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Title:
RADIO COMMUNICATION DEVICE AND SIGNAL TRANSMISSION METHOD IN MIMO RADIO COMMUNICATION
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/157356
Kind Code:
A1
Abstract:
It is possible to average channel characteristics in a MIMO channel. Provided is a radio communication device (2) which performs communication by using a plurality of frequencies.  The radio communication device (2) includes: a plurality of antenna elements (2a, 2b); and a transmission beam formation unit (23) which performs transmission beam forming process on a transmission signal by using a transmission beam matrix U.  The transmission beam matrix is formed as a function matrix U (jω) of frequency ω having a spatial channel characteristic varied in accordance with the frequency when viewed from the reception side.

Inventors:
YAMAMOTO TAKASHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/061032
Publication Date:
December 30, 2009
Filing Date:
June 17, 2009
Export Citation:
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Assignee:
SUMITOMO ELECTRIC INDUSTRIES (JP)
YAMAMOTO TAKASHI (JP)
International Classes:
H04J99/00; H04B7/04; H04J11/00; H04W16/28
Domestic Patent References:
WO2007052941A12007-05-10
Foreign References:
US20080080637A12008-04-03
JP2008512900A2008-04-24
JP2007538424A2007-12-27
JP2008166521A2008-07-17
Other References:
HATTORI TAKESHI; FUJIOKA MASANOBU: "Radio and Broadband Textbook", 21 June 2006, IMPRESS R&D LTD., article "High-speed IP wireless", pages: 193
See also references of EP 2293475A4
Attorney, Agent or Firm:
NAITO TERUO (JP)
Teruo Naito (JP)
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Claims:
 複数の周波数を用いて通信を行う無線通信装置であって、
 複数のアンテナ素子と、
 送信ビーム行列を用いて、送信信号に対する送信ビームフォーミング処理を行う処理部と、を備え、
 前記送信ビーム行列は、周波数の関数行列として構成されていることを特徴とする無線通信装置。
 前記処理部は、時間領域における送信信号に対して、前記送信ビーム行列を用いた送信ビームフォーミング処理を行う請求項1記載の無線通信装置。
 前記処理部は、周波数領域における送信信号を時間領域の送信信号に変換し、時間領域に変換された送信信号に対して、前記送信ビーム行列を用いた送信ビームフォーミング処理を行う請求項1又は2記載の無線通信装置。
 前記処理部は、時間領域における遅延処理、並びに時間領域における加算処理によって、前記送信ビーム行列を用いた送信ビームフォーミング処理を行う請求項2又は3記載の無線通信装置。
 前記送信ビーム行列は、各アンテナ素子における各送信サブストリームの電力及び位相の重みが、周波数によって異なるように構成されている請求項1~4のいずれか1項に記載の無線通信装置。
 前記処理部は、伝送路特性の推定値の信頼性が低いと判定されたときに、前記送信ビーム行列を用いた送信ビームフォーミング処理を行う請求項1~5のいずれか1項に記載の無線通信装置。
 送信信号の空間多重度をLとし、前記アンテナ素子数をMとし、角周波数をωとしたときに
と表される前記送信ビーム行列U(jω)を、
 多重度Lの送信信号における各送信サブストリームs 1 (jω)~s L (jω)に対応する送信ビームベクトルu 1 (jω)~u L (jω)を用いて、
と表した場合において、
任意の周波数ωについて
となるように前記送信ビーム行列が構成されている請求項1~5のいずれか1項に記載の無線通信装置。
 送信信号の空間多重度をLとし、前記アンテナ素子数をMとし、角周波数をωとしたときに
と表される前記送信ビーム行列U(jω)を、
 多重度Lの送信信号における各送信サブストリームs 1 (jω)~s L (jω)に対応する送信ビームベクトルu 1 (jω)~u L (jω)を用いて、
と表した場合において、
任意の周波数ωについて
となるように前記送信ビーム行列が構成されている請求項1~6のいずれか1項に記載の無線通信装置。
 送信信号の空間多重度をLとし、前記アンテナ素子数をMとし、角周波数をωとしたときに
と表される前記送信ビーム行列U(jω)を、
 M個のアンテナ素子における各送信サブストリームのウェイトベクトルu’ 1 (jω)~u’ M (jω)を用いて、
と表した場合において、
任意の周波数ωについて
となるように前記送信ビーム行列が構成されている請求項1~7のいずれか1項に記載の無線通信装置。
 前記送信ビーム行列は、時間に応じて変更可能である請求項1~8のいずれか1項に記載の無線通信装置。
 前記処理部は、前記送信ビーム行列を用いてパイロット信号を送信する請求項1~9のいずれか1項に記載の無線通信装置。
 複数の周波数を用いたMIMO無線通信における信号送信方法であって、
 送信ビームを周波数に応じて異ならせて、信号の受信側からみた空間チャネル特性が周波数に応じて異なるように送信ビームフォーミングを行う
 ことを特徴とするMIMO無線通信における信号送信方法。
Description:
無線通信装置、及びMIMO無線通信 における信号送信方法

 本発明は、無線通信装置、MIMO無線通信に おける信号送信方法に関するものである。

 近年、無線通信システムにおける伝送レ ト向上技術として、送信側の無線通信装置 複数の送信アンテナを配置し、同一周波数 も異なる信号を送信できるMIMO(Multiple Input  Multiple Output;多入力・多出力)通信が検討され ている(非特許文献1参照)。

服部武、藤岡雅宣編著、改訂版ワイヤレ ス・ブロードバンド教科書高速IPワイヤレス 、株式会社インプレスR&D、2006年6月21日 p193

 MIMO通信においては、複数のアンテナ素子 から送信される複数の信号に対応する伝送路 特性(空間チャネル特性)に差がある場合、特 が劣悪な伝送路を通過する信号の復調誤り よって、全体の復調特性が悪化する問題が る。

 ここで、図12に示すように、空間多重度Lの 信信号における送信サブストリームをそれ れs 1 ~s L とし、送信アンテナ素子数をMとし、M個の送 アンテナ素子から送信される信号(サブスト リーム)をそれぞれx 1 ~x M とし、送信ビームを形成する送信ビーム行列 をU(M×Lの行列)とし、受信アンテナ素子数をN し、N個の受信アンテナ素子で受信した信号 をそれぞれy 1 ~y N とし、伝送路特性をH(N×Mの行列)とし、受信 ームを形成する受信ウェイト行列をV(L×Nの 列)とすると、

である。
 ただし、S=[s 1 ・・・s L ]、X=[x 1 ・・・x M ]である。

 また、

である。
 したがって、

である。

 このとき、受信ウェイトとして、ZFウェ トを採用すると、受信ウェイト行列Vは、受 側からみたチャネル特性(HU)の逆行列となる 。すなわち、

となる。

 ここで、送信信号の多重度L=2、送信アン ナ素子数をM=2、受信アンテナ素子数N=2とし

とすると、

となる。
 ここで、

とすると、

となる。つまり、この例では、送信サブスト リームs 2 のSN比は、送信サブストリームs 1 のSN比の1/4倍となる。

 上記の例から明らかなように、送信サブス リームs 1 と送信サブストリームs 2 には、伝送路から平等にノイズが影響するわ けではなく、送信サブストリームs 1 よりも送信サブストリームs 2 の方が大きなパワーのノイズが影響する。つ まり、送信サブストリームs 2 の推定誤差は、送信サブストリームs 1 の推定誤差よりも大きくなり、空間チャネル 間に特性差が生じている。

 一般に、送信データの符号化や多値化(デジ タル変調)は、受信側で確実に復調可能なデ タレートによって行われる。
 したがって、MIMOチャネルにおいても、ノイ ズが大きければ比較的低いデータレートとな るように符号化や多値化を行い、ノイズが小 さければ比較的高いデータレートとなるよう に符号化や多値化を行うことができる。

 ところが、上記のように、MIMOチャネルでは 、送信サブストリームs 1 ~s L に対応する空間チャネル間で特性差が生じる 。
 このように、チャネル間で特性差があって 、送信側で各チャネルの特性を正確に把握 きれば、各チャネルの特性に応じて、それ れのチャネルにデータレートを設定するこ が可能である。
 しかし、送信側及び受信側が共に静止して るような特別な場合を除き、送信側でチャ ル特性を正確に把握するのは、通常、困難 ある。

 送信側で各チャネルの特性を取得できない 合、最悪のチャネル特性のもとであっても 受信側が受信信号を確実に復調及び復号で るように、各チャネルについて低いデータ ートで送信することが必要となる。
 つまり、上記例のように、送信サブストリ ムs 1 に対応する空間チャネル特性が良好であって も、送信サブストリームs 2 に対応する空間チャネル特性が悪いため、こ の悪い空間チャネル特性に引きずられて、送 信サブストリームs 1 についてもデータレートを低くする必要があ った。

 そこで、本発明は、送信ビームの特性を 波数に応じて異ならせることで、上記問題 解決することを目的とする。

 本発明は、複数の周波数を用いて通信を行 無線通信装置であって、複数のアンテナ素 と、送信ビーム行列を用いて、送信信号に する送信ビームフォーミング処理を行う処 部と、を備え、前記送信ビーム行列は、周 数の関数行列として構成されていることを 徴とする無線通信装置である。
 上記本発明によれば、送信ビーム行列が周 数の関数であるため、送信ビームが、信号 周波数ごとに異なる特性を持つことになる したがって、受信側からみた空間チャネル 性が周波数ごとに異なるものとなり、特定 チャネルの特性が劣悪になることを抑える とができる。

 前記処理部は、時間領域における送信信号 対して、前記送信ビーム行列を用いた送信 ームフォーミング処理を行うのが好ましい
 また、前記処理部は、周波数領域における 信信号を時間領域の送信信号に変換し、時 領域に変換された送信信号に対して、前記 信ビーム行列を用いた送信ビームフォーミ グ処理を行うのが好ましい。
 前記処理部は、時間領域における遅延処理 並びに時間領域における加算処理によって 前記送信ビーム行列を用いた送信ビームフ ーミング処理を行うのが好ましい。この場 、送信ビームフォーミングを容易に行える

 前記送信ビーム行列は、各アンテナ素子に ける各送信サブストリームの電力及び位相 重みが、周波数によって異なるように構成 れているのが好ましい。
 また、前記処理部は、伝送路特性の推定値 信頼性が低いと判定されたときに、前記送 ビーム行列を用いた送信ビームフォーミン 処理を行うのが好ましい。

 また、送信ビームフォーミング処理され 前における送信信号の空間多重度をLとし、 前記アンテナ素子数をMとし、角周波数をωと したときに

と表される前記送信ビーム行列U(jω)を、
 多重度Lの送信信号の各送信サブストリーム s 1 (jω)~s L (jω)に対応する送信ビームベクトルu 1 (jω)~u L (jω)を用いて、

と表した場合において、
任意の周波数ωについて

となるように前記送信ビーム行列が構成さ れているのが好ましい。この場合、送信信号 に対する送信電力を等分することができる。

 送信ビームフォーミング処理される前に ける送信信号の空間多重度をLとし、前記ア ンテナ素子数をMとし、角周波数をωとしたと きに

と表される前記送信ビーム行列U(jω)を、
 多重度Lの送信信号の各送信サブストリーム s 1 (jω)~s L (jω)に対応する送信ビームベクトルu 1 (jω)~u L (jω)を用いて、

と表した場合において、
任意の周波数ωについて

となるように前記送信ビーム行列が構成さ れているのが好ましい。この場合、各送信信 号間の干渉を防止できる。

 送信ビームフォーミング処理される前に ける送信信号の空間多重度をLとし、前記ア ンテナ素子数をMとし、角周波数をωとしたと きに

と表される前記送信ビーム行列U(jω)を、
 M個のアンテナ素子における各送信サブスト リームのウェイトベクトルu’ 1 (jω)~u’ M (jω)を用いて、

と表した場合において、
任意の周波数ωについて

となるように前記送信ビーム行列が構成さ れているのが好ましい。この場合、各アンテ ナ素子から送信される信号の電力を一定にす ることができる。

 前記送信ビーム行列は、時間に応じて変更 能であることが好ましい。
 また、前記処理部は、前記送信ビーム行列 用いてパイロット信号を送信するのが好ま い。

 他の観点からみた本発明は、複数の周波 を用いたMIMO無線通信における信号送信方法 であって、送信ビームを周波数に応じて異な らせて、信号の受信側からみた空間チャネル 特性が周波数に応じて異なるように送信ビー ムフォーミングを行うことを特徴とするMIMO 線通信における信号送信方法である。

 本発明によれば、受信側からみた空間チ ネル特性が周波数ごとに異なるものとなり 特定のチャネルの特性が劣悪になることを えることができる。

MIMO無線通信システムの全体図である。 OFDMにおけるサブキャリア配置を示す図 である。 無線通信装置の送信機能を示すブロッ 図である。 送信ビーム形成部のブロック図である 送信ビーム形成部のブロック図である 送信ビーム形成部のブロック図である データシンボルの遅延方法を示す図で り、図7Aは遅延0のデータシンボル、図7Bは 延Tのデータシンボル、図7Cは循環遅延Tのデ タシンボルである。 遅延量を制御可能な送信ビーム形成部 ブロック図である。 第2実施形態に係る無線通信装置を示す ブロック図である。 信頼性判定処理のフローチャートであ る。 伝送路特性の推定タイミングを示す図 である。 一般的なMIMO通信システムを示す図で る。

 以下、本発明の好ましい実施形態について 付図面を参照しながら説明する。
 図1は、MIMO無線通信システム1を示している このMIMO無線通信システム1は、複数のアン ナ素子(送信アンテナ素子)を有する送信側の 無線通信装置2と、複数のアンテナ素子(受信 ンテナ素子)を有する受信側の無線通信装置 3とを有している。

 このMIMO無線通信システム1は、OFDM(Orthogonal  Frequency Division Multiplexing;直交周波数分割多 )によって通信を行うよう構成されている(OFD M-MIMO無線通信システム)。
 OFDMは、複数の搬送波(サブキャリア)を周波 軸上に多数配置するとともに、複数の搬送 を一部重ならせて周波数利用効率を上げた のである。つまり、本システム1では、複数 の周波数によって通信が行われる。

 図2は、本システム1が適用され得る無線 信規格であるWiMAX(Worldwide Interoperability for M icrowave Access,IEEE802.16)におけるOFDMのサブキャ ア配置を示している。OFDMは、周波数多重方 式の一種であり、周波数軸上で直交するよう に多数配置された搬送波(サブキャリア)にQAM 調などのデジタル変調をかけ、デジタル情 の伝送を行う通信方式である。

 OFDMのサブキャリアには、データサブキャリ ア(Data Sub-Carrier)、パイロットサブキャリア(P ilot Sub-Carrier)、ヌルサブキャリア(Null Sub-Carr ier)の3種類がある。
 データサブキャリアは、データや制御用メ セージを送信するためのサブキャリアであ る。パイロットサブキャリアは、受信側及 送信側で既知の信号(パイロット信号)であ 、受信側において伝送路特性の推定等に用 られる。

 ヌルサブキャリアは、実際には何も送信 れないサブキャリアであり、低周波数域側 ガードサブバンド(ガードサブキャリア)、 周波数域側のガードサブバンド(ガードサブ ャリア)、及びDCサブキャリア(中心周波数サ ブキャリア)によって構成されている。

 図3は、前記無線通信装置2において送信 ための処理を行う処理部20を示している。こ の処理部20は、マップ処理部21、IFFT部22a,22b、 送信ビーム形成部23、CP部24a,24b、及びD/A変換 25a,25bを備えている。

 前記マップ処理部21は、送信シンボルに対 てマップ処理を行うものである。ここで、 3における送信シンボルは、インタリーブ、 号化、多値変調などの信号処理が行われた の信号をいうものとする。
 前記マップ処理部21は、送信シンボルをOFDM おける周波数軸上の各サブキャリア(データ サブキャリア)に割り当てる処理を行う。ま 、前記マップ処理部21では、空間割り当ても 行われ、送信シンボル(送信信号)が多重化(空 間多重化度:L)される。
 なお、マップ処理部21における処理は、周 数領域で行われる。

 多重化された送信シンボルは、それぞれ、I FFT部22a,22bによって逆離散フーリエ変換され 周波数領域の信号から時間領域の信号(サブ トリーム)s 1 ,・・・,s L に変換される。
 時間領域の信号となった空間多重化送信信 は、送信ビーム形成部23によって送信ビー フォーミング処理がなされ、送信アンテナ 子2a,2bの数Mに応じた数の送信信号(送信ビー )x 1 ,・・・,x M が生成される。なお、送信ビームフォーミン グ処理の詳細は、後述する。

 各送信信号x 1 ,・・・,x M には、それぞれ、CP部24a,24bによってCP(Cyclic P refix)が付加される。CPは、送信信号の先頭に 加される。
 そして、各送信信号x 1 ,・・・,x M は、D/A変換部25a,25bによってアナログ信号に 換された上で、M個のアンテナ素子2a,2bから 信される。

 図1に示すように、M個のアンテナ素子2a,2bか ら送信された信号x 1 ,・・・,x M は、伝送路(伝送路特性H)を通って、受信側の 無線通信装置3のN個のアンテナ素子3a,3bによ て受信される。N個のアンテナ素子3a,3bによ て受信された信号y 1 ,・・・,y N には、ウェイト処理部32によって受信ウェイ Vを乗算する処理が施される。さらに、ウェ イト処理部32は、ウェイトを乗じた受信信号 合成し、合成後信号(送信信号の推定信号) 得る。

 さて、前記送信ビーム形成部23は、多重度L 送信信号s 1 ,・・・,s L に、行列サイズM×Lの送信ビーム行列(送信ビ ムフォーミング行列)Uを掛けることで、ア テナ素子数Mに応じた数の送信信号(送信ビー ム)x 1 ,・・・,x M を得る。
 本実施形態において、前記送信ビーム行列U は、周波数の関数行列U(jω)として構成されて いる。なお、ωは角周波数であり、ω=2πf(fは 波数)であるが、以下では、ωを単に「周波 」という。

 OFDM方式においては、複数の周波数のサブキ ャリアが用いられるため、多重度Lの送信信 Sも、周波数ωの関数S(jω)として表すことが きる。つまり、S(jω)=(s 1 (jω)・・・s L (jω)) T である。
 ここでは、同様に、伝送路特性H及び受信ウ ェイトVも、それぞれ、周波数ωの関数行列H(j ω)、V(jω)として表すものとする。

 すると、受信側の無線通信装置3における 合成後信号(送信信号Sの推定信号)は、次のよ うに表される。

 ここで、M個のアンテナ素子2a,2bから送信さ る送信ビーム(送信信号)は、(U(jω)S(jω))であ る。U(jω)が周波数の関数であるため、送信ビ ームは、周波数(サブキャリア)によって異な ものとなり、周波数特性を持つことになる
 また、受信側3からみた仮想的なチャネル特 性は、(H(jω)U(jω))である。U(jω)が周波数の関 であるため、(H(jω)U(jω))も同様に周波数特 を有する。この結果、実際のチャネル特性H( jω)が空間チャネルによって特性差があるも であっても、受信側3から観察されるチャネ 特性(H(jω)U(jω))は、周波数(サブキャリア)に よって異なるものとなり、周波数軸上で仮想 的にランダム化される。

 つまり、空間チャネル間で特性が平均化さ 、ある送信サブストリームs 1 に対応する空間チャネルの特性が良く、他の 送信サブストリームs 2 に対応する空間チャネルの特性が劣悪である といった空間チャネル間の特性差が抑えられ る。

 そして、受信ウェイトV(jω)が(H(jω)U(jω)) -1 となるZFウェイトである場合、合成後信号(送 信信号Sの推定信号)は、次のように表される

 上記のように、受信側3から観察されるチャ ネル特性(H(jω)U(jω))が、周波数軸上で仮想的 ランダム化されるため、(H(jω)U(jω)) -1 N(jω)で示される送信信号の推定誤差も、各空 間チャネルにおいて平均化される。この結果 、特性が劣悪な空間チャネルについても特性 が改善され、良好な復調特性を得ることがで きる。

 ここで、例えば、伝送路の特性H(jω)及び 信ビーム行列U(jω)が、下記のとおりであっ とする。ただし、多重度L=送信アンテナ素 数M=受信アンテナ素子数N=2とする。

 この場合、(H(jω)U(jω)) -1 は、次の通りとなる。

 ここで、上記e -jω は、下記のように、遅延時間=1の遅延素子に 応する。

 さて、伝送路におけるノイズn 1 (jω),n 2 (jω)は互いに無相関であり、ノイズn 1 (jω),n 2 (jω)の平均電力をPnとすると、上記例におい 、送信サブストリームs 1 (jω)と送信サブストリームs 2 (jω)の推定誤差は、それぞれ次のようになる

 送信サブストリームs 1 (jω)と送信サブストリームs 2 (jω)とは十分に広帯域(1024本のサブキャリア 相当)の信号であるから、空間チャネル間の 性差は、周波数軸上で拡散される。
 これにより、MIMOチャネルのランダム化が達 成され、ある空間チャネルの特性が良くて、 他の空間チャネルの特性が劣悪であるという 状態を少なくすることができる。

[送信ビーム形成部の構成例(第1例)]
 図4は、送信ビーム形成部23の具体例を示し いる。ここでは、送信ビーム行列U(jω)は、 記例と同様に、

であるものとする。なお、L=M=N=2である。 の送信ビーム行列は、各アンテナ素子2a,2bに おける各送信サブストリームの電力及び位相 の重みが、周波数によって異なるように構成 されている。

 本実施形態において、送信ビーム形成部23 、IFFT後に処理を行うものであるため、時間 域で送信サブストリームs 1 (jω),s 2 (jω)に対する送信ビームフォーミング処理が われる。
 送信ビームフォーミング処理は、周波数領 で考えた場合、X(jω)=U(jω)S(jω)であり、送信 信号S(jω)に対し、周波数の関数行列である送 信ビーム行列U(jω)を掛ける演算となり、複雑 な演算となる。

 一方、本実施形態では、時間領域で送信ビ ムフォーミング処理を行うため、送信ビー 行列Uが周波数の関数行列であっても、送信 ビーム形成部23は、遅延処理部41と加算部42と によって簡易に構成することができる(図4参 )。
 なお、図4において、Z -1 は、e -jω であり、遅延時間=1の遅延処理を行う。また 前記加算部42は、減算を行うものを含むも とする。減算は負の値を加算するものだか である。

[送信ビーム行列U(jω)の好ましい条件]
 送信ビーム行列U(jω)は、MIMOチャネルのラン ダム化を達成するだけであれば、周波数の関 数でさえあれば足りる。ただし、下記条件1~3 のいずれか一つ又は複数、好ましくは全てを 満たすのが良い。
(条件1)
 条件1は、行列サイズM×Lの送信ビーム行列U( jω)を、下記のように、送信サブストリームs 1 (jω),・・・,s L (jω)に対応する送信ビームベクトルu 1 (jω),・・・u L (jω)で表したときに、

 下記式が成り立つことである。

 上記条件1は、各送信サブストリームs 1 (jω),・・・,s L (jω)に対する送信電力を等分するための条件 ある。この条件を満たすことで、各送信サ ストリームs 1 (jω),・・・,s L (jω)の空間チャネル特性に偏りが発生するの 防止できる。

(条件2)
 条件2は、行列サイズM×Lの送信ビーム行列U( jω)を、上記のように、送信サブストリームs 1 (jω),・・・,s L (jω)に対応する送信ビームベクトルu 1 (jω),・・・u L (jω)で表したときに、下記式が成り立つこと ある。

 上記条件2は、直交条件であり、この条件を 満たすことで、各送信サブストリームs 1 (jω),・・・,s L (jω)間で干渉が発生するのを防止できる。

(条件3)
 条件3は、行列サイズM×Lの送信ビーム行列U( jω)を、下記のように、M個の送信アンテナ素 における送信サブストリームx 1 (jω),・・・,s M (jω)のウェイトベクトルu’ 1 (jω),・・・u’ M (jω)で表したときに、

 下記式が成り立つことである。

 なお、送信ビーム行列U(jω)が正方行列(M=L )である場合、送信ビーム行列U(jω)はユニタ 行列であるのが好ましい。

 ここで、図4に示す送信ビーム形成部23に 応する前記送信ビーム行列U(jω)(行列サイズ =2×2)の場合、下記に示すように、上記条件1~3 は、満たされている。

[送信ビーム形成部の構成例(第2例)]
 図5は、送信ビーム形成部23の他の具体例を している。ここでは、送信ビーム行列U(jω) 行列サイズ=3×2である。つまり、送信信号 多重化度L=2であり、送信アンテナ素子数M=3 ある。
 ここでの送信ビーム行列U(jω)は、下記の通 である。この送信ビーム行列も、各アンテ 素子2a,2b,2cにおける各送信サブストリーム 電力及び位相の重みが、周波数によって異 るように構成されている。

 図5に示す送信ビーム形成部23も、遅延処 部41と加算部42とによって簡易に構成するこ とができる。

 上記送信ビーム行列U(jω)(行列サイズ=3×2) の場合、下記に示すように、上記条件1~3は、 満たされている。

[送信ビーム形成部の構成例(第3例)]
 図6は、送信ビーム形成部23の他の具体例を している。ここでは、送信ビーム行列U(jω) 行列サイズ=4×2である。つまり、送信信号 多重化度L=2であり、送信アンテナ素子数M=4 ある。
 ここでの送信ビーム行列U(jω)は、下記の通 である。この送信ビーム行列も、各アンテ 素子2a,2b,2c,2dにおける各送信サブストリー の電力及び位相の重みが、周波数によって なるように構成されている。

 図6に示す送信ビーム形成部23も、遅延処 部41と加算部42とによって簡易に構成するこ とができる。

 上記送信ビーム行列U(jω)(行列サイズ=4×2) の場合、下記に示すように、上記条件1~3は、 満たされている。

[遅延処理部について]
 前記遅延処理部41による遅延処理は、信号 遅延量Tに応じて時間的に遅らせばよいため 遅延処理部41は、遅延量Tほど信号の出力を らせるバッファによって構成できる。

 ここで、図7Aに示すように、遅延量=0である 時間領域のデータシンボルをs(t)とすると、 延量Tであるデータシンボルs(t-T)=s(t)×e -jωT は、図7Bに示すようになる。このように遅延 Tほど遅らせる単純な遅延の場合、遅延処理 部41として遅延量T分の容量のバッファがあれ ば良いため、バッファサイズとしては比較的 小さいもので足りる。
 ただし、図7Bのような遅延の場合、データ ンボルの送信開始タイミングが、t1からTほ 遅れてしまい、データシンボルの送信終了 イミングも、t2からTほど遅れてしまう。受 側でデータシンボルs(t)の復調に使えるのはt 1~t2の波形だけであるから、t2よりも後の波形 は復調に用いることができない。また、t2よ も後の波形は、次のデータシンボルと干渉 るおそれがある。

 そこで、単純な遅延ではなく、図7Cに示す うに循環遅延を行うことで、データシンボ の送信開始タイミングは図7Aと同様にして遅 延をなくし、各サブキャリアについては図7B 同様に位相回転をさせることができる。
 循環遅延は、図7Bに示すように遅延させた ータシンボルのうち終わりのT[s]の範囲を、 ータシンボルの先頭に付加することで行わ る。これにより、循環遅延したデータシン ル全体を復調に用いることができるととも 、次のデータシンボルとの干渉を防止でき 。
 なお、循環遅延を行う場合、図7Bの遅延に べて、バッファサイズを大きくする必要が る。

[送信ビームの時間方向へのランダム化につ て]
 図8は、送信ビーム形成部23の他の例を示し いる。この送信ビーム形成部23は、送信ビ ム行列U(jω)を変更する手段を備えている。 まり、送信ビーム行列U(jω)の構成を、例え 時間に従って変化させることで、ランダム の効果を高めることができる。図8では、送 ビーム行列U(jω)を変更する手段として、遅 処理部41における遅延量を変更するための 延制御部43を示した。なお、送信ビーム行列 U(jω)を変更する手段としては、互いに異なる 複数の送信ビーム行列U(jω)に対応した複数の 送信ビーム形成部23を用意しておき、いずれ の送信ビーム形成部23を選択して送信に用 ることで実現してもよい。

 また、送信ビーム行列U(jω)の構成を変化 せるのは、時間に従うことに限られない。 えば、データシンボルの再送時には、最初 送信とは送信ビーム行列U(jω)が異なるよう することで、ダイーバシティを得ることが きる。

[送信ビーム行列(送信ビームパターン)の受信 側への通知について]
 受信側3においては、送信ビームパターンU(j ω)は既知でなくとも、(H(jω)U(jω))さえわかれ よいため、送信信号を推定することはでき 。
 例えば、送信アンテナが2本、送信サブスト リームが2つ(s 1 ,s 2 )の場合、異なる送信タイミングにおいて、 信及び受信の双方で既知であるパイロット 号(s 1 ,s 2 )=(1,0)と(s 1 ,s 2 )=(0,1)とを送れば、送信ビームU(jω)と伝送路 性H(jω)による変化であるH(jω)U(jω)を、受信 で知ることができる。
 受信側では、このようにして知ったH(jω)U(j )を、受信したデータ信号に適用して送信信 を推定することができる。
 ただし、送信側2が、受信側3へ送信ビーム ターンU(jω)を通知することもできる。この 合、受信側3では、送信元の各アンテナ素子2 a,2bから受信側3の各アンテナ素子3a,3bまでの 送路特性H(=HU×U -1 )を求めることができる。求めた伝送路特性H 、伝送路環境の遅延プロファイルやアンテ の角度広がりを計算するのに用いることが きる。

[第2実施形態]
 図9~図11は、本発明の第2実施形態を示して る。第2実施形態では、送信側の無線通信装 2が、送信アンテナ2a,2bから受信アンテナま の3a,3bまでの伝送路特性Hを推定した場合に その推定値の信頼性が低い場合に、周波数 関数である送信ビーム行列によって送信ビ ムフォーミングを行い、その推定値の信頼 が高い場合には、伝送路特性の推定値に応 て最適な送信ビームフォーミングを行うよ に構成されている。なお、第2実施形態にお いて、特に説明しない点については、図1~図8 のものと同様である。

 図9に示すように、送信側の無線通信装置( えば、移動端末にとの間で通信を行う基地 装置)2は、受信信号(受信したパイロット信 )に基づいて、伝送特性を推定する伝送路特 推定部27を備えている。
 また、無線通信装置2は、前記推定部27によ て推定した伝送路特性の情報が信頼できる のであるか(正確であるか)、それとも信頼 きないものであるか(不正確であるか)を判定 する信頼性判定部28を備えている。

 前記送信ビーム形成部23は、推定した伝 路特性が信頼できるものである場合には、 の伝送路特性に応じた送信ビーム行列(周波 の関数ではない)を生成する。この場合、信 頼でき正確な伝送路特性に基づいて送信ビー ム行列が生成されるため、最適なビームフォ ーミングを行うことができる。

 一方、送信ビーム形成部23は、推定した伝 路特性が信頼できないものである場合には 周波数の関数である前述の送信ビーム行列 用いてビームフォーミングを行う。
 本第2実施形態によれば、信頼できる伝送路 特性の推定値が得られる場合には、最適なビ ームフォーミングを行いつつも、伝送路特性 が信頼できない場合には、伝送路特性を必要 としない「周波数の関数である送信ビーム行 列」を用いることで、通信効率を落とさずに 通信を行うことができる。

 図10は、信頼性判定部28による伝送路特性推 定値の信頼性判定処理を示している。この信 頼性判定処理では、まず、伝送路特性の推定 値を取得してから、信号の送信のタイミング までの経過時間で、信頼性(正確か否か)を判 する(ステップS1)。
 図11に示すように、基地局装置2から端末装 3への送信を行うダウンリンク(DL)と、端末 置3から基地局装置2への送信を行うアップリ ンク(UL)とが、時間的に交互に行われるTDD(時 割複信)では、基地局装置2が、伝送路特性 推定できるのは、端末装置3からパイロット 号を受信できるアップリンク(UL)の期間であ る。
 一方、基地局装置2が、信号を送信するのは 、ダウンリンク(DL)であるから、伝送路特性 推定値を取得してから、信号の送信のタイ ングまでに、ある程度の時間が経過する。

 したがって、移動端末が高速移動する場合 信号の送信のタイミングでは、推定した伝 路特性が、実際には大きく変化している可 性がある。図11に示すように、ダウンリン サブフレームの前半部分であれば、伝送路 性推定から送信タイミングまでの経過時間 T1であって、比較的小さいが、ダウンリンク の後半部分では、伝送路特性推定から送信タ イミングまでの経過時間はT2となって、比較 大きくなる。
 また、次のアップリンク(UL)で、伝送路特性 推定値を取得できなかった場合には、さらに その次のダウンリンク(DL)では、伝送路特性 定から送信タイミングまでの経過時間はT3と なって更に大きくなる。

 そこで、ステップ1の判定では、伝送路特 性の推定値を取得してからの経過時間が、閾 値であるT秒以下であるか否かを判定する。 の閾値Tは、前のアップリンクサブフレーム の伝送路特性推定タイミングを起点として 次のダウンリンクサブフレームの途中の時 となるように設定されるのが好ましい。つ り、図11においてT1とT2の間の時間に設定さ るのが好ましい。

 ステップS1において、経過時間がT秒を超 ている場合、伝送路特性の推定値が不正確( 低信頼性)であると判定する(ステップS3)。送 ビーム形成部23は、伝送路特性の推定値が 正確であるという判定結果を受けて、周波 の関数である送信ビーム行列によってビー フォーミング処理を行う。

 ステップS1において、経過時間がT秒以下で る場合、さらに、伝送路特性の相関値が、 値X以上であるか否かを判定する(ステップS2 )。
 ステップS2の判定は、時間あたりの伝送路 性の変化量を判定するものであり、当該変 量が大きければ、伝送路特性の推定値が不 確(低信頼性)であると判定するためのもので ある。つまり、伝送路の推定タイミング(ア プリンクサブフレーム中のタイミング)と、 信タイミング(ダウンリンクサブフレーム中 のタイミング)とが一致しない以上、時間に って伝送路特性が大きく変化するような環 の場合、伝送路特性の推定値は送信タイミ グの時点では不正確であって信頼できない 判定することができる。

 例えば、図11に示すように、異なる時間t n ,t n+1 ,t n+2 において、それぞれ伝送路特性の推定値h(t n ),h(t n+1 ),h(t n+2 )を取得したとする。ステップS2では、これら の推定値h(t n ),h(t n+1 ),h(t n+2 )の相関を取り、相関値が低ければ、伝送路 化が大きいと判定できる。

 なお、一定回数(N回)取得した伝送路特性 の相関は、下記のようにして求めることが きる。

 また、相関値には重みα(0<α<1)を掛け て、下記のようにして求めても良い。重みα 、新しい伝送路特性ほど大きくなるように るのが好ましい。

 ステップS2において、伝送路特性の推定 の相関がXよりも小さければ、伝送路特性の 定値が不正確(低信頼性)であると判定する( テップS3)。この場合も、送信ビーム形成部2 3は、伝送路特性の推定値が不正確であると う判定結果を受けて、周波数の関数である 信ビーム行列によってビームフォーミング 理を行う。

 ステップS2において、伝送路特性の推定 の相関がX以上であれば、伝送路特性の推定 が正確(高信頼性)であると判定する(ステッ S4)。この場合、送信ビーム形成部23は、周 数の関数である送信ビーム行列ではなく、 送路特性に応じた最適な送信ビーム行列を 該伝送路特性に応じて生成し、当該送信ビ ム行列によってビームフォーミング処理を う。

 なお、上記ステップS1及びステップS2の判 定は、両方行う必要はなく、いずれか一方だ けであってもよい。また、ステップS2のよう 、時間あたりの伝送路特性の変化量が大き 環境であるか否かを判定する処理は、上記 ものに限られない。例えば、移動端末3の移 動速度、マルチパス、送受信アンテナ間の特 性差、アンテナ特性の時間変化などを測定す る手段を設け、その測定結果によって判定を 行っても良い。

 なお、今回開示された実施の形態はすべ の点で例示であって制限的なものではない 考えられるべきである。本発明の範囲は、 記した意味ではなく、特許請求の範囲によ て示され、特許請求の範囲と均等の意味、 び範囲内でのすべての変更が含まれること 意図される。

 本出願は2008年6月25日出願の日本特許出願 (特願2008-166521)に基づくものであり、その内 はここに参照として取り込まれる。

 1:MIMO無線通信システム
 2:無線通信装置(送信側)
2a,2b:送信アンテナ素子
 3:無線通信装置(受信側)
3a,3b:受信アンテナ素子
 4:伝送路
20:処理部
21:マップ処理部
22a,22b:IFFT部
23:送信ビーム形成部
24a,24b:CP部
25a,25b:D/A変換部
27:伝送路特性素底部
28:信頼性判定部
32:ウェイト処理部