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Patent Searching and Data


Title:
PUMPING APPARATUS AND PUMPING METHOD
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/008128
Kind Code:
A1
Abstract:
A pumping apparatus and a pumping method for distributing a solution while changing components of the solution sequentially. A chamber chip (17) includes an injection chamber (21), a branch chamber (22), post-branch chambers (23A, 23B), a guide channel (24), and post-branch channels (25A, 25B). When rotation about a rotary shaft (13) reaches some rotational speed, centrifugal force exceeds capillary force and thereby the solution in the injection chamber (21) flows into the branch compartment (29A) of the branch chamber (22) through the guide channel (24). Even after the branch compartment (29A) is filled with the solution, the solution is supplied from the injection chamber (21) into the branch compartment (29A). The solution passes through the clearance (28) between the tip of a barrier (22c) and the wall face (22a) and flows from the branch compartment (29A) into an adjacent branch compartment (29B).

Inventors:
OZAKI NOBUHIKO
SUGIHARA HIROKAZU
YUKIMASA TETSUO
Application Number:
PCT/JP2008/001640
Publication Date:
January 15, 2009
Filing Date:
June 24, 2008
Export Citation:
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Assignee:
PANASONIC CORP (JP)
OZAKI NOBUHIKO
SUGIHARA HIROKAZU
YUKIMASA TETSUO
International Classes:
G01N35/10; G01N37/00
Foreign References:
JP2000514928A2000-11-07
JP2004529333A2004-09-24
JP2007078676A2007-03-29
Attorney, Agent or Firm:
WASHIDA, Kimihito (Shintoshicenter Bldg.24-1, Tsurumaki 1-chom, Tama-shi Tokyo 34, JP)
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Claims:
 回転中心を有する回転可能な回転基体と、前記回転中心まわりに前記回転基体を回転させる回転駆動部とを備え、前記回転基体に導入された溶液の一定量を段階的に送液させる送液装置であって、
 前記回転基体には、
   1)注入口を除いて空間的に閉じられた容積V1の注入チャンバと、
   2)前記注入チャンバよりも前記回転中心から離れた位置に設けられ、空気口を除いて空間的に閉じられた分岐チャンバであって、
     回転中心側の第1壁面と、前記第1壁面と対向する遠心側の第2壁面と、前記第2壁面から前記第1壁面へ向かって延びる1つ以上のn個の障壁とを備え、
     前記n個の障壁によって(n+1)個の分岐室に区画され、互いに隣接する前記分岐室は前記障壁の先端と前記第1壁面との間の隙間を介して互いに連通し、
     前記(n+1)個の分岐室の第1~第n番目の分岐室の合計容量V2は、前記注入チャンバの容量V1よりも小さい分岐チャンバと、
   3)前記分岐チャンバよりも前記回転中心から離れた位置に設けられ、空気口を除いて空間的に閉じられた分岐後チャンバと、
   4)前記注入チャンバと前記分岐チャンバとを接続する誘導流路であって、
     前記注入チャンバと接続し、毛細管力によって前記注入チャンバ内の溶液を保持しうる第1端部と、
     前記分岐チャンバの前記第1壁面に接続し、前記分岐チャンバの第1分岐室と対向する第2端部を有する誘導流路と、
   5)前記分岐チャンバと前記分岐後チャンバとを接続する分岐後流路であって、前記分岐チャンバと接続する端部は毛細管力によって前記分岐チャンバ内の溶液を保持しうる分岐後流路と、が形成され、
 前記第2端部と前記障壁の壁面が、純水との静止接触角において40°以上130°以下の疎水性を有し、かつ前記隙間が1.3mm以上である、送液装置。
 前記2以上の分岐室のうちの1以上の分岐室に、前記溶液の成分を変化させる試薬が配置されている、請求項1に記載の送液装置。
 前記2以上の分岐室のうちの1以上の分岐室に、別個の前記分岐後流路が接続され、かつ
 前記分岐後流路のそれぞれは、別個の前記分岐後チャンバに接続している、請求項1に記載の送液装置。
 前記2以上の分岐室のうちの前記第1分岐室を除く分岐室のそれぞれに、別個の前記分岐後流路が接続され、
 前記分岐後流路のそれぞれは、別個の前記分岐後チャンバに接続しており、かつ
 前記誘導流路の前記第2端部からの遠心方向への延長線と、前記第1分岐室とそれに隣接する分岐室とを区画する障壁との距離が、1mm~8mmである、請求項1に記載の送液装置。
 溶液を定量して、かつ定量された溶液を段階的に送液する送液方法であって、
 請求項1に記載の回転基体を準備するステップ、
 前記注入口から前記注入チャンバに溶液を注入するステップ、
 前記回転基体を第1回転速度で回転させて、前記誘導流路の第1端部の溶液に、その毛細管力を上回る遠心力を作用させて、前記注入チャンバ内の溶液を、前記誘導流路を介して前記分岐チャンバの第1分岐室に流入させるステップ、
 前記第1分岐室が溶液で満たされた後も、前記回転基体を前記第1回転速度で回転させて、前記注入チャンバの溶液を前記第1分岐室に供給して、前記第1分岐室の溶液を、前記隙間を通して隣接する他の前記分岐室へ流入させるステップ、および
 前記回転基体を前記第1回転速度よりも速い第2回転速度で回転させ、前記分岐後流路の前記端部の溶液に、その毛細管力を上回る遠心力を作用させて、前記分岐チャンバの溶液を、前記分岐後流路を介して前記分岐後チャンバに流入させるステップ、を含む送液方法。
 溶液を定量して、定量された溶液を試薬と段階的に反応させる反応方法であって、
 請求項2に記載の回転基体を準備するステップ、
 前記注入口から前記注入チャンバに溶液を注入するステップ、
 前記回転基体を第1回転速度で回転させ、前記誘導流路の第1端部の溶液に、その毛細管力を上回る遠心力を作用させて、前記注入チャンバ内の溶液を、前記誘導流路を介して前記分岐チャンバの第1分岐室に流入させるステップ、
 前記第1分岐室が満たされた後も、前記回転基体を回転させて、前記第1分岐室に供給された溶液を、前記隙間を通して隣接する他の前記分岐室へ流入させ、さらに所定の時間回転基体を回転させるステップ、
 前記回転基体を、前記第1回転速度よりも速い第2回転速度で回転させ、前記分岐後流路の前記端部の溶液に、その毛細管力を上回る遠心力を作用させて、前記分岐チャンバの溶液を、前記分岐後流路を介して前記分岐後チャンバに流入させるステップ、を含む反応方法。
 血液試料から血球成分を取り除いて、一定量の血漿成分を得る方法であって、
 請求項4に記載の回転基体を準備するステップ、
 前記注入口から前記注入チャンバに血液試料を注入するステップ、
 前記回転基体を第1回転速度で回転させ、前記誘導流路の第1端部の前記血液試料に、その毛細管力を上回る遠心力を作用させて、前記注入チャンバ内の前記血液試料を、前記誘導流路を介して前記分岐チャンバの第1分岐室に流入させるステップ、
 前記第1分岐室が血液試料で満たされる前に、前記回転基体を前記第1の回転速度より遅い第2の回転速度で回転させ、前記第1分岐室内の血液試料の血球を前記第2の面に沈降させて血漿を分離するステップ、
 前記第1分岐室で分離された血漿を、前記隙間を通して前記第1分岐室から隣接する他の前記分岐室へ流入させるステップ、
 前記回転基体を前記第2回転速度よりも速い第3回転速度で回転させ、前記分岐後流路の前記端部の前記血漿に、その毛細管力を上回る遠心力を作用させて、前記分岐チャンバの溶液を、前記分岐後流路を介して前記分岐後チャンバに流入させるステップ、を含む方法。
 回転中心を有する回転基体であって、
 1)注入口を除いて空間的に閉じられた、容積V1の注入チャンバと、
 2)前記注入チャンバよりも回転中心から離れた位置に設けられ、空気口を除いて空間的に閉じられた分岐チャンバであって、
   回転中心側の第1壁面と、前記第1壁面と対向する遠心側の第2壁面と、前記第2壁面から前記第1壁面へ向かって延びる1つ以上のn個の障壁とを備え、
   前記n個の障壁によって(n+1)個の分岐室に区画され、互いに隣接する前記分岐室は前記障壁の先端と前記第1壁面との間の隙間を介して互いに連通し、
   前記(n+1)個の分岐室の第1~第n番目の分岐室の合計容量V2は、前記注入チャンバの容量V1よりも小さい分岐チャンバと、
 3)前記分岐チャンバよりも前記回転中心から離れた位置に設けられ、空気口を除いて空間的に閉じられた分岐後チャンバと、
 4)前記注入チャンバと前記分岐チャンバとを接続する誘導流路であって、
   前記注入チャンバと接続し、毛細管力によって前記注入チャンバ内の溶液を保持しうる第1端部と、
   前記分岐チャンバの前記第1壁面に接続し、前記分岐チャンバの前記第1分岐室と対向する第2端部を有する誘導流路と、
 5)前記分岐チャンバと前記分岐後チャンバとを接続する分岐後流路であって、前記分岐チャンバと接続する端部は毛細管力によって前記分岐チャンバ内の溶液を保持しうる分岐後流路と、を備え、
 前記第2端部と前記障壁の壁面が、純水との静止接触角において40°以上130°以下の疎水性を有し、かつ前記隙間が1.3mm以上である、回転基体。
Description:
送液装置及び送液方法

 本発明は、回転基体に形成された微小流 部位において、溶液を送液するための送液 置、およびその装置を用いた送液方法に関 る。

 近年、診療所や家庭でのPOCT(Point of care  test:その場診断)用途の健康診断チップとして 使用される種々のバイオセンサが開発されて いる。これらのバイオセンサの多くは、マイ クロタス(μ-TAS:Micro Total Analysis System)と呼ば れる微小流路構造を有するカード型デバイス である。このようなカード型デバイスのバイ オセンサ等において、向心力または遠心力を 利用して、微少な試料溶液を計量分配し、分 配された溶液を送液する送液装置が開示され ている(特許文献1参照)。以下、図1を参照し 特許文献1の送液装置を説明する。

 図1の送液装置は回転可能な基板1を備える 基板1は、注入チャンバR3;第1試料チャンバR4; オーバーフローチャンバR5;第2試料チャンバR6 ;第1試料チャンバR4と第2試料チャンバR6を接 する毛管通路X4を含む。第1試料チャンバR4と 移動毛管通路X2が、試料の量を画定するセグ ントとなる。
 試料をセグメントから第1試料チャンバR4に すための移動毛管通路X2;注入チャンバR3と 1試料チャンバR4の間に設定される分岐ポイ ト;分岐ポイントとオーバーフローチャンバR 5を繋ぐオーバーフロー毛管通路X3;R3から分岐 ポイントまでの毛管通路X1;第1試料チャンバR4 への均一な試料の移動を防ぐための、移動通 路内に配置された毛管ストッパ;チャンバR3~R6 からの空気抜き用のチャンネルV1~V3が設けら ている。

 注入チャンバR3に注入された試料溶液はR3 に溜まる。基板1を第1回転速度で回転させる 、R3に溜まる溶液は、毛管通路X1および移動 毛管通路X2を流れ、毛管ストッパを超えて第1 試料チャンバR4に流入する。第1試料チャンバ R4の容積以上の溶液が流入すると、余剰溶液 セグメントで規定された移動毛管通路X2を たし、分岐ポイントまで達する。液面が分 ポイントを超えると、余剰溶液はオーバー ロー毛管通路X3に流入し、オーバーフローチ ャンバR5に溜まっていく。

 R3内の溶液の全てが、第1試料チャンバR4 たはオーバーフローチャンバR5に分配された 後に、第1回転速度よりも大きい第2回転速度 基板1を回転させる。すると、セグメントで 計量された溶液が第2試料チャンバR6へ流入す る。このように、基板1の回転速度を適宜に 作することで、試料溶液を計量分配して、 2試料チャンバR6に送液することができる。

 特許文献1に開示された構成では、オーバー フローチャンバR5の下流側に試料チャンバは 続されていない。よって、一旦オーバーフ ーチャンバR5に溜まった溶液を利用するこ はできない。また、オーバーフローチャン R5に流入する溶液は、注入チャンバR3から第1 試料チャンバR4に一旦溜まることなく、オー ーフローチャンバR5に直接流入した溶液で る。毛管通路X1の幅は約10~500μm;深さは5μmで るため、セグメントで計量される以上の溶 は、毛管通路X1からオーバーフロー毛管通 X3へとひと続きに連続で流れていくためであ る。

特表2005-518531号公報

 特許文献1に示された構成では、セグメン トで計量された溶液(試料溶液)を分配して送 することができる。しかしながら、計量さ た溶液に何らかの処理(例えば、試薬との反 応や、固形成分の遠心分離除去)を施した後 、その処理後の溶液を分配することはでき い。本発明の課題は、溶液を計量分配する けでなく、計量された溶液に何らかの処理 施したり、何らかの処理を受けた後の溶液 分配したりすることができる、送液装置を 供することである。

 本発明の第1の態様は、以下に示す送液装置 、およびそれを用いた送液方法に関する。[1] 第1の態様の送液装置は、回転中心を有する 転可能な回転基体と、前記回転中心まわり 前記回転基体を回転させる回転駆動部とを える送液装置であって、回転基体には、1)注 入チャンバと、2)分岐チャンバと、3)分岐後 ャンバと、4)誘導流路と、5)分岐後流路とが 成される。
 1)注入チャンバ(容積V1)は、注入口を除いて 間的に閉じられている。2)分岐チャンバは 注入チャンバよりも回転中心から離れた位 に設けられており、空気口を除いて空間的 閉じられている。また分岐チャンバは、回 中心側の第1壁面と、第1壁面と対向する遠心 側の第2壁面と、第2壁面から前記第1壁面へ向 かって延びる1つ以上のn個の障壁とを備えて る。障壁の壁面は、純水との静止接触角に いて40°以上130°以下の疎水性を有すること 特徴とする。このn個の障壁によって、分岐 チャンバは(n+1)個の分岐室に区画されており 互いに隣接する分岐室は、各障壁の先端と 1壁面との間の隙間を介して互いに連通して いる。ここで隙間は1.3mm以上であることを特 とする。さらに、(n+1)個の分岐室の第1~第n 目の分岐室の合計容量V2は、前記注入チャン バの容量V1よりも小さい。3)分岐後チャンバ 、分岐チャンバよりも回転中心から離れた 置に設けられ、空気口を除いて空間的に閉 られている。4)誘導流路は、注入チャンバと 分岐チャンバとを接続している。また誘導流 路は、注入チャンバと接続する第1端部と、 岐チャンバの第1壁面に接続する第2端部とを 有する。第1端部は、毛細管力によって前記 入チャンバ内の溶液を保持する。また第2端 は、分岐チャンバの第1分岐室と対向してお り、第2端部の表面は、純水との静止接触角 おいて40°以上130°以下の疎水性を有するこ を特徴とする。注入チャンバに流入された 液は、誘導流路を介して、第2端部から第1分 岐室に流入する。5)分岐後流路は、分岐チャ バと分岐後チャンバとを接続する。分岐後 路の、分岐チャンバと接続する端部は、毛 管力によって前記分岐チャンバ内の溶液を 持する。

 前記[1]の回転基体の注入チャンバに注入さ た溶液を分岐チャンバで分配して、分配さ た溶液を送液することができる。
 つまり、まず[1]に記載の回転基体の注入チ ンバに、注入口から溶液を注入する。注入 れた溶液は、誘導流路の第1端部の毛細管力 によって、注入チャンバ内に保持される。

 次に、回転基体を第1回転速度で回転させ て、誘導流路を介して注入チャンバ内の溶液 を分岐チャンバの第1分岐室に流入させる。 のとき、誘導流路の第1端部の溶液には、そ 毛細管力を上回る遠心力が作用する。誘導 路の第2端部の表面が、疎水性(純水との静 接触角において40°以上130°以下)を有するの 、第2端部から液滴形状の溶液が第1分岐室 と飛翔する。

 第1分岐室が溶液で満たされた後も、回転 基体を第1回転速度で回転させて、注入チャ バの溶液を第1分岐室に供給する。その結果 第1分岐室の溶液が、隙間を通って隣接する 他の分岐室へ流入する。つまり第1分岐室の 液は、障壁を乗り超えてオーバーフローす ことにより、第1分岐室から隣接する他の分 室へ供給される。障壁の壁面が疎水性(純水 との静止接触角において40°以上130°以下)を するので、第1分岐室に溜まった溶液の体積 、第1分岐室の容積で規定される。その結果 、第1分岐室には規定容量の溶液が蓄えられ 。

 一方、障壁の壁面が親水性(例えば、純水と の静止接触角において40°以下)であると、障 と接触した溶液は、毛細管現象により、自 的に障壁の周囲を濡らすので、第1分岐室内 の溶液が次の分岐室へ流入する。よって、第 1分岐室に溜まった溶液の容量を、第1分岐室 容積で規定することができない。
 本発明の送液装置のように、障壁の壁面が 水性を有すると、第1分岐室から次の分岐室 に溶液が溢れる前に、第1分岐室に溜まる溶 の液面は障壁を濡らさない。そのため、第1 岐室に溜まる溶液の液面は凸形状に盛り上 る。

 第1分岐室に溜まる溶液の液面は凸形状に 盛り上がるため、前記隙間が1.3mm以下である 、盛り上がった液面が第1壁面に接触する。 すると、第1壁面に設けられた誘導流路の第2 部の溶液と、第1分岐室内の溶液が液通する 。液通により、注入チャンバの溶液は、第1 岐室に流入することなく、障壁を超えてそ まま第1分岐室に隣接する分岐室(第2分岐室) 流入する。一方、本発明の送液装置のよう 、隙間が1.3mm以上あると、盛り上がった液 も第1壁面に接触することができない。その め、第2端部から液適様に溶液は飛翔する。 よって注入チャンバの溶液は、第1分岐室内 溶液と空間を隔てて分割されたままとなる つまり、注入チャンバの溶液の全ては、一 第1分岐室に流入してから次の分岐室(第2分 室)に分配され、注入チャンバの溶液がその ま障壁を超えて次の分岐室(第2分岐室)に流 てしまうことを防止する。

 分岐後流路が接続された分岐室に蓄えられ 溶液は、分岐後流路の端部の毛細管力によ て、分岐室に保持される。その後、回転基 を第1回転速度よりも速い第2回転速度で回 させて、分岐後流路を介して分岐チャンバ 溶液を分岐後チャンバに流入させる。この き、分岐後流路の端部の溶液に、その毛細 力を上回る遠心力を作用させる。
 かかる構成により、分岐チャンバの各分岐 から、分岐後流路を介して分岐後チャンバ 反応溶液を分配することができる。

 本発明の第2の態様は、[1]に記載の送液装置 であって、その分岐チャンバ内に試薬が配置 された装置、およびそれを用いた反応方法に 関する。
 [2]第2の態様の送液装置は、[1]に記載の送液 装置であって、分岐チャンバの2以上の分岐 のうちの1以上の分岐室に試薬が配置されて る。全ての分岐室に試薬が配置されていて 構わない。また、分岐後チャンバに試薬が 置されていてもよい。試薬は、注入チャン に注入される溶液の成分を変化させること できる。

 前記[2]に記載の送液装置を用いれば、注入 ャンバに注入された溶液の成分を順次に反 させることができる。
 つまり、まず[2]に記載の回転基体の注入チ ンバに、注入口から溶液を注入する。注入 れた溶液は、誘導流路の第1端部の毛細管力 によって、注入チャンバ内に保持される。

 回転基体を第1回転速度で回転させて、注入 チャンバの溶液を分岐チャンバの第1分岐室 送液する。第1分岐室に試薬(第1試薬)が配置 れていれば、溶液は第1試薬と反応する。第 1分岐室内の溶液を、障壁を超えて次の分岐 (第2分岐室)に送液する。次の分岐室(第2分岐 室)に第2試薬が配置されていれば、溶液は第2 試薬と反応することができる。さらに、第2 岐室内の溶液を、障壁を超えて第2分岐室に 接する次の分岐室(第3分岐室)に流入させて 構わない。
 所定の時間第1回転速度で回転させて、第1 岐室で第1試薬と反応させ;さらに第1試薬と 応した溶液を第2分岐室で第2試薬と反応させ ることができる。

 回転基体を第1回転速度よりも速い第2回 速度で回転させることで、分岐後流路の端 の溶液に、その毛細管力を上回る遠心力を 用させる。それにより分岐チャンバの各分 室から、分岐後流路を介して分岐後チャン に反応溶液を分配することができる。

 分岐チャンバの分岐室のそれぞれに、分 後流路と分岐後チャンバを設けることがで る。すなわち、分岐チャンバの分岐室のそ ぞれに、それぞれ別個の分岐後流路が接続 れ;分岐後流路のそれぞれに、別個の分岐後 チャンバが接続されていてもよい。この構成 により、分岐室それぞれに分配された溶液を 、別個の分岐後チャンバへ送液することがで きる。

 本発明の第3の態様は、以下に示す送液装置 、およびそれを用いて、血球が除去された血 漿成分を得る方法に関する。
 [3]第3の態様の送液装置は、[1]の送液装置に おける分岐チャンバの2以上の分岐室のうち 第1分岐室には分岐後流路が接続されず、か 第1分岐室以外の分岐室の一以上に、それぞ れ別個の分岐後流路が接続されている装置で ある。第1分岐室以外の全ての分岐室に分岐 流路が接続されていてもよい。そして分岐 流路のそれぞれは、別個の分岐後チャンバ 接続されている。

 さらに第3の態様の送液装置は、誘導流路 の第2端部からの遠心方向への延長線と、第1 岐室と、それに隣接する分岐室(第2分岐室) を区画する障壁との距離が、1mm以上8mm以下 されていることを特徴とする。

 前記[3]の送液装置を用いれば、血液試料 ら血球成分を取り除くことができる。まず 入口から注入チャンバに血液試料を供給す 。血液試料が供給された回転基体を第1回転 速度で回転させると、誘導流路の端部に保持 された溶液に作用する遠心力が毛細管力を上 回り、注入チャンバの血液試料は誘導流路を 介して分岐チャンバの第1分岐室へ流入する

 注入チャンバの溶液を、誘導流路を介し 第1分岐室に送液するとき、誘導流路の第2 部の表面が疎水性を有するので、第2端部か 液滴形状の血液試料が第1分岐室へ飛翔する 。そのため、注入チャンバの血液試料と、分 岐チャンバの第1分岐室の溶液とは、液通す ことなく分断される。

 さらに第1分岐室に流入した血液試料の血 球成分(比重が大きい)は第2壁面側(遠心方向 )に沈降し、血漿成分(比重が小さい)は第1壁 側(回転中心側)に、互いに分離する。血液 料の血球成分に作用する沈降力は遠心力に 例し、遠心力は回転中心からの距離に依存 る。そのため、回転中心に近い注入チャン 内では血球分離は起こりにくく、回転中心 ら遠い第1分岐室内で起こりやすい。また、 記[3]の送液装置の第1分岐室には分岐後流路 が接続されていないため、第1回転速度を大 くすることができる。第1回転速度を大きく れば、迅速に血球分離を起こすことができ 。

 第1分岐室に流入した血液試料の血球成分 は、遠心方向の沈降力以外にも、障壁を超え て隣接する分岐室(第2分岐室)に流入しようと する液の流れによる力を受ける。前記[3]の送 液装置の誘導流路の、第2端部からの遠心方 への延長線と、第1分岐室と第2分岐室とを区 画する障壁との距離は、1mm以上ある。よって 、障壁を超えようとする液の流れによる力を 受けても、血球成分は障壁を超えることはで きず、第1分岐室内に沈降する。

 第1分岐室が血液試料で満たされる前に、 つまり血液試料が障壁を超えて、隙間を通っ て次の分岐室にあふれる前に、回転基体の回 転速度を第2回転速度へ減少させる。前述の り、第1分岐室では血球成分が第2壁面側(遠 方向側)に沈降して分離されている。よって 第1分岐室から障壁を超えて次の分岐室(第2 岐室)に移る溶液は、第1分岐室の第1壁面側( 回転中心側)に分離された血漿試料だけとな 。第2回転速度へ減少させると、第2分岐室以 降の分岐室に接続された分岐後流路の端部に かかる毛管力によって、溶液(血漿試料)を各 岐室に保持しやすい。

 回転基板の回転速度を、第2回転速度より も速いある速度(第3回転速度)に上昇させると 、分岐後流路の端部における毛細管力を遠心 力が上回る。その結果、分岐チャンバの第2 岐室以降の分岐室内の血漿試料が、分岐後 路を介して分岐後チャンバに流入する。か る構成により、第1分岐室で血球成分を取り き、血漿試料を第2分岐室以降の分岐室から 、分岐後チャンバに流入させることができる 。

 本発明の送液装置に含まれる回転基体は 前記の通り、1)注入チャンバと、2)分岐チャ ンバと、3)分岐後チャンバと、4)誘導流路と 5)分岐後流路を含む。回転基体自体に1)~5)を む流路部位を形成してもよいが、回転基体 、回転中心を有する回転基体本体と、1)~5) 含む流路部位が形成されたチャンバチップ 有していてもよい。例えば、チャンバチッ は、回転基体本体に、着脱可能に取り付け れることが好ましい。また、1の回転基体本 に、複数のチャンバチップが取り付けられ もよい。

 本発明の送液方法によれば、注入チャンバ 供給された溶液のうちの一定量を、分岐チ ンバの分岐室で定量することができ、かつ 岐室で定量された溶液は注入チャンバ内の 液と分断されている(液通していない)。
 そして、分岐室で定量された溶液を、それ 隣接する分岐室(例えば、第1分岐室に隣接 る第2分岐室)に送液したり、分岐後チャンバ に送液したりすることにより、注入チャンバ に供給された溶液の一定量を分配することが できる。

 また、本発明の送液方法によれば、注入 ャンバに供給された溶液は、一旦第1分岐室 に流入してから、隣接する分岐室に送液され 、第1分岐室以外の分岐室に直接送液される とはない。よって、段階的な送液が実現さ る。

 したがって、例えば分岐チャンバの第1分 岐室に、溶液の成分と反応する試薬を配置す れば、一定量の溶液の成分を変化させ、成分 が変化した後の溶液のみを隣接する分岐室に 分配することができる。

 また、第1分岐室で血液試料から遠心分離 によって血球成分を分離すれば、血漿成分の みを隣接する分岐室に分配することも可能と なる。

従来の送液装置の一例を示す部分平面 である。 本発明の実施の形態1に係る送液装置を 示す模式的な平面図である。 実施の形態1のチャンバチップの平面図 である。 図3のチャンバチップのIII-III線での断 図である。 注入チャンバへ試料溶液を注入した状 態のチャンバチップの平面図である。 回転速度RV1で回転中(オーバーフロー )のチャンバチップの平面図である。 分岐室29Aから分岐室29Bへ溶液がオーバ ーフローしている状態のチャンバチップの平 面図である。 オーバーフローが終了したときのチャ ンバチップの平面図である。 各分岐室から分岐後チャンバへ送液し ている状態のチャンバチップの平面図である 。 溶液に作用する毛細管力と遠心力を示 模式図である。 チャンバチップの第1の代案を示す平面 図であり、分岐室29Bにのみ分岐後チャンバが 接続されている。 チャンバチップの第1の代案を示す平面 図であり、分岐チャンバが3つの分岐室を有 る。 比較例のチャンバチップを示す模式的 平面図である。

 (実施の形態1)
 本発明の送液装置は、回転基体、およびそ を回転駆動させる駆動部を有する。回転基 は前述の通り、1)注入チャンバと、2)分岐チ ャンバと、3)分岐後チャンバと、4)誘導流路 、5)分岐後流路を含む。

 図2には本発明の送液装置の一例が示され る。図2に示される送液装置11は、回転基体12; 回転基体12が固定された回転軸13;回転軸13を 転駆動するモータ14;及びモータ14の駆動回路 15を備える。回転軸13はその軸線である回転 心Cが鉛直方向に延びる姿勢で配置される。 転基体12はモータ14によって回転駆動されて 、平面視で時計方向R1および反時計方向R2の ずれにも回転可能である。

 図2に示された回転基体12は、円板状の回 基体本体16と、回転基体本体16に設けられた 収容孔16aに取り外し可能に収容された複数( 2では8つ)のチャンバチップ17とを有する。

 チャンバチップ17には、溶液を注入され 注入チャンバ;複数の分岐室を有する分岐チ ンバ;分岐後チャンバ;注入チャンバと分岐 ャンバとを接続する誘導流路;分岐チャンバ 分岐後チャンバを接続する分岐後流路を含 流路部位が形成されている。

 前述のように、回転基体には流路部位が 成されているが、前記流路部位は回転基体 取り外し可能に収容されたチャンバチップ1 7に形成されていてもよい。図3および図4を参 照して、流路部位が形成されたチャンバチッ プ17を説明する。

 以下の説明において、回転中心Cに対する 位置や向きは、回転基体本体16に取り付けら たチャンバチップ17の状態を基準とする。 3および図4に示されたチャンバチップ17Aには 、注入チャンバ21;分岐チャンバ22;および2つ 分岐後チャンバ23Aおよび23Bが設けられてい 。

 これらのチャンバ21,22,23Aおよび23Bのうち、 入チャンバ21が平面視で最も回転中心C側に 置される。分岐チャンバ22は、平面視で注 チャンバ21よりも回転中心Cから離れた位置 設けられている。つまり、分岐チャンバ22は 注入チャンバ21よりも回転軸13の径方向r(図2 照)の外側に位置している。
 また、分岐後チャンバ23Aおよび23Bは、平面 で分岐チャンバ22よりも回転中心Cから離れ 位置に設けられる。つまり、分岐後チャン 23Aおよび23Bは分岐チャンバ22よりも回転軸13 の径方向rの外側に位置している。

 注入チャンバ21と分岐チャンバ22は、回転 軸13の径方向rに延びる誘導流路24によって接 されている。また、分岐チャンバ22と分岐 チャンバ23Aおよび23Bはそれぞれ、回転軸13の 半径方向rに延びる別個の分岐後流路25Aおよ 25Bによって接続されている。後に詳述する うに、注入チャンバ21に注入された溶液は分 岐チャンバ22に流入し;分岐チャンバ22で分配 れ;分岐後チャンバ23Aまたは分岐後チャンバ 23Bに流入する。溶液は回転基体12の回転によ て生じる遠心力により流路及びチャンバを 動する。

 注入チャンバ21はチャンバチップ17Aの内 に形成され、空間的に閉じられている。図3 示されたように、注入チャンバ21は略直方 状の空間であり、平面視では矩形状であり る。チャンバチップ17Aには、注入チャンバ21 の頂壁からチャンバチップ17Aの上面に貫通し 、注入チャンバ21の内部をチャンバチップ17A 外部と連通させる注入口26が形成されてい 。注入チャンバ21の遠心方向の壁面、すなわ ち径方向rの外側に位置する壁面21aには、誘 流路24の入口端部24aが接続している。注入口 26は、誘導流路24の入口端部24aよりも回転中 Cに近い位置に形成されている。

 分岐チャンバ22はチャンバチップ17Aの内 に形成され、空間的に閉じられている。図3 たは図4で示されたように、分岐チャンバ22 、その内部に障壁が形成された略直方体状 空間であって、平面視では回転軸13の径方 rと直交する方向に細長い矩形状の空間であ 。チャンバチップ17Aには、分岐チャンバ22 頂壁からチャンバチップ17Aの上面に貫通し 分岐チャンバ22の内部をチャンバチップ17Aの 外部と連通させる空気口27が形成されている 空気口27は分岐チャンバ22内に溶液が流入す る際に、分岐チャンバ22内の空気をチャンバ ップ17Aの外部に排出する機能を有する。分 チャンバ22の向心方向の壁面、すなわち径 向rの内側に位置する壁面(第1壁面)22aに、誘 流路24の出口端部24bが接続している。

 分岐チャンバ22の壁面のうち壁面22aと対 する遠心方向の壁面、すなわち径方向rの外 に位置する壁面(第2壁面)22bの一部は、壁面2 2aに向けて突出している。それにより、障壁2 2cが形成されている。障壁22cの基端側(遠心方 向側)は、壁面22bに一体に接続されており、 壁22cの先端(回転中心側)は壁面21aに対して隙 間28をあけて対向している。

 また、障壁22cの下端は分岐チャンバ22の 壁(後述する下面基板36の上面)に一体に接続 ており;かつ障壁22cの上端は分岐チャンバ22 頂壁(後述する上面基板37の下面)に一体に接 続している。そのため障壁22cは、分岐チャン バ22の内部を、互いに隣接する2つの分岐室29A と29Bとに分割している。分岐室29Aと29Bは互い に、障壁22cの先端と壁面22aとの間の隙間28を して連通している。

 図3に示されたように、誘導流路24の出口 部24bは、分岐チャンバ22の壁面22aと接続し おり、平面視で障壁22cよりも分岐室(第1分岐 室)29A側に位置している。つまり誘導流路24の 出口端部24bは、回転軸13の径方向rに関して、 分岐室29Aと対向している。

 分岐室29Aの容量は正確に規定されている とが好ましい。分岐室29Aの容量とは、障壁2 2cを乗り超えて分岐室29Bへ溶液が流入するこ なく、またはオーバーフローを起こすこと く、分岐室29A内に蓄えることができる溶液 最大容量をいう。また、分岐室29Aの容量は 入チャンバ21の容量よりも小さいことが好 しい。

 隙間28は毛管流路ではなく、毛細管現象 生じない程度の大きさを有する。また障壁22 cの深さは、分岐チャンバ22の深さに等しくさ れていてもよい。

 障壁22cの壁面は、純水との静止接触角にお て40°以上130°以下の疎水性であることが望 しい。障壁22cの材質を疎水性材料としても いし、表面改質して前述の疎水性を付与し もよい。障壁22cの壁面を疎水性とすること よって、分岐室29Aに収容可能な溶液の容量 規定することができる。障壁22cの壁面が純 との静止接触角において40°以下の表面であ ると、障壁22cに接触した溶液は、毛細管現象 により障壁22cを濡らして、自発的に次の分岐 室へ流入する。そのため分岐室29Aに収容可能 な溶液の容量を規定することができない。
 「疎水性である障壁22cの壁面」とは、少な とも障壁22cの、壁面22aと対向する面を含む

 障壁22cと壁面22aとの隙間28の大きさは1.3mm以 上あることが好ましい。特に、障壁22cと、誘 導流路24の出口端部24bとの隙間が、1.3mm以上 ることが好ましい。
 障壁22cの壁面が疎水性であると、分岐室29A 溜められた溶液の液面は凸形状に盛り上が 、分岐室29Bに溢れる前に障壁22cを濡らさな 。通常、溶液(例えば水溶液)面の盛り上が は、1.3mm未満である。よって隙間28の大きさ 1.3mm未満であると、盛り上がった溶液面が 面22aに接触することがある。溶液面が壁面22 aに接触すると、壁面22aに設けられた誘導流 24の出口端部24bの溶液と、分岐室29A内の溶液 が液通する。そのため、注入チャンバ21の溶 がそのまま障壁22cを超えて分岐室29Bに流入 る。

 一方、隙間28が1.3mm以上であると、盛り上 がった溶液面が壁面22aに接触しない。よって 、注入チャンバ21の溶液と、分岐室29Aの溶液 、空間を隔てて分断されたままとなる。そ ため、注入チャンバ21の溶液の全ては一旦 分岐室29Aに流入し、分岐室29Aから分岐室29B 流入する。つまり、注入チャンバ21の溶液が 直接、分岐室29Bに流入することはない。かか る構成により、溶液を段階的に送液して、分 配することが可能となる。

 障壁22cの形状は特に限定されない。図3に 示されるように、平面視での障壁22cの幅(径 向rと直交する方向の寸法)がほぼ一定とされ ていてもよい(矩形状)。障壁22cの形状は、壁 21aとの隙間28が確保され、かつ分岐室29Aお び29Bの容積(特に、分岐室29Aの容積)が正確に 規定される限り、特に限定されない。

 分岐チャンバ22の遠心側の壁面22bには、 岐後流路25Aおよび25Bの入口端部25aおよび25a が接続している。つまり、分岐後流路25Aの 口端部25aが分岐室29Aに接続して、かつ分岐 流路25Bの入口端部25a’が分岐室29Bに接続し いる。

 分岐後チャンバ23Aおよび23Bは、チャンバ ップ17Aの内部に形成される。図3に示される ように、分岐後チャンバ23Aおよび23Bは全体と しては扁平な円柱状の空間であり、平面視で は概ね円形とされうるが、特に形状は限定さ れない。分岐後チャンバ23Aおよび23Bの頂壁か らチャンバチップ17Aの上面に貫通し、分岐後 チャンバ23Aおよび23Bの内部をチャンバチップ 17Aの外部と連通させる空気口30Aおよび30Bが形 成されている。空気口30Aおよび30Bは、分岐後 チャンバ23Aおよび23Bに溶液が流入する際に、 分岐後チャンバ23Aおよび23B内の空気をチャン バチップ17Aの外部に排出する機能を有する。

 分岐後チャンバ23Aおよび23Bの回転中心側 壁面には、分岐後流路25Aおよび25Bの出口端 25bおよび25b’が接続している。

 注入チャンバ21の溶液を、誘導流路24を通し て分岐チャンバ22へ確実に送液するためには 誘導流路24を微細流路とする必要がある。 導流路24の出口端部24bの表面が疎水性(純水 の静止接触角において40°以上130°以下)であ と、出口端部24bから液滴形状の溶液が、分 室29Aへ向かって飛翔することができる。
 同様に、分岐チャンバ22の分岐室29Aまたは29 Bの溶液が、分岐後流路25Aまたは25Bを通って 岐後チャンバ23Aまたは23Bへ、確実に送液さ るためには、分岐後流路25Aおよび25Bは微細 流路である必要がある。

 具体的には、誘導流路24ならびに分岐後流 25Aおよび25Bの体積は、注入チャンバ21、分岐 チャンバ22ならびに分岐後チャンバ23Aおよび2 3Bの容積と同等か又はそれよりも小さいこと 好ましい。また、誘導流路24ならびに分岐 流路25Aおよび25Bの幅と深さは、注入チャン 21、分岐チャンバ22ならびに分岐後チャンバ2 3Aおよび23Bの幅と深さよりも小さいことが好 しい。
 誘導流路24ならびに分岐後流路25Aおよび25B 流路断面積は、1μm 2 ~4mm 2 であることが好ましく、25μm 2 ~100000μm 2 以下であることがより好ましく、約10000μm 2 であることがさらに好ましい。

 誘導流路24の断面積は、分岐後流路25Aお び25Bの断面積と同じであってもよく、小さ てもよい。誘導流路24の流路断面積が、分岐 後流路25Aおよび25Bの流路断面積より大きいと 、溶液を送液するときに分岐チャンバに溶液 を留めやすい場合があるが、特に限定されな い。溶液を送液するための力を発生させるメ カニズムは、各流路の断面積だけに依らず、 各チャンバの幅や深さを適宜に設計すること で、分岐室29Aおよび29Bに作用する遠心力Fg(図 6参照)などを変化させることによっても達成 れる。送液方法の詳細は後に説明する。

 誘導流路24の入口端部24aは、注入チャン 21の溶液を解除可能に保持するバルブとして 機能する。同様に、分岐後流路25Aおよび25Bの 入口端部25aおよび25a’は、分岐チャンバ22の 岐室29Aおよび29Bの溶液を解除可能に保持す バルブとして機能する。以下、このバルブ 能について詳述する。

 まず、誘導流路24の入口端部24a、ならび 分岐後流路25Aおよび25Bの入口端部25aおよび25 a’のいずれの表面も、疎水性を有する。微 流路(誘導流路24や分岐後流路25Aおよび25B)の 口端部(24a,25aおよび25a’)の表面を疎水性と ると、溶液は表面張力による毛細管力Fcに り入口端部で保持されて、微細流路は溶液32 で濡れない(図6を参照)。つまり入口端部(24a,2 5aおよび25a’)の流路壁面が疎水性を有すると 、溶液と流路壁面の接触角θが鈍角となる。 のため、溶液32を注入チャンバ21や分岐チャ ンバ22の分岐室29Aまたは29B内に保持しようと る力である毛細管力Fcが発生する。

 毛細管力Fcは、流路壁面と溶液32の界面に 生じる表面張力T1~Tnの合力であり、回転軸13 径方向rの内側方向(向心方向)に作用する。 言すると毛細管力Fcは、入口端部(24a,25aおよ 25a’)から、注入チャンバ21や分岐チャンバ2 2の内部に向かう方向に発生する。毛細管力Fc の大きさは、以下の式(1)で表される。符号T 水の表面張力、θは溶液の流路壁面に対する 接触角、cは流路の周囲長をそれぞれ表す。

 前述のように入口端部(24a、25aおよび25a’ )、および出口端部24bと障壁22cの壁面は疎水 を有する。一方、分岐後流路25Aおよび25Bの りの部分の壁面、および注入チャンバ21、分 岐チャンバ22の残りの部分の壁面は親水性で っても疎水性であってもよい。また分岐後 ャンバ23Aおよび23Bの壁面も、親水性であっ も疎水性であってもよい。

 分岐チャンバ22の分岐室29Aおよび29Bのそ ぞれには、反応試薬31Aおよび31Bが担持され いてもよい。反応試薬は、分岐室29Aおよび29 Bに溜まった溶液に溶解し、反応を引き起こ ことができる。反応試薬31Aおよび31B(不図示) のそれぞれの担持位置は、分岐室29Aおよび29B 内にあればよく、好適には壁面22bに近い位置 (遠心側)に担持される。

 試薬31Aおよび31Bの担持方法は、当業者に 知の技術を用いてなされる。反応試薬31Aお び31Bを含む溶液を、塗布後に乾燥させて担 してもよい。乾燥方法は、真空乾燥、凍結 燥などを選択することができる。分岐後チ ンバ23Aおよび23Bのそれぞれにも、反応試薬3 1Cおよび31D(不図示)が担持されうる。

 図4に示されたように、チャンバチップ17Aは 、チャンバ基板35;下面基板36;及び上面基板37 積層体である3層構造を有しうる。
 チャンバ基板35には、注入チャンバ21;分岐 ャンバ22;分岐後チャンバ23Aおよび23Bが、厚 方向に貫通するように設けられ、かつ上面 に誘導流路24;分岐後流路25Aおよび25Bが形成 れている。
 下面基板36はチャンバ基板35の下面に接合さ れている。下面基板36には孔等は形成されて ない。下面基板36の上面が注入チャンバ21、 分岐チャンバ22、分岐後チャンバ23Aおよび23B 底壁を構成する。

 図4に示されるチャンバチップ17Aは3層構 を有するが、もちろん3層構造以外であって 構わない。例えばチャンバチップ17は、切 加工で流路とチャンバを形成することによ 、チャンバ基板35と下面基板36を一体化した 板と、上面基板37とからなる2層構造であっ もよい。

 また図4に示されるチャンバチップの各流 路は、チャンバ断面の上面基板37に接するよ に形成されているが、各流路の配置も特に 定されない。例えば、下面基板36側に流路 配置されていてもよく、チャンバの遠心側 断面の中央付近に流路が配置されていても い。

 図2に示された送液装置11を使用した溶液の 液方法を説明する。
 まず、図5Aに示すように、溶液32を注入口26 ら注入チャンバ21に注入し、注入チャンバ21 を溶液32で満たす。誘導流路24の疎水性を有 る入口端部24aで生じる毛細管力(図6参照)に り、注入チャンバ21内の溶液32は誘導流路24 に浸入することなく、入口端部24aで保持さ る。

 次に、回転軸13を中心に回転基体12(図2参照) を回転させる。回転により、毛細管力によっ て入口端部24aで保持されていた溶液32に、遠 力Fg(図6参照)が作用する。回転基体12の回転 速度が一定の速度(回転速度RV1)に達して、遠 力Fgが入口端部24aにおける毛細管力Fc(前述 式(1)参照)を上回ると、入口端部24aの毛細管 による溶液32の保持が解除される。
 その結果、図5Bに示すように、注入チャン 21内の溶液32が誘導流路24を通って分岐チャ バ22に流入する。誘導流路24の出口端部24bの 面は、純水との静止接触角において40°以上 130°以下の疎水性を有する。よって、出口端 24bから液滴形状の溶液が、分岐室29Aへと飛 する。前述のように誘導流路24の出口端部24 bは分岐室29Aと対向して設けられているので 注入チャンバ21から誘導流路24を介して分岐 ャンバ22に流入する溶液32は、分岐室29Aに進 入する。

 分岐室29Aに流入した溶液32は、試薬31A(不 示)を溶解させ、試薬31Aによる化学反応が起 こる。前述のように分岐室29Aの容量は注入チ ャンバ21の容量よりも小さく設定されている よって回転速度RV1での回転を続けると、分 室29Aが溶液32で満たされた後も、さらに注 チャンバ21からの溶液32の供給が続く。

 前記障壁22cの壁面が疎水性であるので、 岐室29Aに溜まる溶液は、分岐室29Bに溢れる に障壁22cを濡らさない。よって、分岐室29A 溜まる溶液は凸形状に盛り上がる。隙間28 1.3mm以上であると、凸形状に盛り上がった溶 液は壁面22aに接触することがないので、注入 チャンバ21内の溶液と、分岐室29A内の溶液は 間を隔てて分断されたままとなり、出口端 24bから溶液が液適様に飛翔する。

 出口端部24bから溶液32の供給がさらに続 と、図5Cに示すように、溶液32は障壁22cの先 と壁面22aとの隙間28を通って、分岐室29Aか 分岐室29Bへ流入する。つまり、障壁22cを乗 超えてオーバーフローすることにより、分 室29Aから分岐室29Bへ溶液32が供給される。

 隙間28の大きさが1.3mm以上あれば、凸形状 に盛り上がった溶液32は、壁面22aに接触する とないので、やはり注入チャンバ21の溶液32 と分岐室29A内の溶液32は、依然として空間を てて分断されたままとなる。よって、出口 部24bから溶液32は液適様に飛翔する。その め注入チャンバ21の溶液32がそのまま、障壁2 2cを超えて次の分岐室29Bに流入することはな 。つまり、注入チャンバ21の溶液32の全てが 一旦、分岐室29Aに溜まってから、次の分岐室 29Bに流れ込む。よって、分岐室29Bへ流れ込む 溶液32の全ては、試薬31Aによる化学反応が引 起こされた後の溶液である。

 分岐室29Bへ流れ込んだ溶液32は、さらに 岐室29Bに担持された試薬31Bを溶解し、試薬31 Bによる化学反応を起こす。よって、分岐室29 B内の溶液は、試薬31Aによる化学反応、およ 試薬31Bによる化学反応が起こった溶液とな 。

 図5Dに示されるように、注入チャンバ21内の 溶液32のすべてが、分岐チャンバ22へ供給さ た状態では、分岐室29Aには規定容量の溶液 蓄えられ、分岐室29Bには注入チャンバ21の容 積から分岐室29Aの容積を引いた差に相当する 容量の溶液が蓄えられる。
 前記障壁22cの壁面が、純水との静止接触角 おいて40°以上130°以下の疎水性であると、 岐室29Aに溜まった溶液の容量は分岐室29Aの 積となる。一方、前記障壁22cの壁面が、純 との静止接触角において40°以下であると、 障壁22cと接触した溶液は、毛細管現象により 自発的に障壁22cの周囲を濡らして、分岐室29A の溶液が次の分岐室29Bへと流入する。そのた め、第1分岐室29Aに溜まった溶液の容量は、 岐室29Aの容積とならない。

 前述の回転速度RV1の回転により、分岐室2 9Aおよび29Bに蓄えられた溶液32には遠心力が 用する。しかしながら、分岐後流路25Aおよ 25Bの入口端部25aおよび25a’に毛細管力が生 るので、分岐室29Aおよび29B内の溶液32は、分 岐後流路25Aおよび25Bに流入することなく保持 される。

 回転基体本体16を、前述の回転速度RV1を 回る速度(回転速度RV2)で回転させると、遠心 力Fgが入口端部25aおよび25a’における毛細管 Fc(前述の式(1)参照)を上回り、入口端部25aお よび25a’による溶液32の保持が解除される。 の結果、図5Eに示すように、分岐室29Aおよ 29Bのそれぞれの溶液32は、分岐後流路25Aおよ び25Bを通って、分岐後チャンバ23Aおよび23Bに 流入する(図5E参照)。

 その結果、分岐後チャンバ23Aには、試薬3 1A(不図示)による化学反応が引き起こされた 分岐室29Aの容積に相当する溶液32が蓄えられ る。一方、分岐後チャンバ23Bには、試薬31Aに よる化学反応、および試薬31B(不図示)による 学反応が引き起こされた溶液であって、注 チャンバ21の容積から分岐室29Aの容積を引 た差に相当する容量の溶液32が蓄えられる。

 もちろん、分岐後チャンバ23Aに試薬31C(不 図示)を担持しておき、溶液32と反応させても よい。その場合に溶液32は、試薬31Aとの反応 に、試薬31Cとの反応が引き起こされた溶液 なる。同様に、分岐後チャンバ23Bに試薬31D( 不図示)を担持しておき、溶液32と反応させて もよい。その場合に、分岐後チャンバ23Bの溶 液32は、試薬31Aとの反応、および試薬31Bとの 応の後に、さらに試薬31Dとの反応が起こっ 溶液となる。

 例えば、注入チャンバ21の容量が10μL;分 チャンバ22の分岐室29Aの容量が5μLである場 は、分岐後チャンバ23Aおよび23Bのそれぞれ 、5μLの溶液32が供給される。

 例えば、分岐室29Aに試薬31Aを反応検出のた の共通試薬として配置し;分岐室29Bと分岐後 チャンバ23Aのそれぞれに、試薬31Bと試薬31Cを 特異的反応のための個別試薬として配置する と、分岐後チャンバ23Aおよび23Bのそれぞれで 、試薬31Bとの反応および試薬31Cとの反応が検 出できる。
 より具体的には、試薬31AとしてNADとジアホ ーゼとフェリシアン化カリウムを分岐室29A 担持させ;試薬31BとしてL-アスパラギン酸と2 -オキソグルタル酸を分岐室29Bに担持させ;試 31Cとして乳酸リチウムを分岐後チャンバ23A 担持させる。
 分岐後チャンバ23Aでは、乳酸+NAD⇔ピルビン 酸+NADHの反応を触媒する酵素である、LDH(乳酸 デヒドロゲナーゼ)活性に応じた、フェリシ ン化カリウムがフェロシアン化カリウムに 化する反応を生じさせることができる。
 一方、分岐後チャンバ23Bでは、L-アスパラ ン酸+2-オキソグルタル酸⇔ピルビン酸+グル ミン酸の反応を触媒する酵素である、AST(ア スパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)活 に応じた、フェリシアン化カリウムがフェ シアン化カリウムに変化する反応を生じさ ることができる。

 一方、試薬31BとしてL-アラニンと2-オキソ グルタル酸を分岐室29Bに担持させると、ALT( ラニン・アミノトランスフェラーゼ)活性に じた、フェリシアン化カリウムがフェロシ ン化カリウムに変化する反応を生じさせる とができる。

 これらの反応により溶液の色が、フェリ アン化カリウムによる黄色から、透明に変 するので、吸光度の変化で反応を光学的に 出することもできるし、電極を用いて電気 学的に検出することもできる。血清中のLDH ASTまたはALT活性の上昇は、心、肺および腎 どの各種疾患、悪性腫瘍、白血病、悪性貧 などにみられる。よって、これらの活性を 定することは、臨床面ではこれらの疾患の 断、経過観察などにおいて有用である。

 以上のように、注入チャンバ21から、遠心 によって分岐チャンバ22の分岐室29Aに供給し た溶液32を、隔壁22cを超えて隣接する他方の 岐室29Bにオーバーフローさせて、それによ て溶液32を定量する。定量された溶液32を分 配し、かつ分配された溶液32に化学反応を起 させている。これは、誘導流路24の出口端 24bを疎水性として、隙間28を分岐室29Aにおけ る液面の盛り上がりよりも大きくして、注入 チャンバ21の溶液と、分岐室29A内の溶液とを 断しているために実現される。
 つまりかかる構成によれば、分岐チャンバ2 2内の溶液を、分岐室毎に分配する部位(障壁 分22c)と、注入チャンバ21の溶液が供給され 部位(誘導流路24の出口端部24b)とが空間的に 分離される。そのため、注入チャンバ21内の 液が分岐室29Bへと直接に流入する動作は起 らない。この点が、分岐室同士を毛細管で 結させたオーバーフロー用の流路構造と異 る。このようにして、溶液の成分を順次変 させ、変化させた溶液を分配することがで る。

 以下に本発明の送液装置の他の実施形態 示すが、本発明の送液装置は、分岐室の数; 各分岐室の容量;分岐室に対する分岐後チャ バの数、などを含むチャンバや流路の配置 自由度が高い。よって、溶液の定量および 配、ならびに送液の順序などを組み合わせ 複雑な送液制御が実現される。

 (実施の形態2)
 図7に示されるチャンバチップ17Bは、血液試 料から血球成分を除去する機能を有するバイ オセンサとして用いられうる。
 図3に示されるチャンバチップ17Aと異なり、 図7に示されるチャンバチップ17Bの分岐室29A は分岐後流路や分岐後チャンバが接続され いない。また、誘導流路24の出口端部24bから の延長線と、障壁22cとの距離dが1mm以上8mm以 であることが好ましい。

 以下、図7に示されるチャンバチップ17Bを用 いて、血液試料から血球成分を取り除く手順 を説明する。
 まず、注入口26から注入チャンバ21に血液試 料が供給される。基板を第1回転速度で回転 せると、誘導流路24の入口端部24aに保持され た溶液に作用する遠心力が毛細管力を上回り 、注入チャンバ21内の血液試料は誘導流路24 介して分岐チャンバ22の分岐室29Aに流入する 。分岐室29Aに流入した血液試料のうち、比重 の大きな血球成分は壁面22b側に沈降し;比重 小さな血漿成分は壁面22a側に移動して、互 が分離する。一方、血球成分と血漿成分の 離は分岐室29Aで起こり、注入チャンバ内で 起こりにくい。なぜなら、下記式に示され ように、血球成分に作用する沈降力fDは、遠 心力rω2に比例し、回転半径rに依存するため ある。下記式においてdは血球の直径であり 、σは血球の密度であり、ρは溶液の密度で る。

 このとき、誘導流路24の出口端部24bの表面 疎水性であるので、血液試料は出口端部24b ら液滴形状となって分岐室29Aへと飛翔する そのため、分岐室29Aに流入した溶液と、注 チャンバ21の血液試料とは連続することなく 分断される。
 分岐室29Aには分岐後流路が接続されていな ため、第1回転速度を大きくすることができ 、迅速に血球成分と血漿成分との分離を起こ すことができる。第1回転速度は1000rpm以上1000 0rpm以下が望ましく、より好適には5000rpmであ 。

 分岐室29Aが血液試料で満たされ、血漿試 が障壁22cを超えて分岐室29Bに流入する前に 基板の回転を第2回転速度へ減少させる。第 2回転速度は、分岐室29Bの分岐後流路25Bの入 端部25aにかかる毛管力が遠心力を上回り、 岐室29Bに流入した血漿試料が、分岐室29Bに まることができる回転速度であればよい。 2回転速度は、1000rpm以上3000rpm以下が望まし 、好適には1300rpm以上2000rpm以下である。

 分岐室29Aが血液試料で満たされるころに 、分岐室29Aの血液試料の血球成分と血漿成 は分離されている。よって、障壁22cを超え 分岐室29Bに移る溶液は、分岐室29Aの壁面22a に分離された血漿試料のみとなる。

 分岐室29Aに流入した血液試料に含まれる 球成分は、遠心方向の沈降力fDと、障壁に かう液の流れによる2方向の力を受け、その 力方向へと導かれる。誘導流路24の出口端 24bからの遠心方向への延長線と、障壁22cと 距離dが1mm以上あるので、障壁22cを超えるこ はできず、全て分岐室29A内に沈降する。

 回転駆動部が回転基板の回転速度を、前 の第2回転速度よりも速いある速度(第3回転 度)に上昇させると、遠心力が分岐後流路25B の入口端部25a’における毛細管力を上回る。 すると、分岐室29Bの血漿試料は分岐後流路25B を介して分岐後チャンバ23Bに流入する。かか る構成により、分岐室29Aで血球を除去し;血 試料のみを分岐室29Bに移送し;さらに血漿試 を分岐後チャンバ23Bに流入させることがで る。

 実施の形態2のその他の構成及び作用は実 施の形態1と同様であるので、同一の要素に 同一の符号を付して説明を省略する。

 (実施の形態3)
 図8に示されるチャンバチップ17Cは、分岐チ ャンバ22に4つの分岐室29A~29Dを有し;分岐室29A~ 29Dはそれぞれ、分岐後流路25A~25Dに接続され; 岐後流路25A~25Dはそれぞれ、分岐後チャンバ 23A~23Dに接続している。分岐室29Aと29Bは障壁22 cで分岐されており;分岐室29Bと29Cは障壁22c’ 分岐されており;分岐室29Cと29Dは障壁22c”で 分岐されている。

 注入チャンバ21の容量V1は、分岐室29A~29C 合計容量V2よりも大きい。実施の形態1の図3 示されるチャンバチップと同様に、注入チ ンバ21に溶液を注入し、第1回転速度で回転 せて、各分岐室(29A~29D)に溶液を分配する。 壁(22c、22c’および22c”)の壁面が疎水性を し、かつ障壁と壁面22aとの隙間が1.3mm以上で あるので、前述の通り、分岐室29A~29Cに分配 れる溶液の容量はそれぞれ、分岐室29A~29Cの 積によって規定され、各分岐室に溶液が正 に定量される。

 図8に示されるチャンバチップ17Cの他の構 成は、図3に示されるチャンバチップ17Aと同 である。

 図8に示されるチャンバチップ17Cを用いれば 、より溶液を多段階に送液でき、かつより分 配数が多くなる。したがって、一度の送液操 作で多項目検査が可能となる。
 例えば分岐室29AにNAD + 、ジアホラーゼおよびフェリシアン化カリウ ムを含む試薬31A(不図示)を配置し;分岐室29Bに 2-オキソグルタル酸、およびグルタミン酸デ ドロゲナーゼを含む試薬31B(不図示)を配置 ;分岐室29CにL-アスパラギン酸を含む試薬31C( 図示)を配置する。さらに分岐後チャンバ23A に乳酸リチウムを含む試薬31Dを配置し;分岐 チャンバ23BにL-アラニンを含む試薬31Eを配置 する。すると、分岐後チャンバ23AではLDHを測 定することができ;分岐後チャンバ23BではALT 測定することができ;23CではASTを測定するこ ができる。

 (実施例1)
 図2から図4に示される実施の形態1に係るチ ンバチップ17Aを作製して、生体中の血液等 含まれる酵素である「乳酸デヒドロゲナー (以下LDHと略す)」の濃度の測定を行うこと よって、送液動作を評価した。

 チャンバチップ17Aの作製について説明す 。キャビティ中に、注入チャンバ21、分岐 ャンバ22、分岐後チャンバ23Aおよび23B、誘導 流路24、ならびに分岐後流路25Aおよび25Bに対 する突出部分を切削加工により形成した鉄 材料製の金型を製作した。製作した金型を 用して、ウレタン樹脂のインジェクション 型により、チャンバ基板35を作製した。

 分岐チャンバ22の分岐室29Aおよび29Bの容積 、いずれも5μLに設定した。各チャンバの深 を1mmとした。
 誘導流路24ならびに分岐後流路25Aおよび25B 、幅を200μm、深さを35μmとした。
 障壁22cの幅を0.5mmとし、深さを1mmとした(チ ンバの深さと同一)。隙間28の大きさを2mmと た。分岐室29Aは平面視で幅3mm、分岐室29A側 障壁22cの高さは1.65mmとした。これにより分 室29A内の容積は5μLと規定される。分岐室29B は平面視で幅3mm、分岐室29B側の障壁22cの高さ は2mmとした。これにより分岐室29Bは、6μLの 積を有する。

 ウレタン樹脂製のチャンバ基板35の下面 PET(ポリエチレンテレフタレート)製の下面基 板36を接合した。さらに、チャンバ基板35の 面に樹脂製の粘着シートからなる上面基板37 を接合した。

 ウレタン樹脂からなるチャンバ基板35、PE Tからなる下面基板36、樹脂製の粘着シートか らなる上面基板37はいずれも、純水との静止 触角は78°以上89°以下の表面を有する。よ て、障壁22cの壁面は疎水性となる。上面基 37に注入口26と、空気口27,30Aおよび30Bを形成 た。

 分岐室29Aに試薬31Aとして、ニコチンアミド ヌクレオチド酸化体(以下「NAD + 」と略す)、ジアホラーゼ、およびフェリシ ン化カリウムを;分岐後チャンバ23Aおよび分 後チャンバ23Bのそれぞれに、試薬31Cおよび 薬31Dとして乳酸リチウムを、分岐室または ャンバ内に滴下して、室温で真空乾燥15分 、乾燥させた。

 各試薬濃度を以下に示す。
 フェリシアン化カリウム(100mM):0.4μL
 ジアホラーゼ(1000U/mL):0.5μL
 乳酸リチウム(1M):0.4μL
 NAD + (100mM):0.4μL

 一方、隙間28を2mmとして、障壁22cの壁面 親水性とした以外は、実施の形態1のチャン チップ17Aと同一構造のチャンバチップ17Dを 同一の方法で製作した。さらに、隙間28を0. 5mmとして、障壁22cの壁面を疎水性とした以外 は、第1実施形態のチャンバチップ17Aと同一 造のチャンバチップ17Eを、同一の方法で製 した(図9参照)。

 以下において、実施の形態1のチャンバチ ップに言及する場合には参照番号17Aを使用し ;隙間28は2mmで、障壁22cが親水性であるチャン バチップに言及する場合には参照番号17Dを使 用し(比較例1);隙間28は0.5mmで、障壁22cは疎水 であるチャンバチップに言及する場合には 照番号17Eを使用する(比較例2)。

 次に、送液操作を説明する。50mMのTris-HCl緩 液にLDHを終濃度が400U/Lとなるように溶解さ た溶液10μLを試料溶液とした。試料溶液は 視で透明である。
 試料溶液を、チャンバチップ17A,17Dまたは17E の注入チャンバ21に注入した(図5A参照)。次に 、各チャンバチップ17A,17Dまたは17Eを装着し 回転基体本体(図2参照)を、800rpmで回転させ 。回転したチャンバチップ17A,17Dおよび17Eの ずれにおいても、溶液32は誘導流路24の入口 端部24aで保持されて、注入チャンバ21内に留 った。

 続いて、回転体基体本体の回転を800rpmか 20rpm/秒の割合で上昇させ続けた。チャンバ ップ17A,17Dおよび17Eのいずれにおいても、125 6rpmに達するまでに、注入チャンバ21内の溶液 32が誘導流路24を通って、出口端部24bから液 様に飛翔して、分岐チャンバ22の分岐室29Aに 流入した(図5B参照)。溶液が出口端部24bから 翔したときの具体的な回転速度は、チャン チップ17Aは1128rpm;チャンバチップ17Dは1204rpm; ャンバチップ17Eは1256rpmであり、概ね同様で あった。

 チャンバチップ17A(実施例1)では、まず分 室29Aにのみ溶液32が溜まった。分岐室29Aに まった溶液32は、試薬31Aを溶解させて黄色を 呈した。分岐室29Aへの流入量の増加に伴い、 溶液面が障壁22cの頂面に達し、凸状に盛り上 がった。盛り上がり高さは、障壁22cの頂面か ら0.75mmであった。

 分岐室29A内の溶液32は、その後隙間28を通 って(障壁22cを乗り超えて)分岐室29Bに移動し (図5C参照)。分岐室29A内には、引き続き出口 端部24bから液滴として飛び出した溶液が流入 し、一旦、分岐室29Aで混合、拡散して黄色を 呈していた。

 注入チャンバ21からの溶液32の流入の終了 後に、分岐室29Aと29Bにはそれぞれ障壁22cの高 さまで溶液が満たされた。それぞれ4.9μL、5.1 μLと、ほぼ同じ容積の液が分配された。溶液 の色は両方ともに、黄色を呈していた。

 チャンバチップ17D(比較例1)では、まず分 室29Aにのみ溶液32が溜まった。分岐室29Aに まった溶液32は、試薬31Aを溶解させて黄色を 呈した。分岐室29Aへの流入量の増加に伴い、 溶液面が障壁22cの頂面に達し、凸状に盛り上 がった。盛り上がり高さは、障壁22cの頂面か ら0.61mmであった。

 分岐室29A内の溶液32は、その後隙間28を通 って(障壁22cを乗り超えて)分岐室29Bに移動し (図5C参照)。分岐室29A内には、引き続き注入 チャンバ21から溶液32が流入したが、この溶 32は出口端部24bから液滴として飛び出し、一 旦分岐室29Aに混合、拡散して黄色を呈してい た。

 注入チャンバ21からの溶液32の流入の終了 後も、分岐室29Aから分岐室29Bへの流入は止ま らなかった。その結果、分岐室29Aにおける溶 液面は、平面視で障壁22cの高さを頂点とする 凹形状となった。分岐室29Aおよび29Bに収容さ れた溶液の容積はそれぞれ、4.1μLおよび5.9μL となった。つまり、分岐室29Aの容積で、分岐 室29Aに収容される溶液32の容積を規定するこ ができなかった。溶液の色は両方ともに、 色を呈していた。その後、そのままの回転 度で回転させると、分岐室29Bの溶液が分岐 チャンバ23Bに流れてしまった。

 チャンバチップ17E(比較例2)では、まず分 室29Aにのみ溶液32が溜まった。試薬31Aを溶 させ、溶液は黄色を呈した。分岐室29Aへの 入量の増加に伴って、溶液面は障壁22cの頂 に達し、凸状に盛り上がった。盛り上がっ 溶液面は、分岐チャンバ22の壁面22aに接触し た。

 その後、隙間28全面を満たしながら溶液32は 拡がり、障壁22cを乗り超えて分岐室29Bに移動 した。注入チャンバ21から溶液32の流入が止 った後も、分岐チャンバ22の壁面22aに接触し た溶液は、障壁22cの右側壁面(分岐室29Bの面 構成する面)まで吸着したままであった。分 室29Aおよび29Bに収容された溶液の容量は、6 .7μLおよび3.3μLとなった。つまり、分岐室29A 容積では、分岐室29Aに収容される溶液32の 積を規定できなかった。
 しかも、分岐室29A内の溶液は黄色を呈して たが、分岐室29B内の溶液はほぼ透明であっ 。このことから、注入チャンバ21から、分 室29Aを経ることなく、直接分岐室29B内に溶 が流入したことが推測された。

 さらに基板の回転速度を、先ほどと同様 上昇率で上昇させた。分岐室29Aおよび29Bの れぞれの溶液は、分岐後チャンバ23Aおよび2 3Bに送液された。チャンバチップ17A,17Dおよび 17Eのいずれについても、回転速度が2120rpmに するまでに、分岐室29Aおよび29Bから、分岐 チャンバ23Aおよび23Bへの溶液32の移動が生じ た。

 チャンバチップ17Aを使用した場合には、分 チャンバ22の分岐室29Aと29Bからの流れ出し 起きる回転速度は、1370rpmと1410rpmで僅かに異 なるが、分岐後チャンバ23Aと23Bにそれぞれ5μ Lの溶液が満たされた。
 チャンバチップ17Dを使用した場合には、分 チャンバ22の分岐室29Aと29Bからの流れ出し 起きる回転速度は、分岐室29Aで1594rpm;分岐室 29Bで1204rpmであった。つまり、注入チャンバ21 から分岐チャンバへ送液する時の回転速度で ある1204rpmのまま、分岐室29Bから溶液が流れ しまった。
 チャンバチップ17Eを使用した場合には、分 チャンバ22の分岐室29Aと29Bとからの流れ出 の起きる回転速度は、分岐室29Aで1280rpm;分岐 室29Bで2120rpmであった。

 分岐後チャンバ23Aおよび23Bに送液された 液の、30℃雰囲気中で送液完了の10秒後と3 後の吸光度を測定した。両時間における吸 度の差を吸光度変化として求めた。

 チャンバチップ17A(実施例1)での、分岐後 ャンバ23Aと23Bにおけるそれぞれの吸光度変 は、-0.41と-0.39であり、ほぼ等しかった。こ れは、LDHに起因する乳酸+NAD⇔ピルビン酸+NADH の酵素反応が起こり、最終的にフェリシアン 化カリウムがフェロシアン化カリウムに変化 し、溶液の色が黄色から透明に変化したこと を示している。

 チャンバチップ17D(比較例1)での、分岐後 ャンバ23Aと23Bにおけるそれぞれの吸光度変 は、-0.43と-0.73であり、大きく異なっていた 。吸光度変化は生じているので、LDHに起因す る酵素反応は生じている。しかしながら、サ ンプル溶液が定量できていないため溶液量が 異なるため、互いの吸光度変化が大きく異な る。さらに、分岐室29Bから分岐後チャンバ23B への溶液流出は、分岐室29Aから分岐後チャン バ23Aへの溶液流出が始まる前から起こってい た。そのため、反応時間が異なるために、応 答値である吸光度がばらついたことが示唆さ れる。

 チャンバチップ17E(比較例2)での、分岐後 ャンバ23Aと23Bにおけるそれぞれの吸光度変 は、-0.92と-0.03であり、大きく異なっていた 。つまり、分岐後チャンバ23BでのLDHに起因す る酵素反応は起こっていない。このことから も、分岐室29Bには、注入チャンバ21から、分 室29Aを経ずに直接流入したことが示唆され いる。

 以上の結果のように、実施例1に示したチャ ンバチップ17Aは、注入チャンバ21に供給され 溶液32を、分配および定量でき、かつ試薬 答を精度よく検出することができることを 認した。
 これに対して障壁22cの壁面が疎水性を有さ いチャンバチップ17D(比較例1)か、または隙 28が小さいチャンバチップ17E(比較例2)は、 薬応答を精度よく検出することができなか た。

 (実施例2)
 図7に示す実施の形態2に係るチャンバチッ 17Bを製作した。製作したチャンバチップ17B 用いて、血液試料から血球成分を取り除き 実施例1と同様にして生体中の血液等に含ま る酵素である乳酸デヒドロゲナーゼ(以下LDH と略す)の濃度の測定を行うことによって、 球分離動作を評価した。チャンバチップ17B 製作は実施例1と同様である。

 分岐室29Bは平面視で幅2mm、分岐室29B側の 壁22cの高さは3mmとし、これにより分岐室29B 容積は6μLとした。誘導流路24の出口端部24b 、障壁22cの距離を2.5mmとした。

 分岐室29Bに、試薬31Bとしてニコチンアミド ヌクレオチド酸化体(以下、NAD + と略す)と、ジアホラーゼとフェリシアン化 リウムを;分岐後チャンバ23Bに、試薬31Dとし 乳酸リチウムを、真空乾燥させた。
 比較のために、誘導流路の出口端部24bと障 22cの距離を0.3mmとした以外は、第2実施形態 チャンバチップ17と同一構造のチャンバチ プ17B’を、同一の方法で製作した。
 以下において、実施の形態2のチャンバチッ プを参照番号17Bとし(実施例2);出口端部24bと 壁22cの距離を0.3mmとしたチャンバチップを参 照番号17B’とする(比較例3)。

 次に、送液操作を説明する。試料溶液を 当日採血した血液(10μL)とした。試料溶液は 目視で赤色である。試料溶液を、チャンバチ ップ17Bまたは17B’の注入チャンバ21に注入し 。

 試料液を注入されたチャンバチップ17Bまた 17B’を装着した回転基体本体(図2参照)を、3 000rpmで回転させた。チャンバチップ17Bおよび 17B’のいずれも、溶液32は注入チャンバ21か 誘導流路24を通って、出口端部24bから液滴様 に飛翔して、分岐チャンバ22の分岐室29Aに流 した。
 分岐室29Aに溜まった血液は遠心力を受けて 血球が分岐チャンバの壁面22b側に0.5mm/sの速 度で沈降した。3秒後に、障壁22cの高さにま 溶液面が到達したため、回転速度を2000rpmに て回転を続けた。

 分岐室29Aの溶液32は、障壁22cを超えて、 間28を通って分岐室29Bに流入した。各チャン バチップ17Bおよび17B’ともに、分岐室29Bに流 入した溶液はすべて血漿であった。

 さらに、注入チャンバ21の血液試料は、出 端部24bから液滴様として分岐室29Aに注入さ た。注入チャンバ21の全ての血液試料が分岐 チャンバ22に送液されたとき、チャンバチッ 17Bの分岐室29Bに分配された溶液は血漿のみ あり、黄色を呈していた。一方、チャンバ ップ17B’の分岐室29Bに分配された溶液は、 球が若干混じった血漿であり、桃色を呈し いた。
 17Bと17B’のいずれの場合にも、分岐室29Aに 配された溶液の容積は、5.0μL、分岐室29Bに 配された溶液の容積は5.0μLであり、同じで った。

 さらに、回転速度を上昇させて、分岐チ ンバ22の分岐室29Bの溶液を分岐後チャンバ23 Bに送液した。チャンバチップ17Bおよび17B’ いずれの場合も、回転速度が2330rpmに達する でに、分岐チャンバ22の分岐室29Bから分岐 チャンバ23Bへ溶液32が移動した。

 分岐後チャンバ23Bに送液された溶液の吸 度を測定した。分岐後チャンバに送液され から10秒後と3分後(30℃雰囲気中)の吸光度を 測定した。両時間の吸光度の差を吸光度変化 として求めた。

 チャンバチップ17B(実施例2)における吸光度 化は、-0.4であった。これは、LDHに起因する 乳酸+NAD⇔ピルビン酸+NADHの酵素反応が起こり 、最終的にフェリシアン化カリウムがフェロ シアン化カリウムに変化し、溶液の色が黄色 から透明に変化したことを示している。
 チャンバチップ17B’(比較例3)では、血球混 による赤色がバックグラウンドとなり、分 後チャンバ29Bで吸光度が測定できず、吸光 変化が求められなかった。

 以上の結果に見られるように、実施例2の チャンバチップ17Bは、注入チャンバ21に供給 れた血液試料から血球成分のみを分離して 漿成分のみを分配および定量でき、試薬応 を精度よく検出することができることが確 された。これに対して、誘導流路24の出口 部24bと、障壁22cの距離が小さい比較例3のチ ンバチップ17B’では、試薬応答を精度よく 出することができなかった。

 (実施例3)
 図8に示されるチャンバチップ17Cを製作して 、生体中の血液試料に含まれる多種類の酵素 の活性を同時に測定することによって、チャ ンバチップ17Cの送液動作を評価した。図8に されるチャンバチップ17Cの分岐チャンバ22は 、4つの分岐室29A~29Dを有し;4つの分岐室29A~29D それぞれ、分岐後チャンバ23A~23Dに接続され る。チャンバチップ17Cによって、例えば、LDH 、ALTおよびASTを同時に測定することができる 。

 3つの分岐室29A、29Bおよび29Cは、平面視で幅 を2mmとし;分岐室29Aと29Bとの間の障壁22c、分 室29Bと29Cとの間の障壁22c’、分岐室29Cと29D の間の障壁22c”の高さをそれぞれ、2.5mmとし た。分岐室29A、29Bおよび29Cはそれぞれ、5μL 容積を有する。一方、分岐室29Dは、平面視 幅を3mmとし;障壁22の高さを3mmとした。
 誘導流路24の出口端部24bと障壁22cとの距離 、2.5mmとした。

 分岐室29AにNAD + とジアホラーゼとフェリシアン化カリウム( 薬31A)を;分岐室29Bに2-オキソグルタル酸とグ タミン酸デヒドロゲナーゼ(試薬31B)を;分岐 29CにL-アスパラギン酸(試薬31C)を;分岐後チ ンバ23Aに乳酸リチウム(試薬31D)を;分岐後チ ンバ23BにL-アラニン(試薬31E)を、それぞれ真 乾燥により配置した。

 送液操作を説明する。試料溶液32として 終濃度100U/L LDHと、100U/L ALTと、200U/L ASTに るように、50mM Tris-HCl緩衝液 18μLに溶解さ た溶液を用いた。試料溶液は目視で透明で る。

 試料溶液32をチャンバチップ17Cの注入チ ンバ21に注入した。チャンバチップ17Cを装着 した回転基体本体(図2参照)を800rpmで回転させ たところ、溶液32はチャンバチップ17Cの誘導 路24の入口端部24aで保持されて、注入チャ バ21に留まった。続いて、回転体基体本体の 回転を800rpmから20rpm/秒の速度で上昇させ続け た。1210rpmにおいて、注入チャンバ21内の溶液 32は誘導流路24を通って、出口端部24bから液 様に飛翔し、分岐チャンバ22の分岐室29Aに流 入した。

 出口端部24bから液滴様に飛翔する溶液32 、まず分岐室29Aにのみ流入して、試薬31Aを 解させて黄色を呈した。分岐室29Aに流入し 溶液32の液面は、流入量の増加に伴い障壁22c の頂面に達して凸状に盛り上がった。液面の 盛り上がり高さは、障壁22cの頂面から0.68mmで あった。その後に分岐室29A内の溶液32は、隙 28を通って(障壁22cを乗り越えて)分岐室29Bに 移動した。分岐室29Aには、引き続き注入チャ ンバ21から液体32が流入したが、溶液32は出口 端部24bから液滴として飛翔して、一旦、分岐 室29Aに流入して、混合および拡散して黄色を 呈した。

 分岐室29Bに流入した溶液32は、試薬31Bを 解させた。さらに、分岐室29Bへの流入量の 加に伴い、溶液32の液面は障壁22cの頂面に達 し、凸状に盛り上がった。その後、分岐室29B 内の溶液32は、その後隙間28を通って(障壁22c を乗り越えて)分岐室29Cに流入した。分岐室 29Cに流入した溶液32は試薬31Cを溶解させた。 らに、流入量の増加に伴い溶液32bの液面は 壁22cの頂面に達し、凸状に盛り上がった。 の後、分岐室29C内の溶液32は隙間28を通って (障壁22c”を乗り越えて)分岐室29Dにまで達し 。

 注入チャンバ21から液体32の流入が止まり 、分岐室29A、29Bおよび29Cにはそれぞれ、4.9μL 、5.1μLおよび5.0μLと、ほぼ同じ容積の溶液が 分配された。残りの溶液は分岐室29Dへと分配 され、分岐室29Dへ分配された溶液量はほぼ3μ Lであった。溶液の色はすべて、黄色を呈し いた。

 次に、回転速度を再度同じ上昇率で上昇 せた。回転速度が2120rpmに達するまでに、分 岐チャンバ22の分岐室29A、29Bおよび29Cのそれ れから、分岐後チャンバ23A、23Bおよび23Cへ 溶液32の移動が生じた。分岐後チャンバ23A~C に溶液32が送液されてから、30℃雰囲気中で5 間反応させた。反応後の各分岐後チャンバ の溶液の色は、目視で、分岐後チャンバ23C 溶液が最も濃く、分岐後チャンバ23B、分岐 チャンバ23Aの溶液の順に薄かった。分岐後 ャンバ23Aの溶液はまだ黄色を呈していた。

 分岐後チャンバ23Aでは、乳酸リチウム、NAD ジアホラーゼ、フェリシアン化カリウムが ぜ合わされる。
 LDHに起因する、乳酸+NAD⇔ピルビン酸+NADHの 素反応が起こり、LDH 100U/Lに相当する分だ 、最終的にジアホラーゼの酵素反応により フェリシアン化カリウムがフェロシアン化 リウムに変化する。溶液の色が黄色から透 へと変化したことを示している。LDH 100U/Lに 相当する分変化は小さいので、溶液の色はほ ぼ黄色のままであったことを示している。

 一方、分岐後チャンバ23Bでは、L-アラニン 2-オキソグルタル酸、グルタミン酸デヒドロ ゲナーゼ、NAD、ジアホラーゼ、フェリシアン 化カリウムが混ぜ合わされる。
 L-アラニン+2-オキソグルタル酸⇔ピルビン +グルタミン酸の反応を触媒する酵素である ALT活性に応じた第一の反応で、グルタミン が生成する。
 生成したグルタミン酸は、さらに、グルタ ン酸+NAD⇔2-オキソグルタル酸+NADHのグルタ ン酸デヒドロゲナーゼが介在した第2の酵素 応によって変化し、ALT 100U/Lに相当する分 け最終的にジアホラーゼの酵素反応により フェリシアン化カリウムがフェロシアン化 リウムに変化し、溶液の色が黄色から透明 と変化したことを示している。

 分岐後チャンバ23Cでは、L-アスパラギン酸 2-オキソグルタル酸、グルタミン酸デヒドロ ゲナーゼ、NAD、ジアホラーゼ、フェリシアン 化カリウムが混ぜ合わされる。
 L-アスパラギン酸+2-オキソグルタル酸⇔ピ ビン酸+グルタミン酸の反応を触媒する酵素 ある、AST活性に応じた第一の反応で、グル ミン酸が生成する。
 生成したグルタミン酸は、さらに、グルタ ン酸+NAD⇔2-オキソグルタル酸+NADHの酵素反 が起こり、AST 200U/Lに相当する分だけ最終的 にジアホラーゼの酵素反応により、フェリシ アン化カリウムがフェロシアン化カリウムに 変化し、溶液の色が黄色から透明へと変化し たことを示している。
 AST 200U/Lに相当する分変化は大きいので、 液の色はほぼ透明になるまで変化したこと 示している。

 以上の結果に見られるように、本実施例 示したチャンバチップ17は、注入チャンバ21 に供給した液体32を分岐及び定量化でき、1つ のチップ構成で複数種類の試薬応答を同時に 精度よく検出することができることが確認で きた。

 本出願は、2007年7月6日出願の特願2007-17908 0に基づく優先権を主張する。当該出願明細 および図面に記載された内容は、すべて本 明細書に援用される。

 本発明の送液装置によれば、微量のサン ルで多項目の検査が可能となる。よって、 発明の送液装置は、POCT用途のバイオセンサ としても有用である。

 [符号の説明]
 1 基板
 11 送液装置
 12 回転基体
 13 回転軸
 14 モータ
 15 駆動回路
 16 回転基体本体
 16a 収容孔
 17 チャンバチップ
 21 注入チャンバ
 21a 注入チャンバの壁面
 22 分岐チャンバ
 22a 分岐チャンバの壁面
 22b 分岐チャンバの壁面
 22c 障壁
 23A 分岐後チャンバ
 23B 分岐後チャンバ
 24 誘導流路
 24a 誘導流路の入口端部
 24b 誘導流路の出口端部
 25A 分岐後流路
 25a 入口端部
 25b 出口端部
 25B 分岐後流路
 25a’ 入口端部
 25b’ 出口端部
 26 注入口
 27 分岐チャンバの空気口
 28 隙間
 29A,29B,29C 分岐室
 30A 分岐後チャンバの空気口
 30B 分岐後チャンバの空気口
 31A、31B、31C、31D  反応試薬
 32 溶液
 35 チャンバ基板
 36 下面基板
 37 上面基板
 C 回転中心
 R1,R2 回転方向
 R3 注入チャンバ
 R4 第1試料チャンバ
 R5 オーバーフローチャンバ
 R6 第2試料チャンバ
 X1~X4 毛管通路
 V1~V3 空気抜き用のチャンネル
 d 誘導流路24の出口端部24bからの延長線と 障壁22cとの距離