加藤 淳 (())
HATA, Hideo (())
株式会社神戸製鋼所 (〒85 兵庫県神戸市中央区脇浜町二丁目10番26号 Hyogo, 6518585, JP)
KATOH, Jun (())
加藤 淳 (())
| プーリとエレメント間で動力伝達する無段変速機のプーリであって、C:0.1~0.3質量%、Si:0.1~0.5質量%、Mn:1~10質量%を各々含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼材からなり、この鋼材表面に、Mnを1~10質量%含むとともに、10μm以上の平均厚みを有する窒化層または浸炭窒化層のいずれかの表面硬化層を有することを特徴とする無段変速機用プーリ。 |
| 前記鋼材が更にCrを1~20質量%含むとともに、前記表面硬化層が更にCrを1~20質量%含む請求項1に記載の無段変速機用プーリ。 |
| 前記表面硬化層の窒素含有量が3~25at.%である請求項1または2に記載の無段変速機用プーリ。 |
| 前記表面硬化層の表面硬度がHv750~950である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の無段変速機用プーリ。 |
| 前記表面硬化層の摩擦係数が0.115以上である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の無段変速機用プーリ。 |
本発明は、自動車などの無段変速機用、 でもベルト式無段変速機(ベルトCVT)におい 、エレメントを介してベルトに駆動力を効 よく伝達するプーリ部材に関するものであ 。
ベルトCVTは、自動車の燃費改善のために 自動車への搭載量が次第に増加している。 酸ガス排出量抑制を社会的に強く要求され いる背景もあり、最近では、更にベルトCVT 高効率化する方向で技術開発が進んでいる ベルトCVTは、多層の金属ベルトで束ねたエ メントと呼ばれる多数のブロック状部品を 向する二つのプーリで挟み込み、エレメン -プーリが摺動する際の摩擦力で動力伝達を 行う。従って、プーリ-エレメント間の摩擦 数を上げることによって動力伝達の効率を めることができる。
一方、プーリ-エレメント間の摺動を安定 させる観点から、プーリやエレメントの耐摩 耗性向上も必要であり、高摩擦(係数)でも摩 量が多い(耐摩耗性が劣る)場合には、動力 達性能が次第に低下することが予想される これは、反対に、耐摩耗性が良くても、低 擦(係数)の場合でも同じである。
この様な課題に対して、従来から摩擦摩 特性を改善する技術が提案されている。例 ば、特許文献1に記載されている様に、プー リ表面の粗さを一定の状態に制御することに よって潤滑油の排出性を高め、結果としてプ ーリ-エレメント間に形成される油膜厚さを らして、金属間接触の割合を上げ、摩擦係 を上げる方法が提案されている。
また、特許文献2、3には、ショットブラ トによってプーリなどの接触表面に強い圧 応力を付与して転動疲労強度を改善し、摺 面の耐摩耗性を向上させて高摩擦係数を維 する方法が開示されている。
更に、従来から、この種プーリには、SCr420H
など、Mn、Crを一定量含む機械構造用合金鋼
使用されている。また、特許文献4、5、6に
、C、Si、Mnなどの成分組成を調整して、疲労
強度などの機械的な特性を改善した、プーリ
に用いられる浸炭用鋼が提案されている。
特許文献1は、鋼材表面の硬化とパターン ニングに電子ビーム加工を用いているが、自 動車用部品としては生産性が悪く、コストも 高くなるために、ベルトCVT用プーリとしては 実用性に欠ける問題がある。また、特許文献 2、3の方法によると、ショットブラストで仕 げた鋼材表面の耐摩耗性は確かに向上する 、ベルトCVT用プーリに要求される摩擦係数 向上効果は、依然として不十分である。
ベルトCVT用プーリに要求される、摩擦係 の向上と耐摩耗性の維持は、このように本 相反する要求課題であり、摩擦係数を向上 せるために、エレメント-プーリ間の接触割 合を増やすと、耐摩耗性は低下する傾向が強 い。その為にプーリ表面の硬度を調整したり 、潤滑油を改良したりする努力が工業的にな されているが、潤滑油を含めた好適な組合せ は見つかっていないのが現状である。
したがって、これまでは、上記要求課題 満たすわけではないが、SCr420Hなどの肌焼鋼 に、浸炭焼き入れ焼き戻し処理を行って、研 削仕上げ後に、ベルトCVT用プーリとして使用 してきた。その他、ベルトCVT用プーリには、 SK1~SK7、SCM、SCM440、SCM445、SKD11などの適用も公 知ではある。しかし、上記要求課題を満たす プーリ専用部材の開発はほとんど行われてお らず、ベルトCVT用プーリに要求される、摩擦 係数の向上と耐摩耗性の維持の要求課題を満 たしてはいなかった。
本発明はこのような課題を解決するため なされたものであって、要求される摩擦係 の向上と耐摩耗性の維持の要求課題を満た 、ベルトCVT用プーリを提供することである
この目的を達成するために、本発明の要 は、プーリとエレメント間で動力伝達する 段変速機のプーリであって、C:0.1~0.3質量%、 Si:0.1~0.5質量%、Mn:1~10質量%を各々含み、残部Fe および不可避的不純物からなる鋼材からなり 、この鋼材表面に、Mnを1~10質量%含むととも 、10μm以上の平均厚みを有する窒化層または 浸炭窒化層のいずれかの表面硬化層を有する ことである。
上記目的を達成するために、前記鋼材が にCrを1~20質量%含むとともに、前記表面硬化 層が更にCrを1~20質量%含むことが好ましい。 た、同様に、前記表面硬化層の窒素含有量 3~25at.%であることが好ましい。また、同様に 、前記表面硬化層の表面硬度がHv750~950である ことが好ましい。
本発明で言う、ベルトCVT用プーリに要求 れる摩擦係数の向上とは、定量的には、前 表面硬化層の摩擦係数が0.115以上であるこ が好ましい。
本発明では、実際のプーリ-エレメントの 接触状態を解析して、模擬摺動試験条件を設 定し、その環境における摩擦係数の向上と耐 摩耗性の維持を両立させうるプーリ表面の材 料条件を探索し、本発明に至った。
即ち、本発明では、プーリ表面(プーリ用 鋼材表面)を、Mnを特定量含有する窒化層また は浸炭窒化層のいずれかの表面硬化層とする 。これによって、ベルトCVT用プーリの摩擦係 数を、現状の浸炭SCr420H鋼材に比して向上さ ることが可能となる。また、同時に、エレ ント側の摩耗量も抑えることができ、実用 耐える耐摩耗性を維持できる。即ち、要求 れる摩擦係数の向上と耐摩耗性の維持の要 課題を満たす、ベルトCVT用プーリを提供で る。
窒化層または浸炭窒化層へのMnの特定量 含有が、プーリ表面(プーリ用鋼材表面)の摩 擦係数の向上に寄与する機構は必ずしも明ら かではない。しかし、プーリとエレメント表 面の摺動部に生成する境界潤滑膜中に、Mnが り込まれていることを確認しており、プー 表面(プーリ用鋼材表面)の摩擦係数の向上 、窒化層または浸炭窒化層中のMnが寄与して いることは明確である。したがって、窒化層 または浸炭窒化層中のMnが、摩擦摩耗挙動に く影響する境界潤滑膜の構造特性を変える とによって、摩擦係数の向上と耐摩耗性の 持を両立させている可能性がある。
(鋼材成分組成)
本発明の無段変速機プーリを構成する鋼材
、成分限定理由について以下に説明する。
下、あるいは前記した各元素量の表示単位
全て質量%である。
本発明の無段変速機プーリを構成する鋼 は、プーリとしての必要強度などの機械的 特性を満たすとともに、摩擦係数の向上と 摩耗性の維持を両立させるために、C:0.1~0.3 量%、Si:0.1~0.5質量%、Mn:1~10質量%を各々含み 残部Feおよび不可避的不純物からなるものと する。
C:0.1~0.3質量%
Cはプーリとしての必要強度などの機械的な
特性を満たす。C含有量が少なすぎると、Cの
溶強化が不足して、強度が低下する他、焼
性も低下する。一方で、C含有量が多すぎる
とプーリへの加工性が低下する。したがって
、C含有量は0.1~0.3質量%の範囲とする。好まし
くは、C含有量は0.15~0.25質量%である。
Si:0.1~0.5質量%
Siはプーリとしての必要強度などの機械的
特性を満たし、脱酸効果もある。Si含有量が
少なすぎると、Siの固溶強化が不足して、強
が低下する他、脱酸効果も低下する。0.05%
満ではその効果が過小である。一方で、Si含
有量が多すぎるとプーリへの加工性が低下す
る。したがって、Si含有量は0.1~0.5質量%の範
とする。
Mn:1~10質量%
Mnは、ベルトCVT用プーリの表面硬化層の摩
係数を、現状の浸炭SCr420H鋼材に比して、摩
係数で0.115以上に向上させ、同時に、エレ
ント側の摩耗量も現行の現状の浸炭SCr420H鋼
と同等以下に抑えることが出来る、重要合
元素である。前記した通り、鋼材中のMnは
この鋼材の窒化処理または浸炭窒化処理の
ずれかの表面硬化処理によって、プーリ表
(鋼材表面)に形成される、窒化層または浸炭
窒化層のいずれかの表面硬化層に含有されて
、これらの効果を発揮する。
Mnがこれらの効果を発揮する、即ち、鋼 表面に形成される前記表面硬化層にMnが1質 %以上含有されるためには、鋼材中のMn含有 を1質量%以上とする必要がある。鋼材中のMn 有量が1質量%未満では、鋼材の窒化処理ま は浸炭窒化処理の表面硬化処理によっても 鋼材表面に形成される前記表面硬化層にMnを 1質量%以上含有させることができない。言い えると、ベルトCVT用プーリの摩擦係数を0.11 5以上に向上させ、同時に、実用に耐える耐 耗性を維持することができない。
一方、鋼材中のMn含有量が10質量%を超え と、鋼材表面に形成される前記表面硬化層 Mn含有量も10質量%を超えて高くなりすぎ、摩 擦係数の向上効果が得られず、エレメント側 の摩耗量が増大する傾向が強くなる。即ち、 鋼材中のMn含有量が1~10質量%の本発明範囲を 下に外れる場合には、摩擦係数の向上効果 得られず、エレメント側の摩耗量が増大す 。ここで、エレメント摩耗量が増大する(相 攻撃性が増す)問題は、Mn含有量が少ない場 により顕著である。
ここで、後述する実施例の通り、Mn含有 が3質量%の場合、Mn含有量が、それ未満やそ を超える他の発明例に比して、表面硬化層 摩擦係数が0.120と高い摩擦係数を有する。 の点から、表面硬化層の摩擦係数向上硬効 は、Mn含有量に比例して向上するのではなく 、Mn含有量が3質量%付近で極大値を示す。し がって、ベルトCVT用プーリの使用環境の違 によらず、Mnの効果をより安定して発揮させ るためには、鋼材中のMn含有量を、この3質量 %近傍の2~6質量%の含有量範囲とすることが好 しい。
Mn含有量が6質量%を超えた場合には、6質 %以下の摩擦係数の向上効果に比してあまり 差なく、ベルトCVT用プーリの使用環境によ ては、摩擦係数の向上効果はあるものの、 って、6質量%以下の摩擦係数の向上効果よ も低下する可能性がある。この点、Mn含有量 が増すコスト増や製造コスト増も考慮すると 、Mn含有量は6質量%以下とすることが好まし 。したがって、好ましい鋼材中のMn含有量範 囲、好ましい表面硬化層のMn含有量範囲は、2 ~6質量%である。
Cr:1~20質量%
鋼材がMnに加えて、更にCrを1~20質量%選択的
含むとともに、これによって、前記表面硬
層がMnに加えて、更にCrを1~20質量%含むこと
好ましい。Crの複合添加(含有)によって、更
なる摩擦係数の向上効果を得ながら、エレメ
ントの耐摩耗性を改善(相手攻撃性を抑制)す
ことが可能である。Crのこの様な効果は、Mn
よりも炭化物や窒化物を生成しやすいことが
寄与していると推考される。この効果は、好
ましくはCrを2質量%以上含有する場合に顕著
あり、現行材とほぼ同等あるいは同等以上
耐摩耗性を得ることができる。
一方、鋼材中や前記表面硬化層中のCr含 量が20質量%を超えて過大となると、却って 擦係数が低下して、Mnの添加乃至含有効果が 相殺される傾向が強くなる。また、プーリ表 面の硬度がやや低下して、プーリの摩耗量が わずかであるが増加する傾向が強くなる。従 って、Cr含有量は20質量%以下に抑えるべきで り、摩擦係数の向上効果を損なわないため は、好ましくは10質量%以下に抑えることが ましい。
したがって、鋼材中と前記表面硬化層中 Cr含有量は、1~20質量%の範囲であることが好 ましく、より好ましくは2~10質量%の範囲とす 。
本発明プーリは上記元素を基本成分とし 残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼材 らなる。但し、通常の浸炭用鋼材、窒化用 材スクラップを溶解原料とした場合、これ 鋼材が含むような下記元素を不可避的不純 元素として含む可能性が高く、極力低減す ことはコストアップとなる。したがって、 発明では、鋼材中に、本発明の効果を阻害 ない範囲で、下記元素を不可避的不純物元 として、下記含有量だけ各々含んでよい。Ti :0.050%以下、N:0.0250%以下、Al:0.10%以下、Ni、Cu Moの合計で2.0%以下、B:0.0050%以下、V:0.10%以下 Nb:0.10%以下、Ca:0.0050%以下、Mg:0.0050%以下、Zr: 0.050%以下、REM:0.020%以下、S:0.10%以下、P:0.10%以 下、O:0.0030%以下。
(鋼材製造方法)
以上の成分組成からなる、本発明の無段変
機用プーリ用の鋼材自体は、通常の浸炭用
材、窒化用鋼材と同じ常法によって製造で
る。即ち、以上の成分組成からなる鋼片鋳
後に、熱間圧延、熱間鍛造等の熱間加工、
らに冷間圧延、冷間鍛造等の冷間加工を常
に従って適宜施す。これらの加工により粗
状に加工された部材は、その後、窒化処理
浸炭窒化処理が施され、無段変速機用プー
への仕上加工が適宜施される。
(表面硬化層)
鋼材の表面硬化処理としては、後述する、
在工業的に行われている窒化、浸炭窒化な
の処理方法を適用することができる。これ
の窒化、浸炭窒化などの処理によって、前
成分組成からなる鋼材表面に、Mnを1~10質量%
含むとともに、更にCrを選択的に1~20質量%含
、10μm以上の平均厚みを有する窒化層または
浸炭窒化層のいずれかの表面硬化層を形成す
る。表面硬化層の厚みは、好ましくは50μm以
、より好ましくは100μm以上である。表面硬
層の厚みの上限は特に限定されず、鋼材の
命及びコストから任意に設定することが可
である。
鋼材の表面硬化処理として、浸炭ではなく 窒化、浸炭窒化などの処理が摩擦係数の向 効果の点で優位なのは、窒化もしくは浸炭 化によって、鋼材表面近傍(表面硬化層)に 成する、Mn 3 NなどのMn系窒化物や、CrNどのCr系窒化物が摩 係数向上により寄与するためと推考される
(表面硬化層硬度)
ベルトCVT用プーリの摩擦係数を0.115以上と
現状の浸炭SCr420H鋼材に比して向上させ、同
に、エレメント側の摩耗量も現行の現状の
炭SCr420H鋼材と同等以下に抑えるために、表
面硬化処理後の表面硬化層の表面硬度の目安
はHv750~950の範囲であることが好ましい。Hv750
満ではプーリ表面の耐摩耗性が不十分とな
可能性がある。一方、Hv950を超えるとエレ
ント摩耗量の増加傾向が強くなる可能性が
る。
(表面硬化層厚み)
表面硬化層として、ベルトCVT用プーリの使
環境の違いによらず、MnやCrの前記摩擦係数
向上効果をより安定して発揮させるためには
、表面硬化層が10μm以上の平均厚み(表面から
の深さ)を有する必要がある。表面硬化層の
均厚みが10μm未満では、ベルトCVT用プーリの
使用環境によっては、MnやCrの前記摩擦係数
上効果をより安定して発揮できない。この
面硬化層の平均厚みは、上記表面硬化層硬
を保証するためでもある。
(表面硬化層窒素含有量)
ベルトCVT用プーリの摩擦係数を0.115以上と
現状の浸炭SCr420H鋼材に比して向上させ、同
に、エレメント側の摩耗量も現行の現状の
炭SCr420H鋼材と同等以下に抑えるために、表
面硬化処理後の表面硬化層の窒素含有量の目
安は3~25at.%の範囲であることが好ましく、8~20
at.%の範囲であることがより好ましい。窒素
有量が3at.%未満では、表面硬化層のMn、Cr含
量が規定を満たしても、窒素が不足して、
記Mn系窒化物やCr系窒化物が不足して、硬度
低くなり、プーリ表面の摩擦係数向上や耐
耗性が不十分となる可能性がある。一方、
素含有量が25at.%を超えると、表面硬度が高
なりすぎ、エレメント摩耗量の増加傾向が
くなる可能性がある。また、窒化処理のコ
トが増加する。
これら表面硬化層の窒素濃度は、硬化層 面からのEPMA(電子線マイクロプローブによ 微小部X線マイクロ分析法)による定量分析に よって得ることが出来る。
(表面硬化処理)
現在工業的に行われている窒化処理として
、鋼材を、アンモニア(NH 3
)ガス雰囲気下で、500~600℃×1~100hr程度処理す
。また、浸炭窒化処理は、メタンなどの炭
水素ガスやCOガス雰囲気下で900~1000℃×1~100hr
程度の浸炭処理後の冷却過程で、500~600℃×50~
100hr程度窒化処理する。
この窒化もしくは浸炭窒化処理鋼材で、 層と呼ばれる窒化物層が表面に生成する場 には、その層を切削や研磨などの表面加工 よって薄く除去する方が好ましい。その場 、表面の窒素濃度は20at.%以下になることが いので注意する。
窒化もしくは浸炭窒化処理鋼材では、窒 深さ(硬化層厚み)に注意すべきであり、硬 処理条件に応じた窒化深さや表面硬度など 分布を予備的に把握して、範囲内であるこ を確認した後に、表面仕上げを行う。その 、窒化もしくは浸炭窒化処理鋼材を焼き入 焼き戻し処理する。
次に、実施例を挙げて本発明をより具体 に説明するが、本発明はかかる実施例によ て限定的に解釈されるものではない。
表1に示すように、Mn、Cr含有量を種々変 た化学成分の鋼材表面に、同じ処理条件で 化処理または浸炭窒化処理して、窒化層ま は浸炭窒化層のいずれかの表面硬化層を形 し、これらの各表面硬化層の摩擦係数と耐 耗性とを測定、評価した。これらの結果も 1に示す。
同時に、これらの各表面硬化層の、平均 み(μm)、窒素含有量(平均、at.%)、表面硬度( 均、Hv)を測定した。これらの結果も表1に示 す。
表1の各鋼材とも、その他の不純物として 、Ti、N、Al、Ni、Cu、Mo、B、V、Nb、Ca、Mg、Zr、 REM、S、P、Oの合計量は0.15%以下であった。
鋼材は、図1に示すディスク1A形状に加工 、下記条件で表面硬化処理した後、薄く表 研削して表面粗度Ra0.7~1.3μmに仕上げた。そ て、875℃の温度に加熱した後に水焼入を行 、200℃×1hrの焼き戻し処理を行い、試験用 鋼材を得た。
(表面硬化処理)
窒化処理:鋼材をアンモニア(NH 3
)ガス雰囲気下で、540~550℃×72hr処理した。
浸炭窒化処理:メタンなどの炭化水素ガス雰
囲気下で、950℃×50hrの浸炭処理後、その冷却
過程で500℃×3hrアンモニア(NH 3
)ガスを流して窒化処理した。
(ベーンオンディスク型摺動試験)
上記得た試験用の鋼材(ディスク1A形状)を、
摺動相手材として、図1に示す円盤型のベー
2Aによって、ベーンオンディスク型の摺動摩
耗試験をCVT油中で行った。そして、油中摩擦
係数(潤滑油中での摩擦係数)を測定した。ま
、ディスク1A側とベーン2A側との摩耗料量を
測定した。
ベーン2Aは、SK5(硬度:HRC57~59、先端R4mm、鏡 面化)を用いた。摺動試験条件は、荷重を100N 300m摺動後、荷重を500Nに上げて1000m摺動させ た。摺動速度は0.7mm/sと一定にし、市販CVT油 して、温度100℃の日産自動車純正油、商品 :NS2)を用いた。
(摩擦係数測定)
摺動試験終了前50mでのディスク1Aの摩擦係
μを平均化処理して算出した。摩擦係数μの
定には、神鋼造機社製、自動摩擦係数測定
置(商品名:3ピン型油中基礎摺動摩耗試験機)
を用いた。
(摩耗量測定)
ベーン摩耗量は、摺動試験終了後、先端摩
幅の平均値を測定し、比摩耗量に換算して
出した。ディスク摩耗量は、摺動試験終了
、摺動痕の摩耗断面積を触針式粗さ計で4カ
所測定し平均化した。
(摩擦係数、耐摩耗性の評価)
摩擦係数、耐摩耗性の評価は、比較として
現行材であるSCR420材を同様に表面硬化処理
たものを基準として行った。即ち、耐摩耗
が現行材SCR420材と同等あるいは向上しても
摩擦係数が現行材SCR420材と同等か低い例を
と評価した。また、耐摩耗性が現行材SCR420
と同等あるいは向上しており、摩擦係数が
行材SCR420材よりも高くなった例を○と評価
た。そして、この○の内で摩擦係数が0.120以
上に向上した例を◎と評価した。
(表面硬度)
上記得た試験用の鋼材表面(硬化層表面、摺
動試験前)の硬さを、松沢精機社製のマイク
ビッカース硬度計(商品名「微小硬度計」)に
て、10gの荷重を加えて3箇所測定し、硬度HVは
それらの平均値とした。
(表面硬化層の窒素量)
EPMAによって表面硬化層表面の窒素濃度(at.%)
を定量分析した。EPMAの測定条件は、加速電
:10kV、電流:2~5x10 -8
A、測定エリア:100μm角とした。測定は3カ所行
い、窒素濃度はその平均とした。表面硬化層
のMnとCrの含有量は、母材のMnとCrの含有量と
じく発光分光分析により行った。測定は3カ
所行い、含有量はその平均とした。
表1から分かる通り、発明例1~22は、本発 範囲内の成分組成を有して、MnあるいはMnとC rを所定量含み、この鋼材表面に、Mnあるいは MnとCrを所定量含むとともに、10μm以上の平均 厚みを有する窒化層または浸炭窒化層のいず れかの表面硬化層を有する。発明例の表面硬 化層は、窒素含有量が3~25at.%の範囲である。 して、発明例の表面硬化層は、表面硬度がH v750~950の範囲である。
この結果、発明例1~22は、表面硬化層の摩 擦係数が0.115以上であり、現行材(比較例23、2 4)を上回る摩擦係数を安定して得ることがで 、耐摩耗性もほぼ同等に維持あるいは改善 ることができている。この中でも、特に、 明例3、17は、Mn含有量が3質量%で、Mn含有量 、それ未満やそれを超える他の発明例に比 て、表面硬化層の摩擦係数が0.120と高い摩 係数を有する。また、Mn含有量が3質量%でCr 含まない発明例20も、比較的摩擦係数が高い 。この点から、表面硬化層の摩擦係数向上硬 効果は、Mn含有量に比例して向上するのでは く、Mn含有量が3質量%付近で極大値を示すこ とが分かる。
なお、現行材(比較例23、24)の摩擦係数0.11 4に対して、摩擦係数を0.001向上させるだけで (摩擦係数を0.115とするだけで)、ベルトCVT用 ーリの動力伝達の効率を高めることができ 。この点、現行材(比較例23、24)の摩擦係数0. 114に対して、発明例3、17が摩擦係数0.120と、0 .006も高めることは、ベルトCVT用プーリの動 伝達の効率(動力伝達性能)を著しく高めるこ とができることを意味する。
これに対して、現行材(比較例23、24)は、 摩耗性を向上できても、表面硬化層の摩擦 数を向上できず、これら両特性を兼備でき いない。この点は、Mn含有量が少なすぎる 較例25、26、逆に、Mn含有量が多すぎる比較 27、28も同様である。
したがって、これらの結果から、本発明 ルトCVT用プーリの鋼材要件の意義が裏付け れる。
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参 して説明したが、本発明の精神と範囲を逸 することなく様々な変更や修正を加えるこ ができることは当業者にとって明らかであ 。本出願は2006年8月30日出願の日本特許出願 (特願2006-234055に基づくものであり、その内容 はここに参照として取り込まれる。
以上説明したように、本発明によれば、 ルトCVTとして要求される摩擦係数の向上と 摩耗性の維持の要求課題を満たし、両特性 兼備するプーリを提供することができる。
Next Patent: SURFACE-EMISSION LASER DIODE, SURFACE-EMISSION LASER DIODE ARRAY, OPTICAL SCANNING APPARATUS AND IMA...
