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Title:
REFRIGERANT COMPRESSOR AND REFRIGERATION CYCLE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/072314
Kind Code:
A1
Abstract:
A refrigerant compressor (C) having a closed vessel (1) for trapping refrigerator oil (14) and, housed therein, a motor (3) and a compressor unit (2) for refrigerant compression linked via a crank shaft (7) with the motor (3), characterized in that the refrigerant is R290 and the refrigerator oil (14) is a mixed oil consisting of a polyol ester and a polyalkylene glycol. Accordingly, as compared with conventional refrigerant compressors, the refrigerant compressor not only excels in electrical insulation but also reduces the amount of propane as a refrigerant dissolved in the refrigerator oil.

Inventors:
SUGANO TSUNEJI (JP)
OTA RYO (JP)
KAWASHIMA MASAEI (JP)
NISHIOKA FUMITAKA (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/059043
Publication Date:
June 11, 2009
Filing Date:
May 16, 2008
Export Citation:
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Assignee:
HITACHI APPLIANCES INC (JP)
SUGANO TSUNEJI (JP)
OTA RYO (JP)
KAWASHIMA MASAEI (JP)
NISHIOKA FUMITAKA (JP)
International Classes:
F25B1/00; C09K5/04; C10M105/38; C10M107/34; C10N20/02; C10N30/00; C10N40/30
Domestic Patent References:
WO2006030490A12006-03-23
WO2001048127A12001-07-05
Foreign References:
JP2007262208A2007-10-11
Attorney, Agent or Firm:
Polaire I.P.C. (Chuo-ku Tokyo, 32, JP)
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Claims:
 冷凍機油を貯溜する密閉容器内に、モータとこのモータに回転軸を介して連結されて冷媒を圧縮する圧縮機部とを収納する冷媒圧縮機において、
 前記冷媒がR290であり、前記冷凍機油がポリオールエステルとポリアルキレングリコールとの混合油であることを特徴とする冷媒圧縮機。
 前記混合油における前記ポリオールエステルの割合が10~80質量%であって、混合油の粘度(40℃)が40~100mm 2 /秒であることを特徴とする請求項1に記載の冷媒圧縮機。
 前記ポリオールエステルが、次式(1)、次式(2)または次式(3)で示されるポリオールエステルから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷媒圧縮機。
(R 1 -CH 2 ) 2 -C-(CH 2 -O-CO-R 2 ) 2  ・・・・(1)
 (式(1)中、R 1 は、それぞれ独立して水素原子または炭素数1~3のアルキル基を
表し、R 2 は、それぞれ独立して炭素数5~12のアルキル基を表す)
(R 1 -CH 2 )-C-(CH 2 -O-CO-R 2 ) 3  ・・・・(2)
 (式(2)中、R 1 およびR 2 は、前記と同義である)
 C-(CH 2 -O-CO-R 2 ) 4  ・・・・(3)
 (式(3)中、R 2 は、前記と同義である)
 請求項1に記載の冷媒圧縮機を備えることを特徴とする冷凍サイクル。
Description:
冷媒圧縮機および冷凍サイクル

 本発明は、冷媒圧縮機およびこれを使用 た冷凍サイクルに関する。

 近年、冷凍サイクルに使用する冷媒は、地 環境保全を目的にHFC(ハイドロフルオロカー ボン)から自然系冷媒に移行している。特に 自然系冷媒としての炭化水素は、地球温暖 係数が低いという観点から、冷蔵庫の冷媒 してイソブタンが既に実用化されている。 た、炭化水素は、欧州を中心に、冷凍ショ ケースやルームエアコンの冷媒としても注 されている。
  一方、冷凍サイクルの冷媒圧縮機に使用 れる冷凍機油は、摺動部の潤滑、シール部 密封、発熱部の冷却、電気的な絶縁等を担 役割を果たしている。そして、冷媒圧縮機 省エネルギー化、小型化、低騒音化、高効 化が要求される昨今では、冷凍機油の使用 件が苛酷となっている。したがって、この うな苛酷な使用条件で冷媒圧縮機の信頼性 確保するためには、優れた潤滑性が冷凍機 に要求されることとなる。
  従来、自然系冷媒のプロパンを使用する 媒圧縮機において、ポリアルキレングリコ ルを冷凍機油として使用したもの(例えば、 許文献1参照)や、鉱油とポリオールエステ との混合油を冷凍機油として使用したもの( えば、特許文献2参照)が提案されている。

特開2000-129275号公報

特開2002-194369号公報

 しかしながら、ポリアルキレングリコー を冷凍機油として使用した冷媒圧縮機(例え ば、特許文献1参照)では、吸湿性の高いポリ ルキレングリコールに取り込まれた水分に って冷媒圧縮機内に設けられたエステル系 縁フィルムが加水分解される恐れがあるこ 、およびポリアルキレングリコール自体の 積抵抗率が低いことから、冷媒圧縮機内で 電気的絶縁性が阻害される恐れがある。

 また、鉱油とポリオールエステルとの混合 を冷凍機油として使用した冷媒圧縮機(例え ば、特許文献2参照)では、冷媒としてのプロ ンがこの混合油に溶け込み過ぎるという問 がある。さらに詳しく説明すると、この冷 圧縮機では、プロパンが溶け込むことで冷 機油の粘度が低下するために、摺動部での 膜形成が不充分となる。
  また、プロパンは、HFC系冷媒と異なって フッ素を分子中に含まないので、それ自体 潤滑性も望めない。したがって、この混合 を冷凍機油に使用した冷媒圧縮機では、摺 部の潤滑性が不充分となる。また、プロパ が冷凍機油に溶け込み過ぎると、冷媒圧縮 に封入するプロパンの量を予め増加させる 要があるところ、可燃性ガスであるプロパ の封入量を規制すると冷媒圧縮機が初期の 能を発揮しない場合も起こりうる。
  したがって、自然系冷媒であるプロパン 使用した冷媒圧縮機においては、従来の冷 圧縮機と比較して、電気的絶縁性に優れる ともに、冷凍機油へのプロパンの溶解量を 減することができる冷媒圧縮機が望まれて る。

 そこで、本発明は、従来の冷媒圧縮機と 較して、電気的絶縁性に優れるとともに、 媒としてのプロパンの冷凍機油への溶解量 低減することができる冷媒圧縮機、および れを使用した冷凍サイクルを提供すること 課題とする。

 前記課題を解決する本発明は、冷凍機油 貯溜する密閉容器内に、モータとこのモー に回転軸を介して連結されて冷媒を圧縮す 圧縮機部とを収納する冷媒圧縮機において 前記冷媒がR290であり、前記冷凍機油がポリ オールエステルとポリアルキレングリコール との混合油であることを特徴とする。また、 本発明の冷凍サイクルは、このような冷媒圧 縮機を備えることを特徴とする。

 本発明によれば、電気的絶縁性に優れる ともに、冷媒としてのプロパンの冷凍機油 の溶解量を低減することができる冷媒圧縮 、およびこれを使用した冷凍サイクルを提 することができる。

 次に、本発明の実施形態について適宜図 を参照しながら詳細に説明する。本実施形 での冷媒圧縮機およびこれを使用した冷凍 イクルは、後記するように、プロパン(R290) 冷媒とし、ポリオールエステルとポリアル レングリコールとの混合油を冷凍機油とし ことを主な特徴としている。ここでは本実 形態に係る冷媒圧縮機が使用された冷凍サ クルについて説明した後に、この冷媒圧縮 について説明する。ここで参照する図面に いて、図1は、実施形態に係る冷媒圧縮機が 使用された冷凍サイクルの構成説明図である 。図2は、冷媒圧縮機の断面図である。

 図1に示すように、冷凍サイクルS1は、後 する冷媒圧縮機C、凝縮器16、減圧装置17、 よび蒸発器18を備えており、冷凍装置用の冷 凍サイクルS1として構成されている。この冷 サイクルS1では、冷媒圧縮機Cが、低温で低 の冷媒ガス(プロパンガス)を圧縮し、高温 高圧の冷媒ガスを凝縮器16に送る。凝縮器16 送られた冷媒ガスは、その熱を空気中に放 しながら高温で高圧の冷媒液となり、減圧 置17に送られる。減圧装置17を通過する高温 で高圧の冷媒液は、絞り効果により低温で低 圧の湿り蒸気となって蒸発器18へ送られる。 発器18に入った冷媒は、周囲から熱を吸収 て蒸発する。そして、蒸発器18から出た低温 で低圧の冷媒ガスは、冷媒圧縮機Cに吸い込 れる。この冷凍サイクルS1では、以上の工程 が繰り返されることとなる。

 次に、本実施形態に係る冷媒圧縮機Cについ て説明する。なお、以下の冷媒圧縮機Cの説 において、上下左右の方向は、図2の上下左 の方向を基準とする。
  図2に示すように、本実施形態に係る冷媒 縮機Cは、冷凍機油14を貯める油溜めを兼ね 密閉容器1内に、モータ3と、圧縮機部2とが 納されている。そして、モータ3と圧縮機部 2とは、クランク軸7で連結されている。なお クランク軸7は、特許請求の範囲にいう「回 転軸」に相当する。
  モータ3は、回転子10と、固定子11とで主に 構成されている。そして、圧縮機部2は、固 スクロール5と、旋回スクロール4と、フレー ム6と、オルダムリング8とで主に構成されて る。

 密閉容器1は、密閉空間を有する略円筒形 状を呈しており、その左端側の下方には、密 閉容器1の外部から内部に連通するように吸 パイプ9aが設けられている。この吸入パイプ 9aは、冷凍サイクルS1の蒸発器18(図1参照)側に 接続されることによって、冷媒ガスであるプ ロパン(R290)を蒸発器18側から吸入することと る。また、密閉容器1の右端側の上方には、 密閉容器1の内部から外部に連通するように 出パイプ9bが設けられている。この吐出パイ プ9bは、密閉容器1の右側に隔壁12で区画され 吐出室1cに連通している。ちなみに、隔壁12 には、小孔12aが形成されており、この小孔12a によってモータ室1bと吐出室1cとは連通して る。吐出パイプ9bは、冷凍サイクルS1の凝縮 16(図1参照)側に接続されることによって、 縮されたプロパン(R290)を凝縮器16側に送り出 すこととなる。ちなみに、プロパンと相溶性 のある後記する冷凍機油14は、プロパンとと に吐出パイプ9bを介して凝縮器16側に送り出 される。そして、送り出された冷凍機油14は プロパンとともに吸入パイプ9aを介して蒸 器18側から戻されることとなる。

 モータ3は、密閉容器1の中ほどに区画さ るモータ室1bに配置されている。モータ3の 転子10には、鋳鉄製の後記するクランク軸7 嵌着されている。固定子11は、回転子10を取 囲むように密閉容器1の内周面に取り付けら れている。ちなみに、固定子11にマグネット イヤを巻き付けるためのスロット(図示省略 )の表面は、周知のとおり、絶縁フィルムで 覆されており、本実施形態での絶縁フィル は、エステル系樹脂で形成されている。

 次に圧縮機部2について説明する。固定ス クロール5は、密閉容器1の左側寄りに配置さ ることで、密閉容器1の左側に吐出圧力空間 1aを区画している。この固定スクロール5は、 後記するように、フレーム6に固定される。 定スクロール5には、旋回スクロール4が噛み 合うように配置されることで、固定スクロー ル5と旋回スクロール4との間には、圧縮室4a 形成されている。そして、固定スクロール5 は、吸入パイプ9aが圧縮室4aに連通するよう に取り付けられている。また、固定スクロー ル5には、圧縮室4aから吐出圧力空間1aに連通 る吐出穴5aが形成されている。

 フレーム6は、旋回スクロール4を固定ス ロール5との間で覆うように配置されている このフレーム6の外周部は、密閉容器1の内 面に固定されている。そして、フレーム6は 前記したように固定スクロール5をその外周 部で固定している。ちなみに、フレーム6と 定スクロール5には、吐出圧力空間1aとモー 室1bとを連通させる連通穴1dが形成されてい 。

 オルダムリング8は、旋回スクロール4と レーム6との間に配置されている。このオル ムリング8は、周知のとおり、旋回スクロー ル4側に形成された図示しないオルダム溝と フレーム6側に形成された図示しないオルダ 溝とに摺動自在に配置されることによって 旋回スクロール4の自転を阻止しつつ、公転 させるようになっている。

 クランク軸7は、密閉容器1の中心を左右方 に延びるように配置されている。クランク 7には、前記したようにモータ3の回転子が取 り付けられることでその軸周りに回転するよ うになっている。このクランク軸7の左側は フレーム6に挿通されており、クランク軸7と フレーム6との間には、軸受け13が配置されて いる。
  クランク軸7の左端には、偏心部7cが形成 れており、この偏心部7cは、旋回スクロール 4の背面側(右側)に形成された凹部に回転自在 に嵌入されている。そして、クランク軸7の 端は、隔壁12に回転自在に支持されている。

 このようなクランク軸7および偏心部7cに 、その長さ方向に貫くように軸穴7aが形成 れている。軸穴7aの左端は、偏心部7cが嵌入 れている旋回スクロール4の凹部に開口して おり、軸穴7aの右側は、吐出室1cに開口して る。そして、この軸穴7aから分岐した小孔7b 、軸受け13に臨んでいる。つまり、冷凍機 14は、クランク軸7の小孔7bを介して軸受け13 供給されるとともに、偏心部7cが嵌入され 旋回スクロール4の凹部に供給される。また 冷凍機油14は、前記した旋回スクロール4の 部を介して旋回スクロール4の摺動部、オル ダムリング8の摺動部等にも行き渡る。その 果、冷凍機油14は、偏心部7cや軸受け13、前 したその他の摺動部における潤滑、冷却等 役割を担う。そして、冷凍機油14は、前記し たように、軸受け13の密封を重要な役割とす 。

 本実施形態に係る冷媒圧縮機Cに使用され る冷凍機油14(以下、符号を省略して単に「冷 凍機油」と記すことがある)は、ポリオール ステルとポリアルキレングリコールとの混 油である。

 ポリオールエステルとしては、多価アル ールと1価の脂肪酸とから合成され、熱安定 性に優れるヒンダードタイプが好ましい。多 価アルコールとしては、例えば、ペンタエリ スリトール、ジペンタエリスリトール等が挙 げられる。1価の脂肪酸としては、例えば、 ンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オク ン酸、2-メチルブタン酸、2-メチルペンタン 、2-メチルヘキサン酸、2-エチルヘキサン酸 、イソオクタン酸、3,5,5-トリメチルヘキサン 酸等が挙げられる。これらの脂肪酸は、所定 の多価アルコールに対して、1種類単独で、 たは2種類以上を選択して使用することがで る。

 このようなポリオールエステルの中でも 分子中にエステル結合を少なくとも2個保有 するものが冷凍機油の基油として好ましく、 具体的には、次式(1)、次式(2)または次式(3)で 示されるポリオールエステルから選ばれる少 なくとも1種であるものが好ましい。

(R 1 -CH 2 ) 2 -C-(CH 2 -O-CO-R 2 ) 2  ・・・・(1)
 (式(1)中、R 1 は、それぞれ独立して水素原子または炭素数 1~3のアルキル基を表し、R 2 は、それぞれ独立して炭素数5~12のアルキル を表す)
(R 1 -CH 2 )-C-(CH 2 -O-CO-R 2 ) 3  ・・・・(2)
  (式(2)中、R 1 およびR 2 は、前記と同義である)
  C-(CH 2 -O-CO-R 2 ) 4  ・・・・(3)
  (式(3)中、R 2 は、前記と同義である)

 ポリアルキレングリコールとしては、例 ば、ポリエチレングリコール、ポリイソピ ピレングリコール、ポリエチレングリコー ・ポリイソピロピレングリコール共重合体 ポリイソプロピレングリコールモノブチル ーテル、ポリエチレングリコール・ポリイ ピロピレングリコール共重合体のモノブチ エーテル、ポリエチレングリコールジメチ エーテル、ポリエチレングリコールジエチ エーテル、ポリエチレングリコールジプロ ルエーテル、ポリエチレングリコールジブ ルエーテル、ポリエチレングリコールメチ エチルエーテル、ポリエチレングリコール チルプロピルエーテル、ポリエチレングリ ールメチルブチルエーテル、ポリエチレン リコールエチルプロピルエーテル、ポリエ レングリコールエチルブチルエーテル、ポ エチレングリコールプロピルブチルエーテ 、ポリイソプロピレングリコールジメチル ーテル、ポリイソプロピレングリコールジ チルエーテル、ポリイソプロピレングリコ ルジプロピルエーテル、ポリイソプロピレ グリコールジブチルエーテル、ポリイソプ ピレングリコールメチルエチルエーテル、 リイソプロピレングリコールメチルプロピ エーテル、ポリイソプロピレングリコール チルブチルエーテル、ポリイソプロピレン リコールエチルプロピルエーテル、ポリイ プロピレングリコールエチルブチルエーテ 、ポリイソプロピレングリコールプロピル チルエーテル、1,2-ビス(メトキシポリエチ ンオキシ)エチレン、1,2-ビス(メトキシポリ チレンオキシ)プロピレン、1,2-ビス(メトキ ポリエチレンオキシ)ブチレン、1,2-ビス(エ キシポリエチレンオキシ)エチレン、1,2-ビス (エトキシエチレンオキシ)プロピレン、1,2-ビ ス(エトキシポリエチレンオキシ)ブチレン、1 ,2-ビス(プロポキシポリエチレンオキシ)エチ ン、1,2-ビス(プロポキシポリエチレンオキ )プロピレン、1,2-ビス(プロポキシポリエチ ンオキシ)ブチレン、1,2-ビス(ブトキシポリ チレンオキシ)エチレン、1,2-ビス(ブトキシ リエチレンオキシ)プロピレン、1,2-ビス(ブ キシポリエチレンオキシ)ブチレン、1,2-ビス (メトキシポリイソプロピレンオキシ)エチレ 、1,2-ビス(メトキシポリイソプロピレンオ シ)プロピレン、1,2-ビス(メトキシポリイソ ロピレンオキシ)ブチレン、1,2-ビス(エトキ ポリイソプロピレンオキシ)エチレン、1,2-ビ ス(エトキシポリイソプロピレンオキシ)プロ レン、1,2-ビス(エトキシポリイソプロピレ オキシ)ブチレン、1,2-ビス(プロポキシポリ ソプロピレンオキシ)エチレン、1,2-ビス(プ ポキシポリイソプロピレンオキシ)プロピレ 、1,2-ビス(プロポキシポリイソプロピレン キシ)ブチレン、1,2-ビス(ブトキシポリイソ ロピレンオキシ)エチレン、1,2-ビス(ブトキ ポリイソプロピレンオキシ)プロピレン、1,2- ビス(ブトキシポリイソプロピレンオキシ)ブ レン等が挙げられる。

 このようなポリオールエステルとポリアル レングリコールとの混合油は、ポリオール ステルの割合が10~80質量%であって、粘度(40 )が40~100mm 2 /秒であるものが望ましい。ちなみに、粘度 、JIS K2283に準拠して測定することができる

 なお、混合油中のポリオールエステルの割 を10質量%以上とすることによって、冷媒圧 機Cの各摺動部での耐摩耗性を発揮させるこ とができ、摩耗量を低減することができる。 また、混合油中のポリオールエステルの割合 を80質量%以下とすることによって、混合油に 対するプロパン(R290)の溶解量を低減すること ができるので、混合油の粘度を高く維持する ことができ、各摺動部で油膜を充分に形成す ることができる。
  また、混合油の粘度(40℃)を40mm 2 /秒以上とすることによって、プロパンが溶 した後においても、後記する潤滑性を良好 維持することができる。そして、圧縮機部2( 図1参照)でのシール性も良好に維持すること できる。また、混合油の粘度(40℃)を100mm 2 /秒以下にすることによって、冷媒圧縮機C内 混合油の粘性抵抗、摩擦抵抗等によって生 る機械損失が過大となることもないので冷 圧縮機Cの運転効率を良好に維持することが できる。

 このような冷凍機油には、例えば、潤滑 向上剤、酸化防止剤、酸捕捉剤、消泡剤、 属不活性剤等を添加することができる。ち みに、酸化防止剤および酸捕捉剤は、前記 たポリオールエステルの加水分解を防止す ために添加することできる。酸化防止剤と ては、フェノール系酸化防止剤であるDBPC(2, 6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール)が好ましい。酸捕 捉剤としては、例えば、エポキシ系酸捕捉剤 、カルボジイミド系酸捕捉剤等が挙げられる 。中でも。脂肪族のエポキシ系酸捕捉剤が好 ましい。

 以上のような冷媒圧縮機Cおよびこれを使用 した冷凍サイクルS1によれば次のような作用 果を奏する。
  本実施形態に係る冷媒圧縮機Cでは、ポリ ールエステルとポリアルキレングリコール の混合油を冷凍機油として使用している。 の結果、ポリオールエステルのみからなる 凍機油を使用した冷媒圧縮機と比較して、 媒としてのプロパンの溶解量を低減するこ ができる。
  したがって、この冷媒圧縮機Cでは、冷凍 油の粘度が低下することが避けられるので 前記した各摺動部での油膜形成が充分に行 れる。つまり、HFC系冷媒と異なって分子中 フッ素含まず、それ自体に潤滑性が期待で ない自然系冷媒であるプロパンを使用する のであっても、本実施形態に係る冷媒圧縮 Cは、前記した各摺動部での良好な潤滑性を 確保することができる。

 また、本実施形態に係る冷媒圧縮機Cでは 、前記したように、冷凍機油に対するプロパ ンの溶解量を低減することができるので、冷 媒圧縮機に封入するプロパンの量を予め増加 させる必要がない。したがって、本実施形態 に係る冷媒圧縮機Cによれば、可燃性のプロ ンガスを使用しながらも、より安全性を確 することができる。

 また、本実施形態に係る冷媒圧縮機Cでは 、ポリオールエステルとポリアルキレングリ コールとの混合油を冷凍機油として使用して いるので、ポリアルキレングリコールのみか らなる冷凍機油を使用した冷媒圧縮機と比較 して、冷媒圧縮機C内に使用されるエステル 絶縁フィルムに対する加水分解性が抑制さ る。しかも、ポリオールエステルは、ポリ ルキレングリコールと比較して体積抵抗率 大きいので、本実施形態に係る冷媒圧縮機C は、ポリアルキレングリコールのみからな 冷凍機油よりも体積抵抗率が大きい冷凍機 を使用することになる。したがって、本実 形態に係る冷媒圧縮機Cは、従来の冷媒圧縮 機(例えば、特許文献1参照)と比較して、電気 的絶縁性に優れる。

 また、本実施形態に係る冷凍サイクルS1 は、冷媒圧縮機Cに使用する冷凍機油が、前 したポリオールエステルとポリアルキレン リコールとの混合油であることから、冷媒 してのプロパンに対して適度な相溶性を示 。その結果、本実施形態に係る冷凍サイク S1は、冷媒圧縮機Cへのいわゆる油戻りが良 となる。

 なお、本発明は、前記実施形態に限定され ことなく、様々な形態で実施される。
  前記実施形態では、冷凍装置用の冷凍サ クルS1について説明したが、本発明は空調機 用の冷凍サイクルであってもよい。ここで参 照する図3は、他の実施形態に係る冷凍サイ ルの構成説明図であって、空調機用の冷凍 イクルを示す図である。

 図3に示すように、他の実施形態に係る冷 凍サイクルS2は、前記実施形態に係る冷媒圧 機C、凝縮器16、減圧装置17、蒸発器18、およ び切替え弁19を備えており、空調機用の冷凍 イクルS2として構成されている。

 この冷凍サイクルS2では、冷媒圧縮機Cが 低温で低圧の冷媒ガス(プロパンガス)を圧 し、切替え弁19を介して高温で高圧の冷媒ガ スを凝縮器16に送る。凝縮器16に送られた冷 ガスは、その熱を空気中に放出しながら高 で高圧の冷媒液となり、減圧装置17に送られ る。減圧装置17を通過する高温で高圧の冷媒 は、絞り効果により低温で低圧の湿り蒸気 なって蒸発器18へ送られる。蒸発器18に入っ た冷媒は、周囲から熱を吸収して蒸発する。 そして、蒸発器18から出た低温で低圧の冷媒 スは、冷媒圧縮機Cに吸い込まれる。この冷 凍サイクルS2では、以上の工程が繰り返され ことで、蒸発器18側で冷房が実施されるこ となる。この冷凍サイクルS2で冷房を暖房に 切り替える場合には、切替え弁19によって冷 ガスの流路が変更されて凝縮器16と蒸発器18 の作用が入れ替わることとなる。

 また、冷媒圧縮機Cを使用した冷凍サイク ルS1,S2は、ヒートポンプ式の給湯機、電動カ エアコン、自動販売機の温冷機器等の他の 凍システムに好適に使用することができる

 また、前記実施形態では、スクロール式 媒圧縮機Cについて説明したが、本発明はこ れに限定されるものではなく、ロータリ式、 レシプロ式等の他の方式による冷媒圧縮機で あってもよい。

 前記実施形態では、横置き用の冷媒圧縮 Cを想定して説明したが、本発明は縦置き用 の冷媒圧縮機であってもよい。

 次に、本発明の冷媒圧縮機、およびこれを 用した冷凍サイクルの作用効果を検証した 施例について説明する。
  ここでは先ず表1に示すNo.1からNo.7までの 合物としてのポリオールエステル(表1中、POE と略記する)およびポリアルキレングリコー (表1中、PAGと略記する)を準備した。そして 表1に示す化合物の15℃における密度(g/cm 3 )、ならびに40℃および100℃における粘度(mm 2 /秒)を測定するとともに、これらを冷凍機油 して使用した場合の油膜形成性、シール性 粘性抵抗、および油戻り性について評価し 。その結果を表1に示す。密度の測定は、JIS  K 2249 「原油および石油製品―密度試験方 および密度・質量・容量換算表」に規定す 、附属書1(I形浮ひょうのメモリ検査方法)に 従って行った。

 なお、表1中、No.1~No.5のポリオールエステ ル(POE)、ならびにNo.6およびNo.7のポリアルキ ングリコール(PAG)は、それぞれ以下の化学式 で表されるものである。

 No.1:
  次式(1)および次式(2)で示されるポリオー エステルの混合物
(CH 3 ) 2 -C-(CH 2 -O-CO-R 2 ) 2  ・・・・(1)
  C-(CH 2 -O-CO-R 2 ) 4  ・・・・(2)
(式中、R 2 は、炭素数7のアルキル基を表す)

 No.2:
  次式(2)で示されるポリオールエステル
  C-(CH 2 -O-CO-R 2 ) 4  ・・・・(2)
(式中、R 2 は、炭素数7のアルキル基を表す)

 No.3:
  次式(3)で示されるポリオールエステル
  C-(CH 2 -O-CO-R 2 ) 4  ・・・・(3)
(式中、R 2 は、炭素数7及び8のアルキル基を表す)

 No.4:
  次式(3)および次式(4)で示されるポリオー エステルの混合物
  C-(CH 2 -O-CO-R 2 ) 4  ・・・・(3)
  O-(CH 2 -C-(CH 2 -O-CO-R 2 ) 3 ) 2  ・・・・(4)
(式中、R 2 は、炭素数7及び8のアルキル基を表す)

 No.5:
  次式(3)および次式(4)で示されるポリオー エステルの混合物
  C-(CH 2 -O-CO-R 2 ) 4  ・・・・(3)
  O-(CH 2 -C-(CH 2 -O-CO-R 2 ) 3 ) 2  ・・・・(4)
(式中、R 2 は、炭素数17及び15のアルキル基を表す)

 No.6:
  次式(5)で示されるアルキレングリコール
  CH 2 O-(C(CH 3 )HCH 2 O) n ―CH 3 ・・・・(5)
(平均分子量(Mw)は約1200)

 No.7:
  次式(5)で示されるアルキレングリコール
  CH 2 O-(C(CH 3 )HCH 2 O) n ―CH 3 ・・・・(5)
(平均分子量(Mw)は約1600)

 ちなみに、油膜形成性、シール性、粘性抵 、および油戻り性についての評価は次の基 で行った。
  (油膜形成性およびシール性)
  40℃における粘度が40mm 2 /秒以下である化合物の油膜形成性およびシ ル性は、悪いとして表1中「×」と記した。 1中「○」は、シール性が優れているもので り、「△」はやや劣るもののシール性は確 できるものである。
(粘性抵抗)
  40℃における粘度が100mm 2 /秒を超えると粘性抵抗、摩擦抵抗等の機械 失が増大し、圧縮機効率を低下させること ら、100mm 2 /秒未満である化合物の粘性抵抗は低いとし 表1中「○」と記した。また、40℃における 度が100mm 2 /秒の化合物については「△」、100mm 2 /秒を超える化合物の粘性抵抗は高いとして 「×」と記した。
(油戻り性)
 プロパンと相溶性のあるポリオールエステ (POE)については、油戻り性が良好であると て表1中「○」と記し、ポリアルキレングリ ール(PAG)については、プロパンとの相溶性 乏しいとして表1中「×」と記した。

(実施例1から実施例4、ならびに比較例1およ 比較例2)
  次に、表1に示すNo.1からNo.7までの化合物 表2の質量比(質量%)で混合したポリアルキレ グリコール(PAG)とポリオールエステル(POE)と からなる冷凍機油を調製した。

  なお、実施例1のポリアルキレングリコー (PAG)としては、表1の化合物No.6を使用し、ポ リオールエステル(POE)としては、表1の化合物 No.3を使用した。
  また、実施例2のポリアルキレングリコー (PAG)としては、表1の化合物No.6を使用し、ポ リオールエステル(POE)としては、表1の化合物 No.3を使用した。
  また、実施例3のポリアルキレングリコー (PAG)としては、表1の化合物No.6を使用し、ポ リオールエステル(POE)としては、表1の化合物 No.3を使用した。
  また、実施例4のポリアルキレングリコー (PAG)としては、表1の化合物No.6を使用し、ポ リオールエステル(POE)としては、表1の化合物 No.3を使用した。
  また、比較例1のポリオールエステル(POE) しては、表1の化合物No.3を使用した。
  また、比較例2のポリアルキレングリコー (PAG)としては、表1の化合物No.6を使用した。

 そして、実施例1から実施例4、ならびに比 例1および比較例2のそれぞれで調製した冷凍 機油ついて、15℃における密度(g/cm 3 )、色相(ASTM)、流動点(℃)、40℃および100℃に ける粘度(mm 2 /秒)、酸価(mgKOH/g)、体積抵抗率(ω・cm)、なら に臨界溶解温度(℃)を測定した。その結果 表2に示す。そして、臨界溶解温度(℃)、お び体積抵抗率(ω・cm)についてはグラフで併 て示す。図4は、冷凍機油中のポリオールエ テルの混合率(質量%)に対する臨界溶解温度( ℃)の関係を示すグラフである。図5は、冷凍 油中のポリオールエステルの混合率(質量%) 対する体積抵抗率(ω・cm)の関係を示すグラ である。図4および図5中、「実施例」は「 」と略記し、「比較例」は「比」と略記し いる。

 なお、密度の測定は、前記と同様に、JIS K 2249に準拠して行った。色相(ASTM)の測定は JIS K 2580「石油製品―色試験方法」に従っ 行った。流動点の測定は、JIS K 2269「原油 よび石油製品流動点ならびに石油製品曇り 試験方法」に従って行った。粘度の測定は JIS K 2283「原油および石油製品の動粘度試 方法」に従って行った。酸価の測定は、JIS K 2501「石油製品中和価試験方法」に規定す 5.1.2電位差滴定法に従って行った。体積抵 率の測定は、JIS C 2101「電気絶縁油試験方 」に規定する体積抵抗率測定試験の方法に って行った。臨界溶解温度の測定は、JIS K  2211「冷凍機油」4.12(冷媒との相溶性)に従っ 行った。

 表2から明らかなように、密度、色相、流動 点、および酸価については実施例1から実施 4、ならびに比較例1および比較例2において ど変化がない。粘度(40℃)についてもプロパ が溶解しない場合には、40~100mm 2 /秒の範囲となっている。
  そして、図4に示すように、冷凍機油中の リオールエステルの混合率が減少するほど 言い換えれば、ポリアルキレングリコール 混合率が増加するほど臨界溶解温度は上昇 ている。
  また、図4に示すように、ポリオールエス ルの混合率が80質量%では完全に冷媒が溶解 ている状態(<60(℃))であった。ポリオール エステルの混合率が60質量%で臨界溶解温度は -50℃を示した。完全に溶解した状態では冷媒 溶解性の緩和効果が得られないため、ポリオ ールエステルの混合率は80質量%未満が好まし いことが確認された。

 ちなみに、前記した冷凍装置用の冷凍サ クルS1(図2参照)においては、一般に、蒸発 18で低温度 (-40℃以下)が要求される。つま 、この冷凍サイクルS1では、蒸発器18でポリ ールエステルが分離しない条件設定を考え と、冷凍機油中のポリオールエステルの混 率は40質量%以上が好ましいことが確認され 。

 また、前記した空調機用の冷凍サイクルS 2(図3参照)の蒸発器18においては、冷房温度で -10℃以下という温度が要求される。つまり、 この冷凍サイクルS2では、図4に示すように、 冷凍機油の臨界溶解温度が-10℃以下となるの で、冷凍サイクルS2の蒸発器18でポリオール ステルが分離することは回避されることと る。

 図5に示すように、ポリアルキレングリコー ル単独の冷凍機油(ポリオールエステル0質量% の比較例2参照)の体積抵抗率は、5.6×10 10 ω・cmと低い値を示した。そして、冷凍機油 のポリオールエステルの混合率が増加する ど、体積抵抗率は上昇している。したがっ 、ポリオールエステルを含む冷凍機油を使 した本発明の冷媒圧縮機C(図2参照)は、ポリ ルキレングリコール単独の冷凍機油を使用 た従来の冷媒圧縮機(例えば、特許文献1参 )と比較して、電気的絶縁性に優れることが 認された。

(実施例5から実施例8、および比較例3)
 次に、表3に示す実施例5から実施例8、およ 比較例3の質量比(質量%)で混合したポリアル キレングリコール(PAG)とポリオールエステル( POE)とからなる各冷凍機油を調製した。

 なお、実施例5のポリアルキレングリコール (PAG)としては、表1の化合物No.6を使用し、ポ オールエステル(POE)としては、表1の化合物No .3を使用した。
  また、実施例6のポリアルキレングリコー (PAG)としては、表1の化合物No.6を使用し、ポ リオールエステル(POE)としては、表1の化合物 No.3を使用した。
  また、実施例7のポリアルキレングリコー (PAG)としては、表1の化合物No.6を使用し、ポ リオールエステル(POE)としては、表1の化合物 No.3を使用した。
  また、実施例8のポリアルキレングリコー (PAG)としては、表1の化合物No.6を使用し、ポ リオールエステル(POE)としては、表1の化合物 No.3を使用した。
  また、比較例3のポリアルキレングリコー (PAG)としては、表1の化合物No.6を使用した。

実施形態に係る冷媒圧縮機が使用され 冷凍サイクルの構成説明図である。 冷媒圧縮機の断面図である。 他の実施形態に係る冷凍サイクルの構 説明図であって、空調機用の冷凍サイクル 示す図である。 冷凍機油中のポリオールエステルの混 率(質量%)に対する臨界溶解温度(℃)の関係 示すグラフである。 冷凍機油中のポリオールエステルの混 率(質量%)に対する体積抵抗率(ω・cm)の関係 示すグラフである。

符号の説明

 1…圧縮機部、3…モータ、7…クランク軸( 回転軸)、14…冷凍機油、C…冷媒圧縮機、S1… 冷凍サイクル、S2…冷凍サイクル。