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Title:
ROTATION DETECTING DEVICE, AND BEARING HAVING THE ROTATION DETECTING DEVICE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/041023
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided are a rotation detecting device, which is simple in construction and which can detect an absolute angle precisely without being influenced by the mounting position of a magnetic encoder, and a bearing having the rotation detecting device mounted thereon. This rotation detecting device (1) comprises a plurality of magnetic encoders (2A and 2B) disposed in concentric ring shapes and having mutually different numbers of magnetic poles, and a plurality of magnetic sensors (3A and 3B) for individually detecting the magnetic fields of those individual magnetic encoders (2A and 2B). The individual magnetic sensors (3A and 3B) have functions to detect pieces of information on the positions in the magnetic poles of the magnetic encoders (2A and 2B). Further comprised is phase-difference detecting means (6) for determining the phase difference of the magnetic signals detected by the individual magnetic sensors (3A and 3B). Further comprised is angle calculating means (7) for calculating the absolute angles of the magnetic encoders on the basis of the phase-difference detected. Further provided is correction means (12) for correcting the initial phase difference, which occurs in the magnetic field signals detected by the magnetic sensors (3A and 3B) due to the mounting positions of the magnetic encoders (2A and 2B).

Inventors:
TAKAHASHI TORU (JP)
UENO SHINTAROU (JP)
DESBIOLLES PASCAL (FR)
Application Number:
PCT/JP2008/002631
Publication Date:
April 02, 2009
Filing Date:
September 24, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NTN TOYO BEARING CO LTD (JP)
SNR ROULEMENTS SA (FR)
TAKAHASHI TORU (JP)
UENO SHINTAROU (JP)
DESBIOLLES PASCAL (FR)
International Classes:
G01D5/244; F16C41/00
Domestic Patent References:
WO2000005553A12000-02-03
Foreign References:
JPH0658766A1994-03-04
JP2004294145A2004-10-21
JP2002541485A2002-12-03
JP3792718B22006-07-05
Other References:
See also references of EP 2244069A4
Attorney, Agent or Firm:
SUGIMOTO, Shuji et al. (10-2 Edobori 1-chome,Nishi-ku, Osaka-sh, Osaka 02, JP)
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Claims:
 同心のリング状に設けられ互いに磁極数が異なる複数の磁気エンコーダと、これら各磁気エンコーダの磁界をそれぞれ検出する複数の磁気センサとを備え、前記各磁気センサは磁気エンコーダの磁極内における位置の情報を検出する機能を有したものである回転検出装置であって、
 前記各磁気センサの検出した磁界信号の位相差を求める位相差検出手段と、この検出した位相差に基づいて磁気エンコーダの絶対角度を算出する角度算出手段と、前記磁気エンコーダの取付位置に起因して磁気センサの検出した磁界信号に生じる初期位相差を補正する補正手段とを設けた回転検出装置。
 請求項1において、前記補正手段として、1つの磁気センサの検出した磁界信号の初期位相差を補正する1つの補正手段を設けた回転検出装置。
 請求項1において、前記補正手段として、前記各磁気センサの検出した磁界信号の初期位相差を個別に補正する複数の補正手段を設けた回転検出装置。
 請求項1において、前記補正手段には、記憶手段に保持された初期位相差の設定値が入力され、前記記憶手段に保持された初期位相差の設定値は外部から任意に設定可能とされている回転検出装置。
 請求項1において、前記磁気センサが、互いに磁極ピッチ内でずれた位置に配置された複数のセンサ素子を有し、sin およびcos の2相の信号出力を得られるものであって、磁極内における位置を、前記信号出力を用いた内挿演算処理で検出するものである回転検出装置。
 請求項1において、前記磁気センサが、磁気エンコーダの磁極の並び方向に沿ってセンサ素子が並ぶラインセンサで構成され、sin, cos の2相の信号出力を演算によって生成して、磁極内における位置を、前記信号出力を用いた内挿演算処理で検出するものである回転検出装置。
 請求項1において、前記角度算出手段で算出された絶対角度を、いずれか1つの磁気センサの検出信号に基づいて、互いに90°位相の異なるA相およびB相の2つのパルス信号と、原点位置を示すZ相のパルス信号とからなるABZ相信号として出力する角度情報出力回路を有する回転検出装置。
 請求項1において、前記角度算出手段の算出した絶対角度を出力する角度情報出力回路を有し、上記磁気センサ並びに、位相差検出手段、角度算出手段、および角度情報出力回路が互いに一体化されたセンサモジュールを設けた回転検出装置。
 請求項8において、前記センサモジュールが半導体チップに集積されたものである回転検出装置。
 請求項1に記載の回転検出装置が軸受に搭載された回転検出装置付き軸受。
 請求項10において、前記軸受が車輪用軸受である回転検出装置付き軸受。
Description:
回転検出装置および回転検出装 付き軸受 関連出願

 本願は2007年9月27日出願の特願2007-250443の 先権を主張するものであり、その全体を参 により本出願の一部をなすものとして引用 る。

 この発明は、各種の機器における回転角 検出、特に各種モータの回転制御のための 転角度検出などに用いられる回転検出装置 およびその回転検出装置を搭載した回転検 装置付き軸受に関する。

 この種の回転検出装置として、磁気パル を発生する例えば周方向に磁極対を並べた 気エンコーダなどのリング状の磁気パルス 生手段と、この磁気パルス発生手段に対し その周方向にほぼ整列させられ前記磁気パ スを検出する複数の検出素子とを備え、検 素子の出力信号を演算することにより絶対 度を検出するようにしたものが提案されて る(例えば特許文献1)。

 また、他の回転検出装置として、2つの補助 ギヤの回転角度からメインシャフトの絶対角 度を算出するようにしたものも提案されてい る(例えば特許文献2)。

特表2002-541485号公報

特許3792718号公報

 しかし、特許文献1に開示の回転検出装置の 場合、磁気エンコーダを用いて絶対角度を検 出し、かつ高い分解能の回転パルスを得るこ とは難しい。
 また、特許文献2に開示の回転検出装置の場 合、構造が複雑で、コンパクトに構成できな い。

 そこで、これらの課題を解決して、精度良 絶対角度を検出できる回転検出装置として, 本発明者らは以下の構成のものを提案してい る。
 この回転検出装置では、同心のリング状に けられ互いに磁極数が異なる複数の磁気エ コーダと、これら各磁気エンコーダの磁界 それぞれ検出する複数の磁気センサとを設 、各磁気センサとして、磁気エンコーダの 極内における位置の情報を検出する機能を したものを用いる。さらに、位相差検出手 で前記各磁気センサの検出した磁界信号の 相差を求め、この検出した位相差に基づい 、角度算出手段により磁気エンコーダの絶 角度を算出する。

 このように構成した回転検出装置の場合 例えば磁極対が12の磁気エンコーダと13の磁 気エンコーダを用いて回転させると、これら 2つの磁気センサの信号の間には、1回転に1磁 極対分の位相ずれが発生する。そこで、この 位相差を位相差検出手段で検出し、その位相 差に基づいて角度算出手段により1回転の区 での絶対角度を算出することができる。ま 、各磁気センサは、各磁気エンコーダの磁 内における位置の情報を検出する機能を有 るので、精度良く絶対角度を検出できる。 た、構成も簡単なものとなる。

 しかし、この構成の回転検出装置の場合 磁気エンコーダの取付位置が異なると、精 良く絶対角度を検出することができない。

 この発明の目的は、構造が簡単で、磁気 ンコーダの取付位置に左右されないで精度 く絶対角度を検出できる回転検出装置、お びこの回転検出装置を搭載した回転検出装 付き軸受を提供することである。

 この発明の回転検出装置は、同心のリング に設けられ互いに磁極数が異なる複数の磁 エンコーダと、これら各磁気エンコーダの 界をそれぞれ検出する複数の磁気センサと 備え、前記各磁気センサは磁気エンコーダ 磁極内における位置の情報を検出する機能 有したものである回転検出装置であって、 記各磁気センサの検出した磁界信号の位相 を求める位相差検出手段と、この検出した 相差に基づいて磁気エンコーダの絶対角度 算出する角度算出手段と、前記磁気エンコ ダの取付位置に起因して磁気センサの検出 た磁界信号に生じる初期位相差を補正する 正手段とを設けた。
 例えば磁極対が12の磁気エンコーダと13の磁 気エンコーダを用いて回転させると、これら 磁界を検出する2つの磁気センサの信号の間 は、1回転に1磁極対分の位相ずれが発生する ので、この位相差を位相差検出手段で検出し 、その位相差に基づいて角度算出手段により 1回転の区間での絶対角度を算出することが きる。また、各磁気センサは、各磁気エン ーダの磁極内における位置の情報を検出す 機能を有したものとしているので、精度良 絶対角度を検出できる。また、構成も簡単 ものとなる。さらに、磁気エンコーダの取 位置に起因して磁気センサの検出した磁界 号に生じる初期位相差を補正手段で補正す ようにしているので、磁気エンコーダの取 位置に左右されないで精度良く絶対角度を 出できる。

 この発明において、前記補正手段として 1つの磁気センサの検出した磁界信号の初期 位相差を補正する1つの補正手段を設けても い。補正手段が1つであると、構成が簡素に る。なお、この場合、例えば複数の磁気セ サの検出する磁界信号の相互間の初期位相 を、補正値とする。

 この発明において、前記補正手段として 前記各磁気センサの検出した磁界信号の初 位相差を個別に補正する複数の補正手段を けても良い。この場合、例えば、各磁気セ サの検出する磁界信号の、基準位相に対す 初期位相差を補正値とする。この構成の場 は、回転体の任意の位置で自由に位相信号 ゼロに合わせて設定することができる。そ 結果、任意の回転位置を基準位置として記 することが可能となり、センサ取付け後に 械体との位置合わせを簡単に行うことがで る。

 この発明において、前記補正手段には、 憶手段に保持された初期位相差の設定値が 力され、前記記憶手段に保持された初期位 差の設定値が外部から任意に設定可能とさ るものとしても良い。ここで言う「外部」 、例えば、この回転検出装置に対する外部 ある。この構成の場合、初期位相差の設定 を記憶手段に保持させ、この設定値を必要 に自由に設定することができる。

 この発明において、前記磁気センサが、互 に磁極ピッチ内でずれた位置に配置された 数のセンサ素子を有し、sin およびcos の2 の信号出力を得られるものであって、磁極 における位置を、前記信号出力を用いた内 演算処理で検出するものであっても良い。
 磁気センサをこのような構成とすると、磁 エンコーダの磁界分布をオン・オフ信号と てではなく、アナログ電圧による正弦波状 信号としてより細かく検出でき、精度の良 絶対角度検出が可能となる。

 この発明において、前記磁気センサが、磁 エンコーダの磁極の並び方向に沿ってセン 素子が並ぶラインセンサで構成され、sin, c os の2相の信号出力を演算によって生成して 磁極内における位置を検出するものであっ も良い。その場合、前記出力信号を用いた 挿演算処理で位置を検出しても良い。
 磁気センサをこのようにラインセンサで構 した場合、磁界パターンの歪みやノイズの 響が低減されて、より高い精度で磁気エン ーダの位相を検出することが可能である。

 この発明において、前記角度算出手段で算 された絶対角度を、いずれか1つの磁気セン サの検出信号に基づいて、互いに90°位相の なるA相およびB相の2つのパルス信号と、原 位置を示すZ相のパルス信号とからなるABZ相 号として出力する角度情報出力回路を有す ものとしても良い。
 この構成の場合、絶対角度を出力するイン フェースを別途備える必要がなく、この回 検出装置の回路構成、および回転検出装置 搭載される機器側の回路構成を簡略化する とができる。また、絶対角度情報と同期し ABZ相信号を出力することができる。

 この発明において、前記角度算出手段の 出した絶対角度を出力する角度情報出力回 を有し、上記磁気センサ並びに、位相差検 手段、角度算出手段、および角度情報出力 路が互いに一体化されたセンサモジュール 設けても良い。この構成の場合、部品点数 低減、磁気センサの互いの位置精度の向上 製造コストの低減、組立コストの低減、信 ノイズ低減による検出精度向上などのメリ トが得られ、小型で低コストの回転検出装 とすることができる。

 この発明において、前記センサモジュー が半導体チップに集積されたものであって 良い。半導体チップに集積すると、より一 小型化され、かつ信頼性が向上する。

 この発明の回転検出装置付き軸受は、この 明の上記いずれかの構成の回転検出装置を 受に搭載したものである。
 この構成によると、軸受使用機器の部品点 、組立工数の削減、およびコンパクト化が れる。

 この発明において、前記軸受が車輪用軸 であっても良い。この構成の場合、車輪の 転角度を絶対角度として精度良く検出でき 。

 この発明は、添付の図面を参考にした以下 好適な実施形態の説明からより明瞭に理解 れるであろう。しかしながら、実施形態お び図面は単なる図示および説明のためのも であり、この発明の範囲を定めるために利 されるべきでない。この発明の範囲は添付 クレームによって定まる。添付図面におい 、複数の図面における同一の部品番号は、 一部分を示す。
この発明の第1実施形態にかかる回転検 出装置の一構成例の概略図である。 同回転検出装置の他の構成例の要部側 図である。 磁気センサの一構成例の説明図である 磁気センサの他の構成例の説明図であ 。 磁気センサの検出信号に初期位相差が い場合の検出信号、位相信号、および位相 信号の波形図である。 磁気センサの検出信号に初期位相差が る場合の検出信号、位相信号、および位相 信号の波形図である。 磁気センサの検出信号の初期位相差を 正した場合の検出信号、位相信号、および 相差信号の波形図である。 この回転検出装置の絶対角度検出回路 一構成例を示すブロック図である。 この回転検出装置の絶対角度検出回路 他の構成例を示すブロック図である。 この回転検出装置における角度情報出 力回路の一構成例を示すブロック図である。 この回転検出装置を軸受に搭載した回 転検出装置付き軸受の第2実施形態を示す断 図である。 この回転検出装置を軸受に搭載した回 転検出装置付き軸受の第3実施形態を示す断 図である。

 この発明の第1実施形態を図1ないし図10と 共に説明する。図1は、この実施形態の回転 出装置の概略構成を示す。この回転検出装 1は、例えばモータの回転軸、車輪用軸受の 転輪などの回転部材4の外周に、その軸心O 対して同心のリング状に設けられた複数(こ では2つ)の磁気エンコーダ2A,2Bと、これら各 磁気エンコーダ2A,2Bの磁界をそれぞれ検出す 複数(ここでは2つ)の磁気センサ3A,3Bとを備 る。磁気センサ3A,3Bは、図1の例では前記各 気エンコーダ2A,2Bに対して微小のギャップを 介してそれぞれ径方向(ラジアル方向)に対向 るように、例えばモータのハウジング、軸 の固定輪等の固定部材5に設けられる。ここ では、磁気センサ3Aが磁気エンコーダ2Aに対 し、磁気センサ3Bが磁気エンコーダ2Bに対向 る。

 磁気エンコーダ2A,2Bは、複数の磁極対(磁 Sと磁極Nの1組)を周方向に等ピッチで着磁さ せたリング状の磁性部材であり、ラジアルタ イプである図1の例では、その外周面に磁極 が着磁されている。これら2つの磁気エンコ ダ2A,2Bの磁極対の数は互いに異ならせてあ 。また、図1の例では、2つの磁気エンコーダ 2A,2Bを軸方向に隣接させて配置しているが、 れら磁気エンコーダ2A,2Bが同一の回転をす ならば、それぞれを別の場所に配置しても い。

 磁気エンコーダ2A,2Bの他の例として、図2 示すように、リング状の磁性部材の軸方向 面に複数の磁極対を周方向に等ピッチで並 ように着磁させたアキシアルタイプのもの 用いても良い。この例では、2つの磁気エン コーダ2A,2Bを、内外周に隣接するように配置 ている。アキシアルタイプの磁気エンコー 2A,2Bの場合、その着磁面に対向する軸方向 向けて各磁気センサ3A,3Bが配置される。

 磁気センサ3A,3Bは、対応する磁気エンコー 2A,2Bの磁極対の数よりも高い分解能で磁極検 出できる機能、つまり磁気エンコーダ2A,2Bの 極の範囲内における位置の情報を検出する 能を有するものとされる。この機能を満た ために、例えば磁気センサ3Aとして、対応 る磁気エンコーダ2Aの1磁極対のピッチλを1 期とするとき、図3のように90度位相差(λ/4) なるように磁極の並び方向に離して配置し ホール素子などの2つの磁気センサ素子3A1,3A2 を用い、これら2つの磁気センサ素子3A1,3A2に り得られる2相の信号(sinφ,cosφ)を磁気セン 素子3A1,3A2に内蔵した内挿処理回路により、 極内位相(φ=tan -1 (sinφ/cos φ))を算出するものとしても良い。 の磁気センサ3Bについても同様である。なお 、図3の波形図は、磁気エンコーダ2Aの磁極の 配列を磁界強度に換算して示したものである 。

 磁気センサ3A,3Bをこのような構成とする 、磁気エンコーダ2A,2Bの磁界分布をオン・オ フ信号としてではなく、アナログ電圧による 正弦波状の信号としてより細かく検出でき、 精度の良い絶対角度検出が可能となる。

 磁気エンコーダ2A,2Bの磁極内における位 の情報を検出する機能を有する磁気センサ3A ,3Bの他の例として、図4(B)に示すようなライ センサを用いても良い。すなわち、例えば 気センサ3Aとして、対応する磁気エンコーダ 2Aの磁極の並び方向に沿って磁気センサ素子3 aが並ぶラインセンサ3AA,3ABを用いる。なお、 4(A)は、磁気エンコーダ2Aにおける1磁極の区 間を磁界強度に換算して波形図で示したもの である。この場合、磁気センサ3Aの第1のライ ンセンサ3AAは、図4(A)における180度の位相区 のうち90度の位相区間に対応付けて配置し、 第2のラインセンサ3ABは残りの90度の位相区間 に対応付けて配置する。このような配置構成 により、第1のラインセンサ3AAの検出信号を 算回路31で加算した信号S1と、第2のラインセ ンサ3ABの検出信号を加算回路32で加算した信 S2を別の加算回路33で加算することで、図4(C )に示すような磁界信号に応じたsin 信号を得 る。また、信号S1と、インバータ35を介した 号S2をさらに別の加算回路34で加算すること 、図4(C)に示すような磁界信号に応じたcos  号を得る。このようにして得られた2相の出 力信号から、内挿演算処理して磁極内におけ る位置を検出する。

 磁気センサ3A,3Bをこのようにラインセン で構成した場合、磁界パターンの歪みやノ ズの影響が低減されて、より高い精度で磁 エンコーダ2A,2Bの位相を検出することが可能 である。

 例えば、図1の構成例において、磁気セン サ3A,3Bは位相差検出手段6に接続される。位相 差検出手段6は、各磁気センサ3A,3Bの検出した 磁界信号の位相差を求める手段であり、その 後段に角度算出手段7が接続される。角度算 手段7は、位相差検出手段6の検出した位相差 に基づいて磁気エンコーダ2A,2Bの絶対角度を 出する手段である。

 図1の構成例において、磁気センサ3Aと位 差検出手段6との間に介在させた補正手段12 、対応する磁気エンコーダ2Aの取付位置に 因して磁気センサ3Aの検出した磁界信号に生 じる初期位相差を補正する手段であり、この 補正手段12で補正された磁界信号が位相差検 手段6に入力される。

 この回転検出装置1による絶対角度検出の 概略動作を、図5ないし図7を参照して以下に 明する。図1において、2つの磁気エンコー 2B,2Aの磁極対の数をPとP+nとすると、両磁気 ンコーダ2A,2Bの間では1回転あたり磁極対に てn個分の位相差があるので、これら磁気エ コーダ2A,2Bに対応する磁気センサ3A,3Bの検出 信号の位相は、360/n度回転するごとに一致す 。

 図5(A),(B)には両磁気エンコーダ2A,2Bの磁極の パターン例を示し、図5(C),(D)にはこれら磁気 ンコーダに対応する磁気センサ3A,3Bの検出 号の波形図を示す。この場合、磁気エンコ ダ2Aの3磁極対に対して、磁気エンコーダ2Bの 2磁極対が対応しており、この区間内での絶 位置を検出することができる。具体的には この例では、2つの磁気エンコーダ2B,2Aの磁 対の数が2と3で、両磁気エンコーダ2A,2Bの間 は1回転あたり磁極対にして1個分の位相差 あり、これら磁気エンコーダ2A,2Bに対応する 磁気センサ3A,3Bの検出信号の位相は、360度回 するごとに一致する例を示している。
 図5(E)は、両磁気センサ3A,3Bの検出位相の波 図を示す。具体的には、図5(E)における実線 の波形図は、図5(C)に示す磁気センサ3Aの検出 信号に対応する位相信号を示し、一点鎖線の 波形図は、図5(D)に示す磁気センサ3Bの検出信 号に対応する位相信号を示す。図5(F)には、 5(E)の位相信号に基づき、図1の位相差検出手 段6より求められる位相差信号delta の波形図 示す。

 なお、図5では、磁気エンコーダ2A,2Bに取付 置に起因する初期位相差φが無い場合(φ=0) 例を示しており、図1の補正手段12による補 は行なわれない。
 角度算出手段7は、位相差検出手段6の検出 た図5(F)の位相差信号delta から、1つの磁気 ンコーダ(ここでは磁極対の多い磁気エンコ ダ2A)の概略位相a’,b’,c’を推定して、磁 エンコーダ2Aの各磁極対の検出位置a,b,cを判 する。この場合、磁気エンコーダ2A,2Bの初 位相差φが無い(φ=0)ので、a=a’,b=b’,c=cとな 、精度良く絶対角度を算出することができ 。

 図6は、磁気エンコーダ2A,2Bの取付位置に起 する初期位相差φがある場合(φ≠0)で、図1 補正手段12による補正を行なわない場合の図 5と同様の各波形図を示している。この場合 磁気エンコーダ2A,2Bに初期位相差φが存在す ため、磁気エンコーダ2Aに対応する位相信 にずれが起きて、得られる位相差信号delta  ずれが生じる。すなわち、例えば2つの磁気 エンコーダ2A,2Bに対応する位相信号をそれぞ θ1,θ2とすると、得られる位相差信号delta  、
 delta =(θ1+φ)-θ2
となり、図6(F)のように、位相差信号delta が ロになる点が0°から点Aにシフトする。その 結果、この位相差信号delta から、角度算出 段7が磁気エンコーダ2Aの概略位相a’,b’,c’ を推定すると、推定した概略位相a’,b’,c’ 、磁気エンコーダ2Aの実際の検出位置a,b,cが 一致せず、絶対角度を精度良く算出すること ができない。

 図7は、磁気エンコーダ2A,2Bの取付位置に 因する初期位相差φがある場合(φ≠0)で、図 1の補正手段12による補正を行った場合の図5 同様の各波形図を示している。この場合、 正しないときに得られる図7(F)に示す位相差 号delta が、図7(G)のように補正される。す わち、補正しないとき位相差信号delta のゼ となる点が点Aにシフトしていたものを、図 7(G)に示す位相差信号delta'のように点Bにシフ する。この補正した位相差信号delta'から、 5の場合と同様にして、角度算出手段7が、 気エンコーダ2Aの概略位相a’,b’,c’を推定 ることで、磁気エンコーダ2Aの各磁極対の 出位置a,b,cを判別する。この場合、磁気エン コーダ2A,2Bの初期位相差φを補正しているた 、a=a’,b=b’,c=c’となり、精度良く絶対角度 を算出することができる。

 図8は、この回転検出装置1における絶対角 検出回路の構成例を示す。図7(C),(D)に示した ような各磁気センサ3A,3Bの検出信号に基づき それぞれ対応する位相検出回路13A,13Bは、図 7(E)に示したような各位相信号を出力する。 正手段12は、例えば2つの磁気エンコーダ2A,2B の初期位相差φ1に応じた値だけ、磁気エンコ ーダ2Aに対応する位相信号を補正する。初期 相差φ1の値は、外部から通信インタフェー 9を通じて内部レジスタや不揮発性メモリな どからなる記憶手段8Aに書き込まれ、書き込 れた初期位相差φ1の値が前記補正手段12に 力される。記憶手段8Aとしては、初期位相差 φ1の値を通信インタフェース9を通じて書き む構成のもののほか、初期位相差φ1を設定 る専用ピンを設けたものであったり、ヒュ ズROMなどで書き込むものであっても良い。
 これにより、位相差検出手段6から出力され る位相差信号は、図7(G)のように補正された 相差信号delta'となる。その次段に設けられ 角度算出手段7は、位相差検出手段6で求めら れた位相差を、予め設定された計算パラメー タにしたがって絶対角度へ換算する処理を行 う。

 角度算出手段7で用いられる計算パラメー タは不揮発性メモリなどのメモリ8に記憶さ ている。このメモリ8には、前記計算パラメ タのほか、磁気エンコーダ2A,2Bの磁極対の の設定、絶対角度基準位置、信号出力の方 など、装置の動作に必要な情報が記憶され いる。ここでは、メモリ8の次段に通信イン フェース9を設けることで、通信インタフェ ース9を通じてメモリ8の内容を更新できる構 とされている。これにより、個別の設定情 を使用状況に応じて可変設定でき、使い勝 が良くなる。

 角度算出手段7で算出された絶対角度情報 は、パラレル信号、シリアルデータ、アナロ グ電圧、PWMなどの変調信号として、角度情報 出力回路10から、あるいは前記通信インタフ ース9を介して出力される。また、角度算出 手段7からは回転パルス信号も出力される。 転パルス信号としては、2つの磁気センサ3A,3 Bの検出信号のうち、いずれか1つの信号を出 すれば良い。上記したように、各磁気セン 3A,3Bはそれぞれ逓倍機能を備えているので 高い分解能で回転信号を出力することがで る。

 図8の角度情報出力回路10では、前記角度 出手段7で算出された絶対角度を、互いに90 位相の異なるA相およびB相の2つのパルス信 と、原点位置を示すZ相のパルス信号とでな るABZ相信号として出力するようにしても良い 。その場合、両磁気センサ3A,3Bの出力信号の 相差が1回転で1回一致するように磁気エン ーダ2A,2Bの磁極数を設定するか、または電気 的処理を行うことにより、回転部材4の1回転 一つのZ相のパルス信号を発生させる。

 ABZ相信号を出力する場合、図10に示すよう 、受信側回路14から角度算出手段7に対して 対角度出力の要求信号が入力されると、こ に呼応して角度情報出力回路10における絶対 角度実行手段15が動作可能となり、角度情報 力回路10におけるモード実行信号生成手段16 から絶対角度出力モード中であることを示す モード実行信号(ABS_mode=1)が生成され、角度情 報出力回路10における回転パルス信号生成手 17からA,B,Z相信号が出力されるように、角度 情報出力回路を構成しても良い。
 受信側回路14では、Z相信号を受信すること 絶対角度値を示すポジションカウンタ18が0 リセットされ、Z相信号に続いて出力される A相信号およびB相信号を、前記ポジションカ ンタ18が計数する。A相信号およびB相信号の パルス出力が、一旦現在の絶対角度値に達す ると、そこで絶対角度出力モード動作が終了 する(ABS_mode=0)。その後は、回転部材4(図1)の 転に伴い検出される絶対角度の変化に応じ 回転パルス信号(ABZ相信号)を角度算出手段7 ら出力する。これにより、パルスを計数す ことで絶対角度を知る受信側回路14では、絶 対角度出力モード動作が終了(ABS_mode=0)となっ た後は実際の絶対角度情報を常に取得してい る状態となる。

 このように、角度情報出力回路10からABZ 信号のような回転パルス信号を出力し、絶 角度出力モードによって絶対角度情報を出 する構成とすると、絶対角度を出力するイ タフェースを別途備える必要がなく、この 転検出装置1の回路構成、および回転検出装 1が搭載される機器側の回路構成を簡略化す ることができる。

 図9は、この回転検出装置1における絶対角 検出回路の他の構成例を示す。この構成例 は、図8の構成例において、各磁気センサ3A,3 B毎に、それぞれ初期位相差φ1,φ2を書き込む 憶手段8A,8Bと、初期位相差補正用の補正手 12A,12Bを設けている。なお、この場合の初期 相差φ1,φ2は、磁気センサ3A,3Bの相互間の初 位相差ではなく、任意に設定される基準位 に対するそれぞれの位相差である。その他 構成は図8の構成例の場合と同様である。
 これにより、それぞれの初期位相差の値φ1, φ2を各記憶手段8A,8Bに記憶させ、この値を必 時に自由に設定することも可能となる。例 ば、同図のように、別にリセットモード設 手段19を設け、通信インタフェース9などか リセット要求があると、φ1=φ2=0の命令を各 憶手段8A,8Bに設定するようにすることがで る。この場合、それぞれの磁気センサ3A,3Bか らの位相信号を全て同一値に合わせることが できるため、回転部材4(図1)における任意の 転位置で自由に位相信号をゼロに合わせて 定することができる。その結果、任意の回 位置を基準位置として記憶することが可能 なり、回転検出装置1の取付け終了後に、こ 回転検出装置1が取付けられる軸受など機器 との位置合わせを簡単に行うことができる。

 また、この回転検出装置1において、前記磁 気センサ3A,3Bと、図8や図9に示した角度情報 力回路10を含む信号処理回路とを、例えば図 2の例で示すように、センサモジュール11とし て一体化しても良いし、このセンサモジュー ル11を1つの半導体チップに集積しても良い。 このように構成した場合、部品点数の低減、 磁気センサ3A,3Bの互いの位置精度の向上、製 コストの低減、組立コストの低減、信号ノ ズ低減による検出精度向上などのメリット 得られ、小型で低コストの回転検出装置1と することができる。
 なお、この場合、2つの磁気エンコーダ2A,2B 対して1つのセンサモジュール11を対向させ ことになるので、2つの磁気エンコーダ2A,2B 互いに近接して配置させることになる。

 このように、この回転検出装置1は、同心 のリング状に設けられ互いに磁極数が異なる 複数の磁気エンコーダ2A,2Bと、これら各磁気 ンコーダ2A,2Bの磁界をそれぞれ検出する複 の磁気センサ3A,3Bとを備え、これら各磁気セ ンサ3A,3Bは磁気エンコーダ2A,2Bの磁極内にお る位置の情報を検出する機能を有したもの し、各磁気センサ3A,3Bの検出した磁界信号の 位相差を位相差検出手段6で求め、この検出 た位相差に基づいて磁気エンコーダ2A,2Bの絶 対角度を角度算出手段7で算出するものとし さらに、磁気エンコーダ2A,2Bの取付位置に起 因して磁気センサ3A,3Bの検出した磁界信号に じる初期位相差を補正手段12(12A,12B)で補正 るようにしているので、構造が簡単となり 磁気エンコーダ2A,2Bの取付位置に左右されず に精度良く絶対角度を検出することができる 。

 この実施形態では、2つの磁気エンコーダ 2A,2Bを用いたものを例示したが、磁気エンコ ダは2つでなくてもよく、磁極対の数の異な る3つ以上の磁気エンコーダを組み合わせて より広い範囲の絶対角度を検出する構成と ても良い。この回転検出装置1をモータの回 検出に使用する場合、上記磁極対の数の差 調整において、モータのロータ極数Pnに合 せてPとP+Pnという組合せとすれば、回転検出 装置1によりモータの電気角を検出できるた 、モータの回転制御に好都合である。

 図11は、上記回転検出装置1を軸受に搭載 た回転検出装置付き軸受の一実施形態を示 断面図である。この回転検出装置付き軸受2 0は、回転側軌道輪である内輪22と固定側軌道 輪である外輪23の間に複数の転動体24が介在 る転がり軸受21の一端部に、上記回転検出装 置1を設けたものである。転がり軸受21は深溝 玉軸受からなり、内輪22の外径面および外輪2 3の内径面にはそれぞれ転動体24の転走面22a,23 aが形成されている。内輪22と外輪23の間の軸 空間は、回転検出装置1の設置側とは反対側 の端部がシール26で密封されている。

 回転検出装置1の2つの磁気エンコーダ2A,2B は、内輪22の一端部の外径面に圧入嵌合され リング状の芯金27の外径面に、軸方向に並 て設けられる。回転検出装置1の2つの磁気セ ンサ3A,3Bは、図2で示したように他の信号処理 回路と共にセンサモジュール11として一体化 れ、リング状の金属製センサハウジング28 内側に挿入された状態で樹脂モールド29が施 され、センサハウジング28を介して外輪23の 端部の内径面に取付けられる。これにより 磁気エンコーダ2A,2Bと対応する磁気センサ3A, 3Bとがラジアル方向に対向配置される。セン モジュール11に接続されるリード線30はセン サハウジング28を貫通して外部に引き出され このリード線30を介してセンサモジュール11 と外部回路との間で信号の授受や電源供給が 行われる。

 この回転検出装置付き軸受20では、上記 転検出装置1を転がり軸受21に搭載している で、軸受使用機器の部品点数、組立工数の 減、およびコンパクト化を図ることができ 。

 図12は、上記した回転検出装置1を軸受に搭 した回転検出装置付き軸受の他の構成例を す。この回転検出装置付き軸受20Aは、第3世 代型の内輪回転タイプで、かつ駆動輪支持用 の車輪用軸受40にアキシアルタイプの回転検 装置1を搭載したものである。
 車輪用軸受40は、内周に複列の転走面43を形 成した外方部材41と、これら各転走面43に対 する転走面44を形成した内方部材42と、これ 外方部材41および内方部材42の転走面43,44間 介在した複列の転動体45とを備え、車体に して車輪を回転自在に支持するようにした のである。この車輪用軸受40は、複列外向き アンギュラ玉軸受型とされていて、転動体45 ボールからなり、各列毎に保持器46で保持 れている。外方部材41と内方部材42の間の軸 空間の両端は、シール47,48によりそれぞれ 封されている。インボード側端のシール48の 内方部材42の外周面に圧入固定されるスリン が、回転検出装置1の磁気エンコーダ2A,2Bと れる。すなわち、この場合の磁気エンコー 2A,2Bは図2で示したアキシアルタイプのもの あり、この磁気エンコーダ2A,2Bの磁極対が 方向に並ぶ側面に、回転検出装置1の対応す 磁気センサ3A,3Bが軸方向に対向して配置さ る。磁気センサ3A,3Bはリング状の金属ケース 49内に樹脂モールドされ、金属ケース49を介 て外方部材41に固定される。

 この回転検出装置付き軸受20Aによると、 輪の回転を絶対角度として精度良く検出す ことができる。

 以上のとおり、図面を参照しながら好適な 施例を説明したが、当業者であれば、本件 細書を見て、自明な範囲内で種々の変更お び修正を容易に想定するであろう。
 したがって、そのような変更および修正は 請求の範囲から定まる発明の範囲内のもの 解釈される。