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Patent Searching and Data


Title:
RUBBER-REINFORCING CARBON FIBER CORD AND METHOD FOR PRODUCING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/123066
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a rubber-reinforcing cord which exhibits good adhesion to a rubber, while having excellent fatigue resistance to stress deformation such as bending deformation. Also disclosed is a method for producing such a rubber-reinforcing cord. Specifically disclosed is a rubber-reinforcing carbon fiber cord which is obtained by having a resin composition, which contains a styrene thermoplastic elastomer acid-modified with maleic acid or the like, adhere to a filament carbon fiber bundle consisting of 500-50,000 filaments. The styrene thermoplastic elastomer is preferably a styrene terminated ethylene-butylene copolymer resin, and the resin composition preferably further contains one or more adhesive resins selected from hydrogenated terpene resins, β-pinene resins and terpene resins.

Inventors:
MURAYAMA NAOMITSU (JP)
FURUKAWA MASATSUGU (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/054969
Publication Date:
October 16, 2008
Filing Date:
March 18, 2008
Export Citation:
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Assignee:
TOHO TENAX CO LTD (JP)
MURAYAMA NAOMITSU (JP)
FURUKAWA MASATSUGU (JP)
International Classes:
D06M15/233; D06M15/41; D06M101/40
Domestic Patent References:
WO2006001385A12006-01-05
Foreign References:
JP2004535517A2004-11-25
JP2001234479A2001-08-31
JP2006089877A2006-04-06
JP2002071057A2002-03-08
JP2001200067A2001-07-24
JP2004225178A2004-08-12
JP2006214043A2006-08-17
JP2001200067A2001-07-24
JP2002071057A2002-03-08
Attorney, Agent or Firm:
SHIRAI, Shigetaka (8-5 Toranomon 1-chom, Minato-ku Tokyo 01, JP)
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Claims:
  炭素繊維束に、酸変性したスチレン系熱可塑性エラストマー樹脂を含む樹脂組成物が付着してなることを特徴とするゴム補強用炭素繊維コード。
  酸変性したスチレン系熱可塑性エラストマー樹脂が、マレイン酸変性スチレン系熱可塑性エラストマー樹脂である請求項1記載のゴム補強用炭素繊維コード。
  スチレン系熱可塑性エラストマー樹脂が、スチレン末端エチレン-ブチレン共重合体樹脂である請求項1または2記載のゴム補強用炭素繊維コード。
  スチレン系熱可塑性エラストマー樹脂が、スチレン、エチレン、ブチレンから構成され、該エラストマー樹脂におけるスチレン/(エチレン+ブチレン)モル比が5/95~50/50である請求項1または2のゴム補強用炭素繊維コード。
  樹脂組成物が、粘着性樹脂を含むものである請求項1または2記載のゴム補強用炭素繊維コード。
  粘着性樹脂が、その成分として水添テルペン樹脂、βピネン樹脂、テルペン樹脂のいずれか一つ以上を含む請求項5記載のゴム補強用炭素繊維コード。
  樹脂組成物の付着量が、炭素繊維束100重量部に対し、1~50重量部である請求項1または2記載のゴム補強用炭素繊維コード。
  樹脂組成物の破断強度が0.5MPa以上、破断伸度が750%以上である請求項1または2記載のゴム補強用炭素繊維コード。
  最表面にレゾルシン-ホルマリン-ゴムラテックス系樹脂接着剤が付着している請求項1または2記載のゴム補強用炭素繊維コード。
  炭素繊維束のフィラメント数が500~50,000フィラメントである請求項1または2記載のゴム補強用炭素繊維コード。
  炭素繊維束に、酸変性したスチレン系熱可塑性エラストマー樹脂を含む樹脂組成物を処理することを特徴とするゴム補強用炭素繊維コードの製造方法。
  酸変性したスチレン系熱可塑性エラストマー樹脂が、マレイン酸変性スチレン系熱可塑性エラストマー樹脂である請求項11記載のゴム補強用炭素繊維コードの製造方法。
  スチレン系熱可塑性エラストマー樹脂が、スチレン末端エチレン-ブチレン共重合体樹脂である請求項11または12記載のゴム補強用炭素繊維コードの製造方法。
  樹脂組成物が、粘着性樹脂を含むものである請求項11または12記載のゴム補強用炭素繊維コードの製造方法。
  粘着性樹脂が、その成分として水添テルペン樹脂、βピネン樹脂、テルペン樹脂のいずれか一つ以上を含む請求項14記載のゴム補強用炭素繊維コードの製造方法。
  最表面にレゾルシン-ホルマリン-ゴムラテックス系の接着剤組成物で処理を行う請求項11または12記載のゴム補強用炭素繊維コードの製造方法。
 実質的に無撚の炭素繊維束に、酸変性スチレン系熱可塑性エラストマー樹脂を含む樹脂組成物を処理し、無撚の糸条とし、該糸条を1本または複数本合糸した後、下記式(1)で示される範囲の片撚りを加える、請求項11または12記載のゴム補強用炭素繊維コードの製造方法。
      1.5≦TC≦3.5                   
式(1)
 ただし、TC=撚係数=(1/3,031)×T(D) 1/2
        T:加えられた撚数(T/m)
        D:1本または複数本の炭素繊維束の繊束(dtex)
  実質的に無撚の炭素繊維束に、酸変性スチレン系熱可塑性エラストマー樹脂を含む樹脂組成物を処理し、無撚の糸条とし、該糸条を1本または複数本合糸し下撚りを加え、さらに下記式(2)で示される範囲の上撚りを加える、請求項11または12記載のゴム補強用炭素繊維コードの製造方法。
      2.0≦TC(上撚係数)≦7           
式(2)
 ただし、TC=撚係数=(1/3,031)×T(D) 1/2
        T:加えられた撚数(T/m)
        D:1本または複数本の炭素繊維束の繊束(dtex)
  下撚りが、下記式(3)で示される範囲の撚である請求項18記載のゴム補強用炭素繊維コードの製造方法。
      1≦TC≦5                   
式(3)
 ただし、TC=撚係数=(1/3,031)×T(D) 1/2
        T:加えられた撚数(回/m)(T/m)
        D:1本の炭素繊維束の繊束(dtex)
  請求項1または2記載のゴム補強用炭素繊維コードにより補強してなることを特徴とする繊維強化ゴム材料。
 
Description:
ゴム補強用炭素繊維コードおよ その製造方法

  本発明は、ゴム補強用炭素繊維コード よびその製造方法に関するものであり、詳 くはタイヤ、ベルト、ホースなどの産業資 に好適に使用できるゴム補強用炭素繊維コ ドおよびその製造方法に関する。

  従来、ゴム補強用コードにより補強さ た繊維強化ゴム材料は、タイヤ、ベルト、 ースなどの産業資材に使用されている。こ らのゴム材料には、これまでは補強用コー としてナイロン繊維やポリエステル繊維な の有機繊維が一般に使われており、またか る補強用コードで補強された繊維強化ゴム 料は実用的な耐疲労性を有することから、 く用いられている。

  このゴム補強用コードには、引張強度 引張弾性率、耐熱性、耐水性、耐疲労性な の特性が要求される。中でも、ゴム材料は 外力などによる変形が大きいために耐久性 持たせるためには、補強用コードを構成す 繊維の屈曲耐疲労性が重視されている。

  炭素繊維は、引張強度、引張弾性率、 熱性、耐水性が良好なことから、炭素繊維 用いた繊維強化ゴム材料は、寸法安定性、 候性などに優れるが、単繊維同士の擦過に るコードの切断、コードとゴムとの界面剥 が生じやすく、耐疲労性に劣るといった問 があった。

  このような問題を解決する試みとして 今までにブロックドイソシアネート誘導体 含む樹脂組成物を炭素繊維束に含浸させた ム補強用コード(特許文献1)や、ポリウレタ を含む樹脂組成物を炭素繊維束に含浸させ ゴム補強用コード(特許文献2)が提案されて る。

  しかしながら、上記のゴム補強用コー によっても、タイヤ、ベルト、ホースなど 用途に用いたとき、耐疲労性は未だ十分な のとは言えず、耐疲労性は不十分であり、 素繊維が使用されてなるゴム補強用コード 中で、実質的に問題のない耐疲労性を有す ものは未だ得られていないのが現状である

特開2001-200067号公報

特開2002-71057号公報

  本発明の目的は、ゴムとの接着性が良 であり、屈曲変形などの応力変形に対して れた耐疲労性を発揮するゴム補強用炭素繊 コードおよびその製造方法を提供すること ある。

 本発明は、炭素繊維束に、酸変性したスチ ン系熱可塑性エラストマー樹脂を含む樹脂 成物が付着してなることを特徴とするゴム 強用炭素繊維コードに関する。
 次に、本発明は、炭素繊維束に、酸変性し スチレン系熱可塑性エラストマー樹脂を含 樹脂組成物を処理することを特徴とするゴ 補強用炭素繊維コードの製造方法に関する
 上記ゴム補強用炭素繊維コードの製造方法 あっては、コードに、下記のようにして、( I)片撚り、または(II)双撚、をかけてもよい。
 (I)片撚り:
 実質的に無撚の炭素繊維束に、酸変性スチ ン系熱可塑性エラストマー樹脂を含む樹脂 成物を処理し、無撚の糸条とし、該糸条を1 本または複数本合糸した後、下記式(1)で示さ れる範囲の片撚りを加える、ゴム補強用炭素 繊維コードの製造方法。
      1.5≦TC≦3.5                    
式(1)
 ただし、TC=撚係数=(1/3,031)×T(D) 1/2
        T:加えられた撚数(T/m)
        D:1本または複数本の炭素繊維束 繊束(dtex)
 (II)双撚:
 実質的に無撚の炭素繊維束に、酸変性スチ ン系熱可塑性エラストマー樹脂を含む樹脂 成物を処理し、無撚の糸条とし、該糸条を1 本または複数本合糸し下撚りを加え、さらに 下記式(2)で示される範囲の上撚りを加える、 ゴム補強用炭素繊維コードの製造方法。
      2.0≦TC(上撚係数)≦7           
式(2)
 ただし、TC=撚係数=(1/3,031)×T(D) 1/2
        T:加えられた撚数(T/m)
        D:1本または複数本の炭素繊維束 繊束(dtex)
 なお、この(II)双撚の際、上記下撚りとして は、下記式(3)で示される範囲の撚が好ましい 。
      1≦TC≦5                   
式(3)
 ただし、TC=撚係数=(1/3,031)×T(D) 1/2
        T:加えられた撚数(回/m)(T/m)
        D:1本の炭素繊維束の繊束(dtex)
 
 以上の酸変性したスチレン系熱可塑性エラ トマー樹脂としては、好ましくはマレイン 変性スチレン系熱可塑性エラストマー樹脂 ある。
 また、スチレン系熱可塑性エラストマー樹 は、好ましくはスチレン末端エチレン-ブチ レン共重合体樹脂である。
 さらに、スチレン系熱可塑性エラストマー 脂としては、好ましくはスチレン、エチレ 、ブチレンから構成され、該エラストマー 脂におけるスチレン/(エチレン+ブチレン)モ ル比が5/95~50/50である。
 さらに、上記樹脂組成物は、酸変性スチレ 系熱可塑性エラストマー樹脂のほかに、粘 性樹脂を含むものであってもよい。
 ここで、粘着性樹脂としては、その成分と て水添テルペン樹脂、βピネン樹脂、テル ン樹脂のいずれか一つ以上を含むものが挙 られる。
 また、上記樹脂組成物の付着量は、好まし は炭素繊維束100重量部に対し、1~50重量部で ある。
 さらに、上記樹脂組成物は、好ましくは、 の破断強度が0.5MPa以上、破断伸度が750%以上 である。
 さらに、本発明のゴム補強用炭素繊維コー は、その最表面にレゾルシン-ホルマリン- ムラテックス系の接着剤組成物で処理され レゾルシン-ホルマリン-ゴムラテックス系樹 脂接着剤が付着していることが好ましい。
 以上の本発明に用いられる炭素繊維束のフ ラメント数は、好ましくは500~50,000フィラメ ントである。
 次に、本発明は、以上のゴム補強用炭素繊 コードにより補強してなることを特徴とす 繊維強化ゴム材料に関する。

  本発明によれば、ゴムとの接着性が良 であり、屈曲変形などの応力変形に対して れた耐疲労性を発揮するゴム補強用炭素繊 コードおよびその製造方法が提供される。

耐疲労性を測定するための装置の該略 である。

符号の説明

 1:撚糸コード
 2:荷重
 3:ローラー
 4:振動させる他端

  本発明のゴム補強用炭素繊維コードは 炭素繊維束に、酸変性したスチレン系熱可 性エラストマー樹脂を含む樹脂組成物が付 してなるものである。さらには、酸変性し スチレン系熱可塑性エラストマー樹脂が、 レイン酸変性スチレン系熱可塑性エラスト ー樹脂であることが好ましい。

  本発明で用いられる炭素繊維束として 、フィラメントが集合して束状の糸条にな ていれば特に制限は無いが、束を構成する ィラメント数としては500~50,000フィラメント あることが好ましく、さらには3000~12,000フ ラメントであることが好ましい。フィラメ ト数が少なすぎる場合には1フィラメントに かる力が集中し、逆に多すぎる場合には繊 束内での力の分布が不均一になるため、疲 性が低下する傾向にある。繊維束を構成す 1本の繊維の直径としては、1~20μm、特には5~ 10μmの範囲であることが好ましい。

 なお、使用される炭素繊維束は、実質的 無撚、すなわちその撚り数が30回/m以下であ るのが良く、好ましくは20回/m以下、より好 しくは10回/m以下であるのが良い。撚り数が3 0回/mを超えると、コードの中心部に樹脂組成 物の未含浸部が発生し、その結果、単繊維同 士の擦過が生じ、繊維強化ゴム材料の耐久性 が損なわれることがある。

  また、炭素繊維束の炭素繊維表面の酸素 が多い方が酸変性したスチレン系熱可塑性 ラストマー樹脂を含む樹脂組成物の炭素繊 に対する濡れ性が向上し、ひいてはゴムに する炭素繊維の接着性および耐疲労性も向 するため好ましい。X線電子分光法(XPS;ESCA)に より測定された表面酸素濃度をO/Cとした場合 、好ましい酸素量はO/C≧0.05であり、より好 しくはO/C≧0.1である。 ここで、表面酸素濃 度を0.05以上にするには、公知の気相または 相による表面処理を行うことにより得るこ が可能である。
 また、樹脂組成物を十分に炭素繊維束に含 させるためには、炭素繊維束の繊度はあま 大きくない方が好ましい。好ましい炭素繊 束の繊度としては、12,000dtex以下であり、さ らに好ましくは6,000dtex以下、特に好ましくは 1,000~3,000dtexである。

  本発明のゴム補強用炭素繊維コードは このような炭素繊維束からなるコードであ が、そのモジュラス(弾性率)が100GPa以上であ ることが好ましく、より好ましくは230GPa以上 、特には280GPa以上であることが好ましい。モ ジュラスの上限としては1,000GPa以下であるこ が、さらには700GPa以下であることが通常の 囲である。炭素繊維束のモジュラスを高め ことによって、該炭素繊維束で補強した繊 強化ゴム材料は寸法安定性が優れたものと る。また、炭素繊維束の強度としては、2000 ~1,0000MPaであることが、さらには3,000~6,000MPaの 範囲であることが好ましく、また疲労性を向 上させるためには破断時の伸度も重要で0.2~3. 0%であることが、さらには伸度が1.5~2.5%であ ことが好ましい。

  本発明のゴム補強用炭素繊維コードは 上記のような炭素繊維束に酸変性したスチ ン系熱可塑性エラストマー樹脂を含む樹脂 成物が付着していることが必須である。さ には、スチレン系熱可塑性エラストマー樹 の酸変性としては、不飽和酸化合物をグラ ト化して得られた酸変性スチレン系熱可塑 エラストマー樹脂であることが好ましい。 飽和酸化合物の好ましい例としては、無水 レイン酸、マレイン酸、無水イタコン酸、 タコン酸、フマル酸、メタクリル酸、アク ル酸などを挙げることができる。中でも、 レイン酸変性スチレン系熱可塑性エラスト ー樹脂は好ましく、カルボキシル基を有す ためゴムとの接着性をより向上させること 可能となる。

  ここで、スチレン系熱可塑性エラストマ 樹脂のとしては、具体的には、スチレン-イ プレン-スチレン共重合体、スチレン-ブタ エン-スチレン共重合体、スチレン-エチレン -ブチレン-スチレン共重合体、スチレン-エチ レン-エチレン-プロピレン-スチレン共重合体 、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン共 重合体エラストマーなどを挙げることができ 、中でも、スチレン-エチレン-ブチレン-スチ レン共重合体などのスチレン末端エチレン- チレン共重合体樹脂であることが好ましい
 特には、スチレン系熱可塑性エラストマー 脂が、スチレン、エチレン、ブチレンから 成され、該エラストマー樹脂におけるスチ ン/(エチレン+ブチレン)のモル比が5/95~50/50 あることが好ましい。さらには、10/90~30/70の モル比をとることがより好ましい。スチレン の比率が減少するとソフトセグメントの比が 大きくなり、弾性率が低下するため、屈曲疲 労性の向上率が減少する傾向にある。逆にス チレンの比率が増えすぎると、ソフトセグメ ントの比が小さくなり、硬くなりすぎるため 、同じく屈曲疲労性の向上率が減少する傾向 にある。

  一般に、スチレン系熱可塑性エラスト ー樹脂は、強度があるにもかかわらず柔軟 構造を有することから、ゴムのように弾力 に富む。そのため、炭素繊維束に対し、上 のような酸変性スチレン系熱可塑性エラス マー樹脂を含む樹脂組成物を付着させるこ により、ゴム繊維複合体を構成した場合の 曲変形に対する繊維の耐疲労性が極めて良 になるのである。これは、本発明で用いら る酸変性スチレン系熱可塑性エラストマー 脂に靭性がありかつゴムに対する接着性の 好な樹脂であるため、通常の接着剤組成物 ように工程内ローラー部にスカムが多量に 着することなく、炭素繊維コードの物性を 上させることが可能となった。

  また、スカムを大量に発生させない範 であれば、本発明のゴム補強用炭素繊維コ ドに付着する樹脂組成物が、上記酸変性ス レン系熱可塑性エラストマー樹脂に加えて 粘着性樹脂を含むものであることがさらに ましい。粘着性がある樹脂を用いることに り、炭素繊維とゴムとの接着性をさらに向 させることができるのである。このような 着性樹脂の具体例としては、特には水添テ ペン樹脂、芳香族変性水添テルペン樹脂、 ルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、テ ペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン ェノール樹脂、αピネン樹脂、βピネン樹脂 いずれか、もしくは、これらの樹脂をベー に、他の樹脂を共重合させた樹脂が好まし 。中でも、水添テルペン樹脂、βピネン樹 、テルペン樹脂のいずれか一つ以上を含む 合は、特にRFL接着剤などのゴム繊維用接着 との相溶性が良く、炭素繊維コードとゴム の接着性をより向上させることが可能とな 。

 上記樹脂組成物中における粘着性樹脂の 合量は、該樹脂組成物中に、通常、20~80重 %、好ましくは40~60重量%程度である。

  本発明における樹脂組成物の付着量とし は、上記炭素繊維束に、酸変性スチレン系 可塑性エラストマー樹脂が、炭素繊維束100 量部に対して1~50重量部であることが好まし 。さらには5~30重量部付着していることが、 そして10~20重量部であることが最適である。 変性スチレン系熱可塑性エラストマー樹脂 含む樹脂組成物の付着量が少なすぎると、 繊維間同士の擦過を防ぐ効果が不十分にな 傾向にある。逆に、樹脂組成物の付着量が すぎると、繊維コード径が大きくなるが、 れによりゴム繊維構造体中での屈曲変形に る応力が大きくなるため、構造が破壊され すい傾向にある。
  本発明は、炭素繊維束に上記のような樹 組成物を付着させることにより、屈曲変形 対する耐疲労性が極めて良好になったもの ある。なお、本発明では、実質上コードの 周面に付着してコードを被覆するのが好ま い。

  また、本発明で用いられる樹脂組成物の 断強度は、0.5MPa以上、破断伸度が750%以上で ることが好ましい。さらには、樹脂組成物 らなるフィルム被膜の破断強度が0.5~50MPaの 囲であることが、特には1~10MPaの範囲である ことが好ましい。また、伸度としては、750~5, 000%であることが、特には1,500~3,000%の範囲で ることが好ましい。樹脂組成物の破断強度 低すぎる場合には、工程中などの炭素繊維 士の圧縮により、炭素繊維表面に付着した 脂被膜が破壊される傾向にあり、屈曲疲労 の向上率が低下する傾向にある。この傾向 、炭素繊維束に撚をかけたときに特に顕著 ある。また、破断強度が低すぎる場合、炭 繊維表面に付着した樹脂被膜の柔軟性が不 する傾向にあり、屈曲疲労性があまり向上 ない傾向にある。
 樹脂組成物の破断強度を0.5MPa以上、破断伸 を750%以上とするには、上記のスチレン系熱 可塑性エラストマー樹脂や粘着性樹脂の組み 合わせを変更すれば良い。例えば、粘着性樹 脂の比率を上げることで破断伸度を高めるこ とができる。

  さらに、本発明のゴム補強用炭素繊維 ードは、その最表面にレゾルシン-ホルマリ -ゴムラテックス系樹脂接着剤(以下「RFL接 剤」とする)が付着していることが好ましい 本発明で必須のスチレン系熱可塑性エラス マー樹脂を含む樹脂組成物を付着させた炭 繊維束に、さらにRFL接着剤を付与すること より、RFL接着剤と本発明で用いる樹脂組成 との親和性が非常に高いという効果もあり ゴムと繊維との接着力がさらに向上する。 して、接着力が向上することにより、ゴム 炭素繊維間の界面剥離が生じ難くなり、耐 労性にも向上効果が発揮される。

  上記RFL接着剤としては、例えば水酸化ナ リウムなどのアルカリ性化合物を含むアル リ水溶液内に、レゾルシンとホルマリンを 加して、室温で数時間整置し、レゾルシン ホルムアルデヒドを初期縮合させた後、ゴ ラテックスを加えて混合エマルジョンとす 方法により調製される。
 ここで、ゴムラテックスとしては、アクリ ニトリル-ブタジエンラテックス、イソプレ ンゴムラテックス、ウレタンゴムラテックス 、スチレン-ブタジエンゴムラテックス、ビ ルピリジン-スチレン-ブタジエンゴムラテッ クスなどが使用できる。中でもビニルピリジ ン-スチレン-ブタジエンゴムラテックスは、 疲労性の向上に特に効果的であり、好まし 用いられる。

 なお、上記RFL接着剤は、乾燥前は、水分 含む、いわゆる水系接着剤のため、ゴム補 用炭素繊維コードの耐久性が不足する原因 なるボイドの発生を防ぐ観点から、該コー の表面に付着させた後、加熱により水分を 燥除去しておくのが好ましい。

  RFL接着剤の付着量としては、炭素繊維 100重量%に対して、好ましくは1~10重量%であ 、より好ましくは2~8重量%である。あまり少 すぎるとゴム接着性の向上効果が期待でき 、逆に多すぎてもコードが硬くなる傾向に り、疲労性には逆効果となる。本発明では ゴムとの接着性をさらに向上させるためRFL 着剤を付着させる前にあらかじめエポキシ 合物を含む化合物を付着させる(以下「エポ キシ処理」ともいう)ことも接着性向上のた に好ましい。

 ここで、エポキシ処理に用いられるエポ シ化合物を含む化合物としては、エポキシ 合物、エポキシ化合物およびイソシアネー 化合物、あるいは、それらの反応物が挙げ れる。

 ここで、エポキシ化合物の具体例として 、グリセロールポリグリシジルエーテル、 ルビトールポリグリシールポリグリシジル ーテル、ソルビトールポリグリシジルエー ル、トリメチロールプロパンポリグリシジ エーテル、ネオペンチルグリコールポリグ シジルエーテル、ポリエチレングリコール グリシジルエーテル、ポリプロピレングリ ールポリグリシジルエーテルなどが挙げら る。中でも、グリセロールポリグリシジル ーテルおよびソルビトールポリグリシジル ーテルは、接着性向上に特に有効である。

 また、イソシアネート化合物の具体例と ては、メタフェニレンジイソシアネート、 フェニルメタンジイソシアネート、該イソ アネートとフェノール、クレゾール、εカ ロラクタム、アセトオキシムトの反応物な を例示できる。

 エポキシ化合物とイソシアネート化合物 の割合は、エポキシ基とイソシアネート基( ブロックドイソシアネート基含む)とのモル 合が、エポキシ基/イソシアネート基=0.1/1~2/1 の範囲にあることが好ましい。この範囲を外 れた場合、疲労性の悪化や接着性の低下をも たらす場合がある。エポキシ化合物とイソシ アネート化合物は反応体を形成していても何 ら問題は無い。

 本発明において、エポキシ処理における ポキシ化合物を含む化合物は、炭素繊維束1 00重量%に対して、0.1~10重量%であるのが良く 好ましくは0.5~8重量%、より好ましくは2~4重 %であるのが良い。0.1重量%未満であると、ゴ ムと炭素繊維コードの間で界面剥離が生じ易 くなり、繊維強化ゴム材料の耐疲労性が不足 することがある。一方、10重量%を超えると、 炭素繊維コードの硬さが硬くなり、炭素繊維 コードの耐疲労性が低下することがある。

  このような本発明のゴム補強用炭素繊 コードは、高弾性率・高強度を有しながら ゴムとの接着性が良く、屈曲変形に対する 疲労性に優れ、特に単繊維同士の擦過によ コード破断が発生し難い繊維コードとなる

  もう一つの本発明である、炭素繊維コ ドの製造方法は、炭素繊維束に、酸変性し スチレン系熱可塑性エラストマー樹脂を含 樹脂組成物により処理することを特徴とす 。上記と同じく、スチレン系熱可塑性エラ トマー樹脂は、マレイン酸変性スチレン系 可塑性エラストマー樹脂であることが好ま く、そのスチレン系熱可塑性エラストマー 脂の基本骨格は、スチレン末端エチレン-ブ レン共重合体樹脂であることが好ましい。 た、樹脂組成物が、酸変性スチレン系熱可 性エラストマー樹脂のほかに粘着性樹脂を むものであることが好ましく、特には粘着 樹脂が、その成分として水添テルペン樹脂 βピネン樹脂、テルペン樹脂のいずれか一 以上を含むことが好ましい。

  また、本発明の処理の際には、酸変性ス レン系熱可塑性エラストマー樹脂を含む処 液は、水に分散させた形態で使用すること 一般的である。酸変性スチレン系熱可塑性 ラストマー樹脂を含む樹脂組成物の水分散 の作製方法には特に制限は無いが、例えば (a)マレイン酸変性スチレン系熱可塑性エラ トマーを含む樹脂組成物を加熱下、界面活 剤、分散剤などを溶解した水性分散媒中に 撹拌などの手段により強制分散させて製造 る方法、(b)水不溶性の有機溶剤に溶解した レイン酸変性スチレン系熱可塑性エラスト ーを、水性分散媒中で界面活性剤とともに 高剪断力で攪拌乳化した後、有機溶剤を除 するような後乳化法により製造する方法、 どが挙げられる。
 これらの場合、水分散液中における上記樹 組成物の固形分濃度は、通常、10~60重量%、 ましくは20~40重量%程度である。

  本発明では、このような樹脂組成物を 理する前に、炭素繊維束が実質的に無撚の 条であることが好ましい。撚りが無いこと より樹脂組成物が炭素繊維束の周りに均一 付着し、疲労性が向上する。また、炭素繊 束に樹脂組成物を処理した後に、該炭素繊 束からなる糸条を1本または複数本合糸し、 りを加えることも好ましい。撚りを加える とによりゴム構造体中での糸条を構成する 単糸にかかる力を分散させるために、疲労 が向上する。

  より具体的な本発明のゴム補強用炭素繊 の製造方法としては、例えば炭素繊維束を 変性したスチレン系熱可塑性エラストマー 脂を含む処理液に浸漬した後、加熱乾燥炉 通過させ乾燥させることにより製造するこ ができる。また、酸変性したスチレン系熱 塑性エラストマー樹脂を含む処理液は、炭 繊維のサイジング工程で、浸漬・乾燥させ 製造することもできる。
 この際の乾燥・熱処理条件としては、温度 110~270℃、好ましくは150~220℃、処理時間が0. 5~10分、好ましくは1~3分である。

 また、後記RFL処理前に、炭素繊維束にエポ シ処理を行うと、炭素繊維コードとゴムの の接着性が向上するので好ましい。
 エポキシ処理における乾燥・熱処理条件と ては、温度が110~270℃、好ましくは130~230℃ 処理時間が0.5~10分、好ましくは1~3分である

  また、処理された炭素繊維コードの最表 にはレゾルシン-ホルマリン-ゴムラテックス 系の接着剤組成物で処理(以下「RFL処理」と いう)を行うことが、接着性を向上させるた にも好ましい。RFL接着剤を付着させる場合 は、上記手段により得られた樹脂が付着し 炭素繊維束を撚糸した後、RFL接着剤を含む 理液に浸漬させ、乾燥することによって撚 コードに付着させることが好ましい。
 RFL処理における乾燥・熱処理条件としては 温度が110~270℃、好ましくは130~230℃、処理 間が0.1~10分、好ましくは1~3分である。

  なお、本発明の製造方法では、炭素繊 束に、酸変性スチレン系熱可塑性エラスト ー樹脂を含む樹脂組成物で処理されてなる ードに、(I)片撚り、あるいは(II)双撚をかけ もよい。

 ここで、(I)片撚りの場合、炭素繊維束が 質的に無撚の糸条の状態にて酸変性スチレ 系熱可塑性エラストマー樹脂を含む樹脂組 物で処理し、無撚の糸条とし、該糸条を1本 または複数本合糸した後、下記式(1)で示され る範囲の片撚りを加えてコードに片撚りをか ければよい。

      1.5≦TC≦3.5                    
式(1)
 ただし、TC=撚係数=(1/3,031)×T(D) 1/2
        T:加えられた撚数(T/m)
  
     D:1本または複数本の炭素繊維束の繊 (dtex)

  撚りを加えることにより、ゴム構造体 での糸条を構成する各単糸にかかる力を分 させるために、疲労性が向上する。しかし (1)の撚係数が1.5より小さい場合には、炭素 維コードの耐疲労性は不十分であり実質的 ゴム補強用コードとしては使用できない。 に、式(1)の撚係数が3.5より大きい場合には 引張弾性率が低い値となり、炭素繊維を使 することの特徴が失われる、また強力の低 も見られる。そのような観点からも、式(1) おけるより好ましい撚係数の範囲は2以上3以 下である。

  また、(II)双撚の場合は、実質的に無撚 炭素繊維束に、酸変性スチレン系熱可塑性 ラストマー樹脂を含む樹脂組成物を処理し 無撚の糸条とし、該糸条を1本または複数本 合糸し下撚りを加え、さらに下記式(2)で示さ れる範囲の上撚りを加えることにより、コー ドに双撚をかければよい。

      2.0≦TC(上撚係数)≦7             式(2)
 ただし、TC=撚係数=(1/3,031)×T(D) 1/2
        T:加えられた撚数(T/m)
        D:1本または複数本の炭素繊維束 繊束(dtex)

  なお、(II)双撚においては、上記下撚りは 下記式(3)で示される範囲の撚であることが ましい。
      1≦TC≦5                   
式(3)
 ただし、TC=撚係数=(1/3,031)×T(D) 1/2
        T:加えられた撚数(回/m)(T/m)
        D:1本の炭素繊維束の繊束(dtex)

  撚りを加えることにより、ゴム構造体 での糸条を構成する各単糸にかかる力を分 させるために、疲労性が向上する。しかし 式(2)の上撚りの撚係数が2.0より小さい場合 は、炭素繊維コードの耐疲労性は不十分で り実質的にゴム補強用コードとしては使用 きない。逆に、式(2)の撚係数が7より大きい 合には、引張弾性率が低い値となり、炭素 維を使用することの特徴が失われる、また 力の低下も見られる。そのような観点から 、式(2)におけるより好ましい撚係数の範囲 、4以上6以下である。

  同じことは、下撚りの撚り係数にも当 はまり、式(3)の下撚りの撚係数が1より小さ 場合には、炭素繊維コードの耐疲労性は不 分であり実質的にゴム補強用コードとして 使用できない。逆に、式(3)の撚係数が5より 大きい場合には、引張弾性率が低い値となり 、炭素繊維を使用することの特徴が失われる 、また強力の低下も見られる。そのような観 点からも、式(3)におけるより好ましい撚係数 の範囲は、2.5以上4以下である。

  本発明の繊維強化ゴム材料は、このよ な本発明のゴム補強用炭素繊維コードによ 補強してなる繊維強化ゴム材料である。得 れた繊維強化ゴム材料は、屈曲変形などに して優れた耐久性を発揮する。かかる繊維 化ゴム材料の具体例としては、タイヤ、ベ ト、ホースなどが挙げられる。

  本発明の繊維強化ゴム材料に用いるゴ としては、アクリルゴム、アクリロニトリ -ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ウレタ ゴム、エチレン-プロピレンゴム、クロロプ レンゴム、シリコーンゴム、スチレン-ブタ エンゴム、多硫化ゴム、天然ゴム、ブタジ ンゴム、フッ素ゴムなどを挙げることがで る。

  なお、上記ゴムには、主成分のゴムの に、材料の改質などのため、カーボンブラ ク、シリカなどの無機充填剤、クマロン樹 、フェノール樹脂などの有機充填剤、ナフ ン系オイルなどの軟化剤が含まれていても い。

  このような繊維強化ゴム材料は、例えば 上記ゴム補強用コードを必要本数引き揃え これをゴムで挟み込み、さらにプレス機で 圧、加熱して成形することができる。
  得られた繊維強化ゴム材料は、屈曲変形 どに対して優れた耐久性を発揮し、タイヤ ベルト、ホースなどに好適に用いられる。

  以下、本発明を実施例によりさらに具 的に説明する。実施例に示す各物性は、次 方法により測定した。

  (1)炭素繊維束の強度および弾性率
  無撚りの炭素繊維束は、JIS  R7601に準拠 て測定した。
  (2)耐疲労性(屈曲破断迄の回数)
  屈曲疲労性
  図1に示すように、接着処理を行った撚糸 ードの一端に1.0kgの荷重を取り付け、直径10 mmのローラーに掛け渡し、他端をコードの長 方向に振幅50mm、速度100回/分で振動させる とにより、コードを繰り返し屈曲させ、破 するまでの回数を測定した。屈曲破断迄の 数が、5万回以上をAA、3万回以上5万回未満を A、1.5万回以上3万回未満をB、1.5万回未満をC した。

  (3)接着性(引抜接着力)
  JIS  L1017に準拠して測定した。評価用ゴ としては、天然ゴム/スチレン・ブタジエン ム(重量比)=6/4のゴムを使用した。1本のコー ドをゴム中から引き抜く際の接着力が、130N 超えるものをA、65~130NをB、65N未満をCとした

  (4)炭素繊維コードの引張特性
  撚糸加工後の炭素繊維コードは、JIS  L101 7に準拠して測定した。ここで、クロスヘッ スピードは250mm/分、初期試長は500mmとした。 なお、引張弾性率は、S-Sカーブ(強力-伸度グ フ)において、接線が最も急勾配となる点か ら求めた。

  (5)フィルム被膜の強度および伸度
  JIS  K6301に準拠して測定した。処理液を 室温で24時間、80℃で10時間、120℃で30分乾燥 し、厚さ0.8-0.9mmの被膜を作製した。この被膜 からサンプルを切り出し、引張試験機を用い て、フィルム被膜の強度、および伸度を求め た。

 (6)炭素繊維束の表面酸素濃度O/C
 炭素繊維の表面酸素濃度O/Cは、次の手順に ってXPS(ESCA)によって求めた。すなわち、炭 繊維をカットしてステンレス製の試料支持 上に拡げて並べた後、光電子脱出角度を90 に設定し、X線源としてMgKaを用い、試料チャ ンバー内を1×10 -6 Paの真空度に保った。測定時の帯電に伴うピ クの補正として、まずC1sの主ピークの結合 ネルギー値B.E.を284.6eVに合わせる。O1sピー 面積は、528~540eVの範囲で直線のベースライ を引くことにより求め、C1sピーク面積は、28 2~292eVの範囲で直線のベースラインを引くこ により求めた。そして。炭素繊維表面の表 酸素濃度O/Cは、上記O1sピーク面積とC1sピー 面積の比で計算して求めた。

  また、実施例ではコードおよび繊維強化 ム材料の製造に当たり、次に示す材料を用 た。
  (a)炭素繊維束
 炭素繊維束(1)
 繊度2,000dtex、“HTA-3K”(東邦テナックス(株) )、フィラメント数:3,000本、単繊維直径7.0μm 、引張強度:3,920MPa、引張弾性率:235GPa、伸度:1 .7%、表面酸素濃度:O/C=0.18
 炭素繊維束(2)
 繊度4,000dtex、“HTA-6K”(東邦テナックス(株) )、フィラメント数:6,000本、単繊維直径7.0μm 、引張強度:3,920MPa、引張弾性率:235GPa、伸度:1 .7%、表面酸素濃度:O/C=0.18

  (b)処理剤
  スチレン系処理剤(1);
  マレイン酸変性スチレン-エチレン-ブチレ ン-スチレン共重合体樹脂の水分散液、フィ ム被膜の破断強度3.8MPa、破断伸度760%、固形 濃度=30重量%
  スチレン系処理剤(2);
  マレイン酸変性スチレン-エチレン-ブチレ ン-スチレン共重合体樹脂:水添テルペン樹脂( 重量比)=5:5の水分散液、フィルム被膜の破断 度3.6MPa、破断伸度2950%、固形分濃度=30重量%
  スチレン系処理剤(3);
  マレイン酸変性スチレン-エチレン-ブチレ ン-スチレン共重合体樹脂:βピネン樹脂(重量 )=5:5の水分散液、フィルム被膜の破断強度1. 4MPa、破断伸度1640%、固形分濃度=30重量%
  スチレン系処理剤(4);
  マレイン酸変性スチレン-エチレン-ブチレ ン-スチレン共重合体樹脂:テルペン樹脂(重量 比)=5:5の水分散液、フィルム被膜の破断強度4 .8MPa、破断伸度2030%、固形分濃度=30重量%

 なお、上記スチレン系処理剤(1)~(4)中のマ レイン酸変性スチレン-エチレン-ブチレン-ス チレン共重合体樹脂のS/EB(スチレン/(エチレ +ブチレン))の比率(モル比)は、20/80であった

  (c)ポリウレタン
 ウレタン系処理剤;ポリエステル系ポリウレ タン水分散体“スーパーフレックス”E-2000( 一工業製薬(株)製)、固形分濃度=50重量%

  (d)RFL接着剤
  RFL接着剤は、下記のスミカノール700S:2518FS :ニッポールLX-112=7:65:28の重量割合で混合し水 で希釈して用いた。
 “スミカノール700S”:住友化学(株)製、レゾ ルシン-ホルマリン縮合体
 “ニッポール2518FS”:日本ゼオン(株)製、ビ ルピリジン-スチレン-ブタジエンゴムラテ クス
 “ニッポールLX-112”:日本ゼオン(株)製、ス レン-ブタジエンゴムラテックス

  [実施例1]
  炭素繊維束(1)を速度10m/分で搬送し、無撚 の状態で、スチレン系処理剤(1)を純水で希 した水分散液(濃度:10重量%)に浸漬し、温度1 90℃の加熱炉内を60秒かけて通過させ、水分 除去した。一定長さ当たりの炭素繊維重量 予め測定しておき、処理液含浸後の同一長 のコード重量を測定することで、差分から 酸変性したスチレン系熱可塑性エラストマ 樹脂を含む樹脂組成物の付着量を測定した 得られた炭素繊維束をリング撚糸機で25(T/10c m)で下撚りをかけ、次に、下撚りしたものを2 本合わせて25(T/10cm)の条件で、上撚りをかけ 。次に、得られたコードを、エポキシ化合 (ソルビトールポリグリシジルエーテル、ナ セケムテックス社製、EX-611)およびブロック ドイソシアネート(ジフェニルメタンジイソ アネートのメチルエチルケトオキシムブロ ク体、明成化学社製、DM-6400))を重量比で1:3 水分散体(濃度=4重量%)に浸漬し、130℃の加熱 炉内を2分かけて通過させて水分を除去し、 の後230℃の加熱炉内を1分かけて熱処理し、 燥重量で3重量%付着させた。引き続き、RFL 着剤処理液(RFL接着剤の割合が20重量%)に浸漬 し、150℃加熱炉内を2分かけて通過させて水 を除去し、その後200℃の加熱炉内を1分かけ 熱処理し、ゴム補強用炭素繊維コードを作 した。RFL接着剤の付着量は、炭素繊維束100 量%に対して3.5重量%であった。結果を表1に す。

  [実施例2]
  スチレン系処理剤(1)を、水添テルペン樹 を含有するスチレン系処理剤(2)に変更した 外は、実施例1と同様に実施して、ゴム補強 コードを作製した。結果を表1に併せて示す 。

  [実施例3]
  スチレン系処理剤(1)を、βピネン樹脂を含 有するスチレン系処理剤(3)に変更した以外は 、実施例1と同様に実施して、ゴム補強用コ ドを作製した。結果を表1に併せて示す。

  [実施例4]
  スチレン系処理剤(1)を、テルペン樹脂を 有するスチレン系処理剤(4)に変更した以外 、実施例1と同様に実施して、ゴム補強用コ ドを作製した。結果を表1に併せて示す。

  [実施例5]
  スチレン系処理剤(2)の純水での希釈した 分散液濃度を25重量%に変更した以外は、実 例2と同様に実施して、ゴム補強用コードを 製した。結果を表1に併せて示す。

  [比較例1]
  スチレン系処理剤(1)を、使用しなかった 外は、実施例1と同様に実施して、ゴム補強 コードを作製した。結果を表1に併せて示す 。

  [比較例2]
  スチレン系処理剤(1)を、ウレタン系処理 (水で希釈して10重量%濃度とした)に変更した 以外は、実施例1と同様に実施して、ゴム補 用コードを作製した。このものは、ヤーン 理時に剤の粘着性により単繊維が接合し、 糸時に切断し毛羽立つという問題があり、 着性に劣ったものだった。

  [実施例6]
  炭素繊維束(2)を速度10m/分で搬送し、無撚 の状態で、スチレン系処理剤(3)を純水で希 した水分散液(濃度:10重量%)に浸漬し、温度1 90℃の加熱炉内を100秒かけて通過させ、水分 除去した。一定長さ当たりの炭素繊維重量 予め測定しておき、処理液含浸後の同一長 のコード重量を測定することで、差分から 酸変性したスチレン系熱可塑性エラストマ 樹脂を含む樹脂組成物の付着量を測定した 得られた炭素繊維束をリング撚糸機で10(T/10 cm)(撚り係数2.09)で撚りをかけた。次に、得ら れたコードを、エポキシ(ソルビトールポリ リシジルエーテル、ナガセケムテックス社 、EX-611)およびゴムラテックス(ビニルピリジ ン―スチレン-ブタジエンゴムラテックス、 本ゼオン製、ニッポール2518FS)を重量比で1:25 の水分散体(濃度=10重量%)に浸漬し、130℃の加 熱炉内を2分かけて通過させて水分を除去し その後230℃の加熱炉内を1分かけて熱処理し 乾燥重量で3重量%付着させた。引き続き、RF L接着剤処理液(RFL接着剤の割合が20重量%)に浸 漬し、150℃の加熱炉内を2分かけて通過させ 水分を除去し、その後200℃の加熱炉内を1分 けて熱処理し、ゴム補強用炭素繊維コード 作製した。RFL接着剤の付着量は、炭素繊維 100重量%に対して3.5重量%であった。結果を 2に示す。

  [実施例7]
  撚数を14(T/10cm)(撚り係数2.92)に変更した以 は、実施例6と同様に実施して、ゴム補強用 コードを作製した。結果を表2に併せて示す

  [実施例8]
  炭素繊維束(1)を速度10m/分で搬送し、無撚 の状態で、スチレン系処理剤(3)を純水で希 した水分散液(濃度:10重量%)に浸漬し、温度1 90℃の加熱炉内を分かけて通過させ、水分を 去した。一定長さ当たりの炭素繊維重量を め測定しておき、処理液含浸後の同一長さ コード重量を測定することで、差分から、 変性したスチレン系熱可塑性エラストマー 脂を含む樹脂組成物の付着量を測定した。 られた炭素繊維束をリング撚糸機で25(T/10cm) (撚り係数3.70)で下撚りをかけ、次に下撚りし たものを2本合わせて25(T/10cm)(撚り係数5.22)の 件で、上撚りをかけた。次に、得られたコ ドを、エポキシ(ソルビトールポリグリシジ ルエーテル、ナガセケムテックス社製、EX-611 )およびゴムラテックス(ビニルピリジン―ス レンーブタジエンゴムラテックス、日本ゼ ン製、ニッポール2518FS)を重量比で1:25の水 散体(濃度=10重量%)に浸漬し、130℃の加熱炉 を2分かけて通過させて水分を除去し、その 230℃の加熱炉内を1分かけて熱処理し、乾燥 重量で3重量%付着させた。引き続き、RFL接着 処理液(RFL接着剤の割合が20重量%)に浸漬し 150℃加熱炉内を2分かけて通過させて水分を 去し、その後200℃の加熱炉内を1分かけて熱 処理し、ゴム補強用炭素繊維コードを作製し た。RFL接着剤の付着量は、炭素繊維束100重量 %に対して3.5重量%であった。結果を表3に示す 。

  [実施例9]
  下撚りの撚数を20(T/10cm)(撚り係数3.0)、上 の撚数を20(T/10cm)(撚り係数4.2)に変更した以 は、実施例8と同様に実施して、ゴム補強用 ードを作製した。結果を表3に示す。

  [実施例10]
  下撚りの撚数を33(T/10cm)(撚り係数4.9)、上 の撚数を33(T/10cm)(撚り係数6.9)に変更した以 は、実施例8と同様に実施して、ゴム補強用 ードを作製した。結果を表3に示す。

  [実施例11]
  下撚りの撚数を10(T/10cm)(撚り係数1.5)、上 の撚数を10(T/10cm)(撚り係数2.1)に変更した以 は、実施例8と同様に実施して、ゴム補強用 ードを作製した。結果を表3に示す。

 本発明のゴム補強用炭素繊維コードにより 強された繊維強化ゴム材料は、タイヤ、ベ ト、ホースなどの産業資材に有用である。