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Title:
R-Fe-B ANISOTROPIC SINTERED MAGNET
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/031292
Kind Code:
A1
Abstract:
An R-Fe-B anisotropic sintered magnet which comprises, as the main phase, an R2Fe14B type compound containing a light rare-earth element (RL) (at least either of neodymium and praseodymium) as the main rare earth element (R) and contains a heavy rare-earth element (RH) (at least one member selected from the group consisting of dysprosium and terbium). In the main phase, the crystal lattice has a c-axis oriented in a given direction. When a plane which is located in the range of from the surface of a magnetic pole of the magnet to a depth of 500 µm from the surface and is parallel to the magnetic-pole surface is analyzed by X-ray diffractometry with a CuKα line, it gives a diffraction pattern which includes a part having at least two diffraction peaks in the 2θ range of 60.5-61.5°.

Inventors:
ODAKA, Tomoori (HITACHI METALS LTD., 2-15-17, Egawa, Shimamoto-cho, Mishima-gu, Osaka 13, 6180013, JP)
小高智織 (〒13 大阪府三島郡島本町江川2-15-17日立金属株式会社磁性材料研究所内 Osaka, 6180013, JP)
MORIMOTO, Hideyuki (HITACHI METALS LTD., 2-15-17, Egawa, Shimamoto-cho, Mishima-gu, Osaka 13, 6180013, JP)
森本英幸 (〒13 大阪府三島郡島本町江川2-15-17日立金属株式会社磁性材料研究所内 Osaka, 6180013, JP)
Application Number:
JP2008/002399
Publication Date:
March 12, 2009
Filing Date:
September 02, 2008
Export Citation:
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Assignee:
HITACHI METALS, LTD. (2-1 Shibaura 1-chome, Minato-ku Tokyo, 14, 1058614, JP)
日立金属株式会社 (〒14 東京都港区芝浦1丁目2-1 Tokyo, 1058614, JP)
ODAKA, Tomoori (HITACHI METALS LTD., 2-15-17, Egawa, Shimamoto-cho, Mishima-gu, Osaka 13, 6180013, JP)
小高智織 (〒13 大阪府三島郡島本町江川2-15-17日立金属株式会社磁性材料研究所内 Osaka, 6180013, JP)
MORIMOTO, Hideyuki (HITACHI METALS LTD., 2-15-17, Egawa, Shimamoto-cho, Mishima-gu, Osaka 13, 6180013, JP)
International Classes:
H01F1/053; B22F3/00; B22F3/24; C22C38/00; H01F1/08
Attorney, Agent or Firm:
OKUDA, Seiji (OKUDA & ASSOCIATES, 10th FloorOsaka Securities Exchange Bldg.,8-16, Kitahama 1-chome,Chuo-ku, Osaka-sh, Osaka 41, 5410041, JP)
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Claims:
 軽希土類元素RL(NdおよびPrの少なくとも1種)を主たる希土類元素Rとして含有するR 2 Fe 14 B型化合物を主相として有し、重希土類元素RH(DyおよびTbからなる群から選択された少なくとも1種)を含有するR(Yを含む希土類元素)-Fe-B系異方性焼結磁石であって、
 前記磁石の磁極面から深さ500μm以内の領域にある前記磁極面に平行な面に対するCuKα線を用いたX線回折測定で2θが60.5~61.5°の範囲内に少なくとも2つの回折ピークが観察される部分を含むR-Fe-B系異方性焼結磁石。
 X線回折測定で2θが60.5~61.5°の範囲内に少なくとも2つの回折ピークが観察される前記部分は、前記磁極面に平行な面のうちの一部のみを占めている請求項1に記載のR-Fe-B系異方性焼結磁石。
 X線回折測定で2θが60.5~61.5°の範囲内に少なくとも2つの回折ピークが観察される前記部分は、前記磁極面に平行な面において、1mm 2 以上の面積を有している請求項1に記載のR-Fe-B系異方性焼結磁石。
 Nd、Pr、Dy、Tbの濃度を、それぞれ、M Nd 、M Pr 、M Dy 、M Tb (原子%)とし、
  M Nd +M Pr =M RL
  M Dy +M Tb =M RH
  M RL +M RH =M R とするとき、
 前記2つの回折ピークが観察される部分において、主相のc軸長:Lc(Å)が、
  Lc≧12.05、
  Lc+(0.18-0.05×M Tb /M RH )×M RH /M R
    -0.03×M Pr /M RL ≦12.18
  (ただし、0<M RH /M R ≦0.4)
の関係式を満足する請求項1に記載のR-Fe-B系異方性焼結磁石。
Description:
R-Fe-B系異方性焼結磁石

 本発明は、R 2 Fe 14 B型化合物(Rは希土類元素)を主相として有す R-Fe-B系異方性焼結磁石に関し、特に、軽希 類元素RL(NdおよびPrの少なくとも1種)を主た 希土類元素Rとして含有し、かつ、軽希土類 素RLの一部が重希土類元素RH(DyおよびTbから る群から選択された少なくとも1種)によっ 置換されているR-Fe-B系異方性焼結磁石に関 ている。

 Nd 2 Fe 14 B型化合物を主相とするR-Fe-B系の異方性焼結 石は、永久磁石の中で最も高性能な磁石と て知られており、ハードディスクドライブ ボイスコイルモータ(VCM)や、ハイブリッド車 搭載用モータ等の各種モータや家電製品等に 使用されている。R-Fe-B系異方性焼結磁石をモ ータ等の各種装置に使用する場合、高温での 使用環境に対応するため、耐熱性に優れ、高 保磁力特性を有することが要求される。

 R-Fe-B系異方性焼結磁石の保磁力を向上する 段として、重希土類元素RHを原料として配 し、溶製した合金を用いることが行われて る。この方法によると、主たる希土類元素R して軽希土類元素RLを含有するR 2 Fe 14 B相の軽希土類元素RLが重希土類元素RHで置換 れるため、R 2 Fe 14 B相の結晶磁気異方性(保磁力を決定する本質 な物理量)が向上する。しかし、R 2 Fe 14 B相中における軽希土類元素RLの磁気モーメン トは、Feの磁気モーメントと同一方向である に対して、重希土類元素RHの磁気モーメン は、Feの磁気モーメントと逆方向であるため 、軽希土類元素RLを重希土類元素RHで置換す ほど、残留磁束密度B r が低下してしまうことになる。

 R-Fe-B系異方性焼結磁石の金属組織は、主に 主相であるR 2 Fe 14 B相と、R濃度の高い、低融点のRリッチ相(R-Co 合物も含む)と呼ばれる相で構成され、その ほかにR酸化物相やBリッチ相(R 1.1 Fe 4 B 4 相)などが存在し、一般に主相以外の相を纏 て粒界相と呼ぶ。ここで、重希土類元素RHの 置換により保磁力向上に寄与するのは主相で あり、粒界相に存在する重希土類元素RHは、 接には磁石の保磁力向上には影響しない。

 一方、重希土類元素RHは希少資源である め、その使用量の削減が望まれている。こ らの理由により、磁石全体、即ち主相全体 粒界相を含めて一律に軽希土類元素RLの一部 を、重希土類元素RHで置換する方法は好まし ない。

 比較的少ない量の重希土類元素RHを添加す ことにより、重希土類元素RHによる保磁力向 上効果を発現させるため、重希土類元素RHを く含む合金、化合物などの粉末を、軽希土 元素RLを多く含む主相系母合金粉末に添加 、成形、焼結させることが提案されている この方法によると、重希土類元素RHが主相外 殻部に多く分布することになるため、R 2 Fe 14 B相の結晶磁気異方性を効率よく向上させる とが可能になるとされている。R-Fe-B系異方 焼結磁石の保磁力発生機構は核生成型(ニュ クリエーション型)であるため、主相の全体 ではなく、主相外殻部(粒界近傍)のみに重希 類元素RHが多く分布することができれば、 晶磁気異方性が高められ、逆磁区の核生成 妨げられ、その結果、保磁力が向上する。 た、主相結晶粒の中心部では、重希土類元 RHによる置換が生じないため、残留磁束密度 B r の低下を抑制することもできるとされている 。このような技術は、例えば特許文献1に記 されている。

 しかしながら、実際にこの方法を実施し みると、焼結工程(工業規模で1000℃から1200 で実行される)で重希土類元素RHの拡散速度 大きくなるため、重希土類元素RHが主相結 粒の中心部にも拡散してしまう結果、主相 外殻部のみに重希土類元素RHが濃縮するよう な組織構造を得ることは容易でない。

 さらにR-Fe-B系異方性焼結磁石の別の保磁 向上手段として、焼結磁石の段階で重希土 元素RHを含む金属、合金、化合物等を磁石 面に被着後、熱処理、拡散させることによ て、残留磁束密度をそれほど低下させずに 磁力を回復または向上させることが検討さ ている。

 特許文献2は、R´(R´はNd、Pr、Dy、Tbのうち 少なくとも1種)からなる薄膜層を焼結磁石体 被研削加工面に形成し、その後真空または 活性雰囲気中で熱処理を施すことにより、 削加工面の変質層を薄膜層と変質層との拡 反応で改質層となし、保磁力を回復させる とを開示している。

 特許文献3は、小型磁石の最表面に露出して いる結晶粒子の半径に相当する深さ以上に金 属元素R(このRは、YおよびNd、Dy、Pr、Tbから選 ばれる希土類元素の1種又は2種以上)を成膜し ながら拡散させ、それによって加工変質損傷 部を改質して(BH) max を向上させることを開示している。

 特許文献4は、厚さ2mm以下の磁石の表面に 希土類元素を主体とする化学気相成長膜を形 成後熱処理することにより、希土類元素が磁 石内部に拡散し、表面近傍の加工劣化層が改 質され、磁石特性が回復することを開示して いる。

 特許文献5は、R-Fe-B系微小焼結磁石や粉末 の保磁力を回復するため、希土類元素の収着 法を開示している。この方法では、収着金属 (Yb、Eu、Smなどの沸点が比較的低く、蒸気圧 高い希土類金属)をR-Fe-B系微小焼結磁石や粉 と混合した後、攪拌しながら真空中で均一 加熱するための熱処理が行われる。この熱 理により、希土類金属が焼結磁石体表面に 着するとともに、内部に拡散する。また、 落0014に、沸点の高い希土類金属(例えばDy) 収着させる実施形態も記載されている。こ Dyなどを使用した実施形態においては、高周 波加熱方式により、Dyなどを選択的に高温に 熱している(温度条件は記載なし)が、Dyの沸 点は2560℃であり、沸点1193℃のYbを800~850℃に 熱していることや、通常の抵抗加熱では十 に加熱することができないと記載されてい ことから、Dyは非常に高温に加熱している のと考えられる。例えば、良好に収着が進 するとして例示されたYbの加熱条件(800~850℃) における蒸気圧と同等のDy蒸気圧を得るため は、Dyをおよそ1800~2100℃にまで加熱する必 がある。また、Ybでは550℃で収着ができるこ とが示されており、このときのYbの蒸気圧は よそ10Paである。この値は、Dyの1200℃での飽 和蒸気圧に相当する。即ち、特許文献5に開 された技術で仮にDyを収着する場合、Dyを1200 ℃以上、好ましくは1800℃以上に加熱する必 があると考えられる。なお、各元素の飽和 気圧は、物性値として公知である。さらに いずれの加熱条件においてもR-Fe-B系微小焼 磁石や粉末の温度は700~850℃に保つことが好 しいと記載されている。

 また、特許文献6は、Dy濃度が相対的に高い 料合金粉末とDy濃度が相対的に低い原料合 粉末とを混合して焼結することにより、Dy使 用量を低減しながら着磁特性を向上させる技 術を開示している。

特開2002-299110号公報

特開昭62-74048号公報

特開2004-304038号公報

特開2005-285859号公報

特開2004-296973号公報

特開2002-356701号公報

 特許文献2、特許文献3および特許文献4に開 されている従来技術は、いずれも焼結磁石 表面に希土類金属の被膜を成膜し、熱処理 よって希土類金属を焼結磁石体内部に拡散 せている。その結果、焼結磁石体表層領域( 表面から数十μmの深さまでの領域)では、希 類金属膜と焼結磁石体との界面における希 類金属濃度の大きな濃度差を駆動力として 希土類金属が主相中心部にも拡散すること 避けられず、残留磁束密度B r が低下してしまう。また、希土類金属膜の成 分が過剰になり、保磁力向上に寄与しない粒 界相にも多量に残存してしまう。

 また、特許文献5に開示されている従来技術 においても、希土類金属を充分に気化する温 度に加熱し、成膜を行っているため、特許文 献2~4と同様、焼結磁石体表面に希土類金属膜 が形成される。焼結磁石体自身を加熱してい るため、同時に焼結磁石体内部への拡散も生 じているものの、焼結磁石体表層領域では、 希土類金属膜成分が主相中心部にも拡散する ことを避けられず、残留磁束密度B r が低下してしまう。また、前記と同様に、粒 界相にも多量に膜成分が残存してしまう。

 また、Dyなどの沸点の高い希土類金属を 着させるためには高周波によって収着原料 焼結磁石体の双方が加熱されるので、希土 金属のみを充分な温度に加熱し焼結磁石体 磁気特性に影響を及ぼさない程度の低温に 持することは容易ではなく、焼結磁石体は 誘導加熱されにくい粉末の状態か極微小な のに限られてしまう。

 さらに、特許文献2~5の方法では、成膜処 時に装置内部の焼結磁石体以外の部分(例え ば真空チャンバーの内壁や処理容器の内壁) も多量に希土類金属が堆積するため、貴重 源である重希土類元素の省資源化に反する とになる。

 特許文献6では、焼結工程時にDy濃度の高 原料合金粉末からDy濃度の低い原料合金粉 にDyが拡散することになるが、粉末粒子が合 体するなどして粒成長が生じるため、Dyは主 内に広く分布し、Dy添加による保磁力向上 果は非効率的である。

 本発明は、上記課題を解決するためにな れたものであり、その目的は、少ないDy添 量で効果的に保磁力が向上したR-Fe-B系異方 焼結磁石を提供することにある。

 本発明のR-Fe-B系異方性焼結磁石は、軽希土 元素RL(NdおよびPrの少なくとも1種)を主たる 土類元素Rとして含有するR 2 Fe 14 B型化合物を主相として有し、重希土類元素RH (DyおよびTbからなる群から選択された少なく も1種)を含有するR-Fe-B系異方性焼結磁石で って、前記磁石の磁極面から深さ500μm以内 領域にある前記磁極面に平行な面に対するCu Kα線を用いたX線回折測定で2θが60.5~61.5°の範 囲内に少なくとも2つの回折ピークが観察さ る部分を含む。

 好ましい実施形態において、X線回折測定 で2θが60.5~61.5°の範囲内に少なくとも2つの回 折ピークが観察される前記部分は、前記磁極 面に平行な面のうちの一部を占めている。

 好ましい実施形態において、X線回折測定で 2θが60.5~61.5°の範囲内に少なくとも2つの回折 ピークが観察される前記部分は、前記磁極面 に平行な面において、1mm 2 以上の面積を有している。

 好ましい実施形態において、Nd、Pr、Dy、Tb 濃度を、それぞれ、M Nd 、M Pr 、M Dy 、M Tb 、(原子%)とし、M Nd +M Pr =M RL 、M Dy +M Tb =M RH 、M RL +M RH =M R とするとき、前記2つの回折ピークが観察さ る部分において、主相のc軸長:Lc(Å)が、Lc≧ 12.05、Lc+(0.18-0.05×M Tb /M RH )×M RH /M R -0.03×M Pr /M RL ≦12.18、(ただし0<M RH /M R ≦0.4)の関係式を満足する。

 本発明では、焼結体表面(磁極面)から深さ50 0μmまでの領域において、磁極面に平行な面 、CuKα線を用いたX線回折測定で2θが60.5~61.5° の範囲内に少なくとも2つのピークが観察さ る部分を含んでいる。2つのピークは、それ れ、重希土類元素RHの濃度が明確に異なる 域に起因するものであり、焼結体表面から 較的浅い領域(表層領域)においては、主相内 に重希土類元素RHの濃度の高い領域(主相外殻 部)と低い領域(主相中心部)とが存在している ことを意味している。このような組織構造を 実現することにより、主相外殻部の結晶磁気 異方性が優先的に高められ、保磁力H cJ が向上することになる。すなわち、少ない重 希土類元素RHの使用により、主相外殻部に効 的にRH濃化層が形成されているため、残留 束密度B r の低下が抑制され、かつ保磁力H cJ が向上する。

本発明によるR-Fe-B系異方性焼結磁石の 層付近の構成を模式的に示す断面図である 図1のAA'面に対して行ったX線回折の測 結果を示すグラフである。 (a)は、図2のグラフにおける(008)面の回 ピークを拡大して表示したグラフであり、( b)は、比較例における(008)面の回折ピークを 大して表示したグラフであり、(c)は、他の 較例における(008)面の回折ピークを拡大して 表示したグラフである。 (a)は、重希土類元素RH濃度とc軸長(Å) の関係を示すグラフであり、(b)は、本発明 好ましい実施形態におけるc軸長とDy濃度と 関係(範囲)を示すグラフである。 本発明の実施例における焼結体表面か の深さとc軸長との関係を示すグラフである 。 本発明によるR-Fe-B系異方性焼結磁石の 造に好適に用いられる処理容器の構成と、 理容器内におけるRHバルク体と焼結磁石体 の配置関係の一例を模式的に示す断面図で る。

符号の説明

2  焼結磁石体
4  RHバルク体
6  処理室
8  Nb製の網

 本発明によるR-Fe-B系異方性焼結磁石は、軽 土類元素RL(NdおよびPrの少なくとも1種)を主 る希土類元素Rとして含有するR 2 Fe 14 B型化合物を主相として有し、重希土類元素RH (DyおよびTbからなる群から選択された少なく も1種)を含有している。更に、本発明のR-Fe- B系異方性焼結磁石は、主相の磁化容易軸(c軸 )が配向しており、この配向方向と略直交す 焼結体表面は磁極面として機能する。本発 の特徴点は、この磁極面から深さ500μmまで 領域において、磁極面に平行な面が、CuKα線 を用いたθ-2θ法によるX線回折測定で2θが60.5~ 61.5°の範囲内に少なくとも2つの回折ピーク 観察される部分を含んでいることにある。

 本発明のR-Fe-B系異方性焼結磁石は、重希 類元素RHをR-Fe-B系異方性焼結磁石体の表面 ら内部に拡散させた組織を有しており、例 ば粒内拡散よりも粒界拡散を優先的に進行 せる拡散方法を用いて好適に実現される。 お、本明細書において、粒内拡散とは、主 結晶粒内の拡散を示し、粒界拡散とは、Rリ チ相に代表される粒界相内の拡散を示す。 希土類元素RHの拡散は、焼結体表面の全体 ら行われる必要はなく、表面の一部から重 土類元素RHが拡散されていてもよい。拡散が 焼結磁石体の特定部分に行われた場合、X線 折測定で2θが60.5~61.5°の範囲内に少なくとも 2つの回折ピークが観察される部分は、磁極 に平行な面のうちの一部のみを占めること なる。

 保磁力の向上は、焼結磁石体全体に生じる 要はなく、用途によっては、焼結磁石体の 定部分のみで保磁力が向上していれば良い なお、X線回折測定で2θが60.5~61.5°の範囲内 少なくとも2つの回折ピークが観察される部 分は、磁極面に平行な面において、1mm 2 以上の面積を有している。

 まず、図1から図3を参照しながら、本発 のR-Fe-B系異方性焼結磁石における結晶組織 詳細を説明する。

 図1は、本発明によるR-Fe-B系異方性焼結磁石 の表層付近の構成を模式的に示す断面図であ る。図1に示す磁石は、粒内拡散に比べて粒 拡散が優先的に生じる条件で焼結体表面か 重希土類元素RHを焼結体内部に拡散させたR-F e-B系異方性焼結磁石である。図1には、主相 あるR 2 Fe 14 B型化合物の磁化容易軸であるc軸と、c軸に直 交し、かつ互いに直交するa、b軸が示されて る。本発明では、R 2 Fe 14 B型化合物の各粒子におけるc軸が、矢印Xで示 される方向に配向しており、図示されている 焼結体表面は、磁極面に該当し、この配向方 向と略直交している。一般に、c軸と直交す 面を、c面と称する。磁極面は、c面に略平行 である。

 図1に示す円(丸)は、主相であるR 2 Fe 14 B型化合物の結晶粒を示し、斜線部は重希土 元素RHが拡散された部分を示している。図1 示す例では、左側の磁極面から右側の焼結 内部へ向かって粒界を中心に重希土類元素RH が拡散されている。そして、磁石の表層付近 においては、重希土類元素RHが主相の外殻部 のみ濃化し、主相中心部には重希土類元素R Hは到達していない。そのため、1つの主相(粒 子)の外殻部と中心部とで重希土類元素RHの濃 度が異なり、その濃度に応じた主相の格子定 数を有している。R 2 Fe 14 B型化合物において、Rを軽希土類元素RLから 希土類元素RHに置換すると、特に結晶のc軸 顕著に収縮するので、c軸長を測定すれば主 中のRH置換量を見積もることもできる。図1 示すAA'面及びBB'面は、いずれも、磁極面か 深さ500μmまでの領域にあり、磁極面に対し 平行である。一方、図1に示すCC'面は、磁極 面に対して平行であるが、焼結体表面から深 さ500μmを超える位置にある。

 図2は、図1のAA'面に対して行ったθ-2θ法 よるX線回折の測定結果を示すグラフである このグラフは、図1に示す焼結磁石を磁極面 から研磨して図1のAA'面を露出させた後、AA' に対してCuKα線を用いてX線回折を行うこと よって得られた結果であり、2θが20°から70° までの範囲のデータを示している。

 図2には、主相結晶の(004)面、(006)面、(008)面 による強い回折ピークが観察され、主相の磁 化容易軸であるc軸方向に配向していること 判る。図3(a)は、図2における(008)面の回折ピ クを拡大して表示したグラフである。図3(a) から明らかなように、2θが60.5~61.5°の範囲内 、2つのピークが観察される。これは、図1 示すように、主相の中で重希土類元素RHの濃 度が明確に異なる2つの領域が存在している とに起因している。例えば図1に示すAA'面の 置では、主相においてDyが拡散している部 とDyが拡散していない部分の両方をAA'面が横 切っている。X線回折の検出領域は、例えば1m m 2 程度以上の大きさを有しているため、回折領 域には多数の主相粒子が存在している。回折 データに現れる(008)面の2つの回折ピークのう ち、2θが相対的に大きな位置の回折ピークは 、主相の外殻部(RH濃化領域)によるものであ 、2θが相対的に小さな位置の回折ピークは 中心部(RH未拡散部)によるものであると考え れる。2θが大きいほど、格子の面間隔dが小 さく、したがってc軸長が短いことを意味し いる。また、結晶のc軸長は、RH濃度が高い ど、短くなる。主相の軽希土類元素RLが重希 土類元素RHによって置換されると、主相のc軸 長が短くなる。なお、仮に主相内で重希土類 元素RHの濃度が連続的な分布を有していると c軸長も連続的な分布を持つことになるため 、(008)面による回折ピークはブロードとなり 回折ピークは2個以上に分離しない。

 c軸長が異なる領域が複数存在することに よる回折ピークの分裂は、(004)面及び(006)面 は観察されにくく、(008)面で観察されやすい 。(008)面は、(004)面や(006)面よりも、2θが大き い位置に回折ピークが現れるため、X線回折 分解能が高くなるからである。

 ところで、図1は、単純化するために磁石 形状が矩形で、かつc面が磁極面に対して略 行に配向した磁石を例示したものだが、特 な配向、例えばラジアル異方性や極異方性 磁石や集中配向された矩形磁石等では、必 しも磁極面とc面とが略平行にならない場合 ある。この場合でも、X線回折測定において 、磁極面に平行な面であれば、c面由来の回 ピークが比較的強く観察できるので、図2、 3の例と同様の評価を行うことができる。

 なお、図1のBB'面は、重希土類元素RHが拡 した部分のみを横切るため、BB'面に対してX 線回折測定を行っても、2θが60.5°~61.5°の範 内に未拡散部による回折ピークはほとんど れない。そのため、粒界拡散を優先的に進 させた焼結磁石であっても、BB'面では、2θ 60.5~61.5°の範囲内に1つの回折ピークしか観 されない。このように、磁極面から深さ500μ mまでの領域であれば、2θが60.5~61.5°の範囲内 において、常に2つの回折ピークが観察され わけではなく、回折ピークがひとつしか観 されない場合も生じ得る。本発明にとって 要な点は、焼結体表面から深さ500μm(典型的 は深さ200μm)以内の領域において、図1のAA' のような面が観察されることにある。

 前述の通り、R-Fe-B系異方性焼結磁石におい は、主相外殻部(粒界近傍)に分布した重希 類元素RHは保磁力の向上に寄与するが、この RH濃縮部では、結晶磁気異方性の向上により 保磁力の大幅な向上に寄与しているものの 重希土類元素RHの磁気モーメントがFeの磁気 モーメントと反対の向きであるため、残留磁 束密度B r は低下していると考えられる。このため、最 終的に得られる磁石の全体的な残留磁束密度 B r も若干低下してしまうことになる。

 R-Fe-B系異方性焼結磁石が、図1に示すように 、焼結体の表層付近において主相の中心部ま で重希土類元素RHが拡散していない結晶組織 有していると、残留磁束密度B r の低下を最小限に抑えながら保磁力H cJ を効果的に向上させることができる。また、 必要とされる重希土類元素RHの量を低減する ともできる。

 一方、粒界拡散が粒内拡散に比べて特に 先的に生じないような方法、たとえば重希 類元素RHの被膜を形成し拡散させる方法で 希土類元素RHを拡散させたR-Fe-B系異方性焼結 磁石(比較例)では、表層付近において主相中 部まで重希土類元素RHが拡散してしまうた 、図1に示すような結晶組織を得ることが難 い。その結果、磁極面から深さ500μmまでの 域内において、c軸に直交する面内でX線回 測定を行うと、2θが60.5~61.5°の範囲内で2つ 上の回折ピークは観察されることはない。

 図3(b)は、比較例において磁極面に平行な面 について得られたX線回折測定の結果を示す ラフである。この比較例では、Dy膜を焼結磁 石体の表面に堆積した後、Dy膜から焼結磁石 にDyを拡散させたサンプルを用意し、その ンプルの焼結体表面から深さ40μm位置でのX 回折測定を行った結果を示している。図3(b) 示されるように、2θが60.5~61.5°の範囲内に いてブロードな1つの回折ピークしか確認さ ない。この比較例では、重希土類元素RHが 界だけでなく主相中心部まで拡散し、かつ 希土類元素RHの濃度が拡散した領域において 連続的に変化していると考えられる。このよ うに、主相内部まで重希土類元素RHが拡散し しまうと、重希土類元素RHの添加量や残留 束密度B r の低下の大きさに比して、H cJ の向上幅が極めて小さく重希土類元素RHも無 に消費されていることになる。

 なお、重希土類元素RHの含有量が異なる2 類の合金の粉末を混合し、焼結工程時にお て、Dy濃度の高い粉末粒子からDy濃度の低い 粉末粒子にDyを拡散させることにより、主相 中心部よりも外殻部でDy濃度を相対的に高 ようとする技術(2合金ブレンド法)が知られ いる。しかしながら、2合金ブレンド法によ ば、Dy濃度の異なる粉末粒子が焼結時に1つ 大きな粒子を形成し、その大きな粒子内部 Dyの拡散が生じてしまう。その結果、主相 子中において重希土類元素RHの濃度が緩やか に変化し、Dy濃度が明確に異なる領域に区分 きない。特に焼結工程は通常1000~1200℃と高 温度で行われるため、焼結時にDyの粒内拡 が顕著に生じてしまうことになる。このた 、2合金ブレンド法によれば、図1の表層領域 が有するような組織構造は得られない。図3(c )は、2合金ブレンド法によって作製した焼結 石(比較例)のX線回折結果を示すグラフであ 。この図からわかるように、2合金ブレンド 法による場合でも、1つの回折ピークしか確 されない。

 図2に示すX線回折結果から主相のc軸長を めることができる。X線測定結果に基づき、 例えば(004)面、(006)面、(008)面の回折ピークか ら、回折角θを求め、主相c面の面間隔d値を 出することができる。なお、(008)面に起因す る2つの回折ピークが存在する場合には、2つ 回折ピークに対応して2つ面間隔d値が存在 ることになるが、ここでは、2θが相対的に きな回折ピークに対応する面間隔d値を選択 ることとする。

 以下、(004)面、(006)面、(008)面のd値を、それ ぞれ、d(004)、d(006)、d(008)と表記すると、主相 の平均のc軸長は、以下の式(1)によって表す とができる。

 図4(a)は、重希土類元素RH濃度とc軸長(Å) の関係を示すグラフである。図4(a)は、単純 化するために、希土類元素としてNdとDyのみ 考慮したものである。グラフの横軸は、Dy量 (原子%)を総希土類元素量R(原子%)で除した値 あり、R量はこの場合Nd量+Dy量である。縦軸 c軸長(オングストローム)である。c軸長は、X 線回折測定より求めたd(004)、d(006)、d(008)を、 上記の(式1)に代入して求めた。

 図4(a)のデータを得るため、まず、Dyを均 に添加した原料合金を用いてDy濃度の異な Nd-Dy-Fe-B系焼結磁石(比較例)を用意し、主相 c軸長を測定した。また、Dyを含有しない原 合金を用いて作製したNd-Fe-B系焼結磁石体の 面から内部へDyを拡散させ、Dy濃度を0.4原子 %としたNd-Fe-B系焼結磁石(本発明の実施例)を 意し、その焼結体表面から深さ80μmの位置に おける主相外殻部のc軸長(=RH拡散部)を測定し た。実施例では、Dyの粒界拡散が粒内拡散よ も優先的に生じる条件で行った。

 図4(a)には、Dy濃度が異なる比較例のc軸長を ◆の点で示し、実施例(Dy濃度:0.4原子%)のc軸 は■の点で示している。図4(a)において、比 例のc軸長は、以下の(式2)に示す一次式で近 似できる。
 ここで、yはc軸長(オングストローム)、xはDy /Rである。

 このように、Dy濃度とc軸長との間には線 的な関係が存在し、Dy濃度の増加に伴ってc 長が短くなる。なお、このような線形的な 係は、Pr、Tbなどの希土類元素を添加した場 合にも成立する。

 一方、実施例の場合は、図4(a)に示すよう に、焼結磁石全体のRH(Dy)量が0.4原子%(Dy/Rが0.0 28)と少ないにもかかわらず、c軸長が比較例 比べて短くなっている。これは、重希土類 素RH(Dy)が主相外殻部に濃化することにより 相対的に少ないDy量でc軸長の短縮効果が現 ていることを意味している。

 このように優先的に粒界拡散するようにし 重希土類元素RHを表面から内部にDyを導入し た焼結磁石では、上記の比較例と比べ、重希 土類元素RH(Dy)が主相の外殻部に効率的に濃化 していることがわかる。また、その結果とし て、実施例の保磁力H cJ は、同量のDyを添加した比較例に比べて向上 ていることもわかった。言い換えると、必 な保磁力H cJ を達成するために必要な重希土類元素RH(Dy)量 を、従来に比べて低減することが可能になる 。

 RH拡散部のc軸長と磁気特性との関係を調べ 結果、主相の結晶格子におけるc軸長と、希 土類元素濃度とが所定の関係式を満足する場 合に高い磁気特性(保磁力H cJ )が得られることがわかった。ここで、表層( 極面から深さ500μmまでの範囲)に位置する主 相のc軸長をLc(Å)とし、Nd、Pr、Dy、Tbの濃度 、それぞれ、M Nd 、M Pr 、M Dy 、M Tb (原子%)とする。ただし、M Pr ≧0、M Dy ≧0、M Tb ≧0であるが、M Dy +M Tb >0である。すなわち、Pr、Dy、Tbの各濃度は ロとなり得るが、Dy濃度及びTb濃度の両方が ゼロとなることはない。

 また、M RL 、M RH 、M R を以下の式の通り定義する。
  M Nd +M Pr =M RL
  M Dy +M Tb =M RH
  M RL +M RH =M R

 このとき、以下の関係式を満足する領域が 在する場合にM RH が少なくても特に高い保磁力H cJ が達成される。
  Lc≧12.05
  Lc+(0.18-0.05×M Tb /M RH )×M RH /M R -0.03×M Pr /M RL ≦12.18
  (ただし、0<M RH /M R ≦0.4)

 図4(b)は、M Pr =0、M Tb =0における上記の関係式によって規定される 囲(台形領域)で示すグラフである。なお、 4(b)に示す斜めの破線は、比較例のR-Fe-B焼結 石におけるc軸長とM Dy /M R との関係を示している。

 図4(b)を参照しながら、上記関係式によっ て規定される範囲を説明する。

 まず、0<M RH /M R ≦0.4の関係式について説明する。前述のとお り、希土類元素Rの総量に対して重希土類元 RHの置換量が大きくなるにつれて、保磁力H cJ は向上してゆくが、重希土類元素RHの置換量 大きくなり過ぎると、保磁力H cJ の向上効果は飽和してゆく。このため、希土 類元素Rの合計濃度に対する重希土類元素RHの 濃度の割合は、0.4以下にすることが望ましい 。

 次に、Lc≧12.05の関係式を説明する。

 焼結磁石体表面から重希土類元素RHを多量 拡散させ、表層における主相外殻に高濃度 RH拡散部を形成し、保磁力H cJ を向上させる検討を行った結果、多量に拡散 させても、RH拡散部は一定量以上に濃化せず また保磁力H cJ も向上しないことがわかった。保磁力H cJ の向上効果が飽和するときのRH拡散部におけ c軸長も一定値以下にはならず、0<M RH /M R ≦0.4の範囲では、c軸長さの下限値は12.05Åで あった。

 次に、Lc+(0.18-0.05×M Tb /M RH )×M RH /M R -0.03×M Pr /M RL ≦12.18の関係式を説明する。

 前述したように、従来の焼結磁石では、y=-0 .2x+12.20の一次式によってc軸長と重希土類元 RHとの関係を近似することができる。一方、 本発明のように焼結磁石体表面から重希土類 元素RHを拡散させ、主相外殻部に効率よく重 土類元素RHを濃化させ保磁力H cJ を向上させた組織では、同じRH量(RH比:M RH /M R )でも、そのc軸長が従来の焼結磁石におけるc 軸長よりも短くなる。本願発明者の検討によ ると、c軸長は、従来例に対して少なくとも0. 01Å以上、好ましくは0.02Å以上の差があるこ とが望ましい。その場合、M Pr =0、M Tb =0におけるc軸長の上限は、y=-0.18x+12.18で一次 似できることがわかった。

 従来の磁石における直線の傾き(-0.2)と実施 における傾き(-0.18)とが異なっている理由は 、y切片(M RH /M R =0)が異なっているのに対し、希土類元素R全 を重希土類元素RHで置換したとき(M RH /M R =1)のc軸長が同等であるためである。

 以上の理由により、表層付近において2つ のピークが存在する部分のc軸長は、上記の 係式を満足する。

 さらに、c軸長が短くなる部分の深さにつ いて調査を行った。

 図5は、実施例の焼結磁石表面からの深さ と、その深さにおける主相のc軸長との関係 示すグラフである。図4(a)に示す実施例のc軸 長を求めるために用意したサンプルの表面を 研磨することにより、焼結磁石表面から深さ が異なる位置で順次X線回折測定を行い、c軸 を求めた。

 図5からわかるように、焼結磁石表面(=深 0μm)では、c軸長がかなり短くなっており、 のことから重希土類元素RHが充分に濃化し いることが推察される。一方、焼結磁石表 からの深さが10μm程度~200μm程度の範囲では c軸長がほとんど変化していないことがわか 。この範囲は、重希土類元素RHが主相の中 までは到達せず、主相外殻部に濃化してい 領域に相当していると考えられる。

 なお、焼結磁石表面から深さ200μmまでの 域には、CuKα線を用いたX線回折測定で2θが6 0.5~61.5°の範囲内に(008)面に起因する2つのピ クを観測できる部分が存在した。CuKα線を照 射する部位によっては、1つのピークしか観 されない場合もあったが、これは、図1のBB' に相当する面を観察したためであると考え れる。

 ここで用いたサンプルでは、焼結体表面 らの深さが200μm程度から300μm程度までの領 では、c軸長は増加しているが、深さが300μm 程度になると、c軸長さに変化は見られなく った。このサンプルでは、深さが300μm以上 領域では、Dyは主相内にほとんど拡散してお らず、図1のCC'面が観察されていると考えら る。

 しかしながら、深さ200μmを超える領域につ て、磁石特性を評価したところ、保磁力H cJ の向上が確認された。このことから、深さ200 μmを超える領域でも、僅かではあるが主相内 にDyが拡散し、保磁力増加に寄与していると 測される。

 c軸長の変化が認められる領域の深さは、 図5の例では200μmであるが、この深さは拡散 理の条件、例えば処理時間や温度に応じて 化する。例えば、拡散処理をより長時間に れば、500μmの深さまでc軸長を変えることも 能である。ただし、500μmを超える条件では 処理時間が長時間に及び、拡散される重希 類元素を多量に消費し、かつ500μm以内の場 に比べて顕著な特性改善が得られないこと ら、効果的な深さは500μm以内である。

 本発明において、重希土類元素RHを焼結 石体内部に拡散させて導入する方法は、粒 拡散が優先的に進行する方法であれば特に 定されないが、たとえば、後述の蒸着拡散 があげられる。この蒸着拡散法は、焼結磁 体表層部分の粒内拡散が起こりにくく、さ に蒸着装置内の壁面などに付着する無駄な 希土類元素RHが少なく、低コストで拡散処理 が行えるという点で特に好ましい。

 以下、蒸着拡散法について詳述する。

 蒸着拡散法では、気化(昇華)しにくい重 土類元素RHのバルク体、および希土類焼結磁 石体を処理室内に至近距離に配置し、双方を 700℃以上1100℃以下に加熱することにより、RH バルク体の気化(昇華)をRH膜の成長速度がRHの 焼結磁石体内部への拡散速度よりも極度に大 きくならない程度に抑制しつつ、焼結磁石体 の表面に飛来した重希土類元素RHを速やかに 結磁石体内部に拡散させる。700℃以上1100℃ 以下の温度範囲は、重希土類元素RHの気化(昇 華)がほとんど生じない温度であるが、R-Fe-B 希土類焼結磁石体内部における希土類元素 粒界相を通した拡散が活発に生じる温度で ある。このため、磁石体表面に飛来した重 土類元素RHが磁石体表面に膜を形成するより も優先的に、磁石体内部への粒界拡散を促進 させることが可能になる。

 蒸着拡散法によれば、焼結磁石体表面の 傍に位置する主相の内部に重希土類元素RH 拡散して行く速度(レート)よりも高い速度で 重希土類元素RHが磁石体内部に粒界拡散・浸 して行くことになる。

 従来、Dyなどの重希土類元素RHの気化(昇 )には、1200℃を超える高温に加熱することが 必要であると考えられており、700℃以上1200 以下の加熱では、Dyの飽和蒸気圧が大気圧の 10万分の1(およそ1Pa)以下であるため、焼結磁 体表面にDyを析出させることは無理である 考えられていた。しかしながら、本発明者 実験によると、従来の予測に反し、700℃以 1100℃以下でも対向配置された希土類磁石体 重希土類元素RHを供給し、拡散させること 可能であることがわかった。

 重希土類元素RHの膜(RH膜)を焼結磁石体の表 に形成した後、熱処理により焼結磁石体の 部に拡散させる技術では、RH膜と接する磁 体表層部分の領域でRH元素の濃度差が著しく 大きいため、粒内拡散が顕著に進行し、残留 磁束密度が低下してしまう。これに対し、蒸 着拡散法では、RH膜の成長レートを低く抑え 状態で、重希土類元素RHを焼結磁石体の表 に供給しながら、焼結磁石体の温度を拡散 適したレベルに保持するため、磁石体表面 飛来した重希土類元素RHが、粒界拡散によっ て速やかに焼結磁石体内部に浸透して行く。 このとき、粒界相のRH元素の濃度が比較的低 ため、主相結晶粒内へのRH元素の拡散はさ ど起こらない。このため、磁石体表層部分 領域においても、粒内拡散よりも優先的に 界拡散が生じ、RH元素の濃縮した主相外殻部 の厚さは小さく、残留磁束密度B r の低下を抑制し、保磁力H cJ を効果的に向上させることが可能になる。

 R-Fe-B系異方性焼結磁石の保磁力発生機構は ュークリエーション型であるため、主相外 部における結晶磁気異方性が高められると 主相外殻部で逆磁区の核生成が抑制される 果、主相全体の保磁力H cJ が効果的に向上する。蒸着拡散法では、焼結 磁石体の表面に近い領域だけでなく、焼結磁 石体表面から奥深い領域においても重希土類 置換層を主相外殻部に形成することができる ため、焼結磁石体全体の保磁力H cJ が充分に向上することになる。

 主相外殻部で軽希土類元素RLと置換させる き重希土類元素RHとしては、蒸着拡散の起こ りやすさ、コスト等を考慮すると、Dyが最も ましい。ただし、Tb 2 Fe 14 Bの結晶磁気異方性は、Dy 2 Fe 14 Bの結晶磁気異方性よりも高く、Nd 2 Fe 14 Bの結晶磁気異方性の約3倍の大きさを有して るので、Tbを蒸着拡散させると、焼結磁石 残留磁束密度を下げずに保磁力を向上させ ことが最も効率的に実現できる。Tbを用いる 場合は、飽和蒸気圧がDyよりもTbのほうが低 ため、Dyを用いる場合よりも、高温高真空度 で蒸着拡散を行うことが好ましい。

 上記説明から明らかなように、本発明で 、必ずしも原料合金の段階において重希土 元素RHを添加しておく必要はない。すなわ 、希土類元素Rとして軽希土類元素RL(Ndおよ Prの少なくとも1種)を含有する公知のR-Fe-B系 土類焼結磁石を用意し、その表面から重希 類元素RHを磁石内部に拡散する。従来の重 土類元素RHの被膜を磁石表面に形成した場合 は、拡散処理温度を高めても、主相内部への 拡散を制御しつつ磁石内部の奥深くまで重希 土類元素RHを拡散させることは困難であった 、本発明によれば、重希土類元素RHの粒界 散により、焼結磁石の内部に位置する主相 外殻部にも重希土類元素RHを効率的に供給す ることが可能になる。もちろん、本発明は、 原料合金の段階において重希土類元素RHが添 されているR-Fe-B系異方性焼結磁石に対して 用しても良い。ただし、原料合金の段階で 量の重希土類元素RHを添加したのでは、本 明の効果を充分に奏することはできないた 、相対的に少ない量の重希土類元素RHが添加 され得る。

 次に、図6を参照しながら、蒸着拡散法の 好ましい例を説明する。図6は、焼結磁石体2 RHバルク体4との配置例を示している。図6に 示す例では、高融点金属材料からなる処理室 6の内部において、焼結磁石体2とRHバルク体4 が所定間隔をあけて対向配置されている。 6の処理室6は、複数の焼結磁石体2を保持す 部材と、RHバルク体4を保持する部材とを備 ている。図6の例では、焼結磁石体2と上方 RHバルク体4がNb製の網8によって保持されて る。焼結磁石体2およびRHバルク体4を保持す 構成は、上記の例に限定されず、任意であ 。ただし、焼結磁石体2とRHバルク体4との間 を遮断するような構成は採用されるべきでは ない。本願における「対向」とは焼結磁石体 とRHバルク体が間を遮断されることなく向か 合っていることを意味する。また、「対向 置」とは、主たる表面どうしが平行となる うに配置されていることを必要としない。

 不図示の加熱装置で処理室6を加熱するこ とにより、処理室6の温度を上昇させる。こ とき、処理室6の温度を、例えば700℃~1100℃ 好ましくは850℃~1000℃、さらに好ましくは850 ℃~950℃の範囲に調整する。この温度領域で 、重希土類元素RHの蒸気圧は僅かであり、ほ とんど気化しない。従来の技術常識によれば 、このような温度範囲では、RHバルク体4から 蒸発させた重希土類元素RHを焼結磁石体2の表 面に供給し、成膜することはできないと考え られていた。

 しかしながら、本発明者は、焼結磁石体2 とRHバルク体4とを接触させることなく、近接 配置させることにより、焼結磁石体2の表面 毎時数μm(例えば0.5~5μm/Hr)に相当する低いレ トで重希土類元素RHを析出させることが可 であり、しかも、焼結磁石体2の温度をRHバ ク体4の温度と同じかそれよりも高い適切な 度範囲内に調節することにより、気相から 出した重希土類元素RHを、そのまま焼結磁 体2の内部に深く拡散させ得ることを見出し 。この温度範囲は、重希土類元素RHが焼結 石体2の粒界相を伝って内部へ拡散する好ま い温度領域であり、重希土類元素RHのゆっ りとした析出と磁石体内部への急速な拡散 効率的に行われることになる。

 蒸着拡散法では、上記のようにして僅か 気化したRHを焼結磁石体表面に低いレート 析出させるため、従来の気相成膜によるRHの 析出のように、高温に処理室内を加熱したり 、焼結磁石体やRHバルク体に電圧を付加した する必要がない。

 蒸着拡散法では、前述のように、RHバル 体の気化・昇華を抑制しつつ、焼結磁石体 表面に飛来した重希土類元素RHを速やかに磁 石体内部に拡散させる。このためには、RHバ ク体の温度は700℃以上1100℃以下の範囲内に 設定し、かつ、焼結磁石体の温度は700℃以上 1100℃以下の範囲内に設定することが好まし 。

 焼結磁石体2とRHバルク体4の間隔は0.1mm~300 mmに設定する。この間隔は、1mm以上50mm以下で あることが好ましく、20mm以下であることが り好ましく、10mm以下であることが更に好ま い。このような距離で離れた状態を維持で れば、焼結磁石体2とRHバルク体4の配置関係 は上下でも左右でも、また互いが相対的に移 動するような配置であってもよい。ただし、 蒸着拡散処理中の焼結磁石体2およびRHバルク 体4の距離は変化しないことが望ましい。例 ば、焼結磁石体を回転バレルに収容して攪 しながら処理するような形態は好ましくな 。また、気化したRHは上記のような距離範囲 内であれば均一なRH雰囲気を形成するので、 向している面の面積は問われず、お互いの も狭い面積の面が対向していてもよい。

 従来の蒸着装置の場合、蒸着材料供給部 の周りの機構が障害となったり、蒸着材料 給部分に電子線やイオンを当てる必要があ ため、蒸着材料供給部分と被処理物との間 相当の距離を設ける必要があった。このた 、蒸着拡散法のように、蒸着材料供給部分( RHバルク体4)を被処理物(焼結磁石体2)に近接 て配置させることが行われてこなかった。 の結果、蒸着材料を充分に高い温度に加熱 、充分に気化させない限り、被処理物上に 着材料を充分に供給できないと考えられて た。

 これに対し、蒸着拡散法では、蒸着材料 気化(昇華)させるための特別な機構を必要 せず、処理室全体の温度を制御することに り、焼結磁石体表面に重希土類元素RHを析出 させることができる。なお、本明細書におけ る処理室は、焼結磁石体2とRHバルク体4を配 した空間を広く含むものであり、熱処理炉 処理室を意味する場合もあれば、そのよう 処理室内に収容される処理容器を意味する 合もある。

 また、蒸着拡散法では、RH元素の気化量 少ないが、焼結磁石体とRHバルク体4とが非 触かつ至近距離に配置されるため、気化し RH元素が焼結磁石体表面に効率よく析出し、 そもそもRH元素の蒸気圧が低い温度域で処理 行うため、処理室内の壁面などに付着する とが少ない。さらに、処理室内の壁面がNb どの耐熱合金やセラミックスなどRHと反応し ない材質で作製されていれば、壁面に付着し た重希土類元素RHは再び気化し、最終的には 結磁石体表面に析出する。このため、貴重 源である重希土類元素RHの無駄な消費を抑 することができる。なお、RH元素の蒸気圧が 低いにも拘らず磁石体内部の主相外殻部に供 給できるのは、磁石体の主相とRH元素との親 力が強いためと考えられる。

 蒸着拡散法で行う拡散工程の処理温度範 では、RHバルク体は溶融軟化しにくく、そ 表面から重希土類元素RHが気化(昇華)するた 、一回の処理工程でRHバルク体の外観形状 大きな変化は生じず、繰り返し使用するこ が可能である。

 さらに、RHバルク体と焼結磁石体とを近 配置するため、同じ容積を有する処理室内 搭載可能な焼結磁石体の量が増え、積載効 が高い。また、大掛かりな装置を必要とし いため、一般的な真空熱処理炉が活用でき 製造コストの上昇を避けることが可能であ 、実用的である。

 熱処理時における処理室内は不活性雰囲気 あることが好ましい。本明細書における不 性雰囲気とは、真空、または不活性ガスで たされた状態を含むものとする。また、不 性ガスは、例えばアルゴン(Ar)などの希ガス であるが、RHバルク体および焼結磁石体との で化学的に反応しないガスであれば、不活 ガスに含まれ得る。不活性ガスの圧力は、 気圧よりも低い値を示すように減圧される 処理室内の雰囲気圧力が大気圧に近いと、R Hバルク体から重希土類元素RHが焼結磁石体の 表面に供給されにくくなるが、拡散量は焼結 磁石体表面から内部への拡散速度によって律 速されるため、処理室内の雰囲気圧力は例え ば10 2 Pa以下であれば充分で、それ以上処理室内の 囲気圧力を下げても、重希土類元素RHの拡 量(保磁力の向上度)は大きくは影響されない 。拡散量は、圧力よりも焼結磁石体の温度に 敏感である。

 焼結磁石体の表面に飛来し、析出した重希 類元素RHは、雰囲気の熱および焼結磁石体 面におけるRH濃度の差を駆動力として、粒界 相中を焼結磁石体内部に向かって拡散する。 このとき、R 2 Fe 14 B相中の軽希土類元素RLの一部が、焼結磁石体 表面から拡散浸透してきた重希土類元素RHに って置換される。その結果、R 2 Fe 14 B相の外殻部に重希土類元素RHが濃縮された層 が形成される。

 このようなRH濃縮層の形成により、主相外 部の結晶磁気異方性が高められ、保磁力H cJ が向上することになる。すなわち、少ない重 希土類元素RHの使用により、焼結磁石体内部 奥深くにまで重希土類元素RHを拡散浸透さ 、主相外殻部に効率的にRH濃化層を形成する ため、残留磁束密度B r の低下を抑制しつつ、磁石全体にわたって保 磁力H cJ を向上させることが可能になる。

 重希土類元素RHの膜(RH膜)を焼結磁石体の表 に形成した後、熱処理により焼結磁石体の 部に拡散させる方法によれば、Dyなどの重 土類元素RHが焼結磁石体の表面に堆積する速 さ(膜の成長レート)が、重希土類元素RHが焼 磁石体の内部に拡散する速さ(拡散速度)に比 較して格段に高かった。このため、焼結磁石 体の表面に厚さ数μm以上のRH膜を形成した上 、そのRH膜から重希土類元素RHが焼結磁石体 の内部に拡散していた。気相からではなく固 相であるRH膜から供給される重希土類元素RH 、粒界を拡散するだけではなく、焼結磁石 表層部分の領域に位置する主相の内部への 内拡散が生じやすく、残留磁束密度B r を大きく低下させていた。主相内部にも重希 土類元素RHが粒内拡散し、残留磁束密度を低 させている領域は、焼結磁石体の表層部分 例えば厚さ100~数百μm程度の領域となる。

 しかしながら、蒸着拡散法によれば、気 から供給されるDyなどの重希土類元素RHが、 焼結磁石体の表面に衝突した後、焼結磁石体 の内部に速やかに拡散して行く。このことは 、重希土類元素RHが磁石体表層部分の領域に 置する主相の内部に拡散する前に、より高 拡散速度で粒界相を通じて焼結磁石体の内 に奥深く浸透して行くことを意味している すなわち蒸着拡散法においては、焼結磁石 表層部分の領域においても、粒内拡散しに い。

 拡散して導入するRHの含有量は、磁石全体 重量比で0.05%以上1.5%以下の範囲に設定する とが好ましい。1.5%を超えると、焼結磁石体 部の結晶粒においても粒内拡散が進み、残 磁束密度B r の低下を抑制できなくなる可能性があり、0.0 5%未満では、保磁力H cJ の向上効果が小さいからである。上記の温度 領域および圧力領域で、10~180分間の熱処理を することにより、0.1%~1%の拡散量が達成でき 。処理時間は、RHバルク体および焼結磁石体 の温度が700℃以上1100℃以下および圧力が10 -5 Pa以上500Pa以下にある時間を意味し、必ずし 特定の温度、圧力に一定に保持される時間 みを表すのではない。

 RH拡散導入を行う前の焼結磁石体の表面 態はRHが拡散浸透しやすいよう、より金属状 態に近い方が好ましく、事前に酸洗浄やブラ スト処理等の活性化処理を行った方がよい。 特に蒸着拡散法以外の従来技術では前記活性 化処理を行って焼結磁石体表面の酸化層を除 去する必要がある。しかし、蒸着拡散法では 、重希土類元素RHが気化し、活性な状態で焼 磁石体の表面に被着すると、固体の層を形 するよりも高い速度で焼結磁石体の内部に 散していくため、焼結磁石体の表面は、例 ば焼結工程後や切断加工が完了した後の酸 が進んだ状態にあってもよい。

 なお、蒸着拡散によれば、処理後の粒界 における重希土類元素RHの濃度は比較的低 。拡散によって導入した重希土類元素RHは、 主相外殻部に濃化され、粒界におけるRH濃度 りも主相外殻部におけるRH濃度が高い値を す。これは、粒界相に供給される重希土類 素RHの量が比較的少ない処理方法であり、か つ重希土類元素RHとの親和力が、粒界相より 主相のほうが大きいために生じると考えら る。このような濃度分布は、Dy膜を焼結体 面に堆積し、その後の拡散熱処理によってDy 膜から焼結体内部にDyを拡散させる方法や、2 合金ブレンド法によっては実現されない。こ れらの方法では、粒界相への重希土類元素RH 供給量が多すぎるためと考えられる。

 蒸着拡散法によれば、主として粒界相を して重希土類元素RHを拡散させることがで るため、処理時間を調節することにより、 結磁石体内部のより深い位置へ効率的に重 土類元素RHを拡散させることが可能である。

 RHバルク体の形状・大きさは特に限定さ ず、板状であってもよいし、不定形(石ころ )であってもよい。RHバルク体に多数の微小 (直径数10μm程度)が存在してもよい。RHバル 体は少なくとも1種の重希土類元素RHを含む 希土類元素RHまたはRHを含む合金から形成さ れていることが好ましい。また、RHバルク体 材料の蒸気圧が高いほど、単位時間あたり RH導入量が大きくなり、効率的である。重 土類元素RHを含む酸化物、フッ化物、窒化物 などは、その蒸気圧が極端に低くなり、本条 件範囲(温度、真空度)内では、ほとんど蒸着 散が起こらない。このため、重希土類元素R Hを含む酸化物、フッ化物、窒化物などからRH バルク体を形成しても、保磁力向上効果が得 られない。

 本発明の蒸着拡散工程を経た磁石に対して さらに追加熱処理を行うと、保磁力(H cJ )および角型比(H k /H cJ )をさらに向上させることができる。追加熱 理の条件(処理温度、時間)は、蒸着拡散条件 と同様の条件でよい。

 追加熱処理は、拡散工程終了後、Ar分圧を10 3 Pa程度に上げて重希土類元素RHを蒸発させな ようにし、そのまま熱処理のみを行っても いし、一度拡散工程を終了した後、RH蒸発源 を配置せずに再度拡散工程と同じ条件で熱処 理のみを行ってもよい。

 本発明においては、焼結磁石体の表面全体 ら重希土類元素RHを拡散浸透させても良い 、焼結磁石体表面の一部分から重希土類元 RHを拡散浸透させても良い。焼結磁石体表面 の一部分からRHを拡散浸透させるには、例え 、焼結磁石体のうちRHを拡散浸透させたく い部分に、Nbなどの耐熱合金など、焼結磁石 体と反応しにくい材質の箔で包む方法や、拡 散させたくない部分とRHバルク体の間を耐熱 の板などで遮蔽する方法を採用することが き、その後上記の方法にて熱処理すればよ 。遮蔽する場合には、焼結磁石体と遮蔽物 接触させてもよいが、この場合には遮蔽物 焼結磁石体が反応しないような物質を使う とが望ましい。このような方法によれば、 分的に保磁力H cJ が向上した磁石を得ることができる。なお、 遮蔽物の適切な選択により、遮蔽物へのRH元 の析出は殆ど起こらず、RH元素を無駄に消 することはない。

 部分的に保磁力H cJ を向上させた焼結磁石は、単体では大きな効 果が得られないが、ロータやステータなどの 永久磁石式回転機などの応用製品に適用した 場合に高い効果が期待できる。例えば、永久 磁石式の回転機では、モータ等の作動時に焼 結磁石に減磁界がかかるが、この減磁界はほ とんどの場合、焼結磁石全体に均一に作用し ないものと考えられている。このような場合 、シミュレーション等で解析を行い、大きな 減磁界の作用する部分を把握し、その部分の み重希土類元素RHを拡散させ保磁力H cJ を向上させることで、焼結磁石の不可逆減磁 を抑えることができる。重希土類元素RHを減 界の作用する部分に必要な量だけ拡散させ ことで、単純に焼結磁石全体に拡散させた 合より、RHの使用量をさらに低減でき、大 なメリットとなる。また、重希土類元素RHを 拡散させた表層は、たとえ粒界拡散を優先的 に進行させた場合でもわずかながら残留磁束 密度B r が低下してしまうが、このように部分的にRH 拡散させることで拡散させていない部分が え、結果として残留磁束密度B r の低下がほとんどなくなる。

 このように部分的に重希土類元素RHを拡散 せて保磁力H cJ を向上させた焼結磁石では、拡散させた面と 拡散させていない面の格子定数が異なること が推測される。そこで、CuKα線を用いたX線回 折測定を行った結果、重希土類元素RHを拡散 せた表面と拡散させていない表面それぞれ 主相の結晶格子におけるc軸長をL C1 (Å)、L C2 (Å)としたとき、
 L C2 -L C1 ≧0.02 (Å)
の関係があることがわかった。

 例えば、図5から、重希土類元素RHを拡散 せた面は、少なくとも表面から200μmまでの さはc軸長の変化が確認できることから、こ のように部分的に重希土類元素RHを拡散させ 焼結磁石は1~2mm程度の小物磁石には効果(残 磁束密度の低下抑制効果)が小さく、むしろ 2mm以上、好ましくは3mm以上の厚みを有する磁 石に好適に使用されると考えられる。

 なお、厚さ2mm未満の磁石に対しては、c軸 長が変化する深さは200μm未満で充分であり、 例えば磁石厚さ1mmでは、例えば拡散処理の時 間を短く設定することでc軸長の変化する深 は表面から100μm程度とすることができる。

 以下、本発明によるR-Fe-B系希土類焼結磁 を製造する方法の好ましい実施形態を説明 る。

(実施形態)
 25質量%以上40質量%以下の希土類元素Rと、0.6 質量%~1.6質量%のB(硼素)と、残部Feおよび不可 不純物とを包含する合金を用意する。ここ 、Rの一部(10質量%以下)は重希土類元素RHで 換されてもよい。また、Bの一部はC(炭素)に って置換されていてもよいし、Feの一部(50 量%以下)は、他の遷移金属元素(例えば、Coま たはNi)によって置換されていてもよい。この 合金は、種々の目的により、Al、Si、Ti、V、Cr 、Mn、Ni、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Ag、In、Sn、Hf 、Ta、W、Pb、およびBiからなる群から選択さ た少なくとも1種の添加元素Mを0.01~1.0質量%程 度含有していてもよい。

 上記の合金は、原料合金の溶湯を例えば トリップキャスト法によって急冷して好適 作製され得る。以下、ストリップキャスト による急冷凝固合金の作製を説明する。

 まず、上記組成を有する原料合金をアル ン雰囲気中において高周波溶解によって溶 し、原料合金の溶湯を形成する。次に、こ 溶湯を1350℃程度に保持した後、単ロール法 によって急冷し、例えば厚さ約0.3mmのフレー 状合金鋳塊を得る。こうして作製した合金 片を、次の水素粉砕前に例えば1~10mmのフレ ク状に粉砕する。なお、ストリップキャス 法による原料合金の製造方法は、例えば、 国特許第5、383、978号明細書に開示されてい る。

 [粗粉砕工程]
 上記のフレーク状に粗く粉砕された合金鋳 を水素炉の内部へ収容する。次に、水素炉 内部で水素脆化処理(以下、「水素粉砕処理 」と称する場合がある)工程を行う。水素粉 後の粗粉砕粉合金粉末を水素炉から取り出 際、粗粉砕粉が大気と接触しないように、 活性雰囲気下で取り出し動作を実行するこ が好ましい。そうすれば、粗粉砕粉が酸化 発熱することが防止され、磁石の磁気特性 低下が抑制できるからである。

 水素粉砕によって、希土類合金は0.1mm~数m m程度の大きさに粉砕され、その平均粒径は50 0μm以下となる。水素粉砕後、脆化した原料 金をより細かく解砕するとともに冷却する とが好ましい。比較的高い温度状態のまま 料を取り出す場合は、冷却処理の時間を相 的に長くすればよい。

 [微粉砕工程]
 次に、粗粉砕粉に対してジェットミル粉砕 置を用いて微粉砕を実行する。本実施形態 使用するジェットミル粉砕装置にはサイク ン分級機が接続されている。ジェットミル 砕装置は、粗粉砕工程で粗く粉砕された希 類合金(粗粉砕粉)の供給を受け、粉砕機内 粉砕する。粉砕機内で粉砕された粉末はサ クロン分級機を経て回収タンクに集められ 。こうして、0.1~20μm程度(典型的には平均粒 3~5μm)の微粉末を得ることができる。このよ うな微粉砕に用いる粉砕装置は、ジェットミ ルに限定されず、アトライタやボールミルで あってもよい。粉砕に際して、ステアリン酸 亜鉛などの潤滑剤を粉砕助剤として用いても よい。

 [プレス成形]
 本実施形態では、上記方法で作製された合 粉末に対し、例えばロッキングミキサー内 潤滑剤を例えば0.3wt%添加・混合し、潤滑剤 合金粉末粒子の表面を被覆する。次に、上 の方法で作製した合金粉末を公知のプレス 置を用いて配向磁界中で成形する。印加す 磁界の強度は、例えば1.5~1.7テスラ(T)である 。また、成形圧力は、成形体のグリーン密度 が例えば4~4.5g/cm 3 程度になるように設定される。

 [焼結工程]
 上記の粉末成形体に対して、650~1000℃の範 内の温度で10~240分間保持する工程と、その 、上記の保持温度よりも高い温度(例えば、1 000~1200℃)で焼結を更に進める工程とを順次行 うことが好ましい。焼結時、特に液相が生成 されるとき(温度が650~1000℃の範囲内にあると き)、粒界相中のRリッチ相が融け始め、液相 形成される。その後、焼結が進行し、焼結 石体が形成される。前述の通り、焼結磁石 の表面が酸化された状態でも蒸着拡散処理 施すことができるため、焼結工程の後、時 処理(400℃~700℃)や寸法調整のための研削を ってもよい。

 [蒸着拡散工程]
 次に、こうして作製された焼結磁石体に重 土類元素RHを効率よく拡散させる。具体的 は、図6に示す処理室内に重希土類元素RHを むRHバルク体と焼結磁石体とを配置し、加熱 により、RHバルク体から重希土類元素RHを焼 磁石体表面に供給しつつ、焼結磁石体の内 に拡散させる。また、蒸着拡散工程後に必 に応じて時効処理(400~700℃)を行ってもよい

 本実施形態における蒸着拡散工程では、 結磁石体の温度をRHバルク体の温度と同じ それ以上にすることが好ましい。ここで、 結磁石体の温度がRHバルク体の温度と同じと は、両者の温度差が20℃以内にあることを意 するものとする。具体的には、RHバルク体 温度を700℃以上1100℃以下の範囲内に設定し かつ、焼結磁石体の温度を700℃以上1100℃以 下の範囲内に設定する。上記RHバルク体の温 および焼結磁石体の温度は、850℃~1000℃未 が好ましく、850℃~950℃がより好ましい。ま 、焼結磁石体とRHバルク体の間隔は、前述 通り、0.1mm~300mmに設定する。

 また、蒸着拡散工程時における雰囲気ガス 圧力は、10 -5 ~500Paであれば、RHバルク体の気化(昇華)が適 に進行し、蒸着拡散処理を行うことができ 。効率的に蒸着拡散処理を行うためには、 囲気ガスの圧力を10 -3 ~1Paの範囲内に設定することが好ましい。ま 、RHバルク体および焼結磁石体の温度を700℃ 以上1100℃以下の範囲内に保持する時間は、10 分~600分の範囲に設定されるのが好ましい。 だし、保持時間は、RHバルク体および焼結磁 石体の温度が700℃以上1100℃以下および圧力 10 -5 Pa以上500Pa以下にある時間を意味し、必ずし 特定の温度、圧力に一定に保持される時間 みを表すのではない。

 拡散層の深さは、温度と時間の組み合わ で種々に変えることが可能である。例えば 高温、または長時間とすれば、拡散層は深 なる。

 なお、RHバルク体は、一種類の元素から 成されている必要はなく、重希土類元素RHお よび元素X(Nd、Pr、La、Ce、Al、Zn、Sn、Cu、Co、F e、Ag、およびInからなる群から選択された少 くとも1種)の合金を含有していてもよい。 のような元素Xは、粒界相の融点を下げるた 、重希土類元素RHの粒界拡散を促進する効 が期待できる。

 また、蒸着拡散に際して、粒界相のNd、Pr が微量ながら気化するため、元素XがNdおよび /またはPrであれば、蒸発したNdおよび/または Prを補うことができ、好ましい。

 拡散処理の後、前述の追加熱処理(700℃~11 00℃)を行っても良い。また、必要に応じて時 効処理(400℃~700℃)を行うが、追加熱処理(700 ~1100℃)を行う場合は、時効処理はその後に うことが好ましい。追加熱処理と時効処理 は、同じ処理室内で行っても良い。

 実用上、蒸着拡散後の焼結磁石に表面処 を施すことが好ましい。表面処理は公知の 面処理でよく、例えばAl蒸着や電気Niめっき や樹脂塗装などの表面処理を行うことができ る。表面処理を行う前にはサンドブラスト処 理、バレル処理、エッチング処理、機械研削 等公知の前処理を行っても良い。また、拡散 処理の後に寸法調整のための研削を行っても よい。このような工程を経ても、保磁力向上 効果はほとんど変わらない。寸法調整のため の研削量は、1~300μm、より好ましくは5~100μm さらに好ましくは10~30μmである。

 ところで、拡散層の深さは、X線回折にお いて(008)面の回折ピークが2つ観察される領域 の深さや、c軸長が変化する領域の深さとは 必ずしも同一でなく、一般に拡散層の方が い。これは、RH拡散層が極微量では、X線回 における回折強度が弱いので、回折ピーク 観察できないためである。

 (実施例1)
 まず、表1(単位は質量%)に示すとおり、Dyが0 ~10質量%の組成を有する平均厚み0.2~0.3mmの合 薄片をストリップキャスト法により作製し 。

 次に、これらの合金薄片を容器に充填し 水素処理装置内に収容した。そして、水素 理装置内を圧力500kPaの水素ガスで満たすこ により、室温で合金薄片に水素吸蔵させた 、放出させた。このような水素処理を行う とにより、合金薄片を脆化し、大きさ約0.15 ~0.2mmの不定形粉末を作製した。

 上記の水素処理により作製した粗粉砕粉 に対し粉砕助剤として0.04wt%のステアリン酸 亜鉛を添加し混合した後、ジェットミル装置 による粉砕工程を行うことにより、粉末粒径 が約3μmの微粉末を作製した。

 こうして作製した微粉末をプレス装置に り成形し、粉末成形体を作製した。具体的 は、印加磁界中で粉末粒子を磁界配向した 態で圧縮し、プレス成形を行った。その後 成形体をプレス装置から抜き出し、真空炉 より1020~1060℃で4時間の焼結工程を行った。 こうして、焼結体ブロックを作製したあと、 この焼結体ブロックを機械的に加工すること により、厚さ3mm×縦10mm×横10mmの焼結磁石体を 得た。こうして、表1の合金a~eにそれぞれ対 する焼結磁石体a'~e'を得た。

 次に、焼結磁石体a'~e'を0.3%硝酸水溶液で 洗し、乾燥させた後、図6に示す構成を有す る処理容器内に配置した。本実施例で使用す る処理容器はMoから形成されており、複数の 結体を支持する部材と、2枚のRHバルク体を 持する部材とを備えている。焼結磁石体とR Hバルク体との間隔は5~9mm程度に設定した。RH ルク体は、純度99.9%のDyから形成され、30mm× 30mm×5mmのサイズを有している。

 次に、図6の処理容器を真空熱処理炉に置い て蒸着拡散処理を行った。処理条件は、1×10 -2 Paの圧力下で昇温し、900℃で3~5時間保持し、 結磁石体a'~e'へのDy拡散(導入)量が1.0質量%と なるよう調節し、蒸着拡散材A~Eを得た。これ らの組成を表2(単位は質量%)に示す。

 焼結体a'~e'、及び蒸着拡散材A~Eそれぞれ ついて、X線回折測定を行った。X線回折測定 には、理学電機株式会社製のX線回折装置(RINT 2400)を用いた。測定条件を表3に示す。

 なお、サンプルは、磁極面に平行な面を 定するため、サイズが10mm×10mmの磁極面に平 行な面が表面に現れた状態で試料フォルダに 固定した。この表面に対するθ-2θ法によるX 回折測定の結果、主相結晶の(004)面、(006)面 (008)面の回折ピークからθを求め、2d×sinθ=λ の関係式から、面間隔d値を計算した。ここ λはX線波長である。

 なお、(008)面に起因する2つのピークが観 された場合には、相対的に小さなd値をc軸 の計算に用いた。計算に際しては、前述の を用いた。

 蒸着拡散を行ったサンプルについては、 結体表面に対するX線回折測定を行うだけで はなく、表面から研磨を行い、当初の焼結体 表面からの深さが、それぞれ、40μm、80μm、12 0μm、200μm、300μm位置における磁極面に平行 研磨面(サイズ:10mm×10mm)に対するX線回折測定 をも行った。

 更に、2合金ブレンド法による比較例とし て、合金aの粉末と合金eの粉末とを1:1の比で 合し、全体として焼結磁石体c'の組成に等 くなるような焼結磁石体「f'」を作製した。 このサンプルについても、同様にX線回折測 を行った。

 Dyの蒸着拡散を行った実施例についての 定結果を表4に示す。また、Dyの蒸着拡散を わなかったサンプル(比較例)についての測定 結果を表5に示す。

 なお、M Dy およびM R は、それぞれ、Dy量及びR量を示している。こ れらの量は、ICP分析から求めた。蒸着拡散し たサンプルのM Dy 、M Dy /M R の値は、拡散処理を行った焼結磁石全体にお ける濃度(原子%)の平均の値である。

 なお、表4、表5における「ピーク数」と 、X線回折測定で2θが60.5~61.5°の範囲内に観 された回折ピークの数を示している。

 表4からわかるように、蒸着拡散を行った 実施例では、焼結体表面から深さ500μmまでの 領域内の磁極面に平行な面において、2θが60. 5~61.5°の範囲内に2つの回折ピークが観察され る面が存在した。また、焼結体表面(=0μm)か ある深さ200μmまでの領域内では、c軸長が短 なっていることを確認した。

 一方、表5からわかるように、蒸着拡散を 行わなかった比較例のサンプルa'~e'や、Dy量 異なる2種の合金粉末をブレンドして焼結し 比較例のサンプルf'では、焼結体表面から さ500μmまでの領域内に、2θが60.5~61.5°の範囲 内で2つの回折ピークが観察される面は確認 れなかった。

 (実施例2)
 表6に示す組成(単位は質量%)を有するように 配合した平均厚み0.2~0.3mmの合金薄片g~iをスト リップキャスト法により作製した。

 次に、これらの合金薄片を容器に充填し 水素処理装置内に収容した。そして、水素 理装置内を圧力500kPaの水素ガスで満たすこ により、室温で合金薄片に水素吸蔵させた 、放出させた。このような水素処理を行う とにより、合金薄片を脆化し、大きさ約0.15 ~0.2mmの不定形粉末を作製した。

 上記の水素処理により作製した粗粉砕粉 に対し粉砕助剤として0.04wt%のステアリン酸 亜鉛を添加し混合した後、ジェットミル装置 による粉砕工程を行うことにより、粉末粒径 が約3μmの微粉末を作製した。

 こうして作製した微粉末をプレス装置に り成形し、粉末成形体を作製した。具体的 は、印加磁界中で粉末粒子を磁界配向した 態で圧縮し、プレス成形を行った。その後 成形体をプレス装置から抜き出し、真空炉 より1020~1040℃で4時間の焼結工程を行った。 こうして、焼結体ブロックを作製したあと、 この焼結体ブロックを機械的に加工すること により、厚さ3mm×縦10mm×横10mmの焼結磁石体を 得た。

 表6に示す合金g~iからそれぞれ作製した焼 結磁石体g'~i'を0.3%硝酸水溶液で酸洗し、乾燥 させた後、図6に示す構成を有する処理容器 に配置した。使用する処理容器はMoから形成 されており、複数の焼結体を支持する部材と 、2枚のRHバルク体を保持する部材とを備えて いる。焼結磁石体とRHバルク体との間隔は5~9m m程度に設定した。RHバルク体は、純度99.9%のD yから形成され、30mm×30mm×5mmのサイズを有し いる。

 次に、図6の処理容器を真空熱処理炉に置い て蒸着拡散処理を行った。処理条件は、1×10 -2 Paの圧力下で昇温し、900℃で3~4時間保持し、 結磁石体g'~i'へのDy拡散(導入)量が1.0質量%と なるよう調節し、蒸着拡散材G~Iを得た。これ らの組成を表7(単位は質量%)に示す。その後 蒸着拡散を行わなかった焼結磁石体g'、h'、i '、ならびに蒸着拡散を行ったサンプルG、H、 Iのそれぞれについて、X線回折測定を行った 蒸着拡散を行ったサンプルG、H、Iについて 、焼結体表面(=深さ0μm)と深さ100μmの位置で X線回折測定を行った。これらの結果を表8に す。

 ここでも、表8における「ピーク数」とは、 X線回折測定で2θが60.5~61.5°の範囲内に観察さ れた回折ピークの数を示している。なお、表 8におけるM RH は、重希土類元素RHの濃度であり、Dy濃度及 Tb濃度の合計値を原子%で示している。

 表8からわかるように、原料合金にNd、Dy 外の希土類元素(Pr、Tb)が添加されていても 実施例では2θが60.5~61.5°の範囲内に2つの回 ピークが観察された。

 (実施例3)
 Nd:32.0、B:1.00、Co:0.9、Cu:0.1、Al:0.2、残部:Fe( 位は質量%)の組成を有する厚さ0.2~0.3mmの合金 薄片j(ジェイ)をストリップキャスト法により 作製した。

 次に、この合金薄片を容器に充填し、水 処理装置内に収容した。そして、水素処理 置内を圧力500kPaの水素ガスで満たすことに り、室温で合金薄片に水素吸蔵させた後、 出させた。このような水素処理を行うこと より、合金薄片を脆化し、大きさ約0.15~0.2mm の不定形粉末を作製した。

 上記の水素処理により作製した粗粉砕粉 に対し粉砕助剤として0.04wt%のステアリン酸 亜鉛を添加し混合した後、ジェットミル装置 による粉砕工程を行うことにより、粉末粒径 が約3μmの微粉末を作製した。

 こうして作製した微粉末をプレス装置に り成形し、粉末成形体を作製した。具体的 は、印加磁界中で粉末粒子を磁界配向した 態で圧縮し、プレス成形を行った。その後 成形体をプレス装置から抜き出し、真空炉 より1020℃で4時間の焼結工程を行った。こ して、焼結体ブロックを作製したあと、こ 焼結体ブロックを機械的に加工することに り、厚さ3mm×縦10mm×横10mmの焼結磁石体j'を得 た。

 焼結磁石体j'を0.3%硝酸水溶液で酸洗し、 燥させた後、図6に示す構成を有する処理容 器内に配置した。処理容器はMoから形成され おり、複数の焼結体を支持する部材と、2枚 のRHバルク体を保持する部材とを備えている 焼結磁石体とRHバルク体との間隔は5~9mm程度 に設定した。RHバルク体は、純度99.9%のDyから 形成され、30mm×30mm×5mmのサイズを有している 。

 次に、図6の処理容器を真空熱処理炉に置い て蒸着拡散処理を行った。処理条件は、1×10 -2 Paの圧力下で昇温し、900℃で1~2時間保持し、 結磁石体j'へのDy拡散(導入)量が0.25質量%(J1) 0.5質量%(J2)となるよう2種類のサンプルを作 した。

 さらに比較例として、焼結磁石体j'にDyを 成膜し、拡散熱処理したサンプルを作製した 。具体的には、以下の工程を行った。

 まず、スパッタ装置における成膜室内の真 排気を行い、その圧力を6×10 -4 Paまで低下させた後、高純度Arガスを成膜室 に導入し、圧力を1Paに維持した。次に、成 室内の電極間にRF出力300Wの高周波電力を与 ることにより、焼結磁石体の表面に対して5 間の逆スパッタを行った。この逆スパッタ 、焼結磁石体の表面を清浄化するために行 ものであり、焼結磁石体表面に存在した自 酸化膜を除去した。

 次に、成膜室内の電極間にDC出力500WおよびR F出力30Wの電力を印加することにより、Dyター ゲットの表面をスパッタすることにより、焼 結磁石体表面に厚さ3.75μm(J3)、7.5μm(J4)のDy層 形成した。その後、表面にDy膜を成膜した 結磁石体に対して、1×10 -2 Paの減圧雰囲気下において、900℃で2時間の拡 散熱処理を行った。

 蒸着拡散を行わなかった焼結磁石体j'、 着拡散を行ったサンプルJ1、J2、Dy成膜後に 散熱処理を行ったサンプルJ3、J4の各々につ て、1Paの圧力にて500℃で2時間時効処理を行 った。

 これらのサンプルに3MA/mのパルス着磁を行 た後、磁石特性(残留磁束密度B r 、保磁力H cJ )を測定した。

 また、10×10mmの面を表面から研磨してい 、深さ0、40、80、120μm位置にてX線回折測定 行い、それぞれの深さにおけるc軸長と60.5~61 .5°における(008)面の回折ピークを観察した。 これらの結果を表9に示す。

 表9からわかるとおり、焼結体の表面にDy膜 堆積し、その後に拡散熱処理を行ったサン ルJ3、J4では、2θが60.5~61.5°の範囲内に2つの 回折ピークは観察されなかった。また、Dyを 量拡散させたサンプル同士を比較すると、D y成膜+拡散熱処理を行ったサンプルJ3、J4に比 べ、蒸着拡散を行った実施例のサンプルJ1、J 2の方が、保磁力H cJ の向上割合の大きいことがわかった。これは 、蒸着拡散法では、Dyが焼結磁石体の内部ま 拡散しやすく、表層付近で主相内部に拡散 ないため、効率よく保磁力H cJ が向上したことを意味している。

 本発明のR-Fe-B系異方性焼結磁石は、主相 殻部に効率よく重希土類元素RHが濃縮され いるため、残留磁束密度および保磁力の両 に優れ、種々の用途に好適に利用される。