、低コストのPEFCの実現も可 となる。
