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Patent Searching and Data


Title:
RING OSCILLATOR
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/104358
Kind Code:
A1
Abstract:
A plurality of multistage delay circuits (MD1 to MD5) each have n output terminals (n is a natural number). Each of the multistage delay circuits (MD1 to MD5) delays the input signal and outputs n delayed signals with different delay times from n output terminals. A plurality of inverters (NOR1 to NOR5) invert the inputted signals. The multistage delay circuits (MD1 to MD5) and the inverters (NOR1 to NOR5) are alternately connected in a ring.

Inventors:
YAMAMOTO KAZUHIRO (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/000368
Publication Date:
August 27, 2009
Filing Date:
January 30, 2009
Export Citation:
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Assignee:
ADVANTEST CORP (JP)
YAMAMOTO KAZUHIRO (JP)
International Classes:
H03K3/03; H01L21/822; H01L21/8234; H01L27/04; H01L27/088; H03K3/354; H03K5/13; H03K5/15
Foreign References:
JPH06194417A1994-07-15
JP2000035462A2000-02-02
Attorney, Agent or Firm:
MORISHITA, SAKAKI (JP)
Sakaki Morishita (JP)
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Claims:
 n個(nは自然数)の出力端子を有し、入力信号に遅延を与え、異なる遅延時間が付与されたn個の遅延信号を前記n個の出力端子それぞれから出力するm個(mは自然数)の多段遅延回路と、
 m個のインバータと、
 を備え、
 前記m個の多段遅延回路と前記m個のインバータとを交互にリング状に接続したことを特徴とするリング発振器。
 前記多段遅延回路は、
 MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)と、
 前記MOSFETのドレインソース間に電圧を印加する電圧源と、
 前記MOSFETのゲート電極から引き出された複数のタップと、
 を含み、
 遅延対象の信号を前記MOSFETのゲートにおいて、ゲート幅方向に伝搬させるとともに、前記複数のタップそれぞれから、遅延対象の信号に異なる遅延時間を与えた複数の遅延信号を出力することを特徴とする請求項1に記載のリング発振器。
 前記電圧源は、前記MOSFETのドレイン、ソース、およびバックゲートの少なくともひとつの電圧を調節可能であることを特徴とする請求項2に記載のリング発振器。
 前記MOSFETは、複数個設けられており、各MOSFETのゲート電極は一つの伝送路を形成するように直列に接続されることを特徴とする請求項2に記載のリング発振器。
 複数のMOSFETのドレイン電極同士、ソース電極同士はそれぞれ共通に接続されており、共通のドレイン電圧およびソース電圧が印加されることを特徴とする請求項4に記載のリング発振器。
 複数のMOSFETのドレイン電極およびソース電極の少なくとも一方は、MOSFETごとに個別に設けられており、各電極に対して個別のバイアス電圧を印加可能に構成されることを特徴とする請求項4に記載のリング発振器。
 前記MOSFETのゲートポリシリコン層とオーバーラップするようにゲート幅方向に敷設され、前記ポリシリコン層と電気的に接続される金属配線をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載のリング発振器。
 前記MOSFETの前段に設けられ、前記遅延対象の信号の電圧レベルを調節するレベルシフタをさらに備えることを特徴とする請求項2に記載のリング発振器。
 前記レベルシフタは、前記遅延対象の信号の振幅を小さくすることを特徴とする請求項8に記載のリング発振器。
 前記MOSFETと平行に、前記ゲート幅方向に敷設された隣接配線をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載のリング発振器。
 前記隣接配線にパルス信号を伝搬させ、当該パルス信号と前記遅延対象の信号との位相差を制御することを特徴とする請求項10に記載のリング発振器。
 前記隣接配線を、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を利用して物理的に可動とし、前記MOSFETとの間隔を調節可能に構成したことを特徴とする請求項10に記載のリング発振器。
 信号が伝搬する線路の配線幅が、前記複数のタップ間ごとに異なっていることを特徴とする請求項2に記載のリング発振器。
 各タップの前後で、信号が伝搬する線路の配線幅の総和が保存されることを特徴とする請求項2に記載のリング発振器。
Description:
リング発振器

 本発明は、リング発振器に関する。

 電子回路において、所定の周波数のクロ ク信号や周期信号を得るために、リング発 器が利用される。一般的に、リング発振器 、複数のインバータ(遅延素子)をリング状 接続して構成される。

 この形式のリング発振器では、生成され 周期信号の周波数がインバータの遅延時間 制限される。つまりインバータの遅延時間 り短い周期、もしくはパルス幅を有する周 信号を生成できないという問題があった。

 本発明はこうした課題に鑑みてなされた のであり、その包括的な目的は、インバー の遅延時間よりも短い位相間隔を有する多 クロックの生成回路の提供にある。

 本発明のある態様は、リング発振器に関 る。このリング発振器は、m個(mは自然数)の 多段遅延回路と、m個のインバータと、を備 る。m個の多段遅延回路は、n個(nは自然数)の 出力端子を有し、入力信号に遅延を与え、異 なる遅延時間が付与されたn個の遅延信号をn の出力端子それぞれから出力する。m個の多 段遅延回路とm個のインバータとは交互にリ グ状に接続される。

 この態様によると、周期時間をTpとする き、τ=Tp/(m×n)間隔の遅延シフトを有するm×n の多相クロック信号を生成することができ 。この時間間隔τは、インバータの遅延時 に制限されない。「インバータ」とは、信 の論理レベルを反転する素子を意味し、一 的なインバータの他、NOR(否定論理和)ゲート 、NAND(否定論理積)ゲート、なども含む概念で ある。

 ある態様において、多段遅延回路は、MOSFET( Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)と MOSFETのドレインソース間に電圧を印加する 圧源と、MOSFETのゲート電極から引き出され 複数のタップと、を含んでもよい。遅延対 の信号をMOSFETのゲートにおいて、ゲート幅 向に伝搬させるとともに、複数のタップそ ぞれから、遅延対象の信号に異なる遅延時 を与えた複数の遅延信号を出力してもよい
 この態様によると、ゲート幅方向の抵抗成 と、MOSFETのゲートドレイン間容量、ゲート ース間容量と、によって分布定数線路が形 される。そこで、ゲートドレイン間容量、 ートソース間容量、ゲート幅(チャンネル幅 )、ゲート長(チャンネル長)を適切に設定する ことにより、分布定数線路の抵抗成分、イン ダクタンス成分、容量成分を調節できるため 、所望の遅延時間を得ることができる。この 多段遅延回路を利用することにより、多相ク ロック信号の周期および位相差を高精度に調 節することができる。

 電圧源は、MOSFETのドレイン、ソースおよび ックゲートの少なくともひとつの電圧を調 可能であってもよい。
 ゲートドレイン間容量、ゲートソース間容 はそれぞれ、ゲートドレイン間電圧、ゲー ソース間電圧に依存する。したがって、半 体基板上に遅延回路を作り込んだ後であっ も、ドレイン電圧、ソース電圧を調節する とにより、遅延時間を調節できる。

 ある態様において、MOSFETは複数個設けら ており、各MOSFETのゲート電極は一つの伝送 を形成するように直列に接続されてもよい この場合、MOSFETの個数ならびに各MOSFETのゲ ト幅に応じて遅延量を設計できる。

 複数のMOSFETのドレイン電極同士、ソース 極同士はそれぞれ共通に接続され、共通の レイン電圧およびソース電圧が印加されて よい。

 複数のMOSFETのドレイン電極およびソース電 の少なくとも一方は、MOSFETごとに個別に設 られており、各電極に対して個別のバイア 電圧を印加可能に構成してもよい。
 この場合、各MOSFETのドレイン電圧もしくは ース電圧を独立に制御できるため、より高 度に遅延時間を調節できる。

 ある態様において、多段遅延回路は、MOSFET ゲートポリシリコン層とオーバーラップす ようにゲート幅方向に敷設され、ポリシリ ン層と電気的に接続される金属配線をさら 備えてもよい。
 ゲート電極がポリシリコンで形成される場 、そのシート抵抗の高さゆえに、高速信号 セトリングが困難となり、減衰量も大きく ってしまう。そこで金属配線をポリシリコ と並列な伝搬線路として利用することによ 抵抗値を下げることができる。

 ある態様のリング発振器は、MOSFETの前段に けられ、遅延対象の信号の電圧レベルを調 するレベルシフタをさらに備えてもよい。 ベルシフタは、遅延対象の信号の振幅を小 くしてもよい。
 ゲートソース間容量、ゲートドレイン間容 はそれぞれ、ゲートソース間電圧、ゲート レイン間電圧に依存する。つまりゲートソ ス間容量、ゲートドレイン間容量は、ゲー を伝搬する遅延対象の信号の電圧レベルに 存する。そこで遅延対象の信号の電圧レベ を調節することにより、遅延時間を制御で る。

 信号が伝搬する線路の配線幅が、複数の ップ間ごとに異なっていてもよい。各タッ 間の線路の配線長は等しくてもよい。配線 延素子自体や、遅延回路に接続される回路 たとえば信号を印加する回路、信号を検出 る回路の非線形な特性の影響で、配線長を しくしても遅延量が等しくならない場合が る。この場合に、配線幅を異ならしめるこ によって遅延時間を均一化できる。

 各タップの前後で、信号が伝搬する線路 配線幅の総和を保存してもよい。この場合 信号の分岐にともなう反射を好適に抑制で る。

 なお、以上の構成要素の任意の組合せや 発明の構成要素や表現を、方法、装置など 間で相互に置換したものもまた、本発明の 様として有効である。

 本発明にかかるリング発振器によれば、 相クロック信号を生成できる。

実施の形態に係る遅延回路の構成を示 図である。 図2(a)、(b)は、図1の遅延回路の等価回 図および回路シンボルを示す図である。 図1の遅延回路の変形例を示す図である 。 MOSFETを複数含む遅延回路を示す図であ 。 多段遅延回路の構成を示す図である。 多段遅延回路の別の構成を示す図であ 。 遅延対象の信号が伝搬する線路のパタ ンの変形例を示す図である。 多段遅延回路の構成を示す図である。 図5乃至図8の多段遅延回路の回路シン ルを示す図である。 実施の形態に係る時間デジタル変換器 (TDC:Time to Digital Converter)の構成を示す回路 である。 実施の形態に係る遅延回路を利用した 遅延ロックループ回路の回路図である。 遅延回路の変形例を示す回路図である 。 MOSFETのゲートソース間容量Cgsおよびゲ ートドレイン間容量Cgdを示す図である。 図14(a)、(b)は、図12の遅延回路のタイ チャートである。 実施の形態に係る多段遅延回路を利用 した多相クロック生成回路の構成を示す回路 図である。 図15の多相クロック生成回路のタイム ャートである。 実施の形態に係るリング発振器の構成 を示す回路図である。 図17のリング発振器のタイムチャート ある。 図19(a)~(c)は、隣接配線を利用した遅延 回路の構成を示す図である。 MEMSを利用した遅延回路100dの構成を示 図である。

符号の説明

1…MOSFET、2…半導体基板、4…ソース領域、 6…ドレイン領域、8…ゲート絶縁膜、9…金属 配線、10…ゲート電極、12…バイアス電圧源 20…レベルシフト回路、100…遅延回路、102… 入力端子、104…出力端子、106…バイアス端子 、110…隣接配線、200…多段遅延回路、206…バ イアス端子、300…時間デジタル変換器、200_1 第1多段遅延回路、200_2…第2多段遅延回路、 ENC1…エンコーダ、SMP…サンプリング回路、40 0…半導体試験装置、410…DUT、500…遅延ロッ ループ回路、502…位相比較器、504…LPF、506 遅延時間制御部、600…多相クロック生成回 、602…オシレータ、700…リング発振器。

 以下、本発明を好適な実施の形態をもと 図面を参照しながら説明する。各図面に示 れる同一または同等の構成要素、部材、処 には、同一の符号を付するものとし、適宜 複した説明は省略する。また、実施の形態 、発明を限定するものではなく例示であっ 、実施の形態に記述されるすべての特徴や の組み合わせは、必ずしも発明の本質的な のであるとは限らない。

 本明細書において、「部材Aが部材Bに接 」された状態とは、部材Aと部材Bが物理的に 直接的に接続される場合や、部材Aと部材Bが 電気的な接続状態に影響を及ぼさない他の 材を介して間接的に接続される場合も含む 同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設 られた状態」とは、部材Aと部材C、あるい 部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほ か、電気的な接続状態に影響を及ぼさない他 の部材を介して間接的に接続される場合も含 む。

 また、各図面における部材のサイズ、寸 は理解の容易のために適宜拡大、縮小した のであり、実際のそれとは異なっている。

 まず、実施の形態に係る遅延回路につい 説明する。図1は、実施の形態に係る遅延回 路100の構成を示す。遅延回路100は、MOSFET1、 イアス電圧源12a、12b(以下、必要に応じてバ アス電圧源12と総称する)を備える。バイア 電圧源12a、12bは、MOSFET1のドレインソース間 に電圧を印加する。具体的には、バイアス電 圧源12aは、MOSFET1のソース電極106aにソース電 Vssを、バイアス電圧源12bは、MOSFET1のドレイ ン電極106bにドレイン電圧Vddを供給する。な 、バイアス電圧源12aまたは12bの少なくとも 方を接地としてもよい。MOSFET1は、Nチャンネ ルであるとPチャンネルであるとを問わない なお、本明細書において、「バイアス電圧 とは、MOSFET1のドレイン電圧、ソース電圧、 ックゲート電圧の総称として用いるものと る。

 MOSFET1のデバイス構造は、一般的なMOSFETと 変わることはないため、簡単に説明する。す なわちMOSFET1は、シリコンなどの半導体基板2 に形成されたソース領域4、ドレイン領域6 ゲート絶縁膜8を備える。ゲート絶縁膜8上に は、ゲート電極10が形成される。本実施の形 では、MOSFET1のゲート電極10を伝送線路とし 利用し、遅延対象の入力信号INをMOSFET1のゲ トにおいて、ゲート幅方向(y方向)に伝搬さ る。具体的には、MOSFET1のゲート電極10の一 に入力端子102を、他方に出力端子104を設け 入力端子102に入力信号INを与えることによ 、出力端子104から遅延された出力信号OUTを る。

 図2(a)、(b)は、図1の遅延回路100の等価回 図および回路シンボルを示す図である。図1 遅延回路100は、図2(a)に示すように、分布定 数回路で表すことができる。つまり、数百MHz ~数GHzの周波数に対して、信号の伝搬方向に 抵抗成分Rとインダクタンス成分Lが存在する 。抵抗成分Rとインダクタンス成分Lは、周波 に応じていずれかまたは両方が支配的とな 。また、MOSFET1のゲートソース間にはゲート ソース間容量Cgsが存在し、ゲートドレイン間 にはゲートドレイン間容量Cgdが存在するため 、線路と接地間にはキャパシタ成分Cが存在 る。

 高周波信号が図2(a)に示す分布定数回路を 伝搬すると、伝搬長に応じた遅延が発生する 。したがって、図1の遅延回路100によれば、 力信号INに対して、所望の遅延時間を与える ことができる。以下の説明において、図1の 延回路100を図2(b)の回路シンボルを用いて表 する。

 図1に戻る。バイアス電圧源12は、MOSFET1の ドレイン電圧Vddおよびソース電圧Vssの少なく とも一方を調節可能である。たとえば、バイ アス電圧源12aを可変電圧源としてソース電圧 Vssを調節可能としてもよいし、バイアス電圧 源12bを可変電圧源としてドレイン電圧Vddを調 節可能としてもよい。あるいは、MOSFET1のバ クゲート電圧を調節可能としても構わない MOSFET1のゲートソース間容量Cgs、ゲートドレ ン間容量Cgdは、ゲート、ソース、ドレイン よびバックゲートのバイアス状態に依存す 。したがって、ソース電圧Vssもしくはドレ ン電圧Vddなどを調節することにより、容量C gs、Cgd、ひいては図2(b)のキャパシタCを調節 ることができ、遅延回路100により入力信号IN に付与する遅延量を好適に制御することがで きる。

 図3は、図1の遅延回路100の変形例を示す である。一般にMOSFETのゲート電極10はポリシ リコンで形成される。ポリシリコンのシート 抵抗はアルミ配線のそれに比べて高く、たと えば10ω/□程度の値をとる。本実施の形態に る遅延回路100では、入力信号INをゲート電 10上を伝搬させるため、シート抵抗が高いと 高速信号のセトリングが困難となり、あるい は減衰が大きくなってしまう。このような場 合、ゲート長(チャンネル長)を長くすること より、実効的な配線幅を広くとることも可 であるが、回路面積が増加するため好まし ない。

 図3の変形例では、ゲート電極10を多層構 化している。すなわち、ゲート電極10をポ シリコン層10aおよび金属配線層10b、10cの3層 造とし、実効的な抵抗成分Rを低下させてい る。金属配線層10b、10cは、MOSFET1のポリシリ ン層10aとオーバーラップするように、ゲー 幅方向(図3の紙面垂直方向)に敷設され、ポ シリコン層10aとビアホールを介して電気的 接続される。

 金属配線層10b、10cの層数は任意であり、 望の抵抗値が得られるように設計すればよ 。さらに、図3の変形例によれば、ポリシリ コン層10aと金属配線層10b間、もしくはポリシ リコン層10aと金属配線層10b間にも容量が発生 する。したがって、金属配線の層数や線幅W 調節することにより、MOSFET1のゲートソース 容量Cgs、ゲートドレイン間容量Cgdに加えて さらなる容量成分を加えることができる。

 必要な遅延量が大きい場合、ゲート幅の きなMOSFET1が必要となる。ゲート幅が大きく なりすぎると、プロセスルールの制約を受け てMOSFET1の形成が困難となる場合もある。こ ような場合、MOSFET1を複数個、多段接続して よい。図4は、MOSFET1を複数含む遅延回路100a 示す図である。複数のMOSFET1のゲート電極は 、一つの伝送路を形成するように直列に接続 される。図4では、複数のMOSFET1がゲート幅方 (y軸方向)に隣接するように配置される。な 、図4には2つのMOSFET1が示されるが、多段接 されるMOSFET1の個数は任意である。以下では 、さまざまな変形例に係る遅延回路を単に遅 延回路100と総称する。

 隣接するMOSFET1のゲート電極10は、金属配 9を介して共通に接続されており、入力信号 INは共通接続されたゲート電極10を伝搬する 一方、各MOSFET1のバイアス端子106a(ドレイン 極)およびバイアス端子106b(ソース電極)は、M OSFET1ごとに独立に設けられ、それぞれに異な るバイアス電圧を供給可能となっている。図 4の遅延回路100aによれば、MOSFET1ごとに独立に バイアス電圧を調節することにより、遅延時 間を細かく調節することが可能となる。なお 、バイアス端子106a、106bのうち、いずれか一 または両方を共通に接続して共通のバイア 電圧を与えてもよい。また、図4は遅延回路 100をゲート幅方向に隣接して配置する場合を 説明したが、ゲート長方向(x軸方向)に配置し てもよい。この場合、ゲート電極10間を接続 る金属配線9の敷設態様を変更すればよい。

 以上の遅延回路100は、半導体集積回路内 おいて、遅延が必要とされる任意の箇所に 用することができる。遅延時間は、MOSFET1の バイアス電圧(ドレイン電圧、ソース電圧ま はバックゲート電圧)に応じて調節可能であ 。

 図1から図4では、入力信号INを受け、ひと つの遅延信号OUTを出力する遅延回路について 説明した。次に、遅延対象の入力信号INに異 る遅延時間τ1~τnを与えた複数の遅延信号OUT 1~OUTnを出力する多段遅延回路について説明す る。

 図5は、多段遅延回路200aの構成を示す図 ある。図5の多段遅延回路200aは、図1から図4 遅延回路の構成を利用したものであるから 相違点を中心に説明する。多段遅延回路200a は、複数のMOSFET1_1~1_3(MOSFET1と総称する)を備 る。各MOSFET1のゲート電極10は金属配線9を介 て共通に接続されている。複数のMOSFET1のソ ース電極106aは共通に接続され、共通のソー 電圧Vssが供給される。同様に複数のMOSFET1の レイン電極106bは共通に接続され、共通のド レイン電圧Vddが供給される。

 隣接するMOSFET1のゲート電極10間を接続す 金属配線9_1~9_3は、信号が伝搬するゲート電 極から遅延した信号を引き出すためのタップ として機能する。つまり金属配線(以下、タ プともいう)9_1~9_3は、ゲート幅方向(y軸方向) の異なる位置に配置される。複数のタップ9 れぞれから、異なる遅延時間が付与された 数の遅延信号OUT1~OUTnが出力される。

 図5の多段遅延回路200aによれば、入力信 INは、ひとつのMOSFET1を伝搬する毎に所定の 位遅延時間τだけ遅延する。したがって、i 目のタップ9_iからは、入力信号INをτi=τ×iだ け遅延した出力信号OUTiを得ることができる

 多段遅延回路200aにおいて、ドレイン電極 、ソース電極を共通とせずに、図4のように レイン電極、ソース電極を個別に設け、異 るドレイン電圧、もしくはソース電圧が印 できる構成としてもよい。この場合、MOSFET1_ 1~1_3ごとの単位遅延時間τを異なった値に設 できる。

 図6は、多段遅延回路200bの別の構成を示 図である。多段遅延回路200bは、単一のMOSFET1 を利用して構成されており、ゲート幅方向(y 方向)の異なる位置に、複数のタップ9_1~9_n 設けられている。図6の回路によれば、各タ プ9_1~9_nの間隔に応じた遅延時間を、各出力 信号OUT1~OUTnに与えることができる。さらに、 各出力信号OUT1~OUTnが受ける遅延時間は、ソー ス電圧Vssもしくはドレイン電圧Vddによって微 調節が可能となる。

 図5または図6の理想的な多段遅延回路200a bにおいて、各タップ9間の遅延量は、バイ ス状態が等しければ、その各タップ間の配 長(ゲート幅)に比例する。ところが現実の回 路においては、遅延回路100自体や、信号を印 加する回路(遅延回路100の入力側)、信号を検 する回路(遅延回路100の出力側)の非線形な 性の影響で、タップ9を等間隔としても、遅 量が均一とならない場合がある。そこで、 タップ間で配線幅、つまりゲート電極10の を変化させてもよい。この場合、配線幅を ならしめることによって遅延時間を均一化 きる。

 また、図5、図6のようにタップ9を設けて 号を分岐させると、インピーダンス不整合 起因する反射が発生し、反射信号が次のパ ス信号と重畳してタイミングが変動する場 がある。この問題を解決するためには以下 アプローチが有効である。

 図7は、遅延対象の信号が伝搬する線路のパ ターンの変形例を示す図である。図7の線路 パターンでは、ゲート電極10(もしくは金属 線9)の分岐の前後で配線幅の総和が保存され ている。つまり、
 WO=W1+Wt1
 W1=W2+Wt2
 W2=W3+Wt3
が成り立っている。このような配線の敷設態 様を利用すれば反射の影響を補償することが でき、パルス信号のタイミングの変動を抑制 できる。

 図8は、第3の多段遅延回路200cの構成を示 図である。図5の多段遅延回路200aは、MOSFET1 信号の伝搬方向に直列接続して構成される これに対して、図8の多段遅延回路200cは、 力端子を共通として並列に設けられた複数 遅延回路100_1~100_nを備える。図8の多段遅延 路200cによっても、図5、図6の多段遅延回路20 0と同様に異なる遅延時間を受けた複数の出 信号OUT1~OUTnを生成できる。

 図9は、図5乃至図8の多段遅延回路200a~200c 回路シンボルを示す図である。バイアス端 206は、遅延時間を微調節するために設けら た端子であり、図5や図6のバイアス端子106a 106bに相当する。以下、多段遅延回路200a~200c を、単に多段遅延回路200と総称する。

 図10は、実施の形態に係る時間デジタル 換器300(TDC:Time to Digital Converter)の構成を示 回路図である。時間デジタル変換器300は、 リガ信号生成部310とともに、半導体試験装 400に搭載される。半導体試験装置400にはDUT( 被試験デバイス)410が接続される。トリガ信 生成部310は、所定のタイミングでレベルが 移するトリガ信号Strigを生成する。

 時間デジタル変換器300は、いわゆるVernier 方式を採り、DUT410からの被測定信号Smeasと、 リガー信号Strigを受け、2つの信号のレベル 移タイミングの時間差δtをデジタル値に変 して出力する。半導体試験装置400は、時間 ジタル変換器300からのデジタル値にもとづ て、DUT410の良否判定を行い、あるいはDUT410 特性を評価する。

 時間デジタル変換器300は、第1多段遅延回路 200_1、第2多段遅延回路200_2、サンプリング回 SMP0~SMPn、エンコーダENC1を備える。
 第1多段遅延回路200_1は、入力されたトリガ 号Stigに遅延を与え、それぞれ異なる遅延時 間τa1~τanが付与されたn個の遅延トリガ信号SD T1~SDTnをn個の出力端子それぞれから出力する i番目(i=1~n)の出力端子からの遅延トリガ信 SDTiは、トリガ信号Strigを遅延時間(i×τa)だけ 遅延した信号である。τaは、第1多段遅延回 200_1の単位遅延時間である。

 第2多段遅延回路200_2は、入力された被測 信号Smeasに遅延を与え、それぞれ異なる遅 時間τb1~τbnが付与されたn個の遅延被測定信 SDM1~SDMnをn個の出力端子それぞれから出力す る。i番目(i=1~n)の出力端子からの遅延トリガ 号SDMiは、被測定信号Smeasを遅延時間(i×τb) け遅延した信号である。τbは、第2多段遅延 路200_2の単位遅延時間である。

 サンプリング回路SMP0は、遅延を受けない トリガ信号Strigを利用して、遅延を受けない 測定信号Smeasをサンプリングする。サンプ ング回路SMP1~SMPnは、第1多段遅延回路200_1、 2多段遅延回路200_2の出力端子ごとに設けら る。i番目のサンプリング回路SMPiは、対応す る出力端子からの遅延トリガ信号SDTiを利用 て、遅延被測定信号SDMiをサンプリングする つまり、遅延トリガ信号SDTiのポジティブエ ッジのタイミングにおける遅延被測定信号SDM iのレベルが、サンプリング回路SMPiの出力と る。

 エンコーダENC1は、サンプリング回路SMP0~S MPnからサンプリング信号S0~Snを受け、これを ンコードする。エンコード結果は、トリガ 号Strigと被測定信号Smeasの間の遅延時間を、 デジタル値に変換した値となる。

 第1多段遅延回路200_1もしくは第2多段遅延 回路200_2の少なくとも一方、または両方は、 施の形態に係る遅延回路100を利用して構成 れる。より好ましくは、第1多段遅延回路200 _1、第2多段遅延回路200_2は、上述した図5の多 段遅延回路200aもしくは図6の多段遅延回路200b である。この場合、図5、図6の複数のタップ9 を第1多段遅延回路200_1、第2多段遅延回路200_2 の出力端子とする。

 以上のように構成された時間デジタル変換 300の動作を説明する。
 いま、被測定信号Smeasとトリガ信号Strigのエ ッジの時間差がδtであるとし、トリガ信号Str igのエッジの方が進んでいるものとする。
 τa>τbの場合、被測定信号Smeasとトリガ信 Strigのエッジの時間差は、1段の遅延を受け 毎に、δτ(=τa-τb)だけ短くなる。つまり、 1多段遅延回路200_1、第2多段遅延回路200_2を 搬するにしたがって、2つの信号のエッジは づいていき、あるところで位置関係が反転 る。

 いま、j番目のサンプリング回路SMPjの前と で、サンプリング信号が異なる値をとった すれば、2つのエッジ間の初期の時間差δtは δt=j×δτで与えられる。エンコーダENC1は、 ンプリング信号S0~Snにもとづいて、値が変 する位置jを検出し、jの値をデジタル値とし て出力する。
 このように、以上の時間デジタル変換器300 よれば、2つの信号のエッジ間の時間差δtを 時間分解能δτで量子化することができる。 1多段遅延回路200_1、第2多段遅延回路200_2に 図1の遅延回路100を利用することにより、時 分解能δτを高精度に設定することができる 。

 もし、遅延素子として実施の形態に係る 延回路100ではなく、インバータ(バッファ) 利用した場合、バッファのオフセット時間 30ps以下にできないため、1GS/sのサンプリン 速度で分解能1ps、測定レンジ1nsを実現しよ とすると、バッファが各経路で1000個必要と り、消費電力が膨大となる。また1000個もの バッファの遅延時間のばらつきを補正するの は容易ではない。

 これに対して、実施の形態に係る遅延回 100を利用すれば、psオーダの遅延時間を高 度で生成できるため、時間デジタル変換器30 0の時間分解能およびリニアリティを高める とが可能となる。

 なお、第1多段遅延回路200_1、第2多段遅延 回路200_2のいずれか一方(好ましくは単位遅延 時間の小さな方)を、単なる線路としてもよ 。

 図11は、実施の形態に係る遅延回路100を 用した遅延ロックループ回路500の回路図で る。遅延ロックループ回路500は、遅延回路10 0、位相比較器502、LPF(ローパスフィルタ)504、 遅延時間制御部506を備える。遅延回路100は、 上述のいずれかの遅延回路が利用可能であり 、入力信号INにある遅延τを与える。位相比 器502は、遅延回路100の出力信号OUTと基準信 REFとを受け、2つの信号の位相差に応じた位 差信号ERRを出力する。LPF504はループフィル として機能し、位相比較器502からの位相差 号ERRをフィルタリングする。遅延時間制御 506はLPF504の出力に応じて、遅延回路100のMOSF ET1のドレイン電圧Vddおよびソース電圧Vssの少 なくとも一方を制御する。この態様によれば 、入力信号INに対して、所望の位相遅延を付 することができる。

 図11の遅延ロックループ回路500は、図10の 第1多段遅延回路200_1、第2多段遅延回路200_2の 内部に利用してもよい。この場合、時間分解 能を所望値に合致させることができる。

 上述のように、実施の形態に係る遅延回 100は、バイアス電圧に応じて遅延時間を調 可能である。以下では、バイアス電圧をあ 2値で変更する場合に、遅延時間の変動幅を 調節する技術を説明する。

 図12は、遅延回路100の変形例を示す回路 である。図12の遅延回路100bは、遅延回路100 加えて、MOSFETの前段に設けられたレベルシ ト回路20を備える。図12のレベルシフト回路2 0は、トランジスタM20、M21を含むCMOS型インバ タであり、トランジスタM20のソース電圧(Vd) と、トランジスタM21のソース電圧(Vs)の少な とも一方が可変となっている。レベルシフ 回路20の出力信号、すなわち遅延回路100の入 力信号は、電圧VdとVsの間をスイングする。 だし、レベルシフト回路20の構成はインバー タに限定されず、遅延回路100の入力信号の電 圧レベルを制御可能であればその形式を問わ ない。好ましくはレベルシフト回路20は、遅 回路100の入力信号の振幅が小さくなるよう レベルシフトを行う。

 図13は、MOSFET1のゲートソース間容量Cgsお びゲートドレイン間容量Cgdを示す図である 縦軸は容量値を、横軸はゲートソース間電 Vgsを示す。遮断領域(Vgs<Vt)および飽和領 (Vt<Vgs<Vds+Vt、VtはMOSFETのしきい値電圧)に おいて、容量Cgdは一定値となり、線形領域(Vg s>Vds+Vt)において増加する。また、遮断領域 において容量Cgsは一定値をとり、飽和領域に おいて最大値をとり、線形領域においてCgdと 同程度の値をとる。

 遅延回路100の遅延時間に寄与する容量Cgs Cgdは、ゲート電極10を伝搬する入力信号Vin レベルに依存する。したがって図12のように 、遅延回路100の前段にレベルシフト回路20を けることにより、遅延時間を制御すること 可能となる。

 図14(a)、(b)は、図12の遅延回路100bのタイ チャートである。図14(a)、(b)はそれぞれ、上 から順に、入力信号Vinおよびソース電圧Vss、 ゲートソース間電圧Vgs、ならびにゲートソー ス間容量Cgsを示している。図14(a)と図14(b)で 、遅延回路100の入力信号Vinの振幅が異なっ いる。遅延回路100は、MOSFET1のソース電圧Vss 、第1の値Vss1と第2の値Vss2の2値で切りかえ れ、ドレイン電圧Vdd、バックゲート電圧は 定されている。図14(a)のVgs1、Cgs1および図14(b )のVgs1’、Cgs1’は、第1の値Vss1の場合の波形 、図14(a)のVgs2、Cgs2および図14(b)のVgs2’、Cgs 2’は、第2の値Vss2の場合の波形を示す。

 図14(a)に示すように、入力信号Vinの振幅 大きい場合、ソース電圧Vssを第1の値Vss1と第 2の値Vss2で切りかえたときのゲートソース間 量Cgs1、Cgs2の差は小さい。これに対して、 14(b)に示すように、入力信号Vinの振幅および レベルを変化させると、ソース電圧Vssを第1 値Vss1と第2の値Vss2で切りかえたときのゲー ソース間容量Cgs1、Cgs2の容量差を大きくする ことができる。ゲートドレイン間容量につい ても、同様の理由から入力信号Vinのレベルに よって変化量を制御できる。

 このように、遅延回路100の前段にレベル フト回路20を設け、遅延回路100のゲート電 10を伝搬する信号のレベルを調節することに より、ゲートソース間容量Cgsおよびゲートド レイン間容量Cgdを制御することができ、遅延 回路100の遅延時間を制御できる。

 図15は、実施の形態に係る多段遅延回路200 利用した多相クロック生成回路600の構成を す回路図である。多相クロック生成回路600 、位相比較器502および多段遅延回路200を備 る。多段遅延回路200は図5~8のいずれであっ もよい。
 オシレータ602は、周期Tpのクロック信号CKを 生成する。多段遅延回路200の単位遅延時間τ 、クロック信号CKの周期Tpの間には、
 Tp=τ×(n+1)
の関係が成り立つことが望ましい。nは多段 延回路200の段数である。

 図16は、図15の多相クロック生成回路600の タイムチャートである。図16は、n=5の場合を す。この多相クロック生成回路600によれば クロック信号CKを基準として、互いに位相 単位遅延時間τずつシフトしたn+1個のクロッ ク信号CK0~CKnを出力することができる。ここ 多段遅延回路200における単位遅延時間τは、 高精度に調節可能であるから、各クロックCK0 ~CK5の位相差も高精度に調節することができ 。

 つぎに、リング発振器について説明する 図17は、実施の形態に係るリング発振器700 構成を示す回路図である。リング発振器700 、m個(mは自然数)の多段遅延回路MD1~MD5(m=5)と m個のNORゲートNOR1~NOR5を備える。NORゲート(NO R2、NOR4、NOR5)の一方の入力端子には0が入力さ れているため、実質的な機能はNOTゲートであ る。NORゲートNOR3には、停止信号S10がNOTゲー N1を介して入力される。NORゲートに替えて、 NOTゲート(インバータ)を用いてもよい。

 m個のNORゲートNOR1~NOR5と、多段遅延回路MD1 ~MD5は、交互にリング状に接続される。多段 延回路MD1~MD5はそれぞれn個(nは自然数、図17 おいてn=4)の出力端子を有し、入力信号に遅 を与え、異なる遅延時間が付与されたn個の 遅延信号を出力する。多段遅延回路MD1~MD5と ては、上述の多段遅延回路200を利用可能で る。ただし、その他の構成の多段遅延回路 用いてもよい。その他の多段遅延回路は、 ップが設けられた配線であってもよい。こ 場合、各配線に図7のパターンを用いてもよ 。

 図18は、図17のリング発振器700のタイムチャ ートである。多段遅延回路MD1からは、単位遅 延時間τずつ位相がシフトしたパルス信号OUT_ Aが出力される。同様に、多段遅延回路MD2~MD5 らは、パルス信号OUT_B~OUT_Eが出力される。 べてのパルス信号OUT_A~OUT_Eのエッジは単位遅 延時間τごとに現れるため、連続した等間隔 タイミング信号を生成することができる。
 図17のリング発振器700に、実施の形態に係 多段遅延回路200を利用することにより、タ ミング信号の間隔を高精度で制御できる。

 上記実施の形態は例示であり、それらの 構成要素や各処理プロセスの組合せにいろ ろな変形例が可能なこと、またそうした変 例も本発明の範囲にあることは当業者に理 されるところである。以下、こうした変形 について説明する。

 たとえば、遅延回路100および多段遅延回 200の遅延量を制御するために、以下の技術 用いてもよい。

 遅延対象の信号が伝搬するゲート電極10( るいは金属配線9)と近接する位置に、ダミ の配線を敷設してもよい。図19(a)~(c)は、隣 配線を利用した遅延回路100cの構成を示す図 ある。遅延回路100cは、上述の遅延回路100に 加えて、隣接配線110を備える。隣接配線110は 、信号配線である遅延回路100と隣接して、好 ましくは平行に敷設される。この場合、隣接 配線110と遅延回路100のゲート電極10の間に配 間容量(寄生容量)が発生するため、遅延回 100による遅延量τを調節できる。配線間容量 は、一般的には物理的な法則(誘電率、表面 、配線間隔、配線長、形状)によって定まる

 隣接配線110にも、信号を伝搬させること より、遅延量を調節してもよい。図19(b)は 隣接配線110に、遅延対象の入力信号INと同相 の信号Sipを伝搬させる回路を示している。同 相とは、入力信号INが立ち上がりの際には、 時に立ち上がることを意味し、立ち下がり 際には同時に立ち下がることを意味する。 接配線110に同相信号Sipを伝搬させることに り、互いの電気力線同士が反発するため、 線間隔が長くなったのと等価となり、配線 容量が減少する。その結果、伝搬遅延時間 2は、同相信号Sipを伝搬させない図19(a)の場 の伝搬遅延時間τ1に比べて減少する。

 図19(c)は、隣接配線110に、遅延対象の入 信号INと逆相の信号Sopを伝搬させる回路を示 している。逆相とは、入力信号INが立ち上が の際には、同時に立ち下がることを意味し 立ち下がりの際には同時に立ち上がること 意味する。隣接配線110に逆相信号Sopを伝搬 せることにより、互いの電気力線同士が引 合うため、配線間隔が短くなったのと等価 なり、配線間容量が増加する。その結果、 搬遅延時間τ3は、逆信号Sopを伝搬させない 19(a)の場合の伝搬遅延時間τ1に比べて増加 る。

 このように、図19(a)~(c)の遅延回路100cによ れば、隣接配線110に伝搬させる信号の位相を 変化させることにより、遅延回路100の伝搬遅 延時間τを制御することができる。

 さらに、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems) 利用して、隣接配線とゲート電極10の間の距 離を調節可能に構成してもよい。図20は、MEMS を利用した遅延回路100dの構成を示す図であ 。遅延回路100dは、上述の遅延回路100と、隣 配線120とを備える。隣接配線120は、信号配 である遅延回路100と隣接して、好ましくは 行に敷設される。隣接配線120は、MEMS技術を 利用することにより、遅延回路100に対する配 線間隔dが調節可能となっている。配線間隔d 変化すると配線間容量が変化するため、遅 回路100の伝搬遅延時間τを制御することが きる。なお、隣接配線120は、図19(b)、(c)のよ うに、信号を伝搬させてもよい。

 図19、図20の遅延回路100c、100dは、遅延対 の入力信号INを、上述の遅延回路100に伝搬 せる場合について説明した。しかしながら これらの技術は、メインの遅延回路100をそ 他の遅延回路に置換した場合においても利 可能である。つまり、以下の思想が導かれ 。すなわち、ある態様の遅延回路は、遅延 象の信号を伝搬させる遅延回路と、前記遅 回路と平行に前記遅延対象の信号の伝搬方 に設けられた隣接配線と、を備える。隣接 線に、遅延対象の信号と同相、逆相または れらの中間的な位相を有するパルス信号を 搬させてもよい。また、隣接配線をMEMS技術 よって可動に構成し、遅延回路と隣接配線 配線間隔を調節可能としてもよい。

 実施の形態にもとづき、本発明を説明し が、実施の形態は、本発明の原理、応用を しているにすぎず、実施の形態には、請求 範囲に規定された本発明の思想を離脱しな 範囲において、多くの変形例や配置の変更 可能である。

 本発明は、さまざまな電子機器に利用で る。




 
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