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Patent Searching and Data


Title:
SCINTILLATOR PANEL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/144984
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a scintillator panel having excellent luminance and sharpness. The scintillator panel has no possibility of corrosion damage, and can be used for a long time. The scintillator panel is obtained by forming a scintillator layer on a substrate which is composed of aluminum or an aluminum alloy covered with an anodic oxide coating. The scintillator panel is characterized in that the anodic oxide coating is formed by anodizing the surface of the substrate after so planarizing the surface by polishing as to have a maximum roughness depth (Rmax) of not more than 3.0 μm.

Inventors:
SHOJI TAKEHIKO (JP)
ARIMOTO TADASHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/053673
Publication Date:
December 03, 2009
Filing Date:
February 27, 2009
Export Citation:
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Assignee:
KONICA MINOLTA MED & GRAPHIC (JP)
SHOJI TAKEHIKO (JP)
ARIMOTO TADASHI (JP)
International Classes:
G21K4/00; G01T1/20
Foreign References:
JP2005049341A2005-02-24
JP2004251883A2004-09-09
JP2006133126A2006-05-25
JP2003262671A2003-09-19
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Claims:
 陽極酸化皮膜で被覆されたアルミニウム又はアルミニウム合金からなる基板上にシンチレータ層を設けて成るシンチレータパネルであって、当該陽極酸化皮膜が、当該基板の表面を、研磨により表面粗度が最大高さ(Rmax)で3.0μm以下になるように平坦化した後に、陽極酸化処理することで形成されたことを特徴とするシンチレータパネル。
 前記基板のシンチレータ層が形成される側の表面における、入射角45°での可視光の正反射率が、60%以上であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のシンチレータパネル。
 前記基板の角部が、曲率半径Rの円弧状となるように加工されていることを特徴とする請求の範囲第1項又は第2項に記載のシンチレータパネル。
 前記曲率半径Rの範囲が、1~10mmであることを特徴とする請求の範囲第3項に記載のシンチレータパネル。
 前記基板の少なくともシンチレータ層が形成される側の表面が、樹脂で被覆されていることを特徴とする請求の範囲第1項から第4項のいずれか一項に記載のシンチレータパネル。
 前記樹脂が、ポリエステルを含む樹脂であることを特徴であることを特徴とする請求の範囲第5項に記載のシンチレータパネル。
 前記樹脂による被覆が、CVD法により基板全面に形成されたポリパラキシリレン膜による被覆であることを特徴とする請求の範囲第5項に記載のシンチレータパネル。
 前記基板の陽極酸化皮膜の有穴率が、60%以下であることを特徴とする請求の範囲第1項から第7項のいずれか一項に記載のシンチレータパネル。
 前記陽極酸化皮膜の厚さが、200~2000nmであることを特徴とする請求の範囲第1項から第8項のいずれか一項に記載のシンチレータパネル。
 前記シンチレータ層が、ヨウ化セシウムと少なくとも1種類以上のタリウム化合物を含む添加剤を原材料として気相法にて形成されたことを特徴とする請求の範囲第1項から第9項のいずれか一項に記載のシンチレータパネル。
 シンチレータパネル全面を覆う樹脂からなる保護膜を有することを特徴とする請求の範囲第1項から第10項のいずれか一項に記載のシンチレータパネル。
 前記保護膜として、CVD法により形成されたポリパラキシリレン膜を有することを特徴とする請求の範囲第11項に記載のシンチレータパネル。
Description:
シンチレータパネル

 本発明は、輝度及び鮮鋭性に優れ、腐食 損による心配がなく長期間にわたって使用 きるシンチレータパネルに関する。

 従来、X線画像のような放射線画像は医療 現場において病状の診断に広く用いられてい る。特に増感紙-フィルム系による放射線画 は、長い歴史の中で高感度化と高画質化が られた結果、高い信頼性と優れたコストパ ォーマンスを併せ持った撮像システムとし 、今なお世界中の医療現場で用いられてい 。しかしながら、これら画像情報は所謂ア ログ画像情報であって、近年発展を続けて るデジタル画像情報のような自由な画像処 や瞬時の電送ができない。

 そして、近年では、コンピューテッドラ オグラフィ(CR)やフラットパネル型の放射線 デテクタ(FPD)等に代表されるデジタル方式の 射線画像検出装置が登場している。これら デジタルの放射線画像が直接得られ、陰極 や液晶パネル等の画像表示装置に画像を直 表示することが可能なので、必ずしも写真 ィルム上への画像形成が必要なものではな 。その結果、これらのデジタル方式のX線画 像検出装置は銀塩写真方式による画像形成の 必要性を低減させ、病院や診療所での診断作 業の利便性を大幅に向上させている。

 X線画像のデジタル技術の一つとして、コ ンピューテッド・ラジオグラフィ(CR)が現在 療現場で受け入れられている。しかしなが 、鮮鋭性が十分でなく空間分解能も不十分 あり、スクリーン・フィルムシステムの画 レベルには到達していない。そして、更に たなデジタルX線画像技術として、例えば、 誌Physics Today,1997年11月号24頁のジョン・ロ ランズ論文“Amorphous Semiconductor Usher in Digi tal X-ray Imaging”や、雑誌SPIEの1997年32巻2頁の エル・イー・アントヌクの論文“Development of  a High Resolution,Active Matrix,Flat-Panel Imager wit h Enhanced Fill Factor”等に記載された、薄膜 ランジスタ(TFT)を用いた平板X線検出装置(FPD) が開発されている。

 放射線を可視光に変換するために、放射 により発光する特性を有するX線蛍光体で作 られたシンチレータパネルが使用されるが、 低線量の撮影においてのSN比を向上するため は、発光効率の高いシンチレータパネルを 用することが必要になってくる。

 一般にシンチレータパネルの発光効率は シンチレータの厚さ、蛍光体のX線吸収係数 によって決まるが、シンチレータの厚さは厚 くすればするほどシンチレータ内での発光光 の散乱が発生し、鮮鋭性は低下する。そのた め、画質に必要な鮮鋭性を決めると膜厚が決 定する。

 中でも、ヨウ化セシウム(CsI)はX線から可 光に対する変更率が比較的高く、蒸着によ て容易に蛍光体を柱状結晶構造に形成でき ため、光ガイド効果により結晶内での発光 の散乱が抑えられ、シンチレータの厚さを くすることが可能であった。

 しかしながら、CsIのみでは発光効率が低 ために、例えば、特公昭54-35060号公報の如 、CsIとヨウ化ナトリウム(NaI)を任意のモル比 で混合したものを、蒸着を用いて基板上にナ トリウム賦活ヨウ化セシウム(CsI:Na)として堆 、また近年ではCsIとヨウ化タリウム(TlI)を 意のモル比で混合したものを、蒸着を用い 基板上にタリウム賦活ヨウ化セシウム(CsI:Tl) として堆積したものに、後工程としてアニー ルを行うことで可視変換効率を向上させ、X 蛍光体として使用している。

 また、他の光出力を増大する手段として シンチレータを形成する基板を反射性とす 方法(例えば特許文献1参照)、基板上に金属 射層を設ける方法(例えば特許文献2参照)、 板上に設けられた反射性金属薄膜と金属薄 を覆う透明有機膜上にシンチレータを形成 る方法(例えば特許文献3参照)などが提案さ ている。

 気相法によるシンチレータの製造方法と ては、アルミ、アモルファスカーボン、ガ スなどの基板上にシンチレータを形成し、 の上にシンチレータの表面全体を保護膜で 覆させることが一般的である。更に基板上 設けられた反射性金属薄膜の全体を保護膜 覆い、その保護膜上にシンチレータを堆積 せたシンチレータパネルが知られている(例 えば特許文献8参照)。

 また、ヨウ化セシウム(CsI)の柱状結晶状 は、蒸着時の真空度や基板温度などによっ 制御される。具体的な制御方法が提案され いるが(例えば特許文献7参照)、実際のシン レータ特性は基板のX線吸収率、表面性、反 率、表面エネルギー、帯電などの影響が大 く、基板の種類によっては、良好な柱状結 状態を達成するのが困難であり、特性向上 障害となっている。

 特にアルミ基板は、ガラス基板より破損 にくく、アモルファスカーボン基板に比べ 安価であり加工も容易であるメリットがあ が、ヨウ化セシウム(CsI)による腐食や、ガ ス基板ほど良好な柱状結晶状態が得られな という問題がある。アルミ基板の腐食に関 ては、アルミの表面に自然に、形成される 護力の強い酸化皮膜による腐食防止効果に 目し、積極的に陽極酸化皮膜を設けること 腐食を防止する方法(例えば特許文献4、5参 )やアルミの表面をポリマーで被覆する方法( 例えば特許文献6参照)またアルミ基板にシン レータ層を設け基板とX線透過性担持体とを 結合させる方法(例えば特許文献9参照)なども 提案されているが、良好な柱状結晶と耐腐食 性向上の両立には課題があった。

 このような状況から、良好な柱状性を有し 輝度や鮮鋭性に優れ長期間にわたって腐食 よる特性の低下のないアルミ基板を開発す ことが望まれている。

特公平7-21560号公報

特公平1-240887号公報

特開2000-356679号公報

特開2005-49341号公報

特開2006-113007号公報

特開2006-138642号公報

特開2007-292755号公報

特開2001-289952号公報

特開2008-51814号公報

 本発明は、上記問題・状況に鑑みてなさ たものであり、その解決課題は、輝度及び 鋭性に優れ、腐食破損による心配がなく長 間にわたって使用できるシンチレータパネ を提供することである。

 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭 検討を加えた結果、陽極酸化処理後のアル 基板の平滑性ではなく、陽極酸化処理する のアルミ基板の研磨状態が、柱状結晶成長 大きく影響を与えていることを見出し、さ に、この知見に基づき良好な柱状結晶状態 することにより、シンチレータパネルの鮮 性等の性能を向上させることができること 見出し、本発明に至った。

 すなわち、本発明に係る上記課題は、以 の手段により解決される。

 1.陽極酸化皮膜で被覆されたアルミニウ 又はアルミニウム合金からなる基板上にシ チレータ層を設けて成るシンチレータパネ であって、当該陽極酸化皮膜が、当該基板 表面を、研磨により表面粗度が最大高さ(Rmax )で3.0μm以下になるように平坦化した後に、 極酸化処理することで形成されたことを特 とするシンチレータパネル。

 2.前記基板のシンチレータ層が形成され 側の表面における、入射角45°での可視光の 反射率が、60%以上であることを特徴とする 記1に記載のシンチレータパネル。

 3.前記基板の角部が、曲率半径Rの円弧状 なるように加工されていることを特徴とす 前記1又は2に記載のシンチレータパネル。

 4.前記曲率半径Rの範囲が、1~10mmであるこ を特徴とする前記3に記載のシンチレータパ ネル。

 5.前記基板の少なくともシンチレータ層 形成される側の表面が、樹脂で被覆されて ることを特徴とする前記1から4のいずれか一 項に記載のシンチレータパネル。

 6.前記樹脂が、ポリエステルを含む樹脂 あることを特徴であることを特徴とする前 5に記載のシンチレータパネル。

 7.前記樹脂による被覆が、CVD法により基 全面に形成されたポリパラキシリレン膜に る被覆であることを特徴とする前記5に記載 シンチレータパネル。

 8.前記基板の陽極酸化皮膜の有穴率が、60 %以下であることを特徴とする前記1から7のい ずれか一項に記載のシンチレータパネル。

 9.前記陽極酸化皮膜の厚さが、200~2000nmで ることを特徴とする前記1から8のいずれか 項に記載のシンチレータパネル。

 10.前記シンチレータ層が、ヨウ化セシウ と少なくとも1種類以上のタリウム化合物を 含む添加剤を原材料として気相法にて形成さ れたことを特徴とする前記1から9のいずれか 項に記載のシンチレータパネル。

 11.シンチレータパネル全面を覆う樹脂か なる保護膜を有することを特徴とする前記1 から10のいずれか一項に記載のシンチレータ ネル。

 12.前記保護膜として、CVD法により形成さ たポリパラキシリレン膜を有することを特 とする前記11に記載のシンチレータパネル

 本発明の上記手段により、輝度及び鮮鋭 に優れ、腐食破損による心配がなく長期間 わたって使用できるシンチレータパネルを 供することができる。

放射線用シンチレータパネル10の概略 成を示す断面図 放射線用シンチレータパネル10の拡大 面図 蒸着装置61の概略構成を示す図 放射線画像検出器100の概略構成を示す 部破断斜視図 撮像パネル51の拡大断面図

符号の説明

 1 基板
 2 シンチレータ(蛍光体)層
 3 反射層
 4 保護層
 10 放射線用シンチレータパネル
 61 蒸着装置
 62 真空容器
 63 ボート(被充填部材)
 64 ホルダ
 65 回転機構
 66 真空ポンプ
 100 放射線画像検出器

 本発明のシンチレータパネルは、陽極酸 皮膜で被覆されたアルミニウム又はアルミ ウム合金からなる基板上にシンチレータ層 設けて成るシンチレータパネルであって、 該陽極酸化皮膜が、当該基板の表面を、研 により表面粗度が最大高さ(Rmax)で3.0μm以下 なるように平坦化した後に、陽極酸化処理 ることで形成されたことを特徴とする。こ 特徴は、請求の範囲第1項から第12項に係る 明に共通する技術的特徴である。

 本発明の実施態様としては、上記課題解 の観点から、前記基板のシンチレータ層が 成される側の表面における、入射角45°での 可視光の正反射率が、60%以上である態様が好 ましい。また、前記基板の角部が、曲率半径 Rの円弧状となるように加工されていること 好ましい。さらに、当該曲率半径Rの範囲が 1~10mmであることが好ましい。

 また、本発明においては、前記基板の少 くともシンチレータ層が形成される側の表 が、樹脂で被覆されている態様が好ましい また、当該樹脂が、ポリエステルを含む樹 であること、或いは、当該樹脂による被覆 、CVD法(Chemical Vapor Deposition;「化学蒸着法 ともいう。)により基板全面に形成されたポ パラキシリレン膜による被覆であることが ましい。

 本発明においては、前記基板の陽極酸化 膜の有穴率が、60%以下である態様であるこ が好ましい。また、当該陽極酸化皮膜の厚 が、200~2000nmであることが好ましい。

 また、本発明においては、前記シンチレ タ層が、ヨウ化セシウムと少なくとも1種類 以上のタリウム化合物を含む添加剤を原材料 として気相法にて形成されることが好ましい 。

 さらに、本発明のシンチレータパネルは シンチレータパネル全面を覆う樹脂からな 保護膜を有する態様であることが好ましい 当該保護膜として、CVD法により形成された リパラキシリレン膜を有する態様であるこ が好ましい。

 以下、本発明とその構成要素、及び本発 を実施するための最良の形態・態様につい さらに詳細な説明をする。

 (本発明のシンチレータパネルの特徴)
 本発明のシンチレータパネルは、陽極酸化 膜で被覆されたアルミニウム又はアルミニ ム合金からなる基板上にシンチレータ層を けて成るシンチレータパネルでるが、当該 極酸化皮膜が、当該基板の表面を、研磨に り表面粗度が最大高さ(Rmax)で3.0μm以下にな ように平坦化した後に、陽極酸化処理する とで形成されたことを特徴とする。なお、 大高さ(Rmax)は、1.5μm以下であることが輝度 性を向上させる上で好ましく、0.01~1.5μmで ることがより好ましい。

 ここで、アルミニウム又はアルミニウム 金からなる基板の研磨傷、スジなどがシン レータパネルの鮮鋭性に与える影響は、JIS B0601(1982)で定義されているRmax、Rzで好適に評 価できる。なお、表面性状の平均である中心 線平均粗さRa、及び陽極酸化処理後の評価で 、本発明の効果は得られない。

 本発明者らは、陽極酸化処理後のアルミ 板の入射角45°の正反射率が、シンチレータ パネルの輝度に寄与が大きいことも見出した 。拡散反射成分も、シンチレータパネルの輝 度向上に寄与するが、鮮鋭性(MTF)の低下を伴 、本発明の効果は得られない。

 本願において、「正反射率」とは、物体 表面に一定の角度から入射した光に対する 同様の角度で反射する光の割合であり、「 射角45°での正反射率」とは、入射角が基板 に対し45°となっている場合の反射率をいう 一般には、正反射率が高い物体の表面は、 間の目にはほぼ鏡面として認識されること 知られている。

 本発明者らは、さらに検討を進めるなか 、陽極酸化皮膜の腐食防止効果は有穴率が6 0%以下であること、また、陽極極酸化皮膜の さが200~2000nmであることで腐食防止効果が大 となることを見出した。

 また、ヨウ化セシウム(CsI)には強い腐食 があり、陽極酸化皮膜の表面をさらに樹脂( リマー)で被覆することが好ましい。これに より基板の耐腐食性はより向上する。基板を 被覆する樹脂としては、陽極酸化皮膜とヨウ 化セシウムを絶縁するものであれば、本発明 の効果は得られるが、加工性を考慮すると、 ポリエステルを含む樹脂、又はCVD法により基 板全面に形成されたポリパラキシリレンを含 む樹脂であることが好ましい。

 本発明のシンチレータパネルを光電変換 子とカップリングするにあたっては、光電 換素子とシンチレータの位置合わせが必要 なる。この場合、基板の角部が鋭利である 、光電変換素子にダメージを与える場合が る。本発明では、基板の角部が、曲率半径R の円弧状となるように加工されていること好 ましい。曲率半径Rは、光電変換素子のダメ ジを軽減できればよく形状は特に限定され 、直線カット(R=∞)でもかまわない。特に好 しくは、加工作業性から曲率半径Rの範囲が 1~10mmである。

 (基板)
 陽極酸化皮膜で被覆されたアルミニウム又 アルミニウム合金基板は、陽極酸化皮膜が アルミニウム又はアルミニウム合金の表面 、研磨により表面粗度が最大高さ(Rmax)で3.0 m以下になるように平坦化した後、陽極酸化 理することで形成されたことを特徴とする また、基板の角部を曲率半径Rの円弧状とな るように加工しておくことで、シンチレータ パネル張り合わせ時の光電変換素子のダメー ジが軽減される。

 陽極酸化されたアルミニウム等からなる 板を作るためには、硫酸、燐酸、シュウ酸 クロム酸又はスルファミド酸、ベンゼンス ホン酸の如き有機酸、又はそれらの混合物 含有する溶液に陽極として浸漬されたアル ニウム板に電流を流す。1~70質量%の電解質 度は、0~70℃の範囲の温度で、より好ましく 35~60℃の範囲の温度で使用されることがで る。

 陽極電流密度は、1~50A/dmを変化してもよく また1~100Vの範囲の電圧を変化して1~8g/m 2  Al 2 O 3 ・H 2 Oの陽極酸化フィルムを得てもよい。陽極酸 されたアルミニウム板は続いて10~80℃の範囲 の温度の脱イオン水でリンスされてもよい。

 陽極酸化工程後、後処理、例えば封止を 極表面に適用してもよい。陽極酸化によっ 形成された酸化アルミニウム層の孔の封止 アルミニウム陽極酸化の技術分野で公知の 術である。この技術は例えば“Belgisch-Nederla nds tijdschrift voor Oppervlaktetechnieken van material en”(表面技術及び材料の道程)、Volume24,1980年1 月、名称“Sealing-kwaliteit en sealing-controle van geanodiseerd Aluminum”(陽極酸化されたアルミニ ウムの封止品質及び封止制御)に記載されて る。

 (金属反射層)
 本発明では、光出力を増大するため、基板 に別途金属反射層を設けることも可能であ が、陽極酸化皮膜の入射角45°での可視光の 正反射率を60%以上にしておくことで金属反射 層なしで光出力が増大する効果が得られる。

 本発明において、基板上に別途金属反射層 設ける場合は、発光光の利用効率の面で金 反射層は反射率の高い金属で形成すること 好ましい。反射率の高い金属膜層としては Al、Ag、Cr、Cu、Ni、Mg、Pt、Auからなる群の中 の物質を含む材料が挙げられる。また、この ような金属薄膜を2層以上形成するようにし も良い。金属薄膜を2層以上とする場合は、 層を、Crを含む層とすることが基板との接 性を向上させる点から好ましい。また、金 薄膜上にSiO 2 、TiO 2 等の金属酸化物からなる層をこの順に設けて さらに反射率を向上させても良い。

 (シンチレータ)
 本発明に係る「シンチレータ」とは、X線等 の入射された放射線のエネルギーを吸収して 、波長が300nmから800nmの電磁波、即ち可視光 を中心の電磁波(光)を発光する蛍光体をいう 。

 シンチレータを形成する材料としては、 々の公知の蛍光体材料を使用することがで るが、X線から可視光に対する変更率が比較 的高く、蒸着によって容易に蛍光体を柱状結 晶構造に形成できるため、光ガイド効果によ り結晶内での発光光の散乱が抑えられ、シン チレータ層の厚さを厚くすることが可能であ ることからヨウ化セシウム(CsI)が好ましい。

 但し、CsIのみでは発光効率が低いために 各種の賦活剤が添加される。例えば、特公 54-35060号公報の如く、CsIとヨウ化ナトリウ (NaI)を任意のモル比で混合したものが挙げら れる。また、例えば、特開2001-59899号公報に 示されているような、CsIを蒸着でインジウ (In)、タリウム(Tl)、リチウム(Li)、カリウム(K )、ルビジウム(Rb)、ナトリウム(Na)などの賦活 物質を含有するCsIが好ましい。

 なお、本発明においては、特に1種類以上 のタリウム化合物を含む添加剤とヨウ化セシ ウムとを原材料とすることが好ましい。即ち 、タリウム賦活ヨウ化セシウム(CsI:Tl)は400nm ら750nmまでの広い発光波長を持つことから好 ましい。

 本発明に係る1種類以上のタリウム化合物を 含有する添加剤のタリウム化合物としては、 種々のタリウム化合物(+Iと+IIIの酸化数の化 物)を使用することができる。本発明におい 、好ましいタリウム化合物は臭化タリウム( TlBr)、塩化タリウム(TlCl)またはフッ化タリウ (TlF、TlF 3 )等である。

 また、本発明に係るタリウム化合物の融 は400~700℃の範囲内にあることが好ましい。 700℃以内を超えると柱状結晶内での添加剤が 不均一に存在してしまい、発光効率が低下す る。なお、本発明での融点とは常温常圧下に おける融点である。また、タリウム化合物の 分子量は206~300の範囲内にあることが好まし 。

 本発明に係るシンチレータにおいて、当 添加剤の含有量は目的性能等に応じて最適 にすることが望ましいが、ヨウ化セシウム 含有量に対して0.001~50mol%、更に0.1~10.0mol%で ることが好ましい。

 ここで、ヨウ化セシウムに対し添加剤が0 .001mol%未満であると、ヨウ化セシウム単独使 で得られる発光輝度と大差なく、目的とす 発光輝度を得ることができない。また、50mo l%を超えると、ヨウ化セシウムの性質、機能 保持することができない。なお、シンチレ タ層の厚さは、100~800μmであることが好まし く、120~700μmであることが、輝度と鮮鋭性の 性をバランスよく得られることより好まし 。

 (被覆用樹脂)
 少なくとも基板のシンチレータ層形成面側 被覆する樹脂としては、スピンコータやワ ヤーバーでの加工が容易なポリエステルを む樹脂、またはCVD法(Chemical Vapor Deposition; 化学蒸着法」とも言われる。)により容易に 板全面に被覆できるポリパラキシリレン膜 好適である。

 (保護膜)
 本発明のシンチレータパネルは、その全面 覆う樹脂からなる保護膜を有することを特 とする。

 保護膜は、シンチレータ層を防湿し、シ チレータ層の劣化を抑制するためのもので 透湿度の低い物質から構成される。例えば 保護膜として、ポリエチレンテレフタレー フィルム(PET)を用いることができる。PETの には、ポリエステルフィルム、ポリメタク レートフィルム、ニトロセルロースフィル 、セルロースアセテートフィルム、ポリプ ピレンフィルム、ポリエチレンナフタレー フィルム等を用いることができる。また、 リパラキシリレン(10~14S/cm)は、CVD法により容 易にシンチレータパネルの全面にポリパラキ シリレン膜を形成することが可能であるため 、本発明においては好適である。

 (シンチレータパネルの作製方法)
 本発明のシンチレータパネルの作製方法の 型的例について、図を参照しながら説明す 。なお、図1は、放射線用シンチレータパネ ル10の概略構成を示す断面図である。図2は、 放射線用シンチレータパネル10の拡大断面図 ある。図3は、蒸着装置61の概略構成を示す 面である。

 〈蒸着装置〉
 図3に示す通り、蒸着装置61は箱状の真空容 62を有しており、真空容器62の内部には真空 蒸着用のボート63が配されている。ボート63 蒸着源の被充填部材であり、当該ボート63に は電極が接続されている。当該電極を通じて ボート63に電流が流れると、ボート63がジュ ル熱で発熱するようになっている。

 放射線用シンチレータパネル10の製造時 おいては、ヨウ化セシウムと賦活剤化合物 を含む混合物がボート63に充填され、そのボ ート63に電流が流れることで上記混合物を加 ・蒸発させることができるようになってい 。なお、被充填部材として、ヒータを巻回 たアルミナ製のルツボを適用してもよいし 高融点金属製のヒータを適用してもよい。

 真空容器62の内部であってボート63の直上 には、基板1を保持するホルダ64が配されてい る。ホルダ64にはヒータ(図示略)が配されて り、当該ヒータを作動させることで、ホル 64に装着した基板1を加熱することができる うになっている。

 基板1を加熱した場合には、基板1の表面 吸着物を離脱、除去したり、基板1とその表 に形成されるシンチレータ層(蛍光体層)2と 間に不純物層が形成されるのを防止したり 基板1とその表面に形成されるシンチレータ 層2との密着性を強化したり、基板1の表面に 成されるシンチレータ層2の膜質の調整を行 ったりすることができるようになっている。

 ホルダ64には、当該ホルダ64を回転させる 回転機構65が配されている。回転機構65は、 ルダ64に接続された回転軸65aとその駆動源と なるモータ(図示略)から構成されたもので、 該モータを駆動させると、回転軸65aが回転 てホルダ64をボート63に対向させた状態で回 転させることができるようになっている。

 蒸着装置61では、上記構成の他に真空容 62に真空ポンプ66が配されている。真空ポン 66は、真空容器62の内部の排気と真空容器62 内部へのガスの導入とを行うもので、当該 空ポンプ66を作動させることにより、真空 器62の内部を一定圧力のガス雰囲気下に維持 することができるようになっている。

 〈シンチレータパネル〉
 次に、本発明に係るシンチレータパネル10 作製方法について説明する。

 当該放射線用シンチレータパネル10の作 方法においては、上記で説明した蒸発装置61 を好適に用いることができる。蒸発装置61を いて放射線用シンチレータパネル10を作製 る方法について説明する。

 《基板の陽極酸化処理》
 厚さ0.5mmのアルミニウム板1の蛍光体を形成 る側の表面の表面粗さ(Rmax)が所定の値にな ように表面をバフ研磨した後、界面活性剤 2%含み50℃に加温された脱脂液に60秒間浸漬 た後30秒間水洗する。次に、基材を50℃に加 温された10%NaOH水溶液で30秒間エッチングした 後30秒間水洗する。その後、10%NHO3水溶液で30 間洗浄し、30秒間水洗する。

 次に、上記アルミニウム板を電解液に浸 し、基材を陽極、対極にカーボン板を用い 電解処理し、処理後10秒間水洗して、100℃ 5分間乾燥させことでアルミニウム板の表面 陽極酸化膜3aを形成した。

 《基板の被覆》
 厚み0.5mmの基板全面に、CVD法により約2μmの さのポリパラキシリレン膜3bを形成する。

 《シンチレータ層の形成》
 上記のように反射層設けた基板1をホルダ64 取り付けるとともに、ボート63にヨウ化セ ウムとヨウ化タリウムとを含む粉末状の混 物を充填する(準備工程)。この場合、ボート 63と基板1との間隔を100~1500mmに設定し、その 定値の範囲内のままで後述の蒸着工程の処 を行うのが好ましい。

 準備工程の処理を終えたら、真空ポンプ6 6を作動させて真空容器62の内部を排気し、真 空容器62の内部を0.1Pa以下の真空雰囲気下に る(真空雰囲気形成工程)。

 ここでいう「真空雰囲気下」とは、100Pa 下の圧力雰囲気下のことを意味し、0.1Pa以下 の圧力雰囲気下であるのが好適である。

 その後、アルゴン等の不活性ガスを真空 器62の内部に導入し、当該真空容器62の内部 を0.1Pa以下の真空雰囲気下に維持する。次に ホルダ64のヒータと回転機構65のモータとを 駆動させ、ホルダ64に取り付け済みの基板1を ボート63に対向させた状態で加熱しながら回 させる。

 この状態において電極からボート63に電 を流し、ヨウ化セシウムとヨウ化タリウム を含む混合物を700~800℃程度で所定時間加熱 てその混合物を蒸発させる。その結果、基 1の表面に無数の柱状結晶体2aが順次成長し 、所望の厚さのシンチレータ層2が形成され る(蒸着工程)。

 《保護層の形成》
 前記シンチレータ層2を形成するヨウ化セシ ウム(CsI)は、吸湿性が高く、露出したままに ておくと空気中の水蒸気を吸湿して潮解す 。そこで、これを防止するために、CVD法に りポリパラキシリレンをシンチレータパネ 全面に5~30μmの厚さに被覆することで保護層 4を形成する。CsIの柱状結晶には隙間があり ポリパラキシリレンがこの狭い隙間に入り むので、保護層がヨウ化セシウム(CsI)に密着 する。

 これにより、本発明に係る放射線用シン レータパネル10を製造することができる。

 (放射線画像検出器)
 以下に、上記放射線用シンチレータパネル1 0の一適用例として、図4及び図5を参照しなが ら、当該放射線用シンチレータプレート10を 備した放射線画像検出器100の構成について 明する。なお、図4は放射線画像検出器100の 概略構成を示す一部破断斜視図である。また 、図5は撮像パネル51の拡大断面図である。

 図4に示す通り、放射線画像検出器100には 、撮像パネル51、放射線画像検出器100の動作 制御する制御部52、書き換え可能な専用メ リ(例えば、フラッシュメモリ)等を用いて撮 像パネル51から出力された画像信号を記憶す 記憶手段であるメモリ部53、撮像パネル51を 駆動して画像信号を得るために必要とされる 電力を供給する電力供給手段である電源部54 等が筐体55の内部に設けられている。

 筐体55には、必要に応じて放射線画像検 器100から外部に通信を行うための通信用の ネクタ56、放射線画像検出器100の動作を切り 換えるための操作部57、放射線画像の撮影準 の完了やメモリ部53に所定量の画像信号が き込まれたことを示す表示部58、等が設けら れている。

 ここで、放射線画像検出器100に電源部54 設けるとともに放射線画像の画像信号を記 するメモリ部53を設け、コネクタ56を介して 射線画像検出器100を着脱自在にすれば、放 線画像検出器100を持ち運びできる可搬構造 することができる。

 図5に示すように、撮像パネル51は、放射 用シンチレータパネル10と、放射線用シン レータパネル10からの電磁波を吸収して画像 信号を出力する出力基板20とから構成されて る。

 放射線用シンチレータパネル10は放射線 射面側に配置されており、入射した放射線 強度に応じた電磁波を発光するように構成 れている。

 出力基板20は、放射線用シンチレータパ ル10の放射線照射面と反対側の面に設けられ ており、放射線用シンチレータパネル10側か 順に、隔膜20a、光電変換素子20b、画像信号 力層20c及び基板20dを備えている。隔膜20aは 放射線用シンチレータパネル10と他の層を 離するためのものである。

 光電変換素子20bは、透明電極21と、透明 極21を透過して入光した電磁波により励起さ れて電荷を発生する電荷発生層22と、透明電 21に対しての対極になる対電極23とから構成 されており、隔膜20a側から順に透明電極21、 荷発生層22、対電極23が配置される。

 透明電極21とは、光電変換される電磁波を 過させる電極であり、例えば、インジウム ンオキシド(ITO)、SnO 2 、ZnOなどの導電性透明材料を用いて形成され る。

 電荷発生層22は、透明電極21の一面側に薄 膜状に形成されており、光電変換可能な化合 物として光によって電荷分離する有機化合物 を含有するものであり、電荷を発生し得る電 子供与体及び電子受容体としての導電性化合 物をそれぞれ含有している。電荷発生層22で 、電磁波が入射されると電子供与体は励起 れて電子を放出し、放出された電子は電子 容体に移動して、電荷発生層22内に電荷、 ち正孔と電子のキャリアが発生するように っている。

 ここで、電子供与体としての導電性化合 としては、p型導電性高分子化合物が挙げら れ、p型導電性高分子化合物としては、ポリ ェニレンビニレン、ポリチオフェン、ポリ( オフェンビニレン)、ポリアセチレン、ポリ ピロール、ポリフルオレン、ポリ(p-フェニレ ン)またはポリアニリンの基本骨格を持つも が好ましい。

 また、電子受容体としての導電性化合物 してはn型導電性高分子化合物が挙げられ、 n型導電性高分子化合物としてはポリピリジ の基本骨格を持つものが好ましく、特にポ (p-ピリジルビニレン)の基本骨格を持つもの 好ましい。

 電荷発生層22の膜厚は、光吸収量を確保 るといった観点から10nm以上(特に100nm以上)が 好ましく、また電気抵抗が大きくなりすぎな いといった観点から、1μm以下(特に300nm以下) 好ましい。

 対電極23は、電荷発生層22の電磁波が入光 される側の面と反対側に配置されている。対 電極23は、例えば、金、銀、アルミニウム、 ロムなどの一般の金属電極や、透明電極21 中から選択して用いることが可能であるが 良好な特性を得るためには仕事関数の小さ (4.5eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物及 これらの混合物を電極物質とするのが好ま い。

 また、電荷発生層22を挟む各電極(透明電 21及び対電極23)との間には、電荷発生層22と これら電極が反応しないように緩衝地帯とし て作用させるためのバッファー層を設けても よい。バッファー層は、例えば、フッ化リチ ウム及びポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェ )、ポリ(4-スチレンスルホナート)、2,9-ジメ ル-4,7-ジフェニル[1,10]フェナントロリンな を用いて形成される。

 画像信号出力層20cは、光電変換素子20bで られた電荷の蓄積及び蓄積された電荷に基 く信号の出力を行うものであり、光電変換 子20bで生成された電荷を画素毎に蓄積する 荷蓄積素子であるコンデンサ24と、蓄積さ た電荷を信号として出力する画像信号出力 子であるトランジスタ25とを用いて構成され ている。

 トランジスタ25は、例えば、TFT(薄膜トラ ジスタ)を用いるものとする。このTFTは液晶 ディスプレイ等に使用されている無機半導体 系のものでも、有機半導体を用いたものでも よく、好ましくはプラスチックフィルム上に 形成されたTFTである。

 プラスチックフィルム上に形成されたTFT しては、アモルファスシリコン系のものが られているが、その他、米国Alien Technology が開発しているFSA(Fluidic Self Assembly)技術、 ち単結晶シリコンで作製した微小CMOS(Nanobloc ks)をエンボス加工したプラスチックフィルム 上に配列させることで、フレキシブルなプラ スチックフィルム上にTFTを形成するものとし てもよい。更に、Science,283,822(1999)やAppl.Phys.Le tt,771488(1998)、Nature,403,521(2000)等の文献に記載 れているような、有機半導体を用いたTFTで ってもよい。

 このように、本発明に用いられるトラン スタ25としては、上記FSA技術で作製したTFT び有機半導体を用いたTFTが好ましく、特に ましいものは有機半導体を用いたTFTである この有機半導体を用いてTFTを構成すれば、 リコンを用いてTFTを構成する場合のように 空蒸着装置等の設備が不要となり、印刷技 やインクジェット技術を活用してTFTを形成 きるので製造コストが安価となる。更に加 温度を低くできることから、熱に弱いプラ チック基板上にも形成できる。

 トランジスタ25には、光電変換素子20bで 生した電荷を蓄積するとともに、コンデン 24の一方の電極となる収集電極(図示せず)が 気的に接続されている。コンデンサ24には 電変換素子20bで生成された電荷が蓄積され とともに、この蓄積された電荷はトランジ タ25を駆動することで読み出される。即ち、 トランジスタ25を駆動させることで、放射線 像の画素毎の信号を出力させることができ 。

 基板20dは、撮像パネル51の支持体として 能するものであり、基板1と同様の素材で構 することが可能である。

 次に、放射線画像検出器100の作用につい 説明する。

 先ず放射線画像検出器100に対し入射され 放射線は、撮像パネル51の放射線用シンチ ータパネル10側から基板20d側に向けて放射線 を入射する。すると、放射線用シンチレータ パネル10に入射された放射線は、放射線用シ チレータパネル10中のシンチレータ層2が放 線のエネルギーを吸収し、その強度に応じ 電磁波を発光する。

 発光された電磁波の内、出力基板20に入 される電磁波は出力基板20の隔膜20a、透明電 極21を貫通し、電荷発生層22に到達する。そ て、電荷発生層22において電磁波は吸収され 、その強度に応じて正孔と電子のペア(電荷 離状態)が形成される。

 その後、発生した電荷は、電源部54によ バイアス電圧の印加により生じる内部電界 より、正孔と電子はそれぞれ異なる電極(透 電極膜及び導電層)へ運ばれ、光電流が流れ る。

 その後、対電極23側に運ばれた正孔は画 信号出力層20cのコンデンサ24に蓄積される。 蓄積された正孔はコンデンサ24に接続されて るトランジスタ25を駆動させると、画像信 を出力するとともに、出力された画像信号 メモリ部53に記憶される。

 以上の放射線画像検出器100によれば、上 放射線用シンチレータパネル10を備えてい ので光電変換効率を高めることができ、放 線画像における低線量撮影時のSN比を向上さ せるとともに、画像ムラや線状ノイズの発生 を防止することができる。

 以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説 するが、本発明はこれらに限定されない。

 実施例
 [基板の作製]
 A1100-H18アルミニウム板を0.5mmに圧延後、蛍 体を形成する側の表面の表面祖が表1に示し 値になるように表面をバフ研磨した後、界 活性剤を2%含み50℃に加温された脱脂液に60 間浸漬した後30秒間水洗した。次に、基材 50℃に加温された10%NaOH水溶液で30秒間エッチ ングした後30秒間水洗した。その後、10%NHO 3 水溶液で30秒間洗浄し、30秒間水洗した。

 次に、上記アルミニウム板を、表1の電解 条件に示す電解液に浸漬し、基材を陽極、対 極にカーボン板を用いて表1の条件で電解処 し、処理後10秒間水洗して、100℃で5分間乾 させた。

 次に、上記アルミニウム板をパンチ及び イにより打ち抜いて、25cm×20cmの長方形状で 角部が曲率半径R=3mmの円弧状となっている基 を作製した。

 上記電解処理によりアルミ基板表面に形 された陽極酸化皮膜を10万倍の電子顕微鏡 観察し、表面に存在する孔の面積を、測定 積で除して有孔率を算出した。有孔率の測 結果、陽極酸化皮膜の膜厚、及び45°正反射 の測定結果を表1に示す。

 [基板の樹脂被覆]
 表1に示した実施例1~8、及び、比較例1~2に使 用したアルミニウム基板をCVD装置の蒸着室に 入れ、ポリパラキシリレンの原料が昇華した 蒸気中に露出させておくことにより、基板の 全面表面を2μmの厚さのポリパラキシリレン で被服した。

 また、実施例9の基板には、下記の手順で ポリエステル膜を形成した。

 (ポリエステル膜の形成)
 バイロン630(東洋紡社製:高分子ポリエステ 樹脂)    100質量部
 メチルエチルケトン(MEK)                 100質量部
 トルエン                           100質量部
 上記処方を混合し、ビーズミルにて15時間 散し、塗布液を得た。この塗布液をアルミ ウム基板のシンチレータ形成面側に乾燥膜 が2μmになるようにバーコーターで塗布した

 尚、実施例10の基板には、基板を被覆膜 設けなかった。

 [シンチレータ層の形成]
 上記にて得られたアルミニウム基板に、下 手順でシンチレータ層を形成した。

 基板の光吸収層側にシンチレータ蛍光体( CsI:0.003Tl)を、図3に示す蒸着装置を使用して 着させシンチレータ(蛍光体)層を形成した。

 すなわち、まず、上記蛍光体原料を蒸着 料として抵抗加熱ルツボに充填し、また回 する支持体ホルダに支持体を設置し、支持 と蒸発源との間隔を400mmに調節した。続い 蒸着装置内を一旦排気し、Arガスを導入して 0.5Paに真空度を調整した後、10rpmの速度で支 体を回転しながら基板の温度を150℃に保持 た。次いで、抵抗加熱ルツボを加熱して蛍 体を蒸着しシンチレータ層の膜厚が400μmと ったところで蒸着を終了させシンチレータ ネル(放射線像変換パネル)を得た。

 [評価]
 得られたシンチレータパネルを、PaxScan(Varia n社製FPD:2520)にセットし、シンチレータパネ 輝度と鮮鋭性を、以下に示す方法で評価し 。

 〈輝度の評価方法〉
 管電圧70kVpのX線を試料の裏面(蛍光体層が形 成されていない面)から照射し、画像データ 、シンチレータを配置したFPDで検出し、画 の平均シグナル値を発光輝度とした。測定 果を下記表1に示す。ただし、表1中、試料の 輝度を示す値は、比較例1の試料の発光輝度 1.0とした相対値である。

 〈鮮鋭性の評価方法〉
 鉛製のMTFチャートを通して管電圧80kVpのX線 FPDの放射線入射面側に照射し、画像データ 検出しハードディスクに記録した。その後 ハードディスク上の記録をコンピュータで 析して当該ハードディスクに記録されたX線 像の変調伝達関数MTF(空間周波数1サイクル/mm おけるMTF値)を鮮鋭性の指標とした。表中、 MTF値が高いほど鮮鋭性に優れていることを示 す。なお、MTFは、Modulation Transfer Functionの略 号である。

 上記評価結果を表1に示す。

 〈基板の腐食度の評価方法〉
 シンチレータパネルを30℃50%の環境下に3週 放置したのち、シンチレータ層を流水で除 して、アルミ基板表面の腐食状態を観察し 下記の基準で評価し表1に記載した。

 ○:腐食の発生無し
 △:腐食面積が1%未満
 ×:腐食面積が1%以上

 表1に示した結果から明らかなように、本 発明に係る実施例は比較例に比べ、輝度、MTF 、及び耐食性において優れていることが分か る。




 
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