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Title:
SELECTIVELY LIGHT-TRANSMITTING FILTER
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/081892
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a sufficiently thin selectively light-transmitting filter having excellent heat resistance, which selectively blocks light, while having a high transmittance to specific wavelengths such as those of visible light. Also disclosed is a lens unit comprising such a selectively light-transmitting filter. Specifically disclosed is a selectively light-transmitting filter having a thickness less than 200 μm, which selectively reduces light transmittance. The selectively light-transmitting filter is characterized in that the base of the filter includes a functional film having reflow resistance. Also specifically disclosed is a lens unit comprising such a selectively light-transmitting filter and a lens.

Inventors:
MATSUMOTO AI (JP)
HIRAUCHI TATSUSHI (JP)
NAKAMURA JUNICHI (JP)
TSUJINO YASUNORI (JP)
SATO SHINPEI (JP)
ANDO KEIKO (JP)
MATSUI YOKO (JP)
TAJIRI KOZO (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/075182
Publication Date:
July 10, 2008
Filing Date:
December 27, 2007
Export Citation:
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Assignee:
NIPPON CATALYTIC CHEM IND (JP)
MATSUMOTO AI (JP)
HIRAUCHI TATSUSHI (JP)
NAKAMURA JUNICHI (JP)
TSUJINO YASUNORI (JP)
SATO SHINPEI (JP)
ANDO KEIKO (JP)
MATSUI YOKO (JP)
TAJIRI KOZO (JP)
International Classes:
G02B5/22; G02B13/00
Foreign References:
JP2006330128A2006-12-07
JP2004139035A2004-05-13
JP2005243509A2005-09-08
JP2004361724A2004-12-24
JP2005338395A2005-12-08
JP2006220873A2006-08-24
JP2005223242A2005-08-18
JP2007078786A2007-03-29
JP2006030944A2006-02-02
JP2005338395A2005-12-08
JP2005309210A2005-11-04
JP2006018253A2006-01-19
Other References:
See also references of EP 2103967A4
Attorney, Agent or Firm:
YASUTOMI, Yasuo et al. (5-36 Miyahara 3-chome, Yodogawa-ku, Osaka-sh, Osaka 03, JP)
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Claims:
光の透過率を選択的に低減する光選択透過フィルターであって、
該フィルターは、厚みが200μm未満であることを特徴とする光選択透過フィルター。
前記光選択透過フィルターは、基材が耐リフロー性機能フィルムを含んで構成されることを特徴とする請求項1に記載の光選択透過フィルター。
前記光選択透過フィルターは、基材の両面が機能性材料により積層された構造を持つことを特徴とする請求項1又は2に記載の光選択透過フィルター。
前記光選択透過フィルターは、基材として、フッ素化芳香族ポリマー、多環芳香族ポリマー、ポリイミド樹脂、含フッ素高分子化合物、エポキシ樹脂及びガラスフィルムからなる群より選ばれる少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の光選択透過フィルター。
前記光選択透過フィルターは、120℃未満で機能性材料を基材に積層させた構造を持つことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の光選択透過フィルター。
前記光選択透過フィルターは、機能性材料積層時に、機能性材料積層部位の周囲に機能性材料の非積層部位を形成し、基材に機能性材料を積層させた構造を持つことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の光選択透過フィルター。
前記光選択透過フィルターは、加熱処理を行った耐リフロー性機能フィルムを含むことを特徴とする請求項2~6のいずれかに記載の光選択透過フィルター。
前記光選択透過フィルターは、耐リフロー性機能フィルムを基材とし、該基材の少なくとも一方の面に、光選択透過層が形成されてなることを特徴とする請求項2~7のいずれかに記載の光選択透過フィルター。
前記光選択透過層は、誘電体多層膜からなる赤外カット層であることを特徴とする請求項8記載の光選択透過フィルター。
請求項1~9のいずれかに記載の光選択透過フィルターとレンズとを備えることを特徴とするレンズユニット。
前記レンズユニットは、アッベ数が50以上のレンズを一つ以上有することを特徴とする請求項10記載のレンズユニット。
前記レンズは、厚みが1mm未満であることを特徴とする請求項10又は11記載のレンズユニット。
Description:
光選択透過フィルター

本発明は、光選択透過フィルターに関する 。より詳しくは、レンズユニット等の光学用 途やオプトデバイス用途に有用であり、その 他、表示デバイス用途、機械部品、電気・電 子部品等として用いることができる光選択透 過フィルターに関する。

光選択透過フィルターは、例えば、機械部 品、電気・電子部品、自動車部品等として有 用であり、特に光学部材として好適に用いら れるものである。例えば、カメラモジュール においては、光学ノイズとなる赤外線(特に 長>800nm)を遮断し、反対波より吸収波の方 小さくなるように、赤外線を遮断(カット) るフィルターが用いられている。現在は、 ラスフィルターに金属等を蒸着させ無機多 膜とし、各波長の屈折率を制御した赤外線 断ガラスが用いられている。近年、光学部 等においては、例えば、デジタルカメラモ ュールが携帯電話に搭載されるなど小型化 進み、光学部材の小型化が一層求められて る。それにともなって、デジタルカメラモ ュール等に用いられる赤外線をカットする ィルターや、レンズ等を有するレンズユニ トの小型化が望まれるところである。

近赤外線カットフィルターに関し、特定のガ ラス転移温度と線膨張係数とを有する熱可塑 性樹脂製の透明基板の一方の面に、屈折率の 異なる誘電体層を交互に積層した誘電体多層 膜からなる近赤外線反射膜を有し、前記透明 基板の他方の面に等価屈折率膜、反射防止膜 、ハードコート膜からなる群より選ばれる少 なくとも1種の機能膜を有する近赤外線カッ フィルターが開示されている(例えば、特許 献1参照。)。また、ノルボルネン系樹脂製 板と近赤外線反射膜とを有する近赤外線カ トフィルターが開示されている(例えば、特 文献2参照。)。
しかしながら、赤外線を反射又は遮断する膜 を蒸着形成する場合は、蒸着時には数百℃以 上の温度がかかるため、基板材料の耐熱性が 必要となる。そのために、基板材料の耐熱性 を充分なものとし、種々の赤外線を遮断する 材料を様々な方法により形成できるようにす る工夫の余地があった。

レンズユニットに関し、物体側から像面側に 向かって順に、物体側に凸面を向けた主たる 正のパワーを持つ第1レンズと、物体側に凹 を向けたメニスカス形状の第2レンズと、補 レンズとして機能する第3レンズとを配設し 、かつ、第1及び第2レンズの物体側の面(第1 )の中心曲率半径とレンズ系全体の焦点距離 が特定の条件をみたす撮像レンズが開示さ ている(例えば、特許文献3参照。)。また、 軸上に配設されて特定機能を果たす平板材 なる光学部材であって、上記平板材の一面 は両面を、当該光学部材が組み込まれる光 系の収差を補正する非球面形状に設定した 学部材が開示されている(例えば、特許文献 4参照。)。
しかしながら、これらのレンズ、光学部材に 関する技術においては、現在光学分野で開発 が進められている高機能化、高付加価値化を 実現するのに充分なものではなかった。レン ズや光学系の収差を補正するフィルター以外 の構成要素を小型化し、レンズユニットを小 型化する等、光学機器をより高い付加価値の ものとするための工夫の余地があった。

特開2006-30944号公報(第1-2頁)

特開2005-338395号公報(第1-2頁)

特開2005-309210号公報(第1-2頁)

特開2006-18253号公報(第1-2頁)

本発明は、上記現状に鑑みてなされたもの であり、光を選択的に遮断し、可視光等の特 定波長の透過率が高く、しかも充分に薄く、 耐熱性及び機械的強度(曲げ強度)に優れた光 択透過フィルター、及び、該光選択透過フ ルターを有するレンズユニットを提供する とを目的とするものである。

本発明者は、光の透過率を選択的に低減す る光選択透過フィルターについて種々検討し たところ、光選択透過フィルターを薄くして 、焦点距離を短くし、光路を短縮することが でき、光選択透過フィルターを用いたカメラ モジュール等の光学部材において有用である ことを見いだした。また、光選択透過フィル ターの基材を特定の構成とすることにより、 薄膜化と耐半田リフロー(耐熱)性を両立でき 光選択透過フィルターとなることも見いだ 、上記課題をみごとに解決することができ ことに想到した。更に、光選択透過フィル ーを備えるレンズユニットを小型化するこ ができ、このような光学用途やオプトデバ ス用途や、その他、表示デバイス用途、機 部品、電気・電子部品等の様々な用途に好 に適用することができることも見いだし、 発明に到達したものである。

すなわち本発明は、光の透過率を選択的に低 減する光選択透過フィルターであって、上記 フィルターは、厚みが200μm未満である光選択 透過フィルターである。
本発明はまた、光選択透過フィルターとレン ズとを備えるレンズユニットでもある。
以下に本発明を詳述する。

本発明の光選択透過フィルターは、光の透過 率を選択的に低減し、厚みが200μm未満である 。特に光学部材に好適に用いることができる ものである。
〔光選択透過フィルターの構成〕
上記光選択透過フィルターは、厚みが200μm未 満である。光選択透過フィルターの厚みとし ては、該光選択透過フィルターの最大厚みが 200μm未満であることをいう。上記光選択透過 フィルターの厚みとしてより好ましくは、100 μm以下であり、更に好ましくは、75μm以下で り、特に好ましくは、50μm以下である。光 択透過フィルターの厚みの範囲としては、1~ 90μmであることが好ましく、より好ましくは 30~50μmである。

上記光選択透過フィルターの厚みを200μm未 満とすることにより、光選択透過フィルター を、小型化、軽量化することができ、種々の 用途に好適に用いることができる。特に、光 学部材等の光学用途において好適に用いるこ とができる。光学用途においては、他の光学 部材と同様に光選択透過フィルターも小型化 、軽量化が強く求められており、従来用いら れてきた厚みが200μm以上のフィルターでは、 これらの要求を満たすことはできなかった。 本発明の光選択透過フィルターは、厚みを200 μm未満とすることで、薄膜化を達成でき、特 にレンズユニットに用いた場合に、レンズユ ニットの低背化を実現することができる。言 い換えると200μm未満の薄い光選択透過フィル ターを光学部材として用いた場合に、光路を 短縮することができ、該光学部材を小さくす ることができる。具体的には、カメラモジュ ールにおいては、レンズと光選択透過フィル ターとシーモスセンサーとを有することとな る。図1及び図2に、カメラモジュールの一例 、模式的に示した。なお、これらの図は、 レクトロニックジャーナル第81回テクニカ セミナー(Electronic Journal 第81回 Technical Semi nar)資料を参照した。図1に示すように、光選 透過フィルターは、所望の波長光(カメラモ ジュールにおいては、例えば、700nm以上の波 の光)をカットし、シーモスセンサーの誤作 動を防ぐ役割がある。カメラモジュールに光 選択透過フィルターを入れると、焦点距離が 伸びるため、バックフォーカスが伸張し、モ ジュールが大きくなる。光選択透過フィルタ ーの厚みがtで屈折率nが1.5程度の場合、図2に 示すように、バックフォーカスが約t/3伸張し 、モジュールが大きくなるが、光選択透過フ ィルターを薄くして、焦点距離を短くし、モ ジュールを小さくすることができる。それに より、例えば、1/10インチの光学サイズの光 長としては、光選択透過フィルターなしの 合の120%以下とすることが好ましい。より好 しくは、110%以下であり、更に好ましくは、 105%以下である。

上記光選択透過フィルターは、光の透過率を 選択的に低減するものである。低減させる光 としては、10nm~100μmの間のものであればよく 用いる用途により選択することができる。 えば、赤外線透過率を低減させる光選択透 フィルターを得る場合は、780nm~10μmの赤外 を低減させ、それ以外の光を透過するもの あればよい。また、紫外線透過率を低減さ る光選択透過フィルターを得る場合は、380nm 以下の紫外光を低減させ、それ以外の光を透 過するものであればよい。
上記選択的に低減させる波長の透過率として は,10%以下が好ましい。より好ましくは、5%以 下であり、更に好ましくは、3%以下であり、 も好ましくは、実質的に0%である。光選択 過フィルターを透過させる波長の透過率と ては、70%以上が好ましい。より好ましくは 75%以上であり、更に好ましくは、80%以上で り、特に好ましくは、85%以上であり、最も ましくは、90%以上である。

上記光選択透過フィルターは、選択的に低減 させる波長以外の波長(すなわち、光選択透 フィルターを透過する波長)の透過率が一定 あることが好ましい。特に、カメラモジュ ルや、撮像レンズのレンズユニットにおけ 光ノイズを遮断するためのフィルター等の 学用途に用いる場合、可視光380~780nmの透過 が可視光の全波長域において一定であるこ が好ましい。上記用途においては、可視光 うち、波長400~600nmで、一定であることが特 好ましい。透過する光の強さが波長に依存 ず一定であると、特定の波長の光に強弱が じず、透過光が着色せず透明性を有するこ となる。したがって光選択透過フィルター 透過した光が着色せず、上記用途に好適に いることができることとなる。
上記透過率としては高い方が好ましい。具体 的には、85%以上であることが好ましい。より 好ましくは90%以上である。透過率が低いと、 光選択透過フィルターを通過する光の強度が 充分確保されず、上記用途に好適に用いるこ とができないおそれがある。
上記光選択透過フィルターとして、より好ま しくは、可視光のうち、波長400~600nmで、全波 長の透過率が85%以上であることが好ましい。 より好ましくは90%以上である。なお、反射又 は吸収により所望の波長を遮断することが好 ましい。

上記光選択透過フィルターは、このような 機能を有し、厚みが200μm未満である限り、そ の構成、形態等は特に限定されないが、機能 性材料層(光選択透過層、反射防止層、等価 折率膜、ハードコート層、光学補償層等)を 材の上に形成する形態が好ましい。機能性 料層とは、機能性材料で構成された層であ 。所望の光を選択的に透過し、それ以外の をカットする機能を有する光選択透過層と ては、低減する光の波長に応じて、構成等 適宜選択することができる。例えば、基材 上(入射光の入射する側)に低屈折率材料及 高屈折率材料を40~60層(6μm)程度積層させた構 造の多層膜(多層蒸着層、多層蒸着膜、誘電 多層膜とも言う。)であることが好ましい。 に、所望の光を充分に低減させたい場合、 層構造とすることが好ましい。多層構造と ることで、選択的に低減する波長の透過率 、当該全波長領域において容易に10%以下に ることができることとなる。言い換えると 透過させたい波長領域の透過率は高く、低 させたい波長領域の透過率は低いシャープ 光選択透過フィルターとすることができる 具体的には、光選択透過フィルターが780nm~1 0μmの赤外光を低減する赤外カットフィルタ である場合、780nmを境に透過率が急変するこ ととなる。例えば、780nm未満の光は透過率70% 上で透過し、780nm以上では透過率10%以下し 透過しない。このように、透過率がシャー に変わることで、例えば、カメラモジュー に用いる場合、シーモスセンサーに届く光 ら赤外光を優先的に除去できる等の利点が る。

上記多層膜を光選択透過層として有する光 選択透過フィルターにおいては、低屈折率材 料と高屈折率材料とを交互に積層させて、光 選択透過層を形成し、低減させたい波長(例 ば、赤外領域や紫外領域等)の光を選択的に 射させるとともに、入斜光と反射光の位相 半波長ずれるようにして、光の透過率を選 的に低減させることとなる。また、上記光 択透過層は、誘電体層Aと、誘電体層Aが有 る屈折率よりも高い屈折率を有する誘電体 Bとを交互に積層した誘電体多層膜からなる 選択透過層(例えば、赤外線反射膜、紫外線 反射膜又は紫外線・赤外線反射膜等。)であ てもよい。このような誘電体多層膜を少な とも透明基板(基材)の一方の面に有すること により、所望の波長の光を選択的に反射する 能力に優れた光選択透過フィルターとするこ とができる。なお、光選択透過層は、単層構 造であっても多層構造であってもよく、基材 の片面又は両面にあってもよい。光選択透過 層については、後に詳述する。

上記光選択透過フィルターは、耐熱性を有す るものであることが好ましい。具体的には、 250℃・3min、又は、200℃・5hrで形状を保持す ものであることが好ましい。より好ましく 、250℃・3min、かつ200℃・5hrで形状を保持す ものである。更に好ましくは、260℃・3min、 又は、200℃・5hrで形状を保持するものであり 、特に好ましくは、260℃・3min、かつ200℃・5h rで形状を保持するものである。耐リフロー を有することにより、光選択透過フィルタ を種々の用途に好適に用いることができ、 にカメラモジュール等の光学用途に好適で る。
上記光選択透過フィルターは、基材が耐リフ ロー性機能フィルムを含んで構成されたもの であることが好ましい。すなわち、上記構成 の光選択透過フィルターにおいては、基材( 材フィルム)が耐リフロー性機能フィルムで ることが好ましい。光選択透過フィルター 耐リフロー性機能フィルムで構成された耐 フロー性に優れるものとすることにより、 光選択透過フィルターを実装する際の耐熱 を充分なものとすることができ、リフロー ルカメラモジュール等として好適に用いる とができる。また、基材に低屈折率材料及 高屈折率材料(例えば、無機酸化物等)を蒸 することで、基材と積層させて光選択透過 を形成する場合には、蒸着による耐熱性が 要となり、この点からも、耐リフロー性を するものであることが好ましい。すなわち 上記光選択透過フィルターは、耐リフロー 機能フィルムを基材とし、該基材の少なく も一方の面に、光選択透過層が形成されて る光選択透過フィルターも、本発明の好ま い形態の一つである。この場合、機能性材 で構成される機能性材料層が、光選択透過 となる。また、例えば、光選択透過フィル ーが赤外カットフィルターである場合には 上記光選択透過層は、赤外カット層であり 上記光選択透過フィルターは、耐リフロー 機能フィルムを基材とし、該基材の少なく も一方の面に、誘電体多層膜からなる赤外 ット層が形成されてなる光選択透過フィル ーもまた、本発明の好ましい形態の一つで る。ここで、誘電体多層膜からなる赤外カ ト層とは、誘電体多層膜によって構成され 赤外線の透過率を選択的に低減する機能を する層である。誘電体多層膜については、 に詳述する。なお、耐リフロー性機能フィ ムとは、ハンダ付け工程の加熱に耐えるフ ルムであることをいい、カメラモジュール 世代仕様として有望視されているReflowable仕 のフィルムである。このように、光選択透 フィルターが充分な耐熱性を有することに り、自動実装化が可能となり、実装コスト 充分に低減され、各種用途に好適に用いる とができる。

上記耐リフロー性機能フィルムとは、250℃ ・3min、又は、200℃・5hrで形状を保持するフ ルムをいう。より好ましくは、250℃・3min、 つ200℃・5hrで形状を保持するものである。 に好ましくは、260℃・3min、又は、200℃・5hr で形状を保持するものであり、特に好ましく は、260℃・3min、かつ200℃・5hrで形状を保持 るものである。耐リフロー性がない場合は 上記条件で保持した場合に、フィルムが溶 し形状を保てず、蒸着することができなか たり、形状が変化して実装することができ くなるおそれがある。本発明において耐リ ロー性を有するとは、熱を加える前後での 状・寸法変化が、元の形状・寸法の20%以下 あることをいう。形状・寸法変化として好 しくは、5%以下であり、更に好ましくは、1% 下である。また、好ましくは、上記加熱を えた場合に、目視によりカールの生成が認 られないことである。なお、250℃・3minで形 状を保持しているとは、実装時の耐リフロー 性が充分であることを示し、200℃・5hrで形状 を保持しているとは、光選択透過フィルター の基材上に機能性材料層を積層させる蒸着時 の耐リフロー性が充分であることを示す。

〔基材〕
上記光選択透過フィルターを構成する基材の 材料としては、特に限定されず、有機材料、 無機材料、有機・無機複合材料のいずれであ ってもよく、これらは1種又は2種以上を用い もよい。上記有機材料は、取り扱いやすく 無機材料(例えば、ガラス)は、透明性・熱 張率に優れ(透明性が高く、熱膨張率が小さ )、有機・無機複合材料は、両者の特徴を備 えたものが好適である。これらの材料は、い ずれも好適に用いることができるが、耐リフ ロー性を有する材料であることが好ましい。 具体的には、(1)フッ素化芳香族ポリマー、(2) 多環芳香族ポリマー、(3)ポリイミド樹脂、(4) 含フッ素高分子化合物、(5)エポキシ樹脂及び (6)ガラスフィルムからなる群より選ばれる少 なくとも一つを含むことが好ましい。このよ うに、上記光選択透過フィルターは、基材と して、フッ素化芳香族ポリマー、多環芳香族 ポリマー、ポリイミド樹脂、含フッ素高分子 化合物、エポキシ樹脂及びガラスフィルムか らなる群より選ばれる少なくとも一つを含む 光選択透過フィルターもまた、本発明の好ま しい形態の一つである。

上記(1)~(6)として特に好ましくは、
(1)フッ素化芳香族ポリマーとしては、下記式 (1-1)、(1-2):

(上記一般式(1-1)中、R 1 は炭素数1~150の芳香族環を有する2価の有機鎖 を表す。また、Zは2価の鎖又は直接結合を表 。x及びyは0以上の整数であり、x+y=1~8を満た し、同一又は異なって芳香族環に結合してい るフッ素原子の数を表す。n 1 は、重合度を表し、2~5000の範囲内が好ましく 、5~500の範囲内がさらに好ましい。
上記一般式(1-2)中、R 2 は、置換基を有していてもよい炭素数1~12の ルキル基、炭素数1~12のアルコキシ基、炭素 1~12のアルキルアミノ基、炭素数1~12のアル ルチオ基、炭素数6~20のアリール基、炭素数6 ~20のアリールオキシ基、炭素数6~20のアリー アミノ基又は炭素数6~20のアリールチオ基を す。R 3 は、炭素数1~150の芳香族環を有する2価の有機 鎖を表す。zは、芳香族環に結合しているフ 素原子の数であり、1又は2である。n 1 は、重合度を表し、2~5000の範囲内が好ましく 、5~500の範囲内がさらに好ましい。)で表され るポリエーテルケトン、特にフッ素化ポリエ ーテルケトン(FPEK)、
(2)多環芳香族ポリマーとしては、下記式(2):

(式中、n 2 は、繰り返し数を表し2~1000の整数である。) 表されるポリエチレンナフタレート(PEN)。具 体的には、帝人デュポンフィルム社(テオネ クスQ83)、厚さ25μm又は75μm、融点269℃、
(3)ポリイミド樹脂としては、下記式(3):

(式中、n 3 は0~4の整数、p 3 は0又は1であり、n 3 +p 3 は1~5の整数である。)で表されるポリイミド 脂、具体的には、三菱ガス化学社製、ネオ リムL-3430、厚さ50μm又は100μm、
(4)含フッ素高分子化合物としては、下記式(4) :

で表される4,4’-ヘキサフルオロプロピリデ ビスフタル酸二無水物(6FPA)と2,2’-ビス(トリ フルオロメチル)-4,4’-ジアミノビフェニル(TF BD)とを反応させて重合体溶液を得て、その後 加熱して得られるフッ素化ポリイミド樹脂(F- PI)、(膜厚50μm);
テトラフルオロエチレン/パーフルオロアル ルビニルエーテル共重合体、ダイキン社製  ネオフロンTMフィルムPFA、50μm、ニチアス社  ナフロンPFAシート,T/♯9000-PFA、(特に、ダイ キン社製 ネオフロンTMフィルムPFA、50μmが好 ましい)等のPFAフィルム、
(5)エポキシ樹脂としては、熱硬化性エポキシ 樹脂組成物、光硬化性エポキシ樹脂組成物が 好ましい。具体的には、大阪ガスケミカル社 製フルオレンエポキシ(オンコートEX-1)、ジャ パンエポキシレジン社製ビスフェノールA型 ポキシ樹脂(エピコート828EL)、ジャパンエポ シレジン社製水添ビスフェノールA型エポキ シ樹脂(エピコートYX8000)、ダイセル工業社製 環式液状エポキシ樹脂(セロキサイド2021)が ましい。
エポキシ樹脂は、可とう性を有する成分(可 う性成分)を含むことが好適である。具体的 は、ジャパンエポキシレジン社製YED-216D、 ャパンエポキシレジン社製YL-7217、ジャパン ポキシレジン社製YL-7170、ダイセル工業社製 EHPE-3150、ダイセル工業社製セロキサイド2081 好ましい。
(6)ガラスフィルムとしては、SCHOTT社製ガラス コード:D263、30μmである。光選択透過フィル ーを構成する材料の(1)~(6)の詳細については 後に説明する。

上記基材の材料としては、1種又は2種以上を 適に用いることができる。2種以上を用いる 場合は、混合したり、積層したりして用いる ことができる。中でも、2種以上を積層させ 基材が多層構造を有する形態とすると、用 る材料の複数の特性が発揮されて、基材と て好適に用いることができる。例えば、有 材料を無機材料の一方又は両方に積層させ 基材を用いると、機能性材料層を基材の上 更に積層させる場合に、基材の変形が生じ 、光学部材として好適に用いることができ 。具体的には、ガラスフィルムの片面又は 面に有機樹脂を形成する形態が好ましい。 り好ましくは、両面に有機樹脂を形成させ 形態である。また、割れを防ぐという観点 は、機能性材料層をのせた後に有機物を積 させてもよい。
上記基材の厚みとしては、光選択透過フィル ターの形状に応じて適宜選択することができ 、通常は、フィルム状である。
上述した(1)~(6)の材料を基材として用いる場 、通常用いられる方法によりフィルムを得 ことができる。例えば、(1)~(5)の樹脂材料は 溶剤キャスト法、溶融成形法等により成膜 ることができる。(6)については、注型、塗 等することで得ることができる。

上記基材としては、上述した材料であれば いずれも好適に用いることができるが、光選 択透過フィルターを200μm未満、より好ましく は100μm以下に薄膜化が必要なカメラモジュー ル等の用途においては、無機材料を用いる場 合は、有機材料及び/又は有機・無機複合材 と共に用いる形態が好ましい。カメラモジ ール等の光学用途に光選択透過フィルター 用いる場合は、光選択透過フィルターが充 に薄く光選択透過性に優れるだけでなく、 度や柔軟性に優れることが求められる。光 択透過フィルターを構成する基材も同様に 強度や柔軟性に優れることが必要である。 機材料、例えば、ガラスを単独で基材とし 用いた光選択透過フィルターは、光学用途 しては強度や柔軟性が充分ではない場合が る。したがって、光選択透過フィルターを 型化して、光焦点距離を充分に短くすると もに、強度や柔軟性を優れたものとするた に、無機材料を基材に用いる場合は、無機 料をその他の材料と共に用いる形態が好ま い。無機材料をその他の材料と共に用いる とで、搬送中に破損したり、成形時や機器 の組入時、多層化や機能性の付与を行うた の後工程中に割れ等が生じず、作業性に優 た基材とすることができる。例えば、ガラ を150μm以下まで薄膜化したものと有機材料 を共に用いることで、ガラス単独の場合に べて強度、柔軟性、作業性が充分に優れた のとなり、光学用途に好適に用いることが きる光選択透過フィルターとすることがで る。

〔密着性に優れる基材〕
上記基材としては、隣接する層(例えば、光 択透過層)との密着性に優れる観点からは、 記(1)~(6)の中でも、(1)フッ素化芳香族ポリマ ー、(2)多環芳香族ポリマー、(3)ポリイミド樹 脂、及び、(5)エポキシ樹脂から選ばれる少な くとも一種を含むことが好ましい。具体的に は、FPEK(フッ素化芳香族ポリマー)、PEN(多環 香族ポリマー)、ポリイミド(ポリイミド樹脂 )、エポキシ樹脂(エポキシ樹脂)が好ましい。 より好ましくは、PENである。
上記基材として上述のような樹脂フィルムを 用いると、機能性材料層として、例えば、無 機層を蒸着して形成する場合、蒸着層と基材 との密着性に優れる蒸着フィルムとすること ができる。このように、機能性材料層と基材 とを有する光選択透過フィルターであって、 該基材は、フッ素化芳香族ポリマー、多環芳 香族ポリマー、ポリイミド樹脂、及び、エポ キシ樹脂から選ばれる少なくとも一種を含む ものである光選択透過フィルターもまた、本 発明の好ましい形態の一つである。なお、機 能性材料層は、後述するものから適宜選択し て用いることができる。

上記光選択透過フィルターの特に好ましい 形態としては、光選択透過層と基材(樹脂フ ルム)とからなる積層フィルムであり、該樹 フィルムは、エポキシ樹脂、FPEK、ポリイミ ド及びPENから選ばれる少なくとも一種を含む ことである。これによれば、光選択透過層と 樹脂フィルムとの密着性に優れる光選択透過 フィルターとすることができる。また、樹脂 フィルムとしては、PENを用いることがより好 ましく、これにより、光選択透過層との密着 性をより向上させることができる。光選択透 過層を構成する材料としては、誘電体多層膜 を用いることが好ましく、シリカやチタニア 等を用いることがより好ましい。また、密着 性の観点からは、光選択透過層としてシリカ やチタニアを用い、かつ樹脂フィルムとして PENを用いることが更に好ましい。上記光選択 透過層の厚さは、150nm以上であることが好ま く、より好ましくは1.5μm以上である。

上記基材は、耐熱性を有するものであること が好ましい。基材の耐熱温度としては10%分解 温度が200℃以上であることが好ましく、250℃ 以上がより好ましく、300℃以上が更に好まし く、350℃以上が最も好ましい。また、ガラス 転移温度(Tg)は、80℃以上であることが好まし く、150℃以上がより好ましく、200℃以上が更 に好ましく、250℃以上が最も好ましい。
上記耐熱性の樹脂フィルムとしては、基材全 体として上記耐熱性を有するものであればよ く、基材の構造や構成する材料は特に限定さ れない。基材の構造としては、上述した単層 構造及び多層構造のいずれも好適に用いるこ とができる。また、基材を構成する材料は、 上述の中から適宜選択して用いることが好ま しい。また、耐熱性の樹脂フィルムに含まれ る該有機材料は耐熱性を有するものであるこ とが好ましい。

〔基材の加熱処理〕
上記基材としては、加工性、成形性、柔軟性 、経済性、強度(割れにくさ)等の観点から、 機材料からなるものが好ましい。具体的に 、上記(1)~(6)の中で(1)~(5)等の樹脂材料から 成される樹脂フィルムであることが好まし 。樹脂フィルムを用いると、ガラス等の無 材料にはできない複雑な加工を安価に行う とができる。
〔耐熱性に優れる基材〕
上記基材は、加熱処理を行った樹脂フィルム であることが好ましい。すなわち、上記光選 択透過フィルターは、加熱処理を行った樹脂 フィルムを含むことが好ましい。加熱処理し た樹脂フィルムは、優れた耐熱性を有し、熱 による変形がおこりにくい光選択透過フィル ターを得ることができる。加熱処理とは、熱 プレス、熱ロール、延伸処理等を行うことで ある。光選択透過フィルターは、種々の用途 に用いる場合に、加熱されることがあり、例 えば、レンズユニット等の光学用途において は、通常ハンダ付けにより装着(実装)される 加熱処理した樹脂フィルムを基材として用 ると、装着される際の熱変形が充分に抑制 れ、カールすることがなく好ましい。言い えると、このような光選択透過フィルター 、加熱処理した樹脂フィルムに機能性材料 を形成することにより熱変形の問題を解消 ることができる。また、加熱処理により、 脂フィルムの機械的強度向上、耐熱性向上 密着性向上等の効果がある。
加熱処理条件としては、処理温度がTg付近以 であることが好ましい。より好ましくは、T g以上である。更に好ましくは、Tg付近~(Tg付 +150℃)の間である。特に好ましくは、Tg~(Tg+15 0℃)の間である。なお、「Tg付近」とは、ガ ス転移温度に対して15℃以内の範囲にある温 度のことである。このように、光を選択的に 透過する光選択透過フィルターであって、該 光選択透過フィルターは、加熱処理した基材 に機能性材料層を形成した光選択透過フィル ターもまた、本発明の好ましい形態の一つで ある。

上記加熱処理した樹脂フィルムが基材である 光選択透過フィルターにおいては、光選択透 過層を基材の少なくとも一方に設けることが 好ましい。上記光選択透過層は、後述するも のの中から用途、透過率を低減させる波長に 応じて、適宜選択することができる。例えば 、赤外線及び/又は紫外線を低減させる場合 、無機材料から構成されることが好ましい
上記光選択透過層が無機材料から構成される 無機層である場合、無機層は気相法により形 成されることが好ましい。上記気相法として は、真空蒸着法、スパッタリング法等が好ま しい。中でも、真空蒸着法がより好ましい。 上記無機層は、多層膜であることが好ましい 。このように、上記光選択透過層が無機材料 から構成される場合、多層蒸着膜であること が好ましい。また、結晶性膜が非晶性膜より 好ましい。光選択透過層としてより好ましい 形態としては、結晶性の無機層から構成され る多層蒸着膜である。

上記光選択透過フィルターの特に好ましい 形態としては、樹脂フィルムを必須とする基 材の少なくとも片面に光選択透過層が形成さ れた積層フィルムであって、該基材は、光選 択透過層を形成する前に加熱処理されて形成 されたものである。これによれば、基材の耐 熱性を向上させることができ、光選択透過層 形成後の樹脂フィルムが熱変形(カール)する とを抑制することができる。また、加熱処 により、樹脂フィルムの機械的強度向上、 熱性向上、密着性向上等の効果がある。上 光選択透過フィルターをレンズユニットに いる場合には、耐リフロー性樹脂フィルム 用いることがより好ましい。すなわち、上 光選択透過フィルターは、加熱処理を行っ 耐リフロー性機能フィルムを含むことが好 しい。これによれば、より耐熱性を高める とができる。耐リフロー性樹脂フィルムと ては、上述したものが好ましい。

上記光選択透過フィルターは、上記条件で加 熱処理した基材に、気相法により機能性材料 層を形成して得るものであることが好ましい 。すなわち、加熱処理した基材に機能性材料 層を形成するものである光選択透過フィルタ ーの製造方法であって、該基材は、Tg付近以 で加熱処理されたものであり、該機能性材 層は、気相法により形成される光選択透過 ィルターの製造方法もまた、本発明の好ま い形態の一つである。
上記樹脂フィルムからなる基材の少なくとも 片面に機能性材料層を形成してなる光選択透 過フィルターの製造方法は、樹脂フィルムか らなる基材に機能性材料層を形成する工程の 前に、該樹脂フィルムを加熱処理する工程を 含むことが好ましい。更に、上記光選択透過 フィルターの製造方法は、樹脂フィルムをTg 近以上で加熱処理した後、機能性材料層を 相法により形成する工程を含むことが好ま い。加熱処理の温度、気相法としては、上 のとおりである。また、光選択透過フィル ーの光選択透過性を向上させる観点からは 上記機能性材料層が光選択透過層であるこ が好ましい。

〔基材への機能性材料層の形成方法〕
上記基材への機能性材料層の形成方法として は、基材上に機能性材料層が密着し、光選択 透過フィルターとして用いることができる限 り特に限定されない。例えば、基材上に光選 択透過層を形成する場合、基材フィルムを蒸 着装置等の中に設置し、その基材の上に(片 又は両面)光選択透過層を蒸着により形成し 密着させる。その後、基材及び光選択透過 からなる部分(基材上に光選択透過層が形成 された部分)を、適宜必要なサイズに切り出 、光選択透過フィルターとする。経済性の 点からは、基材上の光選択透過層の面積が きい(基材と光選択透過層との面積が近い)ほ ど、多数個の光選択透過フィルターを切り出 せるため好ましい。光選択透過層の光選択透 過性の均一性を高める観点からは、基材上の 光選択透過層の面積が小さいほど、光選択透 過層の膜厚や平滑性にむらが生じないため好 ましい。基材のサイズと、その上に形成する 光選択透過層の面積や形状は、上記の観点か ら適宜設定することが好ましい。
光選択透過フィルターの切り出し方法は、レ ーザーカット、打ち抜き法、ダイシングカッ トなどを用いることができる。量産の観点か らは、打ち抜き法がより好ましい。
基材が有機材料である場合、どのような切り 出し方法を用いても、基材の欠け、われ等が 生じないため好ましい。更に、基材が無機材 料からなる場合では切り出しが困難な、円形 、多角形等の形状にも対応できる。上述した ことから、有機材料からなる基材に光選択透 過層を蒸着し、打ち抜き法により、光選択透 過フィルターを得ることが最も好ましい。す なわち、所望の波長の光を選択的に低減する 光選択透過フィルターを製造する方法であっ て、該製造方法は、有機材料からなる基材に 光選択透過層を蒸着により形成する工程と、 蒸着を行った基材を打ち抜き法により切り出 す工程とを含む光選択透過フィルターの製造 方法もまた、本発明の好ましい形態の一つで ある。

〔機能性材料層の形成方法〕
上記光選択透過フィルターは、機能性材料積 層時に、機能性材料積層部位の周囲に機能性 材料の非積層部位を形成し、基材に機能性材 料を積層させた構造を持つことが好ましい。 すなわち、光選択透過フィルターは、基材に 機能性材料層積層時に、機能性材料層積層部 位(機能性材料層形成部ともいう。)の周囲に 能性材料層が積層されていない縁(機能性材 料層非形成部ともいう。)を有することが好 しい。このように、基材と機能性材料層と 必須とする光選択透過フィルターであって 該フィルターは、機能性材料積層時に、機 性材料層積部位の周囲に機能性材料層が積 されていない縁を有する光選択透過フィル ーもまた、本発明の好ましい形態の一つで る。例えば、基材の端まで、機能性材料を 層して縁を設けない場合、基材の端に積層 れた機能性材料が、積層時又は積層後に剥 れが生じるおそれがある。また、基材に固 のための穴などを作製する場合にも、穴の 囲から剥がれが生じるおそれがある。これ 、基材の端や穴の周囲等、基材の上面(平滑 表面)以外の側面等に機能性材料が積層する ことにより、密着性が低下し、剥がれの起点 になる可能性がある。基材の端又は穴の周囲 に沿って、機能性材料層非形成部を形成する ことにより、機能性材料層の剥がれを抑制す ることができる。
上記光選択透過フィルターの特に好ましい形 態としては、基材の少なくとも片面に光選択 透過層が形成された積層フィルムであり、か つ光選択透過層の積層時に、基材の表面に光 選択透過層の非形成部(縁)を有してなるもの ある。すなわち、該フィルターは、光選択 過積層時に、光選択透過層積層部位の周囲 光選択透過層が積層されていない縁が形成 れていることが好ましい。
機能性材料層が積層されていない縁(機能性 料層非形成部ともいう。)を設けるためには スクリーン、蒸着用テープ等の機能性材料 の付着を防ぐものを用いることが好ましい すなわち、機能性材料層積層部位の周囲を クリーン、蒸着用テープ等でシールドした に機能性材料の積層を行うことが好ましい このように、基材と機能性材料層(例えば、 光選択透過層等)を必須とする光選択透過フ ルターの製造方法であって、該製造方法は スクリーン又は蒸着用テープを用いて機能 材料層非形成部を形成する光選択透過フィ ターの製造方法もまた、本発明の好ましい 態の一つである。機能性材料層の材料や形 方法等は後述のものを好適に用いることが きる。形成方法としては、中でも、真空蒸 法、スパッタリング法が好ましい。

上記光選択透過フィルターは、基材の両面が 機能性材料により積層された構造を持つこと が好ましい。光選択透過フィルターの両面を 機能性材料で積層させた機能性材料層を形成 することにより、より充実した機能を有する 光選択透過フィルターとすることができる。 このように、フィルターの両面に機能を持つ 光選択透過フィルターもまた、本発明の好ま しい形態の一つである。また、蒸着により機 能性材料を積層させる場合には、両面に材料 を蒸着させることになることから、蒸着時及 び/又は実装時のカールを抑制することがで 、種々の用途により好適な光選択透過フィ ターとすることができる。
上記機能性材料層としては、光選択透過フィ ルターに付与する機能によって適宜選択する ことができ、光選択透過層、強靱性を有する 層、光選択透過フィルターにかかる応力等を 吸収するバッファー層(中間層、緩和層)、補 層、親水層、撥水層、反射防止層、位相差 、屈折率調節層、粘着層、導電層、絶縁層 光学補償層等から適宜選択することができ 。また、光選択透過層に加えて、更に機能 材料層を形成する場合には、基材と光選択 過層の中間の熱膨張率を有する層を更に積 してもよい。
上記光選択透過フィルターにおいて、基材の 両面には、それぞれ異なった機能性材料を積 層させてもよく、同じ機能性材料を積層させ てもよい。上記の中でも好ましくは、(1)両面 が光選択透過層である形態、(2)片側が光選択 透過層でもう一方が反射防止層である形態、 (3)片側が光選択透過層でもう一方が反射防止 層/光選択透過層である形態である。これら 中でも、(1)の形態が好ましい。なお、上記 能性材料層は、それぞれの機能が最も発揮 きる形態に積層されることが好ましい。本 明においては、光選択透過層を適宜選択す ことにより所望の波長の透過率を低減させ ことができる。例えば、赤外光を低減する 合、上記(1)~(3)の形態の中でも光選択透過層 、赤外カット層となる。

〔耐熱性に優れた形態〕
上記光選択透過フィルターは、耐リフロー性 機能フィルム(例えば、耐リフロー性樹脂フ ルム)の両面に、機能性材料層を積層してな 光選択透過フィルターであることが好まし 。基材を耐リフロー性機能フィルムとし、 材の両表面に機能性材料層を積層させた光 択透過フィルターとすることで、より耐熱 を向上させることができる。また、機能性 料層が光選択透過層である場合、該光選択 過層は、光の透過率を選択的に低減するも であればよく、単層であってもよいし、多 膜であってもよく特に限定されない。
上記機能性材料層の形成温度は120℃未満であ ることが好ましい。より好ましくは、100℃以 下であり、更に好ましくは90℃以下である。 れによれば、基材(耐リフロー性機能フィル ム)へのダメージを少なくすることができる 基材となる耐リフロー性機能フィルムとし は、フッ素化芳香族ポリマー、多環芳香族 リマー、ポリイミド樹脂、含フッ素高分子 合物及びエポキシ樹脂を用いることが好ま い。これによれば、より高い耐熱性を有す 光選択透過フィルターとすることができる また、上記耐リフロー性機能フィルムの両 に、機能性材料層を積層してなる光選択透 フィルターの製造方法は、機能性材料層を12 0℃未満の温度で形成する工程を含むことが ましい。すなわち、上記光選択透過フィル ーは、120℃未満で機能性材料を基材に積層 せた構造を持つ光選択透過フィルターであ ことが好ましい。より好ましくは、100℃以 の温度であり、更に好ましくは90℃以下の温 度である。

〔光選択透過フィルターの好適な形態〕
本発明の光選択透過フィルターは、上述の構 成であることが好ましく、選択的に透過率を 低減させる波長としては、用途に応じて適宜 選択することができる。例えば、赤外線の透 過率を選択的に低減する形態、紫外線の透過 率を選択的に低減する形態、赤外線及び紫外 線の両方の透過率を選択的に低減する形態が 好ましい。具体的には、赤外カットフィルタ ー、紫外カットフィルター、紫外線・赤外線 カットフィルターである。

上記赤外カットフィルター(赤外線カット ィルター、IRカットフィルターともいう。) 、吸収又は反射により赤外線を選択的に低 する(遮断する)機能を有するフィルターであ る。赤外カットフィルターは、赤外線領域で ある780nm~10μmの波長を有する光のうち、いず かの波長(範囲)の光を選択的に低減する機 を有するフィルターであればよい。選択的 低減する波長の範囲としては、780nm~2.5μm、80 0nm~1μm、又は、1~1.5μmであることが好適であ 。これらの範囲の波長の少なくとも一つを 択的に低減するフィルター本発明の赤外カ トフィルターに含まれる。選択的に低減す 波長の範囲としては、近赤外線領域である78 0nm~2.5μmであることがより好ましい。

上記選択的に低減する波長の透過率、それ 以外の波長の透過率としては、上述と同様で あることが好ましい。すなわち、赤外カット フィルターは、780~1000nmの赤外線の透過率を 択的に5%以下に低減するものが好ましい。そ の他の波長域の透過率は、75%以上であること が好ましいが、フィルターの用途に応じて特 定の波長域の透過率のみが高いものであって もよい。例えば、上記赤外カットフィルター をカメラモジュールとして用いる場合には、 赤外光の透過率が5%以下であり、可視光(380~78 0nm)の透過率が90%以上であることが好適であ 。また、可視光の中でも400~600nmの波長域の の透過率が90%以上であることがより好適で る。より好ましくは、可視光の中でも350~700n mの波長域の透過率が90%以上である。なお、 発明の赤外カットフィルターにおいては、 の他(赤外線領域以外)の波長の透過率として は、より好ましくは、85%以上であり、更に好 ましくは、90%以上である。なお、光選択透過 フィルターが、赤外カット層を有する場合に は、赤外カット層が選択的に低減する波長の 透過率、それ以外の波長の透過率は、上述の 赤外カットフィルターと同様であることが好 ましい。また、誘電体多層膜からなる赤外カ ット層を有する赤外カットフィルターは、本 発明の好ましい実施形態の一つである。

上記紫外カットフィルターは、紫外線を遮断 する機能を有するフィルターである。選択的 に低減する波長の範囲としては、350nm以下で ることが好ましい。より好ましくは、380nm 下である。
上記選択的に低減する波長の透過率、それ以 外の波長の透過率としては、上述と同様であ ることが好ましい。具体的には、350nm以下で る紫外線の透過率が5%以下であることが好 しい。より好ましくは、波長が380nm以下の紫 外線透過率が5%以下である。

上記紫外線・赤外線カットフィルターは、紫 外線及び赤外線の両方を遮断する機能を有す るフィルターである。選択的に低減する波長 の範囲、該波長の透過率、それ以外の波長の 透過率としては、上述と同様であることが好 ましい。
上記紫外線・赤外線カットフィルターは、赤 外線、紫外線以外の光の透過率は、高いほど 好ましい。具体的には、可視光(380nm~780nm)透 率が70%以上であることが好ましい。更に、 外線・赤外線カットフィルターを透過した に着色させない(特定の可視光を選択的に吸 しない)観点から、可視光の各波長域におけ る透過率がほぼ一定であることが好ましい。 特に、波長400~600nmにおける各波長での光透過 率が85%以上であることが好ましい。より好ま しくは、90%以上である。紫外線・赤外線カッ トフィルターの赤外線を遮断する機能として は、反射又は吸収により赤外線を遮断するこ とが好ましく、より好ましくは赤外線を主に 反射することである。また、赤外線のうち、 少なくとも800~1000nmの波長の光を遮断するこ が更に好ましい。

上記紫外線・赤外線カットフィルターは、 撮像レンズ用における光ノイズを遮断するた めのフィルターとして、特に好適に用いるこ とができる。撮像レンズ用等における光ノイ ズ遮断を目的とする光選択透過フィルターと しては、可視光領域の400~600nmにおける各波長 での光透過率が85%以上であることが好ましい 。より好ましくは、90%以上である。また、紫 外線領域の350nm以下の紫外線の透過率が5%未 であることが好ましい。特に380nm以下の紫外 線の透過率が5%未満であることが好ましい。 外線領域では、800nm~1μmの波長の光を遮断す ることが好ましい。具体的には、800nm~1μmに ける透過率が5%以下であることが好ましい。 より好ましくは800nm~1.5μmにおける透過率が5% 下であり、更に好ましくは800nm~2.5μmにおけ 透過率が5%以下である。

〔レンズユニット〕
本発明はまた、上記光選択透過フィルターと レンズとを備えるレンズユニットでもある。 上述した光選択透過フィルターを用いること により、光路長が短くなり、レンズユニット を小さく、ユニットの厚みを薄くすることが でき、カメラモジュール等の種々の用途にお いて好適に用いることができる。レンズユニ ットの長さとしては、光選択透過フィルター がない場合を100とすると、120以下であること が好ましい。より好ましくは、110以下であり 、更に好ましくは、105以下である。
上記レンズユニットにおいて、レンズは、耐 リフロー性を有するもの(リフローレンズ)で ることが好ましい。また、光選択透過フィ ターは上述したいずれであってもよいが、 リフロー性を有するものであることが好ま い。このように、レンズユニットを構成す 光選択透過フィルター及びレンズが、耐リ ロー性を有するものである形態は、本発明 好ましい形態の一つである。光選択透過フ ルター及びレンズの両方が、充分な耐熱性 有することにより、自動実装化が可能とな 、実装コストが充分に低減され、カメラモ ュール等の光学用途に好適に用いることが きる。

上記レンズは、アッベ数が45以上であること 好ましい。アッベ数を45以上とすることに り、光の分散が小さくなり、解像度があが 、光学特性に優れたものとすることができ 。45未満であると、例えば、にじみがみられ るおそれがあり、充分な光学特性を発揮せず 、レンズユニットに好適な材料とはならない おそれがある。上記アッベ数として、より好 ましくは、50以上であり、上記レンズユニッ は、アッベ数が50以上のレンズを一つ以上 することが好ましい。上記アッベ数として 更に好ましくは、55以上であり、特に好まし くは、58以上であり、最も好ましくは、60以 である。
上記レンズユニットにおいて、レンズは1枚 あってもよく、2枚以上であってもよい。1枚 である場合、レンズのアッベ数としては、45 上であることが好ましい。2枚以上である場 合、少なくとも1枚のレンズのアッベ数が45以 上であればよく、その他のレンズはアッベ数 45未満であってもよい。アッベ数が45以上の ンズとアッベ数が45未満のレンズとを組み合 わせる場合において、アッベ数が50以上のレ ズとアッベ数が40以下のレンズとを組み合 せる形態がより好ましい。アッベ数が50以上 のレンズとアッベ数が40以下のレンズとを組 合わせることにより、解像度が向上し、レ ズユニットに求められる特性を満足すると う利点がある。

上記レンズは、厚みが1mm未満であることが好 ましい。レンズの厚み(像を写す領域の最大 み)を1mm未満とすることにより、厚みが200μm 満の光選択透過フィルターを用いることと いまって、光路長を短くすることができ、 ンズユニットをより小さくすることができ 。レンズの厚みとしてより好ましくは、800 m未満であり、更に好ましくは、500μm未満で る。また、光選択透過フィルター厚みが100 m以下の光選択透過フィルターを用いること より好ましい。
上記レンズを構成する材料としては、耐熱材 質であり、耐リフロー性を有するものである ことが好ましい。具体的には、有機材料、無 機材料、有機・無機複合材料のいずれであっ てもよく、これらは1種又は2種以上を用いて よい。有機材料としては、有機樹脂が好ま く、熱硬化性樹脂組成物がより好ましい。 機材料としては、ガラス等が好ましい。有 ・無機複合材料としては、有機無機複合樹 組成物が好ましい。これらの中でもより好 しくは、有機無機複合樹脂組成物である。

上記有機無機複合樹脂組成物としては、有 機樹脂と無機微粒子又はメタロキサンポリマ ーとを含むものであることが好適である。有 機樹脂としては、アッベ数が45以上のもので る形態、熱硬化性樹脂である形態、脂環式 ポキシ化合物を必須として含む形態、分子 が700以上のものである形態が好ましい。無 微粒子としては、金属酸化微粒子である形 、湿式法により得られたものである形態、 均粒径が400nm以下のものである形態、溶液 に分散させたときの25℃におけるpHが3.4~11の のである形態が好ましい。有機無機複合樹 組成物としては、不飽和結合が10質量%以下 ある形態、可とう性成分を含む形態が好ま い。メタロキサンポリマーとしては、好適 は、オルガノシロキサンポリマーが好まし 。オルガノシロキサンポリマーとしては、 えば、かご状構造又はラダー状構造等のポ シルセスキオキサン;ジフェニルシロキサン 単位、ジアルキルシロキサン単位、アルキル フェニルシロキサン単位等の繰り返しの基本 単位とする鎖状ポリシロキサン等が挙げられ る。

上記レンズユニットとしては、上記光選択透 過フィルターと2枚以上のレンズとを備え、 レンズは、厚みが1mm未満の耐リフロー性レ ズであり、アッベ数50以上のレンズを一つ以 上有することが好ましい。また、上記レンズ ユニットの厚みとしては、50mm以下であるこ が好ましい。このような厚みとすることに り、カメラモジュール等の種々の光学部材 好適に用いることができる。レンズユニッ の厚みとしてより好ましくは、30mm以下であ 、更に好ましくは、10mm以下である。
上記レンズユニットの小型化の観点からは、 シーモスセンサーとレンズとの距離も重要で ある。シーモスセンサーとレンズとの距離と は、レンズの最も外側の表面とシーモスセン サーとの距離であり、光選択透過フィルター がシーモスセンサー側に装着されている場合 は、該光選択透過フィルターとシーモスセン サーとの距離となる。
上記レンズユニットにおいては、例えば、図 1のように光選択透過フィルターがシーモス ンサー側に配置される形態であることが好 であるが、光選択透過フィルターはレンズ 間に配置されていてもよい。また、所望の 長の光を充分に遮断する点からは、レンズ 上部と下部との両方に配置される形態、す わち、光の進行方向に沿って、光選択透過 ィルター、1枚又は2枚以上のレンズ、光選択 透過フィルター、シーモスセンサーの順に配 置される形態も好適である。
上記レンズユニットにおいては、本発明の作 用効果を発揮する限り特に限定されず、上記 以外の構成を備えていてもよい。

〔基材の材料〕
以下、本発明の光選択透過フィルターの基材 として好適に用いることができる、(1)フッ素 化芳香族ポリマー、(2)多環芳香族ポリマー、 (3)ポリイミド樹脂、(4)含フッ素高分子化合物 、(5)エポキシ樹脂及び(6)ガラスフィルムにつ いて、説明する。これらは、単独で用いても よいし、積層させてもよい。また、透明性を 維持するように混合体として用いてもよい。 この場合、液状にして混合してもよい。
(1)フッ素化芳香族ポリマー
上記フッ素化芳香族ポリマーとしては、少な くとも1つ以上のフッ素基を有する芳香族環 、エーテル結合、ケトン結合、スルホン結 、アミド結合、イミド結合、エステル結合 群より選ばれた少なくとも1つの結合を含む り返し単位により構成された重合体等が挙 られ、具体的には、例えば、フッ素原子を するポリイミド、ポリエーテル、ポリエー ルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエー ルスルホン、ポリアミドエーテル、ポリア ド、ポリエーテルニトリル、ポリエステル が挙げられる。
本発明の組成物は、これらのフッ素化芳香族 ポリマーの1種を含有するものであってもよ 、2種以上を含有するものであってもよい。

本発明のフッ素化芳香族ポリマーとしては 、上記したものの中でも、少なくとも1つ以 のフッ素基を有する芳香族環と、エーテル 合を含む繰り返し単位を必須部位として有 る重合体であることが好ましく、下記一般 (1-1)又は(1-2)で表される繰り返し単位を含む ッ素原子を有するポリアリールエーテルで ることがより好ましい。なお、一般式(1-1) は(1-2)で表される繰り返し単位は、同一でも 異なっていてもよく、ブロック状、ランダム 状等の何れの形態であってもよい。

上記一般式(1-1)中、R 1 は炭素数1~150の芳香族環を有する2価の有機鎖 を表す。また、Zは2価の鎖又は直接結合を表 。x及びyは0以上の整数であり、x+y=1~8を満た し、同一又は異なって芳香族環に結合してい るフッ素原子の数を表す。n 1 は、重合度を表わし、2~5000の範囲内が好まし く、5~500の範囲内がさらに好ましい。
上記一般式(1-2)中、R 2 は、置換基を有していてもよい炭素数1~12の ルキル基、炭素数1~12のアルコキシ基、炭素 1~12のアルキルアミノ基、炭素数1~12のアル ルチオ基、炭素数6~20のアリール基、炭素数6 ~20のアリールオキシ基、炭素数6~20のアリー アミノ基又は炭素数6~20のアリールチオ基を す。R 3 は、炭素数1~150の芳香族環を有する2価の有機 鎖を表す。zは、芳香族環に結合しているフ 素原子の数であり、1又は2である。n 1 は、重合度を表わし、2~5000の範囲内が好まし く、5~500の範囲内がさらに好ましい。

上記一般式(1-1)において、x+yは2~8の範囲内が ましく、4~8の範囲内がさらに好ましい。ま 、エーテル構造部分(-O-R 1 -O-)が芳香族環に結合している位置について 、Zに対してパラ位に結合していることが好 しい。

上記一般式(1-1)及び(1-2)において、R 1 及びR 3 は2価の有機鎖であるが、下記の構造式群(5) 表されるいずれか一つ、又は、その組み合 せの有機鎖であることが好ましい。

(式中、Y 1 ~Y 4 は、同一又は異なって水素基又は置換基を表 し、該置換基は、ハロゲン原子、置換基を有 していてもよいアルキル基、アルコキシ基、 アルキルアミノ基、アルキルチオ基、アリー ル基、アリールオキシ基、アリールアミノ基 、アリールチオ基を表す。)
上記R 1 及びR 3 のより好ましい、具体例としては、下記の構 造式群(6)で表される有機鎖が挙げられる。

上記一般式(1-1)において、Zは、2価の鎖又 直接結合していることを表す。該2価の鎖と ては、例えば、下記構造式群(7)(構造式(7-1)~ (7-13))で表される鎖であることが好ましい。

(式中、Xは、炭素数1~50の2価の有機鎖である )
上記Xは、例えば、構造式群(6)で表される有 鎖が挙げられ、その中でもジフェニルエー ル鎖、ビスフェノールA鎖、ビスフェノールF 鎖、フルオレン鎖が好ましい。

上記一般式(1-2)中のR 2 において、アルキル基としては、メチル基、 エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブ チル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブ チル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオ ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オク チル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基 、ドデシル基、2-エチルヘキシル基等が好適 ある。
上記アルコキシ基としては、メトキシ基、エ トキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基 、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシル オキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、オク ルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキ 基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ 、フルフリルオキシ基、アリルオキシ基等 好適である。
上記アルキルアミノ基としては、メチルアミ ノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、 ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、n-ブ ルアミノ基、sec-ブチルアミノ基、tert-ブチ アミノ基等が好適である。
上記アルキルチオ基としては、メチルチオ基 、エチルチオ基、プロピルチオ基、n-ブチル オ基、sec-ブチルチオ基、tert-ブチルチオ基 iso-プロピルチオ基等が好適である。

上記アリール基としては、フェニル基、ベン ジル基、フェネチル基、o-、m-又はp-トリル基 、2,3-又は2,4-キシリル基、メシチル基、ナフ ル基、アントリル基、フェナントリル基、 フェニリル基、ベンズヒドリル基、トリチ 基、ピレニル基等が好適である。
上記アリールオキシ基としては、フェノキシ 基、ベンジルオキシ基、ヒドロキシ安息香酸 及びそのエステル類(例えば、メチルエステ 、エチルエステル、メトキシエチルエステ 、エトキシエチルエステル、フルフリルエ テル及びフェニルエステル等)由来の基、ナ トキシ基、o-、m-又はp-メチルフェノキシ基 o-、m-又はp-フェニルフェノキシ基、フェニ エチニルフェノキシ基、クレソチン酸及び のエステル類由来の基等が好適である。
上記アリールアミノ基としては、アニリノ基 、o-、m-又はp-トルイジノ基、1,2-又は1,3-キシ ジノ基、o-、m-又はp-メトキシアニリノ基、 ントラニル酸及びそのエステル類由来の基 が好適である。
上記アリールチオ基としては、フェニルチオ 基、フェニルメタンチオ基、o-、m-又はp-トリ ルチオ基、チオサリチル酸及びそのエステル 類由来の基等が好適である。
上記R 2 としては、これらのうち、置換基を有してい てもよいアルコキシ基、アリールオキシ基、 アリールチオ基、アリールアミノ基が好まし い。ただし、R 2 には、2重結合若しくは3重結合が含まれてい もよいし、含まれていなくてもよい。

上記一般式(1-2)中のR 2 における置換基としては、上述のような炭素 数1~12のアルキル基;フッ素、塩素、臭素、ヨ 素等のハロゲン原子;シアノ基、ニトロ基、 カルボキシエステル基等が好適である。また 、これら置換基の水素がハロゲン化されてい てもよいし、されていなくてもよい。これら の中でも、好ましくは、ハロゲン原子、水素 がハロゲン化されていてもよいし、されてい なくてもよいメチル基、エチル基、プロピル 基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基 、ヘキシル基及びカルボキシエステル基であ る。

(2)多環芳香族ポリマー
主骨格として、ナフタレン環、フルオレン環 等の2つ以上の連結した芳香環をモノマーユ ットに有する化合物であることが好ましい
上記多環芳香族ポリマーとしては、2つ以上 芳香環が、エーテル結合、ケトン結合、ス ホン結合、アミド結合、イミド結合、エス ル結合の群より選ばれた少なくとも1つの結 により連結されているものである。具体的 は、ナフタレンジカルボン酸を主たる酸成 とし、エチレングリコールを主たるグリコ ル成分とするポリエステル(ポリエチレンナ フタレート)であることが好適である。この うなポリエチレンナフタレートとしては、 リエチレン-2,6-ナフタレンジカルボキシレー トのホモポリマーが好適であるが、例えば2,6 -ナフタレンジカルボン酸成分の一部(30モル% 満)を2,7-、1,5-、1,7-その他のナフタレンジカ ルボン酸の異性体或はテレフタル酸或はイソ フタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェ ノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルエー テルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカ ルボン酸等の他の芳香族ジカルボン酸;ヘキ ヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフ ル酸等の脂環属族ジカルボン酸;アジピン酸 セバチン酸、アゼライン酸等の脂肪族ジカ ボン酸;p-β-ヒドロキシエトキシ安息香酸、 -オキシカプロン酸等のオキシ酸等の他の二 能性カルボン酸で置き換えてもよい。

更に、エチレングリコール成分の一部を例 えばトリメチレングリコール、テトラメチレ ングリコール、ヘキサメチレングリコール、 デカメチレングリコール、ネオペンチルグリ コール、ジエチレングリコール、1,1-シクロ キサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジ タノール、2,2-ビス(4″-β-ヒドロキシエトキ シフェニル)プロパン、ビス(4″-β-ヒドロキ エトキシフェニル)スルホン酸等の他の多官 化合物の1種以上で置換して30モル%未満の範 囲で共重合させたコポリマーであってもよい 。

(3)ポリイミド樹脂
上記ポリイミド樹脂としては、透明性を有し 、イミド結合を有する化合物であれば限定さ れないが、下記式(3):

(式中、n 3 は0~4の整数、p 3 は0又は1であり、n 3 +p 3 は1~5の整数である。)で表される繰り返し単 を含むポリイミド樹脂であることが好まし 。

(4)含フッ素高分子化合物
上記含フッ素高分子化合物としては、分子中 に少なくとも2つのシクロヘキシル環と2つの ルオロアルキル基を含有する含フッ素脂環 ジアミン又は含フッ素芳香族ジアミンを少 くとも単量体の一部に使用した含フッ素高 子化合物であることが好ましい。
具体的には、下記式(8-1)~(8-4):

(式中、R 4 は直鎖、分岐、脂環、芳香環、ヘテロ環から 選ばれた一種以上の2価の基であり、部分的 フッ素、酸素、窒素を含有しても良い)で表 れる繰り返し単位を含む含フッ素脂環式ポ アミド構造又は含フッ素芳香族ポリアミド 造を有する含フッ素高分子化合物、下記式( 9-1)~(9-4):

(式中、R 5 は直鎖、分岐、脂環、芳香環、ヘテロ環から 選ばれた一種以上の4価の基であり、部分的 フッ素、酸素、窒素を含有しても良く、R 6 は水素、炭素数1~20の直鎖、分岐状のアルキ 基であって、部分的にフッ素、酸素、窒素 不飽和結合、環状構造を含んでも良い。)で される繰り返し単位を含む含フッ素脂環式 リアミド酸、含フッ素芳香族ポリアミド酸 又は、これらのエステル体である含フッ素 分子化合物、下記式(10-1)~(10-4):

(式中、R 5 は直鎖、分岐、脂環、芳香環、ヘテロ環から 選ばれた一種以上の4価の基であり、部分的 フッ素、酸素、窒素を含有しても良い)で表 れる繰り返し単位を含む含フッ素脂環式ポ イミド又は含フッ素芳香族ポリイミドであ 含フッ素高分子化合物が好ましい。
上記式(10-3)において更に好ましくは、Rが、 記式(11):

で表される形態である。

また含フッ素高分子化合物の例として、テ トラフルオロエチレンを含むものも好ましい 。特に、透明性の観点からは、上述したテト ラフルオロエチレン/パーフルオロアルキル ニルエーテル共重合体、ダイキン社製 ネオ フロンTMフィルムPFA、50μm、ニチアス社製 ナ フロンPFAシート,T/♯9000-PFA、(特に、ダイキン 社製ネオフロンTMフィルムPFA、50μmが好まし )等のPFAフィルムが好ましい。

(5)エポキシ樹脂
上記エポキシ樹脂としては、熱硬化性エポキ シ樹脂組成物、光硬化性エポキシ樹脂組成物 が好ましい。エポキシ樹脂は、可とう性を有 する成分(可とう性成分)を含むことが好適で る。可とう性成分を含むことにより、成形 や基板、型等からはずすときに割れない、 が崩れない、剥がれやすい、柔軟性がある の一体感のある樹脂組成物とすることがで る。上記可とう性成分としては、(1)有機樹 成分とは異なる化合物からなる可とう性成 である形態、(2)有機樹脂成分の1種が可とう 性成分である形態のいずれも好適に適用する ことができる。
具体的には、-〔-(CH 2 ) n -O-〕 m -で表されるオキシアルキレン骨格を有する 合物(nは2以上、mは1以上の整数である。好ま しくは、nは2~12、mは1~1000の整数である。より 好ましくは、nは3~6、mは1~20の整数である。) 好ましい。例えば、ジャパンエポキシレジ 社製のYED-216D、ジャパンエポキシレジン社製 YL-7217(オキシアルキレン鎖がオキシブチレン ある、エポキシ当量437、液状エポキシ樹脂( 10℃以上);高分子量エポキシ樹脂(例えば、水 ビスフェノール(ジャパンエポキシレジン社 製、YL-7170、エポキシ当量1000、固形水添エポ シ樹脂);脂環式固形エポキシ樹脂(ダイセル 業社製、EHPE-3150);脂環式液状エポキシ樹脂( イセル工業社製、セロキサイド2081);液状ニ リルゴム等の液状ゴム、ポリブタジエン等 高分子ゴム、粒径100nm以下の微粒子ゴム等 好ましい。これらの中でもより好ましくは 末端の側鎖や主鎖骨格等に硬化性の官能基 含む化合物である。このように、上記可と 性成分は、硬化性の官能基を含んでなる樹 組成物もまた、本発明の好ましい形態の一 である。なお、上記「硬化性の官能基」と 「エポキシ基(グリシジル基)等の熱又は光で 硬化する官能基(樹脂組成物を硬化反応させ 基)」をいう。

(6)ガラスフィルム
100μm以下のガラスフィルムであることが好ま しい。具体的には、シリカを主成分とする形 態であればよく、透明性が80%(照射光波長500nm )で確保できれば、その他の成分の割合及び 類等は限定されない。ガラスフィルムとし は、SCHOTT社製、D263が好ましい。

〔光選択透過層〕
以下、本発明の光選択透過層について、説明 する。
上記光選択透過層としては、各波長の屈折率 を制御できる無機多層膜、所望の波長の光を 反射する機能を有する透明導電膜、所望の波 長の光を吸収する機能を有する分散膜等を好 適に用いることができる。無機多層膜として は、基材やその他の機能性材料層の上に、真 空蒸着法、スパッタリング法等により、低屈 折率材料及び高屈折率材料を交互に積層させ た屈折率制御多層膜が好ましい。透明導電膜 としては、インジウム-スズ系酸化物(ITO)等の 赤外線を反射する膜としての透明導電膜が好 ましい。赤外線吸収性の分散膜としては、ITO 等のナノ粒子や、有機色素を無機、有機バイ ンダー(基材)に分散させた膜等が好ましい。

上記無機多層膜としては、誘電体層Aと、誘 体層Aが有する屈折率よりも高い屈折率を有 る誘電体層Bとを交互に積層した誘電体多層 膜が好適である。
〈誘電体層A〉
上記誘電体層Aを構成する材料としては、屈 率が1.6以下の材料を通常用いることができ 好ましくは、屈折率の範囲が1.2~1.6の材料が 択される。
上記材料としては、例えば、シリカ、アルミ ナ、フッ化ランタン、フッ化マグネシウム、 六フッ化アルミニウムナトリウムなどが好適 である。

〈誘電体層B〉
誘電体層Bを構成する材料としては、屈折率 1.7以上の材料を用いることができ、好まし は、屈折率の範囲が1.7~2.5の材料が選択され 。
上記材料としては、例えば、酸化チタン、酸 化ジルコニウム、五酸化タンタル、五酸化ニ オブ、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸 化亜鉛、硫化亜鉛、酸化インジウムを主成分 とし酸化チタン、酸化錫、酸化セリウムなど を少量含有させたものなどが好適である。

〈積層方法〉
上記誘電体層Aと誘電体層Bとを積層する方法 ついては、これら材料層を積層した誘電体 層膜が形成される限り特に制限はないが、 えば、CVD法、スパッタ法、真空蒸着法など より、誘電体層Aと誘電体層Bとを交互に積 することにより誘電体多層膜を形成するこ ができる。上記多層膜の形成方法としては 上記方法等により好適に形成することがで るが、蒸着によって光選択透過フィルター 変形しカールしたり、割れが生じたりする 能性を小さくするために、以下の方法を用 ることができる。具体的には、離型処理し ガラス等仮の基材に蒸着層を形成し、光選 透過フィルターの基材となる真の基材に、 蒸着層を転写して多層膜を形成する多層膜 転写方法が好適である。この場合、光選択 過フィルターの基材とする真の基材には、 着層を形成しておくことが好ましい。
また基材が有機材料、具体的には、樹脂組成 物である場合には、未硬化、半硬化状態の基 材(樹脂組成物)に、上記誘電体層等を蒸着し 後、基材を硬化する方法が好適である。こ ような方法を用いると、多層蒸着後の冷却 に、基材が流動的となり、液状に近い状態 なるために、樹脂組成物と誘電体層等との 膨張係数差が問題にならず、光選択透過フ ルターの変形(カール)を抑制することがで る。

上記誘電体層A及び誘電体層Bの各層の厚み 、通常、遮断しようとする光の波長λ(nm)の0 .1λ~0.5λの厚みである。厚みが上記範囲外に ると、屈折率(n)と膜厚(d)との積(n×d)がλ/4で 出される光学的膜厚と大きく異なって反射 屈折の光学的特性の関係が崩れてしまい、 定波長の遮断・透過をするコントロールが きなくなるおそれがある。

上記誘電体多層膜の積層数は、透明基板の 一方の面にのみ上記誘電体多層膜を有する場 合は、通常10~80層の範囲で、好ましくは25~50 の範囲である。一方、透明基板の両面に上 誘電体層膜を有する場合は、上記誘電体層 積層数は、基板両面の積層数全体として、 常10~80層の範囲であり、好ましくは25~50層の 囲である。

本発明の光選択透過フィルターは、光の透 過率を選択的に低減するものである。このよ うな光選択透過フィルターにおいて、所望の 波長の光をカットする機能は、上述したよう に、多層膜を形成する形態であることが好適 であるが、その他の形態を有していてもよい 。例えば、赤外線の透過率を低減させる赤外 カットフィルターにおいては、(1)可視光を透 過し近赤外線を遮蔽する金属酸化物からなる 薄膜を基材表面に形成する形態や、(2)赤外吸 収機能を有する(例えば、赤外吸収色素を含 する)塗布膜を形成する形態、(3)基材に赤外 をカットする機能を持つ材料(原料)を用い 形態等が好適である。その他の波長を選択 に低減する場合でも同様であり、このよう 形態を用いることで、多層膜(多層蒸着層)の 積層数を低減できたり省略したりすることが でき、光選択透過フィルターの膜厚を薄くで きる。例えば、上記(1)の形態においては、単 層構造の薄膜とすることができる。したがっ て、光路を短縮することができ、カメラモジ ュール等の光学部材において有用なものとす ることができる。基材として有機材料、具体 的には、樹脂組成物を用いる場合は、多層膜 を形成する際の基材のカールを抑制でき、低 コスト化にも効果がある。基材として無機材 料、具体的には、ガラスを用いる場合は、多 層蒸着層(多層膜)の厚みが薄くなるために基 の割れを抑制できる。

上記(1)可視光を透過し近赤外線を遮蔽する金 属酸化物からなる薄膜を基材表面に形成する 形態としては、酸化インジウム系、酸化スズ 系、酸化亜鉛系、酸化タングステン系などか らなる赤外反射及び吸収機能を有する薄膜が 好ましい。特に、SnやTi等の4価の金属元素又 フッ素を0.1~20原子%(/インジウム)の割合で固 溶してなるIn 2 O 3 系酸化物;Sb、P等の5価の金属元素又はフッ素 0.1~20原子%(/スズ)の割合で固溶してなるSnO 2 系酸化物;B、Al、In等の3価金属元素又は4価金 元素又はフッ素を0.1~20原子%(/亜鉛)の割合で 固溶してなるZnO系酸化物;WO 3 で示される酸化タングステン系;In、Znを金属 分とする複合酸化物(In-Zn系、In-Mg系、In-Sn系 、Sn-Zn系等)等の可視光を透過し近赤外線を遮 蔽する金属酸化物からなる薄膜を基材表面に 形成する方法が好ましい。このような薄膜は 、スパッタリング法、真空蒸着法等により形 成することが好適である。
上記(2)赤外吸収機能を有する塗布膜を形成す る形態としては、上記酸化物からなる超微粒 子を含む塗布膜、金属フタロシアニン等の赤 外吸収色素を含有する塗布膜を形成する方法 が好ましい。このような塗布膜は、超微粒子 や赤外吸収色素を有し、有機バインダーや無 機バインダーをバインダーとして用いた塗料 を成膜する方法が好適である。
上記(3)基材に赤外線をカットする機能を持つ 材料(原料)を用いる形態としては、基材が有 材料(例えば、樹脂組成物)である場合は、 脂組成物に上記酸化物や色素を練り込んで ィルム状に成型する方法が好適である。ま 基材が無機材料(例えば、ガラス)である場合 には、Fe等の金属元素を固溶することにより られる赤外線吸収ガラスを用いることが好 である。

本発明の光選択透過フィルターとしては、所 望の光の透過率を選択的に低減させるという 機能以外の種々の機能を有することが好まし い。例えば、光選択透過フィルターとして好 ましい形態の一つである赤外カットフィルタ ーの場合、赤外カットフィルターは、紫外線 を遮蔽する機能等の赤外カット以外の各種機 能を有する形態や、強靱性、強度等の赤外カ ットフィルターの物性を向上させる機能を有 する形態が好適である。
上記赤外カットフィルターが紫外線を遮蔽す る機能を有する形態としては、(a)酸化チタン 、酸化亜鉛、酸化セリウム等の可視光を透過 し、紫外線を遮蔽する金属酸化物からなる薄 膜を基材表面に形成する方法、(b)上記酸化物 からなる超微粒子を含む塗布膜、有機系紫外 線吸収剤を含有する塗布膜を形成する方法、 (c)紫外線を遮蔽する機能を持つ材料(原料)を いる方法により紫外線を遮蔽する機能を付 することが好適である。
上記(a)における薄膜形成方法、(b)における成 膜方法としては、それぞれ、上記(1)における 薄膜形成方法、(2)における薄膜形成方法と同 様であることが好ましい。(c)としては、基材 が有機材料(例えば、樹脂組成物)である場合 、樹脂に上記酸化物や色素を練り込んだ樹 組成物をフィルム状に成型する方法が好適 ある。また、基材が無機材料(例えば、ガラ ス)である場合には、Ag、Bi、Co、Fe、Ni、Ti、Ce 等の金属元素を固溶することにより得られる 赤外線吸収ガラスを用いることが好適である 。

本発明の光選択透過フィルターとしては、 紫外カットフィルターが挙げられる。上記紫 外カットフィルターが紫外線を遮蔽する機能 を有する形態としては、酸化チタン系、酸化 亜鉛系、酸化セリウム系、酸化鉄系などの紫 外線吸収機能を有する材料からなる薄膜が好 ましい。中でも、酸化チタン、酸化亜鉛、酸 化セリウムにCu、Ag、Mn、Bi、Co、Fe、Niからな 群から選ばれる1種以上の金属元素を0.1~20原 子%の割合で固溶してなる酸化物が好ましい

本発明の光選択透過フィルターとしては、 紫外線・赤外線カットフィルターが挙げられ る。上記紫外線・赤外線カットフィルターが 紫外線及び赤外線を遮蔽する機能を有する形 態としては、上述した誘電体層(A)と(B)の積層 構造が好ましい。また、酸化インジウム系、 酸化スズ系、酸化亜鉛系、酸化タングステン 系などの赤外線カット機能を有する酸化物層 と、酸化チタン系、酸化亜鉛系、酸化セリウ ム系、酸化鉄系などの紫外線カット機能に優 れる層を積層する形態も好ましく用いること ができる。

〔光選択透過フィルターの好ましい構成〕
本発明に係る光選択透過フィルターは、上記 基材の少なくとも一方の面に、上記誘電体多 層膜からなる光選択透過層を有し、上記基材 の他方の面には他の機能性材料層を有するこ とを特徴とする。

また、本発明に係る光選択透過フィルターは 、上記基材の両面に上記誘電体多層膜からな る光選択透過層を有するものであってもよい 。
このような特徴を有することにより、本発明 に係る光選択透過フィルターは、反りや誘電 多層膜の割れが少なくなる。

〈膜形成方法〉
上述した機能性材料層を上記基材に有するよ うにするためには、例えば、上述のCVD法、ス パッタリング法、真空蒸着法により、直接上 記基材上に機能性材料層を形成したり、上述 の方法により得られた機能性材料層を基材上 に接着剤で張り合わせることにより得ること ができる。

上記機能性材料層が原料物質を含有する液状 組成物から得られる場合には、例えば、この 液状組成物を透明基板上に直接塗布し、乾燥 することによって得ることもできる。
上記透明基板の一方の面に上記機能性材料層 を有する場合は、その機能性材料層は1種で ってもよいが、複数種の機能性材料層を積 してもよい。複数種の機能性材料層を積層 る場合には、例えば、上述した膜形成方法 よって、複数種の機能性材料層を積層する とができる。

上記方法により本発明に係る光選択透過フ ィルターを作製することにより、反りや誘電 体多層膜の割れの少ない光選択透過フィルタ ーを得ることができる。このようにして得ら れた光選択透過フィルターは、波長633nmのレ ザー光を照射した際に、レーザー光の照射 心から直径60mmの領域内に発生するニュート ンリングの最大本数が通常は8本以下、好ま くは5本以下とすることができ、表面平滑性 び均一性に優れる。そのため、特に固体撮 素子の視感度補正に好適に用いることがで る。

〔光選択透過フィルターの用途〕
本発明の光選択透過フィルターとしては、赤 外カットフィルター、紫外カットフィルター 、紫外線・赤外線カットフィルター等が挙げ られる。本発明に係る赤外カットフィルター は、優れた赤外線カット能を有し、割れにく い。したがって自動車や建物などのガラスな どに装着される熱線カットフィルターなどと して有用であるのみならず、特に、デジタル スチルカメラや携帯電話用カメラなどのCCDや CMOSなどの固体撮像素子の視感度補正に有用 ある。本発明に係る紫外カットフィルター 、優れた紫外線カット能を有し、割れにく 。したがって、紫外線保護フィルター、視 度補正用等として有用である。本発明に係 紫外線・赤外線カットフィルターは、優れ 赤外線及び紫外線カット能を有し、割れに く、撮像レンズ用における光ノイズを遮断 るためのフィルターとして有用である。

本発明の光選択透過フィルターは、上述の 構成よりなり、光を選択的に遮断し、可視光 等の特定波長の透過率が高く、しかも充分に 薄く、耐熱性に優れた光選択透過フィルター であり、オプトデバイス用途、表示デバイス 用途、機械部品、電気・電子部品等の様々な 用途に好適に用いられるものである。

以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に 説明するが、本発明はこれらの実施例のみに 限定されるものではない。なお、特に断りの ない限り、「部」は「重量部」を、「%」は 質量%」を意味するものとする。

1.基材
(1)FPEKフィルムの作成
<FPEKの合成>
温度計、冷却管、ガス導入管、及び、攪拌機 を備えた反応器に、BPDE(4,4″-ビス(2,3,4,5,6-ペ タフルオロベンゾイル)ジフェニルエーテル ) 16.74部、HF(9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル) ルオレン) 10.5部、炭酸カリウム 4.34部、DMAc (ジメチルアセトアミド) 90部を仕込んだ。こ の混合物を80℃に加温し、8時間反応した。反 応終了後、反応溶液をブレンダーで激しく攪 拌しながら、1%酢酸水溶液中に注加した。析 した反応物を濾別し、蒸留水及びメタノー で洗浄した後、減圧乾燥して、フッ素化芳 族ポリマーを得た。反応式を下記に示す。 ッ素化芳香族ポリマーは、下記反応式で得 れた繰り返し単位を含むフッ素化芳香族ポ マーである。

上記ポリマーのガラス転移点温度(Tg)は242℃ 数平均分子量(Mn)が70770、表面抵抗値は1.0×10 18 ω/cm 2 以上であった。
<基材の形成>
溶剤キャスト法により50μmのフィルム(以下、 FPEKフィルムと言う。)を得た。なお、製膜に いて、溶剤キャスト法を用いた際の溶媒は 酢酸エチルとトルエンの混合溶媒を用いた

(2)ポリエチレンナフタレートフィルム(PENフ ルム)
(2-1)帝人デュポンフィルム社(テオネックスQ83 )、厚さ25μm、融点269℃ (PENフィルム)を用い 。
(2-2)帝人デュポンフィルム社(テオネックスQ83 )、厚さ75μm、融点269℃ (PENフィルム)を用い 。
(3)ポリイミドフィルム
(3-1)三菱ガス化学社製、ネオプリムL-3430 厚 50μmを用いた。
(3-2)三菱ガス化学社製、ネオプリムL-3430 厚 100μmを用いた。

(4)含フッ素高分子化合物フィルム
(4-1)フッ素化ポリイミドフィルムの作成
<ポリアミド酸溶液の合成>
50ml容器の三ツ口フラスコに、2,2’-ビス(トリ フルオロメチル)-4,4’-ジアミノビフェニル4.1 8g(13.1ミリモル)(略称:TFBD)、4,4’-ヘキサフル ロプロピリデンビスフタル酸二無水物5.81g(13 .1ミリモル)(略称:6FPA)、及び、N,N-ジメチルア トアミド40gを仕込んだ。この混合液を、窒 雰囲気中で、室温で2日間、撹拌することに よって、ポリアミド酸溶液を得た。
<基材の形成>
上記ポリアミド酸溶液を、シリコン基板(直 4ich、厚さ525μm)上にスピンコート法で塗布し た(300rpmで60sec)。その後、窒素雰囲気中で、70 ℃で2時間、300℃で1時間加熱した。冷却後、 板から剥離し、約50μm厚のフッ素化ポリイ ドフィルム(F-PIフィルムという。)を得た。
(4-2)PFAフィルム
ダイキン社製 ネオフロンTMフィルムPFA、厚 50μmを用いた。

(5)エポキシ樹脂
ポリテトラメチレンエーテルグリコールのジ グリシジルエーテル(商品名:エピコートYL7217 ジャパンエポキシレジン社製)19部、ビスフ ノールA型エポキシ樹脂(商品名:エピコート8 28EL、ジャパンエポキシレジン社製)55部、水 ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:エ コートYX8000、ジャパンエポキシレジン社製)2 2部、六フッ化リン系アリールスルホニウム (商品名:UVI-6992、ザ・ダウ・ケミカル・カン ニー製)4部を自公転式遠心混合装置(製品名: あわとり練太郎(登録商標)、シンキー社製)を 用いて混合した。
〈基材の形成〉
上記エポキシ樹脂組成物を、キャスト法によ り50μm厚で成膜した後、高圧水銀ランプを光 とする露光機(製品名:MA-60F、ミカサ社製)を いて、照度10mW/cm 2 で15分間、すなわち露光エネルギー9J/cm 2 の紫外線照射を行って、光硬化することでエ ポキシ樹脂フィルムを得た。

(6)ガラスフィルム
SCHOTT社製ガラスコード:D263、厚み30μmを用い 。

(7)ガラス/FPEKフィルムの作成
(7-1)ガラス/FPEKフィルム
フッ素化ポリエーテルケトン(FPEK)1.57gをプロ レングリコールモノメチルエーテルアセテ ト10.45gに添加して均一に撹拌した。スピン ート法を用いて、ガラスフィルム(30μm)上に 5μm膜を成膜した後、150℃で乾燥した。
(7-2)FPEK/ガラス/FPEKフィルム
FPEKを両面にコートする場合には、(7-1)におい て片面をコートした後ガラス面に(7-1)と同じ 作を行った。

(8)ガラス/フルオレンエポキシ・FPEKフィルム 作成
(8-1)ガラス/フルオレンエポキシ・FPEKフィル
FPEK1.0g、フルオレンエポキシ(大阪ガスケミカ ル社製)オンコート EX-1020)0.5gをプロピレグリ コールモノメチルエーテルアセテート10gに添 加して、均一に撹拌した。
その後、40℃以下にして、カチオン系開始剤( 三新化学工業社、サンエイドSI-60L)を0.016g(固 分:32%)を均一に撹拌した。
製膜は、上記(7-1)と同様に、スピンコート操 により行った。
(8-2)フルオレンエポキシ・FPEK/ガラス/フルオ ンエポキシ・FPEKフィルム
フルオレンエポキシ・FPEKを両面にコートす 場合には、(8-1)において片面をコートした後 ガラス面に(8-1)と同じ操作を行った。

(9)PET T60フィルム
東レ社製 ルミラー、タイプ:T60(PET T60フィル ムと言う。)を用いた。

(10)アートンフィルム
JSR社製 アートンF 厚み190μmを用いた。

2.基材の物性評価
上記基材(1)~(10)について、屈折率測定、アッ 数測定、照射光波長500nmの透過率(%)測定、26 0℃耐熱評価及び曲げ試験を行った結果を表1 示す。
すべての基材において500nm透過率が80%以上で り、良好な透明性を示した。曲げ試験では (6)のガラスフィルムはR=10mmで割れが生じた に対し、有機材料を積層した(7-1)~(8-2)では 耐曲げ角度が10mm未満へと改善され、ガラス ィルムに柔軟性が付与されたことが明らか なった。260℃耐熱評価では、(9)のPETフィル 及び(10)のアートンフィルムが溶け落ちたの に対し、他の耐リフロー性機能フィルムから なる基材は高い耐熱性を示した。
上記基材(1)~(10)について、以下の方法により 折率測定、アッベ数測定、照射光波長500nm 透過率(%)測定、260℃耐熱評価及び曲げ試験 行った。
(屈折率測定、アッベ数測定)
DR-M2(アタゴ社製)を用いて20℃で測定を行った 。
(透過率測定)
Shimadzu UV-3100(島津製作所製)を用いて500nmにお ける透過率を測定した。厚みは表2記載のと りである。
(260℃耐熱評価)
上記基材(1)~(10)について、以下の方法により 熱性を評価した。
基材を2cm×1cmの形状とし、フィルムの上端(1cm の辺を上端とする。)を固定し、260℃、3minオ ブンにて加熱を行った。
加熱後の基材の状態を表1に示す。基材の状 は、260℃耐熱性評価試験の前、後の基材の 態変化を目視観察することちより判定した

(曲げ試験)
上記基材(1)~(10)について、基材の強度を曲げ 験により評価した。プラスチック製円錐型 用いて、図3に示すように、該円錐型に基材 (1)~(10)を沿わせて、基材に割れが生じる径(直 径R)を求めた。基材の幅は10mmとした。厚みは 上述のとおりである。また、基材と円錐型の 接触部分は、半円領域のみとした。
R=30mmからスタートして、0.2mm/sで直径を縮め 。試験は25℃で行った。
なお、基材(7-1)及び(8-1)については、ガラス 内にして、すなわち、ガラス面を円錐型に わせて評価を行い、径を求めた。結果を表1 示す。曲げ試験では、(6)のガラスフィルム 、R=10mmであり、脆く割れやすいため、測定 搬送、線状、加工工程での取り扱い性が悪 といえる。(1)~(5)、(9)及び(10)のフィルムはR& lt;1 であり、柔軟性に優れ、取り扱い性の面 で有利である。

3.光選択透過フィルターの作成
<光選択透過層の形成>
一辺が60mmの基材の両面に、蒸着基板温度180 で赤外線を反射する多層膜〔シリカ(SiO 2 :膜厚120~190nm)層とチタニア(TiO 2 :膜厚70~120nm)層とが交互に積層されてなるも 、積層数は片面25層ずつ両面に蒸着:計50〕を 蒸着により形成し、光選択透過フィルター( 学フィルター)を製造した。
4.光選択透過フィルターの評価
<透過率の測定>
この光学フィルターの分光透過率曲線を測定 した。基材としてFPEKを用いた場合の結果を 4に示す。
図4のグラフの横軸は波長、縦軸は透過率を すが、このグラフから明らかなように、波 400~600nmの可視域における透過率は約85%以上 また波長750~1000nmの近赤外域における透過率 5%以下であり、光選択透過フィルターとし 優れた性能を示した。
(分光透過率測定)
Shimadzu UV-3100(島津製作所製)を用いて300~1000nm おける透過率を測定した。

上記基材(2)~(8-2)も同様にして、光選択透過 層を形成し、光選択透過フィルターを得た。 これらの光選択透過フィルターの400~600nm及び 750~1000nmの透過率測定の結果を表2に示す。

(260℃耐熱評価)
上記基材(1)~(8-2)及び(10)を用いて作製した光 択透過フィルターについて、以下の方法に り耐熱性を評価した。
基材を2cm×1cmの形状とし、フィルムの上端(1cm の辺を上端とする。)を固定し、260℃、3minオ ブンにて加熱を行った。
加熱後の光選択透過フィルターの状態を表2 示す。
(曲げ試験)
上記基材(1)~(8-2)及び(10)を用いて作製した光 択透過フィルターについて、強度を曲げ試 により評価した。プラスチック製円錐型を いて、図3に示すように、該円錐型に基材(1)~ (8-2)及び(10)を沿わせて、光選択透過フィルタ ーに割れが生じる径(直径R)を求めた。光選択 透過フィルターの幅は10mmとした。また、光 択透過フィルターと円錐型の接触部分は、 円領域のみとした。
R=30mmからスタートして、0.2mm/sで直径を縮め 。試験は25℃で行った。
光選択透過フィルターの厚み、及び、曲げ試 験の結果を表2に示す。

上述した実施例及び比較例では、FPEKフィ ム、PENフィルム、ポリイミドフィルム、フ 素化ポリイミドフィルム、PFAフィルム、エ キシ樹脂及びガラスフィルムからなる群よ 選ばれる少なくとも一つを含む基材を用い 光選択透過フィルターを調製しているが、 みが200μm未満である限り、光の透過率を選 的に低減することができるようなものであ ば、光路を短縮し、光学部材を小さくする 構は同様である。したがって、赤外線の透 率を選択的に低減し、厚みが200μm未満であ ば、本発明の有利な効果を発現することは 実であるといえる。少なくとも、フッ素化 香族ポリマー、多環芳香族ポリマー、ポリ ミド樹脂、含フッ素高分子化合物、エポキ 樹脂及びガラスフィルムからなる群より選 れる少なくとも一つを含む基材を用いて光 択透過フィルターを調製する場合において 、上述した実施例及び比較例で充分に本発 の有利な効果が立証され、本発明の技術的 義が裏付けられている。

<光選択透過層の形成条件の検討>
また、光選択透過層の蒸着条件についても検 討を行った。基材フィルムとしては上述した (1)~(5)を用いた。図5は、光選択透過層の蒸着 分(形成部)と非蒸着部分(非形成部)を示す平 面模式図である。図5に示すように、基材フ ルムの周囲(縁)に蒸着用テープを貼り付ける ことによって、基材フィルムの中央部にのみ 光選択透過層の蒸着を行った。基材フィルム は、一辺が60mmの正方形状である。このとき シールを行った縁の幅は5mmである。光選択 過層の蒸着条件と得られた光選択透過フィ ターについて表3に示す。

上記光選択透過層は、多層膜〔シリカ(SiO 2 )層とチタニア(TiO 2 )層とが交互に積層されてなるもの、積層数 片面50層、又は、片面25層ずつ両面に蒸着し 計50層〕を蒸着することにより形成し、光 択透過層の厚みは、3~7μmである。

まず、基材フィルムの片面のみに光選択等 層を形成した場合と、両面に光選択透過層を 形成した場合とを比較した結果について説明 する。光選択透過層の蒸着温度は、180℃又は 80℃である。表3に示すように、基材フィルム の片面のみに光選択透過層を形成した場合、 いずれの基材においてもカールが生じたが、 基材フィルムの両面に蒸着を行うことにより 、(1)~(5)に示すいずれの基材において、180℃ び80℃の蒸着温度ともにカールすることを抑 制することができた。これは、両面に蒸着す ることによって基材フィルムと光選択透過層 との熱膨張率の差によって生じる応力を両面 で均一にすることができたためと考えられる 。

次に、光選択透過層の蒸着温度を変化させ て各基材フィルムの両面に光選択透過層を蒸 着した結果について説明する。蒸着温度は、 それぞれ180℃、120℃、100℃、90℃、80℃及び65 ℃である。180℃及び120℃で蒸着を行った光選 択透過フィルターでは、カールを生じさせる ことなく作製することができた。また、180℃ 、120℃で蒸着を行った光選択透過フィルター では基材フィルムの表面にうねりが生じてい たが、100℃、90℃、80℃及び65℃で蒸着した光 選択透過フィルターでは、カール及びうねり の両方が生じず、光選択透過フィルター表面 全体を平滑なものとすることができた。すな わち、各基材フィルムの両面に光選択透過層 を形成した場合、120℃未満の温度で蒸着を行 うことが好ましい。より好ましくは、100℃以 下である。

次に、基材フィルムとして(1)~(5)を用い、 選択透過層の蒸着部の形状を変化させて蒸 を行った。蒸着部の形状は、光選択透過層 形成する前に基材フィルムへ貼り付ける蒸 用テープの配置を変化させることで制御し 。光選択透過層の形成部及び非形成部の形 について、図5、6及び7に示す。図5では、上 したように、一辺が60mmの正方形状の基材フ ィルムの縁5aに蒸着用テープを貼り付け、光 択透過層非形成部5a作製し、基材フィルム 中央部4aにのみ光選択透過層の蒸着を行った 。このとき、縁の幅は5mmである。図6では、 材フィルムの上下(基材フィルムを平面視し ときの上下)のみに蒸着用テープを貼り付け 、光選択透過層非形成部(縁)5bを作製し、左 (基材フィルムを平面視したときの左右)は端 まで蒸着を行い光選択透過層形成部4bとした 図7では、図5で示す形状(1)と同様にフィル の周囲に蒸着用テープを貼り付け光選択透 層非形成部(縁)5cを作製し、また、蒸着を行 光選択透過層形成部4cに予めサンプルを固 するための穴6cを開けてから蒸着を行った。 以下では、図5、6及び7に示す形態を、それぞ れ第一配置形態、第二配置形態及び第三配置 形態という。蒸着はいずれの基材フィルムに ついても両面に行った。蒸着用テープを貼り 付けたときの配置形態、蒸着条件及び得られ た光選択透過フィルターについて表4に示す

第一配置形態では、基材(1)~(5)において、65 ~120℃すべての蒸着条件においてはがれが生 なかった。第二配置形態では、基材(1)、(3) (4)及び(5)の左右端面(縁を有しない部分)には がれが生じた。また、第三配置形態では、基 材(1)、(3)、(4)及び(5)の穴の周囲にのみはがれ が生じた。

第一配置形態のように、光選択透過層の蒸 着部分の周囲に非蒸着部分(縁)を作製するこ により、光選択透過層のはがれ(剥離)を抑 できることが明らかとなった。PENフィルム 用いた基材(2)に関しては、蒸着用テープの 置形態及び穴の有無に関わらずはがれが生 ず、光選択透過層との優れた密着性を示し 。これは、基材(2)の持つエステル結合など 極性基、柔軟性を付与するメチレン鎖及び フタレン等の芳香環により、及び/又は、PEN ィルムの結晶性(二軸延伸による分子鎖の配 向結晶化)に起因して、光選択透過層と基材 ィルムとの密着性が向上したためと考えら る。

<光選択透過フィルターの物性評価>
基材(1)~(5)を含んで構成される光選択透過フ ルターの透過率、密着性、260℃耐熱性の評 結果について表4及び表5に示す。蒸着は、基 材(1)~(5)の両面に行い、蒸着用テープの形状 上述した第一形態として、蒸着温度は90℃で 実施した。以下に、透過率、密着性及び260℃ 耐熱性の評価方法について示す。
(分光透過率測定)
Shimadzu UV-3100(島津製作所製)を用いて400~600nm び750~1000nmの透過率を測定した。
(密着性評価)
カッターを用い、光選択透過フィルターの蒸 着部位1cm角の中に1mm間隔で切り込みをいれ、 それと垂直方向にも1mm間隔で切り込みをいれ 、100個のクロスカットマスを形成する。その 後、セロハンテープを光選択透過フィルター のクロスカットマスを形成した面にゴムヘラ を用い、空気が入らないように充分に貼り付 け、はがすことで、100個のクロスカットマス の中でセロハンテープにつかずに残った個数 を数える。セロハンテープには、セロテープ (登録商標)(商品名:CT405AP-24、ニチバン社製)を 用いた。
(260℃耐熱評価)
基材を2cm×1cmの形状とし、フィルムの上端(1cm の辺を上端とする。)を固定し、260℃、3分間 ーブンにて加熱を行った。

密着性の評価を行った結果、いずれの光選択 透過フィルターにおいても100マス中100マスが フィルム状に残り、光選択透過フィルターの 密着性として、問題のないことが明らかとな った。
260℃耐熱評価において、(1)、(2-2)、(3-1)、(3-2) 、(4-1)及び(5)の基材では変化なく、また、(4-2 )ではしわが入ったものの溶け落ちることは く、耐リフロー性を有し、リフロー工程に えることが明らかとなった。

なお、本願は、2006年12月28日に出願された 本国特許出願2006-356401号を基礎として、パ 条約ないし移行する国における法規に基づ 優先権を主張するものである。該出願の内 は、その全体が本願中に参照として組み込 れている。

図1は、カメラモジュールの構成を示す 断面模式図である。 図2は、光選択透過フィルターの有無に よるバックフォーカスの伸張を示す模式図で ある。 図3は、本発明の基材の曲げ試験を模式 的に示した図である。 図4は、光選択透過フィルターの分光透 過率曲線を示す図である。 図5は、基材フィルムの縁に蒸着用テー プを貼り付けたときの配置関係を示す平面模 式図である。 図6は、基材フィルムの縁の上下方向の みに蒸着用テープを貼り付けたときの配置関 係を示す平面模式図である。 図7は、基材フィルム、蒸着用テープ及 び穴の配置関係を示す平面模式図である。

符号の説明

1:レンズ
2:光選択透過フィルター
3:センサー
4a、4b、4c:光選択透過層形成部
5a、5b、5c:光選択透過層非形成部
6c:穴




 
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