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Title:
ROCKING BEARING OUTER RING, ROCKING BEARING, AIR DISC BRAKE DEVICE, FITTING STRUCTURE FOR ROCKING BEARING OUTER RING
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/001636
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a rocking bearing outer ring (12) comprising a track member (13) of an arcuate shape having a track face on its internal diameter face, and a flange portion (14) protruding radially inward from the two widthwise end portions of the track member (13). Moreover, the circumferential length L1 of the track member (13) and the circumferential length L2 of the flange portion (14) satisfy 0.2 ≤ L2/L1 ≤ 0.8.

Inventors:
KATAYAMA AKIHIKO (JP)
KURODA MASARU (JP)
YAMADA HARUKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/059316
Publication Date:
December 31, 2008
Filing Date:
May 21, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NTN TOYO BEARING CO LTD (JP)
KATAYAMA AKIHIKO (JP)
KURODA MASARU (JP)
YAMADA HARUKI (JP)
International Classes:
F16C19/46; F16D65/18
Foreign References:
JP2003206933A2003-07-25
JP2007064310A2007-03-15
JP2006145040A2006-06-08
JP2002098156A2002-04-05
JPS5457243U1979-04-20
Other References:
See also references of EP 2159436A4
None
Attorney, Agent or Firm:
ITOH, Hidehiko et al. (Oriental Sakaisuji Bldg.21-19, Shimanouchi 1-chome,Chuo-ku, Osaka-sh, Osaka 82, JP)
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Claims:
 内径面に軌道面を有する円弧形状の軌道部材と、
 前記軌道部材の幅方向両端部に径方向内側に突出する鍔部とを備え、
 前記軌道部材の円周方向長さをL 1 、前記鍔部の円周方向長さをL 2 とすると、
 0.2≦L 2 /L 1 ≦0.8を満たす、揺動軸受用外輪。
 前記鍔部は、前記軌道部材の円周方向の中央部領域に位置する、請求項1に記載の揺動軸受用外輪。
 前記鍔部は、第1の鍔部と、前記第1の鍔部と円周方向に隣接する位置に突出長さが相対的に小さい第2の鍔部とを含む、請求項1に記載の揺動軸受用外輪。
 請求項1に記載の揺動軸受用外輪と、
 前記軌道面に沿って配置される複数のころと、
 前記複数のころを保持する保持器とを備える、揺動軸受。
 前記鍔部は、その先端から幅方向内側に向かって延び、前記保持器を径方向内側から保持する突出部をさらに備える、請求項4に記載の揺動軸受。
 前記鍔部は、前記軌道部材の幅方向両端部から径方向内側に向かって、かつ前記軌道面に対して鋭角に延び、
 前記保持器は、前記軌道面と前記鍔部とで囲まれる領域に位置し、
 前記一対の鍔部の先端の距離は、前記保持器の最大幅寸法よりも短い、請求項4に記載の揺動軸受。
 前記鍔部は、曲げ加工によって形成される、請求項4に記載の揺動軸受。
 前記保持器は、その幅方向端面に円周方向に連続する突条を有する、請求項4に記載の揺動軸受。
 前記保持器は、ポリアミド46と、5wt%~20wt%の繊維状充填材とを含む樹脂製保持器である、請求項4に記載の揺動軸受。
 前記揺動軸受用外輪の外径の曲率半径をr 1 、前記保持器の外径の曲率半径をr 2 とすると、1<r 1 /r 2 <1.15を満たす、請求項4に記載の揺動軸受。
 前記複数のころは、表面にランダムに形成した無数の微小凹形状のくぼみを有する、請求項4に記載の揺動軸受。
 前記ころの表面積に対する前記くぼみの面積率は、10%~40%である、請求項11に記載の揺動軸受。
 前記ころの表面におけるSk値は、-1.6以下である、請求項11に記載の揺動軸受。
 請求項4に記載の揺動軸受を備える、エアディスクブレーキ装置。
 内径面に軌道面を有する円弧形状の軌道部材、および前記軌道部材の幅方向両端部から径方向内側に突出する鍔部を有する揺動軸受用外輪と、
 前記揺動軸受用外輪を受け入れるハウジングとを備え、
 前記揺動軸受用外輪の外径の曲率半径をr 1 、前記ハウジングの内径の曲率半径をr 3 とすると、
 1<r 1 /r 3 <1.15を満たす、揺動軸受用外輪の嵌合構造。
 
Description:
揺動軸受用外輪、揺動軸受、エ ディスクブレーキ装置、および揺動軸受用 輪の嵌合構造

 この発明は、揺動軸受用外輪、揺動軸受 およびエアディスクブレーキ装置に関する のである。

 従来の揺動軸受は、例えば、WO2006/002905A1 記載されている。同公報に記載されている 動軸受は、内径面に軌道面を有する円弧形 である揺動軸受用外輪と、軌道面上に配置 れる複数のころと、複数のころを保持する 持器とを備える。また、ころおよび保持器 幅方向への移動を規制するために、揺動軸 用外輪の円周方向の全域にわたって幅方向 端部から径方向内側に突出する鍔部が形成 れている。

 上記構成の揺動軸受は、例えば、大型商 車、トラック、またはバス等のエアディス ブレーキ装置に使用されている。また、エ ディスクブレーキ装置に採用される揺動軸 は、一般的にグリースによる潤滑を行って る。

 ここで、図26および図27を参照して、揺動 軸受用外輪をハウジングに組み込む場合を考 える。まず、図26を参照して、揺動軸受用外 101の曲率半径がハウジング102の曲率半径よ 小さいと、揺動軸受用外輪101とハウジング1 02との間に隙間が形成される。この隙間は、 動軸受が揺動する際にガタツキ等を生じる 因となる。

 一方、図27を参照して、揺動軸受用外輪10 3の曲率半径がハウジング104の曲率半径より きいと、揺動軸受用外輪103の曲率半径を小 くする方向に力(以下、「予圧」という)を加 えながら組み込まなければならない。

 しかし、揺動軸受用外輪103とハウジング1 04との曲率半径の差が大きくなると、より大 な予圧を加えなければ上記の方法で組み込 ことができない。一方、予圧が大きくなる に伴って揺動時の回転トルクも増大する。 れは、揺動軸受の異常発熱の原因となり、 果として揺動軸受の寿命が低下する。

 また、上記した揺動軸受用外輪は、ころ よび保持器の幅方向への移動を規制する。 かしながら、この揺動軸受用外輪は、ころ よび保持器の径方向への移動を規制するこ ができないので、搬送時や組立て時にころ よび保持器が揺動軸受用外輪の径方向に分 したり、位置ずれが発生するおそれがある これは、組立て工数の増加や不良品の流出 原因となる。

 また、揺動軸受は円周方向の両端部が開 されているので、揺動時にグリースが外部 押し出され、軸受内部のグリースが不足す おそれがある。これは、異常発熱や異常摩 の原因となり、結果として揺動軸受の寿命 低下する。

 そこで、この発明の目的は、適切な予圧 ハウジングに密着させることのできる揺動 受用外輪を提供することである。また、こ ような揺動軸受用外輪を採用することによ 、長寿命で信頼性の高い揺動軸受およびエ ディスクブレーキ装置を提供することを目 とする。

 この発明の他の目的は、ころおよび保持 の幅方向および径方向への移動を規制でき 揺動軸受用外輪を提供することである。ま 、このような揺動軸受用外輪を採用するこ により、ころおよび保持器が揺動軸受用外 の幅方向および径方向に分離しない揺動軸 を提供することである。さらに、このよう 揺動軸受を採用することにより、生産性が 好なエアディスクブレーキ装置を提供する とである。

 この発明のさらに他の目的は、潤滑性能 高い揺動軸受を提供することである。また このような揺動軸受を採用することにより 長寿命で信頼性の高いエアディスクブレー 装置を提供することを目的とする。

 この発明に係る揺動軸受用外輪は、内径面 軌道面を有する円弧形状の軌道部材と、軌 部材の幅方向両端部に径方向内側に突出す 鍔部とを備える。そして、軌道部材の円周 向長さをL 1 、鍔部の円周方向長さをL 2 とすると、0.2≦L 2 /L 1 ≦0.8を満たす。

 ここで、L 2 /L 1 の値を0.8以下とすれば、揺動軸受用外輪の剛 性を十分に低下させることができる。一方、 L 2 /L 1 の値を0.2より小さくすれば、保持器の幅方向 への移動を適切に規制することができなくな る。その結果、揺動軸受の円周方向に対する 保持器の傾きが大きくなり、保持器およびこ ろの挙動が不安定となる。そこで、鍔部の円 周方向長さを上記範囲内に限定することによ り、適切な予圧で揺動軸受用外輪をハウジン グに密着させることができると共に、保持器 の幅方向の移動を適切に規制することができ る。

 好ましくは、鍔部は軌道部材の円周方向 中央部領域に位置する。これにより、保持 を軌道部材の円周方向端部から軌道面に沿 て挿入することができる。その結果、揺動 受の組立性が向上する。

 好ましくは、鍔部は、第1の鍔部と、第1 鍔部と円周方向に隣接する位置に突出長さ 相対的に小さい第2の鍔部とを含む。このよ に、鍔部の円周方向の一部について、その 出長さを減じることにより、揺動軸受用外 の剛性が低下する。その結果、適切な予圧 揺動軸受用外輪をハウジングに密着させる とができる。なお、本明細書中の「鍔部」 は、第2の鍔部の突出長さが0mm、すなわち、 第1の鍔部の円周方向に隣接する位置に第2の 部が形成されていない場合を含むものとす 。

 この発明に係る揺動軸受は、上記記載の 動軸受用外輪と、軌道面に沿って配置され 複数のころと、複数のころを保持する保持 とを備える。これにより、長寿命で信頼性 高い揺動軸受を得ることができる。

 好ましくは、鍔部は、その先端から幅方 内側に向かって延び、保持器を径方向内側 ら保持する突出部をさらに備える。これに り、保持器が揺動軸受用外輪の径方向に抜 るのを有効に防止することができる。

 好ましくは、鍔部は、軌道部材の幅方向 端部から径方向内側に向かって、かつ軌道 に対して鋭角に延びる。保持器は、軌道面 一対の鍔部とで囲まれる領域に位置する。 して、鍔部の先端の距離は、保持器の最大 寸法よりも短い。上記構成とすることによ 、ころおよび保持器が揺動軸受用外輪の幅 向および径方向に抜けるのを防止すること できる。

 好ましくは、鍔部は、曲げ加工によって 成される。これにより、鍔部を容易に形成 ることができる。

 好ましくは、保持器は、その幅方向端面 円周方向に連続する突条を有する。突条と 部とを係合させれば、保持器が揺動軸受用 輪の径方向に抜けるのを有効に防止するこ ができる。

 好ましくは、保持器は、ポリアミド46と 5wt%~20wt%の繊維状充填材とを含む樹脂製保持 である。ポリアミド46を母材とする樹脂製 持器を採用する場合、保持器に必要な機械 性質を得るためには、5wt%以上の繊維状充填 を添加する必要がある。一方、繊維状充填 の含有量が20wt%を超えると、保持器の靭性 低下して脆くなる。また、成形時の粘性が くなり、金型等を用いて保持器を形成する とが困難となる。なお、繊維状充填材とし は、例えば、炭素繊維やガラス繊維を採用 ることができる。

 好ましくは、揺動軸受用外輪の外径の曲率 径をr 1 、保持器の外径の曲率半径をr 2 とすると、1<r 1 /r 2 <1.15を満たす。揺動軸受用外輪および保持 の曲率半径r 1 ,r 2 を上記の範囲内に設定することにより、適切 な予圧で揺動軸受用外輪をハウジングに密着 させることができる。

 好ましくは、複数のころは、表面にラン ムに形成した無数の微小凹形状のくぼみを する。また、ころの表面積に対するくぼみ 面積率は10%~40%とするのが好ましい。

 上記構成とすることにより、ころの油膜 成性が向上する。その結果、低粘度希薄潤 下でも長寿命の揺動軸受を得ることができ 。なお、くぼみの面積率が10%未満の場合、 膜形成能力が低く、十分な厚さの油膜を形 することができない。一方、くぼみの面積 が40%を超えると、ころと揺動軸受用外輪と 接触面積が減少して潤滑性能が劣化する。

 さらに好ましくは、ころの表面におけるS k値は、-1.6以下である。Sk値を上記範囲内に 定することにより、油膜形成性が向上し、 寿命の揺動軸受を得ることができる。

 なお、本明細書中「Sk値」とは、粗さ曲 の歪度(スキューネス)を指し(ISO4287:1997)、凹 分布の非対称性を知る目安の統計量を指す のとし、この値は、ガウス分布のような対 な分布ではSk値は0に近くなり、凹凸の凸部 削除した場合は負、逆の場合は正の値をと ことになる。また、Sk値のコントロールは バレル研磨機の回転速度、加工時間、ワー 投入量、チップの種類と大きさ等を選択す ことにより行うことができる。

 この発明に係るエアディスクブレーキ装 は、上記のいずれかに記載の揺動軸受を備 る。これにより、長寿命で信頼性の高いエ ディスクブレーキを得ることができる。

 この発明に係る揺動軸受用外輪の嵌合構造 、内径面に軌道面を有する円弧形状の軌道 材、および軌道部材の幅方向両端部から径 向内側に突出する鍔部を有する揺動軸受用 輪と、揺動軸受用外輪を受け入れるハウジ グとを備える。そして、揺動軸受用外輪の 径の曲率半径をr 1 、ハウジングの内径の曲率半径をr 3 とすると、1<r 1 /r 3 <1.15を満たす。揺動軸受用外輪およびハウ ングの曲率半径r 1 ,r 3 を上記の範囲内に設定することにより、適切 な予圧で揺動軸受用外輪をハウジングに密着 させることができる。

この発明の一実施形態に係る揺動軸受 斜視図である。 図1に示す揺動軸受用外輪の斜視図であ る。 図1に示す保持器の斜視図である。 図1のIV-IVにおける断面図である。 揺動軸受用外輪および保持器の曲率半 の関係を示す図である。 揺動軸受用外輪をハウジングに組み込 前の状態を示す図である。 揺動軸受用外輪をハウジングに組み込 だ後の状態を示す図である。 この発明の他の実施形態に係る揺動軸 の斜視図である。 図8に示す揺動軸受用外輪の斜視図であ る。 図8に示す保持器の斜視図である。 図9の矢印XIの方向から見た矢視図であ る。 図11の他の実施形態を示す図である。 この発明のさらに他の実施形態に係る 揺動軸受の斜視図である。 図13に示す揺動軸受用外輪の斜視図で る。 この発明のさらに他の実施形態に係る 揺動軸受の斜視図である。 図2に示す揺動軸受用外輪の斜視図で る。 図15のXVII-XVIIにおける断面図である。 この発明の他の実施形態に係る揺動軸 受の斜視図である。 図18に示す揺動軸受用外輪の斜視図で る。 この発明の効果確認試験で使用したラ ジアル荷重試験機の概略図である。 効果確認試験に使用した針状ころ軸受 を示す図である。 表1の表面処理を施した後の構成部品 面状態を示す図である。 表面処理を施していない構成部品の表 面状態を示す図である。 この発明の一実施形態に係るエアディ スクブレーキ装置を示す図である。 図24の部分拡大図である。 ハウジングに組み込まれた従来の揺動 軸受用外輪の一例を示す図である。 ハウジングに組み込まれた従来の揺動 軸受用外輪の他の例を示す図である。

 図1~図4を参照して、この発明の一実施形 に係る揺動軸受11を説明する。なお、図1は 動軸受11の斜視図、図2は揺動軸受用外輪12 斜視図、図3は保持器16の斜視図、図4は図1の IV-IVにおける断面図である。

 まず、図1を参照して、揺動軸受11は、揺 軸受用外輪12と、揺動軸受用外輪12の内径面 に沿って配置される複数のころ15と、複数の ろ15を保持する保持器16とを備える。

 次に、図2を参照して、揺動軸受用外輪12 、内径面に軌道面13aを有する円弧形状(この 実施形態では中心角が180°の半円形状)の軌道 部材13と、軌道部材13の幅方向両端部から径 向内側に突出して、ころ15および保持器16の 方向の移動を規制する鍔部14とを含む。な 、この実施形態において、鍔部14は、軌道部 材13の円周方向の全域に亘って形成されてい 。

 軌道部材13には、その円周方向両端部に 向き突出片13bと、円周方向一方側端部(図1中 の左側)に内向き突出片13cと、円周方向他方 端部(図1中の右側)に爪部13dとが設けられて る。鍔部14には、その先端から軌道部材13の 方向内側に向かって延びる突出部14aが設け れている。

 外向き突出片13bは、軌道部材13の円周方 両端面の幅方向中央部から径方向外側に向 って延びている。この外向き突出片13bは、 ウジング(図示省略)に係合して、揺動軸受用 外輪12の円周方向の移動、すなわち、揺動軸 用外輪12がハウジング内部で回転するのを 止する。

 内向き突出片13cは、外向き突出片13bの幅 向両側の2箇所から径方向内側に向かって延 びている。この内向き突出片13cは、保持器16 円周方向端面に当接して保持器16の円周方 一方側への抜けを防止する。

 爪部13dは、軌道部材13の幅方向の端面か 径方向内側に向かって延びている。この爪 13dは、鍔部14よりも軌道部材13の幅方向の内 に位置する。そして、爪部13dは、保持器16 突起16dと係合して保持器16の円周方向他方側 への抜けを防止する。

 上記構成の揺動軸受用外輪12は、例えば 鋼板をプレス加工して製造する。具体的に 、まず、打ち抜き加工によって鋼板から略 方形状の平板を得る。次に、曲げ加工によ て軌道部材13および鍔部14を形成する。具体 には、平板の長手方向を所定の曲率に湾曲 せることにより軌道部材13を形成すること できる。また、平板の短手方向の両端部を 道部材13に対して直角に折り曲げることによ り鍔部14を形成することができる。

 なお、軌道部材13の形成工程では複数回 曲げ加工を行い、徐々に所定の曲率に近づ ていく。同様に、鍔部14の形成工程でも複数 回の曲げ加工を行い、少しずつ折り曲げてい く。また、軌道部材13を形成するための曲げ 工と、鍔部14を形成するための曲げ加工と 交互に行い、徐々に揺動軸受用外輪12の形状 に近づけていくのが望ましい。また、鍔部14 先端を軌道部材13の幅方向内側に向かって り曲げることにより突出部14aを形成する。 らに、曲げ加工によって外向き突出片13b、 向き突出片13c、および爪部13dを形成する。

 次に、所定の機械的性質を付与するため 揺動軸受用外輪12に熱処理を施す。具体的 は、浸炭窒化処理や浸炭焼入れ処理を施す これにより、表面は硬く、内部は軟らかく 性の高い性質が得られる。さらに、上記の 処理によって生じた残留応力や内部ひずみ 低減し、靭性の向上や寸法を安定化させる めに、上記の熱処理の後に焼戻を行うのが ましい。

 次に、軌道面13aとなる軌道部材13の内径 の表面粗さを所定値以下にするために、揺 軸受用外輪12にバレル研磨を施す。軌道面13a の表面粗さを所定値以下とすることにより、 軌道面13aところ15との間の摩擦抵抗を低減し 、揺動時のトルク損失や発熱を抑制するこ ができる。その結果、長寿命で信頼性の高 揺動軸受11を得ることができる。

 次に、図3を参照して、保持器16は、円周 向に所定の間隔を空けて配置される複数の 部16aと、柱部16aの長手方向両端部に配置さ る円弧形状の一対の連結部16bとを含み、隣 する柱部16aの間にころ15を収容するポケッ 16cが形成されている。また、連結部16bの幅 向の端面(「揺動軸受用外輪12に組み込んだ きに鍔部14に対面する壁面」を指す。)には 幅方向外側に向かって突出する複数の突起16 dが円周方向に所定の間隔を空けて配置され いる。

 さらに、保持器16の円周方向両端部には ポケット16cの形成されていない空白領域16e 設けられている。円周方向一方側(図1中の左 側)の空白領域16eは、保持器16の円周方向の端 面が内向き突出片13cに衝突したときに、ポケ ット16cの変形に伴うころ15の回転不良を防止 る。一方、円周方向他方側(図1中の右側)の 白領域16eは、保持器16が円周方向他方側に 大限偏ったときに、揺動軸受用外輪12からは み出す部分なので、ころ15を配置することが きない。

 上記構成の保持器16は、例えば、樹脂材 を射出成形して形成される樹脂保持器とす ことができる。具体的には、母材としての リアミド46と、強化材としての繊維状充填材 とを含む繊維強化プラスチック(FRP)である。 こで、繊維状充填材としては、炭素繊維(CFR P)やガラス繊維(GFRP)を採用することができる

 なお、保持器16に必要な機械的性質を得 ためには、5wt%以上の繊維状充填材を添加す 必要がある。一方、繊維状充填材の含有量 20wt%を超えると、保持器の靭性が低下して くなる。また、成形時の粘性が高くなり、 型等を用いて保持器16を形成することが困難 となる。そこで、繊維状充填材の添加量は、 5wt%~20wt%の範囲内とするのが望ましい。

 上記構成の揺動軸受11の組立方法を説明 る。まず、保持器16のポケット16cにころ15を み込む。そして、内向き突出片13cの形成さ ていない側の揺動軸受用外輪12の円周方向 部領域から保持器16を軌道面13aに沿って挿入 する。

 次に、図4を参照して、鍔部14の先端に設 られた突出部14aは、保持器16の突起16dを径 向内側から保持して、保持器16が揺動軸受用 外輪12の径方向に抜けるのを防止している。

 また、突起16dの鍔部14に対面する壁面は 径方向外側に向かって突出量を減少させる 向に傾斜する傾斜面16fを含む。さらに、突 部14aの先端にも径方向内側に向かって突出 14aの突出長さを減少させる方向に傾斜する 斜面14bが設けられている。これらの傾斜面14 b,16fは、保持器16を揺動軸受用外輪12の径方向 から組み込む際の挿入案内面として機能する 。このように、保持器16を揺動軸受用外輪12 径方向から組み込み可能とすれば、揺動軸 11の組立性がさらに向上する。

 なお、上記の実施形態においては、突出 14aで突起16dを径方向内側から保持する例を したが、これに限ることなく、突出部14aで 結部16bを直接保持するようにしてもよい。 の場合、突起16dは省略することができる。

 ただし、突出部14aで連結部16bを直接保持 る場合、鍔部14の突出長さを保持器16の厚み 寸法より長くしなければならない。一方、突 出部14aで突起16dを保持する場合には、鍔部14 突出長さは突起16dの厚み寸法より長ければ い。つまり、図4に示すように、突起16dを保 持器16の径方向外側に偏らせて設ければ、鍔 14の突出長さを短くすることができる。し がって、鍔部16の突出長さを短くする観点か らは、保持器16の幅方向端面に突起16dを設け 、突出部14aと突起16dとを係合させるのが望 しい。

 また、上記の実施形態においては、保持 16をポリアミド46によって形成した例を示し たが、これに限ることなく、他の樹脂を採用 してもよい。また、樹脂製保持器に限ること なく、鋼板をプレス加工して製造する金属製 保持器等であってもよい。

 また、外向き突出片13b、内向き突出片13c および爪部13dは、この発明の必須の構成要 ではなく、省略することができる。また、 記の実施形態における爪部13dは、保持器16 突起16dと係合する例を示したが、これに限 ことなく、保持器16の幅方向の端面に爪部13d と係合する突起を別途設けてもよい。

 また、上記の実施形態においては、軌道 材13の円周方向一方側端部に内向き突出片13 cを、円周方向他方側端部に爪部13dをそれぞ 設けた例を示したが、これに限ることなく 爪部13dを省略して軌道部材13の円周方向両端 部に内向き突出片13cを設けてもよいし、反対 に、内向き突出片13cを省略して軌道部材13の 周方向両端部に爪部13dを設けてもよい。

 次に、図5~図7を参照して、揺動軸受用外 12をハウジング1に組み込む方法を説明する なお、図5は軌道部材13および保持器16の曲 半径の関係を示す図、図6は揺動軸受用外輪1 2をハウジング1に組み込む前の状態を示す図 図7は揺動軸受用外輪12をハウジング1に組み 込んだ後の状態を示す図である。

 まず、図6を参照して、自然状態(外力が加 っていない状態を指す)における揺動軸受用 輪12の外径の曲率半径をr 1 、揺動軸受用外輪12を受け入れるハウジング1 の内径の曲率半径をr 3 とすると、1<r 1 /r 3 <1.15を満たすようにr 1 およびr 3 を設定する。

 次に、揺動軸受用外輪12にその曲率半径 小さくする方向に予圧を加えながらハウジ グ1に組み込む。これにより、図7に示すよう に揺動軸受用外輪12が、その外径面の全域で ウジング1に密着する。

 ここで、r 1 /r 3 <1とすると、図26を用いて説明したように 揺動軸受用外輪12とハウジング1との間に隙 が生じ、揺動軸受11が揺動する際にガタツキ 等を生じる。一方、r 1 /r 3 >1.15とすると、揺動軸受用外輪12をハウジ グ1に組み込む際の予圧が大きくなりすぎて 揺動時の回転トルクも増大する。特に、揺 軸受用外輪12は、その幅方向両端部に円周 向の全域に亘って鍔部14が設けられているの で、剛性が高く、揺動軸受用外輪12をハウジ グ1に密着させるためには、大きな予圧が必 要となる。

 しかし、予圧の増大は揺動軸受11の異常発 を引き起こし、結果として揺動軸受の寿命 低下する。そこで、揺動軸受用外輪12および ハウジング1の曲率半径r 1 ,r 3 を上記の関係とすることにより、適切な予圧 で揺動軸受用外輪12をハウジング1に密着させ ることができる。

 なお、上記の説明は、図1に示すように予 め揺動軸受用外輪12、ころ15、および保持器16 を組み立てた状態でハウジング1に組み込む 合にも同様に当てはまる。

 次に、図5を参照して、揺動軸受用外輪12の 径の曲率半径をr 1 、揺動軸受用外輪12に組み込んだ状態での保 器16の外径の曲率半径をr 2 とすると、1<r 1 /r 2 <1.15を満たすようにr 1 およびr 2 を設定する。

 ここで、保持器16は揺動軸受用外輪12の軌道 面のさらに内側に位置するので、r 1 /r 2 >1は常に成立する。また、r 2 <r 3 も常に成立するので、r 1 /r 2 <1.15を満足していれば、結果としてr 1 /r 3 <1.15が成立する。

 図8~図12を参照して、この発明の他の実施 形態に係る揺動軸受21を説明する。なお、揺 軸受11との共通点の説明は省略し、相違点 中心に説明する。また、図8は揺動軸受21の 視図、図9は揺動軸受用外輪22の斜視図、図10 は保持器26の斜視図、図11は図9の矢印XIの方 から見た矢視図、図12は図11の他の実施形態 示す図である。

 まず、図8を参照して、揺動軸受21は、揺 軸受用外輪22と、揺動軸受用外輪22の内径面 に沿って配置される複数のころ25と、複数の ろ25を保持する保持器26とを備える。

 次に、図9を参照して、揺動軸受用外輪22 、内径面に軌道面23aを有する円弧形状(この 実施形態では中心角が180°の半円形状)の軌道 部材23と、軌道部材23の幅方向両端部から径 向内側に突出して、ころ25および保持器26の 方向の移動を規制する鍔部24とを含む。

 軌道部材23には、その円周方向両端部に 向き突出片23bと、円周方向一方側端部(図8中 の左側)に内向き突出片23cと、円周方向他方 端部(図8中の右側)に爪部23dとが設けられて る。鍔部24には、その先端から軌道部材23の 方向内側に向かって延びる突出部24aが設け れている。

 なお、外向き突出片23b、内向き突出片23c 爪部23dおよび突出部24aの構成および機能は それぞれ外向き突出片13b、内向き突出片13c 爪部13d、および突出部14aと共通するので、 明は省略する。また、図8のIV-IVにおける断 図は図4と共通するので、説明は省略する。

 次に、図11を参照して、鍔部24は、軌道部材 23の円周方向の一部にのみ形成されている。 体的には、軌道部材23の円周方向の中央部 域(「揺動軸受21の揺動中心を含む領域」を す)に位置している。そして、軌道部材23の 周方向長さをL 1 、鍔部24の円周方向長さをL 2 とすると、0.2≦L 2 /L 1 ≦0.8を満たすように、鍔部24の円周方向長さL 2 を設定する。

 ここで、L 2 /L 1 ≦0.8とすれば、揺動軸受用外輪22の剛性を十 に低下させることができる。一方、L 2 /L 1 <0.2とすれば、鍔部24の剛性が低くなりすぎ て、保持器26の幅方向への移動を適切に規制 ることができなくなる。その結果、揺動軸 21の円周方向に対する保持器26の傾きが大き くなり、ころ25および保持器26の挙動が不安 となる。

 そこで、上記構成のように、鍔部24を軌 部材23の円周方向の一部にのみ形成すること によって、揺動軸受用外輪22の剛性を低下さ ることができる。その結果、適切な予圧で 動軸受用外輪22をハウジングに密着させる とができると共に、保持器26の幅方向への移 動を適切に規制することができる。

 なお、図11においては、外向き突出片23b、 向き突出片23c、および爪部23dの図示を省略 ている。また、爪部23dは鍔部24とは異なる役 割を担っており、鍔部24の円周方向長さL 2 には、爪部23dを含まないものとする。

 揺動軸受用外輪22の製造方法は揺動軸受 外輪12と共通するので、詳しい説明は省略す る。なお、この実施形態においては、鍔部24 軌道部材23の円周方向の一部に限定して形 するので、図1に示すように鍔部14を軌道部 13の円周方向全域に設ける場合と比較して、 軌道部材23および鍔部24の形成が容易となる

 次に、図10を参照して、保持器26は、円周 方向に所定の間隔を空けて配置される複数の 柱部26aと、柱部26aの長手方向両端部に配置さ れる円弧形状の一対の連結部26bとを含み、隣 接する柱部26aの間にころ25を収容するポケッ 26cが形成されている。また、連結部26bの幅 向の端面(「揺動軸受用外輪22に組み込んだ きに鍔部24に対面する壁面」を指す。)には 円周方向に連続する突条26dが形成されてい 。

 さらに、保持器26の円周方向両端部には ポケット26cの形成されていない空白領域26e 設けられている。円周方向一方側(図8中の左 側)の空白領域26eは、保持器26の円周方向の端 面が内向き突出片26cに衝突したときに、ポケ ット26cの変形に伴うころ25の回転不良を防止 る。一方、円周方向他方側(図8中の右側)の 白領域26eは、保持器26が円周方向他方側に 大限偏ったときに、揺動軸受用外輪22からは み出す部分なので、ころ25を配置することが きない。

 上記構成の揺動軸受21の組立方法を説明 る。まず、保持器26のポケット26cにころ25を み込む。そして、鍔部24の形成されていな 揺動軸受用外輪22の円周方向端部領域から保 持器26を軌道面23aに沿って挿入する。

 なお、上記の実施形態において、図9に示 す揺動軸受用外輪22に図3に示す保持器16を組 込むと、突起16dが鍔部24の円周方向の端部 引っ掛かって、揺動軸受のスムーズな揺動 阻害する。したがって、揺動軸受用外輪22に は図10に示す保持器26が適している。一方、 2に示す揺動軸受用外輪12には、図10に示す保 持器26を組み込んでもよい。

 また、上記の実施形態においては、鍔部2 4を軌道部材23の円周方向中央部領域に配置し た例を示したが、これに限ることなく、任意 の位置に任意の個数だけ設けることができる 。図12を参照して、この発明の他の実施形態 係る揺動軸受用外輪32を説明する。図12は揺 動軸受用外輪32の図11に対応する図である。 お、図9および図11に示した揺動軸受用外輪22 との共通点の説明は省略し、相違点を中心に 説明する。

 図12を参照して、揺動軸受用外輪32は、軌 道部材33と、鍔部34a,34b(これらを総称して「 部34」という)とを含む。鍔部34aは軌道部材33 の円周方向一方側(図12中の左側)の端部領域 、鍔部34bは軌道部材33の円周方向他方側(図12 中の右側)の端部領域にそれぞれ配置されて る。

 このように、鍔部34a,34bを任意の位置に設け た場合でも、軌道部材33の円周方向長さL 1 と、鍔部34の円周方向長さL 2 とが0.2≦L 2 /L 1 ≦0.8を満たしていれば、この発明の効果を得 ることができる。なお、この場合における鍔 部34の円周方向長さL 2 は、鍔部34aの円周方向長さL 3 と鍔部34bの円周方向長さL 4 との和に一致する。

 図13および図14を参照して、この発明のさ らに他の実施形態に係る揺動軸受41を説明す 。なお、揺動軸受11,21との共通点の説明は 略し、相違点を中心に説明する。また、図13 は揺動軸受41の斜視図、図2は揺動軸受用外輪 42の斜視図である。

 まず、図13を参照して、揺動軸受41は、揺 動軸受用外輪42と、揺動軸受用外輪42の内径 に沿って配置される複数のころ45と、複数の ころ45を保持する保持器46とを備える。なお 保持器46は図10に示す保持器26と共通するの 、説明は省略する。

 次に、図14を参照して、揺動軸受用外輪42 は、内径面に軌道面43aを有する円弧形状(こ 実施形態では中心角が180°の半円形状)の軌 部材43と、軌道部材43の幅方向両端部から径 向内側に突出して、ころ45および保持器46の 幅方向の移動を規制する鍔部44とを含む。

 軌道部材43には、その円周方向両端部に 向き突出片43bと、円周方向一方側端部(図13 の左側)に内向き突出片43cと、円周方向他方 端部(図13中の右側)に爪部43dとが設けられて いる。

 なお、外向き突出片43b、内向き突出片43c 爪部43dおよび突出部44aの構成および機能は それぞれ外向き突出片13b、内向き突出片13c 爪部13d、および突出部14aと共通するので、 明は省略する。また、図13のIV-IVにおける断 面図は図4と共通するので、説明は省略する

 鍔部44は、第1の鍔部44aと、第1の鍔部44aと 円周方向に隣接する位置に第1の鍔部44aより 出長さが相対的に小さい第2の鍔部(図示せず )とを含む。ただし、この実施形態において 、第2の鍔部の突出長さが0mm、すなわち、第2 の鍔部が設けられていない。また、第1の鍔 44aには、その先端から軌道部材43の幅方向内 側に向かって延びる突出部44bが設けられてい る。

 上記構成のように鍔部44の円周方向の一 について、その突出長さを減じることによ 、揺動軸受用外輪42の剛性を低下させること ができる。その結果、適切な予圧で揺動軸受 用外輪42をハウジングに密着させることがで る。

 揺動軸受用外輪42の製造方法は揺動軸受 外輪12と共通するので、詳しい説明は省略す る。なお、この実施形態においては、鍔部44 軌道部材43の円周方向の一部に限定して形 する(隣接する第1の鍔部44aの間には鍔部の形 成されていない領域が存在する)ので、鍔部 軌道部材の円周方向全域に設ける場合と比 して、軌道部材43および鍔部44の形成が容易 なる。

 なお、上記の実施形態においては、複数 第1の鍔部44aを円周方向に所定の間隔を空け て配置した(第2の鍔部の突出長さが0mm)例を示 したが、これに限ることなく、第1の鍔部44a 円周方向に隣接する位置に第2の鍔部を設け もよい。第2の鍔部の突出長さを第1の鍔部44 aより小さくし、かつ第2の鍔部の先端に軌道 材43の幅方向内側に延びる突出部を設けな れば、従来の揺動軸受用外輪と比較して剛 を低下させることができる。

 図15~図17を参照して、この発明のさらに の実施形態に係る揺動軸受51を説明する。な お、揺動軸受11,21,41との共通点の説明は省略 、相違点を中心に説明する。また、図15は 動軸受51の斜視図、図16は図15に示す揺動軸 用外輪52の斜視図、図17は図15のXVII-XVIIにお る断面図である。

 まず、図15を参照して、揺動軸受51は、揺 動軸受用外輪52と、揺動軸受用外輪52の軌道 上に配置される複数のころ55と、複数のころ 55を保持する保持器56とを備える。なお、保 器56は図10に示す保持器26と共通するので、 明は省略する。

 次に、図16および図17を参照して、揺動軸 受用外輪52は、内径面に軌道面53aを有する円 形状(この実施形態では中心角が180°の半円 状)の軌道部材53と、軌道部材53の幅方向両 部から径方向内側に突出して、ころ55および 保持器56の幅方向の移動を規制する鍔部54と 含む。

 軌道部材53には、その円周方向両端部に 向き突出片53bと、円周方向一方側端部(図15 の左側)に内向き突出片53cと、円周方向他方 端部(図15中の右側)に爪部53dとが設けられて いる。鍔部54は、軌道部材53の幅方向両端部 ら径方向に向かって、かつ軌道面53aに対し 鋭角に延びている。

 なお、外向き突出片53b、内向き突出片53c および爪部53dの構成および機能は、それぞ 外向き突出片13b、内向き突出片13c、および 部13dと共通するので、説明は省略する。ま 、図16の矢印XIの方向から見た矢視図は図11 共通するので、説明は省略する。

 次に、図17を参照して、保持器56は、軌道 面53aと一対の鍔部54とで囲まれる領域に位置 る。また、鍔部54の先端の距離は、保持器56 の最大幅寸法よりも短く設定されている。具 体的には、左右の突条56dの頂点を結んだ位置 が保持器56の最大幅寸法となる。また、鍔部5 4の先端は突条56dよりも径方向内側に位置し 突条56dを径方向内側から保持している。上 構成とすることにより、保持器56が揺動軸受 用外輪52の径方向に抜けるのを防止する。

 揺動軸受用外輪52の製造方法は揺動軸受 外輪52と共通するので、詳しい説明は省略す る。なお、鍔部54の形成工程では、平板の短 方向の両端部を起点として軌道面53aに対し 鋭角に折り曲げる。

 なお、上記の実施形態においては、鍔部5 4を軌道部材53の円周方向の一部にのみ設けた 例を示したが、これに限ることなく、図2に すように鍔部を軌道部材の円周方向の全域 設けてもよい。この場合、保持器56としては 、図3に示す保持器16および図10に示す保持器2 6のどちらを採用してもよい。

 次に、図18および図19を参照して、この発 明のさらに他の実施形態に係る揺動軸受61を 明する。なお、揺動軸受11との共通点の説 は省略し、相違点を中心に説明する。また 図18は揺動軸受61の斜視図、図19は揺動軸受 外輪62の斜視図である。

 まず、図18を参照して、揺動軸受61は、揺 動軸受用外輪62と、揺動軸受用外輪62の内径 に沿って配置される複数のころ65と、複数の ころ65を保持する保持器66とを備える。なお 保持器66は図10に示す保持器26と共通するの 、説明は省略する。

 次に、図19を参照して、揺動軸受用外輪62 は、内径面に軌道面63aを有する円弧形状(こ 実施形態では中心角が180°の半円形状)の軌 部材63と、軌道部材63の幅方向両端部から径 向内側に突出して、ころ65および保持器66の 幅方向の移動を規制する鍔部64とを含む。

 軌道部材63には、その円周方向両端部に 向き突出片63bと、円周方向一方側端部(図19 の左側)に内向き突出片63cと、円周方向他方 端部(図19中の右側)に爪部63dとが設けられて いる。

 なお、外向き突出片63b、内向き突出片63c および爪部63dの構成および機能は、それぞ 外向き突出片43b、内向き突出片43c、および 部43dと共通するので、説明は省略する。ま 、図18のXVII-XVIIにおける断面図は図17と共通 するので、説明は省略する。

 鍔部64は、第1の鍔部64aと、第1の鍔部64aと 円周方向に隣接する位置に第1の鍔部64aより 出長さが相対的に小さい第2の鍔部(図示せず )とを含む。ただし、この実施形態において 、第2の鍔部の突出長さが0mm、すなわち、第2 の鍔部が設けられていない。また、第1の鍔 64aは、軌道部材63の幅方向両端部から径方向 内側に向かって、かつ軌道面63aに対して鋭角 に延びている。

 上記構成としても、この発明の効果を得 ことができる。また、鍔部64の円周方向の 部について、その突出長さを減じることに り、揺動軸受用外輪62の剛性を低下させるこ とができる。その結果、適切な予圧で揺動軸 受用外輪62をハウジングに密着させることが きる。

 揺動軸受用外輪62の製造方法は揺動軸受 外輪42と共通するので、詳しい説明は省略す る。なお、鍔部64の形成工程では、平板の短 方向の両端部を起点として軌道面63aに対し 鋭角に折り曲げる。

 上記の各実施形態において、揺動時の潤 性能を向上させるため、少なくともころの 面(特に転動面)、さらには揺動軸受用外輪 軌道面にランダムに無数の微小凹形状のく みを設ける。これにより、油膜形成能力が 上し、希薄潤滑下で極端に油膜厚さが薄い 件下でも長寿命となる。

 このとき、くぼみを設けた面の面粗さパ メータRqniを0.10以上、かつSk値を-1.6以下に 定し、軸受部品(「ころ」および「揺動軸受 外輪」を指す)の表面積に対するくぼみの面 積率を10%~40%の範囲内に設定する。加工方法 しては、特殊なバレル研磨によって所望の 上げ面を得ることができるが、ショットピ ニングやショットブラスト等を用いてもよ 。なお、このような加工をHL(High Lubrication) 工といい、HL加工よって得られた表面をHL表 という。

 なお、「Rqni」とは、粗さ中心線から粗さ 曲線までの高さの偏差の自乗を測定長さの区 間で積分し、その区間で平均した値の平方根 を指すものとし、別名自乗平均平方根粗さと もいう(ISO4287:1997)。

 これにより、微小凹形状のくぼみが油溜 となり、油膜形成が向上し、表面損傷を極 抑える効果がある。なお、くぼみの面積率 10%未満である場合、微小凹形状のくぼみが なすぎて長寿命効果が小さくなる。一方、 ぼみの面積率が40%より大きい場合には、軌 面ところの接触面積が減少して長寿命効果 小さくなる。

 RqniおよびSk値の測定方法および条件の一 を以下に示す。この測定方法によって、例 ばころの表面性状を測定する場合、一箇所 測定値でも代表値として信頼できるが、直 方向に対向する2箇所を測定することにより 、より信頼性の高い測定結果を得ることがで きる。

 パラメータ算出規格:ガウシアン
 測定長さ:5λ
 カットオフ波長:0.25mm
 測定倍率:10000倍
 測定速度:0.30mm/s
 測定箇所:ころ中央部
 測定数:2箇所
 測定装置:面粗さ測定器サーフコム1400A(東京 精密株式会社)
 また、凹形状のくぼみの定量的測定は、例 ば、ころの表面を拡大し、その画像から市 されている画像解析システムを使用して行 ことができる。さらには、特開2001-186424号 報に記載されている表面検査方法および表 性状検査装置を用いれば、安定して精度よ 測定することができる。この方法でくぼみ 定量的測定を行う場合、画像の白い部分は 面平坦部、黒い部分は微小なくぼみとして 析する。

 上記公報に記載されている測定装置によ 測定条件の一例を以下に示す。この場合も 一箇所の測定値でも代表値として信頼でき が、2箇所以上を測定することにより、さら に信頼性の高い測定結果を得ることができる 。

 観察視野:826μm×620μm
(ころの直径がφ4未満の場合、413μm×640μmが望 ましい)
 測定位置:ころ中央部
 測定箇所:2箇所
 次に、この発明の効果を確認するために、 20に示すようなラジアル荷重試験71を用いて 、回転軸72の両側に取り付けた試験軸受73に 重を加えながら回転試験を行った。なお、 転軸72および試験軸受73の軌道輪の表面粗さR aは、0.10μm~0.16μmの範囲内に設定されており 試験条件は以下の通りである。

 軸受ラジアル荷重:2000kgf
 回転数:4000rpm
 潤滑油:クリセフオイルH46
 上記の試験に用いる軸受として、揺動軸受 代えて図21に示すような針状ころ軸受74を採 用した。針状ころ軸受74は、針状ころ75と、 状ころを収容するポケットを有する保持器76 とを備える。また、針状ころ軸受74の外径Dr=6 6mm、内径dr=25mm、針状ころ75の直径D=4mm、ころ さL=25.8mmであって、針状ころ75が15本収容さ ている。

 また、この発明の一実施形態に係る針状 ろを採用した針状ころ軸受(本発明品)は、 1上段の表面性状を得るために表面処理を施 ており、表面状態を図22に示す。一方、比 対象となる従来の針状ころを採用した針状 ろ軸受(従来品)は、特段の表面処理を施して おらず、表面性状は表1下段に、表面状態は 23に示す通りである。

 

 表1を参照して、本発明品は、従来品と比 較して1.7倍の剥離寿命が得られることが確認 された。

 次に、図24および図25を参照して、この発 明の一実施形態に係るエアディスクブレーキ 装置81を説明する。なお、図24はエアディス ブレーキ装置81の概略断面図、図25は制動機 90の拡大断面図である。

 まず、図24を参照して、エアディスクブ ーキ装置81は、タイヤ(図示省略)と一体回転 るブレーキディスク82(「ロータ」ともいう) と、一対のブレーキパッド83,84と、ブレーキ リンダ85と、制動機構90とを主に備える。

 一対のブレーキパッド83,84は、ブレーキ ィスク82の軸方向に隣接する位置に配置され ている。また、ブレーキディスクとブレーキ パッド83,84との間には、非制動状態(ブレーキ ペダルを踏み込んでいない状態を指す)にお て、所定の隙間が設けられている。

 ブレーキシリンダ85は、容積が可変の空 室86と、空気室86への空気の供給および排出 行う吸排気口87と、空気室86の容積の変化に 伴って軸方向(「図24中の矢印Aの方向および の反対方向」を指す)に移動するアクチュエ タロッド88と、アクチュエータロッド88を空 気室86の容積を減じる方向に付勢する弾性部 としてのコイルばね89とを含む。

 制動機構90は、一方側端部に揺動部材91を 有し、他方側端部でアクチュエータロッド88 連結し、揺動部材91の揺動中心Gを中心とし 回動する回動レバー92と、揺動部材91を揺動 自在に支持するこの発明の一実施形態に係る 揺動軸受11と、揺動部材91の揺動中心Gから外 た位置に取り付けられて、軸方向(「図24中 矢印Bの方向およびその反対方向」を指す) 移動するトラバース93と、トラバース93をブ ーキパッド83,84から遠ざける方向に付勢す 弾性部材としてのコイルばね94とを含む。

 上記構成のエアディスクブレーキ装置81 、例えば、大型商用車、トラック、または ス等の大型で大きな制動力を必要とする車 等に採用される。

 上記構成のエアディスクブレーキ装置81 動作を説明する。まず、ブレーキペダル(図 省略)を踏み込むと、吸排気口87から空気室8 6に空気が供給され、空気室86の容積が増大す る。空気室86の容積の増大に伴って、アクチ エータロッド88がコイルばね89の弾性力に逆 らって矢印Aの方向に移動する。アクチュエ タロッド88に押された回動レバー92は、揺動 心Gの周りを反時計回りに回動する(回動後 回動レバー92の位置を図25に一点鎖線で示す) 。揺動部材91の揺動中心Gから外れた位置に取 り付けられたトラバース93は、コイルばね94 弾性力に逆らって矢印Bの方向に移動する。 れにより、ブレーキパッド83,84がブレーキ ィスク82に押し付けられて、タイヤの回転が 制動される。

 一方、ブレーキペダルを緩めると、空気 86内の空気が吸排気口87から排出され、空気 室86の容積が減少する。空気室86の容積の減 に伴って、コイルばね89がアクチュエータロ ッド88を矢印Aと反対方向に移動させる。アク チュエータロッド88に連結された回動レバー9 2は、揺動中心Gの周りを時計回りに回動する そして、コイルばね94がトラバース93を矢印 Bと反対方向に移動させる。これにより、ブ ーキディスク82とブレーキパッド83,84との間 所定の隙間が形成されて、タイヤの制動が 除される。

 上記構成のエアディスクブレーキ装置81 おいて、揺動部材91を揺動自在に支持する軸 受として、この発明の一実施形態に係る揺動 軸受11を採用することにより、長寿命で信頼 の高いエアディスクブレーキ装置81を得る とができる。また、この発明の他の実施形 に係る揺動軸受21,41,51,61を採用しても、同様 の効果を得ることができる。

 以上、図面を参照してこの発明の実施形 を説明したが、この発明は、図示した実施 態のものに限定されない。図示した実施形 に対して、この発明と同一の範囲内におい 、あるいは均等の範囲内において、種々の 正や変形を加えることが可能である。

 この発明は、揺動軸受に有利に利用される