Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
PURIFIED GREEN TEA EXTRACT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/146479
Kind Code:
A1
Abstract:
It is intended to improve the bitterness and aftertaste of a purified green tea extract. A purified green tea extract characterized in that: (1) the ratio of the sum of the contents of (A) myricetin, (B) quercetin and (C) kaempferol to the sum of the contents of (D) epigallocatechin gallate and (E) gallocatechin gallate ((A)+(B)+(C))/((D)+(E)) is from 0.0000001 to 0.010; (2) the sum of the contents of (D) epigallocatechin gallate and (E) gallocatechin gallate ((D)+(E)) in non-polymeric catechins is from 0.01 to 29% by mass; and (3) the ratio of gallate compounds in the non-polymeric catechins is from 0.01 to 49% by mass.

Inventors:
KONISHI TOMOKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/001294
Publication Date:
December 04, 2008
Filing Date:
May 23, 2008
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
KAO CORP (JP)
KONISHI TOMOKO (JP)
International Classes:
A23F3/16
Foreign References:
JP2007001893A2007-01-11
JP2007282607A2007-11-01
JP2006129757A2006-05-25
JPH03133928A1991-06-07
JPH05153910A1993-06-22
JPH08109178A1996-04-30
JP2002335911A2002-11-26
JPH01289447A1989-11-21
JPS59219384A1984-12-10
JP2006129757A2006-05-25
JP2007001893A2007-01-11
JPH0420589A1992-01-24
JPH05260907A1993-10-12
JPH05306279A1993-11-19
Other References:
See also references of EP 2147604A4
Attorney, Agent or Firm:
THE PATENT CORPORATE BODY ARUGA PATENT OFFICE (3-6 Nihonbashiningyocho 1-chome, Chuo-k, Tokyo 13, JP)
Download PDF:
Claims:
(1)(A)ミリセチン、(B)ケルセチン及び(C)ケンフェロールの含有質量の和と、(D)エピガロカテキンガレート及び(E)ガロカテキンガレートの含有質量の和との比が((A)+(B)+(C))/((D)+(E))=0.0000001~0.010、
(2)非重合体カテキン類中の(D)エピガロカテキンガレートと(E)ガロカテキンガレートの含有質量の和((D)+(E))が0.01~29質量%、
(3)非重合体カテキン類中のガレート体率が0.01~49質量%
である精製緑茶抽出物。
 (F)カフェインと(G)非重合体カテキン類との含有質量比(F)/(G)が0.0001~0.25である請求項1記載の精製緑茶抽出物。
 (G)非重合体カテキン類と(H)総ポリフェノール類との含有質量比((G)/(H))が0.8~1.2である請求項1又は2に記載の精製緑茶抽出物。
 請求項1~3のいずれか1項記載の精製緑茶抽出物を配合した食品。
 請求項1~3のいずれか1項記載の精製緑茶抽出物を配合した飲料。
 容器詰飲料である請求項5記載の飲料。
Description:
精製緑茶抽出物

 本発明は、緑茶抽出物の精製物及び該精 緑茶抽出物を配合した飲食品に関する。

 カテキンの効果としてはα-アミラーゼ活 阻害作用などが報告されている(例えば、特 許文献1)。このような生理効果を発現させる めには、簡便に大量のカテキンを摂取する 要があるため、飲食品にカテキンを高濃度 合する技術が望まれていた。

 この方法の一つとして、緑茶抽出物の濃 物などの茶抽出物を利用して、カテキンを 料などの飲食品に添加する方法が用いられ いる。しかしながら、カテキンを高濃度に 合する飲食品の種類によっては、例えば紅 抽出液や炭酸飲料にカテキンを添加する場 などに、カフェイン及び緑茶由来の苦渋み 残存が飲料の商品価値を大きく損ねること わかっている。

 茶抽出物から、カフェイン等の夾雑物を り除く方法としては、吸着法(特許文献2~4) 抽出法(特許文献5~6)等が知られている。一方 、最近の知見として緑茶抽出物中に本来存在 しているフラボノイドやフラボノールアグリ コンを低減することによる風味改善技術が開 示されている。例えば、エピガロカテキンガ レートとガロカテキンガレートを含有し、非 重合体カテキン類中のガレート体率を50質量% 以上、かつフラボノイド類をエピガロカテキ ンガレートとガロカテキンガレートの総和に 対して0.0025以下に制御した緑茶抽出物とする 苦味の強さや美味しさを改善する方法(特許 献7)や、非重合体カテキン類中ガレート体率 を50質量%以上に制御すると共に、フラボノー ルアグリコンを非重合体カテキン類に対して 0.002未満にすることで不快な苦味や渋味を低 する方法(特許文献8)である。しかしながら これらの方法においても苦味は改善される のの、摂取後の後味を改善することまでは 成できていなかった。

特開平3-133928号公報

特開平5-153910号公報

特開平8―109178号公報

特開2002-335911号公報

特開平1-289447号公報

特開昭59-219384号公報

特開2006-129757号公報

特開2007-1893号公報

 本発明は、エピガロカテキンガレート及び/ 又はその異性体と、エピカテキンガレート及 び/又はその異性体を含有し、
(1)(A)ミリセチン、(B)ケルセチン及び(C)ケンフ ェロールの含有質量の和と、(D)エピガロカテ キンガレート及び(E)ガロカテキンガレートの 含有質量の和との比が((A)+(B)+(C))/((D)+(E))=0.0000 001~0.010、
(2)非重合体カテキン類中の(D)エピガロカテキ ンガレートと(E)ガロカテキンガレートの含有 質量の和((D)+(E))が0.01~29質量%、
(3)非重合体カテキン類中のガレート体率が0.0 1~49質量%
であることを特徴とする精製緑茶抽出物を提 供するものである。
 また本発明は上記の精製緑茶抽出物を配合 た飲食品を提供するものである。

発明の実施の形態

 本発明は、苦味と後味を改善させる精製 茶抽出物、及び該精製緑茶抽出物を含有す 飲食品を提供することにある。

 本発明者は、高濃度にカテキンを含む茶 出物の継続摂取性には、緑茶抽出物の苦味 改善と、摂取後の後味の改善が重要である の知見に基づき検討した結果、精製緑茶抽 物の苦味と後味を改善させるには、フラボ ール類と共に非重合体カテキン類中のガレ ト体率を低下させることが必要であること 見出した。本発明者は更に詳細に検討した ころ、このような精製緑茶抽出物では着色 併せて抑えられることも見出した。

 本発明により、苦味と後味が改善される 共に着色が抑えられた精製緑茶抽出物が提 される。したがって、該精製緑茶抽出物を 食品へ配合することで、幅広い用途展開が 能になる。

 本発明で非重合体カテキン類とは、カテ ン、ガロカテキン、カテキンガレート、ガ カテキンガレートなどの非エピ体カテキン 及びエピカテキン、エピガロカテキン、エ カテキンガレート、エピガロカテキンガレ トなどのエピ体カテキンをあわせての総称 ある。

 本発明における非重合体カテキン類ガレー 体とは、カテキンガレート、ガロカテキン レート、エピカテキンガレート及びエピガ カテキンガレートをあわせての総称である 本発明の精製緑茶抽出物は、エピガロカテ ンガレート及び/又はその異性体と、エピカ テキンガレート及び/又はその異性体を含有 るものが好ましい。
 また非重合体カテキン類中のガレート体率 は、これら4種の総和質量の非重合体カテキ ン類8種の総和質量に対する百分率で表した 値である。また本発明のエピガロカテキン レートの異性体とはガロカテキンガレート あり、エピカテキンガレートの異性体とは テキンガレートである。

 本発明におけるフラボノール類とは、ミ セチン、ケルセチン及びケンフェロールを い、フラボノール類の含有質量の和とはこ ら3種のフラボノール類の総和質量である。 これらフラボノール類の含有質量はHPLCによ 分離分析により各成分個別に定量すること できる。

 本発明における総ポリフェノール類とは その含有質量を酒石酸鉄法により、標準液 して没食子酸エチルを用い、没食子酸の換 量として求めるものをいう。また本発明に けるカフェインの含有質量はHPLCによる分離 分析により定量することができる。

 本発明におけるフラボノール類((A)ミリセチ ン、(B)ケルセチン及び(C)ケンフェロール)の 有質量の和と、(D)エピガロカテキンガレー 及び(E)ガロカテキンガレートの含有質量の との比は((A)+(B)+(C))/((D)+(E))=0.0000001~0.010であ が、好ましくは0.00001~0.009、更に好ましくは0 .0001~0.0085、特に好ましくは0.0001~0.007である。
 一方、本発明における非重合体カテキン類 のガレート体率は0.01~49質量%であるが、好 しくは0.1~44質量%、更に好ましくは1~39質量% 特に好ましくは5~29質量%である。
 また、本発明における非重合体カテキン類 の(D)エピガロカテキンガレートと(E)ガロカ キンガレートの含有質量の和((D)+(E))は0.01~29 質量%であるが、好ましくは0.01~27質量%、更に 好ましくは0.1~25質量%、特に好ましくは1~23質 %である。
 本発明の精製緑茶抽出物中のフラボノール 、ガレート体並びにエピガロカテキンガレ ト及びその異性体が上記三つを満足するこ で精製緑茶抽出物摂取時の苦味と後味を改 できると共に着色を抑えられる。

 更に、((A)+(B)+(C))/((D)+(E))を上記範囲とす には、飲食品中のフラボノール類の絶対量 少なくするか、又は飲食品中に含まれるフ ボノール類がカテキンのガレート体との関 で相対的に少なくすることが必要である。 えば、各成分を上記関係が成り立つように 食品中へ加える方法のほか、緑茶抽出物を ルコール類単独またはアルコール類含有の 囲気下で後述するような吸着剤処理を施す 法や、緑茶抽出物を水又は有機溶媒と水と 混合液に分散又は溶解した後、後述するよ に活性炭と、酸性白土又は活性白土とで接 処理する方法、あるいはこれらの組み合わ などが挙げられる。

 本発明における(F)カフェイン/(G)非重合体 カテキン類の含有質量比は0.0001~0.25が好まし 、より好ましくは0.001~0.15が好ましく、更に 好ましくは0.001~0.1、特に好ましくは0.001~0.08 ある。この範囲であれば非重合体カテキン の摂取に際してカフェインが過多にならず 苦味、後味の点でも好ましい。

 本発明における(G)非重合体カテキン類/(H) 総ポリフェノール類の含有質量比は0.80~1.2が ましく、より好ましくは0.85~1.15、更に好ま くは0.9~1.1である。この範囲であれば精製緑 茶抽出物中に存在する非重合体カテキン類を 除いた他の成分の存在比が低減される為、好 ましい。

 本発明の精製緑茶抽出物は、簡便に大量 カテキンを摂取するという目的から、その 形分中に、非重合体カテキン類を25~95質量% 有することが好ましく、40~95質量%、更に50~9 0質量%、特に55~80質量%含有することが好まし 。

 本発明で用いる緑茶抽出物としては、緑茶 から得られた抽出液が挙げられる。使用す 茶葉としては、より具体的には、Camellia属 例えばC.sinensis、C.assamica及びやぶきた種又は それらの雑種等から得られる茶葉から製茶さ れた茶葉が挙げられる。製茶された茶葉には 、煎茶、番茶、玉露、てん茶、釜炒り茶等の 緑茶類がある。また、超臨界状態の二酸化炭 素接触処理を施した茶葉を用いてもよい。
 茶を抽出する方法については、攪拌抽出、 ラム法、ドリップ抽出など従来の方法によ 行う。また抽出時の水にあらかじめアスコ ビン酸ナトリウムなどの有機酸又は有機酸 類を添加してもよい。また煮沸脱気や窒素 ス等の不活性ガスを通気して溶存酸素を除 しつつ、いわゆる非酸化的雰囲気下で抽出 る方法も併用してもよい。このようにして られた抽出液は、そのままでも、乾燥、濃 しても本発明の精製緑茶抽出物の調製に使 できる。茶抽出物の形態としては、液体、 ラリー、半固体、固体の状態が挙げられる

 本発明に使用する緑茶抽出物には、茶葉か 抽出した抽出液を使用する代わりに、緑茶 出物の濃縮物を水又は有機溶媒に溶解又は 釈して用いても、茶葉からの抽出液と緑茶 出物の濃縮物とを併用してもよい。
 ここで、緑茶抽出物の濃縮物とは、緑茶葉 ら熱水又は水溶性有機溶媒により抽出され 抽出物を濃縮したものであり、例えば、特 昭59-219384号公報、特開平4-20589号公報、特開 平5-260907号公報、特開平5-306279号公報等に記 されている方法により調製したものをいう 具体的には、緑茶抽出物として、市販の東 フードテクノ社製「ポリフェノン」、伊藤 社製「テアフラン」、太陽化学社製「サン ェノン」等の粗カテキン製剤を固体の緑茶 出物として用いることもできる。

 本発明においては、苦味と後味の改善、 色抑制の観点から、精製緑茶抽出物の原料 なる緑茶抽出物として((A)+(B)+(C))/((D)+(E))の 量比が0.0035~0.01(好ましくは0.004~0.0095、更に ましくは0.0045~0.009)であり、非重合体カテキ 類濃度が20~50質量%(好ましくは25~45質量%、更 に好ましくは30~40質量%)であり、非重合体カ キン類中のガレート体率が5~53質量%(好まし は10~52質量%、更に好ましくは15~49質量%)であ 、カフェイン/非重合体カテキン類の含有質 量比が0.01~0.25(好ましくは0.01~0.22、更に好ま くは0.01~0.20)であるものを使用することが好 しい。

 本発明においては、緑茶抽出物をそのまま 又は水若しくは有機溶媒水溶液に分散又は 解した状態で、活性炭と、酸性白土及び/又 は活性白土(以下、「酸性白土等」ともいう) に接触させることにより、緑茶抽出物を精 することができる。
 緑茶抽出物を、活性炭及び酸性白土等と接 させる順序は特に限定されず、例えば、(1) 茶抽出物を水又は有機溶媒水溶液に分散又 溶解させた後、活性炭と、酸性白土等と接 させる方法、(2)水又は有機溶媒水溶液に活 炭及び酸性白土等を分散させた後、緑茶抽 物と接触処理させる方法、(3)緑茶抽出物と 水又は有機溶媒水溶液とを酸性白土等の存 下に接触させ、次いで活性炭と接触させる 法が挙げられ、中でも(1)及び(3)の方法が好 しい。(1)~(3)の方法における各工程間にはろ 過工程を入れて、ろ別してから次の工程に移 行してもよい。

 接触処理の際には、pHを4~6の範囲に調整 て行うことが、非重合体カテキン類を効率 く抽出した精製緑茶抽出物を得るために好 しい。pHを調整するために、クエン酸、乳酸 、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸等の有機酸を 、有機酸と非重合体カテキン類の質量比率( 機酸/非重合体カテキン類)が0.01~0.20の範囲で 添加することができる。

 接触処理は、バッチ式、カラムによる連 処理等のいずれの方法で行ってもよく、例 ば、緑茶抽出物と活性炭との接触方法は、 性炭カラムによる連続処理等の方法で行う とができる。一般には、粉末状の活性炭等 添加、撹拌し、カフェインを選択的に吸着 、ろ過操作によりカフェインを除去したろ を得る方法又は顆粒状の活性炭等を充填し カラムを用いて連続処理によりカフェイン 選択的に吸着する方法等が採用される。

 緑茶抽出物の精製に使用する有機溶媒とし は、水溶性有機溶媒が好ましく、例えば、 タノール、エタノール等のアルコール類、 セトン等のケトン類、酢酸エチル等のエス ル類が挙げられ、特に飲食品への使用を考 すると、エタノールが好ましい。水として 、イオン交換水、水道水、天然水等が挙げ れ、特に味の点からイオン交換水が好まし 。
 有機溶媒と水との混合質量比は、好ましく 60/40~97/3、更に好ましくは60/40~75/25、特に好 しくは85/15~95/5とするのが、非重合体カテキ ン類の抽出効率、緑茶抽出物の精製効率等の 点で好ましい。

 緑茶抽出物と、水又は有機溶媒水溶液と 割合は、混合液等100質量部に対して、緑茶 出液(乾燥質量換算)を10~40質量部、更に10~30 量部、特に15~30質量部添加して処理するの 、緑茶抽出物を効率よく処理できるので好 しい。

 接触処理には、10~180分程度の熟成時間を けることが好ましく、これらの処理は10~60 で行うことができ、特に10~50℃、更に10~40℃ 行うのが好ましい。

 接触処理に用いる活性炭としては、一般に 業レベルで使用されているものであれば特 制限されず、例えば、ZN-50(北越炭素社製)、 クラレコールGLC、クラレコールPK-D、クラレ ールPW-D(クラレケミカル社製)、白鷲AW50、白 A、白鷲M、白鷲C(武田薬品工業社製)等の市 品を用いることができる。
 活性炭の細孔容積は0.01~0.8mL/g、特に0.1~0.8mL/ gが好ましい。また、比表面積は800~1600m 2 /g、特に900~1500m 2 /gの範囲のものが好ましい。なお、これらの 性値は窒素吸着法に基づく値である。

 活性炭は、水又は有機溶媒水溶液100質量 に対して0.5~8質量部、特に0.5~3質量部添加す るのが、カフェイン除去効率、ろ過工程にお けるケーク抵抗が小さい点で好ましい。

 接触処理に用いる酸性白土又は活性白土は ともに一般的な化学成分として、SiO 2 、Al 2 O 3 、Fe 2 O 3 、CaO、MgO等を含有するものであるが、SiO 2 /Al 2 O 3 比が3~12、特に4~9であるものが好ましい。ま 、Fe 2 O 3 を2~5質量%、CaOを0~1.5質量%、MgOを1~7質量%含有 る組成のものが好ましい。
 活性白土は天然に産出する酸性白土(モンモ リロナイト系粘土)を硫酸等の鉱酸で処理し ものであり、大きい比表面積と吸着能を有 る多孔質構造をもった化合物である。酸性 土を更に酸処理することにより比表面積が 化し、脱色能の改良及び物性が変化するこ が知られている。

 酸性白土又は活性白土の比表面積は、酸処 の程度等により異なるが、50~350m 2 /gであるのが好ましく、pH(5質量%サスペンジ ン)は2.5~8、特に3.6~7のものが好ましい。例え ば、酸性白土としては、ミズカエース#600(水 化学社製)等の市販品を用いることができる 。

 また、活性炭と、酸性白土等との割合は 質量比で活性炭1に対して1~10が好ましく、 性炭:酸性白土又は活性白土=1:1~1:6であるの 好ましい。

 酸性白土等は、水又は有機溶媒水溶液100 量部に対して2.5~25質量部、特に2.5~15質量部 加するのが好ましい。酸性白土等の添加量 少なすぎると、カフェイン除去効率が低下 る傾向にあり、また多すぎるとろ過工程に けるケーク抵抗が大きくなる傾向にある。

 水又は有機溶媒水溶液から活性炭等を分離 るときの温度は、-15~78℃、更に-5~40℃であ のが好ましい。この温度の範囲外であると 分離性が劣り、また溶液の性状に変化が見 れるような場合がある。
 分離方法は公知の技術が応用でき、例えば いわゆるフィルター分離や遠心分離等の手 のほか、活性炭等の粒状物質が詰まったカ ムを通すことでの分離等でもよい。

 また、本発明においては、緑茶抽出物を 製する際に合成吸着剤を使用することがで る。合成吸着剤は、一般に不溶性の三次元 橋構造ポリマーでイオン交換基のような官 基を実質的に持たないものである。好まし は、イオン交換能が1meq/g未満のものを用い ことができる。本発明に用いる合成吸着剤 しては、その母体がスチレン系、例えばア バーライトXAD4、XAD16HP、XAD1180、XAD2000、(供 元:米国ローム&ハース社)、ダイヤイオンH P20、HP21(三菱化学社製)、セパビーズSP850、SP82 5、SP700、SP70(三菱化学社製)、VPOC1062(Bayer社製) ;臭素原子を核置換して吸着力を強めた修飾 チレン系、例えばセパビーズSP205、SP206、SP20 7(三菱化学社製);メタクリル系、例えばダイ イオンHP1MG、HP2MG(三菱化学社製);フェノール 、例えばアンバーライトXAD761(ロームアンド ハース社製);アクリル系、例えばアンバーラ トXAD7HP(ロームアンドハース社製);ポリビニ 系、例えばTOYOPEARL、HW-40C(東ソー社製);デキ トラン系、例えばSEPHADEX、LH-20(ファルマシ 社製)等が使用できる。

 合成吸着剤としては、その母体がスチレ 系、メタクリル系、アクリル系、ポリビニ 系が好ましく、特にスチレン系がカテキン カフェインの分離性の点から好ましい。

 本発明において緑茶抽出物を合成吸着剤 吸着させる手段としては、緑茶抽出物に合 吸着剤を添加、撹拌し吸着後、ろ過操作に り合成吸着剤を回収するバッチ方法又は合 吸着剤を充填したカラムを用いて連続処理 より吸着処理を行なうカラム方法が採用さ るが、生産性の点からカラムによる連続処 方法が好ましい。合成吸着剤の使用量は、 茶抽出物に対して、好ましくは10体積%、更 好ましくは15体積%、特に好ましくは20体積% あることが、非重合体カテキン類の吸着効 等の点で好ましい。

 合成吸着剤が充填されたカラムは、予めSV( 間速度)=0.5~10[h -1 ]、合成吸着剤に対する通液倍数として2~10[v/v ]の通液条件で95vol%エタノール水溶液による 浄を行い、合成吸着剤の原料モノマーやそ 他の不純物等を除去するのが好ましい。そ て、その後SV=0.5~10[h -1 ]、合成吸着剤に対する通液倍数として1~60[v/v ]の通液条件により水洗を行い、エタノール 除去して合成吸着剤の含液を水系に置換す 方法により非重合体カテキン類の吸着能が 上する。

 カラムに緑茶抽出物を通液するときの条 としては、合成吸着剤に吸着させる場合、 茶抽出物中の非重合体カテキン類の濃度は 好ましくは0.1~22質量%、より好ましくは0.1~15 質量%、更に好ましくは0.5~10質量%、特に好ま くは0.5~3質量%であることが、樹脂への吸着 率の点から好ましい。

 緑茶抽出物を、合成吸着剤を充填したカラ に通液する条件としては、SV(空間速度)=0.5~1 0[h -1 ]の通液速度で、合成吸着剤に対する通液倍 として0.5~20[v/v]で通液するのが好ましい。10[ h -1 ]以下の通液速度や20[v/v]以下の通液量である 非重合体カテキン類の吸着が十分である。

 緑茶抽出物を吸着後、合成吸着剤は、水 は有機溶媒水溶液で洗浄するのが好ましい 合成吸着剤の洗浄に使用する水溶液として 、非重合体カテキン類の回収率の点からpH7 下の水が好ましく、水溶性有機溶媒との混 系においても使用することができる。水溶 有機溶媒としては、アセトン、メタノール エタノールなどが挙げられ、飲食品への使 の観点から、エタノールが好ましい。含有 る有機溶媒の濃度は、0~20質量%、好ましく 0~10質量%、より好ましくは0~5質量%が非重合 カテキン類の回収率の点から好ましい。

 この洗浄工程においては、SV(空間速度)=0.5~1 0[h -1 ]の通液速度で、合成吸着剤に対する通液倍 として1~10[v/v]で、合成吸着剤に付着した不 物を除去することが好ましい。更にSV=0.5~5[h -1 ]の通液速度で、通液倍数として1~5[v/v]で洗浄 することが夾雑物の除去効果及び非重合体カ テキン類の回収率の点から好ましい。

 次いで、非重合体カテキン類を有機溶媒水 液又は塩基性水溶液で溶出させる。
 有機溶媒水溶液としては、水溶性有機溶媒 水との混合系が用いられ、水溶性有機溶媒 しては、アセトン、メタノール、エタノー などが挙げられる。中でも、飲食品への使 の観点から、エタノールが好ましい。水溶 有機溶媒の濃度は、20~70質量%、好ましくは3 0~60質量%、より好ましくは30~50質量%が非重合 カテキン類の回収率の点から好ましい。
 非重合体カテキン類の溶出に用いる塩基性 溶液としては、アルカリ金属塩及びアルカ 土類のアルカリ水溶液、好ましくは、ナト ウム系のアルカリ性水溶液、例えば水酸化 トリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液等 好適に用いることができる。また、アルカ 性水溶液のpHは7~14の範囲が好ましい。非重 体カテキン類回収率の点から9~14.0、特に10~1 3.5が好ましい。pH7~14のナトリウム系水溶液と しては、4%以下の水酸化ナトリウム水溶液、1 N-炭酸ナトリウム水溶液等が挙げられる。塩 性水溶液に、水溶性有機溶媒を混合するこ ができる。有機溶媒の濃度としては、カフ インとカテキンの分離性の点から0~90質量% 範囲が好ましく、0~50質量%がより好ましく、 0~20質量%が更に好ましい。

 溶出工程においては、溶出に用いる塩基 水溶液として互いにpHが異なる2種以上の塩 性水溶液を用い、これら塩基性水溶液をpH 低い順に合成吸着剤に接触させることがで る。それぞれのpH区分で異なる非重合体カテ キン類や他の成分を脱着することができる。

 SV(空間速度)=2~10[h -1 ]の通液速度で、合成吸着剤に対する通液倍 として1~30[v/v]で、非重合体カテキン類を溶 することが好ましい。更にSV=3~7[h -1 ]の通液速度で、通液倍数として3~15[v/v]で溶 することが生産性及び非重合体カテキン類 回収率の点から好ましい。

 本発明で使用される合成吸着剤は精製処 後に所定の方法を用いることにより再使用 きる。具体的には、エタノールのような有 溶媒を通液し合成吸着剤上に吸着したカフ イン等の不要分を脱着させる。又は水酸化 トリウムのようなアルカリ水溶液を通液・ 浄し、合成吸着剤上に残存する水溶性成分 すべて脱着できる。更に水蒸気による洗浄 組み合わせても良い。

 非重合体カテキン類を塩基性水溶液で溶 した溶出液は塩基性であるが、非重合カテ ン類の安定性の観点から、通常、溶出液のp Hを7以下に、より好ましくはpHを1~6、更に好 しくは1~5、特に好ましくは2~4に調整するこ が望ましい。具体的には酸による中和、電 透析によるアルカリ金属イオンの除去、又 イオン交換樹脂によるアルカリ金属イオン 除去が利用できる。イオン交換樹脂として 特にH型のカチオン交換樹脂を用いるのが好 しい。プロセスの簡便性からイオン交換樹 によるpH調整が好ましい。カチオン交換樹 としては、具体的には、アンバーライト200CT 、IR120B、IR124、IR118(供給元:米国ローム&ハ ス社)、ダイヤイオンSK1B、SK1BH、SK102、PK208 PK212(三菱化学社製)等を用いることができる

 非重合体カテキン類の溶出液は、濃縮し 出物を固液分離除去することが、呈味及び 品の安定性向上のため好ましい。濃縮は、 圧蒸留、薄膜蒸留、膜濃縮等により実施す ことができる。濃縮倍率としては、呈味及 析出物の分離性の点から2~500倍、更に2~250倍 、特に2~125倍が好ましい。濃縮後の非重合体 テキン類の濃度は、呈味及び析出物の分離 の点から0.1~70質量%、更に0.2~50質量%、特に0. 5~25質量%が好ましい。固液分離の具体的な操 としては、ろ過及び/又は遠心分離処理等が 挙げられる。緑茶抽出物水溶液を固液分離し て得られる水溶性部分である緑茶抽出物水溶 液の濁度は、0.1~100NTU、より好ましくは0.5~70NT U、更に好ましくは1~50NTUであると、飲料の呈 及び安定性の点で好ましい。

 固液分離の方法は、食品工業で使用できる 法が適用できる。例えば、固液分離を膜ろ で行う場合の膜ろ過条件としては、温度が5 ~70℃、更に10~40℃であるのが好ましい。膜孔 は、所定の濁度になるという点から、0.1~10 mが好ましく、更に0.1~5μm、特に0.1~2μmである のがろ過に要する時間及び濁り成分の分離性 の点から好ましい。膜孔径の測定方法は、水 銀圧入法、バブルポイント試験、細菌ろ過法 などを用いた一般的な測定方法が挙げられる が、バブルポイント試験で求めた値を用いる のが好ましい。膜ろ過で使用する膜の材質は 、高分子膜、セラミック膜、ステンレス膜等 が使用できる。
 また、遠心分離機は、分離板型、円筒型、 カンター型などの一般的な機器が好ましい 遠心分離条件としては、温度が5~70℃、更に 10~40℃であるのが好ましく、回転数と時間は 所定の濁度になるように調整された条件で ることが望ましい。例えば分離板型の場合 3000~10000rpm、更に5000~10000rpm、特に6000~10000rpm 、0.2~30分、更に0.2~20分、特に0.2~15分である が好ましい。

 また、飲料の色調安定の観点から、非重 体カテキン類の溶出液を脱色することが好 しい。具体的な脱色操作としては、精製緑 抽出物をそのまま、又は水若しくは有機溶 水溶液に分散又は溶解し、活性炭、活性白 及び酸性白土から選ばれる少なくとも1種に 接触させることにより、脱色することができ る。なお、接触処理方法は、上記と同様の方 法を採用することができる。

 緑茶抽出物は、更に苦味を低減したい場合 タンナーゼ活性を有する酵素で処理するこ ができる。呈味の点から合成吸着剤に吸着 る前に酵素処理することが好ましい。その でもタンナーゼが好ましい。例えば、アス ルギルス属、ペニシリウム属、リゾプス属 タンナーゼ生産菌を培養して得られるタン ーゼが挙げられる。このうちアスペルギル  オリーゼ由来のものが好ましい。
 具体的には、タンナーゼ活性を有する酵素 して市販品では、ペクチナーゼPLアマノ(天 エンザイム社製)、ヘミセルラーゼアマノ90( 天野エンザイム社製)、タンナーゼKTFH(キッコ ーマン社製)等が利用できる。本発明で行う ンナーゼ活性を有する酵素処理、即ち酵素 応は、タンニンアシルヒドラーゼEC3.1.1.20な で行うことが好適である。市販品としては 商品名「タンナーゼ」キッコーマン(株)製 びタンナーゼ「三共」三共(株)製などが挙げ られる。
 本発明で使用するタンナーゼ活性を有する 素は、500~100,000U/gの酵素活性を有すること 好ましく、500U/g以下であると工業的に限ら た時間内で処理するためには多量の酵素が 要となり、100,000U/g以上であると酵素反応速 が速すぎる為、反応系を制御することが困 となる。ここで1Unitは30℃の水中においてタ ンニン酸に含まれるエステル結合を1マイク モル加水分解する酵素量を示す。ここでタ ナーゼ活性を有するとは、タンニンを分解 る活性を有するものであり、本活性を有す ば任意の酵素が使用できる。

 タンナーゼ活性を有する酵素で処理すると の非重合体カテキン類の濃度は、好ましく 0.1~22質量%、更に好ましくは0.1~15質量%、特 好ましくは0.5~10質量%、殊更好ましくは0.5~3 量%である。
 緑茶抽出物中の非重合体カテキン類に対し タンナーゼ活性を有する酵素を、好ましく 1~300Unit/g-非重合体カテキン類、更に好まし は3~200Unit/g-非重合体カテキン類、特に好ま くは5~150Unit/g-非重合体カテキン類になるよ に添加する。
 酵素処理の温度は、最適な酵素活性が得ら る0~70℃が好ましく、更に好ましくは0~60℃ 特に好ましくは5~50℃である。

 酵素反応を終了させるには、酵素活性を失 させる。酵素失活の温度は、70~100℃が好ま く、また、その保持時間は、10秒から20分が 好ましい。失活温度が低すぎると酵素を短時 間で充分に失活することが困難であるため反 応が進行し、所望の非重合体カテキン類ガレ ート体率の範囲内で酵素反応を停止すること ができない。又、失活温度に到達してから保 持時間が短すぎると酵素活性を充分に失活さ せることが困難であるため、酵素反応が進行 する。また、保持時間が長すぎると非重合体 カテキン類の非エピメリ化が起こる場合があ り好ましくない。
 酵素反応の失活方法は、バッチ式もしくは レート型熱交換機のような連続式で加熱を うことで停止することができる。又、タン ーゼ処理の失活終了後、遠心分離などの操 により茶抽出物を清浄化することができる

 このようにして得られた精製緑茶抽出物は 該精製緑茶抽出物を非重合体カテキン類濃 0.2質量%となるように調整し分光光度計によ り480nmにおける吸光度(OD480)を測定したときの 値が0.06以下、好ましくは0.05以下、より好ま くは0.04以下とすることができる。
 したがって、本発明の精製緑茶抽出物は、 味と後味が改善されるだけでなく、着色も 制されているため幅広い用途展開が可能で り、例えば、本発明の精製緑茶抽出物をそ まま食品又は飲料に配合して使用すること できる。その場合、減圧濃縮、薄膜濃縮な の方法により溶媒を除去してもよい。また 製緑茶抽出物の製品形態として粉体が望ま い場合は、噴霧乾燥や凍結乾燥等の方法に り粉体化することができる。本発明で得ら た精製緑茶抽出物は、苦味及び後味が低減 れていることから、飲料だけでなく種々の 品に原料として配合することができる。こ うち、容器詰飲料とするのが特に好ましい

 本発明の精製緑茶抽出物を用いた食品又 容器詰飲料の非重合体カテキン類の濃度を0 .05~0.5質量%、好ましくは0.06~0.5質量%、更に0.08 ~0.5質量%、更に好ましくは0.092~0.4質量%、殊更 好ましくは0.11~0.3質量%、特に好ましくは0.12~0 .3質量%に調整すると、深みがあり、雑味がな く良好な風味の食品又は容器詰飲料が得られ る点で好ましい。

 本発明の容器詰飲料は、苦渋味抑制剤を 合すると飲用しやすくなり好ましい。用い 苦渋味抑制剤としては、サイクロデキスト ンが好ましい。サイクロデキストリンとし は、α-、β-、γ-サイクロデキストリン及び 岐α-、β-、γ-サイクロデキストリンが使用 きる。本発明の容器詰飲料には、酸化防止 、香料、各種エステル類、有機酸類、有機 塩類、無機酸類、無機酸塩類、無機塩類、 素類、乳化剤、保存料、調味料、甘味料、 味料、ガム、油、ビタミン、アミノ酸、果 エキス類、野菜エキス類、花蜜エキス類、p H調整剤、品質安定剤等の添加剤を単独、あ いは併用して配合してもよい。

 本発明の容器詰飲料のpHは、25℃で2~7、好 ましくは2~6.5とするのが呈味及び非重合体カ キン類の安定性の点で好ましい。

 本発明の容器詰飲料においても、非重合 カテキン類の生理効果を得るための一日当 の必要摂取量を確保する意味からも、非重 体カテキン類を本発明の容器詰飲料1本(350~5 00mL)当り300mg以上、好ましくは450mg以上、更に 好ましくは500mg以上の配合量であるものがよ 。

 本発明の容器詰飲料に使用される容器は ポリエチレンテレフタレートを主成分とす 成形容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、金 箔やプラスチックフィルムと複合された紙 器、瓶等の通常の形態で提供することがで る。

 また上記の容器詰飲料は、例えば、金属 のように容器に充填後、加熱殺菌できる場 にあっては食品衛生法に定められた殺菌条 で製造される。PETボトル、紙容器のように トルト殺菌できないものについては、あら じめ上記と同等の殺菌条件、例えばプレー 式熱交換器などで高温短時間殺菌後、一定 温度迄冷却して容器に充填する等の方法が 用される。また無菌下で、充填された容器 別の成分を配合して充填してもよい。

(1) 非重合体カテキン類及びカフェイ ンの測定
 試料溶液をフィルター(0.45μm)で濾過し、島 製作所製、高速液体クロマトグラフ(型式SCL -10AVP)を用い、オクタデシル基導入液体クロ トグラフ用パックドカラムL-カラムTM ODS(4.6m mφ×250mm:財団法人 化学物質評価研究機構製) 装着し、カラム温度35℃でグラディエント により行った。移動相A液は酢酸を0.1mol/L含 の蒸留水溶液、B液は酢酸を0.1mol/L含有のア トニトリル溶液とし、流速は1mL/分、試料注 量は10μL、UV検出器波長は280nmの条件で行っ 。なお、グラディエント条件は以下の通り ある。

   時間(分)   A液濃度(体積%)   B液濃度
    0       97%         3%
    5       97%         3%
   37       80%        20%
   43       80%        20%
   43.5      0%       100%
   48.5      0%       100%
   49       97%         3%
   60       97%         3%

(2) ミリセチン、ケルセチン及びケン フェロール(フラボノール類)の測定
 試料溶液をフィルター(0.45μm)で濾過し、WATE RS製、高速液体クロマトグラフ(型式Waters2695) 用い、カラムはShimpach VP ODS(150×4.6mmI.D.)を 着し、カラム温度40℃でグラディエント法 より行った。移動相A液はリン酸を0.05%含有 蒸留水溶液、B液はメタノール溶液とし、流 は1mL/L、試料注入量は10μL、UV検出器波長は3 68nmの条件で行った。なお、グラディエント 条件は、以下のとおりである。
   時間(分)   A液濃度(体積%)   B液濃度
    0       95%          5%
   20       80%         20%
   40       30%         70%
   41        0%        100%
   46        0%        100%
   47       95%          5%
   60       95%          5%

(3) 総ポリフェノール類の測定
 総ポリフェノール類の測定は酒石酸鉄法に り、標準液として没食子酸エチルを用い、 食子酸の換算量として求める(参考文献:「 茶ポリフェノール」飲食料品用機能性素材 効利用技術シリーズNo.10)。試料5mLを酒石酸 標準溶液5mLで発色させ、リン酸緩衝液で25mL 定溶し、540nmで吸光度を測定し、没食子酸 チルによる検量線から総ポリフェノール類 求める。酒石酸鉄標準液の調製:硫酸第一鉄 7水和物100mg、酒石酸ナトリウム・カリウム( ロッシェル塩)500mgを蒸留水で100mLとする。リ 酸緩衝液の調製:1/15Mリン酸水素二ナトリウ 溶液と1/15Mリン酸二水素ナトリウム溶液を 合しpH7.5に調整する。

(4) 固形分の測定
 試料約1gを秤量し、105℃で3時間以上乾燥さ 、秤量する。そして、下記式により算出す 。
 固形分=乾燥後の重量/乾燥前の重量×100

(5) OD480の測定
 非重合体カテキン類濃度0.2質量%となるよう 調整した試料溶液を、日立製U2810形分光光度 で480nmの吸光度を測定した。

(6) 硫酸キニーネ法(等価濃度試験法) よる苦味と後味の評価
 硫酸キニーネ2水和物を表に記載の苦味強度 に対応した濃度に調整する。評価サンプルを 試飲した後、標準苦味溶液のどのサンプルと 苦味の強さが等しいか判断する。評価パネラ ー5名によって苦味強度及び後味の確認を行 た。(参考文献:新版官能検査ハンドブック  科技連官能検査委員会p448-449、Perception &  Psychophysics,5,1696,347-351)

製造例1:「緑茶抽出物1」
 緑茶葉(ケニア産、大葉種)3kgに88℃の熱水45k gを添加し、60分間攪拌してバッチ抽出した。 次いで、100メッシュ金網で粗ろ過後、抽出液 中の微粉を除去する為に遠心分離操作を行い 、「緑茶抽出液」36.8kg(pH5.3)を得た(緑茶抽出 中の非重合体カテキン類濃度=0.88質量%、非 合体カテキン類中のガレート体率=51.6質量% カフェイン=0.17質量%)。緑茶抽出液の一部を 凍結乾燥し、「緑茶抽出物1」を得た。「緑 抽出物1」中の非重合体カテキン類濃度=32.8 量%、非重合体カテキン類中のガレート体率= 51.6質量%、カフェイン/非重合体カテキン類比 =0.193であった。

製造例2:「緑茶抽出物2」
 緑茶葉(ケニア産、大葉種)3kgに88℃の熱水45k gを添加し、60分間攪拌してバッチ抽出した。 次いで、100メッシュ金網で粗ろ過後、抽出液 中の微粉を除去する為に遠心分離操作を行い 、「緑茶抽出液」36.8kg(pH5.3)を得た(緑茶抽出 中の非重合体カテキン類濃度=0.88質量%、非 合体カテキン類中のガレート体率=51.6質量% カフェイン=0.17質量%)。この緑茶抽出液を温 度15℃に保持し、タンナーゼ(キッコーマン社 製タンナーゼKTFH、500U/g)を緑茶抽出液に対し 430ppmとなる濃度で添加し、55分間保持し、90 ℃に溶液を加熱して、2分間保持し酵素を失 させ、反応を止めた(pH5.2)。次いで70℃、6.7kp aの条件下で、減圧濃縮でBrix濃度20%まで濃縮 理を行い、更に噴霧乾燥して粉末状のタン ーゼ処理した「緑茶抽出物2」1.0kgを得た。 られた「緑茶抽出物2」は非重合体カテキン 類濃度=30.5質量%、非重合体カテキン類中のガ レート体率=31.6質量%、カフェイン/非重合体 テキン類比=0.183であった。

実施例1
 酸性白土(ミズカエース#600、水澤化学社製)1 00gを25℃で、250rpmの攪拌条件下で92質量%エタ ール水溶液800g中に分散させ、約10分間攪拌 行った後、「緑茶抽出物1」120g、「緑茶抽 物2」80gの混合物を投入し、室温のまま約3時 間の攪拌を続けた(pH4.1)。その後、生成して る沈殿および酸性白土を2号ろ紙で濾過した 得られたろ液にイオン交換水を417g添加し、 15℃、100rpm攪拌条件下で約5分間攪拌を行った 。その混合溶液を小型冷却遠心分離機を用い (日立工機社製)、操作温度15℃で析出した濁 成分を分離した(6000rpm、5分)。分離した溶液 活性炭(クラレコールGLC、クラレケミカル社 製)30gと接触させ、続けて0.2μmメンブランフ ルターによってろ過を行った。その後、凍 乾燥して「精製緑茶抽出物1」を得た。
 「精製緑茶抽出物1」中には非重合体カテキ ン類59.5質量%が含まれており、非重合体カテ ン類中のガレート体率は44.1質量%であった 又、カフェイン/非重合体カテキン類比=0.061 非重合体カテキン類/総ポリフェノール類比 =0.928、非重合体カテキン類中のエピガロカテ キンガレート及びガロカテキンガレート(EGCg+ GCg)=21.8質量%、フラボノール類/(EGCg+GCg)=0.00128 あった。
 風味の評価を行ったところ、苦味が6.0、後 が6.5であった。

実施例2
 「緑茶抽出物2」85gを、イオン交換水8415gに2 5℃で30分間攪拌溶解した(タンナーゼ処理液) ステンレスカラム1(内径110mm×高さ230mm、容 2185mL)に合成吸着剤SP-70(三菱化学(株)製)を2048 mL充填した。次にこのタンナーゼ処理液(4倍 積対合成吸着剤)をSV=1(h -1 )でカラム1に通液し透過液は廃棄した。次い SV=1(h -1 )で2048mL(1倍容積対合成吸着剤)の水で洗浄し 。水洗後、50質量%エタノール水溶液をSV=1(h -1 )で4096mL(2倍容積対合成吸着剤)を通液し、「 脂処理品1」4014g(pH4.58)を得た。この抽出物中 には非重合体カテキン類1.89質量%が含まれて り、非重合体カテキン類中のガレート体率 36.2質量%であった。又、カフェインは0.281質 量%であった。茶抽出物の固形分中の非重合 カテキン類60.1質量%であった。
 次いで、ステンレスカラム2(内径22mm×高さ14 5mm、容積55.1mL)に粒状活性炭太閤SGP(フタムラ 学(株)製)を8.5g充填した。「樹脂処理品1」10 00gをSV=1(h -1 )でカラム2に通液した(活性炭の量はタンナー ゼ処理した緑茶抽出物に対して0.4)。さらに 結乾燥して「樹脂処理品2」を得、これを「 製緑茶抽出物2」とした。
 この「精製緑茶抽出物2」には非重合体カテ キン類77.6質量%が含まれており、非重合体カ キン類中のガレート体率は26.1質量%であっ 。又、カフェインは0.02質量%であった。又、 カフェイン/非重合体カテキン類比=0.003、非 合体カテキン類/総ポリフェノール類比=1.072 EGCg+GCg=18.1質量%、フラボノール類/(EGCg+GCg)=0. 00017であった。
 風味の評価を行ったところ、苦味が5.0、後 が5.3であった。

実施例3
 緑茶抽出物(ポリフェノンHG、三井農林社製) 100gを25℃で、250rpm攪拌条件下の70質量%エタノ ール水溶液100g中に分散させ、活性炭クラレ ールGLC(クラレケミカル社製)25gと酸性白土ミ ズカエース#600(水澤化学社製)30gを投入後、約 10分間攪拌を続けた。次に95質量%エタノール 溶液800gを30分かけて滴下した後、室温のま 30分間の攪拌を続けた。その後、再び2号濾 で濾過し、続けて0.2μmメンブランフィルタ によって再濾過を行った。最後にイオン交 水200gを濾過液に添加して、40℃、0.0272kg/cm 2 でエタノールを留去し、噴霧乾燥した後、得 られた粉末を50質量%となるようにイオン交換 水に溶解し、5℃、30分、3000rpmの条件で遠心 離処理を実施した。このようにして得られ 上澄溶液を採取し、さらに凍結乾燥して「 製緑茶抽出物3」を得た。
 「精製緑茶抽出物3」中には非重合体カテキ ン類44.6質量%が含まれており、非重合体カテ ン類中のガレート体率は46.2質量%であった 又、カフェイン/非重合体カテキン類比=0.070 非重合体カテキン類/総ポリフェノール類比 =0.944、EGCg+GCg=16.4質量%、フラボノール類/(EGCg+ GCg)=0.00311であった。
 風味の評価を行ったところ、苦味が6.5、後 が7.0であった。

比較例1
 「緑茶抽出物1」120gと、「緑茶抽出物2」80g 混合した。この混合物中には、非重合体カ キン類32.3質量%が含まれており、非重合体 テキン類中のガレート体率は43.6質量%であっ た。又、カフェイン/非重合体カテキン類比=0 .181、非重合体カテキン類/総ポリフェノール 比=0.806、EGCg+GCg=11.1質量%、フラボノール類/( EGCg+GCg)=0.01057であった。
 風味の評価を行ったところ、苦味が6.2、後 が7.3であった。

比較例2
 「緑茶抽出物1」中には、非重合体カテキン 類濃度=32.8質量%、非重合体カテキン類中のガ レート体率=51.6質量%、カフェイン/非重合体 テキン類比=0.193、非重合体カテキン類/総ポ フェノール類比=0.809、EGCg+GCg=13.1質量%、フ ボノール類/(EGCg+GCg)=0.00786であった。
 風味の評価を行ったところ、苦味が7.0、後 が8.0であった。

比較例3
 三井農林社製ポリフェノンHG中には、非重 体カテキン類31.9質量%が含まれており、非重 合体カテキン類中のガレート体率は54.6質量% あった。又、カフェイン/非重合体カテキン 類比=0.189、非重合体カテキン類/総ポリフェ ール類比=0.820、EGCg+GCg=13.4質量%、フラボノー ル類/(EGCg+GCg)=0.00340であった。
 風味の評価を行ったところ、苦味が5.5、後 が8.5であった。

比較例4
 三井農林社製ポリフェノン70S中には、非重 体カテキン類81.8質量%が含まれており、非 合体カテキン類中のガレート体率は62.3質量% であった。又、カフェイン/非重合体カテキ 類比=0.002、非重合体カテキン類/総ポリフェ ール類比=0.935、EGCg+GCg=39.9質量%、フラボノ ル類/(EGCg+GCg)=0.00040であった。
 風味の評価を行ったところ、苦味が8.2、後 が8.7であった。

比較例5
 水6gを50℃に加温し、緑茶抽出物(商品名「PF -TP80」、株式会社ファーマフーズ研究所製)3g 活性白土(商品名「ガレオンアース」、水澤 化学工業製)0.075g加え、30分間攪拌混合した。 さらに、ケイソウ土(商品名「ラジオライト 、昭和化学工業製)0.067g加え、ろ過してケイ ウ土と活性白土、不溶物を除去した。次に 活性炭(商品名「カルボラフィン」、日本エ ンバイロケミカルズ製)0.45g加え、50℃で30分 攪拌混合した。そして粉末セルロース(商品 「KCフロック」、日本製紙ケミカルズ製)0.13 2gを加え、吸引ろ過して活性炭と粉末セルロ スを除去した。得られた水溶液をエバポレ ターで濃縮し、1.31gの「精製緑茶抽出物4」 得た。
 「精製緑茶抽出物4」中には非重合体カテキ ン類76.2質量%が含まれており、非重合体カテ ン類中のガレート体率は74.6質量%であった 又、カフェイン/非重合体カテキン類比=0.085 非重合体カテキン類/総ポリフェノール類比 =0.881、EGCg+GCg=46.1質量%、フラボノール類/(EGCg+ GCg)=0.00016であった。
 風味の評価を行ったところ、苦味が8.6、後 が9.0であった。

実施例4
 実施例1及び2の精製緑茶抽出物を用いて表3 記載の容器詰飲料を調製した。食品衛生法 基づく殺菌処理及びホットパック充填を行 て容器詰飲料とした。

 表2の各実施例と各比較例の比較から、精 製緑茶抽出物中のフラボノール類と(EGCg+GCg) 質量比を0.010以下、非重合体カテキン類中の (EGCg+GCg)率を0.01~29質量%、且つ非重合体カテキ ン類中のガレート体率を0.01~49質量%とするこ で、苦味と後味を両方満足できる風味を持 と共に着色を抑えた精製緑茶抽出物を得ら ることが判った。特に実施例2のように、非 重合体カテキン類中のガレート体率を26質量% まで下げることで苦味と後味が格段に改善し 得ることが判った。