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Patent Searching and Data


Title:
RARE METAL EXTRACTING AGENT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/101926
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a novel rare metal extracting agent. Also disclosed is a method for extracting/separating a rare metal with high efficiency. The rare metal extracting agent comprises a cyclic phenol sulfide derivative represented by general formula (1).

Inventors:
KONDO YOSHIHIKO (JP)
LI CHUN-BIN (JP)
YAMADA MANABU (JP)
HAMADA FUMIO (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/052198
Publication Date:
August 20, 2009
Filing Date:
February 10, 2009
Export Citation:
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Assignee:
UNIV AKITA (JP)
KONDO YOSHIHIKO (JP)
LI CHUN-BIN (JP)
YAMADA MANABU (JP)
HAMADA FUMIO (JP)
International Classes:
C09K3/00; B01D11/04; C07D341/00; C22B3/26; C22B11/00
Foreign References:
JP2000107505A2000-04-18
JPH11179104A1999-07-06
JP2007239066A2007-09-20
JP2007239088A2007-09-20
JP2005061971A2005-03-10
JP2005061970A2005-03-10
JP2003507359A2003-02-25
JPH11152284A1999-06-08
JPH10175971A1998-06-30
JP2007239066A2007-09-20
JP2007239088A2007-09-20
Other References:
See also references of EP 2246405A4
Attorney, Agent or Firm:
HOSHINO, Tetsuro (3rd Floor Oak Building Kyobashi,16-10, Kyobashi 1-chom, Chuou-ku Tokyo, JP)
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Claims:
下記一般式(1)で表される環状フェノール硫化物誘導体を含有するレアメタル抽出剤。
(式(1)中、R 1 、R 3 、R 4 はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~10の炭化水素基であり、R 2 は炭素数0~10の炭化水素基であり、Zはスルフィド基、スルフィニル基、及びスルホニル基のうちのいずれかである。)
前記一般式(1)におけるR 1 、R 3 、R 4 が、それぞれ独立に水素原子、又は、炭素数1~10の分岐又は直鎖のアルキル基であり、R 2 が炭素数0~10の分岐又は直鎖のアルキレン基である請求項1に記載のレアメタル抽出剤。
下記一般式(1)で表される環状フェノール硫化物誘導体を含有するレアメタル抽出剤を用いて、複数の種類のレアメタルを含有する水溶液からレアメタルを抽出分離する方法であって、目的とするレアメタルに応じて前記水溶液のpHを複数回変化させることにより、複数回に亘って抽出を行い、それぞれ特定のレアメタルを選択的に優位に抽出する工程を備えてなる、複数種類のレアメタルの連続的抽出分離方法。
(式(1)中、R 1 、R 3 、R 4 はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~10の炭化水素基であり、R 2 は炭素数0~10の炭化水素基であり、Zはスルフィド基、スルフィニル基、及びスルホニル基のうちのいずれかである。)
前記複数回に亘って変化させるpHが、0.8超1.2未満および/または1.2超1.8未満の範囲を含む、請求項3に記載の複数種類のレアメタルの連続的抽出方法。
下記一般式(1)で表される環状フェノール硫化物誘導体を含有するレアメタル抽出剤を用いて複数の種類のレアメタルを含有する水溶液から抽出を行う工程、および、下記一般式(1)で表される以外のチアカリックスアレンを含有するレアメタル抽出剤を含むレアメタル抽出剤を用いて、複数の種類のレアメタルを含有する水溶液から抽出を行う工程を含み、それぞれの工程にて特定のレアメタルを選択的に優位に抽出する、複数種類のレアメタルの連続的抽出分離方法。
(式(1)中、R 1 、R 3 、R 4 はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~10の炭化水素基であり、R 2 は炭素数0~10の炭化水素基であり、Zはスルフィド基、スルフィニル基、及びスルホニル基のうちのいずれかである。)
前記一般式(1)で表される以外のチアカリックスアレンを含有するレアメタル抽出剤が、下記一般式(2)で表されるチアカリックスアレンを含有するレアメタル抽出剤である、請求項5に記載の複数種類のレアメタルの連続的抽出分離方法。
(式(2)中、R 1 、R 5 は水素原子又は炭素数1~10の炭化水素基であり、R 2 は炭素数0~10の炭化水素基であり、Zはスルフィド基、スルフィニル基、及びスルホニル基のうちのいずれかである。)
前記抽出工程の一つが、白金を選択的に優位に抽出する工程である、請求項3~6のいずれかに記載の複数種類のレアメタルの連続的抽出分離方法。
Description:
レアメタル抽出剤

 本発明は、レアメタルを抽出するための 規なレアメタル抽出剤、及びそれを用いた 出分離方法に関する。

 レアメタル(例えばコバルト(Co)、チタン(T i)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn) 亜鉛(Zn)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr) 、ニオブ(Nb)、カドミニウム(Cd)、ランタン(La) 、セリウム(Ce)、ネオジウム(Nd)、ユーロピウ (Eu)、テルビウム(Tb)、水銀(Hg)、ウラン(U)、 金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテ ウム(Ru)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)な )は我々の生活に必要不可欠なものであり、 自動車用触媒や燃料電池、超強力磁石など現 在の精密機器をはじめ多くの製品に使用され ている。しかし、日本はこれら金属のほとん どを輸入に頼っており、資源の安定的な供給 、環境保護の観点から、レアメタルのリサイ クルは重要な技術である。

 レアメタルのリサイクルには、一般的に アメタル含有水溶液からの溶媒抽出法が用 られており、様々な抽出剤が開発され、利 されている。例えば、特許文献1や2には、 定の構造の環状フェノール硫化物がレアメ ル抽出剤として有用であり、レアメタルの 択的な抽出に効果的であることが開示され いる。

特開2007-239066号公報

特開2007-239088号公報

 しかし、レアメタル含有水溶液は、様々 廃棄物を、多種の酸によって水溶液化して られるものであり、レアメタル含有水溶液 含まれる金属濃度・種類や不純物も多種多 である。そのため、多種のレアメタルを含 水溶液から特定の複数種のレアメタルを選 的に効率よく分離抽出するためには、特許 献1や2に開示されたような様々な抽出剤を 合して使用し、多段階的に抽出分離しなけ ばならず、時間やコストがかかる原因とな ている。

 本発明は上記問題点に鑑みてなされたも であり、本発明は、新規なレアメタル抽出 、及びそれを用いたレアメタルの効率的な 出分離方法を提供することを目的とする。

 本発明者等は、特定の構造の化合物を抽 剤として用いることによって、特定のレア タルを効率的に分離抽出することができる みならず、水溶液のpHをわずかに変化させ とレアメタルの種類によって分離抽出効果 顕著に変化することを見出し、以下の本発 を完成した。

 第1の本発明は、下記一般式(1)で表される 環状フェノール硫化物誘導体を含有するレア メタル抽出剤である。

(式(1)中、R 1 、R 3 、R 4 はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~10の 化水素基であり、R 2 は炭素数0~10の炭化水素基であり、Zはスルフ ド基、スルフィニル基、及びスルホニル基 うちのいずれかである。)

 なお、「レアメタル」は希少な金属の総 であり、本明細書でいう「レアメタル」に 、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、 テニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、オスミウム(O s)、コバルト(Co)、チタン(Ti)、バナジウム(V) クロム(Cr)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、イット ウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、カド ミニウム(Cd)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、ネ オジウム(Nd)、ユーロピウム(Eu)、テルビウム( Tb)、水銀(Hg)、ウラン(U)等が含まれるものと る。

 第1の本発明において、一般式(1)におけるR 1 、R 3 、R 4 が、それぞれ独立に水素原子、又は、炭素数 1~10の分岐又は直鎖のアルキル基であり、R 2 が炭素数0~10の分岐又は直鎖のアルキレン基 あることが好ましい。

 第2の本発明は、下記一般式(1)で表される 環状フェノール硫化物誘導体を含有するレア メタル抽出剤を用いて、複数の種類のレアメ タルを含有する水溶液からレアメタルを抽出 分離する方法であって、目的とするレアメタ ルに応じて前記水溶液のpHを複数回変化させ ことにより、複数回に亘って抽出を行い、 れぞれ特定のレアメタルを選択的に優位に 出する工程を備えてなる、複数種類のレア タルの連続的抽出分離方法である。

(式(1)中、R 1 、R 3 、R 4 はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~10の 化水素基であり、R 2 は炭素数0~10の炭化水素基であり、Zはスルフ ド基、スルフィニル基、及びスルホニル基 うちのいずれかである。)

 第2の本発明において、複数回に亘って変 化させるpHが、0.8超1.2未満および/または1.2超 1.8未満の範囲を含むことが好ましい。

 第3の本発明は、下記一般式(1)で表される 環状フェノール硫化物誘導体を含有するレア メタル抽出剤を用いて複数の種類のレアメタ ルを含有する水溶液から抽出を行う工程、お よび、下記一般式(1)で表される以外のチアカ リックスアレンを含有するレアメタル抽出剤 を含むレアメタル抽出剤を用いて、複数の種 類のレアメタルを含有する水溶液から抽出を 行う工程を含み、それぞれの工程にて特定の レアメタルを選択的に優位に抽出する、複数 種類のレアメタルの連続的抽出分離方法であ る。

(式(1)中、R 1 、R 3 、R 4 はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~10の 化水素基であり、R 2 は炭素数0~10の炭化水素基であり、Zはスルフ ド基、スルフィニル基、及びスルホニル基 うちのいずれかである。)

 第3の本発明において、一般式(1)で表され る以外のチアカリックスアレンを含有するレ アメタル抽出剤が、下記一般式(2)で表される チアカリックスアレンを含有するレアメタル 抽出剤であることが好ましい。

(式(2)中、R 1 、R 5 は水素原子又は炭素数1~10の炭化水素基であ 、R 2 は炭素数0~10の炭化水素基であり、Zはスルフ ド基、スルフィニル基、及びスルホニル基 うちのいずれかである。)

 第2および第3の本発明において、抽出工 の一つが、白金を選択的に優位に抽出する 程であることが好ましい。

 第1の本発明のレアメタル抽出剤および第2 本発明の複数種類のレアメタルの連続的抽 方法によれば、廃棄物及び廃液からレアメ ルの分離抽出を行う際に、単一の抽出剤を いて溶液のpHを変化させるのみで、複数種類 のレアメタルを効率的に分離抽出することが できる。これにより分離抽出工程が削減でき 、低コストで抽出できることから、レアメタ ルのリサイクルを促進することができる。
 第3の本発明の複数種類のレアメタルの連続 的抽出方法によれば、第1の本発明の抽出剤 よびその他のチアカリックスアレン含有抽 剤を組み合わせて用いることにより、連続 に複数種類のレアメタルを抽出できる他、 一段階にて不要なメタル成分を抽出除去し 上で、第二段階にて所望のレアメタルを高 率にて抽出することもできる。

実施例1のレアメタル抽出分離実験の結 果を示すグラフである。 実施例2の抽出率(E%)を示すグラフであ 。 実施例3の抽出率(E%)を示すグラフであ 。 実施例4の抽出率(E%)を示すグラフであ 。 比較例の抽出率(E%)を示すグラフである 。

 <レアメタル抽出剤>
 本発明のレアメタル抽出剤は、下記一般式( 1)で表される環状フェノール硫化物誘導体を 有するものである。

 一般式(1)において、-CONR 3 R 4 は、置換カルバモイル基であり、R 1 、R 3 、R 4 はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~10の 化水素基である。R 1 、R 3 、R 4 としては、水素原子、又は、直鎖又は分岐の アルキル基が好ましく、アルキル基としては 具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピ 基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブ ル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシ 基などが挙げられる。一般式(1)において、R 2 は炭素数0~10の炭化水素基であり、R 2 としては、直鎖又は分岐のアルキレン基が好 ましく、具体的には、メチレン基、エチレン 基、n-プロピレン基、イソプロピレン基、n- チレン基、t-ブチレン基、s-ブチレン基、n- ンチレン基、n-ヘキシレン基等が挙げられる 。なお、R 2 の炭素数が0とは、R 2 に相当する置換基が存在せず、一般式(1)にお いてR 2 に隣接している酸素原子とカルボニル基の炭 素原子とが直接結合している状態をいう。

 より具体的には、R 1 は水素原子、又は、炭素数1~10の直鎖又は分 のアルキル基が好ましく、中でも、炭素数3~ 5の直鎖又は分岐のアルキル基が好ましい。R 2 は炭素数0~5の直鎖又は分岐のアルキレン基が 好ましく、中でも、メチレン基、エチレン基 が好ましい。R 3 及びR 4 は、水素原子、又は、炭素数1~5の直鎖又は分 岐のアルキル基であることが好ましく、中で も、メチル基、エチル基、プロピル基が好ま しい。

 Zは、スルフィド基、スルフィニル基、及 びスルホニル基のうちのいずれかである。

 一般式(1)の化合物は、Zによりフェノール誘 導体骨格が6個環状に繋がった構造であるが 6つのフェノール誘導体骨格が有する置換基R 1 、R 2 、R 3 、R 4 は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、 また6つのZも同じでも異なっていてもよい。 造の容易性および得られる化合物のレアメ ル抽出特性からは、6つのフェノール誘導体 骨格が有するR 1 、R 2 、R 3 、R 4 及び6つのZは、それぞれ同じであることが好 しい。

 一般式(1)で表される環状フェノール硫化物 導体は、公知の方法で合成することができ 。例えば、4位がR 1 であるアルキルフェノールを出発物質とし、 これと単体硫黄とを、アルカリ金属試薬又は アルカリ土類金属試薬の存在下反応させるこ とによって、スルフィド結合によって6つの ルキルフェノールが連結した環状フェノー 硫化物を得、次いでフェノール性水酸基の 素原子をR 2 、R 3 、R 4 を有するカルバモイルアルキル基に変換する ことによって得ることができる。環状フェノ ール硫化物を合成する際に用いるアルカリ金 属試薬やアルカリ土類金属試薬としては、金 属単体、水素化物、ハロゲン化物、酸化物、 炭酸塩、アルコキシドなどが挙げられる。ま た、カルバモイルアルキル基への変換方法の 例としては、R 2 、R 3 、R 4 を有するハロゲン化カルバモイルアルキル基 を塩基性条件下でフェノール性水酸基と直接 反応させる方法や、フェノール性水酸基の水 素原子をアルカリ金属に置換し、これをアル コキシカルボニルアルキルハロゲンと反応さ せた後、加水分解してカルボキシアルキル基 とし、次いでこれを酸クロリドに変換した後 、これにアミンを反応させる方法が挙げられ る。環状フェノール硫化物のスルフィド基、 すなわち一般式(1)におけるZは、必要に応じ 過酸化水素や過ホウ酸ナトリウムなどの酸 剤を用いて酸化することによって、スルフ ニル基やスルホニル基に転換することがで る。

 上記一般式(1)で表される環状フェノール 化物誘導体は、レアメタル抽出剤として、 アメタル含有溶液からのレアメタル抽出に 適に使用される。通常、一般式(1)で表され 環状フェノール硫化物誘導体は溶液とされ 該溶液(以下レアメタル抽出剤溶液という。 )にレアメタルが溶解した溶液(以下レアメタ 溶液という。)を接触させることにより、レ アメタルがレアメタル抽出剤溶液側に移行し 、レアメタルが抽出される。レアメタル抽出 剤溶液に使用する溶媒とレアメタル溶液に使 用する溶媒は、お互い溶けにくい溶媒が使用 される。各溶液に使用される溶媒は、2種類 上の溶媒が混合されたものであってもよい これらの溶媒の組合わせの中では、レアメ ル抽出剤溶液の溶媒が非水溶性の溶媒であ 、レアメタル溶液の溶媒が水である組合わ が特に好ましい。

 非水溶性の溶媒としては、一般式(1)で表 れる環状フェノール硫化物誘導体を溶解す ことができれば特に制限はなく、石油、ケ シン等の鉱油;ヘキサン、ヘプタン、オクタ ン等の脂肪族炭化水素;トルエン、キシレン の芳香族炭化水素;四塩化炭素、塩化メチレ 、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲ 化溶媒等が挙げられる。

 レアメタル抽出剤溶液における、一般式(1) 表される環状フェノール硫化物誘導体の濃 は該環状フェノール硫化物誘導体の溶解度 よって上限が限定される以外は特に制限は いが、あまりに濃度が低いとレアメタル抽 効果が得られないため、通常1×10 -6 ~1Mの範囲で使用される。レアメタルのレアメ タル水溶液中における濃度は特に制限はなく 、通常は1000ppm程度である。

 <第2の本発明の複数種類のレアメタルの 続的抽出方法>
 本発明のレアメタル抽出剤を用いたレアメ ルの抽出では、レアメタル溶液のpHを変化 せることで、レアメタルの抽出率が変動し その抽出率の変動は金属種によって全く異 る挙動を示す。したがって、目的とする金 種に応じてレアメタル溶液のpHを所望の金属 種を最も抽出できるpHに調整すれば、特定の アメタルを選択的に優位に抽出することが き、効率的に抽出することができる。また あるレアメタル溶液の中から複数種のレア タルを抽出する場合についても、1つの金属 種について最も抽出できるpHに調整してその 属種を抽出した後、他の金属種について最 抽出できるpHに水層を調整し直して抽出す ことを順次繰り返せば、1つのレアメタル分 抽出剤で効率的に複数種のレアメタルを抽 することが可能である。例えば、pHを0.8超1. 2未満に調整してPdおよび/またはPtを選択的に 抽出することができる。また、pHを1.2超1.8未 に調整してZrを選択的に抽出することがで る。

 pHの調節は、選択pHになるように酸又はア ルカリを添加すればよく、酸やアルカリとし ては、pH調節に使用される一般的なものを使 することができる。例えば、酸としては、 酸、塩酸、硝酸、酢酸等が、また、アルカ としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリ ム、水酸化カルシウム等が挙げられる。抽 の際に調節されるpHの範囲は、通常0~7程度 あり、抽出率の点からは、1~5の範囲である とが好ましい。

 抽出温度は使用する溶媒の沸点以下であ ば特に制限はなく、通常室温付近で行われ 。抽出操作はレアメタル抽出剤溶液とレア タル溶液とを振とう、撹拌などにより互い 接触させることにより行われる。振とう、 拌の条件は特に制限はないが、振とうは通 毎分60~200回程度行えばよい。

 本発明のレアメタル抽出剤は、抽出効率 観点からは、レアメタルの中でも、ジルコ ウム(Zr)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)の抽出に 効であり、中でも特に白金(Pt)の抽出に有効 である。

 <第3の本発明の複数種類のレアメタルの 続的抽出方法>
 第1の本発明のレアメタル抽出剤を用いて抽 出する工程に、この抽出剤以外のチアカリッ クスアレンを含有する抽出剤を用いて抽出す る工程を組み合わせて、複数の種類のレアメ タルを含有する水溶液から、それぞれの工程 にて特定のレアメタルを選択的に優位に抽出 することができる。

 複数種類の抽出剤を組み合わせて用いる とにより、連続的に複数種類のレアメタル 抽出できる他、第一段階にて不要なメタル 分を抽出除去した上で、第二段階にて所望 レアメタルを高効率にて抽出することもで る。

 第1の本発明の抽出剤以外の抽出剤、つま り、一般式(1)で表される以外のチアカリック スアレンを含有するレアメタル抽出剤として は、下記一般式(2)で表されるチアカリックス アレンを含有するレアメタル抽出剤を用いる ことができる。

(式(2)中、R 1 、R 5 は水素原子又は炭素数1~10の炭化水素基であ 、R 2 は炭素数0~10の炭化水素基であり、Zはスルフ ド基、スルフィニル基、及びスルホニル基 うちのいずれかである。)

 式(2)中の、R 1 、R 2 、Zについては、上記式(1)における説明と同 である。R 5 は、水素原子又は炭素数1~10の炭化水素基で り、中でも、R 5 が水素原子、つまり、式(2)の化合物がカルボ ン酸基を有していることが好ましい。また、 R 5 は、好ましくは1~5の炭化水素基、より好まし くは1~4の炭化水素基、さらに好ましくは1~3の 炭化水素基であり、つまり、式(2)の化合物が エステル基を有していることが好ましい。

 第3の本発明の複数種類のレアメタルの連 続的抽出方法の好ましい形態としては、第一 工程において、一般式(2)で表されるチアカリ ックスアレンを含有するレアメタル抽出剤を 用いて、PdおよびZrを選択的に抽出し、その 、第二工程において、一般式(1)で表される 状フェノール硫化物誘導体を含有する本発 のレアメタル抽出剤を用いて、PdおよびZrが 去されたレアメタル含有水溶液から、Ptを 択的に抽出する方法が挙げられる。この方 によると、高価なPtを、高効率かつ容易に単 離することができる。

 以下、本発明を実施例により具体的に説 する。なお、本発明はその要旨を超えない り、以下に示す実施例の形態に限定される のではない。

 <第1実施例>
 (製造例1)環状フェノール硫化物中間体オリ マー(A)の製造

 1000mL三口フラスコに、p-tert-ブチルフェノ ール300g(2.0mol)、ジフェニルエーテル64.0ml、エ チレングリコール56.0ml(1.0mol)を入れ、窒素下 熱攪拌し、60℃に達した後、酸化カルシウ 28.0g(0.5mol)を投入し、約20分で120℃まで昇温 て2時間反応させた。反応後、エチレングリ ールと生成した水を減圧溜去した。減圧溜 の際に同時に溜去されてしまったジフェニ エーテルを追加した後、再び窒素下加熱攪 し、100℃に達した後、硫黄95.9g(3.0mol)を全量 加え、230℃まで昇温して3時間反応させた。 応終了後、放冷して110℃になったのを確認 、トルエン250mLを徐々に加えて反応液の粘性 を下げて行き、この反応液を4Nの硫酸500mL中 注いでクエンチした。析出した硫酸カルシ ムを濾過し、濾液を飽和硫酸ナトリウム水 液にて洗浄した後、濾液を濃縮し、80℃に加 温した。これを、別途準備しておいた80℃に 温した酢酸1Lに注ぎ、80℃で約1時間攪拌後 室温で一晩放置した。析出した沈殿を蒸留 にて洗浄後、未洗浄の酢酸を除くため、大 のクロロホルムに溶解させ、硫酸ナトリウ 水溶液で洗浄した。その後、有機層を硫酸 トリウムで乾燥させ、濃縮し、一晩減圧乾 させることによって、収率67.8%で環状フェノ ール硫化物中間体オリゴマー(A)を得た。

 (製造例2)環状フェノール硫化物(B)の製造

 製造例1で得られた環状フェノール硫化物 中間体オリゴマー30g、ジフェニルエーテル64. 0mL、水酸化ナトリウム3.99g、酢酸1.62gをこの に500mLの三口フラスコに入れて窒素下加熱撹 拌し、100℃で硫黄2.14gを全量加えて約1時間で 230℃まで昇温し、4時間反応させた。反応終 後放冷した後、2Nの硫酸(100mL)を反応液に注 でクエンチし、次いでn-へプタン(100mL)を加 て約10分間攪拌した。その後、無水硫酸ナト リウム水溶液で硫酸を洗浄して水層と有機層 に分け、有機層内のジフェニルエーテルを減 圧溜去し、アセトンを加えて沈殿を析出させ た。析出した沈殿を濾取して減圧乾燥するこ とによって、環状フェノール硫化物の粗結晶 を得た。この粗結晶をクロロホルムに溶解さ せて再結晶することによって、環状フェノー ル硫化物(B)を精製した。精製後の環状フェノ ール硫化物(B)の収率は11.4%であった。

 (製造例3)環状フェノール硫化物誘導体(1-1 )の製造

 α-クロロ-N,N-ジエチル-アセトアミド1.66g ヨウ化ナトリウム1.66g、アセトン30mlを300mlの 三つ口フラスコに入れ、室温で2時間攪拌を った。その後、製造例2で得られた環状フェ ール硫化物(B)1.0g、炭酸セシウム2.67g、アセ ン65ml、水5mlを添加し、窒素雰囲気下、温度 64℃で120時間加熱攪拌を行った。反応終了後 アセトンを留去して濃縮し、残渣物をクロ ホルムに溶解させ、2Nの塩酸で2回、次いで 留水にて2回洗浄を行った。得られた有機層 を硫酸ナトリウムで乾燥させ、クロロホルム を留去した。得られた残渣物にアセトンを加 え洗浄後、濾取することによって目的の環状 フェノール硫化物誘導体(1-1)を得た。収率は7 8.1%であった。

 (実施例1)環状フェノール硫化物誘導体(1-1) 用いたレアメタルの抽出分離
  製造例3で得られた環状フェノール硫化物 導体(1-1)をレアメタル抽出剤とした、レア タル抽出実験を行った。まず、上記環状フ ノール硫化物誘導体(1-1)をクロロホルムに溶 解して濃度を2.92mMとした有機層50mLと、工場 り排出されたレアメタルを数種類含む廃棄 を酸処理により水溶液化したPGM(Platinum-Group  Metals)溶液(Rh:264.3ppm,Pd:737.8ppm,Pt:434.1ppm,Zr:198.2pp m,Ce:>3840.5ppm,Ba:2118.2ppm,Al:2272.5ppm,La:666.9ppm,Y:3 6.3ppm)を蒸留水にて50倍に希釈した水層50mL(pH:0 .8)とを200mLの分液ロートに入れ、30分間浸透 拌した。その後、水層中の金属濃度をICP発 分析装置により分析し、その得られた結果 もとに抽出率(E%)を下記の式(I)にて求めた。 状フェノール硫化物誘導体と水溶液中の金 濃度はモル濃度比1:1とした。
(E%)=(C 0 -C)/C 0 ×100  式(I)
ただし、C 0  :抽出前の水層中の金属濃度(ppm)、C:抽出後 水層中の金属濃度(ppm)

 さらに、別途、PGM溶液を蒸留水にて50倍 希釈したものを、10N水酸化ナトリウム水溶 でpHを4通りに調整したもの(pH1.0、1.2、1.4、1. 6)を各50mLずつ準備し、これらについても上記 と同様の手法で抽出操作を行い、抽出率(E%) 求めた。抽出結果を図1のグラフに示す(なお 、2回の抽出結果の平均を最終結果とした(以 同様。)。)。

 図1のグラフからわかるように、各金属種 の抽出率はPGM溶液のpHによって大きく異なり pHと抽出率の関係も金属種によって異なっ いた。したがって、PGM溶液のpHを変化させる ことによって優位に抽出される金属種を変え ることができ、その結果、目的のレアメタル の抽出効率を高めることができる。例えば、 実施例1で用いたレアメタル抽出剤では、図1 グラフより、PdやPtを主に抽出したい場合は pHを1.0に調節すると最も効率よく抽出でき、 方、Zrを主に抽出したい場合には、pHを1.4や 1.6など、比較的高めに調節すると効率よく抽 出できることがわかる。

 <第2実施例>
 (製造例4)
 1000mL三口フラスコにp-tert-ブチルフェノール 300g(2.0mol)、ジフェニルエーテル64.0ml、エチレ ングリコール56.0mL(1.0mol)を入れ、窒素下加熱 拌し、60℃に達したら、酸化カルシウム28.0g (0.5mol)を投入し、約20分で120℃まで昇温させ2 間反応させた。
 反応後、エチレングリコール、生成した水 減圧溜去し、その時に同時に溜去してしま たジフェニルエーテルを追加後、窒素下加 撹拌し、100℃に達したら硫黄95.9g(3.0mol)を全 量加え、230℃まで昇温させて3時間反応させ 。
 反応終了後、放冷し温度が110℃に達したら ルエン250mLを徐々に加えて、反応液の粘性 下げていき、4Nの硫酸500mL中に反応液を注ぎ エンチした。
 析出した硫酸カルシウムを濾過し、濾液を 和硫酸ナトリウム水溶液にて洗浄後、濃縮 、80℃に加温しておいた。
 別に準備しておいた酢酸1Lを80℃に加温して おき、そこに濃縮した反応液を注ぎ、約1時 80℃で撹拌後、室温で一晩放置した。
 析出した沈殿を蒸留水にて洗浄後、未洗浄 酢酸を除くため、大量のクロロホルムに溶 させ、硫酸ナトリウム水溶液で洗浄した。
 その後、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥さ 、濃縮し、一晩減圧乾燥させ、下記式で示 れる環状フェノール硫化物中間体オリゴマ を得た。

 (製造例5)
 製造例4で得られた環状フェノール硫化物中 間体オリゴマー30g、ジフェニルエーテル64.0mL 、水酸化ナトリウム3.99g、酢酸1.62gをこの順 500mLの三口フラスコに入れ窒素下加熱撹拌し 、100℃で硫黄2.14gを全量加え約1時間で230℃ま で昇温させ、4時間反応させた。
 反応終了後、放冷し2Nの硫酸(100mL)を反応液 注ぎクエンチし、n-へプタン(100mL)を加え約1 0分間撹拌した。
 その後、無水硫酸ナトリウム水溶液で硫酸 洗浄し水層と有機層に分け、有機層内のジ ェニルエーテルを減圧溜去し、アセトンを えて沈殿を析出させた。
 析出した沈殿を濾取し減圧乾燥後、下記式 示される環状フェノール硫化物の粗結晶を た。粗結晶をクロロホルムに溶解させて再 晶化により精製を行った。

 (製造例6)
 製造例5得られた化合物1077.13mg(1mmol)、炭酸 シウム2935.71mg(9mmol)を500mLの2口フラスコに入 、窒素雰囲気にし、アセトン(100mL)を加え撹 拌した。
 その後、ブロモ酢酸エチル1335μL(12mmol)を加 加熱撹拌し、リフラックスで3時間反応させ た。
 反応終了後、濃縮しアセトンを留去した。
 その後、未反応のブロモ酢酸エチルを除く めに、60℃で数時間減圧乾燥させた。
 その後、クロロホルム(約100mL)に溶解させ、 副生成物の塩を除くために、硫酸ナトリウム 水溶液にて3回洗浄した。
 得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥さ 濃縮し、減圧下で十分乾燥させ粗生成物を た。得られた粗生成物をエタノールからの 結晶により精製を行い、下記式で示される 的物を得た。

 (製造例7)
 製造例5で得られた化合物1081.93mg(1mmol)、炭 カリウム1246.38mg(9mmol)を500mLの2口フラスコに れ、窒素雰囲気下で撹拌し、アセトン(100mL) を加えた。
 その後、ブロモ酢酸メチル1245μL(12mmol)を加 加熱撹拌し、還流状態で24時間反応させた
 反応終了後、濃縮しアセトンを留去した。 の後、未反応のブロモ酢酸メチルを除くた に、60℃で数時間減圧乾燥させた。
 その後、クロロホルム(約100mL)に溶解させ、 副生成物の塩を除くために、硫酸ナトリウム 水溶液にて3回洗浄した。得られた有機層を 酸ナトリウムで乾燥させ濃縮し、減圧下で 分乾燥させ粗生成物を得た。
 得られた組成生物をエタノールからの再結 により精製を行い、下記式で示される目的 を得た。

 (製造例8)
 製造例6で得られた化合物(1.00g,0.63mmol)、水 化ナトリウム(1.10g,27.5mmol)、エタノールと水 混合溶媒(250mL,3:2)を2口フラスコに入れ、24 間加熱還流した。
 反応終了後、放熱し氷浴下で反応溶液がpH=1 となるように4N-H 2 SO 4 (100mL)を注ぎ入れ、クエンチした。
 その後、析出した沈殿物を吸引ろ過により 取した。続いて同時に析出した硫酸ナトリ ムを除くために、アセトンに溶解させ再び 過し精製を行い、下記式で示される目的物 得た。

 (実施例2)
 製造例6~8で得られた環状フェノール硫化物 導体によるレアメタル、白金族系金属抽出 験を行った。
 抽出実験は上記環状フェノール硫化物をそ ぞれクロロホルムに溶解させ2.92mMとした有 相50mLとレアメタル、白金族系金属として自 動車触媒製造時により回収された白金族金属 を塩酸、過酸化水素水の混合溶液に浸出させ たPGM(Platinum-Group Metals)溶液(Rh 264.3ppm,Pd 737.8p pm,Pt 434.1ppm,Zr 198.2ppm,Ce >3840.5ppm,Ba 2118.2ppm ,Al 2272.5ppm,La 666.9ppm,Y 36.3ppm)を準備し、それ を蒸留水にて50倍に希釈したPGM溶液(pH:0.8)50mL 準備した。
 準備した有機相と金属水溶液を200mLの分液 ートに入れ、30分間浸透撹拌した。
 その後、水層中の金属濃度をICP発光分析装 により分析し、その得られた結果をもとに 出率(E%)を上記式(I)にて求めた。

 環状フェノール硫化物誘導体と水溶液中 金属濃度はモル濃度比1:1とした。抽出結果 図2に示す。

 この結果から、蒸留水にて50倍に希釈し 場合では、製造例8で得られたカルボン酸付 化合物は製造例6、7のエステル体付加化合 と比較してPd(74%)、Zr(90%)に対して選択的に高 い抽出能力を示した。カルボン酸付加化合物 ではPd、Zr以外の金属種についてはほとんど 出されなかった。

 製造例6で示したエチルエステル付加化合物 は特にPd(24%)、Zr(44%)に対して選択的に高い抽 能力を示した。
 製造例7で示したメチルエステル付加化合物 は特にPd(31%)、Zr(55%)に対して選択的に高い抽 能力を示した。

 (実施例3)
 製造例8で得られた環状フェノール硫化物誘 導体によるレアメタル、白金族系金属抽出実 験を行った。
 抽出実験は前記環状フェノール硫化物をそ ぞれクロロホルムに溶解させ2.92mMとした有 相50mLとレアメタル、白金族系金属として自 動車触媒製造時により回収された白金族金属 を塩酸、過酸化水素水の混合溶液に浸出させ たPGM(Platinum-Group Metals)溶液(Rh 264.3ppm,Pd 737.8p pm,Pt 434.1ppm,Zr 198.2ppm,Ce >3840.5ppm,Ba 2118.2ppm ,Al 2272.5ppm,La 666.9ppm,Y 36.3ppm)を準備し、それ を塩酸にて50倍に希釈したPGM溶液50mLを準備し た。
 準備した有機相と金属水溶液を200mLの分液 ートに入れ、30分間浸透撹拌した。
 その後、水層中の金属濃度をICP発光分析装 により分析し、その得られた結果をもとに 出率(E%)を上記式(I)にて求めた。

 環状フェノール硫化物誘導体と水溶液中 金属濃度はモル濃度比1:1とした。抽出結果 図3に示す。

 この結果より、塩酸にて50倍に希釈した 合(pH:-1.0)では、製造例8で得られたカルボン 付加化合物は全ての金属種においてほとん 抽出されなかった。

 (実施例4)
 製造例8で得られた環状フェノール硫化物誘 導体によるレアメタル、白金族系金属抽出実 験を行った。
 抽出実験は上記環状フェノール硫化物をそ ぞれクロロホルムに溶解させ2.92mMとした有 相50mLとレアメタル、白金族系金属として各 種金属(Rh,Pd,Pt,Zr,Ce,Ba,Al,La,Y)標準溶液(100ppm)を 酸にて10倍に希釈した溶液50mLを準備した。
 準備した有機相と金属水溶液を200 mLの分液 ロートに入れ、30分間浸透撹拌した。
 その後、水層中の金属濃度をICP発光分析装 により分析し、その得られた結果をもとに 出率(E%)を上記式(I)にて求めた。

 環状フェノール硫化物誘導体と水溶液中 金属濃度はモル濃度比1:1とした。抽出結果 図4に示す。

 この結果より、塩酸にて10倍に希釈した 合(pH:-1.0)では、製造例8で得られたカルボン 付加化合物はBaに対して50%の抽出能力を示 た。その他の金属種に関してはほとんど抽 能力は認められなかった。

 (pHを変化させた連続的抽出)
 本発明では、上記した本発明の抽出剤を用 て、レアメタルの連続的抽出を行うことが きる。例えば、実施例1において、まず、pH1 .2~1.6で抽出を行い、これにより、Rh、Pd、Zrを 選択的に優位に抽出する。その後、これらレ アメタルの濃度が減少した溶液から、pH1.0に いて抽出を行い、これにより、Ptを選択的 優位に抽出することができる。

 (抽出剤を変化させた連続的抽出)
 抽出剤を変化させた連続的抽出としては、 ずは、実施例2の抽出剤を用いて実施例2の 件にて抽出を行い(カルボン酸付加物、エチ エステル、メチルエステルのいずれでもよ 。)、これにより、Pd、Zrを選択的に優位に 出する。その後、これらレアメタルの濃度 減少した溶液から、実施例1の抽出剤を用い 抽出を行うことにより、Ptを選択的に優位 抽出することができる。なお、抽出剤の変 と共に、溶液のpHを変更してもよい。

 (比較例)
 ウランの溶媒抽出用抽出剤であるリン酸ト ブチル(TBP)と、レアアース、Ni、Zr等の抽出 であるジ(2-エチルヘキシル)リン酸(D2EHPA)と 用いてPGM水溶液からのレアメタル抽出を行 た。
 抽出実験は、TBPまたはD2EHPAをケロシンを用 て、各濃度が30質量%となるように希釈して 機相50mLとした以外は、実施例2と同様にし 行った。
 抽出結果を図5に示す。図5より、一般的な 出剤(TBP、D2EHPA)はPdに関して約55%、その他Ce Baに関して抽出が認められるが、明らかな選 択性や高効率は認められない結果であった。 なお、図5中では、D2EHPAをDPAと表示している

 以上、現時点において、最も実践的であ 、かつ、好ましいと思われる実施形態に関 して本発明を説明したが、本発明は、本願 細書中に開示された実施形態に限定される のではなく、請求の範囲及び明細書全体か 読み取れる発明の要旨あるいは思想に反し い範囲で適宜変更可能であり、そのような 更を伴うレアメタル抽出剤及びレアメタル 連続的抽出分離方法もまた本発明の技術的 囲に包含されるものとして理解されなけれ ならない。

 本発明のレアメタル抽出剤を用いること より、様々な廃棄物を水溶液化して得られ レアメタル含有水溶液から、特定のレアメ ルを分離抽出でき、該レアメタルは、自動 用触媒、燃料電池、超強力磁石等の材料と て有用である。




 
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