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Patent Searching and Data


Title:
SCREENING METHOD UTILIZING C-MET WHICH IS NOVEL SUBSTRATE FOR Γ-SECRETASE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/011426
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a method for the screening of a compound capable of affecting the processing of c-Met by γ-secretase, which comprises the steps of: (i) contacting a first biological composition comprising γ-secretase or a biologically active fragment thereof with a second biological composition comprising c-Met each in the presence and in the absence of each of candidate compounds; (ii) measuring the cleavage of c-Met each in the presence and in the absence of each of the candidate compounds; (iii) selecting a candidate compound that affects the cleavage of c-Met by γ-secretase from the candidate compounds; and (iv) determining the candidate compound selected in the step (iii) as being a compound that can affect the processing of c-Met by γ-secretase.

Inventors:
INOUE EIJI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/063037
Publication Date:
January 22, 2009
Filing Date:
July 18, 2008
Export Citation:
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Assignee:
EISAI R&D MAN CO LTD (JP)
INOUE EIJI (JP)
International Classes:
C12Q1/37; G01N33/50
Other References:
KOPAN R. ET AL.: "Gamma-secretase: proteasome of the membrane?", NAT. REV. MOL. CELL BIOL., vol. 5, June 2004 (2004-06-01), pages 499 - 504, XP008061885
VIDAL G.A. ET AL.: "Presenilin-dependent gamma-secretase processing regulates multiple ERBB4/HER4 activities", J. BIOL. CHEM., vol. 280, no. 20, May 2005 (2005-05-01), pages 19777 - 19783, XP008129417
GEORGAKOPOULOS A. ET AL.: "Metalloproteinase/Presenilin1 processing of ephrinB regulates EphB-induced Src phosphorylation and signaling", EMBO J., vol. 25, March 2006 (2006-03-01), pages 1242 - 1252, XP008129422
NATH D. ET AL.: "Shedding of c-Met is regulated by crosstalk between a G-protein coupled receptor and the EGF receptor and is mediated by a TIMP-3 sensitive metalloproteinase", J. CELL SCI., vol. 114, March 2001 (2001-03-01), pages 1213 - 1220, XP008129432
SAURA CA, CHOI SY, BEGLOPOULOS V, MALKANI S, ZHANG D, SHANKARANARAYANA RAO BS, CHATTAGI S, KELLEHER RJ 3RD, KANDEL ER, DUFF K: "Loss of presenilin function causes impairments of memory and synaptic plasticity followed by age-dependent neurodegeneration", NEURON, vol. 42, no. 1, 8 April 2004 (2004-04-08), pages 23 - 36
TYNDALL SJ, WALIKONIS RS.: "The receptor tyrosine kinase Met and its ligand hepatocyte growth factor are clustered at excitatory synapses and can enhance clustering of synaptic proteins", CELL CYCLE, vol. 5, no. 14, 17 July 2006 (2006-07-17), pages 1560 - 8
AKIMOTO M, BABA A, IKEDA-MATSUO Y, YAMADA MK, ITAMURA R, NISHIYAMA N, IKEGAYA Y, MATSUKI N.: "Hepatocyte growth factor as an enhancer of nmda currents and synaptic plasticity in the hippocampus", NEUROSCIENCE, vol. 128, no. 1, 2004, pages 155 - 62
POZNER-MOULIS ET AL., CANCER RESEARCH, vol. 66, 2006, pages 7976 - 7982
LANDMAN ET AL., CYTOKINE & GROWTH FACTOR REVIEW, vol. 15, 2004, pages 337 - 351
See also references of EP 2177623A4
Attorney, Agent or Firm:
KOBAYASHI, Hiroshi et al. (Fukuoka Bldg. 9th Fl.8-7, Yaesu 2-chome,Chuo-k, Tokyo 28, JP)
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Claims:
 γ-セクレターゼによるc-Metのプロセシングに影響を与える化合物をスクリーニングする方法であって、以下のステップ:
  (i)候補化合物の存在下および非存在下で、γ-セクレターゼまたはその生物学的に活性な断片を含む第1の生物学的組成物と、c-Metを含む第2の生物学的組成物とを接触させ;
  (ii)当該候補化合物の存在下および非存在下における当該c-Metの開裂をそれぞれ測定し;
  (iii)γ-セクレターゼによる当該c-Metの開裂に影響を与える候補化合物を選択し;そして
  (iv)前記(iii)で得られた候補化合物を、γ-セクレターゼによるc-Metのプロセシングに影響を与える化合物であると同定する、
ことを含む、上記方法。
 さらに、前記(ii)で測定されたc-Metの開裂において、候補化合物の存在下におけるc-Met未分解物が、候補化合物の非存在下におけるc-Met未分解物よりも増加していたときは、当該候補化合物を、γ-セクレターゼのc-Met分解活性の阻害剤であると評価することを含む、請求項1に記載の方法。
 さらに、前記(ii)で測定されたc-Metの開裂において、候補化合物の存在下におけるc-Met未分解物が、候補化合物の非存在下におけるc-Met未分解物よりも減少していたときは、当該候補化合物を、γ-セクレターゼのc-Met分解活性の促進剤であると評価することを含む、請求項1に記載の方法。
 さらに、前記(ii)で測定されたc-Metの開裂において、候補化合物の存在下におけるc-Met開裂産物が、候補化合物の非存在下におけるc-Met開裂産物よりも増加していたときは、当該候補化合物を、γ-セクレターゼのc-Met分解活性の促進剤であると評価することを含む、請求項1に記載の方法。
 さらに、前記(ii)で測定されたc-Metの開裂において、候補化合物の存在下におけるc-Met開裂産物が、候補化合物の非存在下におけるc-Met開裂産物よりも減少していたときは、当該候補化合物をγ-セクレターゼのc-Met分解活性の阻害剤であると評価することを含む、請求項1に記載の方法。
 さらに、APPまたはAPPγ-セクレターゼ開裂部位を含むポリペプチドの開裂を測定することを含む、請求項1~5記載の方法。
 さらに、ノッチまたはノッチγ-セクレターゼ開裂部位を含むポリペプチドの開裂を測定することを含む、請求項1~5記載の方法。
 γ-セクレターゼまたはその生物学的に活性な断片を含む第1の生物学的組成物と、c-Metを含む第2の生物学的組成物とを含む、γ-セクレターゼによるc-Metのプロセシングを測定するための検査キット。
Description:
γ-セクレターゼの新規基質c-Met 利用したスクリーニング方法

 本発明は、γ-セクレターゼの新規な基質c -Metを利用したスクリーニング方法およびそ キットに関する。

 γ-セクレターゼは、プレセニリン(Presenili n)、ニカストリン(Nicastrin)、Aph-1及びPen-2を基 構成成分として含む複合タンパク質(アスパ ラギン酸プロテアーゼ)である。触媒ドメイ であるプレセニリンは、家族性アルツハイ ー病(AD)の原因遺伝子として同定されている γ-セクレターゼは、一回膜貫通型のタンパ 質を基質にしている。最も代表的な基質と てアミロイド前駆体タンパク質(APP:amyloid pr ecursor protein)、ノッチ(Notch)が知られている。 APPは、β-セクレターゼによるβ-部位の開裂、 γ-セクレターゼによるγ-部位の開裂によるプ ロセシングを受けてアミロイドβタンパク質( Aβ:Amyloid βprotein)となる。生成されるAβは、 ミノ酸(C末端側)の切断部位によって長さの なるペプチドに分類される。このうち疎水 が強く、凝集しやすい(β-シート構造をとり やすい)性質を有するAβ42は、神経毒性を示す ことから、この現象がアルツハイマー病の主 因ではないかと考えられてきた。しかし、最 近、Aβをまったく産生できないプレセニリン 1 (PS1)およびプレセニリン2 (PS2)のダブルノ クアウトマウスが、シナプスの減少、神経 胞死といったAD様の表現型を示すことが報告 され、APP とは独立したAD発症の存在も示唆 れている(非特許文献1)。

 一方、c-Metは、レセプター型チロシンキナ ゼファミリーの一つであり、 H epatocyte  G rowth  F actor (HGF)のレセプターである。HGFは神経でも 発現しており、ポストシナプスの形態形成を 制御している分子であることが知られている (非特許文献2)。HGFを海馬神経細胞に添加する と、NMDAレセプターの数が増加し、神経機能 増強されることが知られている(非特許文献2 ,3)。さらに、HGFは神経細胞保護作用を有して いることも知られている(特許文献1)。

 しかしながら、c-Metがγ-セクレターゼの基 であることは一切報告されていない。
Saura CA, Choi SY, Beglopoulos V, Malkani S, Z hang D, Shankaranarayana Rao BS, Chattarji S, Kellehe r RJ 3rd, Kandel ER, Duff K, Kirkwood A, and Shen J. Loss of presenilin function causes impairments of  memory and synaptic plasticity followed by age-depen dent neurodegeneration. Neuron. 2004 Apr 8;42(1):23-36. Tyndall SJ, Walikonis RS. The receptor tyrosine kinase Met and its ligand hepatocyte growth factor  are clustered at excitatory synapses and can enhance clustering of synaptic proteins. Cell Cycle. 2006 Ju l;5(14):1560-8. Epub 2006 Jul 17. Akimoto M, Baba A, Ikeda-Matsuo Y, Yamada MK,  Itamura R, Nishiyama N, Ikegaya Y, Matsuki N. Hepato cyte growth factor as an enhancer of nmda currents  and synaptic plasticity in the hippocampus. Neuroscien ce. 2004;128(1):155-62.

特許第3680114号

  本発明は、γ-セクレターゼの新規基質c- Metを利用したスクリーニング方法、特に、γ- セクレターゼによるc-Metのプロセシングに影 を与える化合物をスクリーニングする方法 提供することを目的とする。

 本発明者は、HEK293細胞内でc-Metがγ-セク ターゼにより開裂することをγ-セクレター 阻害剤(2S)-2-{[(3,5-Difluorophenyl)acetyl]amino}-N-[(3S) -1-methyl-2-oxo-5-phenyl-2,3-dihydro-1H-1,4-benzodiazepin-3- yl]propanamideを用いることで初めて証明した。 た、c-MetのC末端のヘマグルチニンタグに対 る特異的な抗体を用いることで、c-Metの開 を検出することができることを初めて見出 た。   

 すなわち、本発明者は、c-Metの開裂が、γ -セクレターゼ阻害剤によって抑制されるこ を示すことで、c-Met に対するγ-セクレター の分解活性(特に、開裂促進活性または開裂 阻害活性)を利用したc-Metを用いたスクリーニ ング方法が有効であることを示した。

 本発明のスクリーニング方法によって得 れるγ-セクレターゼのc-Met分解活性の促進 は、γ-セクレターゼを通じてc-Metプロセシン グを増加させる化合物である。また、本発明 のスクリーニング方法によって得られるγ-セ クレターゼのc-Met分解活性の阻害剤は、γ-セ レターゼを通じてc-Metのプロセシングを減 させる化合物である。本発明により、γ-セ レターゼに選択的に作用する化合物を選択 ることで、所望の記憶障害(好ましくはAD)の 療薬の創出が可能になる。

 すなわち、本発明は以下の態様を提供す 。

 本発明の態様は、γ-セクレターゼによるc -Metのプロセシング(processing)に影響を与える 合物をスクリーニングする方法である。詳 くは(a)γ-セクレターゼによるc-Metの開裂を検 出する工程であって、候補化合物の存在下お よび非存在下で、γ-セクレターゼまたはその 生物学的に活性な断片を含む第1の生物学的 成物と、c-Metを含む第2の生物学的組成物と 接触させ、c-Metの開裂を測定する工程、なら びに(b) γ-セクレターゼによるc-Metの開裂に 響を与える化合物であるか否かを評価する 程であって、γ-セクレターゼによるc-Metの開 裂に影響を与える候補化合物を選択し、選択 された候補化合物をγ-セクレターゼによるc-M etのプロセシングに影響を与える化合物であ と同定する工程を含む、方法である。

 本発明の別の態様は、上記工程に加えて さらに、候補化合物の存在下におけるc-Met 未分解物が、候補化合物の非存在下におけ c-Metの未分解物と比べて増加していた場合、 当該候補化合物を、γ-セクレターゼを介して c-Metのプロセシングを阻害する化合物または -セクレターゼのc-Met分解活性の阻害剤であ と評価する工程を含む、スクリーニング方 である。

 本発明の別の態様は、上記工程に加えて さらに、候補化合物の存在下におけるc-Met 未分解物が、候補化合物の非存在下におけ c-Metの未分解物と比べて減少していた場合、 当該候補化合物を、γ-セクレターゼを介して c-Metのプロセシングを促進する化合物または -セクレターゼのc-Met分解活性の促進剤であ と評価することを含む、スクリーニング方 である。

 本発明の別の態様は、上記工程に加えて さらに、候補化合物の存在下におけるc-Met 開裂産物が、候補化合物の非存在下におけ c-Metの開裂産物と比べて増加していた場合、 当該候補化合物を、γ-セクレターゼを介して c-Metのプロセシングを促進する化合物または -セクレターゼのc-Met分解活性の促進剤であ と評価する工程を含む、スクリーニング方 である。

 本発明の別の態様は、上記工程に加えて さらに、候補化合物の存在下におけるc-Met 開裂産物が、候補化合物の非存在下におけ c-Metの開裂産物と比べて減少していた場合、 当該候補化合物を、γ-セクレターゼを介して c-Metのプロセシングを阻害する化合物または -セクレターゼのc-Met分解活性の阻害剤であ と評価することを含む、スクリーニング方 である。

 本発明の別の態様は、上記方法に加えて さらに、APPまたはγ-セクレターゼによるAPP 開裂部位を含むポリペプチド(APPγ-セクレタ ーゼ開裂部位を含むポリペプチド)の開裂を 定する工程を含む、スクリーニング方法で る。

 本発明の別の態様は、上記方法に加えて さらに、ノッチまたはγ-セクレターゼによ ノッチの開裂部位を含むポリペプチド(ノッ チγ-セクレターゼ開裂部位を含むポリペプチ ド)の開裂を測定することを含む、スクリー ング方法である。

 本発明の別の態様は、本発明のスクリー ング方法によって同定される少なくとも一 の化合物または薬学的に許容される塩と、 らに薬学的に許容可能な担体とを含む医薬 成物も提供する。好ましくは、前記化合物 、(2S)-2-{[(3,5-Difluorophenyl)acetyl]amino}-N-[(3S)-1-me thyl-2-oxo-5-phenyl-2,3-dihydro-1H-1,4-benzodiazepin-3-yl]pr opanamide(以下、「Compound E」とも称する場合も ある。)である。

 本発明の別の態様は、γ-セクレターゼに るc-Metのプロセシングが異常であることを 徴とする疾患や症状を治療する方法であっ 、治療を必要としている患者、例えば記憶 害、特に認知症(好ましくはAD)の症状を発症 ている患者に、本発明の化合物またはそれ 含む医薬組成物の、好ましくは認知症治療 の、有効な投与量を、好ましくはその患者 細胞内でγ-セクレターゼによるc-Metのプロ シングの活性を変化させるのに有効な量を 投与するステップを含む方法を提供する。

 本発明の別の態様は、本発明の方法に利 できる、c-Metを含み、好ましくはc-Met以外の γ-セクレターゼの基質(好ましくはAPPおよび/ たはノッチ)をさらに含む、γ-セクレターゼ によるc-Metプロセシングを測定するための検 キットを提供する。

 本発明の別の態様は、γ-セクレターゼま はその生物学的に活性な断片を含む第1の生 物学的組成物と、c-Metを含む第2の生物学的組 成物とを含む、γ-セクレターゼによるc-Metの ロセシングを測定するための検査キットを 供する。

 本発明により、γ-セクレターゼによるc-Me tのプロセシングに影響を与える化合物をス リーニングする方法が提供される。本発明 よりスクリーニングされた化合物は、所望 記憶障害、特に認知症(好ましくはAD)の治療 に有用である。

c-Metをトランスフェクションした293/EBNA -1細胞株を用いたc-Metプロセシング解析結果 示す図である。

  以下、本発明を詳細に説明する。なお 本明細書は、本願優先権主張の基礎となる 国仮出願60/950,621号(2007年7月19日出願)及び米 仮出願60/951,493号(2007年7月24日出願)の明細書 及び図面の内容を包含する。

 本明細書において「患者」とは、動物、 ましくは哺乳動物である。

 本明細書において「哺乳動物」とは、ヒ または非ヒト哺乳動物(たとえばマウス、ラ ット、ハムスター、モルモット、ウサギ、ブ タ、イヌ、ウマ、ウシ、サルなど)を含む、 乳動物として分類されるあらゆる動物を意 する。好ましくは、本明細書における哺乳 物はヒトである。この場合、「患者」とい 用語は、成人および小児を含み、かつ男性 よび女性を含む。小児は新生児、幼児、お び青年を含む。

 本明細書において「γ-セクレターゼ」とは APPをその膜貫通領域内で開裂(分解)するこ によって、Aβの産生を司る酵素または複数 子からなる複合体を意味する。当該複数分 は、プレセニリン(Presenilin)、ニカストリン(N icastrin)、Aph-1およびPen-2の少なくとも1つの分 を含む。たとえば、
マウスPresenilin1(NM_008943)、ラットPresenilin1(D8236 3)、ヒトPresenilin1(NM_000021)、マウスPresenilin2(NM_ 011183)、ラットPresenilin2(NM_031087)、ヒトPresenilin 2(NM_000447)、マウスNicastrin(NM_021607)、ラットNica strin(NM_174864)、ヒトNicastrin(NM_015331)、マウスAph -1(NM_146104)、ラットAph-1(NM_001014255)、ヒトAph-1(N M_016022)、マウスPen-2(NM_025498)、ラットPen-2(NM_00 1008764)、ヒトPen-2(NM_172341)などが本発明のγ-セ クレターゼに含まれる。本発明のγ-セクレタ ーゼは、少なくとも生体内で機能するγ-セク レターゼと同様の酵素活性を有していれば、 各構成分子は完全長であっても、その部分配 列であってもよい。また、本発明のγ-セクレ ターゼは、γ-セクレターゼの変異体であって もよい。γ-セクレターゼの変異体は、完全長 の各構成分子に1~複数個(好ましくは1または 個)のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/ま たは付加されてもよい、あるいはこれらの組 合せによるアミノ酸配列を含むポリペプチド であって、かつ生体内で機能するγ-セクレタ ーゼと同様の酵素活性を有するポリペプチド である。

 また、「γ-セクレターゼの生物学的に活 な断片」は、生体内で機能するγ-セクレタ ゼと同様の酵素活性を有する断片であり、 とえば、APPやc-Metを開裂することができる 片を意味する。

 本明細書において、用語「γ-セクレター 」は、「γ-セクレターゼの生物学的に活性 断片」の意味を含めて用いられる場合があ 。

 本明細書において、「c-Met」とは、レセプ ー型チロシンキナーゼファミリーの一つで り、ポストシナプスの形態形成の制御因子 ある H epatocyte  G rowth  F actor (HGF)のレセプターとして公知のポリペプ チドである(Tyndall SJ, Walikonis RS. The receptor tyrosine kinase Met and its ligand hepatocyte growth  factor are clustered at excitatory synapses and can  enhance clustering of synaptic proteins. Cell Cycle.  2006 Jul;5(14):1560-8. Epub 2006 Jul 17.)。c-Metは 構造上、HGF結合ドメイン、膜貫通ドメイン キナーゼ活性部位を含んでいる(Maulik G et  al., Cytokine Growth Factor Rev. 2002 Feb;13(1):41-59. )。

 本発明において、使用されるc-Metは、好 しくは哺乳動物のc-Metである。たとえば、ヒ トc-Met(BC130420、X54559)、カニクイザル(Macaca mul atta)c-Met(XM_001101874)、チンパンジー(Pan troglodyt es)c-Met(XM_519326)、ラットc-Met(X96786、NM_031517、XM _346692、XM_347367)、マウスc-Met(Y00671、BC117969、NM _008591)、ウマ(Equus caballus)c-Met(XM_001501820)、ブ (Sus scrofa)c-Met (NM_001038008)、ヤマイヌ(Canis l upus familiaris)c-Met (NM_001002963)、ウシ(Bos Taurus) c-Met(NM_001012999, XM_608832, XM_612507)などが本発 のc-Metに含まれる。

 上記c-Metをコードする遺伝子およびc-Metポ リペプチドが本発明のc-Metに含まれる。各種 物由来のc-Metと塩基配列又はアミノ酸配列 の対応関係を表1に示す。

 本発明において、c-Metは前記動物由来の リペプチド、組み換えポリペプチド、また 合成ポリペプチドのいずれであってもよい

 本発明のc-Metは、好ましくは、少なくと c-Metのγ-セクレターゼ開裂部位を含んでさえ すれば、完全長であっても、その部分配列で あってもよい。

 また、本発明においてc-Metは、c-Metの変異 体であってもよい。c-Metの変異体は、完全長 c-Metに1~複数個(好ましくは1または数個)のア ミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付 されてもよい、あるいはこれらの組合せに るアミノ酸配列を含むポリペプチドであっ 、かつc-Metと機能的に実質的に同一なポリペ プチドである。

 「c-Metと機能的に実質的に同一なポリペ チド」は、c-Metの有する活性、例えば、γ-セ クレターゼ依存的に開裂活性を有するポリペ プチドを意味し、c-Metのγ-セクレターゼ開裂 位を少なくとも含むあらゆるc-Met誘導体が まれる。これらのポリペプチドは、c-Metを検 出、精製する上で特に有用である。

 
 本明細書において「置換」とは、好ましく 、ペプチドの活性を実質的に改変しないよ に、1または複数個(好ましくは1または数個) のアミノ酸残基を、別の化学的に類似したア ミノ酸残基で置換える保存的置換を意味する 。例えば、ある疎水性残基を別の疎水性残基 によって置換する場合、ある極性残基を同じ 電荷を有する別の極性残基によって置換する 場合などが挙げられる。このような置換を行 うことができる機能的に類似のアミノ酸は、 アミノ酸毎に当該技術分野において公知であ る。具体例を挙げると、非極性(疎水性)アミ 酸としては、アラニン、バリン、イソロイ ン、ロイシン、プロリン、トリプトファン フェニルアラニン、メチオニンなどが挙げ れる。極性(中性)アミノ酸としては、グリ ン、セリン、スレオニン、チロシン、グル ミン、アスパラギン、システインなどが挙 られる。陽電荷をもつ(塩基性)アミノ酸とし ては、アルギニン、ヒスチジン、リジンなど が挙げられる。また、負電荷をもつ(酸性)ア ノ酸としては、アスパラギン酸、グルタミ 酸などが挙げられる。

 前記の欠失、置換、挿入および/または付 加されてもよいアミノ酸の数は、たとえば1~3 0個、好ましくは1~20個、より好ましくは1~10個 、さらに好ましくは1~5個、特に好ましくは1~2 個である。

 前記の同一性は、c-Metと実質的に同一の 能を有する限りc-Metのアミノ酸配列が同一で なくてもよいことを意味する。したがって、 c-Metと機能的に実質的に同一の活性(たとえば 、γ-セクレターゼ依存的に分解活性)を有す のであれば、c-Metのアミノ酸配列の相同性の 高低は問われるものではなく、由来する動物 の種も不問である。

 本発明の好ましい態様において、c-Metと 能的に実質的に同一なポリペプチドは、c-Met のアミノ酸配列、例えば配列番号10からなる リペプチド(ラットc-Met)のアミノ酸配列と、 好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、 さらに好ましくは90%以上、さらにより好まし くは95%以上、特に好ましくは98%以上、そして 最も好ましくは99%以上の相同性を有するアミ ノ酸配列であって、c-Metと実質的に同一の活 (たとえば、γ-セクレターゼ依存的に分解活 性)を有するものであり、そのような特徴を するのであれば、前記動物由来のポリペプ ド、組み換えポリペプチド、または合成ポ ペプチドのいずれであってもよい。

 
 前記の同一性は、当業者に公知の相同性検 プログラムを用いて算出される数値であれ よく、たとえば全米バイオテクノロジー情 センター(NCBI)の相同性アルゴリズムBLAST(Basi c local alignment search tool)http://www.ncbi.nlm.nih.go v/BLAST/においてデフォルト(初期設定)のパラ ーターを用いることにより、算出すること できる。

 当該c-Metは、他のポリペプチドと融合さ た融合ポリペプチド、タグもしくは標識物 付加したポリペプチド、またはそれ以外の 飾を施されたポリペプチドの形態であって よい。これらのポリペプチドは、遺伝子組 換え技術、部位指定突然変異誘発、突然変 誘発剤処理(たとえばヒドロキシルアミン)、 または自動化したペプチド合成によって得る ことができる。

 当該c-Metのタグ付きポリペプチドとして に有用な系としては、ヘマグルチニン(HA)系 グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)系 マルトース結合タンパク質系、6×ヒスチジ 系、8×ヒスチジン系などが挙げられる。

 前記標識またはそれ以外の検出可能な部 を組み込む修飾としては、たとえばビオチ 標識、放射性標識、蛍光標識、化学的発光 識などがある。本発明のどのc-Metも、これ 標識のうちの1つ、2つ、またはそれ以上を備 えることができる。

  
 本発明の好ましい態様のc-Metは、ラットc-Met であり、たとえば配列番号10または配列番号1 2のアミノ酸配列を含むポリペプチドである さらに本発明の好ましい態様のc-Metは、ラッ トc-MetのHAタグ付きポリペプチドである。た えば、ラットc-MetのC末端にHAタグをさらに備 えたポリペプチド(配列番号14)である(実施例1 )。もちろん、ヒトc-Met配列の全体または一部 、たとえば配列番号2または4のアミノ酸配列 含むポリペプチドや、表1に示す他の動物由 来のポリペプチド配列も、ラットc-Metと同様 用いることができる。

 本発明ではさらに、前記c-Metをコードす 塩基配列を含むポリヌクレオチドを提供す 。本発明のc-Metをコードするポリヌクレオチ ドは、c-Metと実質的に同一の活性(たとえば、 γ-セクレターゼ依存的に分解活性)を有する リペプチドをコードするポリヌクレオチド ある。本発明の好ましい態様において、本 明のc-Metをコードするポリヌクレオチドは、 ラットc-Metをコードするポリヌクレオチドで り、たとえば配列番号9または配列番号11の リヌクレオチドである。さらに本発明の好 しい態様のc-Metをコードするポリヌクレオ ドは、ラットc-MetのHAタグ付きポリペプチド コードするポリヌクレオチドである。たと ば、ラットc-MetのC末端にHAタグをさらに備 たポリペプチドをコードするポリヌクレオ ド(配列番号13)である(実施例1)。もちろん、 トc-Met配列の全体または一部、たとえば配 番号1又は3の塩基配列、さらには、表1に示 他の動物由来の塩基配列も、ラットc-Metと同 様に用いることができる。 

 本発明のc-Metをコードするポリヌクレオ ドは、前記c-Metの変異体またはc-Metの誘導体 コードするポリヌクレオチドでもよい。例 ば、配列番号9または配列番号11の塩基配列 、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以 、さらに好ましくは90%以上、さらにより好 しくは95%以上、特に好ましくは98%以上、そ て最も好ましくは99%以上の相同性(同一性) 有する塩基配列を含み、かつc-Metと実質的に 同じ活性を有するポリペプチドをコードする ポリヌクレオチドを含む。

 また、本発明のc-Metをコードするポリヌ レオチドは、配列番号9または配列番号11の 基配列からなるポリヌクレオチドと相補的 塩基配列からなるポリヌクレオチドとスト ンジェントな条件下でハイブリダイズし、 つc-Metと実質的に同じ活性を有するポリペプ チドをコードするポリヌクレオチドを含む。 ここで、ストリンジェントな条件は、ハイブ リダイゼーション後の洗浄条件として、例え ば、「2×SSC、0.1%SDS、42℃」、「1×SSC、0.1%SDS 37℃」、よりストリンジェントな条件として は、例えば、「1×SSC、0.1%SDS、65℃」、「0.5×S SC、0.1%SDS、50℃」等の条件を挙げることがで る。より詳細には、Rapid-hyb buffer(Amersham Lif e Science)を用いた方法として、68℃で30分以上 プレハイブリダイゼーションを行った後、プ ローブを添加して1時間以上68℃に保ってハイ ブリッド形成させ、その後、2×SSC、0.1%SDS中 室温で20分の洗浄を3回、1×SSC、0.1%SDS中、37 で20分の洗浄を3回、最後に、1×SSC、0.1%SDS中 50℃で20分の洗浄を2回行うことも考えられ 。その他、例えばExpresshyb Hybridization Solution  (CLONTECH)中、55℃で30分以上プレハイブリダ ゼーションを行い、標識プローブを添加し 37~55℃で1時間以上インキュベートし、2×SSC 0.1%SDS中、室温で20分の洗浄を3回、1×SSC、0.1% SDS中、37℃で20分の洗浄を1回行うこともでき 。ここで、例えば、プレハイブリダイゼー ョン、ハイブリダイゼーションや2度目の洗 浄の際の温度を上げることにより、よりスト リンジェントな条件とすることができる。例 えば、プレハイブリダイゼーション及びハイ ブリダイゼーションの温度を60℃、さらにス リンジェントな条件としては68℃とするこ ができる。当業者であれば、このようなバ ファーの塩濃度、温度等の条件に加えて、 の他のプローブ濃度、プローブの長さ、反 時間等の諸条件を加味し、c-Metのアイソフォ ーム、アレリック変異体、及び対応する他種 生物由来の遺伝子を得るための条件を設定す ることができる。

 このようなポリヌクレオチドは、遺伝子 幅技術、ハイブリダイゼーション技術、遺 子組み換え技術などによって得ることがで る。

 本明細書において「生物学的組成物」と 、γ-セクレターゼもしくはその生物学的に 性な断片、またはc-Metを含む組成物であれ 特に限られず、たとえば、無細胞の再構成 、哺乳動物またはその一部、あるいはAPPを 剰発現するように操作したトランスジェニ ク非ヒト哺乳動物またはその一部などであ 。

 本明細書において「γ-セクレターゼまた その生物学的に活性な断片を含む第1の生物 学的組成物」または「c-Metを含む第2の生物学 的組成物」において、γ-セクレターゼおよび /またはc-Metは、内因性のものであっても、外 因性のものであってもよい。

 内因性の場合は、前記動物またはその一 に由来するγ-セクレターゼまたはc-Metを含 組成物であれば特に限られない。

 前記動物の一部は、たとえば前記動物の 織、その細胞、その細胞溶解物、その細胞 分画、またはその精製された膜などが挙げ れる。当該細胞は、たとえば中枢神経系の 胞、脳由来の神経細胞、大脳皮質由来の神 細胞、大脳皮質由来の初代培養神経細胞、 馬由来の初代培養神経細胞などの神経細胞 またはグリア細胞などが挙げられる。また γ-セクレターゼまたはc-Metは、哺乳動物ま はその一部に含有されたままの状態であっ もよいし、哺乳動物から調製された細胞溶 物のγ-セクレターゼ分画またはc-Met分画であ ってもよい。当該細胞溶解物は、たとえばγ- セクレターゼまたはc-Metを含有する細胞を低 液もしくは界面活性剤による溶解、または 音波破砕もしくは物理的な破砕により調製 れたものであってもよく、場合によっては カラムなどの精製手段を処置したものであ てもよい。

 外因性の場合は、γ-セクレターゼを構成 る各分子をコードするポリヌクレオチドま はc-Metをコードするポリヌクレオチドを含 各発現ベクターの全てまたはその一部を用 て、宿主細胞に発現させた場合の、γ-セク ターゼ発現細胞またはc-Met発現細胞であって もよいし、またはγ-セクレターゼ発現細胞に 由来する細胞溶解物のγ-セクレターゼ分画ま たはc-Met発現細胞に由来する細胞溶解物のc-Me t分画や細胞膜分画であってもよい。当該細 溶解物は、たとえばγ-セクレターゼまたはc- Metを含有する細胞を低張液もしくは界面活性 剤による溶解、または超音波破砕もしくは物 理的な破砕により調製されたものであっても よく、場合によっては、カラムなどの精製手 段を処置したものであってもよい。当該発現 ベクターは、宿主細胞に形質転換またはトラ ンスフェクションされ、一過性に遺伝子を発 現するもの、または宿主細胞のゲノムに組み 込まれ、安定に遺伝子を発現するものであっ てもよい。

 本明細書において「形質転換」または「 ランスフェクション」とは、真核細胞また 微生物のDNA含量を変化させるあらゆる方法 意味する。たとえばリン酸カルシウムトラ スフェクション、プロトプラスト融合トラ スフェクション、エレクトロポレーション ランスフェクション、DEAE-デキストラン処 トランスフェクション、リポソームトラン フェクション、ポリブレントランスフェク ョン、直接マイクロインジェクショントラ スフェクションなどが挙げられる(Sambrook,et  al.,Molecular Cloning 3:16.30-16.31(1989))。

 前記発現ベクターを形質転換またはトラ スフェクションされる宿主細胞は、遺伝子 発現することができる細胞または細胞株あ いは微生物であればよく、公知の培養細胞 挙げられる。たとえば哺乳動物の細胞また 細胞株としては、HEK293細胞、チャイニーズ ムスター卵巣(CHO)細胞、線維芽細胞、一次 皮細胞(HUVEC細胞)、ヒト神経膠腫細胞、Hela細 胞、COS細胞、PC12細胞、リンパ芽球、メラノ マ細胞、ハイブリドーマ細胞、卵母細胞、 たは胚性幹細胞など、または公知の微生物 して、たとえば大腸菌、酵母など、または 虫細胞(たとえばBmN4細胞)などが挙げられる

 前記形質転換またはトランスフェクショ に使用される発現ベクターは、γ-セクレタ ゼを構成する各分子をコードするポリヌク オチドまたはc-Metをコードするポリヌクレ チドを含む限り、特に限定されるものでは く、用いる宿主細胞に応じて適宜選択した 知の発現ベクターに、当該ポリヌクレオチ を挿入することにより得られるプラスミド 挙げることができる。

 前記発現ベクターとしては、たとえば大 菌に対しては、pUC、pTV、pGEX、pKK、またはpTr cHisを;酵母に対しては、pEMBLYまたはpYES2を;CHO 胞、HEK293細胞およびCOS細胞に対しては、pcDN A3、pMAMneoまたはpBabe Puroを;BmN4細胞に対して 、カイコ核多角体ウイルス(BmNPV)のポリヘド ンプロモーターを有するベクター(たとえば pBK283)を挙げることができる。

 たとえば、哺乳動物の細胞では、強い転 活性を与えるのにCMV前初期プロモーター、 トロウイルスのプロモーター(たとえばMLVや MMTVからのLTR)、SV40、RSV LTR、HIV-1 LTR、HIV-2 LT Rのプロモーター、アデノウイルスのプロモ ター(たとえばE1A領域、E2A領域、MLP領域から もの)、AAV LTR、カリフラワー・モザイク・ イルス、HSV-TK、トリ肉腫ウイルスのプロモ ターなどがある。

 前記形質転換またはトランスフェクショ された宿主細胞も、γ-セクレターゼを構成 る各分子をコードするポリヌクレオチドま はc-Metをコードするポリヌクレオチドを含 限り、特に限定されるものではなく、たと ば当該ポリヌクレオチドが宿主細胞の染色 に組み込まれた形質転換体であることもで るし、当該ポリヌクレオチドを含むプラス ドの形で含有する形質転換体であることも きるし、またはγ-セクレターゼまたはc-Metを 発現していない形質転換体であることもでき る。当該形質転換体は、たとえば前記プラス ミドにより、あるいは、前記ポリヌクレオチ ドそれ自体により、所望の宿主細胞を形質転 換することにより得ることができる。

 前記のγ-セクレターゼおよび/またはc-Met 含有する細胞は、γ-セクレターゼおよび/ま たはc-Metを細胞膜表面に発現し得る限り、特 限定されるものではないが、たとえば、内 性のγ-セクレターゼおよび内因性のc-Metを 現する細胞、一方が内因性で他方が外因性 あるγ-セクレターゼおよびc-Metを発現する細 胞、あるいは外因性のγ-セクレターゼおよび 外因性のc-Metを共に発現する細胞である。こ ような細胞は、γ-セクレターゼおよび/また はc-Metの発現が可能な条件下で培養すること より得ることもできる。または、適当な細 に、γ-セクレターゼを構成する各分子をコ ドするRNAおよび/またはc-MetをコードするRNA 注入し、γ-セクレターゼおよび/またはc-Met 発現が可能な条件下で培養することにより ることもできる。

 前記細胞膜画分は、たとえば本発明のγ- クレターゼまたはc-Metを発現する細胞を破 した後、細胞膜が多く含まれる画分を分離 ることにより得ることができる。細胞の破 方法としては、たとえばホモジナイザーで 胞を押し潰す方法、ワーリングブレンダー たはポリトロンによる破砕、超音波による 砕、あるいは、フレンチプレスなどで加圧 ながら細いノズルから細胞を噴出させるこ による破砕などを挙げることができる。ま 、細胞膜の分画方法としては、たとえば遠 力による分画法、たとえば分画遠心分離法 たは密度勾配遠心分離法を挙げることがで る。

 精製する場合、公知のタンパク質精製法 利用することができる。その方法には、1つ の段階として、細胞培地を粗分画してポリペ プチド分画と非ポリペプチド分画に分ける操 作が含まれる。カラムなどにより本発明のγ- セクレターゼまたはc-Metが他のポリペプチド ら分離された後、クロマトグラフィ法また 電気泳動法を利用して所望のγ-セクレター またはc-Metをさらに精製し、部分的精製ま は完全精製(または精製による均一化)する。 純粋なペプチドの調製、精製に特に適した分 析法は、たとえば硫酸アンモニウム、PEG、抗 体などを用いた沈降、または熱変性を行った 後の遠心分離;クロマトグラフィ・ステップ 等電点電気泳動、ゲル電気泳動、SDS(Sodium do decyl sulfate)-ポリアクリルアミドゲル電気泳 (SDS-PAGE)、これらの方法と他の方法の組み合 せなどの方法がある。クロマトグラフィ・ テップとしては、たとえばイオン交換クロ トグラフィ、ゲル濾過クロマトグラフィ、 相クロマトグラフィ、ヒドロキシルアパタ ト・クロマトグラフィ、アフィニティ・ク マトグラフィ、高速タンパク質液体クロマ グラフィ(FPLC)、高性能液体クロマトグラフ (HPLC)または固定化金属アフィニティ・クロ トグラフィ(IMAC)などが挙げられる。

 あるいは、予めγ-セクレターゼまたはc-Me tにタグを付けておき、当該タグを認識する ンパク質が結合している精製カラムに通す とで、所望のγ-セクレターゼまたはc-Metをカ ラム内に吸着させ、適当な流出溶媒を流すこ とで、カラムから脱着させて精製することも 可能である。

 各種精製ステップは、実施する順番を変 ても、あるいはいくつかのステップを省略 てもよい。分画の純度を評価する好ましい1 つの方法は、分画の比活性を計算し、それを 最初の抽出液の比活性と比較し、純度の大き さを計算して評価するというものである。

 本明細書において、「c-Metの開裂」とは γ-セクレターゼによってc-Metが切断を受けて 切断前の長さよりも短い断片になることを意 味する。「c-Met未分解物」とは、c-Metが開裂 ない結果として生成されるポリペプチドで り、γ-セクレターゼにより分解される前の のを意味する。

 γ-セクレターゼによるc-Metの開裂をモニ ーするため、抗c-Met抗体、c-Metが開裂しない 果として生成されるc-Met未分解物を認識す 抗体、またはc-Metが開裂する結果として生成 されるc-Met開裂産物を認識する抗体、好まし はc-Metの細胞内領域を認識する抗体、さら 好ましくはc-MetのC末端領域を認識する抗体 を用いることができる。c-Metのタグ付きポリ ペプチド未分解物を検出する場合は、選択さ れたタグを認識する抗体を用いることができ る。たとえば、c-MetのC末端にHAタグを付けた 合、抗HAタグ抗体を用いてc-Metの未分解やc-M etの開裂を検出することができる。この場合 c-Metが開裂しない結果として生成されるc-Met のC末端の存在と濃度やc-Metが開裂する結果と して生成されるc-Metの C末端の存在と濃度を らかにすることができる。

 本明細書において「APP」とは、β-アミロ ド前駆体タンパク質(βAPP)またはその突然変 異体を意味する。APPは、多くの哺乳動物の多 種多様な細胞で発現される一回膜貫通型タン パク質であり、そのC末端領域にAβ領域を含 ペプチドを意味する。ヒトにおいては第21番 染色体のロングアームに位置する同名の遺伝 子によってコードされ、3個の主要なアイソ イプが存在する(APP695、APP751およびAPP770)。APP 695、APP751およびAPP770はそれぞれ、695、751およ び770個のアミノ酸残基からなる。これらのア イソタイプとしては、たとえば、ヒトAPP695(NM _201414、NP_958817、P05067-4)、ヒトAPP751(NM_201413、N P_958816、P05067-8)、ヒトAPP770(NM_000484、NP_000475、 P05067-1、P05067)、マウスAPP695(NM_007471、NP_031497 P12023-2)、マウスAPP751(P12023-3)、マウスAPP770(AY2 67348、AAP23169、P12023-1、P12023)、ラットAPP695(P085 92-2)、ラットAPP751(P08592-7)、ラットAPP770(NM_01928 8、NP_062161、P08592-1、P08592)が挙げられる。APP 然変異体は、スウェーデンFAD二重突然変異 、ロンドン突然変異体、バリン717→フェニ アラニン突然変異体、バリン717→イソロイ ン突然変異体、バリン717→グリシン突然変 体が挙げられる。

 本明細書において「Aβ」とは、β-アミロ ドタンパク質、アミロイドβタンパク質、β -アミロイドペプチド、アミロイドβペプチド またはアミロイドベータという用語を意味す る。たとえば、AβはヒトAPP695アミノ酸アイソ タイプの約33個~約44個のアミノ酸残基からな ペプチドであり、そして好ましくはAPPの597 ~640位のアミノ酸残基の一部または全部を含 むあらゆるペプチドを含むものであって、APP のN末端タンパク質分解、続いてC末端のタン ク質分解によって産生される全てのペプチ を意味する。Aβ40、Aβ42は、それぞれ40アミ 酸残基、42アミノ酸残基を含むペプチドで る。

 本明細書において「ノッチ」(Notch)とは、 細胞表面受容体のノッチ・ファミリーに属す るγ-セクレターゼの競合する基質である。た とえば、ヒトノッチ1(AF308602.1)、マウスノッ 1 (NM_008714.2)、ラットノッチ1(NM_001105721.1)が げられる。造血においてノッチ-1は重要な機 能を担っているため、ノッチ-1のプロセシン を抑制すると、免疫不全と貧血になる可能 がある。

  
 本明細書において「候補化合物」とは、化 物のスクリーニング方法において、試験さ る化合物を意味する。候補化合物は、あら る分子を使用することができるが、γ-セク ターゼの活性、好ましくは哺乳動物のγ-セ レターゼの活性を変化させることのできる らゆる化合物が好ましい。候補化合物は、 とえば遺伝子ライブラリーの発現産物、天 または合成低分子化合物ライブラリー、核 (オリゴDNA、オリゴRNA)、天然または合成ペ チドライブラリー、抗体、細菌放出物質(細 の代謝により放出される物質を含む)、細胞 (微生物、植物細胞、動物細胞)抽出液、細胞( 微生物、植物細胞、動物細胞)培養上清、精 または部分精製ペプチド、海洋生物、植物 たは動物など由来の抽出物、土壌、ランダ ファージペプチドディスプレイライブラリ 等に含まれる1つまたは複数の化合物である 前記化合物は新規な化合物であってもよく 公知の化合物であってもよい。さらに、前 化合物は、従来の化学的手段、物理的手段 よび/または生化学的手段により改変したも のであってもよく、たとえばアシル化、アル キル化、エステル化、アミド化などの直接的 化学修飾またはランダムな化学修飾に付して 構造的類似体に改変したものであってもよい 。前記化合物は、前記化合物のファーマコフ ォア検索、コンピューターを用いた構造比較 プログラムなどにより同定される化合物であ ってもよい。当該候補化合物は塩を形成して もよく、さらに当該候補化合物およびその塩 は溶媒和物(水和物含む)を形成していてもよ 。

 本明細書において「γ-セクレターゼによ c-Metのプロセシングに影響を与える化合物 とは、γ-セクレターゼによるc-Metの開裂活性 を阻害する化合物(γ-セクレターゼ阻害剤)、 たはγ-セクレターゼによるc-Metの開裂活性 促進する化合物(γ-セクレターゼ促進剤)のい ずれかを意味する。ここで、γ-セクレターゼ 阻害剤にはそのアンタゴニストが含まれ、γ- セクレターゼ促進剤にはそのアゴニストが含 まれる。γ-セクレターゼ阻害剤およびγ-セク レターゼ促進剤には、γ-セクレターゼのc-Met 裂産物の切断部位を変化させ、ペプチドの さの異なるc-Met開裂産物を生成させる化合 も含まれる。

 本明細書において「塩」とは、薬学的に 容される塩を示し、前記化合物と薬学的に 容される塩を形成するものであれば特に限 されない。具体的には、たとえば好ましく ハロゲン化水素酸塩(たとえばフッ化水素酸 塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩 など)、無機酸塩(たとえば硫酸塩、硝酸塩、 塩素酸塩、リン酸塩、炭酸塩、重炭酸塩な )、有機カルボン酸塩(たとえば酢酸塩、シ ウ酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、フマル 塩、クエン酸塩など)、有機スルホン酸塩(た とえばメタンスルホン酸塩、トリフルオロメ タンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベ ンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩 、カンファースルホン酸塩など)、アミノ酸 (たとえばアスパラギン酸塩、グルタミン酸 など)、四級アミン塩、アルカリ金属塩(た えばリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム など)、アルカリ土類金属塩(たとえばマグネ シウム塩、カルシウム塩など)などが挙げら る。

 本発明により、(a)c-Metの開裂を調べるア セイ方法と、(b)そのようなアッセイ方法を 用して、候補化合物が、γ-セクレターゼに るc-Metのプロセシングに影響を与える化合物 であるか否かを評価する方法(スクリーニン 方法)が提供される。すなわち、本発明の方 は、以下の通りである。

 本発明の態様である、γ-セクレターゼによ c-Metのプロセシングに影響を与える化合物 スクリーニングする方法は以下の工程(ステ プ)を含む。
(i)候補化合物の存在下および非存在下で、γ- セクレターゼまたはその生物学的に活性なそ の断片を含む第1の生物学的組成物と、c-Metを 含む第2の生物学的組成物とを接触させ;
(ii)当該候補化合物の存在下と非存在下にお る、当該c-Metの開裂をそれぞれ測定し;
(iii)γ-セクレターゼによる当該c-Metの開裂に 響を与える当該候補化合物を選択し;そして
(iv)前記(iii)で選択された候補化合物を、γ-セ クレターゼによるc-Metのプロセシングに影響 与える化合物であると同定する。

 本発明の方法は、γ-セクレターゼとc-Met 含む適切な細胞系、またはγ-セクレターゼ c-Metを含むセルフリー系(細胞を含まない系) 実施することができる。

 γ-セクレターゼとc-Metを含む細胞系では 内在性遺伝子発現細胞系であってもよいが 外来性遺伝子を含む細胞系のいずれであっ もよい。候補化合物の存在下と非存在下で γ-セクレターゼとc-Metを含む細胞を適切な培 地で培養し、γ-セクレターゼによりc-Metが開 可能となる反応条件でインキュベーション ることで、γ-セクレターゼを含む第1の生物 学的組成物と、c-Metを含む第2の生物学的組成 物とを接触させることができる。外来性遺伝 子を含む細胞系の場合は、その遺伝子が発現 できる培養条件で上記接触を実施することが できる。他のγ-セクレターゼの基質が開裂す る条件、たとえば当該基質がAPPである場合の 当業者に公知の反応条件を適用することもで きる。

 反応条件の例を以下に挙げる。内在性遺伝 発現細胞系では、初代培養神経細胞の場合 たとえば、MEM(Invitrogen)培地に, 5%FBS(Hyclone), 1X B27 Supplement (Invitrogen ), 0.5mM L-Glutamine ( Invitrogen), 25μg/ml Insulin (SIGMA), および8μM Ar aC(SIGMA)を加えた5%CO 2 、37℃の培養条件である。外来性遺伝子を含 系では、HEK293細胞株の場合、たとえば、10% FBS(Hyclone) / DMEM(Invitrogen) で5% CO 2 、37℃の培養条件である。

 細胞を含まない系では、候補化合物の存 下と非存在下で、γ-セクレターゼまたはそ 生物学的に活性なその断片を含む第1の生物 学的組成物(たとえば、γ-セクレターゼを含 細胞膜分画)を、c-Metを含む第2の生物学的組 物(たとえば、c-Metを含む細胞膜分画)と混合 することによってインキュベーションするこ とで、両者を接触させることができる。これ らはγ-セクレターゼによりc-Metが開裂可能と る反応条件、たとえば10 mM HEPES, pH7.4, 150 mM NaCl, 10% glycerol, 5 mM EDTA, 5 mM 1,10-phenan throline, 10 μg/ml phosphoramidon, Complete protease  inhibitor cocktail (Roche Biochemicals) (Tomita et al. , Molecular Neurodegeneration 2006 1:2)で混合する 、または他のγ-セクレターゼの基質が開裂 る条件、たとえば当該基質がAPPである場合 当業者に公知の反応条件を適用し混合する とができる。γ-セクレターゼまたはc-Metは、 精製されたγ-セクレターゼまたはc-Met、その 物学的に活性な断片、そのアナログ、その 異体のいずれであってもよい。

 また、候補化合物は、一般的には、約1nM~ 1mM、通常約10μM~1mMの範囲の濃度で添加するこ とができる。

 γ-セクレターゼを含む第1の生物学的組成 物と、c-Metを含む第2の生物学的組成物とを上 記のように接触させることで、γ-セクレター ゼによるc-Metの開裂反応が生じる。

 γ-セクレターゼのc-Met開裂活性を変化さ る化合物を同定するため、候補化合物の存 下と非存在下で上記の各ステップを実施し 候補化合物の存在下でのγ-セクレターゼのc- Met開裂活性を、候補化合物の非存在下(コン ロール)での活性と比較することによってそ 候補化合物の開裂活性に対する能力を評価 る。これにより、γ-セクレターゼによるc-Me tの開裂を変化させる化合物を同定すること できる。

 すなわち、候補化合物の存在下でc-Metの または程度がいくらかでも変化するという は、候補化合物の存在下でγ-セクレターゼ c-Met開裂活性が変化したことの指標であり、 当該候補化合物を、γ-セクレターゼによるc-M etのプロセシングに影響を与える化合物とし 同定することができる。たとえば、コント ールと比べてc-Met開裂産物を増加させる化 物またはc-Met未分解物を減少させる化合物は 、γ-セクレターゼのc-Met分解活性の促進剤で ると評価される。一方、コントロールと比 てc-Met開裂産物を減少させる化合物またはc- Met未分解物を増加させる化合物は、γ-セクレ ターゼの分解活性の阻害剤であると評価され る。本発明の方法により得られるγ-セクレタ ーゼの分解活性の促進剤は、ADの治療に有用 ある可能性がある。

 c-Metの開裂の解析は、c-MetのN末端断片とC 端断片の一方または両方について、開裂を す指標を測定することで行われる。

 開裂を示す指標としては、抗c-Met抗体、c- Metが開裂しない結果として生成される、γ-セ クレターゼにより分解される前のc-Met誘導体( c-Met未分解物)を認識する抗体、c-Metが開裂す 結果として生成される、c-Met開裂産物を認 する抗体、またはc-Metの細胞内領域を認識す る抗体を用いることができる。

 ここで、c-Metがタグ付の場合には、その グに対する結合物、たとえば抗体、を用い 当該指標を検出することができる。

 たとえば、c-Metポリペプチドのタグ付き 分解物を検出する場合、c-MetのC末端にヘマ ルチニン(HA)タグを付け、抗HAタグ抗体を用 て検出することができる。この場合におい 、HAタグを検出または定量することでc-Met未 解物として生成されるc-MetのC末端の存在と 度を明らかにすることができる。なお、c-Me tまたはタグ付のc-Metが標識された場合は、そ の標識を検出あるいは定量することで該未分 解物検出することができる。

 一方、c-Metポリペプチドの開裂産物を検 する場合には、c-Metを発現している細胞から 膜画分を精製し、精製された膜画分を用いて γセクレターゼによる開裂反応をさせて、c-Me t開裂産物を膜画分から遊離させる。この反 産物を遠心分離すると、c-Met未分解物は膜画 分へと沈殿するので、膜画分とそれ以外の分 画で区別することができ、遊離した断片を検 出することでc-Met開裂産物を検出することが きる。この検出には、内在性c-Metの場合、c- Metの細胞内領域を認識する抗体を用い、また 、外来性のリコンビナントc-Metを用いる場合 、C末端にタグ配列を付加させたcDNAを用い リコンビナントc-Metを発現させ、そのタグを 認識する抗体を用いてc-Met開裂産物を検出す 。タグは、特に限定されない。たとえば、H A, Myc, FLAGなどを利用することができる。

 c-Metの抗体は、c-Metを認識する抗体であれ ば特に限定されないが、好ましくはc-Metの細 内領域を認識する抗体である。

 また、c-Metを認識する抗体は、当業者で れば免疫原(抗原)を動物に免疫し、モノクロ ーナル抗体の既存の一般的な製造方法に従っ て製造することができる。免疫原は、c-Metも くはその断片、またはそれらにタグもしく 標識物を付加した融合タンパク質等を用い ことができる。

 たとえば、当該抗原を、必要に応じてフ イントアジュバント(Freund's Adjuvant)ととも 、非ヒト哺乳動物に免疫する。ポリクロー ル抗体は、当該免疫感作動物から得た血清 ら取得することができる。またモノクロー ル抗体は、当該免疫感作動物から得た当該 体産生細胞と自己抗体産生能のない骨髄腫 細胞(ミエローマ細胞)から融合細胞(ハイブ ドーマ)を調製し、当該ハイブリドーマをク ーン化し、当該哺乳動物の免疫に用いた抗 に対して特異的親和性を示すモノクローナ 抗体を産生するクローンを選択することに って製造される。ハイブリドーマからのモ クローナル抗体の製造は、ハイブリドーマ in vitroで培養するか、あるいは非ヒト哺乳 物、好ましくはマウスまたはラット、より ましくはマウスの腹水中などでのin vivoで 殖させ、得られた培養上清、または当該哺 動物の腹水から単離することにより行うこ ができる。モノクローナル抗体の単離、精 は、上述の培養上清あるいは腹水を、飽和 酸アンモニウム、ユーグロブリン沈澱法、 プロイン酸法、カプリル酸法、イオン交換 ロマトグラフィー(DEAEまたはDE52など)、抗イ ノグロブリンカラムあるいはプロテインAカ ラム等のアフィニティカラムクロマトグラフ ィーに供すること等により行うことができる 。当該モノクローナル抗体には、当該抗体を 構成する重鎖および/または軽鎖の各々のア ノ酸配列において、1または数個のアミノ酸 欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配 を有する重鎖および/または軽鎖からなるモ ノクローナル抗体も包含される。

 これにより、γ-セクレターゼとc-Metを候 化合物の存在または非存在下でインキュベ ションし、γ-セクレターゼによるc-Metの開裂 を評価することができる。

 また、本発明の別の態様において、上述 れた本発明の方法と並行に、同時に、また 前後して、候補化合物が、APPおよび/または ノッチのプロセシングに影響を与えるか否か を評価することができる。たとえば、上述さ れた本発明の方法と並行に、同時に、または 前後して、APPまたはAPPのγ-セクレターゼによ る開裂部位を含むポリペプチド(APPγ-セクレ ーゼ開裂部位を含むポリペプチド)の開裂を 定する工程を含むことができる。また、さ に、ノッチまたはノッチのγ-セクレターゼ 裂部位を含むポリペプチド(ノッチγ-セクレ ターゼ開裂部位を含むポリペプチド)の開裂 測定する工程を含むことができる。

 これにより、たとえば、候補化合物が、A PPおよび/またはノッチのプロセシングに比較 してc-Metのプロセシングに選択的に作用する 否かを評価することができる。「選択的に 用する」とは、γ-セクレターゼによる基質c -Metの開裂が他の基質の開裂に比べてより抑 効果を有するか、あるいは促進効果を有す ことを意味する。本態様により、具体的に 、候補化合物が、c-Metのプロセシングにのみ 選択的に作用する化合物、APPのプロセシング にのみ選択的に作用する化合物、ノッチのプ ロセシングにのみ選択的に作用する化合物、 APPおよびc-Metのプロセシングに選択的に作用 る化合物などを同定することができる。す わち、本発明の方法では、APPやノッチなど 知のγセクレターゼの基質に加えてc-Metに対 する切断活性を選択的に阻害あるいは活性化 させた化合物を得ることができる。よって、 γセクレターゼの特定の基質に対する切断機 を選択的に阻害あるいは活性化させた化合 を得ることができ、従来よりγセクレター の基質に対する選択性を高めた化合物を得 ことが可能である。

 創薬の候補化合物としては、健常な動物 生体内での代謝活性と同様に作用する化合 あるいは当該代謝を調節する化合物が好ま い。たとえば、γ-セクレターゼによるAPP開 活性の抑制によってAβ42の産生を抑制し、γ -セクレターゼによるc-Met開裂活性を抑制せず 、かつγ-セクレターゼによるノッチ開裂活性 は抑制しない化合物が好ましい。また、たと えば、γ-セクレターゼによるAPP開裂活性の促 進によってAβ40の産生を促進してAβ42の産生 抑制し、γ-セクレターゼによるc-Met開裂活性 の促進によってc-Metの分解を促進し、かつγ- クレターゼによるノッチ開裂活性は抑制し い化合物が好ましい。

  
 このγ-セクレターゼによるAPP、ノッチ、ま はAPPもしくはノッチのγ-セクレターゼ開裂 位を含むポリペプチドの開裂を測定する方 は、当業者に公知のアッセイ法を適用する とができる(Song et al. PNAS 1999 96 6959-6963, Moehlmann et al. PNAS 2002 99 8025-8030)。たとえ 、候補化合物の存在下および非存在下で、 -セクレターゼまたはその生物学的に活性な 片を含む第1の生物学的組成物を、APPまたは APPγ-セクレターゼ開裂部位を含むポリペプチ ドを含む生物学的組成物、あるいはノッチま たはノッチγ-セクレターゼ開裂部位を含むポ リペプチドを含む生物学的組成物に接触させ 、当該APPまたはAPPγ-セクレターゼ開裂部位を 含むポリペプチド、あるいはノッチまたはノ ッチγ-セクレターゼ開裂部位を含むポリペプ チドの開裂を測定することができる。当該測 定は、APPまたはAPPγ-セクレターゼ開裂部位を 含むポリペプチド、あるいはノッチまたはノ ッチγ-セクレターゼ開裂部位を含むポリペプ チドの開裂産物を測定するとよい。たとえば APPまたはAPPγ-セクレターゼ開裂部位を含むポ リペプチドの開裂産物としては、Aβが挙げら れ、その量を測定し、候補化合物の存在下お よび非存在下での量的変動を比較するとよい 。また、APPまたはAPPγ-セクレターゼ開裂部位 を含むポリペプチド、あるいはノッチまたは ノッチγ-セクレターゼ開裂部位を含むポリペ プチドの開裂産物を認識する公知の抗体を用 いて開裂の程度、開裂産物の量を測定するこ とができる。APPまたはAPPγ-セクレターゼ開裂 部位を含むポリペプチドの開裂産物を認識す る抗体としては、市販品(SIGMA、Chemicon)を用い ることができる。測定方法は、たとえばWester n Blotにより行なうことができる。ノッチま はノッチγ-セクレターゼ開裂部位を含むポ ペプチドの開裂産物を認識する抗体として 、市販品(Santacruze)を用いることができる。 定方法は、たとえばWestern Blotにより行なう とができる。

 本発明の方法には、多数の化合物を同時 試験する当業者に公知のハイスループット スクリーニング(HTS)法も含まれる(US5876946、U S5902732、JayawickremeとKost,Curr. Opin. Biotechnol., 8 , pp.629-634, 1997, HoustonとBanks, Curr. Opin. Biote chnol., 8, pp.734-740, 1997)。

 本発明の方法には、公知のモデル動物の 用も含まれる。本発明のin vitroの方法によ て選択された化合物を、たとえばAPPのプロ シングおよび/またはADの非ヒトモデルを利 して、その化合物の生体内における効果を 析することができる。ADの非ヒトモデルと てたとえばAPPトランスジェニック非ヒト動 モデルは当該分野で周知であり、たとえばTg 2576マウス(J. Neurosci. 21(2), 372-381, 2001、J. Cl in. Invest., 112, 440-449, 2003)を使用することが できる。また、Tg2576マウスに公知のγ-セクレ ターゼ阻害剤であるDAPT、(2S)-2-{[(3,5-Difluorophen yl)acetyl]amino}-N-[(3S)-1-methyl-2-oxo-5-phenyl-2,3-dihydro -1H-1,4-benzodiazepin-3-yl]propanamide(Alexis Biochemicals) 、もしくは本発明の化合物を投与したときの 脳内、脳脊髄液中、血清中の各Aβ量を測定す る方法(J. Pharmacol. Exp. Ther. 305, 864-871, 2003) による評価、γ-セクレターゼの活性が変化し たことの脳の変化(たとえばAβの産生量変化 脳の萎縮程度)の病理学的検査、生存率、運 量、または摂食量を評価する方法などがあ 。

 本発明の方法によって同定される化合物 含む医薬組成物、好ましくは本発明のAD治 剤は、患者に、種々の形態、経口または非 口(たとえば静脈注射、筋肉注射、皮下投与 直腸投与、経皮投与)のいずれかの投与経路 で投与することができる。従って、本発明の 化合物を含有する医薬組成物は、単独で用い ることも可能であるが、投与経路に応じて慣 用される方法により薬学的に許容され得る担 体を用いて適当な剤形に製剤化することが可 能である。

 好ましい剤形としては、たとえば錠剤、 剤、細粒剤、顆粒剤、被覆錠剤、カプセル 、シロップ剤、トローチ剤などによる経口 、吸入剤、坐剤、注射剤(点滴剤を含む)、 膏剤、点眼剤、眼軟膏剤、点鼻剤、点耳剤 パップ剤、ローション剤、リポソーム剤な による非経口剤が挙げられる。

 これらの製剤の製剤化に用いる担体には たとえば通常用いられる賦形剤、結合剤、 壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味矯臭剤や、必 により安定化剤、乳化剤、吸収促進剤、界 活性剤、pH調整剤、防腐剤、抗酸化剤、増 剤、湿潤化剤、表面活性化剤、分散剤、緩 剤、保存剤、溶解補助剤、無痛化剤などを 用することができ、一般に医薬品製剤の原 として用いられる成分を配合して常法によ 製剤化することが可能である。使用可能な 毒性のこれらの成分としては、たとえば大 油、牛脂、合成グリセライドなどの動植物 ;たとえば流動パラフィン、スクワラン、固 パラフィンなどの炭化水素;たとえばミリス チン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソ プロピルなどのエステル油;たとえばセトス アリルアルコール、ベヘニルアルコールな の高級アルコール;シリコン樹脂;シリコン油 ;たとえばポリオキシエチレン脂肪酸エステ 、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン 肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビ ン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬 ひまし油、ポリオキシエチレン-ポリオキシ ロピレンブロックコポリマーなどの界面活 剤;たとえばヒドロキシエチルセルロース、 ポリアクリル酸、カルボキシビニルポリマー 、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロ リドン、メチルセルロースなどの水溶性高分 子;たとえばエタノール、イソプロパノール どの低級アルコール;たとえばグリセリン、 ロピレングリコール、ジプロピレングリコ ル、ソルビトール、ポリエチレングリコー などの多価アルコール(ポリオール);たとえ グルコース、ショ糖などの糖;たとえば無水 ケイ酸、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、 ケイ酸アルミニウムなどの無機粉体;塩化ナ リウム、リン酸ナトリウムなどの無機塩;精 水などが挙げられる。

 賦形剤としては、たとえば乳糖、果糖、 ーンスターチ、白糖、ブドウ糖、マンニト ル、ソルビット、結晶セルロース、二酸化 イ素などが、結合剤としては、たとえばポ ビニルアルコール、ポリビニルエーテル、 チルセルロース、エチルセルロース、アラ アゴム、トラガント、ゼラチン、シェラッ 、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、 ドロキシプロピルセルロース、ポリビニル ロリドン、ポリプロピレングリコール・ポ オキシエチレン・ブロックポリマー、メグ ミンなどが、崩壊剤としては、たとえば澱 、寒天、ゼラチン末、結晶セルロース、炭 カルシウム、炭酸水素ナトリウム、クエン カルシウム、デキストリン、ペクチン、カ ボキシメチルセルロース・カルシウムなど 、滑沢剤としては、たとえばステアリン酸 グネシウム、タルク、ポリエチレングリコ ル、シリカ、硬化植物油などが、着色剤と ては医薬品に添加することが許可されてい ものが、矯味矯臭剤としては、ココア末、 ッカ脳、芳香散、ハッカ油、竜脳、桂皮末 どが、それぞれ用いられる。上記の成分は それらの塩またはその溶媒和物であっても い。

 たとえば経口製剤は、本発明の化合物に 形剤、さらに必要に応じてたとえば結合剤 崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味矯臭剤など 加えた後、常法によりたとえば散剤、細粒 、顆粒剤、錠剤、被覆錠剤、カプセル剤な とする。錠剤・顆粒剤の場合には、たとえ 糖衣、その他必要により適宜コーティング ることはもちろん差支えない。シロップ剤 注射用製剤などの場合は、たとえばpH調整 、溶解剤、等張化剤などとともに、また必 に応じて溶解補助剤、安定化剤などを加え 、常法により製剤化する。また、外用剤の 合は、特に製法が限定されず、常法により 造することができる。使用する基剤原料と ては、医薬品、医薬部外品、化粧品などに 常使用される各種原料を用いることが可能 あり、たとえば動植物油、鉱物油、エステ 油、ワックス類、高級アルコール類、脂肪 類、シリコン油、界面活性剤、リン脂質類 アルコール類、多価アルコール類、水溶性 分子類、粘土鉱物類、精製水などの原料が げられ、必要に応じ、pH調整剤、抗酸化剤、 キレート剤、防腐防黴剤、着色料、香料など を添加することができる。さらに、必要に応 じて血流促進剤、殺菌剤、消炎剤、細胞賦活 剤、ビタミン類、アミノ酸、保湿剤、角質溶 解剤などの成分を配合することもできる。こ の時の有効成分の担体に対する割合は、1~90 量%の間で変動され得る。本発明に使用する 合物類、本発明に使用するペプチド類また 本発明に使用するポリヌクレオチド類を前 治療に使用する場合は、少なくとも90%以上 好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上 さらに好ましくは99%以上に精製されたもの 使用するのが好ましい。

 本発明の化合物を含有する本発明の医薬 成物の有効な投与量は、たとえば症状の程 、年齢、性別、体重、投与形態、塩の種類 疾患の具体的な種類などに応じて異なるが 通常、成人の場合は体重60kg、1日あたり経 投与では約30μg~10g、好ましくは100μg~5g、さ に好ましくは100μg~100mgをそれぞれ1回または 回に分けて投与し、注射投与では約30μg~1g 好ましくは100μg~500mg、さらに好ましくは100μ g~30mgをそれぞれ1回または数回に分けて投与 る。投与経路の効率が異なることを考慮す ば、必要とされる投与量は広範に変動する とが予測される。たとえば経口投与は静脈 射による投与よりも高い投与量を必要とす と予想される。小児に投与される場合は、 量は成人に投与される量よりも少ない可能 がある。こうした投与量レベルの変動は、 業界でよく理解されているような、標準的 験的な最適化手順を用いて調整することが きる。

 本明細書において「治療」とは、一般的に 所望の薬理学的効果および/または生理学的 効果を得ることを意味する。効果は、疾病お よび/または症状を完全にまたは部分的に防 する点では予防的であり、疾病および/また 疾病に起因する悪影響の部分的または完全 治癒という点では治療的である。本明細書 おいて「治療」とは、患者、特にヒトの疾 の任意の治療を含み、たとえば以下の(a)~(c) の少なくとも一つの治療を含む: 
(a)疾病または症状の素因を持ちうるが、まだ 持っていると診断されていない患者において 、疾病または症状が起こることを予防するこ と;
(b)疾病症状を阻害する、すなわち、その進行 を阻止または遅延すること;
(c)疾病症状を緩和すること、すなわち、疾病 または症状の後退、消失、または症状の進行 の逆転を引き起こすこと。

 たとえば、ADの臨床学的症状としては、 行性見当識障害、記憶喪失、および失語症 挙げられ、最終的には、無能力、言語喪失 よび無動が起こる。ADの病理学的徴候として は、たとえば、神経原繊維変化、老人斑およ びアミロイド血管障害の存在が挙げられる。 ADの進行を予防するとは、ADの臨床学的症状 よび/または病理学的徴候の開始もしくはそ 以上の進行を予防することを意味すると解 される。たとえば、ADの臨床学的症状また 病理学的徴候を有していない患者は、臨床 的症状または病理学的徴候の進行を予防す ことができる。さらに、軽症のADを患う患者 は、それより重症のAD形態を発生するのを予 することができる。ADの進行を遅延させる は、AD関連症状および/または病理学的徴候 開始時点を遅らせること、あるいは、臨床 的症状および病理学的徴候の進行速度によ 決定されるADの進行速度を遅くすることを意 味すると解釈される。ADの進行を逆転させる は、AD症状の重症度を軽減する、すなわち 患者のAD症状を重症から、より軽症へと変化 させることを意味すると解釈される。その際 、軽症への変化は、臨床学的症状または病理 学的徴候の減少により示される。

 患者のAD診断は、公知の種々の方法を用 て実施することができる。典型的には、臨 および病理学的評価を組み合わせて、ADを診 断する。たとえば、ADの進行または重症度は ミニ精神状態検査(Mini Mental State Examination) (MMSE)(Mohsら(1996)Int Psychogeriatr 8:195-203)、アル ハイマー病評価スケール-認識要素(ADAS-cog)(G alaskoら(1997)Alzheimer Dis Assoc Disord, 11 suppl 2: S33-9)、アルツハイマー病共同研究-日常生活 作スケール(ADCS-ADL)(McKhannら(1984)Neurology 34:939 -944)、国立神経伝達障害研究所(National Institut e of Neurologic Communicative Disorders)および発作- アルツハイマー病および関連障害協会(Stroke-A lzheimer’s Disease and Related Disorders Association) (NINCDS-ADRDA)基準(Folsteinら(1975)J Psychiatr Res 12: 189-198、McKhannら(1984)Neurology 34:939-944、)を用い て、判定することができる。さらに、脳の様 々な領域について評価し、老人斑や神経原繊 維変化の頻度の推定を可能にする方法を用い ることができる(Braakら(1991)Acta Neuropathol 82:23 9-259;Khachaturian(1985)Arch Neuro 42:1097-1105;Mirraら(1 991)Neurology 41:479-486;ならびに、Mirraら(1993)Arch Pathol Lab Med 117:132-144)。

 本発明は、本発明の方法に用いるための 査キットとして、γ-セクレターゼによるc-Me tのプロセシングを測定するための検査キッ を提供する。

 当該キットには、γ-セクレターゼまたは れを含む生物学的組成物と、c-Metを含む生 学的組成物とが少なくとも含まれる。さら 、当該キットには、c-Met以外のγ-セクレター ゼの基質(たとえば、APPおよび/またはノッチ) 、またはそれを含む生物学的組成物などを含 んでいてもよい。当該キットには、複数のγ- セクレターゼの基質を含むことが好ましく、 c-Metに加え、APPおよび/またはノッチが含まれ ることが好ましい。

 さらに、当該キットには、γ-セクレター によるc-Metのプロセシングを検出する技術 対応する器具や当該技術で使用される試薬 説明書などが含まれていてもよい。γ-セク ターゼによるc-Metのプロセシングを検出する 技術としては、たとえばイムノブロッティン グ、ウエスタンブロッティング技術などが挙 げられる。これらの技術で使用される器具と しては、たとえば、反応容器、ブロッティン グメンブレンなどが挙げられ、当該技術で使 用される試薬としては、たとえば、緩衝液、 培養液、抗c-Met抗体などが挙げられる。

 当該キットにより、γ-セクレターゼによ c-Metのプロセシングを測定することができ その結果、候補化合物がγ-セクレターゼに るc-Metのプロセシングに作用するか否かを評 価することができる。したがって、当該キッ トを、γ-セクレターゼによるc-Met のプロセ ングに影響を与える化合物をスクリーニン するための検査キットに代用することが可 であり、本発明の検査キットには γ-セクレ ターゼによるc-Metのプロセシングを測定する めの検査キットと同一構成からなるγ-セク ターゼによるc-Met のプロセシングに影響を 与える化合物をスクリーニングするための検 査キットが含まれる。

 また、本発明は、c-Metのプロセシングの 定、γ-セクレターゼ阻害剤をスクリーニン する方法またはテストする方法のための当 キットの使用も含む。

 
Examples
 以下、さらに実施例、製造例により本発明 さらに詳細に説明するが、本発明はこれら 例に限定されるものではなく、当業者への 全な開示を提供するために示すものである また、記載されたこれら実験が全てまたは 一行われた実験であることを意味または暗 するものでもない。ここで使用された数値( たとえば、量、温度、濃度など)に関して正 さを保証するための努力がなされたが、あ 程度の実験誤差および偏差が考慮され、本 明の範囲を逸脱しない範囲で変化させても い。

Example 1 c-Met遺伝子をトランスフ クションした293/EBNA-1細胞株を用いたc-Metプ セシング解析
 γ-セクレターゼ阻害剤存在下のもと、c-Met C末端にHAタグを付加させた遺伝子発現HEK293 胞を用い、c-Metがγ-セクレターゼの基質であ るか否かを評価した。γ-セクレターゼ阻害剤 は、 (2S)-2-{[(3,5-Difluorophenyl)acetyl]amino}-N-[(3S)-1 -methyl-2-oxo-5-phenyl-2,3-dihydro-1H-1,4-benzodiazepin-3-yl ]propanamide (以下、「Compound E」とも称する。)  (Alexis Biochemicals) を用いた。
1.実験条件および実験方法
(1)ラットc-Met遺伝子のクローニング
 ラットの脳からRNAをTrisol(Invitrogen)を用いて 製し、1st strand cDNAをRNA PCR Kit(TaKaRa)を用 て合成した。c-Metは、1-2100bp(primer1,2)と2041bp-s top(primer3,4)の2つの断片に分けて増幅した。具 体的には、最終合成1st strand cDNA産物1μlと、 以下のプライマーを用いてpfu (stratagene)で増 した。

 primer1 SalI site付加:GAGGTCGACGCCACCATGAAGGCTCCCACCGC GCTGGC(配列番号29)
 primer2:TAAAGTACATGTTTTCCCTCCGAT(配列番号30)
 primer3:AAATACCTCAACAGCGGCAATTC(配列番号31)
 primer4 NotI site付加:GAGGCGGCCGCTGTGTTCGCTTCGCCGTCAAT GTT(配列番号32)
  
 PCRサイクルは、95℃ 2minの反応後、 [95℃ 4 5sec⇒60℃ 45sec⇒72℃ 6min]のサイクルを35サイ クル行い、その後72℃ 10minの処理を行った。 PCR産物をQuiaquick PCR purification kit (QIAGEN)で 製し、1-2100bp 断片はSalI(TaKaRa)とXbaI(TaKaRa)で 2041bp-stop断片は、XbaI(TaKaRa)と NotI(TaKaRa)で酵 素処理後、pBluescript(Stratagene)にそれぞれクロ ニングした。得られたpBluescript についてDNA シークエンサー(Applied Biosystems社 3130xl)を用 てシークエンス解析を行った後、1-2100bp を 挿入したpBluescriptをXbaIとNotI で酵素処理し、 2041bp-stop断片を挿入した。
(2)ラットc-Met遺伝子のC末端にHAタグを付加さ た遺伝子および発現ベクターの構築
 pcDNA(Invitrogen)をSalI(TaKaRa)およびNotI(TaKaRa)で 素処理し、前記(1)で得られたpBluescriptからSal I(TaKaRa)およびNotI(TaKaRa)で酵素処理したc-Metを 入し発現ベクターを作製した。当該発現ベ ターは、組み込まれたc-MetのC末端にHAタグ 付加されるように構築した。c-Met-HAのDNA配列 は、DNAシークエンサー(Applied Biosystems社 3130x l)によって解読した。そのDNA配列を配列番号1 3に示す。

 このDNA配列は、ラットc-Met(X96786)と比べて 、156位の塩基「c」が「t」に変異していた(以 下この変異の態様を「c→t」と表記する。他 変異についても同様に表記する。)。また、 得られたDNA配列は、ラットc-Met(X96786)と比べ 、173位のc→a、744位のa→c、1095位のg→a、1269 位のg→a、1597位のc→g、1854位のt→c、2189位の c→t、2423位のg→a、2843位のt→g、3083位のt→c 3203位のc→a、3590位のt→c、3991位のg→c、3992 位のt→g、の点で異なり、アミノ酸では58位 P→H(PがHに変異)、533位のP→A、730位のA→V、8 08位のR→Q、948位のL→W、1028位のL→P、1068位 P→Q、1197位のV→A、1331位のV→Rの点で異なっ ていた。当該発現ベクターは、Endofree Plasmid Maxi Kit(QIAGEN)を用いて大量調製した。 

 配列番号13に示すヌクレオチド配列の3’ 端側の配列(第4156番のgから4185番のt)は、HA グをコードするヌクレオチド配列である。

 
(3)ラットc-Met遺伝子のC末端にHAタグを付加さ た遺伝子発現細胞
 293/EBNA-1細胞株(Invitrogen)を10% FBS(Hyclone) / DM EM(Invitrogen) で5%CO 2 、37℃の条件下で培養し、ラットc-MetのC末端 HAタグを付加させた遺伝子をLipofectamine2000 ( Invitrogen)でトランスフェクション(Transfection) た。同条件で1日培養した後、50nM Compound E  (Alexis Biochemicals)を培養液に添加した。さら 同条件で1日培養した後、前記トランスフェ ションされたHEK293細胞をPBS(SIGMA)で回収し、 Sonicator(TAITEC VP-5S)を用いて、Sonicationし細胞 破砕した。Protein assay kit(BioRad)を用いてタ パク質量を定量した。Compound Eを添加した細 胞とCompound Eを添加しなかった細胞から得ら たタンパク質をそれぞれ2μgずつSDS-PAGEにか 、抗HA抗体(Roche)(最終濃度0.2ug/ml)を用いてウ ェスタンブロットした。

2.実験結果
 図1にその結果を示す。

 図1において、左レーンは、Compound E未処 サンプル、右レーンはCompound E処理サンプ である。Fullは、完全長のc-Metに相当(約150kDa) する。γ-セクレターゼ阻害剤であるCompound E 添加すると、50kDa付近のバンド(CTF:C terminal fragment)がc-Met未分解物として特異的に蓄積さ れた。このバンドはc-Metの膜貫通領域からC末 端領域までの大きさにほぼ等しいことから、 c-Metは、HEK293細胞内でγ-セクレターゼによっ 切断されているということが明らかとなっ 。

 
 本明細書中で使用される専門用語は、単に 定の態様を説明することを目的として用い れ、限定することを意図したものではない

 他に特に定義されない限り、本明細書中 用いられる全ての技術的用語および科学的 語は、本発明が属する通常の当業者により 般的に理解されるのと同じ意味を有する。 明細書中に記載されるものと類似または同 の任意の方法および材料が、本発明の実施 たは試験において使用されうるが、好まし 方法および材料について以上の記載を参照 きる。

 本明細書中で言及された全ての出版物は たとえば、ここで記載された発明と関連し 用いられた出版物中に記載される、細胞系 構築物および方法を記載および開示する目 で、その全体が本明細書中に参照として組 入れられ、あるいは、本発明の化合物の同 方法、スクリーニング方法およびそれらの 術のための方法および組成物の開示に関し 、参照として本明細書に組み入れられ、本 明の実施のために用いることができる。