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Patent Searching and Data


Title:
REGENERATOR FOR STIRLING ENGINE AND STIRLING ENGINE USING SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/108460
Kind Code:
A1
Abstract:
In a Stirling engine, a working gas is moved between a compression space and an expansion space by a piston and a displacer. By this, a high-temperature side heat transfer head is heated and a low-temperature side heat transfer head is cooled. A regenerator provided between the compression space and the expansion space has a wound laminate of resin film, and the wound laminate is obtained by winding a PEN film with a predetermined gap between individual windings. The thickness of the PEN film is set in a range from about 20 μm to about 25μm.

Inventors:
OKADA HIDEO
Application Number:
PCT/JP2008/054152
Publication Date:
September 12, 2008
Filing Date:
March 07, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SHARP KK (JP)
OKADA HIDEO
International Classes:
F25B9/00; F02G1/057
Foreign References:
JP2003021412A2003-01-24
JPH04155186A1992-05-28
JP2004101119A2004-04-02
JPH01305271A1989-12-08
JP2003222422A2003-08-08
Attorney, Agent or Firm:
SANO, Shizuo (2-6 Tenmabashi-Kyomachi, Chuo-Ku, Osaka-Sh, Osaka 32, JP)
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Claims:
圧縮空間と膨脹空間を移動する作動ガスとの間で熱を授受するスターリング機関用再生器において、
 所定のフィルム間距離を形成する形でPENフィルムを巻回した樹脂フィルム巻回積層体からなり、フィルム厚を20μm近傍から25μm近傍に設定したことを特徴とするスターリング機関用再生器。
20μmから25μmまでの厚さのPENフィルムで樹脂フィルム巻回積層体を形成することを特徴とする請求項1に記載のスターリング機関用再生器。
フィルム表面に、フィルム間距離を維持するための突起をニードルプレスで形成したことを特徴とする請求項1または2に記載のスターリング機関用再生器。
請求項1から3のいずれか1項に記載の再生器を搭載したことを特徴とするスターリング機関。
Description:
スターリング機関用再生器及び れを用いるスターリング機関

 本発明はスターリング機関用再生器及び れを用いるスターリング機関に関する。

 スターリング機関は、フロンでなくヘリ ム、水素、窒素などを作動ガスとして用い ので、オゾン層の破壊を招くことのない熱 関として注目を集めている。冷凍機として いるスターリング機関では、リニアモータ どの動力源によりピストンを往復運動させ このピストンに対しディスプレーサを、所 の位相差をもって同期往復運動させる。ピ トンとディスプレーサは圧縮空間と膨脹空 の間で作動ガスを移動させる。圧縮空間で 作動ガスの温度が上昇し、膨脹空間では作 ガスの温度が低下する。圧縮空間(高温空間 )の熱を高温伝熱ヘッドより放熱して等温圧 変化を実現し、外部の熱を低温伝熱ヘッド り膨脹空間(低温空間)に吸収して等温膨張変 化を実現すれば、逆スターリングサイクルが 形成される。

 スターリング機関では、圧縮空間と膨脹 間の間に配置された再生器が重要な役割を たす。再生器は、圧縮空間から流れ出た高 の作動ガスから熱を受け取り蓄える(蓄熱) 膨脹空間から流れ出た低温の作動ガスにそ 熱を伝える(伝熱)という、蓄熱手段及び伝熱 手段としての役割を担うものである。再生器 には、蓄熱量が大きいことの他、作動ガスと の間で熱を素速く授受できる、すなわち伝熱 性が良いことと、作動ガスの流動を極力妨げ ないことが求められる。

 上記要請に応え、また安価で容易に製作 きる再生器として、樹脂フィルムの積層体 らなる再生器が開発されている。その例を 許文献1-5に見ることができる。

 樹脂フィルムを巻回積層する再生器では、 脂フィルムの表面に突起を形成して作動ガ の通るフィルム間距離を確保する。特許文 1記載の再生器では樹脂フィルムにニードル プレスを押し当てて突起部を形成している。 特許文献2記載の再生器では、樹脂フィルム 打針を突き立てて小凸部を形成している。 許文献3にはプレス機やレーザービームで樹 フィルムに突起部を形成する手法が開示さ ている。特許文献4には、再生器フィルムの 表面に凸部を形成するための第1基体および 2基体に、フォトリソグラフィーで所定の凹 を形成する方法が開示されている。特許文 5には、フォイルを一定の間隔で巻くフォイ ル型再生器用フォイル巻き装置が開示されて いる。

特開2003-21412号公報

特開2003-166442号公報

特開2003-222422号公報

特開2003-232574号公報

特開2003-182897号公報

 前述のようにスターリング機関用再生器 は、作動ガスの熱エネルギーを蓄える蓄熱 と、蓄えられた熱エネルギーを速やかに放 する伝熱性の両方が要求される。樹脂フィ ムの厚さに対する熱容量と接触面積の関係 図8に示す。グラフの横軸は樹脂フィルム厚 であり、縦軸は熱容量比(蓄熱性)及び作動ガ の接触面積比(伝熱性)である。なおフィル 間距離は、その間隙を流れる作動ガスの圧 が樹脂フィルムの厚さに関係なく一定にな ように調整されている。

 図8から、熱容量と接触面積は樹脂フィル ムの厚さによって変化し、互いにトレードオ フの関係にあることがわかる。つまり樹脂フ ィルムを材料とする再生器の場合、樹脂フィ ルムが厚くなると質量が増し、樹脂フィルム の熱容量が増加するために蓄熱性が高まる。 反面、巻かれる樹脂フィルムの長さが短くな り、作動ガスとの接触面積が減少するので、 作動ガスと樹脂フィルムとの伝熱性は低下す る。逆にフィルムを薄くした場合、巻かれる 樹脂フィルムの長さが長くなって作動ガスと の接触面積が増大し、伝熱性が向上するが、 質量は減少し、蓄熱性が低下する。

 樹脂フィルムがさらに薄くなると、剛性( いわゆるフィルムの腰)が低くなり、樹脂フ ルムを巻回する際の作業性が悪くなり、ま 巻回して得た再生器の外径精度が十分に得 れないという問題が発生した。

 このように樹脂フィルムの厚さは再生器 性能、ひいてはスターリング機関の性能を 右する重要な要件であるにもかかわらず、 れまでのところ最適範囲として解析された 果はなかった。例えば特許文献3には、50μm 上の数値が開示されているが、そのように た明確な根拠は示されていない。

 本発明は上記の点に鑑みなされたもので り、樹脂フィルム巻回積層体からなるスタ リング機関用再生器において、フィルム用 脂を特定のものに限定し、その上でフィル 厚の最適範囲を見いだすことにより、再生 の性能を最大限に引き出すことを目的とす 。そして、かかる再生器を搭載することに り、性能を向上させ得たスターリング機関 提供することを目的とする。

 上記目的を達成するために本発明は、圧 空間と膨脹空間を移動する作動ガスとの間 熱を授受するスターリング機関用再生器に いて、所定のフィルム間距離を形成する形 PENフィルムを巻回した樹脂フィルム巻回積 体からなり、フィルム厚を20μm近傍から25μm 近傍までに設定したことを特徴としている。

 この構成によると、高い性能水準のスタ リング機関用再生器を得ることができる。

 本発明は、上記構成のスターリング機関 再生器において、20μmから25μmまでの厚さの PENフィルムで樹脂フィルム巻回積層体を形成 することを特徴としている。

 この構成によると、高い性能水準のスタ リング機関用再生器を確実に得ることがで る。

 本発明は、上記構成のスターリング機関 再生器において、フィルム表面に、フィル 間距離を維持するための突起をニードルプ スで形成したことを特徴としている。

 この構成によると、PENの特性を生かし、 状の揃った突起を形成できる。

 本発明は、上記のいずれかの再生器を搭 したスターリング機関であることを特徴と ている。

 この構成によると、高性能の再生器を使 することにより、スターリング機関の能力 るいは運転効率を向上させることができる

 本発明によると、樹脂フィルムとしてPEN ィルムを選択し、その厚さを適切な値に設 することにより、再生器の性能を高め、ス ーリング機関を高性能化することができる

スターリング機関の断面図 再生器の断面図 樹脂フィルム巻回積層体の斜視図 樹脂フィルムに突起を形成する装置の 略図 フィルム厚の異なる再生器を用いたス ーリング機関の性能評価グラフ ニードルプレスによる突起形状の概念 樹脂毎の突起形成結果を評価する表 樹脂フィルムの厚さに対する熱容量と 触面積の関係を示すグラフ

符号の説明

   1  スターリング機関
   10、11 シリンダ
   12 ピストン
   13 ディスプレーサ
   20 リニアモータ
   40 高温側伝熱ヘッド
   41 低温側伝熱ヘッド
   45 圧縮空間
   46 膨脹空間
   70 再生器
   71 巻芯
   72 PENフィルム
   73 樹脂フィルム巻回積層体
   74 突起

 最初に、本発明再生器の使用対象である ターリング機関の構造を図1に基づき説明す る。

 スターリング機関1は冷凍機として用いら れるフリーピストンタイプのものであり、そ の組立の中心となるのはシリンダ10、11であ 。シリンダ10、11の軸線は同一直線上に並ぶ シリンダ10にはピストン12が挿入され、シリ ンダ11にはディスプレーサ13が挿入される。 ストン12及びディスプレーサ13は、スターリ グ機関1の運転中、ガスベアリングの仕組み によりシリンダ10、11の内壁に接触すること く往復運動する。ピストン12とディスプレー サ13は所定の位相差を備えて動く。

 ピストン12の一方の端にはカップ状のマ ネットホルダ14が固定される。ディスプレー サ13の一方の端からはディスプレーサ軸15が 出する。ディスプレーサ軸15はピストン12及 マグネットホルダ14を軸線方向に自由にス イドできるように貫通する。

 シリンダ10はピストン12の動作領域にあた る部分の外側にリニアモータ20を保持する。 ニアモータ20は、コイル21を備えた外側ヨー ク22と、シリンダ10の外周面に接するように けられた内側ヨーク23と、外側ヨーク22と内 ヨーク23の間の環状空間に挿入されたリン 状のマグネット24と、外側ヨーク22を囲む管 25と、外側ヨーク22、内側ヨーク23、及び管 25を所定の位置関係に保持する合成樹脂製 ンドブラケット26、27とを備える。マグネッ 24はマグネットホルダ14に固定されている。

 マグネットホルダ14のハブの部分にはス リング30の中心部が固定される。ディスプレ ーサ軸15にはスプリング31の中心部が固定さ る。スプリング30、31の外周部はエンドブラ ット27に固定される。スプリング30、31の外 部同士の間にはスペーサ32が配置されてお 、これによりスプリング30、31は一定の距離 保つ。スプリング30、31は円板形の素材にス パイラル状の切り込みを入れたものであり、 ディスプレーサ13をピストン12に対し所定の 相差(一般的には約90゜の位相差)をもたせて 振させる役割を果たす。

 シリンダ11のうち、ディスプレーサ13の動 作領域にあたる部分の外側には高温側伝熱ヘ ッド40と低温側伝熱ヘッド41が配置される。 温側伝熱ヘッド40はリング状、低温側伝熱ヘ ッド41はキャップ状であって、いずれも銅や 合金など熱伝導の良い金属からなる。高温 伝熱ヘッド40の内周面にはリング状の高温 内部熱交換器42が装着され、低温側伝熱ヘッ ド41の内周面には同じくリング状の低温側内 熱交換器43が装着される。高温側内部熱交 器42と低温側内部熱交換器43はそれぞれ通気 を有し、内部を通り抜ける作動ガスの熱を 温側伝熱ヘッド40と低温側伝熱ヘッド41に伝 える。高温側内部熱交換器42と低温側内部熱 換器43は、例えば銅や銅合金の薄板をコル ート加工し、圧縮する等して形成すること できる。

 高温側伝熱ヘッド40と低温側伝熱ヘッド41 はこのように高温側内部熱交換器42と低温側 部熱交換器43を介在させた形でシリンダ11の 外側に支持される。そして高温側伝熱ヘッド 40にはシリンダ10及び圧力容器50が連結される 。

 高温側伝熱ヘッド40、シリンダ10、11、ピ トン12、ディスプレーサ13、ディスプレーサ 軸15、及び高温側内部熱交換器42で囲まれる 状の空間は圧縮空間45となる。低温側伝熱ヘ ッド41、シリンダ11、ディスプレーサ13、及び 低温側内部熱交換器43で囲まれる空間は膨張 間46となる。

 高温側内部熱交換器42と低温側内部熱交 器43の間には再生器70が配置される。再生器7 0の構造は後で詳述する。再生器70の外側を再 生器チューブ48が包み、高温側伝熱ヘッド40 低温側伝熱ヘッド41の間に気密通路を構成す る。再生器チューブ48は、例えばステンレス で形成することができる。

 リニアモータ20、シリンダ10、及びピスト ン12を覆う筒状の圧力容器が胴体部50を形成 る。胴体部50の内部は背圧空間51となる。

 胴体部50の構造は次のようになっている すなわち胴体部50は、高温側伝熱ヘッド40に 合されるリング状部52と、このリング状部52 に接合されるキャップ状部53とに2分割されて いる。リング状部52、キャップ状部53ともス ンレス鋼製である。リング状部52の一端はテ ーパ状に絞り込まれ、高温側伝熱ヘッド40に ウ付けされる。キャップ状部53はパイプの 面に鏡板53aを溶接した構造である。

 リング状部52の他端と、これに向かい合 キャップ状部53の開口端には、フランジ形状 部54、55が設けられる。フランジ形状部54、55 いずれもステンレス鋼製のリングをリング 部52とキャップ状部53に溶接して形成される ものであり、最終的にはフランジ形状部54、5 5を溶接して密閉状態の胴体部50を形成する。

 胴体部50には、リニアモータ20に電力を供 給するための端子部28と、内部に作動ガスを 入するためのパイプ50aが配置される。これ はいずれもキャップ状部53の外周面から放 方向に突出するように設けられる。

 胴体部50には振動抑制装置60が取り付けら れる。振動抑制装置60は、胴体部50に固定さ るベース61と、ベース61に支持される板状の プリング62と、スプリング62に支持されるバ ランスウェイト63とから成る。

 スターリング機関1は次のように動作する 。リニアモータ20のコイル21に交流電流を供 すると外側ヨーク22と内側ヨーク23の間にマ ネット24を貫通する磁界が発生し、マグネ ト24は軸方向に往復する。ピストン系(ピス ン12、マグネットホルダ14、マグネット24、 びスプリング30)の総質量と、スプリング30の バネ定数とにより定まる共振周波数に一致す る周波数の電力を供給することにより、ピス トン系は滑らかな正弦波状の往復運動を開始 する。

 ディスプレーサ系(ディスプレーサ13、デ スプレーサ軸15、及びスプリング31)にあっ は、その総質量と、スプリング31のバネ定数 とにより定まる共振周波数がピストン12の駆 周波数に共振するよう設定する。

 ピストン12の往復運動により、圧縮空間45 では圧縮、膨脹が繰り返される。この圧力の 変化に伴って、ディスプレーサ13も往復運動 行う。このとき、圧縮空間45と膨脹空間46と の間の流動抵抗等により、ディスプレーサ13 ピストン12との間には位相差が生じる。こ ようにしてフリーピストン構造のディスプ ーサ13はピストン12と所定の位相差を有して 期して振動する。

 上記の動作により、圧縮空間45と膨脹空 46との間に逆スターリングサイクルが形成さ れる。圧縮空間では作動ガスの温度が上昇し 、膨脹空間46では作動ガスの温度が低下する このため、圧縮空間45の温度は上昇し、膨 空間46の温度は下降する。

 運転中に圧縮空間45と膨張空間46の間を移 動する作動ガスは、高温側内部熱交換器42と 温側内部熱交換器43を通過する際に、その する熱を高温側内部熱交換器42と低温側内部 熱交換器43を通じて高温側伝熱ヘッド40と低 側伝熱ヘッド41に伝える。圧縮空間45から再 器70へ流れ込む作動ガスは高温であるため 温側伝熱ヘッド40は加熱され、高温側伝熱ヘ ッド40はウォームヘッドとなる。膨張空間46 ら再生器70へ流れ込む作動ガスは低温である ため低温側伝熱ヘッド41は冷却され、低温側 熱ヘッド41はコールドヘッドとなる。高温 伝熱ヘッド40より熱を大気へ放散し、低温側 伝熱ヘッド41で特定空間の温度を下げること より、スターリング機関1は冷凍機関として の機能を果たす。

 再生器70は、圧縮空間45と膨張空間46の熱 相手側の空間には伝えず、作動ガスだけを す働きをする。圧縮空間45から高温側内部 交換器42を経て再生器70に入った高温の作動 スは、再生器70を通過するときにその熱を 生器70に与え、温度が下がった状態で膨張空 間46に流入する。膨張空間46から低温側内部 交換器43を経て再生器70に入った低温の作動 スは、再生器70を通過するときに再生器70か ら熱を回収し、温度が上がった状態で圧縮空 間45に流入する。すなわち再生器70は蓄熱手 としての役割を果たす。

 ピストン12とディスプレーサ13が往復運動 し、作動ガスが移動すると、スターリング機 関1に振動が生じる。振動抑制装置60がこの振 動を抑える。

 続いて再生器70の構成を図2、3に基づき説 明する。

 再生器70の組立の基礎となるのは円筒形 巻芯71である。巻芯71はシリンダ11の外周面 対ししまりばめとなる内径を有する。巻芯71 の材料は、作動ガスのもたらす温熱又は冷熱 に耐えて長期間使用できるものであれば何で もよいが、強度、断熱性、製造コスト等を総 合判断すれば、合成樹脂を選択するのが現実 的である。巻芯71は必須のものではなく、シ ンダ11に直接樹脂フィルムを巻回する構成 可能である。

 巻芯71の外周面に樹脂フィルムを巻回し 樹脂フィルム巻回積層体を形成する。樹脂 ィルムとしてはPEN(polyethylene naphthalate:ポリ チレンナフタレート)のフィルムを採用した PENフィルム72を巻回して樹脂フィルム巻回 層体73を形成するにあたり、PENフィルム72の 間に作動ガスを通す間隙を確保する必要が る。そのため、PENフィルム72の表面には片 に突起74を点在させる。

 突起74を形成するにあたっては様々な手 が採用可能である。図4に突起形成装置の一 を示す。図4の突起形成装置100は、フィルム フィーダ101から繰り出したPENフィルム72にニ ドルニードルプレス機110で突起を形成し、 起形成後の樹脂フィルムをフィルムワイン 102で巻き取る。フィルムフィーダ101からフ ルムワインダ102までの各所には送りローラ1 03、104、105が配置され、PENフィルム72に所定 間欠送りを与える。送りローラ103、104、105 それぞれ2本一組でPENフィルム72を上下から む。

 ニードルプレス機110は、PENフィルム72を から支えるプラテン111と、プラテン111に支 られたPENフィルム72に対し所定タイミングで 上方より接近するラム112を備える。ラム112の 下面からは複数のニードルピン113が突出する 。ニードルピン113はPENフィルム72の送り方向 直交する方向に一列に並ぶ。プラテン111に ニードルピン113に対応する位置に孔が設け れており、ニードルピン113が降下するとそ 孔の中にPENフィルム72が押し込まれ、突起74 が形成されることになる。

 送りローラ104と送りローラ105の間にはレ リングブロック115が配置される。レベリン ブロック115は上ブロック115aと下ブロック115 bを所定間隔で向かい合わせに配置したもの あり、突起形成後のPENフィルム72を上ブロッ ク115aと下ブロック115bの間に通して突起74を 定の高さに揃える。樹脂フィルム巻回積層 73のフィルム間距離を均一にするため、この ような処理を行う。

 フィルムワインダ102に巻き取られたPENフ ルム72は、その後の工程で図示しない巻き り装置により巻芯71に巻かれて樹脂フィルム 巻回積層体73となり、図2の再生器70が形成さ る。

 再生器70を形成する際、フィルム厚をtとし フィルム間距離をdとし、圧力損失をδpとし たとき、これら三者の間に、Kを係数として
        δp=K・f(t、d)
の関係が一般に成立する。係数Kは作動ガス 粘性、再生器70の容積、作動ガスの流量、作 動ガスとフィルムとの摩擦力などによって決 まる。従って、圧力損失pが一定ならばフィ ム厚tとフィルム間距離dはほぼ一義的に求め られる。   

 上記構造の再生器において、厚さの異なるP ENフィルム(例えば帝人デュポンフィルム株式 会社製PENフィルム:商品名ネオテックス)を用 て複数の試作品を製作し、それらを図1に示 す構造のスターリング機関に組み付けて冷凍 能力を評価した結果を図5に示す。評価に使 したスターリング機関は、作動ガスがHe、平 均ガス圧が約3.2MPa、ピストンの最大掃気容積 約10cm 3 、スターリング機関の最大冷凍能力は約300w(- 23℃時)クラスのものである。再生器のPENフィ ルム外径は68mm、内径は54mm、作動ガス流れ方 の幅は55mmである。用いたPENフィルムは入手 可能な厚さのもの、すなわち50μm、38μm、25μm 、20μm、及び16μmの厚さのものである。   

 PENフィルムを用いた再生器を搭載したス ーリング機関の冷凍能力COPをグラフにプロ トしたところ、図5のようになった。性能は 、樹脂フィルム厚50μmの再生器を搭載したス ーリング機関の冷凍能力COPを100としたとき それ以外の種類の再生器を搭載したスター ング機関の冷凍能力COPがどのような数値を すかにより評価した。図5に見られるように 、PENフィルム厚を20μmと25μmとすることによ 明らかに高い性能を示し、かつ明確なピー を持つことが判明した。すなわち20μmから25 mの間ではトレードオフの関係であった蓄熱 と伝熱性のバランスがとれ、再生器として 高の性能が得られる。

 樹脂フィルム巻回積層体のフィルム間距 の平均値は87μm~90μmとした。フィルム間距 に幅があるが、これは、ピストン12とディス プレーサ13の位相角度を最適とするための措 である。

 従って、図5より、スターリング機関の冷 凍能力を最大限に引き出すためには、再生器 の樹脂フィルム巻回積層体を形成するPENフィ ルムの厚さを20μm近傍から25μm近傍とするこ が好ましいと判断できる。20μmから25μmまで 範囲であれば高い冷凍能力COPを確実に享受 きる。

 またPENフィルム厚が20μm未満の場合、次 ような製造上の問題も発生する。すなわちPE Nフィルムがここまで薄いと、再生器にした 合の外径精度が悪くなり、再生器チューブ 再生器外面との間に隙間ができたり、フィ ムの剛性が劣化しフィルム層間のばらつき 大きくなったりするため、作動ガスと再生 間の熱交換が有効に行えなくなる。PENフィ ム厚が20μm以上あれば、そのような問題は起 きにくい。

 また、PENフィルムを採用したことにより ニードルプレスで突起を形成する上で好ま い効果が得られた。これを図6、7に基づき 明する。

 図4の装置で樹脂フィルムにニードルプレ スを施した場合、図6の(a)(b)(c)に示すような 起形状が生じる。(a)(b)(c)の各図において、 段は突起の平面形状、下段は突起の断面形 を示す。なお図6は概略形状を概念的に示す のであり、現実の形状がこの通りになって るということではない。

 (a)では外形がほぼ円錐(円錐台)形で、頂 に穴が抜けた突起αが形成されており、これ が理想形状である。(b)の突起αは、形状は円 形であるが、斜面の一部に亀裂βが入って り、円錐形を維持する力が(a)に比べて弱く 好ましくない。(c)の突起αは、所定の円錐形 に至る前に大きく亀裂βが入り、十分な高さ 得ることなく隆起が終わってしまっている これは最も避けるべきである。

 上記a、b、cの形状の発生頻度は、樹脂の 類によって異なる。それをPEN、PET(ポリエチ レンテレフタレート)、PS(ポリスチレン)、ナ ロン、ポリイミドにつき調べた結果が図7の 表である。評価は、突起形状の発生頻度を「 最も発生頻度の高い形状」と「頻度は少ない が発生する形状」の2段階に分け、定性的に 定することにより行った。

 図7の評価結果によると、PENでは形状aの 生頻度が最も高く、時々形状bが発生する。P ETでは形状bの発生頻度が最も高く、時々形状 aが発生する。PSとナイロンではほぼ全面的に 形状bとなる。ポリイミドではほぼ全面的に 状cとなる。

 PENは他の樹脂に比べ理想的な形状となる 度が高く、突起高さのばらつきが少ない。 のためフィルム間距離が安定し、総合評価 高くなる。PET、PS、ナイロンの総合評価は ちる。ポリイミドについては否定的な評価 なる。

 以上本発明の実施形態につき説明したが この他、発明の主旨を逸脱しない範囲でさ に種々の変更を加えて実施することが可能 ある。

 本発明は、スターリング機関全般に利用 能である。