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Title:
RESIDUAL STRESS IMPROVING METHOD OF PIPELINE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/084855
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided are pipeline residual stress improving method and device, which are enabled to improve the residual stress reliably, irrespective of the disposed state and the constituted state of a pipeline, by specifying the management ranges of working conditions. When a cylindrical pipeline (2) is improved in its residual stress by irradiating the outer circumference of the welded portion (C) of the pipeline (2) locally with a laser beam (5a) and by moving an irradiated region (S) circumferentially, therefore, a plurality of thermocouples (9) are disposed at the pipeline (2) to be worked, and the temperature history of the outer face of the pipeline (2) by the irradiation of the laser beam (5a) is managed by measuring the temperature history itself.

Inventors:
OTA TAKAHIRO (JP)
KAMO KAZUHIKO (JP)
MUROYA ITARU (JP)
ASADA SEIJI (JP)
WAKABAYASHI KAZUHIRO (JP)
OKIMURA KOJI (JP)
ONITSUKA HIRONORI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/050281
Publication Date:
July 17, 2008
Filing Date:
January 11, 2008
Export Citation:
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Assignee:
MITSUBISHI HEAVY IND LTD (JP)
JAPAN ATOMIC POWER (JP)
HOKKAIDO ELECTRIC POWER (JP)
TOHOKU ELECTRIC POWER CO (JP)
TOKYO ELECTRIC POWER CO (JP)
CHUBU ELECTRIC POWER (JP)
HOKURIKU ELECTRIC POWER (JP)
KANSAI ELECTRIC POWER CO (JP)
CHUGOKU ELECTRIC POWER (JP)
SHIKOKU ELEC POWER (JP)
KYUSHU ELECTRIC POWER (JP)
ELECTRIC POWER DEV CO (JP)
OTA TAKAHIRO (JP)
KAMO KAZUHIKO (JP)
MUROYA ITARU (JP)
ASADA SEIJI (JP)
WAKABAYASHI KAZUHIRO (JP)
OKIMURA KOJI (JP)
ONITSUKA HIRONORI (JP)
International Classes:
B23K31/00; C21D9/08; C21D1/30; C21D1/34; C21D9/50; B23K101/06; B23K103/04
Foreign References:
JP2005232586A2005-09-02
JPS62211325A1987-09-17
JPH0230716A1990-02-01
JP2006015399A2006-01-19
JP2006037199A2006-02-09
JPS5770095A1982-04-30
JP2001150178A2001-06-05
JPH10272586A1998-10-13
JP2003004890A2003-01-08
JPH085773A1996-01-12
JP2000254776A2000-09-19
JP2004130314A2004-04-30
JP2005232586A2005-09-02
Other References:
See also references of EP 2119799A4
Attorney, Agent or Firm:
MITSUISHI, Toshiro et al. (Akasaka 1-chome Minato-ku Tokyo, 52, JP)
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Claims:
 円筒状の管体の溶接部分の外周面に局所的にレーザ光を照射し、照射領域を周方向に移動することにより、管体の残留応力を改善する管体の残留応力改善方法において、
 施工対象の管体に複数の温度計を設置し、レーザ光の照射による管体外面の温度履歴を測定して、温度履歴を管理することを特徴とする管体の残留応力改善方法。
 円筒状の管体の溶接部分の外周面に局所的にレーザ光を照射し、照射領域を周方向に移動することにより、管体の残留応力を改善する管体の残留応力改善方法において、
 施工対象の管体に複数の温度計を設置し、レーザ光の照射による管体外面の温度履歴を測定して、最高到達温度、前記最高到達温度までの昇温時間、前記最高到達温度に対して所定の温度範囲内となる軸方向加熱幅を求めると共に、前記昇温時間と前記レーザ光の周方向の移動速度の積から周方向加熱幅を管理することを特徴とする管体の残留応力改善方法。
 円筒状の管体の溶接部分の外周面に局所的にレーザ光を照射し、照射領域を周方向に移動することにより、管体の残留応力を改善する管体の残留応力改善方法において、
 予め、施工対象の管体と同一条件の管体に複数の温度計を設置し、レーザ光の照射による管体外面の温度履歴を測定して、最高到達温度、前記最高到達温度までの昇温時間、前記最高到達温度に対して所定の温度範囲内となる軸方向加熱幅を求めると共に、前記昇温時間と前記レーザ光の周方向の移動速度の積から周方向加熱幅を求めておき、
 施工対象の管体にレーザ光を照射する際、施工条件として、前記最高到達温度、前記昇温時間、前記軸方向加熱幅及び前記周方向加熱幅を管理することを特徴とする管体の残留応力改善方法。
 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の管体の残留応力改善方法において、
 前記昇温時間をτ、管体の熱拡散率をk、管体の板厚をhとして、無次元化時間F=(τ×k)/h 2 を求め、
 前記昇温時間として、前記無次元化時間Fを管理することを特徴とする管体の残留応力改善方法。
 請求項4に記載の管体の残留応力改善方法において、
 前記無次元化時間Fを、上限と下限で管理することを特徴とする管体の残留応力改善方法。
 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の管体の残留応力改善方法において、
 前記周方向加熱幅をW、管体の平均半径をr、管体の板厚をhとして、周方向の無次元化距離G=W/√(rh)を求め、
 前記周方向加熱幅として、前記無次元化距離Gを管理することを特徴とする管体の残留応力改善方法。
 請求項6に記載の管体の残留応力改善方法において、
 前記無次元化距離Gの下限を管理することを特徴とする管体の残留応力改善方法。
 請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の管体の残留応力改善方法において、
 前記軸方向加熱幅をL、管体の平均半径をr、管体の板厚をhとして、軸方向の無次元化距離J=L/√(rh)を求め、
 前記軸方向加熱幅として、前記無次元化距離Jを管理することを特徴とする管体の残留応力改善方法。
 請求項8に記載の管体の残留応力改善方法において、
 前記無次元化距離Jを、3.0以上に管理することを特徴とする管体の残留応力改善方法。
 請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の管体の残留応力改善方法において、
 前記最高到達温度を、
 オーステナイト系ステンレス鋼の場合は、550℃以上、且つ、650℃未満に、
 ニッケルクロム鉄合金の場合は、550℃以上、且つ、650℃未満に、
 低合金鋼あるいは炭素鋼の場合は、500℃以上、且つ、595℃未満に管理することを特徴とする管体の残留応力改善方法。
 請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の管体の残留応力改善方法において、
 前記レーザ光の周方向の移動速度をv、管体の板厚をhとして、
 積(v×h)を、70mm 2 /秒以上に管理することを特徴とする管体の残留応力改善方法。
 請求項4に記載の管体の残留応力改善方法において、
 前記管体の内面が水冷される場合には、前記無次元化時間Fの下限を管理することを特徴とする管体の残留応力改善方法。
 請求項6に記載の管体の残留応力改善方法において、
 前記管体の内面が水冷される場合には、前記無次元化距離Gの下限を管理することを特徴とする管体の残留応力改善方法。
 円筒状の管体の外周を周回移動すると共に周方向移動速度を制御可能な回転駆動手段と、
 前記回転駆動手段に保持され、前記管体の溶接部分の外周面に局所的にレーザ光を照射すると共に照射領域を調整可能な光学ヘッドと、
 前記回転移動手段及び前記光学ヘッドを制御する制御手段とを有し、
 前記レーザ光の照射領域を周方向に移動することにより、管体の残留応力を改善する管体の残留応力改善装置において、
 施工対象の管体に複数の温度計が設置され、
 前記制御手段は、
 レーザ光の照射による管体外面の温度履歴を前記複数の温度計により測定して、温度履歴を管理することを特徴とする管体の残留応力改善装置。
 円筒状の管体の外周を周回移動すると共に周方向移動速度を制御可能な回転駆動手段と、
 前記回転駆動手段に保持され、前記管体の溶接部分の外周面に局所的にレーザ光を照射すると共に照射領域を調整可能な光学ヘッドと、
 前記回転移動手段及び前記光学ヘッドを制御する制御手段とを有し、
 前記レーザ光の照射領域を周方向に移動することにより、管体の残留応力を改善する管体の残留応力改善装置において、
 施工対象の管体に複数の温度計が設置され、
 前記制御手段は、
 レーザ光の照射による管体外面の温度履歴を前記複数の温度計により測定して、最高到達温度、前記最高到達温度までの昇温時間、前記最高到達温度に対して所定の温度範囲内となる軸方向加熱幅を求めると共に、前記昇温時間と前記レーザ光の周方向の移動速度の積から周方向加熱幅を管理することを特徴とする管体の残留応力改善装置。
 円筒状の管体の外周を周回移動すると共に周方向移動速度を制御可能な回転駆動手段と、
 前記回転駆動手段に保持され、前記管体の溶接部分の外周面に局所的にレーザ光を照射すると共に照射領域を調整可能な光学ヘッドと、
 前記回転移動手段及び前記光学ヘッドを制御する制御手段とを有し、
 前記レーザ光の照射領域を周方向に移動することにより、管体の残留応力を改善する管体の残留応力改善装置において、
 前記制御手段は、
 予め、施工対象の管体と同一条件の管体に設置した複数の温度計から、レーザ光の照射による管体外面の温度履歴を測定して、最高到達温度、前記最高到達温度までの昇温時間、前記最高到達温度に対して所定の温度範囲内となる軸方向加熱幅を求めると共に、前記昇温時間と前記レーザ光の周方向の移動速度の積から周方向加熱幅を求めておき、
 施工対象の管体にレーザ光を照射する際、施工条件として、前記最高到達温度、前記昇温時間、前記軸方向加熱幅及び前記周方向加熱幅を管理することを特徴とする管体の残留応力改善装置。
 請求項14乃至請求項16のいずれかに記載の管体の残留応力改善装置において、
 前記制御手段は、
 前記昇温時間をτ、管体の熱拡散率をk、管体の板厚をhとして、無次元化時間F=(τ×k)/h 2 を求め、
 前記昇温時間として、前記無次元化時間Fを管理することを特徴とする管体の残留応力改善装置。
 請求項17に記載の管体の残留応力改善装置において、
 前記制御手段は、
 前記無次元化時間Fを、上限と下限で管理することを特徴とする管体の残留応力改善装置。
 請求項14乃至請求項18のいずれかに記載の管体の残留応力改善装置において、
 前記制御手段は、
 前記周方向加熱幅をW、管体の平均半径をr、管体の板厚をhとして、周方向の無次元化距離G=W/√(rh)を求め、
 前記周方向加熱幅として、前記無次元化距離Gを管理することを特徴とする管体の残留応力改善装置。
 請求項19に記載の管体の残留応力改善装置において、
 前記制御手段は、
 前記無次元化距離Gの下限を管理することを特徴とする管体の残留応力改善装置。
 請求項14乃至請求項20のいずれかに記載の管体の残留応力改善装置において、
 前記制御手段は、
 前記軸方向加熱幅をL、管体の平均半径をr、管体の板厚をhとして、軸方向の無次元化距離J=L/√(rh)を求め、
 前記軸方向加熱幅として、前記無次元化距離Jを管理することを特徴とする管体の残留応力改善装置。
 請求項21に記載の管体の残留応力改善装置において、
 前記制御手段は、
 前記無次元化距離Jを、3.0以上に管理することを特徴とする管体の残留応力改善装置。
 請求項14乃至請求項22のいずれかに記載の管体の残留応力改善装置において、
 前記制御手段は、
 前記最高到達温度を、
 オーステナイト系ステンレス鋼の場合は、550℃以上、且つ、650℃未満に、
 ニッケルクロム鉄合金の場合は、550℃以上、且つ、650℃未満に、
 低合金鋼あるいは炭素鋼の場合は、500℃以上、且つ、595℃未満に管理することを特徴とする管体の残留応力改善装置。
 請求項14乃至請求項23のいずれかに記載の管体の残留応力改善装置において、
 前記制御手段は、
 前記レーザ光の周方向の移動速度をv、管体の板厚をhとして、
 積(v×h)を、70mm 2 /秒以上に管理することを特徴とする管体の残留応力改善装置。
 請求項17に記載の管体の残留応力改善装置において、
 前記制御手段は、
 前記管体の内面が水冷される場合には、前記無次元化時間Fの下限を管理することを特徴とする管体の残留応力改善装置。
 請求項19に記載の管体の残留応力改善装置において、
 前記制御手段は、
 前記管体の内面が水冷される場合には、前記無次元化距離Gの下限を管理することを特徴とする管体の残留応力改善装置。
Description:
管体の残留応力改善方法

 本発明は、配管等の管体の残留応力を改 する管体の残留応力改善方法に関する。

 原子力発電所、大型プラント等において 大型の配管等の管体を設置する場合、溶接 た際に配管に残留する引張応力が問題とな 。溶接が行われると配管内面には引張残留 力が発生し、その引張残留応力によって配 の寿命が短くなるおそれがあるため、溶接 よって発生した残留応力は、圧縮応力まで 善することが望ましい。

 配管に残留する引張応力の改善方法とし 、高周波加熱残留応力改善法(Induction Heating  Stress Improvement Process;以降、IHSI法と呼ぶ。) が提案されている。このIHSI法は、配管の応 腐食割れ(Stress Corrosion Cracking;以降、SCCと呼 ぶ。)条件を満たしている部分近傍の厚み方 に温度勾配ができるように、管内面を流水 より強制冷却しながら外面側から高周波誘 加熱コイルを利用して誘導加熱で昇温した 、加熱を停止し、配管の厚み方向が略均一 温度となるまで内面に水を流すことで冷却 続け、結果として、溶接部近傍の引張状態 残留応力を低減又は圧縮状態にするもので る(特許文献1~3)。

 又、配管に残留する引張応力の改善方法と て、レーザ照射を用いて、ステンレス鋼等 配管の表面を溶体化温度加熱あるいは溶融 ることにより、裏面の残留応力を低減する 法や、レーザを回転移動しながら配管外面 線状に照射し、加熱することにより、残留 力を低減する方法も提案されている(特許文 献4~8)。

特開昭57-70095号公報

特開2001-150178号公報

特開平10-272586号公報

特開2003-004890号公報

特開平8-5773号公報

特開2000-254776号公報

特開2004-130314号公報

特開2005-232586号公報

 IHSI法においては、加熱終了時に管外周面 と管内周面との間には一定以上の温度差が必 要である。このため、既に据え付けられ、内 部を水流による冷却が可能な配管に対しては 実施しやすいが、管内部に流水状態を確保で きない管体に対しては実施が困難である。又 、IHSI法は、管の厚み方向に温度勾配をつけ ために高周波誘導加熱を行うものであるが 高周波誘導コイルによる加熱の場合、管体 材質(誘電率)によって、熱が伝わる深さ及び 範囲が異なり、その加熱範囲の限定が難しい 。又、装置も大掛かりでエネルギー消費量も 大きく、更に、異材継手等、誘電率が異なる 部材が混じっている場合には、厚み方向に一 定の温度勾配をつけるのが難しい。

 又、レーザ照射を用いて、ステンレス鋼 の配管の表面を溶体化温度加熱あるいは溶 することにより、裏面の残留応力を低減す 方法おいては、加熱しすぎたり、加熱が不 したりする可能性がある。加熱しすぎた場 、加熱領域の近傍に鋭敏化温度に晒される 域が発生し、材料自体に悪影響を与える。 、加熱面に酸化スケールが形成され、スケ ルを除去する必要が生じ、原子力発電所内 の施工では、被ばくが増加するおそれがあ 。又、加熱不足の場合には、残留応力を十 改善することができず、SCCを確実に防止で ないおそれもある。加えて、ステンレス鋼 低合金鋼のように異種材料が存在する場合 は、ステンレス鋼の材質改善(脱鋭敏化温度 :1050℃以上)では低合金鋼の材質に悪影響(焼 れによる硬化、靭性低下)が発生するため、 材継手には適用できないという問題点があ 。

 又、レーザ照射を用い、回転移動しなが レーザを配管外面に線状に照射して加熱す ことにより、残留応力を低減する方法にお ては、加熱領域を制限するため、軸方向加 幅に制限を設けている。しかしながら、確 に圧縮残留応力を得るためには、軸方向加 幅だけではなく、周方向加熱幅、移動速度 も制限を設ける必要があり、加えて、周方 加熱幅等をどのように設定するか明確に規 しないと、施工する際に、どのような施工 件を用いて施工するか管理できないという 題点があった。特に、施工対象の径、板厚 材質等が異なる場合には、施工条件を変更 る必要があり、所望の応力改善効果を得る めに、施工条件を最適な範囲に管理する必 があった。又、ステンレス鋼と低合金鋼の うに異種材料が存在する場合の施工につい は、その施工条件について、全く決められ いなかった。

 本発明は上記課題に鑑みなされたもので 施工条件の管理範囲を規定して、管体の設 状態、構成状態に依らず、確実に残留応力 改善できる管体の残留応力改善方法を提供 ることを目的とする。

 上記課題を解決する第1の発明に係る管体の 残留応力改善方法は、
 円筒状の管体の溶接部分の外周面に局所的 レーザ光を照射し、照射領域を周方向に移 することにより、管体の残留応力を改善す 管体の残留応力改善方法において、
 施工対象の管体に複数の温度計を設置し、 ーザ光の照射による管体外面の温度履歴を 定して、温度履歴を管理することを特徴と る。

 上記課題を解決する第2の発明に係る管体の 残留応力改善方法は、
 円筒状の管体の溶接部分の外周面に局所的 レーザ光を照射し、照射領域を周方向に移 することにより、管体の残留応力を改善す 管体の残留応力改善方法において、
 施工対象の管体に複数の温度計を設置し、 ーザ光の照射による管体外面の温度履歴を 定して、最高到達温度、前記最高到達温度 での昇温時間、前記最高到達温度に対して 定の温度範囲内となる軸方向加熱幅を求め と共に、前記昇温時間と前記レーザ光の周 向の移動速度の積から周方向加熱幅を管理 ることを特徴とする。

 上記課題を解決する第3の発明に係る管体の 残留応力改善方法は、
 円筒状の管体の溶接部分の外周面に局所的 レーザ光を照射し、照射領域を周方向に回 することにより、管体の残留応力を改善す 管体の残留応力改善方法において、
 予め、施工対象の管体と同一条件の管体に 数の温度計を設置し、レーザ光の照射によ 管体外面の温度履歴を測定して、最高到達 度、前記最高到達温度までの昇温時間、前 最高到達温度に対して所定の温度範囲内と る軸方向加熱幅を求めると共に、前記昇温 間と前記レーザ光の周方向の移動速度の積 ら周方向加熱幅を求めておき、
 施工対象の管体にレーザ光を照射する際、 工条件として、前記最高到達温度、前記昇 時間、前記軸方向加熱幅及び前記周方向加 幅を管理することを特徴とする。

 上記課題を解決する第4の発明に係る管体の 残留応力改善方法は、
 上記第1~第3の発明に係る管体の残留応力改 方法において、
 前記昇温時間をτ、管体の熱拡散率をk、管 の板厚をhとして、無次元化時間F=(τ×k)/h 2 を求め、
 前記昇温時間として、前記無次元化時間Fを 管理することを特徴とする。

 上記課題を解決する第5の発明に係る管体の 残留応力改善方法は、
 上記第4の発明に係る管体の残留応力改善方 法において、
 前記無次元化時間Fを、上限と下限で管理す ることを特徴とする。

 上記課題を解決する第6の発明に係る管体の 残留応力改善方法は、
 上記第1~第5の発明に係る管体の残留応力改 方法において、
 前記周方向加熱幅をW、管体の平均半径をr 管体の板厚をhとして、周方向の無次元化距 G=W/√(rh)を求め、
 前記周方向加熱幅として、前記無次元化距 Gを管理することを特徴とする。

 上記課題を解決する第7の発明に係る管体の 残留応力改善方法は、
 上記第6の発明に係る管体の残留応力改善方 法において、
 前記無次元化距離Gの下限を管理することを 特徴とする。

 上記課題を解決する第8の発明に係る管体の 残留応力改善方法は、
 上記第1~第7の発明に係る管体の残留応力改 方法において、
 前記軸方向加熱幅をL、管体の平均半径をr 管体の板厚をhとして、軸方向の無次元化距 J=L/√(rh)を求め、
 前記軸方向加熱幅として、前記無次元化距 Jを管理することを特徴とする。

 上記課題を解決する第9の発明に係る管体の 残留応力改善方法は、
 上記第8の発明に係る管体の残留応力改善方 法において、
 前記無次元化距離Jを、3.0以上に管理するこ とを特徴とする。

 上記課題を解決する第10の発明に係る管体 残留応力改善方法は、
 上記第1~第9の発明に係る管体の残留応力改 方法において、
 前記最高到達温度を、
 オーステナイト系ステンレス鋼の場合は、5 50℃以上、且つ、650℃未満に、
 ニッケルクロム鉄合金の場合は、550℃以上 且つ、650℃未満に、
 低合金鋼あるいは炭素鋼の場合は、500℃以 、且つ、595℃未満に管理することを特徴と る。

 上記課題を解決する第11の発明に係る管体 残留応力改善方法は、
 上記第1~第10の発明に係る管体の残留応力改 善方法において、
 前記レーザ光の周方向の移動速度をv、管体 の板厚をhとして、
 積(v×h)を、70mm 2 /秒以上に管理することを特徴とする。

 上記課題を解決する第12の発明に係る管体 残留応力改善方法は、
 上記第4の発明に係る管体の残留応力改善方 法において、
 前記管体の内面が水冷される場合には、前 無次元化時間Fの下限を管理することを特徴 とする。

 上記課題を解決する第13の発明に係る管体 残留応力改善方法は、
 上記第6の発明に係る管体の残留応力改善方 法において、
 前記管体の内面が水冷される場合には、前 無次元化距離Gの下限を管理することを特徴 とする。

 上記課題を解決する第14の発明に係る管体 残留応力改善装置は、
 円筒状の管体の外周を周回移動すると共に 方向移動速度を制御可能な回転駆動手段と
 前記回転駆動手段に保持され、前記管体の 接部分の外周面に局所的にレーザ光を照射 ると共に照射領域を調整可能な光学ヘッド 、
 前記回転移動手段及び前記光学ヘッドを制 する制御手段とを有し、
 前記レーザ光の照射領域を周方向に移動す ことにより、管体の残留応力を改善する管 の残留応力改善装置において、
 施工対象の管体に複数の温度計が設置され
 前記制御手段は、
 レーザ光の照射による管体外面の温度履歴 前記複数の温度計により測定して、温度履 を管理することを特徴とする。

 上記課題を解決する第15の発明に係る管体 残留応力改善装置は、
 円筒状の管体の外周を周回移動すると共に 方向移動速度を制御可能な回転駆動手段と
 前記回転駆動手段に保持され、前記管体の 接部分の外周面に局所的にレーザ光を照射 ると共に照射領域を調整可能な光学ヘッド 、
 前記回転移動手段及び前記光学ヘッドを制 する制御手段とを有し、
 前記レーザ光の照射領域を周方向に移動す ことにより、管体の残留応力を改善する管 の残留応力改善装置において、
 施工対象の管体に複数の温度計が設置され
 前記制御手段は、
 レーザ光の照射による管体外面の温度履歴 前記複数の温度計により測定して、最高到 温度、前記最高到達温度までの昇温時間、 記最高到達温度に対して所定の温度範囲内 なる軸方向加熱幅を求めると共に、前記昇 時間と前記レーザ光の周方向の移動速度の から周方向加熱幅を管理することを特徴と る。

 上記課題を解決する第16の発明に係る管体 残留応力改善装置は、
 円筒状の管体の外周を周回移動すると共に 方向移動速度を制御可能な回転駆動手段と
 前記回転駆動手段に保持され、前記管体の 接部分の外周面に局所的にレーザ光を照射 ると共に照射領域を調整可能な光学ヘッド 、
 前記回転移動手段及び前記光学ヘッドを制 する制御手段とを有し、
 前記レーザ光の照射領域を周方向に移動す ことにより、管体の残留応力を改善する管 の残留応力改善装置において、
 前記制御手段は、
 予め、施工対象の管体と同一条件の管体に 置した複数の温度計から、レーザ光の照射 よる管体外面の温度履歴を測定して、最高 達温度、前記最高到達温度までの昇温時間 前記最高到達温度に対して所定の温度範囲 となる軸方向加熱幅を求めると共に、前記 温時間と前記レーザ光の周方向の移動速度 積から周方向加熱幅を求めておき、
 施工対象の管体にレーザ光を照射する際、 工条件として、前記最高到達温度、前記昇 時間、前記軸方向加熱幅及び前記周方向加 幅を管理することを特徴とする。

 上記課題を解決する第17の発明に係る管体 残留応力改善装置は、
 上記第14~第16の発明に係る管体の残留応力 善方法において、
 前記制御手段は、
 前記昇温時間をτ、管体の熱拡散率をk、管 の板厚をhとして、無次元化時間F=(τ×k)/h 2 を求め、
 前記昇温時間として、前記無次元化時間Fを 管理することを特徴とする。

 上記課題を解決する第18の発明に係る管体 残留応力改善装置は、
 上記第17の発明に係る管体の残留応力改善 置において、
 前記制御手段は、
 前記無次元化時間Fを、上限と下限で管理す ることを特徴とする。

 上記課題を解決する第19の発明に係る管体 残留応力改善装置は、
 上記第14~第18の発明に係る管体の残留応力 善装置において、
 前記制御手段は、
 前記周方向加熱幅をW、管体の平均半径をr 管体の板厚をhとして、周方向の無次元化距 G=W/√(rh)を求め、
 前記周方向加熱幅として、前記無次元化距 Gを管理することを特徴とする。

 上記課題を解決する第20の発明に係る管体 残留応力改善装置は、
 上記第19の発明に係る管体の残留応力改善 置において、
 前記制御手段は、
 前記無次元化距離Gの下限を管理することを 特徴とする。

 上記課題を解決する第21の発明に係る管体 残留応力改善装置は、
 上記第14~第20の発明に係る管体の残留応力 善装置において、
 前記制御手段は、
 前記軸方向加熱幅をL、管体の平均半径をr 管体の板厚をhとして、軸方向の無次元化距 J=L/√(rh)を求め、
 前記軸方向加熱幅として、前記無次元化距 Jを管理することを特徴とする。

 上記課題を解決する第22の発明に係る管体 残留応力改善装置は、
 上記第21の発明に係る管体の残留応力改善 置において、
 前記制御手段は、
 前記無次元化距離Jを、3.0以上に管理するこ とを特徴とする。

 上記課題を解決する第23の発明に係る管体 残留応力改善装置は、
 上記第14~第22の発明に係る管体の残留応力 善装置において、
 前記制御手段は、
 前記最高到達温度を、
 オーステナイト系ステンレス鋼の場合は、5 50℃以上、且つ、650℃未満に、
 ニッケルクロム鉄合金の場合は、550℃以上 且つ、650℃未満に、
 低合金鋼あるいは炭素鋼の場合は、500℃以 、且つ、595℃未満に管理することを特徴と る。

 上記課題を解決する第24の発明に係る管体 残留応力改善装置は、
 上記第14~第23の発明に係る管体の残留応力 善装置において、
 前記制御手段は、
 前記レーザ光の周方向の移動速度をv、管体 の板厚をhとして、
 積(v×h)を、70mm 2 /秒以上に管理することを特徴とする。

 上記課題を解決する第25の発明に係る管体 残留応力改善装置は、
 上記第17の発明に係る管体の残留応力改善 置において、
 前記制御手段は、
 前記管体の内面が水冷される場合には、前 無次元化時間Fの下限を管理することを特徴 とする。

 上記課題を解決する第26の発明に係る管体 残留応力改善装置は、
 上記第19の発明に係る管体の残留応力改善 置において、
 前記制御手段は、
 前記管体の内面が水冷される場合には、前 無次元化距離Gの下限を管理することを特徴 とする。

 本発明によれば、管体外面に設置した温 計の温度履歴により、施工の品質を確保で るため、用いたレーザ光の入熱密度分布を 測する必要がなく、現場で簡単に施工管理 できる。又、温度を直接計測して管理する とができるので、応力改善効果の品質を確 できる。

 又、管体内面を強制冷却しながらレーザ 熱を行う場合には、昇温時間、周方向加熱 等の管理範囲が広くなり、より簡単に施工 理ができる。

(a)は、本発明に係る管体の残留応力改 装置の模式図であり、(b)は、配管の形状と 熱幅、移動速度等について説明する図であ 。 温度と板厚の無次元化位置との関係を すグラフである。 温度と無次元化時間との関係を示すグ フであり、(a)は、内面の温度、(b)は、外面 温度を示す。 応力と板厚の無次元化位置との関係を すグラフであり、(a)は、周方向応力、(b)は 軸方向応力を示す。 応力と軸方向位置との関係を示すグラ であり、(a)は、内面の周方向応力、(b)は、 面の軸方向応力を示す。 応力と軸方向位置との関係を示すグラ であり、(a)は、外面の周方向応力、(b)は、 面の軸方向応力を示す。 (a)は、本発明における昇温時間を説明 る図であり、(b)は、本発明における軸方向 熱幅を説明する図である。 本発明において、昇温時間パラメータ 熱応力との関係を示すグラフである。 本発明において、周方向加熱幅と熱応 との関係を示すグラフである。 本発明において、軸方向加熱幅と熱応 力との関係を示すグラフである。 本発明において、加熱温度と熱応力と の関係を示すグラフである。 本発明において、外面と内面の温度差 と移動速度との関係を示すグラフである。 (a)は、異材材料を溶接した配管を説明 する図であり、(b)は、残留応力改善領域を説 明する図である。 本発明を、異材材料を溶接した配管に 適用した場合の軸方向位置の応力のグラフで あり、(a)は、周方向応力、(b)は、軸方向応力 を示す。 本発明を、水冷モードで用いた場合に おいて、外面からの距離に対する異なるFoに ける温度分布を示すグラフである。 (a)は。水冷モードにおける昇温時間パ ラメータと熱応力との関係を示すグラフであ り、(b)は、水冷モードにおける周方向加熱幅 と熱応力との関係を示すグラフである。 空冷モードと水冷モードにおいて、外 面からの距離に対する温度分布を比較するグ ラフである。 水冷モードにおける応力と軸方向位置 との関係を示すグラフであり、(a)は、軸方向 応力、(b)は、周方向応力を示す。

符号の説明

 1  残留応力改善装置、 2  配管、 3   回転駆動装置、 4  アーム部、 5  光学ヘ ド、 6  光ファイバ、 7  レーザ発振器  8  制御装置、 9  熱電対、 C  溶接部  D  配管の外径、 h  配管の板厚、 L   方向加熱幅、 r  配管の平均半径、 S  加 熱領域、 v  周方向移動速度、 W  周方向 熱幅

 本発明に係る管体の残留応力改善方法及 残留応力改善装置を、図1~図18を用いて、詳 細に説明する。

<装置構成>
 図1(a)は、本発明に係る管体の残留応力改善 装置を示す模式図である。
 図1(a)に示すように、残留応力改善装置1は 円筒状の管体である配管2の外周を周回移動 能に配置され、周方向の移動速度vを制御可 能な回転駆動装置3(回転駆動手段)と、回転駆 動装置3に支持されると共に配管2の軸方向に 設され、配管2の周囲を配管2と同軸に周回 能なアーム部4と、アーム部4に保持され、配 管2の外周面の所定領域にレーザ光5aを照射す る光学ヘッド5と、光ファイバ6により光学ヘ ド5と接続され、光ファイバ6を介してレー 光を光学ヘッド5に供給するレーザ発振器7と 、回転駆動装置3、レーザ発振器7等を制御す 制御装置8とを有するものである。なお、加 熱範囲により、複数のレーザ発振器と光学ヘ ッドを回転駆動装置のアームに設置する場合 もある。

 回転駆動装置3は、配管2の外周に脱着可 なものであり、残留応力を改善したい箇所 えば、溶接部C等の周囲に自由に設置可能で る。なお、回転駆動装置3は、その内周側が 配管2を保持し、アーム部4を支持する外周側 周回可能であればどのような構成でもよく 例えば、内周側において、配管2を保持する 固定側となる固定部と、外周側において、ア ーム部4を支持すると共に配管2の周囲を配管2 と同軸に周回する周回側となる周回部とを有 するような構成でもよい。

 光学ヘッド5、光ファイバ6、レーザ発振 7は、加熱光学系を構成しており、アーム部4 に取り付けられた光学ヘッド5により、レー 光5aを配管2の外周面の所定領域に照射し、 定領域を均一に加熱するようにしている。 学ヘッド5においては、光学ヘッド5自体、若 しくは、光学ヘッド5を構成するレンズ、ミ ー等を、例えば、それらの位置を変更可能 スライド機構に取り付け、それらの位置変 を行うことで、軸方向照射幅L、周方向照射 Wを調整して、加熱する照射領域Sを調整し いる(図1(b)参照)。又、軸方向照射幅Lを拡げ い場合には、配管2の軸方向に沿って複数の 光学ヘッド5をアーム部4に取り付け、レーザ 振器7から複数の光ファイバ6を接続して、 ーザ光を供給するようにしてもよい。

 そして、施工の際には、本発明に係る残 応力改善装置1において、予め、光学ヘッド 5の調整により加熱領域を調整し、制御装置8 より、レーザ発振器7の出力を制御すると共 に回転駆動装置3を所定の移動速度に制御し 周回移動させることで、光学ヘッド5から照 されるレーザ光5aが、配管2の外周を周回移 しながら配管2の外周面の所定領域に照射さ れ、配管2の外周面の所定領域が加熱される とになる。このとき、加熱時に発生する配 2の内外面温度差を利用し、内面を引張降伏 せることにより、冷却後の内面の残留応力 低減若しくは圧縮応力に改善している。周 数としては、1回の周回でもよいが、複数の 周回としてもよく、複数の周回の場合は、始 終端の位置を変更するようにしてもよい。又 、加熱温度としては、固溶化温度未満とする ことが好ましい。なお、本実施例及び後述す る実施例2は、空冷モード、即ち、内面が気 あるいは施工前に水が内面に充満している 合を前提としているが、後述する実施例3は 水冷モード、即ち、水が内面に常に充満し いる場合を前提としている。

<施工条件>
 施工条件について説明する前に、まず、本 明に係る管体の残留応力改善方法の原理を 単に説明する。

 配管2の溶接部C近傍の所定領域の残留応 を改善する場合、本発明においては、配管2 外周面をレーザ光で加熱して、配管2の外面 と内面との間に所定の温度差が生じるように 加熱する。このような加熱を行うと、外面は 圧縮応力状態、内面は引張応力状態、更には 、内面は引張降伏状態になる。加熱後、上記 所定領域の内面及び外面の温度差が無くなり 、常温付近まで温度が低下すると、外面が引 張応力状態になり、内面が圧縮応力状態にな り、降伏応力により内面の残留応力を引張応 力状態から圧縮応力状態に改善することが可 能となる。このとき、加熱時に発生させる応 力の大きさ(ひずみ量)は、少なくとも降伏応 相当以上のひずみ量となるように、レーザ 熱時の条件を設定することが望ましい。こ ようにして、配管2の内面に生じている残留 応力を引張状態から圧縮状態に改善すること ができ、その結果、管体内面の応力腐食割れ を防ぐことが可能となる。

 このように、配管2の外周面(溶接部C近傍) をレーザ加熱して、所望のひずみ量を得るた めには、軸方向照射幅L、周方向照射幅W等を 切な範囲に制御する必要がある。そして、 れらの条件は、配管2の形状(具体的には、 管2の径、板厚)、更には、配管2の材料、設 環境等に左右されるため、個々の状態に応 て、これらの施工条件を変更する必要があ 。ところが、従来は、軸方向照射幅L、周方 照射幅W等について、明確な規定が無く、所 望のひずみ量を得るための施工条件の管理も 容易でなかった。

 そこで、本発明者等は、配管2の形状等に左 右されること無く、最適な施工条件を管理す ることができないか検討してみた。
 具体的には、以下に示す4種類の配管形状( 料はSUS304で同一)を対象に弾塑性解析を実施 、施工後の残留応力を比較することにより 応力改善効果に対する配管の径、板厚の影 を評価してみた。配管形状としては、配管 径D、配管板厚h、平均半径rが各々以下の表1 のように異なるものを用いた(図1(b)参照)。な お、異なる配管形状では溶接による残留応力 が異なるので、ここでは、配管の径、板厚の 影響を明確にするため、配管の初期応力のな い素管を対象とした。又、表1中の14B管-Aは、 板厚の影響を把握するために評価したもので ある。

 又、各配管形状に対する施工条件としては 各条件を無次元化して管理できることを目 に、以下のように設定した。なお、以下の 工条件において、配管2の外面の温度が100℃ を越え、最高到達温度Tmaxに到達するまでの 温時間をτo(秒)とし、配管2の熱拡散率をk(mm 2 /秒)とし、レーザ光源の移動速度をv(mm/秒)と 定している。

 (a)昇温時間は、以下の式(1)により規定され 昇温時間パラメータFoで整理できると仮定 、昇温時間パラメータFoを0.08とした。
 Fo=τo×k/h 2         式(1)
 (b)周方向加熱幅Wは、√(rh)で整理できると 定し、1.7√(rh)とした。なお、周方向加熱幅W は、最高到達温度まで加熱するのに有効な幅 であり、他のパラメータとは、以下の式(2)に 示す関係を有する。
 W=τo×v            式(2)
 (c)軸方向加熱幅Lも、√(rh)で整理できると 定し、3.0√(rh)とした。なお、軸方向加熱幅 、外面が所定温度に加熱されている領域の 方向長さである(図7(b)参照)。
 (d)移動速度vは、式(1)、式(2)から求められる 式(3)から求めた。
 v=(W×k)/(Fo×h 2 )   式(3)
 式(3)において、周方向加熱幅Wは1.7√(rh)で 数、熱拡散率kも定数、昇温時間パラメータF oは0.08、板厚hも定数なので、速度vが定まる
 そして、上記条件を用い、1周目は0°を始終 端とし、360°まで、2周目は180°を始終端とす 2周施工を行った。なお、各配管形状に対す る施工条件を整理したものが表2である。

 上記施工条件において、昇温時間パラメ タFoは、無次元時間を示すものであり、こ 無次元時間は、熱伝導による温度の非定常 態での時間的拡散を示す無次元量である。 発明においては、板厚内に適正な温度分布 得ることが必要であり、そのためには、非 常状態での板厚内の温度分布(時間的拡散)が 重要である。従って、このような観点から、 昇温時間として、昇温時間パラメータFoを用 てみた。

 又、周方向加熱幅Wを√(rh)で整理したパ メータ、即ち、後述する周方向加熱幅パラ ータG=W/√(rh)は、無次元化距離を示すもので ある。本発明においては、レーザ光による局 部加熱により発生する熱変形の影響を考慮す る必要がある。つまり、レーザ光による局部 加熱を行った場合、加熱部は熱膨張により外 面凸の曲げ変形(外径が大きくなるような変 )が生じ、常温部が変形を拘束している状態 生じる。この状態を局部的に内圧pが負荷さ れている管と置き換えれば、境界部には曲げ モーメントMとせん断力Qが発生しており、rを 平均半径、hを板厚、Eをヤング率、νをポア ン比、xを境界からの距離とすると、管のた み量δは以下の式(4)で示される。

 式(4)からわかるように、たわみ量δは[β×x] 関数となる。又、[β×x]は以下の式(5)のよう に、√(rh)で表現できるので、熱膨張による 形を√(rh)で相似的に表現することが可能で る。従って、このような観点から、周方向 を無次元化するため、周方向加熱幅Wを√(rh )で整理した周方向加熱幅パラメータGを用い みた。
 β×x≒1.3x/√(rh)     式(5)
 但し、ν=0.3とする。

 上記施工条件における伝熱解析結果とし 、施工1周目の180度位置での外面温度が最大 となる時点の板厚方向の温度分布を、管形状 毎に求めて比較したものを図2に示す。なお 横軸は板厚を内面からの距離で除して無次 化した「無次元化距離」であり、縦軸は180 位置での温度である。図2から明らかなよう 、4種類の配管の板厚方向温度分布は良く一 致している。

 又、上記施工条件における伝熱解析結果 して、施工1周目の180度位置での内面及び外 面温度の時間履歴を図3(a)、(b)に示す。横軸 時間に定数を乗じて板厚の2乗で除して無次 化した「無次元化時間」であり、縦軸は180 位置の温度履歴である。又、最高到達温度 無次元時間の原点とした。図3(a)、(b)から明 らかなように、4種類の配管の温度履歴は、 ぼ一致している

 又、図4(a)、(b)に、板厚方向距離を板厚で 除した無次元化距離で整理した90°位置での 方向応力と軸方向方応力の分布を示す。図4( a)、(b)からわかるように、4種類の配管の板厚 方向応力分布は、ほぼ一致している。これは 、他の位置、例えば、0°、180°、270°位置で 周方向応力と軸方向方応力の分布でも同じ 向であった。

 又、図5(a)、(b)及び図6(a)、(b)に、中央(対 面)からの軸方向距離を√(rh)で除した無次 化距離で整理した内外面の周方向応力と軸 向応力の分布を示す。図5(a)、(b)及び図6(a)、 (b)からは、無次元化距離に対して、4種類の 管の軸方向及び周方向の内外面の応力分布 、ほぼ一致することがわかる。

 以上の結果から、「無次元化時間」と「 次元化距離」を用いて外面の温度分布を整 すると、4種類の配管形状の温度分布はほぼ 等しいことがわかった。又、「無次元化距離 」を用いて応力分布を整理すると、4種類の 管形状の応力分布も、ほぼ等しいことがわ った。つまり、「無次元化時間」及び「無 元化距離」を用いて施工条件を設定するこ により、配管形状が異なった場合において 相似則が成り立ち、昇温時間、周方向加熱 、軸方向加熱幅を、上述したような無次元 した時間と長さで管理すれば、最適な施工 件をより容易に管理可能であり、配管形状 よらず同等の残留応力改善効果が得られる とがわかる。

 そして、上記施工条件は、管外面に設置 た温度計の温度履歴を用いることにより求 ることができる。つまり、管外面に設置し 温度計の温度履歴を管理すれば、上記施工 件を管理できることになる。

 具体的には、配管の溶接部分の外周面に 所的にレーザ光を照射し、照射領域を周方 に回転する際、配管外面に設置した温度計 より、昇温時間τo、最高到達温度Tmax及び軸 方向加熱幅Lを、温度履歴として実測してお ばよい。そこで、昇温時間τo、最高到達温 Tmax及び軸方向加熱幅Lを実測する手順を説明 する。

 施工対象の配管の外面において、照射領 Sが通過する範囲に複数の熱電対9を設置す 。又は、予め、施工対象の配管と同じ条件( 一径、同一板厚、同一材料)の配管を用意し ておき、この配管の外面において、照射領域 Sが通過する範囲に複数の熱電対9を設置して くようにしてもよい。設置する熱電対9は、 照射領域の中心が通過する位置に1つと、そ 位置と同一の軸方向上であり、照射領域の 端部の位置に2つと、少なくとも合計3つ以上 必要であり、望ましくは、これらの3つ以上 熱電対を1セットとして、配管2の周方向に複 数セット配置する(図1(b)参照)。そして、配管 2の溶接部C近傍の外周面に局所的にレーザ光 照射すると共に、照射領域Sを周方向に回転 して、配管2の外面に設置した熱電対9の温度 化を計測し、その計測履歴を用いることに り、昇温時間τo及び最高到達温度Tmaxを求め ている。

 より詳しくは、図7(a)に示すように、配管 2の外面に設置した熱電対9の温度が到達した 高の温度を、最高到達温度Tmaxとして測定す ると共に、熱電対9の温度が100℃を越えた時 から最高到達温度Tmaxに到達するまでの時点 、昇温時間τoとして測定している。又、図7 (b)に示すように、配管2の外面の軸方向に複 設置した熱電対9の最高到達温度Tmaxが所定の 温度範囲となる領域を、軸方向加熱幅Lとし いる。更に、周方向加熱幅Wは、昇温時間τo 光学ヘッド5の移動速度vの積(τo×v)により求 められる。なお、最高到達温度Tmaxは、後述 るように、配管2の材料により、適切な温度 囲が規定され、又、この温度範囲が、軸方 加熱幅Lを規定する際の温度範囲として用い られる。例えば、SUS304の場合、550℃≦Tmax<6 50℃が望ましい。

 このようにして求めた昇温時間τo、最高 達温度Tmax、軸方向加熱幅L及び周方向加熱 Wを用いることにより、配管2の径、板厚に左 右されず、上述した施工条件が管理できるこ とになる。

 このように、配管外面に設置した温度計の 度履歴により、昇温時間τ 0 及び最高到達温度Tmax、軸方向加熱幅Lを実測 るので、施工の品質を確保でき、用いたレ ザ光の入熱密度分布を計測する必要はなく 現場で簡単に施工管理を行うことができる 又、温度を直接計測することができるので 応力改善効果の品質を確保できる。

 又、例えば、実際の施工前に、上記温度 歴を確認することにより、所望の応力改善 確実に実施することができ、施工管理とし は非常に有効である。特に、加熱温度が低 なってしまった場合には、再度やり直すこ が可能であるが、加熱温度が高くなってし った場合には、加熱領域が鋭敏化温度に晒 れてしまい、材料自体に悪影響を与えてし う。これに対して、本発明の応力改善方法 は、温度履歴を確認して、上記施工条件を 理することにより、いずれの場合も防止す ことができ、所望の応力改善を確実に実施 ることができる。

<管理範囲>
 更に、本発明者等は、上述した各施工条件 おいて、残留応力を改善するために望まし 管理範囲を規定してみた。ここでは、4B管 外径114.3×板厚13.5mm、2B管は外径60.5×板厚8.7mm 、14B管は外径355.6×板厚35.7mmである。

(1)昇温時間パラメータFo
 昇温時間τoを管理する無次元数(昇温時間パ ラメータFo)の最適な範囲を求めるため、表1 示した異なる配管形状に対して、昇温時間 ラメータFoとレーザ照射により内面に発生す る熱応力との関係を熱弾性解析により検証し てみた(図8参照)。外面の温度が100℃を越え、 最高到達温度Tmaxに到達するまでの昇温時間 τo(秒)とした。

 ここでは、図1に示した装置を用い、昇温 時間パラメータFo以外のパラメータ(最高到達 温度Tmax=555℃、軸方向加熱幅L=3×√(rh)、周方 加熱幅W=2×√(rh))は同一条件として、昇温時 間パラメータFoと内面に発生する熱応力の関 を求めている。

 図8に示す結果からは、昇温時間パラメー タFoが同じ(最高到達温度Tmax、軸方向加熱幅L 周方向加熱幅Wも同じ)であれば、管形状が なっても、内面に発生する熱応力が一致す ことがわかる。このことは、残留応力改善 果も同じであることを示している。

 従って、昇温時間τoを無次元化数である 温時間パラメータFoで管理することにより 板厚や材質が異なった対象物に対しても同 Foの範囲で管理することができる。例えば、 昇温時間パラメータFoは、軸方向の熱応力が テンレス鋼の降伏応力の2倍(500MPa)以上とな 0.04以上、0.08以下が望ましい。

 なお、Foが小さい場合(昇温時間が短い場 )、外面のみが加熱され、外面に大きな圧縮 応力と内面に小さな引張応力が発生する。一 方、Foが大きい場合(昇温時間が長い場合)、 厚内に大きな温度差が生じないため、内面 大きな引張応力が発生しない。故に、Foには 適正な範囲(上限と下限)が必要である。

(2)周方向加熱幅W
 又、周方向加熱幅Wを管理する無次元数(周 向加熱幅パラメータG=W/√(rh))の最適な範囲 求めるため、表1に示した異なる配管形状に して、周方向加熱幅パラメータG=W/√(rh)と ーザ照射により内面に発生する熱応力の熱 性解析結果との関係を調べてみた(図9参照)

 ここでも、図1に示した装置を用い、周方 向加熱幅パラメータG以外のパラメータ(昇温 間パラメータFo=0.06、最高到達温度Tmax=555℃ 軸方向加熱幅L=3×√(rh))は同一条件として、 周方向加熱幅パラメータGと熱応力の関係を めている。

 図9に示す結果からは、周方向加熱幅パラ メータGが同じ(昇温時間パラメータFo、最高 達温度Tmax、軸方向加熱幅Lも同じ)であれば 管形状が異なっても、内面に発生する熱応 が一致することがわかる。このことは、残 応力改善効果も同じであることを示してい 。

 従って、周方向加熱幅Wを√(rh)で無次元 した周方向加熱幅パラメータGで管理するこ により、異なった形状の管に対しても同じ ラメータの範囲で管理することができる。 9に示すように周方向加熱幅パラメータGが きくなれば、熱応力が増加するので、周方 加熱幅パラメータGの下限を管理すればよい 例えば、周方向加熱幅パラメータGは、軸方 向の熱応力が500Mpa以上となる1.7以上が望まし い。

(3)軸方向加熱幅L
 又、軸方向加熱幅Lを管理する無次元数(軸 向加熱幅パラメータJ=L/√(rh))の最適な範囲 求めるため、表1に示した異なる配管形状に して、軸方向加熱幅パラメータJ=L/√(rh)と ーザ照射により内面に発生する熱応力の熱 性解析結果との関係を調べてみた(図10参照)

 ここでも、図1に示した装置を用い、軸方 向加熱幅パラメータJ以外のパラメータ(昇温 間パラメータFo=0.06、最高到達温度Tmax=555℃ 周方向加熱幅W=2×√(rh))は同一条件として、 軸方向加熱幅パラメータJと熱応力の関係を めている。

 図10に示す結果からは、軸方向加熱幅パ メータJが同じ(昇温時間パラメータFo、最高 達温度Tmax、周方向加熱幅Wも同じ)であれば 管形状が異なっても、内面に発生する熱応 が一致することがわかる。このことは、本 明で規定する管理条件が同じであれば、残 応力改善効果も同じであることを示してい 。

 従って、軸方向加熱幅Lを√(rh)で無次元 した軸方向加熱幅パラメータJで管理するこ により、異なった形状の管に対しても同じ ラメータの範囲で管理することができる。 10に示すように軸方向加熱幅パラメータJが きくなれば、熱応力が増加するので、軸方 加熱幅パラメータJの下限を管理すればよい 。例えば、軸方向加熱幅パラメータJは、軸 向の熱応力が500Mpa以上となる3.0以上が望ま い。

(4)最高到達温度Tmax
 又、最高到達温度Tmaxについては、その管理 範囲を規定するため、表1に示した配管形状(4 B管)において、レーザ照射により内面に発生 る熱応力の熱弾性解析結果を最高到達温度T maxとの関係から調べてみた(図11参照)。

 ここでも、図1に示した装置を用い、最高 到達温度Tmax以外のパラメータ(昇温時間パラ ータFo=0.06、周方向加熱幅W=2×√(rh)、軸方向 加熱幅パラメータL=3×√(rh))は同一条件とし 、最高到達温度Tmaxと熱応力の関係を求めて る。

 図11に示す結果からは、昇温時間パラメ タFo、最高到達温度Tmax、周方向加熱幅W、軸 向加熱幅Lが同じであれば、最高到達温度Tma xが高いほど、内面に発生する熱応力が増加 る。このことは、本発明で規定する管理条 が同じであれば、残留応力改善効果も同じ あることを示している。

 従って、最高到達温度Tmaxを管理すること により、異なった形状の管に対しても同じパ ラメータの範囲で管理することができる。図 11に示すようにTmaxが大きくなれば、熱応力が 増加するので、Tmaxの下限を管理すればよい しかしながら、Tmaxが高くなれば前述したよ に材質に悪影響を与える可能性があるため Tmaxには上限が存在する。例えば、最高到達 温度Tmaxは、オーステナイト系ステンレス鋼 場合、軸方向の熱応力が500Mpa以上となる550 ≦Tmax<650℃が望ましい。

 他の材料、例えば、ニッケルクロム鉄合 、低合金鋼、炭素鋼についても同様に調べ 結果、ニッケルクロム鉄合金の場合は、550 ≦Tmax<650℃、低合金鋼あるいは炭素鋼の 合は、500℃≦Tmax<595℃が望ましい範囲であ った。

 これは、最高到達温度Tmaxの上限を規定す ることにより、材料への悪影響(ステンレス では鋭敏化、低合金鋼では焼入れによる硬 や靭性低下)を防止するためであり、又、最 到達温度Tmaxの下限を決めることにより、内 外面の温度差を確実に付けるためである。

 このように、最高到達温度Tmaxの上限及び 下限を材質毎に規定することにより、材料へ の悪影響を防止すると共に、内外面の温度差 を確実に付けることができ、残留応力改善効 果を確実に得ることができる。

 なお、詳細は実施例2において説明を行う が、最高到達温度が異なる異材継手でも残留 応力改善できることを確認している。

(5)移動速度v
 又、移動速度vについては、その管理範囲を 規定するため、表1に示した配管形状(4B管)に いて、レーザ照射により発生する内面と外 の温度差δTを移動速度vと板厚hの積(v×h)と 関係から調べてみた(図12参照)。

 ここでも、図1に示した装置を用い、v×h 外のパラメータ(昇温時間パラメータFo=0.08、 周方向加熱幅W=2×√(rh)、軸方向加熱幅パラメ ータL=3×√(rh)、最高到達温度Tmax=555℃)は同一 条件として、v×hと温度差δTの関係を求めて る。

 図12に示す結果からは、昇温時間パラメ タFo、最高到達温度Tmax、周方向加熱幅W、軸 向加熱幅Lが同じであれば、v×hが大きい場 には、つまり、移動速度vが早い場合には、 望の温度差δTを得ることができるが、v×hが 低い場合には、つまり、移動速度vが遅い場 には、内面と外面の温度差δTが低下するこ がわかる。

 従って、移動速度vについては、v×hを管理 ることにより、異なった形状の管に対して 同じパラメータの範囲で管理することがで る。又、v×hは、内面と外面の温度差δTが飽 する70mm 2 /s以上が望ましい。

 これは、Foが一定でも、速度vが極端に遅 場合、熱源から進行方向前方に熱が伝わる め、板厚内の温度差が小さくなる。このた 、vhには下限が存在する。

 このように、v×hの下限を規定することに より、内外面の温度差δTを確実に得ることが でき、残留応力改善効果を確実に得ることが できる。

 次に、異材材料の溶接に対して、上記施工 件による残留応力改善効果を検証した。
 具体的には、ステンンレス鋼(SUS316)と低合 鋼の異材継手(溶接金属はニッケルクロム鉄 金)において、上記施工条件における残留応 力分布について検証した。

 対象は外径133mm×板厚22mmの配管とした(図1 3(a)参照)。この配管で要求される残留応力改 領域を図13(b)に示す。これは、ニッケルク ム鉄合金溶接金属とステンレス鋼の熱影響 (HAZ)である。なお、ここでも、異材の影響を 明確にするため、配管の初期応力のない素管 を対象とした。

 本実施例では、残留応力改善対象である ッケルクロム鉄合金溶接金属を対象に、表3 の施工条件を設定した。本発明では、レーザ 熱源が同じ速度で移動するため、物性値の異 なる異材継手ではすべての場所で同じ温度分 布(昇温時間パラメータFo)を得ることができ い。そこで、残留応力改善対象であるニッ ルクロム鉄合金で上記規定の施工条件の範 を満たすように施工条件を決めた。なお、 3の施工条件において、昇温時間パラメータF oと周方向加熱幅Wは溶接金属中央で評価した

 ステンンレス鋼は、ニッケルクロム鉄合 と物性値の差が10%程度と小さいが、ニッケ クロム鉄合金と同じ熱源形状を与えた。

 又、低合金鋼は、最高温度を規定し、入 量をニッケルクロム鉄合金とほぼ同じにな ように、熱源形状を設定した。低合金鋼で 熱拡散率k(≒11mm2/s)が大きいため、熱源の周 方向照射幅Wを狭くする必要があり、周方向 熱幅Wはニッケルクロム鉄合金の約0.65倍、昇 温時間パラメータFoは約1.8倍となった。なお 低合金鋼側は応力改善範囲でないため、局 加熱による変形を防止する観点で加熱すれ 良く、昇温時間パラメータFo及び周方向加 幅Wを規定範囲にする必要はない。

 上記施工条件においては、外面が最高温 に達した時点では、内面の温度は低く、板 内に温度差が生じており、外面に圧縮応力 、内面に引張応力が発生しており、ステン ス鋼管と同じ応力分布となることを確認し いる。

 図14(a)、(b)に、施工後(2周終了後)の残留 力分布を示す。図14(a)、(b)に示すように、ニ ッケルクロム鉄合金溶接金属及びステンレス 鋼(SUS316)の内面は全周で圧縮応力となってい ことがわかる。

 上記実施例1、2は、空冷モード(内面が気 の場合、あるいは、施工前に水が内面に充 している場合)における残留応力改善効果に ついて検証してきたが、次に、水冷モード( に水が内面に充満している場合)における残 応力改善効果について検証した。

 図15に示すように、水冷モードにおいて 、Foが大きくなっても、内面の温度は水の沸 点(100℃)以上に上昇しないため、レーザをゆ くり移動させても、内面と外面に大きな温 差を得ることができることがわかる。

 ここで、水冷モードにおいて、熱応力と 温時間パラメータFo及び周方向加熱幅Wとの 係を熱弾性解析で調べてみた。

 図16(a)に示すグラフは、図1に示した装置 用い、昇温時間パラメータFo以外のパラメ タ(最高到達温度Tmax=555℃、軸方向加熱幅L=3× √(rh)、周方向加熱幅W=2×√(rh))は同一条件と て、昇温時間パラメータFoと熱応力の関係 求めたものである。又、図16(b)に示すグラフ は、図1に示した装置を用い、周方向加熱幅 ラメータW/√(rh)以外のパラメータ(昇温時間 ラメータFo=0.20、最高到達温度Tmax=555℃、軸 向加熱幅L=3×√(rh))は同一条件として、周方 向加熱幅Wと熱応力の関係を求めたものであ 。なお、比較のため、空冷モードの結果も 記している。

 図16(a)、(b)に示す結果からは、水冷モー では、空冷モードと同等の熱応力を得るこ ができる昇温時間パラメータFo及びW/√(rh)の 範囲が広いことがわかる。このことは、空冷 モードと同等の残留応力改善効果を得ること ができる施工条件範囲を、水冷モードでは広 くすることができることを意味する。

 熱弾塑性解析の結果、同じ施工条件(Tmax Fo、W、L)でも内面に発生する熱応力が水冷モ ードの方が大きいことがわかった。そこで、 代表例として、4Bステンレス鋼管(表4参照)を 象に、昇温時間パラメータFoの影響の小さ 下限条件での空冷モードと水冷モードの残 応力改善効果の違いを検討した。なお、空 モードの周方向加熱幅Wの下限は1.7√(rh)であ るが、比較参照のため、1.0√(rh)の解析を実 した。

 施工時における板厚方向温度分布は、同 施工条件下では、空冷モードと水冷モード 全く同一であり、図17に示すような分布が られた。これは、空冷モード・水冷モード もに、昇温時間パラメータFoが0.04と同じで り、内面まで熱が伝わらない時間で外面が 高温度に達していることから、内面の境界 件の影響はなく、両者の板厚内の温度分布 は差がない。このことから、空冷モードと 冷モードの応力改善効果の差は、外面がレ ザ照射を受け高温になることで発生する板 内温度分布によるものではないと考えられ 。

 施工後における空冷モードと水冷モードの 留応力の比較を図18(a)、(b)に示す。
 図18(a)、(b)からわかるように、空冷モード 水冷モードでは、水冷モードの方が残留応 改善効果は大きい。例えば、同じ周方向加 幅では水冷モードの方の残留応力改善効果 大きく、又、軸方向応力で空冷モードと同 度の残留応力改善効果を得るためには、水 モードでは周方向加熱幅を1.7√(rh)から1.0√( rh)に減少させても良いことがわかる。

 水冷モードと空冷モードの最も大きな違 は、内面の最高到達温度にある。つまり、 冷モードでは、内面の最高到達温度が低い め、温度低下時の逆降伏(圧縮降伏)が起こ にくいと考えられる。例えば、空冷モード は、板厚内に温度が生じて、引張塑性ひず を生じた後、板厚内に温度差が無くなった 点(内面の温度が約200℃、降伏応力:198MPa)で 縮降伏する。これに対して、水冷モードで 、板厚内に温度が生じて、引張塑性ひずみ 生じた後、板厚内に温度差が無くなった時 (内面の温度が約100℃、降伏応力:245MPa)では 縮降伏を起こしていないと考えられる。こ ことが水冷モードにおいて応力改善効果が きい理由であると考えられる。

 以上のことから、水冷モードにおける施 条件の管理範囲は、昇温時間パラメータFo 下限を管理すればよい。その範囲は、0.04以 が望ましい。周方向加熱幅Wは、下限で管理 すればよく、1.0×√(rh)以上とすることが望ま しい。つまり、空冷モードに対して、水冷モ ードにおいては、レーザ照射時に配管内面に 水が存在(流水や溜水等)しており、常に配管 周を水冷(沸点以下の温度にキープ)できる め、管理範囲を緩和できることになる。

 上記実施例1、2、3における施工条件の管 範囲を整理すると、表5に示すものとなる。

 本発明においては、実施の一例として、 筒状配管を残留応力改善の対象としている 、円筒状配管に限らず、溶接された湾曲部 であれば、どのようなものでも適用可能で る。