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Patent Searching and Data


Title:
REACTOR CORE AND REACTOR
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/087885
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is an annular reactor core formed by a U-shaped core and core legs. The U-shaped core is formed by core joints (5a, 5b) including end portions (11a, 12a) and two protrusions (21a, 23a; 22a, 24a). A plurality (two) of core legs (6) formed by core blocks (31a, 32a) are arranged between the protrusions of the core joints (5a, 5b) so that there is a gap from the protrusions. The ratio A/B of the length A of the protrusions (21a, 23a; 22a, 24a) of the core joints against the average length B of core blocks (31a, 32a) constituting the core legs in the magnetic path direction is optimized to be not smaller than 0.3 and not greater than 0.8, thereby suppressing increase of the copper loss caused by a leak magnetic flux of the gap portions.

Inventors:
ABE TORU (JP)
HAMAKAKE HIROKI (JP)
KIKUCHI KEIKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/050182
Publication Date:
July 24, 2008
Filing Date:
January 10, 2008
Export Citation:
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Assignee:
HITACHI METALS LTD (JP)
ABE TORU (JP)
HAMAKAKE HIROKI (JP)
KIKUCHI KEIKO (JP)
International Classes:
H01F27/24; H01F37/00
Foreign References:
JP2003045724A2003-02-14
JP2005050918A2005-02-24
JP2005310988A2005-11-04
JP2005347626A2005-12-15
JPH0336708A1991-02-18
JP2005019764A2005-01-20
Attorney, Agent or Firm:
OHNO, Seiji et al. (Kasumigaseki Building 36F 2-5, Kasumigaseki 3-chom, Chiyoda-ku Tokyo 36, JP)
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Claims:
 2つの対向する磁心継部と、前記磁心継部の間に配置された複数の磁心脚部からなる環状のリアクトル磁心であって、
 前記磁心継部は前記磁心脚部に向けた突出部を有し、
 前記磁心脚部は一体の磁心ブロックから構成され、
 前記磁心脚部と前記磁心継部との間にはギャップが形成されており、
 前記磁心継部の突出部の長さAと前記磁心脚部の磁路方向の平均長さBとの比A/Bが0.3以上8.0以下であることを特徴とするリアクトル磁心。
 前記磁心継部及び前記磁心脚部が、磁性粉末と樹脂を含む圧粉体からなる請求項1に記載のリアクトル磁心。
 前記圧粉体の透磁率が200以下である請求項2に記載のリアクトル磁心。
 請求項1に記載のリアクトル磁心を用いたリアクトルであって、前記磁心脚部の周囲にコイルが巻回されているリアクトル。
 パワーコンディショナ用である請求項4に記載のリアクトル。
 2つの対向する磁心継部と、前記磁心継部の間に配置された複数の磁心脚部からなる環状のリアクトル磁心であって、
 前記磁心継部は前記磁心脚部に向けた突出部を有し、
 前記磁心脚部は前記磁心継部との間にギャップが形成されるとともに、2個の磁心ブロックから構成され、
 前記磁心継部の突出部の長さAと前記磁心ブロックの磁路方向の平均長さBとの比A/Bが、0.8以上1.5以下であることを特徴とするリアクトル磁心。
 前記磁心継部及び前記磁心脚部が、磁性粉末と樹脂を含む圧粉体からなる請求項6に記載のリアクトル磁心。
 前記圧粉体の透磁率が200以下である請求項7に記載のリアクトル磁心。
 請求項6に記載のリアクトル磁心を用いたリアクトルであって、前記磁心脚部の周囲にコイルが巻回されているリアクトル。
 ハイブリッド自動車用である請求項9に記載のリアクトル。
 2つの対向する磁心継部と、前記磁心継部の間に配置された複数の磁心脚部からなる環状のリアクトル磁心であって、
 前記磁心継部は前記磁心脚部に向けた突出部を有し、
 前記磁心脚部は前記磁心継部との間にギャップが形成されるとともに、n個(nは3以上の整数)の磁心ブロックから構成され、
 前記磁心継部の突出部の長さAと前記磁心ブロックの磁路方向の平均長さBとの比A/Bが、0.3以上4.0以下であることを特徴とするリアクトル磁心。
 前記nが3であり、前記A/Bが、0.6以上2.4以下である請求項11に記載のリアクトル磁心。
 前記nが4であり、前記A/Bが、0.5以上3.5以下である請求項11に記載のリアクトル磁心。
 前記nが5であり、前記A/Bが、0.6以上3.3以下である請求項11に記載のリアクトル磁心。
 前記磁心継部及び磁心脚部が、磁性粉末と樹脂を含む圧粉体からなる請求項11に記載のリアクトル磁心。
 前記圧粉体の透磁率が200以下である請求項15に記載のリアクトル磁心。
 請求項11に記載のリアクトル磁心を用いたリアクトルであって、前記磁心脚部の周囲にコイルが巻回されているリアクトル。
 ハイブリッド自動車用である請求項17に記載のリアクトル。
Description:
リアクトル磁心およびリアクト

 本発明は、電源回路、特にハイブリッド自 車に用いられるリアクトル磁心、およびリ クトルに関するものである。
背景技術

 電源回路用リアクトルの磁心としては、3つ に大別することができる。数十kHz以下の領域 では、珪素鋼板、アモルファス軟磁性薄帯、 ナノ結晶質軟磁性薄帯などが磁心材として主 に用いられている。これらの磁心材は鉄を主 成分とし、飽和磁束密度B s と透磁率μが大きいという長所をもつが、珪 鋼板は高周波磁心損失が大きいという欠点 有し、アモルファス軟磁性薄帯とナノ結晶 軟磁性薄帯は、磁心形状が巻磁心形状や積 磁心形状などに制約され、後述するフェラ トのような種々の形状には成型し難い欠点 有する。

 数十kHz以上の領域では、Mn-Zn系やNi-Zn系に代 表されるフェライト磁心が広く用いられてい る。このフェライト磁心は、高周波磁心損失 が小さく、また成形が比較的容易なため、種 々の形状を大量生産できる特長を有する。し かしながら、飽和磁束密度B s が前述の珪素鋼板やアモルファス軟磁性薄帯 、ナノ結晶質軟磁性薄帯の4分の1から2分の1 度しかないため、大電流用リアクトルでは 気飽和を避けるために磁心断面積が大きく る。

 数kHzから数百kHzまでの領域に用いられる のとして圧粉磁心がある。圧粉磁心は、磁 粉末の表面を絶縁処理したのち加工成形し もので、絶縁処理により渦電流損失の発生 抑制されている。

 最近、急速に普及しはじめたハイブリッド 動車では、大出力の電気モータを有してお 、これを駆動する電源回路には高電圧大電 に耐えるリアクトルが用いられている。ま 、パワーコンディショナなどにも同様のリ クトルが用いられている。このリアクトル は小型化、低騒音化、低損失化の要求が強 、リアクトルに用いられる磁心材の磁気特 としては、高い飽和磁束密度B s と適切な範囲の透磁率μ r が要求される。以下に、ここでいう適切な範 囲の透磁率μ r について説明する。

 磁界Hと磁束密度Bには、B=μ 0 μ r Hの関係がある。ここでμ 0 は真空中の透磁率を示し、磁界Hはリアクト に流れる電流に比例する。このため、透磁 の高い磁心材では小さなリアクトル電流で 飽和磁束密度B s に達して、磁心飽和を起こす。よって、従来 はリアクトル磁心材として高い飽和磁束密度 B s の磁性材を用い、この磁心材に空隙を設けて 実効的な透磁率(実効透磁率)μ re を低くし、巻線数との調整により必要なイン ダクタンスを得る設計がなされている。例え ばハイブリッド自動車用リアクトルでの実用 的な実効透磁率μ re はおおよそ10から50までの範囲内であり、パ ーコンディショナ用リアクトルでの実用的 実効透磁率μ re はおおよそ30から100までの範囲内にあり、前 の圧粉磁心を用いることが好ましい。

 大電流用のリアクトル磁心には、飽和磁束 度B s が高く低損失の磁性材が用いられる。一般に 、飽和磁束密度B s が高く低損失な磁性材は透磁率も高いため、 リアクトル磁心に用いる場合にはギャップ( 隙)を設ける。このギャップを構成する部材 透磁率は略1であることから、ギャップでは 磁束が磁路の外側に漏れ出るフリンジング磁 束が生じる。このため、ギャップ近傍のコイ ル表面に渦電流が生じ、損失が増大するとい う問題点がある。

 例えば、特開2005-50918号公報(特許文献1)に は、圧粉磁心を用いた円環状リアクトル磁心 が一例として開示されている。このリアクト ル磁心は、フリンジング磁束による損失増大 を抑えるために、一箇所当りのギャップ長を 小さくした複数ギャップ構造が用いられてお り、計6箇所のギャップを有するリアクトル 心が記載されている。また、計8箇所のギャ プを有するリアクトル磁心を開示するもの しては特開2005-19764号公報(特許文献2)などが ある。さらに、特開2003-45724号公報(特許文献3 )には、磁心脚部が一体的に作られた円環状 アクトル磁心が一例として開示されている このリアクトル磁心は、磁心脚部を薄板材 打抜き加工を施して積層することを前提に たものであり、打抜き材同士を積層する際 接着強度や積層枚数についての検討がなさ ている。

 これら、複数ギャップ構造を用いたリアク ル磁心に関しては他にも特許出願がなされ いるが、その形状については詳細な検討は されていない。従来の複数ギャップ構造の アクトル磁心、リアクトルでは、ギャップ らコイルへ磁束が漏れ、銅損が増大しやす という問題がある。例えば、特許文献2(特 2005-19764号公報)などでは、計8箇所のギャッ を有するリアクトル磁心が開示されている 、銅損を抑えるための技術的配慮はなされ おらず、検討の余地がある。よって本発明 、各磁心部の形状を最適化し銅損の増大を 力抑制したものを提供することを課題とす 。
課題を解決するための手段

 上述のような課題を解決するために、第1 の発明は、2つの対向する磁心継部と、前記 心継部の間に配置された複数の磁心脚部か なる環状のリアクトル磁心であって、前記 心継部は前記磁心脚部に向けた突出部を有 、前記磁心脚部は一体の磁心ブロックから 成され、前記磁心脚部と前記磁心継部との にはギャップが形成されており、前記磁心 部の突出部の長さAと前記磁心脚部の磁路方 の平均長さBとの比A/Bが0.3以上8.0以下である ことを特徴とする。

 前記リアクトル磁心は、磁性粉末と樹脂 含む圧粉体で形成されているものが好まし 。また、この圧粉体の透磁率は200以下であ ことが好ましい。

 かかる構成のリアクトル磁心を用い、前 磁心脚部の周囲にコイルを巻回させたリア トルとすることができる。このようなリア トルは、パワーコンディショナ用リアクト として特に有用である。

 また、第2の発明は、2つの対向する磁心 部と、前記磁心継部の間に配置された複数 磁心脚部からなる環状のリアクトル磁心で って、前記磁心継部は前記磁心脚部に向け 突出部を有し、前記磁心脚部は前記磁心継 との間にギャップが形成されるとともに、2 の磁心ブロックから構成され、前記磁心継 の突出部の長さAと前記磁心ブロックの磁路 方向の平均長さBとの比A/Bが、0.8以上1.5以下 あることを特徴とする。

 この場合も、前記リアクトル磁心は、磁 粉末と樹脂を含む圧粉体で形成されている のが好ましい。また、この圧粉体の透磁率 200以下であることが好ましい。

 かかる構成のリアクトル磁心を用い、前 磁心脚部の周囲にコイルを巻回させたリア トルとすることができる。このようなリア トルは、ハイブリッド自動車(HEV)用リアク ルとして特に有用である。

 また、第3の発明は、2つの対向する磁心 部と、前記磁心継部の間に配置された複数 磁心脚部からなる環状のリアクトル磁心で って、前記磁心継部は前記磁心脚部に向け 突出部を有し、前記磁心脚部は前記磁心継 との間にギャップが形成されるとともに、n (nは3以上の整数)の磁心ブロックから構成さ れ、前記磁心継部の突出部の長さAと前記磁 ブロックの磁路方向の平均長さBとの比A/Bが 0.3以上4.0以下であることを特徴とする。

 ここで、nが3の場合には、前記A/Bは0.6以 2.4以下であることが好ましい。また、nが4の 場合には、前記A/Bは0.5以上3.5以下であること が好ましい。さらに、nが5の場合には、前記A /Bは0.6以上3.3以下であることが好ましい。

 この場合も、前記リアクトル磁心は、磁 粉末と樹脂を含む圧粉体で形成されている のが好ましい。また、この圧粉体の透磁率 200以下であることが好ましい。

 かかる構成のリアクトル磁心を用い、前記 心脚部の周囲にコイルを巻回させたリアク ルとすることができる。このようなリアク ルも、ハイブリッド自動車(HEV)用リアクト として特に有用である。
発明の効果

 本発明によれば、ギャップ部の漏れ磁束 よる銅損の増大を抑制した高効率のリアク ル磁心、およびリアクトルを得ることがで る。

本発明に係るリアクトルの磁心全体を す図である。 磁心継部の突出部を説明するための模 図である。 磁心継部の端部の形状を説明するため 図である。 本発明に係るリアクトル(ブロック数=1) のコイル交流抵抗と比A/Bの関係を示す特性図 である。 実施例2のリアクトルのコイル交流抵抗 と比A/Bの関係を示す特性図である。 実施例3のリアクトルの磁心全体を示す 図である。 実施例3のリアクトル(ブロック数=2)の イル交流抵抗と比A/Bの関係を示す特性図で る。 実施例4のリアクトルの磁心の寸法関係 を示す模式図である。 実施例4のリアクトル内の各I型磁心ブ ックの寸法を変えたときのコイル交流抵抗 比A/Bの関係を示す特性図である。 実施例5のリアクトルの磁心全体を示 図である。 実施例5のリアクトル(ブロック数=3)の イル交流抵抗と比A/Bの関係を示す特性図で る。 実施例6のリアクトルの磁心の寸法関 を示す模式図である。 実施例6のリアクトル内の各I型磁心ブ ックの寸法を変えたときのコイル交流抵抗 比A/Bの関係を示す特性図である。 実施例7の磁心ブロック数が異なる各 アクトル磁心の模式図である。 実施例7のI型磁心ブロックの数を変え とき(ブロック数=3,4,5)のコイル交流抵抗と A/Bの関係を示す特性図である。発明を実施 るための最良の形態

 図1は、本発明に係るリアクトルの磁心全 体を例示するための図である。このリアクト ル磁心は、U字状磁心と磁心脚部とで構成さ る環状のリアクトル磁心で、端部11aと2つの 出部21a及び23aからなる磁心継部5aが一方のU 状磁心であり、端部12aと2つの突出部22a及び 24aからなる磁心継部5bが他方のU字状磁心であ る。

 本発明は、磁心継部5a及び5bに、複数(2つ) の磁心脚部6に向けて突出した突出部(21a及び2 3a、22a及び24a)を設け、この突出部の長さAと 心脚部を構成する磁心ブロック(31a及び32a)の 磁路方向の平均長さBとの比A/Bを適切化する ととすると、銅損の増大を容易に抑制可能 なるとの新たな知見に基づくものである。

 すなわち、上述の比A/Bが小さすぎる場合 、磁心継部(5a、5b)の一方の突出部(21a、22a) ら磁心継部6を介して他方の突出部(23a、24a) 流れるまでの磁束の還流が停滞しやすく、 外部ギャップでの漏れ磁束量が大きくなり コイル交流抵抗が増大する。一方、比A/Bが きすぎる場合は、磁心継部の突出部が長い めに磁心脚部の複数のギャップが中央に集 して配置されるため、この部分の磁気抵抗 大きくなり、全体的にフリンジング磁束量 大きくなって、コイル交流抵抗が増大する

 従って、比A/Bを所定範囲に設定すること 、フリンジング磁束が小さくなり、コイル 生じる渦電流損失を小さくすることができ 。また、この磁心を用いることにより、低 失のリアクトルを実現できる。比A/Bの範囲 磁心脚部のブロック数(n)により変わるが、 の値は上述のように0.3~8.0の範囲にある。

 図2(A)~(C)は、上記比A/Bを求める際の磁心 部の「突出部の長さA」をより詳しく説明す ための図である。図2(A)に図示した略U型形 の磁心継部5aの場合には、磁心継部の谷の部 分から対向する磁心継部側へ突出している部 位の長さが「突出部の長さA」となる。また 図2(B)に図示したような内径側が円弧形状の 心継部5bの場合は、他端に設けられている 心継部(不図示)から最も離れた部分である谷 部7からの突出長を「突出部の長さA」とする さらに、図2(C)に図示した場合のように、磁 心ブロック(61、62)の両端に設けられた磁心継 部(51c、52c)の各突出部の長さ(A1乃至A4)が異な 場合には、各突出部の長さの平均値([A1+A2+A3 +A4]/4)を「突出部の長さA」とする。

 なお、本発明において、「磁心ブロック 磁路方向の平均長さB」とは、各磁心ブロッ クの長さの平均値とする。

 突出部の磁路方向の断面積と、磁心ブロ クの磁路方向の断面積は同じになるように ることが好ましい。断面積が同じであれば その間のギャップで漏洩磁束が発生しづら 、銅損の増加を抑制できる。

 また、磁心継部の磁路方向の断面積は、 出部の磁路方向の断面積、磁心ブロックの 路方向の断面積と同じか、それよりも大き ことが好ましい。この寸法で形成すること 、上記と同様に、銅損の増加を抑制できる

 また、磁心ブロックは、磁心の組み立て 、プレス成形を容易にするために直方体状 I型磁心ブロックとすることが好ましい。台 形形状などのものを適用した場合、磁心ブロ ックの磁路方向の平均長さBは、磁路の中央 (磁路断面の重心部)に沿った長さである。

 検討の結果、磁心ブロックの数により、 適な比A/Bが変わることがわかった。詳細は 施例にて述べるが、ブロック数(n)が1である 場合、磁心継部の突出部の長さAと磁心ブロ クの磁路方向長さBとの比A/Bが、0.3以上8.0以 であることが好ましい。磁心継部に突出部 設けない場合(比A/B=0の場合)に比べて、40%以 上もコイル交流抵抗を低下できる。

 さらに、比A/Bは0.5以上4.0以下であること 好ましい。この範囲とすることで、45%以上 コイル交流抵抗を低下できる。さらに好ま い比A/Bは0.7以上2.3以下である。この範囲と ることで、50%以上もコイル交流抵抗を低下 きる。特に、ギャップの幅を全て足した長 が磁路長に対して1~3%であると、上記値に相 当するコイル交流抵抗の低下効果が得られる 。

 また、ブロック数(n)が2である場合、磁心 継部の突出部の長さAと磁心ブロックの磁路 向長さBとの比A/Bが、0.8以上1.5以下であるこ が好ましい。磁心継部に突出部を設けない 合(比A/B=0の場合)に比べて、50%以上もコイル 交流抵抗を低下できる。さらに、比A/Bは0.9以 上1.3以下であることが好ましい。

 ブロック数(n)が3である場合、磁心継部の 突出部の長さAと磁心ブロックの磁路方向長 Bとの比A/Bが、0.6以上2.4以下であることが好 しい。磁心継部に突出部を設けない場合(比 A/B=0の場合)に比べて、30%以上もコイル交流抵 抗を低下できる。さらに、比A/Bは0.8以上2.0以 下であることが好ましい。この範囲とするこ とで、35%以上もコイル交流抵抗を低下できる 。

 磁心ブロック数(n)が4である場合、磁心継 部の突出部の長さAと磁心ブロックの磁路方 長さBとの比A/Bが、0.5以上3.5以下であること 好ましい。磁心継部に突出部を設けない場 (比A/B=0の場合)に比べて、15%以上もコイル交 流抵抗を低下できる。さらに、比A/Bは0.8以上 2.2以下であることが好ましい。この範囲とす ることで、20%以上もコイル交流抵抗を低下で きる。

 磁心ブロック数(n)が5である場合、磁心継 部の突出部の長さAと磁心ブロックの磁路方 長さBとの比A/Bが、0.6以上3.3以下であること 好ましい。磁心継部に突出部を設けない場 (比A/B=0の場合)に比べて、13%以上もコイル交 流抵抗を低下できる。さらに、比A/Bは0.8以上 2.8以下であることが好ましい。この範囲とす ることで、15%以上もコイル交流抵抗を低下で きる。

 上述のリアクトル磁心は、軟磁性粉末と樹 を含む圧粉体で形成されているものが好ま い。樹脂によって軟磁性粉末が各々絶縁さ ることで、鉄損の小さいリアクトル磁心と ることができる。一般に、リアクトル磁心 の材料としては、珪素鋼板、アモルファス 磁性薄帯、ナノ結晶質軟磁性薄帯など既知 材料を積層したものが適用されているが、 れらの積層体を用いた場合には、その透磁 μ r が軟磁性粉末の圧粉体の透磁率と異なるため に、磁心継部の突出部の長さAと磁心ブロッ の磁路方向長さBとの比A/Bの範囲が大きく異 るものとなってしまう。

 上述の磁性粉末は、例えば純鉄の粉、Fe-Si 金粉、Fe-Al合金粉、Fe-Si-Al合金粉、Fe-Ni合金 、Fe-Co合金粉、アモルファス軟磁性粉、ナノ 結晶質軟磁性粉などを例示することができる 。なお、これらは各々単独でまたは適宜組合 せた粉末でも良い。これら磁性粉末の圧粉体 の透磁率μ r は、最大でも200以下の範囲であるので、本発 明で規定する寸法比でリアクトル磁心を構成 することで、銅損の小さい高効率のリアクト ルが得られる。磁性粉末の透磁率μ r は、150以下、さらには100以下であることが好 ましい。

 本発明で用いる樹脂は、上記の磁性粉の 面を被覆して粉末相互間を絶縁状態にして 心全体の交流磁化に対する渦電流損が大き ならないように充分な電気抵抗を付与せし ると同時に、これら粉末を結着するバイン としても機能するものである。このような 脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリ ミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル 脂など各種の樹脂が挙られ、これらは単独 たは適宜組合せて使用しても良い。

 本発明で用いる圧粉体の磁心の成型方法 しては、上記の磁性粉末と樹脂の混合物を 旦液状化した後に注型して硬化させる注型 、金型中に射出成型することにより成型す 射出成型法、金型中に磁性粉末と有機物又 無機物からなる結合材の混合物を充填し加 して圧粉磁心を成型するプレス成型法など ある。

 磁心継部と磁心脚部との間のギャップ(G) 、磁気的に空隙部と同等の透磁率を持つ部 であり、エアギャップだけでなく、樹脂な の非磁性材による板状部材などでも良い。 の板状部材により位置決めを容易に行うこ ができる。

 磁心継部と磁心脚部の太さは、最終製品 リアクトルの寸法、および必要なリアクト 特性により適宜決めるものである。積層鋼 を用いたリアクトルでは、各部の積層方向 小さくして、鋼板の積層枚数を減らすなど 考慮が必要となる。本発明のような圧粉体 適用したものは、それらの懸念事項を考慮 ることなく自在に設計が可能である。

 リアクトル磁心高さをh、各部の磁路に直 交する幅をdとすると、磁路に直交する断面 sは(h×d)となる。特に、磁心脚部は周囲にコ ルを巻く必要があるため、磁心脚部の周長 短い方が好ましい。よって、同じ断面積sを 得るにしても、高さhと幅dは近い値であるほ 周長が短くなる。これにより、巻き回すコ ル長が短くて済み、コスト削減になるとと に、軽量化にも繋がる。但し、上述したよ に、これらの寸法比は要望される最終製品 しての収納性に併せる必要がある。

 次に本発明を実施例によって具体的に説 するが、これら実施例により本発明が限定 れるものではない。

 [実施例1]
 本発明のリアクトル磁心として、まず図1に 示す形状の環状リアクトル磁心を作成した。 図1中、磁心継部5aは、端部11a、および突出部 21a、23aからなるU字状磁心であり、他端に備 られた磁心継部5bは、端部12a、および突出部 22a、24aからなるU字状磁心である。端部11aと 出部21a、23aは固着させて、磁気的に一体の 心継部5aとした。同様に、端部12aと突出部22a 、24aを固着させて、磁気的に一体の磁心継部 5bとしている。尚、端部(11a、12a)と突出部(21a 23a:22a、24a)は別々に構成した後固着される 合のほか、最初から一体のものとして構成 てもよい。

 図3は端部11aの形状を説明するための図で 、この図において、hは端部11aの高さ、wは端 11aの縦幅、dは端部11aの横幅、そしてrは端 11aの曲面である。

 磁心継部(5a、5b)の間には、ギャップG1a~G4a を介して、2本のI型磁心ブロック31a及び32aが 置され、これら2本のI型磁心ブロック(31a、3 2a)が磁心脚部6となる。なお、ギャップG1a~G4a 、板状セラミックのギャップ材(不図示)に り埋められている。このギャップG1a~G4aの長 を全て足した総ギャップ長は、5.4mmとした なお、各ギャップの幅は一定としている。

 磁心継部(5a、5b)と磁心脚部のI型磁心ブロッ ク(31a、31b)には、Fe-6.5%Si系合金粉にカオリン1 .5重量部、水ガラス1.5重量部を添加したもの 用い、常温にて成形圧力1200MPaで圧縮成形し 、その後に窒素雰囲気中で成形体に温度1073K 熱処理を施したものである。この圧粉体の 磁率μ r は50であった。磁心継部の端部間距離(11aと12a の間の距離)は85.2mmとした。ここで、上記の 心継部の端部間距離は、突出部21a、突出部22 a、ギャップG1、ギャップG2、及びI型磁心ブロ ック31aの各長さの総計である。

 磁心継部5a、5bの端部11a、12aは、突出部21a ~24aが固着される反対側の形状は、磁路にそ て円弧を描くように外部が丸くなっている 状とした。この端部11a、12aと、突出部21a~24a および磁心脚部6のI型磁心ブロック31a、32a 磁路に直交する断面積は全て同じになるよ にした。端部11a、12aの寸法は、高さhを32mm、 縦幅wを60mm、横幅dを20.5mmとし、端部の曲面r 半径20.5mmである。

 また、突出部21a、22aの長さAと、I型磁心 ロック31a、32aの長さBを変えた各リアクトル 心を作製した。なお、磁路長が一定になる うに磁心継部の端部間距離(突出部21a、22a、 ギャップG1a、ギャップG2a、I型磁心ブロック31 aの各長さの総計)を一定の85.2mmとした。また ギャップ長(G1a~G4aの各間隔の総計)も一定の5 .4mm(片側2.7mm)とした。

 このリアクトル磁心の磁心脚部に同一線 の76回巻コイルを装着し、直流重畳電流20A でインダクタンス約450μHとなるリアクトル 作製し、比A/Bによりコイル交流抵抗がどの うに変わるかを比較した。比較した各々の アクトルでの、突出部の長さA、I型磁心ブロ ックの長さB、寸法比A/B、コイル交流抵抗の を表1に示す。表1のコイル交流抵抗は、上記 リアクトルの直列抵抗を、プレシジョンLCRメ ータ4284A(アジレント社製)の測定器を使用し 電圧レベル0.5V、周波数10kHzで測定したもの ある。なお、76回巻コイルのみの交流抵抗は 0.121オームであった。

 図4は、表1の比A/Bとコイル交流抵抗の関 をグラフにして示す図である。この図から コイル交流抵抗は比A/Bが1.2近傍で最小にな ことが解った。比A/Bが0.6~3の範囲内でコイル 交流抵抗は0.2オーム以下になる。

 上述した実施例における磁心継部は、外 の2つの角面は半径rが20.5mmの曲面となって るが、磁心継部が直方体形状の場合であっ も、比A/Bとコイル交流抵抗には同様の傾向 認められた。

 [実施例2]
 実施例1と同様の形状にして、環状リアクト ル磁心を作製した。実施例1のリアクトルに して、ギャップ長(G1a~G4aを足した長さ)を倍 し、10.8mm(片側5.4mm)とした。各ギャップの幅 一定とした。磁心継部11a、12a間の距離(突出 部21a、22a、ギャップG1a、G2a、I型磁心ブロッ 31aを足した長さ)は、87.9mmとした。端部11a、1 2aの形状は実施例1と同じである。また、各I 磁心ブロック31a、32a、突出部21a、22aの形状 実施例1と同様にして、表1に示すものと同じ 形状で環状リアクトル磁心を作製した。

 このリアクトル磁心の磁心脚部に、実施 1と同様にして、同一線材の76回巻コイルを 着し、直流重畳電流60A時でインダクタンス 275μHとなるリアクトルを作製し、比A/Bによ コイル交流抵抗がどのように変わるかを比 した。比較した各々のリアクトルでの、突 部の長さA、I型磁心ブロックの長さB、寸法 A/B、コイル交流抵抗の値を表2に示す。

 図5は、表2の比A/Bとコイル交流抵抗の関 をグラフにして示す図で、この図には実施 1の結果(表1)も併せて示してある。総ギャッ 長が長くなったためにコイル交流抵抗の値 、実施例2のリアクトル磁心の方が大きくな ってはいるが、比A/Bの値とコイル交流抵抗と の増減の関係については実施例1と同様であ 。

 [実施例3]
 図6は、本実施例で作製した環状リアクトル 磁心を説明するための図である。図6中、磁 継部5aは、端部11b、および突出部21b、23bから なるU字状磁心であり、他端に備えられた磁 継部5bは、端部12b、および突出部22b、24bから なるU字状磁心である。このときの端部11b(お び12b)の形状は、既に図3に示した通りであ 。

 長さがB1のI型磁心ブロック(31b、33b)と長 がB2のI型磁心ブロック(32b、34b)が設けられた 磁心脚部6は、磁心継部5a及び5bとの間にそれ れギャップGを形成している。I型磁心ブロ ク31b~34bは、突出部21b~24bと同じ断面寸法形状 をもち、2つずつ(31bと32b、及び、34bと35b)直列 させて配置され、突出部21bと22bの間にギャッ プG1b、G2b、及びG3bが形成され、突出部23bと24b の間にギャップG4b、G5b、及びG6bが形成されて いる。なお、図示はしないが、ギャップG1b~G6 bには、板状セラミックがギャップ材として 用されている。このギャップG1b~G6bの長さを て足した総ギャップ長は、10.8mmとした。各 ャップの幅は一定とした。

 磁心継部5a、5bと磁心脚部6の各I型磁心ブロ ク31b~34bには、Fe-6.5%Si系合金粉にカオリン1.5 重量部、水ガラス1.5重量部を添加したものを 用い、常温にて成形圧力1200MPaで圧縮成形し その後に窒素雰囲気中で成形体に温度1073Kの 熱処理を施したものである。この圧粉体の透 磁率μ r は50であった。

 磁心継部の端部間距離(11bと12bの間の距離 )は87.9mmとした。ここで、上記の磁心継部の 部間距離は、突出部21b、突出部22b、ギャッ G1b、ギャップG2b、G3b、及びI型磁心ブロック3 1b、及びI型磁心ブロック32bの各長さの総計で ある。

 磁心継部5aの端部11b、12bは、突出部21b~24b 固着される反対側の形状は、磁路にそって 弧を描くように外部が丸くなっている形状 した。この端部11b、12bと、突出部21b~24b、お よび磁心脚部6のI型磁心ブロック31b~34bの磁路 に直交する断面積は全て同じになるようにし た。端部11bの寸法は、高さhを32mm、縦幅wを60m m、横幅dを20.5mmとし、端部は半径rが20.5mmの曲 面である。また、突出部21b~24bの寸法は、長 Aが16.5mm、高さが32mmである。突出部の長さA I型磁心ブロックの磁路方向の平均長さBとの 比A/Bは1.0である。これは、下記の表3中の番 1-4に対応している。

 また、突出部21b、22bの長さAと、各I型磁 ブロックの長さB(I型磁心ブロック31b又は33b 長さとI型磁心ブロック32b又は34bの長さの平 値)を変えた各リアクトル磁心を作製した。 磁路長が一定になるように磁心継部11b、12b間 の距離(突出部21b、22b、ギャップG1b~G3b、I型磁 心ブロック31b、32bを足した長さ)は一定の87.9m mとした。ギャップ長(G1b~G6bを足した長さ)も 定の10.8mm(片側5.4mm)とした。このリアクトル 心の磁心脚部に同一線材の76回巻コイルを 着し、直流重畳電流60A時でインダクタンス 275μHとなるリアクトルを作製し、比A/Bによ コイル交流抵抗がどのように変わるかを比 した。

 表3に、各々のリアクトルでの、突出部の 長さA、I型磁心ブロックの長さB、寸法比A/B、 コイル交流抵抗の値を示す。表3に示したコ ル交流抵抗は、上記のリアクトルの直列抵 を、プレシジョンLCRメータ4284A(アジレント 製)の測定器を使用し、電圧レベル0.5V、周波 数10kHzで測定したものである。なお、76回巻 イルのみの交流抵抗は0.121オームであった。

 図7は、表3に示した比A/Bとコイル交流抵 の関係をグラフにしたものである。図7から コイル交流抵抗は、比A/Bが1.2近傍で最小に ることが解った。比A/Bが0.8~1.5の範囲内でコ イル交流抵抗は0.310オーム以下になる。また 比A/Bが0.9~1.3の範囲内でコイル交流抵抗は0.3 0オーム以下になる。

 上述した実施例における磁心継部は、外 の2つの角面は半径rが20.5mmの曲面となって るが、磁心継部が直方体形状の場合であっ も、比A/Bとコイル交流抵抗には同様の傾向 認められた。

 [実施例4]
 本実施例では、実施例3の環状リアクトル磁 心の磁心脚部6の2つのI型磁心ブロック(31bと32 b、33bと34b)の寸法を変えることにより、比A/B コイル交流抵抗との関係がどのように変化 るかを検討した。

 図8は、本実施例で作製した環状リアクト ル磁心を説明するための図である。図6に示 たものと同様に、磁心継部5aは、端部11b、お よび突出部21b、23bからなるU字状磁心であり 他端に備えられた磁心継部5bは、端部12b、お よび突出部22b、24bからなるU字状磁心である なお、このときの端部11b(および12b)の形状は 、既に図3に示した通りである。

 磁心脚部6は、I型磁心ブロック31b及び32b 直列させた列と、I型磁心ブロック33b及び34b 直列させた列とで形成されている。ここで I型磁心ブロック31bとI型磁心ブロック32bの さの比は1.5:1、I型磁心ブロック33bとI型磁心 ロック34bの長さの比は1:1.5であり、図6に示 たのと同様のギャップが形成されるように 置されている。

 なお、磁心継部11b、12b間の距離(突出部21b 、22b、ギャップG1b~G3b、I型磁心ブロック31b、3 2bを足した長さ)は、実施例3と同じく87.9mmと た。ギャップ長(G1b~G6bを足した長さ)も一定 10.8mm(片側5.4mm)とした。また、その他の寸法 磁心継部5a、5b及び磁心脚部6の材質、製造 法などは実施例3と同じである。ここでも、I 型磁心ブロックの長さBは上述したとおり、2 の異なるI型磁心ブロックの長さの平均値(I 磁心ブロック31b又は33bの長さとI型磁心ブロ ック32b又は34bの長さの平均値)とした。

 図9は、比A/Bとコイル交流抵抗との関係を 説明するための図である。各I型磁心ブロッ の寸法を変えても、比A/Bとコイル交流抵抗 の関係には殆ど影響がない。この結果は、 心脚部の各I型磁心ブロックの長さを適宜変 たとしてもコイル交流抵抗の低減効果はさ ど得られないことを意味している。従って コイル交流抵抗の低減のためには、比A/Bを ントロールすることが重要であることがわ る。なお、各I型磁心ブロックは同じ長さに 揃えた方が、成型作業や組立て作業の面で望 ましく、さらに磁心構造が左右対称になるた め、騒音を低減させる効果も有る。

 [実施例5]
 図10は、本実施例で作製した環状リアクト 磁心を説明するための図である。磁心継部5a は、端部11c、および突出部21c、23cからなるU 状磁心であり、他端に備えられた磁心継部5b は、端部12c、および突出部22c、24cからなるU 状磁心である。なお、このときの端部11c(お び12c)の形状も、既に図3に示した通りであ 。

 磁心脚部6は、I型磁心ブロック31c、32c及 33cを直列させた列と、I型磁心ブロック334c、 35c及び36cを直列させた列とで形成されている 。なお、これらのI型磁心ブロック31c乃至36c 何れも突出部21c~24cと同じ寸法形状のもので その長さは何れも等しい。磁心脚部6と磁心 脚部5a、5bとの間および各I型磁心ブロック間 ギャップG(G1c~G4c、G5c~G8c)が形成されるよう 配置されている。なお、図示されてはいな が、各ギャップ(G1c~G8c)には板状セラミック ギャップ材として設けられている。ギャッ G1c~G8cの長さを全て足した総ギャップ長は、1 0.8mmである。

 磁心継部5a,5bと磁心脚部6の各I型磁心ブロッ ク31c~36cは、Fe-6.5%Si系合金粉にカオリン1.5重 部、水ガラス1.5重量部を添加したものを用 、常温にて成形圧力1200MPaで圧縮成形し、そ 後に窒素雰囲気中で成形体に温度1073Kの熱 理を施したものである。この圧粉体の透磁 μ r は50であった。磁心継部11c,12c間の距離(突出 21c,22c、ギャップG1c~G4c、I型磁心ブロック31c~3 3cを足した長さ)は87.9mmとした。

 磁心継部5a、5bの端部11c,12cは、突出部21c~2 4cが固着される反対側の形状は、磁路にそっ 円弧を描くように外部が丸くなっている形 とした。この端部11c,12cと、突出部21c~24c、 よび磁心脚部6のI型磁心ブロック31c~36cの磁 に直交する断面積は全て同じになるように た。

 端部11cの寸法は、高さhを32mm、縦幅wを60mm 、横幅dを20.5mmとし、端部の曲面rは半径20.5mm ある。また、突出部21c~24cの寸法は、長さA 16.5mm、高さが32mmである。突出部の長さAとI 磁心ブロックの磁路方向の平均長さBとの比A /Bは1.0である。これは、下記の表4中の番号1-4 に対応している。

 また、突出部21c,22cの長さAと、各I型磁心 ロックの長さBを変えた各リアクトル磁心を 作製した。磁路長が一定になるように磁心継 部11c,12c間の距離(突出部21c,22c、ギャップG1c~G4 c、I型磁心ブロック31c~33cを足した長さ)を一 の87.9mmとした。ギャップ長(G1c~G8cを足した長 さ)も一定の10.8mm(片側5.4mm)とした。このリア トル磁心の磁心脚部に同一線材の76回巻コ ルを装着し、直流重畳電流60A時でインダク ンス約275μHとなるリアクトルを7例作製し、 A/Bによりコイル交流抵抗がどのように変わ かを比較した。

 表4に、これらのリアクトルの、突出部の 長さA、I型磁心ブロックの長さB、寸法比A/B、 コイル交流抵抗の値を示す。表4に示したコ ル交流抵抗は、上記リアクトルの直列抵抗 、プレシジョンLCRメータ4284A(アジレント社 )の測定器を使用し、電圧レベル0.5V、周波数 10kHzで測定したものである。76回巻コイルの の交流抵抗は0.121オームであった。

 図11は、表4に示した比A/Bとコイル交流抵 の関係を説明するための図である。図11か 、コイル交流抵抗は、比A/Bが1.2近傍で最小 なることが解った。比A/Bが0.3~4の範囲内でコ イル交流抵抗は0.35オーム以下になる。比A/B 0.6~2.4の範囲内でコイル交流抵抗は0.3オーム 下になる。また、図11から、比A/Bが0.8から2. 0の領域で、コイル交流抵抗は0.27オーム以下 なることが解る。

 なお、本実施例の磁心継部は外側2角面が 半径20.5mmの曲面となっているが、磁心継部が 直方体形状であっても、比A/Bとコイル交流抵 抗には同様の傾向が認められた。

 [実施例6]
 本実施例では、図10に示した環状リアクト 磁心おいて、磁心脚部6のI型磁心ブロック(31 c~33c、34c~36c)の寸法(B1、B2、B3)を各々変えるこ とにより、比A/Bとコイル交流抵抗との関係が どのように変化するかを検討した。

 磁心継部5a、5bは実施例5と同様のものを 製した。一方、磁心脚部6については、I型磁 心ブロック(31cと32cと33c、及び、34cと35cと36c) 寸法(B1、B2、B3)を変化させたものを作製し 。なお、その他の条件は実施例5(図10)で示し たものと同様とし、磁心継部11c,12c間の距離( 出部21c,22c、ギャップG1c~G4c、I型磁心ブロッ 31c~33cを総和した長さ)は87.9mm、ギャップ長(G 1c~G8cを総和した長さ)も一定の10.8mm(片側5.4mm) B1~B3以外の寸法、磁心継部5a,5bと磁心脚部6 材質、製造方法なども実施例5と同じである

 図12(A)~(C)は、本実施例の環状リアクトル 心の、突出部21c,22cとI型磁心ブロック31c~36c 配置を模式的に示す図である。突出部とI型 磁心ブロックの間、およびI型磁心ブロック 士の間はギャップGである。

 図12(A)に示すものは、I型磁心ブロック31c, 32c,33cの長さの比を1.5:1.0:1.5にしたものである 。図12(B)に示すものは、I型磁心ブロック31c,32 c,33cの長さの比を1.0:1.5:1.0にしたものである また、図13(2-3)に示すものは、I型磁心ブロッ ク31c,32c,33cの長さの比を1.0:1.2:1.44にしたもの ある。

 各I型磁心ブロック31c,32c,33cの寸法比と、 A/Bとコイル交流抵抗の値を表5に示す。なお 、I型磁心ブロックの長さBは各I型磁心ブロッ ク31c,32c,33cの平均長さであり、総I型磁心ブロ ック長をブロック数で割ったものである。

 表5中、番号2-1は、3つのI型磁心ブロック うち、両側のブロックを中央のブロックよ 1.5倍の大きさにした図12(A)に示すもの、番 2-2は、3つのI型磁心ブロックのうち、中央の ブロックを両側のブロックより1.5倍の大きさ にした図12(B)に示すもの、そして、番号2-3は 3つのI型磁心ブロックを片側から順に、1.2 ずつ大きくした図12(C)に示すものである。

 各I型磁心ブロックの寸法比以外の条件は 実施例5と同様にして、リアクトル磁心の磁 脚部に同一線材の76回巻コイルを装着し、直 流重畳電流60A時でインダクタンス約275μHとな るリアクトルを作製し、比A/Bによりコイル交 流抵抗がどのように変わるかを比較した。

 図13は、表5に示した結果を、実施例5の結 果(図11)と重ねてグラフにしたものである。

 図13から解るように、各I型磁心ブロック 寸法を変えても、比A/Bとコイル交流抵抗と 関係には影響が無い。この結果は、磁心脚 の各I型磁心ブロックの長さを適宜変えたと してもコイル交流抵抗の低減効果はさほど得 られないことを意味している。従って、コイ ル交流抵抗の低減のためには、比A/Bをコント ロールすることが重要であることがわかる。 各I型磁心ブロックをなるべく同じ長さにし 方が、成形上好ましい。全てのI型磁心ブロ クの長さの誤差を2割、さらには1割の範囲 抑えることが好ましい。また、リアクトル 心全体が点対称の形状に近づくため、騒音 低減させる効果も有る。

 [実施例7]
 本実施例では、磁心脚部6のI型磁心ブロッ の個数により、比A/Bとコイル交流抵抗との 係にどのような影響が有るのかについて調 た。

 図14(A)~(C)は、本実施例で使用した環状リ クトル磁心の模式図である。磁心継部5aは 端部11d~f及び突出部21d~f、23d~fからなるU字状 心であり、他端に備えられた磁心継部5bは 端部12d~f及び突出部22d~f、24d~fからなるU字状 心である。なお、これらの環状リアクトル 心の磁心継部の端部形状も、既に図3に示し た通りである。

 一方、磁心脚部6は、1つの列に付き、I型 心ブロックを3つ乃至5つ直列させて配置し ものを用いた。なお、各I型磁心ブロックの さは均等とし、I型磁心ブロックは両端にギ ャップが形成されるように配置した。磁心継 部間の距離は、実施例5と同じく87.9mmである また、各ギャップ長も一定の10.8mm(片側5.4mm) した。その他の寸法、磁心継部と磁心脚部 材質、製造方法なども実施例5と同じである 。

 実施例5と同様にして、このリアクトル磁 心の磁心脚部に同一線材の76回巻コイルを装 し、直流重畳電流60A時でインダクタンス約2 75μHとなるリアクトルを作製し、比A/Bにより イル交流抵抗がどのように変わるかを比較 た。その結果を表6に示す。

 図15は、表6に示した結果をグラフにしたも である。
図15に示すように、I型磁心ブロックの数が増 えるとコイル交流抵抗は小さくなることが解 る。また、I型磁心ブロックの数が増えるに い、コイル交流抵抗が小さくなる比A/Bの値 大きくなる傾向が認められる。

 I型磁心ブロックの数が3つである場合、 心継部の突出部の長さAとI型磁心ブロックの 磁路方向長さBとの比A/Bの範囲が、0.3以上4.0 下であれば、磁心継部に突出部を設けない 合(比A/B=0の場合)に比べて、15%以上もコイル 流抵抗を低下できる。

 さらに、比A/Bの範囲が0.6以上2.4以下であ ば、磁心継部に突出部を設けない場合(比A/B =0の場合)に比べて、25%以上もコイル交流抵抗 を低下できる。さらに、比A/Bは0.8以上2.0以下 であれば、30%以上もコイル交流抵抗を低下で きる。

 また、I型磁心ブロックの数が4つである 合、磁心継部の突出部の長さAとI型磁心ブロ ックの磁路方向長さBとの比A/Bの範囲が、0.3 上4.0以下であれば、磁心継部に突出部を設 ない場合(比A/B=0の場合)に比べて、10%以上も イル交流抵抗を低下できる。

 さらに、比A/Bの範囲が0.5以上3.5以下であ ば、15%以上もコイル交流抵抗を低下できる さらに、比A/Bの範囲が0.8以上2.2以下であれ 、20%以上もコイル交流抵抗を低下できる。

 また、I型磁心ブロックの数が5つである 合、磁心継部の突出部の長さAとI型磁心ブロ ックの磁路方向長さBとの比A/Bの範囲が、0.3 上4.0以下であれば、磁心継部に突出部を設 ない場合(比A/B=0の場合)に比べて、7%以上も イル交流抵抗を低下できる。

 さらに、比A/Bの範囲が、0.6以上3.3以下で れば、13%以上もコイル交流抵抗を低下でき 。さらに、比A/Bは0.8以上2.8以下であれば、1 5%以上もコイル交流抵抗を低下できる。

 I型磁心ブロックの数が6つ以上である場 には、I型磁心ブロックの数が5つである場合 と略同様の範囲に比A/Bを設定すればよい。但 し、I型磁心ブロックの数を多くすることは 加工費の増大を招くため、実質的にはI型磁 ブロックの数は5つ以内とすることが好まし い。

 [実施例8]
 実施例1~7と同様の検討を、磁場解析ソフト 用いて検証したところ、コイル交流抵抗の に差は発生するが、コイル交流抵抗と比A/B の大小関係については相関が取れているこ が確認できた。

 また、他の軟磁性粉末(純鉄の粉、Fe-Al合 粉、Fe-Si-Al合金粉、Fe-Ni合金粉、Fe-Co合金粉 アモルファス軟磁性粉、ナノ結晶質軟磁性 )を用いて環状リアクトル磁心を作製したも のと仮定し、かかる環状リアクトル磁心のコ イル交流抵抗と比A/Bとの関係を磁場解析ソフ トを用いて解析したところ、コイル交流抵抗 の値に多少の差は出るものの、比A/Bとコイル 交流抵抗の大小関係については上述のものと 同様の結果が得られた。環状リアクトル磁心 に圧粉体を用いる場合には、上記の合金粉末 の何れを用いても、比A/Bについては本発明の 範囲内とすることが望ましい。