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Patent Searching and Data


Title:
RESIN COMPOSITION AND MULTILAYER STRUCTURE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/093648
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a resin composition suitable for bonding a base layer such as a polyolefin layer with a barrier resin layer such as an ethylene-vinyl alcohol copolymer layer. Specifically disclosed is a resin composition (A) containing a thermoplastic resin (a1) having at least one functional group selected from the group consisting of a boronic acid group and a boron-containing group which can be converted into a boronic acid group in the presence of water, a polyolefin (a2) not having such a functional group, and a thermoplastic elastomer (a3) not having such a functional group. This resin composition contains 1-20 parts by mass of the thermoplastic resin (a1) and 3-50 parts by mass of the thermoplastic elastomer (a3) per 100 parts by mass of the polyolefin (a2).

Inventors:
IGARASHI TAKEYUKI (JP)
MURATA TOMONORI (JP)
WATANABE TOMOYUKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/051228
Publication Date:
August 07, 2008
Filing Date:
January 28, 2008
Export Citation:
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Assignee:
KURARAY CO (JP)
IGARASHI TAKEYUKI (JP)
MURATA TOMONORI (JP)
WATANABE TOMOYUKI (JP)
International Classes:
C08L101/02; B32B27/28; B32B27/32; B65D1/00; B65D30/02; B65D65/40; C08L23/00; C08L23/08; C08L25/10; C08L29/04; C08L77/00; C09J5/06; C09J123/06; C09J123/08; C09J123/12; C09J153/02; C09J201/02
Domestic Patent References:
WO2002060961A12002-08-08
WO2002060961A12002-08-08
Foreign References:
JP2004269725A2004-09-30
JP2006008739A2006-01-12
JP2001200124A2001-07-24
JPH02245042A1990-09-28
Other References:
See also references of EP 2123719A4
Attorney, Agent or Firm:
NAKATSUKASA, Shigeki (4-9-1 Ima, Okayama-shi, Okayama 75, JP)
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Claims:
 ボロン酸基及び水の存在下でボロン酸基に転化し得るホウ素含有基からなる群より選ばれる少なくとも一つの官能基を有する熱可塑性樹脂(a1)、前記官能基を有さないポリオレフィン(a2)及び前記官能基を有さない熱可塑性エラストマー(a3)を含有してなり、ポリオレフィン(a2)100質量部に対して、熱可塑性樹脂(a1)1~20質量部及び熱可塑性エラストマー(a3)3~50質量部を含有する樹脂組成物(A)。
 熱可塑性樹脂(a1)に含まれる官能基がボロン酸環状エステル基である請求項1記載の樹脂組成物(A)。
 熱可塑性樹脂(a1)が、スチレン-ジエンブロック共重合体の水素添加物である請求項1又は2記載の樹脂組成物(A)。
 ポリオレフィン(a2)がポリプロピレンである請求項1~3のいずれか記載の樹脂組成物(A)。
 ポリオレフィン(a2)がポリエチレンである請求項1~3のいずれか記載の樹脂組成物(A)。
ポリオレフィン(a2)が、密度が0.89~0.93g/cm 3 のポリエチレンである請求項5記載の樹脂組成物(A)。
 熱可塑性エラストマー(a3)のビカット軟化温度が40~80℃である請求項1~6のいずれか記載の樹脂組成物(A)。
 熱可塑性エラストマー(a3)が、ポリオレフィン系エラストマーである請求項1~7のいずれか記載の樹脂組成物(A)。
 ポリオレフィン系エラストマーが、密度0.89g/cm 3 未満のエチレン-α-オレフィン共重合体である請求項8記載の樹脂組成物(A)。
 請求項1~9のいずれか記載の樹脂組成物(A)からなる接着剤。
 エチレン-ビニルアルコール共重合体(b1)を含有するバリア性樹脂(B)層とポリオレフィン(C)層とが、請求項1~9のいずれか記載の樹脂組成物(A)からなる層を介して積層されてなる多層構造体。
 バリア性樹脂(B)が、エチレン-ビニルアルコール共重合体(b1)100質量部に対してポリアミド(b2)3~50質量部を含有する樹脂組成物からなる請求項11記載の多層構造体。
 ポリオレフィン(C)がポリプロピレンである請求項11又は12記載の多層構造体。
 請求項11~13のいずれか記載の多層構造体からなり、ポリオレフィン(a2)がポリプロピレンであるレトルト包装容器。
 請求項11~13のいずれか記載の多層構造体からなり、ポリオレフィン(a2)がポリエチレンである二次加工成形品。
 請求項11~13のいずれか記載の多層構造体からなり、ポリオレフィン(a2)がポリエチレンである延伸フィルム。
 請求項11~13のいずれか記載の多層構造体からなり、ポリオレフィン(a2)がポリエチレンである熱成形品。
 請求項11~13のいずれか記載の多層構造体の製造方法であって、樹脂組成物(A)、バリア性樹脂(B)及びポリオレフィン(C)を共押出成形又は共射出成形した後、ポリオレフィン(a2)の融点以上の温度で二次加工することを特徴とする多層構造体の製造方法。
 ポリオレフィン(a2)がポリエチレンであり、ポリオレフィン(C)がポリプロピレンである請求項18記載の多層構造体の製造方法。
Description:
樹脂組成物及び多層構造体

 本発明は、ホウ素を含有する官能基を有 る熱可塑性樹脂、ポリオレフィン及び熱可 性エラストマーからなる樹脂組成物、並び それからなる接着剤に関する。また、本発 は、エチレン-ビニルアルコール共重合体か らなるバリア性樹脂層とポリオレフィン層と が、前記樹脂組成物からなる層を介して積層 されてなる多層構造体に関する。さらに、本 発明は、当該多層構造体の用途及び製造方法 に関する。

 エチレン-ビニルアルコール共重合体(以 、EVOHという場合がある)は、バリア性、耐油 性、保香性などに優れていて、様々な用途に 用いられている。しかしながら、EVOHは柔軟 に乏しい樹脂であり、吸湿することによっ バリア性が低下するので、ポリオレフィン どの他の樹脂と積層して用いられることが い。

 しかしながら、EVOHとポリオレフィンとの 接着性は良くないので、両層の間に接着剤層 を設けることが必要である。このような接着 剤としては、無水マレイン酸変性ポリオレフ ィンが広く使用されている。例えば、特許文 献1には、(1)不飽和カルボン酸又はその無水 で変性した変性プロピレン共重合体、(2)無 性ポリプロピレン、及び(3)低密度ポリエチ ン及び/又は共重合ゴム、からなる樹脂組成 を接着剤として用いて、ポリプロピレン層 EVOH層とを接着した多層構造体が記載されて いる。ここで、(3)として、共重合ゴムを使用 する場合の例としては、密度が0.890以下のエ レン/α-オレフィン共重合ゴム、例えばエチ レン/プロピレンゴムやエチレン/ブテンゴム 記載されている。しかしながら、不飽和カ ボン酸又はその無水物で変性した樹脂は、 融成形時の熱によって着色しやすく、食品 装容器など、外観が重視される用途におい は問題を有していた。

 これに対し、ボロン酸基および水の存在 でボロン酸基に転化し得るホウ素含有基か なる群より選ばれる少なくとも1種の官能基 を含有する樹脂は、EVOHに対する反応性が非 に高いので、接着剤として使用した場合にEV OHに対する接着性が良好である。しかも溶融 形時に着色しにくく、外観に優れた多層構 体を得ることができる。例えば、特許文献2 には、ボロン酸基および水の存在下でボロン 酸基に転化し得るホウ素含有基からなる群よ り選ばれる少なくとも1種の官能基を側鎖に 有するスチレン-水添ジエンブロック共重合 、すなわち、スチレン-ジエンブロック共重 合体の水素添加物とポリオレフィンとからな る樹脂組成物を接着剤として用い、当該接着 剤からなる層を介してEVOH層とポリオレフィ 層とを積層した多層構造体が記載されてい 、その多層構造体が良好な層間接着力を有 ることが示されている。ボロン酸基および の存在下でボロン酸基に転化し得るホウ素 有基からなる群より選ばれる少なくとも1種 官能基を含有する樹脂は高価であるため、 れを安価なポリオレフィンと混合し、接着 樹脂組成物として使用することは経済的な から好ましい。

 特許文献2で用いられている接着性樹脂組 成物は、前記スチレン-ジエンブロック共重 体の水素添加物とポリオレフィンとを溶融 練することによって製造される。このとき 混合されるポリオレフィンの種類は、通常 EVOH層と積層されるポリオレフィン層に揃え のが好ましいとされている。実際、特許文 2の実施例では、前記スチレン-ジエンブロ ク共重合体の水素添加物と直鎖状低密度ポ エチレンとからなる接着性樹脂組成物層は 鎖状低密度ポリエチレン層と積層され、前 スチレン-ジエンブロック共重合体の水素添 物とポリプロピレンとからなる接着性樹脂 成物層は、ポリプロピレン層と積層されて る。しかしながら、前記スチレン-ジエンブ ロック共重合体の水素添加物とポリオレフィ ンとからなる樹脂組成物を接着剤として用い た場合の接着力は必ずしも十分と言えない場 合があった。

 一方、EVOHなどのバリア性樹脂層を有する 多層構造体の用途は様々であり、容器、特に 飲食品用の容器が代表的なもののひとつとし て挙げられる。一般にプラスチック容器は、 軽量性、経済性、成形性、耐衝撃性、透明性 、再利用性などに優れているので、従来の金 属製やガラス製などの容器を代替して、飲食 品包装容器として汎用されている。そして、 消費者の生活多様化や安全志向などにより、 飲食品における長期保存性能や衛生安全性な どへの要望が高まっている。そのため、飲食 品包装容器においても、長期保存性能や、腐 敗や変質を防止する機能の付与が重要になっ てきており、EVOHなどのバリア性樹脂層を有 る多層構造体からなる容器が好ましく用い れている。

 中でも、レトルト処理による高温処理が 用できる容器(以下、単に「レトルト容器」 と称することがある)の重要性が増している このようなレトルト容器は、通常、基材樹 層とEVOHなどのバリア性樹脂層とからなる多 構造体から構成される。このとき、基材樹 層とバリア性樹脂層との間に接着剤層を介 るのが一般的であり、例えば、特許文献1に 記載されたような接着剤が用いられる。しか し、このような多層構造体においては高温処 理を行うことにより基材樹脂層とバリア性樹 脂層との層間接着力が低下して剥離などが発 生する場合があった。したがって、レトルト 処理後においても基材樹脂層とバリア性樹脂 層との層間接着力を高く維持するためには、 レトルト処理前において、レトルト処理後の 低下分を考慮した高い層間接着力を有するこ とが必要である。ところが、レトルト処理前 において、あまりに高い基材樹脂層とバリア 性樹脂層との層間接着力を有する接着剤を用 いると、共押出成形などで多層構造体を製造 する際に、「オレンジピール」と称されるこ とがある、各層間の界面の連続的な乱れが発 生し、多層構造体の外観が悪化することがあ った。

 また、基材樹脂層とEVOHなどのバリア性樹 脂層とが接着剤層を介して積層されてなる多 層構造体は、溶融成形して得られた後に、さ らに二次加工に供されることが多い。例えば 、一軸又は二軸延伸、熱成形、ブロー成形な どに供されることが多い。しかしながら、二 次加工時に受ける変形などによって層間接着 力が低下する場合が多く、この点についても 、改善が求められていた。

特開平2-245042号公報

WO02/060961号公報

 本発明は、上記課題を解決するためにな れたものであり、ポリオレフィンなどの基 層とEVOHなどのバリア性樹脂層とを接着する のに好適な樹脂組成物を提供することを目的 とするものである。また、そのような樹脂組 成物層を有する多層構造体及びその用途を提 供することを目的とするものである。

 上記課題は、ボロン酸基及び水の存在下 ボロン酸基に転化し得るホウ素含有基から る群より選ばれる少なくとも一つの官能基 有する熱可塑性樹脂(a1)(以下、単に熱可塑 樹脂(a1)と称する)、前記官能基を有さないポ リオレフィン(a2)(以下、単にポリオレフィン( a2)と称する)及び前記官能基を有さない熱可 性エラストマー(a3)(以下、単に熱可塑性エラ ストマー(a3)と称する)を含有してなり、ポリ レフィン(a2)100質量部に対して、熱可塑性樹 脂(a1)1~20質量部及び熱可塑性エラストマー(a3) 3~50質量部を含有する樹脂組成物(A)を提供す ことによって解決される。

 このとき、熱可塑性樹脂(a1)に含まれる官能 基がボロン酸環状エステル基であることが好 ましい。また、熱可塑性樹脂(a1)が、スチレ -ジエンブロック共重合体の水素添加物であ ことも好ましい。ポリオレフィン(a2)がポリ プロピレンであることが好ましく、ポリオレ フィン(a2)がポリエチレン、特に密度が0.89~0.9 3g/cm 3 のポリエチレンであることも好ましい。熱可 塑性エラストマー(a3)のビカット軟化温度が40 ~80℃であることが好ましい。熱可塑性エラス トマー(a3)がポリオレフィン系エラストマー 特に、密度0.89g/cm 3 未満のエチレン-α-オレフィン共重合体であ ことも好ましい。また、前記樹脂組成物(A) らなる接着剤が好適な実施態様である。

 上記課題は、エチレン-ビニルアルコール 共重合体(b1)を含有するバリア性樹脂(B)層と リオレフィン(C)層とが、上記樹脂組成物(A) らなる層を介して積層されてなる多層構造 を提供することによっても解決される。こ とき、バリア性樹脂(B)が、エチレン-ビニル ルコール共重合体(b1)100質量部に対してポリ アミド(b2)3~50質量部を含有する樹脂組成物か なることが好適である。また、ポリオレフ ン(C)がポリプロピレンであることも好適で る。

 本発明の好適な実施態様は、上記多層構 体からなり、ポリオレフィン(a2)がポリプロ ピレンであるレトルト包装容器である。また 、本発明の好適な実施態様は、上記多層構造 体からなり、ポリオレフィン(a2)がポリエチ ンである二次加工成形品、特に延伸フィル や熱成形品である。

 また、上記課題は、上記多層構造体の製 方法であって、樹脂組成物(A)、バリア性樹 (B)及びポリオレフィン(C)を共押出成形又は 射出成形した後、ポリオレフィン(a2)の融点 以上の温度で二次加工することを特徴とする 多層構造体の製造方法を提供することによっ ても解決される。このとき、ポリオレフィン (a2)がポリエチレンであり、ポリオレフィン(C )がポリプロピレンであることが好適である

 本発明の樹脂組成物は、ポリオレフィン どの基材層とEVOHなどのバリア性樹脂層とを 接着するための接着剤として好適である。す なわち、バリア性樹脂層と基材層とが前記樹 脂組成物からなる接着剤層を介して積層され てなる本発明の多層構造体は、層間接着力が 良好である。

 本発明の好適な実施態様はレトルト包装 器であり、共押出成形などで多層体を製造 る際に、「オレンジピール」と称される各 間の界面の連続的な乱れが発生して外観が 化することがなく、レトルト処理後の層間 着力も良好である。また、本発明の別の好 な実施態様は二次加工成形品であり、溶融 形して得られた後に、さらに二次加工に供 れても、二次加工時に受ける変形などによ て層間接着力が低下するのを抑制すること できる。

 本発明の樹脂組成物(A)は、熱可塑性樹脂( a1)、ポリオレフィン(a2)及び熱可塑性エラス マー(a3)を特定の範囲の質量比で含有してな 。

 まず、熱可塑性樹脂(a1)について説明する 。熱可塑性樹脂(a1)は、ボロン酸基及び水の 在下でボロン酸基に転化し得るホウ素含有 からなる群より選ばれる少なくとも一つの 能基を有することを特徴とする。ホウ素含 官能基のうち、ボロン酸基とは下記式(I)で されるものである。

 また、水の存在下でボロン酸基に転化し るホウ素含有基とは、水の存在下で加水分 を受けて上記式(I)で示されるボロン酸基に 化し得るホウ素含有基を指す。より具体的 は、水単独、水と有機溶媒(トルエン、キシ レン、アセトン等)との混合物、5%ホウ酸水溶 液と前記有機溶媒との混合物等を溶媒とし、 室温~150℃の条件下に10分~2時間加水分解した きに、ボロン酸基に転化し得る官能基を意 する。このような官能基の代表例としては 下記式(II)で示されるボロン酸エステル基、 下記式(III)で示されるボロン酸無水物基、下 式(IV)で示されるボロン酸塩基等が挙げられ る。

 {式中、X 1 及びX 2 は同一又は異なり、それぞれ水素原子、脂肪 族炭化水素基(炭素数1~20の直鎖状、又は分岐 アルキル基、又はアルケニル基等)、脂環式 炭化水素基(シクロアルキル基、シクロアル ニル基等)、及び、芳香族炭化水素基(フェニ ル基、ビフェニル基等)を表し、ここで脂肪 炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族 化水素基は置換基を有していてもよく、ま 、X 1 とX 2 は結合していてもよく、ただし、X 1 及びX 2 がともに水素原子であることはない。またR 1 、R 2 及びR 3 は上記X 1 及びX 2 と同様の水素原子、脂肪族炭化水素基、脂環 式炭化水素基及び芳香族炭化水素基を表し、 Mはアルカリ金属を表す。}

 一般式(II)で示されるボロン酸エステル基 の具体例としては、ボロン酸ジメチルエステ ル基、ボロン酸ジエチルエステル基、ボロン 酸ジプロピルエステル基、ボロン酸ジイソプ ロピルエステル基、ボロン酸ジブチルエステ ル基、ボロン酸ジヘキシルエステル基、ボロ ン酸ジシクロヘキシルエステル基、ボロン酸 エチレングリコールエステル基、ボロン酸プ ロピレングリコールエステル基、ボロン酸1,3 -プロパンジオールエステル基、ボロン酸1,3- タンジオールエステル基、ボロン酸ネオペ チルグリコールエステル基、ボロン酸カテ ールエステル基、ボロン酸グリセリンエス ル基、ボロン酸トリメチロールエタンエス ル基、ボロン酸トリメチロールプロパンエ テル基、ボロン酸ジエタノールアミンエス ル基等が挙げられる。

 また、一般式(IV)で示されるボロン酸塩基 としては、ボロン酸のアルカリ金属塩基等が 挙げられる。具体的には、ボロン酸ナトリウ ム塩基、ボロン酸カリウム塩基等が挙げられ る。

 このようなホウ素含有官能基のうち、熱 定性の観点からボロン酸環状エステル基が ましい。ボロン酸環状エステル基としては 例えば5員環又は6員環を含有するボロン酸 状エステル基が挙げられる。具体的には、 ロン酸エチレングリコールエステル基、ボ ン酸プロピレングリコールエステル基、ボ ン酸1,3-プロパンジオールエステル基、ボロ 酸1,3-ブタンジオールエステル基、ボロン酸 グリセリンエステル基等が挙げられる。

 熱可塑性樹脂(a1)が含有するホウ素含有官 能基は、1種のみであっても2種以上であって よい。ホウ素含有官能基の量は、熱可塑性 脂(a1)1g当たり0.0001~0.002当量、すなわち、100~ 2000μeq/gであることが好ましく、150~1500μeq/gが より好ましい。官能基量が100μeq/gに満たない 場合は、得られる多層構造体の層間接着力が 低下するおそれがある。また、官能基量が200 0μeq/gを超える場合は、ゲル化し易くなり、 られる多層構造体の外観が悪化するおそれ ある。

 本発明で用いる熱可塑性樹脂(a1)が含有す るホウ素含有官能基の結合形態は特に限定さ れず、側鎖および末端にホウ素含有官能基を 含有していても良いが、重合体の側鎖として 含有していることが好適である。側鎖として 含有していることによって、ホウ素含有官能 基の含有量を大きくすることが容易である。 ホウ素含有官能基が重合体の末端のみに結合 している場合は、特に高分子量の重合体では 官能基量が相対的に低くなり、熱可塑性樹脂 (a1)の反応性が不十分となるおそれがある。

 熱可塑性樹脂(a1)の具体例としては、ポリ エチレン(超低密度、低密度、中密度、高密 )、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン -アクリル酸エステル共重合体、ポリプロピ ン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレ と1-ブテン、イソブテン、3-メチルペンテン 、1-ヘキセン、1-オクテン等のα-オレフィン の共重合体等のポリオレフィン;前記ポリオ フィンの無水マレイン酸、グリシジルメタ リレート等のグラフト変性物;ポリスチレン 、スチレン-アクリロニトリル共重合体等の チレン系樹脂;スチレン-ブタジエンジブロッ ク共重合体、スチレン-イソプレンジブロッ 共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレント リブロック共重合体、スチレン-イソプレン- チレントリブロック共重合体等のスチレン- ジエンブロック共重合体またはそれらの水素 添加物;ポリメチルアクリレート、ポリエチ アクリレート、ポリメチルメタクリレート の(メタ)アクリル酸エステル系樹脂;ポリ塩 ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン化 ニル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、 リブチレンテレフタレート等の半芳香族ポ エステル;ポリバレロラクトン、ポリカプロ ラクトン、ポリエチレンサクシネート、ポリ ブチレンサクシネート等の脂肪族ポリエステ ル等が挙げられる。これらは1種のみを使用 てもよいし、2種以上を混合して使用しても い。これらの中でも、ポリオレフィン、ス レン-ジエンブロック共重合体またはその水 素添加物が好ましく、スチレン-ジエンブロ ク共重合体の水素添加物が特に好ましい。

 熱可塑性樹脂(a1)がスチレン-ジエンブロ ク共重合体の水素添加物である場合、該共 合体樹脂に含有されるスチレン単位とジエ 単位の質量比は、水素添加前の質量比とし 5/95~70/30であることが好ましく、10/90~50/50で ることがより好ましい。当該質量比がこの うな範囲にあることによって、熱可塑性樹 (a1)とポリオレフィン(a2)との相溶性が良好に なる。また、特に高い層間接着力が望まれる 場合には、スチレン単位の含有量が少ない方 が好ましく、具体的にはスチレン単位とジエ ン単位の質量比が30/70以下であることが好ま い。

 熱可塑性樹脂(a1)のメルトフローレート(19 0℃、2160g荷重)は、0.2~50g/10分であることが好 しい。メルトフローレートがこのような範 に含まれることで、樹脂組成物(A)中での熱 塑性樹脂(a1)の分散性が良好になる。メルト フローレートはより好適には0.5g/10分以上で る。また、メルトフローレートはより好適 は30g/10分以下である。

 本発明に用いられる熱可塑性樹脂(a1)は、 特許文献2(WO02/060961号公報)に記載された方法 よって製造することができる。

 次に、ポリオレフィン(a2)について説明す る。ポリオレフィン(a2)は、熱可塑性エラス マー(a3)よりも硬質の樹脂であり、本発明の 脂組成物(A)において主たる構成成分となる のである。ポリオレフィン(a2)は、ボロン酸 基及び水の存在下でボロン酸基に転化し得る ホウ素含有基からなる群より選ばれる少なく とも一つの官能基は有さない。ポリオレフィ ン(a2)の種類は特に限定されるものではない 、ポリエチレン及びポリプロピレンが好適 ものとして例示される。

 ポリオレフィン(a2)のビカット軟化温度(JI S K 7206にしたがって測定)は80℃を超えるこ が好ましい。ビカット軟化温度が80℃以下で ある場合には、用途によっては接着剤層が変 形して使用が困難になる場合があり、より好 適には90℃以上である。成形加工性を考慮す ば、ビカット軟化温度は通常200℃以下であ 。

 ポリオレフィン(a2)として用いるポリエチ レンは、エチレンの単独重合体及びエチレン を主成分とする共重合体を含む。ここで、「 主成分とする」とは、50質量%以上含むという 意味である。ポリエチレンとしては、高密度 ポリエチレン、低密度ポリエチレン及び直鎖 状低密度ポリエチレンが典型例として挙げら れる。なお、エチレンと共重合される単量体 としては、直鎖状低密度ポリエチレンに用い られるα-オレフィンに限られず、それ以外の エチレン性二重結合を有する単量体を使用す ることもできる。

 良好な層間接着力を得るという観点からは ポリオレフィン(a2)として、密度が0.89~0.93g/c m 3 のポリエチレンを用いることが好ましい。密 度が低すぎる場合には、用途によっては接着 剤層が変形して使用が困難になる場合があり 、より好適には0.90g/cm 3 以上である。一方、密度が高すぎる場合には 、層間接着力が低下する場合があり、より好 適には0.925g/cm 3 以下であり、さらに好適には0.92g/cm 3 以下であり、特に好適には0.915g/cm 3 以下である。このようなポリエチレンとして は、低密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポ リエチレンが例示され、接着性の観点からは 、直鎖状低密度ポリエチレンが好適である。

 ポリオレフィン(a2)として用いるポリエチ レンのメルトフローレート(190℃、2160g荷重) 、0.2~70g/10分であることが好ましい。メルト ローレートがこのような範囲であることで 樹脂組成物(A)中での各樹脂成分の分散性が 好になる。メルトフローレートはより好適 は0.5g/10分以上である。また、メルトフロー レートはより好適には50g/10分以下である。

 ポリオレフィン(a2)として用いるポリプロ ピレンは、プロピレンの単独重合体及びプロ ピレンを主成分とする共重合体を含む。ここ で、「主成分とする」とは、50質量%以上含む という意味である。ポリプロピレンとしては 、プロピレンの単独重合体のほかに、エチレ ン、α-オレフィンなどのモノマー単位を少量 含有している共重合体を用いてもよい。また 、いわゆるHIPS(ハイインパクトポリスチレン) のように、ポリプロピレンに対してゴム成分 を配合することによって、耐衝撃性を改善し たものを用いることもできる。ポリプロピレ ンの融点は、115~190℃であることが好ましい より好適には120℃以上、さらに好適には140 以上である。

 ポリオレフィン(a2)として用いるポリプロ ピレンのメルトフローレート(230℃、2160g荷重 )は、0.2~70g/10分であることが好ましい。メル フローレートがこのような範囲であること 、樹脂組成物(A)中での各樹脂成分の分散性 良好になる。メルトフローレートはより好 には0.5g/10分以上である。また、メルトフロ ーレートはより好適には50g/10分以下である。

 続いて、熱可塑性エラストマー(a3)につい て説明する。本発明の樹脂組成物(A)の最大の 特徴は、熱可塑性樹脂(a1)、ポリオレフィン(a 2)に加えて、さらに熱可塑性エラストマー(a3) を含有することにある。こうすることによっ て、樹脂組成物(A)を接着剤として用いたとき に優れた層間接着力を発揮する。その理由は 必ずしも明らかではないが、熱可塑性エラス トマー(a3)がポリオレフィン(a2)と相溶するこ でポリオレフィン(a2)の結晶化速度が低下し 、溶融成形時に、熱可塑性樹脂(a1)がEVOHなど バリア性樹脂(B)層の界面に移動しやすくな 、熱可塑性樹脂(a)が有するホウ素含有官能 とバリア性樹脂(B)の官能基との反応や相互 用が促進され、層間接着力が向上するもの 推定する。

 熱可塑性エラストマー(a3)の種類は特に限 定されず、ポリオレフィン系エラストマー、 ポリスチレン系エラストマー、ポリウレタン 系エラストマー、ポリエステル系エラストマ ー、ポリアミド系エラストマーなどを用いる ことができる。しかしながら、これらのうち でもポリオレフィン(a2)との相溶性やコスト どを考慮すると、ポリオレフィン系エラス マー又はポリスチレン系エラストマーが好 であり、ポリオレフィン系エラストマーが 適である。

 ポリオレフィン系エラストマーとしては ポリエチレン系エラストマーまたはポリプ ピレン系エラストマーを用いることができ 。ここで、ポリエチレン系エラストマーと 、エチレンを50質量%以上含むエラストマー ことをいい、ポリプロピレン系エラストマ とは、プロピレンを50質量%以上含むエラス マーのことをいう。中でもポリエチレン系 ラストマーを用いることが好ましく、エチ ンに、α-オレフィン、酢酸ビニル、アルキ (メタ)アクリレートなどの共重合可能な単 体を共重合させたものを用いることができ 。

 ポリエチレン系エラストマーの中でも、特 、密度が0.89g/cm 3 未満のエチレン-α-オレフィン共重合体が好 しい。なお、エチレン-α-オレフィン共重合 の密度が0.89g/cm 3 以上の場合には層間接着力を発揮する効果が 十分でない傾向となり、より好適には0.885g/cm 3 以下である。一方、密度は、通常0.85g/cm 3 以上である。特に好適なエチレン-α-オレフ ン共重合体は、エチレン-プロピレン共重合 及びエチレン-1-ブテン共重合体である。

 一方、ポリスチレン系エラストマーとし は、スチレン-ジエン-スチレンブロック共 合体またはその水素添加物などが例示され 。

 熱可塑性エラストマー(a3)のビカット軟化 温度(JIS K 7206にしたがって測定)が40~80℃で ることが好ましい。このようにビカット軟 温度が比較的低い熱可塑性エラストマー(a3) 使用することにより、レトルト処理や二次 工などで加熱した場合に、樹脂組成物(A)内 各成分の分布状況が変化し、レトルト処理 の層間接着力が向上するものと推定される ビカット軟化温度が40℃未満である場合、 用温度において接着力が十分でなくなる場 があり、より好適には50℃以上である。一方 、ビカット軟化温度が80℃を超える場合、層 接着力が低下する場合があり、より好適に 70℃以下である。

 熱可塑性エラストマー(a3)のメルトフロー レート(190℃、2160g荷重)は、0.2~30g/10分である とが好ましい。メルトフローレートがこの うな範囲であることで、樹脂組成物(A)中で 各成分の分散性が良好になる。メルトフロ レートはより好適には0.3g/10分以上である。 また、メルトフローレートはより好適には20g /10分以下である。

 本発明の樹脂組成物(A)は、ポリオレフィ (a2)100質量部に対して、熱可塑性樹脂(a1)1~20 量部及び熱可塑性エラストマー(a3)3~50質量 を含有してなる。

 熱可塑性樹脂(a1)の配合量は、ポリオレフ ィン(a2)100質量部に対して、1~20質量部である 熱可塑性樹脂(a1)の配合量が1質量部未満の 合、層間接着力が十分に得られない。熱可 性樹脂(a1)の配合量は好適には2質量部以上、 より好適には3質量部以上である。一方、熱 塑性樹脂(a1)の配合量が20質量部を超える場 には、樹脂組成物(A)が脆化して層間接着力 低下する。熱可塑性樹脂(a1)の配合量は、好 には15質量部以下、より好適には10質量部以 下である。

 熱可塑性エラストマー(a3)の配合量は、ポ リオレフィン(a2)100質量部に対して、3~50質量 である。熱可塑性エラストマー(a3)の配合量 が3質量部未満の場合、層間接着力が十分に られない。熱可塑性エラストマー(a3)の配合 は、好適には5質量部以上、より好適には10 量部以上である。一方、熱可塑性エラスト ー(a3)の配合量が50質量部を超える場合、実 用温度においても接着剤層が変形しやすく って使用困難になる。熱可塑性エラストマ (a3)の配合量は、好適には40質量部以下、よ 好適には30質量部以下である。

 樹脂組成物(A)に対して、本発明の効果が 害されない範囲で、酸化防止剤、可塑剤、 安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤 着色剤、フィラー、又は他の樹脂を配合し もよい。

 本発明の樹脂組成物(A)を得る手段として 、熱可塑性樹脂(a1)、ポリオレフィン(a2)及 熱可塑性エラストマー(a3)を例えばドライブ ンドして混合した後、溶融混練する。溶融 練にはリボンブレンダー、高速ミキサーコ ーダー、ペレタイザー、ミキシングロール 押出機、インテンシブミキサーなどを用い ことができる。これらの中でも、工程の簡 さおよびコストの観点から、単軸または二 スクリュー押出機を使用することが好まし 。溶融混練の温度は、設備の特性、熱可塑 樹脂(a1)、ポリオレフィン(a2)及び熱可塑性 ラストマー(a3)の種類や配合割合などにより 宜選択されるが、多くの場合150~300℃の範囲 である。本発明の場合には、多層構造体を成 形する際に、成形機に付属している押出機を 用いて熱可塑性樹脂(a1)、ポリオレフィン(a2) び熱可塑性エラストマー(a3)を溶融混練し、 樹脂組成物(A)を製造し、引き続いて即座に使 用することが好ましい。

 本発明の樹脂組成物(A)の好適な用途は接 剤であり、バリア性樹脂層とポリオレフィ 層とを接着するための接着剤層として好適 用いられる。本発明の好適な実施態様は、 チレン-ビニルアルコール共重合体(b1)を含 するバリア性樹脂(B)層とポリオレフィン(C) とが、樹脂組成物(A)からなる層を介して積 されてなる多層構造体である。樹脂組成物(A )を接着剤層として用いることによって、良 な層間接着力を有する多層構造体が得られ 。

 バリア性樹脂(B)層は、好適にはエチレン- ビニルアルコール共重合体(以下、EVOH(b1)と略 称する)を含有する。EVOH(b1)層とポリオレフィ ン層とは相互に接着しないので、通常、接着 剤層を介して接着される。本発明の樹脂組成 物(A)は、EVOH(b1)層とポリオレフィン層とを良 に接着することができる。

 本発明の多層構造体に用いられるEVOH(b1) 、エチレンとビニルエステルとをラジカル 始剤を用いて共重合し、次いでアルカリ触 の存在下にケン化する公知の方法により製 することができる。ビニルエステルとして 、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバ ン酸ビニル、カプリン酸ビニル、安息香酸 ニル等が挙げられる。これらのビニルエス ルのうちの1種を使用してもよいし、2種以上 を混合して使用してもよい。これらの中でも 、酢酸ビニルが好ましい。

 このとき、本発明の目的が阻害されない 囲で他の共重合成分を共存させて共重合し もよい。他の成分としてはプロピレン、1- テン、イソブテン等のオレフィン系単量体; クリルアミド、N-メチルアクリルアミド、N- エチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリ アミド等のアクリルアミド系単量体;メタク ルアミド、N-メチルメタクリルアミド、N-エ チルアクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリ アミド等のメタクリルアミド系単量体;メチ ビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n -プロピルビニルエーテル、i-プロピルビニル エーテル、t-ブチルビニルエーテル、ドデシ ビニルエーテル等のビニルエーテル系単量 ;アリルアルコール;ビニルトリメトキシシ ン;N-ビニル-2-ピロリドン等が挙げられる。 だし、これらの他の成分は、ボロン酸基及 水の存在下でボロン酸基に転化し得るホウ 含有基からなる群より選ばれる少なくとも つの官能基は有さない。

 EVOH(b1)のエチレン含有量は特に限定され いが、5~60モル%であることが好ましい。エチ レン含有量が5モル%未満である場合には、溶 安定性が不十分になるおそれがある。エチ ン含有量は、より好適には15モル%以上であ 、さらに好適には20モル%以上である。一方 エチレン含有量が60モル%を超える場合には バリア性が不十分になるおそれがある。エ レン含有量は、より好適には55モル%以下で り、さらに好適には50モル%以下である。ま 、EVOH(b1)のケン化度は、通常80~100モル%であ 、90~100モル%が好ましく、95~100モル%がより ましく、98~100モル%がさらに好ましく、99~100 ル%が最も好ましい。ケン化度が80モル%より も低いと、EVOH(b1)のバリア性が不十分となっ り、溶融成形時の熱安定性が不十分となっ りするおそれがある。

 本発明においては、バリア性樹脂(B)が、E VOH(b1)100質量部に対してポリアミド(b2)3~50質量 部を含有する樹脂組成物からなることが好ま しい。ポリアミド(b2)を配合することによっ 、バリア性樹脂(B)層の耐レトルト性を向上 せることができる。ポリアミド(b2)の配合量 3質量部未満である場合、耐レトルト性が不 十分になるおそれがあり、より好適には5質 部以上であり、さらに好適には7質量部以上 ある。一方、ポリアミド(b2)の配合量が50質 部を超える場合、ガスバリア性が低下した 層間接着力が低下したりするおそれがあり より好適には30質量部以下であり、さらに 適には25質量部以下である。ポリアミド(b2) 種類は特に限定されず、ポリカプロラクタ (ナイロン-6)、ポリヘキサメチレンアジパミ (ナイロン-6,6)、ポリヘキサメチレンセバカ ド(ナイロン-6,10)、ポリウンデカンアミド( イロン-11)、ポリラウロラクタム(ナイロン-12 )、または前記いずれかのポリアミドを構成 る成分の2種以上を含有する共重合ポリアミ などが例示される。

 バリア性樹脂(B)のメルトフローレート(MFR )(190℃、2160g荷重下)は好適には0.1~16g/10分、よ り好適には0.3~14g/10分、さらにより好適には0. 5~12g/10分である。ただし、融点が190℃付近又 190℃を超える樹脂においては、2160g荷重下 融点以上の複数の温度で測定し、片対数グ フで絶対温度の逆数を横軸、MFRの対数を縦 にプロットし、190℃に外挿した値をMFRとす 。

 本発明の多層構造体に用いるポリオレフ ン(C)は、特に限定されないが、ポリエチレ 及びポリプロピレンが好適なものとして例 される。なかでも、レトルト包装容器や二 加工成形品とする場合には、ポリプロピレ が好ましく用いられる。ポリオレフィン(C) 、ボロン酸基及び水の存在下でボロン酸基 転化し得るホウ素含有基からなる群より選 れる少なくとも一つの官能基は有さない。

 ポリオレフィン(C)として用いるポリプロ レンは、プロピレンの単独重合体及びプロ レンを主成分とする共重合体を含む。ここ 、「主成分とする」とは、50質量%以上含む いう意味である。ポリプロピレンとしては プロピレンの単独重合体のほかに、エチレ 、α-オレフィンなどのモノマー単位を少量 有している共重合体を用いてもよい。また ポリプロピレンに対して、本発明の効果を 害しない範囲で他の樹脂を配合することも きる。例えば、少量のポリエチレンを配合 ることによって成形品の力学特性を調整す ことができる。また、いわゆるHIPS(ハイイ パクトポリスチレン)のように、ポリプロピ ンに対してゴム成分を配合することによっ 、耐衝撃性を改善したものを用いることも きる。ポリプロピレンの融点は、115~190℃で あることが好ましい。より好適には120℃以上 、さらに好適には140℃以上である。

 ポリオレフィン(C)として用いるポリエチ ンは、エチレンの単独重合体及びエチレン 主成分とする共重合体を含む。ここで、「 成分とする」とは、50質量%以上含むという 味である。ポリエチレンとしては、用途に じて、高密度ポリエチレン、低密度ポリエ レン及び直鎖状低密度ポリエチレンなどを いることができる。

 さらに、ポリオレフィン(C)層を含む多層 造体のスクラップを溶融混練した回収樹脂 成物を用いることもできる。このような場 のポリオレフィン(C)の含有量は、通常50質 %以上である。さらに、ポリオレフィン(C)に して、本発明の効果を阻害しない範囲で、 ィラーや各種添加剤を配合することもでき 。

 ポリオレフィン(C)のビカット軟化温度(JIS  K 7206にしたがって測定)は80℃を超えること が好ましい。ビカット軟化温度が80℃以下で る場合には、用途によってはポリオレフィ (C)層が変形して使用が困難になる場合があ 、より好適には90℃以上である。成形加工 を考慮すれば、ビカット軟化温度は通常200 以下である。

 ポリオレフィン(C)として用いるポリプロ レンのメルトフローレート(230℃、2160g荷重) は、接着剤層に使用するポリオレフィン(a2) のメルトフローレートの差が大きいと、本 明の多層構造体を製造する際に外観不良が 生する傾向にあることから、0.2~70g/10分であ ことが好ましい。メルトフローレートはよ 好適には0.5g/10分以上である。また、メルト フローレートはより好適には50g/10分以下であ る。

 ポリオレフィン(C)として用いるポリエチ ンのメルトフローレート(190℃、2160g荷重)は 、接着剤層に使用するポリオレフィン(a2)と メルトフローレートの差が大きいと、本発 の多層構造体を製造する際に外観不良が発 する傾向にあることから、0.2~70g/10分である とが好ましい。メルトフローレートはより 適には0.5g/10分以上である。また、メルトフ ローレートは、より好適には50g/10分以下であ る。

 本発明の多層構造体の製造方法としては 公知の方法が採用可能であり、共押出成形 共射出成形、押出コーティング等の方法を いることができる。汎用性及び接着性の観 からは、共押出成形または共射出成形が好 しい。共押出成形又は共射出成形するに際 ては、バリア性樹脂(B)、ポリオレフィン(C) び樹脂組成物(A)を、それぞれ成形機に供給 ることができる。また、本発明の好適な実 態様は、熱可塑性樹脂(a1)、ポリオレフィン (a2)及び熱可塑性エラストマー(a3)の混合物を 押出成形または共射出成形における樹脂組 物(A)用の成形機に供給し、樹脂組成物(A)を 造すると同時に引き続いて多層構造体を製 することである。

 本発明の多層構造体の層構成は、バリア 樹脂(B)層とポリオレフィン(C)層とが樹脂組 物(A)層を介して積層されていればよく、特 限定されない。例えば、B/A/C、C/A/B/A/C、C/A/B /A/T、C/A/B/Tなどが例示される。ここで、Aは樹 脂組成物(A)層、B層はバリア性樹脂(B)層、Cは リオレフィン(C)層、Tは樹脂組成物(A)、バリ ア性樹脂(B)、ポリオレフィン(C)以外の熱可塑 性樹脂、金属箔、紙、布などの層をそれぞれ 表す。ここで、C層が複数の層から構成され いても良く、例えば、ポリオレフィンを主 分とする回収樹脂組成物層と新品のポリオ フィン層とが積層されたものをC層とするこ ができる。多層構造体の各層の厚さは、任 に選択でき、これにより多層構造体の全体 厚さを所望の範囲にすることが可能である

 本発明の多層構造体は、層間接着力に優 る。樹脂組成物(A)層とポリオレフィン(C)層 の界面、樹脂組成物(A)層とバリア性樹脂(B) との界面のいずれの界面においても良好な 着性を示す。

 こうして溶融成形して得られた多層構造 は、更に二次加工されることが好ましい。 次加工とは、共押出成形、共射出成形など 溶融成形によって得られた多層構造体をさ に成形加工するものであり、具体的には、 軸延伸、二軸延伸、ブロー延伸等の延伸加 、真空成形、圧空成形、ドレープ成形、プ グアシスト成形等の熱成形加工等が例示さ る。本発明の多層構造体を用いてこれらの 次加工を行うと、力学特性、ガスバリア性 優れたフィルム、シート、ボトル、カップ の二次加工成形品を得ることができる。

 二次加工成形品の中でも、延伸フィルム び熱成形品が好適な実施態様である。延伸 ィルムとしては、二軸延伸フィルムが好ま く、面積倍率として5倍以上、より好適には 8倍以上の高倍率に延伸された多層フィルム 好適な実施態様である。また、熱成形品と ては、特に深絞り成形品、具体的には開口 の直径に対する深さ(絞り比:S)が0.5倍以上、 り好適には0.7倍以上の熱成形品が好適な実 態様である。ここで、開口部が円形でない 合には、円相当径を直径とする。

 二次加工成形品を得る場合の好適な多層 造体は、ポリオレフィン(C)層がポリプロピ ン層であり、バリア性樹脂(B)層がEVOH層であ る多層構造体である。ポリプロピレンは二次 加工性、力学特性、延伸性に優れているから である。また、二次加工成形品を得る場合の 樹脂組成物(A)層に含有されるポリオレフィン (a2)は、ポリプロピレンであってもポリエチ ンであってもよい。

 樹脂組成物(A)層に含有されるポリオレフ ン(a2)がポリプロピレンである場合、高倍率 の延伸操作を行っても、樹脂組成物(A)層とポ リオレフィン(C)層との界面、樹脂組成物(A)層 とバリア性樹脂(B)層との界面のいずれの界面 においても良好な接着性を示すことができる 。したがって、高倍率の延伸フィルムや深絞 り熱成形品を得る場合に好ましく採用される 。

 一方、樹脂組成物(A)層に含有されるポリ レフィン(a2)がポリエチレンである場合、ポ リエチレンの融点以上の温度で二次加工する ことが好ましく、こうすることによって、二 次加工後の層間接着性が良好になる。その理 由は必ずしも明らかではないが、樹脂組成物 (A)中のポリエチレンが溶融することによって 、二次加工時の接着性の低下が抑制できてい るようである。二次加工の温度は、より好適 にはポリエチレンの融点よりも5℃以上高い 度であり、さらに好適にはポリエチレンの 点よりも10℃以上高い温度である。

 成形品の外観を良好に保つためには、ポ オレフィン(C)の融点よりも低い温度で二次 工することが好ましい。より好適にはポリ レフィン(C)の融点よりも5℃以上低い温度で あり、さらに好適にはポリオレフィン(C)の融 点よりも10℃以上低い温度である。ただし、 リオレフィン(C)の融点以上の温度であって 、バリア性樹脂(B)の融点未満であれば二次 形が可能な場合があり、その場合の二次加 温度の好適な上限値は、ポリオレフィン(C) 融点よりも20℃高い温度である。

 本発明の多層構造体の好適な用途の一つ 、レトルト包装容器である。本発明のレト ト包装容器は、「オレンジピール」の発生 抑制されるので、外観の良好な容器を得る とができる。

 本発明のレトルト包装容器に好適な多層 造体は、ポリオレフィン(C)層がポリプロピ ン層であり、バリア性樹脂(B)層がEVOH層であ る多層構造体である。ポリプロピレンは耐熱 水性、力学特性に優れているからである。ま た、樹脂組成物(A)層に含有されるポリオレフ ィン(a2)は、ポリプロピレンであることが好 しい。ポリオレフィン(a2)がポリエチレンで る場合には、樹脂組成物(A)層がレトルト処 時の熱に耐えることが難しい。

 本発明の多層構造体は、上記レトルト包 容器をはじめ、各種の用途に用いることが きる。例えば、食品包装材、医療品(医薬品 、医療器具)包装材、燃料タンク等のバリア が要求される用途に有用である。

 以下、実施例および比較例により、本発 をさらに詳細に説明する。

合成例1
 スチレン-ブタジエン-スチレントリブロッ 共重合体の水素添加物(スチレン/ブタジエン =16/84(質量比)、ブタジエン単位の水添率94%、 重結合量960μeq/g、MFR(230℃、2160g荷重)5g/10分) を、投入口を1L/分の窒素で置換しながら7kg/ の速度で二軸押出機に供給した。次に、液 フィーダー1よりボラン-トリエチルアミン錯 体(TEAB)とホウ酸1,3-ブタンジオールエステル(B BD)の混合液(TEAB/BBD=29/71、質量比)を0.6kg/時の 度で、液体フィーダー2より1,3-ブタンジオー ルを0.4kg/時の速度で供給し、連続的に混練し た。混練の間、ベント1及びベント2のゲージ 約20mmHgを示すように圧力を調節した。その 果、吐出口から7kg/時の速度で、ボロン酸1,3 -ブタンジオールエステル基を含有するスチ ン-ブタジエン-スチレントリブロック共重合 体の水素添加物(以下、熱可塑性樹脂(a1-1)と する)をペレットとして得た。この熱可塑性 脂(a1-1)のボロン酸1,3-ブタンジオールエステ ル基量は650μeq/g、二重結合量は115μeq/g、メル トフローレートは1.6g/10分(190℃、2160g荷重)で った。

 上記反応に使用した二軸押出機の構成、運 条件は下記のとおりである。
 同方向二軸押出機TEM-35B(東芝機械製)
  スクリュー径:37mmφ
  L/D:52(15ブロック)
  液体フィーダー:C3(液体フィーダー1)、C11( 体フィーダー2)
  ベント位置:C6(ベント1)、C14(ベント2)
  スクリュー構成:C5-C6間、C10-C11間及びC12の 置にシールリングを使用。
  シリンダー設定温度:C1(水冷)、C2~C3(200℃) C4~C15(250℃)、ダイ(250℃)
  スクリュー回転数:400rpm

実施例1
 合成例1で得られた熱可塑性樹脂(a1-1)のペレ ット、日本ポリエチレン株式会社製直鎖状低 密度ポリエチレン「ノバテックUF641」(商品名 、チーグラー系触媒を用いて重合されたエチ レン-1-ヘキセン共重合体、融点122℃、MFR(190 、2160g荷重)2.1g/10分、ビカット軟化温度105℃ 密度0.927g/cm 3 ;以下ポリオレフィン(a2-1)と称する)のペレッ 、および三井化学株式会社製熱可塑性ポリ レフィン系エラストマー「タフマーP0480」( 品名、エチレン-プロピレン共重合体、MFR(19 0℃、2160g荷重)1.0g/10分、ビカット軟化温度54 、密度0.87g/cm 3 ;以下熱可塑性エラストマー(a3-1)と称する)の レットを、熱可塑性樹脂(a1-1)/ポリオレフィ ン(a2-1)/熱可塑性エラストマー(a3-1)の質量比 して4/76/20で、タンブラーを使用してドライ レンドし、ペレット混合物を得た。

 次に、日本ポリプロ株式会社製ポリプロ レン「ノバテックEA7A」(商品名、融点161℃ MFR(230℃、2160g荷重)1.4g/10分;以下ポリオレフ ン(C-1)と称する)、上記ペレット混合物、株 会社クラレ製「エバールH171B」(商品名、エ レン-ビニルアルコール共重合体、エチレン 有量38モル%、融点170℃、MFR(190℃、2160g荷重) 1.6g/10分、ケン化度:99.8モル%以上;以下バリア 樹脂(B-1)と称する)を原料とし、それぞれ別 押出機に導入し、下記に示す条件にしたが てポリオレフィン(C-1)/樹脂組成物(A)/バリア 性樹脂(B-1)/樹脂組成物(A)/ポリオレフィン(C-1) の3種5層の多層フィルムを共押出成形により 造した。得られた多層フィルムの厚み構成 、50/10/10/10/50μmであった。

 共押出成形機の構成及び運転条件は下記の おりである。
押出機1[ポリオレフィン(C-1)]:
 装置:株式会社プラスチック工学研究所製単 軸押出機「GT-32-A型」
 スクリュー径:32mmφ
 スクリュー回転数:62rpm
 シリンダー設定温度:220℃
押出機2[樹脂組成物(A):熱可塑性樹脂(a1-1)/ポ オレフィン(a2-1)/熱可塑性エラストマー(a3-1) 混合物]:
 装置:大阪精機工作株式会社製単軸押出機「 P25-18AC」
 スクリュー径:25mmφ
 スクリュー構成:フルフライト
 L/D:18
 スクリュー回転数:30rpm
 シリンダー設定温度:220℃
押出機3[バリア性樹脂(B-1)]:
 装置:株式会社東洋精機製作所製単軸押出機 「ラボME型CO-NXT」
 スクリュー径:20mmφ
 スクリュー回転数:18rpm
 シリンダー設定温度:220℃
ダイスサイズ:300mm、
フィルム引取り速度:4m/分
冷却ロール温度:60℃

 得られた多層フィルムの製膜直後のポリ レフィン(C-1)層と樹脂組成物(A)層との界面 及び樹脂組成物(A)層とバリア性樹脂(B-1)層と の界面でのT型剥離強度を、20℃、65%RHの条件 、オートグラフ(引張速度250mm/分)を用いて 定し、得られた数値を層間接着力とした。 間接着力は、前者が1500g/15mm、後者が1200g/15mm であった。評価結果を表1に示す。

実施例2
 実施例1において、ポリオレフィン(a2-1)に代 えて、旭化成ケミカルズ株式会社製高圧法低 密度ポリエチレン「サンテックL2340」(商品名 、密度0.923g/cm 3 、融点112℃、ビカット軟化温度96℃、MFR(190℃ 、2160g荷重)3.8g/10分;以下ポリオレフィン(a2-2) 称する)を使用した以外は、実施例1と同様 して3種5層の多層フィルムを共押出成形によ り製造し、T型剥離強度を測定した。結果を 1に示す。

比較例1
 実施例1において熱可塑性エラストマー(a3-1) を使用せず、熱可塑性樹脂(a1-1)のペレットと ポリオレフィン(a2-1)のペレットを熱可塑性樹 脂(a1-1)/ポリオレフィン(a2-1)の質量比として4/ 96でタンブラーを使用してドライブレンドし ペレット混合物を得た以外は、実施例1と同 様にして3種5層の多層フィルムを共押出成形 より製造し、T型剥離強度を測定した。結果 を表1に示す。

比較例2
 実施例2において熱可塑性エラストマー(a3-1) を使用せず、熱可塑性樹脂(a1-1)のペレットと ポリオレフィン(a2-2)のペレットを熱可塑性樹 脂(a1-1)/ポリオレフィン(a2-2)の質量比として4/ 96でタンブラーを使用してドライブレンドし ペレット混合物を得た以外は、実施例1と同 様にして3種5層の多層フィルムを共押出成形 より製造し、T型剥離強度を測定した。結果 を表1に示す。

 表1が示すとおり、ホウ素含有官能基を有 する熱可塑性樹脂(a1)及びポリオレフィン(a2) 加えて、熱可塑性エラストマー(a3)を含有す る樹脂組成物(A)を接着剤層として用いた実施 例1及び2では、樹脂組成物(A)層とポリオレフ ン(C-1)層との界面、樹脂組成物(A)層とバリ 性樹脂(B-1)層との界面のいずれの界面におい ても良好な層間接着力を示した。これに対し 、ホウ素含有官能基を有する熱可塑性樹脂(a1 )及びポリオレフィン(a2)のみを含有する樹脂 成物を接着剤層として用いた比較例1及び2 は、いずれの界面の層間接着力も低下した

実施例3
 合成例1で得られた熱可塑性樹脂(a1-1)のペレ ット、日本ポリプロ株式会社製ポリプロピレ ン「ノバテックEG7F」(商品名、密度0.900g/cm 3 、融点142℃、MFR(230℃、2160g荷重)1.3g/10分;以下 ポリオレフィン(a2-3)と称する)のペレット、 よび熱可塑性エラストマー(a3-1)のペレット 、熱可塑性樹脂(a1-1)/ポリオレフィン(a2-3)/熱 可塑性エラストマー(a3-1)の質量比として5/75/2 0でタンブラーを使用してドライブレンドし ペレット混合物を得た。

 次に、日本ポリプロ株式会社製ポリプロ レン「ノバテックEG7F」(本実施例における 脂組成物(A)の構成成分として用いているポ オレフィン(a2-3)と同一であるが、ここでは 層構造体の一層として用いる。かかる場合 以下ポリオレフィン(C-2)と称する。)、上記 レット混合物、株式会社クラレ製「エバー LR101」(商品名、エチレン含有量27モル%、融 188℃、ケン化度99.8モル%以上のエチレン-ビ ルアルコール共重合体90質量部と、融点222℃ のポリカプロラクタム(ナイロン-6)10質量部を 配合した樹脂組成物、MFR(230℃、2160g荷重)10g/1 0分;以下バリア性樹脂(B-2)と称する)を原料と 、それぞれ別の押出機に導入し、下記に示 条件にしたがってポリオレフィン(C-2)/樹脂 成物(A)/バリア性樹脂(B-2)/樹脂組成物(A)/ポ オレフィン(C-2)の3種5層の多層フィルムを、 施例1と同様の条件にて、共押出成形により 製造した。得られた多層フィルムの厚み構成 は、50/10/10/10/50μmであった。

 得られた多層フィルムは「オレンジピー 」や凹凸の発生がなく、良好な外観を有し いた。一方、得られた多層フィルムの製膜 後の樹脂組成物(A)層とバリア性樹脂(B-2)層 の界面でのT型剥離強度を、20℃、65%RHの条件 下、オートグラフ(引張速度250mm/分)を用いて 定し、得られた数値を層間接着力とした。 間接着力は390g/15mmであった。さらに、得ら た多層フィルムを120℃で30分間レトルト処 を行い、処理後の多層フィルムのT型剥離強 を、処理前の多層フィルム同様に測定した ころ、700g/15mmであった。結果を表2に示す。

比較例3
 実施例3において、熱可塑性エラストマー(a3 -1)を使用せず、熱可塑性樹脂(a1-1)のペレット とポリオレフィン(a2-3)のペレットを熱可塑性 樹脂(a1-1)/ポリオレフィン(a2-3)の質量比とし 5/95でタンブラーを使用してドライブレンド 、ペレット混合物を得た以外は、実施例3と 同様にして3種5層の多層フィルムを共押出成 により製造し、レトルト処理前後における 脂組成物層とバリア性樹脂(B-2)層のT型剥離 度を測定した。結果を表2に示す。

比較例4
 実施例3において、熱可塑性樹脂(a1-1)/ポリ レフィン(a2-3)/熱可塑性エラストマー(a3-1)の 量比を5/45/50とした以外は、実施例3と同様 して3種5層の多層フィルムを共押出成形によ り製造し、レトルト処理前後における樹脂組 成物層とバリア性樹脂(B-2)層のT型剥離強度を 測定した。結果を表2に示す。

合成例2
 出光興産株式会社製ポリプロピレン「E-105GM 」(商品名、MFR(230℃、2160g荷重)0.5g/10分)600g、 水マレイン酸69.91gおよびt-ブチルベンゼン20 00gを内容積5000mLのセパラブルフラスコに仕込 み、窒素雰囲気にした後、160℃にて溶解させ た。次いで、ジ-t-ブチルパーオキサイド10.21g をt-ブチルベンゼン100gに溶解させた溶液を添 加し、攪拌しながら2時間反応させた。反応 合液を室温まで冷却しながら攪拌すること よって粉体状の樹脂を析出させた。析出物 ろ過により回収してアセトンで洗浄後、減 下で乾燥することで、無水マレイン酸変性 リプロピレン660.3gを白色粉末として得た(以 熱可塑性樹脂(a1-2)と称する)。得られた熱可 塑性樹脂(a1-2)を0.25N水酸化カリウム/エタノー ル溶液を用いて滴定し、酸価を求めたところ 22.4KOHmg/gであり、またMFR(230℃、2160g荷重)は25g /10分であった。

比較例5
 実施例3において、熱可塑性樹脂(a1-1)の代わ りに、合成例2で得られた熱可塑性樹脂(a1-2) 用い、熱可塑性樹脂(a1-2)/ポリオレフィン(a2- 3)/熱可塑性エラストマー(a3-1)の質量比を15/65/ 20とした以外は、実施例3と同様にして3種5層 多層フィルムを共押出成形により製造し、 トルト処理前後における樹脂組成物層とバ ア性樹脂(B-2)層のT型剥離強度を測定した。 果を表2に示す。

 表2が示すとおり、熱可塑性樹脂(a1-1)/ポ オレフィン(a2-3)/熱可塑性エラストマー(a3-1) 特定の質量比で含有する樹脂組成物(A)を接 剤層として用いた実施例3では、レトルト処 理後に層間接着力が上昇した。これにより、 レトルト処理前は比較的低い層間接着力であ ることからオレンジピールの発生を抑制する ことができた。これに対し、熱可塑性樹脂(a1 -1)及びポリオレフィン(a2-3)のみを含有する樹 脂組成物を接着剤層として用いた比較例3で 、層間接着力が不十分となった。また、熱 塑性エラストマー(a3-1)の配合量が多すぎる 較例4では、レトルト処理前の層間接着力は 分であったものの、レトルト処理後の層間 着力は大きく低下した。さらに、熱可塑性 脂(a1-1)の代わりに熱可塑性樹脂(a1-2)を使用 た比較例5では、レトルト処理後の層間接着 力を適切な値にしようとすると、レトルト処 理前の層間接着力を高くする必要があり、そ の結果、溶融押出成形時にオレンジピールが 発生し、得られる多層構造体の外観が悪化し た。

実施例4
(1)熱可塑性樹脂(a1-1)のペレット、株式会社プ ライムポリマー製直鎖状低密度ポリエチレン 「ウルトゼックス1020L」のペレット(商品名、 チーグラー系触媒を用いて重合されたエチレ ン-4-メチル-1-ペンテン共重合体、融点115℃、 MFR(190℃、2160g荷重)2.0g/10分、密度0.909g/cm 3 ;以下ポリオレフィン(a2-4)と称する)、および 井化学株式会社製熱可塑性ポリオレフィン エラストマー「タフマーA4085」(商品名、エ レン-1-ブテン共重合体、密度0.885g/cm 3 、ビカット軟化温度55℃、MFR(190℃、2160g荷重) 3.6g/10分;以下熱可塑性エラストマー(a3-2)と称 る)のペレットを、熱可塑性樹脂(a1-1)/ポリ レフィン(a2-4)/熱可塑性エラストマー(a3-2)の 量比として4/76/20でタンブラーを使用してド ライブレンドし、ペレット混合物を得た。

(2)次に、ポリオレフィン(C-1)、上記ペレッ 混合物、バリア性樹脂(B-1)を原料とし、そ ぞれ別の押出機に導入し、下記に示す条件 したがってポリオレフィン(C-1)/樹脂組成物(A )/バリア性樹脂(B-1)/樹脂組成物(A)/ポリオレフ ィン(C-1)の3種5層の多層シートを共押出成形 より製造した。得られた多層シートの厚み 成は、225/90/90/90/225μmであった。

 共押出成形機の構成及び運転条件は下記の おりである。
押出機1[ポリオレフィン(C-1)]:
 装置:株式会社プラスチック工学研究所製単 軸押出機「GT-32-A型」
 スクリュー径:32mmφ
 スクリュー回転数:70rpm
 シリンダー設定温度:220℃
押出機2[樹脂組成物(A):熱可塑性樹脂(a1-1)/ポ オレフィン(a2-4)/熱可塑性エラストマー(a3-2) 混合物]:
 装置:大阪精機工作株式会社製単軸押出機「 P25-18AC」
 スクリュー径:25mmφ
 スクリュー構成:フルフライト
 L/D:18
 スクリュー回転数:70rpm
 シリンダー設定温度:220℃
押出機3[バリア性樹脂(B-1)]:
 装置:株式会社東洋精機製作所製単軸押出機 「ラボME型CO-NXT」
 スクリュー径:20mmφ
 スクリュー回転数:40rpm
 シリンダー設定温度:220℃
ダイスサイズ:300mm、
シート引取り速度:1m/分
冷却ロール温度:60℃

(3)上記(2)で得られた多層シートを東洋精機 製パンタグラフ式二軸延伸装置にかけ、同時 二軸延伸を行った。135℃及び105℃の延伸温度 で、それぞれ3.0×3.0倍及び2.0×2.0倍の延伸倍 で延伸した。いずれの場合も、延伸スピー は1m/秒であった。

(4)得られた多層延伸フィルムの製膜直後の ポリオレフィン(C-1)層と樹脂組成物(A)層、お び樹脂組成物(A)層とバリア性樹脂(B-1)層と 界面でのT型剥離強度を、20℃、65%RHの条件下 、オートグラフ(引張速度250mm/分)を用いて測 し、得られた数値を層間接着力とした。結 を表3に示す。

比較例6
 実施例4(1)において、熱可塑性エラストマー (a3-2)を使用せず、熱可塑性樹脂(a1-1)のペレッ トとポリオレフィン(a2-4)のペレットを4/96で ンブラーを使用してドライブレンドし、ペ ット混合物を得た以外は、実施例4(2)と同様 して3種5層の多層シートを共押出成形によ 製造し、実施例4(3)と同様にして多層延伸フ ルムを製造して、実施例4(4)と同様にしてT 剥離強度を測定した。結果を表3に示す。

実施例5
 実施例4(1)において、ポリオレフィン(a2-4)の 代わりにポリオレフィン(a2-3)を使用し、熱可 塑性エラストマー(a3-2)の代わりに熱可塑性エ ラストマー(a3-1)を使用し、熱可塑性樹脂(a1-1) /ポリオレフィン(a2-3)/熱可塑性エラストマー( a3-1)の質量比として5/75/20でタンブラーを使用 してドライブレンドし、ペレット混合物を得 た。次に、実施例4(2)と同様にして3種5層の多 層シートを共押出成形により製造した。得ら れた多層シートを実施例4(3)と同様にして、 だし、120℃の延伸温度、1m/秒の延伸スピー で、4.0×4.0倍の延伸倍率で延伸して多層延伸 フィルムを製造し、実施例4(4)と同様にT型剥 強度を測定した。結果を表3に示す。

比較例7
 実施例5において、熱可塑性エラストマー(a3 -1)を使用せず、熱可塑性樹脂(a1-1)/ポリオレ ィン(a2-3)を質量比として5/95でタンブラーを 用してドライブレンドし、ペレット混合物 得た以外は、実施例5と同様にして3種5層の 層シートを共押出成形により製造し、多層 伸フィルムを製造し、T型剥離強度を測定し た。結果を表3に示す。

比較例8
 実施例5において、熱可塑性樹脂(a1-1)の代わ りに熱可塑性樹脂(a1-2)を用い、熱可塑性樹脂 (a1-2)/ポリオレフィン(a2-3)/熱可塑性エラスト ー(a3-1)を質量比として15/65/20とした以外は 実施例5と同様にして3種5層の多層シートを 押出成形により製造し、多層延伸フィルム 製造し、T型剥離強度を測定した。結果を表3 に示す。

 表3が示すとおり、熱可塑性樹脂(a1-1)及び ポリオレフィン(a2-4)に加えて、熱可塑性エラ ストマー(a3-2)を特定の質量比で含有する樹脂 組成物(A)を接着剤層として用いた実施例4で 、樹脂組成物(A)層とポリオレフィン(C-1)層と の界面、樹脂組成物(A)層とバリア性樹脂(B-1) との界面のいずれの界面においても良好な 間接着力を有した。これに対し、熱可塑性 脂(a1-1)及びポリオレフィン(a2-4)のみを含有 る樹脂組成物を接着剤層として用いた比較 6では、樹脂組成物(A)層とバリア性樹脂(B-1) との界面における層間接着力が低下した。 可塑性樹脂(a1-1)、ポリオレフィン(a2-3)およ 熱可塑性エラストマー(a3-1)を樹脂組成物(A) 構成成分として用いた実施例5と、熱可塑性 エラストマー(a3-1)を用いなかった比較例7と 対比でも同様であった。また、熱可塑性樹 (a1-1)の代わりに熱可塑性樹脂(a1-2)を使用し 比較例8でも、樹脂組成物層とバリア性樹脂( B-1)層との界面の層間接着力は低下した。

実施例6
(1)熱可塑性樹脂(a1-1)のペレット、株式会社プ ライムポリマー製直鎖状低密度ポリエチレン 「ウルトゼックス2022L」(商品名、チーグラー 系触媒を用いて重合されたエチレン-4-メチル -1-ペンテン共重合体、密度0.919g/cm 3 、融点120℃、MFR(190℃、2160g荷重)2.0g/10分;以下 ポリオレフィン(a2-5)と称する)のペレット、 よび熱可塑性エラストマー(a3-1)のペレット 熱可塑性樹脂(a1-1)/ポリオレフィン(a2-5)/熱可 塑性エラストマー(a3-1)の質量比として4/76/20 タンブラーを使用してドライブレンドし、 レット混合物を得た。

(2)次に、日本ポリプロ株式会社製ポリプロ ピレン「ノバテックFY6C」(商品名、融点168℃ MFR(230℃、2160g荷重)2.4g/10分;以下ポリオレフ ン(C-3)と称する)、上記ペレット混合物、バ ア性樹脂(B-1)を原料とし、それぞれ別の押 機に導入し、下記に示す条件にしたがって リオレフィン(C-3)/樹脂組成物(A)/バリア性樹 (B-1)/樹脂組成物(A)/ポリオレフィン(C-3)の3種 5層の多層シートを共押出成形により製造し 。得られた多層シートの厚み構成は、200/50/5 0/50/200μmであった。

 共押出成形機の構成及び運転条件は下記の おりである。
押出機1[ポリオレフィン(C-3)]:
 装置:株式会社プラスチック工学研究所製単 軸押出機「GT-32-A型」
 スクリュー径:32mmφ
 スクリュー回転数:70rpm
 シリンダー設定温度:220℃
押出機2[樹脂組成物(A):熱可塑性樹脂(a1-1)/ポ オレフィン(a2-5)/熱可塑性エラストマー(a3-1) 混合物]:
 装置:大阪精機工作株式会社製単軸押出機「 P25-18AC」
 スクリュー径:25mmφ
 スクリュー構成:フルフライト
 L/D:18
 スクリュー回転数:70rpm
 シリンダー設定温度:220℃
押出機3[バリア性樹脂(B-1)]
 装置:株式会社東洋精機製作所製単軸押出機 「ラボME型CO-NXT」
 スクリュー径:20mmφ
 スクリュー回転数:40rpm
 シリンダー設定温度:220℃
ダイスサイズ:300mm、
シート引取り速度:1m/分
冷却ロール温度:60℃

(3)上記(2)で得られた多層シートを熱成形機( 野製作所製:真空圧空深絞り成形機FX-0431-3型) にて、シート温度を130℃にして、圧縮空気( 圧5kgf/cm 2 )により丸カップ形状(金型形状:上部75mmφ、下 部60mmφ、深さ75mm、絞り比S=1.0)に熱成形する とにより、熱成形容器を得た。成形条件を 下に示す。
ヒーター温度:400℃
   プラグ:45φ×65mm
 プラグ温度:120℃
  金型温度:70℃

(4)得られた深絞り熱成形品を絞り方向に対 して15mm幅にカットした後、熱成形直後の側 のポリオレフィン(C-3)層と樹脂組成物(A)層、 および樹脂組成物(A)層とバリア性樹脂(B-1)層 の界面でのT型剥離強度を、20℃、65%RHの条 下、オートグラフ(引張速度250mm/分)を用いて 測定し、得られた数値を層間接着力とした。 結果を表4に示す。

比較例9
 実施例6(1)において、熱可塑性エラストマー (a3-1)を使用せず、熱可塑性樹脂(a1-1)のペレッ トとポリオレフィン(a2-5)のペレットを熱可塑 性樹脂(a1-1)/ポリオレフィン(a2-5)の質量比と て4/96でタンブラーを使用してドライブレン し、ペレット混合物を得た以外は、実施例6 (2)と同様にして3種5層の多層シートを共押出 形により製造し、実施例6(3)と同様にして熱 成形容器を製造して、実施例6(4)と同様にし T型剥離強度を測定した。結果を表4に示す。

比較例10
 実施例6(1)において、熱可塑性樹脂(a1-1)の代 わりに熱可塑性樹脂(a1-2)を用い、ポリオレフ ィン(a2-5)の代わりにポリオレフィン(a2-3)を用 い、熱可塑性樹脂(a1-2)/ポリオレフィン(a2-3)/ 可塑性エラストマー(a3-1)の質量比を15/65/20 してドライブレンドし、混合物を得た以外 、実施例6(2)と同様にして3種5層の多層シー を共押出成形により製造し、実施例6(3)と同 にして熱成形容器を製造して、実施例6(4)と 同様にしてT型剥離強度を測定した。結果を 4に示す。

 表4が示すとおり、熱可塑性樹脂(a1-1)及び ポリオレフィン(a2-5)に加えて、熱可塑性エラ ストマー(a3-1)を含有する樹脂組成物(A)を接着 剤層として用いた実施例6では、樹脂組成物(A )層とポリオレフィン(a2-5)層との界面、樹脂 成物(A)層とバリア性樹脂(B-1)層との界面のい ずれの界面においても良好な層間接着力を有 した。これに対し、熱可塑性樹脂(a1-1)及びポ リオレフィン(a2-5)のみを含有する樹脂組成物 を接着剤層として用いた比較例9では、樹脂 成物層とポリオレフィン(a2-5)層との界面に いては良好な層間接着力を示したものの、 脂組成物層とバリア性樹脂(B-1)層との界面の 層間接着力は低下した。また、熱可塑性樹脂 (a1-1)の代わりに熱可塑性樹脂(a1-2)を使用した 比較例10も比較例9と同様、樹脂組成物層とバ リア性樹脂(B-1)層との界面の層間接着力は低 した。