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Patent Searching and Data


Title:
RETARDATION FILM, METHOD FOR PRODUCING RETARDATION FILM, POLARIZING PLATE, AND LIQUID CRYSTAL DISPLAY DEVICE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/119326
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a retardation film containing a polymer having a vinylcarbazole structure, which has excellent haze, adhesion, roll conveyability, polarizing plate reworkability and front contrast. A method for producing the retardation film, a polarizing plate using the retardation film, and a liquid crystal display device are also disclosed. The retardation film has a structure wherein a layer A and a layer B are laminated, and is characterized in that the layer A contains a crosslinked product of a polymer containing a carbazole structural unit and a vinyl monomer, and the layer B is composed of a thermoplastic resin.

Inventors:
OUCHI AYAKO (JP)
OKA SHIGEKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/054747
Publication Date:
October 01, 2009
Filing Date:
March 12, 2009
Export Citation:
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Assignee:
KONICA MINOLTA OPTO INC (JP)
OUCHI AYAKO (JP)
OKA SHIGEKI (JP)
International Classes:
G02B5/30; C08F20/00; C08F26/06; G02F1/1335; G02F1/13363
Domestic Patent References:
WO2007002050A12007-01-04
WO2005121848A12005-12-22
Foreign References:
JPS6449078A1989-02-23
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Claims:
A層とB層を積層した位相差フィルムであって、A層は、カルバゾール構造単位を含むポリマーと、ビニル系モノマーの架橋物とを含有する層であり、B層は熱可塑性樹脂からなる層であることを特徴とする位相差フィルム。
前記ビニル系モノマーが、下記一般式(1)あるいは一般式(2)で表されるモノマーであることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の位相差フィルム。

(式中、X 1 、X 2 は下記式で表される結合基より選択され、

R 11 、R 12 、R 13 、R 14 、R 21 、R 22 、R 23 、R 24 、R 31 、R 32 、R 33 は、それぞれ独立して水素原子、置換基を有していてもよい脂肪族基、置換基を有していてもよい芳香族基または置換基を有していてもよい複素環基を表す。R 12 とX 1 が直接結合し、環状構造を
形成してもよい。R 12 とR 14 が結合し、環状構造を形成してもよい。)
前記B層が、セルロースエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、オレフィン系樹脂、及びポリエステル系樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂からなることを特徴とする請求の範囲第1項または第2項に記載の位相差フィルム。
請求の範囲第1項~第3項のいずれか1項に記載の位相差フィルムを少なくとも一方の面に有することを特徴とする偏光板。
請求の範囲第4項に記載の偏光板を液晶セルの少なくとも一方の面に有することを特徴とする液晶表示装置。
請求の範囲第1項に記載の位相差フィルムの製造方法であって、少なくともカルバゾール構造単位を含むポリマーとビニル系モノマーとを含む組成物をB層上に塗工した後、熱あるいは活性エネルギー線を照射して架橋させてA層を形成することを特徴とする位相差フィルムの製造方法。
前記A層を形成した後、少なくとも一方向に延伸することを特徴とする請求の範囲第6項に記載の位相差フィルムの製造方法。
Description:
位相差フィルム、位相差フィル の製造方法、偏光板及び液晶表示装置

 本発明は、位相差フィルム、位相差フィ ムの製造方法、偏光板及び液晶表示装置に し、より詳しくは、ヘイズ、密着性、ロー 搬送適性に優れた位相差フィルムであり、 光板リワーク性、正面コントラストに優れ 。

 ビニルカルバゾール構造を有するポリマ が負の位相差を発現することは知られてお 、位相差層として用いることが提案されて る(例えば、特許文献1~5参照。)。

 しかし、ビニルカルバゾール構造を有する リマーは脆く、他の樹脂との相溶性、密着 が悪いという問題点があり、単独で位相差 ィルムに用いた場合、リワーク時にポリマ 層がはがれる、あるいは割れて残ってしま 。また、ロール搬送時にクラックが生じた 、延伸適性も低く、延伸時にヘイズが発生 る、物性改良のために他の樹脂とブレンド ても相溶せずに白濁する等の問題があり、 晶表示装置に用いた場合に、コントラスト 低下するという問題点があった。

米国特許7,211,304号明細書

国際特許第2005/045820号パンフレット

特表2007-513799号公報

国際特許2005/121880号パンフレット

特開2001-91746号公報

 従って本発明の目的は、ヘイズ、密着性 ロール搬送適性、偏光板リワーク性、正面 ントラストに優れたビニルカルバゾール構 を有するポリマーを含有する位相差フィル 、該位相差フィルムの製造方法、該位相差 ィルムを用いた偏光板及び液晶表示装置を 供することにある。

 本発明の上記課題は以下の構成により達 される。

 1.A層とB層を積層した位相差フィルムであ って、A層は、カルバゾール構造単位を含む リマーと、ビニル系モノマーの架橋物とを 有する層であり、B層は熱可塑性樹脂からな 層であることを特徴とする位相差フィルム

 2.前記ビニル系モノマーが、下記一般式(1 )あるいは一般式(2)で表されるモノマーであ ことを特徴とする前記1に記載の位相差フィ ム。

(式中、X 1 、X 2 は下記式で表される結合基より選択され、

R 11 、R 12 、R 13 、R 14 、R 21 、R 22 、R 23 、R 24 、R 31 、R 32 、R 33 は、それぞれ独立して水素原子、置換基を有 していてもよい脂肪族基、置換基を有してい てもよい芳香族基または置換基を有していて もよい複素環基を表す。R 12 とX 1 が直接結合し、環状構造を形成してもよい。 R 12 とR 14 が結合し、環状構造を形成してもよい。)
 3.前記B層が、セルロースエステル系樹脂、 リカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、 クロオレフィン系樹脂、オレフィン系樹脂 及びポリエステル系樹脂から選ばれる少な とも1種の樹脂からなることを特徴とする前 記1または2に記載の位相差フィルム。

 4.前記1~3のいずれか1項に記載の位相差フ ルムを少なくとも一方の面に有することを 徴とする偏光板。

 5.前記4に記載の偏光板を液晶セルの少な とも一方の面に有することを特徴とする液 表示装置。

 6.前記1に記載の位相差フィルムの製造方 であって、少なくともカルバゾール構造単 を含むポリマーとビニル系モノマーとを含 組成物をB層上に塗工した後、熱あるいは活 性エネルギー線を照射して架橋させてA層を 成することを特徴とする位相差フィルムの 造方法。

 7.前記A層を形成した後、少なくとも一方 に延伸することを特徴とする前記6に記載の 位相差フィルムの製造方法。

 本発明によれば、ヘイズ、密着性、ロー 搬送適性、偏光板リワーク性、正面コント ストに優れたビニルカルバゾール構造を有 るポリマーを含有する位相差フィルム、該 相差フィルムの製造方法、該位相差フィル を用いた偏光板及び液晶表示装置を提供す ことができる。

 以下本発明を実施するための最良の形態 ついて詳細に説明するが、本発明はこれら 限定されるものではない。

 本発明の位相差フィルムは、A層とB層を 層した位相差フィルムであって、A層は、カ バゾール構造単位を含むポリマーと、ビニ 系モノマーの架橋物とを含有する層であり B層は熱可塑性樹脂からなる層であることを 特徴とする。

 本発明者らは上記問題点に鑑み鋭意検討し 結果、下記の知見を得、本発明を成すに至 た次第である。
(1)カルバゾール構造単位を含むポリマーとビ ニル系ポリマー同士をブレンドするのではな く、ビニル系モノマーをカルバゾール構造単 位を含むポリマーにブレンドし、次いで架橋 させてカルバゾール構造含有ポリマー層とす ることで、ポリマー同士の相溶性が上がり均 一にブレンドされた状態で硬化されるため、 形成された膜の透明性が上がり、コントラス トが上がる。
(2)ビニルカルバゾールポリマーと相溶してい るビニル系モノマーの一部が基材に浸透した 状態で、架橋するとアンカー効果が得られる 為、層間の密着性が向上し、更に液晶セルに 接する位相差層の剥がれがない為リワーク適 性が向上する。
(3)ビニル系モノマーを用いることで、層が適 度な架橋密度となり、可撓性をもち、脆くな く、かつ適度な温度で延伸可能な層になる。

 従って本発明の位相差層の製造方法の特 は、少なくともカルバゾール構造単位を含 ポリマーとビニル系モノマーとを含む組成 をB層上に塗工した後、熱あるいは活性エネ ルギー線を照射して架橋させてA層を形成す ことに特徴がある。

 以下本発明を詳細に説明する。

 〈ビニル系モノマー〉
 本発明に係るビニル系モノマーは、一般的 ラジカル重合性のモノマー類、紫外線硬化 脂に一般的に用いられる分子内に付加重合 能なエチレン性二重結合を複数有する多官 モノマー類や、多官能オリゴマー類を用い ことができる。該化合物に限定は無いが、 体的には、例えば、2-エチルヘキシルアク レート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート 、グリセロールアクリレート、テトラヒドロ フルフリルアクリレート、フェノキシエチル アクリレート、ノニルフェノキシエチルアク リレート、テトラヒドロフルフリルオキシエ チルアクリレート、テトラヒドロフルフリル オキシヘキサノリドアクリレート、1,3-ジオ サンアルコールのε-カプロラクトン付加物 アクリレート、1,3-ジオキソランアクリレー 等の単官能アクリル酸エステル類、或いは れらのアクリレートをメタクリレート、イ コネート、クロトネート、マレエートに代 たメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸 マレイン酸エステル、例えば、エチレング コールジアクリレート、トリエチレングル ールジアクリレート、ペンタエリスリトー ジアクリレート、ハイドロキノンジアクリ ート、レゾルシンジアクリレート、ヘキサ ジオールジアクリレート、ネオペンチルグ コールジアクリレート、トリプロピレング コールジアクリレート、ヒドロキシピバリ 酸ネオペンチルグリコールのジアクリレー 、ネオペンチルグリコールアジペートのジ クリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペ チルグリコールのε-カプロラクトン付加物 ジアクリレート、2-(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチ ルエチル)-5-ヒドロキシメチル-5-エチル-1,3-ジ オキサンジアクリレート、トリシクロデカン ジメチロールアクリレート、トリシクロデカ ンジメチロールアクリレートのε-カプロラク トン付加物、1,6-ヘキサンジオールのジグリ ジルエーテルのジアクリレート等の2官能ア リル酸エステル類、或いはこれらのアクリ ートをメタクリレート、イタコネート、ク トネート、マレエートに代えたメタクリル 、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸エ テル、例えばトリメチロールプロパントリ クリレート、ジトリメチロールプロパンテ ラアクリレート、トリメチロールエタント アクリレート、ペンタエリスリトールトリ クリレート、ペンタエリスリトールテトラ クリレート、ジペンタエリスリトールテト アクリレート、ジペンタエリスリトールペ タアクリレート、ジペンタエリスリトール キサアクリレート、ジペンタエリスリトー ヘキサアクリレートのε-カプロラクトン付 物、ピロガロールトリアクリレート、プロ オン酸・ジペンタエリスリトールトリアク レート、プロピオン酸・ジペンタエリスリ ールテトラアクリレート、ヒドロキシピバ ルアルデヒド変性ジメチロールプロパント アクリレート等の多官能アクリル酸エステ 酸、或いはこれらのアクリレートをメタク レート、イタコネート、クロトネート、マ エートに代えたメタクリル酸、イタコン酸 クロトン酸、マレイン酸エステル等を挙げ ことができる。

 中でも、好ましくは、前記一般式(1)、一般 (2)で表される化合物が用いられる。式中、R 11 、R 12 、R 13 、R 14 、R 21 、R 22 、R 23 、R 24 、R 31 、R 32 、R 33 は、水素原子、それぞれ独立して置換基を有 していてもよい脂肪族基、置換基を有してい てもよい芳香族基、及び置換基を有していて もよい複素環基を表す。R 11 、R 12 、R 13 、R 14 、R 21 、R 22 、R 23 、R 24 、R 31 、R 32 、R 33 で表される脂肪族基、芳香族基、及び複素環 基としては、特に制限はないが、例えば、ア ルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プ ピル基、イソプロピル基、t-ブチル基、ペン チル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル 基、トリフルオロメチル基等)、シクロアル ル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘ シル基等)、アリール基(例えば、フェニル 、ナフチル基等)、アシルアミノ基(例えば、 アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等) アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エ ルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フ ニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルケニ 基(例えば、ビニル基、2-プロペニル基、3- テニル基、1-メチル-3-プロペニル基、3-ペン ニル基、1-メチル-3-ブテニル基、4-ヘキセニ ル基、シクロヘキセニル基等)、ハロゲン原 (例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子 沃素原子等)、アルキニル基(例えば、プロ ルギル基等)、複素環基(例えば、ピリジル基 、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾ リル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、 チルスルホニル基、エチルスルホニル基等) 、アリールスルホニル基(例えば、フェニル ルホニル基、ナフチルスルホニル基等)、ア キルスルフィニル基(例えば、メチルスルフ ィニル基等)、アリールスルフィニル基(例え 、フェニルスルフィニル基等)、ホスホノ基 、アシル基(例えば、アセチル基、ピバロイ 基、ベンゾイル基等)、カルバモイル基(例え ば、アミノカルボニル基、メチルアミノカル ボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、ブ チルアミノカルボニル基、シクロヘキシルア ミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニ ル基、2-ピリジルアミノカルボニル基等)、ス ルファモイル基(例えば、アミノスルホニル 、メチルアミノスルホニル基、ジメチルア ノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル 、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘ シルアミノスルホニル基、オクチルアミノ ルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基 フェニルアミノスルホニル基、ナフチルア ノスルホニル基、2-ピリジルアミノスルホニ ル基等)、スルホンアミド基(例えば、メタン ルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド 等)、シアノ基、アルコキシ基(例えば、メ キシ基、エトキシ基、プロポキシ基等)、ア ールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフ チルオキシ基等)、複素環オキシ基、シロキ 基、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキ 基、ベンゾイルオキシ基等)、スルホン酸基 、スルホン酸の塩、アミノカルボニルオキシ 基、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルア ノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基 シクロペンチルアミノ基、2-エチルヘキシル アミノ基、ドデシルアミノ基等)、アニリノ (例えば、フェニルアミノ基、クロロフェニ アミノ基、トルイジノ基、アニシジノ基、 フチルアミノ基、2-ピリジルアミノ基等)、 ミド基、ウレイド基(例えば、メチルウレイ ド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド 基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウ レイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウ レイド基、ナフチルウレイド基、2-ピリジル ミノウレイド基等)、アルコキシカルボニル アミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミ 基、フェノキシカルボニルアミノ基等)、ア コキシカルボニル基(例えば、メトキシカル ボニル基、エトキシカルボニル基、フェノキ シカルボニル等)、アリールオキシカルボニ 基(例えば、フェノキシカルボニル基等)、複 素環チオ基、チオウレイド基、カルボキシル 基、カルボン酸の塩、ヒドロキシル基、メル カプト基、ニトロ基等の各基が挙げられる。 これらの各基は置換基を有していても良く、 該置換基としては上記に説明したR 11 、R 12 、R 13 、R 14 、R 21 、R 22 、R 23 、R 24 、R 31 、R 32 、R 33 で表される基と同様の基が挙げられる。

 一般式(1)、一般式(2)の具体例としては以 に挙げるものであるが、これに限定される のではない。

 (メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル 酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ )アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシ ル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アク ル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シ ロヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、( タ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メ )アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)ア リル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アク リル酸γ-ブチロラクトン などの(メタ)アク ル系モノマーが好ましく、更に好ましくは( タ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルが用 いられる。

 また、アクリルアミド、メタクリルアミ 、ジアセトンアクリルアミド、N-メチルア リルアミド、N-メチルメタクリルアミド、N,N -ジメチルアクリルアミド、N,N-ジメチルメタ リルアミド、N-エチルアクリルアミド、N-エ チルメタクリルアミド、N,N-ジエチルアクリ アミド、N,N-ジエチルメタクリルアミド、N- ロピルアクリルアミド、N-アクリロイルピロ リジン、N-アクリロイルピペリジン、N-アク ロイルモルホリン、N,N-ジ-n-プロピルアクリ アミド、N-n-ブチルアクリルアミド、N-n-ヘ シルアクリルアミド、N-n-ヘキシルメタクリ アミド、N-n-オクチルアクリルアミド、N-n- クチルメタクリルアミド、N-tert-オクチルア リルアミド、N-ドデシルアクリルアミド、N- n-ドデシルメタクリルアミド、N,N-ジグリシジ ルアクリルアミド、N,N-ジグリシジルメタク ルアミド、N-(4-グリシドキシブチル)アクリ アミド、N-(4-グリシドキシブチル)メタクリ アミド、N-(5-グリシドキシペンチル)アクリ アミド、N-(6-グリシドキシヘキシル)アクリ アミド、メチレンビスアクリルアミド、N,N -エチレンビスアクリルアミド、N,N″-ヘキサ メチレンビスアクリルアミド、N-メチロール クリルアミドなどのアミド系モノマーも好 しく用いられる。また、下記構造の化合物 好ましい。

 特に好ましいものはN,N-ジメチルアクリル アミド、N-アクリロイルモルホリンである。

 また、下記のようなビニル系モノマーも いられる。

 好ましくは、N-ビニルピロリドン、N-ビニ ルピペリドンが挙げられる。

 また、本発明においては、R 11 、R 12 、及びR 13 が互いに結合して環状構造を形成していても 、R 12 とX 1 が直接結合して環状構造を形成していてもよ い。具体例としては、ラクトン環、無水環マ レイン酸環などが挙げられ、これらの環は更 に、R 11 、R 12 、R 13 、R 14 、R 21 、R 22 、R 23 、R 24 、R 31 、R 32 、R 33 で表される基が有してもよい置換基によって さらに置換されていてもよい。

 また、これらのビニル系モノマーは単独 も混合物でもよい。また、所望の性能を達 するうえで上記モノマー以外の単官能ある は多官能の硬化性モノマーをブレンドして よい。

 〈カルバゾール構造単位を含むポリマー〉
 カルバゾール構造単位を含むポリマーとし は、下記一般式(3)、一般式(4)で表されるカ バゾール誘導体を重合してなるポリマーが げられ、単独重合体でも、他の共重合可能 モノマーとの共重合体でもよい。共重合体 場合は、ブロックポリマーでもグラフトポ マーでもランダムポリマーでも良い。ここ いうポリマーとは、少なくとも分子内に下 カルバゾール構造単位を10量体以上含むこ を示す。

(式中、Y 1 、Y 2 、Y 3 、Y 4 、Y 5 、R 41 、R 42 、R 43 、R 44 、R 45 、R 46 、R 47 はそれぞれ置換基を有していても良く、置換 基としては上記に説明したR 11 、R 12 、R 13 、R 14 、R 21 、R 22 、R 23 、R 24 、R 31 、R 32 、R 33 で表される基と同様の基が挙げられる。また 、Y 1 、Y 2 、Y 3 、Y 4 、Y 5 のうちのどれかひとつのみが一般式(4)で表さ れる置換基である。)
 好ましくは、N-ビニルカルバゾール誘導体 あるいは2-ビニルカルバゾール誘導体を重合 したポリマーであり、さらに好ましくは、N- ニルカルバゾール、2-ビニルカルバゾール ある。

 カルバゾール誘導体と共重合可能なモノ ーとしては特に限定はされないが、例えば 例えばメタクリル酸及びそのエステル誘導 (メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル 、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチ ル、メタクリル酸i-ブチル、メタクリル酸t- チル、メタクリル酸オクチル、メタクリル シクロヘキシル、メタクリル酸2-ヒドロキシ エチル、メタクリル酸2-ヒドロキシプロピル メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、メ クリル酸ベンジル、メタクリル酸ジメチル ミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノ チル等)、アクリル酸及びそのエステル誘導 体(アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、 クリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、ア リル酸i-ブチル、アクリル酸t-ブチル、アク ル酸オクチル、アクリル酸シクロヘキシル アクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル 2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸テトラヒ ドロフルフリル、アクリル酸2-エトキシエチ 、アクリル酸ジエチレングリコールエトキ レート、アクリル酸3-メトキシブチル、ア リル酸ベンジル、アクリル酸ジメチルアミ エチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル )、アルキルビニルエーテル(メチルビニルエ ーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニ ルエーテル等)、アルキルビニルエステル(ギ ビニル、酢酸ビニル、酪酸ビニル、カプロ 酸ビニル、ステアリン酸ビニル等)、スチレ ン誘導体(例えば、スチレン、α-メチルスチ ン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p -メチルスチレン、ビニルナフタレンなど)、 ロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコ 酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリ 、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリル ミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、メタク リルアミドなどの不飽和化合物等を挙げるこ とが出来る。これらは1種単独で、または2種 上混合して、前記一般式(3)(4)で表されるモ マー単位と共重合させることができる。ま 、前記ビニル系モノマーとして挙げた化合 をカルバゾール誘導体と共重合したポリマ を用いても良い。これらモノマーのうち、 ましくは(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)ア クリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸テトラヒ ロフルフリル、N-ビニルピロリドン、N-アク リロイルモルホリン、N-ビニルピペリドン、N -ビニルカプロラクタム、N,N-ジメチルアクリ アミドである。

 本発明における上記ポリマーを重合する 法は特に問わないが、従来公知の方法を広 採用することが出来、例えばラジカル重合 アニオン重合、カチオン重合などが挙げら る。ラジカル重合法の開始剤としては、例 ば、アゾ化合物、過酸化物等が挙げられ、 ゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビス ソブチル酸ジエステル誘導体、過酸化ベン イル、過酸化ラウロイルなどが挙げられる 重合溶媒は特に問わないが、例えば、トル ン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系 媒、ジクロロエタン、クロロホルムなどの ロゲン化炭化水素系溶媒、テトラヒドロフ ン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、ジメ ルホルムアミド等のアミド系溶媒、メタノ ル等のアルコール系溶媒、酢酸メチル、酢 エチル等のエステル系溶媒、アセトン、シ ロヘキサノン、メチルエチルケトンなどの トン系溶媒、水溶媒等が挙げられる。溶媒 選択により、均一系で重合する溶液重合、 成したポリマーが沈澱する沈澱重合、ミセ 状態で重合する乳化重合、懸濁状態で重合 る懸濁重合、或いは場合によっては塊状重 を行うこともできる。

 前記ポリマーは、カルバゾール構造単位 20~70質量%含有することが好ましい。カルバ ール構造単位が20質量%よりも少ないと、位 差発現性が低くなり位相差層として成立し くく、70質量%よりも多いと樹脂層が硬くな すぎて延伸しづらくなる。

 前記ポリマーの重量平均分子量(Mw)は10000~ 2000000の範囲内であることが好ましい。より ましくは100000~1000000の範囲内である。また前 記共重合体の重量平均分子量Mw/数平均分子量 Mn比は1.5~10.0のものが好ましく用いられる。

 なお、Mw及びMw/Mnは下記の要領で、ゲルパ ーミエーションクロマトグラフィーにより算 出した。

 測定条件は以下の通りである。
溶媒:テトヒドロフラン
装置:HLC-8220(東ソー(株)製)
カラム:TSKgel SuperHM-M(東ソー(株)製)
カラム温度:40℃
試料濃度:0.1質量%
注入量:10μl
流量:0.6ml/min
校正曲線:標準ポリスチレン:PS-1(Polymer Laborato ries社製)Mw=2,560,000~580迄の9サンプルによる校 曲線を使用した。

 (A層の塗工)
 本発明は、カルバゾール構造単位を含むポ マーとビニル系モノマーの架橋物とを含有 るA層と、後述する熱可塑性樹脂からなるB を積層する位相差フィルムの製造方法であ て、少なくともカルバゾール構造単位を含 ポリマーとビニル系モノマーとを含む組成 をB層上に塗工した後、熱あるいは活性エネ ギー線を照射して架橋させてA層を形成する ことを特徴とする。

 塗工方法については特に限定はされない 、例えば具体的にはディップコート法、エ ーナイフコート法、カーテンコート法、ロ ラーコート法、コンマコート法、ワイヤー ーコート法、グラビアコート法やエクスト ージョンコート法(ダイコート法)(米国特許2 681294号、特開2003-200097号、特開2003-211052号明 書参照)、スライドコート法、マイクログラ アコート法等の公知の方法が用いられ、そ 中でもマイクログラビアコート法、ダイコ ト法、コンマコート法が好ましい。これら 方法は、溶液粘度と膜厚から適宜選択され 。

 塗工に際し溶媒としては一般の公知の有 溶媒が用いられる、例えばメタノール、エ ノール、プロパノール、ブタノール等のア コール類、アセトン、メチルエチルケトン メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノ 等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシ ン等の芳香族炭化水素類、エチレングリコ ル、プロピレングリコール、ヘキシレング コール等のグリコール類、エチルセロソル 、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール ブチルカルビトール、ジエチルセロソルブ ジエチルカルビトール等のグリコールエー ル類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステ 類、N-メチルピロリドン、ジメチルホルム ミド、ジクロロメタン、クロロホルム、テ ラヒドロフラン等の有機溶媒、或いは水が いられる。これらは、単独、若しくは2種以 を混合して用いることができる。

 また、ビニル系モノマーにポリマーが溶 する場合は溶媒がなくても良い。硬化促進 ために、重合開始剤、架橋開始剤をポリマ 成分に対して5~30質量%含有することが好ま い。光重合開始剤としては、特に制限は無 各種公知のものを使用することが出来る。 重合開始剤としては、例えばイルガキュア18 4、イルガキュア651、イルガキュア754、イル キュア2959、イルガキュア819(チバ・ジャパン (株)製)、ダロキュア-1173(メルク社製)等の光 始剤を用いることが出来る。更に、ベンゾ ェノン、ベンゾイル安息香酸メチル、p-ジメ チル安息香酸エステル、チオキトサン等の光 増感剤を併用してもよい。

 塗工液中には、カルバゾール構造単位を むポリマーを15~75質量%、ビニル系モノマー 85~25質量%含有することが好ましい。カルバ ール構造単位を含むポリマーが15質量%以下 なると、位相差発現性が不足して位相差フ ルムとして機能しづらくなり、75質量%より 多いと塗膜を硬化してもB層との密着性改善 効果があまり期待できない。

 塗工液の作成方法については、特に制限 ないが、あらかじめカルバゾール構造単位 含むポリマーを溶媒に完全に溶解したのち ビニル系モノマーを添加することで、短時 で均一な塗工液を作成することができ好ま い。

 本発明のA層は、水及び有機溶剤の乾燥の 後に、熱または活性エネルギー線により塗膜 を硬化させるゾーンを通過させ、塗膜を硬化 することが好ましい。

 加熱方法としては、特に制限はないが、 ートプレート、ヒートロール、サーマルヘ ド、熱風を吹き付けるなどの方法を使用す のが好ましい。加熱温度としては、使用す ポリマーの種類により一概には規定できな が、基材への熱変形等の影響を与えない温 範囲であることが好ましく、30~200℃が好ま く、更に30~120℃が好ましく、特に好ましく 50~100℃である。

 活性エネルギー線は、特に制限されるも ではなく、皮膜を形成する硬化性組成物の 類に応じて、紫外線、電子線、近紫外線、 視光、近赤外線、赤外線、X線などから適宜 選択することができるが、紫外線、電子線が 好ましく、特に取り扱いが簡便で高エネルギ ーが容易に得られるという点で紫外線が好ま しい。

 紫外線反応性化合物を光重合させる紫外 の光源としては、紫外線を発生する光源で れば何れも使用できる。例えば、低圧水銀 、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯 カーボンアーク灯、メタルハライドランプ キセノンランプ等を用いることができる。 た、ArFエキシマレーザ、KrFエキシマレーザ エキシマランプ又はシンクロトロン放射光 も用いることができる。このうち、超高圧 銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボン ーク、キセノンアーク、メタルハライドラ プを好ましく利用できる。

 電子線としては、コックロフトワルトン 、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア 圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周 型等の各種電子線加速器から放出される50~1 000keV、好ましくは100~300keVのエネルギーを有 る電子線を挙げることができる。

 A層の厚みは特に限定されないが、2~50μm 好ましい。特に膜厚は3~40μmであることがよ 好ましく、更に好ましくは5~30μmである。

 前記したように本発明の構成であればA層 とB層の密着性は高いが、更に高めたい場合 、A層、B層間に易接着層を設けても良い。易 接着層の材料としては特に限定はなく、公知 の材料を適宜用いることができる。易接着層 の膜厚は、1μm以下が好ましく、更に好まし は0.5μm以下である。

 A層の位相差は、Ro=80~200nm、Rt=-70~-150nmであ ることが好ましい。A層、B層が面内遅相軸を する場合は、互いの面内遅相軸が直交する うに積層されていることが視野角拡大効果 向上させる点で好ましい。

 尚、リターデーション値は下記により求 ることができる。

  Ro=(nx-ny)×d
  Rt=((nx+ny)/2-nz)×d
(式中、nxは樹脂層の面内の遅相軸方向の屈折 率を、nyは面内で遅相軸に直交する方向の屈 率を、nzは厚み方向の屈折率を、dは樹脂層 厚み(nm)をそれぞれ表す。)
 上記3次元屈折率は、例えばKOBRA-21ADH(王子計 測機器(株))を用いて、23℃、55%RHの環境下で 波長が590nmで求めることができる。

 上記リターデーション値Ro、Rtは、B層上 A層を積層した後に延伸操作を行うことで得 れる。例えばフィルムの長手方向(塗工方向 )及びそれとフィルム面内で直交する方向、 ち幅手方向に対して、逐次または同時に2軸 伸もしくは1軸延伸することができる。互い に直交する2軸方向の延伸倍率は、それぞれ 終的には塗工方向に1.01~2.5倍、幅方向に0.5~1. 5倍の範囲とすることが好ましく、塗工方向 1.05~1.5倍、幅方向に0.5~1.2倍の範囲で行うこ が好ましい。

 該延伸操作は加熱しながら行うことが好 しく、例えばテンターを用いる場合では、 ンター内延伸部の温度を50~200℃、好ましく 80~200℃、より好ましくは120~200℃、特に好ま しくは140~200℃の範囲に設定する。またはB層 構成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg) -50℃~Tg+50℃、好ましくはTg-40℃~Tg+40℃の温度 囲で行われる。

 〈B層〉
 本発明のB層は、延伸時に延伸方向と平行方 向に遅相軸を有するポリマーを含有すること が好ましく、透明性が高く熱可塑性のあるも のが好ましい。但し、複数の材料を含んだ混 合物でもよい。具体的には、熱可塑性樹脂と して、例えば、トリアセチルセルロース(TAC) セルロースアセテートプロピオネート(CAP) のセルロースエステル系樹脂、ポリノルボ ネン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポ エステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエ テルスルホン系樹脂、ポリスルホン系樹脂 ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポ オレフィン系樹脂、ポリアリレート系樹脂 ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビ ル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂や、 れらの混合物等が挙げられる。特に本発明 係るB層は、セルロースエステル系樹脂、ポ カーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、シ ロオレフィン系樹脂、オレフィン系樹脂、 びポリエステル系樹脂から選ばれる少なく も1種の樹脂からなることが好ましい。

 〈セルロースエステル系樹脂〉
 セルロースエステル系樹脂(以下、セルロー スエステルともいう)としては、特に限定は れず、例えば芳香族カルボン酸エステル等 用いられるが、光学特性等の得られるフィ ムの特性を鑑みると、セルロースの低級脂 酸エステルを使用するのが好ましい。

 本発明においてセルロースの低級脂肪酸 ステルにおける低級脂肪酸とは炭素原子数 5以下の脂肪酸を意味し、例えばセルロース アセテート、セルロースプロピオネート、セ ルロースブチレート、セルロースピバレート 等がセルロースの低級脂肪酸エステルの好ま しいものとして挙げられる。

 炭素原子数が6以上の脂肪酸で置換された セルロースエステルでは、製膜性は良好であ るものの、得られる光学フィルムの力学特性 が低く、実質的に光学フィルムとして用いる ことが難しいためである。

 また、力学特性と溶融製膜性の双方を両 させるために、例えば、特開平10-45804号、 8-231761号、米国特許第2,319,052号等に記載され ているセルロースアセテートプロピオネート 、セルロースアセテートブチレート等の混合 脂肪酸エステル等を用いてもよい。

 上記セルロースエステルの中でも、セル ースアセテートプロピオネート、セルロー アセテートブチレートが好ましく用いられ 。

 次に、本発明に好ましく用いられるセル ースエステルのアシル基の置換度について 明する。

 セルロースには、1グルコース単位の2位 3位、6位に1個ずつ、計3個の水酸基があり、 置換度とは、平均して1グルコース単位にい くつのアシル基が結合しているかを示す数値 である。

 従って、最大の置換度は3.0である。これ アシル基は、グルコース単位の2位、3位、6 に平均的に置換していてもよいし、分布を って置換していてもよい。

 混合脂肪酸エステルの置換度として、さ に好ましいセルロースアセテートプロピオ ートやセルロースアセテートブチレートの 級脂肪酸エステルは炭素原子数2~4のアシル を置換基として有し、アセチル基の置換度 Xとし、プロピオニル基またはブチリル基の 置換度をYとした時、下記式(i)、(ii)を満たす ルロースエステルであることが好ましい。

 式(i) 2.3≦X+Y≦3.0
 式(ii) 0≦X≦2.5
 この内特にセルロースアセテートプロピオ ートが好ましく用いられ、中でも1.9≦X≦2.5 、0.1≦Y≦0.9であることが好ましい。アシル で置換されていない部分は通常水酸基とし 存在しているのものである。これらは公知 方法で合成することができる。アシル基の 換度の測定方法はASTM-D817-96に準じて測定す ことができる。

 さらに、本発明で用いられるセルロース ステルは、重量平均分子量Mw/数平均分子量M n比が1.5~5.5のものが好ましく用いられ、特に ましくは2.0~4.0である。

 本発明で用いられるセルロースエステル 、50000~150000の数平均分子量(Mn)を有すること が好ましく、55000~120000の数平均分子量を有す ることが更に好ましく、60000~100000の数平均分 子量を有することが最も好ましい。

 なお、Mn及びMw/Mnは下記の要領で、ゲルパ ーミエーションクロマトグラフィーにより算 出した。

 測定条件は以下の通りである。
溶媒:テトヒドロフラン
装置:HLC-8220(東ソー(株)製)
カラム:TSKgel SuperHM-M(東ソー(株)製)
カラム温度:40℃
試料濃度:0.1質量%
注入量:10μl
流量:0.6ml/min
校正曲線:標準ポリスチレン:PS-1(Polymer Laborato ries社製)Mw=2,560,000~580迄の9サンプルによる校 曲線を使用した。

 本発明で用いられるセルロースエステル 原料セルロースは、木材パルプでも綿花リ ターでもよく、木材パルプは針葉樹でも広 樹でもよいが、針葉樹の方がより好ましい 製膜の際の剥離性の点からは綿花リンター 好ましく用いられる。これらから作られた ルロースエステルは適宜混合して、或いは 独で使用することが出来る。

 例えば、綿花リンター由来セルロースエ テル:木材パルプ(針葉樹)由来セルロースエ テル:木材パルプ(広葉樹)由来セルロースエ テルの比率が100:0:0、90:10:0、85:15:0、50:50:0、 20:80:0、10:90:0、0:100:0、0:0:100、80:10:10、85:0:15 40:30:30で用いることが出来る。

 セルロースエステルは、例えば、原料セ ロースの水酸基を無水酢酸、無水プロピオ 酸及び/または無水酪酸を用いて常法により アセチル基、プロピオニル基及び/またはブ ル基を上記の範囲内に置換することで得ら る。このようなセルロースエステルの合成 法は、特に限定はないが、例えば、特開平10 -45804号或いは特表平6-501040号に記載の方法を 考にして合成することができる。

 本発明に用いられるセルロースエステル アルカリ土類金属含有量は、1~50ppmの範囲で あることが好ましい。50ppmを超えるとリップ 着汚れが増加或いは熱延伸時や熱延伸後で スリッティング部で破断しやすくなる。1ppm 未満でも破断しやすくなるがその理由はよく 分かっていない。1ppm未満にするには洗浄工 の負担が大きくなり過ぎるためその点でも ましくない。更に1~30ppmの範囲が好ましい。 こでいうアルカリ土類金属とはCa、Mgの総含 有量のことであり、X線光電子分光分析装置(X PS)を用いて測定することが出来る。

 本発明に用いられるセルロースエステル の残留硫酸含有量は、硫黄元素換算で0.1~45p pmの範囲であることが好ましい。これらは塩 形で含有していると考えられる。0.1ppm未満 するにはセルロースエステルの洗浄工程の 担が大きくなり過ぎる為、1~30ppmの範囲が好 ましい。残留硫酸含有量は、ASTM-D817-96に規定 の方法に準じて測定することが出来る。

 本発明に用いられるセルロースエステル の遊離酸含有量は、1~500ppmであることが好 しい。洗浄で1ppm未満にすることは困難であ 為、1~100ppmの範囲であることが好ましい。 離酸含有量はASTM-D817-96に規定の方法に準じ 測定することが出来る。

 B層の厚みは特に限定されないが、10~200μm が用いられる。特に膜厚は10~100μmであること が特に好ましい。更に好ましくは20~60μmであ 。

 前記B層中には、必要に応じて可塑剤を含 有することができる。

 可塑剤は単に可塑化効果のみならず、B層 の複屈折発現性(延伸後の位相差)、波長分散 適切に調整する機能を有しても良い。また 光弾性係数の絶対値を低下させる材料も好 しい。可塑剤は特に限定されないが、好ま くは、多価カルボン酸エステル系可塑剤、 リコレート系可塑剤、フタル酸エステル系 塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤及び多価ア コールエステル系可塑剤、ポリエステル系 塑剤、アクリル系可塑剤等から選択される 更にB層の位相差をコントロールするために 、位相差を正の複屈折性を発現する材料や、 波長分散を調整する材料、光弾性係数をゼロ に近づける材料などを含んでいてもよい。

 本発明はB層に、セルロースエステル以外 に、(メタ)アクリル系重合体と、フラノース 造もしくはピラノース構造を1個有する化合 物(A)中のOH基のすべてもしくは一部をエステ 化したエステル化化合物、或いは、フラノ ス構造もしくはピラノース構造の少なくと 1種を2個以上、12個以下結合した化合物(B)中 のOH基のすべてもしくは一部をエステル化し エステル化化合物を含有することも好まし 。

 〈(メタ)アクリル系重合体〉
 本発明に用いられる(メタ)アクリル系重合 としては、位相差フィルムに含有させた場 、機能として延伸方向に対して負の複屈折 を示すことが好ましく、特に構造が限定さ るものではないが、エチレン性不飽和モノ ーを重合して得られた重量平均分子量が500 上30000以下である重合体であることが好まし い。

 本発明に用いられる重量平均分子量が500 上30000以下である(メタ)アクリル系重合体は 、芳香環を側鎖に有する(メタ)アクリル系重 体またはシクロヘキシル基を側鎖に有する( メタ)アクリル系重合体であってもよい。

 該重合体の重量平均分子量が500以上30000 下のもので該重合体の組成を制御すること より、例えばB層層にセルロースエステルを 有する場合、該セルロースエステルと該重 体との相溶性を良好にすることができる。

 芳香環を側鎖に有する(メタ)アクリル系 合体またはシクロヘキシル基を側鎖に有す (メタ)アクリル系重合体について、好ましく は重量平均分子量が500以上10000以下のもので れば、上記に加え、製膜後のB層の透明性が 優れ、透湿度も極めて低く、例えば偏光板用 保護フィルムに適用しても優れた性能を示す 。

 該重合体は、重量平均分子量が500以上3000 0以下であるから、オリゴマーから低分子量 合体の間にあると考えられるものである。 のような重合体を合成するには、通常の重 では分子量のコントロールが難しく、分子 を余り大きくしない方法でできるだけ分子 を揃えることのできる方法を用いることが ましい。

 特に、本発明のB層に用いられる(メタ)ア リル系重合体としては、分子内に芳香環と 酸基を有しないエチレン性不飽和モノマーX aと、分子内に芳香環を有せず、水酸基を有 るエチレン性不飽和モノマーXbとXa、Xbを除 共重合可能なエチレン性不飽和モノマーと 共重合して得られた重量平均分子量2000以上3 0000以下の重合体X、または芳香環を有さない チレン性不飽和モノマーYaと、Yaと共重合可 能なエチレン性不飽和モノマーとを重合して 得られた重量平均分子量500以上3000以下の重 体Yであることが好ましい。

 [重合体X、重合体Y]
 本発明に係るB層のRo及びRtを調整する方法 しては、分子内に芳香環と水酸基を有しな エチレン性不飽和モノマーXaと、分子内に芳 香環を有せず、水酸基を有するエチレン性不 飽和モノマーXbとXa、Xbを除く共重合可能なエ チレン性不飽和モノマーとを共重合して得ら れた重量平均分子量2000以上30000以下の高分子 量の重合体X、そして、より好ましくは、芳 環を有さないエチレン性不飽和モノマーYaと 、Yaと共重合可能なエチレン性不飽和モノマ とを重合して得られた重量平均分子量500以 3000以下の低分子量の重合体Yを含有するこ が好ましい。

 本発明に用いられる重合体Xは、分子内に 芳香環と水酸基を有しないエチレン性不飽和 モノマーXaと分子内に芳香環を有せず、水酸 を有するエチレン性不飽和モノマーXbとXa、 Xbを除く共重合可能なエチレン性不飽和モノ ーとを共重合して得られた重量平均分子量2 000以上、30000以下の重合体である。

 好ましくは、Xaは分子内に芳香環と水酸 を有しないアクリルまたはメタクリルモノ ー、Xbは分子内に芳香環を有せず水酸基を有 するアクリルまたはメタクリルモノマーであ る。

 本発明に用いられる重合体Xは、下記一般 式(X)で表される。

 一般式(X)
   -[Xa]m-[Xb]n-[Xc]p-
 上記一般式(X)において、Xaは分子内に芳香 と水酸基とを有しないエチレン性不飽和モ マーを表し、Xbは分子内に芳香環を有せず、 水酸基を有するエチレン性不飽和モノマーを 表し、XcはXa、Xbを除く共重合可能なエチレン 性不飽和モノマーを表す。m、n及びpは、各々 モル組成比を表す。ただし、m≠0、m+n+p=100で る。

 更に、重合体Xとして好ましくは、下記一 般式(X-1)で表される重合体である。

 一般式(X-1)
   -[CH 2 -C(-R1)(-CO 2 R2)]m-[CH 2 -C(-R3)(-CO 2 R4-OH)-]n-[Xc]p-
 上記一般式(X-1)において、R1、R3は、それぞ 水素原子またはメチル基を表す。R2は炭素 1~12のアルキル基またはシクロアルキル基を す。R4は-CH 2 -、-C 2 H 4 -または-C 3 H 6 -を表す。Xcは、[CH 2 -C(-R1)(-CO 2 R2)]または[CH 2 -C(-R3)(-CO 2 R4-OH)-]に重合可能なモノマー単位を表す。m、 n及びpは、モル組成比を表す。ただしm≠0、m+ n+p=100である。

 本発明に用いられる重合体Xを構成するモ ノマー単位としてのモノマーを下記に挙げる が、これに限定されない。

 Xにおいて、水酸基とは、水酸基のみなら ずエチレンオキシド連鎖を有する基をいう。

 分子内に芳香環と水酸基を有しないエチ ン性不飽和モノマーXaは、例えば、アクリ 酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸 ロピル(i-、n-)、アクリル酸ブチル(n-、i-、s- t-)、アクリル酸ペンチル(n-、i-、s-)、アク ル酸ヘキシル(n-、i-)、アクリル酸ヘプチル(n -、i-)、アクリル酸オクチル(n-、i-)、アクリ 酸ノニル(n-、i-)、アクリル酸ミリスチル(n- i-)、アクリル酸(2-エチルヘキシル)、アクリ 酸(ε-カプロラクトン)、等、または上記ア リル酸エステルをメタクリル酸エステルに えたものを挙げることができる。中でも、 クリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタ リル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタ リル酸プロピル(i-、n-)であることが好まし 。

 分子内に芳香環を有せず、水酸基を有す エチレン性不飽和モノマーXbは、水酸基を するモノマー単位として、アクリル酸また メタクリル酸エステルが好ましく、例えば アクリル酸(2-ヒドロキシエチル)、アクリル (2-ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(3-ヒド ロキシプロピル)、アクリル酸(4-ヒドロキシ チル)、アクリル酸(2-ヒドロキシブチル)、ま たはこれらアクリル酸をメタクリル酸に置き 換えたものを挙げることができ、好ましくは 、アクリル酸(2-ヒドロキシエチル)及びメタ リル酸(2-ヒドロキシエチル)、アクリル酸(2- ドロキシプロピル)、アクリル酸(3-ヒドロキ シプロピル)である。

 Xcとしては、Xa、Xb以外のモノマーで、か 共重合可能なエチレン性不飽和モノマーで れば、特に制限はないが、芳香環を有して ないものが好ましい。

 Xa及びXbのモル組成比m:nは99:1~65:35の範囲 好ましく、更に好ましくは95:5~75:25の範囲で る。Xcのpは0~10である。Xcは複数のモノマー 位であってもよい。

 Xaのモル組成比が多いと、セルロースエ テルとの相溶性が良化するがフィルム厚み 向のリターデーション値Rtが大きくなる。Xb モル組成比が多いと上記相溶性が悪くなる 、Rtを低減させる効果が高い。

 また、Xbのモル組成比が上記範囲を超え と製膜時にヘイズが出る傾向があり、これ の最適化を図りXa、Xbのモル組成比を決める とが好ましい。

 高分子量の重合体Xの分子量は、重量平均 分子量が5000以上30000以下であることがより好 ましく、更に好ましくは8000以上25000以下であ る。

 重量平均分子量を5000以上とすることによ り、B層の高温高湿下における寸法変化が少 い、偏光板保護フィルムとしてカールが少 い等の利点が得られ好ましい。

 重量平均分子量が30000以下とした場合は セルロースエステルとの相溶性がより向上 、高温高湿下においてのブリードアウト、 に製膜直後でのヘイズの発生が抑制される

 本発明に用いられる重合体Xの重量平均分 子量は、公知の分子量調節方法で調整するこ とができる。そのような分子量調節方法とし ては、例えば、四塩化炭素、ラウリルメルカ プタン、チオグリコール酸オクチル等の連鎖 移動剤を添加する方法等が挙げられる。

 また、重合温度は、通常、室温から130℃ 好ましくは50℃から100℃で行われるが、こ 温度または重合反応時間を調整することで 能である。

 重量平均分子量の測定方法は、下記の方 により求めることができる。

 (平均分子量測定方法)
 重量平均分子量Mw、数平均分子量Mnは、ゲル パーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を いて測定した。

 測定条件は以下の通りである。

 溶媒:   メチレンクロライド
 カラム:  Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株 )製を3本接続して使用した)
 カラム温度:25℃
 試料濃度: 0.1質量%
 検出器:  RI Model 504(GLサイエンス社製)
 ポンプ:  L6000(日立製作所(株)製)
 流量:   1.0ml/min
 校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポ スチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000~500の13サン ルによる校正曲線を使用した。13サンプルは 、ほぼ等間隔に用いる。

 本発明に用いられる低分子量の重合体Yは 、芳香環を有さないエチレン性不飽和モノマ ーYaを重合して得られた重量平均分子量500以 3000以下の重合体である。重量平均分子量500 以上であれば重合体の残存モノマーが減少し 好ましい。

 また、3000以下とすることは、リターデー ション値Rt低下性能を維持するために好まし 。Yaは、好ましくは芳香環を有さないアク ルまたはメタクリルモノマーである。

 本発明に用いられる重合体Yは、下記一般 式(Y)で表される。

 一般式(Y)
  -[Ya]k-[Yb]q-
 上記一般式(Y)において、Yaは芳香環を有し いエチレン性不飽和モノマーを表し、YbはYa 共重合可能なエチレン性不飽和モノマーを す。k及びqは、各々モル組成比を表す。た し、k≠0、k+q=100である。

 本発明に係る重合体Yにおいて、更に好ま しくは下記一般式(Y-1)で表される重合体であ 。

 一般式(Y-1)
   -[CH 2 -C(-R5)(-CO 2 R6)]k-[Yb]q-
 上記一般式(Y-1)において、R5は、それぞれ水 素原子またはメチル基を表す。R6は炭素数1~12 のアルキル基またはシクロアルキル基を表す 。Ybは、[CH 2 -C(-R5)(-CO 2 R6)]と共重合可能なモノマー単位を表す。k及 qは、それぞれモル組成比を表す。ただしk 0、k+q=100である。

 Ybは、Yaである[CH 2 -C(-R5)(-CO 2 R6)]と共重合可能なエチレン性不飽和モノマ であれば特に制限はない。Ybは複数であって もよい。k+q=100、qは好ましくは1~30である。

 芳香環を有さないエチレン性不飽和モノ ーを重合して得られる重合体Yを構成するエ チレン性不飽和モノマーYaは、アクリル酸エ テルとして、例えば、アクリル酸メチル、 クリル酸エチル、アクリル酸プロピル(i-、n -)、アクリル酸ブチル(n-、i-、s-、t-)、アクリ ル酸ペンチル(n-、i-、s-)、アクリル酸ヘキシ (n-、i-)、アクリル酸ヘプチル(n-、i-)、アク ル酸オクチル(n-、i-)、アクリル酸ノニル(n- i-)、アクリル酸ミリスチル(n-、i-)、アクリ 酸シクロヘキシル、アクリル酸(2-エチルヘ シル)、アクリル酸(ε-カプロラクトン)、ア リル酸(2-ヒドロキシエチル)、アクリル酸(2- ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(3-ヒドロ シプロピル)、アクリル酸(4-ヒドロキシブチ )、アクリル酸(2-ヒドロキシブチル)、メタ リル酸エステルとして、上記アクリル酸エ テルをメタクリル酸エステルに変えたもの; 飽和酸として、例えば、アクリル酸、メタ リル酸、無水マレイン酸、クロトン酸、イ コン酸等を挙げることができる。

 Ybは、Yaと共重合可能なエチレン性不飽和 モノマーであれば特に制限はないが、ビニル エステルとして、例えば、酢酸ビニル、プロ ピオン酸ビニル、酪酸ビニル、吉草酸ビニル 、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カ プリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリス チン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステア リン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビ ニル、オクチル酸ビニル、メタクリル酸ビニ ル、クロトン酸ビニル、ソルビン酸ビニル、 桂皮酸ビニル等が好ましい。Ybは複数であっ もよい。

 重合体X、Yを合成するには、通常の重合 は分子量のコントロールが難しく、分子量 余り大きくしない方法で、かつ出来るだけ 子量を揃えることのできる方法を用いるこ が望ましい。

 かかる重合方法としては、クメンペルオ シドやt-ブチルヒドロペルオキシドのよう 過酸化物重合開始剤を使用する方法、重合 始剤を通常の重合より多量に使用する方法 重合開始剤の他にメルカプト化合物や四塩 炭素等の連鎖移動剤を使用する方法、重合 始剤の他にベンゾキノンやジニトロベンゼ のような重合停止剤を使用する方法、更に 開2000-128911号または同2000-344823号公報にある うな一つのチオール基と2級の水酸基とを有 する化合物、或いは、該化合物と有機金属化 合物を併用した重合触媒を用いて塊状重合す る方法等を挙げることができ、何れも本発明 において好ましく用いられる。

 特に、重合体Yは、分子中にチオール基と 2級の水酸基とを有する化合物を連鎖移動剤 して使用する重合方法が好ましい。この場 、重合体Yの末端には、重合触媒及び連鎖移 剤に起因する水酸基、チオエーテルを有す こととなる。この末端残基により、Yとセル ロースエステルとの相溶性を調整することが できる。

 重合体X及びYの水酸基価は、30~150[mgKOH/g] あることが好ましい。

 (水酸基価の測定方法)
 水酸基価の測定は、JIS K 0070(1992)に準ずる この水酸基価は、試料1gをアセチル化させ とき、水酸基と結合した酢酸を中和するの 必要とする水酸化カリウムのmg数と定義され る。

 具体的には試料Xg(約1g)をフラスコに精秤 、これにアセチル化試薬(無水酢酸20mlにピ ジンを加えて400mlにしたもの)20mlを正確に加 る。フラスコの口に空気冷却管を装着し、9 5~100℃のグリセリン浴にて加熱する。1時間30 後、冷却し、空気冷却管から精製水1mlを加 、無水酢酸を酢酸に分解する。

 次に電位差滴定装置を用いて0.5mol/L水酸 カリウムエタノール溶液で滴定を行い、得 れた滴定曲線の変曲点を終点とする。

 更に空試験として、試料を入れないで滴 し、滴定曲線の変曲点を求める。水酸基価 、次の式によって算出する。

   水酸基価={(B-C)×f×28.05/X}+D
 式中、Bは空試験に用いた0.5mol/Lの水酸化カ ウムエタノール溶液の量(ml)、Cは滴定に用 た0.5mol/Lの水酸化カリウムエタノール溶液の 量(ml)、fは0.5mol/L水酸化カリウムエタノール 液のファクター、Dは酸価、また、28.05は水 化カリウムの1mol量56.11の1/2を表す。

 上述の重合体X、重合体Yは何れもセルロ スエステルとの相溶性に優れ、蒸発や揮発 なく生産性に優れ、偏光板用保護フィルム しての保留性がよく、透湿度が小さく、寸 安定性に優れている。

 重合体Xと重合体YのB層中での含有量は、下 式(i)、式(ii)を満足する範囲であることが好 ましい。重合体Xの含有量をXg(質量%=(重合体X 質量/セルロースエステルの質量)×100)、重 体Yの含有量をYg(質量%)とすると、
 式(i) 5≦Xg+Yg≦35(質量%)
 式(ii) 0.05≦Yg/(Xg+Yg)≦0.4
 式(i)の(Xg+Yg)の好ましい範囲は、10~35質量%で ある。重合体Xと重合体Yは、セルロースエス ル全質量に対し、総量として5質量%以上で れば、リターデーション値Rtの調整に十分な 作用をする。また、総量として35質量%以下で あれば、偏光子PVAとの接着性が良好である。

 重合体Xと重合体Yは、後述するドープ液 構成する素材として直接添加、溶解するか もしくはセルロースエステルを溶解する有 溶媒に予め溶解した後ドープ液に添加する とができる。

 〈フラノース構造もしくはピラノース構造 有する化合物〉
 本発明のB層は、(メタ)アクリル系重合体と に、フラノース構造もしくはピラノース構 を1個有す化合物(A)中のOH基のすべてもしく 一部をエステル化したエステル化化合物、 いは、フラノース構造もしくはピラノース 造の少なくとも1種を2個以上、12個以下結合 した化合物(B)中のOH基のすべてもしくは一部 エステル化したエステル化化合物を含むこ が好ましい。

 本発明においては、上記化合物(A)のエス ル化化合物及び上記化合物(B)のエステル化 合物を総称して、糖エステル化合物とも称 。

 また、前記エステル化化合物が単糖類(α-グ ルコース、βフルクトース)の安息香酸エステ ル、もしくは前記一般式(A)で表される、単糖 類の-OR 12 、-OR 15 、-OR 22 、-OR 25 の任意の2箇所以上が脱水縮合して生成したm+ n=2~12の多糖類の安息香酸エステルであること が好ましい。

 上記一般式中の安息香酸は更に置換基を していてもよく、例えばアルキル基、アル ニル基、アルコキシル基、フェニル基が挙 られ、更にこれらのアルキル基、アルケニ 基、フェニル基は置換基を有していてもよ 。

 好ましい化合物(A)及び化合物(B)の例とし は、例えば以下のようなものを挙げること できるが、本発明はこれらに限定されるも ではない。

 化合物(A)の例としては、グルコース、ガ クトース、マンノース、フルクトース、キ ロース、或いはアラビノースが挙げられる

 化合物(B)の例としては、ラクトース、ス ロース、ニストース、1F-フラクトシルニス ース、スタキオース、マルチトール、ラク トール、ラクチュロース、セロビオース、 ルトース、セロトリオース、マルトトリオ ス、ラフィノース或いはケストース挙げら る。

 このほか、ゲンチオビオース、ゲンチオ リオース、ゲンチオテトラオース、キシロ リオース、ガラクトシルスクロースなども げられる。

 これらの化合物(A)及び化合物(B)の中で、 にフラノース構造とピラノース構造を両方 する化合物が好ましい。例としてはスクロ ス、ケストース、ニストース、1F-フラクト ルニストース、スタキオースなどが好まし 、更に好ましくは、スクロースである。

 また、化合物(B)において、フラノース構 もしくはピラノース構造の少なくとも1種を 2個以上、3個以下結合した化合物であること 、好ましい態様の1つである。

 本発明に係る化合物(A)及び化合物(B)中のO H基のすべてもしくは一部をエステル化する に用いられるモノカルボン酸としては、特 制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸 脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボ 酸等を用いることができる。用いられるカ ボン酸は1種類でもよいし、2種以上の混合で あってもよい。

 好ましい脂肪族モノカルボン酸としては 酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉 酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸 ペラルゴン酸、カプリン酸、2-エチル-ヘキ ンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸 トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシ 酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステ リン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘ 酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタ サン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセ 酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレ ン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン 、アラキドン酸、オクテン酸等の不飽和脂 酸等を挙げることができる。

 好ましい脂環族モノカルボン酸の例とし は、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘ サンカルボン酸、シクロオクタンカルボン 、またはそれらの誘導体を挙げることがで る。

 好ましい芳香族モノカルボン酸の例とし は、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸の ンゼン環にアルキル基、アルコキシ基を導 した芳香族モノカルボン酸、ケイ皮酸、ベ ジル酸、ビフェニルカルボン酸、ナフタリ カルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベ ゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン 酸、またはそれらの誘導体を挙げることがで き、より、具体的には、キシリル酸、ヘメリ ト酸、メシチレン酸、プレーニチル酸、γ-イ ソジュリル酸、ジュリル酸、メシト酸、α-イ ソジュリル酸、クミン酸、α-トルイル酸、ヒ ドロアトロパ酸、アトロパ酸、ヒドロケイ皮 酸、サリチル酸、o-アニス酸、m-アニス酸、p- アニス酸、クレオソート酸、o-ホモサリチル 、m-ホモサリチル酸、p-ホモサリチル酸、o- ロカテク酸、β-レソルシル酸、バニリン酸 イソバニリン酸、ベラトルム酸、o-ベラト ム酸、没食子酸、アサロン酸、マンデル酸 ホモアニス酸、ホモバニリン酸、ホモベラ ルム酸、o-ホモベラトルム酸、フタロン酸、 p-クマル酸を挙げることができるが、特に安 香酸が好ましい。

 上記化合物(A)及び化合物(B)をエステル化 たエステル化化合物の中では、エステル化 よりアセチル基が導入されたアセチル化化 物が好ましい。

 これらアセチル化化合物の製造方法は、 えば、特開平8-245678号公報に記載されてい 。

 上記化合物(A)及び化合物(B)のエステル化 合物に加えて、オリゴ糖のエステル化化合 を、本発明に係るフラノース構造もしくは ラノース構造の少なくとも1種を3~12個結合 た化合物として適用できる。

 オリゴ糖は、澱粉、ショ糖等にアミラー 等の酵素を作用させて製造されるもので、 発明に適用できるオリゴ糖としては、例え 、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、 ラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシ オリゴ糖が挙げられる。

 オリゴ糖も上記化合物(A)及び化合物(B)と 様な方法でアセチル化できる。

 次に、エステル化化合物の製造例の一例 記載する。

 グルコース(29.8g、166mmol)にピリジン(100ml) 加えた溶液に無水酢酸(200ml)を滴下し、24時 反応させた。その後、エバポレートで溶液 濃縮し氷水へ投入した。

 1時間放置した後、ガラスフィルターにて ろ過し、固体と水を分離し、ガラスフィルタ ー上の固体をクロロホルムに溶かし、これが 中性になるまで冷水で分液した。

 有機層を分離後、無水硫酸ナトリュウム より乾燥した。無水硫酸ナトリュウムをろ により除去した後、クロロホルムをエバポ ートにより除き、更に減圧乾燥することに りグリコースペンタアセテート(58.8g、150mmol 、90.9%)を得た。尚、上記無水酢酸の替わりに 、上述のモノカルボン酸を使用することがで きる。

 以下に、本発明に用いられるエステル化 合物の具体例を挙げるが、本発明はこれに 定されるものではない。

 本発明のB層は、エステル化化合物を1~30 量%含むことが好ましく、特には、5~30質量% むことが好ましい。この範囲内であれば、 発明の優れた効果を呈すると共に、ブリー アウトなどもなく好ましい。

 また、(メタ)アクリル系重合体とフラノ ス構造もしくはピラノース構造を1個有す化 物(A)中の、或いは、フラノース構造もしく ピラノース構造の少なくとも1種を2~12個結 した化合物(B)中のOH基のすべてもしくは一部 をエステル化したエステル化化合物と前述の 他の可塑剤を併用することができる。

 また、これらのB層には必要に応じて微粒 子を添加することもできる。微粒子としては 、無機化合物の例として、二酸化珪素、二酸 化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニ ウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タ ルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カ ルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸ア ルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸 カルシウムを挙げることができる。

 微粒子の一次粒子の平均粒径は5~400nmが好 ましく、更に好ましいのは10~300nmである。こ らは主に粒径0.05~0.3μmの2次凝集体として含 されていてもよく、平均粒径100~400nmの粒子 あれば凝集せずに一次粒子として含まれて ることも好ましい。偏光板保護フィルム中 これらの微粒子の含有量は0.01~1質量%である ことが好ましく、特に0.05~0.5質量%が好ましい 。

 二酸化珪素の微粒子は、例えば、アエロ ルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、 OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)の商品 で市販されており、使用することができる

 酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、 エロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株 )製)の商品名で市販されており、使用するこ ができる。

 また、ポリマー型微粒子を添加しても良 。ポリマーの例として、シリコーン樹脂、 ッ素樹脂及びアクリル樹脂を挙げることが きる。シリコーン樹脂が好ましく、特に三 元の網状構造を有するものが好ましく、例 ば、トスパール103、同105、同108、同120、同1 45、同3120及び同240(以上東芝シリコーン(株)製 )の商品名で市販されており、使用すること できる。

 無機、有機いずれの微粒子においても、 発明における微粒子は、B層の平均屈折率に 近いことがヘイズを低下する上で好ましい。

 更に、紫外線吸収剤を含んでも良い。紫 線吸収剤としては、着色がなく、透明性に れるなどの、光学フィルムに適性のある材 が好ましい。例えばオキシベンゾフェノン 化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サ チル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン 化合物、シアノアクリレート系化合物、ニ ケル錯塩系化合物などが挙げられる。又、 開2002-169020号、特開2006-113175号等に記載の高 分子紫外線吸収剤も好ましく用いられる。

 その他の成分として、酸化防止剤、帯電 止剤、滑材、離型材、着色剤、着色防止剤 難燃剤などを含んでも良い。特に、溶融流 製膜によって作製する場合には、酸化防止 を導入することが好ましく、特にフィルム 透明性を最大限に引き上げる方法として、 記微粒子の代わりとして、滑材、離型材も ましく用いられる。

 また、B層のいずれかの面に、帯電防止層 、滑性層、易接着層を設けても良い。

 (B層の製造方法)
 次いで、本発明のB層の好ましい一実施形態 であるセルロースエステルフィルムの製造方 法について説明する。

 本発明に係るセルロースエステルフィル は溶液流延法で製造されたフィルムであっ も溶融流延法で製造されたフィルムであっ も好ましく用いることができる。

 溶液流延法によるセルロースエステルフ ルムの製造は、セルロースエステル及び前 添加剤を溶剤に溶解させてドープを調製す 工程、ドープを無限に移行する無端の金属 持体上に流延する工程、流延したドープを ェブとして乾燥する工程、金属支持体から 離する工程、延伸または幅保持する工程、 に乾燥する工程、仕上がったフィルムを巻 る工程により行われる。

 ドープを調製する工程について述べる。 ープ中のセルロースエステルの濃度は、濃 方が金属支持体に流延した後の乾燥負荷が 減できて好ましいが、セルロースエステル 濃度が濃過ぎると濾過時の負荷が増えて、 過精度が悪くなる。これらを両立する濃度 しては、10~35質量%が好ましく、更に好まし は、15~25質量%である。

 ドープで用いられる溶剤は、単独で用い も2種以上を併用してもよいが、セルロース エステルの良溶剤と貧溶剤を混合して使用す ることが生産効率の点で好ましく、良溶剤が 多い方がセルロースエステルの溶解性の点で 好ましい。

 良溶剤と貧溶剤の混合比率の好ましい範 は、良溶剤が70~98質量%であり、貧溶剤が2~30 質量%である。良溶剤、貧溶剤とは、使用す セルロースエステルを単独で溶解するもの 良溶剤、単独で膨潤するかまたは溶解しな ものを貧溶剤と定義している。

 そのため、セルロースエステルの平均酢 度(アセチル基置換度)によっては、良溶剤 貧溶剤が変わり、例えばアセトンを溶剤と て用いる時には、セルロースエステルの酢 エステル(アセチル基置換度2.4)、セルロース アセテートプロピオネートでは良溶剤になり 、セルロースの酢酸エステル(アセチル基置 度2.8)では貧溶剤となる。

 良溶剤は特に限定されないが、メチレン ロライド等の有機ハロゲン化合物やジオキ ラン類、アセトン、酢酸メチル、アセト酢 メチル等が挙げられる。特に好ましくはメ レンクロライドまたは酢酸メチルが挙げら る。

 また、貧溶剤は特に限定されないが、例 ば、メタノール、エタノール、n-ブタノー 、シクロヘキサン、シクロヘキサノン等が ましく用いられる。

 また、セルロースエステルの溶解に用い れる溶媒は、フィルム製膜工程で乾燥によ フィルムから除去された溶媒を回収し、こ を再利用して用いられる。回収溶剤中に、 ルロースエステルに添加されている添加剤 例えば可塑剤、紫外線吸収剤、ポリマー、 ノマー成分などが微量含有されていること あるが、これらが含まれていても好ましく 利用することができるし、必要であれば精 して再利用することもできる。

 上記記載のドープを調製する時の、セル ースエステルの溶解方法としては、一般的 方法を用いることができる。加熱と加圧を み合わせると常圧における沸点以上に加熱 きる。

 溶剤の常圧での沸点以上でかつ加圧下で 剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら 拌溶解すると、ゲルやママコと呼ばれる塊 未溶解物の発生を防止するため好ましい。 た、セルロースエステルを貧溶剤と混合し 湿潤或いは膨潤させた後、更に良溶剤を添 して溶解する方法も好ましく用いられる。

 加圧は窒素ガス等の不活性気体を圧入す 方法や、加熱によって溶剤の蒸気圧を上昇 せる方法によって行ってもよい。加熱は外 から行うことが好ましく、例えばジャケッ タイプのものは温度コントロールが容易で ましい。

 溶剤を添加しての加熱温度は、高い方が ルロースエステルの溶解性の観点から好ま いが、加熱温度が高過ぎると必要とされる 力が大きくなり生産性が悪くなる。好まし 加熱温度は45~120℃であり、60~110℃がより好 しく、70℃~105℃が更に好ましい。また、圧 は設定温度で溶剤が沸騰しないように調整 れる。

 もしくは冷却溶解法も好ましく用いられ これによって酢酸メチルなどの溶媒にセル ースエステルを溶解させることができる。

 次に、このセルロースエステル溶液を濾 等の適当な濾過材を用いて濾過する。濾過 としては、不溶物等を除去するために絶対 過精度が小さい方が好ましいが、絶対濾過 度が小さ過ぎると濾過材の目詰まりが発生 易いという問題がある。

 このため絶対濾過精度0.008mm以下の濾材が 好ましく、0.001~0.008mmの濾材がより好ましく 0.003~0.006mmの濾材が更に好ましい。

 濾材の材質は特に制限はなく、通常の濾 を使用することができるが、ポリプロピレ 、テフロン(登録商標)等のプラスチック製 濾材や、ステンレススティール等の金属製 濾材が繊維の脱落等がなく好ましい。濾過 より、原料のセルロースエステルに含まれ いた不純物、特に輝点異物を除去、低減す ことが好ましい。

 輝点異物とは、2枚の偏光板をクロスニコル 状態にして配置し、その間に光学フィルム等 を置き、一方の偏光板の側から光を当てて、 他方の偏光板の側から観察した時に反対側か らの光が漏れて見える点(異物)のことであり 径が0.01mm以上である輝点数が200個/cm 2 以下であることが好ましい。より好ましくは 100個/cm 2 以下であり、更に好ましくは50個/m 2 以下であり、更に好ましくは0~10個/cm 2 以下である。また、0.01mm以下の輝点も少ない 方が好ましい。

 ドープの濾過は通常の方法で行うことが きるが、溶剤の常圧での沸点以上で、かつ 圧下で溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱 ながら濾過する方法が、濾過前後の濾圧の (差圧という)の上昇が小さく、好ましい。 ましい温度は45~120℃であり、45~70℃がより好 ましく、45~55℃であることが更に好ましい。

 濾圧は小さい方が好ましい。濾圧は1.6MPa 下であることが好ましく、1.2MPa以下である とがより好ましく、1.0MPa以下であることが に好ましい。

 ここで、ドープの流延について説明する

 流延(キャスト)工程における金属支持体 、表面を鏡面仕上げしたものが好ましく、 属支持体としては、ステンレススティール ルトもしくは鋳物で表面をメッキ仕上げし ドラムが好ましく用いられる。キャストの は1~4mとすることができる。

 流延工程の金属支持体の表面温度は-50℃~ 溶剤の沸点未満の温度で、温度が高い方がウ ェブの乾燥速度が速くできるので好ましいが 、余り高過ぎるとウェブが発泡したり、平面 性が劣化する場合がある。

 好ましい支持体温度は0~40℃であり、5~30 が更に好ましい。或いは、冷却することに ってウェブをゲル化させて残留溶媒を多く んだ状態でドラムから剥離することも好ま い方法である。

 金属支持体の温度を制御する方法は特に 限されないが、温風または冷風を吹きかけ 方法や、温水を金属支持体の裏側に接触さ る方法がある。温水を用いる方が熱の伝達 効率的に行われるため、金属支持体の温度 一定になるまでの時間が短く好ましい。温 を用いる場合は目的の温度よりも高い温度 風を使う場合がある。

 セルロースエステルフィルムが良好な平 性を示すためには、金属支持体からウェブ 剥離する際の残留溶媒量は10~150質量%が好ま しく、更に好ましくは20~40質量%または60~130質 量%であり、特に好ましくは、20~30質量%また 70~120質量%である。

 本発明においては、残留溶媒量は下記式 定義される。

 残留溶媒量(質量%)={(M-N)/N}×100
 尚、Mはウェブまたはフィルムを製造中また は製造後の任意の時点で採取した試料の質量 で、NはMを115℃で1時間の加熱後の質量である 。

 また、セルロースエステルフィルムの乾 工程においては、ウェブを金属支持体より 離し、更に乾燥し、残留溶媒量を1質量%以 にすることが好ましく、更に好ましくは0.1 量%以下であり、特に好ましくは0~0.01質量%以 下である。

 フィルム乾燥工程では一般にロール乾燥 式(上下に配置した多数のロールにウェブを 交互に通し乾燥させる方式)やテンター方式 ウェブを搬送させながら乾燥する方式が採 れる。

 本発明に係るセルロースエステルフィル を作製するためには、ウェブの両端をクリ プ等で把持するテンター方式で幅方向(横方 向)に延伸を行うことが特に好ましい。剥離 力は300N/m以下で剥離することが好ましい。

 ウェブを乾燥させる手段は特に制限なく 一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイ ロ波等で行うことができるが、簡便さの点 熱風で行うことが好ましい。

 ウェブの乾燥工程における乾燥温度は40~2 00℃で段階的に高くしていくことが好ましい

 セルロースエステルフィルムの膜厚は、 に限定はされないが10~200μmが用いられる。 に膜厚は10~100μmであることが特に好ましい 更に好ましくは20~60μmである。

 セルロースエステルフィルムは、幅1~4mの ものが用いられる。特に幅1.4~4mのものが好ま しく用いられ、特に好ましくは1.6~3mである。 4mを超えると搬送が困難となる。

 (延伸操作、屈折率制御)
 本発明のB層は、リターデーション値Ro、Rt Ro=0~50nm、Rt=80~150nmであることが好ましい。

 前記(メタ)アクリル系重合体とフラノー 構造もしくはピラノース構造を有する化合 を組み合わせ、適宜含有させることにより 所望のリターデーションだけでなく、波長 散性も調整することが可能となる。

 延伸操作は、無延伸のB層上にA層を積層 た後に一度にまとめて行うこともできるが あらかじめB層のみを延伸しておき、さらにA 層を積層した後に再び延伸することで所望の リターデーションを調整することができる。

 上記リターデーション値Ro、Rtを得るには 、B層であるセルロースエステルフィルムが 発明の構成をとり、更に延伸操作により屈 率制御を行うことが好ましい。

 例えばフィルムの長手方向(製膜方向)及 それとフィルム面内で直交する方向、即ち 手方向に対して、逐次または同時に2軸延伸 しくは1軸延伸することができる。

 互いに直交する2軸方向の延伸倍率は、そ れぞれ最終的には流延方向に0.8~2.0倍、幅方 に1.1~2.5倍の範囲とすることが好ましく、流 方向に0.8~1.5倍、幅方向に1.2~2.0倍の範囲で うことが好ましい。

 延伸温度は120℃~200℃が好ましく、さらに 好ましくは160℃~200℃以下で延伸するのが好 しい。

 ウェブを延伸する方法には特に限定はな 。例えば、複数のロールに周速差をつけ、 の間でロール周速差を利用して縦方向に延 する方法、ウェブの両端をクリップやピン 固定し、クリップやピンの間隔を進行方向 広げて縦方向に延伸する方法、同様に横方 に広げて横方向に延伸する方法、或いは縦 同時に広げて縦横両方向に延伸する方法な が挙げられる。

 もちろんこれ等の方法は、組み合わせて いてもよい。また、所謂テンター法の場合 リニアドライブ方式でクリップ部分を駆動 ると滑らかな延伸を行うことができ、破断 の危険性が減少できるので好ましい。

 製膜工程のこれらの幅保持或いは横方向 延伸はテンターによって行うことが好まし 、ピンテンターでもクリップテンターでも い。

 〈B層に用いられる他の樹脂〉
 B層は、セルロースエステル系樹脂以外に、 ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、 オレフィン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂 、及びポリエステル系樹脂から選ばれる少な くとも1種の樹脂を用いることも好ましい。

 下記樹脂を用いた本発明に係るB層は、セ ルロースエステルフィルムと同様に溶液流延 法で製造されたフィルムであっても溶融流延 法で製造されたフィルムでもよい。

 (オレフィン系樹脂)
 オレフィン系樹脂は、特に、ポリプロピレ やポリエチレン樹脂が好適に用いられるが これらに限定されるものではない。また、 れらの樹脂には、相溶性のある2種類以上の 樹脂が用いられてもよい。具体例として、特 開2007-316603号公報等に記載の化合物を挙げる とができる。

 (シクロオレフィン系樹脂)
 シクロオレフィン系樹脂について説明する 本発明に用いられるシクロオレフィン系樹 は脂環式構造を含有する重合体樹脂からな ものである。好ましいシクロオレフィン樹 は、環状オレフィンを重合又は共重合した 脂である。環状オレフィンとしては、ノル ルネン、ジシクロペンタジエン、テトラシ ロドデセン、エチルテトラシクロドデセン エチリデンテトラシクロドデセン、テトラ クロ〔7.4.0.110,13.02,7〕トリデカ-2,4,6,11-テト エンなどの多環構造の不飽和炭化水素及び の誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、 シクロヘキセン、3,4-ジメチルシクロペンテ 、3-メチルシクロヘキセン、2-(2-メチルブチ )-1-シクロヘキセン、シクロオクテン、3a,5,6 ,7a-テトラヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデン、シ ロヘプテン、シクロペンタジエン、シクロ キサジエンなどの単環構造の不飽和炭化水 及びその誘導体等が挙げられる。これら環 オレフィンには置換基として極性基を有し いてもよい。極性基としては、ヒドロキシ 基、カルボキシル基、アルコキシル基、エ キシ基、グリシジル基、オキシカルボニル 、カルボニル基、アミノ基、エステル基、 ルボン酸無水物基などが挙げられ、特に、 ステル基、カルボキシル基又はカルボン酸 水物基が好適である。

 好ましいシクロオレフィン樹脂は、環状 レフィン以外の単量体を付加共重合したも であってもよい。付加共重合可能な単量体 しては、エチレン、プロピレン、1-ブテン 1-ペンテンなどのエチレン又はα-オレフィン ;1,4-ヘキサジエン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン 、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、1,7-オクタジエ などのジエン等が挙げられる。

 環状オレフィンは、付加重合反応或いはメ セシス開環重合反応によって得られる。重 は触媒の存在下で行われる。付加重合用触 として、例えば、バナジウム化合物と有機 ルミニウム化合物とからなる重合触媒など 挙げられる。開環重合用触媒として、ルテ ウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム イリジウム、白金などの金属のハロゲン化 、硝酸塩又はアセチルアセトン化合物と、 元剤とからなる重合触媒;或いは、チタン、 バナジウム、ジルコニウム、タングステン、 モリブデンなどの金属のハロゲン化物又はア セチルアセトン化合物と、有機アルミニウム 化合物とからなる重合触媒などが挙げられる 。重合温度、圧力等は特に限定されないが、 通常-50℃~100℃の重合温度、0~490N/cm 2 の重合圧力で重合させる。

 シクロオレフィン系樹脂は、環状オレフ ンを重合又は共重合させた後、水素添加反 させて、分子中の不飽和結合を飽和結合に えたものであることが好ましい。水素添加 応は、公知の水素化触媒の存在下で、水素 吹き込んで行う。水素化触媒としては、酢 コバルト/トリエチルアルミニウム、ニッケ ルアセチルアセトナート/トリイソブチルア ミニウム、チタノセンジクロリド/n-ブチル チウム、ジルコノセンジクロリド/sec-ブチル リチウム、テトラブトキシチタネート/ジメ ルマグネシウムの如き遷移金属化合物/アル ル金属化合物の組み合わせからなる均一系 媒;ニッケル、パラジウム、白金などの不均 一系金属触媒;ニッケル/シリカ、ニッケル/け い藻土、ニッケル/アルミナ、パラジウム/カ ボン、パラジウム/シリカ、パラジウム/け 藻土、パラジウム/アルミナの如き金属触媒 担体に担持してなる不均一系固体担持触媒 どが挙げられる。

 或いは、シクロオレフィン系樹脂として 下記のノルボルネン系樹脂も挙げられる。 ルボルネン系樹脂は、ノルボルネン骨格を り返し単位として有していることが好まし 、その具体例としては、例えば特開昭62-2524 06号公報、特開昭62-252407号公報、特開平2-13341 3号公報、特開昭63-145324号公報、特開昭63-26462 6号公報、特開平1-240517号公報、特公昭57-8815 公報、特開平5-2108号公報、特開平5-39403号公 、特開平5-43663号公報、特開平5-43834号公報 特開平5-70655号公報、特開平5-279554号公報、 開平6-206985号公報、特開平7-62028号公報、特 平8-176411号公報、特開平9-241484号公報、特開2 001-277430号公報、特開2003-139950号公報、特開200 3-14901号公報、特開2003-161832号公報、特開2003-1 95268号公報、特開2003-211588号公報、特開2003-211 589号公報、特開2003-268187号公報、特開2004-13320 9号公報、特開2004-309979号公報、特開2005-121813 公報、特開2005-164632号公報、特開2006-72309号 報、特開2006-178191号公報、特開2006-215333号公 報、特開2006-268065号公報、特開2006-299199号公 等に記載されたものが挙げられるが、これ に限定されるものではない。又、これらは 1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用 してもよい。具体的には、日本ゼオン(株)製 オネックス、ゼオノア、JSR(株)製アートン 三井化学(株)製アペル(APL8008T、APL6509T、APL6013 T、APL5014DP、APL6015T)などが好ましく用いられ 。

 シクロオレフィン系樹脂の分子量は、使 目的に応じて適宜選択されるが、シクロヘ サン溶液(重合体樹脂が溶解しない場合はト ルエン溶液)のゲル・パーミエーション・ク マトグラフ法で測定したポリイソプレン又 ポリスチレン換算の重量平均分子量で、通 、5000~500000、好ましくは8000~200000、より好ま くは10000~100000の範囲である時に、成形体の 械的強度、及び成形加工性とが高度にバラ スされて好適である。

 (ポリカーボネート系樹脂)
 ポリカーボネート系樹脂に付き説明する。 リカーボネート系樹脂としては種々があり 化学的性質及び物性の点から芳香族ポリカ ボネートが好ましく、特にビスフェノールA 系ポリカーボネートが好ましい。その中でも 更に好ましくはビスフェノールAにベンゼン 、シクロヘキサン環、叉は脂肪族炭化水素 などを導入したビスフェノールA誘導体を用 たものが挙げられるが、特に中央炭素に対 て非対称にこれらの基が導入された誘導体 用いて得られた、単位分子内の異方性を減 させた構造のポリカーボネートが好ましい 例えばビスフェノールAの中央炭素の2個の チル基をベンゼン環に置き換えたもの、ビ フェノールAのそれぞれのベンゼン環の一の 素をメチル基やフェニル基などで中央炭素 対し非対称に置換したものを用いて得られ ポリカーボネート樹脂が好ましい。具体的 は、4,4″-ジヒドロキシジフェニルアルカン 又はこれらのハロゲン置換体からホスゲン法 又はエステル交換法によって得られるもので あり、例えば4,4″-ジヒドロキシジフェニル タン、4,4″-ジヒドロキシジフェニルエタン 4,4″-ジヒドロキシジフェニルブタン等を挙 げることが出来る。又、この他にも例えば、 特開2006-215465号公報、特開2006-91836号公報、特 開2005-121813号公報、特開2003-167121号公報等に 載されているポリカーボネート系樹脂が挙 られる。

 (アクリル系樹脂)
 アクリル系樹脂としては、アクリル酸エス ル(例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸 エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n- チル、アクリル酸i-ブチル、アクリル酸t-ブ チル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸n-ヘ シル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アク ル酸n-オクチル、アクリル酸ドデシル、アク リル酸オクタデシル、アクリル酸ブトキシエ チル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベン ジル、アクリル酸ナフチル、アクリル酸グリ シジル、アクリル酸2-ヒドロキシエチル等の クリル酸エステル類、メタクリル酸エチル メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n-ブ ル、メタクリル酸i-ブチル、メタクリル酸t- チル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル n-ヘキシル、メタクリル酸2-エチルヘキシル 、メタクリル酸n-オクチル、メタクリル酸ド シル、メタクリル酸オクタデシル、メタク ル酸ブトキシエチル、メタクリル酸フェニ 、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸ナ チル、メタクリル酸グリシジル、メタクリ 酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸イソ ルニル、メタクリル酸ノルボルニル、メタ リル酸ノルボルニルメチル、メタクリル酸 リシクロ[5.2.1.02.6]デカ-8-イル及びメタクリ 酸トリシクロ[5.2.1.02.6]デカ-4-メチル等のメ クリル酸エステル類)、マレイミド類、マレ ン酸類のアクリル系モノマーを重合または 数を共重合した樹脂を好ましく挙げること できる。

 その他のモノマーとしては、酢酸ビニル 、スチレン類、インデン類等共重合可能な ノマーを使用することができる。

 フィルムが形成可能であればブロック樹 、グラフト樹脂であっても好ましく使用す ことができる。

 アクリル系樹脂にあっては、アクリル系 ノマーが50モル%以上であることが好ましい

 アクリル系樹脂は、前述のアクリル系モ マーを公知の方法で重合することによって 脂とすることができる。例えば、国際公開 許WO/4601号記載の方法を使用することができ る。

 分子量としては、重量平均分子量Mwが3000~ 1000000であり、好ましくは10000~500000である。 膜してフィルムが形成でき、光学用フィル としての強度が保てる分子量であることが 要である。

 アクリル系樹脂は、市販のものを使用す ことができる。

 例えば、デルペット560F、60N、80N、80NA、80 NB、80NL、80NR-S、808N、806K、LP-1、70HD、720V、980N 、981J、982J、SR8500、SR8400、SR8350、SR8200、SR8175 SR8100、SR6500、SR6350、SR6200、SR6175、SRB235、SRB2 15、AS樹脂767、T8701、769、789、783、709、T8707、S EAS、XT753(旭化成ケイカルズ(株)製)、ダイヤナ ールBR50、BR52、BR53、BR60、BR64、BR73、BR75、BR77 BR79、BR80、BR82、BR83、BR85、BR87、BR88、BR90、BR 93、BR95、BR100、BR101、BR102、BR105、BR106、BR107、 BR108、BR112、BR113、BR115、BR116、BR117、BR118、ア リペットVH、MD、MF、V、VH5、IR H70、IR H50、I RH30、IRD70、IR D50、IR D30、IR G504、IR G304、IR K304、IR S404、VR L40(三菱レーヨン(株)製)、ス ミペックスLG35、LG21、LG2、LG、MGSS、MG5、EX、MH 、MHF、MM、HT20Y、HT50Y、HT03Y、HT25X、HT55X、HT01X HT013E(住友化学(株)製)、TXポリマーTX-100S、TX- 320XL、TX-400S、TX-800LF(電気化学工業(株)製)、レ ゼダGP-310S、GP-301(東亞合成(株)製)等を挙げる とができる。

 (ポリエステル系樹脂)
 ポリエステル系樹脂に使用されるモノマー しては、一般的なジカルボン酸又はその誘 体とジアルコールが用いられるが、特にそ らのモノマー末端のカルボン酸基やスルホ 酸基の含有量が少ない方が、荷電性が高く 好なトナーを製造することができる。

 ジカルボン酸及びその誘導体の具体例と ては、芳香族ジカルボン酸として、フタル 、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタ 酸、テレフタル酸ジクロライド、テレフタ 酸ジブロマイド、テレフタル酸ジエチル、 レフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジプロ ル、テレフタル酸ジブチル、イソフタル酸 クロライド、イソフタル酸ジブロマイド、 ソフタル酸ジエチル、イソフタル酸ジメチ 、イソフタル酸ジプロピル、イソフタル酸 ブチル、ナフタレンジカルボン酸、ナフタ 酸無水物、ナフタレンジカルボン酸ジクロ イド、ナフタレンジカルボン酸ジブロマイ 、ナフタレンジカルボン酸ジメチル、ナフ レンジカルボン酸ジエチル、ナフタレンジ ルボン酸ジプロピル、ナフタレンジカルボ 酸ジブチル、ジフェニルジカルボン酸、ジ ェン酸無水物、ジフェニルジカルボン酸ジ ロライド、ジフェニルジカルボン酸ジブロ イド、ジフェニルジカルボン酸ジメチル、 フェニルジカルボン酸ジエチル、ジフェニ ジカルボン酸ジプロピル、ジフェニルジカ ボン酸ジブチル等、脂肪族ジカルボン酸と て、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸 セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、フマ 酸、マレイン酸、イタコン酸、メサコン酸 シトラコン酸、シクロヘキサンジカルボン 、シクロヘキセンジカルボン酸、ダイマー 等が挙げられるがこれらに特に限定されな 。

 ジアルコールの具体例としては、脂肪族 アルコールとして、エチレングリコール、 エチレングリコール、トリエチレングリコ ル、プロピレングリコール、ジプロピレン リコール、ブタンジオール、ペンタンジオ ル、ヘキサンジオール、メチルペンタンジ ール、ノナンジオール、エチルブチルプロ ンジオール、ジメチルプロパンジオール、 クロヘキサンジオール、シクロヘキサンジ タノール、トリシクロデカンジメタノール ネオペンチルグリコール、ブチルエチルヘ サンジオール、ビス(4-ヒドロキシシクロヘ シル)プロパン、ジメチロールヘプタン、ヒ ドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコール エステル等、芳香族ジアルコールとして、キ シレングリコール、フェニレングリコール、 フェニレングリコールのエチレンオキサイド 付加物、ビスフェノールA、ビスフェノールA エチレンオキサイド付加物、ビスフェノー Aのプロピレンオキサイド付加物、ビスフェ ノールAP、ビスフェノールC、ビスフェノール E、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビス フェノールZ及びそれらのエチレンオキサイ 、プロピレンオキサイド付加物等が挙げら るがこれらに限定されない。

 これらのモノマーの他に多価カルボン酸 多価アルコールを添加して用いてもよい。

 多価カルボン酸としてはコハク酸、アジ ン酸、セバシン酸、アゼライン酸、オクチ コハク酸、ベンゼントリカルボン酸、シク ヘキサントリカルボン酸、トリメリット酸 ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカ ボン酸、トリメシン酸及びこれらの酸無水 、ハロゲン化物、低級アルキルエステル等 挙げられる。

 多価アルコールとしてはポリエチレング コール、グリセリン、トリメチロールエタ 、トリメチロールプロパン、ペンタエリス トール、ポリプロピレングリコール、ポリ トラメチレングリコール等が挙げられるが れらに限定されない。

 又、本発明で使用されるポリエステル系 脂は、ポリエステルポリオールとして両末 を水酸基とし、有機ジイソシアネート化合 と反応させることによりウレタン変性させ せたものも用いることができる。

 使用される有機ジイソシアネート化合物 しては、ヘキサメチレンジイソシアネート テトラメチレンジイソシアネート、ジメト シビフェニレンジイソシアネート、キシリ ンジイソシアネート、ジイソシアネートメ ルシクロヘキサン、ジイソシアネートジシ ロヘキサン、ジイソシアネートシクロヘキ ルメタン、イソホロンジイソシアネート、 リレンジイソシアネート、フェニレンジイ シアネート、ジフェニルメタンジイソシア ート、フェニレンジイソシアネート、ナフ レンジイソシアネート、ジメチルビフェニ ンジイソシアネート、ジイソシアネートジ ェニルエーテル等が挙げられるがこれらに 定されない。

 ポリエステルポリオールとしては、ポリ ルボン酸とポリオールとして前述の化合物 使用し、ポリオールとポリカルボン酸の比 は水酸基(OH)とカルボキシル基(COOH)の当量比 (OH)/(COOH)として、通常2/1~1/1が好ましく、1.5/1~ 1/1がより好ましく、1.2/1~1.02/1が更に好ましい 。

 本発明で使用されるポリエステル系樹脂 合成法は特に限定されるものではなく、例 ば常法に従いポリエステル縮重合反応によ て得ることができる。

 ポリエステル系樹脂の重量平均分子量は、 熱保管性及び粉体流動特性、溶融粘性の観 からゲルパーミッションクロマトグラフィ によるポリスチレン換算値として、2×10 2 ~3×10 4 の範囲に極大値を有し、好ましい分子量の極 大値は3×10 3 ~3×10 4 である。

 (A層、B層が積層された位相差フィルム)
 本発明のA層、B層が積層された位相差フィ ムのヘイズは1%未満であることが好ましく0~0 .5%であることが特に好ましい。

 本発明の位相差フィルムの可視光透過率 90%以上であることが好ましく、93%以上であ ことが更に好ましい。

 本発明の位相差フィルムは、液晶表示装 の視野角拡大フィルムとして偏光板に好適 用いることができる。その際、偏光子の少 くとも一方の面に直接貼合し、偏光板保護 ィルムとしての機能も兼ねることができる この場合、B層側を偏光子に貼合することが 好ましい。

 〈偏光板、液晶表示装置〉
 偏光板は一般的な方法で作製することが出 る。本発明のA層、B層が積層された位相差 ィルムのB層側をアルカリ鹸化処理する。ポ ビニルアルコールフィルムをヨウ素溶液中 浸漬延伸して作製した偏光子の少なくとも 方の面に、該鹸化処理した位相差フィルム 、完全鹸化型ポリビニルアルコール水溶液 用いて貼り合わせることが好ましい。もう 方の面にも本発明の位相差フィルムを用い も、別の偏光子保護フィルムを用いてもよ 。A層側を偏光子に貼り合わせる場合は、公 知の接着剤を用いることができるが、水系接 着剤が好ましい。

 裏面側に用いられる偏光子保護フィルム しては、任意の適切な材料が採用され得る このような材料としては、例えば、透明性 機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方 などに優れるプラスチックフィルムが挙げ れる。プラスチックフィルムを構成する樹 の具体例としては、トリアセチルセルロー (TAC)等のアシレート樹脂、ポリエステル樹 、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホ 樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド 脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂 アクリル樹脂、ポリノルボルネン樹脂、セ ロース樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリス レン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポ アクリル樹脂、およびこれらの混合物が挙 られる。また、アクリル系、ウレタン系、 クリルウレタン系、エポキシ系、シリコー 系等の熱硬化性樹脂または紫外線硬化型樹 も用いられ得る。偏光特性および耐久性の 点から、表面をアルカリ等でケン化処理し TACフィルムが好ましい。また、市販のセル ースアシレートフィルムとして、KC8UX、KC4UX KC5UX、KC8UCR3、KC8UCR4、KC8UCR5、KC8UY、KC4UY、KC12 UR、KC4UE、KC8UE、KC8UY-HA、KC8UX-RHA、KC8UXW-RHA-C、K C8UXW-RHA-NC、KC4UXW-RHA-NC(以上、コニカミノルタ プト(株)製)等が好ましく用いられる。

 本発明のA層、B層が積層された位相差フ ルムは工業的には長尺のフィルムとして作 され、同じく長尺のフィルムとして作製さ る偏光子と張り合わせて偏光板を構成する 様が最も有用である。また、偏光板に更に り合わせるなど、偏光子保護フィルムとし の機能を持たない単なる位相差フィルムと て使用することも出来る。

 偏光板の主たる構成要素である偏光子と 、一定方向の偏波面の光だけを通す素子で り、現在知られている代表的な偏光子は、 リビニルアルコール系偏光フィルムで、こ はポリビニルアルコール系フィルムにヨウ を染色させたものと二色性染料を染色させ ものがあるがこれのみに限定されるもので ない。偏光子は、ポリビニルアルコール水 液を製膜し、これを一軸延伸させて染色す か、染色した後一軸延伸してから、好まし はホウ素化合物で耐久性処理を行ったもの 用いられている。偏光子の膜厚は5~30μmの偏 光子が好ましく用いられる。

 本発明の位相差フィルムは、STN、TN、OCB HAN、VA(MVA、PVA)、IPS、FFS、OCBなどの各種駆動 式の液晶表示装置に用いることができる。 ましくはIPS、FFS、VA(MVA,PVA)型液晶表示装置 ある。STN、OCB、TN型液晶表示装置に用いる場 合には、偏光子の吸収軸方向と、各々の延伸 軸が必ずしも平行または直交している必要は なく、ずれている形態も好ましく用いられる 。これらの液晶表示装置に用いることにより 、視野角が広く、正面コントラストの高い視 認性に優れた液晶表示装置を得ることができ る。

 本発明の位相差フィルムをIPS、FFS型液晶 示装置に用いる場合の構成例について説明 る。黒表示時の液晶の遅相軸方向に対して 交する方向に吸収軸を持つように配置され 偏光子と、ガラス基板との間に本発明の積 位相差フィルムを配置する。A層を偏光子側 に配置する場合は、A層の遅相軸と偏光子の 収軸は平行になるように、A層をガラス基板 に配置する場合は、A層の遅相軸と偏光子の 吸収軸は直交になるように配置することで優 れた視野角を得ることができる。

 この場合、B層のリターデーションRo>0nm の場合は、B層の遅相軸とA層の遅相軸を直交 た位相差フィルムが好ましく用いられる。 の時、黒表示時の液晶の遅相軸方向に対し 平行方向に吸収軸を持つように配置される 光子、つまり液晶セルを挟んで反対側に位 する偏光子と、ガラス基板との間に配置す 位相差フィルムは、面内リターデーションR oがほぼゼロであることが好ましい。さらに ましくは、厚み方向のリターデーションRtが |Rt|≦45nmであり、より好ましくは|Rt|≦5nmであ る。このような位相差フィルムは偏光板保護 フィルムを兼ねることもできる。

 以下に実施例を挙げて本発明を具体的に 明するが、本発明はこれらに限定されるも ではない。

 実施例1
 《位相差フィルムの作製》
 〈B層:フィルムB1の作製と延伸〉
 (微粒子分散液)
 微粒子(アエロジル R972V 日本アエロジル( )製)     11質量部
 エタノール                            89質量部
 以上をディゾルバーで50分間攪拌混合した 、マントンゴーリンで分散を行った。

 (インライン添加液)
 メチレンクロライドを入れた溶解タンクに 記セルロースエステルAを添加し、加熱して 完全に溶解させた後、これを安積濾紙(株)製 安積濾紙No.244を使用して濾過した。

 濾過後のセルロースエステル溶液を充分 攪拌しながら、ここに微粒子分散液をゆっ りと添加した。更に、二次粒子の粒径が所 の大きさとなるようにアトライターにて分 を行った。これを日本精線(株)製のファイ メットNFで濾過し、インライン添加液を調製 した。

 メチレンクロライド                        99質量部
 セルロースエステルA                         4質量部
 微粒子分散液                            11質量部
 下記組成の主ドープ液を調製した。まず加 溶解タンクにメチレンクロライドとエタノ ルを添加した。溶剤の入った加圧溶解タン にセルロースエステルAを攪拌しながら投入 した。これを加熱し、攪拌しながら、完全に 溶解し。これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.2 44を使用して濾過し、主ドープ液を調製した

 〈主ドープ液の組成〉
 メチレンクロライド                       380質量部
 エタノール                            70質量部
 セルロースエステルA                       100質量部
 (メタ)アクリル系重合体A                   5.5質量部
 糖エステル化合物A                       5.5質量部
 以上を密閉容器に投入し、加熱し、撹拌し がら、完全に溶解し、安積濾紙(株)製の安 濾紙No.24を使用して濾過し、ドープ液Aを調 した。

 製膜ライン中で日本精線(株)製のファイ メットNFでドープ液を濾過した。インライン 添加液ライン中で、日本精線(株)製のファイ メットNFでインライン添加液を濾過した。 過したドープ液を100質量部に対し、濾過し インライン添加液を2質量部加えて、インラ ンミキサー(東レ静止型管内混合機 Hi-Mixer SWJ)で十分混合し、次いで、ベルト流延装置 用い、温度35℃、2m幅でステンレスバンド支 持体に均一に流延した。ステンレスバンド支 持体で、残留溶剤量が120%になるまで溶媒を 発させ、ステンレスバンド支持体上から剥 した。剥離したセルロースエステルのウェ を50℃で溶媒を蒸発させ、1.65m幅にスリット 、その後、テンターでTD方向(フィルムの搬 方向と直交する方向)に、160℃で1.3倍(30%)に 伸した。120℃の乾燥ゾーンを多数のロール 搬送させながら乾燥を終了させ、1.5m幅にス リットし、フィルム両端に幅15mm、平均高さ10 μmのナーリング加工を施し、平均膜厚が50μm フィルムB1を作製した。フィルム幅は1.5m、 き長は5000m、膜厚は45μm、位相差は下記測定 法によりRo:45nm、Rt:115nmであった。

 以下、実施例に使用した材料である。

 セルロースエステルA:アセチル基置換度1.6 プロピオニル基置換度0.9、総アシル基置換 2.7
 (メタ)アクリル系重合体A:特開2000-128911号公 に記載の重合方法により塊状重合を行った すなわち、攪拌機、窒素ガス導入管、温度 、投入口及び環流冷却管を備えたフラスコ モノマーとしてメチルアクリレートを投入 、窒素ガスを導入してフラスコ内を窒素ガ で置換したチオグリセロールを攪拌下添加 た。

 チオグリセロール添加後、4時間重合を行 い、内容物を室温に戻し、それにベンゾキノ ン5質量%テトラヒドロフラン溶液を20質量部 加し、重合を停止させた。内容物をエバポ ーターに移し、80℃で減圧下、テトラヒドロ フラン、残存モノマー及び残存チオグリセロ ールを除去し、分子量1000の(メタ)アクリル系 重合体Aを得た。

 糖エステル化合物A:糖エステル化合物例示 合物3
 〈位相差フィルム1~8の作製〉
 (塗工液A1~A3)
 メチレンクロライド                       400質量部
 ポリ(N-ビニルカルバゾール)(Mw=110万)          25質量部
 N-アクリロイルモルホリン                    70質量部
 光反応開始剤(イルガキュア184(チバ・ジャ ン(株)製))    5質量部
 上記材料を密閉容器に投入し、過熱、攪拌 ながら完全に溶解して塗工液A1を作製した 前記フィルムB1上に、均一な塗布層となるよ うに塗工液A1をコンマコーターで塗布し、熱 の温度、風速を徐々に強め最終的に80℃で 燥し、紫外線ランプを用い照射部の照度が10 0mW/cm 2 で、照射量を0.2J/cm 2 として塗布層を硬化させ、A1層を作製した。 られた積層体を160℃に加熱しながら、縦延 機を用いてフィルム搬送方向(MD方向)に30%延 伸を行い、位相差フィルム1とした。A1層の膜 厚は15μm、B1層の膜厚は40μmであった。

 更に上記N-アクリロイルモルホリンの代 りに、表1記載のDMAA(N,N-ジメチルアクリルア ド)、またはTHF-A(テトラヒドロフルフリルア クリレート)を用いた塗工液A2、A3を使用した 外は位相差フィルム1と同様にして、位相差 フィルム2、3を作製した。

 〈ポリマーP2の作製〉
 オートクレーブ中にN-ビニルカルバゾール50 質量%、N-アクリロイルモルホリン50質量%の単 量体混合物50質量部と、アゾビスイソブチロ トリル2質量部を加え、トルエン800質量部を 加えて溶解した。密栓した後、60℃の雰囲気 に48時間静置し共重合させた。重合終了後 タノールを添加し、重合体を沈殿させた。 却、濾過、洗浄、乾燥工程を経て白色粉末 してカルバゾール構造単位を含むポリマーP2 を得た。NMRスペクトルから、上記共重合体が N-ビニルカルバゾールとアクリロイルモルホ ンの共重合体であることを確認し、た。上 重合体の組成は略、N-ビニルカルバゾール:N -アクリロイルモルホリン=50:50であった。

 (塗工液A4)
 メチレンクロライド                       400質量部
 ポリマーP2                            50質量部
 アクリロイルモルホリン                      45質量部
 光反応開始剤(イルガキュア184(チバ・ジャ ン(株)製))    5質量部
 上記材料を密閉容器に投入し、過熱、攪拌 ながら完全に溶解して塗工液A4を作製し、 の塗工液を用いた以外は位相差フィルム1と 様にして位相差フィルム4を作製した。

 (塗工液A5)
 メチレンクロライド                       400質量部
 ポリ(N-ビニルカルバゾール)(Mw=110万)          25質量部
 N-アクリロイルモルホリン                     7質量部
 N-ビニルピロリドン                        63質量部
 光反応開始剤(イルガキュア184(チバ・ジャ ン(株)製))    5質量部
 上記材料を密閉容器に投入し、過熱、攪拌 ながら完全に溶解して塗工液A5を作製し、 の塗工液を用いた以外は位相差フィルム1と 様にして位相差フィルム5を作製した。

 (塗工液A6)
 メチレンクロライド                       400質量部
 ポリ(N-ビニルカルバゾール)(Mw=110万)         100質量部
 上記材料を密閉容器に投入し、過熱、攪拌 ながら完全に溶解して塗工液A6を作製した 前記フィルムB1上に、均一な塗布層となるよ うに塗工液A6をコンマコーターで塗布し、熱 の温度、風速を徐々に強め最終的に80℃で 燥した。得られた積層体を250℃に加熱しな ら、縦延伸機を用いて搬送方向(MD方向)に30% 伸を行い、位相差フィルム6とした。

 (塗工液A7)
 メチレンクロライド                       400質量部
 ポリマーP2                           100質量部
 上記材料を密閉容器に投入し、過熱、攪拌 ながら完全に溶解して塗工液A7を作製した 前記フィルムB1上に、均一な塗布層となるよ うに塗工液A7をコンマコーターで塗布し、熱 の温度、風速を徐々に強め最終的に80℃で 燥した。得られた積層体を180℃に加熱しな ら、縦延伸機を用いて搬送方向(MD方向)に30% 伸を行い、位相差フィルム7とした。

 (塗工液A8)
 メチレンクロライド                       400質量部
 ポリ(N-ビニルカルバゾール)(Mw=110万)          90質量部
 ポリ(ビスフェノールAカーボネート)(Mw=64000)      10質量部
 上記材料を密閉容器に投入し、過熱、攪拌 ながら完全に溶解して塗工液A8を作製した 前記フィルムB1上に、均一な塗布層となるよ うに塗工液A8をコンマコーターで塗布し、熱 の温度、風速を徐々に強め最終的に80℃で 燥した。得られた積層体を240℃に加熱しな ら、縦延伸機を用いて搬送方向(MD方向)に30% 伸を行い、位相差フィルム8とした。

 作製した位相差フィルム1~8について下記 法により評価した。

 《評価方法》
 (リターデーションRo、Rtの測定)
 AXOMETRICS社製 AxoScanTMを用い、23℃相対湿度55 %下にて590nmの波長における積層体のミューラ ーマトリクスを測定した。

 その値と、あらかじめ測定しておいた各 の厚みを用いて、解析ソフトMulti-Layer Softwa reによりA層、B層それぞれのRo、Rtを算出した

 ここでいうRo、Rtとは、
 Ro=(nx+ny)×d
 Rt=((nx+ny)/2-nz)×d
で定義される値であり、nxは各層面内におけ 遅相軸方向の屈折率、nyは各層面内におけ 進相軸方向の屈折率、dは各層の厚み(nm)をそ れぞれ表す。

 (膜厚測定)
 フィルムをエポキシ樹脂に包埋したのち、 クロトーム(大和工業社製、RUB-2100)を用いて スライスし、走査電子顕微鏡を用いて断面を 観察し測定した。

 (ヘイズ測定)
 試料を3枚重ねて、ヘイズメーター(T-2600DA、 東京電色製)を用いてヘイズを測定した。2.0% 下であれば実用上問題ないが、1.0%以下であ ることが好ましい。

 (密着性評価)
 位相差フィルムのA層側からカミソリを入れ て、フィルムを20cm×20cmのサイズに断裁し、 の切断面を観察して以下のランクに従い評 した。

 ○:全く剥離なし
 ×:一部あるいは全部が剥離している
 (ロール搬送適性)
 作製した積層位相差フィルムのロール搬送 行い、搬送終了後の様子を観察し、下記の 準でロール搬送適性を評価した。

 ○:塗布層にクラックが全くない
 △:塗布層端部にややクラックが生じる
 ×:塗布層全体にクラックが生じる
 位相差フィルムの構成を表1に、評価結果を 表2に示す。

 表2より、本発明の位相差フィルム1~5は、 カルバゾール構造単位を含むポリマーを単独 で使用した位相差フィルム6、7、及びカルバ ール構造単位を含むポリマーとポリカーボ ートを使用した位相差フィルム8に比較して 、ヘイズが低く、かつロール搬送適正、密着 性に優れることが分かる。

 実施例2
 《偏光板、液晶表示装置への適用》
 〈偏光板の作製〉
 位相差フィルム1~8のセルロースエステル側( B層側)をアルカリ鹸化処理し下記偏光板保護 ィルムとした。次いで厚さ120μmのポリビニ アルコールフィルムを、沃素1kg、ホウ酸4kg 含む水溶液100kgに浸漬し50℃で6倍に延伸し 偏光子を作製し該偏光子の片面に、上記位 差フィルムを完全ケン化型ポリビニルアル ール5%水溶液を粘着剤として、位相差フィル ムの長手方向(搬送方向)と偏光子の延伸方向( 搬送方向)を合わせ、かつB層側が偏光子側に るように各々貼合した。もう一方の面にコ カミノルタタックフィルムKC8UX(コニカミノ タオプト(株)製)を同様にアルカリケン化処 して貼り合わせて偏光板1~8を作製した。

 (リワーク性)
 作製した偏光板を20cm×20cmの大きさの正方形 に断裁し、アクリル系接着剤を用いてA層側 ガラス基板と貼り合わせる。次いで、貼り わせた偏光板を角の部分から5Nの強さでガラ スから剥離したのち、ガラス基板の観察によ り下記の基準でランク付けした。

 ○:完全に剥離
 △:一部剥離残りあり
 ×:前面剥離残り
 〈液晶表示装置の作製と評価〉
 松下電器産業株式会社製液晶テレビVIERALX60( 26インチ)の視認側の偏光板を剥がし、代わり に作製した偏光板1~8を、元の偏光子の軸と同 様になるようにして日東電工株式会社製粘着 剤CS9621を介して貼り合わせ、バックライト側 の偏光板としては、コニカミノルタタックフ ィルムKC4UE(コニカミノルタオプト(株)製)を偏 光板保護フィルムとして用いた偏光板を貼っ て液晶表示装置1~8とした。

 〈正面コントラスト評価〉
 23℃55%RHの環境で、この液晶TVのバックライ を点灯して30分そのまま放置してから測定 行った。測定にはELDIM社製EZ-Contrast160Dを用い て、液晶TVで白表示と黒表示の正面輝度を測 し、その比を正面コントラストとした。値 高い程コントラストに優れている。

 評価結果を表3に示す。

 表3より、本発明の位相差フィルム1~5を使 用した偏光板1~5は、密着性が良好なことから 偏光板リワーク適性に優れることが分かる。 また、本発明の偏光板を用いた液晶表示装置 1~5は、正面コントラストに優れる結果であっ た。

 実施例3
 実施例1のB層:フィルムB1の作製において、 伸倍率を変えた以外は同様にして、膜厚55μm 、位相差Ro:50nm、Rt:120nmのフィルムB2を作製し 。このフィルムB2上に、前記塗工液A3を実施 例1と同様にして塗工、硬化、乾燥を行い厚 10μmのA層を形成した。得られた位相差フィ ム9の位相差は、Ro:50nm、Rt:110nmであった。

 実施例2の偏光板の作製と同様にして、位 相差フィルム9のセルロースエステルフィル 側(B層側)とフィルムB2をアルカリ鹸化処理を 行い、位相差フィルム9、及びフィルムB2の延 伸方向(TD方向)と偏光子の延伸方向(MD方向)が 行するようにあわせ、かつ位相差フィルム9 の場合はB層側が偏光子側となるように各々 合した。もう一方の面にコニカミノルタタ クフィルムKC8UX(コニカミノルタオプト(株)製 )を同様にアルカリケン化処理して貼り合わ て、偏光板9、偏光板B2を作製した。

 位相差フィルム9の搬送適性、密着性、偏 光板9のリワーク性を評価したところ、すべ 問題のないレベルであることを確認した。

 〔液晶表示装置の作製と評価〕
 市販の32型MVA型液晶テレビ(シャープ製アク ス32AD5)の両面の偏光板を剥がして、上記作 の偏光板9、及び偏光板B2を各々両面に貼り けて液晶表示装置9、及び液晶表示装置B2作 した。その際、その偏光板の貼合の向きは 位相差フィルム9のB層側、フィルムB2側が、 液晶セル側となるように、且つ、購入時に予 め貼合されていた偏光板と同一の方向に吸収 軸が向くように行い液晶表示装置9、液晶表 装置B2を作製した。

 〈視野角評価〉
 視野角評価は、上記で得られた液晶表示装 を、ELDIM社製EZ-contrastを用いて視野角を測定 した。視野角の評価としては、液晶パネルの 白表示と黒表示時のコントラスト比が10以上 および反転を起こす領域を示すパネル面に する法線方向からの傾き角の範囲を評価し 。その結果、本発明の液晶表示9は、液晶表 示装置B2に比べて極めて高い視野角改善特性 有していた。

 このように、本発明の位相差フィルムで 、視野角拡大に好適な位相差値を持った位 差フィルムを簡便に作製することができる

 実施例4
 実施例1のセルロースエステルを用いたフィ ルムB1の代わりに、ポリカーボネートフィル 上に前記塗工液A4を用いてA層を形成し位相 フィルムを作製した。また、ノルボルネン ィルム、アクリルフィルム、オレフィンフ ルム、ポリエステルフィルム上にも同様にA 層を形成し位相差フィルムを作製した。これ らの搬送適性、密着性、偏光板のリワーク性 を評価したところ、実施例1を再現しすべて 題のないレベルであることを確認した。