Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
SELF-OSCILLATING HEAT PIPE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/099057
Kind Code:
A1
Abstract:
A self-oscillating heat pipe includes: a heating unit having a wick inside; a cooling unit filled with a work fluid; a connection channel which has a smaller channel cross section area than that of the heating unit and rectilinearly connects the heating unit to the cooling unit; a liquid plug protruding from the cooling unit into the connection channel and containing the work fluid; and a vapor plug in the heating unit containing the vaporized work fluid. The fluid plug oscillates by itself in the connection channel.

Inventors:
OKUYAMA KUNITO (JP)
MORI SHOUJI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/051773
Publication Date:
August 13, 2009
Filing Date:
February 03, 2009
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
NAT UNIV CORP YOKOHAMA NAT UNI (JP)
OKUYAMA KUNITO (JP)
MORI SHOUJI (JP)
International Classes:
F28D15/06; F28D15/02
Foreign References:
JPH06201281A1994-07-19
JP2003302180A2003-10-24
JP2003287378A2003-10-10
Attorney, Agent or Firm:
SHIGA, Masatake et al. (Marunouchi Chiyoda-k, Tokyo 20, JP)
Download PDF:
Claims:
 内部にウイックを持つ加熱部と;
 作動流体が満たされた冷却部と;
 前記加熱部及び前記冷却部を直線状に連結し、前記加熱部の流路断面積よりも小さな流路断面積を有する連結流路と;
 前記冷却部から前記連結流路内に突出し、前記作動流体を含む液プラグと;
 気化した前記作動流体を含む前記加熱部内の蒸気プラグと;を備え、
 前記液プラグが前記連結流路内で自励振動することを特徴とする自励振動型ヒートパイプ。
 前記冷却部に満たされた前記作動流体が、内圧に束縛されない自由液面を持つことを特徴とする請求項1に記載の自励振動型ヒートパイプ。
 前記冷却部が開口部を持ち、前記開口部には前記冷却部の内容積を調整する調整部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の自励振動型ヒートパイプ。
 前記加熱部の断面積と、前記連結流路の断面積との比が、10:1~2:1であることを特徴とする請求項1に記載の自励振動型ヒートパイプ。
Description:
自励振動型ヒートパイプ

 本発明は、自励振動型ヒートパイプに関す 。
 本願は、2008年2月8日に、日本に出願された 願2008-029713号に基づき優先権を主張し、そ 内容をここに援用する。

 近年、電子機器の小型化、高集積化に伴 て、半導体素子等の発熱密度が急増してお 、効率的な熱除去手法の確立が急務となっ いる。しかし、例えばノート型のパーソナ コンピュータ等の電子機器の小型化が進む 、熱源である中央演算装置(CPU)の直上に大 のヒートシンクを設置するスペースが確保 きなくなる。このような場合には、ヒート ンクを設置可能な場所まで発生した熱を輸 する輸送する必要が生じる。このようなこ から、現状ではウィック式ヒートパイプが 輸送手段として利用されている。

 最近のノート型のパーソナルコンピュー の約90%には、ウイック式ヒートパイプが内 されている。このようなヒートパイプは、 径約3mm、水平に設置した場合の最大熱輸送 は12W程度のものである。しかし、ウィック ヒートパイプは、管径をマイクロ化(小径化 )すると急激に熱輸送能力が低下するという 題がある。

 そこで、マイクロ化しても高い熱輸送能力 有す相変化を利用した自励振動型のヒート イプが最近注目されている。しかし、その 表例である蛇行ループ式の自励振動型ヒー パイプ(内径0.5mm~2mm程度)は、多くの管を蛇 させる必要があること、水平設置すると作 しにくいなどの間題がある(非特許文献1参照 )。
長崎孝夫、「自励振動ヒートパイプの熱 輸送特性に関するレビュー」、伝熱、Vol.44、 No.186、p.13-17

 本発明は、上記事情に鑑みてなされたも であって、管を蛇行させることなく、水平 置しても高い熱輸送能力を発揮することが 能な自励振動型ヒートパイプを提供するこ を一つの目的とする。

 上記の目的を達成するために、本発明は以 の構成を採用した。
(1) 内部にウイックを持つ加熱部と;作動流体 が満たされた冷却部と;前記加熱部及び前記 却部を直線状に連結し、前記加熱部の流路 面積よりも小さな流路断面積を有する連結 路と;前記冷却部から前記連結流路内に突出 、前記作動流体を含む液プラグと;気化した 前記作動流体を含む前記加熱部内の蒸気プラ グと;を備え、前記液プラグが前記連結流路 で自励振動することを特徴とする自励振動 ヒートパイプ。
(2) 上記の自励振動型ヒートパイプは、以下 ように構成してもよい:前記冷却部に満たさ れた前記作動流体が、内圧に束縛されない自 由液面を持つ。
(3) 上記の自励振動型ヒートパイプは、以下 ように構成してもよい:前記冷却部が開口部 を持ち、前記開口部には前記冷却部の内容積 を調整する調整部が設けられている。
(4) 上記の自励振動型ヒートパイプは、以下 ように構成してもよい:前記加熱部の断面積 と、前記連結流路の断面積との比が、10:1~2:1 ある。

 本発明の自励振動型ヒートパイプによれ 、管を蛇行させることなく、水平設置して 高い熱輸送能力を発揮することが可能な自 振動型ヒートパイプを提供できる。

図1Aは、本発明の一実施形態に係る自 振動型ヒートパイプの断面模式図である。 図1Bは、上記自励振動型ヒートパイプ 変形例の断面模式図である。 図1Cは、上記自励振動型ヒートパイプ 変形例の断面模式図である。 図2は、自励振動型ヒートパイプの実験 方法を説明する図であって、実験装置を示す 模式図である。 図3は、実施例1の自励振動型ヒートパ プにおける自励振動の発生状況を示す図で って、自励振動型ヒートパイプの特定箇所 おける温度の経時変化を示すグラフである 図4は、図3の拡大図である。 図5は、実施例1~2及び比較例1~3の自励振動型 ートパイプにおける熱輸送速度Qと有効熱伝 率λ eff との関係を示すグラフである。 図6は、実施例1の自励振動型ヒートパイプに ける熱輸送速度Qと有効熱伝導率λ eff との関係を示すグラフである。図6は、また 従来技術のヒートパイプの熱伝導率の理論 も示す。

符号の説明

1 ヒートパイプ(自励振動型ヒートパイプ)
2 加熱部
3,33,43 冷却部
4 ウイック
5 連結流路
33b,43b 開口部
34,44 調整部
B 蒸気プラグ
L 液プラグ
M 作動流体
M1 自由液面

 以下、本発明の実施の形態を図面を参照 て説明する。図1A~Cは、本実施形態の自励振 動型ヒートパイプの断面模式図である。尚、 図1A~Cは自励振動型ヒートパイプの構造を説 するための図であり、図示される各部の大 さや厚さや寸法等は、実際の自励振動型ヒ トパイプとは異なる場合がある。

 図1Aに示す自励振動型ヒートパイプ1(以下、 ヒートパイプ1という場合がある)は、作動流 Mと、加熱部2及び冷却部3と、加熱部2に内蔵 されたウイック4と、加熱部2及び冷却部3を連 結する連結流路5とから概略構成されている
 このヒートパイプ1では、連結流路5内に冷 部3から作動流体Mが流入して液プラグLが形 される。また、加熱部2において、作動流体M が気化されて蒸気プラグBが形成される。液 ラグLが連結流路5内を自励振動することによ って熱伝導が行われる。
 なお、本実施形態のヒートパイプ1は、どの ような姿勢でも作動可能だが、長手方向に沿 って水平に設置して使用することが有効熱伝 導率を高くできる点で好ましい。

 加熱部2には、連結流路5に連通された中 部2aが設けられている。この中空部2aの内壁 にウイック4が配置されている。また、冷却 部3は、図1Aに示す例では作動流体Mを満たす 器3aである。この容器3aに作動流体Mが満たさ れる。また作動流体Mはヒートパイプ1の外部 面し、ヒートパイプ1の内圧に束縛されない 、自由液面M1を形成する。また、容器3aの側 に連結流路5が取り付けられる。連結流路5の 容器3a側の端部は開放端である。この開放端 より容器3aと連結流路5とが連通されている

 加熱部2及び連結流路5は、セラミックス ガラスまたは金属で構成された中空円筒状 管である。加熱部2の一端部1aには、セラミ クス、ガラスまたは金属で構成された封止 材1cが備えられている。特に、本実施形態で は、加熱部2及び連結流路5をそれぞれ、ホウ イ酸ガラスで構成するとよい。

 連結流路5の流路断面積は、加熱部2の中 部2aの流路断面積よりも小さい。図1A~Cに示 例では、連結流路5及び加熱部2の中空部2aの 面形状が略円形であり、連結流路5の内径が 、加熱部2の中空部2aの内径よりも小さい。こ れにより、連結流路5の流路断面積が加熱部2 中空部2aよりも小さい。

 加熱部の中空部2aの流路断面積と、連結流 5の流路断面積との比は、例えば、加熱部:連 結流路=10:1~2:1の範囲が好ましい。
 より具体的にパソコンのCPUの水冷に適用す 場合で説明すると、加熱部の中空部2aの内 は3mm~6mmの範囲が好ましく、また、連結流路5 の内径は0.5mm~3mmの範囲が好ましい。

 加熱部2の流路断面積比、内径比または内 径が上記の範囲よりも小さくなると、加熱部 2の蒸発量が十分に得られず、あるいは加熱 2の液保持能力が低いために空だき状態にな ので好ましくない。また、加熱部2の流路断 面積比、内径比または内径が上記の範囲を超 えると、加熱部2内の流体の保有量が多くな 、加熱を開始してから蒸発が生じるまでの 間が長くなり、また、冷却部3から低温の作 流体が流れこんだ場合に蒸発が停止し、そ により自励振動が停止して、再度加熱によ 蒸発が開始するまでの時間が長くなるので ましくない。

 また、加熱部2と連結流路5は、内径が相 に異なり、各肉厚がほぼ等しくなっている めに外径も異なっている。このため、加熱 2と連結流路5との接合部8にはフランジ部9が 成される。このフランジ部9を介して加熱部 2と連結流路5とが相互に接合されている。但 、この構成はあくまで一例である。別の例 して、例えば、加熱部2及び連結流路5の内 を相互に異ならしめ、連結流路5の肉厚を厚 して両方の外径をほぼ等しくし、連結流路5 の端面に加熱部2の端面を接合させてもよい

 また、図1A~Cに示す例では、接合部8を境 して加熱部2と連結流路5との内径が急に変化 するが、本発明はこれに限らず、加熱部2及 連結流路5の内径を接合部8の近辺において漸 次変化させるようにしてもよい。

 連結流路5は、図1A~Cに示すように、加熱部2 冷却部3との間において直線状に形成されて いる。また、本発明に係る連結流路5は、ル プ状にする必要はなく、ヒートパイプ1の作 時に作動流体Mが直線状の連結流路5内を往 振動できればよい。ここで直線状とは、従 のようなループ状に屈曲させるものではな 単管構造であることを意味する。連結流路5 、ほぼ直線状であることが好ましいが、自 振動が生じる範囲であれば、多少の湾曲な があってもよい。
 作動流体Mの自励振動時の振動振幅は、連結 流路5の形状や大きさによるが、例えば、加 部2の内径を5mmとし、連結流路5の内径を2mmと し、連結流路4の長さを150mmとして加熱部2を 熱した場合の振動振幅は、±25~±50mm程度と非 常に大きくなる。加熱部2及び連結流路5の長 は、上記の振動振幅に合わせて適宜設計す ばよい。

 ウイック4は、毛細管現象によって液状の 作動流体を輸送できるものであれば従来公知 のウイックでよい。ウイック4は、例えば銅 どの熱伝導性に優れた金属網、グラスウー 、脱脂綿等の綿状体等でよい。また、ウイ ク4は、加熱部2の長手方向全部の領域に充填 されていてもよい。あるいは、ウイック4の 端が加熱部2と連結流路5との接合部8に一致 るようにしてウイック4が加熱部2の長手方向 の一部(例えば長手方向全長の2/3程度)にのみ 填されていてもよい。

 作動流体Mは、ヒートパイプ1の作動温度に わせて適宜選択すればよい。作動流体Mは、 えば、純水、エタノールなどの有機液体、 ロンなどの冷媒、アンモニアなどの液化ガ 等が好ましい。
 ヒートパイプ1の作動前には、連結流路5及 加熱部2に、予め脱気された作動流体を完全 満たしておくことが好ましい。ヒートパイ 1の加熱部2を加熱することにより、加熱部2 満たされた作動流体Mが気化して蒸気プラグ Bが形成される。この蒸気プラグBによって作 流体Mが加熱部2から押し出される。作動流 Mは、連結流路5に残って液プラグLを形成す 。その後、定常状態に至ると、液プラグLの 端のメニスカスMにおいて、作動流体Mの蒸 と凝縮とが交互に起こる。このため、連結 路5内で液プラグLが自励振動する。連結流路 5を目視すると、蒸気プラグBと液プラグLとの 気液界面となるメニスカスMが、連結流路5内 往復振動していることが確認でき、これに って自励振動の有無を判定できる。
 また、蒸気プラグBの形成時及び自励振動の 発生時において、液プラグLの一部が冷却部3( 容器3a)に押し出されるが、容器3aに満たされ 作動流体Mは自由液面M1を有するので、押し された液プラグLを吸収できる。

 上記のヒートパイプ1は、作動流体Mと、加 部2と冷却部3との間に配されて作動流体Mが 通する直線状の連結流路5を備える。連結流 5の流路断面積が、加熱部2の流路断面積よ 小さく、更に加熱部2にウイック4が備えられ ている。このため、有効熱伝導率及び最大熱 輸送量を従来の自励振動型ヒートパイプに比 べて格段に高めることができる。
 特に、加熱部2にウイック4が備えられるこ で、加熱部2において作動流体Mの蒸発を安定 して起こすことができ、結果として有効熱伝 導率及び最大熱輸送量を更に格段に高めるこ とができる。
 また、上記のヒートパイプ1は、水平設置し た場合に自励振動を安定して持続させること ができる。
 更に、上記のヒートパイプ1によれば、加熱 部2と連結流路5とを相互に直接に連通させて る。このため、液プラグLの先端のメニスカ スMが、加熱部2と連結流路5との接合部8に来 ごとに、液体の一部が加熱部2に供給される 従って、加熱部2に作動流体を保持させて常 に蒸発を起こすことができる。これにより作 動流体を安定して自励振動させることができ 、有効熱伝導率及び最大熱輸送量を高くでき る。

 上記のヒートパイプ1は、1本だけでも十分 性能であるが、熱輸送量を多くしたい場合 は必要に応じてパイプの本数を増やせばよ 、熱設計が容易となる。
 また、従来の蛇行ループ型のヒートパイプ は、多数回に渡って蛇行させなければ所用 性能を発揮することができなかったが、上 のヒートパイプによれば、蛇行させること く直線状とすることで有効熱伝導率及び最 熱輸送量を高くできる。
 また、上記のヒートパイプ1は、CPU等の電子 素子の冷却に好適に用いることができる。

 次に、図1Bには、ヒートパイプの別の例を す。このヒートパイプ31と図1Aに示すヒート イプ1の相違点は、冷却部の構成である。
 図1Bに示すヒートパイプ31の冷却部33は、ホ ケイ酸ガラスからなる中空円柱状のガラス 33aである。冷却部33の内径は、連結流路5よ も大きい。このガラス管33aの一端には開口 33bが設けられており、この開口部33bは、ゴ 製の膜(調整部)34によって封止されている。 そして、冷却部33に作動流体が満たされてい 。
 また、冷却部33の外周には、放熱用のフィ 35が備えられている。

 このヒートパイプ31によれば、蒸気プラ Bの形成時及び自励振動の発生時において、 プラグLの一部が冷却部33に押し出されるが 冷却部33に備えられたゴム製の膜34が変形す ることによって、冷却部の内容積が実質的に 増大し、押し出された液プラグLの容積を吸 できる。本例では、調整部としてゴム製の を用いたが、これに代えてダイヤフラムを いても良い。

 次に、図1Cには、ヒートパイプの更に別の を示す。このヒートパイプ41と図1Bに示すヒ トパイプ31の相違点は、冷却部に備えた調 部の位置である。
 図1Cに示すヒートパイプ41の冷却部43は、ホ ケイ酸ガラスからなる一端が閉塞された中 円柱状のガラス管43aである。冷却部43の内 は、連結流路5よりも大きい。このガラス管4 3aの側面には開口部43bが設けられている。こ 開口部43bは、ゴム製の膜(調整部)44によって 封止されている。そして、冷却部43に作動流 が満たされている。
 また、冷却部43の外周には、放熱用のフィ 45が備えられている。

 このヒートパイプ41によれば、先のヒー パイプ31と同様に、蒸気プラグBの形成時及 自励振動の発生時において、液プラグLの一 が冷却部43に押し出される。このとき、冷 部43に備えられたゴム製の膜44が変形するこ によって、冷却部43の内容積が実質的に増 し、押し出された液プラグLの容積を吸収で る。本例では、調整部としてゴム製の膜を いたが、これに代えてダイヤフラムを用い も良い。

 以下、実施例により本発明を更に具体的 説明する。

(自励振動の観察:実施例1)
 図2に示す実験装置によってヒートパイプの 特性を評価した。
 先ず、内径2mm、長さ250mmのホウケイ酸ガラ からなる連結流路5となるガラス管13と、内 5mm、長さ150mmのホウケイ酸ガラスからなる加 熱部2となるガラス管12を用意し、各ガラス管 12,13を融着させた。次いで、ガラス管12の内 に、銅網からなるウイック14を装着した。ウ イック14は、融着部から100mmの間にかけて装 した。ウイック14が装着された部分を加熱部 2とした。次いで、一端部11aをホウケイ酸ガ スからなる封止部材11cによって封止した。 に、連結流路となるガラス管13の開放端11bを ウオーターバス21浸漬させて、ガラス管12,13 内部を作動流体20となる純水で満たした。こ のようにして、実施例1のヒートパイプ11を製 造した。

 次に、ヒートパイプ11の加熱部2に50mmの長さ Lに渡ってヒータ22を装着し、ヒートパイプ11 ほぼ水平に設置した。また、ウオーターバ 21内に浸漬された部分をヒートパイプ11の冷 却部3とした。そして、ウオーターバス21内の 冷却水21aの温度を0℃に維持した。一方、ヒ タ22の発熱量を加熱部の温度が純水の沸点100 ℃に保たれる程度に設定して、ヒートパイプ 11を作動させた。
 ヒートパイプ11が定常状態(最大熱輸送量50W) になった後に、ヒートパイプ11の各部の表面 度と、ウオーターバス21の冷却水21aの温度 を熱電対でそれぞれ測定した。結果を図3及 図4に示す。

 図2~図4において、測定箇所TC1の温度は、 熱部2の温度であってヒータ22の装着部分の 端部11a側の表面温度である。測定箇所TC2の 度は、加熱部2の温度であってヒータ22の装 部分の他端部11b側の表面温度である。測定 所TC3の温度は冷却水22aの水温である。測定 所TC4の温度は開放端11bの出口直後の水温で る。

 図3~図4に示すように、TC1及びTC2は100℃程 を維持しており、TC3は0℃程度を維持してい ることがわかる。一方、TC4は、周期的にピー クを持っていることがわかる。ピークの最大 温度は約10℃であり、ピークの周波数は5Hzと っている。また、作動流体20の振幅幅は最 で100mm(±50mm)となっている。このように、実 例1のヒートパイプ11は、定常状態において 動流体20の自励振動が観察された。

「熱輸送速度Q及び有効熱伝導率λ eff の測定」
 次に、実施例1のヒートパイプの熱輸送速度 Q(熱輸送量)と、有効熱伝導率λ eff との関係を調べた。この実験では、冷却水の 水温とヒータの加熱温度を適宜変更して測定 した。また、熱輸送速度Q及び有効熱伝導率λ eff は、下記式(1)及び(2)により求めた。結果を図 5に示す。

 なお、式(1)において、ρは作動流体20(純水) 密度であり、c p は作動流体20(純水)の定圧比熱であり、Vは作 流体20の封入量であり、δTは冷却部の水温 時間δtの間における上昇分である。
 また、式(2)において、L φ2 は連結流路の全長と加熱部の全長の二分の一 との合計の長さであり、T H は加熱部の温度であり、T L はウオーターバス内の冷却水の水温であり、 d φ2 は連結流路の内径である。


(実施例2)
 次に、加熱側パイプ及び冷却側パイプの材 を石英ガラスとしたこと以外は実施例1と同 様にして実施例2のヒートパイプを製造した そして、実施例1と同様にして、実施例2のヒ ートパイプの熱輸送速度Qと、有効熱伝導率λ eff との関係を調べた。結果を図5に示す。

(比較例1)
 次に、加熱側パイプ及び冷却側パイプの材 を石英ガラスとし、ウイックを設置しなか たこと以外は実施例1と同様にして比較例1 ヒートパイプを製造した。そして、実施例1 同様にして、比較例1のヒートパイプの熱輸 送速度Qと、有効熱伝導率λ eff との関係を調べた。結果を図5に示す。

(比較例2)
 次に、内径5mm、長さ400mmの石英ガラスから るガラス管を用意し、このガラス管の中空 の内壁面に銅網からなるウイックを装着し 。次いで、パイプの一端部を封止部材によ て封止した。そして、中空部を作動流体20( 水)で満たした。このようにして、比較例2の ヒートパイプ11を製造した。
 そして、実施例1と同様にして、比較例2の ートパイプの熱輸送速度Qと、有効熱伝導率 eff との関係を調べた。結果を図5に示す。

(比較例3)
 次に、ウイックを設置しなかったこと以外 比較例2と同様にして比較例3のヒートパイ を製造した。そして、実施例1と同様にして 比較例3のヒートパイプの熱輸送速度Qと、 効熱伝導率λ eff との関係を調べた。結果を図5に示す。

(評価)
 図5に示すように、実施例1のヒートパイプ 、熱輸送速度が最大で33Wを示すとともに、 効熱伝導率λ eff が最大で36000W/(m・K)を示していることがわか 。
 また、実施例2のヒートパイプは、実施例1 同じ熱輸送速度において同程度の有効熱伝 率λ eff となっている。
 一方、比較例1~3のヒートパイプは、熱輸送 度が最大で10W以下となり、有効熱伝導率λ eff は最大でも100W/(m・K)程度となり、実施例1~2に 比べて熱輸送速度Q及び有効熱伝導率λ eff が大幅に低下していることが判る。

 実施例1~2の結果から、内径の異なる2本のパ イプを接合し、パイプの中空部に作動流体を 封入することで、自励振動型のヒートパイプ を構成でき、このヒートパイプは水平に設置 しても自励振動を発現できることがわかる。
 内径の異なる2本のパイプを接合してヒート パイプを構成した場合(実施例1~2)には、熱輸 速度と有効熱伝導率λ eff との相関が高くなり、直線的に増加すること が判る。また、実施例1では、有効熱伝導率 最大で約40000W/(m・K)程度まで増加したが、こ の値を、熱伝導率が比較的高い銅(熱伝導率40 0W/(m・K))と比べると、有効熱伝導率が100倍ま 高まっていることがわかる。
 また、図3~図4に示すように、加熱部の温度( TC1、TC2)が作動流体(純水)の沸点付近を維持し ていることが判る。今回は純水を用いたので 、加熱部の温度が100℃近傍になったが、冷却 対象物の許容温度に応じて適切な作動流体を 選定すれば、効率的な熱伝導を実現できる。
 なお、上記の実施例1では、有効熱伝導率の 最大値が約40000W/(m・K)程度、熱輸送速度の最 値は約50Wであったが、これらの値は限界値 はなく、実験条件の変更によって、更に優 た結果が得られる可能性がある。

 図6は、実施例1のヒートパイプの熱輸送特 の実験値と、従来技術のヒートパイプ(ドリ ムパイプ)の熱輸送特性の理論値との比較図 であり、各ヒートパイプについて、熱輸送速 度Qと、有効熱伝導率λeffとの関係を示す。
 この従来技術のヒートパイプは、パイプ内 液体を強制的に振動させることにより、軸 向に熱を輸送するタイプのヒートパイプ(ド リームパイプ)である。ドリームパイプの有 熱伝導率λeffは、下記の式(3)及び(4)から算出 した。


 ここで、λ:流体の熱伝導率,Pr:プラントル数 ,r:管内径,ν:水の動粘度,f :振動数,S:振幅であ る。この従来技術のドリームパイプは、加熱 部2より小径の連結流路5を持たない単一径管 である。
 図6に示されるように、実施例1のヒートパ プの有効熱伝導率は、従来技術のドリーム イプの約10倍と非常に大きい。この効果の原 因の一つは、実施例1のヒートパイプでは、 ラス管13の開放端11bが水槽中に開放されてい るため、作動流体Mが振動する度にガラス管13 内の作動流体Mがウオーターバス21中の低温の 液と入れ替わることであると考えられる。

 本発明の自励振動型ヒートパイプによれ 、管を蛇行させることなく、水平設置して 高い熱輸送能力を発揮することが可能な自 振動型ヒートパイプを提供できる。