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Title:
SEALING DEVICE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/126866
Kind Code:
A1
Abstract:
A sealing device in which a good lubricating oil film is formed along the entire circumference of a sliding surface. The sealing device (1) is fitted in an annular groove formed in either of two elements that are a housing having a shaft hole and a shaft inserted through the shaft hole, and the sealing device (1) seals an annular gap between the two elements. The sealing device (1) has a seal ring (2) sliding against the other element by relative axial movements of the two elements. In the seal ring (2), on each of axially opposite ends of a sliding surface (20) sliding against the other element, there are formed grooves (22) extending from an end surface (21) of the seal ring (2) toward the axial center of a sliding surface (20). Further, in the seal ring (2), the boundary between each groove (22) and the sliding surface (20) is formed only by lines inclined relative to the direction of sliding of the sliding surface (20), and grooves (23) are circumferentially adjacently arranged in the seal ring (2) so that regions each having the boundary formed by the inclined lines are continuous along the entire circumference of the sliding surface (20).

Inventors:
MAEDA TOSHIYUKI (JP)
ABE YOSHIYUKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/057019
Publication Date:
October 23, 2008
Filing Date:
April 09, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NOK CORP (JP)
MAEDA TOSHIYUKI (JP)
ABE YOSHIYUKI (JP)
International Classes:
F16J9/20; F16J9/26; F16J15/18; F16J15/26
Foreign References:
JPH0743672U1995-09-05
JPS62200044A1987-09-03
JPS62856U1987-01-07
JPS6455364U1989-04-05
JPH0284061U1990-06-29
Attorney, Agent or Firm:
SERA, Kazunobu et al. (4-10 Higashi Nihonbashi 3-chom, Chuo-ku Tokyo 04, JP)
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Claims:
 軸孔を有するハウジングと前記軸孔に挿入される軸のうちの一方の部材に設けられた環状溝に装着されて、これら2部材間の環状隙間を密封する密封装置であって、
 前記2部材の軸方向の相対運動によって他方の部材と摺動するシールリングを備えた密封装置において、
 前記シールリングは、前記他方の部材との摺動面の軸方向両端部に、前記シールリングの端面から前記摺動面の軸方向中央側に向かって延びる溝が、それぞれ複数形成され、
 前記溝と前記摺動面との境界線を、前記摺動面の摺動方向に対して傾斜した線のみで構成するとともに、
 前記境界線が傾斜した線で構成される領域が前記摺動面の全周に渡って連続するように、複数の前記溝が周方向に隣接して設けられていることを特徴とする密封装置。
 前記摺動面は、一方の端部に形成される溝と他方の端部に形成される溝との間に凹部を備えることを特徴とする請求項1に記載の密封装置。
 前記溝は、軸方向に対して傾斜して延びる傾斜溝であり、
 周方向に隣接する傾斜溝の一方の傾斜溝と他方の傾斜溝との間に、軸方向にみた場合に重なり合う部分が形成されるように、前記一方の傾斜溝と前記他方の傾斜溝とが隣接していることを特徴とする請求項1または2に記載の密封装置。
 前記溝は、楔状溝であり、前記摺動面の全周に渡って連続して設けられることを特徴とすることを特徴とする請求項1または2に記載の密封装置。
 前記摺動面の軸方向の幅が、全周に渡って変化しないことを特徴とする請求項4に記載の密封装置。
Description:
密封装置

 本発明は、油圧シリンダ等に使用される 封装置に関するものである。

 従来、油圧シリンダとピストンとの間に 、図15に示すような密封装置が用いられて る。図15は、従来技術に係る密封装置の模式 的半断面図である。

 密封装置100は、シリンダ200の内周面201と ストン300の外周面301との間の環状隙間400を 封するものであり、ピストン300の外周面301 形成された環状溝302に装着される。密封装 100は、シリンダ200の内周面201に摺動接触す 樹脂製のシールリング101と、シールリング1 01と環状溝302の溝底303との間に装着され、シ ルリング101に拡張力を付与する弾性リング1 02とから構成される。

 このような密封装置においては、シール ング101とシリンダ200の内周面201との摺動面 潤滑油による油膜が形成されることで、摺 面における摩耗、摺動抵抗の低減や、異音 スティックリップ、発熱等の発生防止が図 れている。

 そして、このような潤滑油膜の形成をより 実にし、また、潤滑油膜をより長期的に維 するため、シールリングの摺動面に潤滑油 導入するための溝を設けたものが、例えば 特許文献1及び2に記載されている。

特開2001-304413号公報

実開平07-043672号公報

 しかしながら、特許文献1に記載されてい る技術は、シリンダ内周面と軸受部材表面と の摺動面に密封対象側と反密封対象側とを連 通する溝を設けるものであり、シール性が要 求される箇所へ適用することができない。

 また、特許文献2に記載されている技術は 、摺動面の溝を密封対象側と反密封対象側と が連通しないように設けているものの、溝に よる潤滑油膜の形成が摺動面全周をカバーで きずに十分な効果が得られない場合がある。

 本発明は上記の従来技術の課題を解決す ためになされたもので、その目的とすると ろは、摺動面の全周に渡って良好な潤滑油 を形成することができる密封装置を提供す ことにある。

 上記目的を達成するために、本発明におけ 密封装置は、
 軸孔を有するハウジングと前記軸孔に挿入 れる軸のうちの一方の部材に設けられた環 溝に装着されて、これら2部材間の環状隙間 を密封する密封装置であって、
 前記2部材の軸方向の相対運動によって他方 の部材と摺動するシールリングを備えた密封 装置において、
 前記シールリングは、前記他方の部材との 動面の軸方向両端部に、前記シールリング 端面から前記摺動面の軸方向中央側に向か て延びる溝が、それぞれ複数形成され、
 前記溝と前記摺動面との境界線を、前記摺 面の摺動方向に対して傾斜した線のみで構 するとともに、
 前記境界線が傾斜した線で構成される領域 前記摺動面の全周に渡って連続するように 複数の前記溝が周方向に隣接して設けられ いることを特徴とする。

 このように、溝と摺動面との境界線を摺 方向に対して傾斜した線のみで構成するこ によって、溝に導かれた潤滑油は、2部材の 相対運動により、摺動面の縁部に対して斜め に侵入することになる。これにより、潤滑油 が摺動面に侵入する際の抵抗が低減され、潤 滑油膜を良好に形成することができる。

 ここで、摺動面に発生する面圧は、摺動 の端部において最も高くなり、その面圧分 形状は、摺動面の端部において縁部から内 に向かって急激に上昇する急勾配の斜面が 成されたような形状となる。そのため、摺 面の縁部に対して直交する方向に侵入する 滑油は、係る斜面を急勾配で真っ直ぐに登 ような抵抗を受けることになる。一方、潤 油が摺動面の縁部に対して斜めに侵入する 合には、潤滑油が受ける抵抗は急勾配の斜 を斜めに登る、すなわち、緩い勾配で斜面 るような抵抗となるため、潤滑油の摺動面 対する侵入抵抗が低減される。

 したがって、より多くの潤滑油を摺動面 送り込み易くなり、より厚い潤滑油膜を形 することができる。

 また、溝に導かれた潤滑油が摺動面の縁 に対して斜めに侵入する領域が、周方向に 続することになるため、潤滑油の侵入抵抗 摺動面全周に渡って低減される。したがっ 、摺動面全面に渡って良好な潤滑油膜の形 が可能となる。

 前記摺動面は、一方の端部に形成される と他方の端部に形成される溝との間に凹部 備えてもよい。

 かかる凹部を設けることで、2部材の相対 運動のストロークが短い場合でも、効率よく 油膜を形成することが可能となる。すなわち 、一度目のストロークで一方の端部の溝から 凹部まで達した潤滑油は凹部で一旦保持され 、二度目のストロークでさらに他方の端部側 に向かって移動することになり、ストローク が短い場合でも摺動面の一方側から他方側ま で油膜を行き渡らせることができる。

 前記溝は、軸方向に対して傾斜して延びる 斜溝であり、
 周方向に隣接する傾斜溝の一方の傾斜溝と 方の傾斜溝との間に、軸方向にみた場合に なり合う部分が形成されるように、前記一 の傾斜溝と前記他方の傾斜溝とが隣接して るのもよい。

 溝をかかる傾斜溝とすることで、潤滑油 摺動面の縁部に対して斜めに侵入させるこ ができる。

 また、周方向に隣接する溝同士を、周方 において部分的にオーバーラップさせるこ で、溝に導かれた潤滑油が摺動面の縁部に して斜めに侵入する領域が、周方向に連続 る構成となる。これにより、摺動面全周に って潤滑油の侵入抵抗が低減され、良好な 滑油膜の形成が可能となる。

 前記溝は、楔状溝であり、前記摺動面の 周に渡って連続して設けられてもよい。

 溝を楔状溝とすることで、潤滑油を摺動 の縁部に対して斜めに侵入させることがで る。また、溝に導かれる潤滑油が徐々に狭 空間に押し込められるようになるので、楔 果によって摺動面の面圧を低減することが きる。

 また、かかる楔状溝を連続して設けるこ で摺動面の縁部は鋸歯形状となるため、摺 面の全周に渡って潤滑油が摺動面の縁部に して斜めに進入する構成となる。したがっ 、摺動面全周に渡って潤滑油の侵入抵抗が 減され、良好な潤滑油膜の形成が可能とな 。

 前記摺動面の軸方向の幅が、全周に渡っ 変化しないようにするとよい。

 これにより、シールリングの摺動幅が周 向に一定となって、断面ボリュームが周方 に均一となることにより、シールリングの 度の均一化・安定化が図られる。したがっ 、強度不均一による破損の発生が抑制され 。また、軸方向の摺動幅がいずれの断面に いても一定となることで、異物による摺動 上の貫通傷の発生が抑制され、シール性の 定化が図られる。

 以上説明したように、本発明により、摺 面の全周に渡って良好な潤滑油膜を形成す ことができる。

実施例1に係る密封装置の構成を示す模 式図である。 実施例1に係る密封装置の模式的斜視図 である。 実施例1に係る密封装置の装着状態を示 す模式的半断面図である。 実施例1に係る密封装置のシールリング の外周面の構成を示す模式図である。 シールリングの摺動面に形成される面 分布を模式的に示した図である。 実施例2に係る密封装置の構成を示す模 式図である。 実施例2に係る密封装置の模式的斜視図 である。 試験装置の概略構成を示す模式図であ 。 シールリングの摺動抵抗を比較した図 である。 シールリングの到達温度を比較した図 表である。 受圧面積と到達温度との関係を説明す る図表である。 実施例3に係る密封装置の構成を示す 式図である。 実施例4に係る密封装置のシールリン の外周面の構成を示す模式図である。 変形例に係る密封装置の模式的半断面 図である。 従来技術に係る密封装置の模式的半断 面図である。

符号の説明

 1   密封装置
 2   シールリング
 20 外周面
 21 側面
 22 溝
 23 楔状溝
 24 凹部
 3   弾性リング
 4   ハウジング
 40 内周面
 5   軸
 50 環状溝
 51 側面
 52 溝底
 6   環状隙間

 以下に図面を参照して、この発明を実施 るための最良の形態を、実施例に基づいて 示的に詳しく説明する。ただし、この実施 に記載されている構成部品の寸法、材質、 状、その相対配置などは、特に特定的な記 がない限りは、この発明の範囲をそれらの に限定する趣旨のものではない。

 (実施例1)
 まず、図1~図3を参照して、本発明の実施例 係る密封装置の概略構成について説明する 図1は、本実施例に係る密封装置の構成を示 す模式図であり、(a)は軸方向からみた様子を 示しており、(b)は(a)のAA断面図であり、(c)は( a)のB矢視図である。図2は、本実施例に係る 封装置の模式的斜視図である。図3は、本実 例に係る密封装置の装着状態を示す模式的 断面図であり、(a)は無圧時の状態を示し、( b)は加圧時の状態を示す。

 本実施例に係る密封装置1は、例えば、油 圧シリンダにおけるピストン用の密封装置と して用いられるものであり、シールリング2 弾性リング3とから構成されている。密封装 1は、軸穴を有するハウジング(シリンダ)4と 該軸穴に挿入される軸(ピストンやロッド等)5 との間の環状隙間6を密封すべく、軸5の外周 に設けられた環状溝50に装着される。

 シールリング2は、断面略矩形の環状部材 であり、環状溝50の開口部側に配置される。 して、シールリング2の外周面20がハウジン 4の内周面40と摺動接触することでハウジン 4に対するシール面が形成される。また、油 圧OPがかかると、シールリング2が環状溝50の 油圧側に押し込められることにより、シー リング2の反油圧側の側面(端面)21が環状溝50 の側面51に密着して、軸5に対するシール面が 形成される。

 シールリング2の材料としては、摺動材と して一般的に広く使用される四フッ化エチレ ン(PTFE)の他、ポリアミド(PA)、ポリエーテル ーテルケトン(PEEK)、ポリファニレンサルフ イド(PPS)、ポリアセタール(POM)等の汎用の熱 塑性エンジニアリング樹脂全般を用いるこ が可能である。

 弾性リング3は、二トリルゴム等のゴム材 料からなる断面略円形の環状部材であり、シ ールリング2と環状溝50の溝底52との間に圧縮 て装着される。そして、弾性復元力によっ シールリング2をハウジング4側に付勢し、 ールリング2とハウジング4との密着性を高め ている。なお、弾性リング3の断面形状は円 に限定されるものではなく、種々の形状を 宜採用し得る。

 シールリング2は、ハウジング4の内周面40 との摺動面である外周面20に複数の溝22が形 されている。溝22は、シールリング2の側面21 から外周面20の内側(軸方向中央側)に向かっ 延びる傾斜溝である。溝22は、外周面20の軸 向両側(両端部)にそれぞれ設けられており その深さは、径方向に外周面20の端部から中 央部の手前まで延びた構成となっている。

 次に、図4及び図5を参照して、本実施例 係る密封装置1の特徴的な構成である外周面2 0に設けられた溝22について詳しく説明する。 図4は、本実施例に係る密封装置1のシールリ グ2の外周面20の構成を示す模式図である。 5は、シールリングの摺動面において形成さ れる面圧分布を模式的に示した図である。な お、溝22は、外周面20の両端部にそれぞれ同 の構成で軸方向に対称的に設けられるもの あり、以下の説明では、一方の端部の溝に いてのみ説明し、他方の端部の溝について 説明を省略する。

 溝22は、ハウジング4の内周面40とシール ング2の外周面20との摺動部分に潤滑油を介 させ易くするべく設けられるものであり、 ールリング2の側面21から外周面20の中央側に 向かって、軸方向に対して傾斜した方向に延 びている。

 溝22と外周面20との境界線、すなわち、溝 22が設けられている部分における外周面20の 部20a、20b、20cは、全て軸方向(シールリング2 の摺動方向C)に対して傾斜した線で構成され おり、これにより、溝22に導かれた潤滑油 、シールリング2の摺動によって外周面20の 部20a、20b、20cに対して斜めの角度で侵入す ことになる(矢印D)。したがって、潤滑油が 周面20に侵入する際の抵抗が低減され、潤滑 油膜を良好に形成することが可能となる。

 すなわち、シールリングSの摺動面(外周 )に発生する面圧は、図5に示すように、摺動 面S1の両端部(端面S2側)で最も高くなり、その 面圧分布形状Pは、摺動面S1の端部において縁 から最大面圧Pmaxまで急激に上昇する急勾配 斜面P1が形成されたような形状となる。

 したがって、摺動面S1の縁部S3がシールリ ングSの摺動方向(矢印E)に対して直交する場 には、潤滑油は摺動面S1の縁部S3に対して直 する方向に侵入することになり、斜面P1を 勾配で真っ直ぐ登るような抵抗を受けるこ になる(矢印F)。

 一方、潤滑油が摺動面Sの縁部S3に対して めに侵入する場合には、潤滑油が受ける抵 は、急勾配の斜面P1を斜めに登る(矢印G)、 なわち、斜面P1を緩い勾配で登るような抵抗 となり、潤滑油の摺動面に対する侵入抵抗が 低減される。

 したがって、図4に示すように、溝22に導 れた潤滑油の外周面(摺動面)20に対する侵入 角度が、縁部20a、20b、20cに対して直交しない で傾斜するように構成することで、潤滑油の 侵入抵抗を低減し、より多くの潤滑油を外周 面20に送り込み易くしている。これにより、 ウジング4の内周面40とシールリング2の外周 面20との間に厚い潤滑油膜を介在させること 可能となる。

 また、周方向に隣接する溝22aと溝22bとの には周方向におけるオーバーラップ部分Hが 形成されるように構成されている。すなわち 、溝22aにおいて最も溝22b側の部分(溝22aの入 側部分)と、溝22bにおいて最も溝22a側の部分( 溝22bの奥側部分)とが、周方向に部分的に互 違いな配置となるように、言い換えると、 接する溝22aと溝22bのうち一方の溝22aの外周 20との境界線上のいずれかの一点から軸方向 (摺動方向)に延長した仮想線上に、他方の溝2 2bの外周面20との境界線が存在するように、 22aと溝22bとが隣接しており、軸方向に見た( 影した)場合に重なり合う部分(オーバーラ プ部分H)が形成されている。

 このように隣接する溝同士の間にオーバ ラップ部分を設けることで、溝22に導かれ 潤滑油が外周面20の縁部に対して斜めに侵入 する領域が、外周面20の周方向に全周に渡っ 連続することになる。したがって、外周面2 0全周に渡って潤滑油の侵入抵抗が低減され 良好な潤滑油膜を外周面20全周に渡って形成 することが可能となる。

 (実施例2)
 次に、本発明の実施例2に係る密封装置につ いて、図6及び図7を参照して説明する。図6は 、本実施例に係る密封装置の構成を示す模式 図であり、(a)は軸方向からみた様子を示して おり、(b)は(a)のII断面図であり、(c)は(a)のJ矢 視図である。図7は、本実施例に係る密封装 の模式的斜視図である。なお、上記実施例1 共通する構成については同じ符号を付して の説明を省略し、異なる点についてのみ説 する。

 本実施例に係る密封装置1´では、シール ング2の外周面20に形成される溝が楔状溝23 なっている。すなわち、楔状溝23は、シール リング2の側面21から外周面20の内側(軸方向中 央側)に向かって溝幅が徐々に狭くなるよう 構成されており、その深さは、径方向に外 面20の端部から中央部の手前まで延びている 。

 また、図6及び図7に示すように、隣接す 楔状溝23は、周方向に隙間なく連続的に設け られており、楔状溝23と外周面20との境界線 すなわち、外周面20の縁部は鋸歯形状となっ ている。したがって、外周面20の縁部は、全 軸方向(シールリング2の摺動方向)に対して 斜した線で構成され、潤滑油の侵入抵抗が 周面全周に渡って低減される。

 また、潤滑油が、楔状溝23によって形成 れる摺動方向に徐々に狭くなる空間に押し められることにより、ハウジング4とシール ング2との間に互いに離れる向きに作用する 力が発生し、ハウジング4の内周面40とシール リング2の外周面20との間の面圧が低減される (楔効果)。その結果、シールリング2の外周面 20の面圧勾配が低減され、ハウジング4とシー ルリング2との間に適度な潤滑油膜を介在さ ることが可能となる。

 ここで、楔状溝23によって発揮される楔 果は、各楔状溝23と外周面20との間の二つの 界線がなす角度が小さい程、すなわち、楔 溝23の楔形状の先端角がより鋭角になる程 きくなり、面圧勾配低減の効果を高めるこ ができる。

 また、外周面20の面積が小さくなると、 なわち、ハウジング4の内周面40との接触面 が小さくなると、面圧が大きくなってしま ので、楔状溝23の軸方向の深さ(長さ)を浅く( 短く)して、外周面20の面積を必要以上に小さ くしないことが好ましい。

 (潤滑改善効果の検証)
 ここで、実施例2の潤滑特性の改善効果につ いて、図8~図11を参照して、従来品と対比し 試験結果に基づいて検証する。図8は、試験 置の概略構成を示す模式図である。図9は、 シールリングの摺動抵抗を比較した図表であ る。図10は、シールリングの到達温度を比較 た図表である。図11は、受圧面積と到達温 との関係を説明する図表である。

 図8に示すように、試験装置は、シリンダ 4aと、不図示の駆動シリンダに連結されると もにシリンダ4a内部を軸方向に往復動でき ように構成されたピストン5aと、を備えてお り、ピストン5a外周面の両端に設けられた環 溝に評価サンプルとしてのシールリング2a 2bがそれぞれ装着される。また、2つのサン ルの間にはウェアリング7が装着されるとと に、圧力がホース8を介しピストン5aの内部 通り2つのサンプルの間に加えられるような 構成となっている。符号9はロードセル、符 10はシリンダ4aの壁面温度を測定する壁温測 部である。

 2つのサンプル間を所定(10MPa、30MPa等)の一 定圧力で加圧し、密封装置2a、2bに圧力が作 している状態でピストン5aを駆動シリンダに よって往復動させ、密封装置2a、2bをシリン 4a内周面に対して摺動させる。

 到達温度の測定は、ピストン5aの往復動 よる発熱でシリンダ4aの壁温が上昇し、その 上昇がサーチュレートしたときの温度(発熱 放熱が平衡状態となったときの温度)を到達 度として測定を行った。

 また、摺動抵抗の測定は、ピストン5aの 復動に要する荷重をロードセル9にて測定し その波形から摺動抵抗を採取することで測 を行った。

 実施例2におけるシールリング2に対応す もの、すなわち、シールリングの外周面(摺 面)の軸方向両端に楔状溝を連続して形成し たものを実施例品とし、楔状溝を形成してい ない従来技術に係る断面矩形のシールリング を従来品1とし、シールリング外周面の軸方 両端がテーパ面となっているシールリング 従来品2として、到達温度や摺動抵抗等の各 の値をそれぞれ比較した。

 図9に示すように、摺動抵抗については、 従来品1が438kgf、従来品2が375kgfであるのに対 、実施例品は273kgfとなっている。すなわち 楔状溝を設けることにより、従来品1に対し ては37%、従来品2に対しては14%、摺動抵抗が 減されている。したがって、従来品2のよう テーパ面を設けるよりも、実施例品のよう 楔状溝を設けた方が、溝等を何ら設けない 来品1に対して摺動抵抗が大幅に低減される ことがわかる。ここで、試験条件は、往復動 の速度を100mm/sec、2つのサンプル間の圧力を30 MPa、ストローク長を100mmとしている。また、 の試験では、シリンダの摺動部(内周面)に 力近い部分の外周面(外壁)の温度が100℃で一 定に保たれるようにして試験装置を作動させ た。具体的には、シリンダの外周側から内周 側に貫通する一方手前(1mm程度)までドリルで をあけ、その中に温度センサである熱電対 埋め込むとともに、熱電対の測定温度が100 となるようにヒーターで加熱・制御して、 リンダの摺動面近傍における温度が100℃一 となるようにした。

 図10に示すように、2つのサンプル間の圧 を10MPaとした場合の到達温度については、 来品1が87℃であるのに対し、従来品2は76℃ 実施例品は75℃となっており、従来品1に対 て12℃低くなっている。また、2つのサンプ 間の圧力を30MPaとした場合の到達温度につい ては、従来品1が126℃であるのに対し、実施 品は102℃となっており、従来品1に対して24 低くなっている。すなわち、実施例品の方 、従来品1と比べて摺動による発熱の影響を けにくいということがわかる。また、従来 1に対する到達温度の低減率は、10MPaのとき りも30MPaのときの方が大きいことから、特 高圧用途での使用に好適であることもわか 。ここで、試験条件は、往復動の速度を50mm/ sec、ストローク長を100mmとしている。

 図11に示すように、実施例品は、従来品2 りも、接触面積及び有効受圧面積が大きく 従来品1に対する受圧面積低減率が従来品2 りも小さいものの、到達温度が従来品2と同 ベルとなっている。すなわち、受圧面積低 率が小さいのにもかかわらず、到達温度低 率が同等であることから、実施例品のよう 楔状溝を設けた方が、従来品2のようなテー パ面を設けるよりも、潤滑改善効果が大きい ものと推測することができる。

 (実施例3)
 次に、図12を参照して、本発明の実施例3に る密封装置について説明する。図12は、本 施例に係る密封装置と実施例2に係る密封装 との構成の違いを説明する図であって、(a) 実施例2に係る密封装置の断面構成及びシー ルリングの外周面の構成を示す模式図であり 、(b)は(a)のKK断面あり、(c)は(a)のLL断面であ 、(d)は実施例3に係る密封装置の断面構成及 シールリングの外周面の構成を示す模式図 あり、(e)は(d)のMM断面であり、(f)は(d)のNN断 面であり、(g)は(d)のOO断面である。なお、こ で述べる断面とは、密封装置を軸線を含む で切った断面であり、以下同様である。

 図12(a)に示すように、実施例2に係る密封 置では、シールリング2の外周面に形成され る楔状溝23において、外周面20の軸方向一方 に設けられる楔状溝23aと、他方側に設けら る楔状溝23bとが、軸方向に対称的な配置、 なわち、周方向に隣接する楔状溝との境目 び楔形状の頂部の周方向の位置が同じにな ような配置となっている。したがって、摺 面(外周面20)の軸方向の幅が周方向に変化し シールリング2の断面ボリュームが周方向に 変化する構成となっている。

 すなわち、図12(b)に示すように、周方向 隣接する楔状溝との境目における断面では 摺動面(外周面20)がシールリング2の幅寸法( 周面の軸方向長さ)まで形成されており、摺 幅Waが最大となっている。また、ことのき シールリング2の断面ボリュームも最大とな 。また、図12(c)に示すように、楔状溝の楔 状の頂部における断面では、摺動面が一方 楔状溝23aと他方の楔状溝23bの頂部間で形成 れ、摺動幅Wbが最小となっている。このとき のシールリング2の断面ボリュームが最小と る。

 一方、本実施例に係る密封装置では、シ ルリング2の外周面に形成される楔状溝23に いて、外周面20の軸方向一方側に設けられ 楔状溝23aと、他方側に設けられる楔状溝23b を互い違いにずらしたような構成、すなわ 、一方の楔状溝の頂部の周方向の位置と、 方の楔状溝における隣接する楔状溝との境 の周方向の位置とが一致するような配置と っている。したがって、図12(d)に示すように 、本実施例では、摺動面が周方向に蛇行する ような形状を呈し、図12(e)~図12(g)に示すよう 、摺動面の軸方向の幅Wcが周方向に常に一 となる構成となっている。また、シールリ グ2の断面ボリュームも周方向に一定となっ いる。

 本実施例では、シールリング2の摺動幅Wc 周方向に一定にし、断面ボリュームが周方 に変化せずに均一となるようにすることで シールリング2の強度の均一化・安定化を図 り、強度不均一による破損の発生を抑制した 構成となっている。また、軸方向の摺動幅Wc いずれの断面においても一定とすることで 異物による摺動面上の貫通傷の発生の抑制 、シール性の安定化を図った構成となって る。

 (実施例4)
 次に、本発明の実施例4に係る密封装置につ いて、図13を参照して説明する。図13は、本 施例に係る密封装置のシールリングの外周 の構成を示す模式図である。なお、上記実 例と共通する構成については同じ符号を付 てその説明を省略し、異なる点についての 説明する。

 本実施例に係る密封装置1´´は、実施例1 係る密封装置1のシールリング2において、 周面20の一方の端部に形成される溝22と他方 端部に形成される溝22との間の領域に、凹 24を形成した構成となっている。

 このように、凹部24を設けることにより ハウジング4と軸5の軸方向の相対運動のスト ロークが短い場合でも、効率よく油膜を形成 することが可能となる。すなわち、一度目の ストロークで一方の端部の溝22から凹部24ま 達した潤滑油は凹部24で一旦保持され、二度 目のストロークでさらに奥に(他方の端部側 )移動することになり、ストロークが短い場 でも外周面20の一方側から他方側まで油膜 行き渡らせることができる。

 なお、係る凹部24は、上記各実施例に係 密封装置に適用しても同様の効果を得るこ ができる。

 また、以上の説明において、各実施例に る密封装置を、軸の外周に設けられた装着 に装着されて使用されるものとして説明し が、これに限られず、ハウジングの軸孔に けられた装着溝に装着されて、軸の外周面 摺動接触するものであってもよい。

 上記各実施例に係る密封装置によれば、 述したように摺動面の潤滑性が向上される とにより、シールリングの材料の選択の幅 拡がる。すなわち、摺動材として従来では 本的に採用されることのなかったポリアミ 等の汎用のエンジニアリング樹脂材料(以下 、PA等)をシールリング2の材料として採用す ことが可能となる。

 摺動特性に優れ、最も広く使用されてい 四フッ化エチレン(以下、PTFE)に対し、PA等 、摺動性の面では劣るものの、原料単価が いため、シールリングの材料費を安く抑え ことが可能となる。

 また、高圧用途においてPTFEを採用する場 合には、シールリング20が環状隙間6にはみ出 してしまうのを防止するために、PA等からな バックアップリングを併用する必要がある 、PTFEに対して弾性の高いPA等であれば、シ ルリングとバックアップリングの機能とを ねることができるため、高圧用途において バックアップリングなしで単独で使用する とができ、部材点数の削減を図ることもで る。

 さらに、製作面においても、PTFEは圧縮成 形で素材を作った後に切削等によって残りの 形状を加工する必要があるのに対し、PA等は 出成形によって少ない工程で大量生産する とが可能である。したがって、製造工程の 減を図ることができるとともに、上述のよ に材料費が安くなることで、製造コストの 幅な低減を図ることが可能となる。

 (変形例)
 本発明の変形例に係る密封装置について、 14を参照して説明する。図14(a)~(c)は、本発 の各種変形例に係る密封装置の構成を示す 式的半断面図である。

 上記各実施例では、密封装置の構成とし 略矩形断面のシールリングと円形断面の弾 リングとを組み合わせた構成を採用してい が、係る構成に限定されるものではない。 たがって、密封装置の構成としては、例え 、図14(a)に示すような矩形断面のいわゆる リング3aや、図14(b)に示すような略D字形状断 面のいわゆるDリング3b等をシールリングの付 勢部材として組み合わせた構成を採用するこ ともできる。

 また、図14(c)に示すように、略T字形状の 形断面に構成された弾性リング3cと、シー リング2と弾性リング3cの軸方向両側にそれ れ配置されて環状隙間へのシールリング2の み出しを防止するためのバックアップリン 7とを組み合わせた構成等も採用することが できる。

 また、本発明の適用範囲としては、上記 実施例のような、往復動用の密封装置とし の用途に限られるものではなく、例えば、 復動用の樹脂製のウエアリングや金属製の 受等に適用しても、上記実施例と同様の効 が得られることはいうまでもない。




 
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