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Patent Searching and Data


Title:
RARE-EARTH COMPLEX AND USE THEREOF
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/111293
Kind Code:
A1
Abstract:
A rare-earth complex which has circularly light-polarizing properties and high luminescent properties. The rare-earth complex comprises: a central ion which is a rare-earth ion; and ligands coordinated to the rare-earth ion which are a binaphthyl-structure ligand as an optically active ligand and another optically active ligand which is not a binaphthyl-structure ligand.

Inventors:
HASEGAWA, Yasuchika (OF SCIENCE AND TECHNOLOGY 8916-5, Takayama-cho,,Ikoma-sh, Nara 92, 6300192, JP)
長谷川靖哉 (〒92 奈良県生駒市高山町8916-5国立大学法人奈良先端科学技術大学院大学内 Nara, 6300192, JP)
KAWAI, Tsuyoshi (OF SCIENCE AND TECHNOLOGY 8916-5, Takayama-cho,,Ikoma-sh, Nara 92, 6300192, JP)
Application Number:
JP2008/000464
Publication Date:
September 18, 2008
Filing Date:
March 06, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NATIONAL UNIVERSITY CORPORATION NARA INSTITUTE OF SCIENCE AND TECHNOLOGY (8916-5, Takayama-cho Ikoma-sh, Nara 92, 6300192, JP)
国立大学法人奈良先端科学技術大学院大学 (〒92 奈良県生駒市高山町8916-5 Nara, 6300192, JP)
HASEGAWA, Yasuchika (OF SCIENCE AND TECHNOLOGY 8916-5, Takayama-cho,,Ikoma-sh, Nara 92, 6300192, JP)
長谷川靖哉 (〒92 奈良県生駒市高山町8916-5国立大学法人奈良先端科学技術大学院大学内 Nara, 6300192, JP)
International Classes:
C07F19/00; C07C49/92; C07F5/00; C07F9/53; C09K11/06; G01N21/21; G01N21/78; G01N33/535; H01L51/50
Foreign References:
JP2005097240A
JP2005114909A
JP2003327590A
JP2003081986A
Attorney, Agent or Firm:
KOBAYASI, Ryohei et al. (KOBAYASI PATENT & TRADEMARK, 7th Floor Hougen-Sizyokarasuma Building,37, Motoakuozi-tyo, Higasinotouin Sizyo-sagaru,Simogyo-ku, Kyoto-si, Kyoto, 600-8091, JP)
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Claims:
 一般式(1)
(式中、Ln(III)は3価の希土類イオン、Xは同一または異なる水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、C 1 からC 20 の基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基、ジアゾ基、メルカプト基のいずれか、L*はビナフチル構造配位子とは異なる光学活性構造配位子、nは1から4の整数を表す。)
で表されることを特徴とする希土類錯体。
一般式(2)
(式中、Ln(III)は3価の希土類イオン、XおよびYは同一または異なる水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、C 1 からC 20 の基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基、ジアゾ基、メルカプト基のいずれか、RはC 1 からC 20 の基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基、ジアゾ基、メルカプト基のいずれかを表す。)
で表されることを特徴とする希土類錯体。
一般式(3)
(式中、Ln(III)は3価の希土類イオン、Z1~Z3およびYは同一または異なる水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、C 1 からC 20 の基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基、ジアゾ基、メルカプト基のいずれか、RはC 1 からC 20 の基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基、ジアゾ基、メルカプト基のいずれかを表す。)
で表されることを特徴とする希土類錯体。
 前記希土類イオンが、Euのイオンであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の希土類錯体。
 一般式(1)
(式中、Ln(III)は3価の希土類イオン、Xは同一または異なる水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、C 1 からC 20 の基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基、ジアゾ基、メルカプト基のいずれか、L*はビナフチル構造配位子とは異なる光学活性構造配位子、nは1から4の整数を表す。)
で表される希土類錯体を用いた発光部材を含むセキュリティシステム。
一般式(2)
(式中、Ln(III)は3価の希土類イオン、XおよびYは同一または異なる水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、C 1 からC 20 の基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基、ジアゾ基、メルカプト基のいずれか、RはC 1 からC 20 の基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基、ジアゾ基、メルカプト基のいずれかを表す。)
で表される希土類錯体を用いた発光部材を含むセキュリティシステム。
一般式(3)
(式中、Ln(III)は3価の希土類イオン、Z1~Z3およびYは同一または異なる水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、C 1 からC 20 の基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基、ジアゾ基、メルカプト基のいずれか、RはC 1 からC 20 の基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基、ジアゾ基、メルカプト基のいずれかを表す。)
で表される希土類錯体を用いた発光部材を含むセキュリティシステム。
 前記希土類イオンが、Euのイオンであることを特徴とする請求項5~7のいずれかに記載のセキュリティシステム。
 一般式(1)
(式中、Ln(III)は3価の希土類イオン、Xは同一または異なる水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、C 1 からC 20 の基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基、ジアゾ基、メルカプト基のいずれか、L*はビナフチル構造配位子とは異なる光学活性構造配位子、nは1から4の整数を表す。)
で表される希土類錯体を用いた発光光源。 
一般式(2)
(式中、Ln(III)は3価の希土類イオン、XおよびYは同一または異なる水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、C 1 からC 20 の基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基、ジアゾ基、メルカプト基のいずれか、RはC 1 からC 20 の基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基、ジアゾ基、メルカプト基のいずれかを表す。)
で表される希土類錯体を用いた発光光源。
一般式(3)
(式中、Ln(III)は3価の希土類イオン、Z1~Z3およびYは同一または異なる水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、C 1 からC 20 の基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基、ジアゾ基、メルカプト基のいずれか、RはC 1 からC 20 の基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基、ジアゾ基、メルカプト基のいずれかを表す。)
で表される希土類錯体を用いた発光光源。
 前記希土類イオンが、Euのイオンであることを特徴とする請求項9~11に記載の発光光源。
 一般式(1)
(式中、Ln(III)は3価の希土類イオン、Xは同一または異なる水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、C 1 からC 20 の基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基、ジアゾ基、メルカプト基のいずれか、L*はビナフチル構造配位子とは異なる光学活性構造配位子、nは1から4の整数を表す。)
で表される希土類錯体を用いた測定用標識剤。
一般式(2)
(式中、Ln(III)は3価の希土類イオン、XおよびYは同一または異なる水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、C 1 からC 20 の基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基、ジアゾ基、メルカプト基のいずれか、RはC 1 からC 20 の基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基、ジアゾ基、メルカプト基のいずれかを表す。)
で表される希土類錯体を用いた測定用標識剤。
一般式(3)
(式中、Ln(III)は3価の希土類イオン、Z1~Z3およびYは同一または異なる水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、C 1 からC 20 の基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基、ジアゾ基、メルカプト基のいずれか、RはC 1 からC 20 の基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基、ジアゾ基、メルカプト基のいずれかを表す。)
で表される希土類錯体を用いた測定用標識剤。
 前記希土類イオンが、Euのイオンであることを特徴とする請求項13~15のいずれかに記載の測定用標識剤。
 一般式(1)
(式中、Ln(III)は3価の希土類イオン、Xは同一または異なる水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、C 1 からC 20 の基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基、ジアゾ基、メルカプト基のいずれか、L*はビナフチル構造配位子とは異なる光学活性構造配位子、nは1から4の整数を表す。)
で表される希土類錯体を用いた光学機能材料。
一般式(2)
(式中、Ln(III)は3価の希土類イオン、XおよびYは同一または異なる水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、C 1 からC 20 の基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基、ジアゾ基、メルカプト基のいずれか、RはC 1 からC 20 の基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基、ジアゾ基、メルカプト基のいずれかを表す。)
で表される希土類錯体を用いた光学機能材料。
一般式(3)
(式中、Ln(III)は3価の希土類イオン、Z1~Z3およびYは同一または異なる水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、C 1 からC 20 の基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基、ジアゾ基、メルカプト基のいずれか、RはC 1 からC 20 の基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基、ジアゾ基、メルカプト基のいずれかを表す。)
で表される希土類錯体を用いた光学機能材料。
 前記希土類イオンが、Euのイオンであることを特徴とする請求項17~19のいずれかに記載の光学機能材料。
Description:
希土類錯体およびその利用

 本発明は、円偏光発光を示す希土類錯体 よびその利用に関するものである。

 近年、光通信技術、光記録をはじめとす IT技術、光を用いた材料の作製・計測・評 技術、光の医療への応用、更には光エネル ーの他のエネルギーへの変換など、光を利 した技術が重要になっている。そこで、光 より有効に活用するために、より高性能な 学機能材料の開発が求められている。この うな光学機能材料の開発の一つに、希土類 体の創成がある。希土類錯体は、非線形光 素子、光記録材料、発光材料、イムノアッ イなどの分析・測定用に用いられる標識剤( ベリング剤)、センシング材料など種々の分 野において、光機能材料として利用可能な化 合物である。

 例えば、有機配位子を、BINAPOをはじめと るビナフチル構造配位子とする希土類錯体 、本願発明者らによって報告されている(特 許文献1、特許文献2)。この希土類錯体は、ビ ナフチル構造配位子のジアステレオマー構造 に由来する不斉配位子場により、右回りと左 回りの円偏光を選択的に吸収できることが円 偏光二色性スペクトル(CDスペクトル)から示 れている。一方、不斉配位子場環境下にお る希土類錯体は円偏光発光(CPLスペクトル)を 示すことが報告されている(非特許文献1)。

 分子の円偏光発光特性はg値(異方性因子)で すことができる。g値は次のように定義され る値である。
 CDスペクトルからのg値=δε/ε =2(ε L R )/(ε L R )
(式中、εLは左回りの円偏光における吸光係 、εRは右回りの円偏光における吸光係数を す。)
 CPLスペクトルからのg値=δI/I=2(I L -I R )/(I L +I R )
(式中、ILは左回りの円偏光発光強度、IRは右 りの円偏光発光強度を表す。)

 従来の有機化合物のCPLスペクトルにおけ g値は0.1%であってもよい値であるといえる のであった。本願発明者らが報告した特許 献1記載の希土類錯体は1%程度であり、特許 献2記載の希土類錯体は-0.04、-0.08(4%、8%)であ る。従って、これらのg値は従来の有機化合 に比較すると格段に発光特性がよいという とができる。さらに、現在報告されているg の最大値は27%である(非特許文献2)

特開2003-327590号公報

特開2005-097240号公報 J. Sokolnicki, J. Legendziewicz, J. P. Riehl, J . Phys. Chem. B 106 (2002) 1508. D. Parker et al., Chem. Rev. 102(2002)1977.

 円偏光発光を示す希土類錯体を光機能材 とするためには、より高い円偏光発光特性 有する希土類錯体の開発が求められている 大きなg値を示す希土類錯体は、円偏光発光 を利用したセキュリティーセンサー、バイオ 関連に用いるラベリング剤(イムノアッセイ) 円偏光光源など様々な応用への展開が期待 れる。

 本発明に係る希土類錯体は、3価の希土類イ オンを中心として2つ以上の光学活性(ジアス レオマー)構造配位子が配位していることを 特徴とする。
 本発明に係る希土類錯体の一つは、下記一 式(1)
(式中、Ln(III)は3価の希土類イオン、Xは同一 たは異なる水素原子、重水素原子、ハロゲ 原子、C 1 からC 20 の基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホ ニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基 、ジアゾ基、メルカプト基のいずれか、L*は 方に配位するビナフチル構造配位子とは異 る光学活性構造配位子、nは1から4の整数を す。)で示されるものであり、光学活性構造 配位子の一方がビナフチル構造配位子、他方 がビナフチル構造配位子とは異なる光学活性 構造配位子である。

 特に好ましくは、本発明の希土類錯体は一 式(2)
(式中、Ln(III)は3価の希土類イオン、XおよびY 同一または異なる水素原子、重水素原子、 ロゲン原子、C 1 からC 20 の基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホ ニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基 、ジアゾ基、メルカプト基のいずれか、RはC 1 からC 20 の基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホ ニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基 、ジアゾ基、メルカプト基のいずれかを表す 。)で示され、光学活性構造配位子の一方が ナフチル構造配位子、他方がfacam誘導体であ る。

 上述の一般式(1)或いは(2)で示される本発 の希土類錯体は、異なる二種類の不斉配位 (光学活性構造配位子)が一つの希土類イオ に同時に配位することにより、希土類イオ の周りに大きな不斉環境が構築され、大き 円偏光発光を示すと考えられる。

 また、本発明のもう一つの希土類錯体は、 般式(3) 
(式中、Ln(III)は3価の希土類イオン、Z1~Z3およ Yは同一または異なる水素原子、重水素原子 、ハロゲン原子、C 1 からC 20 の基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホ ニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基 、ジアゾ基、メルカプト基のいずれか、RはC 1 からC 20 の基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホ ニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基 、ジアゾ基、メルカプト基のいずれかを表す 。)で示される。
 この場合、Z1~Z3を表すC 1 からC 20 の基は、飽和もしくは不飽和の非環式であっ てもよく、飽和もしくは不飽和の環式であっ てもよい。C 1 からC 20 の基が非環式の場合は線状でもよく枝分かれ していてもよい。

 一般式(3)で示される本発明の希土類錯体 、3価の希土類イオンを中心としてホスフィ ンオキシド誘導体と、ジアステレオマー構造 を持つ配位子であるfacam誘導体が配位してい ことを特徴とする。異なった二種類の配位 が一つの希土類イオンに同時に配位し、且 、ジアステレオマー構造(光学活性構造)配 子であるfacam誘導体が2個以上配位すること より、希土類イオン周りに大きな不斉環境 構築され、大きな円偏光発光を示すと考え れる。

 希土類錯体の中心イオンである希土類イ ンは、Euのイオンを用いることが好ましい Euイオンを用いることにより、より高い発光 特性を得ることができる。

 本発明の希土類錯体は光学機能材料として 発光部材、発光光源、測定用標識剤など種 のものに応用することが可能である。
 また、本発明の希土類錯体を含有する発光 材を用いてセキュリティシステムを構成す ことができる。前記セキュリティシステム 、少なくとも前記発光部材(検出対象)と、 の発光部材に励起光を照射する光源と、前 発光部材から放射された光を受光し、検知 る計測部とを備える。さらに、セキュリテ システムには、必要に応じて計測部により られたデータを演算する演算部、偏光の種 などを識別する識別部等を設けることがで る。
 前記セキュリティシステムを構成する発光 材は、本発明の希土類錯体を含有するイン による印刷物や、本発明の希土類錯体をプ スチックに混合した成型物などから構成す ことができる。前記光源は、紫外光から可 光までの波長の光を照射できるものであれ 、どのようなものであっても良い。前記計 部は、光源による光照射によって本発明の 土類錯体が発する円偏光を検知するための ので、偏光フィルターやλ/4板などを含む。 円偏光の検知は、直接円偏光を検知する方法 や、円偏光を直線偏光などに変換後、その直 線偏光などを検知するものであっても良い。

 本発明に係る希土類錯体によれば、円偏 性であり、かつ高い発光特性を有する希土 錯体を提供することができる。

本発明の第1の実施例である[(R)-BINAPO]Eu(D-facam) 3 錯体の円偏光発光スペクトルおよびg値を示 図。 [(R)-BINAPO]Eu(hfa-H) 3 錯体の円偏光発光スペクトルおよびg値を示 図。 本発明の第2の実施例である[Eu(TPPO) 2 (D-facam) 3 ]錯体の単結晶X線構造解析の結果を示す図。 [Eu(TPPO) 2 (D-facam) 3 ]錯体の発光スペクトルおよび円偏光発光ス クトルを示す図。 [Eu(TPPO) 2 (D-facam) 3 ]錯体の発光スペクトルおよびg値を示す図。

 希土類錯体とは、希土類元素の3価のイオ ンを中心イオンとして、複数の各種配位子が 配位した有機錯体である。このような錯体と しては、希土類イオンが他の化学種に取り囲 まれてホスト-ゲスト構造をとった包接化合 や、単に中心の希土類イオンに配位子が配 したのみ(希土類イオンが他の化学種に包接 れていない)のものがある。本発明において はいずれのものも用いることができる。しか し、包接化合物構造の場合、一般的に不斉部 位が希土類イオンから離れているため、希土 類イオンへのキラリティーの影響は少ない。 また、錯体がデルタ体およびラムダ体の光学 異性体混合物になる可能性が高くキラリティ ーの低下が考えられる。これらのことから、 本発明に係る希土類錯体は、他の化学種に包 接されていない錯体構造とするのが好ましい 。

 本発明に係る希土類錯体においては、上 配位子の少なくとも2つが光学活性(ジアス レオマーあるいはエネンチオマー)構造を持 。ジアステレオマーとは、立体異性体のう 、鏡像異性体(エナンチオマー)を除く異性 である。ここで、本明細書において、光学 性構造配位子とは、複数の立体異性体が存 し得る構造を有する配位子を意味する。

 光学活性構造配位子が希土類錯体に組み まれることによって、円偏光発光が生じる 円偏光発光は、中心イオンである希土類イ ンの4f軌道内での遷移により放射される円 光成分を有する発光である。

 希土類イオンの4f軌道は7つある。1つの軌道 に最大2個の電子が入るため、4f軌道全体で最 大14個の電子が入る。入る電子の個数は希土 イオンの種類によって異なる。例えば、Eu 3+ イオンの場合、4f軌道全体で6個の電子が存在 する。上記4f軌道の準位は、通常、結晶場の 在などにより縮退しない。その準位間のエ ルギー差に対応した光を照射すれば、4f軌 の準位間における電子の遷移により発光が じ、尖鋭な発光スペクトルが得られる。上 のような4f軌道の準位間における電子の遷移 を、以後f-f遷移と呼ぶ。

 不斉配位子を持たない希土類錯体におい は、電子軌道の準位間の遷移によって放射 れる光は、これまで知られている範囲では 偏光性を持たない。一方、本発明に係る光 活性構造配位子を持つ希土類錯体は、電子 道の準位間の遷移(f-f遷移)によって一定の 偏光を放射する。

 円偏光発光を持つためには、具体的には 上記希土類イオンは、Ce(3価イオンのみ)、Pr 、Nd、Pm、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb(3価イ ンのみ)のいずれかのイオンであればよい。

 本発明に係る光学機能材料に使用し得る 体には、種々のものが考えられる。前段落 記したように、中心となる希土類イオンだ でも十数種類存在し、それらと光学活性構 配位子との組み合わせは多数存在する。上 の希土類イオンにおける4f軌道の準位間の ネルギー差が周囲の配位子の種類にも依存 るため、上記希土類イオンの変化のみなら 、配位子の組み合わせを変化させることに っても、様々な波長域の円偏光発光を得る とができる。

 光学活性構造配位子には様々なものがある 、本願では、一般式(4)
(式中、Xは同一または異なる水素原子、重水 原子、ハロゲン原子、C 1 からC 20 の基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホ ニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基 、ジアゾ基、メルカプト基のいずれかを表す 。)で示されるビナフチル構造配位子や、

 一般式(5)
(式中、Yは同一または異なる水素原子、重水 原子、ハロゲン原子、C 1 からC 20 の基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホ ニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基 、ジアゾ基、メルカプト基のいずれか、RはC 1 からC 20 の基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホ ニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基 、ジアゾ基、メルカプト基のいずれかを表す 。)で示されるfacam誘導体が好ましい。
 特に、ビナフチル構造配位子およびfacam誘 体の両方が希土類イオンに配位した希土類 体は優れた円偏光発光特性を示す。

 また、一般式(6)
(式中、Z1~Z3は同一または異なる水素原子、重 水素原子、ハロゲン原子、C 1 からC 20 の基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、スルホ ニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基 、ジアゾ基、メルカプト基のいずれかを表す 。)で示されるホスフィンオキシド誘導体と 学活性構造配位子である前述のfacam誘導体が 希土類イオンに配位した希土類錯体も優れた 円偏光発光特性を示す。

 本発明の希土類錯体を光学機能材料とし 用いる際は、その錯体の結晶を直接用いて よいし、その錯体を透明ポリマーや透明ガ スなどの透明固体担体に含有させてもよい また、その錯体を有機溶媒に溶解させて塗 とすることもできる。

 本発明の第1の実施例として、[(R)-BINAPO]Eu(D-f acam) 3 錯体の合成方法を述べ、その性質について述 べる。

 BINAPOは、以下のようにして合成した。(R)-BIN AP(0.50 g, 0.80 mmol)をジクロロメタン(15 mL)に 解させた。これを氷冷し、撹拌しながら過 化水素水(35 %, 2.0 mL)を滴下し、8 時間撹 を続けた。蒸留水を加えた後、ジクロロメ ンで抽出を行なった(15 mL, 3回)。有機層を バポレータにかけ溶媒を飛ばすと、白色の 体が得られた。この固体をエタノール/水の 合溶媒で再結晶操作を行ない、白色の針状 晶を得た。
・収率 99 %以上
1 H NMR(300 MHz, CDCl 3 ):6.8(d, 4H), 7.2-7.3(m, 8H), 7.3-7.5(m, 12H), 7.6-7.7 (m, 4H), 7.8-7.9(m, 4H)
・ESI-MS(ESI+, m/z):655.19552([M+H] + )

 Eu(D-facam) 3 (H 2 O) 2 は、以下のようにして合成した。酢酸ユウロ ピウム・四水和物(0.32 g, 0.80mmol)の水溶液(10 mL)を室温で1時間撹拌した。そこにD-facam(0.50 g, 2.0 mmol)のメタノール溶液(20 mL)を加え、D -facamが完全に溶解するまでメタノールを加え 、1時間撹拌した。28 %アンモニア水を少量滴 下すると、黄白色の沈殿が直ちに生成した。 3 時間撹拌を続け、沈殿を吸引ろ過して黄白 色の固体を得た。この固体をメチルシクロヘ キサンに溶解させ、還流条件下、1時間撹拌 た後にろ過し、ろ液を静置させて黄色の針 結晶を得た。
・収率49 % 
・ESI-MS(ESI+, m/z):1861.37[2M+H] +

 [(R)-BINAPO]Eu(D-facam) 3 は、以下のようにして合成した。Eu(D-facam) 3 (H 2 O) 2 (0.21 g, 0.23 mmol)と(R)-BINAPO(0.15 g, 0.23 mmol)を メタノール(30 mL)に溶解させ、還流条件下で8  時間撹拌した。その後、溶媒をエバポレー で除き、黄白色またはクリーム色の固体を た。この固体をクロロホルム/ヘキサンの混 合溶媒で再結晶させ、黄白色の針状結晶を得 た。
・収率56 %

 得られた結晶を1H-NMR、ESI-MS(エレクトロスプ レー質量分析)、FT-IR(フーリエ変換赤外分光 )及び元素分析で同定を行った。これらの結 を以下に示す。
・ESI-MS(ESI+, m/z ): 1571.50555([M+Na] + )
1 H NMR(CDCl 3 , 270 MHz, 298 K), δ: 10.1-7.3, 7.2-6.2(m, Aromatic ), 2.4(s), 2.0(t), 1.0(t), 0.3(s), 0.2(s), -0.2(s), - 0.7(s) ppm.
・IR(ATR) : 3800-3500(w, O-H), 3050, 3000-2800(w, C-H ), 1655(s, C=O), 1540(s), 1440(s), 1250-1050(s, C-F), 1180(s, P=O), 690(s, Aromatic) cm -1 .

 これらの結果から、得られた結晶は次の化 式(7)
で表される[(R)-BINAPO]Eu(D-facam) 3 錯体であるといえる。

 上記[(R)-BINAPO]Eu(D-facam) 3 錯体の円偏光性を調べるために、円偏光発光 スペクトルを測定した結果を図1に示す。図2 は比較例として、次の化学式(8)
で示される[(R)-BINAPO]Eu(hfa-H) 3 錯体の円偏光発光スペクトルを示す。

 また、図1および図2には、試料濃度が1.0×10 3 Mのときの左回りの円偏発光の強度と右回り 円偏光発光の強度から換算した異方性因子g を示している。g値は円偏光発光の強度の差 が無ければ0になり、左右どちらかの円偏光 光を多く吸収した場合は0からずれる。

 図1および図2から、本実施例である[(R)-BINAPO ]Eu(D-facam) 3 錯体および比較例である[(R)-BINAPO]Eu(hfa-H) 3 錯体は円偏光発光を示すことが分かる。
 比較例の希土類錯体では、波長域580nm~600nm おいて、1%から2.5%程度のg値を示した。
 一方、本実施例の希土類錯体では、図1の矢 印で示した部分において、40%もの明らかに高 いg値を示した。この点は注目すべきである これは、f-f遷移によって放射された光が高 円偏光性を持つことを意味している。

 このように、本実施例では、2つ以上の異 なる光学活性構造配位子が配位した希土類錯 体において、円偏光性を持つ光の吸収機能が 得られることが確認された。これは、電子軌 道の準位間の遷移に起因すると考えられる。

 次に本発明の第2の実施例として、Eu(TPPO) 2 (D-facam) 3 錯体の合成方法を述べ、その性質について述 べる。
 TPPO (Triphenylphosphine oxide)は熱メタノール/水 にて再結晶を行なったものを用いた。
 Eu(TPPO) 2 (D-facam) 3 は、[Eu(D-facam) 3 ](0.40 g, 0.44 mmol)およびTPPO (0.25 g, 0.88 mmol) をメタノール(60 mL)に溶解させ、還流条件下 8時間撹拌した。反応終了後、エバポレータ で溶媒を除き、熱アセトニトリルにて再結晶 操作を行ない、黄色の針状結晶を得た。
・収率56%

 得られた結晶をESI-MS(エレクトロスプレー質 量分析)、1H-NMR、FT-IR(フーリエ変換赤外分光 )及び元素分析で同定を行った。これらの結 を以下に示す。
・ESI-MS (ESI+): 1203.218 ([M-(D-facam)]+) m/z
1 H-NMR (CDCl3, 300 MHz, 298K) δ : 11.99 (s), 7.78  (s), 3.39 (s), 2.52 (s), 1.42 (s), 0.85 (s), -0.08 (s), -0.83 (s), -1.47 (s) ppm.
・FT-IR (KBr): 3950-3550 (w, br, O-H), 3060 (s, C-H ), 3025-2825 (s, C-H), 1965 (m), 1910 (m), 1825 (m) , 1660 (s, C=O), 1540 (s), 1439 (s), 1200 (s, P=O)  1180-1050 (s, C-F), 725 (s, Aromatic), 695 (s, Aro matic) cm -1
・Anal. Found: C, 59.33 %; H, 4.70%. Calcd. for Eu C72H72O8F9P2: C, 59.63 %; H, 5.00%
 また、得られた結晶の単結晶X線構造解析の 結果を図3に示す。

 これらの結果から、得られた結晶は次の化 式(9)
 で表される[Eu(TPPO) 2 (D-facam) 3 ]錯体であるといえる。

 次に、上記[Eu(TPPO) 2 (D-facam) 3 ]錯体の円偏光性を調べるために、円偏光発 スペクトル(CPLスペクトル)を測定した。円偏 光発光スペクトルは、[Eu(TPPO) 2 (D-facam) 3 ]のAcetone-d 6 溶液 (1.0 mM)を調製し、30分間のN 2 バブリングを行なった後に以下の測定条件で 測定を行なった。
<励起側>励起波長350 nm、スリット幅3000  μm
<検出側>感度Standard、走査速度10 nm/min、H T電圧780 V、レスポンス2.0 sec
測定波長630-575 nm、データ間隔0.1 nm、積算16

 CPLスペクトルの測定結果を発光スペクトル( Emmision)と共に図4に示す。
 図4に示す結果を基に、CPL異方性因子(Dissymme try factor, g)を計算した。計算には以下の式 用いた。発光バンドの存在しない波長域で 値は無視した。
 g値=δI/I=2(I L -I R )/(I L +I R )

 g値の計算結果を発光スペクトルと共に図5 示す。
 図5から明らかなように、本実施例の[Eu(TPPO) 2 (D-facam) 3 ]錯体は円偏光発光を示す。特に、矢印で示 ように、発光波長が594nmにおける異方性因子 はg = -46.7×10 -2 (-46.7%)となり、明らかに高いg値を示している 。なお、発光波長が610.5nmにおける異方性因 は g = 3.29×10 -2 (3.29%)であった。 

 第1および第2の実施例から、配位子の少な とも2つが光学活性構造を有する希土類錯体 おいて、円偏光性を持つ光の吸収機能が得 れることが確認された。
 このように高いg値を有する希土類錯体を用 いて光学機能材料を製造すると、光学機能材 料の素材化合物や希土類錯体を構成する化合 物の純度に起因する検出誤差の影響を小さく することができる。すなわち、化合物の純度 に起因する検出誤差を0.1%とした場合、g値が4 0%の希土類錯体を用いた光学機能材料の検出 果は39.9~40.1%になる。これに対して、g値が1% の希土類錯体を用いた光学機能材料の検出結 果は0.9~1.1%になる。つまり、g値が大きい希土 類錯体を用いた光学機能材料ほど、誤差が相 対的に小さくなり、検出結果のバラツキを小 さくすることができる。
また、希土類錯体の置換基の一部が変更され た場合と製造誤差との判別が容易であるため 、従来の希土類錯体を用いた光学機能材料に 比べて、検出精度や識別精度が向上する。

 次に、本発明に係る(ジアステレオマー構造 配位子が配位した)希土類錯体を用いた光学 能材料の具体例をいくつか述べる。
 本発明に係る希土類錯体に紫外光から可視 を照射することにより、高い円偏光発光を ることができる。この円偏光発光を識別で る検出器を設置することによりセキュリテ ー関連分野や認証システムへ適用すること 可能である。また、円偏光成分を放射でき 特殊な光源など、広範な用途への適用が可 であると考えられる。

 本発明に係る希土類錯体を用いて、生体 能解明に向けた円偏光センサを作製するこ ができる。例えば、タンパク質や生体試料 の不斉環境場に本発明に係る希土類錯体を ベリングし、光を照射することにより、不 環境場に対応した円偏光発光を観察するこ が可能である。この強度の違いを検出する とによって、当該物質どのような不斉環境 に置かれているかを識別することができる 上記円偏光発光センサのg値が大きい波長領 域を用いることにより、容易に識別が可能に なる。

 また、本発明に係る錯体を有機溶媒に溶 させて作製した塗料を対象物に塗布してお ば、上記円偏光センサで検知することによ て上記対象物を抽出することができる。

 本発明に係る希土類錯体では、旋光性の いのみを有する配位子をそれぞれ(別個に) 用した錯体を合成することにより、同じ組 であっても、左回りの円偏光発光を強く放 するものと右回りの円偏光発光を強く放射 るものの両方が得られる。また、一の希土 錯体においても、波長に応じて左回りの円 光を強く放射する場合と右回りの円偏光を く放射する場合がある。そこで、一方の性 を示すものを0、他方を1と定義すれば、この 錯体あるいはこの錯体を含む光学機能材料を 並べて、2進数で表されたデータを記録する とができる。そこへ光を当てることにより データを読み出すことができる。

 本発明に係る希土類錯体は、円偏光フィ タやセキュリティーセンサー、バイオ関連 用いるラベリング剤(イムノアッセイ)、円 光光源など様々な応用へと展開が期待され 。本発明に係る希土類錯体を用いた場合、 偏光フィルタやその他の円偏光を用いる機 において、偏光板などを用いる必要が無く るため、本発明は装置の小型化に寄与する