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Patent Searching and Data


Title:
ROTARY COMPRESSOR
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/096578
Kind Code:
A1
Abstract:
A valve body (64) that moves to open and close a bypass path (66) is fitted in a valve body receiving section (61). The valve body (64) forms, inside the valve body receiving section (61), a high pressure side space (61b) and a high pressure side space (61a). When the difference between high and low pressures in a refrigerant circuit (11) changes, the difference in pressures in the high pressure side space (61b) and high pressure side space (61a) changes, and this automatically changes the position of open/close of the bypass path (66) effected by the valve body (64).

Inventors:
FURUSHO KAZUHIRO (JP)
HIGASHI HIROFUMI (JP)
YAMAJI HIROYUKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/050412
Publication Date:
August 14, 2008
Filing Date:
January 16, 2008
Export Citation:
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Assignee:
DAIKIN IND LTD (JP)
FURUSHO KAZUHIRO (JP)
HIGASHI HIROFUMI (JP)
YAMAJI HIROYUKI (JP)
International Classes:
F04C28/26; F04C18/32; F04C23/00
Foreign References:
JPH11182479A1999-07-06
JPH11210650A1999-08-03
JP2007023993A2007-02-01
Attorney, Agent or Firm:
MAEDA, Hiroshi et al. (5-7 Hommachi 2-chome,Chuo-ku, Osaka-sh, Osaka 53, JP)
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Claims:
 固定部材と、該固定部材との間に圧縮室を形成しながら駆動軸に対して偏心回転する可動部材とを有する圧縮機構を備え、冷凍サイクルが行われる冷媒回路に接続されて冷媒を上記圧縮室で圧縮する回転式圧縮機であって、
 一端が圧縮室に開口し、他端が圧縮機構の吸入側と繋がるバイパス通路と、
 上記バイパス通路を開閉する弁体と、
 一端がバイパス通路に臨むと共に、上記弁体がバイパス通路を開閉自在に変位するように内嵌する弁体収容部とを備え、
 上記弁体収容部内では、上記冷媒回路の高低差圧の変化に応じて弁体の開閉位置が自動的に切り換わるように、弁体に圧縮機構の吐出側の圧力が作用していることを特徴とする回転式圧縮機。
 請求項1において、
 上記駆動軸には、1つの圧縮機構が連結されており、
 上記弁体は、上記冷媒回路の高低差圧が所定値以下になると、上記バイパス通路の開放位置に変位するように構成されていることを特徴とする回転式圧縮機。
 請求項2において、
 上記弁体収容部内には、その一端側に形成されて圧縮機構の吸入側と繋がる低圧側空間と、その他端側に形成されて圧縮機構の吐出側と繋がる高圧側空間とが、上記弁体によって仕切られており、
 上記弁体には、上記高圧側空間と低圧側空間との差圧がバイパス通路の閉鎖位置に向かって作用しており、
 上記冷媒回路の高低差圧が所定値以下になると弁体が開放位置に変位するように、上記差圧に抗する反力を弁体に作用させる弁開放手段を備えていることを特徴とする回転式圧縮機。
 請求項1において、
 上記圧縮機構は、上記冷媒回路から吸入した冷媒を圧縮する低段側圧縮機構と、上記低段側圧縮機構が吐出した冷媒を吸入して圧縮すると共に該低段側圧縮機構と駆動軸で連結される高段側圧縮機構とで構成され、
 上記バイパス通路は、一端が低段側圧縮機構の圧縮室に開口し、他端が低段側圧縮機構の吸入側と繋がっており、
 上記弁体は、上記冷媒回路の高低差圧が所定値以下になると、上記バイパス通路の開放位置に変位するように構成されていることを特徴とする回転式圧縮機。
 請求項4において、
 上記弁体収容部内には、その一端側に形成されて低段側圧縮機構の吸入側と繋がる低圧側空間と、その他端側に形成されて高段側圧縮機構の吐出側と繋がる高圧側空間とが、上記弁体によって仕切られており、
 上記弁体には、バイパス通路の閉鎖位置に向かう上記高圧側空間と低圧側空間との差圧が作用しており、
 上記冷媒回路の高低差圧が所定値以下になると弁体が開放位置に変位するように、上記差圧に抗する反力を弁体に作用させる弁開放手段を備えていることを特徴とする回転式圧縮機。
 請求項1において、
 上記圧縮機構は、上記冷媒回路から吸入した冷媒を圧縮する低段側圧縮機構と、上記低段側圧縮機構が吐出した冷媒を吸入して圧縮すると共に該低段側圧縮機構と駆動軸で連結される高段側圧縮機構とで構成され、
 上記バイパス通路は、一端が高段側圧縮機構の圧縮室に開口し、他端が高段側圧縮機構の吸入側と繋がっており、
 上記弁体は、上記冷媒回路の高低差圧が所定値以下になると、上記バイパス通路の閉鎖位置に変位するように構成されていることを特徴とする回転式圧縮機。
 請求項6において、
 上記弁体収容部は、その一端側に形成されて高段側圧縮機構の吐出側と繋がる高圧側空間と、その他端側に形成されて高段側圧縮機構の吸入側と繋がる中間圧側空間とが、上記弁体によって仕切られており、
 上記弁体には、バイパス通路の開放位置に向かう上記高圧側空間と中間圧側空間との差圧が作用しており、
 上記冷凍サイクルの高低差圧が所定値以下になると弁体が閉鎖位置に変位するように、上記差圧に抗する反力を弁体に作用させる弁閉鎖手段を備えていることを特徴とする回転式圧縮機。
 請求項3、5、7において、
 上記圧縮機構が収納されると共に、内部空間に冷媒回路の高圧冷媒が満たされるケーシングを備え、
 上記弁体収容部の高圧側空間は、上記ケーシングの内部空間に臨んでいることを特徴とする回転式圧縮機。
 請求項8において、
 上記ケーシングの内部空間には、その底部に圧縮機構を潤滑する油が貯留される油溜め部が形成され、
 上記高圧側空間は、上記油溜め部に臨んでいることを特徴とする回転式圧縮機。
Description:
回転式圧縮機

 本発明は、圧縮室内の冷媒の一部をバイ ス通路を介して圧縮機構の吸入側へ戻すこ が可能な回転式圧縮機に係るものである。

 従来より、シリンダ室内をピストンが偏 回転することで、圧縮室内で冷媒を圧縮さ る回転式圧縮機は、冷媒回路で冷凍サイク を行う空気調和装置等に広く適用されてい 。

 この種の回転式圧縮機として、特許文献1 には圧縮機構において、圧縮室内を圧縮機構 の吸入側と連通させるバイパス通路を備えた 圧縮機が開示されている。この圧縮機は、圧 縮機は、シリンダ室を有するシリンダと、シ リンダ室に収納されるピストンとを備えてい る。ピストンには、駆動軸から所定量偏心し た偏心軸部が内嵌している。そして、駆動軸 が回転すると、偏心軸部に駆動されてピスト ンがシリンダ室内を公転する。その結果、シ リンダ室では、ピストンとシリンダとの間に 形成される圧縮室の容積が変化し、圧縮室内 で冷媒が圧縮される。

 また、上記バイパス通路は、流入端がシ ンダの内周面に形成されて圧縮室に開口し 流出端が圧縮機構の吸入配管と繋がってい 。このバイパス通路は、弁体によって開閉 在となっている。具体的には、弁体の背面 には、冷媒導入管を介して圧縮機構の吐出 と繋がる背圧室が形成されている。また、 媒導入管には、圧縮機構の吐出側と背圧室 を連通させる状態と、圧縮機構の吐出側と 圧室とを遮断する状態とに切り換え可能な 方弁が設けられている。

 三方弁の切換により圧縮機構の吐出側と 圧室とが連通すると、弁体は背圧室に導入 れた高圧冷媒に押圧されバイパス通路を閉 する位置に変位する。この状態でピストン シリンダ室内を公転すると、吸入口より圧 室内に吸入された冷媒が圧縮され、その冷 の全量が吐出口から吐出される。

 一方、三方弁の切換により、圧縮機構の吐 側と背圧室とが遮断されると、弁体がスプ ングによって付勢され、バイパス通路を開 する位置に変位する。この状態でピストン シリンダ室内を公転すると、吸入口より圧 室内に吸入された冷媒は、一部がバイパス 路を介して圧縮機構の吸入側へ戻される一 、残りの冷媒だけが圧縮されて吐出口から 出される。

特開昭59-12264号公報

 上述のように、この回転式圧縮機では、 気調和装置の運転条件に併せて三方弁の設 を適宜変更することで、弁体の開閉状態を り換えて冷媒の閉じ込み容積(実質的な吸入 容積)を変化させるようにしている。このた 、この回転式圧縮機では、弁体を開閉する めの三方弁や、この三方弁に接続される配 等が必要となる。また、空気調和装置の運 条件に併せて三方弁を切り換えるためには センサ等により空気調和装置の運転条件が のような状態であるかを適宜検出し、この ンサの検出結果に応じて三方弁の設定を切 換える必要がある。従って、特許文献1の回 式圧縮機では、その装置構造が複雑となり 製造コストの増大、あるいはメンテナンス 煩雑化を招いてしまう。

 本発明は、斯かる点に鑑みて創案された のであり、その目的は、単純な構造により 空気調和装置等の運転条件に併せてバイパ 通路を開閉させることができる回転式圧縮 を提案することである。

 第1の発明は、固定部材(41a,41b,44,45,46,81)と 、該固定部材(41a,41b,44,45,46,81)との間に圧縮室 を形成しながら駆動軸(33)に対して偏心回転 る可動部材(47a,47b,82)とを有する圧縮機構(40a, 40b,80)を備え、冷凍サイクルが行われる冷媒 路(11)に接続されて冷媒を上記圧縮室で圧縮 る回転式圧縮機を前提としている。そして この回転式圧縮機は、一端が圧縮室に開口 、他端が圧縮機構(40a,40b,80)の吸入側と繋が バイパス通路(66)と、該バイパス通路(66)を 閉する弁体(64)と、一端がバイパス通路(66)に 臨むと共に、上記弁体(64)がバイパス通路(66) 開閉自在に変位するように内嵌する弁体収 部(61)とを備え、該弁体収容部(61)内では、 記冷媒回路(11)の高低差圧の変化に応じて弁 (64)の開閉位置が自動的に切り換わるように 、弁体(64)に圧縮機構(40a,40b,80)の吐出側の圧 が作用していることを特徴とするものであ 。

 第1の発明では、固定部材(41a,41b,44,45,46,81) に対して可動部材(47a,47b,82)が偏心回転するこ とで、圧縮室の容積が拡縮されて冷媒が圧縮 される。ここで、弁体(64)がバイパス通路(66) 閉鎖する位置で圧縮動作が行われると、冷 の全量が圧縮室内で圧縮される。一方、弁 (64)がバイパス通路(66)を開放する位置で圧 動作が行われると、冷媒の一部がバイパス 路(66)を通じて圧縮機構(40a,40b,80)の吸入側に され、残りの冷媒は圧縮室で圧縮される。 上のように、この圧縮機構(40a,40b,80)では、 体(64)によるバイパス通路(66)の開閉動作に じて、圧縮室の吸入容積が可変となってい 。

 本発明では、弁体収容部(61)内に弁体(64) 変位自在に内嵌している。弁体収容部(61)内 は、圧縮機構(40a,40b,80)の吐出側の圧力が作 している。冷媒回路(11)の冷凍サイクルの条 件に応じて、冷媒回路(11)の高低差圧が変化 ると、弁体(64)に作用する圧力もこれに応じ 変動する。その結果、弁体収容部(61)では、 この圧力の変動に伴い弁体(64)が変位し、バ パス通路(66)を開放する位置や閉鎖する位置 なる。即ち、本発明では、冷媒回路(11)の高 低差圧の変化に連動するようにして、弁体(64 )の開閉位置が自動的に切り換えられる。従 て、圧縮機構(40a,40b,80)の吸入容積も、冷媒 路(11)の高低差圧に応じて自動的に変更され ことになる。

 第2の発明は、第1の発明の回転式圧縮機 おいて、駆動軸(33)には1つの圧縮機構(80)が 結されており、上記弁体(64)は、上記冷媒回 (11)の高低差圧が所定値以下になると、上記 バイパス通路(66)の開放位置に変位するよう 構成されていることを特徴とするものであ 。

 第2の発明の回転式圧縮機は、1つの圧縮 構により冷凍サイクルの圧縮行程を行う、 段式の圧縮機で構成される。一方、弁体収 部(61)内の弁体(64)は、冷媒回路(11)の高低差 が所定値以下になると、バイパス通路(66)を 放する位置に変位する。このため、このよ に冷媒回路(11)の高低差圧が比較的小さい運 転条件においては、圧縮室の冷媒の一部がバ イパス通路(66)を介して圧縮機構(80)の吸入側 戻される。その結果、圧縮機構(80)の吸入容 積が小さくなり、この回転式圧縮機の冷媒循 環量が機械的に抑制される。

 第3の発明は、第2の発明の回転式圧縮機 おいて、上記弁体収容部(61)内には、その一 側に形成されて圧縮機構(80)の吸入側と繋が る低圧側空間(61a)と、その他端側に形成され 圧縮機構(80)の吐出側と繋がる高圧側空間(61 b)とが、上記弁体(64)によって仕切られており 、上記弁体(64)には、上記高圧側空間(61b)と低 圧側空間(61a)との差圧がバイパス通路(66)の閉 鎖位置に向かって作用しており、上記冷媒回 路(11)の高低差圧が所定値以下になると弁体(6 4)が開放位置に変位するように、上記差圧に する反力を弁体(64)に作用させる弁開放手段 (65)を備えていることを特徴とするものであ 。

 第3の発明では、弁体収容部(61)内が、弁 (64)によって高圧側空間(61b)と低圧側空間と 仕切られる。高圧側空間(61b)は、圧縮機構(80 )の吐出側と繋がっており、高圧雰囲気とな ている。一方、低圧側空間(61a)は、圧縮機構 (80)の吸入側と繋がっており、低圧雰囲気と っている。弁体(64)には、これら高圧側空間( 61b)と低圧側空間(61a)の差圧がバイパス通路(66 )の閉鎖位置に向かって作用している。また 弁体(64)には、弁開放手段(65)によってこの差 圧と反対側を向く反力、即ちバイパス通路(66 )の開放位置に向かう力が作用している。

 冷媒回路(11)の高低差圧が所定値を上回る 状態では、高圧側空間(61b)と低圧側空間(61a) 差圧が比較的大きくなるので、この差圧に り弁体(64)はバイパス通路(66)の閉鎖位置に変 位する。その結果、冷媒回路(11)の高低差圧 比較的大きい運転条件では、圧縮機構(80)の 入容積が大きくなり、この回転式圧縮機の 転能力が自動的に増大する。一方、冷媒回 (11)の高低差圧が所定値以下になる状態では 、高圧側空間(61b)と低圧側空間(61a)の差圧が 較的小さくなるので、弁体(64)は弁開放手段( 65)によりバイパス通路(66)の開放位置に変位 る。その結果、冷媒回路(11)の高低差圧が比 的小さい運転条件では、圧縮機構(80)の吸入 容積が小さくなり、この回転式圧縮機の冷媒 循環量が機械的に抑制される。

 第4の発明は、第1の発明の回転式圧縮機 おいて、上記圧縮機構は、上記冷媒回路(11) ら吸入した冷媒を圧縮する低段側圧縮機構( 40a)と、上記低段側圧縮機構(40a)が吐出した冷 媒を吸入して圧縮すると共に該低段側圧縮機 構(40a)と駆動軸(33)で連結される高段側圧縮機 構(40b)とで構成され、上記バイパス通路(66)は 、一端が低段側圧縮機構(40a)の圧縮室に開口 、他端が低段側圧縮機構(40a)の吸入側と繋 っており、上記弁体(64)は、上記冷媒回路(11) の高低差圧が所定値以下になると、上記バイ パス通路(66)の開放位置に変位するように構 されていることを特徴とするものである。

 第4の発明では、低段側圧縮機構(40a)と高 側圧縮機構(40b)とが駆動軸(33)によって互い 連結された圧縮機構が設けられる。本発明 バイパス通路(66)や弁体収容部(61)は、低段 圧縮機構(40a)に設けられており、弁体(64)の 閉位置に応じて低段側圧縮機構(40a)の吸入容 積が切換可能となっている。ここで、冷媒回 路(11)の高低差圧が比較的小さい運転条件に いて、両圧縮機構(40a,40b)で冷媒を2段圧縮す と、低段側圧縮機構(40a)側で冷媒の圧縮行 がほぼ終了し、高段側圧縮機構(40b)ではほと んど冷媒が圧縮されないことがある。その結 果、低段側圧縮機構(40a)における冷媒の圧縮 ルクの変動幅が、高段側圧縮機構(40b)にお る冷媒の圧縮トルクの変動幅よりも相対的 大きくなってしまう。その結果、両圧縮機 (40a,40b)における圧縮トルクの変動幅がアン ランスとなることに起因して、駆動軸(33)の 転に伴い振動や騒音が生じてしまうという 題が生じる。

 そこで、本発明では、冷媒回路(11)の高低 差圧が所定値以下になると、低段側圧縮機構 (40a)の弁体(64)をバイパス通路(66)の閉鎖位置 変位させている。このため、このように冷 回路(11)の高低差圧が比較的小さい運転条件 おいては、低段側圧縮機構(40a)の圧縮室の 媒の一部がバイパス通路(66)を介して低段側 縮機構(40a)の吸入側に戻される。その結果 弁体(64)を閉鎖位置とした場合よりも、低段 圧縮機構(40a)の吸入容積が小さくなるので その分だけ低段側圧縮機構(40a)の圧縮トルク の変動幅が小さくなり、両圧縮機構(40a,40b)の 圧縮トルクの変動幅が平均化される。従って 、両圧縮機構(40a,40b)における圧縮トルクの変 動幅のアンバランスに起因して、駆動軸(33) 回転に伴い振動や騒音が生じてしまうこと 自動的に解消される。

 第5の発明は、第4の発明の回転式圧縮機 おいて、上記弁体収容部(61)内には、その一 側に形成されて低段側圧縮機構(40a)の吸入 と繋がる低圧側空間(61a)と、その他端側に形 成されて高段側圧縮機構(40b)の吐出側と繋が 高圧側空間(61b)とが、上記弁体(64)によって 切られており、上記弁体(64)には、バイパス 通路(66)の閉鎖位置に向かう上記高圧側空間(6 1b)と低圧側空間(61a)との差圧が作用しており 上記冷媒回路(11)の高低差圧が所定値以下に なると弁体(64)が開放位置に変位するように 上記差圧に抗する反力を弁体(64)に作用させ 弁開放手段(65)を備えていることを特徴とす るものである。

 第5の発明では、弁体収容部(61)内が、弁 (64)によって高圧側空間(61b)と低圧側空間と 仕切られる。高圧側空間(61b)は、高段側圧縮 機構(40b)の吐出側と繋がっており、高圧雰囲 となっている。一方、低圧側空間(61a)は、 段側圧縮機構(40a)の吸入側と繋がっており、 低圧雰囲気となっている。弁体(64)には、こ ら高圧側空間(61b)と低圧側空間(61a)の差圧が イパス通路(66)の閉鎖位置に向かって作用す る一方、弁開放手段(65)によってこの差圧と 対側を向く反力も作用している。

 冷媒回路(11)の高低差圧が所定値を上回る 状態では、高圧側空間(61b)と低圧側空間(61a) 差圧が比較的大きくなるので、この差圧に り弁体(64)はバイパス通路(66)の閉鎖位置に変 位する。その結果、冷媒回路(11)の高低差圧 比較的大きい運転条件では、低段側圧縮機 (40a)の吸入容積が大きくなり、両圧縮機構(40 a,40b)でバランス良く圧縮行程が行われる。一 方、冷媒回路(11)の高低差圧が所定値以下に る状態では、高圧側空間(61b)と低圧側空間(61 a)の差圧が比較的小さくなるので、弁体(64)は 弁開放手段(65)によりバイパス通路(66)の開放 置に変位する。その結果、冷媒回路(11)の高 低差圧が比較的小さい運転条件では、低段側 圧縮機構(40a)の吸入容積が小さくなる。この め、両圧縮機構(40a,40b)における圧縮トルク 変動幅のアンバランスに起因して、駆動軸( 33)の回転に伴い振動や騒音が生じてしまうこ とが自動的に解消される。

 第6の発明は、第1の発明の回転式圧縮機 おいて、上記圧縮機構は、上記冷媒回路(11) ら吸入した冷媒を圧縮する低段側圧縮機構( 40a)と、上記低段側圧縮機構(40a)が吐出した冷 媒を吸入して圧縮すると共に該低段側圧縮機 構(40a)と駆動軸(33)で連結される高段側圧縮機 構(40b)とで構成され、上記バイパス通路(66)は 、一端が高段側圧縮機構(40b)の圧縮室に開口 、他端が高段側圧縮機構(40b)の吸入側と繋 っており、上記弁体(64)は、上記冷媒回路(11) の高低差圧が所定値以下になると、上記バイ パス通路(66)の閉鎖位置に変位するように構 されていることを特徴とするものである。

 第6の発明では、低段側圧縮機構(40a)と高 側圧縮機構(40b)とが駆動軸(33)によって互い 連結された圧縮機構が設けられる。本発明 バイパス通路(66)や弁体収容部(61)は、高段 圧縮機構(40b)に設けられており、弁体(64)の 閉位置に応じて高段側圧縮機構(40b)の吸入容 積が切換可能となっている。ここで、冷媒回 路(11)の高低差圧が比較的小さい運転条件に いて、両圧縮機構(40a,40b)で冷媒を2段圧縮す と、上述したように、低段側圧縮機構(40a) おける冷媒の圧縮トルクの変動幅が、高段 圧縮機構(40b)における冷媒の圧縮トルクの変 動幅よりも相対的に大きくなってしまい、振 動や騒音が生じてしまう。

 そこで、本発明では、冷媒回路(11)の高低 差圧が所定値以下になると、高段側圧縮機構 (40b)の弁体(64)をバイパス通路(66)の閉鎖位置 変位させている。このため、このように冷 回路(11)の高低差圧が比較的小さい運転条件 おいては、高段側圧縮機構(40b)の圧縮室で 媒の全量が圧縮される。その結果、弁体(64) 開放位置とした場合よりも、高段側圧縮機 (40b)の吸入容積が大きくなるので、その分 け高段側圧縮機構(40b)の圧縮トルクの変動幅 が大きくなり、両圧縮機構(40a,40b)の圧縮トル クの変動幅が平均化される。従って、両圧縮 機構(40a,40b)における圧縮トルクの変動幅のア ンバランスに起因して、駆動軸(33)の回転に い振動や騒音が生じてしまうことが自動的 解消される。

 第7の発明は、第6の発明の回転式圧縮機 おいて、上記弁体収容部(61)は、その一端側 形成されて高段側圧縮機構(40b)の吐出側と がる高圧側空間(61b)と、その他端側に形成さ れて高段側圧縮機構(40b)の吸入側と繋がる中 圧側空間(61c)とが、上記弁体(64)によって仕 られており、上記弁体(64)には、バイパス通 路(66)の開放位置に向かう上記高圧側空間(61b) と中間圧側空間(61c)との差圧が作用しており 上記冷凍サイクルの高低差圧が所定値以下 なると弁体(64)が閉鎖位置に変位するように 、上記差圧に抗する反力を弁体(64)に作用さ る弁閉鎖手段(65)を備えていることを特徴と るものである。

 第7の発明では、弁体収容部(61)内が、弁 (64)によって高圧側空間(61b)と中間圧側空間(6 1c)とに仕切られる。高圧側空間(61b)は、高段 圧縮機構(40b)の吐出側と繋がっており、高 雰囲気となっている。一方、中間圧側空間(6 1c)は、高段側圧縮機構(40b)の吸入側と繋がっ おり、中間圧雰囲気となっている。弁体(64) には、これら高圧側空間(61b)と中間圧側空間( 61c)の差圧がバイパス通路(66)の開放位置に向 って作用する一方、弁閉鎖手段(65)によって この差圧と反対側を向く反力も作用している 。

 冷媒回路(11)の高低差圧が所定値を上回る 状態では、高圧側空間(61b)と中間圧側空間(61c )の差圧が比較的大きくなるので、この差圧 より弁体(64)はバイパス通路(66)の開放位置に 変位する。その結果、冷媒回路(11)の高低差 が比較的大きい運転条件では、高段側圧縮 構(40b)の吸入容積が小さくなり、両圧縮機構 (40a,40b)でバランス良く圧縮行程が行われる。 一方、冷媒回路(11)の高低差圧が所定値以下 なる状態では、高圧側空間(61b)と中間圧側空 間(61c)の差圧が比較的小さくなるので、弁体( 64)は弁閉鎖手段(65)によりバイパス通路(66)の 鎖位置に変位する。その結果、冷媒回路(11) の高低差圧が比較的小さい運転条件では、高 段側圧縮機構(40b)の吸入容積が大きくなる。 のため、両圧縮機構(40a,40b)における圧縮ト クの変動幅のアンバランスに起因して、駆 軸(33)の回転に伴い振動や騒音が生じてしま うことが自動的に解消される。

 第8の発明は、第3、第5、及び第7の発明の 回転式圧縮機において、上記圧縮機構(40a,40b, 80)が収納されると共に、内部空間に冷媒回路 (11)の高圧冷媒が満たされるケーシング(21)を え、上記弁体収容部(61)の高圧側空間(61b)は 上記ケーシング(21)の内部空間に臨んでいる ことを特徴とするものである。

 第8の発明の回転式圧縮機は、ケーシング (21)の内部空間が冷媒回路(11)の高圧冷媒で満 される、いわゆる高圧ドーム型の圧縮機で 成される。一方、弁体収容部(61)の高圧側空 間(61b)は、ケーシング(21)の内部空間に臨んで おり、高圧側空間(61b)内に高圧冷媒の高圧が 用している。その結果、弁体(64)は、この高 圧によってバイパス通路(66)の開閉位置が自 的に切り換えられる。

 第9の発明は、第8の発明の回転式圧縮機 おいて、上記ケーシング(21)の内部空間には その底部に圧縮機構(40a,40b,80)を潤滑する油 貯留される油溜め部(21a)が形成され、上記 圧側空間(61b)は、上記油溜め部(21a)に臨んで ることを特徴とするものである。

 第9の発明では、高圧側空間(61b)がケーシ グ(21)の油溜め部(21a)に臨んでおり、高圧側 間(61b)は高圧冷媒によって押し出される油 導入される。つまり、高圧側空間(61b)からは 、高圧の油が弁体(64)に作用している。その 果、弁体(64)は、この油の高圧によってバイ ス通路(66)の開閉位置が自動的に切り換えら れる。

 第1の発明では、弁体収容部(61)内に設け 弁体(64)を冷媒回路(11)の高低差圧の変化に応 じて変位させてバイパス通路(66)を開閉する うに、弁体(64)に圧縮機構(40a,40b,80)の吐出側 圧力を作用させている。このため、本発明 よれば、従来技術のように三方弁等を設け り、この三方弁を適宜制御したりすること く、弁体(64)の開閉位置を冷媒回路(11)の高 差圧の変化に応じて自動的に切り換えるこ ができる。従って、この回転式圧縮機をシ プルに構成することができ、コスト削減、 るいはメンテナンスの簡便化を図ることが きる。

 第2の発明では、単段式の圧縮機構(80)に いて、冷媒回路(11)の高低差圧が所定値以下 なると、弁体(64)を開放位置に変位させるよ うにしている。このため、冷媒回路(11)の高 差圧が比較的小さい運転条件においては、 縮機構(80)の吸入容積を自動的に小さくして 転式圧縮機の冷媒循環量が機械的に抑制さ る。従って、この回転式圧縮機の運転周波 を著しく低下させることもなく、モータ効 の高い周波数で運転を行うことができる。

 第3の発明では、高圧側空間(61b)と低圧側 間(61a)の差圧、及びこの差圧に抗する弁開 手段(65)の反力を利用することで、冷媒回路( 11)の高低差圧が所定値以下になると、弁体(64 )をバイパス通路(66)の開放位置に変位させる うにしている。従って、本発明によれば、 較的単純な構成によって、冷媒回路(11)の高 低差圧が小さい運転条件で回転式圧縮機の冷 媒循環量を機械的に抑制することができる。

 第4の発明では、冷媒回路(11)の高低差圧 所定値以下になると、低段側圧縮機構(40a)の 弁体(64)をバイパス通路(66)の開放位置に自動 に変位させるようにしている。また、第6の 発明では、冷媒回路(11)の高低差圧が所定値 下になると、高段側圧縮機構(40b)の弁体(64) バイパス通路(66)の閉鎖位置に自動的に変位 せるようにしている。このため、これらの 明によれば、このような運転条件において 低段側圧縮機構(40a)の圧縮トルクの変動幅 高段側圧縮機構(40b)の圧縮トルクの変動幅を 速やかに平均化させることができ、自動的に 振動や騒音の防止を図ることができる。

 第5の発明では、高圧側空間(61b)と低圧側 間(61a)の差圧、及びこの差圧に抗する弁開 手段(65)の反力を利用することで、冷媒回路( 11)の高低差圧が所定値以下になると、低段側 圧縮機構(40a)の弁体(64)をバイパス通路(66)の 放位置に変位させるようにしている。また 第7の発明では、高圧側空間(61b)と中間圧側 間(61c)の差圧、及びこの差圧に抗する弁閉鎖 手段(65)の反力を利用することで、冷媒回路(1 1)の高低差圧が所定値以下になると、高段側 縮機構(40b)の弁体(64)をバイパス通路(66)の閉 鎖位置に変位させるようにしている。従って 、これらの発明によれば、比較的単純な構成 により、両圧縮機構(40a,40b)の圧縮トルクの変 動幅を平均化させることができ、振動や騒音 の発生を未然に防止することができる。

 第8の発明では、冷媒回路(11)の高圧冷媒 満たされるケーシング(21)の内部空間に高圧 空間(61b)が臨むようにしている。このため 圧縮機構(40b)の吐出側の圧力を高圧側空間(61 b)へ導くための配管等が不要になり、この回 式圧縮機の構造を更にシンプルに構成する とができる。

 第9の発明では、油溜め部(21a)の高圧側空 (61b)が臨むようにしている。このため、高 の油を利用して、弁体(64)の開閉位置を切り えることができる。また、このように弁体( 64)を油で変位させるようにすると、閉鎖位置 の弁体(64)の外周面と弁体収容部(61)の内周面 の間の隙間を油によってシールすることが きる。このため、比較的高温の油が、弁体( 64)周りの隙間を通じて圧縮機構(40a,40b,80)の圧 縮室内へ入り込んでしまうことが防止でき、 圧縮室内の冷媒が油によって加熱されること を未然に回避できる。従って、いわゆる冷媒 の吸入加熱により、圧縮機構(40a,40b,80)の容積 効率が低下してしまうのを防止できる。

図1は、本発明の実施形態1に係る回転 圧縮機が搭載される空気調和装置の冷媒回 図である。 図2は、実施形態1に係る回転式圧縮機 縦断面図である。 図3は、実施形態1に係る回転式圧縮機 低段側圧縮機構の横断面図である。 図4は、実施形態1に係る回転式圧縮機 バイパス通路を拡大した縦断図であり、図4( A)は第1圧縮動作時の状態を、図4(B)は第2圧縮 作時の状態を示すものである。 図5は、実施形態1に係る回転式圧縮機 低段側圧縮機構の動作を示す概略説明図で る。 図6は、実施形態1の変形例1に係る回転 圧縮機のバイパス通路を拡大した縦断図で る。 図7は、実施形態2に係る回転式圧縮機 低段側圧縮機構の縦断面図である。 図8は、実施形態2に係る回転式圧縮機 バイパス通路を拡大した縦断図であり、図8( A)は第1圧縮動作時の状態を、図8(B)は第2圧縮 作時の状態を示すものである。 図9は、実施形態3に係る回転式圧縮機 要部を示す縦断面図であり、図9(A)は第1圧縮 動作時の状態を、図9(B)は第2圧縮動作時の状 を示すものである。

符号の説明

11   冷媒回路
20   回転式圧縮機
21   ケーシング
21a   油溜め部
33   駆動軸
40a   低段側圧縮機構(圧縮機構)
40b   高段側圧縮機構(圧縮機構)
41a   低段側シリンダ(固定部材)
41b   高段側シリンダ(固定部材)
44   フロントヘッド(固定部材)
45   リアヘッド(固定部材)
46   ミドルプレート(固定部材)
47a   低段側ピストン(可動部材)
47b   高段側ピストン(可動部材)
61   弁体収容部
61a   低圧側空間 
61b   高圧側空間
61c   中間圧側空間
64   弁体
65   バネ部材(弁開放手段,弁閉鎖手段)
66   バイパス通路
80   スクロール圧縮機構(圧縮機構)
81   固定スクロール(固定部材)
82   可動スクロール(可動部材)

 以下、本発明の実施形態を図面に基づい 詳細に説明する。

  《実施形態1》
 本発明の実施形態1に係る回転式圧縮機(20) 、室内の冷房や暖房を行う空気調和装置(10) 適用されている。

  〈空気調和装置の全体構成〉
 図1に示すように、空気調和装置(10)は、冷 が循環することで冷凍サイクルを行う冷媒 路(11)を備えている。冷媒回路(11)には、上記 回転式圧縮機(20)、室外熱交換器(14)、室内熱 換器(15)、第1膨張弁(16)、第2膨張弁(17)、四 切換弁(12)、気液分離器(18)、及びアキューム レータ(19)が接続されている。

 回転式圧縮機(20)の吐出側は、吐出管(23) 通じて四方切換弁(12)の第1ポート(P1)に接続 れている。また、回転式圧縮機(20)の吸入側 、吸入管(22)を介してアキュームレータ(19) 底部に接続されている。また、アキューム ータ(19)の頂部は、四方切換弁(12)の第4ポー (P4)に接続されている。また、室外熱交換器( 14)は、その一端が四方切換弁(12)の第2ポート( P2)に、その他端が第2膨張弁(17)を介して気液 離器(18)の底部に接続されている。一方、室 内熱交換器(15)は、その一端が四方切換弁(12) 第3ポート(P3)に、その他端が第1膨張弁(16)を 介して気液分離器(18)の底部に接続されてい 。

 四方切換弁(12)は、第1ポート(P1)と第2ポー ト(P2)とが連通し且つ第3ポート(P3)と第4ポー (P4)とが連通する状態(図1に実線で示す状態) 、第1ポート(P1)と第3ポート(P3)とが連通し且 つ第2ポート(P2)と第4ポート(P4)とが連通する 態(図1に破線で示す状態)とに切り換わるよ に構成されている。

 また、冷媒回路(11)には、インジェクショ ン管(24)及びバイパス管(28)が設けられている インジェクション管(24)は、その一端が気液 分離器(18)の頂部に接続され、その他端が回 式圧縮機(20)に接続されている。このインジ クション管(24)には、開閉自在な電磁弁(31) 設けられている。電磁弁(31)を開状態にする 、気液分離器(18)内の中間圧冷媒がインジェ クション管(24)によって回転式圧縮機(20)に導 される。上記バイパス管(28)は、その一端が 回転式圧縮機(20)に接続され、その他端が吸 管(22)に接続されている。

  〈回転式圧縮機の構成〉
 次に、本発明に係る回転式圧縮機の構成に いて説明する。

 図2に示すように、回転式圧縮機(20)は、 長で円筒形の密閉容器であるケーシング(21) 備えている。ケーシング(21)の上部には、上 記吐出管(23)が貫通して接続されている。ケ シング(21)の胴部には、上記吸入管(22)及びバ イパス管(28)が貫通して接続されている。ケ シング(21)の内部には、その上側寄りに電動 (25)が配置され、その下側寄りに圧縮機構(40 )が配置されている。また、ケーシング(21)の 部空間は、圧縮機構(40)から吐出された冷媒 で満たされている。つまり、この回転式圧縮 機(20)は、ケーシング(21)の内部空間が冷媒回 (11)の高圧冷媒で満たされる、いわゆる高圧 ドーム型の圧縮機で構成されている。

 上記電動機(25)は、ステータ(26)とロータ(2 7)とで構成されている。ステータ(26)は、ケー シング(21)の内周面に固定されている。ロー (27)は、ステータ(26)の内側に配置されている 。ロータ(27)の中央部には、上下方向に延び 駆動軸(33)の主軸部(34)が連結されている。

 駆動軸(33)は、電動機(25)が通電されるこ で、所定の回転軸(X)を軸心として回転駆動 れる。駆動軸(33)には、下側から順に第1偏心 軸部(35)と第2偏心軸部(36)とが形成されている 。第1偏心軸部(35)及び第2偏心軸部(36)は、主 部(34)よりも大径で、且つ主軸部(34)の回転軸 (X)に対して偏心して形成されている。第1偏 軸部(35)と第2偏心軸部(36)とでは、回転軸(X) 対する偏心方向が逆になっている。また、 1偏心軸部(35)の高さは、第2偏心軸部(36)より 高くなっている。

 上記ケーシング(21)内の底部には、潤滑油 の油溜め部(21a)が形成されている。この油溜 部(21a)には、駆動軸(33)の下端部が浸積され いる。駆動軸(33)の下端部には、遠心式の油 ポンプ(33a)が設けられている。駆動軸(33)が回 転すると、油溜め部(21a)の潤滑油は、油ポン (33a)によって上方に汲み上げられる。この 滑油は、駆動軸(33)に形成される油通路(53)を 介して、詳細は後述する圧縮機構(40)の各摺 部等へ供給される。

 上記圧縮機構(40)は、低段側圧縮機構(40a) 高段側圧縮機構(40b)とによって構成されて る。つまり、この回転式圧縮機は、2つの圧 機構を備え、冷媒を2段階に圧縮する、いわ ゆる二段圧縮型の圧縮機で構成されている。

 圧縮機構(40)では、上方から順に、フロン トヘッド(44)、高段側シリンダ(41b)、ミドルプ レート(46)、低段側シリンダ(41a)、及びリアヘ ッド(45)が配設され、これらがケーシング(21) 固定される固定部材を構成している。フロ トヘッド(44)、ミドルプレート(46)、及びリ ヘッド(45)には、上記駆動軸(33)が貫通してい る。また、フロントヘッド(44)及びリアヘッ (45)は、ケーシング(21)の内壁に固定されてお り、駆動軸(33)を回転自在に支持している。 た、リアヘッド(45)は、上述の油溜め部(21a) 浸積している。

 低段側シリンダ(41a)及び高段側シリンダ(4 1b)は、筒状に形成されている。低段側シリン ダ(41a)の内部には低段側シリンダ室(42a)が、 段側シリンダ(41b)の内部には高段側シリンダ 室(42b)がそれぞれ形成されている。つまり、 段側シリンダ室(42a)は、その下側の開放端 リアヘッド(45)に閉塞され、その上側の開放 がミドルプレート(46)に閉塞されている。そ して、リアヘッド(45)、ミドルプレート(46)、 び低段側シリンダ(41a)の間に、上記低段側 リンダ室(42a)が形成されている。一方、高段 側シリンダ室(42b)は、その下側の開放端がミ ルプレート(46)に閉塞され、その上側の開放 面がフロントヘッド(44)に閉塞されている。 して、フロントヘッド(44)、ミドルプレート( 46)、及び高段側シリンダ(41b)の間に、上記高 側シリンダ室(42b)が形成されている。

 また、低段側シリンダ室(42a)には、筒状 低段側ピストン(47a)が設けられている。低段 側ピストン(47a)には、上記第1偏心軸部(35)が 嵌している。一方、高段側シリンダ室(42b)に は、筒状の高段側ピストン(47b)が設けられて る。高段側ピストン(47b)には、上記第2偏心 部(36)が内嵌している。低段側ピストン(47a) び高段側ピストン(47b)は、可動部材を構成 ている。以上のようにして、この圧縮機構(4 0)では、リアヘッド(45)からミドルプレート(46 )に亘って低段側圧縮機構(40a)が設けられ、ミ ドルプレート(46)からフロントヘッド(44)に亘 て高段側圧縮機構(40b)が設けられている。

 低段側圧縮機構(40a)及び高段側圧縮機構(4 0b)は、各ピストン(47a,47b)が各シリンダ室(41a,4 1b)をそれぞれ揺動するように公転する、いわ ゆる揺動ピストン型(スイング型)のロータリ 縮機構で構成されている。低段側圧縮機構( 40a)と高段側圧縮機構(40b)とは、基本的な構成 は同様となっている。一方、低段側圧縮機構 (40a)の低段側シリンダ室(42a)の容積は、高段 圧縮機構(40b)の高段側シリンダ室(42b)の容積 りも大きくなっている。

 図3に示すように、低段側圧縮機構(40a)に 、ブレード(38)と一対のブッシュ(39,39)が設 られている。上記ブレード(38)は、低段側ピ トン(47a)と一体に形成されている。ブレー (38)は、低段側ピストン(47a)の外周面から径 向外側に伸長している。このブレード(38)は 低段側シリンダ室(42a)を低圧側の低圧室(42a- Lp)と高圧側の高圧室(42a-Hp)とに区画している 一対のブッシュ(39,39)は、低段側シリンダ(41 a)に形成されるブッシュ孔(56)に嵌合している 。各ブッシュ(39,39)は、それぞれ略半円柱状 形成されている。両ブッシュ(39,39)は、その 坦な面同士が互いに向かい合っている。そ て、両ブッシュ(39,39)は、その平坦面の間で 上記ブレード(38)を進退自在に保持している また、各ブッシュ(39,39)は、その円弧状の外 面がブッシュ孔(56)の内周面と摺接している 。そして、各ブッシュ(39,39)は、ブッシュ孔(5 6)の軸心を支点としてブッシュ孔(56)に揺動自 在に保持されている。以上のような構成のブ レード(38)及びブッシュ(39)は、低段側ピスト (47a)の自転を規制するための自転制限機構 構成している。

 低段側圧縮機構(40a)には、低段側吸入通 (48a)及び低段側吐出通路(49a)が形成されてい 。低段側吸入通路(48a)は、低段側シリンダ(4 1a)に形成されている。低段側吸入通路(48a)の 入端には、上記吸入管(22)が接続されている 。低段側吸入通路(48a)の流出端は、低段側シ ンダ室(42a)の低圧室(42a-Lp)に開口している。 つまり、低段側吸入通路(48a)の流出端は、低 側シリンダ室(42a)の吸入口を構成している 低段側吸入通路(48a)からは、低段側シリンダ 室(42a)へ低圧のガス冷媒が供給される。上記 段側吐出通路(49a)は、ミドルプレート(46)に 成されている。低段側吐出通路(49a)の流入 は、低段側シリンダ室(42a)の高圧室(42a-Hp)に 口している。つまり、低段側吐出通路(49a) 流入端は、低段側シリンダ室(42a)の吐出口を 構成している。また、低段側吐出通路(49a)の 出端には、ミドルプレート(46)の内部に形成 された中間圧室(50)に開口している(図2参照) 更に、低段側吐出通路(49a)の流出開口部には 、図示しない吐出弁が設けられている。中間 圧室(50)は、低段側圧縮機構(40a)からの吐出冷 媒で満たされており、中間圧雰囲気となって いる。中間圧室(50)は、上記インジェクショ 管(24)と連通している。

 高段側圧縮機構(40b)には、上記低段側圧 機構(40a)と同様にして、ブレード及びブッシ ュが設けられている(図示省略)。また、高段 圧縮機構(40b)には、高段側吸入通路(48b)と高 段側吐出通路(49b)が形成されている。高段側 入通路(48b)の流入端は、上記中間圧室(50)と 通している。高段側吸入通路(48b)の流出端 、高段側シリンダ室(42b)の低圧室に開口して いる。上記高段側吐出通路(49b)は、フロント ッド(44)に形成されている。高段側吐出通路 (49b)の流入端は、高段側シリンダ室(42b)の高 室に開口している。高段側吐出通路(49b)の流 出端は、ケーシング(21)の内部に開口してい 。また、高段側吐出通路(49b)の流出開口部に は、図示しない吐出弁が設けられている。更 に、フロントヘッド(44)の上部には、高段側 出通路(49b)の流出開口部近傍の騒音を低減す るためのマフラ(58)が設けられている(図2参照 )。

 図4(A)及び図4(B)に示すように、上述した 段側圧縮機構(40a)のリアヘッド(45)には、バ パス孔(62)及び弁体収容部(61)が設けられてい る。

 バイパス孔(62)は、バイパス通路(66)の流 端を構成している。バイパス孔(62)は、その 端が低段側シリンダ室(42a)の下側の内壁面 開口している。また、図3に示すように、バ パス孔(62)は、駆動軸(33)の回転軸(X)とブッ ュ孔(56)の軸心を結ぶ直線を基準線とした場 に、この基準線から回転軸(X)を中心として 3の時計回りに約90度を成す直線上に位置し いる。このバイパス孔(62)は、その径方向外 側寄りの一部がリアヘッド(45)に跨るように 置されている。また、バイパス孔(62)は、上 第1偏心軸部(35)よりも径方向外側に位置し いる。つまり、バイパス孔(62)は、回転軸(X) 中心に偏心回転する第1偏心軸部(35)の外周 の軌跡よりも径方向外側に位置している。 って、低段側圧縮機構(40a)では、第1編心軸 (35)の外周面に供給される潤滑油がバイパス (62)に直接入り込んでしまうことがない。

 弁体収容部(61)は、リアヘッド(45)の下端 ら上端近傍に亘って形成されている。弁体 容部(61)内には、上記バイパス孔(62)と同軸の 円柱状の空間が形成されている。弁体収容部 (61)は、その上端がバイパス孔(62)に臨んでお 、その下端が蓋部材(63)によって封止されて いる。

 弁体収容部(61)内には、弁体(64)が上下方 に変位自在に内嵌している。弁体(64)は、弁 収容部(61)の上側から下側に向かって2段階 外径が拡大するような円柱状に形成されて る。つまり、弁体(64)は、上段側の小径部(64a )と中段側の中径部(64b)と下段側の大径部(64c) を有している。これら小径部(64a)、中径部(6 4b)、及び大径部(64c)は同軸となっている。

 弁体(64)の大径部(64c)は、その外径が弁体 容部(61)の内径とほぼ同じである。つまり、 弁体(64)の大径部(64c)は、弁体収容部(61)の内 面に摺接している。そして、弁体収容部(61) 、弁体(64)の大径部(64c)によって、その上側 低圧側空間(61a)とその下側の高圧側空間(61b) とに区画されている。

 弁体(64)の小径部(64a)は、その外径がバイ ス孔(62)の内径とほぼ同じである。つまり、 弁体(64)の小径部(64a)は、バイパス孔(62)に係 してバイパス孔(62)を封止可能に構成されて る。また、小径部(64a)の先端は、平坦であ 且つリアヘッド(45)の上面と平行となるよう 成されている。また、小径部(64a)の高さは バイパス孔(62)の深さと一致するか、あるい バイパス孔(62)の深さよりも短くなっている 。

 弁体(64)の中径部(64b)は、その外径が弁体 容部(61)の内径よりも小さくなっている。つ まり、弁体(64)の中径部(64b)と弁体収容部(61) 内周面との間には、筒状の空間が形成され いる。この筒状の空間には、中径部(64b)の周 囲を覆うようにしてバネ部材(65)が設けられ いる。バネ部材(65)は、低圧側空間(61a)にお て、一端が大径部(64c)と当接し、他端が弁体 収容部(61)の天井面と当接するように配置さ ている。

 弁体収容部(61)では、その低圧側空間(61a) 上記バイパス管(28)が接続されている。つま り、低段側シリンダ室(42a)は、バイパス孔(62) 及び低圧側空間(61a)を介してバイパス管(28)と 連通している。これらバイパス孔(62)、低圧 空間(61a)、及びバイパス管(28)がバイパス通 (66)を構成している。つまり、低圧側空間(61a )は、低段側圧縮機構(40a)の吸入側と繋がって いる。一方、高圧側空間(61b)は、高段側圧縮 構(40b)の吐出側と繋がっている。具体的に 、蓋部材(63)には、導入通路(29)が形成されて いる。導入通路(29)は、その下端がケーシン (21)の油溜め部(21a)に開口し、その上端が上 高圧側空間(61b)に開口している。その結果、 高圧側空間(61b)には、導入通路(29)を通じて高 圧の油が導入されており、弁体(64)の背面に この高圧の油が作用している。

 以上のようにして、弁体(64)には、その背 面側に高段側圧縮機構(40b)の吐出側の圧力が 用し、その先端面側に低圧が作用している これにより、弁体(64)には、高圧側空間(61b) 高圧と低圧側空間(61a)の低圧との差圧がバ パス通路(66)の閉鎖位置に向かって作用して る。一方、上述したバネ部材(65)は、この差 圧に抗してバイパス通路(66)の開放位置に向 う反力を弁体(64)に作用させる弁開放手段を 成している。このバネ部材(65)は、空気調和 装置(10)の運転条件の変化に伴い冷媒回路(11) 高低差圧が所定値以下になると、弁体(64)が 開放位置となるように弁体(64)を付勢してい 。このような弁体(64)の開閉動作の詳細は後 するものとする。

   -空気調和装置の運転動作-
 本実施形態に係る空気調和装置(10)の運転動 作について説明する。空気調和装置(10)は、 房運転と暖房運転とが可能に構成されてい 。

   〈冷房運転〉
 冷房運転時には、四方切換弁(12)が図1に実 で示す状態に設定される。この状態で回転 圧縮機(20)の電動機(25)に通電すると、回転式 圧縮機(20)の運転が開始し、冷媒回路(11)で冷 が循環して蒸気圧縮冷凍サイクルが行われ 。

 回転式圧縮機(20)で圧縮された冷媒は、吐 出管(23)から吐出されて四方切換弁(12)を通り 室外熱交換器(14)へ送られて室外空気へ放熱 する。室外熱交換器(14)で放熱した高圧冷媒 、第2膨張弁(17)で減圧されて中間圧冷媒とな り気液分離器(18)に流入する。気液分離器(18) 流入した中間圧冷媒は、中間圧ガス冷媒と 間圧液冷媒とに分離される。そのうち気液 離器(18)の底部から流出した中間圧液冷媒は 、第1膨張弁(16)で減圧されて低圧液冷媒とな 室内熱交換器(15)へ流入する。室内熱交換器 (15)では、流入した冷媒が室内空気から吸熱 て蒸発し、室内空気が冷却される。室内熱 換器(15)から流出した低圧冷媒は、四方切換 (12)とアキュームレータ(19)を順に通過して 転式圧縮機(20)へ吸入される。回転式圧縮機( 20)に吸入された冷媒は、低段側圧縮機構(40a) 高段側圧縮機構(40b)の順で圧縮される。

 また、この冷房運転において、電磁弁(31) を開状態に設定すると、気液分離器(18)内の 間圧ガス冷媒がインジェクション管(24)によ て回転式圧縮機(20)の中間圧室(50)へ導入さ る。中間圧室(50)へ導入された冷媒は、低段 圧縮機構(40a)から吐出された冷媒と共に高 側圧縮機構(40b)で圧縮される。このように、 インジェクション管(24)から高段側圧縮機構(4 0b)の吸入側へ中間圧冷媒を送るようにすると 、高段側圧縮機構(40b)の吸入冷媒のエンタル が低下し、いわゆるエコノマイザ効果によ 空気調和装置(10)の運転効率が向上する。

   〈暖房運転〉
 暖房運転時には、四方切換弁(12)が図1に破 で示す状態に切り換えられる。この状態で 転式圧縮機(20)の電動機(25)に通電すると、冷 媒回路(11)で冷媒が循環して蒸気圧縮冷凍サ クルが行われる。

 回転式圧縮機(20)で圧縮された冷媒は、吐 出管(23)から吐出されて四方切換弁(12)を通り 室内熱交換器(15)へ流入する。室内熱交換器 (15)では、流入した冷媒が室内空気へ放熱し 室内空気が加熱される。室内熱交換器(15)で 熱した冷媒は、第1膨張弁(16)で減圧されて 間圧冷媒となり気液分離器(18)に流入する。 液分離器に流入した中間圧冷媒は、中間圧 ス冷媒と中間圧液冷媒とに分離される。そ うち気液分離器(18)の底部から流出した中間 圧液冷媒は、第2膨張弁(17)で減圧されて低圧 冷媒となる。第2膨張弁(17)で減圧された低 液冷媒は、室外熱交換器(14)へ送られ、室外 気から吸熱して蒸発する。室外熱交換器(14) から流出した低圧冷媒は、四方切換弁(12)と キュームレータ(19)を順に通過して回転式圧 機(20)へ吸入される。回転式圧縮機(20)に吸 された冷媒は、低段側圧縮機構(40a)、高段側 圧縮機構(40b)の順で圧縮される。

 また、この暖房運転においても、電磁弁( 31)を開状態に設定すると、気液分離器(18)内 中間圧のガス冷媒が中間圧室(50)へ導入され 。中間圧室(50)へ導入された冷媒は、低段側 圧縮機構(40a)から吐出された冷媒と共に高段 圧縮機構(40b)で圧縮される。このように、 ンジェクション管(24)から高段側圧縮機構(40b )の吸入側へ中間圧冷媒を送るようにすると 高段側圧縮機構(40b)の吸入冷媒のエンタルピ が低下し、いわゆるエコノマイザ効果により 空気調和装置(10)の運転効率が向上する。

   -回転式圧縮機の動作-
 次に、回転式圧縮機(20)の動作について説明 する。この回転式圧縮機(20)は、電動機(25)に 電すると、その電動機(25)で発生する動力に よって駆動軸(33)が回転する。その結果、第1 び第2偏心軸部(35,36)は、回転軸(X)に対して 定の偏心量で偏心回転する。これにより、 偏心軸部(35,36)が内嵌する各ピストン(47a,47b) 、各シリンダ(41a,41b)内を偏心回転する。そ 結果、低段側圧縮機構(40a)及び高段側圧縮 構(40b)では、以下のような圧縮動作が行われ る。なお、低段側圧縮機構(40a)と高段側圧縮 構(40b)とでは、基本的には同様の圧縮動作 行われるので、以下には低段側圧縮機構(40a) の圧縮動作について詳細に説明する。

  〈第1圧縮動作〉
 第1圧縮動作は、バイパス通路(66)を閉状態 しながら回転式圧縮機(20)を運転するもので る。図5(A)に示す位置の低段側ピストン(47a) 偏心回転角度を0度として低段側圧縮機構(40 a)の圧縮動作を説明する。駆動軸(33)の回転に 伴い図5(A)の位置の低段側ピストン(47a)が時計 回りに偏心回転すると、低段側ピストン(47a) 低段側シリンダ(41a)の当接位置が時計回り 変位する。この当接位置が低段側吸入通路(4 8a)の開口部を通過すると、低段側シリンダ室 (42a)内に低圧室(42a-Lp)が形成される(図5(B)参照 )。低段側ピストン(47a)の偏心回転角度が大き くなるに連れて、低段側吸入通路(48a)から低 室(42a-Lp)へ冷媒が吸入されていく(図5(B)~図5( H)参照)。低圧室(42a-Lp)には、低段側ピストン( 47a)の偏心回転角度が360度(即ち、0度)になる で冷媒が吸入される。

 その後、図5(A)の状態から、低段側ピスト ン(47a)が僅かに回転すると、低段側ピストン( 47a)と低段側シリンダ(41a)の当接位置が低段側 吸入通路(48a)の開口部を通過する。低段側圧 機構(40a)では、この当接位置が低段側吸入 路(48a)の開口部を通過した時点で、低圧室(42 a-Lp)における冷媒の閉じ込みが完了する。そ て、この状態から駆動軸(33)が更に公転する と、低圧室(42a-Lp)は高圧室(42a-Hp)となって冷 の圧縮を開始する。低段側ピストン(47a)の偏 心回転角度が大きくなるに連れて、高圧室(42 a-Hp)の容積が縮小して冷媒が圧縮される。そ て、高圧室(42a-Hp)内の冷媒の圧力が中間圧 (50)の冷媒の圧力を上回ると、吐出弁が開状 になり冷媒が低段側吐出通路(49a)から中間 室(50)へ吐出される。冷媒の吐出は、低段側 ストン(47a)の偏心回転角度が360度になるま 続く。

 一方、高段側圧縮機構(40b)では、高段側 ストン(47b)の偏心回転に伴って、中間圧室(50 )内の冷媒が高段側吐出通路(49b)を介して高段 側シリンダ室(42b)内に吸入される。そして、 段側シリンダ室(42b)内の冷媒の圧力がケー ング(21)内の空間の冷媒の圧力を上回ると、 出弁が開状態になり、冷媒が高段側吐出通 (49b)からケーシング(21)内の空間へ吐出され 。この冷媒は、吐出管(23)から冷媒回路(11) 吐出され、上述した冷凍サイクルに利用さ る。

  〈第2圧縮動作〉
 第2圧縮動作は、バイパス通路(66)を開状態 しながら回転式圧縮機(20)を運転するもので る。具体的には、第2圧縮動作では、三方切 換弁(13)が図1の破線で示す状態に設定される その結果、上述のように弁体収容部(61)内で は、バネ部材(65)によって弁体(64)が下方に押 下げられる(図4(B)参照)。このため、第2圧縮 動作では、バイパス孔(62)が開放された状態 なる。以上のようにして、バイパス通路(66) 開放されると、低段側シリンダ室(42a)は、 イパス通路(66)を介して低段側圧縮機構(40a) 吸入側(吸入管(22))と連通した状態となる。

 偏心回転角度が0度の状態の低段側ピスト ン(47a)が、僅かに回転すると、低段側ピスト (47a)と低段側シリンダ(41a)の当接位置が低段 側吸入通路(48a)の開口部を通過する。その結 、上記第1圧縮動作と同様に、低段側シリン ダ室(42a)内に低圧室(42a-Lp)が形成され、低段 吸入通路(48a)から該低圧室(42a-Lp)へ冷媒が吸 される。そして、低段側ピストン(47a)の偏 回転角度が再び0度となり、その状態からさ に偏心回転して、低段側ピストン(47a)と低 側シリンダ(41a)の当接位置が低段側吸入通路 (48a)の開口部を通過すると、その時点で、低 室(42a-Lp)における冷媒の吸入が完了すると に、低圧室(42a-Lp)が高圧室(42a-Hp)となる。

 ここで、第2圧縮動作では、バイパス通路 (66)は開状態となっている。このため、低段 ピストン(47a)が更に偏心回転しても、高圧室 (42a-Hp)では冷媒の圧縮が行われず、高圧室(42a -Hp)内の冷媒はバイパス孔(62)からバイパス通 (66)を介して吸入管(22)へ排出される。この 媒の排出動作は、低段側ピストン(47a)がバイ パス孔(62)を塞ぐ状態(偏心回転角度が約90度) なるまで続く。そして、低段側ピストン(47a )がバイパス孔(62)を塞いだ時点で、冷媒の排 が終了すると同時に、高圧室(42a-Hp)におけ 冷媒の閉じ込みが完了する。この状態から 動軸(33)がさらに回転すると、高圧室(42a-Hp) おける冷媒の圧縮が開始され、高圧室(42a-Hp) 内の冷媒の圧力が中間圧室(50)の冷媒の圧力 上回ると、吐出弁が開状態になり冷媒が低 側吐出通路(49a)から中間圧室(50)へ吐出され 。冷媒の吐出は、低段側ピストン(47a)の偏心 回転角度が360度に達するまで続く。高段側圧 縮機構(40b)における冷媒の圧縮動作は、上記 1圧縮動作と同様である。以上のように、上 述の第1圧縮動作では、低段側ピストン(47a)と 低段側シリンダ(41a)の当接位置が低段側吸入 路(48a)の開口部を通過した時点で低段側圧 機構(40a)における冷媒の閉じ込みが完了する 。一方、第2圧縮動作では、低段側ピストン(4 7a)がバイパス孔(62)を塞いだ時点で低段側圧 機構(40a)における冷媒の閉じ込みが完了する 。

  〈弁体の自動開閉動作〉
 この回転式圧縮機(20)では、空気調和装置(10 )の運転条件の変化に応じて、上記第1圧縮動 と第2圧縮動作とが自動的に切り換えられる 。つまり、弁体(64)は、空気調和装置(10)の運 条件の変化に伴って変動する冷媒回路(11)の 高低差圧の変化に応じて開閉状態が切り換え られる。

 具体的には、例えば冷媒回路(11)の高低差 圧が比較的大きい運転条件では、ケーシング (21)内の高圧冷媒の圧力が高くなる。このよ な条件では、油溜め部(21a)から高圧側空間(61 b)内の導入された高圧の油によって弁体(64)に 作用する圧力も高くなる。すると、弁体(64) バネ部材(65)の付勢力に抗して上方に押し上 られ、バイパス孔(62)を閉鎖する位置まで変 位する(図4(A)参照)。その結果、回転式圧縮機 (20)では、上述した第1圧縮動作が行われる。

 一方、冷媒回路(11)の高低差圧が比較的小 さい運転条件では、ケーシング(21)内の高圧 媒の圧力、ひいては弁体収容部(61)の高圧側 間(61b)内の圧力も低くなる。そして、冷媒 路(11)の高低差圧が所定値以下になると、弁 (64)はバネ部材(65)に押し下げられ、バイパ 孔(62)を開放する位置まで変位する(図4(B)参 )。その結果、回転式圧縮機(20)では、上述し た第2圧縮動作が行われる。

 このように、この回転式圧縮機(20)では、 冷媒回路(11)の高低差圧の変化に応じてバイ ス通路(66)を自動的に開閉させることで、低 側圧縮機構(40a)の閉じ込み容積(実質的な吸 容積)を変化させるようにしている。これに より、低段側圧縮機構(40a)の吸入容積Vlに対 る高段側圧縮機構(40b)の吸入容積Vhの比(吸入 容積比=Vh/Vl)が自動的に変化する。即ち、低 側圧縮機構(40a)の低段側ピストン(47a)と、高 側圧縮機構(40b)の高段側ピストン(47b)とは、 同じ駆動軸(33)に連結されているので、駆動 (33)の回転速度を変化させるだけでは、両圧 機構(40a,40b)の吸入容積比(Vh/Vl)を変化させる ことができない。しかしながら、本実施形態 の回転式圧縮機(20)では、上述した第1圧縮動 と第2圧縮動作とを自動的に切り換えること で、低段側圧縮機構(40a)の吸入容積Vl、ひい は上記吸入容積比(Vh/Vl)が適宜変更される。 の結果、この回転式圧縮機(20)では、空気調 和装置(10)の運転条件に応じた最適な吸入容 比での運転が可能となる。

 具体的には、例えば冷媒回路(11)の高低差 圧が比較的小さい運転条件になると、低段側 圧縮機構(40a)で冷媒の圧縮行程のほとんどが われることになる。このような場合には、 段側圧縮機構(40b)では冷媒がほとんど圧縮 れないので、低段側圧縮機構(40a)の圧縮トル クの変動幅が、高段側圧縮機構(40b)の圧縮ト クの変動幅に対して相対的に大きくなり、 動や騒音が発生してしまうことある。また このように冷媒回路(11)の高低差圧が比較的 小さい運転条件において、低段側圧縮機構(40 a)で圧縮行程のほとんどが行われると、低段 圧縮機構(40a)の吐出冷媒の圧力(即ち、中間 力)が比較的高くなってしまう。このような 場合には、上記インジェクション管(24)から 段側圧縮機構(40b)の吸入側へ送られる中間圧 冷媒の量が減少し、上述したようなエコノマ イザ効果を充分得ることができないこともあ る。

 このため、本実施形態の回転式圧縮機(20) は、このように冷媒回路(11)の高低差圧が所 値以下になると、上述の如く弁体(64)が自動 にバイパス通路(66)を開放させ、第2圧縮動 が行われる。その結果、低段側圧縮機構(40a) の吸込容積Vlが減少し、上記吸入容積比(Vh/Vl) が大きくなるので、冷媒は各圧縮機構(40a,40b) でバランス良く圧縮されることになる。この ため、上述のような各圧縮機構(40a,40b)の圧縮 トルクの変動幅が平均化され、振動や騒音の 低減が図られる。また、このようにすると、 低段側圧縮機構(40a)の吐出冷媒の圧力が低下 るので、その分だけインジェクション管(24) から高段側圧縮機構(40b)の吸入側へ送られる 間圧冷媒の量が多くなる。従って、比較的 低差圧が小さい運転条件においても、所望 エコノマイザ効果が得られ、空気調和装置( 10)の運転効率が向上する。

   -実施形態1の効果-
 上記実施形態1では、弁体(64)に低圧側空間(6 1a)と高圧側空間(61b)との差圧を作用させるこ で、冷媒回路(11)の高低差圧の変化に連動す るように、弁体(64)によるバイパス通路(66)の 閉位置を切り換えるようにしている。この め、従来のもののように弁体(64)の開閉を切 り換えるために三方弁等を設けたり、この三 方弁を適宜制御したりすることなく、弁体(64 )の開閉位置を自動的に切り換えることがで る。従って、この回転式圧縮機をシンプル 構成することができ、コスト削減、あるい メンテナンスの簡便化を図ることができる

 また、上記実施形態では、冷媒回路(11)の 高低差圧が所定値以下になると、低段側圧縮 機構(40a)の弁体(64)をバイパス通路(66)の開放 置に自動的に変位させるようにしている。 のため、このように高低差圧が小さい運転 件において、低段側圧縮機構(40a)の吸入容積 Vlを小さくさせて、上記吸入容積比(Vh/Vl)を自 動的に増大できる。従って、低段側圧縮機構 (40a)の圧縮トルクの変動幅と高段側圧縮機構( 40b)の圧縮トルクの変動幅を速やかに平均化 せることができ、振動や騒音の防止を図る とができる。

 また、上記実施形態では、蓋部材(63)に導 入通路(29)を貫通させ高圧側空間(61b)とケーシ ング(21)の内部空間とを連通させている。こ ため、高段側圧縮機構(40b)の吐出冷媒を高圧 側空間(61b)へ導入するための配管等を設ける となく、高圧側空間(61b)内に高圧を作用さ ることができる。更に、導入通路(29)から高 側空間(61b)内へ油を導入させ、この油の高 を利用して弁体(64)を変位させるようにして る。このように弁体(64)を油で変位させるよ うにすると、閉鎖位置の弁体(64)の外周面と 体収容部(61)の内周面との間の隙間を油によ てシールすることができる。このため、比 的高温の油が、弁体(64)周りの隙間を通じて 低段側圧縮機構(40a)の圧縮室内へ入り込んで まうことが防止でき、圧縮室内の冷媒が油 よって加熱されてしまうことを未然に回避 きる。従って、いわゆる冷媒の吸入加熱に り、低段側圧縮機構(40a)の容積効率が低下 てしまうのを防止できる。

   -実施形態1の変形例-
 上記実施形態1において、図6に示すように 弁体収容部(61)の高圧側空間(61b)の側方に導 通路(29)を形成するようにしても良い。この 入通路(29)は、一端が弁体収容部(61)の内周 に開口し、他端がリアヘッド(45)の外周面に 口している。この変形例においても、弁体 容部(61)における弁体(64)の背面側に油溜め (21a)の高圧の油が導入される。従って、上記 実施形態1と同様、冷媒回路(11)の高低差圧の 化に応じて、弁体(64)を自動的に開閉させる ことができ、空気調和装置(10)の運転条件に じて第1圧縮動作と第2圧縮動作とを切り換え ることができる。

   《実施形態2》
 図7に示すように、実施形態2の回転式圧縮 (20)では、バイパス通路(66)、弁体収容部(61) 及び弁体(64)が高段側圧縮機構(40b)側に設け れている。具体的には、実施形態2のバイパ 通路(66)は、一端が高段側シリンダ室(42b)と 続し、他端が上記中間圧室(50)と接続してい る。バイパス通路(66)のバイパス孔(62)は、圧 室の上側の内壁面に開口している。一方、 体収容部(61)は、このバイパス孔(62)に臨む うにフロントヘッド(44)に形成されている。

 弁体収容部(61)には、柱状の弁体(64)が上 に変位自在に内嵌している。この弁体(64)は その下部に小径部(64a)が形成され、その上 に大径部(64c)が形成されている。弁体(64)の 径部(64a)はバイパス孔(62)に係合してバイパ 孔(62)を封止可能に構成されている。弁体(64) の大径部(64c)は、弁体収容部(61)の内周面に摺 接している。弁体収容部(61)内は、弁体(64)に って、その上側の中間圧側空間(61c)とその 側の高圧側空間(61b)とに区画されている。

 上記中間圧側空間(61c)には、バイパス分 管(28a)が接続されている。バイパス分岐管(28 a)は、一端が弁体収容部(61)の内周面に開口し 、他端が上記バイパス通路(66)に接続されて る。これにより、中間圧側空間(61c)は、高段 側圧縮機構(40b)の吸入側と繋がっている。ま 、中間圧側空間(61c)には、一端が弁体(64)の 側の背面に接続され、他端が蓋部材(63)に接 続されるバネ部材(65)が設けられている。一 、上記高圧側空間(61b)は、弁体(64)の小径部(6 4a)の外周面と弁体収容部(61)の内周面の間に 成されている。この高圧側空間(61b)は、バイ パス孔(62)と区画される一方、導入通路(29)と がっている。導入通路(29)は、一端が弁体収 容部(61)の内周面に開口し、他端がフロント ッド(44)の外周面に開口している。つまり、 入通路(29)の他端は、高圧冷媒で満たされる ケーシング(21)の内部空間に臨んでいる。こ により、高圧側空間(61b)は、高段側圧縮機構 (40b)の吐出側と繋がっている。

 以上のようにして、弁体(64)には、大径部 (64c)の下面側に高圧が作用し、その背面側に 間圧が作用している。これにより、弁体(64) は、高圧側空間(61b)の高圧と中間圧側空間(61c )の中間圧との差圧がバイパス通路(66)の開放 置に向かって作用している。一方、上述し バネ部材(65)は、この差圧に抗してバイパス 通路(66)の閉鎖位置に向かう反力を弁体(64)に 用させる弁閉鎖手段を構成している。この ネ部材(65)は、空気調和装置(10)の運転条件 変化に伴い冷媒回路(11)の高低差圧が所定値 下になると、弁体(64)が閉鎖位置となるよう に弁体(64)を付勢している。

 実施形態2の回転式圧縮機(20)においても 空気調和装置(10)の運転条件の変化に応じて 上記第1圧縮動作と第2圧縮動作とが自動的 切り換えられる。つまり、弁体(64)は、空気 和装置(10)の運転条件の変化に伴って変動す る冷媒回路(11)の高低差圧の変化に応じて開 状態が切り換えられる。

 具体的には、例えば冷媒回路(11)の高低差 圧が比較的大きい運転条件では、ケーシング (21)内の高圧冷媒の圧力、ひいては弁体収容 (61)の高圧側空間(61b)内の圧力も高くなる。 のような条件では、弁体(64)がバネ部材(65)の 付勢力に抗して上方に押し上げられ、バイパ ス孔(62)を開放する位置まで変位する(図8(A)参 照)。その結果、回転式圧縮機(20)では、上述 た第2圧縮動作が行われる。

 一方、冷媒回路(11)の高低差圧が比較的小 さい運転条件では、ケーシング(21)内の高圧 媒の圧力、ひいては弁体収容部(61)の高圧側 間(61b)内の圧力も低くなる。そして、冷媒 路(11)の高低差圧が所定値以下になると、弁 (64)はバネ部材(65)に押し下げられ、バイパ 孔(62)を閉鎖する位置まで変位する(図8(B)参 )。その結果、回転式圧縮機(20)では、上述し た第1圧縮動作が行われる。

 以上のように、実施形態2では、冷媒回路 (11)の高低差圧が所定値以下になると、弁体(6 4)によってバイパス孔(62)を自動的に閉鎖する ようにしている。その結果、高低差圧が比較 的小さい運転条件においては、高段側圧縮機 構(40b)の吸入容積Vhが大きくなり、上記吸入 積比(Vh/Vl)が自動的に大きくなる。その結果 上記実施形態1と同様、各圧縮機構(40a,40b)の 圧縮トルクの変動幅が平均化されて振動や騒 音の低減が図られると共に、インジェクショ ン管(24)から高段側圧縮機構(40b)の吸入側へ送 られる中間圧冷媒の量が多くなり、上記エコ ノマイザ効果が向上する。

   -実施形態2の効果-
 上記実施形態2では、弁体(64)に中間圧側空 (61c)と高圧側空間(61b)との差圧を作用させる とで、冷媒回路(11)の高低差圧の変化に連動 するように、弁体(64)によるバイパス通路(66) 開閉位置を切り換えるようにしている。こ ため、本実施形態においても、従来のもの ように弁体(64)の開閉を切り換えるために三 方弁等を設けたり、この三方弁を適宜制御し たりすることなく、弁体(64)の開閉位置を自 的に切り換えることができる。従って、こ 回転式圧縮機をシンプルに構成することが き、コスト削減、あるいはメンテナンスの 便化を図ることができる。

 また、上記実施形態2では、冷媒回路(11) 高低差圧が所定値以下になると、高段側圧 機構(40b)の弁体(64)をバイパス通路(66)の閉鎖 置に自動的に変位させるようにしている。 のため、このように高低差圧が小さい運転 件において、高段側圧縮機構(40b)の吸入容 Vhを大きくさせて、上記吸入容積比(Vh/Vl)を 動的に増大できる。従って、上記実施形態1 同様、高段側圧縮機構(40a)の圧縮トルクの 動幅と高段側圧縮機構(40b)の圧縮トルクの変 動幅を速やかに平均化させることができ、自 動的に振動や騒音の防止を図ることができる 。

 なお、上記実施形態2においては、弁体収 容部(61)における弁体(64)の背面側に高段側圧 機構(40b)の吸入側の圧力を作用させている 、これに代わって低段側圧縮機構(40a)の吸入 側の圧力を作用させても良い。この場合には 、弁体(64)を高圧と低圧との差圧により変位 せ、弁体(64)の開閉位置を自動的に切り換え ことができる。

  《実施形態3》
 実施形態3の回転式圧縮機(20)は、図9に示す うに、1つの圧縮機構(80)が駆動軸(33)に連結 れる単段式の圧縮機構(80)を備えるものであ る。また、この圧縮機構(80)は、スクロール の圧縮機構で構成されている。

 回転式圧縮機(20)は、密閉状のケーシング (21)を備えている。ケーシング(21)には、吸入 (22)と吐出管(23)とがそれぞれ貫通して接続 れている。ケーシング(21)内には、その上側 りに上記スクロール圧縮機構(80)が設けられ 、その下部には駆動軸(33)を回転させるため 電動機(図示省略)が設けられている。スクロ ール圧縮機構(80)は、固定部材を構成する固 スクロール(81)と、可動部材を構成する可動 クロール(82)とを備えている。

 固定スクロール(81)は、ケーシング(21)の 部の内壁に固定されている。固定スクロー (81)には、その外周側に上記吸入管(22)が接続 する吸入口(81a)が形成され、その軸心側に吐 口(81b)が形成されている。また、吐出口(81b) の上方には、スクロール圧縮機構(80)の吐出 媒で満たされる高圧導入室(81d)が形成されて いる。固定スクロール(81)の下側には渦巻き の固定側ラップ(81c)が形成されている。

 可動スクロール(82)は、その下端側に駆動 軸(33)の偏心軸部(35)が嵌合しており、駆動軸( 33)に対して偏心回転するように構成されてい る。可動スクロール(82)は、固定スクロール(8 1)に向かい合う鏡板(82a)と、鏡板(82a)の上面に 形成される渦巻き状の可動側ラップ(82c)とが 成されている。スクロール圧縮機構(80)では 、固定スクロール(81)の固定側ラップ(81c)と可 動スクロール(82)の可動側ラップ(82c)とが互い に歯合することで、固定スクロール(81)と可 スクロール(82)との間に圧縮室が形成される このスクロール圧縮機構(80)では、可動スク ロール(82)の偏心回転運動に伴い、吸入管(22) 介して可動スクロール(82)の外周側から圧縮 室へ冷媒が吸入される。この冷媒は、圧縮室 で圧縮されながら固定スクロール(81)の軸心 へ送り込まれ、吐出口(81b)から吐出される。

 実施形態3では、バイパス通路を構成する バイパス孔(62)が固定スクロール(81)に形成さ ている。具体的には、バイパス孔(62)は、最 外周側の可動側ラップ(82d)の先端に臨むよう 形成されている。そして、バイパス孔(62)は 、最外周側の可動側ラップ(82d)の外側の空間( 即ち、スクロール圧縮機構(80)の吸入側)と、 外周側の可動側ラップ(82d)の内側の空間、( ち、圧縮室の圧縮途中の空間)とに跨るよう に形成されている。これにより、このスクロ ール圧縮機構(80)では、圧縮室の冷媒の一部 バイパス孔(62)を介して吸入側へ戻されるよ になっている。

 また、固定スクロール(81)には、弁体収容 部(61)と弁体(64)が設けられている。弁体収容 (61)の内部は、その下端がバイパス孔(62)に んでおり、その上端が高圧導入室(81d)と接続 している。弁体収容部(61)内には、弁体(64)が 下に変位自在に内嵌している。そして、弁 収容部(61)内は、弁体(64)によって、その下 の低圧側空間(61a)とその上側の高圧側空間(61 b)とに区画されている。また、低圧側空間(61a )には、弁体(64)を上側に付勢するようにバネ 材(65)が設けられている。

 以上のようにして、弁体(64)には、その背 面側に高圧が作用し、その先端面に低圧が作 用している。これにより、弁体(64)は、高圧 空間(61b)の高圧と低圧側空間(61a)の低圧との 圧がバイパス通路(66)の閉鎖位置に向かって 作用している。一方、上述したバネ部材(65) 、この差圧に抗してバイパス通路(66)の開放 置に向かう反力を弁体(64)に作用させる弁開 放手段を構成している。このバネ部材(65)は 空気調和装置(10)の運転条件の変化に伴い冷 回路(11)の高低差圧が所定値以下になると、 弁体(64)が開放位置となるように弁体(64)を付 している。

 実施形態3の回転式圧縮機(20)においても 空気調和装置(10)の運転条件の変化に応じて 上記第1圧縮動作と第2圧縮動作とが自動的 切り換えられる。つまり、弁体(64)は、空気 和装置(10)の運転条件の変化に伴って変動す る冷媒回路(11)の高低差圧の変化に応じて開 状態が切り換えられる。

 具体的には、例えば冷媒回路(11)の高低差 圧が比較的大きい運転条件では、スクロール 圧縮機構(80)の吐出圧力、ひいては弁体収容 (61)の高圧側空間(61b)内の圧力も高くなる。 のような条件では、弁体(64)がバネ部材(65)の 付勢力に抗して上方に押し下げられ、バイパ ス孔(62)を閉鎖する位置まで変位する(図9(A)参 照)。その結果、スクロール圧縮機構(80)では 上述した第1圧縮動作と同様にして、冷媒の 全量が圧縮室で圧縮される。

 一方、冷媒回路(11)の高低差圧が比較的小 さい運転条件では、スクロール圧縮機構(80) 吐出圧力、ひいては弁体収容部(61)の高圧側 間(61b)内の圧力も低くなる。そして、冷媒 路(11)の高低差圧が所定値以下になると、弁 (64)はバネ部材(65)に押し上げられ、バイパ 孔(62)を開放する位置まで変位する(図9(B)参 )。その結果、スクロール圧縮機構(80)では、 上述した第2圧縮動作と同様にして、圧縮室 の冷媒の一部が吸入側へ戻される。その結 、この回転式圧縮機(20)では、高低差圧が比 的小さい運転条件において、スクロール圧 機構(80)の吸入容積が自動的に小さくなり、 この回転式圧縮機(20)の冷媒循環量が機械的 抑制される。

  -実施形態3の効果-
 上記実施形態3では、弁体(64)に低圧側空間(6 1a)と高圧側空間(61b)との差圧を作用させるこ で、冷媒回路(11)の高低差圧の変化に連動す るように、弁体(64)の開閉位置を切り換える うにしている。このため、本実施形態にお ても、従来のもののように弁体(64)の開閉を り換えるために三方弁等を設けたり、この 方弁を適宜制御したりすることなく、弁体( 64)の開閉位置を自動的に切り換えることがで きる。従って、この回転式圧縮機をシンプル に構成することができ、コスト削減、あるい はメンテナンスの簡便化を図ることができる 。

 また、上記実施形態3では、単段式の回転 式圧縮機(20)において、冷媒回路(11)の高低差 が所定値以下になると、弁体(64)を開放位置 に変位させるようにしている。このため、冷 媒回路(11)の高低差圧が比較的運転条件にお ては、圧縮機構(80)の吸入容積を自動的に小 くして回転式圧縮機の冷媒循環量を機械的 抑制できる。従って、この回転式圧縮機の 転周波数を著しく低下させることなく、モ タ効率の高い周波数で運転を行うことがで る。

 なお、上記実施形態3では、本発明を単段 のスクロール圧縮機構(80)に適用したもので るが、同様にして、単段のロータリ圧縮機 等の他の圧縮機構に本発明を適用するよう しても良い。また、駆動軸(33)に低段側と高 側のスクロール圧縮機構を互いに連結し、 記実施形態1や実施形態2と同様にして、弁 (64)の開閉位置を切り換えることで、両圧縮 構の吸入容積比を自動的に変化させるよう しても良い。

  《その他の実施形態》
 本発明は、上記実施形態について、以下の うな構成としてもよい。

 上記実施形態の圧縮機構は、固定部材と 固定部材との間に圧縮室を形成して偏心回 する可動部材とを備えたものであれば、如 なる構成のものであっても良い。具体的に 、この圧縮機構として、ローリングピスト 型のロータリ圧縮機構を採用しても良いし 環状のシリンダ室を有するシリンダと、シ ンダ室に設けられる環状のピストンとが相 的に偏心回転することで、複数の圧縮室を 時に拡縮する圧縮機構に採用しても良い。

 また、バイパス通路(66)のバイパス孔(62) 、各シリンダ室(42a,42b)に臨む内壁面であれ 、如何なる面に形成しても良い。具体的に 、バイパス孔(62)をミドルプレート(46)の上端 面や下端面に開口させても良いし、各シリン ダ(41a,41b)の内周面に開口させても良い。

 なお、以上の実施形態は、本質的に好ま い例示であって、本発明、その適用物、あ いはその用途の範囲を制限することを意図 るものではない。

 以上説明したように、本発明は、圧縮室 の冷媒の一部をバイパス通路を介して圧縮 構の吸入側へ戻すことが可能な回転式圧縮 について有用である。