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Title:
RESIN COMPOSITION
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2024/009201
Kind Code:
A1
Abstract:
The present invention relates to a resin composition comprising a modified starch (A), a polyvinyl alcohol resin (B), and a polyol plasticizer (C). The amount of the polyol plasticizer (C) is 40 part by mass to 150 part by mass with respect to 100 parts by mass of the total of the modified starch (A) and the polyvinyl alcohol resin (B). The polyol plasticizer (C) contains a polyol plasticizer having a Tg of 25°C or higher (c1). The moisture content after controlling humidity at a temperature of 23°C and a relative humidity of 75% for one week is 17.0% by mass or less.

Inventors:
TAKAWA SHUN (JP)
ENOMOTO KEISUKE (JP)
NAITO KANA (JP)
OTA MASAHIKO (JP)
MCCAFFREY NICHOLAS JOHN (AU)
Application Number:
PCT/IB2023/056879
Publication Date:
January 11, 2024
Filing Date:
July 03, 2023
Export Citation:
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Assignee:
PLANTIC TECH LTD (AU)
International Classes:
C08L3/06; B29C48/08; C08J3/18; C08J5/18; C08L3/08; C08L29/04; B29K29/00; B29L7/00
Foreign References:
US20070276317A12007-11-29
US20090312462A12009-12-17
US20100297458A12010-11-25
US20090110942A12009-04-30
US20200339785A12020-10-29
US20190284356A12019-09-19
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Claims:
請 求の範 囲

[請求項 1] 変性デンプン (A) 、 ポリビニルアルコール系樹脂 (B) 及びポリ オール可塑剤 (〇 を含み、 ポリオール可塑剤 (C) の含有量は、 変 性デンプン (A) 及びポリビニルアルコール系樹脂 (B) の合計 1 〇 〇質量部に対して 40質量部以上 1 50質量部以下であり、 ポリオー ル可塑剤 (C) は 25 °C以上の T gを有するポリオール可塑剤 (c 1 ) を含み、 温度 23°C •相対湿度 75%で 1週間調湿した後の含水 率は 1 7. 〇質量%以下である、 樹脂組成物。

[請求項 2] 前記ポリオール可塑剤 (C) に対する前記ポリオール可塑剤 (c 1 ) の質量比 (c 1 /C) は、 〇• 45以上である、 請求項 1に記載の 樹脂組成物。

[請求項 3] 前記変性デンプン (A) は、 $ P値が1 1. 3超の親水性化合物に よ り変性された変性基を有する変性デンプン (A 1 ) を含む、 請求項 1又は 2に記載の樹脂組成物。

[請求項 4] 前記変性デンプン (A 1 ) の平均アミロース含有量は 50質量%以 上である、 請求項 3に記載の樹脂組成物。

[請求項 5] 前記変性デンプン (A 1 ) は、 炭素原子数 2~6のヒドロキシアル キル基を有するエーテル化デンプン及び炭素原子数 2~6のカルボン 酸無水物変性基を有するエステル化デンプンか らなる群から選択され る少な くとも 1種である、 請求項 3又は 4に記載の樹脂組成物。

[請求項 6] 前記変性デンプン (A) は、 $ P値が1 1. 3以下の疎水性化合物 によ り変性された変性基を有する変性デンプン (A2) を含む、 請求 項 1〜 5のいずれかに記載の樹脂組成物。

[請求項 7] 前記変性デンプン (A2) の平均アミロース含有量は 50質量%未 満である、 請求項 6に記載の樹脂組成物。

[請求項 8] 前記変性デンプン (A2) は、 炭素原子数 6~24のグリシジルエ ーテル変性基を有するエーテル化デンプン及び炭素原子数 6~24の カルボン酸無水物変性基を有するエステル化デンプンか らなる群から 選択される少な くとも 1種である、 請求項 6又は 7に記載の樹脂組成 物。

[請求項 9] 前記変性デンプン (A2) の重量平均分子量は 200, 000以 下 である、 請求項 6〜 8のいずれかに記載の樹脂組成物。

[請求項 10] 請求項 1〜 9のいずれかに記載の樹脂組成物からなる層を少なくと も 1層含む、 フィルム又はシート。

Description:
明 細 書 発明 の名称 : 樹脂組成物 技術分 野

[0001 I 本特許出願は、 日本国特許出願第 2 0 2 2 - 1 0 7 8 8 7号 (出願日 : 2

0 2 2年 7月 4日) 及び日本国特許出願第 2 0 2 2 - 1 0 7 8 9 3号 (出願 日 : 2 0 2 2年 7月 4日) についてパリ条約上の優先権を主張するもの であ り、 ここに参照することによって、 その全体が本明細書中へ組み込まれるも のとする。

[0002] 変性デンプン、 ポリビニルアルコール系樹脂及びポリオール 可塑剤を含む 樹脂組成物、 及び該樹脂組成物からなる層を含むフィルム 又はシートに関す る〇 背景技 術

[0003] 従来、 変性デンプン及びポリビニルアルコール系樹 脂を含む樹脂組成物は 、 生分解性であり、 かつ、 酸素バリア性が高いことから、 包装容器に広く用 いられている (例えば特許文献 1 ) 〇 また、 変性デンプン、 ポリビニルアル コール系樹脂等の水溶性ポリマー、 ポリオール可塑剤及びポリエチレンオキ シドを含む樹脂組成物が生分解性及び水洗性 を有する医療用または産業用製 品易適する射出成型可能なポリマーとして知 られている (例えば特許文献 2 ) 〇 先行技 術文献 特許文 献

[0004] 特許文献 1 :特開 2〇 1 9 - 6 9 0 0号公報 特許文献 2:特開 2 0 1 4 - 2 8 9 6 3号公報 発明 の概要 発明 が解決 しようと する課題

[0005] しかしながら、 生分解性を有するガスバリア材として使用で きる、 変性デ ンプン及びポリビニルアルコール系樹脂を含 む樹脂組成物において、 ポリオ ール可塑剤を含む上記従来の樹脂組成物は、 低湿度下において高い酸素バリ ア性を有するものの、 食品包装フィルムが曝されるような高湿度下 (例えば 7 5%R H) においては酸素バリア性の顕著な低下を示し 、 実用性能を満た さないということがわかった。 また、 そのような樹脂組成物は水を添加しな ければ溶融できない場合があり、 溶融性と高湿度下での酸素バリア性とを両 立させることは困難であることがわかった。

[0006I 本発明は、 以上のような事情に基づいてなされたもので あり、 その目的は 、 変性デンプン、 ポリビニルアルコール系樹脂及びポリオール 可塑剤を含む 樹脂組成物であって、 高湿度下での酸素バリア性の低下を抑制でき 、 水を添 加しなくても溶融可能な樹脂組成物及び該樹 脂組成物からなる層を少なくと も 1層含むフィルム又はシートを提供すること ある。 課題 を解決す るため の手段

[0007I 本発明者は、 上記課題を解決するために鋭意検討した結果 、 変性デンプン

(A) 、 ポリビニルアルコール系樹脂 (B) 及びポリオール可塑剤 (C) を 含む樹脂組成物において、 変性デンプン (A) 及びポリビニルアルコール系 樹脂 (B) の合計を 1 00質量部としたときに、 ポリオール可塑剤 (C) の 含有量が 40質量部以上 1 50質量部以下であり、 ポリオール可塑剤 (C) が 25 °C以上の T gを有するポリオール可塑剤 (c 1 ) を含み、 温度 23 °C •相対湿度 7 5%で 1週間調湿した後の含水率が 1 7. 〇質量%以下である と、 上記課題を解決できることを見出し、 本発明を完成するに至った。 すな わち、 本発明には、 以下の形態が含まれる。

[0008] [ 1 ] 変性デンプン (A) 、 ポリビニルアルコール系樹脂 (B) 及びポリオ ール可塑剤 (C) を含み、 ポリオール可塑剤 (C) の含有量は、 変性デンプ ン (A) 及びポリビニルアルコール系樹脂 (B) の合計 1 00質量部に対し て 40質量部以上 1 5〇質量部以下であり、 ポリオール可塑剤 (C) は 25 °C以上の T gを有するポリオール可塑剤 ( c 1 ) を含み、 温度 23 °C •相対湿度 7 5%で1週間調湿した後の含水率は 1 7I 〇質量%以下である、 樹脂組成物。 [2I 前記ポリオール可塑剤 (C) に対する前記ポリオール可塑剤 (c 1 ) の質量比 (c 1 /C) は、 〇, 45以上である、 [1] に記載の樹脂組成物 〇

[3I 前記変性デンプン (A) は、 $ P値が1 1. 3超の親水性化合物によ り変性された変性基を有する変性デンプン (A 1 ) を含む、 [1] 又は [2 ] に記載の樹脂組成物。

[4I 前記変性デンプン (A 1 ) の平均アミロース含有量は 50質量%以上 である、 [3] に記載の樹脂組成物。

[5I 前記変性デンプン (A 1 ) は、 炭素原子数 2~6のヒドロキシアルキ ル基を有するエーテル化デンプン及び炭素原 子数 2~6のカルボン酸無水物 変性基を有するエステル化デンプンからなる 群から選択される少なくとも 1 種である、 [3] 又は [4] に記載の樹脂組成物。

[6I 前記変性デンプン (A) は、 $ P値が1 1. 3以下の疎水性化合物に より変性された変性基を有する変性デンプン (A2) を含む、 [ 1 ! 〜 [5 ] のいずれかに記載の樹脂組成物。

[7I 前記変性デンプン (A2) の平均アミロース含有量は 50質量%未満 である、 [6] に記載の樹脂組成物。

[8I 前記変性デンプン (A2) は、 炭素原子数 6~24のグリシジルエー テル変性基を有するエーテル化デンプン及び 炭素原子数 6~24 のカルボン 酸無水物変性基を有するエステル化デンプン からなる群から選択される少な くとも 1種である、 [6] 又は [7] に記載の樹脂組成物。

[9I 前記変性デンプン (A2) の重量平均分子量は 200, 000 以下で ある、 [6] 〜 [8I のいずれかに記載の樹脂組成物。

[1 0] [ 1] ~ [9] のいずれかに記載の樹脂組成物からなる層を 少なく とも 1層含む、 フィルム又はシート。 発明 の効果

[0009] 本発明によれば、 変性デンプン、 ポリビニルアルコール系樹脂及びポリオ ール可塑剤を含む樹脂組成物であって、 高湿度下での酸素バリア性の低下を 抑制でき、 水を添加しなくても溶融可能な樹脂組成物及 び該樹脂組成物から なる層を少なくとも 1層含むフィルム又はシートを提供できる。 発明 を実施す るため の形態

[0010] [樹脂組成物] 本発明の樹脂組成物は、 変性デンプン (A) 、 ポリビニルアルコール系樹 脂 (B) 及びポリオール可塑剤 (C) を含み、 ポリオール可塑剤 (C) の含 有量が、 変性デンプン (A) 及びポリビニルアルコール系樹脂 (B) の合計 1 00質量部に対して 40質量部以上 1 50質量部以下であり、 ポリオール 可塑剤 (C) が 25 °C以上のガラス転移温度 (T gと称することがある) を 有するポリオール可塑剤 (c 1 ) を含み、 温度 23°C •相対湿度 75%で 1 週間調湿した後の含水率が 1 7. 〇質量%以下である。 なお、 本明細書にお いて、 25°C以上の T gを有するポリオール可塑剤 (c 1 ) を 「 T g M25 °Cポリオール可塑剤 (c 1 ) 」 、 「ポリオール可塑剤 (c 1 ) 」 または 「ポ リオール (c 1 ) 」 と称することがあり、 ポリオール可塑剤 (C) に対する ポリオール可塑剤 (c 1 ) の質量比 (c 1 /C) を単に 「質量比 (c 1 /C ) J と称することがあり、 温度 23°C •相対湿度 75%で 1週間調湿した後 の含水率を 「 23°C ■ 75%R H下での含水率」 と称する場合がある。 また 、 変性デンプン (A) 及びポリビニルアルコール系樹脂 (B) をそれぞれ成 分 (A) 及び成分 (B) と称することがある。 また、 本明細書に記載の上限 値と下限値は任意に組み合わせることができ る。

[0011] 本発明者は、 T g M25°Cポリオール可塑剤 (c 1 ) を含むポリオール可 塑剤 (C) の含有量が、 変性デンプン (A) 及びポリビニルアルコール系樹 脂 (B) の合計 1 00質量部に対して 40質量部以上 1 50質量部以下であ り、 23 °C - 75%RH 下での含水率が 1 7. 〇質量%以下であることで、 意外なことに、 高湿度下 (例えば 23°C、 75%R H) での酸素バリア性の 低下を抑制しつつ、 溶融成形性を向上できることを見出した。 この理由は定 かではないが、 高湿度下での低吸水性とポリオール可塑剤 (C) 等による溶 融成形性の向上との両方を発現できるからだ と推定される。 また、 本発明の 樹脂組成物は後述する変性デンプン (A 1 ) 及び変性デンプン (A 2) を含 むことで、 溶融成形性及び高湿度下での酸素バリア性を 高いレベルで両立で きる傾向となる。 本明細書において、 樹脂組成物が 「溶融可能」 であるか否 かは、 水の添加なしに樹脂組成物を溶融成形できる か否かで判断でき、 例え ば実施例に記載のように樹脂組成物を圧縮成 形 (又はプレス成形) できるか 否かで評価できる。 かかる溶融可能な特性を溶融性又は溶融成形 性と称する 〇 また本明細書において、 製膜性は、 樹脂組成物を溶融成形して得られるフ イルム (又はシート) 表面の均一性を示す特性であり、 例えば実施例に記載 のように樹脂組成物を押出成形後、 得られるフィルム (又はシート) 表面が ムラなく均一か否かを判断することで評価で きる。

[0012I 〔変性デンプン (A) 〕 本発明の樹脂組成物は変性デンプン (A) を含む。 変性デンプン (A) の 原料となるデンプンは、 例えばトウモロコシ、 キャッサバ、 馬鈴薯、 甘諸、 サゴ、 タピオカ、 モロコシ、 豆、 ワラビ、 ハス、 ヒシ、 小麦、 コメ、 オート 麦、 クズウコン、 エンドウ等に由来するデンプンであってよい 。 これらの中 でも、 アミロース含有量の観点から、 変性デンプン (A) の原料となるデン プンはトウモロコシ (コーン) 又はキャッサバに由来するデンプンであるこ とが好ましく、 トウモロコシに由来するデンプンであること がより好ましい 〇 変性デンプン (A) は 1種又は 2種以上のデンプンで構成されていてもよ い。 変性デンプン (A) は、 デンプンに含まれる水酸基が変性された変性 基 を含み、 樹脂組成物の 23°C ■ 7 5%R H下での含水率の上昇を低減しやす く、 高湿度下での酸素バリア性の低下を抑制しや すく、 溶融成形性及び製膜 性を高めやすい観点から、 該変性基は、 後述の親水性化合物変性基及び/又 は疎水性化合物変性基であることが好ましい 。

[0013I く変性デンプン (A 1 ) > 変性デンプン (A) は、 $ P値が1 1 . 3超の親水性化合物により変性さ れた変性基を有する変性デンプン (A 1 ) を含むことが好ましい。 前記親水 性化合物により変性された変性基 (親水性化合物による変性基又は親水性化 合物変性基とも称する) は、 前記親水性化合物の反応性基とデンプンに含 ま れる水酸基との反応により該水酸基が変性さ れた基であり、 エーテル化、 エ ステル化又はアミ ド化により、 デンプンに結合されていることが好ましい。 このような変性デンプン (A 1 ) を含むと、 生分解性及び機械的強度を高め やすく、 また成形後の変性デンプンの老化を阻害しや すい。 本明細書におい て、 S P値とは F e d〇 r sの式 ( P〇 ! y m . E n g. S c i . , 1 4 [ 2] , 1 47 (1 974) ) により算出された溶解度パラメータを示す。

[0014I 前記親水性化合物の S P値は、 好ましくは 1 2. 〇以上、 より好ましくは 1 2. 5以上、 さらに好ましくは 1 3. 〇以上であり、 好ましくは 1 5. 5 以下、 より好ましくは 1 5. 〇以下である。 親水性化合物の S P値が上記の 範囲内であると、 機械的強度を高めやすい。

[0015] 前記親水性化合物としては、 例えばエチレンオキシド、 プロピレンオキシ ド (S P値 : 1 3. 2) 、 ブチレンオキシド等の炭素原子数 2~6のアルキ レンオキシド ; クロロ酢酸等の炭素原子数 2~4のハロゲン化カルボン酸; 臭化メチル等の炭素原子数 2~6のハロゲン化アルキル ;マレイン酸無水物 、 フタル酸無水物等の炭素原子数 2~6のカルボン酸無水物 ;硝酸ナトリウ ムやリン酸ナトリウム等のオキソ酸塩 ; 2ージエチルアミノエチルクロライ ド; 2, 3 —エポキシプロピルトリメチルアンモニウム クロライ ドなどが挙 げられる。 これらの中でも、 デンプンに対する反応性、 並びに機械的強度を 高めやすい観点から、 炭素原子数 2~6のアルキレンオキシド及び炭素原子 数 2~6のカルボン酸無水物か らなる群から選択される少なくとも 1種が好 ましい。

[0016] 変性デンプン (A 1 ) の原料となるデンプンとしては、 変性デンプン (A ) の原料となるデンプンとして上記に例示のも のが挙げられる。 変性デンプ ン ( A 1 ) は、 1種又は 2種以上の親水性化合物変性基を含んでいて よく 、 また変性デンプン (A) は、 1種又は 2種以上の変性デンプン (A 1 ) を 含んでいてもよい。

[0017] 本発明の好適な実施形態において、 変性デンプン (A 1 ) の平均アミロー ス含有量は、 好ましくは 50質量%以上、 より好ましくは 55質量%以上、 さらに好ましくは 60質量%以上、 さらにより好ましくは 65質量%以上、 特に好ましくは 7〇質量%以上であり、 好ましくは 90質量%以下である。 アミロース含有量が上記の範囲内であると、 23°C ■ 75%R H下での含水 率の上昇を低減しやすく、 高湿度下での酸素バリア性の低下を抑制しや すく 、 溶融成形性及び製膜性を高めやすい。 本明細書において、 アミロース含有 量は、 例えば 「 S t a r c h 5〇 N o. 4 1 58- 1 63 (1 998

) J に記載のヨウ素呈色法により測定できる。 なお、 平均アミロース含有量 は、 変性デンプン (A 1 ) が 1種類の場合は、 該 1種類の変性デンプン (A 1 ) のアミロース含有量を示し、 変性デンプン (A 1 ) を 2種類以上使用す る場合は、 2種以上の変性デンプン (A 1 ) のアミロース含有量を加重平均 したものである。 そのため、 例えば、 変性デンプン (A 1 ) を 2種類以上使 用し、 平均アミロース含有量を 50質量%以上とする場合、 アミロース含有 量が 5〇質量%未満の変性デンプン (A 1 ) を含んでいてもよい。

[0018I 具体的には、 変性デンプン (A 1 ) は、 エーテル化デンプン、 エステル化 デンプン、 カチオン化デンプン及び架橋デンプンからな る群から選択される 少なくとも 1種であることが好ましい。

[0019] エーテル化デンプンとしては、 例えば、 メチルエーテル化デンプン等のア ルキルエーテル化デンプン、 好ましくは炭素原子数 2~6のアルキルエーテ ル化デンプン ;カルボキシメチルエーテル化デンプン等の ルボキシアルキ ルエーテル化デンプン、 好ましくは炭素原子数 2~6のカルボキシメチルエ ーテル化デンプン ; ヒドロキシエチレン基、 ヒドロキシプロピレン基、 ヒド ロキシブチレン基等のヒドロキシアルキル基 を有するエーテル化デンプン ( ヒドロキシアルキルエーテル化デンプン) 、 好ましくは炭素原子数 2~5の ヒドロキシアルキル基を有するエーテル化デ ンプン; アリルエーテル化デン プン、 好ましくは炭素原子数 2~6のアリルエーテル化デンプンなどが挙げ られる。 炭素原子数 2~6のヒドロキシアルキルエーテル化デンプ は、 例 えばエチレンオキシド、 プロピレンオキシド、 ブチレンオキシド等の炭素原 子数 2〜 6のアルキレンオキシドとデンプンとの反応 より得ることができ る〇

[0020! エステル化デンプンとしては、 例えば、 酢酸由来の構造単位を有するエス テル化デンプン等のカルボン酸変性基を有す るエステル化デンプン (カルボ ン酸由来の構造単位を有するエステル化デン プンともいう) ;マレイン酸無 水物由来の構造単位を有するエステル化デン プン、 フタル酸無水物由来の構 造単位を有するエステル化デンプン、 オクテニルスクシン酸無水物由来の構 造単位を有するエステル化デンプン等のカル ボン酸無水物変性基を有するエ ステル化デンプン (カルボン酸無水物由来の構造単位を有する ステル化デ ンプンともいう) ;硝酸エステル化デンプン、 リン酸エステル化デンプン、 尿素リン酸エステル化デンプン等のオキソ酸 由来の構造単位を有するエステ ル化デンプン ;キサントゲン酸エステル化デンプン; アセト酢酸エステル化 デンプンなどが挙げられる。

[0021I これらの中でも、 溶融成形性及び製膜性を高めやすい観点から 、 変性デン プン (A 1 ) は、 ヒドロキシアルキル基を有するエーテル化デ ンプン及びカ ルボン酸無水物変性基を有するエステル化デ ンプンからなる群から選択され る少なくとも 1種であることが好ましく、 炭素原子数 2~6のヒドロキシア ルキル基を有するエーテル化デンプン及び炭 素原子数 2~6のカルボン酸無 水物変性基を有するエステル化デンプンから なる群から選択される少なくと も 1種であることがより好ましい。 また、 変性デンプン (A 1 ) において、 1 グルコースユニッ ト当たりの変性された水酸基の平均数 [置換度 (DS) という] は、 好ましくは〇. 05〜 2である。

[0022] 本発明の好適な実施形態において、 変性デンプン (A 1 ) の重量平均分子 量 (Mwと称することがある) は、 好ましくは 20〇, 000以上、 より好 ましくは 25 0, 000 以上、 さらに好ましくは 300, 000以上、 さら により好ましくは 35 0, 000 以上、 特に好ましくは 400, 000以上 であり、 好ましくは 800, 000 以下、 より好ましくは 650, 000以 下、 さらに好ましくは 550, 000 以下である。 変性デンプン (A 1 ) の Mw が上記の下限以上であると、 23°C・ 75%R H下での含水率の上昇を 低減しやすく、 高湿度下での酸素バリア性の低下を抑制しや すく、 機械的強 度を高めやすい。 また該 Mwが上記の上限以下であると、 溶融成形性及び製 膜性を高めやすい。 変性デンプン (A 1 ) の重量平均分子量は、 G PC (ゲ ルパーミエーションクロマトグラフィ) を用いて測定でき、 例えば実施例に 記載の方法により測定できる。

[0023I 変性デンプン (A 1 ) としては、 市販されているものを用いてもよく、 所 定のデンプンを、 慣用の方法を用いて親水性化合物により変性 することで製 造してもよい。 変性デンプン (A 1 ) の代表的市販品の例としては、 例えば I n g r e d i 〇 n社や N a t i o n a I S t a r c h & C h e m i c a I C o m p a n y社から入手できる、 E C 0 F I L M (登録商標) 、 GE LOS E (登録商標) A 939等が挙げられる。

[0024I 本発明の一実施形態において、 変性デンプン (A 1 ) の含有量は、 変性デ ンプン (A) の質量に対して、 好ましくは 20質量%以上、 より好ましくは 30 質量%以上であ り、 好ましくは 1 00質量%以下、 より好ましくは 80 質量%以下、 さらに好ましくは 65質量%以下、 さらにより好ましくは 50 質量%以下である。 変性デンプン (A 1 ) の含有量が上記の下限以上である と、 機械的強度が高くなりやすい。 また変性デンプン (A 1 ) の含有量が上 記の上限以下であると、 溶融成形性及び製膜性を向上しやすい。

[0025] く変性デンプン (A2) > 変性デンプン ( A ) は、 S P値が 1 1 . 3以下の疎水性化合物により変性 された変性基を有する変性デンプン (A2) を含むことが好ましい。 前記疎 水性化合物により変性された変性基 (疎水性化合物による変性基又は疎水性 化合物変性基と称することがある) は、 前記疎水性化合物の反応性基とデン プンに含まれる水酸基との反応により該水酸 基が変性された基であり、 エー テル化、 エステル化又はアミ ド化により、 デンプンに結合されていることが 好ましい。 このような変性デンプン (A2) を含むと、 吸水性が低減される ため、 23°C ■ 75%R H下での含水率の上昇を低減しやすく、 高湿度下で の酸素バリア性の低下を抑制しやすく、 また溶融成形性及び製膜性を高めや すい。

[0026I 前記疎水性化合物の S P値は、 好ましくは 1 1 . 〇以下、 より好ましくは 1 〇. 8以下、 さらに好ましくは 1 0 . 5以下であり、 好ましくは 8 . 〇以 上、 より好ましくは 8 . 4以上、 さらに好ましくは 8 . 8以上である。 疎水 性化合物の s P値が上記の範囲内であると、 樹脂組成物の吸水性が低減され るため、 2 3 °C ■ 7 5 % R H下での含水率の上昇を低減しやすく、 高湿度下 での酸素バリア性の低下を抑制しやすく、 また溶融成形性及び製膜性を高め やすい。

[0027] 疎水性化合物は、 例えばハロゲン基、 ハロヒドリン基、 エポキシ基、 グリ シジル基、 酸無水物基、 及びアミノ基からなる群から選択される少な くとも 1 つの反応性基を含むことが好ましい。

[0028] 疎水性化合物をエーテル化、 すなわちエーテル結合によりデンプンに結合 させる場合、 疎水性化合物に含まれる反応性基は、 例えばハロゲン基、 ハロ ヒドリン基、 エポキシ基、 グリシジル基であってよく、 該疎水性化合物は炭 素原子数 6~2 4の疎水性化合物であることが好ましい。 具体的に疎水性化 合物としては、 臭化セチル、 臭化ラウリル;エポキシ化大豆脂肪アルコー ル 、 エポキシ化亜麻仁脂肪アルコール ; アリルグリシジルエーテル、 プロピル グリシジルエーテル、 ブチルグリシジルエーテル、 デカングリシジルエーテ ル、 ラウリルフェニルグリシジルエーテル、 ミリストイルグリシジルエーテ ル、 セチルグリシジルエーテル、 パルミチルグリシジルエーテル、 ステァリ ルグリシジルエーテル、 リノリルグルシジルエーテル等の炭素原子数 2〜 2 4 のグリシジルエーテル、 好ましくは炭素原子数 6~2 4のグリシジルエー テルなどが挙げられる。

[0029] 疎水性化合物をエステル化、 すなわちエステル結合によりデンプンに結合 させる場合、 疎水性化合物に含まれる反応性基は、 例えば酸無水物基であっ てよく、 該疎水性化合物としては、 炭素原子数 6〜 2 4、 好ましくは炭素原 子数 7 — 2〇のカルボン酸無水物が好ましい。 具体的にカルボン酸無水物と しては、 例えばオクタン酸酢酸無水物、 デカン酸酢酸無水物、 ラウリン酸酢 酸無水物、 ミリスチン酸酢酸無水物等のアルカン酸カル ボン酸無水物 ; アル キル又はアルケニルコハク酸無水物、 アルキル又はアルケニルマレイン酸無 水物等のアルキル又はアルケニルジカルボン 酸無水物が挙げられる。 アルキ ル又はアルケニルジカルボン酸無水物として は、 オクテニルコハク酸無水物 (S P値: 1 0. 4) 、 ノニルコハク酸無水物、 デシルコハク酸無水物、 ド デセニルコハク酸無水物、 オクテニルマレイン酸無水物、 ノニルマレイン酸 無水物、 デシルマレイン酸無水物、 ドデセニルマレイン酸無水物が好ましく 、 オクテニルコハク酸無水物又はオクテニルマ レイン酸無水物がより好まし い。

[0030I 疎水性化合物をアミ ド化、 すなわちアミ ド結合によりデンプンに結合させ る場合、 疎水性化合物に含まれる反応性基は、 例えばアミノ基であってよく 、 該疎水性化合物としては、 炭素原子数 6~24の飽和又は不飽和炭化水素 基を含む脂肪族アミンを好適に使用でき、 該脂肪族アミンは分岐鎖を含んで いてよいが、 直鎖であることが好ましい。 具体的に脂肪族アミンとしては、 n ードデシルアミン、 nーヘキサデシルアミン、 nーオクタデシルアミン、 ココアミン、 タローアミン、 水素添加 Nータローー 1 , 3ージアミノプロパ ン、 Nー水素化タロ - 1 , 3ージアミノプロパン、 Nーオレイルー 1 , 3

— ジアミノプロパンなどが挙げられる。

[0031I これらの中でも、 樹脂組成物の 23°C・ 75%R HTでの含水率の上昇を 低減しやすく、 高湿度下での酸素バリア性の低下を抑制しや すく、 溶融成形 性及び製膜性を高めやすい観点から、 前記疎水性化合物は、 炭素原子数 6〜 2 4のグ リシジルエーテル及び炭素原子数 6~24のカルボン酸無水物か ら なる群から選択される少なくとも 1種であることが好ましい。

[0032I 変性デンプン (A2) の原料となるデンプンとしては、 変性デンプン (A ) の原料となるデンプンとして上記に例示のも のが挙げられる。 変性デンプ ン (A2) は、 1種又は 2種以上の疎水性化合物変性基を含んでいて よく 、 また変性デンプン (A) は、 1種又は 2種以上の変性デンプン (A2) を 含んでいてもよい。

[0033I 本発明の好適な実施形態において、 変性デンプン (A2) の平均アミロー ス含有量は、 好ましくは 50質量%未満、 より好ましくは 40質量%以下、 さらに好ましくは 30質量%以下、 さらにより好ましくは 20質量%以下、 特に好ましくは 1 〇質量%以下、 特により好ましくは 5質量%以下であり、 好ましくは〇. 1質量%以上、 より好ましくは〇. 5質量%以上である。 ア ミロース含有量が上記の範囲内であると、 溶融成形性及び製膜性を高めやす い。 なお、 平均アミロース含有量は、 変性デンプン (A2) が 1種類の場合 は、 該 1種類の変性デンプン (A2) のアミロース含有量を示し、 変性デン プン (A2) を 2種類以上使用する場合は、 2種以上の変性デンプン (A2 ) のアミロース含有量を加重平均したものであ る。 そのため、 例えば、 変性 デンプン (A2) を 2種類以上使用し、 平均アミロース含有量を 50質量% 未満とする場合、 アミロース含有量が 50質量%以上の変性デンプン (A2 ) を含んでいてもよい。 変性デンプン (A2) において、 1 グルコースユニ ッ ト当たりの変性された水酸基の平均数 [置換度 (DS) という] は、 好ま しくは〇. 05〜 2である。

[0034] 具体的には、 変性デンプン (A2) は、 例えばエーテル化デンプン、 エス テル化デンプン及びアミ ド化デンプンからなる群から選択される少な くとも 1 種であることが好ましく、 炭素原子数 6~24のエーテル化デンプン、 炭 素原子数 6~24 のエステル化デンプン及び炭素原子数 6~2 4のアミ ド化 デンプンからなる群から選択される少なくと も 1種であることがより好まし い。

[0035] エーテル化デンプンは、 疎水性化合物変性基を有するエーテル化デン プン であることが好ましく、 該疎水性化合物としては、 疎水性化合物をエーテル 化によりデンプンに結合させる場合に使用す る疎水性化合物として上記に例 示のものが挙げられる。 エステル化デンプンは、 疎水性化合物変性基を有す るエステル化デンプンであることが好ましく 、 該疎水性化合物としては、 疎 水性化合物をエステル化によりデンプンに結 合させる場合に使用する疎水性 化合物として上記に例示のものが挙げられる 。 アミ ド化デンプンは、 疎水性 化合物変性基を有するアミ ド化デンプンであることが好ましく、 該疎水性化 合物としては、 疎水性化合物をアミ ド化によりデンプンに結合させる場合に 使用する疎水性化合物として上記に例示のも のが挙げられる。

[0036I これらの中でも、 樹脂組成物の 23°C・ 75%R HTでの含水率の上昇を 低減しやすく、 高湿度下での酸素バリア性の低下を抑制しや すく、 溶融成形 性及び製膜性を高めやすい観点から、 変性デンプン (A2) は、 炭素原子数 6 ~24 のグリシジルエーテル変性基を有するエーテ ル化デンプン (グリシ ジルエーテル由来の構造単位を有するエーテ ル化デンプン) 及び炭素原子数 6 ~24 のカルボン酸無水物変性基を有するエステル 化デンプン (カルボン 酸無水物由来の構造単位を有するエステル化 デンプン) からなる群から選択 される少なくとも 1種であることが好ましい。

[0037I 本発明の一実施形態において、 変性デンプン (A2) の重量平均分子量は 、 好ましくは 200, 000 以下、 より好ましくは 1 9〇, 000以下、 さ らに好ましくは 1 80, 000 以下であり、 1 75, 000以 下であっても よい。 また、 本発明の一実施形態において、 変性デンプン (A2) の重量平 均分子量は、 好ましくは 1 70, 000 以下、 より好ましくは 1 40, 〇〇 〇以下、 さらに好ましくは 1 00, 000 以下、 さらにより好ましくは 70 , 。 00以下であり、 5〇, 000以下であ ってもよい。 また、 変性デンプ ン ( A 2) の重量平均分子量の下限は、 好ましくは 5, 000以上、 より好 ましくは 1 0, 00 0以上、 さらに好ましくは 20, 00 0以上である。 変 性デンプン (A2) の Mwが上記の上限以下であると溶融成形性及び 膜性 を高めやすく、 また変性デンプン (A2) の Mwが上記の下限以上であると 、 23°C ■ 75%R H下での含水率の上昇を低減しやすく、 高湿度下での酉麦 素バリア性の低下を抑制しやすい。 変性デンプン (A2) の重量平均分子量 は、 G PC (ゲルパーミエーションクロマトグラフィ) を用いて測定でき、 例えば実施例に記載の方法により測定できる 。

[0038I 疎水変性デンプン (A2) としては、 市販されているものを用いてもよい し、 所定のデンプンを、 慣用の方法を用いて疎水性化合物により変性 するこ とで製造してもよい。

[0039I 変性デンプン (A) は、 1種又は 2種以上の疎水変性デンプン (A2 ) を 含むことができる。 本発明の一実施形態では、 2種以上の疎水変性デンプン (A2) を含み、 樹脂組成物の溶融成形性及び製膜性を高めや すい観点から 、 好ましくは Mwの異なる 2種以上の変性デンプン (A2) を含んでいても よい。

[0040] 本発明の一実施形態において、 変性デンプン (A2) の含有量は、 変性デ ンプン (A) の質量に対して、 好ましくは〇質量%以上、 より好ましくは 2 〇質量%以上、 さらに好ましくは 30質量%以上、 さらにより好ましくは 4 5 質量%以上、 特に好ましくは 55質量%以上であり、 好ましくは 80質量 % 以下、 より好ましくは 70質量%以下である。 変性デンプン (A2) の含 有量が上記の下限以上であると、 溶融成形性及び製膜性を向上しやすい。 ま た変性デンプン (A2) の含有量が上記の上限以下であると、 樹脂組成物の 機械的強度を高めやすい。

[0041] 本発明の一実施形態において、 本発明の樹脂組成物が、 変性デンプン (A 1 ) と変性デンプン (A2) とを含む場合、 変性デンプン (A 1 ) に対する 変性デンプン (A2) の割合 [ (A2) / (A 1 ) ] は、 好ましくは〇. 1 以上、 より好ましくは〇• 5以上、 さらに好ましくは〇• 8以上、 さらによ り好ましくは 1. 2以上、 特に好ましくは 1 . 5以上、 特により好ましくは 1 . 8以上であり、 好ましくは 1 0以下、 より好ましくは 5以下、 さらに好 ましくは 3以下である。 変性デンプン (A 1 ) に対する変性デンプン (A2 ) の割合が上記の下限以上であると、 溶融成形性及び製膜性を向上しやすい 〇 また該含有量が上記の上限以下であると、 樹脂組成物の機械的強度を高め やすい。

[0042] 〔ポリビニルアルコール系樹脂 (B) 〕 本発明の樹脂組成物は、 ポリビニルアルコール系樹脂 (B) を含む。 ポリ ビニルアルコール系樹脂 (B) は、 けん化度が好ましくは 80モル%以上、 より好ましくは 8 5モル%以上、 さらに好ましくは 9 0モル%以上、 さらに より好ましくは 9 5モル%以上であり、 好ましくは 9 9 . 8モル%以下、 よ り好ましくは 9 9 . 5モル%以下である。 ポリビニルアルコール ( B ) のけ ん化度が上記範囲内である場合には、 樹脂組成物の機械的強度が向上しやす く、 また 2 3 °C ■ 7 5 % R H下での含水率の上昇を低減しやすく、 高湿度下 での酸素バリア性の低下を抑制しやすい。 なお、 本明細書において、 けん化 度は、 ポリビニルアルコール系樹脂 ( B ) における水酸基とエステル基との 合計に対する水酸基のモル分率を意味し、 J I S K 6 7 2 6に準拠して測 定できる。

[0043I ポリビニルアルコール系樹脂 ( B ) は、 ビニルアルコール単位を有するポ リビニルアルコールであっても、 ビニルアルコール単位以外の他の単量体単 位 (他の単量体由来の構成単位ともいう) を含有する変性ポリビニルアルコ ールであってもよい。 他の単量体単位としては、 エチレン性不飽和単量体に 由来する単量体単位等が挙げられる。 エチレン性不飽和単量体としては、 エ チレン、 プロピレン、 nーブテン、 イソブチレン、 1 ーヘキセンなどの a — オレフィン類 ; アクリル酸及びその塩 ; アクリル酸エステル基を有する不飽 和単量体 ; メタクリル酸及びその塩 ; メタクリル酸エステル基を有する不飽 和単量体; アクリルアミ ド、 Nーメチルアクリルアミ ド、 Nーエチルアクリ ルアミ ド、 N , N —ジメチルアクリルアミ ド、 ジアセトンアクリルアミ ド、 アクリルアミ ドプロパンスルホン酸及びその塩、 アクリルアミ ドプロピルジ メチルアミン及びその塩 (例えば 4級塩) ; メタクリルアミ ド、 Nーメチル メタクリルアミ ド、 Nーエチルメタクリルアミ ド、 メタクリルアミ ドプロパ ンスルホン酸及びその塩、 メタクリルアミ ドプロピルジメチルアミン及びそ の塩 (例えば 4級塩) ; メチルビニルエーテル、 エチルビニルエーテル、 n ープロピルビニルエーテル、 i ―プロピルビニルエーテル、 n —ブチルビニ ルエーテル、 i —ブチルビニルエーテル、 t —ブチルビニルエーテル、 ドデ シルビニルエーテル、 ステァリルビニルエーテル、 2 , 3ージアセトキシー ! ービニルオキシプロパンなどのビニルエーテ ル類; アクリロニトリル、 メ タクリロニトリルなどのシアン化ビニル類 ;塩化ビニル、 フッ化ビニルなど のハロゲン化ビニル類 ;塩化ビニリデン、 フッ化ビニリデンなどのハロゲン 化ビニリデン類;酢酸アリル、 2 , 3ージアセトキシー 1 ーアリルオキシプ ロパン、 塩化アリルなどのアリル化合物;マレイン酸 、 イタコン酸、 フマル 酸などの不飽和ジカルボン酸及びその塩又は エステル; ビニルトリメ トキシ シランなどのビニルシリル化合物、 酢酸イソプロペニル ;蟻酸ビニル、 酢酸 ビニル、 プロピオン酸ビニル、 酪酸ビニル、 イソ酪酸ビニル、 ピバリン酸ビ 二ル、 バーサチック酸ビニル、 カプロン酸ビニル、 カルリル酸ビニル、 ラウ リル酸ビニル、 パルミチン酸ビニル、 ステァリン酸ビニル、 オレイン酸ビニ ル、 安息香酸ビニルなどのビニルエステル単量体 が例示される。 これらの他 の単量体単位の中でも、 樹脂組成物の吸水性を低減して 2 3 °C ■ 7 5 % R H 下での含水率の上昇を低減しやすく、 高湿度下での酸素バリア性の低下を抑 制しやすく、 また溶融成形性及製膜性を高めやすい観点か ら、 エチレン、 プ 口ピレン等の a —オレフィン類由来の構成単位 ( a —オレフィン類単位) が 好ましい。 また、 不飽和単量体に由来する単量体単位であって 、 けん化され なかったものも、 前記他の単量体単位に含まれる。 変性ポリビニルアルコー ルに含まれる他の単量体単位の含有量は、 好ましくは 1モル%以上、 より好 ましくは 3モル%以上、 さらに好ましくは 5モル%以上、 さらにより好まし くは 7モル%以上であり、 好ましくは 2 0モル%以下、 より好ましくは 1 5 モル%以下であり、 1 3モル%以下であっても 1 〇モル%以下であってもよ い。 他の単量体単位の含有量が上記の範囲内であ ると、 2 3 °C・ 7 5 % R H 下での含水率の上昇を低減しやすく、 高湿度下での酸素バリア性の低下を抑 制しやすく、 溶融成形性及び製膜性を高めやすい。

[0044I 本発明の一実施形態において、 ポリビニルアルコール系樹脂 ( B ) は、 高 湿度下での酸素バリア性の低下を抑制しやす く、 溶融成形性及び製膜性を向 上しやすい観点から、 ポリビニルアルコール及びエチレン変性ポリ ビニルア ルコールからなる群から選択される少なくと も 1種であることが好ましく、 エチレン変性ポリビニルアルコールがより好 ましい。 エチレン変性ポリビニ ルアルコールを含むと、 2 3 °C・ 7 5 % R H下での含水率を低下させること ができる。 エチレン変性ポリビニルアルコールにおいて 、 エチレン単位の含 有量は、 上記他の単量体単位の含有量と同様の範囲か ら選択できる。 エチレ ン単位の含有量が上記の範囲内であると、 2 3 °C・ 7 5 % R H下での含水率 の上昇を低減しやすく、 樹脂組成物の高湿度下での酸素バリア性の低 下を抑 制しやすく、 また溶融成形性及び製膜性を高めやすい。 なお、 エチレン単位 の含有量は、 N M R等を用いて測定でき、 例えば実施例に記載の方法により 測定できる。

[0045I ポリビニルアルコール系樹脂 ( B ) の製造方法は、 特に限定されないが、 例えばビニルアルコール単量体と、 任意に前記他の単量体とを共重合し、 得 られた共重合体をけん化してビニルアルコー ル単位に変換する方法が挙げら れる。 共重合する際の重合方式としては、 回分重合、 半回分重合、 連続重合 、 半連続重合等が挙げられる。 重合方法としては、 塊状重合法、 溶液重合法 、 懸濁重合法、 乳化重合法等の公知の方法が挙げられる。 共重合体のけん化 は、 公知の方法を適用できる。 例えばアルコール又は含水アルコールに当該 共重合体が溶解した状態で行うことができる 。 このとき使用できるアルコー ルは、 例えばメタノール、 エタノール等の低級アルコールであることが 好ま しい。

[0046I ポリビニルアルコール系樹脂 ( B ) の粘度平均重合度 (重合度と称するこ とがある) は、 好ましくは 2 0 0以上、 より好ましくは 2 2 0以上、 さらに 好ましくは 3 0 0以上であり、 好ましくは 3 0 0 0以下、 より好ましくは 2 5 0 0以下、 さらに好ましくは 2 0 0 0以下、 さらにより好ましくは 1 6 0 〇以下、 特に好ましくは 9 0 0以下、 特により好ましくは 6 0 0以下である 〇 重合度が上記の下限以上であると、 高湿度下での酸素バリア性の低下を抑 制しやすく、 機械的強度を向上しやすい。 また、 重合度が上記の上限以下で あると、 溶融成形性及び製膜性を高めやすく、 高湿度下での酸素バリア性の 低下を抑制しやすい。 ポリビニルアルコール系樹脂 ( B ) の重合度は、 J I S - K 6 7 2 6に準じて測定でき、 具体的には、 ポリビニルアルコール系樹 脂を再けん化し、 精製した後、 3〇 0 Cの水中で測定した極限粘度 [刀] (d

I /g ) から次式により求められるものである (P :粘度平均重合度) 〇

P = ( [刀] X 1 〇3/8. 29) (1 /0. 62)

[0047I 〔ポリオール可塑剤 (C) 〕 本発明の樹脂組成物はポリオール可塑剤 (C) を含み、 ポリオール可塑剤 (C) の含有量は、 変性デンプン (A) 及びポリビニルアルコール系樹脂 ( B) の合計 1 〇〇質量部に対して 40質量部以上 1 50質量部以下であり、 さらに前記ポリオール可塑剤 (C) が T g M25°Cポリオール可塑剤 (c 1 ) を含む。 本発明の樹脂組成物は、 上記構成を有することにより高湿度下で の酸素バリア性の低下を抑制しつつ、 溶融成形性を向上させることができる 〇 一方、 ポリオール可塑剤 (C) の含有量が上記の範囲外であると、 高湿度 下での酸素バリア性が+ 分でない傾向がある。 ポリオール可塑剤 (C) は糖 アルコールであることが好ましい。

[0048I 本発明の樹脂組成物において、 ポリオール可塑剤 (C) の含有量は、 変性 デンプン (A) 及びポリビニルアルコール系樹脂 (B) の合計 1 00質量部 を基準として、 好ましくは 45質量部以上、 より好ましくは 50質量部以上 、 さらに好ましくは 55質量部以上、 さらにより好ましくは 60質量部以上 であり、 好ましくは 1 30質量部以下、 より好ましくは 1 1 〇質量部以下で ある。 ポリオール可塑剤 (C) の含有量が上記の下限以上であると、 樹脂組 成物の溶融成形性及び製膜性を向上しやすく 、 またポリオール可塑剤 (C) の含有量が上記の上限以下であると、 高湿度下での酸素バリア性の低下を抑 制しやすい。

[0049] くポリオール可塑剤 (c 1 ) > ポリオール可塑剤 (c 1 ) は、 T gが 25 °C以上のポリオールである。 ー 般に、 溶融成形性を向上する目的で変性デンプン及 びポリビニルアルコール 系樹脂を含む樹脂組成物に、 ポリオール可塑剤を添加する場合、 結晶性が低 下することで特に高湿度下での酸素バリア性 が悪化する。 一方、 本発明では 、 23 °C - 75%RH 下での含水率が 1 7. 〇質量%以下となるように、 T g M25°Cポ リオール可塑剤 (c 1 ) を含有させることにより、 樹脂組成物 の融点を低下させて溶融成形性を向上させる だけでなく、 意外なことに、 高 湿度下での酸素バリア性の低下を抑制するこ とができる。 ポリオール可塑剤 (c 1 ) は、 単独又は二種以上組み合わせて使用できる。

[0050I ポリオール可塑剤 (c 1 ) の T gは、 好ましくは 30 °C以上、 より好まし くは 35 °C以上、 さらに好ましくは 4 O°C以上、 さらにより好ましくは 45 °C以上であり、 好ましくは 1 5 O°C以下、 より好ましくは 1 3 O°C以下、 さ らに好ましくは 1 〇 O°C以下、 さらにより好ましくは 8 O°C以下、 特に好ま しくは 6 O°C以下である。 ポリオール可塑剤 (c 1 ) の T gが上記の下限以 上であると、 23°C ■ 75%R H下での含水率の上昇を低減しやすく、 高湿 度下での酸素バリア性の低下を抑制しやすい 。 またポリオール可塑剤 (c 1 ) の T gが上記の上限以下であると、 成形性及び製膜性を向上しやすい。 ポ リオール可塑剤 (c 1 ) の T gは示差走査熱量計を用いて測定でき、 例えば 実施例に記載の方法により測定できる。

[0051] ポリオール可塑剤 (c 1 ) としては、 T gが 25°C以上であり、 かつ変性 デンプン (A) 及びポリビニルアルコール系樹脂 (B) と相溶し融点を低下 させる効果があれば特に限定されないが、 例えば、 マルチトール、 トレハロ ース、 マンニトール、 ラクチトールなどの多価アルコールなどが挙 げられる 〇 これらは、 単独又は二種以上組み合わせて使用できる。 これらの中でも、 優れた酸素バリア性と溶融成形性とを両立し やすい観点から、 マルチトール 、 トレハロース及びラクチトールからなる群か ら選択される少なくとも 1種 が好ましく、 マルチトール及び/又はラクチトールがより ましく、 マルチ トールがさらに好ましい。

[0052] 本発明の樹脂組成物において、 ポリオール可塑剤 (C) に対する T g M2 5 °Cポリオール可塑剤 (c 1 ) の質量比 (c 1 /C) は、 〇・ 45以上又は 〇. 50以上であってもよく、 好ましくは〇• 55以上、 より好ましくは〇

. 60以上、 さらに好ましくは〇. 65以上、 さらにより好ましくは〇. 7

〇以上、 特に好ましくは〇. 75以上、 特により好ましくは〇. 80以上で あり、 〇• 85以上であっても、 〇. 90以上であっても、 〇. 95以上で あってもよい。 質量比 (c 1 /C) が上記の下限以上であると、 23 °C ■ 7 5%R H 下での含水率の上昇を低減しやすく、 高湿度下での酸素バリア性の 低下を抑制しやすい。 質量比 (c 1 /C) は 1. 00以下であり、 0. 97 以下であってもよい。 前記質量比 (c 1 /C) が、 例えば〇. 45以上又は 〇. 50以上、 好ましくは〇. 55以上であると、 上記効果が得られやすい 理由は定かではないが、 ポリオール可塑剤 (c 1 ) が、 樹脂組成物の吸水性 が高くなるのを抑制しつつ溶融成形性を向上 させる効果があるからだと推定 される。

[0053I くポリオール可塑剤 (c 2) > 本発明の樹脂組成物において、 ポリオール可塑剤 (C) は、 25 °C未満の T gを有するまたは T gを有さないポリオール可塑剤 (c 2) ( 「 T g<2 5°Cポ リオール可塑剤 (c 2) 」 、 「ポリオール可塑剤 (c 2) J または 「 ポリオール (c 2) J と称することがある) を含んでいてもよい。 T g<2 5°Cポ リオール可塑剤 (c 2) を含むことで溶融成形性が向上しやすいー方 、 高湿度下での酸素バリア性が低下する傾向と なる。 ポリオール可塑剤 (c 2) は単独又は二種以上組み合わせて使用できる 。

[0054I ポリオール可塑剤 (c 2) の T gは、 好ましくは 20°C以下、 より好まし くは 1 5°C以下、 さらに好ましくは 1 0°C以下、 さらにより好ましくは 5°C 以下であり、 好ましくはー 1 00 °C以上、 より好ましくはー 80°C以上、 さ らに好ましくはー 60°C以上、 さらにより好ましくはー 40°C以上、 特に好 ましくはー 20°C以上である。 ポリオール可塑剤 (c 2) の T gが上記の下 限以上であると、 高湿度下での酸素バリア性の低下を抑制しや すく、 またポ リオール可塑剤 (c 2) の T gが上記の上限以下であると、 樹脂組成物の溶 融成形性及び製膜性を向上しやすい。 ポリオール可塑剤 (c 2) の T gは示 差走査熱量計を用いて測定でき、 例えば実施例に記載の方法により測定でき る。

[0055I ポリオール可塑剤 (c 2) としては、 変性デンプン (A) 及びポリビニル アルコール系樹脂 (B) の T g又は溶融粘度を低下させ得る化合物であれ 特に制限はないが、 例えば、 ソルビトール、 キシリ トール、 グリセリン、 ジ グリセリン等の多価アルコール ; 1 , 3ーブタンジオール、 2, 3ーブタン ジオール等のジオール類 ;エチレングリコール、 ジエチレングリコール、 卜 リエチレングリコール、 テトラエチレングリコール、 ポリエチレングリコー ル、 ポリプロピレングリコール、 トリメチレングリコール、 テトラメチレン グリコール、 ペンタメチレングリコール、 ヘキサメチレングリコール、 プロ ピレングリコール等のグリコール類 ; ソルビトール、 キシリ トール、 グリセ リン、 ジグリセリン等の多価アルコールにエチレン オキサイ ド、 プロピレン オキサイ ド等が付加したグリセリン誘導体 ;ペンタエリスリ トール、 糖類、 ポリエーテル類; ビスフェノール A、 ビスフェノール S等のフェノール誘導 体 ; N—メチルピロリ ドン等のアミ ド化合物 ; トリメチロールプロパン、 ジ グリセリン、 3ーメチルー 1 , 3, 5ペンタントリオールなどが挙げられる 〇 これらは、 単独又は二種以上組み合わせて使用できる。 これらの中でも、 樹脂組成物の溶融成形性及び製膜性を向上し やすい観点から、 多価アルコー ルが好ましく、 ソルビトール、 キシリ トール及びグリセリンからなる群から 選択される少なくとも 1種が好ましく、 ソルビトールがより好ましい。

[0056I 本発明の樹脂組成物において、 可塑剤 (C) に対する T gく 25 °Cポリオ ール可塑剤 (c 2) の質量比 (c 2/C) は、 好ましくは〇• 45未満、 よ り好ましくは〇• 40以下、 さらに好ましくは〇• 35以下、 さらにより好 ましくは〇. 30以下、 特に好ましくは〇. 20以下、 特により好ましくは 〇. 1 5以下である。 質量比 (c 2/C) が上記の上限以下であると、 高湿 度下での酸素バリア性の低下を抑制しやすい 。 質量比 (c 2/C) は〇以上 である。

[0057I 〔樹脂組成物〕 本発明の樹脂組成物は、 変性デンプン (A) 及びポリビニルアルコール系 樹脂 (B) に加え、 T g M25°Cポリオール可塑剤 (c 1 ) を含有するポリ オール可塑剤 (C) を、 成分 (A) 及び成分 (B) の合計 1 00質量部に対 して 4 O~ 1 50質量部含み、 23°C ・ 75%RH 下での含水率が 1 7. 〇 質量%以下であるため、 高湿度下における酸素バリア性の低下を抑制 でき、 水を添加しなくても溶融可能である。 さらに、 本発明の好適な実施形態では 、 本発明の樹脂組成物は、 高湿度下での酸素バリア性に加え、 優れた溶融成 形性及び製膜性を発現することもできる。 さらに生分解性にも優れる。 その ため、 本発明の樹脂組成物は食品用包装及び容器等 の材料として好適に使用 できる。

[0058I 樹脂組成物の 23 °C - 75%RH 下での含水率が 1 7. 〇質量%を超える と、 高湿度下での酸素バリア性の低下抑制が+分 ない傾向がある。 本発明 の樹脂組成物の 23 °C - 75%RH 下での含水率は、 1 7. 〇質量%以下で あり、 好ましくは 1 6. 〇質量%以下、 より好ましくは 1 5. 9質量%以下 、 さらに好ましくは 1 5. 5質量%以下、 さらにより好ましくは 1 5. 〇質 量%以下、 特に好ましくは 1 4. 5質量%以下、 特により好ましくは 1 3. 5 質量%以下、 特にさらに好ましくは 1 3. 〇質量%以下である。 前記含水 率が上記の上限以下であると、 高湿度下におかれても低吸水性能を発現でき 、 高湿度下での酸素バリア性の低下を抑制しや すい。 23°C ■ 75%R H下 での含水率は〇質量%以上であり、 5質量%以上であっても、 1 〇質量%以 上であってもよい。 なお、 前記含水率は、 温度 23°C/相対湿度 75%の条 件下で一週間調湿した後、 加熱乾燥式水分率計を用いて 1 3〇 0 Cで 30分間 測定したときの含水率であり、 例えば、 実施例に記載の方法により測定でき る。 また、 本発明の樹脂組成物の 23°C ■ 75%R H下での含水率は、 例え ば、 変性デンプン (A 1 ) の分子量及び平均アミロース含有量、 変性デンプ ン (A2) の分子量、 平均アミロース含有量、 疎水性化合物の種類及び S P 値、 ポリビニルアルコール系樹脂 (B) のけん化度、 成分 (B) 中のエチレ ン変性ポリビニルアルコールの含有量及びそ のエチレン変性量、 ポリオール 可塑剤 (c 1 ) の T g、 種類及び含有量 (質量比 (c 1 /C) 等) などにょ り調整できる。

[0059I 変性デンプン (A) の含有量は、 変性デンプン (A) とポリビニルアルコ ール系樹脂 (B) との合計 1 〇〇質量部を基準に、 好ましくは 40質量部以 上、 より好ましくは 45質量部以上、 さらに好ましくは 48質量部以上であ り、 好ましくは 98質量部以下、 より好ましくは 95質量部以下、 さらに好 ましくは 85質量部以下、 さらにより好ましくは 80質量部以下である。 変 性デンプン (A) の含有量が上記の下限以上であると、 生分解性を高めやす く、 また変性デンプン (A) の含有量が上記の上限以下であると、 高湿度下 での酸素バリア性の低下を抑制しつつ、 溶融成形性及び製膜性を向上しやす い。

[0060I ポリビニルアルコール系樹脂 (B) の含有量は、 変性デンプン (A) とポ リビニルアルコール系樹脂 (B) との合計 1 〇〇質量部を基準に、 好ましく は 2質量部以上、 より好ましくは 5質量部以上、 さらに好ましくは 1 5質量 部以上、 さらにより好ましくは 20質量部以上であり、 好ましくは 60質量 部以下、 より好ましくは 55質量部以下、 さらに好ましくは 52質量部以下 である。 ポリビニルアルコール系樹脂 (B) の含有量が上記の下限以上であ ると、 高湿度下での酸素バリア性の低下を抑制しつ つ、 溶融成形性及び製膜 性を向上しやすく、 またポリビニルアルコール系樹脂 (B) の含有量が上記 の上限以下であると、 生分解性を高めやすい。 特にポリビニルアルコール系 樹脂 (B) がエチレン変性ポリビニルアルコールである 場合、 その含有量は 、 変性デンプン (A) とポリビニルアルコール系樹脂 (B) との合計 1 00 質量部を基準に、 好ましくは 5質量部以上、 より好ましくは 1 5質量部以上 、 さらに好ましくは 20質量部以上であり、 30質量部以上、 40質量部以 上、 45質量部以上が好ま しい場合もあり、 好ましくは 70質量部以下であ り、 60質量部以下、 55質量部以下が好ましい場合もある。

[0061I 本発明の樹脂組成物において、 変性デンプン (A) とポリビニルアルコー ル系樹脂 (B) との合計割合は、 樹脂組成物の質量に対して、 好ましくは 1 〇質量%以上、 より好ましくは 20質量%以上、 さらに好ましくは 30質量 % 以上、 さらにより好ましくは 40質量%以上、 特に好ましくは 50質量% 以上であり、 好ましくは 70質量%以下、 より好ましくは 65質量%以下で ある。 成分 ( A ) 及び ( B ) の合計割合が上記の下限以上であると、 高湿度 下での酸素バリア性の低下を抑制しやすく、 また成分 ( A ) 及び ( B ) の合 計割合が上記の上限以下であると、 樹脂組成物の溶融成形性及び製膜性を向 上しやすい。

[0062I 本発明の樹脂組成物は、 炭素原子数が 1 2〜 2 2の脂肪酸及び/又はその 脂肪酸塩をさらに含んでいてよい。 炭素原子数が 1 2~2 2の脂肪酸及びそ の脂肪酸塩としては、 例えばステァリン酸、 ステアリン酸カルシウム、 ステ アリン酸ナトリウム、 パルミチン酸、 ラウリン酸、 ミリスチン酸、 リノレイ ン酸、 ベへ二ン酸などが挙げられる。 これらの中でも加工性の観点から、 ス テァリン酸、 ステアリン酸カルシウム、 ステァリン酸ナトリウムが好ましい 〇 炭素原子数が 1 2~2 2の脂肪酸及びその脂肪酸塩はそれぞれ単独 は二 種以上組み合わせて使用できる。

[0063I 本発明の樹脂組成物が、 炭素原子数が 1 2〜 2 2の脂肪酸及び/又はその 脂肪酸塩を含有する場合、 樹脂組成物中の含有量は、 樹脂組成物の質量に対 して、 好ましくは〇• 0 1〜 3質量%、 より好ましくは〇• 0 3〜 2質量% 、 さらに好ましくは〇. 1〜 1質量%である。 炭素原子数が 1 2〜 2 2の脂 肪酸及び/ 又はその脂肪酸塩の含有量が上記範囲である と加工性の点で有利 となる傾向がある。

[0064] 本発明の樹脂組成物は、 粘土をさらに含んでいてもよい。 粘土としては、 合成又は天然層状ケイ酸塩粘土、 例えばモンモリロナイ ト、 ベントナイ ト、 バイデライ ト、 雲母 (マイカ) 、 ヘクトライ ト、 サポナイ ト、 ノントロナイ 卜、 ソーコナイ ト、 バーミキュライ ト、 レディカイ ト、 マガダイ ト、 ケニャ アイ ト、 スチーブンサイ ト、 ヴォルコンスコイ トなどが挙げられる。 粘土は 単独又は二種以上組み合わせて使用できる。

[0065] 本発明の樹脂組成物が粘土を含有する場合、 樹脂組成物中の含有量は、 樹 脂組成物の質量に対して、 好ましくは〇. 1〜 5質量%、 より好ましくは〇 . 1~3質量%、 さらに好ましくは〇. 5~2質量%である。 粘土の含有量 が上記範囲であると、 透明性及び強度の点で有利となる傾向がある 。 [0066I 本発明の樹脂組成物は、 ポリオール可塑剤以外の他の可塑剤を含んで いて もよい。 他の可塑剤としては、 例えば、 水、 エポキシ化アマニ油、 エポキシ 化大豆油、 クエン酸トリブチル、 クエン酸アセチルトリエチル、 トリ酢酸グ リセリル、 可塑剤樹脂などが挙げられる。

[0067] 本発明の樹脂組成物は、 本発明の目的や効果を損なわない範囲で、 必要に 応じて充填材、 銅化合物等の加工安定剤、 耐候安定剤、 着色剤、 紫外線吸収 剤、 熱安定剤、 光安定剤、 酸化防止剤、 帯電防止剤、 難燃剤、 潤滑剤、 香料 、 発泡剤、 消臭剤、 増量剤、 剥離剤、 離型剤、 補強材、 防かび剤、 防腐剤、 結晶化速度遅延剤などの添加剤をさらに含ん でいてもよい。

[0068] 本発明の樹脂組成物を構成する樹脂において 、 変性デンプン (A) 及びポ リビニルアルコール系樹脂 (B) が占める割合 (合計割合) は、 80質量% 以上が好ましく、 90質量%以上がよ り好ましく、 95質量%以上がさらに 好ましく、 98質量%以上がさ らにより好ましく、 99質量%以上が特に好 ましく、 99. 9質量%以上であっても、 99. 99質量%以上であっても よく、 本発明の樹脂組成物を構成する樹脂は、 変性デンプン (A) 及びポリ ビニルアルコール系樹脂 (B) のみからなっていてもよい。 本発明の樹脂組 成物において、 変性デンプン (A) 、 ポリビニルアルコール系樹脂 (B) 及 びポリオール可塑剤 (C) が占める割合 (合計割合) は、 80質量%以上が 好ましく、 90質量%以上がよ り好ましく、 95質量%以上がさらに好まし く、 98質量%以上がさ らにより好ましく、 99質量%以上が特に好ましく 、 99. 9質量%以上であっても、 99. 99質量%以上であってもよい。

[0069] 本発明の好適な実施形態では、 本発明の樹脂組成物は、 溶融成形性に優れ るため、 溶融粘度が低い。 本発明の樹脂組成物の 1 9 O°C、 1 〇 r a d/s における複素粘度は、 好ましくは 1 0, 500 P a ■ s以下、 より好ましく は 9, 000 P a - s以下、 さらに好ましくは 8, 000 P a • s以下、 さ らにより好ましくは 7, 000 P a - s以下、 特に好ましくは 6, 000 P a • s以下、 特により好ましくは 5, 000 P a • s以下であり、 好ましく は 50 0 P a • s以上、 より好ましくは 1 , 。 00 P a • s以上である。 前 記複素粘度が上記の範囲内であると、 樹脂組成物の溶融成形性及び製膜性を 向上しやすい。 複素粘度は、 粘弾性測定装置を用いて測定でき、 例えば実施 例に記載の方法により測定できる。 なお、 複素粘度は製膜性の評価の指標と することができ、 複素粘度が大きいと製膜性が低くなる傾向が あり、 複素粘 度が小さいと製膜性が高くなる傾向がある。

[0070I 本発明の好適な実施形態では、 本発明の樹脂組成物の温度 23 °C •相対湿 度 7 5 %での酸素透過度 (c c ■ 20 /£ m/ (m 2 ■ d a y ■ a t m) ) は、 好ましくは 70以下、 より好ましくは 60以下、 さらに好ましくは 50以下 、 さらにより好ましくは 40以下、 特に好ましくは 20以下、 特により好ま しくは 1 5以下、 特にさらに好ましくは 1 〇以下である。 温度 23 °C •相対 湿度 7 5 %での酸素透過度が上記の上限以下であると 優れた高湿度下にお ける酸素バリア性を発現できる。 酸素透過度は、 温度 23°C/相対湿度 7 5 % の条件下で一週間調湿した後、 ガス透過率測定装置を用いて測定でき、 厚 みを 2〇Z £ mに換算した場合の透過量であり、 例えば実施例に記載の方法に より測定できる。

[0071I 本発明の樹脂組成物は、 ペレッ ト及びフィルム又はシートの形態であって よい。

[0072] [樹脂組成物の製造方法] 本発明の樹脂組成物の製造方法は、 特に限定されないが、 少なくとも、 前 記変性デンプン (A) 、 前記ポリビニルアルコール系樹脂 (B) 及び可塑剤 (C) を混合して混合物を得る工程 ( 1 ) 、 該混合物を押出す工程 (2) 、 及び押出された混合物を冷却及び乾燥する工 程 (3) を含むことが好ましい 〇

[0073] 工程 ( 1 ) は、 少なくとも変性デンプン (A) 、 ポリビニルアルコール系 樹脂 (B) 及び可塑剤 (C) を混合する工程であり、 任意に他の成分、 例え ば上記添加剤を共に混合することができる。

[0074] 工程 ( 1 ) は通常、 押出機を用いて行う。 押出機中において、 各成分にス クリューによりせん断応力を与え、 バレルへの外部熱の適用により加熱しな がら均質に混合する。

[0075I 押出機としては、 例えば二軸スクリュー押出機を用いることが できる。 二 軸スクリュー押出機は、 共回転又は逆回転のいずれであってもよい。 スクリ ュー直径は、 例えば 1 5~ 1 50mm、 押出機長さ (L) とスクリュー直径 (D) の比 L/D比は、 例えば 20〜 50であってよい。 スクリューの回転 速度は、 好ましくは 80 r p m以上、 より好ましくは 1 00 r p m以上であ る。 また、 押出成形圧力は、 好ましくは 5バール (〇• 5 M P a) 以上、 よ り好ましくは 1 〇バール (1 . OMP a) 以上である。 各成分はそれぞれ直 接、 押出機中へ導入することができる。 また、 これらの各成分をミキサーを 用いて予備混合したものを押出機中へ導入し てもよい。

[0076I 工程 (1 ) において、 樹脂組成物の混合性を高める観点から、 水を添加す ることが好ましい。 添加する水の量は、 混合物の質量に対して、 好ましくは 〇. 1質量%以上、 より好ましくは 1質量%以上、 さらに好ましくは 1 0質 量%以上、 さらにより好ましくは 1 5質量%以上、 特に好ましくは 20質量 % 以上であり、 好ましくは 50質量%以下、 より好ましくは 45質量%以下 、 さらに好ましくは 40質量%以下である。 なお、 該混合物の質量は水を含 む混合物の質量である。 工程 (1 ) において、 押出の初期段階に水を導入し てもよく、 上記加熱温度に達する前、 例えば 1 00°C以下のときに水を導入 することができる。 変性デンプン (A) は、 水分、 熱及びせん断応力の組み 合わせによりクッキング処理が施され、 ゼラチン (ゲル) 化させることがで きる。 また、 水を導入することにより、 ポリビニルアルコール系樹脂 (B) を溶解し、 樹脂組成物を軟化し、 モジュラス及び脆性を低下させることがで きる。

[0077I 工程 (1 ) において、 好ましくは 1 〇 0°C以上 1 60°C以下、 より好まし くは 1 1 5 °C以上 1 50°C以下の温度に加熱してクッキング処理を う。 こ こで、 クッキング処理とは、 デンプン粒を破砕し、 ゲル化させる処理である 〇 加熱は押出機のバレルに外部から熱を適用す ることにより行える。 各バレ ルへは、 段階的に変えた温度を適用することにより、 目的とする温度にまで 加熱できる。 1 2 O °C以上の温度においてクッキング処理を行う 場合、 加工 性の点で有利となる。

[0078] クッキング処理した混合物は、 発泡を防止するため、 好ましくは 8 0~ 1

2 0 °C、 より好ましくは 8 5~ 1 1 〇 0 Cの温度へ低下しながら、 ダイの方へ 押し進めるのがよい。 また、 バレルから排気することにより発泡を防止し 、 水分を除去できる。

[0079] 押出機中の滞留時間は、 温度プロファイルやスクリュー速度に応じて 設定 可能であり、 好ましくは 1〜 2 . 5分である。

[0080] 混合物を押出す工程 ( 2 ) では、 溶融混練されながら押出機中を押し進め られてきた溶融した混合物をダイから押出す 。 ダイの温度は好ましくは 7 0 〜 1 2 O °C、 より好ましくは 7 5~ 1 1 0 °Cの温度である。

[0081 ] 押出された混合物 (溶融物) を冷却及び乾燥する工程 ( 3 ) では、 混合物

(溶融物) はフィルム状 (若しくはシート状) 又はストランド状に押出すこ とができる。

[0082] 混合物をフィルム状 (若しくはシート状) に押出す場合、 混合物はフィル ム成形用ダイから押出し、 次いで引取りローラーで巻取りながら冷却及 び乾 燥することができる。 ダイ及びローラーの間では、 混合物がローラーに付着 するのを防ぐように冷却するのが好ましい。 乾燥のために、 ロールは加温し てもよく、 巻取の際に脱湿空気を供給してもよい。 脱湿空気は、 吹込チュー ブ法の場合、 フィルムがダイを退出するときにフィルムを 膨張させるために 使用できる。 タルクを空気流中に同伴させてフィルムのブ ロッキングを防ぐ こともできる。

[0083] 混合物をストランド状に押出す場合、 複数穴のストランドノズルから押出 し、 回転カッターで切断することでストランドを ペレッ ト形状にできる。 ペ レッ トの膠着を防ぐために、 振動を定期的もしくは定常的に与え、 熱風、 脱 湿空気又は赤外線ヒーターによりペレッ ト中の水分を除去することができる

[0084I 本発明の樹脂組成物、 好ましくはペレッ ト状樹脂組成物は、 溶融成形する ことにより、 フィルム、 シート、 チューブ、 ボトルなどの任意形状の成形品 に成形できる。 溶融成形方法としては、 例えば、 押出成形法、 射出成形法、 T ダイからの押出製膜法、 インフレーション製膜法、 圧縮成形法、 トランス ファー成形法、 強化プラスチック成形法、 中空成形法、 プレス成形法、 ブロ 一成形法、 カレンダー成形法、 発泡成形法、 真空成形法、 圧空成形法等の慣 用の方法が挙げられる。

[0085I 本発明の一実施形態において、 樹脂組成物 (例えばペレッ ト状樹脂組成物 ) を圧縮成形する場合、 慣用の圧縮成形機を用いて成形品を製造でき る。 圧 縮成形する際の温度は、 用途に応じて適宜調整でき、 例えば 1 〇〇〜 300 °C、 好ましくは 1 20~ 250 °Cであってもよく、 1 80~ 220 °Cであっ ても、 1 90-2 1 5°Cであってもよい。 荷重は、 例えば 50-200 k g f /cm2 、 好ましくは 70—1 50 k g f /cm 2 であってもよい。

[0086] 本発明の一実施形態において、 樹脂組成物 (例えばペレッ ト状樹脂組成物 ) を押出成形する場合、 慣用の押出機を用いて成形品を製造できる。 押出機 としては、 例えば単軸スクリュー押出機、 二軸スクリュー押出機などが挙げ られる。 押出機のスクリュー直径は例えば 1 5-1 50mm であ り、 押出機 長さ (L) とスクリュー直径 (D) の比 L/D比は例えば 1 5-50 であり 、 スクリューの回転速度は、 好ましくは 80 r p m以上、 より好ましくは 1 〇〇 r p m以上である。 押出機中のシリンダー温度は例えば 1 80-220 °C、 好ましくは 1 90-21 0°Cである。 本発明の他の実施形態では、 押出 条件としては、 [樹脂組成物の製造方法] の項に記載のものと同様の方法を 採用してもよい。

[0087] [フィルム又はシート] 本発明は、 樹脂組成物からなる層 (樹脂層と称することがある) を少なく とも 1層含むフィルム又はシートを包含する。 本発明のフィルム又はシート は、 本発明の樹脂組成物からなる層を含むため、 高湿度下における酸素バリ ア性及び生分解性に優れている。 さらに、 本発明の好適な実施形態では、 本 発明のフィルム又はシートは、 製膜性に優れる樹脂組成物から形成される樹 脂層を含んでなるため、 厶ラがなく、 表面が均一であり得る。

[0088I 本発明のフィルム又はシートは、 樹脂層からなる単層フィルム又はシート であっても、 樹脂層を 2層以上含むか、 樹脂層を 1層以上かつ他の層を 1層 以上含む多層フィルム又はシートであっても よい。 樹脂層を 2層以上含む場 合、 樹脂層を構成する樹脂組成物の組成は同一又 は異なっていてもよい。

[0089] 他の層は、 特に限定されないが、 例えば、 紙、 高分子フィルム、 接着剤な どが挙げられる。 紙としては、 特に限定されず、 例えばクラフト紙、 上質紙 、 模造紙、 グラシン紙、 パーチメント紙、 合成紙、 白板紙、 マニラボール、 ミルクカートン原紙、 カップ原紙、 アイボリー紙、 白銀紙などが挙げられる 〇

[0090] 高分子フィルムとしては、 特に限定されず、 例えばポリエチレンテレフタ レート (P E T) フィルム、 二軸延伸ポリプロピレン (BO P P) フィルム 、 ポリエチレン (P E) フィルム (好ましくは低密度ポリエチレン (L D P E) フィルム) 、 ポリ乳酸 (P L A) フィルム、 ポリブチレンサクシネート (P B S) フィルム、 ポリヒドロキシアルカン酸 (P H A) フィルム及びポ リブチレンアジペートテレフタレート (P BAT) フィルム、 等が挙げられ る。

[0091] 本発明のフィルム又はシートが単層フィルム 又は単層シートである場合、 上記の [樹脂組成物の製造方法] の項に記載の通り、 押出機からフィルム状 (若しくはシート状) に押し出すことで製造してもよいし、 ペレッ ト状樹脂 組成物を製造後、 上記の溶融成形方法を用いて、 フィルム又はシートを製造 してもよい。

[0092] 本発明のフィルム又はシートが多層フィルム 又は多層シートである場合、 多層フィルム又は多層シートとしては、 以下の層構成のものが挙げられる。 紙/ 樹脂層;高分子フィルム/樹脂層 ;紙/接着剤/樹脂層 ;高分子フィル ム/ 接着剤/樹脂層 ;高分子フィルム/接着剤/ 樹脂層/紙/ 接着剤/ 高分 子フィルム。

[0093] 本発明の一実施形態において、 例えば紙/樹脂層、 又は高分子フィルム/ 樹脂層をこの順に有する多層フィルムの製造 方法は、 押出機を用いて、 前記 樹脂組成物を、 引取機で搬送された高分子フィルム又は紙に 被覆する工程を 含む方法であることが好ましい。

[0094I 押出機としては、 例えば単軸スクリュー押出機、 二軸スクリュー押出機な どが挙げられる。 押出機のスクリュー直径は例えば 1 5~ 1 5 0 m mであり 、 押出機長さ ( L ) とスクリュー直径 ( D ) の比 L / D比は例えば 1 5~5 〇であり、 スクリューの回転速度は、 好ましくは 8 0 r p m以上、 より好ま しくは 1 0 0 r p m以上である。 押出機中のシリンダー温度は例えば 1 8〇 〜 2 2 O °C、 好ましくは 1 9〇〜 2 1 0 °Cである。

[0095] 押出機に投入された樹脂組成物は可塑化され 、 ダイス出口から吐出される

〇 一方、 引取機、 好ましくはローラー式引取機で紙又は高分子 フィルムを搬 送させる。 該搬送させた紙又は高分子フィルム上にダイ ス出口から吐出した 樹脂組成物をコートすることで多層フィルム が得られる。 得られた多層フィ ルムは、 例えば加圧ロール等で基材と圧着させて巻取 機でロール状に巻き取 ってよい。

[0096] 本発明の好適な実施形態において、 樹脂組成物は溶融成形性に優れるため

、 例えば押出機に可塑剤として水を添加しなく ても溶融成形することができ 、 また樹脂組成物の含水率が低いため、 製膜する際に乾燥工程に供さなくて もよい。

[0097] また、 接着剤を含む多層フィルム又は多層シートは 、 例えば紙、 高分子フ イルム及び樹脂層を接着剤を介して積層する ことで製造してもよい。

[0098] 本発明におけるフィルムまたはシートの厚み は、 層数や用途に応じて適宜 選択でき、 限定されないが、 好ましくは 5〜 1 0 0 0 u m、 より好ましくは 1 〇〜 5 0 0 u mである。 フィルム又はシートの厚みは、 厚み計により測定 でき、 例えば実施例に記載の方法により測定できる 。 実施例

[0099] 以下、 実施例により本発明を詳述するが、 本発明はこれに限定されるも のではない。 [0100I く試験方法>

( 1 ) 高湿度下における酸素透過度

J I s K 7 1 26- 1 : 2006に準拠 して、 実施例及び比較例で得 られた単層シートを温度 23°C/ 相対湿度 75 %の条件下で一週間調湿した 後、 ガス透過率測定装置 ( GT Rテック株式会社製、 GTR-30XAK) を用いて、 温度 23°C/相対湿度 75% の条件下で酸素透過量を測定し、 測 定した単層シートの厚みを 20 M m に換算した場合の酸素透過量を酸素透過 度 (c c ■ 20 /£ m/ (m 2 ■ d a y ■ a t m) ) として算出した。

[0101] (2) 高湿度下における含水率 実施例及び比較例で得られた単層シートを温 度 23°C/相対湿度 75%の 条件下で一週間調湿した後、 加熱乾燥式水分率計 (メトラー・ トレド社製、 MX- 5 〇) を用いて 1 3 O°Cで 30分間加熱することで、 含水率 (質量% ) を測定した。

[0102] (3) 複素粘度 粘弾性測定装置 (TA I n s t r u me n t s社製、 D I S C 0 V E R Y H R-2 ) を用いて、 1 H Nの条件下、 実施例及び比較例で得られた単 層シートの 1 9 O°C、 1 0 r a d/sにおける複素粘度 (P a • s) を測定 した。

[0103] (4) 製膜性 実施例及び比較例で得られた樹脂組成物を、 01 5mm の二軸押出機 (テ クノベル社製、 KZW) に投入し、 スクリュー回転数を 200 r pm、 シリ ンダー温度を 2〇〇 0 Cとして溶融混練し、 幅 1 50mmのダイより押出して 厚み約 50 “m の単層フィルムを作製した。 得られたフィルムの膜面を目視 で観察し、 厶ラなく均一である場合は A、 厶ラがあり均一でない場合は Bと 評価した。

[0104] (5) 変性デンプン (A) の重量平均分子量 変性デンプン (A) の重量平均分子量は、 G PC (ゲルパーミエーション クロマトグラフィ、 東ソ一社製、 H LC-8320GPC) を用いて、 プル ランで検量線を引いて算出した。

[0105] (6) 変性デンプン (A) の変性に用いた化合物の S P値 変性デンプン (A) の変性に用いた化合物の S P値は、 P〇 I y m. E n g . S c i . , 1 4 [2] , 1 47 ( 1 974) に記載の F e d o r sの式 により算出した。

[0106] (7) ポリオール可塑剤 (C) のガラス転移温度 (T g) ポリオール可塑剤 (C) のガラス転移温度 (T g) は、 示差走査熱量計 ( メ トラー・ トレド社製、 DSC82 2 e) を用いて、 窒素下で昇温速度 1 〇 °C/m i nで測定した。

[0107] (8) 厚み 実施例及び比較例で得られた単層シート及び 製膜性の評価で作製した単層 フィルムの厚みは、 マイクロメータ (ミツトヨ社製、 BMD- 25 MX) を 用いて測定した。

[0108] く変性デンプン (A 1 — 1 ) >

• ECO F I LM (登録商標) : プロピレンオキシドにより変性されたトウ モロコシデンプン、 アミロース含有量 70質量%、 丨 n g r e d i 〇 n社か ら入手。 プロピレンオキシドの S P値は 1 3. 2である。

[0109] く疎水変性デンプン (A2— 1 ) >

■ N a t i 〇 n a I 9 1 2 (登録商標) :オクテニルコハク酸により変性さ れたトウモロコシデンプン、 重量平均分子量 1 7〇, 00〇、 アミロース含 有量 1質量%、 I n g r e d i 〇 n社から入手。

[0110] く疎水変性デンプン (A2 — 2) >

■ C A P S U L (登録商標) :オクテニルコハク酸により変性されたトウ ロコシデンプン、 重量平均分子量 32, 00 〇、 アミロース含有量 1質量% 、 ! n g r e d i 〇 n社から入手。 オクテニルコハク酸の S P値は 1 0. 4である。

[0111] 製造例 1 [ポリビニルアルコール (B— 1 ) の製造] 還流冷却器、 攪拌機、 温度計、 窒素導入管及び後添加液の仕込み口とポン プを備えたセパラブルフラスコに酢酸ビニル を 1 300 g、 メタノールを 5 。 0 g仕込んだ。 前記フラスコ内に窒素置換した後、 フラスコ内の溶液温度 を 6〇 0 Cに調整した。 攪拌される前記溶液中に 2, 2' ―アゾビス (イソブ チロニトリル) 〇. 5 gを添加し重合を開始した。 重合開始から 2. 3時間 後に重合率が 30 %となったところで、 メタノールを 1 000 g加えて重合 を停止した。 この重合ペーストにメタノール蒸気を吹き込 んで未反応の酢酸 ビニル単量体を除去し、 ポリ酢酸ビニルのメタノール溶液を得た。 得られた 溶液にメタノールを加えてポリ酢酸ビニルの 濃度が 25質量%となるように 調整したメタノール溶液 400 gに、 水酸化ナトリウムの 1 〇質量%メタノ ール溶液 1 1. 6 gを攪拌下に添加して、 40°Cでけん化を行った。 けん化 反応の進行に伴ってゲル化物が生成した時点 でゲルを粉砕器にて粉砕し、 合 計 1時間けん化反応を行った後、 メタノール 1 000 gを加えて中和処理し た。 その後、 濾別して得られた白色固体のポリビニルアル コールにメタノー ル 1 000 gを加えて室温で 3時間放置洗浄した。 上記洗浄操作を 3回繰り 返した後、 遠心脱液して得られたポリビニルアルコール を乾燥機中 7〇。 Cで 2 日間乾燥して、 粘度平均重合度が 1 700であり、 けん化度が 99. 2モ ル%のポリビニルアルコール (B— 1 ) を得た。 なお、 粘度平均重合度及び けん化度は、 J I S K 672 6に準拠して測定した。

[0112I 製造例 2

[エチレン変性ポリビニルアルコール (B — 2) の製造] 還流冷却器、 原料供給ライン、 反応液取出ライン、 温度計、 窒素導入口、 エチレン導入口及び攪拌翼を備えた連続重合 槽に酢酸ビニルを 62 6 L/h r 、 メタノールを 21 6 L/h r、 開始剤として nープロピルパーオキシジ カーボネートの 1 %メタノール溶液を 3〇. 3 L/h r s それぞれ定量ポン プを用いて連続的に供給した。 重合槽内のエチレン圧力は〇• 69MP aに なるように調整した。 重合槽内の液面が一定になるように連続重合 槽から重 合液を連続的に取り出した。 連続重合槽の出口での重合率が 67 %になるよ うに調整した。 連続重合槽の滞留時間は 5時間であった。 連続重合槽の出口 の温度は 6〇 0 Cであった。 連続重合槽より重合液を回収し、 温水浴で 75 °C に加熱しながら重合液にメタノール蒸気を導 入することで残存する酢酸ビ二 ルの除去を行い、 エチレン変性ビニルエステル重合体のメタノ ール溶液を得 た。 次いで 4〇 0 C下、 けん化工程に供する系含水率を〇. 5質量%、 けん化 触媒としてエチレン変性ビニルエステル重合 体に対してモル比〇• 〇 2の割 合で水酸化ナトリウムを用い、 1時間けん化反応を行った。 得られた重合体 をメタノールに浸漬し洗浄を行った。 次いで溶媒を遠心分離で除去したのち 乾燥を行うことで、 粘度平均重合度が 400であり、 けん化度が 98. 5モ ル%のエチレン変性ポリビニルアルコール (B — 2) を得た。 なお、 粘度平 均重合度及びけん化度は、 J 丨 S K 672 6に準拠 して測定した。 重合後 未反応酢酸ビニルモノマーを除去して得られ たポリ酢酸ビニルのメタノール 溶液を nーヘキサンに沈殿、 アセトンで溶解する再沈精製を 3回行った後、 8 0 °Cで 3日間減圧乾燥を行って精製ポリ酢酸ビニル 得た。 該ポリ酢酸ビ 二ルを DMSO — D6に溶解し、 500MH z のプロトン NM R ( J E 0 L

GX- 5 00) を用いて 8 O°Cで測定したところ、 エチレン単位の含有量 は 1 〇モル%であった。

[0113I くポリオール可塑剤 (c 1 ) >

T gが 25 °C以上の可塑剤 (c 1 ) として、 以下のものを用いた。

•可塑剤 (c 1 — 1 ) :マルチトール, T g = 47 °C •可塑剤 (c 1 —2) : ラクチトール, T g = 33 °C •可塑剤 (c 1 — 3) : トレハロース, T g = 1 20°C [0114I くポリオール可塑剤 (c 2) >

T gが 25 °C未満または T gを有さないポリオール (c 2) として、 以下 のものを用いた。

•可塑剤 ( c 2 - 1 ) : ソルビトール, T g = - 4 °C

•可塑剤 ( c 2 - 2) :キシリ トール, T g = - 23 °C •可塑剤 (c 2 — 3) :グリセリン, T g = - 75 °C

[0115I く実施例 1 > 変性デンプン (A 1 — 1 ) 1 8. 2質量部 (乾燥質量) 、 疎水変性デンプ ン ( A 2 - 1 ) 1 8. 2質量部、 疎水変性デンプン ( A 2 - 2) 1 8. 2質 量部 (乾燥質量) 、 ポリビニルアルコール (B— 1 ) 5. 5質量部及び可塑 剤 ( c 1 - 1 ) 40質量部を混合し、 液体ポンプを接続した 01 5 mm s L /D = 45の二軸押出機 (テクノベル社製、 KZW) に投入し、 スクリュー 回転数を 20 0 r pm、 以下に示した温度プロファイル (表 1 ) で混練し、 押し出しされる樹脂組成物の含水率が 30質量%となるように水を C2 にお ける液体ポンプに通し、 バレル内に投入した。 ダイからストランド状に押し 出された樹脂組成物をペレタイザーでカット することでペレツト形状に成形 した。 その後、 9〇 0 Cの熱風乾燥機で 72時間乾燥した。 得られた樹脂組成 物ペレットについて、 上記評価方法 (4) に記載の方法に従って製膜性を評 価した。 結果を表 2及び表 3に示す。 また、 得られた樹脂組成物ペレットを、 圧縮成形機を用いて、 金型温度 1

9 O°C、 荷重 1 0 O k g f /c m2の条件下で 1分間圧縮成形することで、 厚 さが約 30 Oumの単層シー トを製造した。 得られた単層シートについて、 上記評価方法 (1 ) ~ (3) に記載の方法に従って、 高湿度下酸素透過度、 高湿度下含水率、 及び複素粘度を測定した。 結果を表 2及び表 3に示す。

[0116] [表 1]

[0117] く実施例 2〜実施例 1 3、 比較例 1〜比較例 6 > 変性デンプン (A) の種類及び含有量、 P VA (B) の種類及び含有量、 並びに可塑剤 (C) の種類及び含有量を表 2及び表 3の通りに変更したこと 以外は、 実施例 1 と同様の方法で樹脂組成物及び単層シートを 製造し、 評価 した。 結果を表 2及び表 3に示す。 なお、 比較例 5では、 変性デンプン (A 1 - 1 ) 及びポリビニルアルコール (B — 1 ) を溶融できなかったため、 上 記の方法では単層シートを作製できなかった 。 また、 製膜性の評価は、 実施 例 1、 4、 5、 1 0、 1 3及び比較例 4のみ行った。

[0118]

〔湖〕 2

〔 >〕 3 M留 B表〕查 M番腰 , S・溼日渤て V d 9ー!ー〜T・- 岡豳麻岡•酬削 T (,%)賦 W扇 Z J q± s必 f立〇 U 63C 527R H2Y〜rO: 。整话叫・賦 » J律酬需開寄G训曇游卷 \斗可沖む淨立 IN立い 8g U >一-l 成物は、 高湿度下における酸素バリア性の低下を抑制 でき、 水を添加しなく ても溶融可能である。