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Title:
PUSHER DEVICE FOR PIERCING-ROLLING PROCESS AND SEAMLESS PIPE MANUFACTURING METHOD USING SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/011146
Kind Code:
A1
Abstract:
A pusher device (4) has a cylinder device (30) and a pusher core (34). The cylinder device (30) has a cylinder shaft (32). The pusher core (34) is fitted to the front end of the cylinder shaft (32). The front end of the pusher core (34) is made to come in contact with the rear end of a billet (20). The lateral cross-sectional area (Sp) of the pusher core (34) and the lateral cross-sectional area (Sb) of the billet (20) satisfy the expression (1). The length (Lp) of the pusher core (34) and the cross-sectional area (Sp) of the pusher core (34) satisfy the expression (2). The distance (Lc) of movement of the front end of the cylinder shaft (32) during piercing-rolling operation and the outer diameter (Dc) of the cylinder shaft (32) satisfy the expression (3). The pusher device (4) can minimize uneven wall-thickness distribution of the front end part of a blank pipe manufactured by piercing-rolling using the pusher device. 0.3 ≤ Sp/Sb (1) Lp/Sp ≤ 1.2 (2) Lc/Dc ≤ 45 (3)

Inventors:
YAMAKAWA TOMIO (JP)
SHIMODA KAZUHIRO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/052826
Publication Date:
January 22, 2009
Filing Date:
February 20, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SUMITOMO METAL IND (JP)
YAMAKAWA TOMIO (JP)
SHIMODA KAZUHIRO (JP)
International Classes:
B21B23/00; B21B19/04
Foreign References:
JPS5612501U1981-02-03
JP2001162306A2001-06-19
JP2000246311A2000-09-12
JP2001162306A2001-06-19
Other References:
See also references of EP 2168696A4
Attorney, Agent or Firm:
UEBA, Hidetoshi et al. (4th Fl. Kadono Bldg.,2-1, Tenma 2-chome,Kita-ku, Osaka-shi, Osaka 43, JP)
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Claims:
 ビレットを穿孔圧延する穿孔機の入側に配設される穿孔圧延用のプッシャ装置であって、
 シリンダ軸を含むシリンダ装置と、
 前記シリンダ軸の先端に取り付けられ、その先端が前記ビレットの後端に当接される、棒状のプッシャ芯金とを備え、
 前記プッシャ芯金の横断面積Spと前記ビレットの横断面積Sbとは式(1)を満たし、前記プッシャ芯金の長さLpと前記プッシャ芯金の横断面積Spとは式(2)を満たし、穿孔圧延時における前記シリンダ軸の先端の移動距離Lcと前記シリンダ軸の外径Dcとは式(3)を満たすことを特徴とするプッシャ装置。
 0.3≦Sp/Sb (1)
 Lp/Sp≦1.2 (2)
 Lc/Dc≦45 (3)
 請求項1に記載のプッシャ装置であって、
 前記プッシャ芯金の先端は、凸状に丸みを帯びていることを特徴とするプッシャ装置。
 請求項1に記載のプッシャ装置であって、
 前記プッシャ芯金は、
 棒状の芯金本体部材と、
 前記芯金本体部材の端部に、周方向に回転可能に取り付けられ、その先端が前記ビレットの後端に当接される芯金先端部材とを備えることを特徴とするプッシャ装置。
 複数の傾斜ロールを含む穿孔機と、前記穿孔機の入側に配設されるプッシャ装置とを用いて、ビレットを穿孔圧延する継目無管の製造方法であって、
 前記プッシャ装置は、
 シリンダ軸を含むシリンダ装置と、
 前記シリンダ軸の先端に取り付けられ、その先端が前記ビレットの後端に当接される、棒状のプッシャ芯金とを備え、
 前記プッシャ芯金の横断面積Spと前記ビレットの横断面積Sbとは式(1)を満たし、前記プッシャ芯金の長さLpと前記プッシャ芯金の横断面積Spとは式(2)を満たし、穿孔圧延時における前記シリンダ軸の先端の移動距離Lcと前記シリンダ軸の外径Dcとは式(3)を満たし、
 前記継目無管の製造方法は、
 前記ビレットを前記プッシャ装置と前記穿孔機との間に配置する工程と、
 前記プッシャ装置により前記ビレットの後端を押して、前記ビレットの先端を前記傾斜ロールに噛み込ませる工程と、
 前記ビレットの先端が噛み込まれてから、前記ビレットの先端が所定距離移動するまでの間、前記プッシャ装置により前記ビレットを押し進める工程とを備えることを特徴とする継目無管の製造方法。
 0.3≦Sp/Sb (1)
 Lp/Sp≦1.2 (2)
 Lc/Dc≦45 (3)
Description:
穿孔圧延用のプッシャ装置及び れを用いた継目無管の製造方法

 本発明は、プッシャ装置及びそれを用い 継目無管の製造方法に関し、さらに詳しく 、ビレットを穿孔圧延して素管にするとき 利用される、穿孔圧延用のプッシャ装置、 び、それを用いた継目無管の製造方法に関 る。

 継目無管は、中実の丸ビレットを穿孔機 穿孔圧延することにより製造される。穿孔 は複数の傾斜ロールを備え、複数の傾斜ロ ルの間にはプラグが配設される。また、穿 機の入側には、プッシャ装置が配設される

 加熱炉で加熱されたビレットは、その後 をプッシャ装置に押され、傾斜ロールの間 向かって搬送される。ビレットが傾斜ロー に噛み込まれたとき、プッシャはビレット 押す動作を停止する。傾斜ロールに噛み込 れたビレットは、螺旋状に回転しながら穿 圧延され、素管になる。

 上述の穿孔圧延では、回転鍛造効果及び ん断変形により、穿孔圧延後の素管の内面 葉状、ひれ状又はラップ状の疵(以下、これ らの疵を内面疵という)が発生するという問 がある。

 穿孔圧延において内面疵の発生を抑制す には、従来よりも小さい圧下率で穿孔圧延 ればよい。しかしながら、圧下率を小さく ると、ビレットが傾斜ロールへ安定して噛 込みこまれないという、いわゆる噛み込み 良が発生しやすくなる。

 このような噛み込み不良を解決する技術 、特開2000-246311号公報及び特開2001-162306号公 報に開示されている。これらの文献によると 、ビレットの先端が傾斜ロールと接触してか ら、ビレットが傾斜ロールへ噛み込みまれて 安定的に穿孔されるまでの間、プッシャ装置 がビレットを後ろから押し続ける。これによ り、噛み込み不良が抑制されるとしている。 以下、このような穿孔圧延をプッシャ穿孔圧 延と称する。

 プッシャ穿孔圧延は、確かに、ビレット 噛み込み不良を抑制することができる。し しながら、プッシャ穿孔圧延を行った場合 素管に偏肉が発生する場合がある。特に、 ッシャ装置で押されながら穿孔圧延された 分である素管先端部に偏肉が発生しやすい

 本発明の目的は、プッシャ穿孔圧延によ 製造された素管の先端部の偏肉を抑制でき プッシャ装置及びそれを用いた継目無管の 造方法を提供することである。

 本発明者らは、プッシャ穿孔圧延により 造された素管の先端部に偏肉が発生する原 について調査した。その結果、プッシャ穿 圧延では、ビレットが傾斜ロールに噛み込 れたとき、プッシャ装置のプッシャ芯金が 周方向に偏心回転していることを見出した

 プッシャ芯金の偏心回転は、穿孔圧延さ ているビレットにも伝播するため、ビレッ も偏心回転する。その結果、プッシャ装置 押されながら穿孔圧延された素管の先端部 、偏肉や曲がりが発生すると推定される。

 このようなプッシャ芯金の偏心回転を抑 する解決策の1つは、プッシャ穿孔圧延時に 、ビレットの軸芯をプッシャ芯金の軸芯と一 致させた状態で維持することである。しかし ながら、ビレットの断面形状は必ずしも真円 ではない。また、ビレット外径は必ずしも一 定ではなく、長手方向に多少ばらつきを有す る。したがって、プッシャ穿孔圧延時に、ビ レットの軸芯とプッシャ芯金の軸芯とを一致 させた状態を維持することは困難である。

 そこで、本発明者らは、ビレットの軸芯が ッシャ芯金の軸芯とずれていても、プッシ 芯金の偏心回転を抑制する方法を検討した 具体的には、プッシャ芯金の横断面積Sp(mm 2 )、ビレットの横断面積Sb(mm 2 )、プッシャ芯金の長さLp(mm)、穿孔圧延時に けるシリンダ軸の先端の移動距離Lc(mm)及び リンダ軸の外径Dc(mm)に注目した。そして、 れらの値を変化させてプッシャ穿孔圧延を 施し、得られた素管の先端部の偏肉を調査 た。その結果、本発明者らは、プッシャ装 において、式(1)~(3)を満たせば、素管の偏肉 抑制できることを見出した。

 0.3≦Sp/Sb (1)

 Lp/Sp≦1.2 (2)

 Lc/Dc≦45 (3)

 以上の知見に基づいて完成された本発明 要旨は以下のとおりである。

 本発明によるプッシャ装置は、ビレット 穿孔圧延する穿孔機の入側に配設される穿 圧延用のプッシャ装置である。本発明によ プッシャ装置は、シリンダ軸を含むシリン 装置と、シリンダ軸の先端に取り付けられ その先端が前記ビレットの後端に当接され 棒状のプッシャ芯金とを備える。プッシャ 金の横断面積Spとビレットの横断面積Sbとは 式(1)を満たす。また、プッシャ芯金の長さLp プッシャ芯金の横断面積Spとは式(2)を満た 。穿孔圧延時におけるシリンダ軸の先端の 動距離Lcとシリンダ軸の外径Dcとは式(3)を満 す。

 0.3≦Sp/Sb (1)

 Lp/Sp≦1.2 (2)

 Lc/Dc≦45 (3)

 ここで、移動距離Lcとは、シリンダ装置 駆動してシリンダ軸の先端が前進し始めて ら、シリンダ軸の先端が前進を停止するま の移動距離である。

 本発明によるプッシャ装置は、式(1)~(3)を 満たすことにより、プッシャ穿孔圧延により 製造された素管の先端部の偏肉を抑制できる 。

 好ましくは、プッシャ芯金の先端は凸状 丸みを帯びている。

 この場合、プッシャ芯金の先端とビレッ 後端との接触面積は小さい。そのため、プ シャ芯金がビレットと接触したときに生じ 摩擦力が小さくなり、プッシャ芯金の偏心 転が抑制される。その結果、素管の先端部 偏肉が抑制される。

 好ましくは、プッシャ芯金は、棒状の芯 本体部材と、芯金先端部材とを備える。芯 先端部材は、芯金本体部材の端部に、周方 に回転可能に取り付けられる。芯金先端部 の先端は、ビレットの後端に当接される。

 この場合、傾斜ロールに噛み込まれたビ ットが周方向に回転したとき、芯金先端部 も、ビレット回転方向と同じ方向にほぼ同 回転速度で容易に回転する。そのため、ビ ットの回転速度とプッシャ芯金の回転速度 のずれに起因した摩擦力の発生を抑制でき 。

 本発明による継目無管の製造方法は、複 の傾斜ロールを含む穿孔機と、穿孔機の入 に配設された上述のプッシャ装置とを用い 、ビレットを穿孔圧延する。本発明による 目無管の製造方法は、ビレットをプッシャ 置と穿孔機との間に配置する工程と、プッ ャ装置によりビレットの後端を押して、ビ ットの先端を傾斜ロールに噛み込ませる工 と、ビレットの先端が傾斜ロールに噛み込 れてからビレットの先端が所定距離移動す までの間、プッシャ装置によりビレットを し進める工程とを備える。

 好ましくは、ビレットを押し進める工程 、少なくとも、ビレットの先端が傾斜ロー に噛み込まれてから穿孔圧延が定常状態に るまでの間、プッシャ装置によりビレット 押し進める。ここで、定常状態とは、たと ば、穿孔圧延されたビレットの先端(すなわ ち、素管の先端)が傾斜ロール後端の間から け出た時からビレット後端が傾斜ロールに 触した時までの期間をいう。

 この場合、ビレットの噛み込み不良の発 を抑制でき、かつ、素管の先端部の偏肉を 制できる。

本発明の第1の実施の形態による穿孔機 及びプッシャ装置の全体構成を示す上面図で ある。 図1に示した穿孔機の側面図である。 図1に示したプッシャ芯金の横断面積Sp びビレットの横断面積Sbと、プッシャ穿孔 延により製造された素管の偏肉率との関係 示す図である。 図1に示したプッシャ芯金の横断面積Sp びビレットの横断面積Sbと、プッシャ穿孔 延により製造された素管の曲がり量との関 を示す図である。 図1に示したプッシャ芯金の長さLp及び 断面積Spと、プッシャ穿孔圧延により製造 れた素管の偏肉率との関係を示す図である 本発明の第2の実施の形態による穿孔機 及びプッシャ装置の全体構成を示す上面図で ある。 図6に示した芯金先端部材の縦断面図で ある。

 以下、図面を参照し、本発明の実施の形態 詳しく説明する。図中同一又は相当部分に 同一符号を付してその説明は繰り返さない
1.第1の実施の形態

 [穿孔機の全体構成]

 図1及び図2を参照して、穿孔機10は、2つ コーン型傾斜ロール(以下、単に傾斜ロール いう)1と、プラグ2とを備える。穿孔機10の 側には、プッシャ装置3が配設され、穿孔機1 0の出側には、複数のHMD(Hot Metal Detector:熱鋼 知器)4が配設される。なお、図示していな が、穿孔機10とプッシャ装置3との間のパス インX-X上には、ビレット20を搬送するための トラフ又は複数の搬送ローラが配設される。

 2つの傾斜ロール1は、パスラインX-Xを挟 で配置される。各傾斜ロール1は、パスライ X-Xに対して、傾斜角δ及び交叉角γを有する 。プラグ2は2つの傾斜ロール1の間であって、 パスラインX-X上に配設され、その後端は、プ ラグ芯金21の先端に接続される。

 検知装置である2つのHMD4は、穿孔機10の出側 であって、傾斜ロール1の後端近傍に配設さ る。HMD4は、穿孔圧延された素管の先端が傾 ロール1間を通過したか否かを検知する。プ ッシャ装置3は、HMD4の検知結果に基づいて、 管の先端部が傾斜ロール1間を通過するまで ビレット20を押し進めることができ、かつ、 管先端部が傾斜ロール1間を通過した後、ビ レット20を押すのを停止することができる。
[プッシャ装置の構成]

 プッシャ装置3は、穿孔機10の入側前方に パスラインX-Xに沿って配設される。プッシ 装置3は、シリンダ装置30と、接続部材33と プッシャ芯金34とを備える。シリンダ装置30 、シリンダ本体31と、シリンダ軸32とを備え る。シリンダ装置30は油圧式又は電動式であ 、シリンダ軸32を前進又は後退させる。シ ンダ軸32は中実の丸棒材であり、その横断面 形状は円形状である。

 プッシャ芯金34は棒状である。プッシャ 金34の横断面形状は、たとえば、円形状又は 円環状である。つまり、プッシャ芯金34は、 実の棒材であってもよいし、中空の棒材で ってもよい。プッシャ芯金34は、接続部材33 により、周方向に回転可能にシリンダ軸32と 続される。

 プッシャ装置3は、プッシャ芯金34の先端 ビレット20の後端に当接する。そして、シ ンダ軸32及びプッシャ芯金34を前進させる。 れにより、プッシャ装置3は、ビレット20を 方から押す。

 プッシャ装置3を用いたプッシャ穿孔圧延 の工程は以下のとおりである。まず、ビレッ ト20が、穿孔機10とプッシャ装置3との間のパ ラインX-X上に配置される。続いて、プッシ 装置3がビレット20を押して、ビレット20を 孔機10に向かって前進させる。これにより、 ビレット20は傾斜ロール1に噛み込まれる。こ のとき、プッシャ装置3はさらに、穿孔圧延 れたビレット20の先端(すなわち、素管の先 )が所定距離移動するまで、ビレット20を押 進める。

 好ましくは、プッシャ装置3は、ビレット 20の先端が傾斜ロールに噛み込まれてから、 孔圧延されたビレット20の先端が傾斜ロー 後端の間から抜け出るまで、つまり、穿孔 延が定常状態になるまで、ビレット20の後端 を押し続ける。このとき、プッシャ芯金34の 動速度は、ビレット20の圧延方向進行速度 上とするのが好ましい。

 このように、プッシャ穿孔圧延では、プ シャ装置3によりビレット20を押し進めなが 穿孔圧延する。そのため、ビレット20の噛 込み不良が抑制される。

 プッシャ装置3はさらに、ビレット20の横断 積(つまり、ビレット20の長手方向に垂直な 面)Sb(mm 2 )、プッシャ芯金34の横断面積(つまり、プッ ャ芯金34の長手方向に垂直な断面)Sp(mm 2 )、プッシャ芯金34の長さLp(mm)、シリンダ軸32 径Dc(mm)及びプッシャ穿孔圧延時におけるシ ンダ軸先端の移動距離Lc(mm)が、以下の式(1)~ (3)を満たす。

 0.3≦Sp/Sb (1)

 Lp/Sp≦1.2 (2)

 Lc/Dc≦45 (3)

 プッシャ装置3は、上記(1)~(3)式を満たすこ により、上述のプッシャ穿孔圧延時におけ 素管の偏肉の発生を抑制する。以下、各式(1 )~(3)について詳述する。
[式(1)について]

 式(1)中のプッシャ芯金34の横断面積Spは、 以下の方法で求める。プッシャ芯金34の任意1 0箇所で横断面積を求める。求めた10個の横断 面積の平均をSpとする。また、ビレット20の 断面積Sbは以下の方法で求める。ビレット20 任意の10箇所で横断面積を求める。求めた10 個の横断面積の平均をSbとする。

 なお、プッシャ芯金34が中空の棒材であ 場合、横断面形状は円環形状となるが、円 形状の面積を横断面積として求める。

 式(1)を満たすことにより、素管の偏肉は 善される。その理由は定かではないが、以 の事項が推定される。すなわち、式(1)を満 すことにより、プッシャ穿孔圧延時にプッ ャ芯金が偏心回転しにくくなる。そのため ビレットの偏心回転が抑えられ、素管の偏 が抑制されると考えられる。

 図3に、Sp/Sbと素管の偏肉との関係を示す 図3のグラフは以下の試験により得られた。

 70mmの外径を有し、横断面積Sbが3846.5mm 2 である複数の丸ビレットを準備した。準備さ れた複数のビレットは、いずれも、炭素含有 量が0.45質量%の炭素鋼である。表1に示す条件 で、各ビレットをプッシャ穿孔圧延し、素管 を製造した。

 表1を参照して、Lc及びDcは一定とし、式(3) 満たした。また、プッシャ芯金長さLp(mm)と 断面積Sp(mm 2 )とが互いに異なるような複数のプッシャ芯 を準備した。複数のプッシャ芯金は、いず もLp/Sp=1.0であり、式(2)を満たした。各プッ ャ芯金は、横断面形状が円環形状の中空の 材とした。

 以上の条件で製造された素管の先端部の 肉を調査した。具体的には、素管の先端(ビ レットの2つの端部のうち、初めに穿孔され 端部に相当)から長手方向に150mmの位置まで 10mmピッチで測定位置を決定した。各測定位 の横断面で、周方向に等間隔の8箇所で肉厚 を測定した。測定された肉厚を用いて、式(4) に基づいて、各測定位置での偏肉率を算出し た。

 各測定位置での偏肉率=(Tmax-Tmin)/Tave×100(%)  (4)

 ここで、Tmaxは、8箇所で測定された複数 肉厚のうち最大の肉厚、Tminは、測定された 数の肉厚のうち最小の肉厚、Taveは、測定さ れた8箇所の肉厚の平均である。各ビレット 偏肉率(%)は、算出された各測定位置の偏肉 の平均とした。

 また、プッシャ芯金の横断面積Spは以下 方法で求めた。使用されたプッシャ芯金の 意の10箇所で横断面積を求めた。求めた横断 面積の平均値をSpとした。ビレットの横断面 Sbは以下の方法で求めた。穿孔圧延される レットの任意の10箇所で横断面積を求めた。 求めた横断面積の平均値をSbとした。

 図3を参照して、Sp/Sbが大きくなるに従い 偏肉率は低下した。さらに、Sp/Sb=0.3を境に 曲線の傾きは大きく変化した。具体的には Sp/Sbが大きくなり、Sp/Sb=0.3になるまでは、 肉率は急速に低下した。その結果、Sp/Sb=0.3 は偏肉率が4.5%未満にまで低下した。一方、S p/Sb=0.3より大きくなると、偏肉率の低下の度 いは緩やかになった。したがって、Sp/Sbは0. 3以上とした。

 なお、Sp/Sbが大きくなれば、プッシャ芯 34の横断面積が大きくなるため、プッシャ装 置3は大型化しなければならない。プッシャ 置の大型化は設備コストの増大につながる したがって、Sp/Sbの好ましい上限は1.0とする 。ただし、Sp/Sbが1.0を越えても、本発明の効 を得ることができる。

 図4は、Sp/Sbと素管先端の曲がりとの関係 示す図である。図4は、図3と同じ試験によ 得られた各素管の曲がり量(mm)を測定した結 である。各素管の曲がり量は以下の方法に り求めた。すなわち、素管先端から200mmの 囲で、真直な鋼尺を素管表面に当て、鋼尺 素管表面との間隙を周方向に測定した。測 された間隙の最大値を曲がり量とした。

 図4を参照して、素管の曲がり量も偏肉と 同様の傾向を示した。すなわち、Sp/Sb=0.3以下 のとき、Sp/Sbが大きくなるに従い、曲がり量 急速に減少し、Sp/Sb=0.3において、曲がり量 1mm未満となった。一方、Sp/Sbが0.3を越えた 合、曲がり量は緩やかに低下した。

 以上の結果より、Sp/Sbを0.3以上とするこ により、素管の偏肉及び曲がり量を抑制で る。具体的には、素管先端部の偏肉率を4.5% 満とすることができ、曲がり量を1mm未満と ることができる。

 なお、上記説明では、プッシャ芯金34の 断面形状は円形状又は円環状としたが、他 形状であってもよい。たとえば、プッシャ 金34は、横断面形状が矩形や多角形の中実の 棒材であってもよいし、横断面形状が矩形又 は多角形の中空の棒材であってもよい。これ らの形状であっても、式(1)を満たせば素管の 偏肉及び曲がりを抑制できる。

 [式(2)について]

 式(1)を満たすことに加え、Lp/Spを1.2以下 することにより、素管の偏肉は改善される その理由は定かではないが、式(2)を満たす とにより、プッシャ穿孔圧延時におけるプ シャ芯金の偏心回転が抑制されるためと考 られる。

 図5に、Lp/Spと素管の偏肉との関係を示す 図5のグラフは以下の試験方法で得られた。

 図3での試験と同様の寸法の複数のビレット を準備した。さらに、横断面が円環状であり 、横断面積Spが1963mm 2 であり、長さLpが互いに異なる複数の中空プ シャ芯金を準備した。準備された各プッシ 芯金をプッシャ装置に取り付け、表1に示す 条件でプッシャ穿孔圧延を実施した。このと き、Sp/Sb=0.51で式(1)を満たした。また、式(3) 満たされていた。製造された各素管の偏肉 (%)は、図3での試験の場合と同じ方法で求め 。

 図5を参照して、Lp/Spが小さくなるに従い 肉率は低下した。さらに、Lp/Sp=1.2を境に、 線の傾きは変化した。具体的には、Lp/Spが さくなり、1.2になるまで、偏肉率は急速に 下し、4.5%未満となった。一方、Lp/Spが1.2以 になると、偏肉率の低下の度合いは緩やか なった。したがって、Lp/Spは1.2以下とした。

 [式(3)について]

 式(1)及び(2)と同様に、式(3)を満たすこと より素管の偏肉が改善される。その理由と て、以下の事項が推定される。すなわち、 ッシャ穿孔圧延時におけるシリンダ軸32の 端の移動距離Lcが長くなるほど、シリンダ本 体31から押し出されるシリンダ軸32の長さは きくなる。シリンダ本体31から押し出される シリンダ軸32の長さが大きいほど、シリンダ 32はたわみやすくなる。なぜなら、シリン 軸32は、シリンダ本体から押されるとともに 、傾斜ロール1に噛み込まれたビレット20から も押されるからである。シリンダ軸32がたわ ば、シリンダ軸32が偏心回転しやすくなる め、素管に偏肉が発生しやすくなると推定 れる。

 Lc/Dcが45を越えると、素管の偏肉率が大き くなり、具体的には、偏肉率が4.5%以上とな 。したがって、Lc/Dcは45以下とする。

 図1に示すように、プッシャ芯金34の先端 凸状に丸みを帯びている。先端が丸みを帯 ているため、プッシャ芯金34の先端がビレ ト20の後端と接触したときの接触面積は小さ い。そのため、プッシャ芯金34とビレット20 の接触により生じる摩擦力を小さくするこ ができる。摩擦力が小さければ、プッシャ 金34の偏心回転が抑制されるため、素管の偏 肉がより抑制される。なお、プッシャ芯金34 先端面が平坦であっても、式(1)~(3)を満たせ ば、本発明の効果は得られる。

 また、図1に示すように、2つの芯金ガイ 部材5は、プッシャ芯金34を挟んで、互いに 向して配置される。各芯金ガイド部材5とプ シャ芯金34との間には、ある程度の隙間が けられる。芯金ガイド部材5は、プッシャ芯 34が偏心回転してパスラインX-Xからずれる とを抑制する。芯金ガイド部材5はなくても いが、芯金ガイド部材5を配置すれば、プッ シャ芯金34が偏心回転することをある程度抑 できる。

 プッシャ芯金34及びシリンダ軸32の材質は特 に限定されず、ヤング率の大きい金属材料で あればよい。
2.第2の実施の形態

 プッシャ芯金は複数の部材から構成され もよい。図6を参照して、第2の実施の形態 よるプッシャ装置3は、プッシャ芯金34の代 りにプッシャ芯金35を備える。

 プッシャ芯金35は、芯金先端部材36と、芯 金本体部材37とを備える。好ましくは、芯金 端部材36の長さは、芯金本体部材37の長さよ りも短い。

 図7を参照して、芯金先端部材36は、先端 361と、回動部362と、接続部363とを備える。 動部362は、内部にスラストローラベアリン 364及びニードルベアリング365を収納する。 動部362は、スラストローラベアリング364及 ニードルベアリング365により、先端部361を 方向に回転可能に保持する。接続部363は雄 じを有し、先端に雌ねじを有する芯金本体 材37に取り付けられる。これにより、芯金 端部材36は、芯金本体部材37に固定される。

 図1に示したプッシャ芯金34は、接続部材3 3により周方向に回転可能に接続されている そのため、プッシャ穿孔圧延時に、傾斜ロ ル1に噛み込まれたビレット20が周方向に回 を始めると、ビレット20に接触したプッシャ 芯金34も周方向に回転する。しかしながら、 ッシャ芯金34の重量が大きい場合、周方向 回転しにくく、その回転速度が、ビレット20 の回転速度とずれる場合がある。この場合、 ビレット20の後端とプッシャ芯金34の先端と 間に摩擦力が発生する。このような摩擦力 プッシャ芯金34を偏心回転させるため、素管 に偏肉が発生する。

 これに対して、本実施の形態のプッシャ 金35は、芯金先端部材36と芯金本体部材37と 構成され、芯金先端部材36は周方向に回転 能に芯金本体部材37に取り付けられる。芯金 先端部材36は、プッシャ芯金35全体よりも当 に軽い。そのため、傾斜ロール1に噛み込ま たビレット20が周方向に回転したとき、芯 先端部材36もビレット回転方向と同じ方向に ほぼ同じ回転速度で容易に回転することがで きる。そのため、回転速度のずれに起因した 摩擦力の発生が抑制され、素管の偏肉が抑制 される。

 さらに、図7に示すように、芯金先端部361 の先端366は、凸状に丸みを帯びている。その ため、プッシャ芯金34がビレット20と当接し ときに生じる摩擦力を小さくすることがで る。なお、先端366は、凸条の丸みを帯びず 、平坦であっても、上述の効果をある程度 することができる。

 ビレット横断面積Sb、プッシャ芯金横断面 Sp、プッシャ芯金長さLp、シリンダ軸外径Dc びシリンダ軸先端の移動距離Lcを、表2に示 各条件1~8に設定し、プッシャ穿孔圧延を実 した。プッシャ穿孔圧延後、製造された素 の先端部の偏肉率を調査した。

 準備された複数の丸ビレットは、いずれも 炭素含有量が0.45%である炭素鋼とした。な 、プッシャ芯金は、円筒状の中空材であっ 。また、プッシャ芯金の先端は平坦であっ 。表2中のプッシャ芯金横断面積Sp(mm 2 )は、以下の方法で求めた。各条件番号で使 されるプッシャ芯金の任意の10箇所で横断面 積を求め、求めた10個の横断面積の平均をSp した。また、表2中のビレット横断面積Sb(mm 2 )は、以下の方法で求めた。各条件番号で使 されるビレットの任意の10箇所で横断面積を 求め、求めた10個の横断面積の平均をSbとし 。

 各条件1~8で製造された素管の偏肉率(%)は 以下の方法で求めた。素管の先端から長手 向に150mmの位置まで、10mmピッチで測定位置 決定した。各測定位置の横断面で、周方向 等間隔の8箇所で肉厚を測定した。測定され た肉厚から、式(4)に基づいて、各測定位置で の偏肉率を算出した。各ビレットの偏肉率は 、算出された各測定位置での偏肉率の平均と した。求めた偏肉率を表2に示す。

 表2を参照して、条件4~8は、いずれも式(1) ~式(3)を満たした。そのため、製造された素 の偏肉率は4.5%未満であった。

 一方、条件1~3は、式(1)~(3)のいずれかを満 足せず、偏肉率が4.5%以上となった。

 以上、本発明の実施の形態を説明したが 上述した実施の形態は本発明を実施するた の例示に過ぎない。よって、本発明は上述 た実施の形態に限定されることなく、その 旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形 を適宜変形して実施することが可能である