Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
RUN-FLAT TIRE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/126853
Kind Code:
A1
Abstract:
A run-flat tire that realizes not only a striking enhancement of durability at run-flat travel without detriment to ride quality at ordinary travel but also an improvement of tire uniformity. There is disclosed a run-flat tire comprising a side reinforcing rubber layer being crescent in its meridional cross section provided in the whole area or an approximately whole area of each of both side portions along the inner face of a carcass ply. The cord of the carcass ply contains a polyketone fiber in a proportion of at least 50 mass%. The cord having undergone dipping treatment exhibits a maximum thermal shrinkage stress of 0.1 to 1.8 cN/dtex. The polyketone fiber upon 150°Cx30 min dry heat treatment exhibits a thermal shrinkage ratio ranging from 0.3 to 6.5%. The carcass ply contains a weft yarn intersecting with the cord arranged in an approximately radial direction. The weft yarn is cut at given intervals at multiple locations in the circumferential direction of the tire.

Inventors:
YAMAGUCHI MASAHIRO (JP)
YOKOKURA HIROYUKI (JP)
ZUIGYO YUGO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/056991
Publication Date:
October 23, 2008
Filing Date:
April 09, 2008
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
BRIDGESTONE CORP (JP)
YAMAGUCHI MASAHIRO (JP)
YOKOKURA HIROYUKI (JP)
ZUIGYO YUGO (JP)
International Classes:
B60C9/00; B60C9/04; B60C17/00; D02G3/48
Domestic Patent References:
WO2006077973A12006-07-27
WO2003011615A12003-02-13
WO2007122984A12007-11-01
Foreign References:
JP2006306260A2006-11-09
JPS6338006A1988-02-18
JP2004142425A2004-05-20
JPH05208458A1993-08-20
JP2003049339A2003-02-21
JP2007230405A2007-09-13
Other References:
See also references of EP 2145776A4
None
Attorney, Agent or Firm:
HONDA, Ichiro (Ikeden Building 12-5, Shimbashi 2-chome, Minato-k, Tokyo 04, JP)
Download PDF:
Claims:
 左右一対のビード部と、クラウン部から両サイド部を経て両ビード部に延びるカーカスプライと、該カーカスプライの内面に沿って両サイド部の全域またはほぼ全域にわたり子午断面が三日月状のサイド補強ゴム層と、を備えたランフラットタイヤにおいて、
 前記カーカスプライコードがポリケトン繊維を少なくとも50質量%以上含み、かつディップ処理済みコードとして最大熱収縮応力0.1~1.8cN/dtexを有し、該ポリケトン繊維の150℃×30分乾熱処理時熱収縮率が0.3~6.5%の範囲内であり、
 前記カーカスプライが略ラジアル方向に配列したコードと交差する緯糸を含み、かつ、該緯糸がタイヤ周方向の複数箇所で一定間隔にて切断されていることを特徴とするランフラットタイヤ。
 前記カーカスプライのビード部分における前記ポリケトン繊維コードの打ち込み本数が70~120本/100mmの範囲内である請求項1記載のランフラットタイヤ。
 前記緯糸の打ち込み本数が3~20本/100mmの範囲内である請求項1記載のランフラットタイヤ。
 前記カーカスプライコードのコード径D1が0.45~0.95mmの範囲内にある請求項1記載のランフラットタイヤ。
 前記緯糸の直径D2が0.1~0.3mmの範囲内にある請求項1記載のランフラットタイヤ。
 前記緯糸の切断ピッチAがD1の5.5~60倍の範囲内にある請求項1記載のランフラットタイヤ。
 前記カーカスプライを形成する繊維コードに含まれるポリケトン繊維として、原糸の引張強度が10cN/dtex以上で、かつ、弾性率が60cN/dtex以上である請求項1記載のランフラットタイヤ。
 前記緯糸が切断伸度5~20%で、かつ切断強力200~1000gの範囲内にある請求項1記載のランフラットタイヤ。
 前記緯糸がセルロース系繊維またはビニロン系繊維からなる請求項1記載のランフラットタイヤ。
 前記緯糸が紡績糸である請求項1記載のランフラットタイヤ。
Description:
ランフラットタイヤ

 本発明は、ランフラットタイヤに関し、 しくは、通常走行時の乗り心地を損なうこ なく、ランフラット走行時の耐久性を大幅 向上させたサイド補強タイプのランフラッ タイヤに関する。

 パンク等によりタイヤの内圧が低下した 態でも、タイヤが荷重支持能力を失うこと くある程度の距離を安全に走行することが 能なタイヤ、所謂ランフラットタイヤとし 、タイヤのサイドウォール部のカーカスの 面に、比較的モジュラスが高い断面三日月 のサイド補強ゴム層を配置してサイドウォ ル部の剛性を向上させ、内圧低下時にサイ ウォール部の撓み変形を極端に増加させる となく荷重を負担できるようにしたタイヤ 、サイドウォール部を各種補強部材で補強 たタイヤ等のサイド補強タイプのランフラ トタイヤが各種提案されている(特許文献1~4 参照)。

 一方、レーヨン等のセルロース系繊維は 室温において高弾性で且つゴムとの接着性 高いことから、タイヤ用補強コードをはじ 、各種ゴム物品の補強材として使用されて た。また、該セルロース系繊維は、室温及 高温時のヤング率がポリエチレンテレフタ ート(PET)等のポリエステルに比べて高く、17 7℃での熱収縮が0.65~1.0%と高い熱寸法安定性 有している。そのため、該セルロース系繊 は、上記サイド補強タイプのランフラット イヤのカーカスの補強コードとしても用い れてきた。

 しかしながら、カーカスの補強コードと てレーヨン等のセルロース系繊維コードを いた従来のサイド補強タイプのランフラッ タイヤは、セルロース系繊維の弾性率が十 に高くないため、ランフラット走行時のタ ヤの撓みが大きく、また、ランフラット走 によりタイヤが高温になるとカーカスプラ の剛性が低下して、タイヤの撓みが更に大 くなる。そのため、ランフラット走行末期 タイヤの故障の主因は、上記断面三日月状 サイド補強ゴム層の割れによるものであり 従来のサイド補強タイプのランフラットタ ヤには、ランフラット走行での耐久距離が いという問題があった。

 これに対し、タイヤのランフラット走行 の耐久距離を延ばすために、サイド補強ゴ 層のゲージを厚くする等してサイドウォー 部を補強すると、タイヤ重量が増加したり 通常走行時のタイヤの縦バネが上昇したり てしまい、通常走行時の乗り心地が悪化す という問題がある。

 かかる問題を解消するために、本出願人は に特許文献5において、サイド補強タイプの ランフラットタイヤのカーカスの補強コード として特定の熱収縮応力及び弾性率を有する ポリケトン繊維コードを用いることで、タイ ヤ重量を増加させることなく、ランフラット 走行時のタイヤの撓みを抑制でき、その結果 として、通常走行時の乗り心地を悪化させる こと無く、タイヤのランフラット耐久性を大 幅に改善できることを報告している。

特開2000-264012号公報

特表2002-500587号公報

特表2002-500589号公報

特開2004-306658号公報

特開2006-224952号公報

 特許文献5記載のランフラットタイヤにお いて、通常走行時の乗り心地を悪化させるこ と無く、タイヤのランフラット耐久性を大幅 に改善することができるようにはなったが、 サイド補強タイプのランフラットタイヤは、 通常走行時のタイヤの縦バネが大きいため、 一般のタイヤに比較して、タイヤのユニフォ ミティが悪化するという問題があった。

 そこで、本発明の目的は、上記従来技術 問題点を解決し、通常走行時の乗り心地を なうことなく、ランフラット走行時の耐久 を大幅に向上させることができるとともに タイヤユニフォミティをも改良したランフ ットタイヤを提供することにある。

 本発明者らは、前記目的を達成するため 鋭意検討した結果、サイド補強タイプのラ フラットタイヤのカーカスの補強コードと て特定の熱収縮特性等の物性を有するポリ トン繊維を主とする有機繊維コードを用い さらに前記カーカスの補強コードと交差す 緯糸をタイヤ周方向の複数箇所で特定の切 ピッチにて切断することで、タイヤ重量を 加させることなく、ランフラット走行時の イヤの撓みを抑制でき、その結果として、 常走行時の乗り心地を悪化させることなく タイヤのランフラット耐久性を大幅に改善 つつ、タイヤ周方向の均一性を高め、ユニ ォミティの悪化を抑制できることを見出し 本発明を完成するに至った。

 即ち、本発明のランフラットタイヤは、左 一対のビード部と、クラウン部から両サイ 部を経て両ビード部に延びるカーカスプラ と、該カーカスプライの内面に沿って両サ ド部の全域またはほぼ全域にわたり子午断 が三日月状のサイド補強ゴム層と、を備え ランフラットタイヤにおいて、
 前記カーカスプライコードがポリケトン繊 を少なくとも50質量%以上含み、かつディッ 処理済みコードとして最大熱収縮応力0.1~1.8 cN/dtexを有し、該ポリケトン繊維の150℃×30分 熱処理時熱収縮率が0.3~6.5%の範囲内であり
 前記カーカスプライが略ラジアル方向に配 したコードと交差する緯糸を含み、かつ、 緯糸がタイヤ周方向の複数箇所で一定間隔 て切断されていることを特徴とするもので る。

 本発明のランフラットタイヤにおいては 前記カーカスプライのビード部分における 記ポリケトン繊維コードの打ち込み本数が7 0~120本/100mmの範囲内であることが好ましく、 た、前記緯糸の打ち込み本数が3~20本/100mmの 範囲内であることが好ましい。さらに、前記 カーカスプライコードのコード径D1が0.45~0.95m mの範囲内にあることが好ましく、また、前 緯糸の直径D2が0.1~0.3mmの範囲内にあることが 好ましい。さらにまた、前記カーカスプライ を形成する繊維コードに含まれるポリケトン 繊維として、原糸の引張強度が10cN/dtex以上で 、かつ、弾性率が60cN/dtex以上であることが好 ましく、また、前記緯糸が切断伸度5~20%で、 つ切断強力200~1000gの範囲内にあることが好 しい。さらにまた、前記緯糸がセルロース 繊維またはビニロン系繊維からなることが ましく、さらに、前記緯糸が紡績糸である とが好ましい。

 ここで、コードの最大熱収縮応力とは、一 的なディップ処理を施した加硫前のカーカ プライコードの、25cmの長さ固定サンプルを 5℃/分の昇温スピードで加熱して、177℃時に ードに発生する最大応力(単位:cN/dtex)である 。また、ポリケトン繊維の乾熱処理時熱収縮 率は、オーブン中で150℃、30分の乾熱処理を ない、熱処理前後の繊維長を、1/30(cN/dtex)の 荷重をかけて計測して下式により求められる 値である。
乾熱処理時熱収縮率(%)={(Lb-La)/Lb}×100
 但し、Lbは熱処理前の繊維長、Laは熱処理後 の繊維長である。また、ポリケトン繊維にお ける引張強度および引張弾性率は、JIS-L-1013 準じて測定することにより得られる値であ 、引張弾性率は伸度0.1%における荷重と伸度0 .2%における荷重から算出した初期弾性率の値 である。

 本発明によれば、通常走行時の乗り心地 損なうことなく、ランフラット走行時の耐 性を大幅に向上させることができるととも 、タイヤユニフォミティをも改良したラン ラットタイヤを提供することができる。

本発明の空気入りタイヤの一例の右半 の断面図である。 カーカスプライにおいて、カーカスコ ドとそれと交差する緯糸を含む部分の断面 である。

符号の説明

1 ビード部
2 サイドウォール部
3 トレッド部
4 ラジアルカーカス
5 サイド補強ゴム層
6 ビードコア
7 ビードフィラー
8 ベルト
9A,9B ベルト補強層
10 カーカスプライコード
11 緯糸
A 緯糸の切断ピッチ

 以下に、図を参照しながら本発明を詳細 説明する。図1は、本発明のランフラットタ イヤの一例の部分断面図である。図1に示す イヤは、左右一対のビード部1及び一対のサ ドウォール部2と、両サイドウォール部2に なるトレッド部3とを有し、一対のビード部1 間にトロイド状に延在して、これら各部1、2 3を補強する一枚以上のカーカスプライから なるラジアルカーカス4と、サイドウォール 2のラジアルカーカス4の内側に配置した一対 の断面三日月状サイド補強ゴム層5とを備え 。

 また、図示例のタイヤにおいては、ビー 部1内に夫々埋設したリング状のビードコア 6のタイヤ半径方向外側にビードフィラー7が 置されており、更に、ラジアルカーカス4の クラウン部のタイヤ半径方向外側には二枚の ベルト層からなるベルト8が配置されている とに加え、該ベルト8のタイヤ半径方向外側 ベルト8の全体を覆うようにベルト補強層9A 配置され、更に、該ベルト補強層9Aの両端 のみを覆うように一対のベルト補強層9Bが配 置されている。ここで、ベルト層は、通常、 タイヤ赤道面に対して傾斜して延びるコード のゴム引き層、好ましくは、スチールコード のゴム引き層からなり、2枚のベルト層は、 ベルト層を構成するコードが互いに赤道面 挟んで交差するように積層されてベルト8を 成する。また、ベルト補強層9A,9Bは、通常 タイヤ周方向に対し実質的に平行に配列し コードのゴム引き層からなる。

 なお、図示例のラジアルカーカス4は、平 行に配列された複数の補強コードをコーティ ングゴムで被覆してなるカーカスプライ1枚 ら構成され、また、該ラジアルカーカス4は 上記ビード部1内に夫々埋設した一対のビー ドコア6間にトロイド状に延在する本体部と 各ビードコア6の周りでタイヤ幅方向の内側 ら外側に向けて半径方向外方に巻上げた折 返し部とからなるが、本発明の空気入りタ ヤにおいて、ラジアルカーカス4のプライ数 及び構造は、これに限られるものではない。 更に、図示例のベルト8は、二枚のベルト層 らなるが、本発明の空気入りタイヤにおい は、ベルト8を構成するベルト層の枚数はこ に限られるものではない。更に、本発明の 気入りタイヤにおいては、ベルト補強層9A,9 Bの配設も必須ではなく、別の構造のベルト 強層を配設することもできる。

 本発明においては、ラジアルカーカス4の カーカスプライコードとして、ポリケトン繊 維を少なくとも50質量%以上、好ましくは70質 %以上、より好ましくは100質量%含むことが ましい。50質量%未満だと、タイヤとしての 度、耐熱性、ゴムとの接着性のいずれかの 能が不十分となる。

 また、ラジアルカーカス4のカーカスプラ イコードは、最大熱収縮応力が、0.1~1.8cN/dtex より好ましくは0.4~1.6cN/dtex、さらに好まし は0.6~1.4cN/dtexの範囲にあることが望ましい。 最大熱収縮応力が0.1cN/dtex未満の場合には、 ンフラット走行耐久性を十分に向上させる とができない。一方、最大熱収縮応力が1.8cN /dtexを超える場合には、タイヤ製造時の加熱 よりコードが著しく収縮するため、出来上 りのタイヤ形状が悪化する懸念がある。

 さらに、ラジアルカーカス4のカーカスプ ライコードに含まれるポリケトン繊維は、150 ℃×30分乾熱処理時熱収縮率が0.3~6.5%の範囲、 好ましくは0.3~3%の範囲にあることが望ましい 。150℃×30分乾熱処理時熱収縮率が0.3%未満の 合には、タイヤ製造時の加熱による引き揃 効率が著しく低下し、タイヤとしての強度 不十分となる。一方、150℃×30分乾熱処理時 熱収縮率が6.5%を超える場合には、タイヤ製 時の加熱によりコードが著しく収縮するた 、出来上がりのタイヤ形状が悪化する懸念 ある。

 さらにまた、図2に示すように、カーカス プライは略ラジアル方向に配列したカーカス プライコード10と交差する緯糸11を含み、か 、この緯糸はタイヤ周方向の複数箇所で一 間隔にて切断されている。この緯糸11の打ち 込み本数は3~20本/100mmの範囲内であることが ましい。この打ち込み本数が3本/100mm未満の 合、すだれ織物の性状不良の原因となり、 果的にタイヤ周方向の均一性を十分に改良 きなくなる。一方、20本/100mmを超える場合 緯糸11の切断が困難になるため望ましくない 。なお、この緯糸11を切断する手段としては 特開平5-208458号公報等に記載の既知の方法 より行うことができるが、それ以外の方法 用いて緯糸を切断することができるのは勿 である。

 さらにまた、カーカスプライのビード部 におけるカーカスプライコードの打ち込み 数は、70~120本/100mmの範囲、好ましくは85~110 /100mmの範囲にあることが望ましい。この打 込み本数が70本/100mm未満の場合、タイヤ周 向の均一性を十分に改良できなくなる。一 、120本/100mmを超える場合、緯糸切断工程に いてカーカスコードに損傷を与える懸念が る。

 さらにまた、ラジアルカーカス4のカーカ スプライコードのコード径D1は0.45~0.95mmの範 にあることが好ましい。このコード径D1が0.4 5mm未満の場合、切断工程においてカーカスコ ードに損傷を与える懸念がある。一方、0.95mm を超える場合、すだれ織物の性状不良の原因 となり、結果的にタイヤ周方向の均一性を十 分に改良できなくなる。

 さらにまた、緯糸11の直径D2は0.1~0.3mmの範 囲にあることが好ましい。この直径D2が0.1mm 満の場合、ゴムをトッピングする工程以前 おいて予期しない緯糸11の切断が生じ、すだ れ織物としての形態を保持できなくなる。一 方、0.3mmを超える場合、すだれ織物性状不良 原因となり、結果的にタイヤ周方向の均一 を十分に改良できなくなる。

 さらにまた、図2に示すように、緯糸11の 断ピッチAはコード径D1の5.5~60倍の範囲にあ ことが好ましく、より好ましくは8~24倍の範 囲である。切断ピッチAが5.5倍未満の場合、 断工程においてカーカスコードに損傷を与 る懸念がある。一方、60倍を超える場合、タ イヤ周方向の均一性を十分に改良できなくな る。

 さらにまた、ラジアルカーカス4のカーカ スプライコードに含まれるポリケトン繊維と して、引張強度が10cN/dtex以上であることが好 ましく、より好ましくは15cN/dtex以上である。 この引張強度が10cN/dtex未満の場合、タイヤと しての強度が不十分となる。

 さらにまた、ラジアルカーカス4のカーカ スプライコードに含まれるポリケトン繊維と して、弾性率が60cN/dtex以上であることが好ま しく、より好ましくは80cN/dtex以上である。こ の弾性率が60cN/dtex未満の場合、ランフラット 走行耐久性を十分に向上させることができな い。

 さらにまた、緯糸11は、切断伸度が5~20%か つ切断強力が200~1000gの範囲にあることが好ま しい。切断伸度が5%未満あるいは切断強力が2 00g未満の場合、ゴムをトッピングする工程以 前において予期しない緯糸11の切断が生じ、 だれ織物としての形態を保持できなくなる 一方、切断伸度が20%より大きいか、あるい 切断強力が1000gを超える場合、切断工程に いて緯糸11を切断することが困難になり、タ イヤ周方向の均一性を十分に改良できなくな る。

 さらにまた、緯糸11がセルロース系繊維 たはビニロン系繊維からなることが望まし 、さらには紡績糸であることが好ましい。 かる繊維は上記の切断伸度と切断強力を満 するように設計することが可能である。

 次に、本発明に使用し得る、ポリケトン 維(以下「PK繊維」と略記する)を少なくとも 50質量%以上含むカーカスプライコードについ て詳述する。

 本発明に使用し得るPK繊維以外の繊維は ナイロン、エステル、レーヨン、ポリノジ ク、リヨセル、ビニロン等を挙げることが きる。

また、上記コードは、さらに、下記式(I)、
(式中、Tは撚り数(回/100mm)、Dはコードの総繊 (dtex)、ρはコードに使用される繊維素材の 度(g/cm 3 )である)で定義される撚り係数αが0.25~1.25の 囲であることが好ましい。PK繊維コードの撚 り係数αが0.25未満では、熱収縮応力が十分に 確保できず、一方、1.25を超えると、弾性率 十分に確保できず、補強能が小さくなる。

 上記PK繊維の原料のポリケトンとしては、 記一般式(II)、
(式中、Aは不飽和結合によって重合された不 和化合物由来の部分であり、各繰り返し単 において同一であっても異なっていてもよ )で表される繰り返し単位から実質的になる ものが好適であり、その中でも、繰り返し単 位の97モル%以上が1-オキソトリメチレン[-CH 2 -CH 2 -CO-]であるポリケトンが好ましく、99モル%以 が1-オキソトリメチレンであるポリケトン 更に好ましく、100モル%が1-オキソトリメチ ンであるポリケトンが最も好ましい。

 かかるポリケトンは、部分的にケトン基 士、不飽和化合物由来の部分同士が結合し いてもよいが、不飽和化合物由来の部分と トン基とが交互に配列している部分の割合 90質量%以上であることが好ましく、97質量% 上であることが更に好ましく、100質量%であ ることが最も好ましい。

 また、上記式(II)において、Aを形成する 飽和化合物としては、エチレンが最も好ま いが、プロピレン、ブテン、ペンテン、シ ロペンテン、ヘキセン、シクロヘキセン、 プテン、オクテン、ノネン、デセン、ドデ ン、スチレン、アセチレン、アレン等のエ レン以外の不飽和炭化水素や、メチルアク レート、メチルメタクリレート、ビニルア テート、アクリルアミド、ヒドロキシエチ メタクリレート、ウンデセン酸、ウンデセ ール、6-クロロヘキセン、N-ビニルピロリド 、スルニルホスホン酸のジエチルエステル スチレンスルホン酸ナトリウム、アリルス ホン酸ナトリウム、ビニルピロリドンおよ 塩化ビニル等の不飽和結合を含む化合物等 あってもよい。

 さらに、上記ポリケトンの重合度としては 下記式(III)、
(上記式中、tおよびTは、純度98%以上のヘキサ フルオロイソプロパノールおよび該ヘキサフ ルオロイソプロパノールに溶解したポリケト ンの希釈溶液の25℃での粘度管の流過時間で り、cは、上記希釈溶液100mL中の溶質の質量( g)である)で定義される極限粘度[η]が、1~20dL/g の範囲内にあることが好ましく、3~8dL/gの範 内にあることがより一層好ましい。極限粘 が1dL/g未満では、分子量が小さ過ぎて、高強 度のポリケトン繊維コードを得ることが難し くなる上、紡糸時、乾燥時および延伸時に毛 羽や糸切れ等の工程上のトラブルが多発する ことがあり、一方、極限粘度が20dL/gを超える と、ポリマーの合成に時間およびコストがか かる上、ポリマーを均一に溶解させることが 難しくなり、紡糸性および物性に悪影響が出 ることがある。

 さらにまた、PK繊維は、結晶化度が50~90% 結晶配向度が95%以上の結晶構造を有するこ が好ましい。結晶化度が50%未満の場合、繊 の構造形成が不十分であって十分な強度が られないばかりか加熱時の収縮特性や寸法 定性も不安定となるおそれがある。このた 、結晶化度としては50~90%が好ましく、より ましくは60~85%である。

 上記ポリケトンの繊維化方法としては、( 1)未延伸糸の紡糸を行った後、多段熱延伸を い、該多段熱延伸の最終延伸工程で特定の 度および倍率で延伸する方法や、(2)未延伸 の紡糸を行った後、熱延伸を行い、該熱延 終了後の繊維に高い張力をかけたまま急冷 する方法が好ましい。上記(1)または(2)の方 でポリケトンの繊維化を行うことで、上記 リケトン繊維コードの作製に好適な所望の ィラメントを得ることができる。

 ここで、上記ポリケトンの未延伸糸の紡 方法としては、特に制限はなく、従来公知 方法を採用することができ、具体的には、 開平2-112413号、特開平4-228613号、特表平4-5053 44号に記載されているようなヘキサフルオロ ソプロパノールやm-クレゾール等の有機溶 を用いる湿式紡糸法、国際公開第99/18143号、 国際公開第00/09611号、特開2001-164422号、特開20 04-218189号、特開2004-285221号に記載されている うな亜鉛塩、カルシウム塩、チオシアン酸 、鉄塩等の水溶液を用いる湿式紡糸法が挙 られ、これらの中でも、上記塩の水溶液を いる湿式紡糸法が好ましい。

 例えば、有機溶剤を用いる湿式紡糸法で 、ポリケトンポリマーをヘキサフルオロイ プロパノールやm-クレゾール等に0.25~20質量% の濃度で溶解させ、紡糸ノズルより押し出し て繊維化し、次いでトルエン、エタノール、 イソプロパノール、n-ヘキサン、イソオクタ 、アセトン、メチルエチルケトン等の非溶 浴中で溶剤を除去、洗浄してポリケトンの 延伸糸を得ることができる。

 一方、水溶液を用いる湿式紡糸法では、 えば、亜鉛塩、カルシウム塩、チオシアン 塩、鉄塩等の水溶液に、ポリケトンポリマ を2~30質量%の濃度で溶解させ、50~130℃で紡 ノズルから凝固浴に押し出してゲル紡糸を い、さらに脱塩、乾燥等してポリケトンの 延伸を得ることができる。ここで、ポリケ ンポリマーを溶解させる水溶液には、ハロ ン化亜鉛と、ハロゲン化アルカリ金属塩ま はハロゲン化アルカリ土類金属塩とを混合 て用いることが好ましく、凝固浴には、水 金属塩の水溶液、アセトン、メタノール等 有機溶媒等を用いることができる。

 また、得られた未延伸糸の延伸法として 、未延伸糸を該未延伸糸のガラス転移温度 りも高い温度に加熱して引き伸ばす熱延伸 が好ましく、さらに、かかる未延伸糸の延 は、上記(2)の方法では一段で行ってもよい 、多段で行うことが好ましい。熱延伸の方 としては、特に制限はなく、例えば、加熱 ール上や加熱プレート上に糸を走行させる 法等を採用することができる。ここで、熱 伸温度は、110℃~(ポリケトンの融点)の範囲 が好ましく、総延伸倍率は、好適には10倍 上とする。

 上記(1)の方法でポリケトンの繊維化を行 場合、上記多段熱延伸の最終延伸工程にお る温度は、110℃~(最終延伸工程の一段前の 伸工程の延伸温度-3℃)の範囲が好ましく、 た、多段熱延伸の最終延伸工程における延 倍率は、1.01~1.5倍の範囲が好ましい。一方、 上記(2)の方法でポリケトンの繊維化を行う場 合、熱延伸終了後の繊維にかける張力は、0.5 ~4cN/dtexの範囲が好ましく、また、急冷却にお ける冷却速度は、30℃/秒以上であることが好 ましく、更に、急冷却における冷却終了温度 は、50℃以下であることが好ましい。熱延伸 れたポリケトン繊維の急冷却方法としては 特に制限はなく、従来公知の方法を採用す ことができ、具体的には、ロールを用いた 却方法が好ましい。なお、こうして得られ ポリケトン繊維は、弾性歪みの残留は大き ため、通常、緩和熱処理を施し、熱延伸後 繊維長よりも繊維長を短くすることが好ま い。ここで、緩和熱処理の温度は、50~100℃ 範囲が好ましく、また、緩和倍率は、0.980~0 .999倍の範囲が好ましい。

 また、PK繊維コードの高い熱収縮特性を も効果的に活用するには、加工時の処理温 や使用時の成型品の温度が、最大熱収縮応 を示す温度(最大熱収縮温度)と近い温度であ ることが望ましい。具体的には、必要に応じ て行われる接着剤処理におけるRFL処理温度や 加硫温度等の加工温度が100~250℃であること また、繰り返し使用や高速回転によってタ ヤ材料が発熱した際の温度は100~200℃にもな ことなどから、最大熱収縮温度は、好まし は100~250℃の範囲内、より好ましくは150~240 範囲内である。

 また、本発明に係るポリケトン繊維は、 リケトンの溶融紡糸でも好適に製造するこ ができ、具体的には、特許第2763779号公報記 載の溶融紡糸方法を採用することができる。 即ち、オレフィン性不飽和炭化水素及び一酸 化炭素の交互コポリマータイプ(マクロ分子 のCO単位がオレフィンから誘導される単位と 交互に配列されるコポリマー)からなる溶融 リケトン繊維は、平均分子量が小さくとも20 00の、一酸化炭素及びオレフィン性不飽和化 物の交互コポリマーを最低(T+20)Kの温度で溶 融紡糸し、次いで最高(T-10)Kの温度で延伸す (但しTは上記ポリマーの結晶融点である)こ により、引張り強さ、曲げモジュラス及び ムに対する接着性の組合せのバランスが優 た所望の特性を有するものとして得ること できる。この場合、延伸の延伸比は、好ま くは少なくとも3:1、より好ましくは少なく も7:1、最も好ましくは15:1である。また、好 しい延伸温度は、ポリマーの結晶融点より なくとも40K低い温度であり、好ましい溶融 糸温度は、ポリマーの結晶融点より少なく も40K高い温度である。

 あるいはまた、特開2005-105470号公報に記 されているように、分子鎖中に珪素原子を 入すると溶融紡糸性が付与されることが知 れていることから、同公報記載の方法によ 製造されたポリケトンを使用して溶融紡糸 てもよい。即ち、エチレン性不飽和化合物 よび一酸化炭素の他、第3成分として珪素化 物を反応させて得られるポリケトンを溶融 せて紡糸口金から吐出させ、一旦巻き取る 、または巻き取ることなく延伸することに り所望のポリケトン繊維を得ることができ 。得られたポリケトン繊維は、引張強度5cN/ dtex以上を有する。

 また、上述の通り、PK繊維コードの高い 収縮特性を最も効果的に活用するには、加 時の処理温度や使用時の成型品の温度が、 大熱収縮応力を示す温度(最大熱収縮温度)と 近い温度であることが望ましく、最大熱収縮 温度は、好ましくは100~250℃の範囲内、より ましくは150~240℃範囲内である。

 本発明に係るカーカスプライコードを被 するコーティングゴムは、種々の形状から ることができる。代表的には、被膜、シー 等である。また、コーティングゴムは、既 のゴム組成物を適宜採用することができ、 に制限されるべきものではない。

 本発明のランフラットタイヤは、ラジア カーカス4として上述のカーカスプライを適 用し、常法により製造することができる。な お、本発明の空気入りタイヤにおいて、タイ ヤ内に充填する気体としては、通常の或いは 酸素分圧を変えた空気、又は窒素等の不活性 ガスを用いることができる。

 以下、本発明を実施例に基づき具体的に説 する。
(PK繊維の調製例1:湿式紡糸)
 常法により調製したエチレンと一酸化炭素 完全交互共重合した極限粘度5.3のポリケト ポリマーを、塩化亜鉛65質量%/塩化ナトリウ ム10質量%含有する水溶液に添加し、80℃で2時 間攪拌溶解し、ポリマー濃度8質量%のドープ 得た。

 このドープを80℃に加温し、20μm焼結フィ ルターでろ過した後に、80℃に保温した紡口 0.10mmφ、50ホールの紡口より10mmのエアーギ ップを通した後に5質量%の塩化亜鉛を含有す る18℃の水中に吐出量2.5cc/分の速度で押出し 速度3.2m/分で引きながら凝固糸条とした。

 引き続き凝固糸条を濃度2質量%、温度25℃の 硫酸水溶液で洗浄し、さらに30℃の水で洗浄 た後に、速度3.2m/分で凝固糸を巻取った。
 この凝固糸にIRGANOX1098(Ciba Specialty Chemicals 製)、IRGANOX1076(Ciba Specialty Chemicals社製)をそ ぞれ0.05質量%ずつ(対ポリケトンポリマー)含 浸せしめた後に、該凝固糸を240℃以上にて乾 燥後、仕上剤を付与して未延伸糸を得た。な お、この乾燥温度を適宜コントロールするこ とで熱収縮率の調整が可能である。

 仕上剤は以下の組成のものを用いた。
 オレイン酸ラウリルエステル/ビスオキシエ チルビスフェノールA/ポリエーテル(プロピレ ンオキシド/エチレンオキシド=35/65:分子量2000 0)/ポリエチレンオキシド10モル付加オレイル ーテル/ポリエチレンオキシド10モル付加ひ し油エーテル/ステアリルスルホン酸ナトリ ウム/ジオクチルリン酸ナトリウム=30/30/10/5/23 /1/1(質量%比)。

 得られた未延伸糸を1段目を240℃で、引き 続き258℃で2段目、268℃で3段目、272℃で4段目 の延伸を行った後に、引き続き5段目に200℃ 1.08倍(延伸張力1.8cN/dtex)の5段延伸を行い、巻 取機にて巻取った。未延伸糸から5段延伸糸 での全延伸倍率は17.1倍であった。この繊維 糸は引張強度15.6cN/dtex、伸度4.2%、弾性率347c N/dtexと高物性を有していた。また、150℃×30 乾熱処理時熱収縮率は1.9%であった。このよ して得られたPK繊維を下記の条件下でコー として使用した。

 (PK繊維の調製例2:溶融紡糸)
 一酸化炭素、エチレン、及び、エチレンを ースとして8モル%のプロピレンエチレン(CE) 交互コポリマーの繊維用銘柄を溶融紡糸し 。コポリマーは分子量10,000~25,000及び結晶融 点220℃を有していた。また、溶融紡糸は、延 伸比6:1で延伸した。さらに、交互コポリマー の延伸温度は207℃とし、かつ溶融紡糸温度は 280℃とした。

(実施例1~22、比較例1~4、従来例)
 下記の表1~3に示す材質、太さ、紡糸法、熱 縮応力、乾熱収縮率、ビード部におけるポ ケトン繊維コードの打ち込み本数、コード D1、単糸繊度を有する繊維コードを平行に 列しコーティングゴムで被覆後に緯糸を切 する等してコード/ゴム複合体を作製し、該 ード/ゴム複合体をカーカスプライに用いて 、図1に示す構造のサイズ215/45ZR17のサイド補 タイプのランフラットタイヤを試作した。 た、得られたタイヤの縦バネ及びランフラ ト耐久性を下記の方法で評価し、表3に示す 結果を得た。

(1)縦バネ
 230kPaの内圧を充填した供試タイヤの荷重-撓 み曲線を測定し、得られた荷重-撓み曲線上 ある荷重における接線の傾きを該荷重に対 る縦バネ定数とし、従来例のタイヤの縦バ 定数の値を100として指数表示した。指数値 大きい程、縦バネ定数が大きいことを示す

(2)ランフラット耐久性
 供試タイヤに内圧を充填することなく、荷 4.17kN、速度89km/h、温度38℃の環境下でドラ 試験を行い、タイヤが故障に至るまでの走 距離を測定し、従来例のタイヤの故障に至 までの走行距離を100として指数表示した。 数値が大きい程、故障に至るまでの走行距 が長く、ランフラット耐久性に優れること 示す。

(3)タイヤユニフォミティ
 230kPaの内圧を充填した供試タイヤの、RFV(Rad ial Force Variation)、LFV(Lateral Force Variation)を 定し、従来例のタイヤの縦バネ定数の値を10 0として指数表示した。指数値が小さい程、 ニフォミティが良好であることを示す。

 上記表1より、本発明の構成としたタイヤ は、ユニフォミティに優れていることが分か る。さらに、ピッグブレーカー処理を施すこ とで、溶融紡糸のPK繊維を用いたタイヤのユ フォミティを更に良好にすることができる とが分かる。