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Title:
R-T-B-TYPE SINTERED MAGNET AND METHOD FOR PRODUCTION THEREOF
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/122709
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is an R-T-B-type sintered magnet which has the following chemical composition: R: 27.3 to 29.5 mass% (inclusive), B: 0.92 to 1 mass% (inclusive), Cu: 0.05 to 0.3 mass% (inclusive) and M: 0.02 to 0.5 mass% (inclusive), with the remainder being T, and has an oxygen content of 0.02 to 0.2 mass%, wherein the main phase of the sintered magnet comprises a R2T14B-type compound, the main phase has a crystal particle diameter of 8 μm or less in terms of circle-equivalent diameter, and the surface area occupied by crystal particles each having a size of 4 μm or less makes up 80% or more of the whole surface area of the main phase.

Inventors:
KUNIYOSHI FUTOSHI (JP)
ISHII RINTARO (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/001448
Publication Date:
October 08, 2009
Filing Date:
March 30, 2009
Export Citation:
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Assignee:
HITACHI METALS LTD (JP)
KUNIYOSHI FUTOSHI (JP)
ISHII RINTARO (JP)
International Classes:
H01F1/053; B22F9/04; C22C33/02; C22C38/00; H01F1/08; H01F41/02
Domestic Patent References:
WO2005001856A12005-01-06
Foreign References:
JP2005136015A2005-05-26
JP2006303433A2006-11-02
JP2002373822A2002-12-26
JP2006270087A2006-10-05
JP2005290398A2005-10-20
JP2000219942A2000-08-08
JPH0931609A1997-02-04
JPS59163802A1984-09-14
JPS59211558A1984-11-30
JPH047804A1992-01-13
JP2004303909A2004-10-28
JP2005197533A2005-07-21
JP2006100847A2006-04-13
JP2007180374A2007-07-12
Other References:
See also references of EP 2273513A4
Attorney, Agent or Firm:
OKUDA, SEIJI (JP)
Seiji Okuda (JP)
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Claims:
 R:27.3質量%以上、29.5質量%以下、ここでRは、Yを含む希土類元素であって、Rのうち50質量%以上がPrおよび/またはNdからなり、
 B:0.92質量%以上、1質量%以下、
 Cu:0.05質量%以上、0.3質量%以下、
 M:0.5質量%以下(0質量%を含む)、ここでMは、Al、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Ag、In、Sn、Hf、Ta、W、Au、Pb、Biのうち、1種または2種以上、
 T:残部、ここでTは、Fe、Coの1種または2種であり、Feを50質量%以上含み、
 酸素含有量が0.02質量%以上、0.2質量%以下、
の組成を有し、
 焼結磁石の主相はR 2 T 14 B型化合物であり、
 主相の結晶粒径が、円相当径で8μm以下であり、かつ4μm以下の結晶粒子の占める面積率が、主相全体の80%以上である、R-T-B系焼結磁石。
 R:27.3質量%以上、29.5質量%以下、ここでRは、Yを含む希土類元素であって、Rのうち50質量%以上がPrおよび/またはNdからなり、
 B:0.92質量%以上、1質量%以下、
 Cu:0.05質量%以上、0.3質量%以下、
 M:0.5質量%以下(0質量%を含む)、ここでMは、Al、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Ag、In、Sn、Hf、Ta、W、Au、Pb、Biのうち、1種または2種以上、
 T:残部、ここでTは、Fe、Coの1種または2種であり、Feを50質量%以上含み、
 酸素含有量が0.02質量%以上、0.2質量%以下
の組成を有する、R-T-B系焼結磁石の製造方法であって、
 単軸方向の平均Rリッチ相間隔が4μm以下であるストリップキャスト合金を母合金として準備する工程と、
 前記母合金を水素雰囲気に暴露して脆化させ、粗粉末を得る工程と、
 前記粗粉末を微粉砕し、乾式分散によるレーザー回折法の測定によって得られるD50が3μm以下の粒度を持ち、含有酸素濃度が0.2質量%以下の微粉末を得る工程と、
 前記微粉末を磁界中にてプレス成形し、成形体を得る工程と、
 前記成形体を850℃以上、1000℃以下の温度で4時間以上、48時間以下保持して焼結する工程と
を包含する、R-T-B系焼結磁石の製造方法。
 前記成形体を得る工程は、
 前記微粉末を飽和炭化水素系有機溶媒に混合して前記微粉末のスラリーを形成する工程を含み、
 前記プレス成形は、前記微粉末のスラリーに対して行う、請求項2に記載のR-T-B系焼結磁石の製造方法。
 前記微粉末を得る工程では、気流式粉砕機により、ヘリウムまたはアルゴンのガスを用いて微粉砕を行う、請求項2に記載のR-T-B系焼結磁石の製造方法。
 前記微粉末を得る工程では、前記粉砕機に結合された分級機を用いて目標粒度を得る、請求項4に記載のR-T-B系焼結磁石の製造方法。
Description:
R-T-B系焼結磁石およびその製造 法

 本願発明は、特にモータ用途に好適な、 い保磁力を有するR-T-B系焼結磁石に関する

 R-T-B系焼結磁石に主相として含まれるR 2 T 14 B化合物の結晶粒径が、磁石の特性に影響す ことは公知である。ここで、Rは希土類元素 うち少なくとも一種、TはFeまたはFeとCo、B 硼素である。一般に、焼結磁石中の結晶粒(g rain)を微細化することで、保磁力を高めるこ ができることが知られている。

 しかしながら、焼結磁石中の結晶粒を微 化するために微粉砕粒度(粉末粒子の直径) 小さくすると、粉末粒子の合計表面積が増 するため、粒子表面に吸着する酸素等の不 物が増加してしまう。その結果、原料合金 含有される希土類元素Rの一部が酸素と反応 、酸化物形成に消費されるため、希土類元 Rの量(以下、「R量」と称する。)が不足する ことになる。R量が不足すると、焼結工程で 可欠の液相(Rリッチ相)形成に支障をきたす このような問題を回避するには、原料合金 のR量を過剰にせざるを得ず、R量の過剰含有 は残留磁束密度の低下を招く。従って、粉砕 粒度を単純に低下させても、高性能磁石を製 造することはできない。

 さらに、微粉砕粒度の低下によって、粉 成形体の表面積が増加すると、界面エネル ーが著しく増加するために、焼結過程にお て容易に異常粒成長が起こり、焼結磁石の 織を均一微細にすることは困難であった。 の結果、微粉砕粒度の低下のみでは、高い 磁力を得ることはできなかった。

 特許文献1では、結晶粒径と磁石特性との 関係が示されている(特に図3、図4)。特許文 1には、結晶粒径3~5μmのあたりで最も保磁力 大きくなることが示されている。

 特許文献2では、種々の添加元素と保磁力 との関係が開示され、MoまたはHfを添加した 合、主相結晶粒径が5~20μmの範囲で大きな保 力が得られることが示されている。

 しかしながら、いずれも、焼結体の主相 晶粒を微細化する技術については、ボール ルで目的の粒度まで原料合金を粉砕する方 を開示するのみである。このような公知の 砕方法によって粉砕粒度を小さくするには 長時間の粉砕、またはメディアを逐次交換 て複数回の粉砕が必要になる。このため、 然的に不純物が増加し、そのためR量の多い 組成を選択せざるを得ない。従って、高性能 磁石の製造には特許文献1、2に開示されてい 方法は適用できない。

 特許文献3には、希土類酸化物や希土類炭 化物などの異相が、焼結時の結晶粒成長、即 ち粗大結晶粒の生成を抑制することが開示さ れている。しかし、磁気特性に寄与しない異 相が必須であることから、必然的に残留磁束 密度の低下を招き、高性能磁石への適用は困 難である。

 特許文献4には、焼結磁石の結晶粒径を特 定範囲内に調整することで、TbやDyを用いる となく保磁力を高める技術が開示されてい 。しかし、不純物である酸素で結晶粒径の 大化を抑制するため、高い残留磁束密度を ることは難しく、高性能磁石への適用は困 である。

 特許文献5、6には、Nb、Zrなどの添加元素 用いることで、焼結磁石の主相結晶粒を微 化する技術が開示されており、その結果、 石の着磁性が改善されることが示されてい 。この方法によれば、焼結時の異常粒成長 抑制して高保磁力化は可能であるが、磁気 性に寄与しない化合物相を磁石内部に含有 ることになるので、必然的に残留磁束密度 低下を招き、高性能化には限界がある。

 特許文献7には、粉砕工程において酸素など の不純物を抑制しつつ、粉砕粒度を低下し、 金型成形を行わない方法によって低温で焼結 する方法が開示されている。しかしながら、 酸素などの不純物を増加させず、ジェットミ ルを用いて開示の粉砕粒度まで粉砕する具体 的手段は一切記載されていない。また、特許 文献7の実施例において、微粉末の酸素量は されているものの、焼結磁石の組成、酸素 等の不純物量は開示されていない。本文献 記載の技術は、微粉末のプレス成形を行わ 、微粉末を所定密度まで容器に充填し、そ まま焼結する方法である。このため、焼結 低温で進行させるためには、焼結温度で多 の液相成分が必要になる。その結果、例え 実施例に示されたNd:31.5質量%のように、多量 の希土類元素Rを必須とするため、磁石の高 能化には適さない。また、焼結時に発生す 多量の液相のために、焼結を促進してしま 、焼結温度を下げても結果的に焼結組織の 常粒成長を招く欠点がある。

特開昭59-163802号公報

特開昭59-211558号公報

特開平4-7804号公報

特開2004-303909号公報

特開2005-197533号公報

特開2006-100847号公報

特開2007-180374号公報

 昨今の環境問題、エネルギー問題、資源 題を背景として、高性能磁石の需要は日増 に高まっている。一方、高性能磁石の代表 あるR-T-B系焼結磁石は、その主要原料であ 希土類元素が特定地域からの供給に頼って る。さらに高保磁力型R-T-B系焼結磁石では、 希土類元素の中でも希少で高価なTbやDyなど 多量に使用する必要がある。このため、こ ら希少資源の使用量を削減する取り組みが されている。

 前述したように、R-T-B系焼結磁石において 主相であるR 2 T 14 B化合物の結晶粒を微細化すれば、保磁力を められることは当業者にとって自明であっ が、従来は、高残留磁束密度を維持したま 結晶粒径を微細化する技術がなかった。

 ボールミル等を用いる公知の粉砕条件を 整することにより、強引に粉末粒度を低下 せる従来の方法では、粉末中の酸素量の増 を伴う。また、例えば湿式粉砕では、合金 末と溶媒の反応や、粉砕メディアの磨耗に る不純物の巻き込みによって焼結磁石の主 比率の低下を招くという問題も生じる。仮 高純度で微細な原料合金粉末ができたとし も、焼結工程に於いて結晶粒径が粗大化す 異常粒成長が生じ、結果的に高い保磁力が られないという問題もある。

 本願発明は、上記問題を解決するために されたものであり、容易に結晶粒径を微細 でき、不純物が少なく、異常粒成長を防止 、高残留磁束密度を維持したまま保磁力を 上させることができる、R-T-B系焼結磁石と の製造方法の提供を目的とする。

 本願発明のR-T-B系焼結磁石は、R:27.3質量%以 、29.5質量%以下、ここでRは、Yを含む希土類 元素であって、Rのうち50質量%以上がPrおよび /またはNdからなり、B:0.92質量%以上、1質量%以 下、Cu:0.05質量%以上、0.3質量%以下、M:0.5質量% 以下(0質量%を含む)、ここでMは、Al、Ti、V、Cr 、Mn、Ni、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Ag、In、Sn、Hf、Ta 、W、Au、Pb、Biのうち、1種または2種以上、T: 部、ここでTは、Fe、Coの1種または2種であり 、Feを50質量%以上含み、酸素含有量が0.02質量 %以上、0.2質量%以下の組成を有し、焼結磁石 主相はR 2 T 14 B型化合物であり、主相の結晶粒径が、円相 径で8μm以下であり、かつ4μm以下の結晶粒子 の占める面積率が、主相全体の80%以上である 。

 本願発明のR-T-B系焼結磁石の製造方法は R:27.3質量%以上、29.5質量%以下、ここでRは、Y を含む希土類元素であって、Rのうち50質量% 上がPrおよび/またはNdからなり、B:0.92質量% 上、1質量%以下、Cu:0.05質量%以上、0.3質量%以 下、M:0.5質量%以下(0質量%を含む)、ここでMは Al、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Ag In、Sn、Hf、Ta、W、Au、Pb、Biのうち、1種また 2種以上、T:残部、ここでTは、Fe、Coの1種ま は2種であり、Feを50質量%以上含み、酸素含 量が0.02質量%以上、0.2質量%以下の組成を有 る、R-T-B系焼結磁石の製造方法であって、 軸方向の平均Rリッチ相間隔が4μm以下である ストリップキャスト合金を母合金として準備 する工程と、前記母合金を水素雰囲気に暴露 して脆化させ、粗粉末を得る工程と、前記粗 粉末を微粉砕し、乾式分散によるレーザー回 折法の測定によって得られるD50が3μm以下の 度を持ち、含有酸素濃度が0.2質量%以下の微 末を得る工程と、前記微粉末を磁界中にて レス成形し、成形体を得る工程と、前記成 体を850℃以上、1000℃以下の温度で4時間以 、48時間以下保持して焼結する工程とを包含 する。

 好ましい実施形態において、前記成形体 得る工程は、前記微粉末を飽和炭化水素系 機溶媒に混合して前記微粉末のスラリーを 成する工程を含み、前記プレス成形は、前 微粉末のスラリーに対して行う。

 好ましい実施形態において、前記微粉末 得る工程では、気流式粉砕機により、ヘリ ムまたはアルゴンのガスを用いて微粉砕を う。

 好ましい実施形態において、前記微粉末 得る工程では、前記粉砕機に結合された分 機を用いて目標粒度を得る。

 本発明のR-T-B系焼結磁石は、高残留磁束 度を維持したまま保磁力を向上させること でき、その結果、熱減磁が起こり難くなり 優れた耐熱性を有する。

実施例1の試料1の微粉砕粉の走査電子 微鏡写真である。 実施例1の試料1の焼結体断面組織の偏 顕微鏡写真である。 実施例3の試料50の微粉砕粉の走査電子 微鏡写真である。 実施例3の試料50の焼結体断面組織の偏 顕微鏡写真である。 実施例3の試料50の焼結体断面観察から めた結晶粒径分布を示したグラフである。

 発明者は、残留磁束密度を低下させるこ なく、かつ重希土類元素の添加のみによら い保磁力向上技術の研究開発を進め、本願 明を完成するに至った。即ち、磁石用母合 の金属組織に改良を加えることにより、微 砕工程の負荷を低減し、その結果、従来よ も低い粒度までの粉砕を容易にし、焼結後 結晶粒を微細化するとともに、不純物の巻 込みを防止して高純度の微粉末を得ること 成功した。

 本願発明では、R量、酸素含有量、および Cu量を特定範囲内に限定することにより、結 粒の微細化によっても、焼結過程における 相の不足を生じないようにする。その結果 低温での焼結が可能となり、高残留磁束密 を維持したまま保磁力を向上させることが きる。

 さらに、不純物を極力増加させることな 微細に粉砕できる方法と、異常粒成長を生 ることなく焼結する方法とを組み合わせる とにより、上記組成範囲限定による作用効 を一層顕著なものとすることができること わかった。

 [組成]
 本願発明は、希土類元素R、鉄族元素T、ホ 素B、必須添加元素Cu、及び必要に応じて添 される添加元素M、不純物の一つである酸素O 、及びその他不可避不純物からなる。

 希土類元素Rは、Y(イットリウム)を含む全 ての希土類元素から選択される少なくとも1 である。本願発明の磁石において優れた性 を得るための希土類元素Rの組成範囲は、R全 体で27.3質量%以上、29.5質量%以下である。希 類元素Rの組成範囲をこのように限定すると もに、後述するCuの添加を行うことによっ 、結晶粒の微細化によっても液相の不足を じさせない効果が得られる。そして、この 果のため、低温での焼結が可能となり、高 残留磁束密度を維持したまま保磁力を向上 せることができる。

 R-T-B系磁石は、R 2 T 14 B型化合物を主相として含有し、主相の量が いほど高性能を発揮する。一方、高い保磁 を得るには、主相粒界にRリッチ相と呼ばれ R主体の相を形成することが肝要である。ま た、Rの一部は、単独または他元素との複合 酸化物、炭化物も形成する。従って、本願 明の焼結磁石においては、Rの下限は、主相 相となる組成より僅かに多い27.3質量%とな 。27.3質量%未満であると、焼結が困難になり 、高密度のバルク体を得ることができない。 仮にバルク体を得ることができても、Rリッ 相の形成が不充分となり、高い保磁力が得 れない。一方、29.5質量%を越えると、磁石内 部における主相の体積率が減少し、磁石の磁 化が低下する。

 希土類元素Rのうち、本磁石にとって有用な 元素は、Pr、Nd、Tb、Dyの4元素である。特に高 性能磁石のためには、PrまたはNdが必須であ 。PrまたはNdは、R 2 T 14 B化合物の飽和磁化を向上させる。従って、 願発明では、Rのうち50質量%以上をPrおよび/ たはNdとする。

 TbとDyは、一般にR-T-B系磁石の保磁力を高 るためには有効な元素である。本願発明に いても、必要な保磁力を得るために適宜添 することができる。

 その他の希土類元素は、工業的に、磁石 性能向上を高める効果を期待して用いるの は適さない。しかし、5質量%以下の範囲で 磁石特性への影響は小さく、含まれていて よい。

 Tは、FeとCoを包含する。R 2 T 14 B型化合物の磁化はFeの場合が大きいが、少量 のCo添加では磁化の低下は殆どない。また、C oは磁石のキュリー点を高める効果があり、 た磁石の粒界の組織を改善して耐食性を高 る効果があるので、目的に応じて添加でき 。この場合、Feの量をTのうち50質量%以上と る。これは、50質量%未満であると、磁化の 下が大きくなるためである。

 必須添加元素Cuは、焼結磁石の組織にお て、希土類元素Rを主とするCu含有相を形成 て粒界相の一部となり、主相の周囲を取り むように薄い膜状に存在する。Cu含有相は、 主相との構造的な整合性を保ち、その結果、 保磁力を高める。Cuは微量の添加により、容 に前記主相に膜状に拡散する。このため、 にRの量で決まる粒界相の総量が微量であっ ても、焼結磁石の保磁力発現に必須である主 相粒界の磁気的な隔壁を形成するのに有効で ある。Cuを添加した結果、結晶粒の微細化に っても液相の不足を生じることなく、高残 磁束密度を維持したまま保磁力を向上させ ことができる。

 Cuの必要量は少なくとも0.05質量%である。 Cuの量が0.05質量%未満では、前記磁気的な隔 の形成が不充分となる以前に、本願発明のR と焼結温度条件では焼結が著しく困難にな 。本願発明の焼結条件外で焼結すれば高い 結密度が得られる可能性があるが、同時に 晶粒径が著しく粗大化し、保磁力が大幅に 下してしまう。

 Cuは殆ど主相に入ることができない。こ ため、Cuを多量に添加すると、主相の量が減 少し、磁石の磁化が低下する。故にCu添加量 0.3質量%以下とすることが好ましい。

 添加元素Mのうち、Ag、Au、ZnはCuと同じ効 を持つ元素である。また、Niも近似の効果 有する。なお、Cuの一部または全部をAg、Au Zn、Niのうち1種または2種以上の元素に置換 る場合は、原子量の比を考慮して添加する を決めればよい。Cuに対して、例えば、Agで 1.7倍、Auは3.1倍、Znは1.03倍、Niは0.92倍の添 量とすればよい。

 添加元素Mは、磁石性能の改善、または磁 石製造工程の改良を目的に添加される元素で ある。以下、各元素の作用効果と添加量につ いて述べる。なお、M元素の総量は、大きな 留磁束密度を得るには0.5質量%以下にするこ が好ましい。

 Alは、本系磁石の粒界相の物性を改善し 保磁力向上に有効である。このため、Alは、 好ましくは0.5質量%以下の範囲で添加される Al添加量が0.5質量%を超えると、Alが主相にも 多量に入り磁石の磁化の低下が大きくなるた め、好ましくない。Alは、通常用いられるBの 原料であるFe-B合金に含まれている。特にAlの 添加を避けるために、別の高価な純B原料等 用いる場合は、最低でも磁石組成に0.02質量% 以上含まれる。また、原料合金の溶解時にア ルミナ系の材質の坩堝を用いた場合にも混入 することがある。通常は、B原料から取り込 れる量を考慮して添加量を調整する。

 Gaは、添加により磁石の保磁力を高める 果を有する。しかし、高価であるため、添 量は0.5質量%以下に留めることが好ましい。 らに、Gaは、Bの適正量を少ない側に拡大す 効果を有する。この効果は、0.08質量%以下 添加で充分に発揮される。

 Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wは、組織中 で例えばホウ化物の形の高融点析出物を形成 し、焼結過程における結晶粒成長を抑制する 効果を有する。しかし、磁性には無関係な析 出物を形成するので磁化を下げるため、添加 量は0.2質量%以下が好ましい。

 この中で、Zrはやや異なった挙動を示す 即ち、B量が少ない場合、ホウ化物の形では 出しないにも拘らず粒成長抑制の効果を発 する。従って、Zrを0.1質量%以下で、かつBを 0.98質量%以下とする条件下では、磁化の低下 起こらない。これは、Zrが、主相にも固溶 うる元素であるためと考えられている。

 Mnは、主相に固溶する元素であり、多量 固溶すると保磁力、磁化共に低下する。し し、その他添加元素Mや希土類元素との相互 用によって、他元素の効果を助長する働き する場合がある。添加量は0.1質量%以下とす ることが望ましい。

 In、Sn、Pb、Biは、粒界相の物性を改善し 磁石の保磁力を高める働きをする。多量に 加すると磁石の磁化を下げるので、0.5質量% 下とすることが好ましい。

 Bは、主相形成のための必須元素である。 主相の比率は、B量を直接的に反映する。し しながらB量が1質量%を超えると、主相形成 寄与しない、余剰のBが生じ、磁気特性に関 しない相を形成する。また0.92質量%以下で 、主相の比率が低下し、磁石の磁化が低下 るばかりか、保磁力も低下してしまう。従 て、好ましい範囲は、0.92質量%以上、1質量% 下である。但し、前記Gaの効果により、好 しい範囲を0.98質量%以下とすることができる 。

 本願発明の磁石には、不可避の不純物を む。特に酸素含有量は磁石の性能に直接的 作用する。酸素は、高性能化のためには可 な限り小さくしたいが、0.02質量%未満とす には酸化防止のための処理設備が非常に大 かりになり、工業的に好ましくない。一方 0.2質量%を越えると、本願発明の磁石組成に いては焼結困難となる。また仮に焼結磁石 得られても磁石特性が低くなるため好まし ない。よって、酸素含有量は0.02質量%以上 0.2質量%以下とする。これによって、結晶粒 の微細化によっても液相の不足を生じない め、低温での焼結が可能となる。

 その他の不可避不純物としては、C、N、H Si、Ca、S、P等がある。いずれも、磁石の高 能化のためには工業的に可能な範囲で小さ 抑えることが好ましい。

 [結晶粒径]
 焼結磁石の結晶粒径(grain size)は、保磁力に 影響を与える。一方、粒界相の状態も保磁力 に影響する。このため、従来は、公知の方法 で単に結晶粒径を小さくしても高い保磁力が 得られなかった。つまり、結晶粒径を小さく すると、結晶粒界の面積が増大するため、粒 界相の必要量も増加する。従って同一組成で 単に結晶粒界を微細化すると粒界相が不足し 、結晶粒径の低下による保磁力向上効果と、 粒界相不足による保磁力低下が相殺し、結果 的に従来は結晶粒微細化効果が充分得られて いなかった。

 本願発明においては、特にR量、酸素含有 量、Cu量を限定することで、結晶粒を微細化 た場合でも粒界相の不足を生ぜず、結果と て結晶粒微細化の効果により高残留磁束密 を維持したまま保磁力が向上する。

 結晶粒径は、磁石断面の組織観察により 画像処理で求めることができる。本願では 磁石断面の組織で観察された結晶粒と同一 積の円の直径:円相当径を結晶粒径としてい る。結晶粒径が4μmを超える粒子が面積率で20 %以上存在すると、保磁力向上効果は得られ い。また、結晶粒径が8μmを超える粒子は、 結時に異常粒成長したものと考えられ、こ ような粒子の存在は保磁力の低下を招くこ から、結晶粒径は円相当径で8μm以下、かつ 円相当径で4μm以下の結晶の占める面積率が80 %以上とする。なお、ここでの面積率は、主 全部の合計面積に対する割合であり、粒界 やその他の相は含まないものとする。

 [磁石特性]
 前記組成、前記結晶粒径を得る事により、 願発明の磁石は、従来のR-T-B系磁石に比べ 、優れた磁石特性、特に大きな保磁力を持 ことを特徴とする。

 従来、R-T-B系焼結磁石の保磁力は、希土類 素Rの一部をTbまたはDyで置換する方法により 高められていた。Rの一部をTbやDyで置換する 合、置換量に比例して残留磁束密度が低下 るため、H cJ とB r はトレードオフの関係にある。本願発明では 、従来の組成と同一であっても、顕著に高い 保磁力を有する。

 本願発明による磁石組成と結晶粒径を有す ことにより、本願発明磁石の磁石特性は、H cJ とB r との関係において、
    H cJ [kA/m]>400+4800×(1.6-B r [T])
の関係式を満たす。

 [製造方法]
 本願発明の製造方法は、不純物を増やすこ なく従来よりも原料合金を微細に粉砕する 術と、粒成長抑制のための添加元素を特に いずとも異常粒成長を生じることなく焼結 る技術との組み合わせによることを特徴と る。

 磁気異方性を有するR-T-B系焼結磁石を製 するには、一般的に、出発原料として合金 製造し、これを粉砕して微粉末とする。こ とき、一つの粉砕工程で合金から微粉末を 造するのは必ずしも能率がよくない。この め、一般的には粗粉砕工程と微粉砕工程と う2段階の粉砕工程を経て微粉末が作製され 。

 [原料合金]
 原料合金は、望ましくはストリップキャス 法などの微細組織が得られる方法で作製さ ることが好ましい。これは、粉砕工程に於 て、より少ない労力で粉砕するためである

 粉砕粒度を従来よりも小さくするため、 ましくは、最短方向のRリッチ相の間隔が4μ m以下の微細組織を有する合金を用いる。Rリ チ相は、水素吸蔵によって膨張し、その部 から割れやすくなる。このため、原料合金 Rリッチ相間隔が短いほど、小さな粉末粒子 を容易に作製できる。ストリップキャスト法 によれば、Rリッチ相間隔の短い微細組織を する原料合金を作製できる。このような原 合金を用いれば、微粉砕工程の負荷(粉砕時 など)を低減し、従来よりも小さな粒度まで の粉砕が可能になる。その結果、焼結後の結 晶粒を微細化するとともに、不純物の巻き込 みを防止して、高純度の微粉末を得ることが できる。原料合金のRリッチ相間隔が4μmを超 ると、微粉砕工程に過大な負荷が掛かり、 粉砕工程での不純物量の増加が著しくなる め好ましくない。

 本願発明の磁石を得るための原料合金で 、R量が少ないために、Rリッチ相間隔は大 くなりやすい。従ってストリップキャスト 程において、例えば原料合金の溶湯を冷却 ールに供給するレートを小さくして、急冷 よって得られる合金(鋳片)を薄くすることが 好ましい。また、微細組織を有する原料合金 を作製するには、冷却ロールの表面粗度を小 さくして溶湯とロールとの密着度を高め、冷 却能率を高めることも効果的である。更に、 冷却ロールの材質をCuなどの熱伝導性に優れ 材質にすることが好ましい。

 [粉砕]
 粗粉砕と微粉砕の2段階の粉砕を行う。それ ぞれの工程で不純物量の管理を行うことが必 要である。

 原料合金の粗粉砕は、水素脆化処理によ て行うことが好ましい。水素脆化処理は、 素吸蔵に伴う体積膨張を利用して合金に微 なクラックを生じさせ、粉砕する方法であ 。本願発明の合金系では、主相とRリッチ相 との水素吸蔵量の差、即ち体積変化量の差が クラック発生の元になる。このため、水素脆 化処理によれば、主相の粒界で割れる確率が 高くなる。

 水素脆化処理は、通常、常温で加圧水素 一定時間暴露する。次に、温度を上げて過 な水素を放出させた後、冷却する。水素脆 処理後の粗粉末は、多数のクラックを内在 、比表面積が大幅に増大している。このた 、粗粉砕粉は、非常に活性であり、大気中 取り扱いでは酸素量の増加が著しくなるの 、窒素、Arなどの不活性ガス中で取り扱う とが望ましい。また、高温では窒化反応も じる可能性があるため、製造コストの増加 許容できるのであれば、Ar雰囲気中で取り扱 うことが好ましい。

 微粉砕工程は、気流式粉砕機による乾式 砕を用いることができる。乾式粉砕では、 砕装置の内部に高速で流れるガス(粉砕ガス )中に粗粉砕粉を投入することにより、粗粉 粉の衝突によって微細化する。一般に、粉 ガスとしては窒素ガスが用いられる。しか 、本願発明では、窒化を避けるため、HeやAr スなどの希ガスを用いる。軽いHeガスを用 ると、粉砕ガスの流速を高めることができ ため、格段に大きな粉砕エネルギーが得ら る。その結果、粉砕効率が著しく向上し、 易に本願発明に適した高純度の微粉砕粉を ることができる。

 Heガスは日本においては高価であるため Heガスを用いる場合は系内にコンプレッサ等 を組み入れて循環使用することが好ましい。 水素ガスでも同様の効果が期待されるが、酸 素ガスの混入等による爆発の危険があり、工 業的には好ましくない。

 分級機付きの粉砕機を用いて目標粒度を ることが好ましい。分級機の回転数を高め ことにより、粉砕粒度を小さくすることが きる。また、気流式粉砕機における粉砕ガ を高速に噴出するノズルの形状を最適化し 粉砕ガス圧力を高めることによって粉砕効 を高めても、粒度を低下させることができ 。上述した各種の方法は、組み合わせて使 してもよい。

 このように、気流式粉砕機による乾式粉 を行う場合、窒化や酸化を避けることによ 、本願発明に適した高純度の微粉砕粉を得 ことができる。

 他の方法として、湿式粉砕法がある。一 的なボールミルでは本願発明に用いる微粉 を得るためには、長時間の粉砕や、ボール を順次変える粉砕方法を採る必要があり、 の場合は原料粉末と溶媒との反応が顕著に って、微粉末中の酸素や炭素などの不純物 著しく増加してしまうため好ましくない。

 一方、非常に小径のボールを用いて高速 拌するビーズミルでは、短時間で微細化が 能であるため、不純物の影響を小さくでき 本願発明に用いる微粉末を得るには好まし 。

 さらに、一旦気流式粉砕機により粗く乾 粉砕し、その後ビーズミルによる湿式粉砕 行う、多段粉砕を行うと、短時間での効率 な粉砕が可能なため、微粉末でも不純物量 極小に抑制することができる。

 湿式粉砕で用いる溶媒は、原料粉末との 応性、酸化抑止力、さらに焼結前の除去の 易さを考慮して選択する。例えば、有機溶 、特にイソパラフィンなどの飽和炭化水素 好ましい。

 本願発明においては、特に微粉砕工程で 純物を取り込まない手段をとる必要がある 例えば、湿式粉砕法を用いる場合は、ボー ミルで長時間粉砕する方法は好ましくない 一例として、ビーズミル粉砕を用いると、 ールミルに比べ、短時間で目的粒度の微粉 が得られ、粉砕時間が短時間で済むことで 素や炭素の取り込みを極小に抑制できるた 好ましい。

 [成形]
 本願発明の方法により得られた微粉砕粉の イズは、例えば気流分散型のレーザー回折 度測定によるD50が3μm以下である。これは、 従来の一般的な粉砕粒度より小さいため、金 型への微粉末の充填、外部磁界印加による結 晶の配向はやや困難となる。また成形密度も 高めにくい。しかしながら、酸素や炭素の取 り込みを最小限とするため、潤滑剤等の使用 は最小限にとどめることが望ましい。焼結工 程、またはその前に脱脂可能な、揮発性の高 い潤滑剤を、公知のものから選択して用いて もよい。

 潤滑剤の使用量を最小限とすると、磁界 成形時の磁界配向が困難になることが予想 れる。特に微粉末の粒度が小さいため、外 磁界印加時の磁粉各々が受けるモーメント 小さくなるので、より配向が不充分になる 能性が高くなる。しかしながら、配向の乱 による残留磁束密度の低下より、結晶微細 による保磁力の向上のほうがより磁石の高 能化には有効である。

 一方、より配向度を高めるには、微粉末 溶媒に混合し、スラリーを形成した後、そ スラリーを磁界中成形に供することが好ま い。この場合、溶媒の揮発性を考慮し、次 焼結過程において、例えば250℃以下の真空 で略完全に揮発させることが可能な、低分 量の炭化水素を選ぶことができる。特に、 ソパラフィンなどの飽和炭化水素が好まし 。また、スラリーを形成する場合は、微粉 を直接溶媒中に回収してスラリーとしても い。

 成形時の加圧力は、次工程の条件を決め 要素の一つである。本願発明においては、 圧は9.8MPa以上、より好ましくは19.6MPa以上で あり、上限は245MPa以下、より好ましくは147MPa 以下である。

 [焼結]
 焼結過程における雰囲気は、真空中または 気圧以下の不活性ガス雰囲気とする。ここ の不活性ガスとは、Ar及び/またはHeガスを す。大気圧以下の不活性ガス雰囲気を保持 る方法は、真空ポンプによる真空排気を行 つつ、不活性ガスを系内に導入する方法が ましい。この場合、前記真空排気を間歇的 行ってもよく、不活性ガスの導入を間歇的 行ってもよい。また前記真空排気と前記導 の双方とも間歇的に行うこともできる。

 微粉砕工程や成形工程で用いた溶媒を充 に除去するためには、脱脂処理を行った後 焼結することが好ましい。脱脂処理は、例 ば300℃以下の温度域で30分以上8時間以下の 間、真空中または大気圧以下の不活性ガス で保持することによって行うことができる 前記脱脂処理は、焼結工程とは独立に行う ともできるが、処理の効率、酸化防止等の 点から、脱脂処理後、連続して焼結を行う とが好ましい。前記脱脂工程では、前記大 圧以下の不活性ガス雰囲気で行うことが、 脂効率上好ましい。

 焼結工程では、成形体の昇温過程で、成 体からのガス放出現象が認められる。前記 ス放出は、主に粗粉砕工程で導入した水素 スの放出である。前記水素ガスが放出され 初めて液相が生成するので、水素ガスの放 を完全にするために、例えば700℃以上850℃ 下の温度範囲で30分以上4時間以下の保持を ることが好ましい。

 焼結時の保持温度は850℃以上、1000℃以下と する。850℃未満では、前記水素ガスの放出が 不充分で焼結反応に必要な液相が充分得られ ず、本願発明の組成では焼結反応が進行しな い。即ち7.5Mgm -3 以上の焼結密度が得られない。一方、1000℃ 上では、本願発明の組成においては異常粒 長が生じやすく、その結果得られる磁石の 磁力が低くなってしまうためである。

 焼結温度範囲での保持時間は、4時間以上、 48時間以下が好ましい。4時間未満であると、 緻密化の進行が不充分となり、7.5Mgm -3 以上の焼結密度が得られないか、磁石の残留 磁束密度が小さくなる。一方、48時間以上で 、密度や磁石特性の変化は小さいが、円相 径が8μmを超える結晶が生じる可能性が高く なる。もし前記結晶が生成すると、保磁力の 低下を招く。従って、好ましい焼結時間は、 4時間以上、48時間以下である。

 焼結工程では、前記温度範囲に、前記時 一定に保持する必要はない。例えば最初の2 時間は950℃で保持した後、続いて880℃で4時 保持することもできる。また、一定温度の 持でなく、例えば900℃から860℃まで、8時間 けて変化させてもよい。

 [熱処理]
 焼結工程終了後、一旦300℃以下にまで冷却 る。その後、再度400℃以上、900℃以下の範 で熱処理を行い、保磁力を高めることがで る。この熱処理は、同一温度、または温度 変えて複数回行ってもよい。

 [加工]
 本願発明の磁石には、所定の形状、寸法を るため、一般的な切断、研削等の機械加工 施すことができる。

 [表面処理]
 本願発明の磁石には、好ましくは防錆のた の表面コーティング処理を施す。例えば、N iめっき、Snめっき、Znめっき、Al蒸着膜、Al系 合金蒸着膜、樹脂塗装などを行うことができ る。

 [着磁]
 本願発明の磁石には、一般的な着磁方法で 磁することができる。例えば、パルス磁界 印加する方法や、静的な磁界を印加する方 が適用できる。なお、磁石材料の着磁は、 料の取り扱い上の容易さを考慮して、通常 磁気回路に組み立てた後、前記方法で着磁 るが、もちろん磁石単体で着磁することも きる。

 実施例1
 純度99.5%以上のPr、Nd、純度99.9%以上のTb、Dy 電解鉄、低炭素フェロボロン合金を主とし 添加元素(Coおよび/またはM)は純金属またはF eとの合金の形で添加して溶解し、合金溶湯 形成した。この溶湯をストリップキャスト で急冷して、厚さ0.1~0.3mmの板状合金を得た

 この合金を水素加圧雰囲気で水素脆化さ た後、600℃まで真空中で加熱、冷却した。 の後、ふるいにて425μm以下の粒度の合金粗 を得た。

 次いでジェットミル装置を用いて、酸素 度を50ppm以下に制御した窒素気流中で乾式 砕し、粒度D50が8~10μmである中間微粉砕粉を た。次に、ビーズミルを用いて中間微粉砕 を微粉砕し、粒度D50が2.6μm以下、かつ酸素 有量0.2質量%以下の微粉末を得た。この粒度 は、ビーズミルで得られたスラリーを乾燥さ せて、気流分散法によるレーザー回折法で得 られた値である。ビーズミル粉砕は、直径0.8 mmのビーズを用い、溶媒にn-パラフィンを用 て、所定時間行った。

 得られた微粉末を、スラリーのまま磁界中 成形して成形体を作製した。このときの磁 はおよそ0.8MAm -1 の静磁界で、加圧力は147MPaとした。磁界印加 方向と加圧方向とは直交している。粉砕から 焼結炉に入れるまでの雰囲気を可能な限り窒 素雰囲気とした。

 次に、この成形体を、真空中、若干のArガ を流しつつ850~1000℃の温度範囲で4~48時間焼 した。焼結温度、時間は組成により異なる 、何れも焼結後の密度が7.5Mgm -3 が得られる範囲で低い温度を選択して焼結を 行った。

 得られた焼結体の組成を分析した結果を 母合金のRリッチ相間隔と共に表1に示す。 お、分析は、ICPを用いて行った。酸素、窒 、炭素は、ガス分析装置での分析結果であ 。

 何れの試料も、溶解法による水素分析の 果、水素量は10~30ppmの範囲にあった。表に す元素以外の元素では、水素の他にSi、Ca、L a、Ce等が検出される場合があった。Siは主に ェロボロン原料と合金溶解時のるつぼから 入し、Ca、La、Ceは希土類の原料から混入す 。Crは、鉄から混入する可能性があり、こ らを完全に0にする事はできない。

 得られた焼結体に対し、Ar雰囲気中にて、 々の温度で1時間の熱処理を行い、冷却した 熱処理は、組成により種々の温度条件で行 、また、温度を変えて最大3回の熱処理を行 なった。これらの試料を、機械加工後、B-Hト レーサーにより室温での磁気特性B r 、H cJ を測定した。

 また、試料の一部を欠きとって、組織観 に用いた。結晶粒径は、試料の断面を研磨 て光学顕微鏡で観察し、画像解析ソフトに り込んで結晶粒径分布を求めた。磁石特性 ついては、各組成の試料で種々の熱処理条 のもののうち、それぞれ室温での保磁力が も大きい試料を評価対象とした。

 表2は、磁石の結晶粒径分布:円相当径4μm 満の結晶の面積率、円相当径8μm以上の結晶 の面積率、粉砕時間、微粉末粒度:D50、焼結 度、焼結時間、磁石特性を併せて示したも である。試料番号は表1と同じである。

 表1におけるNo.17~20は、原料合金のRリッチ相 間隔が大きく、微粉砕の負荷が大きくなり、 そのため焼結体における酸素量の増加が認め られる。その結果、前記例では表2に見られ ように保磁力が低くなり、残留磁束密度B r と保磁力H cJ の関係式
    H cJ [kAm -1 ])>400+4800×(1.6-B r [T])
を満たしていない。

 実施例2
 純度99.5%以上のPr、Nd、純度99.9%以上のTb、Dy 電解鉄、純ボロンを主とし、添加元素(Coお び/またはM)は純金属またはFeとの合金の形 添加して溶解し、合金溶湯を形成した。こ 溶湯をストリップキャスト法で急冷して、 さ0.1~0.3mmの板状合金を得た。

 この合金を水素加圧雰囲気で水素脆化さ た後、600℃まで真空中で加熱、冷却した。 の後、ふるいにて425μm以下の粒度の合金粗 を得た。

 次いで回転型分級機つきジェットミル装 を用いて、Ar気流中で乾式粉砕した。この き、分級機の回転数を種々に設定し、かつ 砕ガス圧力を0.98MPaと高く(通常の粉砕ガス圧 は0.58~0.69MPa)設定することにより、粒度D50が2. 8μm以下、かつ酸素含有量0.2質量%以下の微粉 を得た。この粒度は、気流分散法によるレ ザー回折法で得られた値である。

 得られた微粉末を、窒素雰囲気中で磁界中 形して成形体を作製した。このときの磁界 およそ1.2MAm -1 の静磁界で、加圧力は147MPaとした。なお、磁 界印加方向と加圧方向とは直交している。ま た、粉砕から焼結炉に入れるまでの雰囲気を 可能な限り窒素雰囲気とした。

 次に、この成形体を、真空中、若干のArガ を流しつつ850~1000℃の温度範囲で4~48時間焼 した。焼結温度、時間は組成により異なる 、何れも焼結後の密度が7.5Mgm -3 が得られる範囲で低い温度を選択して焼結を 行った。

 得られた焼結体の組成を分析した結果を 母合金のRリッチ相間隔と共に表3に示す。 お、分析は、ICPを用いて行った。但し酸素 窒素、炭素は、ガス分析装置での分析結果 ある。

 何れの試料も、溶解法による水素分析の 果、水素量は10~30ppmの範囲にあった。

 表に示す元素以外の元素では、水素の他 Si、Ca、La、Ce等が検出される場合があった Siは主にフェロボロン原料と合金溶解時のる つぼから混入し、Ca、La、Ceは希土類の原料か ら混入する。Crは、鉄から混入する可能性が り、これらを完全に0にする事はできない。

 得られた焼結体に対し、Ar雰囲気中にて、 々の温度で1時間の熱処理を行い、冷却した 熱処理は、組成により種々の温度条件で行 、また、温度を変えて最大3回の熱処理を行 なったものもある。これらの試料を、機械加 工後、B-Hトレーサーにより室温での磁気特性 B r 、H cJ を測定した。

 また、試料の一部を欠きとって、組織観 に用いた。結晶粒径は、試料の断面を研磨 て光学顕微鏡で観察し、画像解析ソフトに り込んで結晶粒径分布を求めた。磁石特性 ついては、各組成の試料で種々の熱処理条 のもののうち、それぞれ室温での保磁力が も大きい試料を評価対象とした。

 表4は、磁石の結晶粒径分布:円相当径4μm 満の結晶の面積率、円相当径8μm以上の結晶 の面積率、粉砕時間、微粉末粒度:D50、焼結 度、焼結時間、磁石特性を併せて示したも である。試料番号は表3と同じである。

 表3に示すNo.34~40は、R量、M:Cu量、B量が所定 より多い場合及び少ない場合を示したもの ある。表4に示すように、前記例では残留磁 束密度B r と保磁力H cJ の関係式
    H cJ [kAm -1 ])>400+4800×(1.6-B r [T])
を満たしていない。

 実施例3
 純度99.5%以上のPr、Nd、純度99.9%以上のTb、Dy 電解鉄、純ボロンを主とし、添加元素(Coお び/またはM)は純金属またはFeとの合金の形 添加して溶解し、合金溶湯を形成した。こ 溶湯をストリップキャスト法で急冷して、 さ0.1~0.3mmの板状合金を得た。

 この合金を原料として、水素加圧雰囲気 水素脆化させた後、600℃まで真空中で加熱 冷却した。その後、ふるいにて425μm以下の 度の合金粗粉を得た。

 次いでジェットミル装置を用いて、He気 中で乾式粉砕した。こうして、粒度D50が2.8μ m以下、かつ酸素含有量0.2質量%以下の微粉末 得た。この粒度は、気流分散法によるレー ー回折法で得られた値である。

 得られた微粉末を、溶媒中に投入し、スラ ーの状態で磁界中成形して成形体を作製し 。このときの磁界はおよそ1.2MAm -1 の静磁界で、加圧力は49MPaとした。磁界印加 向と加圧方向とは直交している。粉砕から 結炉に入れるまでの雰囲気を可能な限り窒 雰囲気とした。溶媒はn-パラフィンを用い 。

 次に、この成形体を、真空中、若干のArガ を流しつつ850~1000℃の温度範囲で4~48時間焼 した。焼結温度、時間は組成により異なる 、何れも焼結後の密度が7.5Mgm -3 が得られる範囲で低い温度を選択して焼結を 行った。

 得られた焼結体の組成を分析した結果を 母合金のRリッチ相間隔と共に表5に示す。 お、分析は、ICPを用いて行った。但し酸素 窒素、炭素は、ガス分析装置での分析結果 ある。なお、何れの試料も、溶解法による 素分析の結果、水素量は10~30ppmの範囲にあっ た。

 表に示す元素以外の元素では、水素の他 Si、Ca、La、Ce等が検出される場合があった Siは主にフェロボロン原料と合金溶解時のる つぼから混入し、Ca、La、Ceは希土類の原料か ら混入する。またCrは、鉄から混入する可能 があり、これらを完全に0にする事はできな い。

 得られた焼結体に対し、Ar雰囲気中にて、 々の温度で1時間の熱処理を行い、冷却した 熱処理は、組成により種々の温度条件で行 、また、温度を変えて最大3回の熱処理を行 なったものもある。これらの試料を、機械加 工後、B-Hトレーサーにより室温での磁気特性 B r 、H cJ を測定した。

 また、試料の一部を欠きとって、組織観 に用いた。結晶粒径は、試料の断面を研磨 て光学顕微鏡で観察し、画像解析ソフトに り込んで結晶粒径分布を求めた。磁石特性 ついては、各組成の試料で種々の熱処理条 のもののうち、それぞれ室温での保磁力が も大きい試料を評価対象とした。

 表6は、磁石の結晶粒径分布:円相当径4μm 満の結晶の面積率、円相当径8μm以上の結晶 の面積率、粉砕時間、微粉末粒度:D50、焼結 度、焼結時間、磁石特性を併せて示したも である。試料番号は表5と同じである。

 表6に示すNo.52、53の例では、焼結温度が高 ために異常粒成長が発生したものであり、 磁力が低い。No.55は焼結温度が低い場合であ るが、充分な焼結密度を得るためには長時間 の焼結を要し、その結果結晶粒の成長が認め られ、保磁力が低下する。No.57も長時間の焼 を行った場合で、やはり異常粒成長が発生 て保磁力が低下する。No.59、60は、微粉砕粒 度D50が大きく、その結果高温での焼結を要し 、磁石特性では保磁力が低い。その結果、前 記例では残留磁束密度B r と保磁力H cJ の関係式
    H cJ [kAm -1 ])>400+4800×(1.6-B r [T])
を満たしていない。

 また、表5、表6におけるNo.50とNo.52の強度 JIS R1601に規定されているような4点曲げ強 試験にて測定したところ、No.50の強度はNo.52 強度の約1.5倍であった。

 No.50とNo.52について、さらに80℃・95%RHとPC T(120℃・2気圧水蒸気中)試験前後で外観、テ ピング剥離テスト(セロファンテープ幅18mm) 行った。また、80℃・90%RH保持による重量変 (含水および酸化による重量増)の測定を行 た。その結果、No.52では、時間の経過(0時間 ら250時間)に比例して重量変化があるのに対 し、No.50では、ほとんど重量変化がなかった

 本願発明によるR-T-B系焼結磁石は、高残 磁束密度を維持したまま、保磁力を向上さ ることができる。その結果、熱減磁が起こ 難くなり、優れた耐熱性を有する。このた 、本発明のR-T-B系焼結磁石は、特にモータ用 途に好適である。




 
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