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Title:
SCRIBING WHEEL AND METHOD FOR SCRIBING BRITTLE MATERIAL SUBSTRATE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/148073
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a scribing wheel, which has a long service life with less wearing of a blade edge and can generate a deeper vertical crack as needed, and furthermore, has less blade edge wearing even when a relatively hard substrate, such as a ceramic substrate, is scribed, and generates a vertical crack of a prescribed depth. A plurality of grooves (13) are formed at prescribed intervals on a blade edge (12), i.e., the ridge line of a wheel having an outer diameter within the range of 1 mm-5 mm.  The depth (D) of the groove (13) is 25 μm or more, and the length (L) of a ridge line (14) between the grooves is 25 μm or more.  The pitch (P) of the groove (13) is preferably within the range of 50 μm-200 μm.

Inventors:
TOMEI NAOKO (JP)
OKAMOTO KEITARO (JP)
TOMIMORI HIROSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/060130
Publication Date:
December 10, 2009
Filing Date:
June 03, 2009
Export Citation:
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Assignee:
MITSUBOSHI DIAMOND IND CO LTD (JP)
TOMEI NAOKO (JP)
OKAMOTO KEITARO (JP)
TOMIMORI HIROSHI (JP)
International Classes:
B28D5/00; B28D1/24
Domestic Patent References:
WO2007004700A12007-01-11
WO2002081392A12002-10-17
WO2007004700A12007-01-11
Foreign References:
JP3085312U2002-04-26
JP2007031200A2007-02-08
JP2000219527A2000-08-08
Other References:
See also references of EP 2292398A4
"Toshihiko Ono, Doctorate Thesis", 2000, NAGAOKA UNIVERSITY OF TECHNOLOGY, article "Study For Cutting in accordance with Method for Scribing and Breaking Liquid Crystal Glass"
Attorney, Agent or Firm:
KASHIMA, YOSHIO (JP)
KAJIMA Yoshio (JP)
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Claims:
 円盤状のホイールの円周部に断面略V字形状の刃が形成され、前記刃の稜線となる刃先に所定間隔で複数の溝が形成されたスクライビングホイールであって、
 前記ホイールの外径が1mm~5mmの範囲で、
 前記断面略V字形状の刃の先端角度が90~160°で、
 前記溝の深さが25μm以上で、
 前記溝間の稜線の長さが25μm以上であることを特徴とするスクライビングホイール。
 前記複数の溝のピッチが、50μm~200μmの範囲である請求項1記載のスクライビングホイール。
 前記溝の幅の、前記溝間の稜線の長さに対する割合が1.0以上である請求項1又は2記載のスクライビングホイール。
 構成するダイヤモンド粒子の平均粒子径が0.5μm以下で、ダイヤモンド含有量が85vol%以上のダイヤモンド焼結体からなる請求項1記載のスクライビングホイール。
 円盤状のホイールの円周部に断面略V字形状の刃が形成され、前記刃の稜線となる刃先に所定間隔で複数の溝が形成されたスクライビングホイールを、脆性材料基板上に圧接転動させることによって、脆性材料基板の表面にスクライブラインを形成するスクライブ方法であって、
 前記スクライビングホイールとして、外径が1mm~5mmの範囲で、前記断面略V字形状の刃の先端角度が90~160°で、前記溝の深さが25μm以上で、前記溝間の稜線の長さが25μm以上であるスクライビングホイールを用いることを特徴とするスクライブ方法。
 脆性材料基板が、セラミック、サファイア及びシリコンからなる群から選ばれる少なくとも一種の硬脆材料からなる請求項5記載のスクライブ方法。
 請求項1~4のいずれかに記載のスクライビングホイールを、セラミック基板上に圧接転動させることによって、セラミック基板の表面にスクライブラインを形成してセラミック基板の厚さ方向の60%以上に伸展する連続したクラックを形成させた後、スクライブラインに沿ってブレークすることを特徴とするセラミック基板の切断方法。
 請求項1~4のいずれかに記載のスクライビングホイールの、セラミック基板のスクライブライン形成への使用。
Description:
スクライビングホイール及び脆 材料基板のスクライブ方法

 本発明は、脆性材料基板の表面にスクラ ブラインを形成するのに好適に用いられる クライビングホイール及び脆性材料基板の 面にスクライブラインを形成するためのス ライブ方法に関し、特にセラミック基板[高 温焼成セラミックス製の多層基板(HTCC基板)、 低温焼成セラミックス製の多層基板(LTCC基板) 等の電子部品内蔵基板等]、サファイア、シ コン等のガラスよりも硬い脆性材料(硬脆材 )の表面にスクライブラインを形成するのに 好適に用いられるスクライビングホイール及 びスクライブ方法に関するものである。

 近年、モジュールの更なる高密度化と小型 を実現するものとしてLTCC基板が注目され、 特に通信機器の高周波モジュールにLTCC基板 最適であるとされている。その製造工程で 切断工程における生産性の更なる向上、切 コストの更なる低減が求められている。
 LTCC基板等のセラミック基板を切断する方法 として、焼成前のグリーンシートの切断され るべきラインに沿ってV溝を形成しておき、 成後にV溝に沿ってブレークして個片化する とが行われている。
 例えば、LTCC基板の場合、焼成時にグリーン シートの各辺が長さ基準で10%以上収縮する。 しかも、グリーンシートの部位によって収縮 率にバラツキが生じる。焼成前にV溝が形成 れ、切断位置が定められるため、部位によ て収縮率にバラツキがあると、焼成後の切 によって得られる個片の寸法にバラツキが じ、結果として、歩留まりが低下する。ま 、V溝形成後に焼成するため、形状的に焼成 に基板にそりが生じやすく、切断面の品質 低下する。さらに、薄厚基板の場合には、V 溝形成後焼成前のグリーンシートや焼成後ブ レーク前の基板を搬送する際に、V溝に沿っ 予定外のワレが発生し、搬送に支障をきた おそれがある。また、焼成時のそりを抑制 る点から、グリーンシートの上面及び下面 両側からV溝を形成する方法もあるが、位置 わせが困難である。
 LTCC基板等のセラミック基板を切断する方法 として、半導体ウエハの切断等に広く用いら れているダイシングによって切断することも 考えられる。
しかし、ダイシングには、以下のような問題 がある。(1)一般に加工速度が5~10mm/秒と遅い め、タクトタイム(所要時間)が長く生産性が 極めて低い。(2)ダイシングソーの厚さ分が切 りくずとなるため、材料のロス(カーフロス) 避けられない。(3)切断面に欠け(チッピング )が発生しやすい。(4)冷却・洗浄水を使用す 必要があるため、環境にやさしいMQL(Minimum Q uantity Lubrication)加工に対応できないばかりで なく、実装済基板には使用できない。(5)ダイ シングテープへの貼り付け・はがしの工程が 必要である。(6)断面の品質がダイヤモンド砥 粒に大きく影響される。(7)ブレードの寿命が 短く、ランニングコストが高い。特に加工速 度の問題は、生産量を増加させるとき、膨大 な設備投資を強いることになり、加工速度の 向上とダイシングよりも安価な切断方法の開 発要請が高まっている。
 レーザスクライブによる切断も考えられる 、(1)パルス照射するため、切断面にミシン 状の照射痕が残り、品質上の問題となる、( 2)熱加工によりゴミ(ヒューム)が発生する、(3 )熱加工により誘電特性が低下する、(4)装置 ストが高いといった問題がある。
 そこで、ガラス基板を切断する方法として く用いられている割断、即ち、スクライビ グホイールを基板上に圧接転動させて基板 面にスクライブラインを形成し、これによ て基板表面から垂直方向のクラックを生じ せ(スクライブ工程)、次いで基板に応力を えてその垂直クラックを基板の裏面まで成 させて(ブレーク工程)、基板を切断する方法 により、セラミック基板を切断することも試 みられている。割断は、ガラスの切りくずが でない点で、ガラスの切りくずが出るダイヤ モンドカッティングソー(又はホイール)、ダ ヤモンドダイシングソーを使う研削切断よ も好ましいとされている。
 しかし、一般に、セラミック基板はガラス 板よりも硬いため、割断により切断しよう しても、(1)スクライビングホイールが食い みにくくスクライブラインを形成しにくい (2)スクライブによるクラックが基板の厚さ 向に伸展しにくく深い垂直クラックを形成 にくいため、ブレークが困難である、(3)セ ミック基板のスルーホール等により、ホイ ルの直進性が低下するため、所定の位置に クライブラインを形成しにくいだけでなく スクライビングホイールの食い込み量にバ ツキが生じたり、スクライビングホイール 寿命が短くなったりするという問題がある
 割断は、サファイア、シリコン等の切断方 としても、古くから使われてきたが、歩留 りがわるいため、サファイアやシリコン等 切断も、ダイヤモンドの微粉末を含有する ッティングソー(又はホイール)やダイシン ソーを使った研削切断に頼ってきた。

 ガラス基板の割断においても、スクライブ より水平クラックやチッピングを発生させ いことが重要である。ガラス基板を割断す とき、垂直クラックをガラス基板の厚さ方 に深く伸展させれば容易にブレークできる とは誰しも考えるが、例えば液晶ディスプ イに供される無アルカリガラスにおいて、 クライブによって水平クラックやチッピン を発生させることなく得られる垂直クラッ の深さはガラス基板の厚さの13%程度でしか く、ブレーク工程が不可欠であった(非特許 文献1)。また、電子部品用セラミック基板を 断で切断する発想はあったものの、従来の 常のスクライビングホイールを用いた割断 は、スクライブによる垂直クラックの伸展 浅く、歩留まりよく割断するためにはマル パス(multi-pass)スクライブをしなければなら かった。
 ガラス基板のスクライブに用いるスクライ ングホイールとして、本出願人はこれまで 々の提案を行ってきた。例えば、図8に示す ような、円盤状のホイールの円周部に形成さ れた刃(外周辺部)11の稜線となる刃先(周辺リ ジ)12に、所定間隔で複数の溝13を形成した クライビングホイール1’を提案した(例えば 特許文献1)。すなわち、液晶パネル等のフラ トパネルディスプレイ(以下、FPD)用のマザ ガラス基板が大きくなるにつれ、ブレーク 程での歩留まりの問題とブレークするため 大きな貼り合わせマザーガラス基板を反転 ることが困難となったこと等からブレーク しない工法の開発が求められてきた。これ 伴い、本出願人はガラス基板の割断の概念 一新する「ブレークレス・スクライビング イール」を開発した。特許文献1には、ガラ 用のスクライビングホイールにおいて、稜 (円周リッジ)に所定のピッチ、所定の深さ 溝を加工することで、垂直クラックを従来 限界を超えた深さまで伸展させてブレーク 程を容易にしたり、さらには垂直クラック ガラス基板の厚さの80%以上に伸展させてブ ーク工程を不要としたりするスクライビン ホイール(高浸透タイプ)が開示されている。
 その他、貼り合わせガラス基板を一括単個 分断するためのスクライビングホイール、F PD用ガラスが硬さを増す中、マザーガラス基 を製造する過程で行われるスクライブ時の リップを防止するためのスクライビングホ ール(特許文献2)や異型切断においていわゆ 垂直クラックをガラス表面に対して斜めに 展させて円形物を抜き易くするためのスク イビングホイール(特許文献3)等を提案した
 特許文献1記載の高浸透タイプのスクライビ ングホイールによれば、ガラス基板だけでな く、ガラスよりも硬い脆性材料(セラミック の硬脆材料)に対しても、食い込みやすく、 直クラックを基板の厚さ方向に深く伸展さ ることができる。しかし、ガラス基板に用 られている高浸透タイプのスクライビング イールをそのまま硬脆材料の切断に用いて 、刃先12が短時間で磨耗してしまい実用的 ない。また、特許文献2記載のスクライビン ホイールでは、ある程度スリップを防止す ことはできるが、垂直クラックを基板の厚 方向に深く伸展させることができない。特 文献3記載のスクライビングホイールでも、 垂直クラックの伸展や寿命の点で充分とはい えない。
長岡技術科学大学平成12年度博士論文:小 野俊彦「液晶ガラスのスクライブ・ブレーク 法による切断に関する研究」

特開平9-188534公報

WO2007/004700

特開2000-219527公報

 スクライビングホイールの商品寿命は、 線となる刃先の摩耗度合いによって主に決 る。刃先が摩耗して丸みを帯びてくると、 クライブしたときに垂直クラックが十分に じなくなるため、スクライビングホイール 耐摩耗性の向上は、需要者から強く要請さ ている。

 さらにまた、脆性材料基板の中でも比較 硬いセラミック基板等は、従来はダイシン ソー等によって湿式で研削切断されていた 、切りくずや研削液の処理が不可避的に発 することから、このような付帯処理がなく しかも乾式で行える、スクライビングホイ ルを用いた上記切断方法を用いることがで ないか検討され始めている。しかし、これ でのスクライビングホイールを用いてセラ ック基板等の比較的硬い脆性材料(硬脆材料 )をスクライブすると、刃先の摩耗が激しく クライビングホイールの商品寿命が非常に くなる。また、垂直クラックが十分に深く 生じないことがある。

 そこで、本発明はこのような従来の問題 鑑みてなされたものであり、その目的は、 先の摩耗が少なく長寿命で、また必要によ 深い垂直クラックを生じさせることもでき さらにセラミック基板等の比較的硬くスク イブすることが難しい材料(難スクライブ材 料)をスクライブしても、刃先の摩耗が少な 、所定深さの垂直クラックを生じさせるス ライビングホイールを提供することにある

 本発明者等は、前記目的を達成すべく鋭 検討を重ねた結果、本用途に適した焼結ダ ヤモンドを開発するとともにスクライビン ホイールの外径を比較的小さな径とし、刃 に形成する溝の深さをガラス用に供されて た従来品よりも深くし、溝間の稜線の長さ 所定以上とすることにより前記目的が達成 きることを見出し本発明に至った。このよ な構成とすることによって、セラミック基 等の比較的硬い難スクライブ材料をスクラ ブする場合であっても、スクライビングホ ールの長寿命化が実現された。すなわち、 クライビングホイールの外径を小径とする とでセラミック基板等とスクライビングホ ールの接触面積を小さくして大きな応力を 生させ、かつ溝を深くすることによって垂 クラックを深くまで生じさせることができ さらには溝間の稜線の長さを長くすること よって長寿命化したものである。なお、垂 クラックをより深くまで生じさせるスクラ ビングホイールは、従来のスクライビング イールと同じ深さの垂直クラックを生じさ る場合には、スクライビングホイールに加 る荷重を軽くでき、これによってもスクラ ビングホイールの長寿命化が図れる。また 垂直クラックがセラミック基板等の硬脆材 の厚さの60%以上であれば高い歩留まりでブ ーク(例えば、手折り)できるところ、本発 によれば、ワンパスでセラミック基板等の 脆材料の厚さの60%以上の垂直クラックを伸 させることができる。

 本発明のスクライビングホイールは、円 状のホイールの円周部に断面略V字形状の刃 (外周辺部)が形成され、前記刃の稜線となる 先(周辺リッジ)に所定間隔で複数の溝が形 されたスクライビングホイールであって、 記ホイールの外径が1mm~5mm(好ましくは1mm~3mm) 範囲で、前記断面略V字形状の刃の先端角度 (刃先角)は90~160°(好ましくは100~140°)で、前記 溝の深さが25μm以上で、前記溝間の稜線の長 が25μm以上であることを特徴とする。

 ここで、前記複数の溝のピッチは、50μm~2 00μmの範囲であるのが好ましい。

 スクライビングホイールの一層の長寿命 を図る観点から、前記溝の幅の、前記溝間 稜線の長さに対する割合を1.0以上とするの 好ましい。

 本発明のスクライビングホイールは、ダ ヤモンド焼結体(特に、構成するダイヤモン ド粒子の平均粒子径が0.5μm以下で、ダイヤモ ンド含有率が85vol%以上であるダイヤモンド焼 結体)からなるのが好ましい。

 また、本発明のスクライブ方法は、円盤状 ホイールの円周部に断面略V字形状の刃が形 成され、前記刃の稜線となる刃先に所定間隔 で複数の溝が形成されたスクライビングホイ ールを、脆性材料基板上に圧接転動させるこ とによって、脆性材料基板の表面にスクライ ブラインを形成するスクライブ方法であって 、前記スクライビングホイールとして、外径 が1mm~5mm(好ましくは1mm~3mm)の範囲で、前記断 略V字形状の刃の先端角度(刃先角)は90~160°( ましくは100~140°)で、前記溝の深さが25μm以 で、前記溝間の稜線の長さが25μm以上である スクライビングホイールを用いることを特徴 とする。
 本発明のスクライブ方法は、ガラスよりも い脆性材料(難スクライブ材料、例えば、セ ラミック基板、サファイア、シリコン等の硬 脆材料)のスクライブに特に好適に使用され 。
 さらに、本発明のセラミック基板の切断方 は、前記のスクライビングホイールを、セ ミック基板上に圧接転動させることによっ 、セラミック基板の表面にスクライブライ を形成してセラミック基板の厚さ方向の60% 上に伸展する連続したクラック(垂直クラッ ク)をワンパスで形成させた後、スクライブ インに沿ってブレークすることを特徴とす 。

 そしてまた、本発明によれば、前記のス ライビングホイールの、セラミック基板の クライブライン形成への使用が提供される

 本発明のスクライビングホイールでは、 イールの外径、溝の深さ、溝間の稜線の長 を所定範囲としたので、刃先の摩耗が少な 長寿命で、また必要により深い垂直クラッ を生じさせることもでき、さらにはセラミ ク基板等の比較的硬い基板(硬脆材料)をス ライブしても、刃先の摩耗が少なく、長期 (長い走行距離)にわたって、所定深さの垂直 クラックを生じさせることができる。

 本発明のスクライブ方法では、前記のスク イビングホイールを用いるので、従来と同 深さの垂直クラックを生じさせる場合、ス ライビングホイールに加える荷重を従来よ も軽くでき、これによってスクライビング イールの長寿命化が図れる。また、必要に り、垂直クラックを深くまで生じさせるこ もでき、スクライブ工程だけで基板の切断 行うこともできる。さらには、セラミック 板等の硬い脆性材料基板(硬脆材料)であっ も、スクライブ工程とブレーク工程(割断)に よって切断できる。
 本発明によれば、スクライビングホイール 使ってセラミック基板等の硬脆材料を割段 ることによって、例えば、ダイシングソー よる研削切断の場合の10倍近い速度で、し も乾式で切断することができるので、セラ ック基板等の硬脆材料の切断の生産性と歩 まりを向上させ、生産コストを削減するこ ができ、しかも環境にやさしいセラミック 板等の高脆材料の切断方法を提供すること できる。
 本発明によれば、スクライビングホイール 周辺リッジに所定の深さの溝を所定のピッ で形成することにより、所定の高さの突起 所定のピッチで形成されることになるので セラミック基板等の硬脆材料に当接させて 動させるとき、突起が生起する大きな集中 力により、脆性材料基板(セラミック基板等 の硬脆材料であっても)の厚さ方向の60%以上 伸展する連続した垂直クラックを形成する とができ、ワンパス(one pass)で、脆性材料( ラミック基板等の硬脆材料であっても)を高 率、高い歩留まりで、しかも環境に優しい 式で割断することができる。

本発明に係るスクライビングホイール 一例を示す正面図である。 図1のスクライビングホイールの側面図 である。 溝形状の他の例を示す拡大図である。 稜線長さLと溝深さDの、スクライビン ホイールの走行距離に対する影響を示す図 ある。 本発明のスクライビングホイールを用 たホルダの一例を示す概説図である。 本発明のスクライブ方法を実施するス ライブ装置の正面図である。 図6のスクライブ装置の側面図である。 従来のスクライビングホイールを示す 説図である。

   1  スクライビングホイール
   2  ホルダ
   3  スクライブ装置
   4  基板(脆性材料基板)
   5  スクライブヘッド
  11  刃(外周辺部)
  12  刃先(円周リッジ)
  13  溝
  14  稜線
   D  溝の深さ
   W  溝の幅
   L  溝間の稜線の長さ
   P  溝のピッチ

 以下、本発明に係るスクライビングホイ ルについてより詳細に説明するが、本発明 これらの実施形態に何ら限定されるもので ない。

 本発明に係るスクライビングホイールの一 施形態を図1及び図2に示す。図1はスクライ ングホイールの回転軸方向から見た正面図 あり、図2は側面図である。図2に示すよう 、円盤状のホイールの円周部には、断面略V 形状の刃11が形成されている。
 この刃11の刃先角θは通常は鈍角であって、 具体的角度は、切断する基板の材質や厚み等 から適宜設定されるが、通常は、90°~160°(例 ば、100°~140°)の範囲である。そして、図1に 示すように、この刃11の稜線となる刃先12に 所定間隔に複数のV字状の溝13が形成されて る。ここで刃先12に形成されている複数の溝 13は、ミクロンオーダで意図的に加工された のであり、刃先稜線を形成する研削加工の に必然的に形成される研削条痕とは区別さ るものである。

 本発明のスクライビングホイール1は、そ の外径が1mm~5mmであることが必要である。ホ ールの外径が1mmよりも小さいと、取り扱い 及び耐久性が低下することがあり、外径が5m mより大きいと、スクライブの際に垂直クラ クが基板深く形成されないことがある。よ 好ましいホイール外径は1mm~3mmの範囲である またスクライビングホイールの厚さは0.5mm~1 .2mmが好ましい。スクライビングホイールの さが0.5mmより薄いと、加工性及び取り扱い性 が低下する場合があり、逆に1.2mmより厚いと クライビングホイールの材料及び製造のた のコストが高くなるだけである。より好ま い厚さは0.5mm~1.1mmの範囲である。

 スクライビングホイール1の刃先12に形成 れる溝13は、その深さD(図1に図示)が25μm以 であることが重要である。溝13の深さDを25μm 以上とすることによって、スクライブによっ て基板に形成される垂直クラックを長期間( いスクライビング距離)にわたって十分に深 ものにできる。より好ましい溝の深さDは30 m以上である。溝13の深さDは、通常、加工性 点より、60μm以下とする。

 図1のスクライビングホイールの溝13の形 は三角形であるが、溝形状はこれに限定さ るものではなく、図3に示すような、台形形 状(同図(a))、U字形状乃至半円形状(同図(b))、 形形状(同図(c))等であっても構わない。な 、本発明において溝の深さDとは、稜線14か 溝13の最深部までの距離をいうものとする。

 また、溝間の稜線14の長さL(図1に図示)が2 5μm以上であることも重要である。前記稜線14 の長さLが25μm未満であると、溝13の深さDを25 m以上としても、スクライビングホイールの 命が短い。好ましい溝間の稜線長さLの下限 値は30μmであり、上限値は75μmである。

 溝13の深さDと、溝間の稜線14の長さLとの 係を調べた実験データを図4に示す。この図 は、縦軸として走行距離をとり、横軸として 溝間の稜線の長さLをとって、溝の深さDを変 たスクライビングホイールごとの、溝間の 線の長さLと走行距離との関係を示したもの である。なお、ここでいう「走行距離」とは 、垂直クラックが、基板の厚みの60%以下とな った時までのスクライビングホイールのスク ライブ距離を示すものである。したがって、 走行距離が長いほどスクライビングホイール として優れていることを意味する。試験条件 は次の通りである。

 評価基板:HTCC基板(市販品、厚さ:0.635mm)
 スクライブ速度:100mm/sec
 切り込み設定量:0.15mm
 切断方法:内-内切断(基板の一つの辺の内側 り他の辺の内側までのスクライブによる切 )
 切断方向:一方向スクライブ
 スクライビングホイール形状:直径2.0mm、厚 0.65mm、内径(ピンを貫通させるための貫通口 の開口径)0.8mm、刃先角110°
 溝ピッチ:45~165μm
 溝長さ:25~100μm
 溝間の稜線長さ:10~75μm
 刃先荷重:18N

 走行距離15m以上をスクライビングホイー の選別基準とした場合、図4から明らかなよ うに、溝深さDが15μm、20μmの従来のスクライ ングホイールでは、溝間の稜線の長さLを変 化させても、走行距離が15mを超えることはな かった。これに対し、溝深さDが30μm、50μmの クライビングホイールでは、溝間の稜線の さLが25μm以上の場合、走行距離は15m以上と った。

 刃先12に形成する溝13のピッチP(図1に図示 )は、50μm~200μmの範囲が好ましい。溝13のピッ チPが50μm未満であると、スクライビングホイ ール1の刃先12の摩耗が大きくなり耐久性が低 下するおそれがある。他方、溝13のピッチPが 200μmを超えると、垂直クラックを基板の深く にまで形成できない。より好ましい溝13のピ チPは70~170μmの範囲である。

 また、溝の幅W(図1に図示)の、溝間の稜線 の長さLに対する割合は、例えば、0.5~5の範囲 内から選定することができるが、通常は1.0以 上(特に1.0~3.5)であるのが好ましい。すなわち 、溝の幅Wは、溝間の稜線の長さLと同じ又は れ以上であるのが好ましい。溝の幅Wの、溝 間の稜線の長さLに対する割合をこのような 囲とすることによって前述の走行距離が長 なる。

 本発明のスクライビングホイールは従来 知の方法により作製できる。例えば、スク イビングホイールの好適厚み(例えば0.5~1.2mm )とされた材料基板から、円盤状の原板を切 抜き、この原板の両面円周エッジ部を半径 向外方に向かって厚みが薄くなるように削 込み、円周部に断面V字形状の刃を形成する このとき、刃先角は、前述のように、90°~16 0°(特に100°~140°)の範囲とするのが好ましい そして、刃の稜線となる刃先に、レーザ加 、放電加工、研削加工等の従来公知の加工 法によって溝を形成する。本発明のスクラ ビングホイールは小径で、溝の形成には微 な加工精度が求められることから、上記加 方法のうちレーザ加工が推奨される。使用 るレーザ光発生装置としては、YAG高周波レ ザや炭酸ガスレーザが好ましい。

 スクライビングホイールの材料としては 来公知の材料である焼結ダイヤモンドを用 ることが好ましい。

 本発明のスクライビングホイールの材料 して好適に使用されるダイヤモンド焼結体 、ダイヤモンド粒子と残部の結合相とから 成され、隣り合うダイヤモンド粒子同士が いに結合しているものが好ましい。隣り合 ダイヤモンド粒子同士が互いに結合してい ことにより、優れた耐摩耗性及び強度が得 れる。

 ここで、使用するダイヤモンド粒子は、 の平均粒子径が0.5μm以下のものが好ましい 平均粒子径を小さくするとともに小さいダ ヤモンド粒子の割合を高くすることにより スクライビングホイールの長寿命を実現で る。

 ダイヤモンド粒子の含有量は、通常は、 イヤモンド焼結体全体に対して75vol%~90vol%で あるが、本発明に用いるダイヤモンド焼結体 のダイヤモンド粒子の含有量は、ダイヤモン ド焼結体全体に対して85vol%以上であることが 好ましい。ここでvol%とは、空孔を含むダイ モンド焼結体の全体積に対するダイヤモン 粒子の合計体積の割合をいう。結合相は、 イヤモンド粒子より硬度が小さいので、ダ ヤモンド粒子の含有率を85vol%以上とするこ により、硬度の低下を防ぎ、ダイヤモンド 粒子径を小さくすることで耐衝撃性等の強 や、耐摩耗性が優れたものとなる。

 結合相は、結合材と添加剤とを含む。結 材は、通常は、鉄族元素が好適に使用され 。鉄族元素としては、例えばコバルト、ニ ケル、鉄等が挙げられ、この中でもコバル が好適である。本用途における結合材の含 量は、ダイヤモンド焼結体全体に対して10vo l%~30vol%の範囲が好ましく、特に10vol%~20vol%が ましい。

 添加剤は、例えば、チタン、ジルコニウ 、バナジウム、ニオブ、およびクロムから る群より選ばれる少なくとも1種以上の元素 の炭化物が好適に使用される。

 本発明のスクライビングホイールの材料 して好適に使用されるダイヤモンド焼結体 、例えば、ダイヤモンド粒子、結合材、添 剤を混合した後、この混合物をダイヤモン が熱力学的に安定な高温・超高圧下で焼結 ることにより製造することができる。

 焼結は、超高圧発生装置の金型内で、前 の混合物を、好ましくは、圧力5GPa~8GPa、温 1500℃~1900℃で10分間程度保持することによ 行う。

 以上説明したスクライビングホイールを用 たスクライブ方法について次に説明する。
図5に、スクライビングホイールを取り付け ホルダの概説図を示す。このホルダ2には、 クライビングホイール1がピン21によって支 枠体22に回転自在に支持されている。この ルダ2を、次に説明するスクライブ装置に装 された昇降・加圧機構(エアシリンダ、サー ボモータ等)を有するスクライブヘッドの先 に装着し、スクライブヘッドの昇降・加圧 構によりスクライビングホイール1をガラス 板等の脆性材料基板4に圧接させながら、基 板4の表面上転動させる。これにより、基板4 にスクライブラインSLが形成され、垂直ク ックKが発生する。このときのスクライビン ホイール1にかける荷重及びスクライブ速度 は、基板4の種類や厚み等から適宜決定され が、通常、スクライビングホイール1にかけ 荷重は5~50N(好ましくは15~30N)の範囲、スクラ イブ速度は50~300mm/secの範囲である。そして次 に、不図示のブレーク装置を用いて、例えば 、基板4の、スクライブラインSLが形成された 面と反対側の面から応力を加え、垂直クラッ クKを基板4の反対面まで成長させて基板を切 する。

 本発明のスクライビングホイール1によっ てスクライブ可能な基板4としては、例えば ラス、セラミック、シリコン、サファイア の脆性材料基板が挙げられる。本発明のス ライビングホイールは、硬脆材料(セラミッ 、シリコン、サファイア等のガラスよりも い脆性材料)をスクライブするために特に好 適である。本発明のスクライビングホイール 1によれば、従来のものよりも深い垂直クラ クが得られるので、従来と同じ程度の垂直 ラックを形成するのであれば、スクライビ グホイールにかける荷重を軽くできるので 商品寿命が長くなる。さらには、脆性材料 板としては硬いセラミック基板、シリコン サファイア等の硬脆材料についても、スク イブ工程とブレーク工程からなる切断方式 よって切断できるようになる。特に近年、 信機器関連の高周波モジュールに用いる基 として、HTCC(High Temperature Co-fired Ceramics)か 、比較的加工のしやすいLTCC(Low Temperature Co -fired Ceramics)への移行が加速されており、本 明のスクライブ方法を用いた切断方法は益 有効に用いられる。

 図6及び図7に、スクライブ装置の概説図 示す。図6は、スクライブ装置3の正面図、図 7はその側面図である。図6において、テーブ 31は、水平方向に回転すると共にY方向(図6 の左右方向)に移動する。そのテーブル31の 面には加工対象の基板4が真空吸着によって ーブル31に吸引固定される。その基板4に記 たアライメントマークを一対のCCDカメラ34a, 34bで認識することにより、基板4のセット時 位置ずれが検出される。例えば、基板4が角 θずれていた場合は、テーブル31が-θだけ回 転され、基板4がY方向に+y(図6中で右向きにy) れていた場合は、テーブル31がY方向に-y(図6 中で左向きにy)だけ移動される。テーブル31 上方には、X方向にレール32(図7に図示)が延 し、そのレール32に沿ってスクライブヘッド 5がカッター軸モータ33(図7に図示)によって往 復動する。そのスクライブヘッド5の下部に 、スクライビングホイール1が水平方向のピ 21(図5参照)を軸として回転自在に装着され ホルダ2が垂直方向の軸を回転中心として回 自在に装着されている。

 ホルダ2の下端に装着されているスクライ ビングホイール1を基板4の表面に所定圧で押 (この力をスクライブ荷重という)させた状 で、スクライビングホイール1と、水平に配 された基板4とを、水平面内で相対的に移動 させることにより、基板4の上面にスクライ ラインを形成することができる。例えば、 クライブヘッド5をX方向に移動させることに より、基板4の上面にX方向のスクライブライ が刻まれ、テーブル31をY方向に移動する毎 このスクライブ動作を繰り返すことにより X方向のスクライブラインが次々と刻まれる 。次に不図示の駆動源によってテーブル31を9 0°旋回させてから同じようなスクライブ動作 を行うことによって今度は前の工程で形成さ れた各スクライブラインに対して直交する方 向のスクライブラインが刻まれる。スクライ ビングホイール1を基板4の表面に所定圧で押 させた状態で、テーブル31をY方向に移動さ ることにより、基板4の上面にY方向のスク イブラインを形成させることもできる。

 その後、スクライブラインが形成された 板は、ブレーク装置によって、スクライブ インが形成された面と反対側の面に応力が えられ、これによって、垂直クラックが基 の反対面まで成長して基板は切断される。 た、スクライブ工程によって深い垂直クラ クを形成した場合には、ブレーク装置を必 とすることなく、スクライブ工程のみで基 は切断される。

 本発明のスクライビングホイールは、乾 で(冷却・洗浄液を使わずに)刃先の摩耗が なく長寿命で、また必要により深い垂直ク ックを生じさせることもでき、さらにはセ ミック基板(例えば、HTCC基板、LTCC基板)、シ コン、サファイア等の比較的硬い脆性材料 板(硬脆材料)をスクライブしても、刃先の 耗が少なく、所定深さの垂直クラックを長 間(長いスクライビング距離)にわたって生じ させることができ有用である。




 
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