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Patent Searching and Data


Title:
RESISTANCE MEMORY ELEMENT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/123139
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a resistance memory element which has a relatively high switching voltage and can achieve a relatively high change ratio in resistance. The resistance memory element comprises a base material (2) and opposite electrodes (3,4) which are opposed to each other through at least a part of the base material (2), wherein the base material (2) comprises a semiconductor ceramic material represented by the general formula: {(Sr1-xMx)1-yAy}(Ti1-zBz)O3 [wherein M represents at least one of Ba or Ca; A represents at least one element selected from Y and rare earth elements; and B represents at least one of Nb and Ta], and wherein x, y and z satisfy the following requirements: when 0

Inventors:
HIROSE SAKYO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/055272
Publication Date:
October 16, 2008
Filing Date:
March 21, 2008
Export Citation:
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Assignee:
MURATA MANUFACTURING CO (JP)
HIROSE SAKYO (JP)
International Classes:
H01L45/00; H01L27/10; H01L49/00
Domestic Patent References:
WO2007007606A12007-01-18
Foreign References:
JP2007027537A2007-02-01
JP2006279042A2006-10-12
JP2006196516A2006-07-27
JP2006019444A2006-01-19
Attorney, Agent or Firm:
KOSHIBA, Masaaki (Nisshin Building 14-22, Shitennoji 1-chome, Tennoji-ku, Osaka-sh, Osaka 51, JP)
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Claims:
 素体と、前記素体の少なくとも一部を介して対向する少なくとも1対の電極とを備え、前記1対の電極間に第1方向のスイッチング電圧を印加したとき、前記素体の、前記1対の電極間に位置する部分が低抵抗化し、その後、前記第1方向のスイッチング電圧を除去しても、前記素体の低抵抗状態が保持され、他方、前記1対の電極間に前記第1方向とは逆の第2方向のスイッチング電圧を印加したとき、前記素体の、前記1対の電極間に位置する部分が高抵抗化し、その後、前記第2方向のスイッチング電圧を除去しても、前記素体の高抵抗状態が保持される、抵抗記憶素子であって、
 前記素体は、
 一般式:{(Sr 1-x M x ) 1-y A y }(Ti 1-z B z )O 3 (ただし、Mは、BaおよびCaの少なくとも一方であり、Aは、Yおよび希土類元素から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Bは、NbおよびTaの少なくとも一方である。)で表され、かつ、
 0<x≦0.5のとき、0.001≦y+z≦0.02(ただし、0≦y≦0.02、0≦z≦0.02)であり、
 0.5<x≦0.8のとき、0.003≦y+z≦0.02(ただし、0≦y≦0.02、0≦z≦0.02)であり、および
 0.8<x≦1.0のとき、0.005≦y+z≦0.01(ただし、0≦y≦0.02、0≦z≦0.02)であるという条件を満たす半導体セラミックからなる、
抵抗記憶素子。
 前記半導体セラミックは、0<x≦0.5のとき、0.005≦y+z≦0.01(ただし、0≦y≦0.02、0≦z≦0.02)であるという条件を満たす、請求項1に記載の抵抗記憶素子。
 前記素体は、前記1対の電極間に、少なくとも1つの結晶粒界を有する、請求項1に記載の抵抗記憶素子。
 前記電極は、前記素体と同時焼成により形成されたものである、請求項1に記載の抵抗記憶素子。
 前記電極は、Pd、Pt、Ag-Pd、Au、RuおよびIrから選ばれる1種の金属を含む、請求項1ないし4のいずれかに記載の抵抗記憶素子。
Description:
抵抗記憶素子

 この発明は、抵抗記憶素子に関するもの 、特に、多結晶体としての半導体セラミッ からなる素体を備える抵抗記憶素子に関す ものである。

 抵抗記憶素子は、抵抗記憶機能を有する 体を備えており、この素体は、初期状態で とえば比較的高い抵抗を示すが、所定値以 の電圧を印加すると、低抵抗状態に変化し 電圧を除去しても、この低抵抗状態が保持( 記憶)され、他方、低抵抗状態にある素体に 定値以上の電圧を逆方向に印加すると、高 抗状態に戻り、この電圧を除去しても、高 抗状態が保持(記憶)されるという特性を有し ている。

 このような抵抗記憶素子は、しきい値以 の電圧を正方向および逆方向の各々に印加 ることにより、低抵抗状態と高抵抗状態と スイッチングできるものであり、スイッチ グにより、抵抗変化させ、それを記憶する とが可能である。このような抵抗スイッチ 果を利用することにより、抵抗記憶素子は いわゆるメモリー素子としてだけでなく、 イッチング素子としても用いることができ 。

 この発明にとって興味ある抵抗記憶素子と て、たとえば非特許文献1に記載されたもの がある。非特許文献1では、異種材料の界面 より具体的には、SrTiO 3 単結晶基板とSrRuO 3 薄膜(単結晶薄膜)との接合界面において、上 した抵抗記憶特性を発現させている、抵抗 憶素子が記載されている。この抵抗記憶素 では、抵抗状態を変化させ得るスイッチン 電圧は、最大3V程度であり、比較的低い電 でスイッチングする。

 抵抗記憶素子が使用されようとする回路 中には、3V以上の定格電圧が加えられる回 も比較的多くある。そこで、非特許文献1に 載の抵抗記憶素子を、上記のような比較的 い駆動電圧環境でスイッチング素子として 用しようとする場合、スイッチング電圧を 格電圧より高くする必要がある。

 しかしながら、非特許文献1に記載の抵抗 記憶素子は、スイッチング電圧が最大3V程度 比較的低く、駆動電圧自体でスイッチング 不用意に生じる可能性があり、そのものだ ではスイッチング素子として安定して使用 ることができないという問題がある。

 したがって、たとえば5V以上の電圧でス ッチングするようなスイッチング素子を実 しようとすると、別の抵抗体を直列に挿入 る必要がある。この場合、スイッチング電 については高くできるものの、挿入される 抗体により、消費電力が増大し、また、こ 抵抗体のためにスイッチングされる抵抗変 率が低下してしまうという問題に遭遇する

 他方、この発明にとって興味ある素子とし 、バリスタがある。たとえば特許文献1では 、各種添加元素が添加されたSrTiO 3 からなる素体にPdを主成分とする内部電極が 成された、積層型バリスタが記載されてい 。このようなバリスタを製造するにあたっ は、アクセプタとなる元素の拡散や添加を 極的に行なうとともに、半導体化のための 元処理の後に、再酸化処理を行なうことに り、結晶粒界障壁が形成される。このバリ タでは、所定値以上の電圧を印加すると、 抵抗状態に変化するものの、電圧を除去す ば、元の状態に戻り、特定の抵抗状態を保 (記憶)する機能はない。すなわち、バリス は抵抗記憶素子ではない。

特許第2727626号公報 T. Fujii、外5名,「エピタキシャル酸化物 ショットキー接合SrRuO3/SrTi0.99Nb0.01O3におけ 電流-電圧ヒステリシス特性と抵抗スイッチ グ(Hysteretic current-voltage characteristics and res istance switching at an epitaxial oxide Schottky Junc tion SrRuO3/SrTi0.99Nb0.01O3)」,APPLIED PHYSICS LETTERS 86, 012107(2005)

 そこで、この発明の目的は、スイッチン 電圧を比較的高くすることができるととも 、高い抵抗変化率を実現し得る、抵抗記憶 子を提供しようとすることである。

 この発明は、素体と、素体の少なくとも 部を介して対向する少なくとも1対の電極と を備え、1対の電極間に第1方向のスイッチン 電圧を印加したとき、素体の、1対の電極間 に位置する部分が低抵抗化し、その後、第1 向のスイッチング電圧を除去しても、素体 低抵抗状態が保持され、他方、1対の電極間 第1方向とは逆の第2方向のスイッチング電 を印加したとき、素体の、1対の電極間に位 する部分が高抵抗化し、その後、第2方向の スイッチング電圧を除去しても、素体の高抵 抗状態が保持される、抵抗記憶素子に向けら れるものであって、素体が次のような半導体 セラミックからなることを特徴としている。

 この発明において、素体を構成する半導体 ラミックは、一般式:{(Sr 1-x M x ) 1-y A y }(Ti 1-z B z )O 3 (ただし、Mは、BaおよびCaの少なくとも一方で あり、Aは、Yおよび希土類元素から選ばれる なくとも1種の元素であり、Bは、NbおよびTa 少なくとも一方である。)で表される。そし て、上記一般式において、
 0<x≦0.5のとき、0.001≦y+z≦0.02(ただし、0 y≦0.02、0≦z≦0.02)であり、
 0.5<x≦0.8のとき、0.003≦y+z≦0.02(ただし、0 ≦y≦0.02、0≦z≦0.02)であり、および
 0.8<x≦1.0のとき、0.005≦y+z≦0.01(ただし、0 ≦y≦0.02、0≦z≦0.02)であるという条件を満た すようにされる。

 半導体セラミックは、上記一般式におい 、0<x≦0.5のとき、0.005≦y+z≦0.01(ただし、 0≦y≦0.02、0≦z≦0.02)であるという条件を満 すことがより好ましい。

 素体は、1対の電極間に、少なくとも1つ 結晶粒界を有することが好ましい。

 電極は、素体と同時焼成により形成され ものであることが好ましい。

 電極は、Pd、Pt、Ag-Pd、Au、RuおよびIrから ばれる1種の金属を含むことが好ましい。

 この発明によれば、たとえば5V以上とい た高いスイッチング電圧によって低抵抗/高 抗状態間のスイッチングを実現できるよう なり、比較的高い駆動電圧環境においても 高い抵抗変化率、たとえば5000%以上の抵抗 化率を実現することができる。また、1対の 極の間に存在する結晶粒界数、すなわち、 極間の間隔あるいは素体の厚みを制御する とによって、スイッチング電圧を制御する とができる。

 この発明において、半導体セラミックが 上記一般式において、0<x≦0.5のとき、0.00 5≦y+z≦0.01(ただし、0≦y≦0.02、0≦z≦0.02)で るという条件を満たす場合、抵抗変化率を り高くすることができ、たとえば10000%以上 抵抗変化率を実現することができる。

 素体が、1対の電極間に、少なくとも1つ 結晶粒界を有していると、ショットキー障 を形成する電極を用いずとも、結晶粒界の で、比較的高いスイッチング特性を得るこ ができ、高い抵抗変化率を実現することが きる。

 電極が、素体と同時焼成により形成され ものである場合には、電極と素体との界面 強固なものとなり、電極と素体との界面に い耐電圧特性を与えることができ、スイッ ング電圧を問題なく高くすることができる

 電極が、Pd、Pt、Ag-Pd、Au、RuおよびIrから ばれる1種の金属を含む場合、電極と素体と の間にショットキー接合を形成することがで きる。

この発明の一実施形態による抵抗記憶 子1を示す断面図である。 この発明に係る抵抗記憶素子の典型的 電流-電圧特性を示す図である。

符号の説明

 1 抵抗記憶素子
 2 素体
 3,4 対向電極
 5,6 端子電極

 図1は、この発明の一実施形態による抵抗 記憶素子1を示す断面図である。

 抵抗記憶素子1は、一般式:{(Sr 1-x M x ) 1-y A y }(Ti 1-z B z )O 3 (ただし、Mは、BaおよびCaの少なくとも一方で あり、Aは、Yおよび希土類元素から選ばれる なくとも1種の元素であり、Bは、NbおよびTa 少なくとも一方である。)で表される半導体 セラミックからなる素体2を備えている。

 上記一般式において、0<x≦0.5のとき、0 .001≦y+z≦0.02(ただし、0≦y≦0.02、0≦z≦0.02) あり、0.5<x≦0.8のとき、0.003≦y+z≦0.02(た し、0≦y≦0.02、0≦z≦0.02)であり、および0.8& lt;x≦1.0のとき、0.005≦y+z≦0.01(ただし、0≦y 0.02、0≦z≦0.02)であるという条件を満たすよ うに組成比が選ばれる。

 抵抗記憶素子1は、また、素体2の少なく も一部を介して対向する少なくとも1対の対 電極3および4を備えている。この実施形態 は、素体2は積層構造を有していて、対向電 3および4は、素体2の内部に位置されながら 素体2の少なくとも一部を挟むように対向し ており、素体2を得るための焼成と同時に焼 されて形成される。このような同時焼成を 較的高温で実施することによって、対向電 3および4と素体2との界面を強固な状態とす ことができ、抵抗記憶素子1の耐電圧特性を めることができる。

 対向電極3および4は、Pd、Pt、Ag-Pd、Au、Ru よびIrから選ばれる1種の金属を含むことが ましい。対向電極3および4において、上述 ような金属を用いることにより、素体2との にショットキー接合を形成することができ 。

 抵抗記憶素子1は、さらに、端子電極5お び6を備えている。端子電極5および6は、素 2の各端部上に形成され、それぞれ、対向電 3および4と電気的に接続される。端子電極5 よび6は、たとえば銀を含む導電性ペースト の焼き付けによって形成される。

 このような抵抗記憶素子1において、端子 電極5および6を介して対向電極3および4間に 1方向のスイッチング電圧を印加したとき、 体2の、対向電極3および4に挟まれた部分が 抵抗化し、その後、この第1方向のスイッチ ング電圧を除去しても、素体2の低抵抗状態 保持され、他方、対向電極3および4間に第1 向とは逆の第2方向のスイッチング電圧を印 したとき、素体2の、対向電極3および4に挟 れた部分が高抵抗化し、その後、この第2方 向のスイッチング電圧を除去しても、素体2 高抵抗状態が保持される。この発明に係る 抗記憶素子1では、上述したスイッチング電 がたとえば5V以上と高くなり、そのため、 較的高い駆動電圧環境下にあっても、安定 て正常に動作させることができ、また、た えば5000%以上といった高い抵抗変化率を実現 することができる。

 素体2を構成する前述した半導体セラミッ クが、前述の一般式において、0<x≦0.5のと き、0.005≦y+z≦0.01(ただし、0≦y≦0.02、0≦z≦ 0.02)であるという、より限定的な条件を満た 場合には、たとえば10000%以上というように より高い抵抗変化率を実現することができ 。

 素体2を構成する半導体セラミックは、対 向電極3および4に挟まれた部分に存在する結 粒界数によって前述したスイッチング電圧 変わる特性を有している。したがって、対 電極3および4に挟まれた部分に存在する結 粒界数、すなわち対向電極3および4間の間隔 を制御することにより、スイッチング電圧を 制御することができる。

 以上のような抵抗記憶素子1が有する特性 が発現されるメカニズムについては完全に解 明されていない。一般に、半導体と金属との 界面では抵抗スイッチング効果が発現し、そ の抵抗変化自体は半導体側に起因するものと 考えられている。この発明では、素体2が、 定的な組成の半導体セラミックからなり、1 の電極3および4間に少なくとも1つの結晶粒 が存在する構成であること、好ましくは多 晶体であることが大きく関与しているもの 思われる。これは、セラミック自体は半導 化されているため、その抵抗は低いが、結 粒界部分は高抵抗となっており、スイッチ グ現象が引き起こされる電極3および4にか る電圧は、電極界面、結晶粒界面に分散し 各界面にかかる実効電圧が低下することに り、非特許文献1に記載されるものと比較し 高いスイッチング電圧を実現できているも と考えられる。

 この発明に係る特定の半導体セラミック らなる多結晶体において、結晶粒界が高抵 化している理由としては、単に、結晶粒界 伝導電子が散乱され移動度が低下するため 高抵抗となっているだけでなく、浅い結晶 界準位が自然に生成し、それらが電子のト ップとなり、低い結晶粒界障壁が形成され いるものと推測される。

 すなわち、上述のように、単に、結晶粒界 の伝導電子の散乱が原因で抵抗が高くなっ いると仮定すれば、非特許文献1に記載の抵 抗記憶素子に直列に抵抗体を接続したような 形となり、その抵抗変化率は、
抵抗変化率={(直列抵抗成分+高抵抗状態での 子の抵抗)-(直列抵抗成分+低抵抗状態での素 の抵抗)}/(直列抵抗成分+低抵抗状態での素 の抵抗)
の式で表される。

 本素子においても、電極界面の抵抗のみ 化し、抵抗スイッチングが発現していると ると、上記式においては、素子の抵抗が結 粒界の抵抗に相当し、直列抵抗成分がセラ ック自体に相当することになるが、セラミ ク自体の抵抗が高いため、抵抗変化率も低 してしまうはずである。たとえば、直列抵 成分が1Mωであり、これが変化しないとする と、素子の抵抗が低抵抗状態で1ω、高抵抗状 態で1Mωというように6桁抵抗変化したとして 、直列抵抗成分があるため、低抵抗状態で 1Mω+1ω、高抵抗状態では1Mω+1Mωというよう 、ほぼ2倍しか抵抗変化しない。このことか 、この発明に係る抵抗記憶素子1では、単に 結晶粒界で伝導電子が散乱され移動度が低下 するために高抵抗となっているだけではない ことが説明できる。

 このように、この発明に係る抵抗記憶素 1によれば、比較的高い電圧で抵抗スイッチ ングが可能であり、非特許文献1に記載のも と比較して、同等以上の高い抵抗変化率を 現できるのは、結晶粒界に形成されている い結晶粒界障壁などが大きく影響している のと考えられる。つまり、スイッチング電 の印加により、結晶粒界の障壁の高さなど 変化し、このことが高い抵抗変化率をもた している可能性があると推測される。なぜ ら、前述したように、単に結晶粒界抵抗が くなり、電極3および4との界面にかかる電圧 が低下することにより、抵抗スイッチング現 象が生じていると考えると、抵抗変化率が高 いことまで説明することができないためであ る。

 次に、この発明に係る抵抗記憶素子1の抵 抗スイッチング特性について、より具体的に 説明する。

 図2は、この発明に係る抵抗記憶素子1の典 的な電流-電圧特性(I-V特性)を示している。 お、図2に示したI-V特性が有する抵抗記憶素 1は、素体を構成する半導体セラミックがBa 0.992 La 0.008 TiO 3 の組成を有するものであって、後述する実験 例において、表1に示された、この発明の範 内の特定の試料と同等のものである。図2に したI-V特性を求めるため、パルス幅0.1secの 圧パルスを1V刻みで印加し、流れる電流を 定した。

 図2を参照して、まず、0Vから40Vまで電圧 印加していくと、約20Vのところで、電流が 12mAまで上昇し[1]、さらに約40Vまで電圧を印 加していくと、電流が約10mAまで低下する[2] その後、40Vから0Vへ電圧を印加していくと、 行き帰りで同じI-V特性を示さず[3]、低抵抗状 態から高抵抗状態へ変化する。

 次に、0Vから-40Vへ電圧を印加していくと[ 4]、-40Vのところで、電流が100mA(電流リミット )に達する[5]。その後、-40Vから0Vへ電圧を印 していくと、高抵抗状態から抵抗がスイッ ングし、行き帰りで同じI-V特性を示さず[6] 高抵抗状態から低抵抗状態へ変化する。

 以上のように、+方向の電圧では、低抵抗 状態から高抵抗状態へ抵抗がスイッチングし 、他方、-方向の電圧では、高抵抗状態から 抵抗状態へ抵抗がスイッチングして、何度 定しても、同様の抵抗スイッチング現象が 現する。

 図2に示されるように、この発明に係る抵 抗記憶素子1では、数十Vといったスイッチン 電圧を有している。非特許文献1では、3V以 のスイッチング電圧が記載されているため 数十Vといったスイッチング電圧は、非特許 文献1に記載の抵抗記憶素子のスイッチング 圧より高い。

 次に、図2に示したI-V特性を有する、この 発明に係る抵抗記憶素子1に対して、50Vの電 を、1msec、10msec、100msecというようにパルス を変えながら印加し、抵抗変化のパルス幅 存性を調査したところ、パルス幅が1msecのパ ルス電圧やパルス幅が10msecのパルス電圧を印 加しても、抵抗は変化せず、パルス幅が100mse cのパルス電圧を印加して初めて抵抗が変化 ることが確認されている。他方、非特許文 1に記載の抵抗記憶素子では、3Vの電圧を印 するとき、パルス幅が1msecで高抵抗化し(電 値が低下し)、さらに長い10msecのパルス幅を って、3Vの電圧を印加すると、さらに高抵 化することが確認されている。

 このようなことから、この発明に係る抵 記憶素子1では、抵抗スイッチング現象を生 じさせるためには、一定値以上の電圧を加え る必要があり、さらに、非特許文献1に記載 抵抗記憶素子に比べて、より長いパルス幅 持つ電圧を印加する必要があることがわか 。

 そのため、この発明に係る素子を信号回 もしくは電源回路等のスイッチング素子と て用いた場合、回路中に存在するスパイク イズ(電圧もしくは電流のパルスノイズ)に して抵抗状態が非常に安定である。よって たとえ回路中のスパイクノイズが素子に進 したとしても素子の抵抗状態は変化せず、 路の誤作動が生じにくい。

 図1に示した抵抗記憶素子1では、対をな 対向電極3および4が、素体2の厚み方向での 央部に配置されたが、厚み方向での一方端 に偏った位置に配置されてもよく、極端な 合には、対向電極3および4のいずれか一方に ついては、素体2の外表面上に形成されても い。また、1対の対向電極3および4が、とも 、素体2の外表面上で所定の間隔を隔てて並 ように配置され、互いの端縁で対向するよ にされてもよい。さらに、1対の対向電極3 よび4が、互いの端縁で対向するように、素 2の内部における同一面上に並んで配置され てもよい。

 なお、上述のように、対向電極3および4 素体2の内部に配置し、対をなす対向電極3お よび4に挟まれる部分が素体2のごく一部とさ るのは、対向電極3および4間の間隔を小さ しながらも、素体2において所定以上の機械 強度を確保するためである。したがって、 械的強度の問題を考慮する必要がないなら 、薄板状の素体の各主面上に対向電極をそ ぞれ形成するようにしてもよい。

 また、対をなす対向電極3および4は、ス ッチング電圧を印加するために用いられる かりでなく、電流測定用(抵抗測定用)として も用いられるが、対向電極3および4を専ら電 印加用として用い、別に電流測定用の電極 設けてもよい。この場合、典型的には、互 に対向する状態で第1、第2および第3の電極 この順序で形成され、たとえば、第1の電極 を共通にしながら、第1および第2の電極を用 て電流測定を行ない、第1および第3の電極 用いて電圧を印加すること、あるいは、第1 よび第2の電極を用いて電圧を印加し、第1 よび第3の電極を用いて電流を測定すること 考えられる。

 次に、この発明による効果を確認するた 、あるいは、この発明の好ましい範囲を求 るために実施した実験例について説明する

 [実験例1]
 素体を構成する半導体セラミックの出発原 として、炭酸ストロンチウム(SrCO 3 )、炭酸バリウム(BaCO 3 )、炭酸カルシウム(CaCO 3 )、酸化チタン(TiO 2 )、ならびに、ドナーとしての酸化ランタン(L a 2 O 3 )、酸化サマリウム(Sm 2 O 3 )、酸化ガドリニウム(Gd 2 O 3 )、酸化ディスプロシウム(Dy 2 O 3 )、酸化イットリウム(Y 2 O 3 )、酸化ニオブ(Nb 2 O 5 )および酸化タンタル(Ta 2 O 5 )の各粉末を用いた。そして、焼成後におい 表1~表6に示すような組成になるように、上 出発原料を秤量した。

 なお、表1に示す各試料は、{(Sr 1-x M x ) 1-y A y }(Ti 1-z B z )O 3 において、MとしてBaおよびCaの各々を用い、 つAとしてLaを用いながら、Bを添加せず(z=0) ドナーであるAすなわちLaの添加量yおよびSr イトでのMの置換量xを種々に変えたもので る。

 表2に示す各試料は、{(Sr 1-x M x ) 1-y A y }(Ti 1-z B z )O 3 において、MとしてBaおよびCaの各々を用い、 つBとしてNbを用いながら、Aを添加せず(y=0) ドナーであるBすなわちNbの添加量zおよびSr イトでのMの置換量xを種々に変えたもので る。

 表3に示す各試料は、{(Sr 1-x M x ) 1-y A y }(Ti 1-z B z )O 3 において、MとしてBaを用い、かつAとしてSm、 Gd、DyおよびYの各々を用いながら、Bを添加せ ず(z=0)、ドナーであるAすなわちSm、Gd、Dyおよ びYの各々の添加量yおよびSrサイトでのMの置 量xを種々に変えたものである。

 表4に示す各試料は、{(Sr 1-x M x ) 1-y A y }(Ti 1-z B z )O 3 において、MとしてCaを用い、かつAとしてSm、 Gd、DyおよびYの各々を用いながら、Bを添加せ ず(z=0)、ドナーであるAすなわちSm、Gd、Dyおよ びYの各々の添加量yおよびSrサイトでのMの置 量xを種々に変えたものである。

 表5に示す各試料は、{(Sr 1-x M x ) 1-y A y }(Ti 1-z B z )O 3 において、MとしてBaおよびCaの各々を用い、 つBとしてTaを用いながら、Aを添加せず(y=0) ドナーであるBすなわちTaの添加量zおよびSr イトでのMの置換量xを種々に変えたもので る。

 表6に示す各試料は、{(Sr 1-x M x ) 1-y A y }(Ti 1-z B z )O 3 において、MとしてBaおよびCaの各々を用い、A としてLaを用い、かつBとしてNbを用いながら ドナーであるAおよびBすなわちLaおよびNbの 々の添加量yおよびzならびにこれら添加量 和y+zを種々に変え、かつSrサイトでのMの置 量xを種々に変えたものである。

 次に、焼成後の組成が表1~表6に示す組成 なるように秤量された出発原料を分散剤と もに純水に加え、直径2mmのPSZボールを用い 24時間湿式混合粉砕を行なった。混合粉砕 、得られたスラリーを乾燥し、大気中にお て1200℃の温度で4時間仮焼を行なった。得ら れた仮焼粉末を分散剤とともに純水に加え、 直径5mmのPSZボールを用いて24時間粉砕し、そ 後、アクリル系バインダ、可塑剤および消 剤等を加え、再度、12時間混合し、グリー シート成形用スラリーを得た。

 次に、得られたスラリーにドクターブレー 法を適用してシート状に成形し、グリーン ートを得た。このグリーンシートの厚みは 40μmになるように調整した。次に、グリー シートを短冊状にカットし、対向電極を形 するため、Pdを含む導電性ペーストをスクリ ーン印刷した。その後、対向電極となるべき 導電性ペースト膜が形成されたグリーンシー トを含む複数のグリーンシートを積層し、圧 着し、カットすることにより、2.0mm×1.2mm×1.2m mの寸法を有するグリーンチップを得た。各 リーンチップにおいて、対向電極の対向面 は約1mm 2 になるように調整した。

 次に、上記グリーンチップを、大気中に いて550℃の温度で脱脂処理し、その後、大 中において、1300~1400℃の温度で2時間焼成し た。なお、焼成温度は、BaおよびCaの添加量 よって異なるため、各試料の粒径が約3~5μm なる焼成温度を選択した。その後、水素を3% 含有する窒素雰囲気下において、600~1200℃の 囲の適当な温度で4時間還元処理を行なった 。

 上記のようにして得られた焼成後の素体 、端子電極を形成するため、Agを含む導電 ペーストを塗布し、大気中において、750℃ 温度で焼き付け処理を行ない、評価用試料 した。

 このようにして得られた各試料について より正確な評価を行なえるようにするため 100~200V、パルス幅100msecのパルス電圧を正方 および逆方向の各々に10~50回印加して、エ クトロフォーミング処理を行なった上で、I- V特性を評価した。

 このI-V特性の評価には、「ADVANTEST R6246  ルスソースメーター」を用い、電圧を、0V 所定電圧(プラス側)→0V→所定電圧(マイナス 側)→0Vとスイープさせた。また、このとき、 電圧は電圧パルスで印加し、パルス幅0.1secで 測定を行なった。このようにして求められた I-V特性の一例が前述した図2に示したもので る。なお、図2は、前述したように、表1に示 された、この発明の範囲内の特定の試料、す なわち、MとしてBaを用い、AとしてLaを用い、 AすなわちLaの添加量yが0.008であり、かつMす わちBaの置換量xが1.000である試料のI-V特性を 示している。

 上記のようにして求められたI-V特性に基づ 、最大抵抗変化率を求めた。最大抵抗変化 は、低抵抗状態から高抵抗状態になる極性( 図2ではマイナス)における5Vより高い電圧で 低抵抗状態と高抵抗状態との差が最も大き なる電圧で抵抗変化率を算出したもので、 抵抗状態にあるときの抵抗ρ H とし、低抵抗状態にあるときの抵抗をρ L として、抵抗変化率[%]=(ρ H L )/ρ L ×100の式から求めたものである。たとえば、 2に示した試料について言えば、-5V以下(絶 値5V以上)で抵抗変化率が最も大きくなる電 での値を求めた。このようにして最大抵抗 化率を求めたのは、抵抗記憶素子の抵抗は 圧依存性があるためである。

 表1~表6には、上述のようにして求められ 最大抵抗変化率(単位は%)が示されている。 お、表1~表6において、最大抵抗変化率の数 が記入されていない欄については、抵抗ス ッチング現象が生じなかったこと、あるい 抵抗変化率が測定できない程度に低すぎた とを示している。

 素体を構成する半導体セラミックの組成 関して、Srサイトで置換されるMすなわちBa よびCaの各々の置換量xが、0<x≦0.5のとき 0.001≦y+z≦0.02であり、0.5<x≦0.8のとき、0.0 03≦y+z≦0.02であり、0.8<x≦1.0のとき、0.005 y+z≦0.01である、という条件を満足すれば、5 000%以上の抵抗変化率を実現することができ 。

 これに対して、AすなわちLa、Sm、Gd、Dyお びYの各々の置換量yが0.001未満の試料では、 ドナーが不足して半導体セラミックが半導体 化せずに、対向電極との界面にショットキー 障壁ができないため、図2に示したようなI-V 性のヒステリシスは確認できなかったり、 抗変化率が5000%より低くなったりした。

 また、AすなわちLa、Sm、Gd、DyおよびYの各 々の置換量yが0.02を超える試料では、ドナー 過剰となり、セラミックの抵抗が低下しす ることにより、ショットキー障壁高さが低 なり抵抗変化率が5000%より低かった。

 なお、MすなわちBaおよびCaの各々の置換 xを0<x≦0.5とし、AすなわちLa、Sm、Gd、Dyお びYの各々の置換量yを0.005≦y+z≦0.01とする 10000%以上といった、より高い抵抗変化率を 現している。このことから、MすなわちBaお びCaの各々の置換量x、ならびに/またはAすな わちLa、Sm、Gd、DyおよびYの各々の置換量yを り適正に制御することにより、最適なショ トキー障壁および結晶粒界構造を形成でき ことがわかる。

 [実験例2]
 実験例1における表1~表6に示された試料のう ち、後掲の表7および表8に示される組成のも を取り出し、それぞれの試料について、ス ッチング電圧の絶対値を求めた。なお、こ でのスイッチング電圧は、I-V特性の低抵抗 態から高抵抗状態にスイッチングする極性 おいて、印加電圧を0Vから大きくしていっ いるのにも関わらず、電流量が低下し始め 電流の変曲点部分、すなわち図2でいう電圧 +20Vに相当する部分をスイッチング電圧と規 定した。

 表7および表8から明らかなように、Srサイ トで置換されるMすなわちBaおよびCaの各々の 換量xが、0<x≦0.5のとき、0.001≦y+z≦0.02で あり、0.5<x≦0.8のとき、0.003≦y+z≦0.02であ 、0.8<x≦1.0のとき、0.005≦y+z≦0.01である という条件を満足すれば、5V以上といった高 いスイッチング電圧を実現でき、このような 高い駆動電圧環境において、5000%以上の高い 抗変化率が得られていることがわかる。

 以上、実験例1および2では、SrおよびMに するドナーとしてLa、Sm、Gd、DyおよびYを用 たが、これらに代えて、Ce、Pr、Nd、Eu、Tb、H o、Er、Tm、YbまたはLuが用いられても、同様の 作用効果が奏される。また、これらのYおよ 希土類元素、さらにはTiに対するドナーとし てのNbおよびTaは、それぞれが組み合わされ も、同様の作用効果が奏される。

 また、実験例において、エレクトロフォ ミング処理において、所定のパルス電圧を 方向および逆方向に各々複数回印加したが たとえば、片方向のみに複数回印加したり 片方向側に大きな電圧をスイープしながら 加したりしていってもよい。